電源装置及び画像形成装置
【課題】電源装置において、目標電圧を指示する設定値と、出力される電圧とに誤差が生じないようにすること。
【解決手段】プリンタエンジン制御部60は、不揮発性メモリ725に記憶されている、モールド圧電トランス部722から出力された直流電圧の電圧値と、DAC726に設定する設定値との対応関係を示す対応情報を取得し、この対応情報に基づいて、出力電圧に対応する設定値をDAC726に設定する。DAC726は、設定値に基づいて、目標アナログ電圧を出力し、出力抽出部723は、モールド圧電トランス部722からの出力に対応する出力アナログ電圧を出力する。比較部727は、目標アナログ電圧と出力アナログ電圧とを比較して、その結果をプリンタエンジン制御部60に出力する。
【解決手段】プリンタエンジン制御部60は、不揮発性メモリ725に記憶されている、モールド圧電トランス部722から出力された直流電圧の電圧値と、DAC726に設定する設定値との対応関係を示す対応情報を取得し、この対応情報に基づいて、出力電圧に対応する設定値をDAC726に設定する。DAC726は、設定値に基づいて、目標アナログ電圧を出力し、出力抽出部723は、モールド圧電トランス部722からの出力に対応する出力アナログ電圧を出力する。比較部727は、目標アナログ電圧と出力アナログ電圧とを比較して、その結果をプリンタエンジン制御部60に出力する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の画像形成装置に用いられる電源装置としては、例えば、特許文献1に記載されている電源装置がある。特許文献1に記載された電源装置は、圧電トランスの出力電圧を抵抗分圧によってフィードバックし、このフィードバックされた電圧と、予め設定された、デジタルアナログコンバータ(以下、DACという)の出力とが等しくなるように、圧電トランスの駆動周波数をデジタル制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−148321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の電源装置では、外部のプリンタエンジン制御部からDAC電圧を入力しているため、グランド等の基準電位の誤差、分圧抵抗のばらつきなどの要因により、デジタル値で予め設定された設定値に対応した出力電圧を出力しても、この出力電圧に誤差が生じてしまうという問題がある。またDACからの出力は、DACに供給される電源の変動によっても誤差を生じる。
【0005】
そこで、本発明は、電源装置において、目標電圧を指示する設定値と、出力される電圧とに誤差が生じないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る電源装置は、第1の制御部からの制御信号に対応する直流電圧を出力する電圧出力部と、前記直流電圧が、前記第1の制御部から受け取った設定値に対応した電圧となっているか否かを判断する判断処理を行い、判断結果を前記第1の制御部に出力する出力評価部と、を備え、前記出力評価部は、前記電圧出力部から出力された直流電圧の電圧値と、前記設定値との対応関係を示す対応情報を記憶する記憶部を備え、前記第1の制御部に前記対応情報を出力し、前記第1の制御部から、前記対応情報に基づいて決定された設定値を受け取って、前記判断処理を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、電源装置において、目標電圧を指示する設定値と、出力される電圧とに誤差が生じないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施の形態1及び実施の形態2に係る電源装置を用いた画像形成装置を概略的に示す構成図である。
【図2】実施の形態1及び実施の形態2に制御回路の構成を概略的に示すブロック図である。
【図3】実施の形態1における転写バイアス発生部の概略構成を示すブロック図である。
【図4】実施の形態1における転写バイアス発生部の回路構成を概略的に示す回路図である。
【図5】実施の形態1におけるファンクションテスタの構成を概略的に示すブロック図である。
【図6】実施の形態1における設定値と出力電圧の値との対応関係の一例を示す概略図である。
【図7】実施の形態1において、プリンタエンジン制御部が、DACに設定値を設定して、矩形波を出力する際の処理を示すフローチャートである。
【図8】実施の形態1におけるファンクションテスタの処理を示すフローチャートである。
【図9】実施の形態2における転写バイアス発生部の概略構成を示すブロック図である。
【図10】実施の形態2における転写バイアス発生部の回路構成を概略的に示す回路図である。
【図11】実施の形態2における設定値と出力電圧の値との対応関係の一例を示す概略図である。
【図12】実施の形態2における出力評価部の制御部が、不揮発性メモリを制御する際の処理を示すフローチャートである。
【図13】実施の形態2における出力評価部の制御部が行う出力電圧評価処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
(構成の説明)
図1は、実施の形態1及び実施の形態2に係る電源装置を用いた画像形成装置1を概略的に示す構成図である。
【0010】
この画像形成装置1は、例えば、電子写真方式のカラー画像形成装置であり、4色の各現像器2(例えば、ブラック現像器2K、イエロー現像器2Y、マゼンタ現像器2M及びシアン現像器2C)がそれぞれ着脱自在に装着されている。各色の現像器2は、各色の感光体ドラム32(例えば、ブラック感光体ドラム32K、イエロー感光体ドラム32Y、マゼンタ感光体ドラム32M及びシアン感光体ドラム32C)にそれぞれ接した、各色の帯電ローラ36(例えば、ブラック帯電ローラ36K、イエロー帯電ローラ36Y、マゼンタ帯電ローラ36M及びシアン帯電ローラ36C)によってそれぞれ一様に帯電される。帯電された各色の感光体ドラム32は、各色の発光素子ヘッド(以下、LEDヘッドという)3(例えば、ブラックLEDヘッド3K、イエローLEDヘッド3Y、マゼンタLEDヘッド3M及びシアンLEDヘッド3C)の発光によって、それぞれ潜像が形成される。
【0011】
各色の現像器2内の各色の供給ローラ33(例えば、ブラック供給ローラ33K、イエロー供給ローラ33Y、マゼンタ供給ローラ33M及びシアン供給ローラ33C)が、各色の現像ローラ34(例えば、ブラック現像ローラ34K、イエロー現像ローラ34Y、マゼンタ現像ローラ34M及びシアン現像ローラ34C)にトナーを供給し、各色の現像ブレード35(例えば、ブラック現像ブレード35K、イエロー現像ブレード35Y、マゼンタ現像ブレード35M及びシアン現像ブレード35C)により、各色の現像ローラ34の表面に一様にトナー層が形成され、各色の感光体ドラム32上にトナー像が現像される。各色の現像器2内の各色のクリーニングブレード37(例えば、ブラッククリーニングブレード37K、イエロークリーニングブレード37Y、マゼンタクリーニングブレード37M及びシアンクリーニングブレード37C)は、転写後の残トナーをクリーニングする。
【0012】
各色のトナーカートリッジ4(例えば、ブラックトナーカートリッジ4K、イエロートナーカートリッジ4Y、マゼンタトナーカートリッジ4M及びシアントナーカートリッジ4C)は、各色のチャンネルの現像器2にそれぞれ着脱自在に取り付けられ、内部のトナーを各チャンネルの現像器2にそれぞれ供給できる構造になっている。各色の転写ローラ5(例えば、ブラック転写ローラ5K、イエロー転写ローラ5Y、マゼンタ転写ローラ5M及びシアン転写ローラ5C)は、転写ベルト8の裏面から転写ニップ部にバイアスが印加できるように配置されている。転写ベルト駆動ローラ6及び転写ベルト従動ローラ7は、転写ベルト8を張架しローラの駆動によって記録媒体である用紙15を搬送できる構造になっている。
【0013】
転写ベルトクリーニングブレード11は、転写ベルト8上のトナーを掻き落とすことができるように形成されていて、掻き落とされたトナーが転写ベルトクリーナ容器12に収容される。用紙カセット13は、画像形成装置1に着脱自在に取り付けられ、用紙15が積載される。ホッピングローラ14は、用紙15を用紙カセット13から搬送する。レジストローラ16及び17は、用紙15を転写ベルト8に所定のタイミングで搬送する。定着器18は、用紙15のトナー像を熱と加圧によって定着させる。用紙ガイド19は、用紙15を排紙トレー20にフェースダウンで排出する。
【0014】
レジストローラ16及び17と、転写ベルト従動ローラ7との間には、用紙検出センサ40が配置されている。用紙検出センサ40は、接触又は非接触にて用紙15の通過を検出するものである。この用紙検出センサ40のセンサ位置から転写ニップ部までの距離と用紙搬送スピードの関係から求まる時間より、電源装置が転写を行う時の転写バイアスの印加タイミングが決定される。
【0015】
図2は、図1に示されている画像形成装置1における制御回路9の構成を示すブロック図である。なお、図2の括弧内の符号は、実施の形態2における構成を示す。
この制御回路9は、ホストインタフェース部51を有し、このホストインタフェース部51がコマンド/画像処理部52に対してデータを送受信する。コマンド/画像処理部52は、LEDヘッドインタフェース部53に対して画像データを出力する。LEDヘッドインタフェース部53は、プリンタエンジン制御部60によってヘッド駆動パルス等が制御され、各色のLEDヘッド3を発光させる。
【0016】
プリンタエンジン制御部60は、用紙検出センサ40の検出結果に基づき、帯電バイアス発生部70、現像バイアス発生部71及び転写バイアス発生部72に信号を送り、これらに高電圧を発生させる。帯電バイアス発生部70及び現像バイアス発生部71は、各色の各帯電ローラ36及び各現像ローラ34に対してバイアスを印加する。転写バイアス発生部72は、各色の転写ローラ5に対して転写バイアスを印加する。用紙検出センサ40は、転写バイアスの発生タイミングを調整するために用いられる。
【0017】
また、プリンタエンジン制御部60は、ホッピングモータ80、レジストモータ81、ベルトモータ82、定着器ヒータモータ83及び各色のドラムモータ84を所定のタイミングで駆動させる。定着器ヒータ85は、サーミスタ86の検出値に応じてプリンタエンジン制御部60によって温度制御される。また、プリンタエンジン制御部60には、温湿度センサ87が接続されている。プリンタエンジン制御部60は、プリント基板により構成され、このプリント基板は、例えば、ガラスエポキシ基板で、2、4又は6層等の多層基板により構成される。
【0018】
図3は、高圧電源装置としての転写バイアス発生部72の概略構成を示すブロック図である。転写バイアス発生部72は、プリント基板により構成され、例えば、紙フェノール基板等の単層基板により構成される。ここで、転写バイアス発生部72は、各色の転写ローラ5毎に設けられるが、各色の転写バイアス発生部72は同じ構成であるため、ここでは、1つの転写バイアス発生部72について説明する。
【0019】
電源入力ポートPIN11は、DC電源54から供給される「DC24V」の入力を受け付ける。電源入力ポートPIN12は、DC電源55から供給される「DC5V」の入力を受け付ける。
【0020】
入力ポートIN11は、プリンタエンジン制御部60の出力ポートOUT21から出力される圧電トランスの駆動パルスである矩形波の入力を受け付け、この矩形波を圧電トランス駆動回路721に与える。なお、この矩形波が、圧電トランス駆動回路721を制御するための制御信号となる。
【0021】
電圧出力部720は、圧電トランス駆動回路721と、モールド圧電トランス部722とを備える。
圧電トランス駆動回路721は、圧電トランスの駆動を行う圧電トランス駆動部である。例えば、圧電トランス駆動回路721は、入力ポートIN11からの矩形波を受け取り、この矩形波に応じて、電源入力ポートPIN11から入力されたDC24Vのスイッチングを行う。
モールド圧電トランス部722は、圧電トランス2次側の整流回路が絶縁モールドされたものである。この絶縁モールドは、例えば、絶縁性部材である樹脂により施される。圧電トランスは、セラミック等の圧電振動子の共振現象を利用して駆動電圧の昇圧を行い、ACの高圧電圧を出力するトランスである。整流回路は、圧電トランスから出力されたACの高圧電圧をDCの高圧電圧に変換する変換部である。
出力ポートOUT12は、モールド圧電トランス部722から出力されたDCの高圧電圧を出力負荷61に出力する。
【0022】
出力抽出部723は、抵抗分圧等により、モールド圧電トランス部722から出力される高圧電圧を、この高圧電圧の値に応じて、「3.3V」以下の低い電圧に変換する。言い換えると、出力抽出部723は、モールド圧電トランス部722から出力される高圧電圧に応じて変化する低電圧を出力アナログ電圧として出力する出力検出手段である。
レギュレータ724は、電源入力ポートPIN12からの「DC5V」を「DC3.3V」にして出力する。レギュレータ724は、例えば、低飽和型等のタイプであり、出力精度が「±1%」の範囲内である。
不揮発性メモリ725は、シリアルポートSCI11を介して、プリンタエンジン制御部60より、情報の書き込み、記憶されている情報の読み出し、及び、記憶されている情報の書き換えが行われる記憶部である。本実施の形態においては、不揮発性メモリ725は、プリンタエンジン制御部60が、設定電圧値から設定値を特定するための対応情報が記憶される。なお、本実施の形態においては、対応情報は、設定電圧値から設定値を算出するために必要な第1の値及び第2の値である。また、対応情報は、高圧電源装置としての転写バイアス発生部72毎に固有のものである。
【0023】
DAC726は、シリアルポートSCI11から与えられた設定値に対応するアナログ電圧を出力する。ここでは、DAC726は、モールド圧電トランス部722から出力すべき高圧電圧に対応するアナログ電圧である目標アナログ電圧を出力する。例えば、DAC726は、シリアルポートSCI11から8bit値「40hex」が与えられた場合には、下記の(1)式から、「0.828V」を目標アナログ電圧として出力する。
(40hex÷FFhex)×3.3V=0.828V :(1)
比較部727は、出力抽出部723から出力された出力アナログ電圧と、DAC726から出力された目標アナログ電圧と、を比較して、この比較結果を、出力ポートOUT11から、プリンタエンジン制御部60の入力ポート21に出力する比較手段である。
ここで、不揮発性メモリ725、DAC726及び比較部727により出力評価部728が構成される。
シリアルポートSCI11は、プリンタエンジン制御部60のシリアルポートSCI21に、シリアル線SLで接続されている。シリアル線SLは、クロック、送信及び受信の3線、又は、クロック及び送受信の2線で構成される。
【0024】
プリンタエンジン制御部60は、出力ポートOUT21と、入力ポートIN21と、シリアルポートSCI21と、を備えている。そして、プリンタエンジン制御部60は、圧電トランスの駆動パルスである矩形波を出力ポートOUT21から出力する。また、プリンタエンジン制御部60は、シリアルポート21を介して、不揮発性メモリ725から第1の値及び第2の値を取得する。そして、プリンタエンジン制御部60は、これらの値を用いて、転写バイアス発生部72から出力させる高圧電圧の値から、8bitのデジタル値である設定値を算出して、この設定値をシリアルポート21から出力する。さらに、プリンタエンジン制御部60は、比較部727からの比較結果を入力ポートIN21から取得して、この比較結果に基づいて、出力ポートOUT21から出力する矩形波の周波数を調整する。
【0025】
図3では、1色の場合について説明したが、4色の場合には、電源入力ポートPIN11、電源入力ポートPIN12、入力ポートIN11、出力ポートOUT11、出力ポートOUT12、圧電トランス駆動回路721、モールド圧電トランス部722、出力抽出部723及び比較部727がそれぞれ4つ設けられていればよく、DAC726、不揮発性メモリ725、レギュレータ724、シリアルポートSCI11は、それぞれ1つ設けられていればよい。
【0026】
図4は、図3に示されている転写バイアス発生部72の回路構成を概略的に示す回路図である。
【0027】
圧電トランス駆動回路721は、抵抗720Aを介して、入力ポートIN11に接続されている。圧電トランス駆動回路721は、スイッチング素子であるパワートランジスタ(例えば、NチャネルパワーMOSFET(以下、NMOSという)721Aを有し、このNMOS721Aのゲート・ソース間に、短絡防止用の抵抗721Bが接続されている。NMOS721Aのドレインは、インダクタ(コイル)721Cを介して、電源入力ポートPIN11に連結されている。NMOS721Aのドレイン・ソース間には、コンデンサ721Dが並列に接続され、このコンデンサ721D及びインダクタ721Cにより共振回路が構成されている。NMOS721Aのゲートに、プリンタエンジン制御部60からの矩形波が入力されると、このNMOS721Aが「DC24V」のスイッチングを行い、これが共振回路により共振されてピークがAC100V程度の正弦半波(サイン波)の駆動電圧が出力される。
【0028】
モールド圧電トランス部722は、樹脂ケース内に、圧電トランス722A及び整流回路722Dを実装し、放電等が起こらないように内部に樹脂が封入され、各部品が樹脂で覆われている。なお、圧電トランス722Aについては、振動により昇圧を行うため、樹脂の封入は行われていない。
圧電トランス駆動回路721の共振回路の出力側には、圧電トランス722Aの1次側の入力端子722Bが接続され、2次側の出力端子722Cから、NMOS721Aのスイッチング周波数に応じて、「0〜数kV」のAC高電圧が出力される。
圧電トランス722Aの2次側の出力端子722Cには、AC/DC変換用の整流回路722Dが接続されている。整流回路722Dは、圧電トランス722Aの2次側の出力端子722Cから出力されたAC高電圧をDC高電圧に変換して出力する回路であり、ダイオード722E、722F及びコンデンサ722Gを備える。整流回路722Dの出力側には、出力ポートOUT12を介して、出力負荷61である転写ローラ5が接続されると共に、出力抽出部723が接続されている。
【0029】
出力抽出部723は、分圧抵抗723A、723B、723Cを備える。なお、分圧抵抗723Aについては、モールド圧電トランス部722とともに、樹脂ケース内に封入されている。分圧抵抗723Aの抵抗値は「100MΩ」、分圧抵抗723Bの抵抗値は「32kΩ」、分圧抵抗723Cの抵抗値は「350Ω」であり、出力抽出部723は、整流回路722Dから出力されたDC高電圧を「10200分の3.3」に分圧して、低電圧(例えば、「DC3.3V」以下の低い電圧)に変換する。ここで、出力抽出部723により変換された後の電圧を出力アナログ電圧とする。
【0030】
比較部727は、出力抽出部723から出力された低電圧を平滑化するRCフィルタ727Aと、DC電源54から「24V」が印加される電圧比較器であるコンパレータ727Dと、このコンパレータ727Dの出力端子に接続されたプルアップ抵抗727Eとにより構成されている。RCフィルタ727Aは、「10kΩ」の抵抗727Bと、「0.01μF」のコンデンサ727Cとにより構成され、出力抽出部723から出力された出力アナログ電圧を平滑化する。コンパレータ727Dは、出力アナログ電圧を入力する「−」入力端子と、DAC726から出力された目標アナログ電圧を入力する「+」入力端子とを有し、その「−」入力端子の電圧と「+」入力端子の電圧とを比較し、比較結果を出力ポートOUT11から出力して、プリンタエンジン制御部60に与える。コンパレータ727Dの出力端子は、プルアップ抵抗727Eを介してレギュレータ724に接続されている。また、図示されてはいないが、コンパレータ727Dは、一方の電源端子にDC電源54が接続されて、また、他方の電源端子が接地されていて、単電源で動作する。
【0031】
図5は、ファンクションテスタ100の構成を概略的に示すブロック図である。ファンクションテスタ100は、転写バイアス発生部72に必要な入力を行い、転写バイアス発生部72からの出力を解析することで、転写バイアス発生部72の不揮発性メモリ725に対応情報を記憶させる。
【0032】
電源出力ポートPOUT31は、転写バイアス発生部72の電源入力ポートPIN11に接続される。電源101は、電源出力ポートPOUT31を介して、転写バイアス発生部72にDC24Vを供給する。電源出力ポートPOUT32は、転写バイアス発生部72の電源入力ポートPIN12に接続される。安定化電源102は、電源出力ポートPOUT32を介して、転写バイアス発生部72に「DC5V」を供給する。
【0033】
入力ポートIN32は、転写バイアス発生部72の出力ポートOUT12に接続され、転写バイアス発生部72が出力する高圧電圧を電圧変換部103に与える。電圧変換部103は、入力ポートIN32から入力される高圧電圧を「2000分の1」の電圧に変換する。例えば、電圧変換部103は、高電圧計により実現することができる。
【0034】
ファンクションテスト回路104は、12bit分解能のアナログデジタルコンバータ(以下、ADCという)105と、出力ポート31に接続された出力ポートOUT41と、入力ポートIN31に接続された入力ポートIN41と、シリアルポートSCI31に接続されたシリアルポートSCI41とを備える。
そして、ファンクションテスト回路104は、シリアルポートSCI31、SCI41を介して、予め定められた設定値を転写バイアス発生部72のDAC726に設定し、この設定値に対応して、転写バイアス発生部72から実際に出力された高圧電圧に対応するアナログ電圧を入力ポートIN32及び電圧変換部103を介して受け取り、DAC726に設定した設定値と、転写バイアス発生部72から出力された電圧の値との間の対応関係を示す対応情報を生成する。例えば、本実施の形態においては、ファンクションテスト回路104は、複数の設定値と、この複数の設定値に対応して出力された実際の出力値との間の対応関係を示す一次関数を特定し、この一次関数の傾きの値と、切片の値とを対応情報とする。
なお、ファンクションテスト回路104は、以上のようにして生成した対応情報を、シリアルポートSCI41、SCI31を介して、転写バイアス発生部72の不揮発性メモリ725に記憶させる。
【0035】
(動作の説明)
次に、以上に記載された画像形成装置1の動作について説明する。
【0036】
まず、図1及び図2を用いて、画像形成装置1の全体における動作を説明する。
画像形成装置1は、図示されていない外部機器からホストインタフェース部51を介して、PDL(Page Description Language)等で記述された印刷データの入力を受け付ける。入力された印刷データは、コマンド/画像処理部52によってビットマップデータに変換される。
【0037】
画像形成装置1は、サーミスタ86の検知値に応じて定着器ヒータ85を制御することにより、定着器18の熱定着ローラを所定の温度にした後、印刷動作を開始する。
【0038】
そして、画像形成装置1は、給紙カセット13にセットされた用紙15をホッピングローラ14で給紙する。用紙15は、後述する画像形成動作に同期したタイミングで、レジストローラ16、17によって転写ベルト8上に搬送される。現像器2は、電子写真プロセスにより内部の感光体ドラム32にトナー像を形成する。この時、ビットマップデータに応じてLEDベッド3が点灯される。現像器2によって現像されたトナー像は、転写ローラ5に印加されたバイアスによって、転写ベルト8上を搬送される用紙15に転写される。用紙15は、トナー像が転写された後、定着器18によってこのトナー像が定着され、排紙される。
トナーカートリッジ容器4は、現像器2に着脱自在で、内部のトナーを現像器2に供給することができる構造になっている。プリンタエンジン制御部60は、温湿度センサ89の値に応じて予め定められたテーブル値に従って、出力する高圧電圧を設定する。
【0039】
次に、図3を用いて転写バイアス発生部72から出力する高圧電圧を制御する際の処理について説明する。本実施の形態では、4色分の高圧電圧を出力する必要があるが、各色における処理は同様であるため、1色分の処理についてのみ説明する。なお、図6に示されているように、転写バイアスは、DAC726への設定値「00〜FFhex」に対して、「130〜7410V」の範囲に制御される。ここで、図6に示されているDAC726への設定値と出力電圧の値は、図4に示されているDAC726に設定される8bit値と、この設定値において、図4中のXで示された部分の電圧を高電圧計にて計測した実測値とを示したものである。なお、画像形成装置1は、転写バイアスが「1000〜7000V」の範囲で動作する。図6において、DAC726への設定値が「C5hex」以上で、出力電圧値が一定となるのは、プリンタエンジン制御部60において、出力ポートOUT21から出力される矩形波の周波数に下限値が設定されているためである。なお、プリンタエンジン制御部60における周波数制御は、従来から行われているものと同様であるため、その詳細な説明は省略する。
【0040】
プリンタエンジン制御部60は、出力ポートOUT21から、平均周波数「130〜108kHz」の矩形波を出力して、圧電トランス駆動回路721を駆動させる。駆動開始周波数は130kHzである。
【0041】
モールド圧電トランス部722は、圧電トランスの2次側の交流出力を整流回路で整流して、出力負荷61である転写ローラ軸へバイアスを印加する。
【0042】
出力抽出部723は、抵抗分圧により高圧出力を「3.3V」以下の低電圧に降圧して、出力アナログ電圧として、比較部727に与える。
【0043】
また、プリンタエンジン制御部60は、画像を形成する環境を温湿度センサ87(図2参照)から取得し、印刷枝数及び印刷速度等のデータと併せて、転写バイアスを決定する。そして、プリンタエンジン制御部60は、決定された転写バイアスと不揮発性メモリ725に記憶された対応情報に基づいて、DAC736に設定する8bitの設定値を定め、シリアルポートSCI21を介して、この設定値をDAC726に送る。DAC726は、シリアルポートSCI11より得られた設定値に対応する目標アナログ電圧を比較部727に出力する。
【0044】
比較部727は、出力抽出部723から与えられた出力アナログ電圧をRCフィルタで平滑化した後、DAC726から与えられた目標アナログ電圧と比較して、出力アナログ電圧が目標アナログ電圧よりも低い場合には、Hレベル(3.3V)の電圧を、また、出力アナログ電圧が目標アナログ電圧よりも高い場合には、Lレベル(0.0V)の電圧を比較結果として出力する。ここで、出力アナログ電圧は、整流回路で整流され、また、RCフィルタで平滑化されていても、プリンタエンジン制御部60の出力ポートOUT21から出力された矩形波と同様の周期で振動している。このため、出力アナログ電圧が目標アナログ電圧とほぼ一致した場合には、コンパレータ727Dからの出力は、矩形波となる。従って、プリンタエンジン制御部60は、入力ポートIN21への入力が矩形波となるように、言い換えると、出力アナログ電圧が目標アナログ電圧とほぼ一致するように、出力ポートOUT21から出力する矩形波の周波数を制御する。プリンタエンジン制御部60が有する周波数制御回路は、他の画像形成等に使用するLSIと同一の集積回路中に内蔵される。
【0045】
次に、図4を用いて詳細に説明する。ここでは、プリンタエンジン制御部60は、例えば、「5000V」の設定電圧値を転写バイアスとして決定したとする。
まず、プリンタエンジン制御部60は、転写バイアスとして決定した「5000V」を、デジタルデータ(1388hex)にして、メモリ61に保持する。次に、プリンタエンジン制御部60は、シリアルポートSCI21を介して、不揮発性メモリ725のアドレス「00hex」と「01hex」にそれぞれ記憶されている第1の値及び第2の値を読み込む。この時、「00hex」に記憶されているデータ(第1の値)は、「25hex(37)」、「01hex」に記憶されているデータ(第2の値)は、「19hex(25)」である。なお、これらの値については、後に説明する。そして、プリンタエンジン制御部60は、第1の値及び第2の値に基づいて、設定電圧値からDAC726に設定する設定値を算出する。
【0046】
図7は、プリンタエンジン制御部60が、DAC726に設定値を設定して、矩形波を出力する際の処理を示すフローチャートである。図7に示されているフローチャートは、例えば、ユーザが画像形成装置1に印刷指示を行った場合に開始される。
【0047】
まず、プリンタエンジン制御部60は、下記の(2)式で値(小数点以下を四捨五入)を算出して、算出された値を設定値として、シリアルポートSCI21、SCI11を介して、DAC726に設定する(S10)。
{(設定電圧値)−(第2の値)}÷(第1の値) :(2)
ここで、(2)式に各値を入力すると、下記のような計算が行われる。
(1388hex−19hex)÷25hex
=(5000−25)÷37=134.46
そして、プリンタエンジン制御部60は、小数点以下を四捨五入した値(134=86hex)を設定値としてDAC726に設定する。
【0048】
次に、プリンタエンジン制御部60は、例えば、図示しない発振器からのクロック信号を分周することにより、矩形波を生成し、この矩形波を出力ポートOUT21から出力して、入力ポートIN21への入力が矩形波となるように出力ポートOUT21から出力する矩形波の周波数を制御する(S11)。
【0049】
図4を用いた説明に戻り、図7に示されたフローにより、DAC726には、設定値「B8hex」が設定され、モールド圧電トランス部722からは、高圧電圧が出力される。
DAC726は、設定値「86hex(134)」が設定されると、コンパレータ727Dの「+」端子に、下記の(3)式で示されているように、「1.73V」のアナログ電圧を目標アナログ電圧として出力する。
3.3V×(134÷255)=1.73V :(3)
【0050】
プリンタエンジン制御部60は、DAC726に設定値を設定した後に出力ポートOUT21から圧電トランス722Aの駆動パルスである矩形波を出力する。
【0051】
プリンタエンジン制御部60から出力される矩形波の駆動開始周波数は「130kHz」であり、NMOS721Aにより、インダクタ721C、コンデンサ721D及び圧電トランス722Aにより構成される共振回路が駆動される。その結果、「130V」の出力が、モールド圧電トランス部722から出力される。出力された電圧は、「100MΩ」の分圧抵抗723A、「32kΩ」の分圧抵抗723B及び「350Ω」の分圧抵抗723Cにより、「10200分の3.3」に分圧される。分圧されて、低電圧となった出力アナログ電圧は、抵抗727B及びコンデンサ727CによるRCフィルタ727Aでリップルが減じられ、コンバレータ727Dの「−」端子に入力される。
【0052】
このとき、出力アナログ電圧は、目標アナログ電圧よりも小さいため、コンパレータ727Dの出力は、オープンコレクタ出力となり、プルアップ抵抗727Eによりプルアップされた「3.3V」、即ち、Hレベルの信号が、出力ポートOUT11から出力される。このため、プリンタエンジン制御部60は、出力ポートOUT21から出力する矩形波の周波数を下げていく。そして、モールド圧電トランス部722からの出力が「5000V」となると、コンパレータ727Dからの出力が矩形波となる。
【0053】
モールド圧電トランス部722からの出力が「5000V」となった場合、分圧抵抗723A、723B、723Cで分圧された出力アナログ電圧は、下記の(4)式により、「1.62V」となる。
5000V×3.3÷10200=1.62V :(4)
この値は、上記(3)式で示されている目標アナログ電圧の値(1.73V)とは異なっている。
しかしながら、出力アナログ電圧の値は、計算値であって実測値とは異なる。実測値から設定電圧値に対応する設定値を算出しない場合には、アドレス「00hex」の値は、「28hex(40)」、アドレス「01hex」の値は、「00hex(0)」となる。このような場合だと、DAC726の設定値は、下記の(5)式により「7Dhex(125)」となる。
(5000V−0)÷40=125=7Dhex :(5)
このような場合には、目標アナログ電圧は、下記の(6)式により、「1.62V」となり、出力アナログ電圧の値と一致する。
3.3V×(125÷255)=1.62V :(6)
【0054】
次に、図5を用いて、対応情報について説明する。例えば、ファンクションテスタ100は、転写バイアス発生部72に対応する基板が製造された際に、当該基板に取り付けられて、当該基板毎に、第1の値及び第2の値を算出して、不揮発性メモリ725(図3参照)に記憶させる。
【0055】
まず、ファンクションテスタ100は、安定化電源102により「DC5V」を、電源101により「DC24V」を転写バイアス発生部72に供給する。次に、ファンクションテスト回路104は、シリアルポートSCI41、SCI31を介して、予め定められた設定値を転写バイアス発生部72のDAC726に設定する。さらに、ファンクションテスト回路104は、プリンタエンジン制御部60と同様の周波数制御回路を用いて、出力ポートOUT41、OUT31から出力する矩形波の周波数を調整することで、DAC726に設定された設定値に対応する高圧電圧を転写バイアス発生部72から出力させる。そして、ファンクションテスタ100は、DAC726への設定値と、転写バイアス発生部72から出力される高圧電圧との関係から、第1の値及び第2の値を算出する。
【0056】
図8は、ファンクションテスタ100の処理を示すフローチャートである。例えば、ファンクションテスタ100は、転写バイアス発生部72に対応する基板に取り付けられた際に、図8に示されているフローチャートを開始する。
【0057】
まず、ファンクションテスト回路104は、シリアルポートSCI41、SCI31を介して、転写バイアス発生部72のDAC726に設定値「20hex(32)」を設定する(S20)。
【0058】
次に、ファンクションテスト回路104は、入力ポートIN31、41を介して入力される信号が矩形波となるように、出力ポートOUT41、OUT31から出力する矩形波の周波数を調整する。そして、電圧変換部103は、転写バイアス発生部72から出力された高圧電圧を入力ポートIN32から受け取り、「2000分の1」に降圧して、ADC105に与える。ADC105は、与えられた電圧を、「5V」を「12bit」で分解する分解能でデジタル値に変換する。そして、ファンクションテスト回路104は、変換後のデジタル値を第1の検出値HV1として保持する(S21)。
例えば、図6に示されているように、DAC726の設定値が「20hex」の場合には、転写バイアス発生部72からの出力電圧は、「1210V」である。電圧変換部103は、この出力電圧「1210V」を、「2000分の1」に降圧して、「0.605V」にする。ADC105は、電圧「0.605V」をデジタル値(495=1EFhex)に変換する。ファンクションテスト回路104は、このデジタル値(1EFhex)を第1の検出値HV1として保持する。
【0059】
次に、ファンクションテスト回路104は、シリアルポートSCI41、SCI31を介して、転写バイアス発生部72のDAC726に設定値「C0hex(192)」を設定する(S22)。
【0060】
次に、ファンクションテスト回路104は、入力ポートIN31、41を介して入力される信号が矩形波となるように、出力ポートOUT41、OUT31から出力する矩形波の周波数を調整する。そして、電圧変換部103は、転写バイアス発生部72から出力された高圧電圧を入力ポートIN32から受け取り、「2000分の1」に降圧して、ADC105に与える。ADC105は、「5V」を「12bit」で分解する分解能で、与えられた電圧をデジタル値に変換する。そして、ファンクションテスト回路104は、変換後のデジタル値を第2の検出値HV2として保持する(S23)。
例えば、図6に示されているように、DAC726の設定値が「C0hex」の場合には、転写バイアス発生部72からの出力電圧は、「7190V」である。電圧変換部103は、この出力電圧「7190V」を、「2000分の1」に降圧して、「3.595V」にする。ADC105は、電圧「3.595V」をデジタル値(2944=B80hex)に変換する。ファンクションテスト回路104は、この値(B80hex)を第2の検出値HV2として保持する。
【0061】
次に、ファンクションテスト回路104は、下記の(7)式により算出された値(小数点以下を四捨五入)を、第1の値として、シリアルポートSCI41、SCI31を介して、転写バイアス発生部72の不揮発性メモリ725のアドレス「00hex」に書き込む(S24)。
{(HV2)−(HV1)×2000×5÷4095}÷160 :(7)
例えば、(7)式に値を代入すると、
{(2944)−(495)×2000×5÷4095}÷160=37.37
となり、この値の小数点以下を四捨五入することにより、第1の値は、「25hex(37)」となる。
【0062】
次に、ファンクションテスト回路104は、下記の(8)式により算出された値(小数点以下を四捨五入)を、第2の値として、シリアルポートSCI41、SCI31を介して、転写バイアス発生部72の不揮発性メモリ725のアドレス「01hex」に書き込む(S25)。
(HV1×2000×5÷4095)−32×(第1の値) :(8)
例えば、(8)式に値を代入すると、
(495×2000×5÷4095)−32×37=24.79
となり、この値の小数点以下を四捨五入することにより、第2の値は、「19hex(25)」となる。
【0063】
以上のように、ファンクションテスタ100は、2つの設定値に対応する2つの高圧出力を測定し、その傾きの値(第1の値)及び切片の値(第2の値)を不揮発性メモリ725に記憶させることにより、転写バイアス発生部72から常に出力が補正された高圧電圧の出力を行わせることができる。
【0064】
図8に示されているフローチャートは、転写バイアス発生部72に対応する基板単体のテスト時に行われ、その後、この基板が画像形成装置1に実装されることにより、画像形成装置1は、製造バラツキによらない安定した高圧出力を実現することができる。
【0065】
以上に記載された実施の形態では、2点間の線形近似により設定値を算出しているが、全ての設定値について、設定値と、その設定値における出力電圧値とを対応付けたテーブル形式の情報により設定値を特定してもよく、また、3次式等別の近似方法を用いて、設定値を算出してもよい。
【0066】
本発明は、ファンクションテスタ100との接続時、及び、画像形成装置1との接続時で、転写バイアス発生部72の基準電位、不揮発性メモリ725に変化がなく、常に、ファンクションテスタ100及び画像形成装置1のどちらと組み合わせても等しい出力を行うことができるようにしたことを一つの特徴とする。これにより、転写バイアス発生部72に対応する基板の量産時にも、回路部品のバラツキによらず、常に等しい高圧出力を得ることができるため、画像形成装置1は、安定した画像を出力することができる。
【0067】
以上説明したように、実施の形態1によれば、同一基板内に、DAC726、レギュレータ724、不揮発性メモリ725を配し、DAC726及びレギュレータ724の組み合わせにて出力される目標アナログ電圧の値を、不揮発性メモリ725に記憶された値で算出することにより、転写バイアス発生部72に対応する基板と画像形成装置1との組み合わせによらず、転写バイアス発生部72からの出力が均一となる。このため、画像形成装置1を量産した場合、及び、転写バイアス発生部72に対応する基板を保守部品として交換した場合でも、画像形成装置1は、常に安定した高圧出力を行うことができるため、安定し、品質のよい画像を容易に出力することができる。
【0068】
また、実施の形態1によれば、圧電トランス駆動回路721に駆動パルス(矩形波)を発生する部分を、転写バイアス発生部72に対応する基板の外に配置したため、この部分を他の画像処理等を行う集積回路と同一のLSI(例えば、プリンタエンジン制御部60)内に実装することができる。このため、実施の形態1によれば、駆動パルスを発生する部分を、多層ガラスエポキシ基板を用いる、プリンタエンジン制御部60用の基板等に高密度で実装することができる。さらに、実施の形態1によれば、転写バイアス発生部72に対応する基板上の周波数を、駆動パルスを発生する部分が含まれるLSI等で使用される数十MHzのクロック周波数より十分に低いクロック周波数、例えば、百数十kHzにすることができるため、放射ノイズを抑えるシールド部材等を不要とすることができる。
【0069】
実施の形態2.
次に、実施の形態2について説明する。
【0070】
(構成の説明)
図9は、実施の形態2における転写バイアス発生部92の概略構成を示すブロック図である。実施の形態2における転写バイアス発生部92は、出力評価部928の構成において、実施の形態1における転写バイアス発生部72と異なっている。
【0071】
本実施の形態における出力評価部928は、出力抽出部723から得られる出力アナログ電圧を、「8bit」の分解能でデジタル値に変換する。そして、出力評価部928は、変換後のデジタル値をプリンタエンジン制御部60から通知された設定値と比較して、その比較結果を示す信号をPWMポートPWM41から出力する。PWMポートPWM41は、出力ポートOUT11に接続されている。
【0072】
図10は、図9に示されている転写バイアス発生部92の回路構成を概略的に示す回路図である。実施の形態2においては、出力評価部928を除いて、図4に示されている転写バイアス発生部72の回路構成と同様であるため、ここでは、出力評価部928に関連する事項について説明する。
【0073】
出力評価部928は、出力抽出部723から出力された低電圧の出力アナログ電圧を平滑化するRCフィルタ927Aと、制御部929とを備える。RCフィルタ927Aは、抵抗927Bと、コンデンサ927Cとにより構成され、出力抽出部723から出力された出力アナログ電圧を平滑化する。但し、抵抗927Bとコンデンサ927CによるRCフィルタ927Aは、実施の形態1におけるRCフィルタ727Aに対して10倍以上の定数の値を取る。
【0074】
制御部929は、RCフィルタ927Aで平滑化された出力アナログ電圧を、8bitの分解能でデジタル値に変換するADC929Aと、不揮発性メモリ929Bとを備える。制御部929は、シリアルポートSCI41、SCI11を介して、プリンタエンジン制御部60からの指示を受け取り、プリンタエンジン制御部60からの指示に応じて、不揮発性メモリ929Bに対して、情報の書き込み、記憶されている情報の読み出し、及び、記憶されている情報の書き換えを行う。本実施の形態においては、不揮発性メモリ929Bには、プリンタエンジン制御部60が設定電圧値から設定値を算出するための第1の値及び第2の値(対応情報)と、プリンタエンジン制御部60から与えられた設定値が記憶される。
【0075】
そして、制御部929は、プリンタエンジン制御部60により設定された設定値と、ADC929Aで変換されたデジタル値(検出値)とを比較して、設定値がデジタル値よりも小さい場合には、Hレベルの電圧を、設定値がデジタル値よりも大きい場合には、Lレベルの電圧を、設定値とデジタル値とが等しいと判断できる場合には、周波数「100kHz」及びデューティ「37.5%」の矩形波を、PWMポートPWM41から出力する。なお、制御部929には、レギュレータ724から「3.3V」が供給される。この「3.3V」は、制御部929の動作電源であり、かつ、ADC929Aのアナログ基準電位AVCCを兼用する。また、制御部929は、オシレータを内蔵しており、そのクロック周波数は、「20MHz」である。なお、制御部929は、例えば、市販の8bitマイコン又は16bitマイコン等のCPUで実現することができ、ADC929Aは、マイコンがプログラムを実行することで実現でき、不揮発性メモリ929Bは、フラッシュROM又はPROMにより実現することができる。
【0076】
実施の形態2においても、図5に示されているファンクションテスタ100は、予め定められた設定値を転写バイアス発生部92の制御部929に設定し、この設定値に対応して、転写バイアス発生部92から実際に出力された高圧電圧に対応するアナログ電圧を受け取り、制御部929に設定した設定値と、転写バイアス発生部92から出力された電圧の値との間の対応関係を示す対応情報を生成する。ここで、図11に示されている制御部929への設定値と出力電圧の値は、図10に示されている制御部929に設定される8bit値と、この設定値において、図10中のYで示された部分の電圧を高電圧計にて計測した実測値とを示したものである。
【0077】
(動作の説明)
図12は、出力評価部928の制御部929が、不揮発性メモリ929Bを制御する際の処理を示すフローチャートである。
【0078】
まず、制御部929は、不揮発性メモリ929Bに設定値の初期値として、「00hex」を設定する(S30)。
次に、制御部929は、シリアルポートSCI41を介して、プリンタエンジン制御部60からのコマンドを受信した場合(S31でYes)には、ステップS32の処理に進む。
【0079】
ステップS32では、制御部929は、ステップS31で受信されたコマンドが不揮発性メモリ929Bへのアクセスを要求するものであるか否かを判断する。そして、制御部929は、コマンドが不揮発性メモリ929Bへのアクセスを要求するものである場合(S32でYes)には、ステップS33の処理に進み、コマンドが不揮発性メモリ929Bへのアクセスを要求するものではない場合(S32でNo)には、ステップS36の処理に進む。
【0080】
ステップS33では、制御部929は、ステップS31で受信されたコマンドが不揮発性メモリ929Bからデータを読み出すものであるか否かを判断する。そして、制御部929は、コマンドが不揮発性メモリ929Bからデータを読み出すものである場合(S33でYes)には、ステップS34の処理に進み、コマンドが不揮発性メモリ929Bからデータを読み出すものではない場合(S33でNo)には、ステップS35の処理に進む。ステップS34では、制御部929は、コマンドで指示されたデータを不揮発性メモリ929Bから読み出し、このデータをシリアルポートSCI41から出力させる。例えば、ステップS34の処理には、不揮発性メモリ929Bのアドレス「00hex」、「01hex」に記憶されている第1の値及び第2の値を読み出し、出力する処理が含まれる。一方、ステップS35では、制御部929は、シリアルポートSCI41で受信したデータを不揮発性メモリ929Bに書き込む処理を行う。例えば、ステップS35の処理には、不揮発性メモリ929Bのアドレス「00hex」及び「01hex」に、第1の値及び第2の値を書き込む処理が含まれる。
【0081】
一方、ステップS36では、制御部929は、ステップS31で受信したコマンドが設定値を設定するものであるか否かを判断する。そして、制御部929は、コマンドが設定値を設定するものである場合(S36でYes)には、ステップS37の処理に進み、コマンドが設定値を設定するものではない場合(S36でNo)には、ステップS31の処理に戻る。ステップS37では、制御部929は、シリアルポートSCI41で受信した設定値を不揮発性メモリ929Bに書き込む。
【0082】
なお、図12のステップS35の処理は、転写バイアス発生部92に対応する基板にファンクションテスタ100が接続されている場合にだけ行われる処理である。また、ステップS35の処理が行われている場合には、ファンクションテスト回路104は、シリアルポートSCI41から矩形波を出力しない。さらに、ファンクションテスト回路104は、ステップS37の処理を、シリアルポートSCI41から矩形波を出力している際には行わない。
【0083】
図13は、出力評価部928の制御部929が行う出力電圧評価処理を示すフローチャートである。図13のフローチャートは、ADC929Aに出力アナログ電圧が入力されることにより開始され、ADC929Aに出力アナログ電圧が入力されている間は、常時行われる。
【0084】
まず、制御部929は、ADC929Aが変換したデジタル値(ADC検出値)が、不揮発性メモリ929Bに記憶されている設定値と同じであるか否かを判断する(S40)。そして、制御部929は、デジタル値と設定値とが同じである場合(S40でYes)には、ステップS41の処理に進み、デジタル値と設定値とが異なる場合(S40でNo)には、ステップS42の処理に進む。
【0085】
ステップS41では、制御部929は、周波数「100kHz」及びデューティ「37.5%」の矩形波を、PWMポートPWM41から出力する。ここで、制御部929は、「20MHz」で動作しているため、この矩形波は、200クロックサイクル周期で、H期間が75クロックサイクルのパルスとなる。
【0086】
一方、ステップS42では、制御部929は、ADC929Aが変換したデジタル値が、不揮発性メモリ929Bに記憶されている設定値よりも大きいか否かを判断する。そして、制御部929は、デジタル値が設定値よりも大きい場合(S42でYes)には、ステップS43の処理に進み、デジタル値が設定値よりも小さい場合(S42でNo)には、ステップS44の処理に進む。
【0087】
ステップS43では、制御部929は、Lレベルの電圧をPWMポートPWM41から出力する。一方、ステップS44では、制御部929は、Hレベルの電圧をPWMポートPWM41から出力する。
【0088】
以上のように、実施の形態2においても、高圧出力中はリアルタイムにデジタル値の検出と設定値の比較が行われ、PWMポートPWM41からの出力が、実施の形態1におけるコンパレータ727Dからの出力とほぼ同様になる。但し、実施の形態2においては、PWMポートPWM41からの出力は、「100kHz」に固定され、圧電トランスへの駆動パルスと同期は取れていないが、単位時問辺りのH期間がその駆動パルスの周期に対して25〜50%の範囲に入るので、プリンタエンジン制御部60は、実施の形態1と同様に制御を行うことができる。
【0089】
実施の形態2においては、プリンタエンジン制御部60において、圧電トランス駆動パルスを生成しているが、出力評価部928でこのパルスを生成するように構成することもできる。
【0090】
以上に記載した実施の形態1及び2においては、転写バイアス発生部72、92が、カラータンデム方式の画像形成装置1の高圧電源装置である場合を例に説明したが、転写バイアス発生部72、92が、モノクロの画像形成装置の高圧電源装置であってもよい。また、本発明を、帯電及び現像等の転写以外のバイアス源に適用することもできる。
【符号の説明】
【0091】
54:DC電源、 55:DC電源、 60:プリンタエンジン制御部、 72,92:転写バイアス発生部、 721:圧電トランス駆動回路、 722:モールド圧電トランス部、 722A:圧電トランス、 722D:整流回路、 723:出力抽出部、 724:レギュレータ、 725:不揮発性メモリ、 726:DAC、 727:比較部、 727D:コンパレータ、 728,928:出力評価部、 929:制御部、 929A:ADC、 929B:不揮発性メモリ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の画像形成装置に用いられる電源装置としては、例えば、特許文献1に記載されている電源装置がある。特許文献1に記載された電源装置は、圧電トランスの出力電圧を抵抗分圧によってフィードバックし、このフィードバックされた電圧と、予め設定された、デジタルアナログコンバータ(以下、DACという)の出力とが等しくなるように、圧電トランスの駆動周波数をデジタル制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−148321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の電源装置では、外部のプリンタエンジン制御部からDAC電圧を入力しているため、グランド等の基準電位の誤差、分圧抵抗のばらつきなどの要因により、デジタル値で予め設定された設定値に対応した出力電圧を出力しても、この出力電圧に誤差が生じてしまうという問題がある。またDACからの出力は、DACに供給される電源の変動によっても誤差を生じる。
【0005】
そこで、本発明は、電源装置において、目標電圧を指示する設定値と、出力される電圧とに誤差が生じないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る電源装置は、第1の制御部からの制御信号に対応する直流電圧を出力する電圧出力部と、前記直流電圧が、前記第1の制御部から受け取った設定値に対応した電圧となっているか否かを判断する判断処理を行い、判断結果を前記第1の制御部に出力する出力評価部と、を備え、前記出力評価部は、前記電圧出力部から出力された直流電圧の電圧値と、前記設定値との対応関係を示す対応情報を記憶する記憶部を備え、前記第1の制御部に前記対応情報を出力し、前記第1の制御部から、前記対応情報に基づいて決定された設定値を受け取って、前記判断処理を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、電源装置において、目標電圧を指示する設定値と、出力される電圧とに誤差が生じないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施の形態1及び実施の形態2に係る電源装置を用いた画像形成装置を概略的に示す構成図である。
【図2】実施の形態1及び実施の形態2に制御回路の構成を概略的に示すブロック図である。
【図3】実施の形態1における転写バイアス発生部の概略構成を示すブロック図である。
【図4】実施の形態1における転写バイアス発生部の回路構成を概略的に示す回路図である。
【図5】実施の形態1におけるファンクションテスタの構成を概略的に示すブロック図である。
【図6】実施の形態1における設定値と出力電圧の値との対応関係の一例を示す概略図である。
【図7】実施の形態1において、プリンタエンジン制御部が、DACに設定値を設定して、矩形波を出力する際の処理を示すフローチャートである。
【図8】実施の形態1におけるファンクションテスタの処理を示すフローチャートである。
【図9】実施の形態2における転写バイアス発生部の概略構成を示すブロック図である。
【図10】実施の形態2における転写バイアス発生部の回路構成を概略的に示す回路図である。
【図11】実施の形態2における設定値と出力電圧の値との対応関係の一例を示す概略図である。
【図12】実施の形態2における出力評価部の制御部が、不揮発性メモリを制御する際の処理を示すフローチャートである。
【図13】実施の形態2における出力評価部の制御部が行う出力電圧評価処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
(構成の説明)
図1は、実施の形態1及び実施の形態2に係る電源装置を用いた画像形成装置1を概略的に示す構成図である。
【0010】
この画像形成装置1は、例えば、電子写真方式のカラー画像形成装置であり、4色の各現像器2(例えば、ブラック現像器2K、イエロー現像器2Y、マゼンタ現像器2M及びシアン現像器2C)がそれぞれ着脱自在に装着されている。各色の現像器2は、各色の感光体ドラム32(例えば、ブラック感光体ドラム32K、イエロー感光体ドラム32Y、マゼンタ感光体ドラム32M及びシアン感光体ドラム32C)にそれぞれ接した、各色の帯電ローラ36(例えば、ブラック帯電ローラ36K、イエロー帯電ローラ36Y、マゼンタ帯電ローラ36M及びシアン帯電ローラ36C)によってそれぞれ一様に帯電される。帯電された各色の感光体ドラム32は、各色の発光素子ヘッド(以下、LEDヘッドという)3(例えば、ブラックLEDヘッド3K、イエローLEDヘッド3Y、マゼンタLEDヘッド3M及びシアンLEDヘッド3C)の発光によって、それぞれ潜像が形成される。
【0011】
各色の現像器2内の各色の供給ローラ33(例えば、ブラック供給ローラ33K、イエロー供給ローラ33Y、マゼンタ供給ローラ33M及びシアン供給ローラ33C)が、各色の現像ローラ34(例えば、ブラック現像ローラ34K、イエロー現像ローラ34Y、マゼンタ現像ローラ34M及びシアン現像ローラ34C)にトナーを供給し、各色の現像ブレード35(例えば、ブラック現像ブレード35K、イエロー現像ブレード35Y、マゼンタ現像ブレード35M及びシアン現像ブレード35C)により、各色の現像ローラ34の表面に一様にトナー層が形成され、各色の感光体ドラム32上にトナー像が現像される。各色の現像器2内の各色のクリーニングブレード37(例えば、ブラッククリーニングブレード37K、イエロークリーニングブレード37Y、マゼンタクリーニングブレード37M及びシアンクリーニングブレード37C)は、転写後の残トナーをクリーニングする。
【0012】
各色のトナーカートリッジ4(例えば、ブラックトナーカートリッジ4K、イエロートナーカートリッジ4Y、マゼンタトナーカートリッジ4M及びシアントナーカートリッジ4C)は、各色のチャンネルの現像器2にそれぞれ着脱自在に取り付けられ、内部のトナーを各チャンネルの現像器2にそれぞれ供給できる構造になっている。各色の転写ローラ5(例えば、ブラック転写ローラ5K、イエロー転写ローラ5Y、マゼンタ転写ローラ5M及びシアン転写ローラ5C)は、転写ベルト8の裏面から転写ニップ部にバイアスが印加できるように配置されている。転写ベルト駆動ローラ6及び転写ベルト従動ローラ7は、転写ベルト8を張架しローラの駆動によって記録媒体である用紙15を搬送できる構造になっている。
【0013】
転写ベルトクリーニングブレード11は、転写ベルト8上のトナーを掻き落とすことができるように形成されていて、掻き落とされたトナーが転写ベルトクリーナ容器12に収容される。用紙カセット13は、画像形成装置1に着脱自在に取り付けられ、用紙15が積載される。ホッピングローラ14は、用紙15を用紙カセット13から搬送する。レジストローラ16及び17は、用紙15を転写ベルト8に所定のタイミングで搬送する。定着器18は、用紙15のトナー像を熱と加圧によって定着させる。用紙ガイド19は、用紙15を排紙トレー20にフェースダウンで排出する。
【0014】
レジストローラ16及び17と、転写ベルト従動ローラ7との間には、用紙検出センサ40が配置されている。用紙検出センサ40は、接触又は非接触にて用紙15の通過を検出するものである。この用紙検出センサ40のセンサ位置から転写ニップ部までの距離と用紙搬送スピードの関係から求まる時間より、電源装置が転写を行う時の転写バイアスの印加タイミングが決定される。
【0015】
図2は、図1に示されている画像形成装置1における制御回路9の構成を示すブロック図である。なお、図2の括弧内の符号は、実施の形態2における構成を示す。
この制御回路9は、ホストインタフェース部51を有し、このホストインタフェース部51がコマンド/画像処理部52に対してデータを送受信する。コマンド/画像処理部52は、LEDヘッドインタフェース部53に対して画像データを出力する。LEDヘッドインタフェース部53は、プリンタエンジン制御部60によってヘッド駆動パルス等が制御され、各色のLEDヘッド3を発光させる。
【0016】
プリンタエンジン制御部60は、用紙検出センサ40の検出結果に基づき、帯電バイアス発生部70、現像バイアス発生部71及び転写バイアス発生部72に信号を送り、これらに高電圧を発生させる。帯電バイアス発生部70及び現像バイアス発生部71は、各色の各帯電ローラ36及び各現像ローラ34に対してバイアスを印加する。転写バイアス発生部72は、各色の転写ローラ5に対して転写バイアスを印加する。用紙検出センサ40は、転写バイアスの発生タイミングを調整するために用いられる。
【0017】
また、プリンタエンジン制御部60は、ホッピングモータ80、レジストモータ81、ベルトモータ82、定着器ヒータモータ83及び各色のドラムモータ84を所定のタイミングで駆動させる。定着器ヒータ85は、サーミスタ86の検出値に応じてプリンタエンジン制御部60によって温度制御される。また、プリンタエンジン制御部60には、温湿度センサ87が接続されている。プリンタエンジン制御部60は、プリント基板により構成され、このプリント基板は、例えば、ガラスエポキシ基板で、2、4又は6層等の多層基板により構成される。
【0018】
図3は、高圧電源装置としての転写バイアス発生部72の概略構成を示すブロック図である。転写バイアス発生部72は、プリント基板により構成され、例えば、紙フェノール基板等の単層基板により構成される。ここで、転写バイアス発生部72は、各色の転写ローラ5毎に設けられるが、各色の転写バイアス発生部72は同じ構成であるため、ここでは、1つの転写バイアス発生部72について説明する。
【0019】
電源入力ポートPIN11は、DC電源54から供給される「DC24V」の入力を受け付ける。電源入力ポートPIN12は、DC電源55から供給される「DC5V」の入力を受け付ける。
【0020】
入力ポートIN11は、プリンタエンジン制御部60の出力ポートOUT21から出力される圧電トランスの駆動パルスである矩形波の入力を受け付け、この矩形波を圧電トランス駆動回路721に与える。なお、この矩形波が、圧電トランス駆動回路721を制御するための制御信号となる。
【0021】
電圧出力部720は、圧電トランス駆動回路721と、モールド圧電トランス部722とを備える。
圧電トランス駆動回路721は、圧電トランスの駆動を行う圧電トランス駆動部である。例えば、圧電トランス駆動回路721は、入力ポートIN11からの矩形波を受け取り、この矩形波に応じて、電源入力ポートPIN11から入力されたDC24Vのスイッチングを行う。
モールド圧電トランス部722は、圧電トランス2次側の整流回路が絶縁モールドされたものである。この絶縁モールドは、例えば、絶縁性部材である樹脂により施される。圧電トランスは、セラミック等の圧電振動子の共振現象を利用して駆動電圧の昇圧を行い、ACの高圧電圧を出力するトランスである。整流回路は、圧電トランスから出力されたACの高圧電圧をDCの高圧電圧に変換する変換部である。
出力ポートOUT12は、モールド圧電トランス部722から出力されたDCの高圧電圧を出力負荷61に出力する。
【0022】
出力抽出部723は、抵抗分圧等により、モールド圧電トランス部722から出力される高圧電圧を、この高圧電圧の値に応じて、「3.3V」以下の低い電圧に変換する。言い換えると、出力抽出部723は、モールド圧電トランス部722から出力される高圧電圧に応じて変化する低電圧を出力アナログ電圧として出力する出力検出手段である。
レギュレータ724は、電源入力ポートPIN12からの「DC5V」を「DC3.3V」にして出力する。レギュレータ724は、例えば、低飽和型等のタイプであり、出力精度が「±1%」の範囲内である。
不揮発性メモリ725は、シリアルポートSCI11を介して、プリンタエンジン制御部60より、情報の書き込み、記憶されている情報の読み出し、及び、記憶されている情報の書き換えが行われる記憶部である。本実施の形態においては、不揮発性メモリ725は、プリンタエンジン制御部60が、設定電圧値から設定値を特定するための対応情報が記憶される。なお、本実施の形態においては、対応情報は、設定電圧値から設定値を算出するために必要な第1の値及び第2の値である。また、対応情報は、高圧電源装置としての転写バイアス発生部72毎に固有のものである。
【0023】
DAC726は、シリアルポートSCI11から与えられた設定値に対応するアナログ電圧を出力する。ここでは、DAC726は、モールド圧電トランス部722から出力すべき高圧電圧に対応するアナログ電圧である目標アナログ電圧を出力する。例えば、DAC726は、シリアルポートSCI11から8bit値「40hex」が与えられた場合には、下記の(1)式から、「0.828V」を目標アナログ電圧として出力する。
(40hex÷FFhex)×3.3V=0.828V :(1)
比較部727は、出力抽出部723から出力された出力アナログ電圧と、DAC726から出力された目標アナログ電圧と、を比較して、この比較結果を、出力ポートOUT11から、プリンタエンジン制御部60の入力ポート21に出力する比較手段である。
ここで、不揮発性メモリ725、DAC726及び比較部727により出力評価部728が構成される。
シリアルポートSCI11は、プリンタエンジン制御部60のシリアルポートSCI21に、シリアル線SLで接続されている。シリアル線SLは、クロック、送信及び受信の3線、又は、クロック及び送受信の2線で構成される。
【0024】
プリンタエンジン制御部60は、出力ポートOUT21と、入力ポートIN21と、シリアルポートSCI21と、を備えている。そして、プリンタエンジン制御部60は、圧電トランスの駆動パルスである矩形波を出力ポートOUT21から出力する。また、プリンタエンジン制御部60は、シリアルポート21を介して、不揮発性メモリ725から第1の値及び第2の値を取得する。そして、プリンタエンジン制御部60は、これらの値を用いて、転写バイアス発生部72から出力させる高圧電圧の値から、8bitのデジタル値である設定値を算出して、この設定値をシリアルポート21から出力する。さらに、プリンタエンジン制御部60は、比較部727からの比較結果を入力ポートIN21から取得して、この比較結果に基づいて、出力ポートOUT21から出力する矩形波の周波数を調整する。
【0025】
図3では、1色の場合について説明したが、4色の場合には、電源入力ポートPIN11、電源入力ポートPIN12、入力ポートIN11、出力ポートOUT11、出力ポートOUT12、圧電トランス駆動回路721、モールド圧電トランス部722、出力抽出部723及び比較部727がそれぞれ4つ設けられていればよく、DAC726、不揮発性メモリ725、レギュレータ724、シリアルポートSCI11は、それぞれ1つ設けられていればよい。
【0026】
図4は、図3に示されている転写バイアス発生部72の回路構成を概略的に示す回路図である。
【0027】
圧電トランス駆動回路721は、抵抗720Aを介して、入力ポートIN11に接続されている。圧電トランス駆動回路721は、スイッチング素子であるパワートランジスタ(例えば、NチャネルパワーMOSFET(以下、NMOSという)721Aを有し、このNMOS721Aのゲート・ソース間に、短絡防止用の抵抗721Bが接続されている。NMOS721Aのドレインは、インダクタ(コイル)721Cを介して、電源入力ポートPIN11に連結されている。NMOS721Aのドレイン・ソース間には、コンデンサ721Dが並列に接続され、このコンデンサ721D及びインダクタ721Cにより共振回路が構成されている。NMOS721Aのゲートに、プリンタエンジン制御部60からの矩形波が入力されると、このNMOS721Aが「DC24V」のスイッチングを行い、これが共振回路により共振されてピークがAC100V程度の正弦半波(サイン波)の駆動電圧が出力される。
【0028】
モールド圧電トランス部722は、樹脂ケース内に、圧電トランス722A及び整流回路722Dを実装し、放電等が起こらないように内部に樹脂が封入され、各部品が樹脂で覆われている。なお、圧電トランス722Aについては、振動により昇圧を行うため、樹脂の封入は行われていない。
圧電トランス駆動回路721の共振回路の出力側には、圧電トランス722Aの1次側の入力端子722Bが接続され、2次側の出力端子722Cから、NMOS721Aのスイッチング周波数に応じて、「0〜数kV」のAC高電圧が出力される。
圧電トランス722Aの2次側の出力端子722Cには、AC/DC変換用の整流回路722Dが接続されている。整流回路722Dは、圧電トランス722Aの2次側の出力端子722Cから出力されたAC高電圧をDC高電圧に変換して出力する回路であり、ダイオード722E、722F及びコンデンサ722Gを備える。整流回路722Dの出力側には、出力ポートOUT12を介して、出力負荷61である転写ローラ5が接続されると共に、出力抽出部723が接続されている。
【0029】
出力抽出部723は、分圧抵抗723A、723B、723Cを備える。なお、分圧抵抗723Aについては、モールド圧電トランス部722とともに、樹脂ケース内に封入されている。分圧抵抗723Aの抵抗値は「100MΩ」、分圧抵抗723Bの抵抗値は「32kΩ」、分圧抵抗723Cの抵抗値は「350Ω」であり、出力抽出部723は、整流回路722Dから出力されたDC高電圧を「10200分の3.3」に分圧して、低電圧(例えば、「DC3.3V」以下の低い電圧)に変換する。ここで、出力抽出部723により変換された後の電圧を出力アナログ電圧とする。
【0030】
比較部727は、出力抽出部723から出力された低電圧を平滑化するRCフィルタ727Aと、DC電源54から「24V」が印加される電圧比較器であるコンパレータ727Dと、このコンパレータ727Dの出力端子に接続されたプルアップ抵抗727Eとにより構成されている。RCフィルタ727Aは、「10kΩ」の抵抗727Bと、「0.01μF」のコンデンサ727Cとにより構成され、出力抽出部723から出力された出力アナログ電圧を平滑化する。コンパレータ727Dは、出力アナログ電圧を入力する「−」入力端子と、DAC726から出力された目標アナログ電圧を入力する「+」入力端子とを有し、その「−」入力端子の電圧と「+」入力端子の電圧とを比較し、比較結果を出力ポートOUT11から出力して、プリンタエンジン制御部60に与える。コンパレータ727Dの出力端子は、プルアップ抵抗727Eを介してレギュレータ724に接続されている。また、図示されてはいないが、コンパレータ727Dは、一方の電源端子にDC電源54が接続されて、また、他方の電源端子が接地されていて、単電源で動作する。
【0031】
図5は、ファンクションテスタ100の構成を概略的に示すブロック図である。ファンクションテスタ100は、転写バイアス発生部72に必要な入力を行い、転写バイアス発生部72からの出力を解析することで、転写バイアス発生部72の不揮発性メモリ725に対応情報を記憶させる。
【0032】
電源出力ポートPOUT31は、転写バイアス発生部72の電源入力ポートPIN11に接続される。電源101は、電源出力ポートPOUT31を介して、転写バイアス発生部72にDC24Vを供給する。電源出力ポートPOUT32は、転写バイアス発生部72の電源入力ポートPIN12に接続される。安定化電源102は、電源出力ポートPOUT32を介して、転写バイアス発生部72に「DC5V」を供給する。
【0033】
入力ポートIN32は、転写バイアス発生部72の出力ポートOUT12に接続され、転写バイアス発生部72が出力する高圧電圧を電圧変換部103に与える。電圧変換部103は、入力ポートIN32から入力される高圧電圧を「2000分の1」の電圧に変換する。例えば、電圧変換部103は、高電圧計により実現することができる。
【0034】
ファンクションテスト回路104は、12bit分解能のアナログデジタルコンバータ(以下、ADCという)105と、出力ポート31に接続された出力ポートOUT41と、入力ポートIN31に接続された入力ポートIN41と、シリアルポートSCI31に接続されたシリアルポートSCI41とを備える。
そして、ファンクションテスト回路104は、シリアルポートSCI31、SCI41を介して、予め定められた設定値を転写バイアス発生部72のDAC726に設定し、この設定値に対応して、転写バイアス発生部72から実際に出力された高圧電圧に対応するアナログ電圧を入力ポートIN32及び電圧変換部103を介して受け取り、DAC726に設定した設定値と、転写バイアス発生部72から出力された電圧の値との間の対応関係を示す対応情報を生成する。例えば、本実施の形態においては、ファンクションテスト回路104は、複数の設定値と、この複数の設定値に対応して出力された実際の出力値との間の対応関係を示す一次関数を特定し、この一次関数の傾きの値と、切片の値とを対応情報とする。
なお、ファンクションテスト回路104は、以上のようにして生成した対応情報を、シリアルポートSCI41、SCI31を介して、転写バイアス発生部72の不揮発性メモリ725に記憶させる。
【0035】
(動作の説明)
次に、以上に記載された画像形成装置1の動作について説明する。
【0036】
まず、図1及び図2を用いて、画像形成装置1の全体における動作を説明する。
画像形成装置1は、図示されていない外部機器からホストインタフェース部51を介して、PDL(Page Description Language)等で記述された印刷データの入力を受け付ける。入力された印刷データは、コマンド/画像処理部52によってビットマップデータに変換される。
【0037】
画像形成装置1は、サーミスタ86の検知値に応じて定着器ヒータ85を制御することにより、定着器18の熱定着ローラを所定の温度にした後、印刷動作を開始する。
【0038】
そして、画像形成装置1は、給紙カセット13にセットされた用紙15をホッピングローラ14で給紙する。用紙15は、後述する画像形成動作に同期したタイミングで、レジストローラ16、17によって転写ベルト8上に搬送される。現像器2は、電子写真プロセスにより内部の感光体ドラム32にトナー像を形成する。この時、ビットマップデータに応じてLEDベッド3が点灯される。現像器2によって現像されたトナー像は、転写ローラ5に印加されたバイアスによって、転写ベルト8上を搬送される用紙15に転写される。用紙15は、トナー像が転写された後、定着器18によってこのトナー像が定着され、排紙される。
トナーカートリッジ容器4は、現像器2に着脱自在で、内部のトナーを現像器2に供給することができる構造になっている。プリンタエンジン制御部60は、温湿度センサ89の値に応じて予め定められたテーブル値に従って、出力する高圧電圧を設定する。
【0039】
次に、図3を用いて転写バイアス発生部72から出力する高圧電圧を制御する際の処理について説明する。本実施の形態では、4色分の高圧電圧を出力する必要があるが、各色における処理は同様であるため、1色分の処理についてのみ説明する。なお、図6に示されているように、転写バイアスは、DAC726への設定値「00〜FFhex」に対して、「130〜7410V」の範囲に制御される。ここで、図6に示されているDAC726への設定値と出力電圧の値は、図4に示されているDAC726に設定される8bit値と、この設定値において、図4中のXで示された部分の電圧を高電圧計にて計測した実測値とを示したものである。なお、画像形成装置1は、転写バイアスが「1000〜7000V」の範囲で動作する。図6において、DAC726への設定値が「C5hex」以上で、出力電圧値が一定となるのは、プリンタエンジン制御部60において、出力ポートOUT21から出力される矩形波の周波数に下限値が設定されているためである。なお、プリンタエンジン制御部60における周波数制御は、従来から行われているものと同様であるため、その詳細な説明は省略する。
【0040】
プリンタエンジン制御部60は、出力ポートOUT21から、平均周波数「130〜108kHz」の矩形波を出力して、圧電トランス駆動回路721を駆動させる。駆動開始周波数は130kHzである。
【0041】
モールド圧電トランス部722は、圧電トランスの2次側の交流出力を整流回路で整流して、出力負荷61である転写ローラ軸へバイアスを印加する。
【0042】
出力抽出部723は、抵抗分圧により高圧出力を「3.3V」以下の低電圧に降圧して、出力アナログ電圧として、比較部727に与える。
【0043】
また、プリンタエンジン制御部60は、画像を形成する環境を温湿度センサ87(図2参照)から取得し、印刷枝数及び印刷速度等のデータと併せて、転写バイアスを決定する。そして、プリンタエンジン制御部60は、決定された転写バイアスと不揮発性メモリ725に記憶された対応情報に基づいて、DAC736に設定する8bitの設定値を定め、シリアルポートSCI21を介して、この設定値をDAC726に送る。DAC726は、シリアルポートSCI11より得られた設定値に対応する目標アナログ電圧を比較部727に出力する。
【0044】
比較部727は、出力抽出部723から与えられた出力アナログ電圧をRCフィルタで平滑化した後、DAC726から与えられた目標アナログ電圧と比較して、出力アナログ電圧が目標アナログ電圧よりも低い場合には、Hレベル(3.3V)の電圧を、また、出力アナログ電圧が目標アナログ電圧よりも高い場合には、Lレベル(0.0V)の電圧を比較結果として出力する。ここで、出力アナログ電圧は、整流回路で整流され、また、RCフィルタで平滑化されていても、プリンタエンジン制御部60の出力ポートOUT21から出力された矩形波と同様の周期で振動している。このため、出力アナログ電圧が目標アナログ電圧とほぼ一致した場合には、コンパレータ727Dからの出力は、矩形波となる。従って、プリンタエンジン制御部60は、入力ポートIN21への入力が矩形波となるように、言い換えると、出力アナログ電圧が目標アナログ電圧とほぼ一致するように、出力ポートOUT21から出力する矩形波の周波数を制御する。プリンタエンジン制御部60が有する周波数制御回路は、他の画像形成等に使用するLSIと同一の集積回路中に内蔵される。
【0045】
次に、図4を用いて詳細に説明する。ここでは、プリンタエンジン制御部60は、例えば、「5000V」の設定電圧値を転写バイアスとして決定したとする。
まず、プリンタエンジン制御部60は、転写バイアスとして決定した「5000V」を、デジタルデータ(1388hex)にして、メモリ61に保持する。次に、プリンタエンジン制御部60は、シリアルポートSCI21を介して、不揮発性メモリ725のアドレス「00hex」と「01hex」にそれぞれ記憶されている第1の値及び第2の値を読み込む。この時、「00hex」に記憶されているデータ(第1の値)は、「25hex(37)」、「01hex」に記憶されているデータ(第2の値)は、「19hex(25)」である。なお、これらの値については、後に説明する。そして、プリンタエンジン制御部60は、第1の値及び第2の値に基づいて、設定電圧値からDAC726に設定する設定値を算出する。
【0046】
図7は、プリンタエンジン制御部60が、DAC726に設定値を設定して、矩形波を出力する際の処理を示すフローチャートである。図7に示されているフローチャートは、例えば、ユーザが画像形成装置1に印刷指示を行った場合に開始される。
【0047】
まず、プリンタエンジン制御部60は、下記の(2)式で値(小数点以下を四捨五入)を算出して、算出された値を設定値として、シリアルポートSCI21、SCI11を介して、DAC726に設定する(S10)。
{(設定電圧値)−(第2の値)}÷(第1の値) :(2)
ここで、(2)式に各値を入力すると、下記のような計算が行われる。
(1388hex−19hex)÷25hex
=(5000−25)÷37=134.46
そして、プリンタエンジン制御部60は、小数点以下を四捨五入した値(134=86hex)を設定値としてDAC726に設定する。
【0048】
次に、プリンタエンジン制御部60は、例えば、図示しない発振器からのクロック信号を分周することにより、矩形波を生成し、この矩形波を出力ポートOUT21から出力して、入力ポートIN21への入力が矩形波となるように出力ポートOUT21から出力する矩形波の周波数を制御する(S11)。
【0049】
図4を用いた説明に戻り、図7に示されたフローにより、DAC726には、設定値「B8hex」が設定され、モールド圧電トランス部722からは、高圧電圧が出力される。
DAC726は、設定値「86hex(134)」が設定されると、コンパレータ727Dの「+」端子に、下記の(3)式で示されているように、「1.73V」のアナログ電圧を目標アナログ電圧として出力する。
3.3V×(134÷255)=1.73V :(3)
【0050】
プリンタエンジン制御部60は、DAC726に設定値を設定した後に出力ポートOUT21から圧電トランス722Aの駆動パルスである矩形波を出力する。
【0051】
プリンタエンジン制御部60から出力される矩形波の駆動開始周波数は「130kHz」であり、NMOS721Aにより、インダクタ721C、コンデンサ721D及び圧電トランス722Aにより構成される共振回路が駆動される。その結果、「130V」の出力が、モールド圧電トランス部722から出力される。出力された電圧は、「100MΩ」の分圧抵抗723A、「32kΩ」の分圧抵抗723B及び「350Ω」の分圧抵抗723Cにより、「10200分の3.3」に分圧される。分圧されて、低電圧となった出力アナログ電圧は、抵抗727B及びコンデンサ727CによるRCフィルタ727Aでリップルが減じられ、コンバレータ727Dの「−」端子に入力される。
【0052】
このとき、出力アナログ電圧は、目標アナログ電圧よりも小さいため、コンパレータ727Dの出力は、オープンコレクタ出力となり、プルアップ抵抗727Eによりプルアップされた「3.3V」、即ち、Hレベルの信号が、出力ポートOUT11から出力される。このため、プリンタエンジン制御部60は、出力ポートOUT21から出力する矩形波の周波数を下げていく。そして、モールド圧電トランス部722からの出力が「5000V」となると、コンパレータ727Dからの出力が矩形波となる。
【0053】
モールド圧電トランス部722からの出力が「5000V」となった場合、分圧抵抗723A、723B、723Cで分圧された出力アナログ電圧は、下記の(4)式により、「1.62V」となる。
5000V×3.3÷10200=1.62V :(4)
この値は、上記(3)式で示されている目標アナログ電圧の値(1.73V)とは異なっている。
しかしながら、出力アナログ電圧の値は、計算値であって実測値とは異なる。実測値から設定電圧値に対応する設定値を算出しない場合には、アドレス「00hex」の値は、「28hex(40)」、アドレス「01hex」の値は、「00hex(0)」となる。このような場合だと、DAC726の設定値は、下記の(5)式により「7Dhex(125)」となる。
(5000V−0)÷40=125=7Dhex :(5)
このような場合には、目標アナログ電圧は、下記の(6)式により、「1.62V」となり、出力アナログ電圧の値と一致する。
3.3V×(125÷255)=1.62V :(6)
【0054】
次に、図5を用いて、対応情報について説明する。例えば、ファンクションテスタ100は、転写バイアス発生部72に対応する基板が製造された際に、当該基板に取り付けられて、当該基板毎に、第1の値及び第2の値を算出して、不揮発性メモリ725(図3参照)に記憶させる。
【0055】
まず、ファンクションテスタ100は、安定化電源102により「DC5V」を、電源101により「DC24V」を転写バイアス発生部72に供給する。次に、ファンクションテスト回路104は、シリアルポートSCI41、SCI31を介して、予め定められた設定値を転写バイアス発生部72のDAC726に設定する。さらに、ファンクションテスト回路104は、プリンタエンジン制御部60と同様の周波数制御回路を用いて、出力ポートOUT41、OUT31から出力する矩形波の周波数を調整することで、DAC726に設定された設定値に対応する高圧電圧を転写バイアス発生部72から出力させる。そして、ファンクションテスタ100は、DAC726への設定値と、転写バイアス発生部72から出力される高圧電圧との関係から、第1の値及び第2の値を算出する。
【0056】
図8は、ファンクションテスタ100の処理を示すフローチャートである。例えば、ファンクションテスタ100は、転写バイアス発生部72に対応する基板に取り付けられた際に、図8に示されているフローチャートを開始する。
【0057】
まず、ファンクションテスト回路104は、シリアルポートSCI41、SCI31を介して、転写バイアス発生部72のDAC726に設定値「20hex(32)」を設定する(S20)。
【0058】
次に、ファンクションテスト回路104は、入力ポートIN31、41を介して入力される信号が矩形波となるように、出力ポートOUT41、OUT31から出力する矩形波の周波数を調整する。そして、電圧変換部103は、転写バイアス発生部72から出力された高圧電圧を入力ポートIN32から受け取り、「2000分の1」に降圧して、ADC105に与える。ADC105は、与えられた電圧を、「5V」を「12bit」で分解する分解能でデジタル値に変換する。そして、ファンクションテスト回路104は、変換後のデジタル値を第1の検出値HV1として保持する(S21)。
例えば、図6に示されているように、DAC726の設定値が「20hex」の場合には、転写バイアス発生部72からの出力電圧は、「1210V」である。電圧変換部103は、この出力電圧「1210V」を、「2000分の1」に降圧して、「0.605V」にする。ADC105は、電圧「0.605V」をデジタル値(495=1EFhex)に変換する。ファンクションテスト回路104は、このデジタル値(1EFhex)を第1の検出値HV1として保持する。
【0059】
次に、ファンクションテスト回路104は、シリアルポートSCI41、SCI31を介して、転写バイアス発生部72のDAC726に設定値「C0hex(192)」を設定する(S22)。
【0060】
次に、ファンクションテスト回路104は、入力ポートIN31、41を介して入力される信号が矩形波となるように、出力ポートOUT41、OUT31から出力する矩形波の周波数を調整する。そして、電圧変換部103は、転写バイアス発生部72から出力された高圧電圧を入力ポートIN32から受け取り、「2000分の1」に降圧して、ADC105に与える。ADC105は、「5V」を「12bit」で分解する分解能で、与えられた電圧をデジタル値に変換する。そして、ファンクションテスト回路104は、変換後のデジタル値を第2の検出値HV2として保持する(S23)。
例えば、図6に示されているように、DAC726の設定値が「C0hex」の場合には、転写バイアス発生部72からの出力電圧は、「7190V」である。電圧変換部103は、この出力電圧「7190V」を、「2000分の1」に降圧して、「3.595V」にする。ADC105は、電圧「3.595V」をデジタル値(2944=B80hex)に変換する。ファンクションテスト回路104は、この値(B80hex)を第2の検出値HV2として保持する。
【0061】
次に、ファンクションテスト回路104は、下記の(7)式により算出された値(小数点以下を四捨五入)を、第1の値として、シリアルポートSCI41、SCI31を介して、転写バイアス発生部72の不揮発性メモリ725のアドレス「00hex」に書き込む(S24)。
{(HV2)−(HV1)×2000×5÷4095}÷160 :(7)
例えば、(7)式に値を代入すると、
{(2944)−(495)×2000×5÷4095}÷160=37.37
となり、この値の小数点以下を四捨五入することにより、第1の値は、「25hex(37)」となる。
【0062】
次に、ファンクションテスト回路104は、下記の(8)式により算出された値(小数点以下を四捨五入)を、第2の値として、シリアルポートSCI41、SCI31を介して、転写バイアス発生部72の不揮発性メモリ725のアドレス「01hex」に書き込む(S25)。
(HV1×2000×5÷4095)−32×(第1の値) :(8)
例えば、(8)式に値を代入すると、
(495×2000×5÷4095)−32×37=24.79
となり、この値の小数点以下を四捨五入することにより、第2の値は、「19hex(25)」となる。
【0063】
以上のように、ファンクションテスタ100は、2つの設定値に対応する2つの高圧出力を測定し、その傾きの値(第1の値)及び切片の値(第2の値)を不揮発性メモリ725に記憶させることにより、転写バイアス発生部72から常に出力が補正された高圧電圧の出力を行わせることができる。
【0064】
図8に示されているフローチャートは、転写バイアス発生部72に対応する基板単体のテスト時に行われ、その後、この基板が画像形成装置1に実装されることにより、画像形成装置1は、製造バラツキによらない安定した高圧出力を実現することができる。
【0065】
以上に記載された実施の形態では、2点間の線形近似により設定値を算出しているが、全ての設定値について、設定値と、その設定値における出力電圧値とを対応付けたテーブル形式の情報により設定値を特定してもよく、また、3次式等別の近似方法を用いて、設定値を算出してもよい。
【0066】
本発明は、ファンクションテスタ100との接続時、及び、画像形成装置1との接続時で、転写バイアス発生部72の基準電位、不揮発性メモリ725に変化がなく、常に、ファンクションテスタ100及び画像形成装置1のどちらと組み合わせても等しい出力を行うことができるようにしたことを一つの特徴とする。これにより、転写バイアス発生部72に対応する基板の量産時にも、回路部品のバラツキによらず、常に等しい高圧出力を得ることができるため、画像形成装置1は、安定した画像を出力することができる。
【0067】
以上説明したように、実施の形態1によれば、同一基板内に、DAC726、レギュレータ724、不揮発性メモリ725を配し、DAC726及びレギュレータ724の組み合わせにて出力される目標アナログ電圧の値を、不揮発性メモリ725に記憶された値で算出することにより、転写バイアス発生部72に対応する基板と画像形成装置1との組み合わせによらず、転写バイアス発生部72からの出力が均一となる。このため、画像形成装置1を量産した場合、及び、転写バイアス発生部72に対応する基板を保守部品として交換した場合でも、画像形成装置1は、常に安定した高圧出力を行うことができるため、安定し、品質のよい画像を容易に出力することができる。
【0068】
また、実施の形態1によれば、圧電トランス駆動回路721に駆動パルス(矩形波)を発生する部分を、転写バイアス発生部72に対応する基板の外に配置したため、この部分を他の画像処理等を行う集積回路と同一のLSI(例えば、プリンタエンジン制御部60)内に実装することができる。このため、実施の形態1によれば、駆動パルスを発生する部分を、多層ガラスエポキシ基板を用いる、プリンタエンジン制御部60用の基板等に高密度で実装することができる。さらに、実施の形態1によれば、転写バイアス発生部72に対応する基板上の周波数を、駆動パルスを発生する部分が含まれるLSI等で使用される数十MHzのクロック周波数より十分に低いクロック周波数、例えば、百数十kHzにすることができるため、放射ノイズを抑えるシールド部材等を不要とすることができる。
【0069】
実施の形態2.
次に、実施の形態2について説明する。
【0070】
(構成の説明)
図9は、実施の形態2における転写バイアス発生部92の概略構成を示すブロック図である。実施の形態2における転写バイアス発生部92は、出力評価部928の構成において、実施の形態1における転写バイアス発生部72と異なっている。
【0071】
本実施の形態における出力評価部928は、出力抽出部723から得られる出力アナログ電圧を、「8bit」の分解能でデジタル値に変換する。そして、出力評価部928は、変換後のデジタル値をプリンタエンジン制御部60から通知された設定値と比較して、その比較結果を示す信号をPWMポートPWM41から出力する。PWMポートPWM41は、出力ポートOUT11に接続されている。
【0072】
図10は、図9に示されている転写バイアス発生部92の回路構成を概略的に示す回路図である。実施の形態2においては、出力評価部928を除いて、図4に示されている転写バイアス発生部72の回路構成と同様であるため、ここでは、出力評価部928に関連する事項について説明する。
【0073】
出力評価部928は、出力抽出部723から出力された低電圧の出力アナログ電圧を平滑化するRCフィルタ927Aと、制御部929とを備える。RCフィルタ927Aは、抵抗927Bと、コンデンサ927Cとにより構成され、出力抽出部723から出力された出力アナログ電圧を平滑化する。但し、抵抗927Bとコンデンサ927CによるRCフィルタ927Aは、実施の形態1におけるRCフィルタ727Aに対して10倍以上の定数の値を取る。
【0074】
制御部929は、RCフィルタ927Aで平滑化された出力アナログ電圧を、8bitの分解能でデジタル値に変換するADC929Aと、不揮発性メモリ929Bとを備える。制御部929は、シリアルポートSCI41、SCI11を介して、プリンタエンジン制御部60からの指示を受け取り、プリンタエンジン制御部60からの指示に応じて、不揮発性メモリ929Bに対して、情報の書き込み、記憶されている情報の読み出し、及び、記憶されている情報の書き換えを行う。本実施の形態においては、不揮発性メモリ929Bには、プリンタエンジン制御部60が設定電圧値から設定値を算出するための第1の値及び第2の値(対応情報)と、プリンタエンジン制御部60から与えられた設定値が記憶される。
【0075】
そして、制御部929は、プリンタエンジン制御部60により設定された設定値と、ADC929Aで変換されたデジタル値(検出値)とを比較して、設定値がデジタル値よりも小さい場合には、Hレベルの電圧を、設定値がデジタル値よりも大きい場合には、Lレベルの電圧を、設定値とデジタル値とが等しいと判断できる場合には、周波数「100kHz」及びデューティ「37.5%」の矩形波を、PWMポートPWM41から出力する。なお、制御部929には、レギュレータ724から「3.3V」が供給される。この「3.3V」は、制御部929の動作電源であり、かつ、ADC929Aのアナログ基準電位AVCCを兼用する。また、制御部929は、オシレータを内蔵しており、そのクロック周波数は、「20MHz」である。なお、制御部929は、例えば、市販の8bitマイコン又は16bitマイコン等のCPUで実現することができ、ADC929Aは、マイコンがプログラムを実行することで実現でき、不揮発性メモリ929Bは、フラッシュROM又はPROMにより実現することができる。
【0076】
実施の形態2においても、図5に示されているファンクションテスタ100は、予め定められた設定値を転写バイアス発生部92の制御部929に設定し、この設定値に対応して、転写バイアス発生部92から実際に出力された高圧電圧に対応するアナログ電圧を受け取り、制御部929に設定した設定値と、転写バイアス発生部92から出力された電圧の値との間の対応関係を示す対応情報を生成する。ここで、図11に示されている制御部929への設定値と出力電圧の値は、図10に示されている制御部929に設定される8bit値と、この設定値において、図10中のYで示された部分の電圧を高電圧計にて計測した実測値とを示したものである。
【0077】
(動作の説明)
図12は、出力評価部928の制御部929が、不揮発性メモリ929Bを制御する際の処理を示すフローチャートである。
【0078】
まず、制御部929は、不揮発性メモリ929Bに設定値の初期値として、「00hex」を設定する(S30)。
次に、制御部929は、シリアルポートSCI41を介して、プリンタエンジン制御部60からのコマンドを受信した場合(S31でYes)には、ステップS32の処理に進む。
【0079】
ステップS32では、制御部929は、ステップS31で受信されたコマンドが不揮発性メモリ929Bへのアクセスを要求するものであるか否かを判断する。そして、制御部929は、コマンドが不揮発性メモリ929Bへのアクセスを要求するものである場合(S32でYes)には、ステップS33の処理に進み、コマンドが不揮発性メモリ929Bへのアクセスを要求するものではない場合(S32でNo)には、ステップS36の処理に進む。
【0080】
ステップS33では、制御部929は、ステップS31で受信されたコマンドが不揮発性メモリ929Bからデータを読み出すものであるか否かを判断する。そして、制御部929は、コマンドが不揮発性メモリ929Bからデータを読み出すものである場合(S33でYes)には、ステップS34の処理に進み、コマンドが不揮発性メモリ929Bからデータを読み出すものではない場合(S33でNo)には、ステップS35の処理に進む。ステップS34では、制御部929は、コマンドで指示されたデータを不揮発性メモリ929Bから読み出し、このデータをシリアルポートSCI41から出力させる。例えば、ステップS34の処理には、不揮発性メモリ929Bのアドレス「00hex」、「01hex」に記憶されている第1の値及び第2の値を読み出し、出力する処理が含まれる。一方、ステップS35では、制御部929は、シリアルポートSCI41で受信したデータを不揮発性メモリ929Bに書き込む処理を行う。例えば、ステップS35の処理には、不揮発性メモリ929Bのアドレス「00hex」及び「01hex」に、第1の値及び第2の値を書き込む処理が含まれる。
【0081】
一方、ステップS36では、制御部929は、ステップS31で受信したコマンドが設定値を設定するものであるか否かを判断する。そして、制御部929は、コマンドが設定値を設定するものである場合(S36でYes)には、ステップS37の処理に進み、コマンドが設定値を設定するものではない場合(S36でNo)には、ステップS31の処理に戻る。ステップS37では、制御部929は、シリアルポートSCI41で受信した設定値を不揮発性メモリ929Bに書き込む。
【0082】
なお、図12のステップS35の処理は、転写バイアス発生部92に対応する基板にファンクションテスタ100が接続されている場合にだけ行われる処理である。また、ステップS35の処理が行われている場合には、ファンクションテスト回路104は、シリアルポートSCI41から矩形波を出力しない。さらに、ファンクションテスト回路104は、ステップS37の処理を、シリアルポートSCI41から矩形波を出力している際には行わない。
【0083】
図13は、出力評価部928の制御部929が行う出力電圧評価処理を示すフローチャートである。図13のフローチャートは、ADC929Aに出力アナログ電圧が入力されることにより開始され、ADC929Aに出力アナログ電圧が入力されている間は、常時行われる。
【0084】
まず、制御部929は、ADC929Aが変換したデジタル値(ADC検出値)が、不揮発性メモリ929Bに記憶されている設定値と同じであるか否かを判断する(S40)。そして、制御部929は、デジタル値と設定値とが同じである場合(S40でYes)には、ステップS41の処理に進み、デジタル値と設定値とが異なる場合(S40でNo)には、ステップS42の処理に進む。
【0085】
ステップS41では、制御部929は、周波数「100kHz」及びデューティ「37.5%」の矩形波を、PWMポートPWM41から出力する。ここで、制御部929は、「20MHz」で動作しているため、この矩形波は、200クロックサイクル周期で、H期間が75クロックサイクルのパルスとなる。
【0086】
一方、ステップS42では、制御部929は、ADC929Aが変換したデジタル値が、不揮発性メモリ929Bに記憶されている設定値よりも大きいか否かを判断する。そして、制御部929は、デジタル値が設定値よりも大きい場合(S42でYes)には、ステップS43の処理に進み、デジタル値が設定値よりも小さい場合(S42でNo)には、ステップS44の処理に進む。
【0087】
ステップS43では、制御部929は、Lレベルの電圧をPWMポートPWM41から出力する。一方、ステップS44では、制御部929は、Hレベルの電圧をPWMポートPWM41から出力する。
【0088】
以上のように、実施の形態2においても、高圧出力中はリアルタイムにデジタル値の検出と設定値の比較が行われ、PWMポートPWM41からの出力が、実施の形態1におけるコンパレータ727Dからの出力とほぼ同様になる。但し、実施の形態2においては、PWMポートPWM41からの出力は、「100kHz」に固定され、圧電トランスへの駆動パルスと同期は取れていないが、単位時問辺りのH期間がその駆動パルスの周期に対して25〜50%の範囲に入るので、プリンタエンジン制御部60は、実施の形態1と同様に制御を行うことができる。
【0089】
実施の形態2においては、プリンタエンジン制御部60において、圧電トランス駆動パルスを生成しているが、出力評価部928でこのパルスを生成するように構成することもできる。
【0090】
以上に記載した実施の形態1及び2においては、転写バイアス発生部72、92が、カラータンデム方式の画像形成装置1の高圧電源装置である場合を例に説明したが、転写バイアス発生部72、92が、モノクロの画像形成装置の高圧電源装置であってもよい。また、本発明を、帯電及び現像等の転写以外のバイアス源に適用することもできる。
【符号の説明】
【0091】
54:DC電源、 55:DC電源、 60:プリンタエンジン制御部、 72,92:転写バイアス発生部、 721:圧電トランス駆動回路、 722:モールド圧電トランス部、 722A:圧電トランス、 722D:整流回路、 723:出力抽出部、 724:レギュレータ、 725:不揮発性メモリ、 726:DAC、 727:比較部、 727D:コンパレータ、 728,928:出力評価部、 929:制御部、 929A:ADC、 929B:不揮発性メモリ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の制御部からの制御信号に対応する直流電圧を出力する電圧出力部と、
前記直流電圧が、前記第1の制御部から受け取った設定値に対応した電圧となっているか否かを判断する判断処理を行い、判断結果を前記第1の制御部に出力する出力評価部と、を備え、
前記出力評価部は、
前記電圧出力部から出力された直流電圧の電圧値と、前記設定値との対応関係を示す対応情報を記憶する記憶部を備え、
前記第1の制御部に前記対応情報を出力し、前記第1の制御部から、前記対応情報に基づいて決定された設定値を受け取って、前記判断処理を行うこと
を特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記電圧出力部及び前記出力評価部を配置する基板を備え、
前記基板には、前記第1の制御部が配置されていないこと
を特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記対応情報は、前記電圧出力部から出力された直流電圧の電圧値と、前記設定値と、の間の関数を特定する情報であること
を特徴とする請求項1又は2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記関数は、一次関数であること
を特徴とする請求項3に記載の電源装置。
【請求項5】
前記対応情報は、前記一次関数の傾きの値及び切片の値であること
を特徴とする請求項4に記載の電源装置。
【請求項6】
前記対応情報は、前記電圧出力部から出力された直流電圧の各々の電圧値と、当該各々の電圧値に対応する設定値と、を示すテーブル情報であること
を特徴とする請求項1又は2に記載の電源装置。
【請求項7】
前記直流電圧を一定の比率で降圧した電圧を、出力アナログ電圧として出力する出力抽出部をさらに備え、
前記出力評価部は、
前記設定値に従ったアナログ電圧を、目標アナログ電圧として出力する目標電圧出力部と、
前記出力アナログ電圧と、前記目標アナログ電圧とが一致しているか否かを判断する比較部と、を含むこと
を特徴とする請求項1から6の何れか一項に記載の電源装置。
【請求項8】
前記直流電圧を一定の比率で降圧した電圧を、出力アナログ電圧として出力する出力抽出部をさらに備え、
前記出力評価部は、
前記出力アナログ電圧の電圧値を特定して、前記設定値と比較する第2の制御部を含むこと
を特徴とする請求項1から6の何れか一項に記載の電源装置。
【請求項9】
前記電圧出力部は、
前記制御信号に対応する駆動電圧を出力する圧電トランス駆動部と、
前記駆動電圧を昇圧して、交流電圧を出力する圧電トランスと、
前記交流電圧を直流電圧に変換する変換部と、を備え、
少なくとも前記圧電トランスは、絶縁性部材でモールドされていること
を特徴とする請求項1から8の何れか一項に記載の電源装置。
【請求項10】
制御信号を出力する制御部と、
前記制御信号に対応する直流電圧を出力する電圧出力部、及び、前記直流電圧が、前記第1の制御部から受け取った設定値に対応した電圧となっているか否かを判断する判断処理を行い、判断結果を前記第1の制御部に出力する出力評価部、を備える電源装置と、を備え、
前記出力評価部は、
前記電圧出力部から出力された直流電圧の電圧値と、前記設定値との対応関係を示す対応情報を記憶する記憶部を備え、
前記制御部に前記対応情報を出力し、前記制御部から、前記対応情報に基づいて決定された設定値を受け取って、前記判断処理を行い、
前記制御部は、前記判断結果に応じて、前記制御信号を調整すること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
第1の制御部からの制御信号に対応する直流電圧を出力する電圧出力部と、
前記直流電圧が、前記第1の制御部から受け取った設定値に対応した電圧となっているか否かを判断する判断処理を行い、判断結果を前記第1の制御部に出力する出力評価部と、を備え、
前記出力評価部は、
前記電圧出力部から出力された直流電圧の電圧値と、前記設定値との対応関係を示す対応情報を記憶する記憶部を備え、
前記第1の制御部に前記対応情報を出力し、前記第1の制御部から、前記対応情報に基づいて決定された設定値を受け取って、前記判断処理を行うこと
を特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記電圧出力部及び前記出力評価部を配置する基板を備え、
前記基板には、前記第1の制御部が配置されていないこと
を特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記対応情報は、前記電圧出力部から出力された直流電圧の電圧値と、前記設定値と、の間の関数を特定する情報であること
を特徴とする請求項1又は2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記関数は、一次関数であること
を特徴とする請求項3に記載の電源装置。
【請求項5】
前記対応情報は、前記一次関数の傾きの値及び切片の値であること
を特徴とする請求項4に記載の電源装置。
【請求項6】
前記対応情報は、前記電圧出力部から出力された直流電圧の各々の電圧値と、当該各々の電圧値に対応する設定値と、を示すテーブル情報であること
を特徴とする請求項1又は2に記載の電源装置。
【請求項7】
前記直流電圧を一定の比率で降圧した電圧を、出力アナログ電圧として出力する出力抽出部をさらに備え、
前記出力評価部は、
前記設定値に従ったアナログ電圧を、目標アナログ電圧として出力する目標電圧出力部と、
前記出力アナログ電圧と、前記目標アナログ電圧とが一致しているか否かを判断する比較部と、を含むこと
を特徴とする請求項1から6の何れか一項に記載の電源装置。
【請求項8】
前記直流電圧を一定の比率で降圧した電圧を、出力アナログ電圧として出力する出力抽出部をさらに備え、
前記出力評価部は、
前記出力アナログ電圧の電圧値を特定して、前記設定値と比較する第2の制御部を含むこと
を特徴とする請求項1から6の何れか一項に記載の電源装置。
【請求項9】
前記電圧出力部は、
前記制御信号に対応する駆動電圧を出力する圧電トランス駆動部と、
前記駆動電圧を昇圧して、交流電圧を出力する圧電トランスと、
前記交流電圧を直流電圧に変換する変換部と、を備え、
少なくとも前記圧電トランスは、絶縁性部材でモールドされていること
を特徴とする請求項1から8の何れか一項に記載の電源装置。
【請求項10】
制御信号を出力する制御部と、
前記制御信号に対応する直流電圧を出力する電圧出力部、及び、前記直流電圧が、前記第1の制御部から受け取った設定値に対応した電圧となっているか否かを判断する判断処理を行い、判断結果を前記第1の制御部に出力する出力評価部、を備える電源装置と、を備え、
前記出力評価部は、
前記電圧出力部から出力された直流電圧の電圧値と、前記設定値との対応関係を示す対応情報を記憶する記憶部を備え、
前記制御部に前記対応情報を出力し、前記制御部から、前記対応情報に基づいて決定された設定値を受け取って、前記判断処理を行い、
前記制御部は、前記判断結果に応じて、前記制御信号を調整すること
を特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−5647(P2013−5647A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136261(P2011−136261)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】
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