説明

電流検出装置

【課題】製品を大型化せずに回路基板のはんだ付け状態を確認することができる電流検出装置を提供すること。
【解決手段】電流検出装置100は、バッテリ200の端子とハーネス300を介して流れる電流の経路上に挿入された抵抗体としてのバスバー110と、バスバー110の通電方向に沿った2箇所の電位差に基づいてバスバー110を流れる電流を検出する電流検出回路が搭載される回路基板120と、回路基板120を収納する凹部132を有するケース130と、凹部132の開口を塞ぐ蓋150とを備える。凹部132の底面から突出した端子が、回路基板120に設けられたスルーホールに通した状態ではんだ付けされる。凹部132の開口と蓋150との係合部と回路基板120の面とが非平行であって、スルーホールを通した端子のはんだ付け部分が回路基板120の側面方向から目視可能に露出している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗用車やトラック等に搭載されてバッテリの充放電電流を検出する電流検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子回路が形成された回路基板(プリント基板)をケース内部に収納し、その後、カバーを組み付けることにより密閉構造を形成するようにした電流検出装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この電流検出装置では、ケース内において突出する接続ピンが回路基板の挿入孔(スルーホール)に挿入された後に接続ピンと回路基板の配線とがはんだ付けされてこれらの間が電気的に接続されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2704483号公報(第3−5頁、図1−12)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、回路基板と接続ピンとを良好に電気的接続するためのはんだ付けでは、はんだがスルーホール内をはんだ付け面から裏面まで移動する「はんだ上がり」現象により、スルーホール内をはんだで満たし、かつ裏面に形成されるランド部にはんだが盛り上がるのが理想である。
【0005】
しかし、はんだ作業条件やフラックス材料の選定などが適切でないと、スルーホールの途中までしかはんだが進入しないはんだ上がり不足が発生することになる。はんだ上がりが不十分な場合には、はんだ付け接合面積不足により、接合部の耐熱疲労特性が低下したり、高振動下での機械的疲労強度が低下する懸念がある。このように、はんだ付け状態は品質面で非常に重要であり、はんだ付け後に外観を検査して良否判定を行うのが一般的である。
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された構造では、回路基板はカバー取り付け面より低い位置に設置されており、また、回路基板とケース内壁との隙間が少ないため、はんだ付け後に、回路基板のカバーとは反対側の面のはんだ上がりの状態を確認することができなかった。また、ケース内面に設けられた基板受け部(図2 11b)を高くするなどして、回路基板面をカバー取り付け面より高い位置に設置することで、はんだ外観を確認する方法もあるが、この場合は製品が大型化してしまう。一方、自動車分野においては、近年、車内空間の確保のためにエンジンルームの縮小が進み、また、乗員の安全確保のための電子装置が増加しており、エンジンルームの過密化が進んでいる。そのため、エンジンルームへの搭載が困難になったり車両の整備性低下を招く製品の大型化は望ましくない。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、製品を大型化せずに回路基板のはんだ付け状態を確認することができる電流検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明の電流検出装置は、バッテリの端子を通してハーネスに流れる電流を検出する電流検出装置であって、バッテリの端子とハーネスを介して流れる電流の経路上に挿入された抵抗体と、抵抗体の通電方向に沿った2箇所の電位差に基づいて抵抗体を流れる電流を検出する電流検出回路が搭載される回路基板と、回路基板を収納する凹部を有するケースと、凹部の開口を塞ぐ蓋とを備え、凹部の底面から突出した端子が、回路基板に設けられたスルーホールに通した状態ではんだ付けされ、凹部の開口と蓋との係合部と回路基板の面とが非平行であって、スルーホールを通した端子のはんだ付け部分が回路基板の側面方向から目視可能に露出している。
【0009】
回路基板の面に対してケースの凹部の開口と蓋との係合部を傾斜させることにより、回路基板の一部を側面方向から目視可能に露出させることができるため、スルーホールを通した端子のはんだ付け状態を容易に確認することができる。また、回路基板の一部のみをケースの凹部から突出させることができ、回路基板の搭載位置を全体的にずらす必要がないため、製品(電流検出装置)が大型化することもない。
【0010】
また、上述した凹部の開口と蓋との係合部は同一平面上に形成されていることが望ましい。これにより、ケースに蓋を組み付ける際に、これらの係合部全体を水平にすることが可能となり、この組み付け作業が容易となる。
【0011】
また、上述した凹部の開口と蓋の係合部は、この係合部を形成する平面と垂直な向きに形成された溝部とこの溝部に係合する凸部とを有することが望ましい。水平に配置可能な係合部に溝部が形成されているため、接着剤の塗布を均一に行うことが可能になり、接着の信頼性を高めることができる。
【0012】
また、上述した端子は、抵抗体から引き出される引き出し線部によって形成されていることが望ましい。バッテリの大電流を流す抵抗体は熱容量が大きいため、この抵抗体から引き出される引き出し線部を端子として用いてはんだ付けを行う場合にはんだ付け不良が発生しやすい。しかし、本発明でははんだ付け状態の確認が容易に行えるため、はんだ付け不良の発生を確実に防止することができる。
【0013】
また、上述した端子は、はんだ付け部分が露出する側の回路基板の端部に形成されていることが望ましい。これにより、はんだ付け状態を目視で確認する場合の見落としをなくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】一実施形態の電流検出装置の平面図である。
【図2】電流検出装置の側面図である。
【図3】電流検出装置の側面図である。
【図4】バスバーの拡大図である。
【図5】電流通電部の平面図である。
【図6】引き出し線部の平面図である。
【図7】電流通電部の斜視図である。
【図8】電流検出装置とバッテリとの位置関係を示す平面図である。
【図9】電流検出装置とバッテリとの位置関係を示す側面図である。
【図10】電流検出装置の平面図である。
【図11】電流検出装置の側面図である。
【図12】電流検出装置の側面図である。
【図13】電流検出装置の回路の具体例とバッテリ等との接続例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を適用した一実施形態の電流検出装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
図1は、一実施形態の電流検出装置の平面図である。また、図2は電流検出装置の側面図であって、図1において下方向から見た形状が示されている。図3は、電流検出装置の側面図であって、図1において右方向から見た形状が示されている。
【0017】
本実施形態の電流検出装置100は、導電性材料を用いて形成される抵抗体(シャント抵抗)としてのバスバー110と、バスバー110の通電方向に沿った2箇所の電位差に基づいてバスバー110を流れる電流を検出する電流検出回路が搭載された回路基板120と、バスバー110と回路基板120を収納するケース130と、回路基板120との間で電気的な接続が行われる複数のコネクタターミナルが内部に露出したコネクタ140と、回路基板120が収納されるケース130の凹部の開口をふさぐ蓋150とを備えている。
【0018】
バスバー110は、ケース130内で2回折り返された形状を有しており、一方の端部がバッテリ200側の配線に固定されて電気的な接続が行われる第1の固定部112を形成し、他方の端部がハーネスが固定されて電気的な接続が行われる第2の固定部114を形成している。これらの第1の固定部112と第2の固定部114は、同一平面上に、すなわち、それぞれの上面の高さが同じ位置となるように設けられている。
【0019】
図4は、バスバー110の拡大図であり、図1等に示した電流検出装置100からバスバー110のみが抜き出されている。バスバー110は、第1の固定部112と第2の固定部114を通して流れる電流の経路となる電流通電部110Aと、電流通電部110Aの2箇所から電位差を取り出す引き出し線部110Bとを有する。図5は、電流通電部110Aの平面図である。図6は、引き出し線部110Bの平面図である。また、図7は電流通電部110Aの部分的な斜視図である。本実施形態では、第1の固定部112、第2の固定部114および電流通電部110Aはバッテリ200の上面に配置され、回路基板120はバッテリ200の側面に配置されている。そして、電流通電部110Aと回路基板120との間が引き出し線部110Bを介して接続されている。
【0020】
電流通電部110Aは、直線状の板状部材をバッテリ200の上面と垂直な向きに折り返すことにより形成されている。具体的には、電流通電部110Aは、第1の固定部112に接続された第1の導体110A1と、この第1の導体110A1の端部を折り返すことにより形成された第2の導体110A2と、この第2の導体110A2の端部を折り返すことにより形成されてこの折り返し部分と反対側の端部が第2の固定部114に接続された第3の導体110A3とを備えている。望ましくは、電流通電部110Aは、第1の導体110A1と第2の導体110A2を互いに延在方向がずれる向き(図4に示す例では、それぞれの長手方向が垂直となる向き)に折り曲げる第1の折り返し110C1と、第2の導体110A2と第3の導体110A3を互いに延在方向が重なる向き(それぞれの長手方向が平行となる向き)に折り曲げる第2の折り返し110C2とを含んでいる。
【0021】
また、引き出し線部110Bは、電流通電部110Aを回路基板120に接続するために用いられる。上述した電流通電部110Aと引き出し線部110Bとは別部材で構成されており(図5、図6)、引き出し線部110Bが電流通電部110Aに溶接されて機械的な固定と電気的な接続が行われる。また、図6に示すように、引き出し線部110Bは、連結部110B3を介して互いに連結されて一体化された2本の引き出し導体110B1、110B2を含んでいる。引き出し線部110Bは、電流通電部110Aに溶接するまで、2本の引き出し導体110B1、110B2が連結部110B3を介して連結して一体化した状態に維持される。そして、溶接後は、連結部110B3が切断される。
【0022】
一方の引き出し導体110B1の端部の溶接は、第1の導体110A1の一の角部aにおいてこの第1の導体110A1の内側の面(図4において第1の導体110A1の裏側(下側)の面)に対して行われる。また、他方の引き出し導体110B2の端部の溶接は、第3の導体110A3の一の角部bにおいてこの第3の導体110A3の内側の面(図4において第3の導体110A3の表側(上側)の面)に対して行われる。
【0023】
また、2本の引き出し導体110B1、110B2のそれぞれは、角部a、bから回路基板120が配置されるバッテリ200の側面に向かって引き出された後、この側面に平行な向きに引き回され、さらに角部a、bから引き出された部分と同方向に引き回されている。この中で、バッテリ200の側面に平行な向きに引き回された部分の長さを変更することにより、ケース130において回路基板120を収納した部分の位置をバッテリ200の側面方向に沿ってずらすことが可能となる。しかも、このような変更を行った場合であっても、2本の引き出し導体110B1、110B2を溶接する角部a、bの位置は変更する必要がないため、角部a、b間における電位差と電流値との関係に影響を与えず、電流検出回路の変更も不要となる。
【0024】
図8は、電流検出装置100とバッテリ200との位置関係を示す平面図であり、バッテリ200に電流検出装置100が搭載され、さらにハーネス300の端子302が取り付けられた状態が示されている。また、図9は電流検出装置100とバッテリ200との位置関係を示す側面図である。これらの図に示すように、バッテリ200のマイナス側端子202には、電流検出装置100を取り付けるとともにマイナス側端子202と第1の固定部112との間の配線を兼ねる取付金具210が取り付けられている。この取付金具210の端部には、上向きにボルト211が突出している。本実施形態では、第1の固定部112に設けられた貫通穴112A(図1)に、取付金具210のボルト211を挿入して固定部112をナット212で締め付けることにより、取付金具210への第1の固定部112の固定が行われる。
【0025】
また、第2の固定部114には貫通穴が設けられており、この貫通穴にボルト115が挿入されている。一方、この第2の固定部114に電気的に接続されるハーネス300の端部には貫通穴を有する端子302が設けられており、この端子302の貫通穴に第2の固定部114に設けられたボルト115を挿入して端子302をナット303で締め付けることにより、第2の固定部114への端子302の固定が行われる。
【0026】
また、本実施形態では、ケース130は絶縁性および熱伝導性が良好な樹脂材料、例えばPPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂によって形成されており、第1の固定部112あるいは第2の固定部114として外部に露出する部分を除くバスバー110の全体(あるいは大部分)がこの樹脂材料によってインサート成型されている。
【0027】
ところで、上述したように、2箇所で折り返された複雑な形状を有するバスバー110においては、離間して配置される2箇所の角部a、bからこれらの角部a、b間の電位差を検出するための2本の引き出し導体110B1、110B2が回路基板120側に延びている。一方の引き出し導体110B1は、その先端が電流検出端子c1として用いられる。また、他方の引き出し導体110B2は、その先端が2つに分岐しており、その一方端がセンシング用グランド端子c2として、他方端が回路用グランド端子c3として用いられる。センシング用グランド端子c2とは別に回路用グランド端子c3を設けるのは、回路基板120に搭載された各種回路の動作時にセンシング用グランド端子c2の電位の変動を極力抑制するためであるが、電位の変動が少ない場合などにおいては回路用グランド端子c3を省略するようにしてもよい。バスバー110から延びる3本の端子(電流検出端子c1、センシング用グランド端子c2、回路用グランド端子c3)は、回路基板120に設けられたスルーホールに通した状態ではんだ付けされており、これにより回路基板120内の電流検出回路に電気的に接続されている。
【0028】
一般に、バッテリ200の大電流を流すバスバー110は熱容量が大きいため、このバスバー110の電流通電部110Aから引き出される引き出し線部110Bの先端を端子として用いてはんだ付けを行うと、加熱が不十分な場合にははんだ上がりが不十分になってはんだ付け不良が発生するおそれがある。本実施形態では、このようなはんだ付け不良の発生の有無を容易に検査できるように、はんだ付け状態を目視で確認できる工夫がなされている。
【0029】
図10は、電流検出装置100の平面図であって、蓋150が取り除かれた状態が示されている。また、図11は電流検出装置の側面図であって、図10において下方向から見た形状が示されている。図12は、電流検出装置の側面図であって、図10において右方向から見た形状が示されている。
【0030】
図10に示すように、回路基板120を収納するために設けられたケース130の凹部132の底面には、バスバー110から延びる3本の端子(電流検出端子c1、センシング用グランド端子c2、回路用グランド端子c3)が突出している。これらの端子は、回路基板120に設けられたスルーホールに通された後、反挿入側(端子の先端側)からはんだ付けされる。また、これらの端子c1、c2、c3の位置は、回路基板120の端部(図12において回路基板120の上端近傍)に設定されている。
【0031】
また、凹部132の開口と蓋150との係合部(凹部132の開口端部)134は、同一平面上であって、回路基板120の面と非平行となるように形状が設定されている。すなわち、図11に示すように、この係合部134を傾斜させることにより、蓋150をとった状態では、凹部132の側面が低くなった部分から回路基板120の一部が外部に露出するようになっている。そして、この露出した部分において、回路基板120の側面方向であって、端子c1、c2、c3がはんだ付け部分が配置された側から目視することにより、回路基板120の表裏におけるこれらのはんだ付け部分の状態を容易に確認することができるようになっている。
【0032】
また、図12に示すように、係合部134には、この係合部134の面と垂直な向きに全周にわたって溝部134Aが形成されている。蓋150の対応する位置には凸部(図示せず)が形成されており、これらの溝部134Aと凸部とが対応するように凹部132に蓋150が取り付けられる。この蓋150の取り付けは、凹部132側の係合部134の面が水平になるように電流検出装置100を傾斜させて行われる。その際、溝部134A内部には接着剤が塗布され、蓋150がケース130に接着により固定される。なお、ケース130側の係合部134に凸部を設け、蓋150側に溝部を設けるようにしたり、溝部や凸部を用いずに接着するなどの変形例が考えられる。
【0033】
図13は、電流検出装置100の回路の具体例とバッテリ200等との接続例を示す図である。図13に示すように、電流検出装置100の回路基板120には、バスバー110の一部によって形成される抵抗体としてのシャント抵抗100’の両端に接続された差動増幅器10、バッテリ200のプラス端子とマイナス端子に接続された差動増幅器12、温度検出部20、電流検出処理部30、電圧検出処理部32、温度検出処理部34、バッテリ状態検知部36、充電制御部40、通信入出力部(通信I/O)50、52、CANプロトコルにしたがったデータの送受信を行うCANインタフェース(CAN I/F)60、LINプロトコルにしたがったデータの送受信を行うLINインタフェース(LIN I/F)62とが備わっている。一方の差動増幅器10は、シャント抵抗100’の両端電圧を増幅し、電流検出処理部30は、この差動増幅器10の出力電圧に基づいてシャント抵抗100’に流れる電流を検出する。差動増幅器10と電流検出処理部30によって電流検出回路が構成されている。他方の差動増幅器12は、バッテリ200の両端電圧(バッテリ電圧)を適正レベルに変換し、電圧検出処理部32は、この差動増幅器12の出力電圧に基づいてバッテリ電圧を検出する。温度検出部20は、抵抗とサーミスタによる分圧回路によって構成されており、温度に応じてサーミスタの抵抗値が変化して分圧回路の分圧電圧が変化する。温度検出処理部34は、温度検出部20の出力電圧(分圧電圧)に基づいて電流検出装置100の温度(バッテリ200の温度)を検出する。バッテリ状態検知部36は、電流検出処理部30、電圧検出処理部32、温度検出処理部34の各検出値を取り込んでバッテリ状態信号を生成する。電流検出処理部30、電圧検出処理部32、温度検出処理部34、バッテリ状態検知部36によって状態検知センサ38が構成されている。充電制御部40は、バッテリ状態検知部36によって生成されたバッテリ状態信号に基づいて車両用発電機(G)80の発電状態を制御する。この発電制御は、通信入出力部52、LINインタフェース62を介して、車両用発電機80に搭載された発電制御装置82に指示を送ることにより行われる。また、バッテリ状態検知部36によって生成されたバッテリ状態信号は、通信入出力部50、CANインタフェース60を介して車両システム70に送られる。車両システム70は、受信したバッテリ状態信号等に基づいてエンジンや各種電気負荷に対する統合的な制御を行う。
【0034】
このように、本実施形態の電流検出装置100では、回路基板120の面に対してケース130の凹部132の開口と蓋150との係合部134を傾斜させることにより、回路基板120の一部を側面方向から目視可能に露出させることができるため、スルーホールを通した電流検出端子c1等のはんだ付け状態を容易に確認することができる。また、回路基板120の一部のみをケース130の凹部132から突出させることができ、回路基板120の搭載位置を全体的にずらす必要がないため、製品(電流検出装置)が大型化することもない。
【0035】
また、凹部132の開口と蓋150との係合部134は同一平面上に形成されているため、ケース130に蓋150を組み付ける際に、これらの係合部134全体を水平にすることが可能となり、この組み付け作業が容易となる。
【0036】
また、凹部132の開口と蓋150の係合部134には、この係合部134を形成する平面と垂直な向きに形成された溝部134Aと凸部とが形成されており、水平に配置可能な係合部134に溝部等を形成することにより、接着剤の塗布を均一に行うことが可能になり、接着の信頼性を高めることができる。
【0037】
また、バッテリ200の大電流を流すバスバー110は熱容量が大きいため、このバスバー110の電流通電部110Aから引き出される引き出し線部110Bを端子として用いてはんだ付けを行う場合にはんだ付け不良が発生しやすいが、本発明でははんだ付け状態の確認が容易に行えるため、はんだ付け不良の発生を確実に防止することができる。
【0038】
また、電流検出端子c1、センシング用グランド端子c2、回路用グランド端子c3のそれぞれを、はんだ付け部分が露出する側の回路基板120の端部に形成することにより、はんだ付け状態を目視で確認する場合の見落としをなくすることができる。
【0039】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。上述した実施形態では、バスバー110と抵抗体が一体になっている場合について説明したが、バスバー110と別体の抵抗体を用いるようにしてもよい。
【0040】
また、上述した実施形態では、電流検出装置100をバッテリ200のマイナス側端子202に取り付ける際に取付金具210を介したが、電流検出装置100の第1の固定部112を長くする等の変形を行って電流検出装置100を直接マイナス側端子202に取り付けるようにしてもよい。
【0041】
また、上述した実施形態では、バスバー110の電流通電部110Aを、直線状の板状部材を2回折り返すことにより形成したが、非直線状の板状部材を用いたり、折り返し回数を1回または3回以上、あるいは1回も折り返さずに形成するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0042】
上述したように、本発明によれば、回路基板120の面に対してケース130の凹部132の開口と蓋150との係合部134を傾斜させることにより、回路基板120の一部を側面方向から目視可能に露出させることができるため、スルーホールを通した電流検出端子c1等のはんだ付け状態を容易に確認することができる。
【符号の説明】
【0043】
100 電流検出装置
110 バスバー
110A 電流通電部
110A1 第1の導体
110A2 第2の導体
110A3 第3の導体
110B 引き出し線部
110B1、110B2 引き出し導体
110B3 連結部
112 第1の固定部
112A 貫通穴
114 第2の固定部
120 回路基板
130 ケース
132 凹部
134 係合部
140 コネクタ
150 蓋
200 バッテリ
300 ハーネス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリの端子を通してハーネスに流れる電流を検出する電流検出装置であって、
前記バッテリの端子と前記ハーネスを介して流れる電流の経路上に挿入された抵抗体と、
前記抵抗体の通電方向に沿った2箇所の電位差に基づいて前記抵抗体を流れる電流を検出する電流検出回路が搭載される回路基板と、
前記回路基板を収納する凹部を有するケースと、
前記凹部の開口を塞ぐ蓋と、
を備え、前記凹部の底面から突出した端子が、前記回路基板に設けられたスルーホールに通した状態ではんだ付けされ、
前記凹部の開口と前記蓋との係合部と前記回路基板の面とが非平行であって、前記スルーホールを通した前記端子のはんだ付け部分が前記回路基板の側面方向から目視可能に露出していることを特徴とする電流検出装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記凹部の開口と前記蓋との係合部は同一平面上に形成されていることを特徴とする電流検出装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記凹部の開口と前記蓋の係合部は、この係合部を形成する平面と垂直な向きに形成された溝部とこの溝部に係合する凸部とを有することを特徴とする電流検出装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかにおいて、
前記端子は、前記抵抗体から引き出される引き出し線部によって形成されていることを特徴とする電流検出装置。
【請求項5】
請求項1〜4において、
前記端子は、前記はんだ付け部分が露出する側の前記回路基板の端部に形成されていることを特徴とする電流検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−96782(P2013−96782A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238471(P2011−238471)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】