説明

電源装置および電源装置の制御方法、ならびに、画像形成装置

【課題】電圧の異なる複数の電源を供給する際に、電源停止時において、電源供給先に対する不要な高電圧の供給を防止する。
【解決手段】商用電源から、装置の各部の回路で用いる5Vの電源5VGと、インクジェットヘッドのピエゾ素子を駆動する37Vの電源37VHとを生成する。電源37VHから、ヘッドドライバICを駆動するために用いる5Vの電源5VHを生成する。電源選択部は、電源5VGと電源5VHとのうち、電圧の高い方の電源を選択して出力し、ヘッドに供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電圧の異なる複数の電源を出力する電源装置および電源装置の制御方法、ならびに、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電圧の異なる複数の電源を必要とする電子機器が多く存在する。例えば、プリンタヘッドからインクを吐出させて印字を行うインクジェットプリンタでは、液晶ディスプレイなどの表示デバイスを含む操作部やモータなどを駆動させるための第1の電圧の電源、プリンタヘッドを駆動するための第2の電圧の電源、ロジック回路を駆動するための第3の電圧の電源などの、電圧の異なる複数の電源が必要とされる。
【0003】
これら電圧の異なる複数の電源は、電源の供給順に制約が存在する場合がある。例えば、電源装置により、プリンタヘッドを駆動するためのヘッドドライバIC(Integrated Circuit)に対し、ヘッドドライバIC自身の第1の電源と、プリンタヘッド駆動用の、第1の電源より遙かに高圧の第2の電源とが供給される場合について考える。この場合、ヘッドドライバICに対して、第1の電源の出力が停止された後にも第2の電源の供給が継続されていると、ヘッドドライバICにおいて、ヘッドドライバIC内部の寄生ダイオードを経由してこの第2の電源による貫通電流が流れてしまい、ヘッドドライバICを破壊してしまうおそれがある。
【0004】
このため、従来から、出力電圧の異なる複数の電源出力回路それぞれの出力開始および停止時期を制御する機能を有する電源装置が知られている。例えば、特許文献1には、フォトカプラで外部電源からの電力供給を監視し、トランジスタスイッチングとコンデンサの放電時間とを利用して、電源出力回路の停止時期を制御する構成が開示されている。特許文献1の構成によれば、外部電源からの電力の供給が断たれた場合においても、予め決められた通りの順序で、複数の電源出力回路の出力停止時期を制御することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来技術による電源装置は、電源装置内でのコンデンサの放電時間を利用して出力停止時期を制御し、電源装置の電源出力そのものによって出力停止時期を保証するようにし、例えばプリンタヘッド駆動回路などの、電源供給先の回路内に接続されているコンデンサに関しては考慮されていなかった。そのため、例えば、電源供給先であるプリンタヘッド駆動回路内に、波形整形などのために容量の大きいコンデンサが接続されると、電源装置の出力停止時期と供給先の電圧の停止時期とが異なってしまう可能性があるという問題点があった。
【0006】
一例として、電源の供給先において上述した第2の電源に対して大容量のコンデンサが接続されるような場合について考える。この場合、電源装置側で第1および第2の電源出力を同時に停止したとしても、電源の供給先では、当該コンデンサの作用により、第1の電源の供給が停止された後も第2の電源が一定時間供給され続けることになる。これにより、ヘッドドライバICが破壊されてしまうおそれがある。
【0007】
上述した特許文献1に記載の構成においても、供給先の回路に容量の大きいコンデンサが接続されると、電源装置の出力停止時期と供給先での電源停止時期とが異なってしまう可能性があるという問題は解消できていない。
【0008】
この問題点を回避するために、プリンタヘッド駆動回路内に接続されているコンデンサの容量を考慮に入れて、電源装置のコンデンサを設定することも考えられる。しかしながら、この場合、設計の自由度が小さくなってしまうという問題点があった。
【0009】
また、特許文献1に記載されるような、コンデンサの充放電によって電源の出力停止時期を制御する方式では、規定以外の動作、例えば充電途中で電源をOFFにしたような場合に、異なる電圧の電源間で出力停止時期に所定の時間差を作ることが困難であるという問題点があった。
【0010】
このように、従来の電源装置では、電源装置を停止した際に、電源供給先のデバイスにおいて、当該デバイスに規定の電源シーケンスを守れなくなり、デバイスの動作不安定や破壊を引き起こす可能性があるという問題点があった。
【0011】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、電圧の異なる複数の電源を供給する際に、電源停止時において、電源供給先に対する不要な高電圧の供給を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、第1の電圧を出力する第1の電圧生成手段と、第1の電圧よりも高い第2の電圧を出力する第2の電圧生成手段と、第2の電圧生成手段で生成された第2の電圧から、第1の電圧と等しい第3の電圧を生成し出力する第3の電圧生成手段と、第1の電圧生成手段の出力と、第3の電圧生成手段の出力とのうち電圧の高い方の出力を選択する選択手段とを備え、第2の電圧生成手段の出力と、選択手段によって選択された出力とをそれぞれ負荷に供給することを特徴とする。
【0013】
本発明は、第1の電圧生成手段が、第1の電圧を出力する第1の電圧生成ステップと、第2の電圧生成手段が、第1の電圧よりも高い第2の電圧を出力する第2の電圧生成ステップと、第3の電圧生成手段が、第2の電圧生成ステップで生成された第2の電圧から、第1の電圧と等しい第3の電圧を生成し出力する第3の電圧生成ステップと、選択手段が、第1の電圧生成ステップによる出力と、第3の電圧生成ステップによる出力とのうち電圧の高い方の出力を選択する選択ステップとを備え、第2の電圧生成ステップによる出力と、選択ステップによって選択された出力とをそれぞれ負荷に供給することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電圧の異なる複数の電源を供給する際に、電源停止時において、電源供給先に対する不要な高電圧の供給が防止されるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に適用可能なインクジェットプリンタの一例の構造を正面から示す略線図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態に適用可能なインクジェットプリンタの一部を斜め上から観察した略線図である。
【図3】図3は、本実施形態に適用可能なインクジェットプリンタの一例の構成を概略的に示すブロック図である。
【図4】図4は、インクジェットヘッドの一例の構成を示すブロック図である。
【図5】図5は、インクジェットヘッドに対して供給する電源の一例のシーケンスを示す略線図である。
【図6】図6は、本発明の実施形態によるPSU、MCUおよびヘッド制御部の一例の構成をより詳細に示す回路図である。
【図7】図7は、本発明の実施形態による通常動作時における電源シーケンスの例を示す略線図である。
【図8】図8は、本発明の実施形態による異常動作時における電源シーケンスの例を示す略線図である。
【図9】図9は、本発明の実施形態による異常動作時における電源シーケンスの例を示す略線図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る電源装置および電源装置の制御方法、ならびに、当該電源装置を用いた画像形成装置の一実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に適用可能な画像形成装置としてのインクジェットプリンタ1の一例の構造を正面から示す。また、図2は、インクジェットプリンタ1の一部を斜め上から観察した図を示す。
【0017】
図1に示すように、インクジェットプリンタ1の筐体10の左右の側板11、12には、ガイドシャフト13とガイド板14とが平行に掛け渡して設けられている。ガイドシャフト13およびガイド板14は、キャリッジ15に摺動可能に貫通される。キャリッジ15には、不図示の無端ベルトが取り付けられる。無端ベルトは、筐体10内の左右に設けられる図示しない駆動プーリと従動プーリに掛けまわされる。そして、駆動プーリの回転と共に従動プーリが従動回転されて無端ベルトを走行する。これにより、キャリッジ15が、図1の矢印で示されるよう左右に移動される。
【0018】
キャリッジ15には、イエロ、シアン、マゼンタ、ブラックの4色のインクジェットヘッド16y、16c、16m、16b(以下、これらを特に区別する必要のない場合には、インクジェットヘッド16で代表させて記述する)が、キャリッジ15の移動方向に並列配置されている。各インクジェットヘッド16は、下向きのノズル面に複数のノズルを直線状に並べたノズル列を有する。図示しないが、直線状のノズル列は、キャリッジ15の移動方向と直交する方向に設けられる。
【0019】
そして、キャリッジ15が図1のように右端のホームポジションに存在するときには、各インクジェットヘッド16は、筐体10内の底板17上に設置する単独回復装置18と対向する。単独回復装置18は、インク滴吐出不良を検出したノズルからインクを吸い出し、インクジェットプリンタ1自身で単独で液体吐出不良を回復する装置である。
【0020】
板状のプラテン22の背面側には、記録媒体である用紙23をプラテン22上に供給する給紙台24が斜めに立てて設けられる。また、図示を省略するが、給紙台24上の用紙23をプラテン22上に送り出す給紙ローラが備えられる。さらに、プラテン22上の用紙23を矢示方向に搬送して正面側に排出する搬送ローラ25が設けられる。
【0021】
筐体10内の底板17上には、さらに左端に駆動装置26が設置される。駆動装置26は、不図示の給紙ローラや搬送ローラ25などを駆動すると共に、上述した駆動プーリを駆動することにより無端ベルトを走行してキャリッジ15を移動する。
【0022】
そして、記録時は、駆動装置26で駆動されることにより用紙23がプラテン22上に移動され、所定位置に位置決めされる。また、キャリッジ15が移動されて用紙23上を走査され、左方向に移動しながら4色のインクジェットヘッド16y、16c、16m、16bを用いて順にそれぞれのノズルからインク滴が吐出され、用紙23上に画像が記録される。画像記録後、キャリッジ15が右方向に戻されると共に、用紙23が図2の矢印の方向に所定量搬送される。
【0023】
次いで、再びキャリッジ15が左方向に移動されながら往路で4色のインクジェットヘッド16y、16c、16m、16bを用いて順にそれぞれのノズルからインク滴が吐出され、用紙23上に画像が記録される。そして、同様に画像記録後、キャリッジ15が右方向に戻されると共に、用紙23が図2の矢印の方向に所定量搬送される。以下同様の動作が繰り返され、1枚の用紙23上に画像が記録される。
【0024】
図3は、本実施形態に適用可能なインクジェットプリンタ1の一例の構成を概略的に示す。なお、図3においては、モータ駆動系など、本実施形態に直接的な関わりを持たない部分を省略して記載している。インクジェットプリンタ1は、パワーサプライユニット(PSU)101と、メインコントロールユニット(MCU)102と、ヘッド制御部103と、インクジェットヘッド104と、操作部105と、コントローラ(CTL)106と、イメージプロセシングユニット(IPU)107とを有する。
【0025】
PSU101は、供給された商用電源100から、インクジェットプリンタ1の各部に供給するための、電圧の異なる複数の電源を出力する。MCU102は、CPU110および電源制御部111を含む。CPU(Central Processing Unit)110は、図示されないROMに予め記憶されるプログラムに従い、各種制御信号を生成し電源制御部111を制御する。電源制御部111は、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)により構成され、インクジェットヘッド104に供給する一部の電源を生成すると共に、PSU101による電源出力を制御する。
【0026】
CTL106は、CPU120を含み、図示されないROMに予め記憶されるプログラムに従い、PSU101による電源出力の制御を行うと共に、操作部105からの制御信号に応じて、このインクジェットプリンタ1の全体の動作を制御する。操作部105は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)を表示デバイスとして用いた表示部と、ユーザ操作のための操作子とを含み、CPU120により生成された表示制御信号に従った表示を行うと共に、ユーザ操作に応じた制御信号を出力してCPU120に供給する。
【0027】
IPU107は、画像処理部131およびIO_ASIC130を含み、MCU102から供給される電圧が5Vの電源で動作する。画像処理部131およびIO_ASIC130は、バス112を介してMCU102内のCPU110および電源制御部111と、互いに通信可能に接続される。IO_ASIC130は、例えばASICにより構成され、CPU120とPCI(Peripheral Component Interconnect)バスなどのバスを介して接続され、CPU120とCPU110との間の通信や、画像処理部131のバス112を介した通信を調停する機能を有する。これにより、CPU120とCPU110とは、互いに通信を行うことができる。
【0028】
画像処理部131は、図示されない画像データ入力部から供給された画像データに対して所定の画像処理を施す。
【0029】
ヘッド制御部103は、MCU102から供給された電源から、インクジェットヘッド104に適した電源を生成してインクジェットヘッド104に供給する。また、ヘッド制御部103は、電源制御部111から供給されるヘッド駆動信号VCOMと、画像処理部131で画像処理された画像データに基づく制御信号とに従い、インクジェットヘッド104によるインクの吐出などを制御する。インクジェットヘッド104は、図1および図2に示したインクジェットヘッド16に対応する。
【0030】
図4は、インクジェットヘッド104の一例の構成を示す。図4の例では、インクジェットヘッド104は、ヘッドドライバIC(Integrated Circuit)230と、ヘッド本体を構成するピエゾ素子231と、インクが蓄えられるインクタンク232と、インクを吐出させるノズル233とを含む。ヘッド本体は、ピエゾ素子231に対して高周波電圧を印加させ、この高周波電圧によるピエゾ素子231の振動を利用してインクタンク232内のインクをノズル233から吐出させる。
【0031】
ヘッドドライバIC230に対して、ヘッドドライバIC230自身を駆動するための、例えば電圧が3.3Vの電源3.3VHと、ピエゾ素子231を駆動するための、例えば電圧が37Vの電源37VHとが供給される。なお、これらヘッドドライバIC230自身を駆動するための電源電圧、ならびに、ピエゾ素子231を駆動するための電源電圧は一例であり、これらに限定されるものではない。
【0032】
ヘッドドライバIC230に対して、さらに、ピエゾ素子231の駆動波形の元になる駆動信号VCOMと、ヘッドドライバIC230を制御するための制御信号が供給される。
【0033】
一般的に、ピエゾ素子231を駆動するための電源電圧は、ヘッドドライバIC230自身を駆動するための電源電圧に対して、高いレベルの電圧となる。一方、ヘッドドライバIC230は、自身を駆動する電源3.3VHが供給されるより先に、ピエゾ素子231を駆動する電源37VHが供給されると、ヘッドドライバIC230内部の寄生ダイオードを経由して、この電源37VHによる貫通電流が流れてしまい、ヘッドドライバIC230が破壊されてしまうおそれがある。そのため、ヘッドドライバIC230に対する電源3.3VHおよび電源37VHの供給は、所定のシーケンスに従って行う必要がある。
【0034】
図5は、インクジェットヘッド104に対して供給する電源の一例のシーケンスを示す。ここで、ヘッドドライバIC230に対して、ヘッドドライバIC230自身を駆動する電源3.3VHが供給されていない状態で、ピエゾ素子231を駆動する電源37VHが供給された場合に、ヘッドドライバIC230が破壊されない電源37VHの電圧(安全電圧と呼ぶ)を、10Vであるものとする。
【0035】
先ず、インクジェットプリンタ1の電源ON時など、インクジェットヘッド104に対する電源3.3VHおよび電源37VHの供給開始時は、電源37VHの電圧が安全電圧に到達する前に、電源3.3VHが規定の電圧(この例では3.3V)に立ち上がっている必要がある。また、インクジェットプリンタ1の電源OFF時など、インクジェットヘッド104に対する電源3.3VHおよび電源37VHの供給停止時は、電源37VHの電圧が安全電圧に降下するまで、電源3.3VHが規定の電圧を維持している必要がある。
【0036】
次に、図6〜図9を用いて、本実施形態による動作をより詳細に説明する。図6は、本実施形態によるPSU101、MCU102およびヘッド制御部103の一例の構成をより詳細に示す。なお、図6において、上述の図3と共通する部分には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。また、図6では、本実施形態に関連の深い、電源および電源の制御に関する経路および構成を中心に記載し、その他の経路および構成は、特に記載のない限り、省略している。
【0037】
先ず、PSU101の構成について説明する。PSU101は、A/D変換回路200aおよび200b、ならびに、スイッチ素子F1およびF2を備える。スイッチ素子F1およびF2は、それぞれPチャネルのMOSFET(Metal-Oxide Semiconductor Field-Effect Transistor)を用いて構成され、ゲートにLow状態の信号が入力されると、ソース−ドレイン間がON状態となる。
【0038】
A/D変換回路200aおよび200bは、それぞれトランス、整流器および安定化回路を有し、電圧100Vの交流電圧として外部から供給される商用電源を変圧、整流および安定化して出力する。A/D変換回路200aは、電圧5Vの直流電源と、電圧37Vの直流電源とを生成する。また、A/D変換回路200aは、CTL106内のCPU120により、その動作のON/OFFが制御される。A/D変換回路200bは、CTL106内のCPU120を動作させるための、電圧5Vの直流電源5VEを生成する。
【0039】
A/D変換回路200aで生成された電圧5Vの電源は、スイッチ素子F1のドレインに入力される。スイッチ素子F1のソース出力は、電源5VGとしてMCU102に供給される。スイッチ素子F1のゲートは、CTL106内のCPU120から出力される信号PONENG_Nが入力される。スイッチ素子F1のソース−ドレイン間は、この信号PONENG_NがLow状態でON状態とされ、High状態でOFF状態とされる。すなわち、信号PONENG_NがLow状態で電圧が5Vの電源5VGがスイッチ素子F1から出力され、信号PONENG_NがHigh状態で、当該電源の出力が停止される。なお、信号PONENG_Nは、電圧が0VでLow状態である。
【0040】
A/D変換回路200aで生成された電圧37Vの電源は、スイッチ素子F2のドレインに入力される。スイッチ素子F2のソース出力は、電源37VHとしてMCU102に供給される。スイッチ素子F2のゲートは、MCU102内の電源制御部111から出力される信号HVCONT_Nが入力される。スイッチ素子F2のソース−ドレイン間は、この信号HVCONT_NがLow状態でON状態とされ、High状態でOFF状態とされる。すなわち、信号HVCONT_NがLow状態で電圧が37Vの電源37VHがスイッチ素子F2から出力され、信号HVCONT_NがHigh状態で、当該電源の出力が停止される。なお、信号HVCONT_Nは、Low状態で電圧が0Vである。
【0041】
次に、MCU102の構成について説明する。MCU102は、電源制御部111およびCPU110を備えると共に、DC/DCコンバータ210および212と、検出回路213と、放電回路214と、ヘッド駆動部215とを備える。PSU101からMCU102に供給された電源5VGは、MCU102から出力され、ヘッド制御部103に供給されると共に、IPU107(図3参照)など他の回路に供給される。すなわち、電源5VGは、電圧5Vの電源として、インクジェットプリンタ1内において共通に用いられる電源である。
【0042】
電源5VGは、さらに、DC/DCコンバータ210に入力される。DC/DCコンバータ210は、供給された電源5VGの電圧を例えば3.3Vに変換して出力する。DC/DCコンバータ210の出力は、電源制御部111に電源として供給されると共に、電圧3.3Vの電源を必要とする他のIC(3.3V系IC)211に供給される。
【0043】
なお、DC/DCコンバータ210による変換出力は、3.3Vの電源に限られず、電源の供給先で必要とされる電源電圧に応じた値とすることができる。このとき、DC/DCコンバータ210による電源の供給先の必要とする電源電圧がDC/DCコンバータ210の入力側の電圧と同一である場合には、このDC/DCコンバータ210を省略することができる。
【0044】
PSU101からMCU102に供給された電源37VHは、MCU102内部でDC/DCコンバータ212と、検出回路213と、放電回路214と、ヘッド駆動部215とにそれぞれ供給される。それと共に、この電源37VHは、MCU102から出力され、ヘッド制御部103を介して電源37VHとして各インクジェットヘッド104に供給される。
【0045】
ヘッド駆動部215は、供給された電源37VHからヘッドの駆動波形を生成し、ヘッド駆動信号VCOMとしてMCU102から出力する。なお、MCU102内部でこの電源37VHに接続されるコンデンサC1〜C4は、ヘッド駆動部215からのヘッド駆動信号VCOMの出力を安定的に行わせるために用いられる大容量のコンデンサである。
【0046】
DC/DCコンバータ212は、電源37VHの電圧を、電源5VGと同一の電圧(この例では5V)の電源5VHに変換して出力する。電源5VHは、ヘッド制御部103に供給される。なお、DC/DCコンバータ212は、規定の出力電圧(5V)を出力可能な入力電圧範囲の最低値(以下、単に入力電圧範囲の最低値と呼ぶ)が、インクジェットヘッド104内のヘッドドライバIC230の安全電圧(この例では10V)以下であるものとする。
【0047】
検出回路213は、供給された電源37VHの電圧を監視し、当該電源37VHの電圧が予め決められた電圧より低いか否かを検出する。図6の例では、検出回路213において、電源37VHが抵抗素子R1を介してツェナーダイオードZD1のカソードに供給される。抵抗素子R1とツェナーダイオードZD1のカソードとの中点から取り出された電圧が、抵抗素子R2およびR3で例えば1/2の電圧に分圧されて、電源制御部111のアナログポートに入力される。電源制御部111は、アナログポートに入力された電圧を検出することができる。
【0048】
ツェナーダイオードZD1は、ツェナー電圧がヘッドドライバIC230の安全電圧と略等しいものを選択する。こうすると、ツェナーダイオードZD1のカソードの電圧は、電源37VHの電圧が安全電圧以上であればツェナー電圧すなわち安全電圧となり、当該電源37VHの電圧が安全電圧未満になると、ツェナー電圧未満となる。電源制御部111は、このツェナーダイオードZD1のカソードの電圧を監視して、電源37VHが安全電圧未満になったか否かを検出する。なお、実際には、電源制御部111は、当該カソードの電圧を抵抗素子R2およびR3で分圧した電圧を監視することになる。
【0049】
放電回路214は、スイッチ素子F2において電源37VHの出力を停止させた際に、供給された電源37VHの放電を行う。電源制御部111から出力される信号HVCONT_Nがインバータで反転され、抵抗素子R5を介して、NチャネルのMOSFETからなるスイッチ素子F3のゲートに入力される。電源37VHが抵抗素子R4を介してスイッチ素子F3のドレインに入力される。スイッチ素子F3のソースは、接地される。また、抵抗素子R5とスイッチ素子F3のゲートとの中点が抵抗素子R6を介して接地される。信号HVCONT_NがHigh状態となり電源37VHのPSU101からの出力が停止されると、スイッチ素子F3のゲートがLow状態とされてスイッチ素子F3がON状態となり、電源37VHが抵抗素子R4およびスイッチ素子F3のドレイン−ソース間を介して放電される。
【0050】
この放電回路214により、電源37VHの出力停止時において、電源37VHの経路に接続されるコンデンサC1〜C4に蓄積された電荷が強制的に放電され、電源37VHの電圧低下が高速化される。これは、MCU102外において、電源37VHの経路に大容量のコンデンサが接続されている場合であっても、同様に電圧低下が高速化される。
【0051】
次に、ヘッド制御部103の構成について説明する。ヘッド制御部103は、電源選択部220と、レギュレータ(REG)221とを備える。電源選択部220は、第1の選択入力端および第2の選択入力端を有し、これら第1および第2の選択入力端に入力された電源のうち、電圧の高い方の電源を選択して出力する。図6の例では、電源選択部220は、2のダイオードD1およびD2を有し、ダイオードD1のアノードが第1の選択入力端とされ、ダイオードD2のアノードが第2の選択入力端とされている。また、ダイオードD1およびD2のカソードは結合され、結合点から電源選択部220の出力が取り出されている。
【0052】
電源選択部220において、第1の選択入力端に対して電源5VGが入力され、第2の選択入力端に対して電源5VHが入力される。電源選択部220は、これら電源5VGと電源5VHとのうち、電圧の高い方を選択的に出力する。
【0053】
電源選択部220の出力は、レギュレータ221に供給される。レギュレータ221は、供給された電源を、一定の電圧(例えば3.3V)の電源に安定化させて出力させる。レギュレータ221の出力は、インクジェットヘッド104に入力され、電源3.3VHとしてヘッドドライバIC230に供給される。
【0054】
電源選択部220の第1の選択入力端に入力される電圧が5Vの電源は、ヘッド制御部103内の、電源として5Vの電圧を必要とする各5V系IC222にも供給される。同様に、電源選択部220の出力は、電源として3.3Vの電圧を必要とする各3.3V系IC223にも供給される。これら各5V系IC222や各3.3V系IC223は、例えばヘッド動作に関する検出を行うセンサなどの制御を行う制御部を含む。
【0055】
各色のインクジェットヘッド104a、104b、104cおよび104dに対して、電源37VHおよび電源3.3VHがそれぞれ供給される。同様に、MCU102内のヘッド駆動部215から出力された駆動信号VCOMが、各色のインクジェットヘッド104a〜104dに対してそれぞれ供給される。また、図示は省略するが、画像処理部131から出力された画像データに基づく制御信号が、各色のインクジェットヘッド104a〜104dに対してそれぞれ供給される。これら各電源、駆動信号VCOMおよび制御信号に従い、各色のインクジェットヘッド104a〜104dそれぞれにおいて、インクの吐出が行われる。
【0056】
次に、本実施形態による電源シーケンスについて、上述した図6、ならびに、図7〜図9を用いて説明する。先ず、図7を用いて通常動作時における電源シーケンスについて説明する。なお、図7において、図7(a)が電源5VE、図7(b)が信号PONENG_N、図7(c)が電源5VG(5V)、図7(d)がDC/DCコンバータ210の出力(3.3V)、図7(e)が電源3.3VHを示す。また、図7(f)が信号HVCONT_N、図7(g)が電源37VH(37V)、図7(h)が電源5VH、図7(i)が電源制御部111のアナログポートへの入力電圧(DET_37V)を示す。
【0057】
先ず、電源ON時の動作の例について説明する。例えばインクジェットプリンタ1のメインスイッチ(図示しない)がON状態とされると、PSU101において、商用電源100から、A/D変換回路200bで電源5VEが生成され、CTL106内のCPU120を起動させる。
【0058】
また、PSU101では、電源5VEの生成と共に、商用電源100からA/D変換回路200aで電圧37Vおよび5Vの電源が生成され、それぞれスイッチ素子F1およびF2に供給される。電源ON時には、信号PONENG_NがLow状態となっているので、時点t1において、電源5VGが立ち上がり、それに伴い、DC/DCコンバータ210の電圧3.3Vが立ち上がる。また、電源5VGが立ち上がったことにより、電源選択部220の出力の電源3.3VHが立ち上がる。
【0059】
DC/DCコンバータ210の出力の電圧3.3Vが立ち上がると、MCU102内の電源制御部111が起動される。電源制御部111は、起動されると、信号HVCONT_NをLow状態からHigh状態に遷移させる。これにより、スイッチ素子F2がOFF状態となり、電源37VHの出力が停止される。例えば、起動から予め決められた時間の経過後の時点t2で、電源制御部111は、信号HVCONT_NをHigh状態からLow状態に遷移させる。これにより、スイッチ素子F2がON状態となり、電源37VHが立ち上がる。電源37VHが立ち上がるのに伴い、DC/DCコンバータ212の出力の電源5VHが立ち上がる。
【0060】
さらに、電源37VHが立ち上がるのに伴い、電源制御部111のアナログポートに入力される電圧DET_37Vが上昇する。電圧DET_37Vは、ツェナーダイオードZD1のツェナー電圧(例えば10V)に達すると(時点t3)、当該ツェナー電圧で安定する。これにより、電源制御部111は、電源37VHがインクジェットヘッド104内のヘッドドライバIC230の安全電圧以上になったことを検出できる。
【0061】
電源ON後の初期動作時および通常動作中(印刷動作中)は、各電源および信号(信号PONENG_N、信号HVCONT_Nおよび電圧DET_37V)は、変化しない。
【0062】
スタンバイ状態時の動作について説明する。インクジェットプリンタ1は、例えば、操作部105に対するユーザ操作や、印刷動作が終了してから所定時間が経過した場合に、スタンバイ状態に移行する。スタンバイ状態では、各インクジェットヘッド104は、インクの乾燥を防ぐためにキャッピングされ、インクの吐出が行われない。一方、スタンバイ状態では、ヘッドドライバIC230やIPU107は、動作状態とされる。
【0063】
各インクジェットヘッド104がキャッピングされた状態では、各インクジェットヘッド104が駆動する、すなわちインクを吐出することがない。そのため、電源制御部111は、例えば時点t10で信号HVCONT_NをLow状態からHigh状態に遷移させてスイッチ素子F2をOFF状態とさせ、電源37VHの出力を停止させる(時点t11)。スイッチ素子F2の出力電圧は、コンデンサC1〜C4に充電された電荷が放電されるために、徐々に降下する。このとき、電源37VHは、放電回路214の作用により、極めて短時間で放電される。
【0064】
DC/DCコンバータ212は、電源37VHの出力が停止された後、入力される電圧が、当該DC/DCコンバータ212の入力電圧範囲の最低値(ヘッドドライバIC230の安全電圧)より低い電圧になるまで、規定の電圧5Vの出力が維持される。時点t12で、入力電圧が入力電圧範囲の最低値より低い電圧になると、DC/DCコンバータ212から出力される電源5VHの電圧が、規定の電圧5Vから降下する。ここで、ヘッド制御部104内の電源選択部220の第1の選択入力端には、電源5VGが電圧5Vで供給されているので、電源5VHの電圧低下後は、電源5VGが電源選択部220から選択的に出力され、5Vの出力電圧が維持される。
【0065】
検出回路213では、電源37VHがツェナーダイオードZD1のツェナー電圧(ヘッドドライバIC230の安全電圧)より低くなると、信号DET_37VがHigh状態からLow状態へと遷移される。
【0066】
次に、省エネモード時の動作について説明する。例えば、操作部105に対するユーザ操作や、スタンバイ状態から所定時間が経過した場合に、省エネモードに移行する。省エネモードは、インクジェットプリンタ1において、CTL106内のCPU120に対する電源5VEのみが立ち上がっている状態である。
【0067】
例えば、操作部105に対する省エネモード移行を指示する操作に応じて、CPU120は、PSU101内のA/D変換回路200aをOFF状態として電圧37および5Vの生成を停止させると共に、信号PONENG_NをLow状態からHigh状態に遷移させる(時点t15)。これにより、電源5VGの出力が停止されると共に、電源制御部111に供給するための電圧3.3Vの電源が停止され、電源制御部111から出力される信号HVCONT_NがLow状態となる。電源5VGおよび電源5VHの出力が共に停止されるため、電源3.3VHの出力も停止される。
【0068】
以上の動作により、電源ON時には、インクジェットヘッド104に対して、電源3.3VHが電源37VHよりも先若しくは同時に供給されることが保証される。また、電源OFF時は、スタンバイ状態の時点で電源37VHの出力が停止されるため、電源3.3VHが電源37VHよりも後に停止することが保証される。したがって、インクジェットヘッド104に対する電源シーケンスが確実に守られ、ヘッドドライバIC230が高電圧のために破壊されることが防がれる。また、スタンバイ状態で電源37VHの出力を停止するため、省エネルギーの効果も得られる。
【0069】
次に、異常動作時における電源シーケンスについて説明する。図8は、初期動作または動作中に、メインスイッチがOFF状態とされるか、または、インクジェットプリンタ1のコンセント抜去による電源OFFとされた場合の一例の電源シーケンスを示す。なお、図8において、図8(a)が電源5VE、図8(b)が信号PONENG_N、図8(c)が電源5VG(5V)、図8(d)がDC/DCコンバータ210の出力(3.3V)、図8(e)が信号HVCONT_N、図8(f)が電源37VH(37V)、図8(g)が電源5VH、図8(h)が電源制御部111のアナログポートへの入力電圧(DET_37V)を示す。
【0070】
初期動作中や通常動作中にメインスイッチがOFF状態とされたり、商用電源100を供給するコンセントが不意に抜けたりした場合、商用電源100の供給が絶たれるため、インクジェットプリンタ1内の全ての電源電圧が一斉に降下し始めることになる。図8の例では、時点t30で例えばメインスイッチがOFF状態とされた場合、図8(a)、図8(c)および図8(f)に示されるように、PSU101から出力される電源5VE、電源5VGおよび電源37VHのそれぞれの電圧が降下し始める。そのため、電源5VEおよび電源5VGにより動作するCPU120および 電源制御部111は、動作が停止され、信号PONENG_Nおよび信号HVCONT_NがそれぞれLow状態とされる。
【0071】
ここで、電源37VHは、大容量のコンデンサC1〜C4からの放電の影響で、出力が完全に停止されるまでの時間が、電源5VGと比較して長い。電源37VHの、放電による出力がDC/DCコンバータ212で電圧が5Vに変換され、電源5VHとして出力される。DC/DCコンバータ212は、上述したように、入力電圧範囲の最低値がヘッドドライバIC230の安全電圧以下とされている。また、電源選択部220は、第1および第2の選択入力端に入力された電源のうち電圧が高い方を選択して出力するので、商用電源100の供給が絶たれた状態では、DC/DCコンバータ212から出力される電源5VHが選択され出力されることになる。そのため、電源37VHが当該安全電圧まで下降した後に、レギュレータ221からの電源3.3VHの出力が停止されることになり、ヘッドドライバIC230の破壊を防ぐことができる。
【0072】
この場合においても、放電回路214により、コンデンサC1〜C4の放電時間が短縮されるため、メインスイッチをOFF状態からON状態に切り替える時間が短くても、対応可能なようになっている。
【0073】
次に、初期動作中や通常動作中に動作モードが省エネモードに強制的に移行された場合の電源シーケンスについて説明する。例えば、初期動作中や通常動作中になされた操作部105に対する省エネモード移行を指示するユーザ操作により、インクジェットプリンタ1の動作モードを省エネモードに移行させることができる。
【0074】
図9は、初期動作または通常動作中に動作モードが強制的に省エネモードに移行された場合の一例の電源シーケンスを示す。なお、図9において、図9(a)〜図9(h)は、上述の図8と同様に、電源5VE、信号PONENG_N、電源5VG(5V)、DC/DCコンバータ210の出力(3.3V)、信号HVCONT_N、電源37VH(37V)、電源5VH、電源制御部111のアナログポートへの入力電圧(DET_37V)をそれぞれ示す。
【0075】
操作部105に対するユーザ操作によりなされた省エネモードへの移行指示は、CPU120から、IO_ASIC130およびバス112を介してMCU102内のCPU110に送信される。CPU110は、この指示に従い、電源制御部111に対して信号HVCONT_NをLow状態からHigh状態に遷移させるように命令する。なお、図7を用いて説明したように、初期動作中および通常動作中は、信号HVCONT_Nおよび信号PONENG_Nは、それぞれLow状態になっている。
【0076】
電源制御部111は、CPU110からの命令に従い、信号HVCONT_NをHigh状態に遷移させる(時点t40)。信号HVCONT_NがHigh状態になると、スイッチ素子F2がOFF状態となり、スイッチ素子F2の出力である電源37VHが停止され(時点t41)、電源37VHの電圧が37Vから徐々に降下する。
【0077】
電源37VHの電圧がヘッドドライバIC230の安全電圧(この例では10V)よりも低下すると(時点t42)、DC/DCコンバータ212の出力である電源5VHの電圧が規定の5Vから降下し始める。この時点t42において、スイッチ素子F1はON状態であり、電源5VGの電圧が5Vとなっている。そのため、電源選択部220では、この電源5VGの出力が選択される。この電源選択部220の出力電圧がレギュレータ221で電圧3.3Vに変換され、電源3.3VHとしてインクジェットヘッド104に供給される。
【0078】
一方、電源5VHの電圧が規定の5Vから降下し始めると、検出回路213から出力される信号DET_37Vの電圧がツェナーダイオードZD1のツェナー電圧に基づく電圧から降下し始め、電源制御部111に、電源37VHの電圧が安全電圧以下になったことが検出される(時点t43)。電源制御部111は、電源37VHの電圧が安全電圧以下になった旨を示す検出結果を、CTL106内のCPU120に送信する。
【0079】
CPU120は、電源制御部111から送信された検出結果を受けて、CPU120は、PSU101内のA/D変換回路200aをOFF状態に制御すると共に、信号PONENG_NをLow状態からHigh状態に遷移させる(時点t44)。これにより、スイッチ素子F1の出力が停止され、電源5VGの電圧が降下し(時点t45)、それに伴い、電源制御部111から出力される信号HVCONT_NがLow状態とされると共に、レギュレータ221からの電源3.3VHの出力が停止される。
【0080】
以上の動作により、電源5VEのみが立ち上がった状態になる。このように、初期動作中や動作中に操作部105に対するユーザ操作などにより強制的に省エネモードに移行してしまうような異常動作時においても、電源37VHが安全電圧まで降下した後に電源3.3VHが停止されるため、ヘッドドライバIC230の破壊を防ぐ事ができる。
【0081】
以上説明したように、本実施形態では、電源37VHから、ヘッドドライバIC230を駆動するための電源3.3VHを生成するようにしている。そのため、電源37VHが当該安全電圧まで下降した後に、レギュレータ221からの電源3.3VHの出力が停止されることになり、インクジェットヘッド104内のヘッドドライバIC230の破壊を防ぐことができる。
【0082】
また、電源3.3VHを電源37VHから生成するようにしているため、PSU101内のコンデンサの容量や、MCU102内のコンデンサC1〜C4の容量などに影響されることなく、ヘッドドライバIC230における電源停止時の電源シーケンスを満足することができる。
【符号の説明】
【0083】
1 インクジェットプリンタ
101 パワーサプライユニット
102 メインコントロールユニット
103 ヘッド制御部
104 インクジェットヘッド
105 操作部
106 コントローラ
107 イメージプロセシングユニット
110,120 CPU
111 電源制御部
130 IO_ASIC
131 画像処理部
200a,200b A/D変換回路
210,212 DC/DCコンバータ
213 検出回路
214 放電回路
220 電源選択部
230 ヘッドドライバIC
231 ピエゾ素子
232 インクタンク
233 ノズル
D1,D2 ダイオード
F1,F2,F3 スイッチ素子
ZD1 ツェナーダイオード
【先行技術文献】
【特許文献】
【0084】
【特許文献1】特許第4279235号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電圧を出力する第1の電圧生成手段と、
前記第1の電圧よりも高い第2の電圧を出力する第2の電圧生成手段と、
前記第2の電圧生成手段で生成された前記第2の電圧から、前記第1の電圧と等しい第3の電圧を生成し出力する第3の電圧生成手段と、
前記第1の電圧生成手段の出力と、前記第3の電圧生成手段の出力とのうち電圧の高い方の出力を選択する選択手段と
を備え、
前記第2の電圧生成手段の出力と、前記選択手段によって選択された出力とをそれぞれ負荷に供給する
ことを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記第1の電圧生成手段から前記第1の電圧が出力されたら、前記第2の電圧生成手段による前記第2の電圧の出力を開始させる制御手段をさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記第2の電圧生成手段の出力が予め決められた電圧以下であるか否かを検出する検出手段をさらに備え、
前記制御手段は、
前記検出手段により前記第2の電圧生成手段の出力が前記予め決められた電圧以下になったと検出された場合に、前記第1の電圧生成手段の出力を停止させる
ことを特徴とする請求項2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記第3の電圧生成手段は、
前記予め決められた電圧が、入力電圧範囲のうち前記第3の電圧が出力される最低電圧である
ことを特徴とする請求項3に記載の電源装置。
【請求項5】
前記予め決められた電圧は、前記選択手段の出力の供給先の負荷における安全電圧以下の電圧である
ことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の電源装置。
【請求項6】
前記第2の電圧生成手段の出力を停止させた場合に、該出力を放電させる放電手段をさらに備える
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の電源装置。
【請求項7】
第1の電圧生成手段が、第1の電圧を出力する第1の電圧生成ステップと、
第2の電圧生成手段が、前記第1の電圧よりも高い第2の電圧を出力する第2の電圧生成ステップと、
第3の電圧生成手段が、前記第2の電圧生成ステップで生成された前記第2の電圧から、前記第1の電圧と等しい第3の電圧を生成し出力する第3の電圧生成ステップと、
選択手段が、前記第1の電圧生成ステップによる出力と、前記第3の電圧生成ステップによる出力とのうち電圧の高い方の出力を選択する選択ステップと
を備え、
前記第2の電圧生成ステップによる出力と、前記選択ステップによって選択された出力とをそれぞれ負荷に供給する
ことを特徴とする電源装置の制御方法。
【請求項8】
請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の電源装置と、
前記第2の電圧生成手段で生成された前記第2の電圧と、前記選択手段で選択された出力とが電源として供給されるヘッドと、
前記ヘッドを用いて画像形成を行う画像形成手段と
を備える
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate