説明

電源端子台及びこれを備えた照明器具

【課題】予め想定した経年通電時間に達したことを所定の時期に確実に告知する告知装置を備え、この告知装置の取付けや配線処理の手間を省けるとともに、告知装置によって厚みが厚くならないようにした電源端子台を提供する。
【解決手段】各種の電線挿入孔を有した端子台ケース11に、電線挿入孔を通って挿入される電線が接続される正極用速結端子41と、電線挿入孔を通って挿入される電線が接続される負極用速結端子42とを互いに並べて内蔵する。経年使用変化による劣化を告知する告知装置61を両速結端子41,42の側方に配置して端子台ケース11に内蔵する。告知装置61は、回路基板62、及びこの基板62に搭載された計測部63と音出力部64を備える。回路基板62を両速結端子41,42に電気的に接続する。計測部63は通電開始からの経過時間を計測する。音出力部64は計測部63が予め想定された経年通電時間を計測したことに基づき経年通電時間に達したことを音で告知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器が予め想定した経年通電時間に達したことを告知可能とした電源端子台、及びこの電源端子台を備えた照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、照明器具が寿命末期に達したことを、その時期に告知するために、照明器具が始めて商用交流電源に接続された使用開始時点からの経過時間を計測し、この計測時間が予め設定された所定の経年通電時間に達したか否かを寿命判別手段により判別し、寿命判別手段が所定の経年通電時間に達したと判別したときに、寿命告知手段により判別結果情報を使用者に告知する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この技術での寿命告知手段は、視覚に訴える告知、つまり、照明器具の常用ランプを使用しないで表示動作をするLCDパネル等を用いる場合と、聴覚に訴える告知、つまり、スピーカ等を用いる場合とがある。
【0004】
又、照明器具は電源線と器具内配線との中継をなす電源端子台を備えている。一般に、電源端子台は、筐体に、正極用と負極用の一対の速結端子と、必要に応じてアース端子を内蔵するとともに、これらの端子に対応して複数の電線挿入孔を筐体に設けている。電線挿入孔を通って筐体内に挿入された電線は、その挿入箇所に対向している速結端子の電線受け部とこれに斜めに対向した弾性変形可能な鎖錠片との間に挿入されることにより、これら電線受け部と鎖錠片とで挟持されて機械的及び電気的に接続されるようになっている(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開2006−236713号公報(段落0012−0044、図1−図11)
【特許文献2】特開2001−283948号公報(段落0025−0067、図1−図12)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の寿命判定手段をなす制御部はマイクロコンピュータを主構成要素として形成され、この制御部は点灯回路をなす電子安定器とは別に構成されている。そのため、判定手段をなす制御部を、適当箇所へ固定し、かつ、この制御部に電源を供給する配線処理をする手間が必要である。このような事情は、電子安定器を用いることなく点灯できる白熱ランプを用いた照明器具に寿命告知用の制御部を組込む場合でも同様である。
【0006】
ところで、インバータ式の電子安定器は、複数の電子部品が搭載された回路基板を備えているから、この回路基板を利用して寿命告知用の制御部を組込むことが考えられるが、インバータ式の電子安定器の電子部品の中にはトランス等の発熱が大きい部品が含まれている。そのため、前記のように寿命告知用の制御部を電子安定器に組込むと、組込まれた制御部の温度が電子安定器の発熱部品によって上昇し易くなるので、この制御部の劣化が促進される。これにより、予め設定した経年通電時間に達する前に寿命判定手段をなす制御部が劣化して、経年通電時間に達した時には告知機能を発揮できなくなる恐れが考えられる。
【0007】
したがって、こうしたことがないようにして寿命告知用の制御部の取付けの手間を省くとともに配線処理上の利点を得る技術が求められている。又、既述のように電子安定器に寿命告知用の制御部を組込むようにした構成では、電子安定器が不要である照明器具例えば白熱ランプを用いた照明器具には適用できない。
【0008】
一方、天井に設置される照明器具はその薄型化を促進することが望まれているが、特許文献1には寿命判定手段をなす制御部の具体的な配置の記載がないので、この制御部の配置が照明器具の薄型化を促進するのに適しているか否かも不明である。
【0009】
又、特許文献2に記載の従来の電源端子台は、電源供給用電線例えば天井からの引込み電源線等の器具内配線(負荷用電線)との中継をなすことに特化しており、その他の機能を発揮するようには構成されていない。
【0010】
そして、新たな機能を電源端子台に付加する場合、その機能を担うための装置によって、電源端子台が厚くならないようにする配慮が望まれる。こうした配慮をしないで新たな機能を担う装置を電源端子台に組込むと、この電源端子台を備えた照明器具等の電気機器の薄型化を促進する上で、この薄型化を妨げる因子となる場合が考えられる。
【0011】
本発明の目的は、予め想定した経年通電時間に達したことを所定の時期に確実に告知する告知装置を備え、この告知装置の取付けや配線処理の手間を省けるとともに、告知装置によって厚みが厚くならないようにした電源端子台、及びこの電源端子台を備えた照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に係る発明の電源端子台は、供給用正極電線挿入孔、供給用負極電線挿入孔、負荷用正極電線挿入孔、及び負荷用負極電線挿入孔を有した端子台ケースと;この端子台ケースに内蔵され、前記供給用正極電線挿入孔を通って前記端子台ケース内に挿入される電線、及び前記負荷用正極電線挿入孔を通って前記端子台ケース内に挿入される電線が接続される正極用速結端子と;この正極用速結端子に並べて前記端子台ケースに内蔵され、前記供給用負極電線挿入孔を通って前記端子台ケース内に挿入される電線、及び前記負荷用負極電線挿入孔を通って前記端子台ケース内に挿入される電線が接続される負極用速結端子と;前記正極用及び負極用の両速結端子に電気的に接続される回路基板、この回路基板に搭載されて通電開始からの経過時間を計測する計測部、及び前記回路基板に搭載されて予め想定された経年通電時間を前記計測部が計測したことに基づき前記経年通電時間に達したことを音で告知する音出力部を備えてなり、前記両速結端子の側方に位置して前記端子台ケースに内蔵された告知装置と;を具備したことを特徴としている。
【0013】
本発明で、通電開始からの経過時間を計測する計測部とある内で、「通電開始」とは、本発明の電源端子台が搭載された電気機器例えば照明器具にその製造後始めに通電されたときを指し、「経過時間」とは通電開始時点からの累積通電時間を指している。「計測部」は、好適には告知装置が回路基板に搭載されたマイクロコンピュータを有している場合、このコンピュータを主構成要素とし、具体的には、マイクロコンピュータのクロックパルスをカウントするタイマを計測部として利用でき、これによって経過時間をカウントすることができる。
【0014】
本発明で、予め想定された経年通電時間とは、その時間に達するまでの経年使用に伴う照明器具など電気機器の各部の劣化の進行度合いが、一般的に照明器具等を交換することが好ましい程度に進行すると想定した時間を指している。
【0015】
本発明で、音で告知する告知手段は、鳴動をするブザーの他に、回路基板に搭載されたLSIからなる音声合成手段で形成された合成音をアンプで増幅し、増幅された信号を出力するスピーカ等からなるものであってもよい。ここに「音声」とは言語として使用者に知覚される音であっても、或いは言語としては意味をなさない警報音として使用者に知覚される音であってもよい。
【0016】
本発明で、「両速結端子の側方に位置して端子台ケースに内蔵された告知装置」とは、告知装置が、端子台ケース内で両速結端子の並び方向又はこの並び方向に平行に配置されたことを指している。
【0017】
請求項1に係る発明の電源端子台では、その端子台ケースに告知装置を内蔵して、正極用と負極用の速結端子に接続したので、告知装置を単独に設置する場合に比較して、電源端子台とともに設置でき告知装置の取付けの手間を省けるとともに、告知装置に対する給電のための配線処理の手間も省ける。
【0018】
そして、告知装置を端子台ケース内の両速結端子の側方に配置したので、両速結端子に対して端子台ケースの厚み方向に告知装置が重なって電源端子台の厚みが厚くなることがない。このため、本発明の電源端子台を備えた照明器具等の電気機器の薄型化を促進する場合に、本発明の電源端子台は電気機器の薄型化を妨げる因子とならないようにできる。
【0019】
又、この告知装置の計測部は、予め想定した経年通電時間に達したことを計測すると、それに基づいて音出力部を動作させて音を外部に放出する。それによって、予め想定した経年通電時間に達したことを告知できる。この電源端子台が備えられる電気機器例えば照明器具が電子安定器を備えている場合、この電子安定器の外部に電源端子台が配置されるので、電子安定器の熱を受けて告知装置が劣化しその動作信頼性が低下する恐れがない。したがって、告知装置は、所定の時期に、つまり、予め想定した経年通電時間に達すると、それに基づいて確実に告知することができる。しかも、音による告知であるので、端子台ケースに告知装置が内蔵されているにも拘わらずに、使用者に気付かせることができる。更に、この電源端子台を照明器具に取付けて用いる場合、照明器具が電子安定器を備えるか否かに拘わらず電源端子台は使用されるので、電子安定器を備えない照明器具であっても、所定の時期に、予め想定した経年通電時間に達したことを告知装置によって告知できる。
【0020】
この告知において、告知装置は、これが組込まれた電気機器例えば照明器具が点灯される度に一定時間音を出力することができる。この場合、照明器具等が例えば交換するのに適した時期に達したことを点灯開始時のみ告知でき、それ以降の通常点灯時には、告知のための音が放出されないので使用者にとって気にならないようにできる。このような配慮を要しない場合には、無制限に連続して告知させればよく、これにより告知効果を継続させることができる。
【0021】
更に、本発明で、所定の時期に、予め想定した経年通電時間に達することに基づく告知装置での音出力部の音出力は、一定の時間間隔で繰り返されるようにしてもよい。この場合、電気機器への電源のオン・オフ例えば照明器具の点灯・消灯に関係なく、一定の時間間隔毎に告知動作が行われるので、例えば24時間営業の店舗用の照明器具等に組込まれる電源端子台として好適である。
【0022】
又、本発明の告知装置の音出力部での一定期間或いは無制限の音出力動作は、出力回数又は出力時間或いは音量が次第に増えるようにすることが好ましい。このような音出力の制御は、計測部としての機能を一部に有したマイクロコンピュータで担うことが可能である。
【0023】
ここに、出力回数が次第に増える音出力動作とは、所定の時期に、予め想定した経年通電時間に達した後最初の一定期間の音出力が例えば「ピー」という態様であるとした場合、次の一定期間での音出力の態様が「ピーピー」であり、更に次の一定期間での音出力の態様が「ピーピーピー」となり、以下同様に出力回数が漸増することを指している。
【0024】
更に、出力時間が次第に増える音出力動作とは、所定の時期に、予め想定した経年通電時間に達した後最初の一定期間の音出力が例えば「ピー」という態様が2秒間継続するとした場合、次の一定期間での「ピー」という態様の音出力が4秒間継続し、更に次の一定期間での「ピー」という態様の音出力が6秒間継続し、以下同様に音出力時間が次第に長くなることを指している。
【0025】
又、音量が次第に増えるとは、出力される音の振幅が次第に増えて音が大きくなることを指している。そして、このことは、出力回数が次第に増える音出力動作、及び出力時間が次第に増える音出力動作に適用することができる。
【0026】
そして、これらの告知動作が得られるように本発明の告知装置を構成した場合には、所定の時期に予め想定した経年通電時間に達した後、音出力の告知による使用者に対する訴求効果が次第に高められるので、使用者に対して始めから告知音が大きすぎることによる不快感を与えないようにしつつ最終的には確実に告知することができる点で好ましい。
【0027】
請求項2に係る発明の電源端子台は、前記負荷用正極電線挿入孔及び負荷用負極電線挿入孔を前記端子台ケースの一側壁に設けるともに、この一側壁に対して前記両速結端子を間に置いて位置された前記端子台ケースの他側壁と前記両速結端子との間に前記告知装置を配置したことを特徴としている。
【0028】
この請求項2の発明では、負荷用の正極及び負極の電線挿入孔に負荷用の電線を挿入して速結端子に接続するのに告知装置が邪魔にならない。
【0029】
請求項3に係る発明の電源端子台は、前記一側壁と他側壁とを繋いだ前記端子台ケースの更に他の一対の側壁の内面に前記端子台ケースの厚み方向に延びる溝を、前記供給用の各電線挿入孔が設けられた前記端子台ケースの正面壁に対して直角となるように夫々形成し、これらの溝に前記回路基板を嵌合させて前記正面壁に対して直角状に前記回路基板を配置するとともに、この回路基板の前記両速結端子に対して遠い方の板面に前記計測部及び音出力部を搭載したことを特徴としている。
【0030】
この請求項3の発明では、端子台ケースの溝に回路基板を差し込むことで、告知装置を端子台ケース内の所定位置に容易に組込むことができる。しかも、こうして組込まれた告知装置の計測部及び音出力部は速結端子から遠ざけられるので、速結端子に対する計測部及び音出力部の耐絶縁性能を確保できる。
【0031】
請求項4に係る発明の電源端子台は、前記両速結端子が、前記供給用及び負荷用の電線挿入孔に通された電線を挟持する供給用及び負荷用の弾性変形可能な鎖錠片とこれに対向した供給用及び負荷用の電線受け部を有しており、前記供給用又は負荷用の電源受け部に、前記告知装置に向けて延びる接続部を一体に形成し、この接続部を前記回路基板に接続したことを特徴としている。
【0032】
この請求項4の発明では、導電用のリード線等の専用部品を要しないとともに、回路基板への半田付け等による接続作業を要することなく、速結端子と告知装置の回路基板と電気的に接続することができる。
【0033】
請求項5に係る発明の電源端子台は、前記両速結端子が、前記供給用及び負荷用の電線挿入孔に通された電線を挟持する供給用及び負荷用の弾性変形可能な鎖錠片とこれに対向した供給用及び負荷用の電線受け部を有し、これら供給用と負荷用の鎖錠片を一体に繋いだ部位に、前記告知装置に向けて延びる接続部を一体に形成し、この接続部を前記回路基板に接続したことを特徴としている。
【0034】
この請求項5の発明では、導電用のリード線等の専用部品を要しないとともに、回路基板への半田付け等による接続作業を要することなく、速結端子と告知装置の回路基板と電気的に接続することができる。
【0035】
請求項6に係る発明の電源端子台は、前記告知装置が、前記音出力部の出力動作を停止させる音消し手段を備えたことを特徴としている。
【0036】
この請求項6の発明では、必要により音消し手段により音出力部の出力動作を停止できる。そのため、本発明の電源端子台が取付けられる複数の照明器具等の電気機器が送り配線される場合には、その内の例えば一つの電気機器に取付けられた電源端子台の音出力部のみが有効となり、他の電源端子台に内蔵された告知装置の音出力部は有効に機能しないようにできる。したがって、予め想定した経年通電時間に達したことに基づいて、全ての告知装置の音出力部が動作することがなく、告知が騒がしくならないようにできる。
【0037】
請求項7に係る発明の照明器具は、器具本体と;この器具本体に取付けられた発光装置と;前記器具本体に取付けられるとともに負荷用の電線を用いて前記発光装置に電気的に接続された請求項1から6の内のいずれか一項に記載の電源端子台と;を具備している。この発明で、発光装置は、白熱ランプ、又は蛍光ランプ、或いは少なくとも一個のLED(発光ダイオード)素子で代表される半導体発光素子からなるLEDランプ等を指している。
【0038】
この請求項7の発明では、既述の告知装置が内蔵された電源端子台を器具本体に取付けているから、その告知装置によって、予め想定した経年通電時間に達したことを、所定の時期に、確実に告知できる。しかも、組立てにおいては告知装置の取付けや配線処理の手間を省ける。更に、電源端子台の厚みは内蔵された告知装置によって厚くならないので、器具本体の薄型化を促進する上で、この薄型化を電源端子台が妨げる因子とならないようにできる。
【0039】
請求項8に係る発明の照明器具は、通電開始からの経過時間が予め想定された所定の経年通電時間に達した後に前記発光装置が発光される度に、前記電源端子台内の告知装置が前記音出力部を動作させることを特徴としている。
【0040】
この請求項8の発明では、予め想定した経年通電時間に達した時以降に発光装置を発光させて照明をするたびに、告知装置による告知がなされるので、告知を使用者に知らしめる上で有効である。
【発明の効果】
【0041】
請求項1から6の発明によれば、予め想定した経年通電時間に達したことを、所定の時期に、確実に告知する告知装置を備え、この告知装置の取付けや配線処理の手間を省けるとともに、告知装置によって厚みが厚くならないようにした電源端子台を提供できる。
【0042】
請求項7,8の発明によれば、請求項1から6に係る発明の電源端子台を備えるので、予め想定した経年通電時間に達したことを、所定の時、期に確実に告知できるとともに、組立てにおいて告知装置の取付けや配線処理の手間を省けるとともに、器具本体の薄型化を促進する上で、この薄型化を電源端子台が妨げる因子とならない照明器具を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
図1〜図4を参照して本発明の第1実施形態を説明する。
【0044】
図1中符号1は建物の天井に例えば埋め込んで設置される照明器具を示している。この照明器具1は、下面が開放された器具本体2を備えている。この器具本体2の長手方向両端の夫々にランプソケット3が取付けられている。器具本体2の長手方向に対向して配置されたランプソケット3間には、これらにわたって発光装置として例えば直管型の蛍光ランプ4が取外し可能に支持されている。
【0045】
器具本体2の天井壁2aの下面に、電源端子台5と、これとは別に図示しないインバータ式の電子安定器が夫々取付けられている。電源端子台5には、天井壁2aに穿った電源線引き込み孔6を通って天井裏から引き込まれる図示しない電源線が接続される。ここに電源線の正極用の電線を供給用正極電線と称し、電源線の負極用の電線を供給用負極電線と称する。
【0046】
電源端子台5は図示しない負荷線(器具内配線)を介して電子安定器に接続される。この電子安定器に接続された正極用の負荷線を負荷用正極電線と称し、同じく電子安定器に接続された負極用の負荷線を負荷用負極電線と称する。更に、電子安定器は、図示しない負荷線(器具内配線)を介して器具本体2の長手方向一端部に配置されたランプソケット3に接続されるとともに、図示しない他の負荷線(器具内配線)を介して器具本体2の長手方向一端部に配置されたランプソケット3に接続される。
【0047】
前記照明器具1が複数用意されて、それらが例えば互いの長手方向の端を例えば連続するように建物の天井に直線状に並べて設置される場合、電源端子台5には隣接して配置された他の照明器具に電源を送って複数の照明器具を直列に接続するための送り電線が接続される。ここに、正極用の送り電線を送り用正極電線と称し、負極用の送り電線を送り用負極電線と称する。
【0048】
図1中符号7はランプ間反射板を示している。このランプ間反射板7は断面がV字状であって、二本の蛍光ランプ4間に配置されて、電源端子台5、電子安定器、及び各電線を覆い隠している。
【0049】
次に図2〜図4を参照して電源端子台5を説明する。電源端子台5は、端子台ケース11に、正極用速結端子41と、負極用速結端子42と、必要に応じて用いられる図示しないアース端子と、告知装置61を内蔵して形成されている。
【0050】
端子台ケース11は、合成樹脂製のケース本体12及びケース裏蓋13で形成されているとともに、直方体形状をなしている。
【0051】
ケース本体12は、第1の側壁(一側壁)12a〜第4の側壁12dと、前記天井壁2aに電源端子台5が取付けられた状態でケース本体12の底壁となる正面壁12eとを有して、この正面壁12eと対向する背面が開放された長四角形の箱からなる。第1の側壁12aと第3の側壁(他側壁)12cとは正面壁12eの長手方向の側縁から正面壁12eに直角となるように一体に設けられ、更に他の側壁をなす第2の側壁12b及び第4の側壁12dはケース本体12の長手方向に延びる側縁から正面壁12eに直角となるように一体に設けられている。ケース裏蓋13はケース本体12の背面の開口を閉じてケース本体12に取付けられている。
【0052】
図3に示すようにケース本体12に複数の仕切り壁18〜20が一体に設けられている。これら仕切り壁18〜20は、絶縁を担うとともに、ケース本体12の内部を複数の収容室例えば第1の収容室14〜第4の収容室17に区画している。第1の収容室14〜第3の収容室16は、ケース本体12の長手方向に延びて、ケース本体12の幅方向に並んで形成されている。第4の収容室17は、ケース本体12の長手方向に直交する幅方向に延びて、ケース本体12の長手方向一端部具体的には第3の側壁12cに沿って形成されている。
【0053】
図2及び図4に示すように正面壁12eに、これを貫通して第1の収容室14に連通する供給用正極電線挿入孔21及び送り用正極電線挿入孔22が開けられている。供給用正極電線挿入孔21には前記図示しない供給用正極電線が挿入され、送り用正極電線挿入孔22には前記図示しない送り用正極電線が挿入される。
【0054】
図2及び図4に示すように正面壁12eに、これを貫通して第2の収容室15に連通する供給用負極電線挿入孔23及び送り用負極電線挿入孔24が開けられている。供給用負極電線挿入孔23には前記図示しない供給用負極電線が挿入され、送り用負極電線挿入孔24には前記図示しない送り用負極電線が挿入される。
【0055】
図2〜図4に示すように正面壁12eに、これを貫通して第4の収容室17に連通する放音孔25が開けられている。
【0056】
ケース本体12の第1の側壁12aに、これを貫通して負荷用正極電線挿入孔26と負荷用負極電線挿入孔27が開けられている。負荷用正極電線挿入孔26は第1の収容室14に連通され、負荷用負極電線挿入孔27は第2の収容室15に連通されている。
【0057】
ケース本体12の幅方向に位置された第2の側壁12bと第4の側壁12dの内側面には、正面壁12eに対してほぼ直角な溝30(図3及び図4参照)が第4の収容室17に開放して設けられている。夫々の溝30はケース本体12の厚み方向に正面壁12eから連続して延びていて、第2の側壁12bと第4の側壁12dの端面に開放されている。図4中符号30aは正面壁12eに形成された他の溝を示しており、前記他の溝30aは一対の溝30を連通して設けられているが、前記他の溝30aは省略してもよい。
【0058】
なお、図2中符号28,29は、正面壁12eにこれを貫通して第3の収容室16に連通して設けられたアース用の電線挿入孔を示している。図2中符号31は、後述する速結端子に対する前記供給用正極電線と供給用負極電線の接続を解除する際に押込まれる弾性変形が可能な供給用解除レバーを示している。同様に、図2中符号32は、後述する速結端子に対する前記送り用正極電線と送り用負極電線の接続を解除する際に押込まれる弾性変形が可能な送り用解除レバーを示している。同様に、図2中符号33はアース端子に対するアース用電線の接続を解除する際に押込まれる弾性変形が可能なアース側解除レバーを示している。更に、図2中符号34,35は、後述する速結端子に対する前記負荷用正極電線と負荷用負極電線との接続を解除するためにピン状の解除具が押込まれる解除孔を示している。
【0059】
第1の収容室14に正極用速結端子41が配置され、第2の収容室15に負極用速結端子42が配置されている。これら正極用速結端子41と負極用速結端子42は、ケース本体12及びケース裏蓋13に設けた図示しないリブや凸部等の位置規制部によって、がたつかないように位置決めされている。
【0060】
正極用速結端子41と負極用速結端子42は同一の構成であって、これらは金属等の導電性を有する一枚の板を折り曲げ加工してなり、供給用電線受け部43、送り用電線受け部44、繋ぎ部45、鎖錠板46、負荷用電線受け部47、鎖錠片ベース48、負荷用鎖錠片49、及び接続部50を有している。
【0061】
供給用電線受け部43と送り用電線受け部44と鎖錠片ベース48とは互いに略平行である。繋ぎ部45は供給用電線受け部43と送り用電線受け部44とを一体に繋いでいるとともに、負荷用電線受け部47は送り用電線受け部44と鎖錠片ベース48とを一体に繋いでいる。したがって、供給用電線受け部43と負荷用電線受け部47とにわたってこれらを一体に繋いだ部位は、繋ぎ部45と送り用電線受け部44とで形成されている。
【0062】
鎖錠板46は第1の繋ぎ部45から折り曲げられており、供給用鎖錠片46aと送り用鎖錠片46bを有している。供給用鎖錠片46aは供給用電線受け部43に斜めに対向して設けられ、その先端は供給用電線受け部43に近接している。同様に、送り用鎖錠片46bは送り用電線受け部44に斜めに対向して設けられ、その先端は送り用電線受け部44に近接している。負荷用鎖錠片49は鎖錠片ベース48から切起こされている。負荷用鎖錠片49の切起こし跡は、負荷用電線の通過を許す孔となっている。この負荷用鎖錠片49は負荷用電線受け部47に斜めに対向して設けられ、その先端は負荷用電線受け部47に近接している。
【0063】
接続部50は繋ぎ部45に対して遠ざかるように供給用電線受け部43から折り曲げられている。接続部50は後述する回路基板との電気的接続を担う接続端子として機能する挟持部位50aを有している。挟持部位50aは、接続部50から折り曲げられて相対向する一対の弾性変形可能な挟持片からなり、これら挟持片間に挿入される回路基板を挟むことができる。挟持部位50aの入口部は回路基板の挿入が容易になるように広げられている。
【0064】
前記構成の正極用速結端子41と負極用速結端子42は、その供給用電線受け部43、送り用電線受け部44、及び鎖錠片ベース48が、正面壁12eに対し略直角となるように規制されて第1の収容室14又は第2の収容室15に収容される。
【0065】
収容された正極用速結端子41の供給用鎖錠片46aの先端部は供給用正極電線挿入孔21に対向し、収容された負極用速結端子42の供給用鎖錠片46aの先端部は供給用負極電線挿入孔23に対向している。同様に、収容された正極用速結端子41の送り用鎖錠片46bの先端部は送り用正極電線挿入孔22に対向し、収容された負極用速結端子42の送り用鎖錠片46bの先端部は送り用負極電線挿入孔24に対向している。更に、収容された正極用速結端子41の負荷用鎖錠片49の先端部は負荷用正極電線挿入孔26に対向し、同様に、収容された負極用速結端子42の負荷用鎖錠片49の先端部は負荷用負極電線挿入孔27に対向している。
【0066】
更に、以上のように収容された正極用速結端子41と負極用速結端子42の接続部50は、前記第4の収容室17とそれ以外の収容室14〜16とを区画した仕切り壁20を乗り越えている。それにより、挟持部位50aが第4の収容室17に配置されている。
【0067】
図3に示すように前記告知装置61は、回路基板62と、計測部63と、音出力部64とを有している。計測部63及び音出力部64は回路基板62の例えば一面に他の図示しない各種の電気部品とともに搭載されている。
【0068】
回路基板62は、後述のようにケース本体12に支持された状態で、このケース本体12の開放端から突出しない大きさにつくられている。この回路基板62は、ケース本体12の開放端に位置される回路基板62の一辺部62aに,回路パターンの一部からなるプリントコンタクト(図示しない)を有している。
【0069】
計測部63は、照明器具1が製造されて初めに通電を開始された時点からの経過時間を計測するものであって、マイクロコンピュータを主構成要素として形成されている。音出力部64は例えばブザー等からなる。この音出力部64は、計測部63が予め設定された所定の経年通電時間を計測した時又はそれ以降に音を出力し、それによって、照明器具1の使用が前記所定の経年通電時間に達したことを使用者に告知する。本実施形態の告知装置61は、照明器具1が点灯される度に一定時間音を出力するようになっている。
【0070】
告知装置61は、その正極用速結端子41と負極用速結端子42の側方に形成された第4の収容室17に収容されている。詳しくは、回路基板62をケース本体12の溝30及び30aに差し込んで、この回路基板62を正面壁12eに対して直角となるように支持することにより、告知装置61が第4の収容室17に収容されている。これにより、第1の側壁12aに対して正極用速結端子41及び負極用速結端子42を間に置いて位置された第3の側壁12cと、正極用速結端子41及び負極用速結端子42との間に、告知装置61が配置されている。
【0071】
しかも、告知装置61は、その計測部63及び音出力部64が搭載された回路基板62の面を、第3の側壁12cに対向させて配置されている。言い換えれば、計測部63及び音出力部64は、正極用速結端子41及び負極用速結端子42に対して遠い方に位置された回路基板62の一面に搭載されている。これにより、告知装置61の計測部63及び音出力部64が正極用速結端子41及び負極用速結端子42から遠ざけられるので、これら速結端子に対する計測部63及び音出力部64の耐絶縁性能を確保できる。
【0072】
次に、電源端子台5を組立てる手順を説明する。
【0073】
まず、組立済みの告知装置61をケース本体12の第4の収容室17に上方から落とし込むように組込む。この組込みは、既述のように回路基板62を、そのプリントコンタクトが設けられた一辺部62aを上側にするとともに、計測部63及び音出力部64がケース本体12の第3の側壁12cに向いた姿勢にして、この回路基板62の側縁を溝30に差し込むだけの手間で、格別な支持部品を要することなく、又、工具を用いることもなく簡単に行うことができる。それにより、告知装置61が第4の収容室17の所定位置に組込まれる。
【0074】
次に、正極用速結端子41をケース本体12の第1の収容室14に上方から落とし込むように組込むとともに、負極用速結端子42をケース本体12の第2の収容室15に上方から落とし込むように組込む。この組込みの最終段階では、正極用速結端子41及び負極用速結端子42が有した接続部50の挟持部位50aを弾性変形させながら、この挟持部位50aを回路基板62の上向きの一辺部62aに嵌合させる。それにより、回路基板62の図示しないプリントコンタクトに接続部50が弾性的に密接されて、正極用速結端子41及び負極用速結端子42と告知装置61とが電気的に接続される。この接続により、告知装置61がケース本体12の厚み方向に動かないように回路基板62を支持できる。
【0075】
最後に、ケース裏蓋13をケース本体12に取付けて端子台ケース11を組立てることによって、正極用速結端子41及び負極用速結端子42等が動かないように保持されて、電源端子台5の組立て作業が完了する。
【0076】
この組立により告知装置61が、端子台ケース11内で、並設された正極用速結端子41及び負極用速結端子42の側方に配置されるので、正極用速結端子41及び負極用速結端子42に対して告知装置61が端子台ケース11の厚み方向に重なって電源端子台5の厚みが厚くなることがない。このため、この電源端子台5を備えた照明器具1の薄型化を促進する場合に、この薄型化を電源端子台5が妨げる因子とならないようにできる。
【0077】
この電源端子台5を備えた照明器具1では、その電源端子台5の端子台ケース11内に告知装置61を内蔵して、この告知装置61が端子台ケース11に内蔵されている正極用速結端子41と負極用速結端子42とに電気的に接続されている。そのため、告知装置61は、電源端子台5とは別に、単独に設置する場合に比較して、電源端子台5とともに設置でき、告知装置61の取付けの手間を省けるとともに、告知装置61に対する給電のための配線処理の手間も省ける。
【0078】
しかも、正極用速結端子41と負極用速結端子42に接続部50を一体に設けて、これを回路基板62に直接嵌合して電気的接続を担ったので、この接続を担うリード線等の専用部品及びこの部品を回路基板62等に半田付け等で接続する手間も要しない。
【0079】
電源端子台5の使用状態では、図示しない供給用正極電線の皮剥きされた芯線が供給用正極電線挿入孔21に挿入されて、この芯線が正極用速結端子41の供給用電線受け部43と供給用鎖錠片46aとの間に挟まれて鎖錠される。同様に、図示しない供給用負極電線の皮剥きされた芯線が供給用負極電線挿入孔23に挿入されて、この芯線が負極用速結端子42の供給用電線受け部43と供給用鎖錠片46aとの間に挟まれて鎖錠される。それにより、正極用速結端子41及び負極用速結端子42を介して告知装置61に電源が供給される。
【0080】
なお、図4に示すように接続部50は、供給用電線受け部43と供給用鎖錠片46aとがなす電線挟持箇所に対向していない。これにより、供給用正極電線及び供給用負極電線が過度に深く押込み操作された場合に、その芯線によって接続部50がケース裏蓋13に近寄るように押されることがない。したがって、正極用速結端子41及び負極用速結端子42の接続部50の告知装置61に対する電気的接続を、所定の状態に維持できる点で好ましい。
【0081】
必要により送り配線をする場合には、図示しない送り用正極電線の皮剥きされた芯線が送り用正極電線挿入孔22に挿入されて、この芯線が正極用速結端子41の送り用電線受け部44と送り用鎖錠片46bとの間に挟まれて鎖錠される。同様に、図示しない送り用負極電線の皮剥きされた芯線が送り用負極電線挿入孔24に挿入されて、この芯線が負極用速結端子42の送り用電線受け部44と送り用鎖錠片46bとの間に挟まれて鎖錠される。
【0082】
又、図示しない負荷用正極電線の皮剥きされた芯線が負荷用正極電線挿入孔26に挿入されて、この芯線が正極用速結端子41の正極用速結端子41の負荷用電線受け部47と負荷用鎖錠片49との間に挟まれて鎖錠される。同様に、図示しない負極用負極電線の皮剥きされた芯線が負極用速結端子42の負荷用負極電線挿入孔27に挿入されて、この芯線が負極用速結端子42の負荷用電線受け部47と負荷用鎖錠片49との間に挟まれて鎖錠される。それにより、電子安定器及び蛍光ランプ4に電源が供給される。
【0083】
これら負荷用電線の挿入接続において、前記構成の電源端子台5では告知装置61が邪魔になることがない。即ち、端子台ケース11の第1の側壁12aに対して正極用速結端子41と負極用速結端子42を境に間に反対側に位置された端子台ケース11の第3の側壁12cと、正極用速結端子41と負極用速結端子42との間に告知装置61を配置している。そのため、正極用速結端子41及び負極用速結端子42の側方に配置される告知装置61が、負荷用正極電線挿入孔26及び負荷用負極電線挿入孔27が開けられた第1の側壁12aと正極用速結端子41及び負極用速結端子42との間に介在して、挿入された負荷用電線が正極用速結端子41及び負極用速結端子42に達することを妨げることがない。
【0084】
そして、照明器具1への給電が開始され、電源端子台5に内蔵された告知装置61の計測部63は、予め想定した経年通電時間に達したことを計測すると、それに基づいて音出力部64を動作させて音を外部に放出する。この場合、音は、端子台ケース11を貫通して放出される他、放音孔25を通ることによりさほど減衰されることなく外部に放出される。このように端子台ケース11に告知装置61が内蔵されているにも拘わらずに、音を放出することによって、予め想定した経年通電時間に達したこと、即ち、照明器具1が耐用年数に達した器具交換することが好ましい時期に達したことを、使用者に告知して気付かせることができる。
【0085】
ところで、照明器具1は発熱を伴う電子安定器を備えているが、電源端子台5は電子安定器から離れた外部に配置されているので、電源端子台5内の告知装置61が電子安定器の熱を受けて劣化しその動作信頼性が低下する恐れがない。したがって、告知装置61は、予め想定した経年通電時間に達したことを計測したことに基づいて、所定の時期に、確実に告知できる。
【0086】
なお、本実施形態の照明器具は、電子安定器を備えているが、照明器具1が電子安定器等の電子安定器を備えるか否かに拘わらず電源端子台5は使用されるので、電子安定器を備えない照明器具に対して電源端子台5を用いることにより、この照明器具が予め想定した経年通電時間に達すると、それに基づいて所定の時期に告知装置61によって告知できる。
【0087】
図5を参照して本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態は以下説明する事項以外は第1実施形態と同じであるので、同じ構成には第1実施形態と同一符号を付してその説明を省略する。
【0088】
第2実施形態では、正極用速結端子41及び負極用速結端子42の接続部50を、供給用電線受け部43から延出することに代えて、正極用電線受け部43から負荷用電線受け部47にわたる部位例えば繋ぎ部45から告知装置61に向けて延びるように一体に設けている。そのため、供給用電線受け部43と供給用鎖錠片46aとの間に送り用正極電線又は送り用負極電線が挿入されることに伴い、供給用電線受け部43に力を受けても、それによる供給用電線受け部43の多少の変形等の影響が、接続部50の挟持部位50aと回路基板62との接続箇所に波及することがない。したがって、正極用速結端子41及び負極用速結端子42の接続部50の告知装置61に対する電気的接続を所定の状態に維持できる点で好ましい。
【0089】
以上説明した事項以外は第1実施形態と同じである。そのため、第1実施形態で既に説明した理由によって、この第2実施形態でも本発明の所期の課題を解決できる。
【0090】
図6を参照して本発明の第3実施形態を説明する。第3実施形態は以下説明する事項以外は第1実施形態と同じであるので、同じ構成には第1実施形態と同一符号を付してその説明を省略する。
【0091】
第3実施形態では、送り用電線受け部44にこれと略平行に負荷用電線受け部47が他の繋ぎ部51を介して設けられている。負荷用電線受け部47からケース本体12の正面壁12eに支持される鎖錠片ベース48が折り曲げられていて、この鎖錠片ベース48に負荷用鎖錠片49が切起こされている。正面壁12eに、これを貫通するとともに負荷用鎖錠片49に対向する負荷用正極電線挿入孔26が開けられているとともに、同様に負荷用負極電線挿入孔27(図6では図示されない)が開けられている。
【0092】
このように負荷用正極電線挿入孔26及び負荷用負極電線挿入孔27をケース本体12の第1の側壁12aに設けることなく、全ての電線挿入孔を正面壁12eに設けたので、ケース本体12の第1の側壁12aと第3の側壁12cとにわたる長さが短くなって、電源端子台5を小形に形成できる。
【0093】
更に、第4の収容室17は第1の側壁12a側に形成されている。そのため、負荷用電線受け部47に近接対向して仕切り壁20がケース本体12内に設けられている。この第4の収容室17に告知装置61が内蔵されている。これに応じて、正極用速結端子41及び負極用速結端子42(図6では図示されない)の接続部50は、負荷用電線受け部47から告知装置61に延びて一体に設けられている。
【0094】
以上説明した事項以外は第1実施形態と同じである。そのため、第1実施形態で既に説明した理由によって、この第3実施形態でも本発明の所期の課題を解決できる。
【0095】
図7を参照して本発明の第4実施形態を説明する。第4実施形態は以下説明する事項以外は第1実施形態と同じであるので、同じ構成には第1実施形態と同一符号を付してその説明を省略する。
【0096】
第4実施形態では、第1実施形態で説明した電源端子台5に、音出力部64の告知動作を任意に停止させるための音消し手段として例えばスイッチ71が取付けられている。このスイッチ71は例えば端子台ケース11の放音孔25に対向して告知装置61の回路基板62に搭載されている。スイッチ71は、放音孔25に通される軸状の工具により押される度にオン・オフされるものであって、そのオン状態又はオフ状態は次に押されるまで維持されるようになっている。これ以外の電源端子台5の構成は第1実施形態の電源端子台と同じである。
【0097】
この電源端子台5を備えた複数の照明器具(図7では、図示されないが、器具本体の天井壁2のみ図示する。)は、建物の室内天井に直線状となるように配設され、これら照明器具の並び方向に隣接した電源端子台5は送り配線により電気的に直列に接続されている。図7中符号72は送り配線用の電線を示し、符号73,74は電源の供給用電線を示している。
【0098】
以上説明した事項以外は第1実施形態と同じである。そのため、第1実施形態で既に説明した理由によって、この第4実施形態でも本発明の所期の課題を解決できる。
【0099】
しかも、第4実施形態では電源端子台5がスイッチ71を備えているので以下の点で好ましい。
【0100】
即ち、建物に天井に設置された複数の照明器具を送り配線をした後に、これら照明器具の電源端子台5の内の例えば一つ、例えば電源の送り方向末端に位置した照明器具の電源端子台5のスイッチ71をオン状態とするとともに、それ以外の照明器具のスイッチ71をオフ状態として、列状に配置された前記照明器具群を使用する。それにより、予め想定した経年通電時間に達した時以降に、オン状態にあるスイッチ71を備えた電源端子台5の告知装置61が有した音出力部64のみが有効に告知動作をし、この以外の電源端子台5に内蔵された告知装置61の音出力部64は告知動作をしない。これにより、予め想定した経年通電時間に達したことに基づいて、全ての告知装置61の音出力部64が告知することがないので、告知が騒がしくならないようにできる。
【0101】
なお、第4実施例では音消し手段として手動操作されるスイッチを設けたが、これに代えて以下のようにすることもできる。即ち、供給用電線受け部43と供給用鎖錠片46a間に挟持される送り配線用の電線72が、速結端子に接続されたことをセンサによって検出し、この検出信号が供給されるマイクロコンピュータにより、半導体スイッチからなる音消し手段をオフさせてもよい。これにより、供給用電線受け部43と供給用鎖錠片46a間に、供給用正極電線及び供給用負極電線が挟持された電源端子台5の告知装置61のみが有効になる。これとともに、送り配線用の電線72が接続された電源端子台5での音出力部64が、告知動作をしないように自動的に設定されるので、告知動作をしないようにするための格別な手間を要しない。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】(A)は本発明の第1実施形態に係る電源端子台を備えた照明器具を一部切欠いて示す斜視図。(B)は図1(A)の照明器具を示す断面図。
【図2】本発明の第1実施形態に係る電源端子台を示す斜視図。
【図3】図2の電源端子台を一部切欠いて示す背面図。
【図4】図3中矢印F4−F4線に沿う断面図。
【図5】本発明の第2実施形態に係る電源端子台を示す図4相当の断面図。
【図6】本発明の第3実施形態に係る電源端子台を示す図4相当の断面図。
【図7】本発明の第4実施形態に係る複数の電源端子台をそれらが送り配線で接続されるように配設された状態で示す図4相当の断面図。
【符号の説明】
【0103】
1…照明器具(電気機器)、2…器具本体、4…蛍光ランプ(発光装置)、5…電源端子台、11…端子台ケース、12…ケース本体、12a…第1の側壁(一側壁)、12b…第2の側壁(他側壁)、12c…第3の側壁(更に他の側壁)、12d…第4の側壁(更に他の側壁)、12e…正面壁、14〜17…収容室、18〜19…仕切り壁、21…供給用正極電線挿入孔、22…送り用正極電線挿入孔、23…供給用負極電線挿入孔、24…送り用負極電線挿入孔、25…放音孔、26…負荷用正極電線挿入孔、27…負荷用負極電線挿入孔、41…正極用速結端子、42…負極用速結端子、43…供給用電線受け部、44…送り用電線受け部(部位)、45…繋ぎ部(部位)、46…鎖錠板、46a…供給用鎖錠片、46b…送り用鎖錠片、47…負荷用電線受け部、48…鎖錠片ベース、49…負荷用鎖錠片、50…接続部、50a…挟持部位、61…告知装置、62…回路基板、63…計測部、64…音出力部、71…スイッチ(音消し手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給用正極電線挿入孔、供給用負極電線挿入孔、負荷用正極電線挿入孔、及び負荷用負極電線挿入孔を有した端子台ケースと;
この端子台ケースに内蔵され、前記供給用正極電線挿入孔を通って前記端子台ケース内に挿入される電線、及び前記負荷用正極電線挿入孔を通って前記端子台ケース内に挿入される電線が接続される正極用速結端子と;
この正極用速結端子に並べて前記端子台ケースに内蔵され、前記供給用負極電線挿入孔を通って前記端子台ケース内に挿入される電線、及び前記負荷用負極電線挿入孔を通って前記端子台ケース内に挿入される電線が接続される負極用速結端子と;
前記正極用及び負極用の両速結端子に電気的に接続される回路基板、この回路基板に搭載されて通電開始からの経過時間を計測する計測部、及び前記回路基板に搭載されて予め想定された経年通電時間を前記計測部が計測したことに基づき前記経年通電時間に達したことを音で告知する音出力部を備えてなり、前記両速結端子の側方に位置して前記端子台ケースに内蔵された告知装置と;
を具備したことを特徴とする電源端子台。
【請求項2】
前記負荷用正極電線挿入孔及び負荷用負極電線挿入孔を前記端子台ケースの一側壁に設けるともに、この一側壁に対して前記両速結端子を間に置いて位置された前記端子台ケースの他側壁と前記両速結端子との間に前記告知装置を配置したことを特徴とする請求項1に記載の電源端子台。
【請求項3】
前記一側壁と他側壁とを繋いだ前記端子台ケースの更に他の一対の側壁の内面に前記端子台ケースの厚み方向に延びる溝を、前記供給用の各電線挿入孔が設けられた前記端子台ケースの正面壁に対して直角となるように夫々形成し、これらの溝に前記回路基板を嵌合させて前記正面壁に対して直角状に前記回路基板を配置するとともに、この回路基板の前記両速結端子に対して遠い方の板面に前記計測部及び音出力部を搭載したことを特徴とする請求項1又は2に記載の電源端子台。
【請求項4】
前記両速結端子が、前記供給用及び負荷用の電線挿入孔に通された電線を挟持する供給用及び負荷用の弾性変形可能な鎖錠片とこれに対向した供給用及び負荷用の電線受け部を有しており、前記供給用又は負荷用の電線受け部に、前記告知装置に向けて延びる接続部を一体に形成し、この接続部を前記回路基板に接続したことを特徴とする請求項1から3の内のいずれか一項に記載の電源端子台。
【請求項5】
前記両速結端子が、前記供給用及び負荷用の電線挿入孔に通された電線を挟持する供給用及び負荷用の弾性変形可能な鎖錠片とこれに対向した供給用及び負荷用の電線受け部を有し、これら供給用と負荷用の鎖錠片を一体に繋いだ部位に、前記告知装置に向けて延びる接続部を一体に形成し、この接続部を前記回路基板に接続したことを特徴とする請求項1から3の内のいずれか一項に記載の電源端子台。
【請求項6】
前記告知装置が、前記音出力部の出力動作を停止させる音消し手段を備えたことを特徴とする請求項1から5のうちのいずれか一項に記載の電源端子台。
【請求項7】
器具本体と;
この器具本体に取付けられた発光装置と;
前記器具本体に取付けられるとともに負荷用の電線を用いて前記発光装置に電気的に接続された請求項1から6の内のいずれか一項に記載の電源端子台と;
を具備した照明器具。
【請求項8】
通電開始からの経過時間が予め想定された所定の経年通電時間に達した後に前記発光装置が発光される度に、前記電源端子台内の告知装置が前記音出力部を動作させることを特徴とする請求項7に記載の照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−269996(P2008−269996A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−112180(P2007−112180)
【出願日】平成19年4月20日(2007.4.20)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】