電源の特性の決定を可能にする情報を取得する方法
本発明は、電源の最大電力点のような特性の決定を可能にする情報を取得する装置に関する。当該電源の特性の決定を可能にする情報を取得する装置は、電源の特性の決定を可能にする情報を取得するために電源に接続されるインダクタ上の電圧を監視する手段を備えることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包括的には、太陽電池若しくは太陽電池のアレイ又は燃料電池のような電源の最大電力点のような特性の決定を可能にする情報を取得する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池は、太陽エネルギーを電気エネルギーに直接変換する。太陽電池によって生成される電気エネルギーを経時的に抽出し、電力の形態で使用することができる。太陽電池によって提供される直流電力は、DC−DCアップ/ダウンコンバータ回路及び/又はDC/ACインバータ回路のような変換デバイスに供給される。
【0003】
しかしながら、太陽電池の電流−電圧垂下特性(current-voltage droop characteristics)により、出力電力は太陽電池から引き出される電流とともに非線形に変化する。電力−電圧曲線は、光照射レベルや動作温度のような気候変動に従って変化する。
【0004】
太陽電池又は太陽電池のアレイを動作させる準最適点は、電力が最大となる電流−電圧曲線の領域又はその近傍である。この点は、最大電力点(MPP:Maximum Power Point)と称される。
【0005】
太陽電池をMPPの周辺で動作させて、それらの発電効率を最適化することが重要である。
【0006】
電力−電圧曲線が気候変動に従って変化する際、MPPもまた気候変動に従って変化する。
【0007】
そのため、常にMPPを特定することができる必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、MPPを決定するために、例えば太陽電池セルのアレイである電源の出力電流変動及び出力電圧変動を表す情報を取得することを可能にする装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的のために、本発明は、電源の最大電力点のような特性の決定を可能にする情報を取得する装置に関する。当該電源の特性の決定を可能にする情報を取得する装置は、電源の特性の決定を可能にする情報を取得するために電源に接続されるインダクタ上の電圧を監視する手段を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、直流コンバータに接続可能な電源の最大電力点のような特性の決定を可能にする情報を取得する方法にも関する。当該方法は、電源の特性の決定を可能にする情報を取得するために電源に接続されるインダクタ上の電圧を監視するステップを含むことを特徴とする。
【0011】
これにより、例えば、MPPを決定するために、或いは電源の障害を判断するために、或いは電源のフィルファクターを求めるために、電源の出力電流変動及び出力電圧変動を表す情報を取得することができる。
【0012】
特定の特徴によれば、インダクタは、直流コンバータ内に含まれる。
【0013】
大部分のDC/DCコンバータ及び/又は幾つかのDC/ACコンバータでは、インダクタは変換目的ですでに利用可能である。このインダクタを、少なくとも1つの特定の期間中に電圧変動及び電流変動を監視するために用いることができる。監視される電圧変動及び電流変動により、常に電源の所望の電圧−電流/電圧−電力垂下特性のような情報を取得することが可能になる。本発明は、上述のインダクタベースのコンバータに対して他のいかなる余分のインダクタも追加することを回避する。
【0014】
特定の特徴によれば、装置は、インダクタ上の電圧の監視中に当該インダクタを通って流れる電流を取得する手段を備える。
【0015】
これにより、電源の出力電流及び出力電圧は、インダクタを通って流れる電流及びインダクタに印加される電圧と同じであるので、その電圧−電流/電圧−電力垂下特性を取得することができる。
【0016】
特定の特徴によれば、インダクタを通って流れる電流は、電流センサから取得されるか、又は当該インダクタ上の電圧を監視している間に得られる電圧値から導出される。
【0017】
これにより、任意の余分な電流センサを追加しなくても、電流を監視することができ、装置のコストを削減することができる。
【0018】
さらに、電流センサを利用できない場合には、インダクタを通る電流はその電圧を積分することによって取得されるので、キャパシタ上の電流を計算するために行われるような雑音問題を解決するために高度なアルゴリズムを適用しなければならない微分計算とは異なり、雑音変動が電流推定の精度を乱すことはなく、結果として、最大電力点が更に良好に推定される。
【0019】
特定の特徴によれば、装置は、インダクタ上の電圧を監視する前に当該インダクタ内に蓄積されたエネルギーを放電する手段を備える。
【0020】
これにより、電源の特徴付けに最も適した初期条件:電源におけるゼロ電流及び開回路電圧を保証することができる。
【0021】
特定の特徴によれば、第1フェーズにおいて、インダクタを通じて負荷に電流が供給され、第2フェーズにおいて、インダクタ内に蓄積されたエネルギーの放電が実行され、第3フェーズにおいて、インダクタの電圧の監視が実行され、電源の第1の端子がインダクタの第1の端子に接続されると共に、インダクタの第2の端子が電源の第2の端子に接続される。
【0022】
これにより、インダクタは電源と並列に接続され、ゼロ電流から電源短絡電流までインダクタを充電することができ、これは開回路電圧からゼロ電圧までを意味する。電源の全体的な電圧−電流/電圧−電源垂下特性が取得される。
【0023】
特定の特徴によれば、インダクタの第2の端子は負荷に接続され、インダクタの電圧を監視する前に当該インダクタ内に蓄積されたエネルギーは、負荷において放電される。
【0024】
これにより、特徴付けが行われる際に、負荷をインダクタと並列に接続することによって、インダクタを通る電流がゼロであるという初期条件を得ることができる。
【0025】
さらに、インダクタの電圧を監視する前に当該インダクタに蓄積されたエネルギーは、抵抗器を通じて散逸される代わりに負荷において放電されるので、結果として非散逸的な手順となる。
【0026】
特定の特徴によれば、装置は、キャパシタ及び少なくとも2つのスイッチを更に備え、電源の第2の端子は、第1のスイッチの第1の端子に接続され、第1のスイッチの第2の端子は、キャパシタの第1の端子に接続され、キャパシタの第2の端子は、電源の第1の端子に接続され、電源の第1の端子は、第2のスイッチを介してインダクタの第1の端子に接続され、第2のスイッチは、第2フェーズの間は開いている。
【0027】
これにより、電源と並列に接続されるキャパシタが存在する場合であっても、特徴付けを行う必要があるときに、インダクタのみを電源と並列に接続することができる。
【0028】
特定の特徴によれば、第1のスイッチは、第1フェーズの間は閉じられ、第3フェーズの間は開かれる。
【0029】
これにより、コンバータの通常の動作中は、キャパシタは入力フィルタとして働くが、第3フェーズの間、すなわちインダクタを用いた特徴付けの間は、キャパシタは接続解除され、その期間には何の役割も果たさない。
【0030】
特定の特徴によれば、装置は、インダクタの第2の端子を電源の第2の端子に接続する第3のスイッチを更に備え、第3のスイッチは、第3フェーズの間は閉じられる。
【0031】
これにより、特徴付けを行う際に、インダクタは第3フェーズの間のみ電源と並列に配置される。
【0032】
特定の特徴によれば、電源の端子にキャパシタが接続され、装置は、インダクタ上の電圧の監視中にキャパシタを通って流れる電流を取得する手段を備える。
【0033】
これにより、電源と常に並列に接続されるキャパシタが存在する場合であっても、電源出力電流はキャパシタを通る電流とインダクタを通って流れる電流とを合わせた電流から生じるので、電源出力電流を取得することができる。キャパシタと直列な追加のスイッチはもはや不要であり、装置のコストは増加しない。
【0034】
特定の特徴によれば、インダクタを通って流れる電流は、当該インダクタ上の電圧の監視中に得られる電圧値から取得される。
【0035】
これにより、例えばコストを下げるためにインダクタと直列な電流センサが利用できない場合には、測定されたインダクタ電圧を積分し、その値をインダクタンス値で除算することによって、電流を取得することができる。
【0036】
特定の特徴によれば、第1フェーズにおいて、インダクタを通じて負荷に電流が供給され、第2フェーズにおいて、キャパシタが電源の開回路電圧まで充電され、第3フェーズにおいて、インダクタの電圧の監視が実行され、電源の第1の端子がインダクタの第1の端子に接続されると共に、インダクタの第2の端子が電源の第2の端子に接続される。
【0037】
第3フェーズにおいて、キャパシタ電圧は開回路電圧からゼロ値に移行し、その間、正弦曲線の軌跡に従って、電源の出力電流はゼロ値から短絡電流に移行し、インダクタ電流はゼロ電流から最大電流ピークに移行し、この最大電流値はキャパシタとインダクタとの間の共振から生じる電源短絡電流よりも大きい。
【0038】
監視される電圧から、電圧を微分することによってキャパシタ電流を取得し、また電圧を積分することによってインダクタ電流を取得することができ、キャパシタンス値及びインダクタンス値も必要とされる。両方の構成要素のそれぞれの電流を知ることによって、電圧変動とともに電源出力電流変動が取得される。
【0039】
また、本発明は、電源の最大電力点の決定を可能にする情報を取得する装置を備えることを特徴とする直流コンバータにも関する。
【0040】
これにより、例えば、MPPを決定するために、電源の出力電流変動及び出力電圧変動を表す情報を取得することができる。
【0041】
さらに、大部分のDC/DCコンバータ及び/又は幾つかのDC/ACコンバータでは、インダクタは変換目的ですでに利用可能である。インダクタを、少なくとも1つの特定の期間中に電圧変動及び電流変動を監視するために用いることができる。監視される電圧変動及び電流変動により、常に電源の所望の電圧−電流/電圧−電力垂下特性のような情報を取得することが可能になる。本発明は、上述のインダクタベースのコンバータに対して他のいかなる余分のインダクタも追加することを回避する。
【0042】
本発明の特徴は、実施形態例の以下の説明を読むことからより明確になる。当該説明は、添付図面を参照して行われる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明を実施することができるエネルギー変換システムの一例の図である。
【図2】電源の出力電圧による電源の出力電流の変動を表す曲線の一例の図である。
【図3】本発明によるエネルギー変換デバイスの一例を表す図である。
【図4】電源の最大電力点の決定を可能にする情報を取得するための、本発明の第1の実現形態によるインダクタを含む電気回路の一例の図である。
【図5】電源の最大電力点の決定を可能にする情報を取得するための、本発明の第2の実現形態によるインダクタを含む電気回路の一例の図である。
【図6】本発明の第2の実現形態による電気回路のスイッチの特定の実現形態を開示する一例の図である。
【図7a】本発明の第2の実現形態による電源の最大電力点を決定するために用いられるアルゴリズムの例を示す図である。
【図7b】本発明の第2の実現形態による電源の最大電力点を決定するために用いられるアルゴリズムの例を示す図である。
【図8】(a)は、本発明の第2の実現形態によって取得される電源電圧変動の一例の図である。(b)は、本発明の第2の実現形態によって取得される電源電流変動の一例の図である。(c)は、本発明の第2の実現形態によるエネルギー変換デバイスの出力電圧変動の一例の図である。(d)は、本発明の第2の実現形態によるインダクタ内の電流変動の一例の図である。
【図9】電源の最大電力点の決定を可能にする情報を取得するための、本発明の第3の実現形態によるインダクタを含む電気回路の一例の図である。
【図10】本発明の第3の実現形態による電源の最大電力点を決定するためのアルゴリズムの一例の図である。
【図11】(a)は、本発明の第3の実現形態によって取得される電源電圧変動の一例の図である。(b)は、本発明の第3の実現形態によって取得される電源電流変動の一例の図である。(c)は、本発明の第3の実現形態によるエネルギー変換デバイスの出力電圧変動の一例の図である。
【図12】本発明の第3の実現形態による、電源の最大電力点の決定を可能にするために電源の出力電流及び出力電圧を求めるためのアルゴリズムの一例の図である。
【図13】(a)は、本発明の第1の実現形態によって取得される電源電圧変動の一例の図である。(b)は、本発明の第1の実現形態によって取得される電源電流変動の一例の図である。(c)は、本発明の第1の実現形態によるインダクタ上の電圧変動の一例の図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1は、本発明を実施することができるエネルギー変換システムの一例である。
【0045】
エネルギー変換システムは、太陽電池又は太陽電池のアレイ又は燃料電池のような電源PVを含む。電源PVの出力は、DC−DCステップダウン/ステップアップコンバータ及び/又はインバータとも呼ばれるDC/ACコンバータのようなエネルギー変換デバイスConvに接続されている。エネルギー変換デバイスConvは、負荷Loに電気エネルギーを供給する。
【0046】
電源PVは負荷Loに電流を供給する。電流は負荷Loによって使用される前に変換デバイスConvによって変換される。
【0047】
図2は、電源の出力電圧に対する出力電流の変動を表す曲線の一例である。
【0048】
図2の横軸には電圧値が示されている。電圧値は0値と開回路電圧VOCとの間にある。
【0049】
図2の縦軸には電流値が示されている。電流値は0値と短絡電流ISCとの間にある。
【0050】
任意の所与の光レベル及び太陽電池アレイ温度に対して、太陽電池アレイが動作可能な無限個の電流−電圧のペア、すなわち動作点が存在する。しかしながら、所与の光レベル及び太陽電池アレイ温度に対して存在するMPPは、唯一つである。
【0051】
図3は、本発明によるエネルギー変換デバイスの一例を表す。
【0052】
エネルギー変換デバイスConvは、例えば、バス301によって互いに接続されるコンポーネントと、図7又は図10及び図12に開示するようなアルゴリズムに関連するプログラムによって制御されるプロセッサ300とに基づくアーキテクチャを有している。
【0053】
ここで、プロセッサ300は、一変形では、後に開示するようなプロセッサ300によって実行されるものと同じ動作を実行する、1つ又は幾つかの専用集積回路の形態で実装されることに留意されたい。
【0054】
バス301は、プロセッサ300を、リードオンリーメモリROM302、ランダムアクセスメモリRAM303、アナログ/ディジタルコンバータADC306、及び本発明による電気回路に接続する。
【0055】
リードオンリーメモリROM302は、図7又は図10及び図12に開示するようなアルゴリズムに関連するプログラムの命令を含み、当該命令はエネルギー変換デバイスConvに電源が投入されるとランダムアクセスメモリRAM303に転送される、
【0056】
RAMメモリ303は、変数を受け取るように意図されたレジスタと、図7又は図10及び図12に開示するようなアルゴリズムに関連するプログラムの命令とを含む。
【0057】
アナログ/ディジタルコンバータ306は、電力段305を形成する本発明による電気回路305に接続され、必要な場合に電圧及び電流を2値情報に変換する。
【0058】
図4は、電源の最大電力点の決定を可能にする情報を取得するための、本発明の第1の実現形態によるインダクタを含む電気回路の一例である。
【0059】
この電気回路は、その一部又は全体を変換デバイスConv内に含めることもできるし、或いは変換デバイスConvに追加することもできる。
【0060】
電源PVの正端子は、スイッチSW1の第1の端子と、スイッチSW3の第1の端子とに接続されている。
【0061】
例えば、スイッチSW1とSW3はNMOSFETである。スイッチSW1とSW3の第1の端子は、各NMOSFETのドレインである。
【0062】
スイッチSW1の第2の端子は、インダクタLU1の第1の端子と、抵抗器RDISの第1の端子とに接続されている。
【0063】
スイッチSW1の第2の端子は、NMOSFETのソースである。抵抗器RDISの第2の端子は、スイッチSW2の第1の端子に接続されている。
【0064】
例えば、スイッチSW2はダイオードである。スイッチSW2の第1の端子はダイオードのカソードであり、スイッチSW2の第2の端子はダイオードのアノードである。
【0065】
インダクタLU1の第2の端子とスイッチSW2の第2の端子は、電源PVの負端子に接続されている。
【0066】
電源の端子間の電圧V1が監視される。電圧V1は、例えばアナログ/ディジタルコンバータを用いて測定される。
【0067】
負荷は、スイッチSW3の第2の端子と電源PVの負端子との間に接続される。
【0068】
スイッチSW3の第2の端子は、NMOSFETのソースである。
【0069】
負荷は直流コンバータとすることもできる。
【0070】
この電気回路は、以下のように動作することができる。
【0071】
図13に示されるような第1フェーズPH1’’において、スイッチSW1とSW2は非導通状態(オフ)であり、スイッチSW3は常に導通状態(オン)である。
【0072】
図13(a)は、本発明の第1の実現形態に従って取得される電源電圧変動の一例である。
【0073】
図13(a)の横軸には時間が表示され、図13(a)の縦軸には電圧が表示されている。
【0074】
図13(b)は、本発明の第1の実現形態に従って取得される電源電流変動の一例である。
【0075】
図13(b)の横軸には時間が表示され、図13(b)の縦軸には電流が表示されている。
【0076】
図13(c)は、本発明の第1の実現形態によるインダクタ上の電圧変動の一例である。
【0077】
図13(c)の横軸には時間が表示され、図13(c)の縦軸には電圧が表示されている。
【0078】
図13(a)、図13(b)、及び図13(c)に示されるように、フェーズPH1’’において、電源は負荷に電力を供給する。負荷は抵抗性負荷又は直流コンバータとすることができる。
【0079】
電源の特徴付けを行う時間になると、第2フェーズPH2’’が開始される。
【0080】
フェーズPH2’’において、スイッチSW3とSW2は非導通状態であり、スイッチSW1は導通状態である。この構成において、電源の出力電流は、インダクタLU1を通って流れ、図13(b)に示されるようにゼロから短絡電流まで増加する。一方、電源の出力電圧は、図13(a)及び図13(c)に示されるように開回路電圧値からゼロ値まで移行する。
【0081】
第3フェーズPH3’’の間、スイッチSW1は非導通状態であり、SW2は導通状態である。インダクタLU1は抵抗器RDISを通じて放電されるので、図13(c)に示されるようにゼロ値に移行する電圧値に追従してインダクタ電流もゼロ値に移行し、この時点において別の特徴付けのための準備ができる。
【0082】
第4フェーズPH4’’の間、SW3は再び導通状態に切り替わることができ、電源PVは負荷に電力を供給することができ、その間、インダクタLU1はRDISを通じて放電されたままにされる。第4フェーズPH4’’は、インダクタLU1が放電される際に始まってもよく、それは両方の動作が同時に行われること、すなわち、電源が既に負荷に電力を供給している間にインダクタが抵抗器を通じて放電されることを意味する。
【0083】
第2フェーズPH2’’の間、インダクタンス値は既知であると仮定して、インダクタLU1を通る電流を取得するために、電圧V1がサンプリングされて積分される。
【0084】
このようにして、電源の全体的な電圧−電流/電圧−電力垂下特性が取得される。
【0085】
第1の実現形態は、第4フェーズPH4’’がインダクタLU1の放電と同時に開始される場合には特に、ほとんど時間がかからないという利点を有する。さらに、太陽電池セルのアレイは通常、電流範囲よりも広い電圧範囲を有している。これは、電流と電圧の両方の成分値が同じ範囲内にあると仮定すると、変数(インダクタの場合の電流、又はキャパシタの場合の電圧)の勾配が、キャパシタの場合よりもインダクタの場合の方がはるかに急峻であることを意味している。
【0086】
図5は、電源の最大電力点の決定を可能にする情報を取得するための、本発明の第2の実現形態によるインダクタを含む電気回路の一例である。
【0087】
この電気回路は、従来の降圧−昇圧コンバータで行われるように出力電圧の極性を反転させることなく、スイッチの状態に従って、降圧モード(ステップダウンモード)又は昇圧モード(ステップアップモード)で動作可能な降圧/昇圧併合コンバータである。
【0088】
本発明の第2の実現形態による電気回路は、入力フィルタキャパシタCUIを備えており、その正端子は電源PVの正端子に接続されている。キャパシタCUIの負端子はスイッチSW10の第1の端子に接続され、スイッチの第2の端子は電源PVの負端子に接続されている。電圧測定手段は、電源PVの端子間の電圧V1を測定する。
【0089】
キャパシタCUIの正端子は、スイッチSW14の第1の端子に接続されている。
【0090】
スイッチSW14の第2の端子は、スイッチSW12の第1の端子とインダクタL1の第1の端子に接続されている。
【0091】
スイッチSW12の第2の端子は、電源PVの負端子に接続されている。
【0092】
インダクタL1の第2の端子は、電流測定手段の第1の端子に接続されている。
【0093】
電流測定手段Aの第2の端子は、ダイオードDOのアノードとスイッチSW13の第1の端子に接続されている。スイッチSW13の第2の端子は、電源PVの負端子に接続されている。
【0094】
ダイオードDOのカソードは、キャパシタCOの正端子に接続され、キャパシタCOの負端子は、電源PVの負端子に接続されている。
【0095】
降圧/昇圧併合コンバータが降圧モードで動作するとき、スイッチSW13は常にOFF状態であり、ダイオードDOは常に導通状態である。
【0096】
スイッチSW14は、所望の出力電圧を得るために、デューティサイクルが調整された周期的パターンに従って導通状態になる。
【0097】
降圧/昇圧併合コンバータが昇圧モードで動作するとき、スイッチSW14は常に導通状態であり、スイッチSW12は決して導通状態にならない。
【0098】
スイッチSW13は、所望の出力電圧を得るために、デューティサイクルが調整された周期的パターンに従って導通状態になる。
【0099】
図6は、本発明の第2の実現形態による電気回路のスイッチの特定の実現形態を開示する一例である。
【0100】
図5のスイッチSW10は、2つのNMOSFET M1とM2から構成されている。
【0101】
スイッチSW10の第1の端子は、NMOSFET M1のソースである。スイッチSW10の第2の端子は、NMOSFET M2のソースである。NMOSFET M1とM2のドレインは互いに接続されている。
【0102】
図5のスイッチSW14は、例えばIGBTトランジスタIG1である。スイッチSW14の第1の端子は、IGBTトランジスタIG1のコレクタである。IGBTトランジスタIG1のエミッタは、スイッチSW14の第2の端子である。
【0103】
図5のスイッチSW12は、ダイオードD5である。スイッチSW12の第1の端子は、ダイオードD5のカソードであり、スイッチSW12の第2の端子は、ダイオードD5のアノードである。
【0104】
図5のスイッチSW13は、NMOSFET M3である。スイッチSW13の第1の端子は、NMOSFET M3のドレインである。スイッチSW13の第2の端子は、NMOSFET M3のソースである。
【0105】
図7a及び図7bは、本発明の第2の実現形態による、電源の最大電力点を決定するためのアルゴリズムの一例である。
【0106】
より厳密には、本アルゴリズムは、プロセッサ300によって実行される。
【0107】
電源の最大電力点の決定を可能にする情報を取得するためのアルゴリズムは、電源の最大電力点の決定を可能にする情報を取得するために、特定のフェーズにおいて、少なくともインダクタL1上の電圧を監視する。
【0108】
ステップS700において、フェーズPH1が開始される。フェーズPH1は図8(a)〜図8(d)に示されている。
【0109】
図8(a)は、本発明の第2の実現形態に従って取得される電源電圧変動の一例である。
【0110】
図8(a)の横軸には時間が表示され、図8(a)の縦軸には電圧が表示されている。
【0111】
図8(b)は、本発明の第2の実現形態に従って取得される電源電流変動の一例である。
【0112】
図8(b)の横軸には時間が表示され、図8(b)の縦軸には電流が表示されている。
【0113】
図8(c)は、本発明の第2の実現形態によるエネルギー変換デバイスの出力電圧変動の一例である。
【0114】
図8(c)の横軸には時間が表示され、図8(c)の縦軸には電圧が表示されている。
【0115】
図8(d)は、本発明の第2の実現形態によるインダクタ内の電流変動の一例である。
【0116】
図8(d)の横軸には時間が表示され、図8(d)の縦軸には電流が表示されている。
【0117】
フェーズPH1の間、エネルギー変換デバイスは、例えば昇圧コンバータとして動作する。ここで、エネルギー変換デバイスは、降圧コンバータとして動作することもできることに留意されたい。
【0118】
NMOSFET M3とダイオードDOは、所望の出力電圧を得るために、デューティサイクルが調整された周期的パターンに従って導通状態及び非導通状態に置かれる。NMOSFET M3の指令信号がハイである期間は、Dと呼ばれる。NMOSFET M3の指令信号がローである期間は、(1−D)と呼ばれる。
【0119】
フェーズPH1の間、IGBTトランジスタIG1は常に導通状態である。NMOSFET M3は、Dの間は導通状態であり、(1−D)の間は非導通状態である。ダイオードDOは、Dの間は非導通状態であり、(1−D)の間は導通状態である。NMOSFET M1とM2は、常に導通状態である。コンバータが昇圧モードで動作しているので、ダイオードD5は決して導通状態にはならない。
【0120】
フェーズPH1の間に図8(a)に示される電源PVによって与えられる電圧は、本アルゴリズムによって予め決定されたMPPに対応する電圧に対応する。
【0121】
フェーズPH1の間に図8(b)に示される電源PVによって供給される電流は、本アルゴリズムによって予め決定されたMPPに対応する電流に対応する。
【0122】
フェーズPH1の間に図8(c)に示される出力における電圧VDCは、電源PV出力電圧とデューティサイクルに基づいて得られる調整済みの電圧である。
【0123】
フェーズPH1の間、負荷に電流が供給される。
【0124】
次のステップS701において、プロセッサ300は、再度MPPを決定するために、昇圧変換モードの中断を決定し、フェーズPH2に進む。
【0125】
フェーズPH2において、NMOSFET M1とM2、ダイオードD5とDOは、導通している。
【0126】
IGBTトランジスタIG1とNMOSFET M3は、非導通モードに設定される。
【0127】
インダクタL1内に蓄積されているエネルギーは、負荷とキャパシタCOに転送される。インダクタL1を通って流れる電流は、図8(d)に示されるようにゼロ値まで降下し、出力電圧VDCは、インダクタ電流がゼロ値に達する上記の瞬間までは増加し、その後、インダクタ内に蓄積された全てのエネルギーがキャパシタCOと負荷に与えられると、キャパシタCOが負荷において放電を開始するので、図8(c)に示されるように減少する。
【0128】
同時に、図8(a)及び図8(b)に示されるように、キャパシタCUIは電源によってわずかに充電される。
【0129】
次のステップS702において、プロセッサ300は、出力電圧VDCをサンプリング周期Tsampでサンプリングするように指示し、この電圧はフェーズPH2におけるインダクタL1上の電圧に対応する。
【0130】
次のステップS703において、プロセッサ300は、変数kを値1に設定する。変数kはサンプルのために用いられるインデックスである。
【0131】
次のステップS704において、プロセッサ300は、変数kが1に等しいか否かを調べる。
【0132】
変数kが1に等しい場合には、プロセッサ300はステップS705に進む。そうでない場合には、プロセッサ300はステップS707に進む。
【0133】
ステップS705において、プロセッサ300は、変数VL1(1)をサンプリングされた電圧値VDC(1)に設定する。
【0134】
特定の実現形態によれば、電気回路は電流測定手段Aを含まない。プロセッサ300は、測定された電圧値と既知のインダクタL1の値から、インダクタL1を通って流れる電流IL1を評価する。
【0135】
そのような実現形態によれば、プロセッサ300は、変数IL1(1)を、インダクタL1の値を決定する際に用いられる最大電流値に等しい値IMAXに設定する。
【0136】
次のステップS706において、プロセッサ300は、変数kを1つインクリメントし、ステップS704に戻る。
【0137】
ステップS707において、プロセッサ300は、変数VL1(k)をサンプリングされた電圧値VDC(k)に設定する。
【0138】
電気回路が電流測定手段Aを含まない場合には、プロセッサ300は、以下の式に従って、インダクタL1を通って流れる電流IL1(k)の値を導出する。
【数1】
【0139】
次のステップS708において、プロセッサ300は、電流測定手段Aによって測定されるか、又はステップS707において求められた電流値IL1(k)が、例えばゼロ値である所定の値よりも大きいか否かを調べる。ここで、電流測定手段Aが利用できない場合には、ステップS707において、所定の値はゼロ値に設定されることに留意されたい。
【0140】
電流値IL1(k)がゼロ値よりも大きい場合には、インダクタL1は完全には放電されておらず、プロセッサ300はステップS709に進む。そうでない場合には、プロセッサ300はステップS710に進む。
【0141】
ステップS709において、プロセッサ300は、変数kを1つインクリメントし、ステップS704に戻る。
【0142】
ステップS710において、プロセッサ300は、フェーズPH2を中断する。
【0143】
その後、プロセッサ300は、図7bのステップS750に進む。
【0144】
ステップS750において、プロセッサ300は、MPPを決定するためにフェーズPH3に進む。
【0145】
フェーズPH3において、NMOSFET M1、M2、ダイオードD5、及びDOは非導通状態である。
【0146】
フェーズPH3において、IGBTトランジスタIG1とNMOSFET M3は導通状態に設定される。フェーズPH3において、電源PVはインダクタL1と並列に接続される。
【0147】
フェーズPH3において、キャパシタCUIは、予め決定されたMPPの付近に充電された状態に維持され、電源PV上の電圧は、図8(a)に示されるように開回路電圧VOCに変化する。インダクタL1は、図8(b)に示されるように所定の値から短絡電流ISCに達するまで充電され、所定の値は、図7aのステップS708において示されるように例えばゼロ値である。
【0148】
次のステップS751において、プロセッサ300は、図6に示される電圧V1をサンプリング周期Tsampでサンプリングするように指示し、この電圧は、フェーズPH3においてはインダクタL1上の電圧に対応し、また電源PVの出力電圧にも対応する。
【0149】
次のステップS752において、プロセッサ300は、変数kを1に設定する。変数kはサンプルのために用いられるインデックスである。
【0150】
次のステップS753において、プロセッサ300は、変数kが1に等しいか否かを調べる。
【0151】
変数kが1に等しい場合には、プロセッサ300はステップS754に進む。そうでない場合には、プロセッサ300はステップS756に進む。
【0152】
ステップS754において、プロセッサ300は、変数VL1(1)をサンプリングされた電圧値V1(1)に設定する。
【0153】
特定の実現形態によれば、電気回路は電流測定手段Aを含まない。プロセッサ300は、測定された電圧値とインダクタL1の値から、インダクタL1を通って流れる電流IL1を導出する。
【0154】
そのような実現形態によれば、プロセッサ300は、変数IL1(1)をゼロ値に設定する。
【0155】
ステップS755において、プロセッサ300は、変数kを1つインクリメントし、ステップS753に戻る。
【0156】
ステップS756において、プロセッサ300は、変数VL1(k)をサンプリングされた電圧V1(k)に設定する。
【0157】
電気回路が電流測定手段Aを含まない場合、プロセッサ300は、以下の式に従って、インダクタL1を通って流れる電流IL1(k)の値を取得する。
【数2】
【0158】
次のステップS757において、プロセッサ300は、電圧値VL1(k)が所定の値に等しいか否かを調べる。所定の値は、例えばゼロ値である。
【0159】
電圧値VL1(k)がゼロ値に等しい場合には、プロセッサ300はステップS759に進む。そうでない場合には、プロセッサ300はステップS758に進む。
【0160】
ステップS758において、プロセッサ300は、変数kを1つインクリメントし、ステップS753に戻る。
【0161】
ステップS759において、プロセッサ300は、フェーズPH3を中断する。
【0162】
ステップS760において、プロセッサ300は、先行するステップにおいて求められた全ての電圧値及び電流値を入手し、図2に示されるような曲線を形成する。
【0163】
同じステップにおいて、プロセッサ300は、ステップS756において取得された電圧値と電流値から、電圧値と電流値から得られる最大電力を選択することによって、MPPを決定する。
【0164】
ステップS761において、フェーズPH4が開始される。フェーズPH4は図8(a)〜図8(d)に示されている。
【0165】
フェーズPH4の間、エネルギー変換デバイスは昇圧コンバータとして動作する。NMOSFET M3とダイオードDOは、新たに決定されたMPPを考慮した所望の出力電圧を得るために、デューティサイクルが調整された周期的パターンに従って導通状態及び非導通状態に置かれる。フェーズPH4の間、IGBTトランジスタIG1は常に導通状態であり、NMOSFET M3はDの間は導通状態であり、ダイオードDOは(1−D)の間は導通状態であり、NMOSFET M1とM2は常に導通状態である。
【0166】
フェーズPH4の間、ダイオードD5は決して導通状態にならず、NMOSFET M3は(1−D)の間は導通状態でなく、ダイオードDOはDの間は導通状態である。
【0167】
図9は、電源の最大電力点の決定を可能にする情報を取得するための、本発明の第3の実現形態によるインダクタを含む電気回路の一例である。
【0168】
この電気回路は、従来の降圧−昇圧コンバータで行われるように出力電圧の極性を反転させることなく、スイッチの状態に従って、降圧モード(ステップダウンモード)又は昇圧モード(ステップアップモード)で動作することができる。
【0169】
図9の電気回路は、NMOSFET M1とM2が存在しないことを除いて、図6において開示された電気回路と同じである。
【0170】
フィルタキャパシタCUIが電源PVに接続されており、電圧測定手段がキャパシタCUI上の電圧を測定する。
【0171】
図10は、本発明の第3の実現形態による、電源の最大電力点を決定するためのアルゴリズムの一例である。
【0172】
より厳密には、本アルゴリズムは、プロセッサ300によって実行される。
【0173】
電源の最大電力点の決定を可能にする情報を取得するためのアルゴリズムは、電源の最大電力点の決定を可能にする情報を取得するために、電圧V1を監視する。
【0174】
ステップS1000において、フェーズPH1’が開始される。フェーズPH1’は、図11(a)〜図11(c)に示されている。
【0175】
図11(a)は、本発明の第3の実現形態に従って取得される、入力キャパシタCUI上の電圧変動の一例であり、電源電圧変動を意味する。
【0176】
図11(a)の横軸には時間が表示され、図11(a)の縦軸には電圧が表示されている。
【0177】
図11(b)は、本発明の第3の実現形態に従って取得される電源電流変動の一例である。
【0178】
図11(b)の横軸には時間が表示され、図11(b)の縦軸には電流が表示されている。
【0179】
図11(c)は、本発明の第3の実現形態によるエネルギー変換デバイスの出力電圧変動の一例である。
【0180】
図11(c)の横軸には時間が表示され、図11(c)の縦軸には電圧が表示されている。
【0181】
フェーズPH1’の間、エネルギー変換デバイスは昇圧コンバータとして動作する。NMOSFET M3とダイオードDOは、所望の出力電圧を得るために、デューティサイクルが調整された周期的パターンに従って導通状態及び非導通状態に置かれる。NMOSFET M3の指令信号がハイである期間は、Dと呼ばれる。NMOSFET M3の指令信号がローである期間は、(1−D)と呼ばれる。
【0182】
フェーズPH1’の間、IGBTトランジスタIG1は常に導通状態であり、NMOSFET M3はDの間は導通状態であり、ダイオードDOは(1−D)の間は導通状態である。
【0183】
フェーズPH1’の間、ダイオードD5は決して導通状態にならず、NMOSFET M3は(1−D)の間は導通状態でなく、ダイオードDOはDの間は導通状態でない。
【0184】
図11(a)に示されるキャパシタCUI上の電圧は、本アルゴリズムによって予め決定されたMPPに対応する電圧である。
【0185】
図11(b)に示される電源PVによって供給される電流は、本アルゴリズムによって予め決定されたMPPに対応する電流である。
【0186】
図11(c)に示される出力における電圧VDCは、電源PV出力電圧と適用されるデューティサイクルに基づいて得られる調整済み電圧である。
【0187】
次のステップS1001において、プロセッサ300は、再度MPPを決定するために、昇圧変換モードの中断を決定し、フェーズPH2’に進む。
【0188】
フェーズPH2’において、ダイオードD5とDOは導通状態であり、IGBTトランジスタIG1とNMOSFET M3は非導通状態に設定される。
【0189】
フェーズPH2’の目的は、電源PVの開回路電圧VOCまでキャパシタCUIを充電すると共に、インダクタL1を完全に放電することである。
【0190】
フェーズPH2’において、インダクタL1内に蓄積されていたエネルギーは負荷とキャパシタCOに転送される。L1によって出力される電流がゼロになると、キャパシタCOが負荷にエネルギーを供給し、図11(c)に示されるようにVDCが減少する。
【0191】
図11(a)に示されるように、キャパシタCUIは、電源PVの開回路電圧VOCまで充電される。
【0192】
電源PVによって供給される電流は、フェーズPH2’の終了時にゼロ値に達する。
【0193】
次のステップS1002において、プロセッサ300は、フェーズPH3’に進む。
【0194】
フェーズPH3’において、IGBTトランジスタIG1とNMOSFET M3は導通状態に設定され、ダイオードDOとD5は非導通状態である。フェーズPH3’において、電源PVとキャパシタCUIは、いずれもインダクタL1と並列に接続される。
【0195】
キャパシタCUIはゼロ電圧まで放電され、全てのエネルギーがインダクタL1内に蓄積され、インダクタL1の電流値は
【数3】
まで増加する。電源によって供給される電流IPV=IL1+ICUIを計算できるようにするために、インダクタL1上の電圧V1がサンプリングされて格納される。
【0196】
ここで、データを記憶するために用いられるバッファのサイズは、例えばPH3’の持続時間が
【数4】
に等しいことを考慮して決定されることに留意されたい。ここで、本発明の特定の実現形態では、図10のステップS1012及びS1013において開示されるように、持続時間tPH3'を評価することができるため、フェーズPH3’の間にキャパシタ値CUIが評価されることに留意されたい。
【0197】
次のステップS1003において、プロセッサ300は、図9に示される電圧V1をサンプリング周期Tsampでサンプリングするように指示し、この電圧も、フェーズPH3’ではインダクタL1上の電圧に対応する。
【0198】
次のステップS1004において、プロセッサ300は、変数kを値1に設定する。変数kはサンプルのために用いられるインデックスである。
【0199】
次のステップS1005において、プロセッサ300は、変数kが1に等しいか否かを調べる。
【0200】
変数kが1に等しい場合には、プロセッサ300はステップS1006に進む。そうでない場合には、プロセッサ300はステップS1008に進む。
【0201】
ステップS1006において、プロセッサ300は、変数VL1(1)をサンプリングされた電圧値V1(1)に設定する。
【0202】
特定の実現形態によれば、電気回路は電流測定手段Aを含まない。プロセッサ300は、測定された電圧値とL1のインダクタンス値から、インダクタL1を通って流れる電流IL1を導出する。
【0203】
そのような実現形態では、プロセッサ300は、変数IL1(1)をゼロ値に設定する。
【0204】
次のステップS1007において、プロセッサ300は、変数kを1つインクリメントし、ステップS1005に戻る。
【0205】
ステップS1008において、プロセッサ300は、変数VL1(k)をサンプリングされた電圧値V1(k)に設定し、時間tPH3'(k)=tPH3'(k−1)+Tsampを更新する。
【0206】
電気回路が電流測定手段Aを含まない場合、プロセッサ300は、以下の式に従って、インダクタL1を通って流れる電流IL1(k)の値を取得する。
【数5】
【0207】
次のステップS1010において、プロセッサ300は、電圧値VL1(k)が例えばゼロ値である所定の値に等しいか否かを調べる。
【0208】
電圧値VL1(k)がゼロ値に等しい場合には、プロセッサ300はステップS1012に進む。そうでない場合には、プロセッサ300はステップS1011に進む。
【0209】
ステップS1011において、プロセッサ300は、変数kを1つインクリメントし、ステップS1005に戻る。
【0210】
ステップS1012において、プロセッサ300は、キャパシタCUIの放電持続時間:Tdisch=tPH3'(k)を求める。
【0211】
次のステップS1013において、プロセッサ300は、本発明の特定の実現形態に従って、キャパシタ値CUI=(2πTdisch)2.L1を求める。
【0212】
次のステップS1014において、プロセッサ300は、図12を参照しながら開示されるアルゴリズムに従って、2つ1組の電源電流IPVと電源電圧VPVをそれぞれ求める。
【0213】
次のステップS1015において、プロセッサ300は、先行するステップにおいて求められた全ての電圧値と電流値を入手し、図2に示されるような曲線を作成する。同じステップにおいて、プロセッサ300は、ステップS1215において取得された電圧値と電流値から、複数の2つ1組の電圧値と電流値から得られる最大電力を選択することによって、MPPを決定する。
【0214】
次のステップS1016において、プロセッサ300は、フェーズPH4’に進む。
【0215】
フェーズPH4’において、IGBTトランジスタIG1は導通状態のままであり、ダイオードDOとD5は当然に導通状態である。フェーズPH4’において、NMOSFET M3は非導通状態に設定される。
【0216】
フェーズPH4’において、IGBTトランジスタIG1とD5はいずれも導通状態であるため、キャパシタCUIは充電されないままである。インダクタL1は、キャパシタCOと負荷に放電される。フェーズPH4’の間、出力電圧VDCは上昇する。フェーズPH4’は、インダクタを通る電流が短絡電流ISCに等しくなり、キャパシタCUIが充電し始める瞬間まで継続する。
【0217】
次のステップS1017において、プロセッサ300は、フェーズPH5’に進む。
【0218】
フェーズPH5’の間、エネルギー変換デバイスは昇圧コンバータとして動作する。NMOSFET M3とダイオードDOは、所望の出力電圧を得るために、デューティサイクルが調整された周期的パターンに従って導通状態及び非導通状態に置かれる。
【0219】
フェーズPH5’の間、IGBTトランジスタIG1は導通状態であり、NMOSFET M3はDの間は導通状態であり、ダイオードDOは(1−D)の間は導通である。
【0220】
フェーズPH5’の間、ダイオードD5は導通状態でなく、NMOSFET M3は(1−D)の間は導通状態でなく、ダイオードDOはDの間は導通状態でない。
【0221】
図11(a)に示されるキャパシタCUI上の電圧は、ステップS1015において本アルゴリズムによって決定されたMPPに向かって上昇する電源電圧に対応する電圧である。
【0222】
図11(b)に示される電源PVによって供給される電流は、短絡値から本アルゴリズムによってステップS1015において決定されたMPP値に対応する電流値に向かって減少する電流である。
【0223】
図11(c)に示される出力電圧は、フェーズPH4’におけるキャパシタCOの電圧から、本アルゴリズムによってステップS1015で決定されたMPPと新たなデューティサイクルとに従って求められる新たな出力電圧値まで移行することに対応する。しかしながら、COは負荷に電力を供給し続ける必要があるため、PH5’の開始中に電源によって供給される電力が小さいことに起因して、コンバータがMPPにおいて、すなわちフェーズPH6’において動作可能となる瞬間まで、出力電圧値は最初減少することになる。
【0224】
次のステップS1018において、プロセッサ300は、フェーズPH6’に進む。
【0225】
フェーズPH6’の間、エネルギー変換デバイスは、先行するフェーズPH5’と同様に昇圧コンバータとして動作するが、ここでは電源が利用可能な最大電力を供給している(MPPにおいて動作している)という違いがある。
【0226】
図12は、本発明の第3の実現形態による、電源の最大電力点の決定を可能にするために、電源の2つ1組の出力電力電流と出力電圧を求めるアルゴリズムの一例である。
【0227】
より厳密には、本アルゴリズムは、プロセッサ300によって実行される。
【0228】
インダクタ電流が既知であるので、キャパシタCUIを通って流れる電流を求め、そこから電源PVの出力電流を求めるために、本発明の特定の実現形態による電源の最大電力点の決定を可能にする情報を取得するためのアルゴリズムもまた、電圧V1を使用する。
【0229】
一般的見地から、本アルゴリズムによって、所与のサンプルに対するキャパシタ電流は、キャパシタCUIの静電容量値に所与のサンプルの電圧導関数を乗じることによって求められる。電圧導関数は、フィッティング数学関数、例えば実係数を有する多項式関数によって得られる。
【0230】
フィッティング数学関数は、所与の時間サンプルについての処理された電圧を取得するために、連続的な時間サンプルxi(i=1〜N)において測定された電圧yiと関数f(xi)との差の二乗和を最小化することによって得られる。これは、以下のように行われる。
【0231】
N個のサンプル(x1,y1),(x2,y2)...(xN,yN)が与えられると、必要とされるフィッティング数学関数を、例えば以下の形に書くことができる。
【数6】
ただし、fj(x)(j=1,2...K)はxの数学関数であり、Cj(j=1,2...K)は当初は未知の定数である。
【0232】
f(x)とyの実際の値との差の二乗和は、以下によって与えられる。
【数7】
【0233】
この誤差項は、定数Cj(j=1,2,...K)の各々についてEの1階偏導関数を取り、その結果をゼロにすることによって最小化される。したがって、対称なK元連立方程式が得られ、これがC1、C2、...、CKについて解かれる。この手順は、最小平均二乗(LMS)アルゴリズムとしても知られている。
【0234】
最大電力点の決定を可能にする情報は、電流−電圧垂下特性から直接得られる電源PVの電力−電圧垂下特性である。
【0235】
VPVの電圧サンプルについて、各サンプルに対して移動する所定の窓における適切な数学関数、例えば実係数を有する多項式関数のフィッティングに基づいて曲線が取得される。したがって、電圧はフィルタリングされ、その導関数を窓の中心点すべてに対して非常に簡単かつ直接的な方法で同時に計算することができる。これにより、いかなる追加の電流センサも必要とすることなく電流が求められる。
【0236】
次のステップS1200において、プロセッサ300は、フェーズPH3の間にステップS1008において得られたサンプルVL1(k)及びtPH3'(k)を取得する(kは1から、ステップS1011においてkが取る最大値までの値である)。各サンプルは2次元ベクトルであり、その係数は、電圧値とその電圧が測定された時刻である。
【0237】
次のステップS1201において、プロセッサ300は、移動窓のサイズを決定する。移動窓のサイズは、適切な数学関数、例えば実係数を有する多項式関数のフィッティングに基づいて曲線を求めるために用いられるサンプルの数Nptを表す。移動窓のサイズは奇数である。例えば、移動窓のサイズは71に等しい。
【0238】
次のステップS1202において、プロセッサ300は、移動窓の中心点Ncを求める。
【0239】
次のステップS1203において、プロセッサ300は、変数iを値Nptに設定する。
【0240】
次のステップS1204において、プロセッサ300は、変数jをi−Nc+1に設定する。
【0241】
次のステップS1205において、プロセッサ300は、変数kを1に設定する。
【0242】
次のステップS1206において、プロセッサ300は、x(k)の値をサンプルjの時刻係数に設定する。
【0243】
次のステップS1207において、プロセッサ300は、y(k)の値をサンプルjの電圧係数に設定する。
【0244】
次のステップS1208において、プロセッサ300は、変数kを1つインクリメントする。
【0245】
次のステップS1210において、プロセッサ300は、変数jを1つインクリメントする。
【0246】
次のステップS1210において、プロセッサ300は、変数jがiとNcとの和から1を引いた値より厳密に小さいか否かを調べる。
【0247】
変数jがiとNcとの和から1を引いた値より厳密に小さい場合、プロセッサ300はステップS1206に戻る。そうでない場合、プロセッサ300はステップS1211に移る。
【0248】
ステップS1211において、プロセッサ300は、最小平均二乗アルゴリズムと、S1210の条件に達するまでステップS1206及びS1207においてサンプリングされたすべてのx(k)値及びy(k)値とを用いて、フィッティング数学関数、例えば多項式関数y(x)=ax2+bx+cを求める。
【0249】
プロセッサ300は、二次多項式関数のa、b、及びcの実係数
【数8】
を取得する。
【0250】
次のステップS1212において、プロセッサ300は、以下の式に従ってフィルタリングされた電圧値と必要とされる電流を評価する。
【数9】
【0251】
次のステップS1213において、プロセッサ300は、変数iを1単位インクリメントする。
【0252】
次のステップS1214において、プロセッサ300は、iがNからNcを引いた値より厳密に小さいか否かを調べる。ここで、NはステップS701において取得された電圧サンプルの総数である。
【0253】
iがNからNcを引いた値より厳密に小さい場合、プロセッサ300はステップS1204に戻る。そうでない場合、プロセッサ300はステップS1215に移り、本アルゴリズムによって求められた複数の2つ1組の電圧と電流を出力する。
【0254】
その後、プロセッサ300は、本アルゴリズムを中断し、図10のアルゴリズムのステップS1015に戻る。
【0255】
当然のことながら、本発明の範囲から逸脱することなく、上述した本発明の実施形態に対して多くの変更を行うことができる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、包括的には、太陽電池若しくは太陽電池のアレイ又は燃料電池のような電源の最大電力点のような特性の決定を可能にする情報を取得する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池は、太陽エネルギーを電気エネルギーに直接変換する。太陽電池によって生成される電気エネルギーを経時的に抽出し、電力の形態で使用することができる。太陽電池によって提供される直流電力は、DC−DCアップ/ダウンコンバータ回路及び/又はDC/ACインバータ回路のような変換デバイスに供給される。
【0003】
しかしながら、太陽電池の電流−電圧垂下特性(current-voltage droop characteristics)により、出力電力は太陽電池から引き出される電流とともに非線形に変化する。電力−電圧曲線は、光照射レベルや動作温度のような気候変動に従って変化する。
【0004】
太陽電池又は太陽電池のアレイを動作させる準最適点は、電力が最大となる電流−電圧曲線の領域又はその近傍である。この点は、最大電力点(MPP:Maximum Power Point)と称される。
【0005】
太陽電池をMPPの周辺で動作させて、それらの発電効率を最適化することが重要である。
【0006】
電力−電圧曲線が気候変動に従って変化する際、MPPもまた気候変動に従って変化する。
【0007】
そのため、常にMPPを特定することができる必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、MPPを決定するために、例えば太陽電池セルのアレイである電源の出力電流変動及び出力電圧変動を表す情報を取得することを可能にする装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的のために、本発明は、電源の最大電力点のような特性の決定を可能にする情報を取得する装置に関する。当該電源の特性の決定を可能にする情報を取得する装置は、電源の特性の決定を可能にする情報を取得するために電源に接続されるインダクタ上の電圧を監視する手段を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、直流コンバータに接続可能な電源の最大電力点のような特性の決定を可能にする情報を取得する方法にも関する。当該方法は、電源の特性の決定を可能にする情報を取得するために電源に接続されるインダクタ上の電圧を監視するステップを含むことを特徴とする。
【0011】
これにより、例えば、MPPを決定するために、或いは電源の障害を判断するために、或いは電源のフィルファクターを求めるために、電源の出力電流変動及び出力電圧変動を表す情報を取得することができる。
【0012】
特定の特徴によれば、インダクタは、直流コンバータ内に含まれる。
【0013】
大部分のDC/DCコンバータ及び/又は幾つかのDC/ACコンバータでは、インダクタは変換目的ですでに利用可能である。このインダクタを、少なくとも1つの特定の期間中に電圧変動及び電流変動を監視するために用いることができる。監視される電圧変動及び電流変動により、常に電源の所望の電圧−電流/電圧−電力垂下特性のような情報を取得することが可能になる。本発明は、上述のインダクタベースのコンバータに対して他のいかなる余分のインダクタも追加することを回避する。
【0014】
特定の特徴によれば、装置は、インダクタ上の電圧の監視中に当該インダクタを通って流れる電流を取得する手段を備える。
【0015】
これにより、電源の出力電流及び出力電圧は、インダクタを通って流れる電流及びインダクタに印加される電圧と同じであるので、その電圧−電流/電圧−電力垂下特性を取得することができる。
【0016】
特定の特徴によれば、インダクタを通って流れる電流は、電流センサから取得されるか、又は当該インダクタ上の電圧を監視している間に得られる電圧値から導出される。
【0017】
これにより、任意の余分な電流センサを追加しなくても、電流を監視することができ、装置のコストを削減することができる。
【0018】
さらに、電流センサを利用できない場合には、インダクタを通る電流はその電圧を積分することによって取得されるので、キャパシタ上の電流を計算するために行われるような雑音問題を解決するために高度なアルゴリズムを適用しなければならない微分計算とは異なり、雑音変動が電流推定の精度を乱すことはなく、結果として、最大電力点が更に良好に推定される。
【0019】
特定の特徴によれば、装置は、インダクタ上の電圧を監視する前に当該インダクタ内に蓄積されたエネルギーを放電する手段を備える。
【0020】
これにより、電源の特徴付けに最も適した初期条件:電源におけるゼロ電流及び開回路電圧を保証することができる。
【0021】
特定の特徴によれば、第1フェーズにおいて、インダクタを通じて負荷に電流が供給され、第2フェーズにおいて、インダクタ内に蓄積されたエネルギーの放電が実行され、第3フェーズにおいて、インダクタの電圧の監視が実行され、電源の第1の端子がインダクタの第1の端子に接続されると共に、インダクタの第2の端子が電源の第2の端子に接続される。
【0022】
これにより、インダクタは電源と並列に接続され、ゼロ電流から電源短絡電流までインダクタを充電することができ、これは開回路電圧からゼロ電圧までを意味する。電源の全体的な電圧−電流/電圧−電源垂下特性が取得される。
【0023】
特定の特徴によれば、インダクタの第2の端子は負荷に接続され、インダクタの電圧を監視する前に当該インダクタ内に蓄積されたエネルギーは、負荷において放電される。
【0024】
これにより、特徴付けが行われる際に、負荷をインダクタと並列に接続することによって、インダクタを通る電流がゼロであるという初期条件を得ることができる。
【0025】
さらに、インダクタの電圧を監視する前に当該インダクタに蓄積されたエネルギーは、抵抗器を通じて散逸される代わりに負荷において放電されるので、結果として非散逸的な手順となる。
【0026】
特定の特徴によれば、装置は、キャパシタ及び少なくとも2つのスイッチを更に備え、電源の第2の端子は、第1のスイッチの第1の端子に接続され、第1のスイッチの第2の端子は、キャパシタの第1の端子に接続され、キャパシタの第2の端子は、電源の第1の端子に接続され、電源の第1の端子は、第2のスイッチを介してインダクタの第1の端子に接続され、第2のスイッチは、第2フェーズの間は開いている。
【0027】
これにより、電源と並列に接続されるキャパシタが存在する場合であっても、特徴付けを行う必要があるときに、インダクタのみを電源と並列に接続することができる。
【0028】
特定の特徴によれば、第1のスイッチは、第1フェーズの間は閉じられ、第3フェーズの間は開かれる。
【0029】
これにより、コンバータの通常の動作中は、キャパシタは入力フィルタとして働くが、第3フェーズの間、すなわちインダクタを用いた特徴付けの間は、キャパシタは接続解除され、その期間には何の役割も果たさない。
【0030】
特定の特徴によれば、装置は、インダクタの第2の端子を電源の第2の端子に接続する第3のスイッチを更に備え、第3のスイッチは、第3フェーズの間は閉じられる。
【0031】
これにより、特徴付けを行う際に、インダクタは第3フェーズの間のみ電源と並列に配置される。
【0032】
特定の特徴によれば、電源の端子にキャパシタが接続され、装置は、インダクタ上の電圧の監視中にキャパシタを通って流れる電流を取得する手段を備える。
【0033】
これにより、電源と常に並列に接続されるキャパシタが存在する場合であっても、電源出力電流はキャパシタを通る電流とインダクタを通って流れる電流とを合わせた電流から生じるので、電源出力電流を取得することができる。キャパシタと直列な追加のスイッチはもはや不要であり、装置のコストは増加しない。
【0034】
特定の特徴によれば、インダクタを通って流れる電流は、当該インダクタ上の電圧の監視中に得られる電圧値から取得される。
【0035】
これにより、例えばコストを下げるためにインダクタと直列な電流センサが利用できない場合には、測定されたインダクタ電圧を積分し、その値をインダクタンス値で除算することによって、電流を取得することができる。
【0036】
特定の特徴によれば、第1フェーズにおいて、インダクタを通じて負荷に電流が供給され、第2フェーズにおいて、キャパシタが電源の開回路電圧まで充電され、第3フェーズにおいて、インダクタの電圧の監視が実行され、電源の第1の端子がインダクタの第1の端子に接続されると共に、インダクタの第2の端子が電源の第2の端子に接続される。
【0037】
第3フェーズにおいて、キャパシタ電圧は開回路電圧からゼロ値に移行し、その間、正弦曲線の軌跡に従って、電源の出力電流はゼロ値から短絡電流に移行し、インダクタ電流はゼロ電流から最大電流ピークに移行し、この最大電流値はキャパシタとインダクタとの間の共振から生じる電源短絡電流よりも大きい。
【0038】
監視される電圧から、電圧を微分することによってキャパシタ電流を取得し、また電圧を積分することによってインダクタ電流を取得することができ、キャパシタンス値及びインダクタンス値も必要とされる。両方の構成要素のそれぞれの電流を知ることによって、電圧変動とともに電源出力電流変動が取得される。
【0039】
また、本発明は、電源の最大電力点の決定を可能にする情報を取得する装置を備えることを特徴とする直流コンバータにも関する。
【0040】
これにより、例えば、MPPを決定するために、電源の出力電流変動及び出力電圧変動を表す情報を取得することができる。
【0041】
さらに、大部分のDC/DCコンバータ及び/又は幾つかのDC/ACコンバータでは、インダクタは変換目的ですでに利用可能である。インダクタを、少なくとも1つの特定の期間中に電圧変動及び電流変動を監視するために用いることができる。監視される電圧変動及び電流変動により、常に電源の所望の電圧−電流/電圧−電力垂下特性のような情報を取得することが可能になる。本発明は、上述のインダクタベースのコンバータに対して他のいかなる余分のインダクタも追加することを回避する。
【0042】
本発明の特徴は、実施形態例の以下の説明を読むことからより明確になる。当該説明は、添付図面を参照して行われる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明を実施することができるエネルギー変換システムの一例の図である。
【図2】電源の出力電圧による電源の出力電流の変動を表す曲線の一例の図である。
【図3】本発明によるエネルギー変換デバイスの一例を表す図である。
【図4】電源の最大電力点の決定を可能にする情報を取得するための、本発明の第1の実現形態によるインダクタを含む電気回路の一例の図である。
【図5】電源の最大電力点の決定を可能にする情報を取得するための、本発明の第2の実現形態によるインダクタを含む電気回路の一例の図である。
【図6】本発明の第2の実現形態による電気回路のスイッチの特定の実現形態を開示する一例の図である。
【図7a】本発明の第2の実現形態による電源の最大電力点を決定するために用いられるアルゴリズムの例を示す図である。
【図7b】本発明の第2の実現形態による電源の最大電力点を決定するために用いられるアルゴリズムの例を示す図である。
【図8】(a)は、本発明の第2の実現形態によって取得される電源電圧変動の一例の図である。(b)は、本発明の第2の実現形態によって取得される電源電流変動の一例の図である。(c)は、本発明の第2の実現形態によるエネルギー変換デバイスの出力電圧変動の一例の図である。(d)は、本発明の第2の実現形態によるインダクタ内の電流変動の一例の図である。
【図9】電源の最大電力点の決定を可能にする情報を取得するための、本発明の第3の実現形態によるインダクタを含む電気回路の一例の図である。
【図10】本発明の第3の実現形態による電源の最大電力点を決定するためのアルゴリズムの一例の図である。
【図11】(a)は、本発明の第3の実現形態によって取得される電源電圧変動の一例の図である。(b)は、本発明の第3の実現形態によって取得される電源電流変動の一例の図である。(c)は、本発明の第3の実現形態によるエネルギー変換デバイスの出力電圧変動の一例の図である。
【図12】本発明の第3の実現形態による、電源の最大電力点の決定を可能にするために電源の出力電流及び出力電圧を求めるためのアルゴリズムの一例の図である。
【図13】(a)は、本発明の第1の実現形態によって取得される電源電圧変動の一例の図である。(b)は、本発明の第1の実現形態によって取得される電源電流変動の一例の図である。(c)は、本発明の第1の実現形態によるインダクタ上の電圧変動の一例の図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1は、本発明を実施することができるエネルギー変換システムの一例である。
【0045】
エネルギー変換システムは、太陽電池又は太陽電池のアレイ又は燃料電池のような電源PVを含む。電源PVの出力は、DC−DCステップダウン/ステップアップコンバータ及び/又はインバータとも呼ばれるDC/ACコンバータのようなエネルギー変換デバイスConvに接続されている。エネルギー変換デバイスConvは、負荷Loに電気エネルギーを供給する。
【0046】
電源PVは負荷Loに電流を供給する。電流は負荷Loによって使用される前に変換デバイスConvによって変換される。
【0047】
図2は、電源の出力電圧に対する出力電流の変動を表す曲線の一例である。
【0048】
図2の横軸には電圧値が示されている。電圧値は0値と開回路電圧VOCとの間にある。
【0049】
図2の縦軸には電流値が示されている。電流値は0値と短絡電流ISCとの間にある。
【0050】
任意の所与の光レベル及び太陽電池アレイ温度に対して、太陽電池アレイが動作可能な無限個の電流−電圧のペア、すなわち動作点が存在する。しかしながら、所与の光レベル及び太陽電池アレイ温度に対して存在するMPPは、唯一つである。
【0051】
図3は、本発明によるエネルギー変換デバイスの一例を表す。
【0052】
エネルギー変換デバイスConvは、例えば、バス301によって互いに接続されるコンポーネントと、図7又は図10及び図12に開示するようなアルゴリズムに関連するプログラムによって制御されるプロセッサ300とに基づくアーキテクチャを有している。
【0053】
ここで、プロセッサ300は、一変形では、後に開示するようなプロセッサ300によって実行されるものと同じ動作を実行する、1つ又は幾つかの専用集積回路の形態で実装されることに留意されたい。
【0054】
バス301は、プロセッサ300を、リードオンリーメモリROM302、ランダムアクセスメモリRAM303、アナログ/ディジタルコンバータADC306、及び本発明による電気回路に接続する。
【0055】
リードオンリーメモリROM302は、図7又は図10及び図12に開示するようなアルゴリズムに関連するプログラムの命令を含み、当該命令はエネルギー変換デバイスConvに電源が投入されるとランダムアクセスメモリRAM303に転送される、
【0056】
RAMメモリ303は、変数を受け取るように意図されたレジスタと、図7又は図10及び図12に開示するようなアルゴリズムに関連するプログラムの命令とを含む。
【0057】
アナログ/ディジタルコンバータ306は、電力段305を形成する本発明による電気回路305に接続され、必要な場合に電圧及び電流を2値情報に変換する。
【0058】
図4は、電源の最大電力点の決定を可能にする情報を取得するための、本発明の第1の実現形態によるインダクタを含む電気回路の一例である。
【0059】
この電気回路は、その一部又は全体を変換デバイスConv内に含めることもできるし、或いは変換デバイスConvに追加することもできる。
【0060】
電源PVの正端子は、スイッチSW1の第1の端子と、スイッチSW3の第1の端子とに接続されている。
【0061】
例えば、スイッチSW1とSW3はNMOSFETである。スイッチSW1とSW3の第1の端子は、各NMOSFETのドレインである。
【0062】
スイッチSW1の第2の端子は、インダクタLU1の第1の端子と、抵抗器RDISの第1の端子とに接続されている。
【0063】
スイッチSW1の第2の端子は、NMOSFETのソースである。抵抗器RDISの第2の端子は、スイッチSW2の第1の端子に接続されている。
【0064】
例えば、スイッチSW2はダイオードである。スイッチSW2の第1の端子はダイオードのカソードであり、スイッチSW2の第2の端子はダイオードのアノードである。
【0065】
インダクタLU1の第2の端子とスイッチSW2の第2の端子は、電源PVの負端子に接続されている。
【0066】
電源の端子間の電圧V1が監視される。電圧V1は、例えばアナログ/ディジタルコンバータを用いて測定される。
【0067】
負荷は、スイッチSW3の第2の端子と電源PVの負端子との間に接続される。
【0068】
スイッチSW3の第2の端子は、NMOSFETのソースである。
【0069】
負荷は直流コンバータとすることもできる。
【0070】
この電気回路は、以下のように動作することができる。
【0071】
図13に示されるような第1フェーズPH1’’において、スイッチSW1とSW2は非導通状態(オフ)であり、スイッチSW3は常に導通状態(オン)である。
【0072】
図13(a)は、本発明の第1の実現形態に従って取得される電源電圧変動の一例である。
【0073】
図13(a)の横軸には時間が表示され、図13(a)の縦軸には電圧が表示されている。
【0074】
図13(b)は、本発明の第1の実現形態に従って取得される電源電流変動の一例である。
【0075】
図13(b)の横軸には時間が表示され、図13(b)の縦軸には電流が表示されている。
【0076】
図13(c)は、本発明の第1の実現形態によるインダクタ上の電圧変動の一例である。
【0077】
図13(c)の横軸には時間が表示され、図13(c)の縦軸には電圧が表示されている。
【0078】
図13(a)、図13(b)、及び図13(c)に示されるように、フェーズPH1’’において、電源は負荷に電力を供給する。負荷は抵抗性負荷又は直流コンバータとすることができる。
【0079】
電源の特徴付けを行う時間になると、第2フェーズPH2’’が開始される。
【0080】
フェーズPH2’’において、スイッチSW3とSW2は非導通状態であり、スイッチSW1は導通状態である。この構成において、電源の出力電流は、インダクタLU1を通って流れ、図13(b)に示されるようにゼロから短絡電流まで増加する。一方、電源の出力電圧は、図13(a)及び図13(c)に示されるように開回路電圧値からゼロ値まで移行する。
【0081】
第3フェーズPH3’’の間、スイッチSW1は非導通状態であり、SW2は導通状態である。インダクタLU1は抵抗器RDISを通じて放電されるので、図13(c)に示されるようにゼロ値に移行する電圧値に追従してインダクタ電流もゼロ値に移行し、この時点において別の特徴付けのための準備ができる。
【0082】
第4フェーズPH4’’の間、SW3は再び導通状態に切り替わることができ、電源PVは負荷に電力を供給することができ、その間、インダクタLU1はRDISを通じて放電されたままにされる。第4フェーズPH4’’は、インダクタLU1が放電される際に始まってもよく、それは両方の動作が同時に行われること、すなわち、電源が既に負荷に電力を供給している間にインダクタが抵抗器を通じて放電されることを意味する。
【0083】
第2フェーズPH2’’の間、インダクタンス値は既知であると仮定して、インダクタLU1を通る電流を取得するために、電圧V1がサンプリングされて積分される。
【0084】
このようにして、電源の全体的な電圧−電流/電圧−電力垂下特性が取得される。
【0085】
第1の実現形態は、第4フェーズPH4’’がインダクタLU1の放電と同時に開始される場合には特に、ほとんど時間がかからないという利点を有する。さらに、太陽電池セルのアレイは通常、電流範囲よりも広い電圧範囲を有している。これは、電流と電圧の両方の成分値が同じ範囲内にあると仮定すると、変数(インダクタの場合の電流、又はキャパシタの場合の電圧)の勾配が、キャパシタの場合よりもインダクタの場合の方がはるかに急峻であることを意味している。
【0086】
図5は、電源の最大電力点の決定を可能にする情報を取得するための、本発明の第2の実現形態によるインダクタを含む電気回路の一例である。
【0087】
この電気回路は、従来の降圧−昇圧コンバータで行われるように出力電圧の極性を反転させることなく、スイッチの状態に従って、降圧モード(ステップダウンモード)又は昇圧モード(ステップアップモード)で動作可能な降圧/昇圧併合コンバータである。
【0088】
本発明の第2の実現形態による電気回路は、入力フィルタキャパシタCUIを備えており、その正端子は電源PVの正端子に接続されている。キャパシタCUIの負端子はスイッチSW10の第1の端子に接続され、スイッチの第2の端子は電源PVの負端子に接続されている。電圧測定手段は、電源PVの端子間の電圧V1を測定する。
【0089】
キャパシタCUIの正端子は、スイッチSW14の第1の端子に接続されている。
【0090】
スイッチSW14の第2の端子は、スイッチSW12の第1の端子とインダクタL1の第1の端子に接続されている。
【0091】
スイッチSW12の第2の端子は、電源PVの負端子に接続されている。
【0092】
インダクタL1の第2の端子は、電流測定手段の第1の端子に接続されている。
【0093】
電流測定手段Aの第2の端子は、ダイオードDOのアノードとスイッチSW13の第1の端子に接続されている。スイッチSW13の第2の端子は、電源PVの負端子に接続されている。
【0094】
ダイオードDOのカソードは、キャパシタCOの正端子に接続され、キャパシタCOの負端子は、電源PVの負端子に接続されている。
【0095】
降圧/昇圧併合コンバータが降圧モードで動作するとき、スイッチSW13は常にOFF状態であり、ダイオードDOは常に導通状態である。
【0096】
スイッチSW14は、所望の出力電圧を得るために、デューティサイクルが調整された周期的パターンに従って導通状態になる。
【0097】
降圧/昇圧併合コンバータが昇圧モードで動作するとき、スイッチSW14は常に導通状態であり、スイッチSW12は決して導通状態にならない。
【0098】
スイッチSW13は、所望の出力電圧を得るために、デューティサイクルが調整された周期的パターンに従って導通状態になる。
【0099】
図6は、本発明の第2の実現形態による電気回路のスイッチの特定の実現形態を開示する一例である。
【0100】
図5のスイッチSW10は、2つのNMOSFET M1とM2から構成されている。
【0101】
スイッチSW10の第1の端子は、NMOSFET M1のソースである。スイッチSW10の第2の端子は、NMOSFET M2のソースである。NMOSFET M1とM2のドレインは互いに接続されている。
【0102】
図5のスイッチSW14は、例えばIGBTトランジスタIG1である。スイッチSW14の第1の端子は、IGBTトランジスタIG1のコレクタである。IGBTトランジスタIG1のエミッタは、スイッチSW14の第2の端子である。
【0103】
図5のスイッチSW12は、ダイオードD5である。スイッチSW12の第1の端子は、ダイオードD5のカソードであり、スイッチSW12の第2の端子は、ダイオードD5のアノードである。
【0104】
図5のスイッチSW13は、NMOSFET M3である。スイッチSW13の第1の端子は、NMOSFET M3のドレインである。スイッチSW13の第2の端子は、NMOSFET M3のソースである。
【0105】
図7a及び図7bは、本発明の第2の実現形態による、電源の最大電力点を決定するためのアルゴリズムの一例である。
【0106】
より厳密には、本アルゴリズムは、プロセッサ300によって実行される。
【0107】
電源の最大電力点の決定を可能にする情報を取得するためのアルゴリズムは、電源の最大電力点の決定を可能にする情報を取得するために、特定のフェーズにおいて、少なくともインダクタL1上の電圧を監視する。
【0108】
ステップS700において、フェーズPH1が開始される。フェーズPH1は図8(a)〜図8(d)に示されている。
【0109】
図8(a)は、本発明の第2の実現形態に従って取得される電源電圧変動の一例である。
【0110】
図8(a)の横軸には時間が表示され、図8(a)の縦軸には電圧が表示されている。
【0111】
図8(b)は、本発明の第2の実現形態に従って取得される電源電流変動の一例である。
【0112】
図8(b)の横軸には時間が表示され、図8(b)の縦軸には電流が表示されている。
【0113】
図8(c)は、本発明の第2の実現形態によるエネルギー変換デバイスの出力電圧変動の一例である。
【0114】
図8(c)の横軸には時間が表示され、図8(c)の縦軸には電圧が表示されている。
【0115】
図8(d)は、本発明の第2の実現形態によるインダクタ内の電流変動の一例である。
【0116】
図8(d)の横軸には時間が表示され、図8(d)の縦軸には電流が表示されている。
【0117】
フェーズPH1の間、エネルギー変換デバイスは、例えば昇圧コンバータとして動作する。ここで、エネルギー変換デバイスは、降圧コンバータとして動作することもできることに留意されたい。
【0118】
NMOSFET M3とダイオードDOは、所望の出力電圧を得るために、デューティサイクルが調整された周期的パターンに従って導通状態及び非導通状態に置かれる。NMOSFET M3の指令信号がハイである期間は、Dと呼ばれる。NMOSFET M3の指令信号がローである期間は、(1−D)と呼ばれる。
【0119】
フェーズPH1の間、IGBTトランジスタIG1は常に導通状態である。NMOSFET M3は、Dの間は導通状態であり、(1−D)の間は非導通状態である。ダイオードDOは、Dの間は非導通状態であり、(1−D)の間は導通状態である。NMOSFET M1とM2は、常に導通状態である。コンバータが昇圧モードで動作しているので、ダイオードD5は決して導通状態にはならない。
【0120】
フェーズPH1の間に図8(a)に示される電源PVによって与えられる電圧は、本アルゴリズムによって予め決定されたMPPに対応する電圧に対応する。
【0121】
フェーズPH1の間に図8(b)に示される電源PVによって供給される電流は、本アルゴリズムによって予め決定されたMPPに対応する電流に対応する。
【0122】
フェーズPH1の間に図8(c)に示される出力における電圧VDCは、電源PV出力電圧とデューティサイクルに基づいて得られる調整済みの電圧である。
【0123】
フェーズPH1の間、負荷に電流が供給される。
【0124】
次のステップS701において、プロセッサ300は、再度MPPを決定するために、昇圧変換モードの中断を決定し、フェーズPH2に進む。
【0125】
フェーズPH2において、NMOSFET M1とM2、ダイオードD5とDOは、導通している。
【0126】
IGBTトランジスタIG1とNMOSFET M3は、非導通モードに設定される。
【0127】
インダクタL1内に蓄積されているエネルギーは、負荷とキャパシタCOに転送される。インダクタL1を通って流れる電流は、図8(d)に示されるようにゼロ値まで降下し、出力電圧VDCは、インダクタ電流がゼロ値に達する上記の瞬間までは増加し、その後、インダクタ内に蓄積された全てのエネルギーがキャパシタCOと負荷に与えられると、キャパシタCOが負荷において放電を開始するので、図8(c)に示されるように減少する。
【0128】
同時に、図8(a)及び図8(b)に示されるように、キャパシタCUIは電源によってわずかに充電される。
【0129】
次のステップS702において、プロセッサ300は、出力電圧VDCをサンプリング周期Tsampでサンプリングするように指示し、この電圧はフェーズPH2におけるインダクタL1上の電圧に対応する。
【0130】
次のステップS703において、プロセッサ300は、変数kを値1に設定する。変数kはサンプルのために用いられるインデックスである。
【0131】
次のステップS704において、プロセッサ300は、変数kが1に等しいか否かを調べる。
【0132】
変数kが1に等しい場合には、プロセッサ300はステップS705に進む。そうでない場合には、プロセッサ300はステップS707に進む。
【0133】
ステップS705において、プロセッサ300は、変数VL1(1)をサンプリングされた電圧値VDC(1)に設定する。
【0134】
特定の実現形態によれば、電気回路は電流測定手段Aを含まない。プロセッサ300は、測定された電圧値と既知のインダクタL1の値から、インダクタL1を通って流れる電流IL1を評価する。
【0135】
そのような実現形態によれば、プロセッサ300は、変数IL1(1)を、インダクタL1の値を決定する際に用いられる最大電流値に等しい値IMAXに設定する。
【0136】
次のステップS706において、プロセッサ300は、変数kを1つインクリメントし、ステップS704に戻る。
【0137】
ステップS707において、プロセッサ300は、変数VL1(k)をサンプリングされた電圧値VDC(k)に設定する。
【0138】
電気回路が電流測定手段Aを含まない場合には、プロセッサ300は、以下の式に従って、インダクタL1を通って流れる電流IL1(k)の値を導出する。
【数1】
【0139】
次のステップS708において、プロセッサ300は、電流測定手段Aによって測定されるか、又はステップS707において求められた電流値IL1(k)が、例えばゼロ値である所定の値よりも大きいか否かを調べる。ここで、電流測定手段Aが利用できない場合には、ステップS707において、所定の値はゼロ値に設定されることに留意されたい。
【0140】
電流値IL1(k)がゼロ値よりも大きい場合には、インダクタL1は完全には放電されておらず、プロセッサ300はステップS709に進む。そうでない場合には、プロセッサ300はステップS710に進む。
【0141】
ステップS709において、プロセッサ300は、変数kを1つインクリメントし、ステップS704に戻る。
【0142】
ステップS710において、プロセッサ300は、フェーズPH2を中断する。
【0143】
その後、プロセッサ300は、図7bのステップS750に進む。
【0144】
ステップS750において、プロセッサ300は、MPPを決定するためにフェーズPH3に進む。
【0145】
フェーズPH3において、NMOSFET M1、M2、ダイオードD5、及びDOは非導通状態である。
【0146】
フェーズPH3において、IGBTトランジスタIG1とNMOSFET M3は導通状態に設定される。フェーズPH3において、電源PVはインダクタL1と並列に接続される。
【0147】
フェーズPH3において、キャパシタCUIは、予め決定されたMPPの付近に充電された状態に維持され、電源PV上の電圧は、図8(a)に示されるように開回路電圧VOCに変化する。インダクタL1は、図8(b)に示されるように所定の値から短絡電流ISCに達するまで充電され、所定の値は、図7aのステップS708において示されるように例えばゼロ値である。
【0148】
次のステップS751において、プロセッサ300は、図6に示される電圧V1をサンプリング周期Tsampでサンプリングするように指示し、この電圧は、フェーズPH3においてはインダクタL1上の電圧に対応し、また電源PVの出力電圧にも対応する。
【0149】
次のステップS752において、プロセッサ300は、変数kを1に設定する。変数kはサンプルのために用いられるインデックスである。
【0150】
次のステップS753において、プロセッサ300は、変数kが1に等しいか否かを調べる。
【0151】
変数kが1に等しい場合には、プロセッサ300はステップS754に進む。そうでない場合には、プロセッサ300はステップS756に進む。
【0152】
ステップS754において、プロセッサ300は、変数VL1(1)をサンプリングされた電圧値V1(1)に設定する。
【0153】
特定の実現形態によれば、電気回路は電流測定手段Aを含まない。プロセッサ300は、測定された電圧値とインダクタL1の値から、インダクタL1を通って流れる電流IL1を導出する。
【0154】
そのような実現形態によれば、プロセッサ300は、変数IL1(1)をゼロ値に設定する。
【0155】
ステップS755において、プロセッサ300は、変数kを1つインクリメントし、ステップS753に戻る。
【0156】
ステップS756において、プロセッサ300は、変数VL1(k)をサンプリングされた電圧V1(k)に設定する。
【0157】
電気回路が電流測定手段Aを含まない場合、プロセッサ300は、以下の式に従って、インダクタL1を通って流れる電流IL1(k)の値を取得する。
【数2】
【0158】
次のステップS757において、プロセッサ300は、電圧値VL1(k)が所定の値に等しいか否かを調べる。所定の値は、例えばゼロ値である。
【0159】
電圧値VL1(k)がゼロ値に等しい場合には、プロセッサ300はステップS759に進む。そうでない場合には、プロセッサ300はステップS758に進む。
【0160】
ステップS758において、プロセッサ300は、変数kを1つインクリメントし、ステップS753に戻る。
【0161】
ステップS759において、プロセッサ300は、フェーズPH3を中断する。
【0162】
ステップS760において、プロセッサ300は、先行するステップにおいて求められた全ての電圧値及び電流値を入手し、図2に示されるような曲線を形成する。
【0163】
同じステップにおいて、プロセッサ300は、ステップS756において取得された電圧値と電流値から、電圧値と電流値から得られる最大電力を選択することによって、MPPを決定する。
【0164】
ステップS761において、フェーズPH4が開始される。フェーズPH4は図8(a)〜図8(d)に示されている。
【0165】
フェーズPH4の間、エネルギー変換デバイスは昇圧コンバータとして動作する。NMOSFET M3とダイオードDOは、新たに決定されたMPPを考慮した所望の出力電圧を得るために、デューティサイクルが調整された周期的パターンに従って導通状態及び非導通状態に置かれる。フェーズPH4の間、IGBTトランジスタIG1は常に導通状態であり、NMOSFET M3はDの間は導通状態であり、ダイオードDOは(1−D)の間は導通状態であり、NMOSFET M1とM2は常に導通状態である。
【0166】
フェーズPH4の間、ダイオードD5は決して導通状態にならず、NMOSFET M3は(1−D)の間は導通状態でなく、ダイオードDOはDの間は導通状態である。
【0167】
図9は、電源の最大電力点の決定を可能にする情報を取得するための、本発明の第3の実現形態によるインダクタを含む電気回路の一例である。
【0168】
この電気回路は、従来の降圧−昇圧コンバータで行われるように出力電圧の極性を反転させることなく、スイッチの状態に従って、降圧モード(ステップダウンモード)又は昇圧モード(ステップアップモード)で動作することができる。
【0169】
図9の電気回路は、NMOSFET M1とM2が存在しないことを除いて、図6において開示された電気回路と同じである。
【0170】
フィルタキャパシタCUIが電源PVに接続されており、電圧測定手段がキャパシタCUI上の電圧を測定する。
【0171】
図10は、本発明の第3の実現形態による、電源の最大電力点を決定するためのアルゴリズムの一例である。
【0172】
より厳密には、本アルゴリズムは、プロセッサ300によって実行される。
【0173】
電源の最大電力点の決定を可能にする情報を取得するためのアルゴリズムは、電源の最大電力点の決定を可能にする情報を取得するために、電圧V1を監視する。
【0174】
ステップS1000において、フェーズPH1’が開始される。フェーズPH1’は、図11(a)〜図11(c)に示されている。
【0175】
図11(a)は、本発明の第3の実現形態に従って取得される、入力キャパシタCUI上の電圧変動の一例であり、電源電圧変動を意味する。
【0176】
図11(a)の横軸には時間が表示され、図11(a)の縦軸には電圧が表示されている。
【0177】
図11(b)は、本発明の第3の実現形態に従って取得される電源電流変動の一例である。
【0178】
図11(b)の横軸には時間が表示され、図11(b)の縦軸には電流が表示されている。
【0179】
図11(c)は、本発明の第3の実現形態によるエネルギー変換デバイスの出力電圧変動の一例である。
【0180】
図11(c)の横軸には時間が表示され、図11(c)の縦軸には電圧が表示されている。
【0181】
フェーズPH1’の間、エネルギー変換デバイスは昇圧コンバータとして動作する。NMOSFET M3とダイオードDOは、所望の出力電圧を得るために、デューティサイクルが調整された周期的パターンに従って導通状態及び非導通状態に置かれる。NMOSFET M3の指令信号がハイである期間は、Dと呼ばれる。NMOSFET M3の指令信号がローである期間は、(1−D)と呼ばれる。
【0182】
フェーズPH1’の間、IGBTトランジスタIG1は常に導通状態であり、NMOSFET M3はDの間は導通状態であり、ダイオードDOは(1−D)の間は導通状態である。
【0183】
フェーズPH1’の間、ダイオードD5は決して導通状態にならず、NMOSFET M3は(1−D)の間は導通状態でなく、ダイオードDOはDの間は導通状態でない。
【0184】
図11(a)に示されるキャパシタCUI上の電圧は、本アルゴリズムによって予め決定されたMPPに対応する電圧である。
【0185】
図11(b)に示される電源PVによって供給される電流は、本アルゴリズムによって予め決定されたMPPに対応する電流である。
【0186】
図11(c)に示される出力における電圧VDCは、電源PV出力電圧と適用されるデューティサイクルに基づいて得られる調整済み電圧である。
【0187】
次のステップS1001において、プロセッサ300は、再度MPPを決定するために、昇圧変換モードの中断を決定し、フェーズPH2’に進む。
【0188】
フェーズPH2’において、ダイオードD5とDOは導通状態であり、IGBTトランジスタIG1とNMOSFET M3は非導通状態に設定される。
【0189】
フェーズPH2’の目的は、電源PVの開回路電圧VOCまでキャパシタCUIを充電すると共に、インダクタL1を完全に放電することである。
【0190】
フェーズPH2’において、インダクタL1内に蓄積されていたエネルギーは負荷とキャパシタCOに転送される。L1によって出力される電流がゼロになると、キャパシタCOが負荷にエネルギーを供給し、図11(c)に示されるようにVDCが減少する。
【0191】
図11(a)に示されるように、キャパシタCUIは、電源PVの開回路電圧VOCまで充電される。
【0192】
電源PVによって供給される電流は、フェーズPH2’の終了時にゼロ値に達する。
【0193】
次のステップS1002において、プロセッサ300は、フェーズPH3’に進む。
【0194】
フェーズPH3’において、IGBTトランジスタIG1とNMOSFET M3は導通状態に設定され、ダイオードDOとD5は非導通状態である。フェーズPH3’において、電源PVとキャパシタCUIは、いずれもインダクタL1と並列に接続される。
【0195】
キャパシタCUIはゼロ電圧まで放電され、全てのエネルギーがインダクタL1内に蓄積され、インダクタL1の電流値は
【数3】
まで増加する。電源によって供給される電流IPV=IL1+ICUIを計算できるようにするために、インダクタL1上の電圧V1がサンプリングされて格納される。
【0196】
ここで、データを記憶するために用いられるバッファのサイズは、例えばPH3’の持続時間が
【数4】
に等しいことを考慮して決定されることに留意されたい。ここで、本発明の特定の実現形態では、図10のステップS1012及びS1013において開示されるように、持続時間tPH3'を評価することができるため、フェーズPH3’の間にキャパシタ値CUIが評価されることに留意されたい。
【0197】
次のステップS1003において、プロセッサ300は、図9に示される電圧V1をサンプリング周期Tsampでサンプリングするように指示し、この電圧も、フェーズPH3’ではインダクタL1上の電圧に対応する。
【0198】
次のステップS1004において、プロセッサ300は、変数kを値1に設定する。変数kはサンプルのために用いられるインデックスである。
【0199】
次のステップS1005において、プロセッサ300は、変数kが1に等しいか否かを調べる。
【0200】
変数kが1に等しい場合には、プロセッサ300はステップS1006に進む。そうでない場合には、プロセッサ300はステップS1008に進む。
【0201】
ステップS1006において、プロセッサ300は、変数VL1(1)をサンプリングされた電圧値V1(1)に設定する。
【0202】
特定の実現形態によれば、電気回路は電流測定手段Aを含まない。プロセッサ300は、測定された電圧値とL1のインダクタンス値から、インダクタL1を通って流れる電流IL1を導出する。
【0203】
そのような実現形態では、プロセッサ300は、変数IL1(1)をゼロ値に設定する。
【0204】
次のステップS1007において、プロセッサ300は、変数kを1つインクリメントし、ステップS1005に戻る。
【0205】
ステップS1008において、プロセッサ300は、変数VL1(k)をサンプリングされた電圧値V1(k)に設定し、時間tPH3'(k)=tPH3'(k−1)+Tsampを更新する。
【0206】
電気回路が電流測定手段Aを含まない場合、プロセッサ300は、以下の式に従って、インダクタL1を通って流れる電流IL1(k)の値を取得する。
【数5】
【0207】
次のステップS1010において、プロセッサ300は、電圧値VL1(k)が例えばゼロ値である所定の値に等しいか否かを調べる。
【0208】
電圧値VL1(k)がゼロ値に等しい場合には、プロセッサ300はステップS1012に進む。そうでない場合には、プロセッサ300はステップS1011に進む。
【0209】
ステップS1011において、プロセッサ300は、変数kを1つインクリメントし、ステップS1005に戻る。
【0210】
ステップS1012において、プロセッサ300は、キャパシタCUIの放電持続時間:Tdisch=tPH3'(k)を求める。
【0211】
次のステップS1013において、プロセッサ300は、本発明の特定の実現形態に従って、キャパシタ値CUI=(2πTdisch)2.L1を求める。
【0212】
次のステップS1014において、プロセッサ300は、図12を参照しながら開示されるアルゴリズムに従って、2つ1組の電源電流IPVと電源電圧VPVをそれぞれ求める。
【0213】
次のステップS1015において、プロセッサ300は、先行するステップにおいて求められた全ての電圧値と電流値を入手し、図2に示されるような曲線を作成する。同じステップにおいて、プロセッサ300は、ステップS1215において取得された電圧値と電流値から、複数の2つ1組の電圧値と電流値から得られる最大電力を選択することによって、MPPを決定する。
【0214】
次のステップS1016において、プロセッサ300は、フェーズPH4’に進む。
【0215】
フェーズPH4’において、IGBTトランジスタIG1は導通状態のままであり、ダイオードDOとD5は当然に導通状態である。フェーズPH4’において、NMOSFET M3は非導通状態に設定される。
【0216】
フェーズPH4’において、IGBTトランジスタIG1とD5はいずれも導通状態であるため、キャパシタCUIは充電されないままである。インダクタL1は、キャパシタCOと負荷に放電される。フェーズPH4’の間、出力電圧VDCは上昇する。フェーズPH4’は、インダクタを通る電流が短絡電流ISCに等しくなり、キャパシタCUIが充電し始める瞬間まで継続する。
【0217】
次のステップS1017において、プロセッサ300は、フェーズPH5’に進む。
【0218】
フェーズPH5’の間、エネルギー変換デバイスは昇圧コンバータとして動作する。NMOSFET M3とダイオードDOは、所望の出力電圧を得るために、デューティサイクルが調整された周期的パターンに従って導通状態及び非導通状態に置かれる。
【0219】
フェーズPH5’の間、IGBTトランジスタIG1は導通状態であり、NMOSFET M3はDの間は導通状態であり、ダイオードDOは(1−D)の間は導通である。
【0220】
フェーズPH5’の間、ダイオードD5は導通状態でなく、NMOSFET M3は(1−D)の間は導通状態でなく、ダイオードDOはDの間は導通状態でない。
【0221】
図11(a)に示されるキャパシタCUI上の電圧は、ステップS1015において本アルゴリズムによって決定されたMPPに向かって上昇する電源電圧に対応する電圧である。
【0222】
図11(b)に示される電源PVによって供給される電流は、短絡値から本アルゴリズムによってステップS1015において決定されたMPP値に対応する電流値に向かって減少する電流である。
【0223】
図11(c)に示される出力電圧は、フェーズPH4’におけるキャパシタCOの電圧から、本アルゴリズムによってステップS1015で決定されたMPPと新たなデューティサイクルとに従って求められる新たな出力電圧値まで移行することに対応する。しかしながら、COは負荷に電力を供給し続ける必要があるため、PH5’の開始中に電源によって供給される電力が小さいことに起因して、コンバータがMPPにおいて、すなわちフェーズPH6’において動作可能となる瞬間まで、出力電圧値は最初減少することになる。
【0224】
次のステップS1018において、プロセッサ300は、フェーズPH6’に進む。
【0225】
フェーズPH6’の間、エネルギー変換デバイスは、先行するフェーズPH5’と同様に昇圧コンバータとして動作するが、ここでは電源が利用可能な最大電力を供給している(MPPにおいて動作している)という違いがある。
【0226】
図12は、本発明の第3の実現形態による、電源の最大電力点の決定を可能にするために、電源の2つ1組の出力電力電流と出力電圧を求めるアルゴリズムの一例である。
【0227】
より厳密には、本アルゴリズムは、プロセッサ300によって実行される。
【0228】
インダクタ電流が既知であるので、キャパシタCUIを通って流れる電流を求め、そこから電源PVの出力電流を求めるために、本発明の特定の実現形態による電源の最大電力点の決定を可能にする情報を取得するためのアルゴリズムもまた、電圧V1を使用する。
【0229】
一般的見地から、本アルゴリズムによって、所与のサンプルに対するキャパシタ電流は、キャパシタCUIの静電容量値に所与のサンプルの電圧導関数を乗じることによって求められる。電圧導関数は、フィッティング数学関数、例えば実係数を有する多項式関数によって得られる。
【0230】
フィッティング数学関数は、所与の時間サンプルについての処理された電圧を取得するために、連続的な時間サンプルxi(i=1〜N)において測定された電圧yiと関数f(xi)との差の二乗和を最小化することによって得られる。これは、以下のように行われる。
【0231】
N個のサンプル(x1,y1),(x2,y2)...(xN,yN)が与えられると、必要とされるフィッティング数学関数を、例えば以下の形に書くことができる。
【数6】
ただし、fj(x)(j=1,2...K)はxの数学関数であり、Cj(j=1,2...K)は当初は未知の定数である。
【0232】
f(x)とyの実際の値との差の二乗和は、以下によって与えられる。
【数7】
【0233】
この誤差項は、定数Cj(j=1,2,...K)の各々についてEの1階偏導関数を取り、その結果をゼロにすることによって最小化される。したがって、対称なK元連立方程式が得られ、これがC1、C2、...、CKについて解かれる。この手順は、最小平均二乗(LMS)アルゴリズムとしても知られている。
【0234】
最大電力点の決定を可能にする情報は、電流−電圧垂下特性から直接得られる電源PVの電力−電圧垂下特性である。
【0235】
VPVの電圧サンプルについて、各サンプルに対して移動する所定の窓における適切な数学関数、例えば実係数を有する多項式関数のフィッティングに基づいて曲線が取得される。したがって、電圧はフィルタリングされ、その導関数を窓の中心点すべてに対して非常に簡単かつ直接的な方法で同時に計算することができる。これにより、いかなる追加の電流センサも必要とすることなく電流が求められる。
【0236】
次のステップS1200において、プロセッサ300は、フェーズPH3の間にステップS1008において得られたサンプルVL1(k)及びtPH3'(k)を取得する(kは1から、ステップS1011においてkが取る最大値までの値である)。各サンプルは2次元ベクトルであり、その係数は、電圧値とその電圧が測定された時刻である。
【0237】
次のステップS1201において、プロセッサ300は、移動窓のサイズを決定する。移動窓のサイズは、適切な数学関数、例えば実係数を有する多項式関数のフィッティングに基づいて曲線を求めるために用いられるサンプルの数Nptを表す。移動窓のサイズは奇数である。例えば、移動窓のサイズは71に等しい。
【0238】
次のステップS1202において、プロセッサ300は、移動窓の中心点Ncを求める。
【0239】
次のステップS1203において、プロセッサ300は、変数iを値Nptに設定する。
【0240】
次のステップS1204において、プロセッサ300は、変数jをi−Nc+1に設定する。
【0241】
次のステップS1205において、プロセッサ300は、変数kを1に設定する。
【0242】
次のステップS1206において、プロセッサ300は、x(k)の値をサンプルjの時刻係数に設定する。
【0243】
次のステップS1207において、プロセッサ300は、y(k)の値をサンプルjの電圧係数に設定する。
【0244】
次のステップS1208において、プロセッサ300は、変数kを1つインクリメントする。
【0245】
次のステップS1210において、プロセッサ300は、変数jを1つインクリメントする。
【0246】
次のステップS1210において、プロセッサ300は、変数jがiとNcとの和から1を引いた値より厳密に小さいか否かを調べる。
【0247】
変数jがiとNcとの和から1を引いた値より厳密に小さい場合、プロセッサ300はステップS1206に戻る。そうでない場合、プロセッサ300はステップS1211に移る。
【0248】
ステップS1211において、プロセッサ300は、最小平均二乗アルゴリズムと、S1210の条件に達するまでステップS1206及びS1207においてサンプリングされたすべてのx(k)値及びy(k)値とを用いて、フィッティング数学関数、例えば多項式関数y(x)=ax2+bx+cを求める。
【0249】
プロセッサ300は、二次多項式関数のa、b、及びcの実係数
【数8】
を取得する。
【0250】
次のステップS1212において、プロセッサ300は、以下の式に従ってフィルタリングされた電圧値と必要とされる電流を評価する。
【数9】
【0251】
次のステップS1213において、プロセッサ300は、変数iを1単位インクリメントする。
【0252】
次のステップS1214において、プロセッサ300は、iがNからNcを引いた値より厳密に小さいか否かを調べる。ここで、NはステップS701において取得された電圧サンプルの総数である。
【0253】
iがNからNcを引いた値より厳密に小さい場合、プロセッサ300はステップS1204に戻る。そうでない場合、プロセッサ300はステップS1215に移り、本アルゴリズムによって求められた複数の2つ1組の電圧と電流を出力する。
【0254】
その後、プロセッサ300は、本アルゴリズムを中断し、図10のアルゴリズムのステップS1015に戻る。
【0255】
当然のことながら、本発明の範囲から逸脱することなく、上述した本発明の実施形態に対して多くの変更を行うことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源の最大電力点のような特性の決定を可能にする情報を取得する装置であって、
該電源の特性の決定を可能にする情報を取得する装置は、
前記電源の特性の決定を可能にする情報を取得するために前記電源に接続されるインダクタ上の電圧を監視する手段を備え、
前記インダクタを通って流れる電流は、電流センサから取得されるか、又は該インダクタ上の電圧を監視している間に得られる電圧値から導出されることを特徴とする、電源の最大電力点のような特性の決定を可能にする情報を取得する装置。
【請求項2】
前記インダクタは、直流コンバータ内に含まれることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記装置は、前記インダクタ上の電圧の監視中に該インダクタを通って流れる電流を取得する手段を備えることを特徴とする、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記装置は、前記インダクタ上の電圧を監視する前に該インダクタ内に蓄積されたエネルギーを放電する手段を備えることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
第1フェーズにおいて、前記インダクタを通じて負荷に電流が供給され、
第2フェーズにおいて、前記インダクタ内に蓄積されたエネルギーの放電が実行され、
第3フェーズにおいて、前記インダクタの電圧の監視が実行され、前記電源の第1の端子が前記インダクタの第1の端子に接続されると共に、前記インダクタの第2の端子が前記電源の第2の端子に接続されることを特徴とする、請求項5に記載の装置。
【請求項6】
前記インダクタの前記第2の端子は負荷に接続され、前記インダクタの電圧を監視する前に該インダクタ内に蓄積されたエネルギーは、前記負荷において放電されることを特徴とする、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記装置は、キャパシタ及び少なくとも2つのスイッチを更に備え、
前記電源の前記第2の端子は、第1のスイッチの第1の端子に接続され、
前記第1のスイッチの第2の端子は、前記キャパシタの第1の端子に接続され、
前記キャパシタの第2の端子は、前記電源の前記第1の端子に接続され、
前記電源の前記第1の端子は、第2のスイッチを介して前記インダクタの前記第1の端子に接続され、
前記第2のスイッチは、前記第2フェーズの間は開いていることを特徴とする、請求項5又は6に記載の装置。
【請求項8】
前記第1のスイッチは、前記第1フェーズの間は閉じられ、前記第3フェーズの間は開かれることを特徴とする、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記装置は、前記インダクタの前記第2の端子を前記電源の前記第2の端子に接続する第3のスイッチを更に備えることを特徴とし、
前記第3のスイッチは、前記第3フェーズの間は閉じられることを特徴とする、請求項7又は8に記載の装置。
【請求項10】
前記電源の前記端子にキャパシタが接続されることを特徴とし、
前記装置は、前記インダクタ上の電圧の監視中に前記キャパシタを通って流れる電流を取得する手段を備えることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記インダクタを通って流れる電流は、該インダクタ上の電圧の監視中に得られる電圧値から取得されることを特徴とする、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
第1フェーズにおいて、前記インダクタを通じて負荷に電流が供給され、
第2フェーズにおいて、前記キャパシタが前記電源の開回路電圧まで充電され、
第3フェーズにおいて、前記インダクタの電圧の監視が実行され、前記電源の第1の端子が前記インダクタの第1の端子に接続されると共に、前記インダクタの第2の端子が前記電源の第2の端子に接続されることを特徴とする、請求項10又は11に記載の装置。
【請求項13】
直流コンバータであって、請求項1〜12のいずれか一項に記載の装置を備えることを特徴とする、直流コンバータ。
【請求項14】
直流コンバータに接続可能な電源の最大電力点のような特性の決定を可能にする情報を取得する方法であって、
該方法は、前記電源の特性の決定を可能にする情報を取得するために前記電源に接続されるインダクタ上の電圧を監視するステップを含み、
前記インダクタを通って流れる電流は、電流センサから取得されるか、又は該インダクタ上の電圧を監視している間に得られる電圧値から導出されることを特徴とする、電源の最大電力点のような特性の決定を可能にする情報を取得する方法。
【請求項1】
電源の最大電力点のような特性の決定を可能にする情報を取得する装置であって、
該電源の特性の決定を可能にする情報を取得する装置は、
前記電源の特性の決定を可能にする情報を取得するために前記電源に接続されるインダクタ上の電圧を監視する手段を備え、
前記インダクタを通って流れる電流は、電流センサから取得されるか、又は該インダクタ上の電圧を監視している間に得られる電圧値から導出されることを特徴とする、電源の最大電力点のような特性の決定を可能にする情報を取得する装置。
【請求項2】
前記インダクタは、直流コンバータ内に含まれることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記装置は、前記インダクタ上の電圧の監視中に該インダクタを通って流れる電流を取得する手段を備えることを特徴とする、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記装置は、前記インダクタ上の電圧を監視する前に該インダクタ内に蓄積されたエネルギーを放電する手段を備えることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
第1フェーズにおいて、前記インダクタを通じて負荷に電流が供給され、
第2フェーズにおいて、前記インダクタ内に蓄積されたエネルギーの放電が実行され、
第3フェーズにおいて、前記インダクタの電圧の監視が実行され、前記電源の第1の端子が前記インダクタの第1の端子に接続されると共に、前記インダクタの第2の端子が前記電源の第2の端子に接続されることを特徴とする、請求項5に記載の装置。
【請求項6】
前記インダクタの前記第2の端子は負荷に接続され、前記インダクタの電圧を監視する前に該インダクタ内に蓄積されたエネルギーは、前記負荷において放電されることを特徴とする、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記装置は、キャパシタ及び少なくとも2つのスイッチを更に備え、
前記電源の前記第2の端子は、第1のスイッチの第1の端子に接続され、
前記第1のスイッチの第2の端子は、前記キャパシタの第1の端子に接続され、
前記キャパシタの第2の端子は、前記電源の前記第1の端子に接続され、
前記電源の前記第1の端子は、第2のスイッチを介して前記インダクタの前記第1の端子に接続され、
前記第2のスイッチは、前記第2フェーズの間は開いていることを特徴とする、請求項5又は6に記載の装置。
【請求項8】
前記第1のスイッチは、前記第1フェーズの間は閉じられ、前記第3フェーズの間は開かれることを特徴とする、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記装置は、前記インダクタの前記第2の端子を前記電源の前記第2の端子に接続する第3のスイッチを更に備えることを特徴とし、
前記第3のスイッチは、前記第3フェーズの間は閉じられることを特徴とする、請求項7又は8に記載の装置。
【請求項10】
前記電源の前記端子にキャパシタが接続されることを特徴とし、
前記装置は、前記インダクタ上の電圧の監視中に前記キャパシタを通って流れる電流を取得する手段を備えることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記インダクタを通って流れる電流は、該インダクタ上の電圧の監視中に得られる電圧値から取得されることを特徴とする、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
第1フェーズにおいて、前記インダクタを通じて負荷に電流が供給され、
第2フェーズにおいて、前記キャパシタが前記電源の開回路電圧まで充電され、
第3フェーズにおいて、前記インダクタの電圧の監視が実行され、前記電源の第1の端子が前記インダクタの第1の端子に接続されると共に、前記インダクタの第2の端子が前記電源の第2の端子に接続されることを特徴とする、請求項10又は11に記載の装置。
【請求項13】
直流コンバータであって、請求項1〜12のいずれか一項に記載の装置を備えることを特徴とする、直流コンバータ。
【請求項14】
直流コンバータに接続可能な電源の最大電力点のような特性の決定を可能にする情報を取得する方法であって、
該方法は、前記電源の特性の決定を可能にする情報を取得するために前記電源に接続されるインダクタ上の電圧を監視するステップを含み、
前記インダクタを通って流れる電流は、電流センサから取得されるか、又は該インダクタ上の電圧を監視している間に得られる電圧値から導出されることを特徴とする、電源の最大電力点のような特性の決定を可能にする情報を取得する方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2013−513879(P2013−513879A)
【公表日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543606(P2012−543606)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【国際出願番号】PCT/EP2010/069212
【国際公開番号】WO2011/073070
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(503163527)ミツビシ・エレクトリック・アールアンドディー・センター・ヨーロッパ・ビーヴィ (175)
【氏名又は名称原語表記】MITSUBISHI ELECTRIC R&D CENTRE EUROPE B.V.
【住所又は居所原語表記】Capronilaan 46, 1119 NS Schiphol Rijk, The Netherlands
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【国際出願番号】PCT/EP2010/069212
【国際公開番号】WO2011/073070
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(503163527)ミツビシ・エレクトリック・アールアンドディー・センター・ヨーロッパ・ビーヴィ (175)
【氏名又は名称原語表記】MITSUBISHI ELECTRIC R&D CENTRE EUROPE B.V.
【住所又は居所原語表記】Capronilaan 46, 1119 NS Schiphol Rijk, The Netherlands
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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