説明

電源レギュレータで用いるためのコントローラ

【課題】電源のスイッチをスイッチングする装置および方法を開示する。
【解決手段】本発明の態様によれば、方法は、スイッチング・サイクル内でオンおよびオフをスイッチングするために、スイッチング電源のスイッチを制御することを含む。スイッチ信号発生器に、変調回路から電源の出力の負荷条件を示すフィードバック信号に応答するパルス幅変調スイッチング信号を与える。変調回路は、負荷条件示すフィードバック信号に応答して当該スイッチにおいて固定ピークスイッチング電流または該フィードバック信号に比例する可変ピークスイッチング電流を与える。さらに、マルチサイクル変調回路が設けられる。このマルチサイクル変調回路は、フィードバック信号に応答して負荷条件に応じてスイッチ信号を中断されることなく発生するかまたはスイッチ信号発生器を第1の時間の間ディスエーブルし次いで第2の時間の間スイッチ信号発生器をイネーブルする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は全体的に電源に関し、より詳細には、本発明はスイッチング・レギュレータに関する。
【背景技術】
【0002】
電子デバイスは、動作するために電力を使用する。スイッチング・モード電源は、それらの高い効率や良好な出力調節のために、多くの今日の電子デバイスを給電するために一般に使用されている。知られているスイッチング電源においては、低周波数(例えば、50Hzまたは60Hzの主周波数)の高電圧交流電流(AC)が、スイッチング・モード電源制御回路を使用して、高周波数(例えば、30kHzから300kHz)に変換される。この高周波数の高電圧ACは、電圧を通常低電圧に変圧しかつ安全に絶縁するために変圧器に印加される。変圧器の出力は、調節されたDC出力とするために整流され、その出力が電子デバイスを給電するために使用される。通常、スイッチング・モード電源制御回路は、出力を検知しかつ閉ループでそれを制御することによって出力を調節する。
【0003】
スイッチング電源の設計は、効率、サイズ、重量、コストの競合する要件の中での妥協である。定格出力電力を送る最適な解決方法では、通常、スイッチング周波数を人間が聞く範囲外の20kHzよりかなり高く設定する。
【0004】
調節要件は、スタンバイ負荷などの低い負荷時に高い効率で動作し、かつ無負荷時に非常に低い電力を消費する電源を必要とする。電源が、その定格電力より非常に低い電力を送るとき、電源内でのエネルギー損失は、スイッチング動作による損失が支配的である。したがって、その支配的な損失を低減するために出力電力が低いときは、電源が、より低いスイッチング周波数で動作することが必要である。スイッチング周波数は、負荷が高効率を維持するために低減するにつれ、線形的に低減される。低電力での最適なスイッチング周波数は、しばしば、20kHz未満の可聴周波数の帯域に入る。可聴周波数の帯域内のスイッチングは、機械的な共振のために、変圧器やセラミック・コンデンサなどの電源構成部品に望ましくない可聴雑音を生成することがある。
【0005】
スイッチング損失を低減しかつ軽い負荷時に効率を改善するための良く知られている技術は、軽い負荷時のバースト・モードで電源を動作することである。バースト・モード動作は、出力を調節するために閉ループで調整されるスイッチングの無い期間に続いて、高スイッチング周波数で連続する制御されない数のスイッチング・サイクルに電源を切り換える。したがって、平均スイッチング周波数は、軽い負荷時に効率を高く維持するために低減される。バースト・モード・スイッチングの望ましくない特性は、バーストにおける連続する高周波数スイッチング・サイクルの数も、バースト間のスイッチングの無い連続するサイクルの数も、所定の組の動作条件に対して決定されないことである。バースト・モード動作の不確定な性質は、制御されない可聴雑音の危険性を作る。実際、スイッチングの無い期間が続く連続するスイッチング・サイクルの繰り返しレートが、可聴周波数であるなら、可聴雑音は、より高い可聴エネルギー量のために、前述されたようなまさに線形の周波数の低減より悪くなることがある。可聴雑音は、軽い負荷効率を改善しかつ無負荷消費を低減するためにバースト・モード動作を使用することの主な欠点である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
スイッチング電源における雑音の最も問題のある源の1つは、変圧器である。スイッチング電源において一般に使用されるフェライト・コア変圧器は、8kHzから15kHzの範囲の機械的共振周波数を有する傾向がある。あるセラミック・コンデンサ、特に、フライバック電源における変圧器の一次巻線へ接続されたクランプ回路に使用されるセラミック・コンデンサも、そのような可聴周波数で共振する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の非限定かつ非排他的実施形態は、同様の参照符号が、他の方法で特定されなければ様々な図面を通して同様の部品を参照する以下の図面を参照して記載される。
【0008】
スイッチング電源における可聴周波数を低減しながら、高効率を維持するための装置が開示される。以下の記載において、多数の特定の詳細が、本発明の完全な理解を提供するために示される。しかしながら、特定の詳細が、本発明を実施するために必ずしも用いられる必要がないことは、当業者には明らかである。他の例において、良く知られている材料または方法が、本発明をあいまいにすることを避けるために詳細には記載されない。
【0009】
本明細書を通して「一実施形態」、「ある実施形態」、「一例」、「ある例」などの参照は、実施形態または例に関連して記載される特定の特徴、構造、または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態または例に含まれることを意味する。したがって、本明細書を通して様々な箇所で句「一実施形態において」、「ある実施形態において」、「一例」、または「ある例」の出現は全てが、同一の実施形態または例を必ずしも参照しているわけではない。さらに特定の特徴、構造、または特性が、任意の適切な組合せおよび/または1つ以上の実施形態または例の副組合せで組み合わされることができる。さらに、本明細書に添付された図面は、当業者に対する例示目的のためであり、かつ図面が、必ずしも同一縮尺で描かれていないことは理解される。
【0010】
議論されるように、同等の可聴周波数でのスイッチングの利点を維持しながら、可聴周波数での電源構成部品の機械的な励振を大きく低減する電源のスイッチのスイッチングの例が開示される。様々な例に従って、短い周期を有するスイッチング・サイクルが、スイッチングの無い間隔によって分離されるグループに集められる。スイッチング電源の出力の調節は、本発明の教示に従って、スイッチのスイッチング・サイクルのグループの期間と、スイッチのスイッチング・サイクルのグループの間のスイッチングの無い期間とを制御することによって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1A】負荷に電力を提供する例示的なスイッチング電源を全体的に示すブロック図である。
【図1B】図1Aの例示的なスイッチング電源のスイッチング電流波形の例を全体的に示す図である。
【図2】本発明の教示による負荷に電力を提供する例示的なスイッチング電源の動作の例示的な流れを全体的に示す例示的な流れ図である。
【図3A】本発明の教示による負荷に電力を提供する例示的なスイッチング電源の例示的なコントローラを全体的に示す例示的な図である。
【図3B】固定周波数ピーク電流PWM変調器、および本発明の教示による動作のモードを選択する選択器比較器回路を全体的に示す例示的な図である。
【図4】本発明の教示による負荷に電力を提供する例示的なスイッチング電源の動作の例示的な流れを全体的に示す他の例示的な流れ図である。
【図5】本発明の教示による負荷に電力を提供する例示的なスイッチング電源の例示的なコントローラを全体的に示す他の例示的な図である。
【図6A】本発明の教示による変調モード周期で動作するスイッチング電源のエネルギー移送要素の磁束密度の例を全体的に示す図である。
【図6B】本発明の教示による高周波数で動作するスイッチング電源のエネルギー移送要素の部分的な周波数スペクトルの例を全体的に示す図である。
【図6C】本発明の教示によるマルチサイクル変調無しの低周波数で動作するスイッチング電源のエネルギー移送要素の部分的な周波数スペクトルの例を全体的に示す図である。
【図7A】本発明の教示によるマルチサイクル変調モードで動作するスイッチング電源のエネルギー移送要素の磁束密度の例を全体的に示す図である。
【図7B】本発明の教示によるマルチサイクル変調モードで動作するスイッチング電源のエネルギー移送要素の部分的な周波数スペクトルの例を全体的に示す図である。
【図8A】本発明の教示によるスイッチング電源のエネルギー移送要素の変調されない磁束密度信号の例を全体的に示す図である。
【図8B】本発明の教示によるスイッチング電源のマルチサイクル変調器信号の例を全体的に示す図である。
【図8C】本発明の教示によるマルチサイクル変調器信号を表す複合フーリエ級数における例示的な正および負の周波数の係数の相対強度を全体的に示す図である。
【図9】どのように変調されていないスイッチング信号およびマルチサイクル変調器信号の例示的なスペクトルが、本発明の教示によるマルチサイクル変調された信号の例示的なスペクトルを生成するために組み合わされるかを全体的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
例示のために、図1Aは、スイッチング電源レギュレータ100の例の全体的な機能ブロック図を示す。図1Aに示されるスイッチング電源レギュレータ100の例は、フライバック・レギュレータであり、本発明の教示から利益を得ることができるスイッチング電源トポロジーの一例であることに留意されたい。しかしながら、スイッチング電源レギュレータの他の知られているトポロジーと構成も、本発明の教示から利益を得ることができることは理解できるであろ。
【0013】
図1Aにおけるスイッチング電源レギュレータ100の例は、調節されていない入力電圧VIN105から負荷165へ出力電力を与える。入力電圧VIN105は、エネルギー移送要素T1 125とスイッチS1 120に結合される。図1Aの例において、エネルギー移送要素T1 125は、2つの巻線を有する変圧器である。クランプ回路110は、スイッチS1 120の最大電圧を制御するために、エネルギー移送要素T1 125の一次巻線に結合される。スイッチS1 120は、コントローラ回路またはコントローラ145から受信するスイッチ信号112に応答して開閉される。図示される例において、スイッチS1 120は、トランジスタであり、コントローラ145は、集積回路および/または個別の電子構成部品を含む。動作において、スイッチS1 120のスイッチングは、整流器D1 130にパルス電流を生成し、パルス電流は、負荷165での実質的に一定の出力電圧VOまたは出力電流IOを生成するためにコンデンサC1 135によってフィルタリングされる。
【0014】
一般に出力電圧VO、出力電流IO、または2つの組合せである、調節されるべき出力量はUO150である。フィードバック回路160は、コントローラ145への入力であるフィードバック信号UFB155を生成するために、電源の出力から出力量UO150を検知するように結合される。コントローラ145への他の入力は、スイッチS1 120内の電流ID115を検知する電流検知信号140である。例えば電流変圧器、または例えば個別の抵抗器の両端間の電圧、または例えばトランジスタが導通しているときのトランジスタ両端間の電圧などの、スイッチングされた電流を測定するための任意の多くの知られている方法を、電流ID 115を測定するために使用することができる。
【0015】
図1Aの例において、コントローラ145は、その所望の値に出力量UO 150を実質的に調節するために、システム入力に応答してスイッチS1 120を動作させる。電源の出力は、したがって閉ループで調節される。コントローラ145は、典型的に周期TSを有するスイッチング・サイクルを決める発振器を含む。調節は、電源レギュレータ100の入力から出力へ移送されるエネルギー量を決定する1つ以上のスイッチング・パラメータの制御によって達成される。
【0016】
図1Bは、時間の関数として電流ID 115を全体的に示すグラフである。一例において、スイッチS1 120は、各スイッチング・サイクルの始まりでオンになる。スイッチS1 120は、電流ID 115が閾値IMAXに到達するまで導通する。一例において、一定のスイッチング・サイクル周期TS(一定スイッチング周波数)での最大電流IMAXの制御は、電流ID 115の平均を、出力量UO150を調節するために必要な値に維持する。調節は、したがって、固定周波数ピーク電流パルス幅変調(PWM)として、または固定周波数電流モード制御として知られている固定周波数パルス幅変調技術によって達成できる。他の例において、調節は、固定周波数でスイッチのオン時間を変更することによっても達成することができる。制御のこのモードは、固定周波数電圧モード制御または固定周波数電圧モードPWMとして知られている。電圧モードへの関連は、電源の出力電圧を調節するためのその使用から生じるが、この用語は、調節された出力が、電流、または電圧と電流との組合せであるときでも、同一の制御モードを表すために使用され続ける。用語、固定周波数PWMは、固定周波数で動作する電流モードと電圧モード制御の両方を含む。他の例において、調節は、周期変調またはスイッチング周波数変調として知られているPWMの他の形態で達成されることができ、スイッチにおける電流は、スイッチング・サイクル毎に固定ピーク値に到達し、周期TSが調整される。電流IDの低い平均値に対応する軽い負荷時に、電源におけるスイッチング損失を低減させるために、低いスイッチング周波数で、通常可聴周波数の範囲内で動作することが望ましい。上記変調技術の3つ全ては、デューティ・サイクルの変調を含み、したがって一般的な用語「デューティ・サイクル変調」と呼ばれる。
【0017】
実際の応用において、出力量UO 150を調節するために必要な電流ID 115の平均値は、単一のスイッチング・サイクルではなく、多くのスイッチング・サイクルを含む時間にわたる平均である。多くのスイッチング・サイクルは、必ずしも同一の周期値を有する必要はない。所定の異なる周期値を含むスイッチング・サイクルの多くの異なるシーケンスは、出力量UO 150をその特定の制限内に調節する平均電流ID 115を生成することができる。
【0018】
可聴雑音を生成する周波数を避けるために、スイッチング・サイクルの周期値とシーケンスを制御することが望ましい。本開示において以降に示されるように、可聴雑音を生成する周波数の強度は、スイッチング・サイクルを、本発明の教示による出力を調節するように変調される複数サイクルのグループにまとめることによって実質的に低減される。
【0019】
図2は、本発明の教示による電源を制御する方法を全体的に記載する例示的な流れ図である。ブロック205で始まり、電源出力の検知はブロック210で生じる。
【0020】
次に、ブロック215において、固定スイッチング・サイクル周期TSで出力を調節するために必要なピーク電流IPKを推定するために、電源出力から検知された情報を使用する。次に、ピーク電流IPKの推定は、決定ブロック220で最小ピーク電流IPKMINと比較する。一例において、最小ピーク電流IPKMINは、スイッチング損失を低減させるために平均スイッチング周波数における低減を必要とする軽い負荷に対応する。
【0021】
ピーク電流IPKの推定と最小ピーク電流IPKMINとの比較は、正確である必要はなく、また数値計算の結果も必要としない。一例において、ピーク電流IPKは、フィードバック信号の強度から推定される。一例における推定の前提において、大きなフィードバック信号は、高い効率の要件を満たすために、可聴雑音の好ましくないレベルを生じることがある可聴周波数の範囲内のスイッチング周波数を必要とする軽い負荷を意味する。これらの条件下で、決定ブロック220は、IPKMIN>IPKを見出し、流れは、ブロック230へ向けられる。ピーク電流IPKは、値IPKMINで固定され、スイッチング・サイクルの周期TSは、ブロック230で値TSGに固定される。調節は、次にブロック235においてマルチサイクル変調で達成される。
【0022】
ブロック235に示されるように、マルチサイクル変調は、スイッチ信号内のスイッチングのN周期を集めることによって出力の調節を達成する。そのスイッチングは、それぞれ周期TSGを有し、TSGのM周期の間のスイッチングが無いのに続く。一例において、NとMは、それぞれ最小値NMINとMMINに変調されかつ限定される。スイッチ信号におけるスイッチングとスイッチングの無い結果として生じるパターンは、図1Aにおける同一の平均電流ID 115を与え、より大きなスイッチング損失と低減された効率を生成するより高いスイッチング周波数に対応する、固定されたスイッチング・サイクルの周期でとぎれないスイッチングを有する。一例において、本発明の教示によるマルチサイクル変調を有するスイッチングのパターンは、通常のピーク電流パルス幅変調を有するグループ化されていないパターンより実質的に少ない可聴雑音を生成する。
【0023】
決定ブロック220が、IPKMIN≦IPKを見出すと、調節が、マルチサイクル変調の代
わりに固定されたスイッチング周波数でのピーク電流PWMで達成されるように、流れはブロック225へ向けられる。一例において、IPKMINは、電源の最大出力電力でピーク電流のほぼ25%に設定される。一例において、固定されたスイッチング周波数は30kHzである。一例において、マルチサイクル変調は、低出力電力の送出を調節するために使用され、固定周波数ピーク電流モード制御としても知られている固定周波数ピーク電流PWMが、本発明の教示に従って高出力電力の送出を調節するために使用されてもよい。
【0024】
したがって、一例において、ピーク・スイッチ電流IPKと最小ピーク・スイッチ電流IPKMINとの間の関係に応じて、スイッチを、第1または第2の動作モードに従って導通するように制御することができる。第1の動作モードにおいて、スイッチは、スイッチング・サイクルの固定された周期内で導電するように制御され、スイッチング・サイクルの固定された周期内のピーク・スイッチ電流が、電源の出力を調節するために調整される。代わりに、第2の動作モードにおいて、スイッチは、固定された周期を有するスイッチング・サイクル内で導電するように制御され、連続するスイッチング・サイクルの1つのグループは、スイッチングの無い時間によって連続するスイッチング・サイクルの次のグループから分離され、スイッチングの無い時間は、電源の出力を調節するために調整される。一例において、スイッチングの無い時間は、スイッチング・サイクルの周波数が、可聴周波数範囲外になるように調整される。一例において、スイッチング・サイクルのグループは、少なくとも2つの連続するスイッチング・サイクルを含む。
【0025】
一例において、固定周波数電圧モードPWMが、本発明の教示に従って高電力の送出を調節するためにピーク電流モードPWMの代わりに使用され。この例において、マルチサイクル変調に対してPWMを使用する決定は、調節において出力を維持するために必要であるピーク電流よりむしろ、スイッチングのオン時間に基づく。例えば、オン時間が、フィードバック信号に応答して低減し、かつ軽い負荷を示す閾値を超えるとき、動作は、固定周波数電圧モードPWMからマルチサイクル変調に変更される。
【0026】
図3Aは、図2に示される方法を使用する電源のコントローラに含まれるマルチサイクル変調器340の例示的な概略345を全体的に示す。一例において、フィードバック制御ブロック302は、電源の出力に関連する検知信号350を受信するように結合される。検知信号350は、所定時間内で生じる、出力電圧、出力電流、スイッチ内の電流、スイッチのタイミング、電源入力電圧、イネーブル信号、抑制信号などの1つ以上のパラメータの組合せを表している。検知信号350は、アナログでもデジタルでもよい。検知信号350に応答して、フィードバック制御ブロック302は、調節された出力を維持するために必要なピーク・スイッチング電流に対応するフィードバック電流IFB356を生成する。電流IFBは、抵抗器R1 358によって電圧VFB352に変換される。最小ピーク・スイッチ電流IPKMINに比例する固定電流は、同様に抵抗器R2 360によって固定基準電圧VIPKMIN354に変換される。電圧VFB352および固定基準電圧VIPKMIN354は、ANDゲート310への第1の入力で固定されたスイッチング・サイクルの周期TSに対応する固定されたスイッチング周波数を有するパルス幅変調されたスイッチング信号308を生成するために、変調ブロック306によって受信される。一例において、ブロック306は、電源のスイッチS1 120におけるピーク電流IPKを調整することによってスイッチング信号308のパルス幅を変更する。スイッチS1 120における電流は、電流検知抵抗器RS370によって電流検知電圧VIS1372に変換される。電流検知電圧VIS1372は、ブロック306に受信される。一例において、ピーク電流IPKは、フィードバック電流IFB356が、最小基準ピーク・スイッチ電流IPKMINより大きいときフィードバック電流IFB356に比例し、ピーク電流IPKは、フィードバック電流が、IPKMINより小さいとき値IPKMINに固定される。ブロック306の機能を実行する回路の一例が、図3Bに示され、本開示で後述される。比較器314は、電圧VFB352を基準電圧VIPKMIN354と比較する。図3Aの例において、比較器314の出力は、マルチサイクル変調器回路340によって、信号316として、インバータ320の入力におよびNANDゲート324の第1の入力に受信される。例で示されるように、マルチサイクル変調器回路340は、比較器314からの信号316に応答してANDゲート310の出力に、スイッチ信号312をイネーブルまたはディスエーブルする信号332を生成する。比較器314からの信号316は、電圧VFB352が、基準電圧VIPKMIN354より大きいときにハイである。比較器314からの信号316は、電圧VFB352が、基準電圧VIPKMIN354より小さいときにローである。信号316がハイであるとき、マルチサイクル変調器回路340は、ANDゲート310に対する第2の入力で信号332をハイに設定し、それによって、示される例において、スイッチS1 120に結合されるスイッチ信号312でもあるブロック306からのパルス幅変調されたスイッチング信号308が、ANDゲート310の出力でとぎれないように出現することを可能にしまたは許容する。一例において、スイッチS1 120は、パワー金属酸化物電界トランジスタ(MOSFET)である。信号332が、ANDゲート310に対する第2の入力でローであるとき、パルス幅変調されたスイッチング信号308が、ANDゲート310の出力に表れることをディスエーブルされ、または許容されない。
【0027】
信号316がローであるとき、周期TSが値TSGに固定される。また、信号316がローであるとき、マルチサイクル変調器回路340は、それぞれ周期TSGを有するスイッチング・サイクルの最小数NMINの間スイッチ信号308をスイッチ信号312として出させ、かつ、それぞれ周期TSGを有するスイッチング・サイクルの最小数MMINの間スイッチ信号312をディスエーブルする。一例において、マルチサイクル変調器回路340は、比較器314の出力から信号316を受信するために結合されたラッチを含む。例に示されるように、ラッチは、NANDゲート326、328とインバータ320、330で形成され、ワンショット・タイマ338に結合されるエッジ検出器348に結合される。エッジ検出器348は、示されるように、XORゲート342、インバータ344、遅延346を含む。
【0028】
一例において、エッジ検出器348は、ラッチのインバータ330の出力から信号332が、ハイからローへおよびローからハイへ変更するとき、ほぼ30ナノ秒の間ライン336に論理ローを生成する。ライン336がローになるとき、ワンショット・タイマ338は、NMINTSGまたはMMINTSGのいずれかの期間にわたってライン334に論理ローをを生成する。ライン334の論理ローの期間は、ライン332がハイであるときNMINTSGである。ライン334が論理ローの期間は、ライン332がローであるときMMINTSGである。一例において、NMINは、ほぼ4サイクルであるように選択され、MMINは、ゼロ・サイクルであるように選択される。一例において、固定された周期TSGに対応する周波数は30kHzである。
【0029】
図3Bは、固定周波数ピーク電流変調器とモード選択器比較器を含む、図3Aにおけるブロック306の機能を実行する回路の一例を示す。モード選択比較器368は、電圧VFB352、VIPKMIN354、VIS1372を受信する。モード選択比較器368は、ラッチ362の一入力によって受信される出力374を生成する。ラッチ362の他の入力は、発振器366からのタイミング信号364を受信する。ラッチ362の出力は、パルス幅変調されたスイッチ信号308である。
【0030】
図4は、本発明の教示による電源を制御するための他の方法を全体的に記載する他の例示的な流れ図である。ブロック405で始まり、電源出力の検知は、ブロック410で生じる。
【0031】
次に、ブロック415において、コントローラは、周期変調を有する出力を調節するために必要な同等のスイッチング周波数fEQを推定するために、電源出力から検知された情報を使用する。次に、スイッチング周波数fEQの推定は、決定ブロック420で基準周波数fREFと比較される。一例において、基準周波数fREFは、対象の最高の可聴周波数より高いか等しい。一例において、基準周波数は、ほぼ30kHzである。
【0032】
スイッチング周波数fEQの推定と基準周波数fREFとの比較は、正確であることまたは数値計算の結果を必要としない。一例において、スイッチング周波数fEQは、フィードバック信号に基づいて基準周波数fREFより高いまたは低いと推定される。fREFより低いfEQの推定は、可聴周波数内のスイッチング周波数を要求する軽い負荷を意味する。これらの条件下で、決定ブロック420がfREF>fEQを見つけ、流れは、ブロック430へ向けられる。周期TSは、ブロック430で値TSGに固定される。調節は、次にブロック435においてマルチサイクル変調で達成される。
【0033】
ブロック435で示されるように、周期TSGのMサイクルの間スイッチングが無いことに続いて、スイッチ信号内の、それぞれ周期TSGを有するスイッチングのNサイクルを集めることによって出力の調節を達成する。一例において、NおよびMは、それぞれ最小値NMINおよびMMINに変調されかつ限定される。スイッチ信号内でスイッチングがあることとスイッチングが無いことの結果として生じるパターンは、固定されたスイッチング周期を有するスイッチング周波数fEQでとぎれないスイッチングとして、図1Aにおける同一の平均電流ID115を与える。一例において、グループ変調を有するスイッチングのパターンは、本発明の教示による通常の周期変調を有するグループ化されていないパターンより実質的に少ない可聴雑音を生成する。
【0034】
決定ブロック420が、fREF≦fEQを見出すと、調節は、マルチサイクル変調の代わりに周期変調で達成されるように、流れがブロック425へ向けられる。一例において、周期変調の周波数範囲は、30kHzから66kHzである。他の例において、周期変調の周波数範囲は、30kHzから132kHzである。一例においては、マルチサイクル変調は、低出力電力の送出を調節するために使用され、周期変調は、本発明の教示に従って高出力電力の送出を調節するために使用される。
【0035】
したがって、一例において、スイッチング周波数fEQと基準周波数fREFとの間の関係に応じて、スイッチは、第1または第2の動作モードに従って導通するように制御される。1つの動作モードにおいて、スイッチは、スイッチング・サイクル内で導電するように制御され、スイッチング・サイクルの周期が電源の出力を調節するように調整される。代わりに、第2の動作モードにおいて、スイッチは、固定された周期を有するスイッチング・サイクル内で導電するように制御され、連続するスイッチング・サイクルの1つのグループは、スイッチングの無い時間によって、連続するスイッチング・サイクルの次のグループから分離され、スイッチングの無い時間が電源の出力を調節するように調整される。一例において、スイッチングの無い時間は、スイッチング・サイクルの周期に対応する周波数が、可聴周波数範囲外になるように調整される。一例において、スイッチング・サイクルのグループは、少なくとも4つの連続するスイッチング・サイクルを含む。
【0036】
図5は、図4に示される方法を使用する電源に関するコントローラ545の例示的な概略を全体的に示す。一例において、フィードバック制御ブロック302は、電源の出力に関連する検知信号350を受信するように結合される。議論されたように、検知信号350は、所定時間内で生じる、出力電圧、出力電流、出力電力、スイッチ内の電流、スイッチのタイミング、電源入力電圧、イネーブル信号、抑制信号などの1つ以上のパラメータの組合せを表してい。検知信号350は、アナログでもデジタルでもよい。検知信号350に応答して、フィードバック制御ブロック302は、調節された出力を維持するために必要なスイッチング周波数に対応する同等のスイッチング周波数信号fEQ504を生成する。信号fEQ504は、ANDゲート310への第1の入力に、周期TSを有する周期変調スイッチング信号508を生成するために、周期変調ブロック506によって受信される。比較器514は、一例において、信号fEQ504を、周期変調されたスイッチングとして望ましい最小スイッチング周波数に対応する基準信号fREF518と比較する。図5の例において、比較器514の出力は、マルチサイクル変調器回路340によって、信号516としてインバータ320の入力とNANDゲート324の第1の入力に受信される。例で示されるように、マルチサイクル変調器回路340は、比較器514からの信号516に応答してANDゲート310の出力に、スイッチ信号512をイネーブルまたはディスエーブルする信号332を生成する。比較器514からの信号516は、信号fEQ504が、基準信号fREF518より大きいときにハイである。比較器514からの信号516は、信号fEQ504が、基準信号fREF518より小さいときにローである。信号516がハイであるとき、マルチサイクル変調器回路340は、ANDゲート310の第2入力の信号332をハイに設定し、それによって、示される例において、スイッチ信号512でもある周期変調ブロック506からの周期変調スイッチング信号508が、ANDゲート310の出力でとぎれないように出現することを可能にし、または許容する。信号332が、ANDゲート310に対する第2の入力でローであるとき、周期変調スイッチング信号508は、ANDゲート310の出力に表れるのをディスエーブルされ、または許容されない。
【0037】
信号516がローであるとき、マルチサイクル変調器回路340は、スイッチング信号508が、周期TSGを有するグループ・スイッチング・サイクルの最小数NMINの間スイ
ッチ信号512として表れることを可能にし、周期TSGを有するグループ・スイッチング・サイクルの最小数MMINの間スイッチ信号512をディスエーブルする。一例において、マルチサイクル変調器回路340は、比較器514の出力から信号516を受信するために結合されたラッチを含む。例に示されるように、ラッチは、NANDゲート326、328とインバータ320、330で形成され、ワンショット・タイマ338に結合されるエッジ検出器348に結合される。エッジ検出器348は、示されるように、XORゲート342、インバータ344、遅延346を含む。
【0038】
一例において、エッジ検出器348は、ラッチのインバータ330の出力から信号332が、ハイからローへおよびローからハイへ変更するとき、ほぼ30ナノ秒の間ライン336に論理ローを生成する。ライン336がローになるとき、ワンショット・タイマ338は、NMINTSGまたはMMINTSGのいずれかの期間にわたってライン334に論理ローを生成する。ライン334が論理ローの期間は、ライン332がハイであるときNMINTSGである。ライン334が論理ローの期間は、ライン332がローであるときMMINTSGである。
【0039】
さらに他の例において、ピーク・スイッチ電流IPKまたは同等のスイッチング周波数信号fEQ以外のパラメータは、マルチサイクル変調と代替の制御のモードとの間を選択するための基準として取られる。例えば、制御の代替モードは、固定されたスイッチング周波数電圧モードPWMである。このモードにおいて、スイッチのオン時間は、オン時間が、フィードバック信号に応答して、所定の閾値上である限り変調される。フィードバック信号は、軽い負荷条件を表す最小閾値より低いオン時間を要求するとき、オン時間が、この値に固定され、制御のモードがマルチサイクル変調にスイッチングされる。制御のモードのさらに他の代替モードは、マルチサイクル変調に関する指示として最小スイッチング周波数を使用する、固定されたオン時間または固定されたオフ時間を有する可変周波数である。
【0040】
したがって、一例において、コントローラは、スイッチング・サイクル内でオンおよびオフをスイッチングするためにスイッチを制御するように、電源内のスイッチに結合される。例において、スイッチは、電源のエネルギー移送要素T1 125などのエネルギー移送要素に結合される。スイッチング・サイクルのグループは、スイッチングの無い時間によってスイッチング・サイクルの次のグループから分離され、スイッチングの無い時間は、電源の入力から電源の出力へエネルギーの移送を調節するために調整される。一例において、スイッチング・サイクルのグループ内の連続するグループの最小数は固定される。さらに、コントローラは、スイッチを、スイッチング・サイクル内で導通するために制御し、かつ出力を調節するためにサイクルの周期を調整することによって、電力の高出力を調節する追加の動作モードの下で動作する。説明のため、図6、図7、図8、図9は、本発明の教示によるマルチサイクル変調のためのパラメータに関する値の選択を可能にするために、可聴雑音を生成することになる、スイッチング・サイクルのパターンと周波数の生成との間の関係を示す。
【0041】
電流ID 115は、エネルギー移送要素T1 125における磁束密度Bを生成する(図1を参照)。図6Aは、時間の関数として磁束密度Bの典型的な波形の一例を示すグラフである。ピーク磁束密度Bpは、電流ID 115のピーク電流IMAXで生じる。磁束密度Bは、周期TS内の時間TAの間活性である。
【0042】
磁束密度は、エネルギー移送要素T1 125の形状を変更する機械力を生成するので、磁束密度Bのスペクトル内容を考慮することは重要である。磁束密度Bは、エネルギー移送要素T1 125を共振させる可聴周波数の範囲内の周波数成分を含むなら、望ましくない高い可聴雑音を生成する。
【0043】
図6Bと図6Cは、図6Aに示される波形の部分的な周波数スペクトルを示す。高スイッチング周波数からのスペクトルは、図6Bに示され、一方、低スイッチング周波数からのスペクトルは、同一の周波数スケールで図6Cに示される。
【0044】
周波数軸上の垂直ラインは、図6Aにおける波形の複素フーリエ級数表現における係数の相対強度を示す。当業者は、周期T0を有する周期関数f(t)が、以下として表されることができることを思い起こすであろう。
【0045】
【数1】

【0046】
係数cnは、一般に、実数部と虚数部を有する複素数である。実数と虚数部は正しい計算をするために使用されなければならないが、本発明を説明しかつ理解するためには、係数cnの大きさだけを考慮するだけでよい。
【0047】
図6Bと図6Cにおいて、負の周波数での大きさは、正の周波数での大きさと同一であるので、n<0について係数cnの相対強度を示す必要は無い。
【0048】
|cn|=|c-n| n=1、2、・・・
図6Aにおける磁束密度Bの平均は、係数c0であり、図6Bと図6Cにおけるゼロ周波数でのラインによって表される。周期TSに対応する基本周波数fsの係数は、図6Bと図6Cの周波数fSにおけるラインによって表される。基本周波数の高調波の強度は、基本周波数の整数倍におけるラインとして示される。
【0049】
可聴雑音を生成させるフェライト・コア変圧器などの典型的なエネルギー移送要素における機械的ひずみを生成する力は、磁束密度の二乗に比例する。各周波数での電力は、また大きさの二乗によって表されるので、係数の大きさを表示することは有用である。したがって、可聴周波数内の全ての係数の大きさを低減することが望ましい。
【0050】
説明のため、図6B、図6Cは、図6Aにおける磁束密度からの全ての励起を低減するまたは除外することが望ましい、低境界fXMINと高境界fXMAXとの間の周波数の範囲を示す。一例において、fXMINおよびfXMAXは、それぞれ可聴周波数の範囲の低境界と高境界であり、スイッチング電源で一般に使用される変圧器やセラミック・コンデンサなどの構成部品の共振周波数の範囲に対応する。一例において、fXMINの典型的な値は8kHzであり、fXMAXの典型的な値は15kHzである。
【0051】
図6Bのスペクトルを生成する高スイッチング周波数で、fXMINとfXMAXとの間の領域にスペクトル成分は存在しない。出力を調節するために、周期TSが増大し、かつスイッチング周波数がより低くなると、基本周波数fSでの基本成分と、基本周波数fSの全ての調和倍数とが、周波数軸上でゼロにより近く移動する。図6Cの例において、スイッチング周波数の基本成分が、fXMAXより大きな値から、例えば変圧器を共振させることがあるfXMINとfXMAXとの間の除外領域内へ移動した。
【0052】
出力を調節するために必要な同一の平均値を維持しながら、fXMINとfXMAXとの間の領域に含まれる電力を低減するために、図6Aの磁束密度の波形の活性時間TAを再構成することが可能である。適切な再構成の一例は、図7Bの周波数スペクトルを有する図7Aで示される。
【0053】
図7Aは、スイッチングの無い時間が続く、対応する周期TSGを有するスイッチング周波数fSGにおける、Nスイッチング・サイクル周期またはN周期のグループを示す。スイッチングの無い時間は、周期TSGの倍数Mである。乗算係数Mは、同等のスイッチング周波数fEQで得られる、図6Aの波形と同じ平均磁束密度を維持するように調整される。グループ周期TGは、N個の周期TSGとスイッチングの無い時間との合計である。したがって、出力を調節するために、周期TSGは変更されず、一方、グループ周期TGが調整される。
【0054】
本開示において、周期変調として図6Aにおけるスイッチング・サイクルの周期TSの調整に言及する。マルチサイクル変調として図7Aにおけるグループ周期TGの調整に言及する。
【0055】
図7Bは、N=M=11およびTSG=2TAの条件に対して、図7Aのグループ変調さ
れた磁束密度のスケールで示された例示的なスペクトルを示す。図6Cは、グループ変調された磁束密度を有する図7Bにおけるスペクトルと同一の出力電力を生成する周期変調された磁束密度を有するスペクトルを示す。図6Cにおけるスイッチング周波数または周波数fSは、図7Bにおける同等の周波数fEQである。図6Cと図7Bにおけるスペクトルの比較は、マルチサイクル変調が、fXMINとfXMAXとの間の除外領域内の電力が著しく低減することを示す。周波数の範囲内の全電力は、範囲内の強度の二乗の合計によって表される。
【0056】
さらに説明するために、図7Aのマルチサイクル変調された磁束密度は、図8Bのマルチサイクル変調器信号で乗算された図8Aにおける変調されていない信号と見ることができる。マルチサイクル変調に関する設計パラメータは、2つの信号のスペクトルの実験によって決定できる。
【0057】
図8Cは、図8Bのマルチサイクル変調器信号の複素フーリエ級数表現における正および負の周波数に関する係数の相対強度を示す。N=Mの場合、等しい番号の高調波はゼロであるので、説明が容易である。当業者は、任意の値のNとMに関する係数を容易に決定することができる。
【0058】
図9は、どのように図8Aの変調されていないスイッチング信号のスペクトルと図8Bのマルチサイクル変調された信号のスペクトルが、図7Aのマルチサイクル変調された信号のスペクトルを生成するために組み合わされるかを示す。当業者は、時間領域における2つの信号の乗算が、周波数領域における2つの信号のスペクトルの畳み込みに等しいことを思い起こすであろう。すなわち、変調されていない磁束密度信号B(t)とグループ変調器信号G(t)との乗算は、以下のスペクトルc(f)を有するグループ変調された信号C(t)を生成する。
【0059】
【数2】

【0060】
ここで、b(f)、g(f)、c(f)は、それぞれB(t)、G(t)、C(t)のスペクトルであり、xは、周波数軸に沿った積分の無効変数である。
【0061】
畳み込み動作は、特にスペクトルが、不連続周波数だけでゼロではないときに、容易に解釈されかつ図式的に実行される。図式的に畳み込みを実行するために、周波数が、第1に、左に対してより正になり右に対してより負になるように、ゼロ周波数軸に周囲でグループ変調器のスペクトルを変更しまたは反転する。対称性のために、強度の反転されたスペクトルは、元のスペクトルと同等であるが、反転は、係数における適正な符号を必要とする正しい数値計算に必要である。
【0062】
図9において、変調されていないスイッチング波形のスペクトルの正の周波数部分は、TSG=2TAの場合について示される。より高い調波は、対象の最高の周波数より多いので、ゼロ周波数の係数と基本周波数だけが示される。図式的な処置は、対象の任意の周波数でマルチサイクル変調されたスイッチング波形のスペクトルの強度を得るために使用される。マルチサイクル変調されたスイッチング波形のスペクトルに関する係数を図式的に得るために、マルチサイクル変調器スペクトルのゼロが、対象の周波数にあるように、周波数軸に沿ってマルチサイクル変調器の反転されたスペクトルを変更する。次に、マルチサイクル変調器スペクトルにおける各係数に、それに一致する変調されていないスペクトルの係数を乗算する。対象の周波数でのマルチサイクル・スイッチング・スペクトルに関する係数の値を得るために全ての積を合計する。
【0063】
マルチサイクル変調器のスペクトルは、有限数の係数を含むが、最上位の係数だけが、マルチサイクル・スイッチング・スペクトルの良好な概算を得るために考慮される必要がある。最も実際的な場合において、第1の3または4を超える全ての係数は、無視することができる。図9の例は、マルチサイクル変調されたスイッチング・スペクトルにおける係数c15の強度は、ほぼ、変調されていないスイッチング信号の係数b1の強度とマルチサイクル変調器の係数g7の強度の積である。値は、全てのより高い高調波の積が無視されるので、概算である。図9の例において、合計はゼロではないただ1つの項を含むので、等しく番号を付けられた周波数での係数は正確である。
【0064】
図9の研究は、グループ変調に関するパラメータの選択を案内するための関係を生じる。fXMIN<fXMAXである、fXMINとfXMAXによって決定され除外された周波数の領域を用いて、グループ・スイッチング周波数fSGが選択され、
fSG≧fXMIN+fXMAX
は、fGで乗算されたWより大きな全ての周波数が、除外された周波数の領域内の係数を決定する畳み込みで無視可能であるように、基本周波数fGの乗算器Wとしてマルチサイクル変調器のスペクトルにおける最上位の周波数を決定する。典型的に、fGの第1の2または3の調波だけが、乗算器Wが通常2または3より大きくないように、任意の実際の重要性を有することになる。次に、
【0065】
【数3】

【0066】
最適値は、除外された周波数の領域内に十分な低減に必要な最低値である。
周期変調を有する同一の出力電力マルチサイクル変調を生成する同等の周波数fEQに関して、変調乗算器Mは、マルチサイクル・グループ周波数
【0067】
【数4】

【0068】
に対応する
【0069】
【数5】

【0070】
であるべきである。グループの間の時間が、TSGの整数倍でなければならない例において、Mの正しい値は、異なる整数値Mを有するいくつかのグループ周期にわたる平均として満足される。一設計において、M≧NなどMの最小整数値を設定することが望ましいことがある。fEQ=fXMAXであるとき、Mは最小であるので、fSG=2fXMAXを選択する。最小Mの制約により、W=3の選択は、全てのMに関して通常有効である。ある例として、変圧器が同様に機械的共振を有する場合に、8kHzのfXMINと15kHzのfXMAXとの間の可聴範囲で周波数を低減させるための典型的な設計は、fSG=30kHzを使用することである。W=3の選択は、N=M=6であるようにN≧5.625を与える。グループ変調を有する調節は、スイッチングの無い最小の6個の周期が続く、連続するスイッチングの最小の6個の周期とともにまとめる。
【0071】
したがって、スイッチング電源におけるスイッチは、実質的に固定された周期のスイッチング・サイクルでオン、オフをスイッチングするように制御される。少なくとも1つのスイッチング・サイクルのグループは、スイッチングの無い時間によってスイッチング・サイクルの次のグループから分離され、スイッチングの無い時間は、スイッチング電源の出力を調節するために調整される。一例において、スイッチングの無い時間は、スイッチング・サイクルの実質的に固定された周期の整数倍である時間に調整されることができる。加えて、スイッチングの無い時間は、スイッチング・サイクルのグループと少なくとも同じ長さであることができる。
【0072】
要約書に記載されるものを含む本発明の例示的な例の上記記載は、開示された正確な形態を排除することを意図するものではなく、または開示された正確な形態に制限されることを意図するものではない。本発明の特定の実施形態と例が、説明の目的で本明細書に記載されたが、様々な同等の修正が、当業者が認識するように可能である。実際に、特定の電圧、電流、周波数、電力範囲値、時間などは、説明目的のために提供され、他の値が、本発明の教示に従って他の実施形態および例で用いられることができることは理解されるであろう。
【0073】
これら修正は、上記詳細な記載を鑑みて本発明の例に対して行われることができる。請求項で使用される用語は、明細書および請求項に記載される特定の実施形態に本発明を制限するものと解釈されるべきではない。むしろ、その範囲は、請求項解釈の確立された主義に従って考慮されるべきである請求項によって完全に決定されるべきである。
【符号の説明】
【0074】
100 スイッチング電源レギュレータ、105 入力電圧VIN、110 クランプ回路、112 スイッチ信号、115 電流ID、120 スイッチS1、125 エネルギー移送要素T1、130 整流器D1、135 コンデンサC1、140 電流検知信号、145 コントローラ、150 出力量UO、155 フィードバック信号UFB、160 フィードバック回路、165 負荷。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源レギュレータにおいて用いるためのコントローラであって、
前記電源レギュレータのスイッチのスイッチングを制御するスイッチ信号を発生するように結合されるスイッチ信号発生器と、
前記スイッチ信号発生器に、前記電源レギュレータの出力の負荷条件を示すフィードバック信号に応答するパルス幅変調スイッチング信号を与えるように結合される変調回路とを備え、前記変調回路は、前記負荷条件が軽負荷条件であることを示す前記フィードバック信号に応答して前記パルス幅変調スイッチング信号のデューティサイクルを変調して前記スイッチにおいて固定ピークスイッチング電流を与え、かつ、前記変調回路は、前記負荷条件が前記軽負荷条件以外を示す前記フィードバック信号に応答して、前記スイッチにおいて前記フィードバック信号に比例する可変ピークスイッチング電流を与え、
前記コントローラは、さらに、
前記スイッチ信号発生器に結合されるマルチサイクル変調回路を備え、前記マルチサイクル変調回路は、前記負荷条件が前記軽負荷条件以外を示す前記フィードバック信号に応答して前記スイッチ信号を中断されることなく発生するように前記スイッチ信号発生器をイネーブルし、かつ、前記マルチサイクル変調回路は、前記負荷条件が前記軽負荷条件であることを示す前記フィードバック信号に応答して前記スイッチ信号発生器を第1の時間の間ディスエーブルし次いで第2の時間の間前記スイッチ信号発生器をイネーブルし、前記第1の時間の期間は、前記フィードバック信号に応答して調整されて前記出力を調整する、コントローラ。
【請求項2】
前記マルチサイクル変調回路は、
前記第1の時間を前記フィードバック信号と独立な第1の最小時間に維持するように結合されるタイマーを備える、請求項1記載のコントローラ。
【請求項3】
前記マルチサイクル変調回路は、
前記第2の時間を前記フィードバック信号と独立な第2の最小時間に維持するように結合されるタイマーを備える、請求項1記載のコントローラ。
【請求項4】
前記スイッチ信号発生器は、ANDゲートを備え、前記ANDゲートは、前記パルス幅変調スイッチング信号を受けるように結合される第1の入力と、前記マルチサイクル変調回路からの信号を受けて前記ANDゲートをイネーブルおよびディスエーブルするように結合される第2の入力と、前記スイッチ信号を与える出力とを有する、請求項1記載のコントローラ。
【請求項5】
前記フィードバック信号は、前記スイッチのピークスイッチング電流を表し、
前記コントローラは、さらに、
前記電源レギュレータの前記出力からのセンス信号を受け、該受けたセンス信号に応答して前記フィードバック信号を発生するように結合されるフィードバック回路と、
前記フィードバック回路に結合され、前記フィードバック信号を前記軽負荷条件に対応する最小ピーク電流を表す信号と比較するように結合される比較器とを備え、前記マルチサイクル変調回路は前記比較器の出力に結合される、請求項1記載のコントローラ。
【請求項6】
前記パルス幅変調スイッチング信号は、前記パルス幅変調スイッチング信号の各スイッチサイクルが固定の周期を有するように固定の周波数を有する、請求項1記載のコントローラ。
【請求項7】
前記第1の時間は、前記固定の周期の整数倍である、請求項6記載のコントローラ。
【請求項8】
前記第2の時間は、前記固定の周期の整数倍である、請求項6記載のコントローラ。
【請求項9】
電源で用いるためのコントローラであって、
前記電源内のスイッチのスイッチングを制御するスイッチ信号を発生するように結合されるスイッチ信号発生器と、
スイッチング周波数信号に応答する変調スイッチング信号を前記スイッチ信号発生器に対して与えるように結合される変調回路とを備え、前記変調スイッチング信号は前記スイッチの等価スイッチング周波数を表し、前記等価スイッチング周波数において前記電源の出力が調節状態となり、
前記変調回路は、前記等価スイッチング周波数が基準周波数より大きいことを示す前記スイッチング周波数信号に応答して、前記変調スイッチング信号の周期を変調して前記スイッチ信号のスイッチング周期を変更し、かつ前記変調回路は、前記等価スイッチング周波数が前記基準周波数より小さいことを示す前記スイッチング周波数信号に応答して、前記変調スイッチング信号の周期を固定して前記スイッチ信号のスイッチング周期を固定し、
前記コントローラはさらに、
前記スイッチ信号発生器に結合されるマルチサイクル変調回路を備え、前記マルチサイクル変調回路は、前記等価スイッチング周波数が前記基準周波数より大きいことを示す前記スイッチング周波数信号に応答して、前記スイッチ信号を中断させることなく与えるように前記スイッチ信号発生器をイネーブルし、かつ、前記マルチサイクル変調回路は、前記等価スイッチング周波数が前記基準周波数よりも小さいことを示す前記スイッチング周波数信号に応答して前記スイッチ信号発生回路を第1の時間の間ディスエーブルし、次いで、前記スイッチ信号発生回路を第2の時間の間イネーブルし、前記マルチサイクル変調回路は、前記第1の時間を変更して前記電源の出力を調節する、コントローラ。
【請求項10】
前記マルチサイクル変調回路は、前記第1の時間を前記スイッチング周波数信号と独立な第1の最小時間に維持するように結合されるタイマを備える、請求項9のコントローラ。
【請求項11】
前記マルチサイクル変調回路は、前記第2の時間を前記スイッチング周波数信号と独立な第2の最小時間に維持するように結合されるタイマを備える、請求項9のコントローラ。
【請求項12】
前記スイッチ信号発生器は、ANDゲートを備え、前記ANDゲートは、前記変調スイッチング信号を受けるように結合される第1の入力と、前記マルチサイクル変調回路の出力信号を受けて前記ANDゲートをイネーブルおよびディスエーブルする第2の入力と、前記スイッチ信号を与える出力とを備える、請求項9記載のコントローラ。
【請求項13】
前記電源の出力に関連付けられたセンス信号を受けかつ該センス信号に応答して前記スイッチング周波数信号を発生するように結合されたフィードバック回路と、
前記フィードバック回路に結合されて、前記スイッチング周波数信号を前記基準周波数を表す信号とを比較する比較器とをさらに備え、前記マルチサイクル変調回路は、前記比較器の出力に結合される、請求項9記載のコントローラ。
【請求項14】
前記センス信号は、前記電源の出力電圧、前記電源の出力電流、前記電源の出力電力、前記スイッチの電流、前記スイッチのタイミング、電源入力電圧、イネーブル信号、および禁止信号からなるグループから選択された1以上のパラメータを表す、請求項13記載のコントローラ。
【請求項15】
前記基準周波数よりも低い前記等価スイッチング周波数は、可聴周波数領域内のスイッチング周波数を要求する前記電源の出力の軽負荷を暗示する、請求項13記載のコントローラ。
【請求項16】
前記第1の時間は、前記固定されたスイッチング周期の整数倍である、請求項9記載のコントローラ。
【請求項17】
前記第2の時間は、前記固定されたスイッチング周期の整数倍である、請求項16記載のコントローラ。
【請求項18】
前記マルチサイクル変調回路は、複数のスイッチングサイクルの周波数が可聴周波数領域外となるように前記第1の時間を調整する、請求項9記載のコントローラ。
【請求項19】
前記基準周波数は、対象の最大可聴周波数以上である、請求項18記載のコントローラ。
【請求項20】
前記基準周波数は、約30kHzである、請求項19記載のコントローラ。
【請求項21】
前記変調回路は、前記変調スイッチング信号の周期を変調して、前記スイッチング信号の周波数範囲の下側端が、前記対象の最大可聴周波数となるように前記スイッチ信号のスイッチング周期を変更する、請求項19記載のコントローラ。
【請求項22】
前記スイッチング信号の前記変調回路による変調時の周波数範囲は、約30kHzから約66kHzの範囲である、請求項21記載のコントローラ。
【請求項23】
前記スイッチング信号の前記変調回路による変調時の周波数範囲は、約30kHzから約132kHzの範囲である、請求項21記載のコントローラ。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−81368(P2013−81368A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−20397(P2013−20397)
【出願日】平成25年2月5日(2013.2.5)
【分割の表示】特願2011−46447(P2011−46447)の分割
【原出願日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(501315784)パワー・インテグレーションズ・インコーポレーテッド (125)
【Fターム(参考)】