説明

電流センサ及びその製造方法

【課題】 コアにコイルを装着するときの製造コストを低減できる電流センサを提供する。
【解決手段】 電流センサ1は、ギャップ21を有する環状のコア2と、ギャップ21に配置される磁気センサ6及び中心軸線方向の長さがギャップ21の大きさ未満に形成されたコイル7が実装面上且つコア2の円周と同じ半径の円周上に実装された回路基板3とを備える。電流センサ1は、筐体4に回路基板3を配置するときに、コイル7をギャップ21に配置した後、回路基板3をコア2の周方向に沿って移動させることで、コア2がコイル7を貫通した状態とし、コイル7の中心軸線の周りに回路基板3を回転させることで、磁気センサ6がギャップ21に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ギャップが形成された環状のコアと、コアのギャップに配置される磁気センサと、コアが貫通したコイルとを備える電流センサ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ギャップが形成された環状のコアと、コアのギャップに配置される磁気センサ(例えばホール素子)とを備える電流センサが知られている(特許文献1)。このような電流センサは、コアの軸心部を貫通する導体に流れる電流によってコアに発生する磁束をホール素子により電気信号に変換している。そして、この種の電流センサでは、例えば特許文献1に見られるが如く、コアの一部にコイルが巻装されている。
【0003】
コアは、発生した磁束により磁気を帯び、電流が導体に流れなくなった場合であっても、多少の磁気を帯びたままになることがある。そこで、上記のような電流センサにおいて、前記導体に流れる電流による磁界を打ち消すような磁界が発生するようにコイルに電流を流すことで、コアが磁気を帯びたままとなることを防止している。
【0004】
また、上記のように設けられたコイルの他の用途としては、例えば、電流センサの精度を向上するために、導体に流す電流をコイルにも流して磁界を増幅させたり、測定した信号をオフセットするために、導体に流す電流とは別の電流をコイルに流し、導体に流れる電流による磁界とは別の磁界を発生させる等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2847371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このようなコイルをコアの一部に巻装するときには、巻線機等の専用の機械を用いて巻くことになる。しかしながら、専用の機械を用いるため、その分の製造コストが増加してしまう。
【0007】
本発明は、可能な限り製造コストを低減できる電流センサ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ギャップを有する環状のコアと、前記ギャップに配置された磁気センサと、前記コアが貫通したコイルとを備える電流センサであって、前記磁気センサと前記コイルとが同一面上且つ前記コアの円周と同じ半径の円周上に実装された基板を備え、前記コイルは、中心軸線方向の長さが前記ギャップの大きさ未満に形成されており、前記基板を配置するときに、前記コイルを前記ギャップに配置した後、当該基板を前記コアの周方向に沿って移動させることで、前記コアが前記コイルを貫通した状態とし、前記コイルの中心軸線の周りに当該基板を回転させることで、前記磁気センサが前記ギャップに配置されることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、コイルは、中心軸線方向の長さがギャップの大きさ(間隔方向の長さ)未満に形成されているので、コイルにコアを貫通させるときに、まず、コイルをコアのギャップに通すことができる。この状態で基板をコアの周方向に沿って移動させると、コアがコイルを貫通した状態とすることができる。
【0010】
また、基板の同一面上且つコアの円周と同じ半径の円周上に、磁気センサとコイルが配置されている。このため、コアがコイルを貫通した状態とした後、コイルの中心軸線の周りに基板を回転させることで、磁気センサをギャップに配置することができる。
【0011】
磁気センサやコイル等の回路素子の配置や構造を上記のようにすることで、回路基板の移動及び回転をするだけで、コアの一部にコイルが巻装されたと同じ状態にすることができる。このため、本発明の電流センサは、巻線機等の特別な機械を用いる必要がなく、製造コストを低減できる。
【0012】
本発明において、前記コア及び前記基板を収容する筐体を備え、前記コアを前記筐体に収容した後に前記基板を前記筐体に収容するものであり、前記基板の回転により当該基板が前記筐体に収容されることが好ましい。これにより、コアのギャップへの磁気センサの配置と基板の筐体への収容とを基板を回転させるだけでできるので、電流センサの組立工数を低減でき、製造コストを低減できる。
【0013】
本発明において、前記筐体と前記基板には、前記基板を配置するときの移動又は回転時に前記コアと前記基板との相対位置を規定するための位置決め部が設けられていることが好ましい。
【0014】
基板を移動又は回転させるときには、動作のブレ等の影響により必ずしも規定の位置に移動又は回転できるわけではない。そこで、コアと基板との相対位置を規定するために、筐体と基板に位置決め部を設ける。これにより、例えば、突部を切欠部や溝に通したり、基板を壁に当接させながら移動又は回転することで、コアと基板との相対位置が規定できる。このようにして、ギャップにコイルを配置するときや、コアをコイルに貫通させるとき、又はギャップに磁気センサを配置するとき等に、簡単に基板を移動又は回転できるので、電流センサを速やかに組み立てることができ、製造コストを低減できる。
【0015】
本発明において、前記位置決め部は、前記コアの周方向に沿うように前記筐体に設けられたガイド溝と、前記移動時に前記ガイド溝に沿って前記基板を移動させるために前記基板に設けられた突部とからなることが好ましい。ガイド溝がコアの周方向に沿っているので、コアをコイルに貫通した状態にするときに、基板の突部をガイド溝に沿って移動させるという簡単な動作だけでコイルをコアの周方向に移動できる。これにより、電流センサの組立を簡便にでき、製造コストを低減できる。
【0016】
本発明において、前記位置決め部は、前記回転時に当該基板の回転方向以外の方向への揺動を抑制するために前記基板に設けられた突部又は切欠部と、前記揺動を抑制するための突部又は切欠部に応じて前記筐体に設けられた溝又は突部とからなることが好ましい。基板を回転するときに、基板の突部を筐体に設けられた溝に沿って移動させる(又は、基板の切欠部の空間に筐体の突部を通過させる)だけで、回転方向以外の方向への揺動を抑制することができるので、電流センサの組立を簡便にでき、製造コストを低減できる。
【0017】
本発明において、前記位置決め部は、前記コアの周方向に沿うように前記筐体に設けられたガイド溝と、前記回転時に当該基板の回転方向以外の方向への揺動を抑制するために前記筐体に設けられた溝と、前記移動時には前記ガイド溝に沿って移動させ、前記回転時には前記揺動を抑制するための溝に沿って回転させるために前記基板に設けられた突部とからなることが好ましい。ガイド溝がコアの周方向に沿っているので、コアをコイルに貫通した状態にするときに、基板の突部をガイド溝に沿って移動させるという簡単な動作だけでコイルをコアの周方向に移動できる。また、基板を回転するときに、基板の突部を筐体に設けられた溝を通す(沿わせる)だけで、回転方向以外の方向への揺動を抑制することができる。これにより電流センサの組立を簡便にできる。更に、1つの突部で、移動及び回転の利便性を向上しているので、移動用の突部、回転用の突部をそれぞれ別途設けるものに比べて基板の構造を簡単にでき、製造コストを低減できる。
【0018】
本発明において、前記位置決め部は、前記基板の回転により当該基板が前記筐体に収容されるとき、当該基板が収容される位置を規定するために前記筐体に設けられた突部又は切欠部と、前記位置を規定するための突部又は切欠部に応じて前記基板に設けられた切欠部又は突部とからなることが好ましい。これらの突部及び切欠部により、基板を筐体に収容するときの位置を規定できる。これにより組立時に基板を簡便に収容でき、製造コストを低減できる。
【0019】
本発明は、ギャップを有する環状のコアと、前記ギャップに配置された磁気センサと、前記コアが貫通したコイルと、前記磁気センサと前記コイルとが同一面上且つ前記コアの円周と同じ半径の円周上に実装された基板と、前記コア及び前記基板を収容する筐体とを備え、前記コイルの中心軸線方向の長さが前記ギャップの大きさ未満である電流センサの製造方法であって、前記コアを前記筐体に収容する第1工程と、前記コイルが前記ギャップに配置されるように前記基板を配置する第2工程と、前記基板を前記コアの周方向に沿って移動させて、前記コアを前記コイルに貫通させる第3工程と、前記コイルの中心軸線の周りに前記基板を回転させて、前記磁気センサを前記ギャップに配置する第4工程とを備えることを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、第1工程で、コアを筐体に収容する。コイルは、中心軸線方向の長さがギャップの大きさ(間隔方向の長さ)未満に形成されているので、コイルにコアを貫通させるときに、まず、コイルをコアのギャップに通すことができる。このため、第2工程で、コイルがギャップに配置されるように基板を配置し、第3工程で、基板をコアの周方向に沿って移動させると、コアがコイルを貫通した状態とすることができる。また、基板の同一面上且つコアの円周と同じ半径の円周上に、磁気センサとコイルが配置されている。このため、第3工程で、コアがコイルを貫通した状態とした後、第4工程で、コイルの中心軸線の周りに基板を回転させて、磁気センサをギャップに配置することができる。
【0021】
磁気センサやコイル等の回路素子の配置や構造を上記のようにし、第1工程〜第4工程のように、移動及び回転などの簡便な動作のみにより、コアの一部にコイルが巻装されたと同じ状態にすることができる。このため、本発明の電流センサは、巻線機等の特別な機械を用いる必要がなく、製造コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の本実施形態の電流センサの構成を示す分解斜視図。
【図2】本実施形態の電流センサの斜視図。
【図3】(a)は本実施形態の電流センサの回路基板の斜視図、(b)は(a)の平面図、(c)は(a)の正面図。
【図4】(a)は本実施形態の電流センサの筐体の平面図、(b)は(a)の側面図、(c)は(a)のIV−IV線断面図。
【図5】本実施形態の電流センサの製造時の第1工程で得られる製品状態を示す図。
【図6】(a)は本実施形態の電流センサの製造時の第2工程で得られる製品状態を示す斜視図、(b)は(a)の平面図、(c)は(a)のVI−VI線断面図。
【図7】(a)は本実施形態の電流センサの製造時の第3工程で得られる製品状態を示す斜視図、(b)は(a)の平面図、(c)は(a)のVII−VII線断面図。
【図8】(a)は本実施形態の電流センサの製造時の第4工程の途中の製品状態を示す平面図、(b)は(a)のVIII−VIII線断面図。
【図9】(a)は本実施形態の電流センサの製造時の第4工程で得られる製品状態を示す平面図、(b)は(a)のIX−IX線断面図。
【図10】本実施形態の電流センサの製造時の第5工程の途中の製品状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態の電流センサについて説明する。本実施形態の電流センサ1は、図1に示されるように、コア2と、基板としての回路基板3と、筐体4と、上蓋5とを備える。また、図2に示されるように、電流センサ1は、実際に使用される状態においては、コア2、回路基板3が筐体4に収容され、筐体4と上蓋5のみが外部に露出した状態となる。
【0024】
コア2は、磁性材料から成る環状のものであり、その周方向の全長のうちの一部の区間部分に、該周方向に間隔を存する空隙部分であるギャップ21が形成されている。
【0025】
回路基板3は、プリント配線基板であり、図3に示されるように、第1直線部31と第2直線部32の2本の直線部によりL字形状に形成されている。また、回路基板3は、L字形状の頂点部分(すなわち、第1直線部31と第2直線部32との交点部分)に長方形状の切欠きである第1切欠部3aを有する。また、回路基板3の同一面上には、回路部品として磁気センサ6とコイル7とコネクタ33とが実装されている。以下、これらの回路部品6,7,33が実装されている面を「実装面」という。
【0026】
また、第1直線部31の長手方向の2つの辺のうち、第1切欠部3aが設けられている側の辺を「第1長手外辺」といい、第1長手外辺の反対側の辺を「第1長手内辺」という。また、第1直線部31の短手方向の2つの辺のうち、第1切欠部3a側の辺を「第1短手切欠辺」といい、第1短手切欠辺の反対側の辺を「第1短手外辺」という。同様に、第2直線部32の長手方向の2つの辺のうち、第1切欠部3aが設けられている側の辺を「第2長手外辺」といい、第2長手外辺の反対側の辺を「第2長手内辺」という。また、第2直線部32の短手方向の2つの辺のうち、第1切欠部3a側の辺を「第2短手切欠辺」といい、第2短手切欠辺の反対側の辺を「第2短手外辺」という。なお、第2短手切欠辺の長さはM1に設定されている。
【0027】
また、第1直線部31には、第1短手切欠辺の第1長手外辺側に、第2切欠部31aが設けられている。更に、第2直線部32には、第2長手外辺の第2短手切欠辺側に第3切欠部32aが設けられ、第2短手外辺の第2長手外辺側に第4切欠部32bが設けられ、第2長手外辺の第2短手切欠辺から長さM2の位置に、幅M3の突部32cが設けられている。
【0028】
磁気センサ6は、本実施形態では、ホール素子(リード型のホール素子)である。磁気センサ6は、検知した磁束を電気信号に変換して出力する。なお、本実施形態では磁気センサ6としてホール素子を用いているが、ホール素子以外の磁気センサ、例えば磁気抵抗素子であってもよい。
【0029】
コア2のギャップ21は、その空間に磁気センサ6を収容可能な大きさに形成されている。磁気センサ6は、コア2及び回路基板3が収容された状態において、コア2のギャップ21内の空間に位置するように回路基板3に配置されている。
【0030】
コイル7は、空芯コイルで円筒状のボビンに導電性の巻線を巻いたものである。なお、コイルは自立可能であればボビンは無くてもよい。コイル7は、その中心軸線が第2直線部32の第2長手外辺に対して平行となるように配置される。また、コイル7は、第2直線部32の長手方向の位置が、第2直線部32に設けられた突部32cと同じ位置、すなわち第2短手切欠辺から長さM2の位置に設定されている。また、コイル7は、第2直線部32の短手方向の位置が、第2長手外辺から長さM4の位置にコイル7の中心軸線が位置するように設定されている。このとき、コイル7の中心軸線は、突部32cの先端からの位置が長さM5となっている。
【0031】
また、コイル7の内径は、コア2の直径よりも若干大きく形成されている。コイル7の中心軸線方向の長さは、コア2のギャップ21の間隔方向の長さよりも若干小さく形成されている。このため、コイル7は、その中心軸線をコア2の断面中心を結ぶ線(以下、「断面中心線」という)Cと一致するような位置となるようにギャップ21内に位置させた後、コア2の周方向に沿って移動させることで、コア2がコイル7を貫通した状態となる。すなわち、コア2の一部にコイル7を巻装させたと同じ状態にすることができる。
【0032】
また、磁気センサ6とコイル7は、互いがコア2の円周と同じ半径の円周上に配置されている。これにより、コア2及び回路基板3を筐体4に収容した状態において、コア2の一部にコイル7を貫通できる(巻装させたと同じ状態にできる)と共に、コア2のギャップ21内の空間に磁気センサ6を配置できる。
【0033】
コネクタ33は、電流センサ1の外部と電気信号を送受信する電気的な接続端子を有する開口部33aを有し、磁気センサ6から出力された電気信号を外部に出力する。コネクタ33は、開口部33a側の端の一部が、第1直線部31の第1短手外辺から突出するように、第1直線部31上に実装されている。コネクタ33から出力された電気信号は、外部の電子回路(図示省略)等の演算回路により、検知した磁束に応じた電流値を表す電気信号に変換され、当該変換結果を電流センサ1が検知した電流値として扱う。なお、コネクタ33から出力する前に、検知した磁束に応じた電流値を表す電気信号に変換するようにしてもよい。この場合には、回路基板3に電流値を表す電気信号に変換する電子回路が実装される。
【0034】
筐体4は、上方に開口した箱形状のものであり、長方形板状の底板41と、この底板41の外周縁部から起立する長方形状の枠体である外側壁部42と、底板41の上面中央部から外側壁部42と間隔を存して起立する長方形状の枠体である内側壁部43とを備える。筐体4は、内側壁部43により囲まれることで、貫通孔4aが形成されている。
【0035】
また、底板41は、厳密には、長方形の4つの頂点のうち3つの頂点の角は直角ではなく、Rを有する角になっている(残りの1つの頂点は直角)。従って、外側壁部42も底板41と同様に、厳密には、3つの頂点がRを有する角で残りの1つの頂点が直角の略長方形状の枠体である。以下、底板41及び外側壁部42を上面から見たときに、4つの辺から構成される長方形であるとして説明する。
【0036】
筐体4は、コア2の中心軸線(断面中心線Cを全て含む平面に垂直な方向の線)を底板41の法線方向に向けた状態で、外側壁部42と内側壁部43との間の空間にコア2を収容可能に構成されている。その収容状態は、外側壁部42によりコア2の外周面の周囲を囲み、且つ、コア2の内周面の内側に内側壁部43が配置されるような形態の収容状態である。
【0037】
この場合、筐体4の外側壁部42と内側壁部43との間の空間(以降、コア収容空間ということがある)の複数箇所(本実施形態では5箇所)に、底板41の上面から突出するように形成されたコア用台座44が底板41に固設されている。コア用台座44には、その上面に、コア2の下面に沿う形状の窪みが設けられており、当該窪みにより、コア収容空間でのコア2の収容位置が規定されるようになっている。
【0038】
また、筐体4は、コア2を収容した状態において、回路基板3の実装面をコア2側にし、当該回路基板3が底板41に平行な状態で、収容可能に構成されている。その収容状態において、回路基板3は、第1直線部31の第1長手外辺の縁が外側壁部42の一辺を構成する壁(以下、「第1壁」という)421に沿う。また、第1壁421には、深さM6の凹欠部42aが設けられている。深さM6は、上述した第2短手切欠辺の長さM1(図3(b))に応じて設定される。
【0039】
また、外側壁部42の4つの辺のうち、回路基板3が収容された状態においてコネクタ33の開口部33a側が位置する辺を構成する壁(以下、「第2壁」という)422には、このコネクタ33の一部を第2壁422から突出させるための切欠部42bが形成されている。なお、外側壁部42は、第1壁421と第2壁422との間の角が直角に形成されている。以下、第1壁421に向かい合う壁423を「第3壁」といい、第2壁422に向かい合う壁424を「第4壁」という。
【0040】
また、底板41の上面には、コア2が収容された状態においてコア2を避けるように底板41の上面から突出した基板用台座45が、底板41の複数箇所(本実施形態では3箇所)に固設されている。基板用台座45は、その上面の一部が突出しており、この突出した部分の側面で回路基板3の縁を受けると共に、この突出していない上面で回路基板3の実装面を受けることで、回路基板3を支持している。基板用台座45の長さは、回路基板3が基板用台座45に収容された状態において、回路基板3がコア2に当接せず、且つコア2のギャップ21内に磁気センサ6が位置し、コイル7の中心軸線がコア2の断面中心線Cとほぼ一致する位置になるように設定されている。
【0041】
また、底板41には、底板41の上面から突出するように、上方に開口したネジ穴を有するボス46が底板41から突設されている。このとき、ボス46は、第1壁421の中央部より第4壁424側の位置に、第1壁421の近くに突設されている。回路基板3の収容状態において、このボス46のネジ穴には、回路基板3の第2切欠部31aを介して上方からネジ8(図10参照)が挿通される。回路基板3は、この挿通されたネジ8により筐体4に固定される。ボス46の長さも基板用台座45と同じ長さに設定されている。
【0042】
また、底板41の上面の第4壁424側には、コア2の収容状態においてコア2の周方向に沿ったガイド溝47が、収容されたコア2の外周側に設けられている。
【0043】
回路基板3を収容したときのコイル7の中心軸線からガイド溝47の上面までの長さM7は、上述した長さM5(図3(b))に比べてほぼ同等か若干長く設定される。更に、回路基板3を収容したときのコイル7の中心軸線から底板41の上面までの長さM8は、上述した長さM4(図3(b))に比べて若干長く設定される。このとき「M7−M5」と「M8−M4」は、ほぼ同じ値となる。この「M7−M5」及び「M8−M4」は、コア2及び回路基板3を収容した状態において、コイル7の内周がコア2の外周の延長線上の外側に位置する程度の差に設定されていればよい。
【0044】
また、ガイド溝47の両端には、ガイド溝47の上面よりも高く形成された面471,472が設けられている。
【0045】
また、底板41からは、上方に突出した位置決め壁が設けられている。この位置決め壁は、上方から見たときに、短い直線形状の壁(以下、「第1位置決め壁」という)481と長い直線形状の壁(以下、「第2位置決め壁」という)482とからなるL字状の壁となっている。第1位置決め壁481は、ガイド溝47よりも第3壁423側に、第3壁423に平行に配置される。第2位置決め壁482は、ガイド溝47よりも第4壁424側に、第4壁424に平行に配置される。また、第2位置決め壁482には、幅M9の位置決め溝484が設けられている。位置決め溝484は、底板41から上方に向かって第4壁424側に近付くテーパ状に形成されている。幅M9は、第2直線部32に設けられた突部32cの幅M3に比べて若干長く設定されている。また、第2位置決め壁482には、第2壁422側に突出した第2リブ482aが形成されている。第2リブ482aは、その幅が、第3切欠部32aの幅方向の空間より若干短く設定されている。
【0046】
また、第1位置決め壁481の第1壁421側、且つ面471の第2壁422側には、底板41から上方に突出した台座部481aが固設されている。台座部481aには、その上方に突出した第1リブ481bが固設されている。第1リブ481bは、回路基板3が筐体4に収容された状態において、回路基板3の第4切欠部32bに嵌合する大きさで、嵌合できる位置に形成されている。また、第1リブ481bとガイド溝47との間にある台座部481aの上面は、第1リブ481bからガイド溝47に向かって低くなるテーパ部481cが形成されている。
【0047】
更に、底板41の上面には、上方に突出した3つの壁として、第1ガイド壁491、第2ガイド壁492、第3ガイド壁493が形成されている。第1ガイド壁491は、第1壁421の中央部付近からガイド溝47に向かって形成されている。第2ガイド壁492は、第1ガイド壁491の第1壁421側の縁から第2壁422側に向かって、第1ガイド壁491に対して直交するように形成されている。第3ガイド壁493は、第2ガイド壁492の第1ガイド壁491側とは反対側の縁から第4壁424側に向かって、第1ガイド壁491に対して遠ざかる方向に形成されている。第2ガイド壁492のガイド溝47側の面までの長さM10は、上述した第2長手外辺の第2短手切欠辺から長さM2(図3(b))より若干長く設定されている。
【0048】
上蓋5は、筐体4の外側壁部42の上側の縁に被せることで、筐体4に収容されているコア2及び回路基板3を外部に直接露出しないように保護している。上蓋5は、筐体4の底板41と同様に3つのRを有する角と1つの直角を有する長方形板状の天板51と、この天板51の外周縁部から起立する2つの凸部である第1凸部52及び第2凸部53とから構成される。また、天板51には、上蓋5が筐体4に被せられた状態において、筐体4の貫通孔4aと連通する貫通孔5aが形成されている。
【0049】
第1凸部52は、上蓋5が筐体4に被せられた状態において、筐体4の第1壁421に設けられた凹欠部42aの上側の縁に沿うように形成されている。第2凸部53は、上蓋5が筐体4に被せられた状態において、第2壁422に設けられた切欠部42bから突出しているコネクタ33の上面に沿うように形成されている。
【0050】
以上のように構成された電流センサ1は、上蓋5の貫通孔5a及び筐体4の貫通孔4aを通る導体に電流が流れることでコア2に発生する磁束を磁気センサ6が検知し、この検知した磁束に応じた電気信号をコネクタ33の接続端子から出力している。
【0051】
次に、上記のような電流センサ1の製造方法について説明する。
【0052】
まず最初に第1工程において、図5に示されるように、コア2が筐体4のコア用台座44上に載置される。このとき、コア2は、ギャップ21の図5の右下側の端がガイド溝47の右下側の端と合うように配置される。その後、接着、樹脂モールド等によりコア2が筐体に固定される。なお、インサート成型等により予めコア2を筐体に固定してもよい。
【0053】
次に第2工程において、図6に示されるように、回路基板3が、底板41に対して鉛直となり、コネクタ33の開口部33aが上方を向くように筐体4に挿入される。このとき、「凹欠部42aの第2壁422側の縁に、第1直線部31の実装面が接触するように」、且つ「第2直線部32の突部32cの第2短手切欠辺側の縁に、底板41のガイド溝47の第1壁421側の縁が沿うように」挿入される。
【0054】
図3(b)に示される長さM4,長さM5、及び図4(c)に示される長さM7,長さM8は、上述したように、「M7−M5」及び「M8−M4」が、コア2及び回路基板3を収容した状態において、コイル7の内周がコア2の外周の延長線上の外側に位置する程度の差に設定されている。このため、本実施形態では、図6の状態において、コイル7の中心軸線がコア2の断面中心線Cとほぼ同一となっている。
【0055】
また、第1工程において、コア2がギャップ21の図5の右下側の端をガイド溝47の右下側の端と合うように配置している。これにより、図6の状態において、コイル7がコア2のギャップ21に配置される。
【0056】
深さM6(図4(b))は、上述したように、第2短手切欠辺の長さM1(図3(b))に応じて設定される。これは、すなわち図6の状態において、第1直線部31の第1短手切欠辺が凹欠部42aに当接したときに、第2直線部32の第2長手外辺が筐体4の底板41に当接するような長さに設定されることを意味している。これにより、図6の状態において、筐体4の外側壁部42が回路基板3の挿入を邪魔することを防止できる。
【0057】
長さM10(図4(a))は、上述したように、長さM2(図3(b))より若干長く設定されている。これにより、図6の状態において、第2ガイド壁492が第2直線部32に接触せず、回路基板3の挿入を邪魔することを防止できる。
【0058】
次に第3工程において、図7に示されるように、回路基板3の突部32cを底板41に設けられたガイド溝47に沿って、図6(b)の反時計回り方向に回路基板3が移動される。上述したようにガイド溝47は、コア2の収容状態においてコア2の周方向に沿うように設けられている。このため、上記移動により、コア2がコイル7の中空部に挿入され(コア2がコイル7に貫通し)、コイル7がコア2に沿って移動することとなる。このように、上記のように形成されたガイド溝47に沿って突部32cを移動させるだけで、コア2に沿ってコイル7を移動させることができ、組立が簡便となっている。
【0059】
ここで、ガイド溝47が、本発明における「前記コアの周方向に沿うように前記筐体に設けられたガイド溝」に相当する。また、回路基板3の突部32cが、本発明における「前記移動時に前記ガイド溝に沿って前記基板を移動させるために前記基板に設けられた突部」に相当する。
【0060】
また、このとき、第2直線部32の突部32cの第2短手外辺側の縁がガイド溝47の第3壁423側の縁に当接するまで、回路基板3が移動される。これにより、回路基板3はその平面が第4壁424に平行となる。このとき、第2直線部32の第2短手外辺が第1位置決め壁481に当接する位置に、第1位置決め壁481が設けられている。更に、このとき、第2直線部32の突部32cの幅方向の中心が、位置決め溝484の間隔方向の中心とほぼ同じ位置となるように、突部32c及び位置決め溝484が形成されている。
【0061】
この第3工程における処理が、本発明における「前記コイルを前記ギャップに配置した後、当該基板を前記コアの周方向に沿って移動させることで、前記コアが前記コイルを貫通した状態」とする処理に相当する。
【0062】
次に第4工程において、図8及び図9に示されるように、底板41に対して鉛直になっている回路基板3が底板41に対して平行となるように、コイル7の中心軸線を中心として回路基板3が回転される。これにより、コネクタ33が第2壁422の切欠部42bに嵌合する。なお、図8は回路基板3の回転の途中を示す図であり、図9は回路基板3の回転が終了したときを示す図である。
【0063】
この回転時において、図8に示されるように、回路基板3の第3切欠部32aの空間を第2リブ482aが通過することで、回路基板3が筐体4に対して大きくずれることを防止している。すなわち、第2リブ482aと第3切欠部32aにより図8(a)の左右方向の回路基板3と筐体4の相対位置が規定されている。このとき、同時に、回路基板3の回転中に突部32cが位置決め溝484を通ることで、回路基板3が筐体4に対して大きくずれることを防止できる。すなわち、突部32cと位置決め溝484により図8(a)の左右方向の回路基板3と筐体4の相対位置が規定される。
【0064】
また、図9に示されるように、回路基板3の第4切欠部32bの空間には第1リブ481bが挿入される。すなわち、第1リブ481bと第4切欠部32bにより図9(a)の上下方向の回路基板3と筐体4の相対位置が規定される。
更に、第2切欠部31aは、第2切欠部31aを介してボス46にネジ8(図10参照)を挿通可能な位置に配置される。
【0065】
このようにして、回路基板3が回転して収容状態になるときに、第2リブ482aと第3切欠部32aにより図9(a)の左右方向の回路基板3と筐体4の相対位置が規定される。これらにより、回路基板3とコア2との相対位置が規定され、回路基板3に実装された磁気センサ6がコア2のギャップ21に配置される。
【0066】
ここで、突部32cが、本発明における「前記回転時に当該基板の回転方向以外の方向への揺動を抑制するために前記基板に設けられた突部」に相当すると共に、「前記移動時には前記ガイド溝に沿って移動させ、前記回転時には前記揺動を抑制するための溝に沿って回転させるために前記基板に設けられた突部」に相当する。また、位置決め溝484が、本発明における「前記揺動を抑制するための突部を通すために前記筐体に設けられた溝」に相当すると共に、「前記回転時に当該基板の回転方向以外の方向への揺動を抑制するために前記筐体に設けられた溝」に相当する。
【0067】
また、第3切欠部32aが、本発明における「前記回転時に当該基板の回転方向以外の方向への揺動を抑制するために前記基板に設けられた切欠部」に相当する。また、第2リブ482aが、本発明における「前記揺動を抑制するための切欠部に応じて前記筐体に設けられた突部」に相当する。
【0068】
また、第1リブ481bが、本発明における「前記基板の回転により当該基板が前記筐体に収容されるとき、当該基板が収容される位置を規定するために前記筐体に設けられた突部」に相当する。また、第4切欠部32bが、本発明における「前記位置を規定するための突部又は切欠部に応じて前記基板に設けられた切欠部」に相当する。
【0069】
なお、回路基板3に第4切欠部32bを設ける代わりに突部を設けて、筐体4にこの突部に応じた切欠部を設けてもよい。この場合には、筐体4に設けられた突部が、本発明における「前記基板の回転により当該基板が前記筐体に収容されるとき、当該基板が収容される位置を規定するために前記筐体に設けられた切欠部」に相当し、回路基板3に設けられた切欠部が、「前記位置を規定するための突部又は切欠部に応じて前記基板に設けられた突部」に相当する。
【0070】
また、位置決め溝484が上述したようにテーパ状に形成されているので、回路基板3が回転したときに、第2直線部32の第2長手外辺が位置決め溝484に接触することを防止できる。
【0071】
また、ガイド溝47の第4壁424側の側面は、回路基板3の回転時に回路基板3に接触しないように、この回転時に第2直線部32の第2長手外辺が描く円弧状の軌跡に沿った形状に形成されている。更に、台座部481aにテーパ部481cが設けられていることで、回路基板3の回転時に、その実装面に台座部481aが当接することがなく、回路基板3を滑らかに回転することができる。
【0072】
この第4工程における処理が、本発明における「前記コイルの中心軸線の周りに当該基板を回転させることで、前記磁気センサが前記ギャップに配置される」処理に相当する。
【0073】
また、第4工程において、回路基板3を回転するだけで、回路基板3が筐体4に収容される状態となる。このことが、本発明における「前記基板の回転により当該基板が前記筐体に収容される」ことに相当する。
【0074】
次に第5工程において、図10に示されるように、回路基板3の第2切欠部31aを介してボス46のネジ穴にネジ8を挿入し、回路基板3と筐体4を固定する。そして、上蓋5を筐体4に被せて固定し、図2に示される状態にする。この固定方法は、接着剤による固定であってもよいし他の方法であってもよい。
【0075】
ここで、以上の構成から分かるように、第2工程における回路基板3の移動及び第3工程における回路基板3の回転時に、回路基板3と筐体4との相対位置、ひいては、回路基板3とコア2との相対位置を規定していた「第2切欠部31a,第3切欠部32a,第4切欠部32b,突部32c,ガイド溝47,第1位置決め壁481,第1リブ481b,第2位置決め壁482,第2リブ482a,位置決め溝484,第1ガイド壁491,第2ガイド壁492,及び第3ガイド壁493」が、本発明における位置決め部に相当する。
【0076】
以上のようにして、本実施形態の電流センサ1は、コア2にコイル7を貫通させる(コア2にコイル7を巻装したのと同じ状態)ことができるので、巻線機等の専用の機械を用意する必要がなく、製造コストを低減することができる。
【0077】
また、上述したように、コア2にコイル7を貫通させるための動作としては、突部32cをガイド溝47に沿うように回路基板3を移動させるだけでよい。このように、回路基板3及び筐体4に設けられた位置決め部としての突部32c及びガイド溝47により、電流センサ1の組み立てを簡便にでき、製造コストを低減することができる。
【0078】
また、本実施形態では、第4工程において、ギャップ21に磁気センサ6を配置するために回路基板3を回転するだけで、回路基板3が筐体4に収容される状態となる。これにより、回路基板3を筐体4に収容するために、他の動作が必要なく、製造のための工数を削減でき、製造コストを低減することができる。
【0079】
また、巻線機等の専用の機械を用意せずに、コアを2つに分割した後に結合できるようにするものが考えられる。この場合には、コアを2つに分割し、分割されたコアの一方をコイルの中空部に挿入した後、当該コアと他方のコアとを結合することで、コアにコイルを巻装したと同じ状態にすることができる。しかしながら、このようなコアは、2つに分割した後、結合できるようにする必要があるので、構造が複雑になるなどコストが増加してしまう。本実施形態ではコア2を分割できるような構成にしていないにも拘らず、巻線機等の専用の機械を用意せずに、コアにコイルを巻装したと同じ状態にすることができる。このように、本実施形態の電流センサ1は、製造コストを低減できる。
【0080】
なお、回路基板3や筐体4等の形状は、本実施形態のものに限られるものではなく、回路基板3の移動及び回転を邪魔しない形状であればよい。例えば、本実施形態においては、コア用台座44の個数を5個としているが5個以外の個数であってもよいし、上面に窪みがある形状に形成されていなくてもよい。コア用台座44は、回路基板3の移動及び回転を邪魔しないと共に、コア2の収容位置を規定できるように形成されていればよい。また、基板用台座45についてもコア用台座44と同様に、回路基板3の収容位置を規定できるのであれば、個数及びその形状はどのようなものであってもよい。更に、回路基板3や筐体4に設けられた位置決め部の形状又は個数は、本実施形態のものに限られるものではなく、回路基板3の移動及び回転を邪魔せず、回路基板3とコア2との相対位置を規定するという効果を得られるものであれば、どのような形状又は個数であってもよい。
【符号の説明】
【0081】
1…電流センサ、2…コア、21…ギャップ、3…回路基板(基板)、31a…第2切欠部(位置決め部)、32a…第3切欠部(位置決め部)、32b…第4切欠部(位置決め部)、32c…突部(位置決め部)、4…筐体、47…ガイド溝(位置決め部)、481…第1位置決め壁(位置決め部)、481b…第1リブ(位置決め部)、482…第2位置決め壁(位置決め部)、482a…第2リブ(位置決め部)、484…位置決め溝(位置決め部)、491…第1ガイド壁(位置決め部)、492…第2ガイド壁(位置決め部)、493…第3ガイド壁(位置決め部)、6…磁気センサ、7…コイル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ギャップを有する環状のコアと、前記ギャップに配置された磁気センサと、前記コアが貫通したコイルとを備える電流センサであって、
前記磁気センサと前記コイルとが同一面上且つ前記コアの円周と同じ半径の円周上に実装された基板を備え、
前記コイルは、中心軸線方向の長さが前記ギャップの大きさ未満に形成されており、
前記基板を配置するときに、前記コイルを前記ギャップに配置した後、当該基板を前記コアの周方向に沿って移動させることで、前記コアが前記コイルを貫通した状態とし、前記コイルの中心軸線の周りに当該基板を回転させることで、前記磁気センサが前記ギャップに配置されることを特徴とする電流センサ。
【請求項2】
請求項1に記載の電流センサにおいて、
前記コア及び前記基板を収容する筐体を備え、
前記コアを前記筐体に収容した後に前記基板を前記筐体に収容するものであり、
前記基板の回転により当該基板が前記筐体に収容されることを特徴とする電流センサ。
【請求項3】
請求項2に記載の電流センサにおいて、前記筐体と前記基板には、前記基板を配置するときの移動又は回転時に前記コアと前記基板との相対位置を規定するための位置決め部が設けられていることを特徴とする電流センサ。
【請求項4】
請求項3に記載の電流センサにおいて、
前記位置決め部は、
前記コアの周方向に沿うように前記筐体に設けられたガイド溝と、
前記移動時に前記ガイド溝に沿って前記基板を移動させるために前記基板に設けられた突部とからなることを特徴とする電流センサ。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の電流センサにおいて、
前記位置決め部は、
前記回転時に当該基板の回転方向以外の方向への揺動を抑制するために前記基板に設けられた突部又は切欠部と、
前記揺動を抑制するための突部又は切欠部に応じて前記筐体に設けられた溝又は突部とからなることを特徴とする電流センサ。
【請求項6】
請求項3に記載の電流センサにおいて、
前記位置決め部は、
前記コアの周方向に沿うように前記筐体に設けられたガイド溝と、
前記回転時に当該基板の回転方向以外の方向への揺動を抑制するために前記筐体に設けられた溝と、
前記移動時には前記ガイド溝に沿って移動させ、前記回転時には前記揺動を抑制するための溝に沿って回転させるために前記基板に設けられた突部とからなることを特徴とする電流センサ。
【請求項7】
請求項3〜6のいずれか1項に記載の電流センサにおいて、
前記位置決め部は、
前記基板の回転により当該基板が前記筐体に収容されるとき、当該基板が収容される位置を規定するために前記筐体に設けられた突部又は切欠部と、
前記位置を規定するための突部又は切欠部に応じて前記基板に設けられた切欠部又は突部とからなることを特徴とする電流センサ。
【請求項8】
ギャップを有する環状のコアと、前記ギャップに配置された磁気センサと、前記コアが貫通したコイルと、前記磁気センサと前記コイルとが同一面上且つ前記コアの円周と同じ半径の円周上に実装された基板と、前記コア及び前記基板を収容する筐体とを備え、前記コイルの中心軸線方向の長さが前記ギャップの大きさ未満である電流センサの製造方法であって、
前記コアを前記筐体に収容する第1工程と、
前記コイルが前記ギャップに配置されるように前記基板を配置する第2工程と、
前記基板を前記コアの周方向に沿って移動させて、前記コアを前記コイルに貫通させる第3工程と、
前記コイルの中心軸線の周りに前記基板を回転させて、前記磁気センサを前記ギャップに配置する第4工程とを備えることを特徴とする電流センサの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−68490(P2013−68490A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−206654(P2011−206654)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】