説明

電源システム、PWM電源制御装置及び負荷制御装置

【課題】一の負荷の電源電圧をPWM制御する場合に、突入電流が発生する他の負荷が始動しても、一の負荷の電源電圧が定格割れしない電源システムの提供。
【解決手段】電源電圧をPWM制御して第2負荷4,5に与えるPWM電源制御装置3を備える電源システム。第1負荷12の始動指示信号を受信したときから所定時間遅延させて第1負荷12を始動させる始動手段(10)と、始動指示信号を受信したときに、第1負荷12が始動前であることを示す始動前信号をPWM電源制御装置3へ送信する手段(10)とを備え、PWM電源制御装置3は、始動前信号を受信したときに、記憶してある第1負荷12の始動電流値及び検出した電源電圧値に基づき、第1負荷12の始動時に第2負荷4,5へのPWM制御を継続すべきか否かを判定する判定手段(3)を有し、判定手段(3)が継続すべきでないと判定したときはPWM制御を停止する構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出した電源電圧値に応じたデュ―ティ比で電源電圧をPWM制御し、PWM制御した電源電圧を負荷に与えるPWM電源制御装置を備え、車両等に好適に使用される電源システム、この電源システムに使用されるPWM電源制御装置及び負荷制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載される電源システムでは、車載バッテリの定格電圧値が12Vであるので、車載負荷の定格電圧値も12V程度に定められている。しかし、オルタネータ(交流発電機)の整流された出力電圧は、車載バッテリへの充電の為に13.5V程度と高めに設定されており、オルタネータが発電中は、車載負荷へも13.5V程度(他の負荷の作動状況により低下する。)の電源電圧が与えられ、必要以上に電力を消費することになる。
そこで、車載負荷が必要以上に電力を消費しないように、電源電圧値及び車載負荷の定格電圧値に基づき電源電圧をPWM制御し、定格電圧程度に降圧して車載負荷に与える技術が実用化されている。
【0003】
特許文献1には、電源電圧がPWM回路の動作上限電圧及び動作下限電圧の範囲外になったとき、PWM回路のデュ―ティ制御を停止させる車載用電源装置が記載されている。検出回路は、電源電圧がPWM回路の動作上限電圧及び動作下限電圧の範囲内に復帰したとき、所定の遅延時間後に、PWM回路のデュ―ティ制御を開始させる。これにより、バッテリ電圧及び直流入力電源電圧に大きな周波数変動や電圧変動又はこれらの複合変動が発生したとしても、PWM回路の誤差増幅器が位相ずれにより正帰還領域で動作することがなく、出力電圧の発振を防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−34237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、空調機(空気調和機)に使用されるモータは、始動時に突入電流が発生し、これにより電源電圧が低下するが、比較的に容量が大きいモータの場合、突入電流は、図7に示すように、数ミリ秒間で最大値に到達する。その為、上述したように、電源電圧をPWM制御している場合、検出回路が電源電圧の低下を検出してPWM制御(PWM回路のデュ―ティ制御)を停止しても間に合わず、PWM制御による降圧と突入電流による低下とが合わさって、電源電圧が定格を下回ることがあるという問題がある。また、電源電圧のPWM制御停止を早める為に、電源電圧の閾値を高くすると、PWM制御停止が頻繁になり、消費電力を削減する効果が小さくなるという問題がある。
尚、ヘッドランプ等では、瞬間的に電源電圧が定格割れ(定格を下回ること)を起こすと、一瞬暗くなる。
【0006】
本発明は、上述したような事情に鑑みてなされたものであり、一方の負荷の電源電圧をPWM制御している場合に、突入電流が発生する他方の負荷が始動しても、一方の負荷の電源電圧が定格を下回ることを防止でき、消費電力の削減効果の低下を防止できる電源システムを提供することを目的とする。
本発明は、また、本発明に係る電源システムに好適に使用されるPWM電源制御装置を提供することを目的とする。
本発明は、また、本発明に係る電源システムに好適に使用される負荷制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明に係る電源システムは、電源電圧を第1負荷に与える手段と、検出した電源電圧値に応じたデュ―ティ比で電源電圧をPWM制御し、PWM制御した電源電圧を第2負荷に与えるPWM電源制御装置とを備える電源システムにおいて、前記第1負荷の始動指示信号を外部から受信する受信手段と、該受信手段が始動指示信号を受信したときから所定時間遅延させて前記第1負荷を始動させる始動手段と、前記受信手段が始動指示信号を受信したときに、前記第1負荷が始動前であることを示す始動前信号を前記PWM電源制御装置へ送信する手段とを備え、該PWM電源制御装置は、前記始動前信号を受信する第2受信手段と、前記第1負荷の始動電流値を記憶してあり、前記第2受信手段が始動前信号を受信したときに、記憶してある始動電流値及び検出した電源電圧値に基づき、前記第1負荷の始動時に前記第2負荷へのPWM制御を継続すべきか否かを判定する判定手段とを有し、該判定手段が継続すべきでないと判定したときは、(デュ―ティ比を100%にして、実効的に)前記PWM制御を停止するように構成してあることを特徴とする。
尚、以下で、「PWM制御を停止する」とは「PWM制御のデュ―ティ比を100%にする」との意を含み、「PWM制御を再開する」とは「デュ―ティ比100%のPWM制御から、所定のデュ―ティ比のPWM制御に移行する」との意を含むものとする。請求項における「PWM制御を停止する」、「PWM制御を再開する」もそれぞれ同様の意を含むことはいうまでもない。
【0008】
この電源システムでは、電源電圧を第1負荷に与えると共に、PWM電源制御装置が、検出した電源電圧値に応じたデュ―ティ比で電源電圧をPWM制御し、PWM制御した電源電圧を第2負荷に与える。受信手段が、第1負荷の始動指示信号を外部から受信し、始動手段が、受信手段が始動指示信号を受信したときから所定時間遅延させて第1負荷を始動させる。受信手段が始動指示信号を受信したときに、送信する手段が、第1負荷が始動前であることを示す始動前信号をPWM電源制御装置へ送信する。PWM電源制御装置は、第2受信手段が、始動前信号を受信し、判定手段が、第1負荷の始動電流値を記憶してあり、第2受信手段が始動前信号を受信したときに、記憶してある始動電流値及び検出した電源電圧値に基づき、第1負荷の始動時に第2負荷へのPWM制御を継続すべきか否かを判定し、判定手段が継続すべきでないと判定したときは、PWM制御を停止する。
【0009】
第2発明に係る電源システムは、前記PWM電源制御装置は、前記判定手段が継続すべきでないと判定したときは、前記PWM制御を停止した後、前記第1負荷の始動を許可する始動許可信号を送信する送信手段を更に有し、前記受信手段は、該送信手段が送信した始動許可信号を受信し、該受信手段が始動許可信号を受信したときは、前記始動手段が前記第1負荷を始動させるように構成してあることを特徴とする。
【0010】
この電源システムでは、PWM電源制御装置は、判定手段が継続すべきでないと判定したときは、PWM制御を停止した後、送信手段が、第1負荷の始動を許可する始動許可信号を送信する。受信手段は、送信手段が送信した始動許可信号を受信し、受信手段が始動許可信号を受信したときは、始動手段が第1負荷を始動させる。
【0011】
第3発明に係る電源システムは、前記PWM電源制御装置は、前記送信手段が始動許可信号を送信した後、第2時間経過したときは、前記PWM制御を再開するように構成してあることを特徴とする。
【0012】
この電源システムでは、PWM電源制御装置は、送信手段が始動許可信号を送信した後、第2時間経過したときは、PWM制御を再開する。
【0013】
第4発明に係るPWM電源制御装置は、第1負荷に与えられる電源電圧を検出した電源電圧値に応じたデュ―ティ比で電源電圧をPWM制御し、PWM制御した電源電圧を第2負荷に与えるPWM電源制御装置において、前記第1負荷が始動前であることを示す始動前信号を受信する受信手段と、前記第1負荷の始動電流値を記憶してあり、前記受信手段が始動前信号を受信したときに、記憶してある始動電流値及び検出した電源電圧値に基づき、前記第1負荷の始動時に前記第2負荷へのPWM制御を継続すべきか否かを判定する判定手段とを備え、該判定手段が継続すべきでないと判定したときは、前記PWM制御を停止するように構成してあることを特徴とする。
【0014】
このPWM電源制御装置では、第1負荷に与えられる電源電圧を検出した電源電圧値に応じたデュ―ティ比で電源電圧をPWM制御し、PWM制御した電源電圧を第2負荷に与える。受信手段が、第1負荷が始動前であることを示す始動前信号を受信し、判定手段が、第1負荷の始動電流値を記憶してあり、受信手段が始動前信号を受信したときに、記憶してある始動電流値及び検出した電源電圧値に基づき、第1負荷の始動時に第2負荷へのPWM制御を継続すべきか否かを判定する。判定手段が継続すべきでないと判定したときは、PWM制御を停止する。
【0015】
第5発明に係るPWM電源制御装置は、前記判定手段が継続すべきでないと判定したときは、前記PWM制御を停止した後、前記第1負荷の始動を許可する始動許可信号を送信する送信手段を更に備えることを特徴とする。
【0016】
このPWM電源制御装置では、判定手段が継続すべきでないと判定したときは、PWM制御を停止した後、送信手段が、第1負荷の始動を許可する始動許可信号を送信する。
【0017】
第6発明に係るPWM電源制御装置は、前記送信手段が始動許可信号を送信した後、第2時間経過したときは、前記PWM制御を再開するように構成してあることを特徴とする。
【0018】
このPWM電源制御装置では、送信手段が始動許可信号を送信した後、第2時間経過したときは、PWM制御を再開する。
【0019】
第7発明に係る負荷制御装置は、負荷の始動指示信号を外部から受信する受信手段を備え、前記負荷を駆動制御するように構成してある負荷制御装置において、前記受信手段が始動指示信号を受信したときから所定時間遅延させて前記負荷を始動させる始動手段と、前記受信手段が始動指示信号を受信したときに、前記負荷が始動前であることを示す始動前信号を外部へ送信する手段とを備えることを特徴とする。
【0020】
この負荷制御装置では、受信手段が、負荷の始動指示信号を外部から受信し、受信手段が受信した始動指示信号に基づき、負荷を駆動制御する。始動手段が、受信手段が始動指示信号を受信したときから所定時間遅延させて負荷を始動させ、受信手段が始動指示信号を受信したときに、送信する手段が、負荷が始動前であることを示す始動前信号を外部へ送信する。
【0021】
第8発明に係る負荷制御装置は、前記受信手段は、外部から前記負荷の始動許可信号を受信し、前記受信手段が始動許可信号を受信したときは、前記始動手段が前記負荷を始動させるように構成してあることを特徴とする。
【0022】
この負荷制御装置では、受信手段は、外部から負荷の始動許可信号を受信し、受信手段が始動許可信号を受信したときは、始動手段が負荷を始動させる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る電源システムによれば、一方の負荷の電源電圧をPWM制御している場合に、突入電流が発生する他方の負荷が始動しても、一方の負荷の電源電圧が定格を下回ることを防止でき、消費電力の削減効果の低下を防止できる電源システムを実現することができる。
【0024】
本発明に係るPWM電源制御装置によれば、本発明に係る電源システムに好適に使用されるPWM電源制御装置を実現することができる。
本発明に係る負荷制御装置によれば、本発明に係る電源システムに好適に使用される負荷制御装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る電源システム、PWM電源制御装置及び負荷制御装置の実施の形態の要部構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る電源システム(PWM電源制御装置)の動作の例を示すフローチャートである。
【図3】本発明に係る電源システム(負荷制御装置)の動作の例を示すフローチャートである。
【図4】許容電流マップのイメージの例を示す説明図である。
【図5】本発明に係るPWM電源制御装置の動作の例を説明する説明図である。
【図6】本発明に係るPWM電源制御装置の動作の例を説明する説明図である。
【図7】突入電流の例を示す波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明をその実施の形態を示す図面に基づき説明する。
図1は、本発明に係る電源システム、PWM電源制御装置及び負荷制御装置の実施の形態の要部構成例を示すブロック図である。
この電源システムは、車両用電源システムであり、図示しないエンジンに連動して発電し、発電した交流電力を整流して出力するオルタネータ2及びバッテリ1から電力を供給される。オルタネータ2が出力した電力は、バッテリ1に充電されると共に、ランプECU(PWM電源制御装置)3、ボディーECU6、パワーウィンドーECU9、空調機ECU(負荷制御装置)10、空調機11等の負荷に与えられる。
【0027】
ボディーECU6は、車体に関係する負荷の操作スイッチ類と接続され、操作スイッチへの操作を受付けて、当該負荷のECUへその操作信号を送信する。ここでは、例えば、ヘッドランプ4,5のランプスイッチ7が接続され、ランプスイッチ7への操作を受付け、CAN(Controller Area Network)等の通信線13を通じてランプECU3へその操作信号を送信する。
パワーウィンドーECU9は、ボディーECU6に接続された当該操作スイッチが操作されると、ボディーECU6から通信線13を通じて、その操作信号を受信し、パワーウィンドーモータ8を駆動制御する。
【0028】
空調機ECU10は、ボディーECU6に接続された当該操作スイッチが操作されると、ボディーECU6から通信線13を通じて、その操作信号を受信し、受信した操作信号に応じて、空調機11内のブロアモータ12及びコンプレッサ(図示せず)等を駆動制御する。
ランプECU3は、ボディーECU6に接続された当該操作スイッチが操作されると、ボディーECU6から通信線13を通じて、その操作信号を受信する。次いで、ランプECU3は、入力されている電源電圧値を周期的に検出し、検出した電源電圧値が、ヘッドランプ4,5の定格電圧値12Vよりも高いときは、電源電圧値が12Vに降圧されるようにデュ―ティ比を定めてPWM制御し、PWM制御した電源電圧をヘッドランプ4,5に与える。
【0029】
ランプECU3は、ブロアモータ12、コンプレッサ(図示せず)、パワーウィンドーモータ8及びワイパーモータ(図示せず)等のそれぞれの突入電流値を記憶している。
また、ランプECU3は、図4にそのイメージを示す許容電流マップを記憶している。許容電流マップは、検出した入力電圧値(電源電圧値)を縦軸に、突入電流値を横軸に取り、突入電流が発生しても、電源電圧が定格割れ(定格を下回ること)を起こす可能性がない電源電圧値の領域を「OKゾーン」とし、突入電流が発生すると、定格割れを起こす可能性が有る電源電圧値の領域を「NGゾーン」として設定してある。「OKゾーン」及び「NGゾーン」は、実測又は計算に基づき定める。
【0030】
例えば、空調機ECU10は、ボディーECU6から通信線13を通じて、ブロアモータ12の操作信号を受信すると、ブロアモータ12の始動前信号を、通信線13を通じて、ランプECU3へ送信すると共に、所定時間、ブロアモータ12を始動させずに待機する。
ランプECU3は、ブロアモータ12の始動前信号を受信すると、記憶している許容電流マップ(図4)において、記憶してあるブロアモータ12の突入電流値(横軸)と検出した電源電圧値(縦軸)とによる点が、「OKゾーン」及び「NGゾーン」の何れに含まれるかを判定する。
【0031】
ランプECU3は、突入電流値と電源電圧値とで定まる点が、「NGゾーン」に含まれると判定したときは、電源電圧のPWM制御を停止すると共に、ブロアモータ12の始動許可信号を、通信線13を通じて、空調機ECU10へ送信する。
空調機ECU10は、ブロアモータ12の始動許可信号を受信すると、ブロアモータ12を始動させる。
【0032】
以下に、このような構成の電源システムの動作の例を、それを示す図2,3のフローチャートを参照しながら説明する。
ランプECU3は、ボディーECU6からランプスイッチ7をオンにする操作信号を受信すると(S1)、入力されている電源電圧値を検出し、検出した電源電圧値が12Vに降圧されるようにデュ―ティ比を定めて、電源電圧をPWM制御し、PWM制御した電源電圧のヘッドランプ4,5への供給を開始する(S3)。
【0033】
ランプECU3は、PWM制御した電源電圧をヘッドランプ4,5へ供給している場合、空調機ECU10からブロアモータ12の始動前信号を受信したか否かを判定し(S5)、ブロアモータ12の始動前信号を受信したときは、ブロアモータ12の始動により電源電圧が定格割れする可能性を判定する(S7)。
ランプECU3は、PWM制御した電源電圧をヘッドランプ4,5へ供給している場合に、空調機ECU10からブロアモータ12の始動前信号を受信していなければ(S5)、ボディーECU6からランプスイッチ7をオフにする操作信号を受信したか否かを判定する(S25)。
【0034】
ランプECU3は、ボディーECU6からランプスイッチ7をオフにする操作信号を受信していなければ(S25)、空調機ECU10からブロアモータ12の始動前信号を受信したか否かを判定する(S5)。
ランプECU3は、ボディーECU6からランプスイッチ7をオフにする操作信号を受信していれば(S25)、ヘッドランプ4,5への電力供給を停止する(S27)。次いで、ランプECU3は、ボディーECU6からランプスイッチ7をオンにする操作信号を受信しているか否かを判定する(S1)。
【0035】
ランプECU3は、ブロアモータ12の始動により電源電圧が定格割れする可能性を判定する際(S7)は、記憶している許容電流マップ(図4)において、記憶してあるブロアモータ12の突入電流値(横軸)と検出した電源電圧値(縦軸)とで定まる点が、「OKゾーン」及び「NGゾーン」の何れに含まれるかを判定する。
【0036】
ランプECU3は、図5に示すように、記憶してあるブロアモータ12の突入電流値(横軸)が例えば100Aであり、検出した電源電圧値(縦軸)が例えば13.7Vであれば、両者で定まる点が「OKゾーン」に含まれているので、定格割れの可能性無しと判定する(S9)。
ランプECU3は、図6に示すように、記憶してあるブロアモータ12の突入電流値(横軸)が例えば100Aであり、検出した電源電圧値(縦軸)が例えば12.3Vであれば、両者で定まる点が「NGゾーン」に含まれているので、定格割れの可能性有りと判定する(S9)。
【0037】
ランプECU3は、定格割れの可能性無しと判定したときは(S9)、ボディーECU6からランプスイッチ7をオフにする操作信号を受信したか否かを判定する(S25)。
ランプECU3は、定格割れの可能性有りと判定したときは(S9)、デュ―ティ比を100%に定めて電源電圧をPWM制御し、PWM制御した電源電圧のヘッドランプ4,5への供給を開始(PWM制御停止)する(S11)。
【0038】
ランプECU3は、PWM制御した電源電圧のヘッドランプ4,5への供給を開始(PWM制御停止)した後(S11)、空調機ECU10へブロアモータ12の始動許可信号を送信し(S13)、送信してから所定時間T1が経過する迄待機する(S15)。
ランプECU3は、所定時間T1が経過すると(S15)、ボディーECU6からランプスイッチ7をオフにする操作信号を受信したか否かを判定する(S17)。
【0039】
ランプECU3は、ランプスイッチ7をオフにする操作信号を受信していなければ(S17)、入力されている電源電圧値を検出し、検出した電源電圧値が12Vに降圧されるようにデュ―ティ比を定めて、電源電圧をPWM制御し、PWM制御した電源電圧のヘッドランプ4,5への供給を再開する(S3)。
ランプECU3は、ランプスイッチ7をオフにする操作信号を受信していれば(S17)、ヘッドランプ4,5への電力供給を停止する(S19)。次いで、ランプECU3は、ボディーECU6からランプスイッチ7をオンにする操作信号を受信しているか否かを判定する(S1)。
【0040】
ランプECU3は、ボディーECU6からランプスイッチ7をオンにする操作信号を受信していなければ(S1)、空調機ECU10からブロアモータ12の始動前信号を受信したか否かを判定する(S21)。
ランプECU3は、ブロアモータ12の始動前信号を受信したときは(S21)、空調機ECU10へブロアモータ12の始動許可信号を送信した後(S23)、ボディーECU6からランプスイッチ7をオンにする操作信号を受信しているか否かを判定する(S1)。
ランプECU3は、ブロアモータ12の始動前信号を受信していなければ(S21)、ボディーECU6からランプスイッチ7をオンにする操作信号を受信しているか否かを判定する(S1)。
【0041】
空調機ECU10は、ボディーECU6からブロアモータ12の操作スイッチ(図示せず)をオンにする始動指示信号を受信したか否かを判定し(S31)、始動指示信号を受信していれば、ブロアモータ12の始動前信号をランプECU3へ送信する(S33)。空調機ECU10は、始動指示信号を受信していなければ(S31)、始動指示信号を受信する迄待機する。
【0042】
空調機ECU10は、始動前信号をランプECU3へ送信した後(S33)、ランプECU3からブロアモータ12の始動許可信号を受信したか否かを判定しながら(S35)、始動前信号を送信してから(S33)所定時間T2が経過する迄待機する(S37)。
空調機ECU10は、始動許可信号を受信する迄に(S35)、所定時間T2が経過すると(S37)、ブロアモータ12を始動させる(S39)。
空調機ECU10は、所定時間T2が経過する迄に(S37)、始動許可信号を受信したときは(S35)、ブロアモータ12を始動させる(S39)。
【0043】
空調機ECU10は、ブロアモータ12を始動させた後(S39)、ボディーECU6からブロアモータ12の操作スイッチ(図示せず)をオフにする停止指示信号を受信する迄(S41)、ブロアモータ12を駆動制御する。
空調機ECU10は、停止指示信号を受信したときは(S41)、ブロアモータ12を停止させた後(S43)、ボディーECU6からブロアモータ12の操作スイッチ(図示せず)をオンにする始動指示信号を受信したか否かを判定する(S31)。
【0044】
尚、本実施の形態では、突入電流を発生させる負荷(第1負荷)として、ブロアモータ12を採用しているが、空調機ECU10が駆動制御するコンプレッサモータ、パワーウィンドーECU9が駆動制御するパワーウィンドーモータ8、及びワイパーモータ等も同様に採用することが可能である。また、突入電流を発生させる複数の負荷を採用して、本実施の形態と同様の構成とすることも可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 バッテリ
2 オルタネータ
3 ランプECU(PWM電源制御装置)
4,5 ヘッドランプ
6 ボディーECU
7 ランプスイッチ
8 パワーウィンドーモータ
9 パワーウィンドーECU
10 空調機ECU(負荷制御装置)
11 空調機
12 ブロアモータ
13 通信線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源電圧を第1負荷に与える手段と、検出した電源電圧値に応じたデュ―ティ比で電源電圧をPWM制御し、PWM制御した電源電圧を第2負荷に与えるPWM電源制御装置とを備える電源システムにおいて、
前記第1負荷の始動指示信号を外部から受信する受信手段と、該受信手段が始動指示信号を受信したときから所定時間遅延させて前記第1負荷を始動させる始動手段と、前記受信手段が始動指示信号を受信したときに、前記第1負荷が始動前であることを示す始動前信号を前記PWM電源制御装置へ送信する手段とを備え、該PWM電源制御装置は、前記始動前信号を受信する第2受信手段と、前記第1負荷の始動電流値を記憶してあり、前記第2受信手段が始動前信号を受信したときに、記憶してある始動電流値及び検出した電源電圧値に基づき、前記第1負荷の始動時に前記第2負荷へのPWM制御を継続すべきか否かを判定する判定手段とを有し、該判定手段が継続すべきでないと判定したときは、前記PWM制御を停止するように構成してあることを特徴とする電源システム。
【請求項2】
前記PWM電源制御装置は、前記判定手段が継続すべきでないと判定したときは、前記PWM制御を停止した後、前記第1負荷の始動を許可する始動許可信号を送信する送信手段を更に有し、前記受信手段は、該送信手段が送信した始動許可信号を受信し、該受信手段が始動許可信号を受信したときは、前記始動手段が前記第1負荷を始動させるように構成してある請求項1記載の電源システム。
【請求項3】
前記PWM電源制御装置は、前記送信手段が始動許可信号を送信した後、第2時間経過したときは、前記PWM制御を再開するように構成してある請求項2記載の電源システム。
【請求項4】
第1負荷に与えられる電源電圧を検出した電源電圧値に応じたデュ―ティ比で電源電圧をPWM制御し、PWM制御した電源電圧を第2負荷に与えるPWM電源制御装置において、
前記第1負荷が始動前であることを示す始動前信号を受信する受信手段と、前記第1負荷の始動電流値を記憶してあり、前記受信手段が始動前信号を受信したときに、記憶してある始動電流値及び検出した電源電圧値に基づき、前記第1負荷の始動時に前記第2負荷へのPWM制御を継続すべきか否かを判定する判定手段とを備え、該判定手段が継続すべきでないと判定したときは、前記PWM制御を停止するように構成してあることを特徴とするPWM電源制御装置。
【請求項5】
前記判定手段が継続すべきでないと判定したときは、前記PWM制御を停止した後、前記第1負荷の始動を許可する始動許可信号を送信する送信手段を更に備える請求項4記載のPWM電源制御装置。
【請求項6】
前記送信手段が始動許可信号を送信した後、第2時間経過したときは、前記PWM制御を再開するように構成してある請求項5記載のPWM電源制御装置。
【請求項7】
負荷の始動指示信号を外部から受信する受信手段を備え、前記負荷を駆動制御するように構成してある負荷制御装置において、
前記受信手段が始動指示信号を受信したときから所定時間遅延させて前記負荷を始動させる始動手段と、前記受信手段が始動指示信号を受信したときに、前記負荷が始動前であることを示す始動前信号を外部へ送信する手段とを備えることを特徴とする負荷制御装置。
【請求項8】
前記受信手段は、外部から前記負荷の始動許可信号を受信し、前記受信手段が始動許可信号を受信したときは、前記始動手段が前記負荷を始動させるように構成してある請求項7記載の負荷制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−9562(P2013−9562A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−142184(P2011−142184)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】