説明

電源システム及び制御の方法

起動モード(MS)において、起動時刻(t3、t13)において、電源変換器(11)が動作を開始する。起動時刻(t3、t13)から所定の時間(T2、T12)の後、電源変換器(11)の出力電圧(Vo)が所望の値を持つか否かがチェックされる。否であれば保護モード(M3)に入り、そうでなければ通常動作モード(M2)に入る。通常動作モード(M2)の間、出力電圧(Vo)の降下が発生しているか否かがチェックされる。そうであれば、最初に、電源変換器(11)がオフモード(M1)にされる。次いで、電源変換器(11)は起動モード(MS)にされる。再起動の後、出力電圧(Vo)が所望の値を持つ場合には、このとき検出された出力電圧(Vo)の降下は電源変換器(11)の入力部における電源電圧(Vm)の降下によるものである見込みが高く、通常動作モード(M2)が再開されることができる。再起動の後、出力電圧(Vo)が所望の値を持たない場合には、このとき検出された出力電圧(Vo)の降下は障害によるものである見込みが高く、保護モード(M3)に入る。このとき、電源変換器(11)は起動モード(MS)に入ることを完全に許可されないか、又は比較的長い時間の後にのみ許可される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源システムを制御する方法、電源変換器を有する電源システム及び電源システムを有する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビジョン受信器においては、ユーザコマンドを受信するための、及びシステムの機能を制御するためのマイクロプロセッサを有する主制御ユニットを利用することが一般的である。主制御器はまた、テレビジョン受信器の回路によって必要とされる電源電圧を供給する電源変換器を有する電源変換システムを制御するために利用され得る。十分に定義されたオン−オフのシーケンスが必要とされる場合、前記制御は電源変換器のオン/オフの切り換えの瞬間の制御を含む。前記制御はまた、受信器の起動及びスイッチオフの振舞を最適化するため、及び電源変換器又は電源変換器に接続された回路が障害を起こした場合に受信器の安全を保証するために、電源変換器の出力電圧を監視することをも含み得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
電源変換システムを制御するための、相反する設計基準が存在する。第1には、前記受信器は、可能な限り少ない障害又はユーザインタラクションで、電源変換システムの電源入力において、電源電圧の降下(電源低下とも呼ばれる)に対処すべきである。かような電源低下は、電源電圧のレベルをチェックするために電源変換システムの入力に接続された電源入力検出回路を用いて検出される。第2には、電源変換システムの出力電圧が基準レベルを下回る場合(出力低下の発生とも呼ばれる)、主制御器は、該出力低下が電源低下によるものか否かを検出するべきである。主制御器は、電源変換器の障害を反映する出力低下と、電源低下による出力低下とを見分ける必要がある。電源変換器の障害が検出された場合、主制御器は、安全な状況が存在する保護モードに受信器を設定するべきである。通常、保護モードにおいては、電源変換システムはスイッチオフされ、スイッチオンされることを完全に禁止されるか又は比較的長い時間の間禁止される。
【0004】
従って、主制御器が受信器を保護モードに正常に設定した場合には、ユーザは、比較的長い時間受信器が不必要にスイッチオフされるという問題、又は受信器を再起動するために幾つかの動作をとる必要があるという問題に直面する。
【0005】
本発明の目的は、一方で電源低下の際の振舞と、他方で電源システムの障害の際の振舞との、改善された両立を提供する電源システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、請求項1に記載の電源システムを制御する方法を提供する。本発明の第2の態様は、請求項9に記載の電源変換器を有する電源システムを提供する。本発明の第3の態様は、請求項10に記載の電源システムを有する電子機器を提供する。有利な実施例は、従属請求項において定義される。
【0007】
本発明の第1の態様による電源システムは、幾つかのモードで動作することが可能な電源変換器を有する。オフモードにおいては、前記電源変換器は、スイッチオフされゼロ電圧を供給するか、又は低出力電圧が利用可能であるスタンバイ状態にある。起動モードにおいては、前記電源変換器は、通常動作モードに入るべく起動している。前記通常動作モードにおいては、前記電源変換器は、所望の公称値を持つ出力電圧を供給する。保護モードにおいては、前記電源変換器は、起動モードに入ることを完全に防止されるか、又は十分長い時間の間禁止される。
【0008】
前記起動モードは、前記電源変換システムを有する機器が動作を開始すべきであることを示すユーザによって、起動時に始動されても良い。前記電源変換器は、前記起動時に動作を開始する。前記起動時から所定の時間の後、前記電源変換器の出力電圧が所望の値を持つか否かがチェックされる。否であれば保護モードに入り、そうでなければ通常動作モードに入る。
【0009】
前記通常動作モードの間、前記出力電圧の降下が発生しているか否かがチェックされる。発生している場合には、前記電源変換器は最初にオフモードに入り、次いで前記電源変換器を再起動するために起動モードが開始される。前記電源変換器の再起動の後、前記出力電圧が所望の値を持つ場合には、前に検出された前記出力電圧の降下は前記電源変換器の入力部における電源電圧の降下によるものであった見込みが高く、前記通常動作モードが再開されることができる。前記再起動の後、前記出力電圧が所望の値を持たない場合には、前に検出された前記出力電圧の降下は障害によるものであった見込みが高く、前記保護モードに入る。このとき前記電源変換器は、前記起動モードに入ることを完全に許可されないか、又は比較的長い時間の後にのみ許可される。
【0010】
既知のアルゴリズムとの違いは、(i)前記保護モードに入ることを制御する障害検出が、前記起動モードの間のみアクティブにされ、オンモードの間はアクティブにされないこと、及び(ii)オンモードの間に検出される出力電圧降下は、常に前記電源変換器の再起動に導き、前記保護モードには導かない。
【0011】
本発明による電源変換システムは、電源変換器の入力部における電源電圧についての情報を必要としない。電源入力検出回路は、電源電圧の値の広がりのため、複雑な回路である。受信器が異なる電源電圧の範囲(例えば230V及び110V)に対処することが可能であるべき場合には、該広がりはとりわけ大きくなる。更に、テレビジョン受信器において一般に利用されているような電源が分離された電源変換システム又は他の電源供給される消費者向け電子機器においては、電源入力検出器は電源の分離を短絡させる必要がある。このことは、前記電源変換器の電源絶縁されていない側において電源電圧を感知し、前記電源変換器の電源絶縁された側における主制御器へ前記感知の結果を示す信号を供給することが可能であることが必要とされる。電源分離の間のこの追加的な短絡は、安全性のリスクを増大させ、EMC(Electro Magnetic Compatibility)認証を阻害する。なぜなら、追加の電流が電源分離の障壁を越えて該短絡を流れるからである。
【0012】
請求項3に記載の本発明による実施例においては、前記電源システムは、保護モードに入ると該保護モードのまま留まる。前記システムの再起動は、ユーザ割り込みの後、又はシステムの修復の後にのみ可能となり得る。この方法は、障害の起きたシステムにおいて危険な状況が発生することを防止する。
【0013】
請求項4に記載の本発明による実施例においては、前記保護モードに入った後、前記電源システムは、起動モードに入る前に所定の時間待機する。通常、該所定の時間は、比較的長い。該比較的長い所定の時間の後、前記システムは自動的に障害が依然として存在するかをチェックする。所定の回数の再起動の後に障害が依然として存在する場合は、前記システムは該システムを再起動する試みを中止するように決定しても良い。この方法は、障害が例えば過熱によるものであった場合に有利となり得る。幾分かの時間の後、前記システムが冷却されたときに、該システムは問題なく動作し得る。前記比較的長い時間は、出力降下が検出された時点から、前記電源変換器が再起動される再起動時までの時間よりも、かなり長いべきである。
【0014】
請求項5に記載の本発明による実施例においては、前記電源変換器が前記保護モードにおいて完全にスイッチオフされる。このことは、最も安全なモードである。代替として前記電源変換器は、前記システムが前記保護モードにあることをユーザに示唆することが可能であり、可能であれば前記システムを再起動させることが可能であるのに十分なレベルを持つ少なくとも1つの電圧が存在する、低減出力モードで動作しても良い。
【0015】
請求項6に記載の本発明による実施例においては、回路の動作状態についての情報が、前記電源変換器が前記オフモードに入る前に保存される。該情報は、例えば明るさ、コントラスト、番組チャネル又はその他のテレビジョン受信器又は他の電源供給される電子機器の制御可能な機能のような、ユーザ定義されたものであっても良い。前記保存された情報は、前記起動モードの間又は前記起動モードの後に、前記出力電圧の降下が検出される前の回路の状態を復元するために利用される。このことは、ユーザが干渉する必要がなく、出力降下が検出される前に存在した状況を前記システム自体が復元するという利点を持つ。
【0016】
請求項7に記載の本発明による実施例においては、前記システムは更に、前記通常動作モードに入ったことを示すフラグを設定する。該フラグは、外部命令により前記オフモードに入った場合にリセットされる。通常、前記外部命令は、前記システムをスイッチオフすること、又は前記システムをスタンバイ状態に設定することを示すユーザ命令である。電源降下又は障害のために前記電源変換器が再起動した場合、前記フラグはリセットされない。従って、前記リセットの後前記出力電圧が所望の値を持つことが検出され、且つ前記フラグがリセットされていない場合には、このことは前記電源変換器が再起動していることを意味し、出力電圧の降下が検出される前の状況についての保存された情報が、後続する通常動作モードにおいて利用される。
【0017】
請求項8に記載の本発明による実施例においては、前記システムは更に、前記通常動作モードに入ったことを示すフラグを設定する。該フラグは、外部命令により前記オフモードに入った場合にリセットされる。電源降下又は障害のために前記電源変換器が再起動した場合、前記フラグはリセットされない。従って、前記リセットの後前記出力電圧が所望の値を持つことが検出され、且つ前記フラグがリセットされている場合には、前記電源変換器が出力電圧降下ではなく外部命令により起動していることがわかる。ここでは、デフォルトの設定が、起動モードの間に利用される。前記デフォルトの設定は、メモリに保存されていても良い。出力電圧が所望のレベルを持つことが検出された後に前記デフォルトの値を入力することも可能である。
【0018】
前記電子機器は、テレビジョン受信器、又は例えばモニタ、DVDプレイヤ若しくはオーディオアンプのような電源で動作するその他の電子製品であっても良い。
【0019】
本発明のこれらの及び他の態様は、以下に記載実施例を参照しながら説明され、明らかとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
異なる図における同一の参照記号は、同一の機能を持ち同様に動作する同一のアイテムを指す。
【0021】
図1は、本発明の実施例による電源システムを制御する方法のフロー図を示す。前記システムは、起動モード即ち起動フェーズMSに、2つの異なる支路B1又はB2を介して入り得る。第1の支路B1には、ユーザが前記システムを起動する命令を供給した場合に入る。第2の支路B2には、通常動作モードM2の間に出力電圧Voのレベルの降下が検出された後に、本アルゴリズムによって自動的に入られる。
【0022】
状態S0において、前記システムはオフモードM1にある。オフモードM1においては、前記システムは、例えば電源システムが電源入力電圧Vmを受信しないように電源スイッチを遮断することにより、完全にスイッチオフされても良い。代替としては、オフモードM1において、前記システムはスタンバイ状態であっても良い。電源システムは、スタンバイモードの間は、出力電圧が通常動作モードM2におけるよりも低いレベルを持つ低減電力モードにある、単一の電源変換器(図示されていない)を有しても良い。出力電圧の1つは、図3に示された回路Lo及びプロセッサ3の一部をアクティブにするために適切な高いレベルを持つ。これらの回路のアクティブな部分は、通常動作モードM2が望ましいことを示すユーザ命令を検出することが可能であり、通常動作モードM2を得るために電源変換器を起動することが可能である。代替として、前記電源システムは、幾つかの電源変換器10、11(図3を参照)を有する電源変換システム1を有しても良い。電源電圧SVを供給する電源変換器10は、オフモードM1の間アクティブである。他方の電源変換器11は、起動モード即ちフェーズMSの間アクティブであり、出力電圧Voを供給する。電源電圧SVは、スタンバイ状態の間電力を必要とする回路3及び4に供給される。
【0023】
以下、例としてのみ、これら2つの電源変換器10及び11が存在する状況に関して前記電源システムの動作が説明される。単一の電源変換器が利用される場合にも、同様のアルゴリズムが可能である。
【0024】
例えばユーザ命令により、状態S0におけるオフモードM1が残されるべき場合には、支路B1に入り、ステップS1において、起動モードMSがアクティブにされる。電源変換器11は動作を開始する。このことは、出力電圧Voが増加することを意味する。本アルゴリズムはステップS2に進み、ここで起動モードMSがアクティブにされてから所定の時間の後に出力電圧Voのレベルがチェックされる。該チェック時点において出力電圧Voのレベルが正常である場合、ステップS3に進み、そうでなければステップS9に進む。ステップS2は、出力電圧Voのレベルを基準レベルVrと比較する。出力電圧Voのレベルが基準レベルVrよりも高い場合、出力電圧Voのレベルは正常な公称値を持つと見なされる。
【0025】
ステップS9において電源変換器11はスイッチオフされ、ステップS10において保護モードに入る。
【0026】
任意のステップS3において、前記システムは所望の状態へと起動され、ステップS11において、前記システムが通常動作中となる通常動作モードM2が到達される。ステップS3における前記起動は、通常動作モードM2において望ましい又は必要とされる動作条件を設定するために必要とされ得る。ステップS12において、前記システムがユーザ命令又は他の外部命令ECによりスイッチオフされるべきであるか否かがチェックされ、そうであれば、本アルゴリズムはステップSoに進む。
【0027】
前記システムが通常動作モードM2にある場合、ステップS7において、出力電圧Voのレベルが所望の値を持つかがチェックされる。該チェックは好ましくは、出力電圧Voの降下が発生した場合に迅速に対応することが可能であるように、連続的に又は短い時間内に断続的に実行される。出力電圧Voの降下が検出されない限り、前記システムは通常動作モードM2に留まる。出力電圧Voの降下が検出された場合、ステップS8において前記システムはスイッチオフされる。ここで、前記システムはステップS13においてオフモードM1に入り、本アルゴリズムは支路B2を介してステップS1に進む。本アルゴリズムは上述したようにステップS1に進み、電源変換器11が起動(ここでは実際には再起動)され起動フェーズMSに入る。ステップS2において、出力電圧Voが正常なレベルを持つかがチェックされる。そうであれば、出力電圧Voの降下は電源降下によるものであった見込みが高く、前記システムは通常動作モードM2に入ることができる。否であれば、出力電圧Voの降下は障害によるものであった見込みが高く、ステップS9において、電源変換器11は保護モードM3へと設定される。
【0028】
図2は、本発明の実施例による電源システムを制御する方法の別のフロー図を示す。図1において利用された参照記号と等しい図2において用いられている参照記号は、同一の機能を持ち同様に動作する。図2に示されたアルゴリズムの、図1に示されたアルゴリズムに対する相違は、ステップS4及びS5が追加されたこと、並びにステップS3が2つのステップS30及びS31に分割されたことである。更に、ステップS11において、通常動作モードM2が到達されたことを示すフラグが設定され、ステップS12において、外部命令ECが電源変換器11がスイッチオフされた理由であることを示すために前記フラグがリセットされる。
【0029】
ステップS7において、出力電圧Voの降下が検出された場合、ステップS5において、ステップS8において前記システムがスイッチオフされる前に、回路Lo及び/又は前記システムの動作状態についての情報SI(図3を参照)が例えばメモリ4(図3を参照)に保存される。該保存された情報SIは、通常動作モードM2における、回路Lo及び/又は前記システムの振舞を定義する。
【0030】
ステップS2において、出力電圧Voが正常なレベルを持つことが検出された場合、ステップS4において、前記フラグの状態がチェックされる。前記フラグが依然として設定されている場合、本アルゴリズムはステップS13のオフモードM1から再起動を実行し、ステップS30において回路Lo及び/又は前記システムが保存された情報SIを用いて始動され、ステップS11において通常動作モードM2に入る。前記フラグがリセットされている場合、本アルゴリズムはステップM0のオフモードM1からコールドスタート(cold start)を実行し、ステップS31において回路Lo及び/又は前記システムがデフォルトの情報DIを用いて始動され、ステップS11において通常動作モードM2に入る。前記デフォルトの情報もまた、メモリ4に保存されても良い。前記デフォルト情報は好ましくは、回路Lo及び/又は前記システムの良く知られた動作状態を定義する。
【0031】
図3は、本発明の実施例による電源システムのブロック図を示す。
【0032】
前記電源システムは、電源変換システム1を有する。電源変換システム1は、AC入力電圧Vmを受信し電源電圧SVを供給する電源変換器又は調整器10と、出力電圧Voを供給する電源変換器又は調整器11と、イネーブル/ディスエーブル回路12とを有する。破線は、電源変換システム1のライフ(life)部分LPと電源分離部分MSPとの間の分離を示す。ライフ部分LPは、電源変換システム1の電源分離されていない部分である。
【0033】
前記電源システムは更に、制御器3、メモリ4、出力レベル検出器2及び負荷回路Loを有する。
【0034】
本発明による本実施例においては、電源変換システム1は、電源変換システム1の通常動作モードM2の間は存在すべきであり、電源変換システム1のオフモードM1の間はアクティブでないべきである出力電圧Voを供給する、電源変換器11を有する。電源変換器10は、オフモードM1の間制御器3及びメモリ4をアクティブに維持するために、オフモードM1の間電源電圧SVを供給する必要がある。出力電圧Voは、負荷回路Lo及び出力レベル検出器2に供給される。
【0035】
出力レベル検出器2は、出力電圧Voのレベルが基準レベルVrを超えているか否かを示す検出信号DSを供給するため、出力電圧Voのレベルを所定の基準レベルVrと比較する。制御器3は、検出信号DSを受信し、イネーブル/ディスエーブル回路12にオン−オフ制御信号OOCSを供給する。通常、制御器3は、図1及び2に関して議論されたような本発明による実施例の1つのアルゴリズムを実行するマイクロプロセッサ30を有する。例えばテレビジョン受信器のような電子機器においては、該マイクロプロセッサは、ユーザ命令を処理し、前記システムの負荷回路Loのような回路を制御する主プロセッサであっても良い。
【0036】
制御器3は、保存される情報SIを保存及び取得するため、メモリ4と通信する。
【0037】
前記システムの動作は、図1及び図2に関して既に説明されている。それ故、ここでは動作は手短に以下に説明される。図1及び2の説明におけるモードを変更するために制御される電源変換器は、図3においては電源変換器11であることは留意される必要がある。電源変換器11がオンモードM2にある場合、出力レベル検出器2は出力電圧Voのレベルを監視する。制御器3は、出力電圧Voのレベルが基準レベルVrよりも下に降下したか否かをチェックするため、出力レベル検出器2から検出信号DSを受信する。制御器3が、出力電圧Voのレベルが基準レベルVrよりも下に降下したことを示す検出信号DSを受信した場合、制御器3は最初に情報SIを保存し、次いで電源変換器11をスイッチオフするようにイネーブル/ディスエーブル回路12を制御するためのオン/オフ制御信号OOCSを供給する。所定の時間の後、制御器3は、起動フェーズMSを開始するため、電源変換器11をスイッチオンするようにイネーブル/ディスエーブル回路12を制御するためのオン/オフ制御信号OOCSを供給する。所定の時間の後、制御器3は、検出信号DSが出力電圧Voが所望のレベルを持つことを示すか否かをチェックする。そうであれば、制御器3は、保存された情報SIを取得し、該情報を回路Lo及び/又は前記システムに供給する。ここでは、電源変換器11は通常動作モード12にある。否である場合は、制御器3は、電源変換器11をスイッチオフするようにイネーブル/ディスエーブル回路12を制御するためのオン/オフ制御信号OOCSを供給する。ここで保護モードM3に入る。制御器3は、電源変換器11の再起動を完全に許可しないか、又は比較的長い時間内許可しない。該比較的長い時間は少なくとも、出力電圧Voのレベルの降下が検出された後にスイッチオフされたときの電源変換器11がオフモードM1にある時間よりも長い。
【0038】
図4は、本発明の実施例による電源システムのブロック図を示す。本ブロック図は、図3に示されたブロック図に基づく。出力レベル検出器2は省略されている。ここでは、制御器3は、アナログ−ディジタル変換器31を有する。アナログ−ディジタル変換器31は、出力電圧Voを受信し、出力電圧Voのレベルのディジタル表現DRを供給する。制御器3は、出力電圧Voが所望のレベルを持つかをチェックするために、該ディジタル表現DRを利用する。基準レベルVrはここではメモリ4に保存されていても良い。アナログ−ディジタル変換器31は、図3に示されたマイクロプロセッサ30の一部であっても良い。
【0039】
更に、デフォルト情報DIが前記メモリに保存される。デフォルト情報DIの使用は、図2に関して説明されている。
【0040】
図4に示された電源システムの実施例は、図3に示された実施例と同様に動作する。唯一の差は、制御器3が、出力電圧Voの降下を検出するために、出力レベル検出器2の出力信号DSではなく、アナログ−ディジタル変換器30を利用する点である。
【0041】
図5は、本発明による電源システムの実施例におけるイベントのフローを示すタイミング図を示す。図5Aは、時間tに対する、電源電圧Vmのレベルを示す。図5Bは、時間tに対する、出力電圧Voのレベルを示す。図5は、電源降下が発生した場合のアルゴリズムを説明する。
【0042】
時刻t0においては、前記電源システムは通常動作モードM2にあり、電源電圧Vmは公称値Vmnを持ち、出力電圧Voは公称値Vonを持つ。時刻t1において、電源電圧Vmが降下し始める。続いて、時刻t2において、出力電圧Voのレベルが、基準値Vrよりも下に降下する。制御器3は、電源変換器11をスイッチオフし、所定の時間T1の間電源変換器11をスイッチオフされたままに維持する。該所定の時間T1は、電源電圧Vmの降下の予期される継続時間よりも長く選択される。所定の時間T1は、時刻t2からt3まで継続し、オフモード即ちフェーズM1と呼ばれる。かくして、通常動作モードM2は、時刻t0から時刻t2まで継続する。該所定の時間T1の後、制御器3は、時刻t3において電源変換器11を再起動する。所定の時間T2の後、時刻t4において、制御器3は、出力電圧Voが基準レベルVrよりも高いレベルを持つかをチェックする。所定の時間T2は、時刻t3からt4まで継続し、起動モード又はフェーズMSと呼ばれる。該時間T2は、電源変換器11が障害なく動作する場合に、電源変換器11が出力電圧Voを安定させるために十分長く選択される。時刻t4において出力電圧Voのレベルが基準レベルVrよりも高いため、制御器3は、障害は存在せず、継続が許可される通常動作モードM2が存在することを知る。
【0043】
図6は、本発明による電源システムの実施例におけるイベントのフローを示すタイミング図を示す。図6Aは、時間tに対する、電源電圧Vmのレベルを示す。図6Bは、時間tに対する、出力電圧Voのレベルを示す。図6は、障害が発生した場合のアルゴリズムを説明する。
【0044】
時刻t10においては、前記電源システムは通常動作モードM2にあり、電源電圧Vmは公称値Vmnを持ち、出力電圧Voは公称値Vonを持つ。時刻t11において、障害が発生し、出力電圧Voのレベルを降下させる。一方、電源電圧Vmは依然として公称値Vmnを持つ。続いて、時刻t12において、出力電圧Voのレベルが、基準値Vrよりも下に降下する。制御器3は、電源変換器11をスイッチオフし、所定の時間T11の間電源変換器11をスイッチオフされたまま維持する。該所定の時間T11は、電源電圧Vmの降下の予期される継続時間よりも長く選択される。所定の時間T11は、時刻t12からt13まで継続し、オフモード即ちフェーズM1と呼ばれる。かくして、通常動作モードM2は、時刻t10から時刻t12まで継続する。該所定の時間T11の後、制御器3は、時刻t13において電源変換器11を再起動する。所定の時間T12の後、時刻t14において、制御器3は、出力電圧Voが所望のレベルを持つかをチェックする。所定の時間T12は、時刻t13からt14まで継続し、起動モード又はフェーズMSと呼ばれる。該時間T12は、電源変換器11が障害なく動作する場合に、電源変換器11が出力電圧Voを安定させるために十分長く選択される。時刻t14において出力電圧Voのレベルが基準レベルVrよりも高くないため、制御器3は、障害が存在することを知り、電源変換器11にスイッチオフするよう命令する。時刻t14において、保護モードM3に入る。このとき制御器3は、電源変換器11の再起動を完全に許可しないか、又は比較的長い時間の間許可しない。
【0045】
上述の実施例は本発明を限定するものではなく説明するものであって、当業者は添付する請求項の範囲から逸脱することなく多くの代替実施例を設計することが可能であろうことは留意されるべきである。
【0046】
請求項において、括弧に挟まれたいずれの参照記号も、請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。動詞「有する(comprise)」及びその語形変化の使用は、請求項に記載されたもの以外の要素又はステップの存在を除外するものではない。要素に先行する冠詞「1つの(a又はan)」は、複数のかような要素の存在を除外するものではない。本発明は、幾つかの別個の要素を有するハードウェアによって、及び適切にプログラムされたコンピュータによって実装されても良い。幾つかの手段を列記した装置請求項において、これら手段の幾つかは同一のハードウェアのアイテムによって実施化されても良い。特定の手段が相互に異なる従属請求項に列挙されているという単なる事実は、これら手段の組み合わせが有利に利用されることができないことを示すものではない。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施例による電源システムを制御する方法のフロー図を示す。
【図2】本発明の実施例による電源システムを制御する方法の別のフロー図を示す。
【図3】本発明の実施例による電源システムのブロック図を示す。
【図4】本発明の他の実施例による電源システムのブロック図を示す。
【図5(A)】本発明による電源システムの実施例におけるイベントのフローを示すタイミング図を示す。
【図5(B)】本発明による電源システムの実施例におけるイベントのフローを示すタイミング図を示す。
【図6(A)】本発明による電源システムの実施例におけるイベントのフローを示すタイミング図を示す。
【図6(B)】本発明による電源システムの実施例におけるイベントのフローを示すタイミング図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力電圧を生成する電源変換器を有し起動モード及び通常動作モードを持つ電源システムを制御する方法であって、前記方法は前記起動モードの間、
起動時刻において前記電源変換器を起動するステップと、
前記起動時刻から第1の所定の時間の後のチェック時刻において、前記出力電圧のレベルをチェックするステップと、
前記チェック時刻において前記出力電圧のレベルが所定のレベルを下回る場合に保護モードに入るように、そうでなければ前記通常動作モードに入るように、前記電源変換器を制御するステップと、
を有し、前記方法は前記通常動作モードの間、
前記出力電圧のレベルが前記所定のレベルより下に降下しているか否かをチェックするステップと、
前記チェックが前記出力電圧のレベルが前記所定のレベルより下に降下していることを示す場合に、オフモードを得るために前記電源変換器をスイッチオフ時刻においてスイッチオフするステップと、
前記スイッチオフ時刻の後の再起動時刻において前記起動モードに入るステップと、
を有する方法。
【請求項2】
前記再起動時刻は、前記スイッチオフ時刻から第2の所定の時間の後である、請求項1に記載の電源システムを制御する方法。
【請求項3】
前記保護モード中は、前記電源変換器が前記起動モードに入ることを防ぐステップを更に有する、請求項1に記載の電源システムを制御する方法。
【請求項4】
前記保護モード中は、別の所定の時間の間、前記電源変換器が前記起動モードに入ることを防ぐステップを更に有する、請求項1に記載の電源システムを制御する方法。
【請求項5】
前記保護モードの間、前記電源変換器は完全にスイッチオフされるか、又は低減出力電圧モードにある、請求項1に記載の電源システムを制御する方法。
【請求項6】
前記電源システムは、供給電圧として前記出力電圧を受信する回路を更に有し、前記方法は、
前記スイッチオフするステップに入る前に、保存された情報を得るため、オンモードの間に前記回路の動作状態についての情報を保存するステップと、
前記電源変換器を起動するステップの間又は前記電源変換器を起動するステップの後に、前記保存された情報を前記回路に供給するステップと、
を更に有する、請求項1に記載の電源システムを制御する方法。
【請求項7】
前記電源変換器が前記通常動作モードにある場合にフラグを設定するステップと、
外部命令による前記電源変換器のスイッチオフのときに前記フラグをリセットするステップと、
前記フラグの状態をチェックするステップと、
前記出力電圧のレベルのチェックが、前記出力電圧が前記所定のレベルを上回っていることを示し、且つ前記フラグの状態のチェックが、前記フラグが設定されていることを示す場合にのみ、前記保存された情報を前記回路に供給するステップと、
を更に有する、請求項6に記載の電源システムを制御する方法。
【請求項8】
前記電源変換器が前記通常動作モードにある場合にフラグを設定するステップと、
外部命令による前記電源変換器のスイッチオフのときに前記フラグをリセットするステップと、
前記フラグの状態をチェックするステップと、
前記出力電圧のレベルのチェックが、前記出力電圧が前記所定のレベルを上回っていることを示し、且つ前記フラグの状態のチェックが、前記フラグがリセットされていることを示す場合、デフォルトの動作情報を前記回路に供給するステップと、
を更に有する、請求項6に記載の電源システムを制御する方法。
【請求項9】
出力電圧を生成する電源変換器を有し起動モード及び通常動作モードを持つ電源システムであって、
前記起動モードの起動時刻において電源変換器を起動する手段と、
前記起動時刻から第1の所定の時間の後のチェック時刻において、前記出力電圧のレベルをチェックする手段と、
前記チェック時刻において前記出力電圧のレベルが所定のレベルを下回る場合に保護モードに入るように、そうでなければ前記通常動作モードに入るように、前記電源変換器を制御する手段と、
前記通常動作モードの間、前記出力電圧のレベルが前記所定のレベルより下に降下しているか否かをチェックするように構成されたチェック手段と、
前記通常動作モードの間、前記チェック手段が前記出力電圧のレベルが前記所定のレベルより下に降下していることを示す場合に、オフモードを得るために前記電源変換器をスイッチオフ時刻においてスイッチオフする手段と、
前記スイッチオフ時刻の後の再起動時刻において前記起動モードに入る手段と、
を有する電源システム。
【請求項10】
請求項9に記載の電源システムと、電源電圧として前記出力電圧を受信する回路とを有する電子機器。
【請求項11】
前記電源システムは保存手段を更に有し、前記制御する手段は、前記スイッチオフする手段が前記電源変換器をスイッチオフする前に、保存された情報を得るためオンモードの間前記回路の動作状態についての情報を保存するように前記保存手段を制御するように構成され、前記制御する手段は更に、前記起動する手段が前記電源変換器を再起動する間に又は再起動した後に、前記回路に前記保存された情報を供給するように構成された、請求項10に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【公表番号】特表2007−504799(P2007−504799A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−525939(P2006−525939)
【出願日】平成16年8月24日(2004.8.24)
【国際出願番号】PCT/IB2004/051550
【国際公開番号】WO2005/022734
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(501344315)コニンクリユケ フィリップス エレクトロニクス エヌ.ブイ. (174)
【Fターム(参考)】