説明

電源別置型のLED点灯装置

【課題】LEDユニット2と電源ユニット1とが別置された電源別置型のLED点灯装置において、電源ユニット1が接続された交流電源ACにコモンモードのノイズ電圧(対地ノイズ電圧)が重畳された場合でもLEDの破壊が生じない構成を提案する。
【解決手段】整流回路DBとDC−DCコンバータ回路5を金属ケース6内に収納した電源ユニット1から、一対の電源線3a,3bを介してLEDユニット2に直流電流を供給し、DC−DCコンバータ回路5の2次側グランドG2を金属ケース6に接続する対地ノイズ電圧バイパス用のコンデンサC5を設けるとともに、金属ケース6とLEDユニット2の導電部4とを接続するアース線7を設けた。コンデンサC5の静電容量は、LEDユニット2の各LEDと導電部4との間の合成浮遊容量Cyよりも大きく設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDユニットと別置型の電源ユニットとが好ましくは3線で接続された電源別置型のLED点灯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開2005−142137号公報)には、LEDユニットと別置型の電源ユニットとが2線で接続された電源別置型のLED点灯装置が開示されている。このLED点灯装置は、一対の交流入力端子と一対の直流出力端子を備え、前記一対の交流入力端子に交流電源を接続されて前記一対の直流出力端子から一定の直流電流を出力する電源ユニットと、前記電源ユニットの直流出力端子に接続された一対の電源線を介して直流電流を供給されるLEDの直列回路を備えるLEDユニットとから構成され、電源ユニットとLEDユニットは一対の電源線を介して接続されている。この特許文献1の技術によれば、電源ユニットに定電流機能を有しているので、灯数の異なる複数種類のLEDユニットに対して、共通の電源ユニットを用いることができ、製品コストの低減に寄与するものである。
【0003】
特許文献2(特開2006−294561号公報)には、フィルタ回路を介して交流電源に接続された整流回路と、整流回路の直流出力端に接続された直流電圧変換回路と、直流電圧変換回路の出力に接続された交流電圧変換回路と、交流電圧変換回路の出力に接続されたランプ負荷とを備える照明器具において、点灯装置からの輻射ノイズ低減のために、整流回路の低電位側出力端もしくはランプ負荷の一端と器具筐体との間にアース用のコンデンサを接続した構成が開示されている。この特許文献2の技術は、ランプ負荷とその点灯装置とが1つの器具筐体内に収納された電源一体型の点灯装置であり、また、ランプ負荷は放電灯であったので、電源重畳ノイズによるランプ負荷の破壊は想定されていない。
【特許文献1】特開2005−142137号公報
【特許文献2】特開2006−294561号公報(図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、電源ユニットが接続された交流電源にコモンモードのノイズ電圧(対地ノイズ電圧)が重畳されたときに、そのノイズ電圧が電源線を介してLEDユニットにも伝搬されて、LEDの対地耐圧を越える場合があり、LEDが破壊される現象が起こり得ることが判明した。LEDが破壊される対地ノイズ電圧の大きさは2000V付近と推測される。
【0005】
なお、特許文献2では、交流電源に接続される点灯装置において、ノイズ低減のために、整流回路の低電位側出力端もしくはランプ負荷の一端と器具筐体との間にアース用のコンデンサを接続した構成が開示されているが、この特許文献2の技術は、ランプ負荷とその点灯装置とが1つの器具筐体内に収納された電源一体型の点灯装置であるから、照明器具ユニットと電源ユニットとが別置された電源別置型の点灯装置にそのまま適用できるものではない。また、ランプ負荷は放電灯であるので、電源重畳ノイズによるランプ負荷の破壊は想定されておらず、ランプ負荷の破壊を防止する条件となるランプ負荷の対地静電容量とアース用のコンデンサの容量との関連についても示唆されていない。
【0006】
本発明は、LEDユニットと電源ユニットとが別置された電源別置型のLED点灯装置において、電源ユニットが接続された交流電源にコモンモードのノイズ電圧(対地ノイズ電圧)が重畳された場合でもLEDの破壊が生じない構成を提案することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、上記の課題を解決するために、図1〜図6に示すように、一対の交流入力端子と一対の直流出力端子を少なくとも備える電源ユニット1と、前記電源ユニット1の直流出力端子に接続された一対の電源線3a,3bを介して直流電流を供給されるLEDの回路を備え、LEDと誘電体を介して静電結合された導電部4を備えるLEDユニット2とから構成されるLED点灯装置であって、前記電源ユニット1はDC−DCコンバータ回路5を含み、前記DC−DCコンバータ回路5の2次側グランドG2または1次側グランドG1を第1のコンデンサC5を介してLEDユニット2の前記導電部4と接続し、前記第1のコンデンサC5は、前記DC−DCコンバータ回路5の2次側グランドG2または1次側グランドG1を電源ユニット1の金属ケース6に接続するコンデンサであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、交流電源に対地ノイズ電圧が印加されたときに、LEDユニットの浮遊容量を介して対地ノイズ電圧によるパルス電流が流れようとしても、LEDユニットの導電部が第1のコンデンサを介してDC−DCコンバータ回路の2次側グランドまたは1次側グランドに接続されていることにより、第1のコンデンサを介してパルス電流がバイパスされるから、LEDの耐圧を越えるパルス電流が流れることを防止でき、LEDの破壊は生じない。
【0009】
また、本発明によれば、第1のコンデンサを電源ユニットの金属ケースに接続したから、第1のコンデンサを介して電源ユニットの金属ケースに対地ノイズ電圧によるパルス電流をバイパスすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(実施形態1)
本発明の実施形態1の回路構成を図1に示す。図示されたLED点灯装置は、別置型の電源ユニット1とLEDユニット2からなり、両ユニット間は一対の電源線3a,3bとアース線7の3線で接続されている。
【0011】
以下、各ユニットの構成について説明する。電源ユニット1の入力側には一対の交流入力端子を備え、出力側には一対の直流出力端子を備えている。交流入力端子には、交流電源ACが接続され、例えば100V(50Hz/60Hz)の商用交流電圧が印加される。この交流電源ACにはコモンモードのノイズ(対地ノイズ電圧)が重畳される場合がある。
【0012】
電源ユニット1の金属ケース6内には、一対の交流入力端子に接続されて交流電源ACを全波整流する整流回路DBと、整流回路DBの出力電圧を電力変換して一対の直流出力端子間に直流電流を出力するDC−DCコンバータ回路5とが収納されている。
【0013】
本実施形態のDC−DCコンバータ回路5は、高周波でスイッチングされるスイッチング素子Q1と、前記スイッチング素子Q1を介して平滑コンデンサC1に1次巻線を接続されたトランスT1と、前記スイッチング素子Q1のOFF時に導通する極性で前記トランスT1の2次巻線と直列に接続されたダイオードD1と、ダイオードD1を介して前記トランスT1の2次巻線に接続された平滑コンデンサC2と備えるフライバックDC−DCコンバータ回路である。スイッチング素子Q1の制御回路については図示しないが、例えば2次側グランドG2と電源線3bの間に直列に挿入した電流検出抵抗の電圧降下を検出し、その検出値が所定値となるように、スイッチング素子Q1のONデューティをフィードバック制御するような回路で構成される。
【0014】
このDC−DCコンバータ回路5では、整流回路DBの出力に接続される1次側回路と直流出力端子に接続される2次側回路とがトランスT1により絶縁されているが、1次側グランドG1と2次側グランドG2の間に雑音防止用の結合コンデンサC3,C4を有しているので、1次側グランドG1と2次側グランドG2は結合コンデンサC3,C4の部分で高周波的に結合されており、1次側に印加された対地ノイズ電圧が2次側の直流出力端子に伝搬されることがある。
【0015】
電源ユニット1の直流出力端子には、一対の電源線3a,3bを介してLEDユニット2が接続され、DC−DCコンバータ回路5により制御された直流電流が出力される。本実施形態では、両ユニット間の配線として、一対の電源線3a,3bのほかに、電源ユニット1の金属ケース6とLEDユニット2の非充電導電部4を接続するアース線7を備えている。このアース線7はリード線に限定されるものではなく、要するに、電源ユニット1の金属ケース6をLEDユニット2の非充電導電部4と電気的に接続できるものであれば良い。LEDユニット2の非充電導電部4とは、例えば器具筐体を兼ねるアルミ放熱板のことであり、電源線3a,3bと電気的に接続されていないが、各LEDと誘電体を介して静電結合されている。
【0016】
LEDユニット2は複数のLEDチップをフレキシブル配線基板上で直列に接続したものであり、各LEDチップと器具筐体を兼ねるアルミ放熱板(導電部4)の間には絶縁物である誘電体シートが配置されているので、非充電導電部4であるアルミ放熱板と各LEDチップの間には浮遊容量Cyが存在することになる。
【0017】
この浮遊容量を介して対地ノイズ電圧によるパルス電流が流れると、LEDチップが破壊されることがある。そこで、本実施形態では、前記DC−DCコンバータ回路5の2次側グランドG2を前記金属ケース6に接続する対地ノイズ電圧バイパス用の第1のコンデンサC5を設けるとともに、金属ケース6とLEDユニット2の非充電導電部4とを接続するアース線7を設けたことを特徴とする。
【0018】
ここで、対地ノイズ電圧バイパス用の第1のコンデンサC5の静電容量は、LEDユニット2の非充電導電部4であるアルミ放熱板と各LEDチップの間に存在する合成浮遊容量Cyよりも大きく設定しておく。これにより浮遊容量Cyを介して対地ノイズ電圧によるパルス電流が流れようとしても、第1のコンデンサC5を介してパルス電流がバイパスされるから、LEDチップの破壊は起こらないのである。
【0019】
なお、本実施形態では、好ましくは金属ケース6を大地にアースしておくことにより、対地ノイズ電圧が電源ユニット1内の第1のコンデンサC5を介して大地にバイパスされ、電源線3a,3bには伝搬されないようにしているが、よしんば金属ケース6が大地にアースされていない場合(大地から浮いている場合)であっても、アース線7を介してLEDユニット2の非充電導電部4を金属ケース6と同一電位としておくことにより、LEDユニット2の非充電導電部4と電源線3a,3bの間にノイズ電圧が現れることは防止できる(この場合、電源線3a,3bとアース線7の全体に対地ノイズ電圧が重畳されることになる。)。これにより、非充電導電部4であるアルミ放熱板と各LEDチップの間に存在する浮遊容量Cyを介して対地ノイズ電圧によるパルス電流が流れることはなく、LEDチップが破壊されることを防止できるものである。
【0020】
本発明者らは電源ユニット1に接続される各種のLEDユニット2について、対地静電容量(図1の浮遊容量Cy)を測定した。測定対象は4灯、8灯、12灯などの灯数が異なるもののほか、器具形態が異なるものとして、ダウンライト型、スポットライト型、シーリングライト型、ユニット単体について測定した。その結果、12灯のダウンライト型では400pF程度と大きいが、その他は概ね100pF以下の小さい容量であることが分かった。
【0021】
そこで、図1の第1のコンデンサC5の容量を浮遊容量Cyよりも大きい1000pF以上に設定したところ、ノイズ電流は第1のコンデンサC5の容量を介してバイパスされ、LEDの破壊が起こらないことを確認できた。なお、結合コンデンサC3,C4は各3300pFとした。
【0022】
本実施形態では、DC−DCコンバータ回路5として、フライバック型のDC−DCコンバータを例示したが、これに限定されるものではなく、例えば、特許文献1に開示されているようなフィードフォワード型のDC−DCコンバータや、昇圧型、降圧型、昇降圧型のチョッパ回路を用いても構わない。要するに、1次側(入力側)に印加されたコモンモードのノイズ電圧が2次側(出力側)に伝搬する回路構成であれば、本発明を適用できる。
【0023】
(実施形態2)
本発明の実施形態2の回路構成を図2に示す。先の実施形態1に比べると、本実施形態では、対地ノイズ電圧バイパス用の第1のコンデンサC5をDC−DCコンバータ回路5の1次側グランドG1と金属ケース6の間に配置した点が異なる。その他の構成及び動作については実施形態1と同様であり、同様の作用効果が得られる。
【0024】
本実施形態では、地絡事故を防止するために、第1のコンデンサC5として2個のコンデンサの直列回路を用いている。先の実施形態1では、整流回路DBの直流出力端子と金属ケース6との間に、結合コンデンサC3,C4と第1のコンデンサC5の直列回路が配置されていることになり、図1の構成は最も地絡事故が起こりにくい構成であることが分かる。
【0025】
また、第1のコンデンサC5の静電容量を同じに設定するには、図2の構成では図1の構成に比べると2倍の容量のコンデンサが2個必要となるので、部品コスト、実装面積の点でも図1の構成が優れていると言える。
【0026】
試作機では、図2の第1のコンデンサC5として3900pFのものを2個直列に接続して使用し、結合コンデンサC3,C4はいずれも3300pFとしたところ、ノイズ電流は第1のコンデンサC5の合成容量を介してバイパスされ、LEDの破壊が起こらないことを確認できた。
【0027】
(実施形態3)
本発明の実施形態3の回路構成を図3に示す。先の実施形態1に比べると、本実施形態では、対地ノイズ電圧バイパス用の第1のコンデンサC5をDC−DCコンバータ回路5の1次側グランドG1と2次側グランドG2を結合するコンデンサC3,C4の接続点と金属ケース6の間に配置した点が異なる。その他の構成及び動作については実施形態1と同様であり、同様の作用効果が得られる。
【0028】
本実施形態では、コンデンサC3,C5の直列回路が整流回路DBの直流出力端子と金属ケース6との間に接続されることになるので、第1のコンデンサC5は2個直列でなくても良く、部品コスト、実装面積の点では図2の構成より優れていることになる。
【0029】
もっとも、雷サージ電圧が印加された場合には、コンデンサC3,C5の直列回路で分圧する必要があり、図1のように、コンデンサC3,C4,C5の直列回路で分圧する構成の方がコンデンサの耐圧を越える恐れが少なく、有利である。
【0030】
試作機では、コンデンサC3,C5は雷サージ電圧に対する耐圧を考慮して各1000pFまで落とし、コンデンサC4は雑音対策上4700pFとした。
【0031】
本実施形態は、1次側グランドG1の対地ノイズ電圧と2次側グランドG2の対地ノイズ電圧に対するバイパス効果が1個のコンデンサC5で得られる利点があり、雷サージ電圧に対する対策を別途講じるという前提であれば、実施形態1,2を同時に実施したのと同等の効果がある。
【0032】
(実施形態4)
本発明の実施形態4の回路構成を図4に示す。先の実施形態2に比べると、本実施形態では、対地ノイズ電圧バイパス用の第1のコンデンサC5を整流回路DBの直流出力端子の高圧側と金属ケース6の間に配置した点が異なる。ここでも、実施形態2と同様に、地絡事故を防止するために、第1のコンデンサC5として2個のコンデンサの直列回路を用いている。その他の構成及び動作については実施形態2と同様であり、同様の作用効果が得られる。
【0033】
整流回路DBの直流出力端子の高圧側と低圧側との間には1次側回路の平滑コンデンサC1が接続されているので、1次側グランドG1と金属ケース6の間には、平滑コンデンサC1と第1のコンデンサC5の直列回路が接続されていることになり、その合成容量はC1・C5/(C1+C5)となる。ただし、平滑コンデンサC1の容量は数百μF、第1のコンデンサC5の容量は数千pFのオーダーであるので、実質的には第1のコンデンサC5の容量が1次側グランドG1と金属ケース6の間に配置されていることになる。
【0034】
(実施形態5)
本発明の実施形態5の回路構成を図5に示す。先の実施形態1に比べると、本実施形態では、対地ノイズ電圧バイパス用の第1のコンデンサC5を平滑コンデンサC2の正極と金属ケース6の間に配置した点が異なる。その他の構成及び動作については実施形態1と同様であり、同様の作用効果が得られる。
【0035】
図5の構成によれば、DC−DCコンバータ回路5の2次側グランドG2と金属ケース6の間に、平滑コンデンサC2と第1のコンデンサC5の直列回路が接続されていることになり、その合成容量はC2・C5/(C2+C5)となる。ただし、平滑コンデンサC2の容量は数百μF、第1のコンデンサC5の容量は数千pFのオーダーであるので、実質的には第2のコンデンサC5の容量が2次側グランドG2と金属ケース6の間に配置されていることになる。
【0036】
以上の各実施形態1〜5においては、電源ユニット1の金属ケース6とLEDユニット2の導電部4の間を接続するアース線7が必要である。なぜなら、LEDユニット2の導電部4が大地にアースされている場合において、電源ユニット1の金属ケース6が大地にアースされていない状況では、ユニット間を接続するアース線7が無いと、たとえDC−DCコンバータ回路5の2次側グランドG2または1次側グランドG1を第1のコンデンサC5により金属ケース6に接続してあっても対地ノイズ電圧は第1のコンデンサC5を介してバイパスされず、電源ユニット1をそのまま通過することになり、LEDユニット2の浮遊容量Cyを介するパルス電流として流れるからである(以下の実施形態6の説明を参照)。
【0037】
(実施形態6)
本発明の実施形態6の回路構成を図6に示す。
この実施形態6のように、LEDユニット2の側にノイズ電圧バイパス用のコンデンサC5,C5’(ディスクリートあるいは分布容量)を備える構成を先の実施形態1〜5の構成と併用することも可能であり、より確実な対策と言える。
【0038】
先の実施形態1〜5に比べると、本実施形態では、電源ユニット1の金属ケース6とLEDユニット2の導電部4の間を接続するアース線7を有していない。この場合、交流電源ACにコモンモードのノイズが印加されると、電源ユニット1のDC−DCコンバータ回路5の1次側グランドG1と2次側グランドG2の間の結合コンデンサC3,C4を介してノイズが伝搬されて、電源線3a,3bを介してLEDユニット2に対地ノイズ電圧が印加されてしまう。このとき、LEDユニット2の導電部4がアースされていると、対地ノイズ電圧は浮遊容量Cyを介してパルス電流として流れることになり、いずれかのLEDを破壊することになる。
【0039】
これを防止するには、LEDユニット2の低圧側あるいは高圧側と導電部4の間にノイズ電圧バイパス用のコンデンサC5,C5’を挿入すれば良い。また、ディスクリートの部品では実装面積を確保できない場合があるので、フレキシブル配線基板のLED実装部以外の配線部分の銅箔パターンの面積を増大させるか、当該配線部分の誘電体の厚さを薄くするか、誘電率の高い材質を用いるなどの手段によりLED実装部以外の配線部分と導電部4の間の分布容量を増大させることにより、ノイズ電圧をバイパスさせても良い。
【0040】
先の実施形態1〜5では、電源ユニット1の側に対策を集中させることにより、複数種類のLEDユニット2のすべてに対策を施す必要を無くし、全体としてコストダウンを実現している。また、複数のLEDユニット2を直列接続して使用するような場合にも、各LEDユニット2にノイズ電圧バイパス用のコンデンサを個別に内蔵するよりは、共通の電源ユニット1にノイズ電圧バイパス用のコンデンサC5を集中して搭載する対策の方が優れている。さらに、図6の構成に比べると、図1〜図5の構成によれば、電源線3a,3bにコモンモードのノイズがそもそも伝搬されないので、他の機器に対する誘導ノイズ等も低減できると言える。
【0041】
(比較例1)
本発明に対する比較例1の回路構成を図7に示す。先の実施形態1〜5に比べると、本比較例1では、整流回路DBの交流入力端子側を2個のコンデンサの直列回路を介して金属ケース6に接続してある。この場合、DC−DCコンバータ回路5の1次側グランドG1あるいは2次側グランドG2と金属ケース6の間のノイズ電圧をバイパスする効果は無く、したがって、交流電源ACにコモンモードのノイズ電圧が印加されると、電源ユニット1を通過して電源線3a,3bにノイズ電圧が伝搬される。
【0042】
この比較例1と先の実施形態1〜5を対比すれば分かるように、電源ユニット1の金属ケース6とLEDユニット2の導電部4の間をアース線7で接続すれば良いというわけではなく、DC−DCコンバータ回路5の1次側グランドG1あるいは2次側グランドG2とLEDユニット2の導電部4の間にノイズ電圧バイパス用の第1のコンデンサC5を配置する必要がある。さらに、この第1のコンデンサC5の静電容量は、LEDユニット2の浮遊容量Cyよりも大きく設定することが好ましい。
【0043】
これらの要件を具備することにより、LEDユニット2の浮遊容量Cyを介して導電部4に流れるノイズ電流(LEDチップを破壊する原因となるインパルス電流)を第1のコンデンサC5を介してバイパスする効果が得られるのである。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施形態1の構成を示す回路図である。
【図2】本発明の実施形態2の構成を示す回路図である。
【図3】本発明の実施形態3の構成を示す回路図である。
【図4】本発明の実施形態4の構成を示す回路図である。
【図5】本発明の実施形態5の構成を示す回路図である。
【図6】本発明の実施形態6の構成を示す回路図である。
【図7】本発明に対する比較例1の構成を示す回路図である。
【符号の説明】
【0045】
1 電源ユニット
2 LEDユニット
3a,3b 電源線
4 導電部
5 DC−DCコンバータ回路
6 金属ケース
7 アース線
DB 整流回路
C5 第1のコンデンサ
G1 1次側グランド
G2 2次側グランド
C3,C4 結合コンデンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の交流入力端子と一対の直流出力端子を少なくとも備える電源ユニットと、
前記電源ユニットの直流出力端子に接続された一対の電源線を介して直流電流を供給されるLEDの回路を備え、LEDと誘電体を介して静電結合された導電部を備えるLEDユニットとから構成されるLED点灯装置であって、
前記電源ユニットはDC−DCコンバータ回路を含み、前記DC−DCコンバータ回路の2次側グランドまたは1次側グランドを第1のコンデンサを介してLEDユニットの前記導電部と接続し、
前記第1のコンデンサは、前記DC−DCコンバータ回路の2次側グランドまたは1次側グランドを電源ユニットの金属ケースに接続するコンデンサであることを特徴とする電源別置型のLED点灯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−245054(P2010−245054A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−164906(P2010−164906)
【出願日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【分割の表示】特願2006−315827(P2006−315827)の分割
【原出願日】平成18年11月22日(2006.11.22)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】