説明

電源装置

【課題】入力が小電力でも高電圧で大電流の電力を負荷に供給することが可能な電源装置を提供する。
【解決手段】負荷60に電力を供給可能な蓄電池30が設けられた電源装置1であって、蓄電池に、低電圧で大電流の電力を供給可能な第1の電源部10と、蓄電池に、第1の電源部よりも電位が高い高電圧でかつ第1の電源部よりも電流値が小さい小電流の電力を供給可能な第2の電源部40と、蓄電池に第1の電源部を接続可能な第1接続開閉部20A、20Bと、蓄電池に、第2の電源部と負荷とを接続可能で第1接続開閉部と交互に開閉可能な第2接続開閉部50A、50Bと、を備え、第1接続開閉部を閉塞し第2接続開閉部を開放することで、第1の電源部からの電力によって蓄電池の充電が完了した後に、第1接続開閉部を開放し第2接続開閉部を閉塞することで、蓄電池と第2の電源部とから負荷に電力を供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、負荷に電力を供給可能な蓄電池が設けられた電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば非特許文献1には、複数の単位インバータの出力を変圧器の二次側で合成する多重インバータ方式の電源装置が開示されている。非特許文献1の電源装置では、各単位インバータの出力に接続された変圧器の二次側を直列接続することで、直列接続した二次側の出力電圧を、各変圧器の二次側の交流電圧を総和したものとすることが可能である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】岡田隆夫外3名共著、「大学課程 電気機器(2)(改訂2版)」株式会社オーム社、平成7年5月15日、p53
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば複数の単位インバータの一方の単位インバータとこれに接続された変圧器が高電圧で小電流を供給可能な能力を有し、他方の単位インバータとこれに接続された変圧器が低電圧で大電流を供給可能な能力を有していても、直列接続した変圧器の二次側から負荷に供給する電圧は、電位が異なる2の電圧を合成して高電圧にできる反面、直列接続した変圧器の二次側から負荷に供給する電流を、負荷に比例させるだけで他方の単位インバータとこれに接続された変圧器の能力に応じた大電流として取り出すことができなかった。ましてや直列接続した変圧器の二次側から負荷に供給する電流を、電流値が異なる2つの電流を合成した大電流にすることはできないという不都合があった。
【0005】
この発明は、このような状況に鑑み提案されたものであって、高電圧で大電流の電力を負荷に供給することが可能な電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明に係る電源装置は、負荷に電力を供給可能な蓄電池が設けられた電源装置であって、前記蓄電池に、低電圧で大電流の電力を供給可能な第1の電源部と、前記蓄電池に、前記第1の電源部よりも電位が高い高電圧でかつ前記第1の電源部よりも電流値が小さい小電流の電力を供給可能な第2の電源部と、前記蓄電池に前記第1の電源部を接続可能な第1接続開閉部と、前記蓄電池に、前記第2の電源部と前記負荷とを接続可能で前記第1接続開閉部と交互に開閉可能な第2接続開閉部と、を備え、前記第1接続開閉部を閉塞し前記第2接続開閉部を開放することで、前記第1の電源部からの電力によって前記蓄電池の充電が完了した後に、前記第1接続開閉部を開放し前記第2接続開閉部を閉塞することで、前記蓄電池と前記第2の電源部とから前記負荷に電力を供給することを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1において、前記蓄電池を2つ以上備え、前記第1接続開閉部は、一の蓄電池と前記第1の電源部とを接続可能な一の第1接続開閉部と、他の蓄電池と前記第1の電源部とを接続可能な他の第1接続開閉部と、からなり、前記一の第1接続開閉部と前記他の第1接続開閉部とは交互に開閉可能に設けられて、前記第2接続開閉部は、前記一の蓄電池に、前記第2の電源部と前記負荷とを接続可能な一の第2接続開閉部と、前記他の蓄電池に、前記第2の電源部と前記負荷とを接続可能な他の第2接続開閉部と、からなり、前記一の第2接続開閉部と前記他の第2接続開閉部とは交互に開閉可能に設けられて、前記一の第1接続開閉部を閉塞し前記一の第2接続開閉部を開放することで、前記第1の電源部からの電力によって前記一の蓄電池の充電が完了した後に、前記一の第1接続開閉部を開放し前記一の第2接続開閉部を閉塞することで、前記一の蓄電池と前記第2の電源部とから前記負荷に電力を供給する第1の充放電動作と、前記他の第1接続開閉部を閉塞し前記他の第2接続開閉部を開放することで、前記第1の電源部からの電力によって前記他の蓄電池の充電が完了した後に、前記他の第1接続開閉部を開放し前記他の第2接続開閉部を閉塞することで、前記他の蓄電池と前記第2の電源部とから前記負荷に電力を供給する第2の充放電動作と、を交互に行うことを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2において、前記第1の電源部は、外部電源として単相の交流電力を入力して前記低電圧で前記大電流の直流電力を生成する第1の直流電源部を複数並列に接続して形成されて、前記一の第1接続開閉部と前記他の第1接続開閉部とによって、前記複数の第1の直流電源部を、前記一の蓄電池と前記他の蓄電池とに交互に接続可能としたことを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかにおいて、前記第2の電源部は、外部電源として単相の交流電力又は多相の交流電力を入力して前記高電圧で前記小電流の直流電力を生成する第2の直流電源部によって形成されて、前記第2の直流電源部は、前記外部電源から供給された交流電流を前記小電流の電流値に制限する交流の電流制限部と、前記交流の電流制限部の出力を整流する整流部と、前記整流部の出力を平滑して直流の前記小電流を出力する平滑部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1ないし3のいずれかにおいて、前記第2の電源部は、外部電源として単相の交流電力又は多相の交流電力を入力して前記高電圧で前記小電流の直流電力を生成する第3の直流電源部によって形成されて、前記第3の直流電源部は、前記入力された交流電力を整流する整流部と、前記整流部の出力を平滑して直流電流を出力する平滑部と、出力制御信号に応じて導通状態が制御されて、前記平滑部によって出力された直流電流の通過を制限して 、前記小電流を出力する直流の電流制限部と、を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項6の発明は、請求項1ないし3のいずれかにおいて、前記第2の電源部は、外部電源として単相の交流電力又は多相の交流電力を入力して前記高電圧で前記小電流の直流電力を生成する第4の直流電源部によって形成されて、前記第4の直流電源部は、前記単相又は前記多相の交流電力をそれぞれ全波整流する整流ブリッジと、前記整流ブリッジ内で、入力側と出力側との間に位置する整流素子に前記入力側で直列に接続され、出力制御信号に応じて導通状態が制御されて、前記外部電源によって供給された交流電流を脈流直流電流に変換して該脈流直流電流の通過を制限する直流の電流制限部と、前記直流の電流制限部の出力を平滑して前記小電流を出力する平滑部と、を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項7の発明は、請求項1ないし3のいずれかにおいて、前記第2の電源部は、外部電源として直流電力を入力して前記高電圧で前記小電流の直流電力を生成する第5の直流電源部によって形成されて、前記第5の直流電源部は、出力制御信号によって導通状態が制御されて、前記外部電源から供給された直流電流の通過を制限して、前記小電流を出力する直流の電流制限部を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明に係る電源装置によれば、蓄電池の充電が完了した後に、第1接続開閉部を開放し第2接続開閉部を閉塞したときには、蓄電池の蓄電電圧(低電圧)と第2の電源部の供給電圧(高電圧)とが蓄電池内部で合成されると共に、蓄電池の蓄電電流(大電流)と第2の電源部の供給電流(小電流)とを蓄電池内部で合成することができる。但し、蓄電池と第2の電源部との間は直列接続のため、前記蓄電電流と前記供給電流とは、蓄電池内部で合算されずに合成される。そして蓄電池から前記合成された大電流が放電される。したがって電源装置は、高電圧で大電流の電力を負荷に供給することが可能になる。
請求項2の発明によれば、2以上の蓄電池の内の一の蓄電池を用いた第1の充放電動作と、他の蓄電池を用いた第2の充放電動作とを交互に行うことで、高電圧で大電流の電力を途切れなく負荷に供給することが可能になる。
請求項3の発明によれば、各第1の直流電源部に単相の交流電力を入力する以外にも、並列に接続された複数の第1の直流電源部に多相の交流電力を入力することで、各第1の直流電源部が直流電力を生成することが可能になる。さらに、第1の直流電源部が生成した直流電力で、一の蓄電池と他の蓄電池とを交互に充電することも可能になる。
請求項4の発明によれば、外部電源から供給された交流電流の通過を交流の電流制限部で制限した後に、整流部によって生成された脈流波形の電力を平滑部で平滑化して直流の小電流を作り出すことができる。したがって、第2の直流電源部は、交流の外部電源から直流の小電流を容易に作り出すことが可能になる。
請求項5の発明によれば、第3の直流電源部の直流の電流制限部は、出力制御信号に応じて導通状態が制御されることで通過電流量を調整することが可能になる。したがって、直流の電流制限部が出力する小電流の電流値を、出力制御信号に応じて調整することが容易になる。
請求項6の発明によれば、第4の直流電源部は、外部電源から供給された交流電流を脈流直流電流に変換してこの脈流直流電流の通過を制限する直流の電流制限部を組み合わせた整流ブリッジ内で、脈流直流電流の通過電流量を調整することと、外部電源から供給された交流電力の全波整流との双方を行うことができる。
請求項7の発明によれば、導通状態が制御可能な直流の電流制限部によって、外部電源から供給された直流電流を、電流値を小さくした小電流に変換することが可能になる。したがって、前記直流の電流制限部を用いた簡単な構成で、第5の直流電源部は外部電源から供給された直流電流を小電流に変換できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態1の電源装置の概略回路構成図である。
【図2】実施形態2の電源装置の概略回路構成図である。
【図3】実施形態3の電源装置の概略回路構成図である。
【図4】実施形態4の電源装置が備える第2の電源部の概略回路構成図である。
【図5】実施形態5の電源装置が備える第2の電源部の概略回路構成図である。
【図6】実施形態6の電源装置が備える第2の電源部の概略回路構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1を参照しつつ説明する。図1に示すように電源装置1は、第1の電源部10と、第1接続開閉部20A、20Bと、第1の蓄電池30と、第2の電源部40と、第2接続開閉部50A、50Bとを備えている。
【0016】
第1の電源部10は、低電圧大電流の電源として作用するもので低電圧変圧器11と単相全波整流ブリッジ12とを備えている。低電圧変圧器11の一次側巻線は、第1の電源部10の入力側端子10a、10bに接続されている。低電圧変圧器11の二次側巻線は、単相全波整流ブリッジ12の入力端子12a、12bに接続されている。単相全波整流ブリッジ12の出力端子12c、12dは、第1の電源部10の出力側正極端子10cと出力側負極端子10dとに接続されている。
【0017】
第1接続開閉部20A、20Bは、開閉スイッチによって形成されている。第1接続開閉部20Aは、第1の電源部10の出力側正極端子10cと第1の蓄電池30の正極端子30aとの間に直列接続されている。一方第1接続開閉部20Bは、第1の電源部10の出力側負極端子10dと第1の蓄電池30の負極端子30bとの間に直列接続されている。第1の蓄電池30は、複数の蓄電池セルを直列接続して形成されている。第1の蓄電池30の一例としてはリチウム・イオン蓄電池やニッケル水素蓄電池等が挙げられる。加えて平滑コンデンサ13の正極は、前記出力側正極端子10cと第1接続開閉部20Aとの間に接続され、平滑コンデンサ13の負極は、前記出力側負極端子10dと第1接続開閉部20Bとの間に接続されている。
【0018】
第2の電源部40は、第1の電源部10よりも電位が高い高電圧で第1の電源部10よりも電流値が小さい小電流の電源として作用するもので、交流の電流制限部41と、整流部42と、平滑部43とを備えている。この第2の電源部40は、本発明の第2の直流電源部の一例である。交流の電流制限部41は電流制限用の交流リアクトルを3つ備え、各交流リアクトルは、前記電流制限部41の入力側端子41a〜41cと出力側端子41d〜41fとの間にそれぞれ接続されている。
【0019】
本実施形態では整流部42は、三相全波整流ブリッジによって形成されている。三相全波整流ブリッジは、6つのダイオードD1〜D6によって構成されている。ダイオードD1のアノードとダイオードD2のカソードとは直列接続され、ダイオードD3のアノードとダイオードD4のカソードとは直列接続され、ダイオードD5のアノードとダイオードD6のカソードとは直列接続されている。前記電流制限部41の出力側端子41dは、ダイオードD1のアノードとダイオードD2のカソードとの間に並列接続され、出力側端子41eは、ダイオードD3のアノードとダイオードD4のカソードとの間に並列接続され、出力側端子41fは、ダイオードD5のアノードとダイオードD6のカソードとの間に並列接続されている。
【0020】
さらに、ダイオードD1、D3、D5のカソードは相互に並列接続され、ダイオードD2、D4、D6のアノードは相互に並列接続されている。ダイオードD1、D3、D5のカソードは、整流部42の出力側正極端子42aに接続され、ダイオードD2、D4、D6のアノードは、整流部42の出力側負極端子42bに接続されている。
【0021】
平滑部43は、並列に接続された2つのコンデンサC1、C2の間にリアクトルL1が接続された平滑回路によって形成されている。コンデンサC1の正極は前記整流部42の出力側正極端子42aに接続され、コンデンサC1の負極は出力側負極端子42bに接続されている。コンデンサC2の正極は、第2の電源部40の出力側正極端子40cに接続され、コンデンサC2の負極は、第2の電源部40の出力側負極端子40dに接続されている。
【0022】
第2接続開閉部50Aは、前記出力側正極端子40cと第1の蓄電池30の負極端子30bとの間に直列接続されている。一方第2接続開閉部50Bは、第1の蓄電池30の正極端子30aと電源装置1の負荷接続正極端子1aとの間に直列接続されている。また、第2の電源部40の出力側負極端子40dは、電源装置1の負荷接続負極端子1bに直列接続されている。負荷接続正極端子1aと負荷接続負極端子1bとの間には、直流モータ等の負荷60が接続される。
【0023】
次に電源装置1の動作(出力負荷時)を説明する。第1の電源部10の入力側端子10a、10bに、外部電源から単相の交流電力が供給されると、低電圧変圧器11で交流電圧を降圧し交流電流を増加させる。続いて低電圧変圧器11から供給される交流電力は、単相全波整流ブリッジ12で全波整流された後に平滑コンデンサ13で平滑されることで低電圧大電流の直流電力に変換される。第1接続開閉部20A、20Bを閉塞し第2接続開閉部50A、50Bを開放した状態で、低電圧大電流の直流電力は第1の蓄電池30に供給される。これにより第1の蓄電池30が充電される。
【0024】
一方第2の電源部40に備えられた交流の電流制限部41に、入力側端子41a〜41cを通じて外部電源から単相又は多相(例えば三相)の交流電力が供給されると、交流リアクトルで前記電流制限部41を通過する交流電流を所定値以内の小電流に制限する。また交流リアクトルから供給される交流電圧値は、外部電源から入力側端子41a〜41cに供給された交流電圧値と略同じである。続いて電流制限部41から供給される交流電力は整流部42で全波整流される。その後、全波整流された脈流波形の電力を平滑部43で平滑化することで高電圧小電流の直流電力を生成する。
【0025】
第1の電源部10による第1の蓄電池30の充電が完了した後に、第1接続開閉部20A、20Bを開放し第2接続開閉部50A、50Bを閉塞した状態で、第2の電源部40の高電圧小電流の直流電力は第1の蓄電池30に供給される。これにより、第1の蓄電池30の蓄電電圧(低電圧)と第2の電源部40から供給される直流電圧(高電圧)とが第1の蓄電池30の内部で合成される。加えて第1の蓄電池30よりも電位が高い第2の電源部40から第1の蓄電池30の負極端子30bに直流電流(小電流)が供給されることで、第1の蓄電池30の蓄電電流(大電流)と前記小電流とが第1の蓄電池30の内部で合成される。そして、電源装置1は負荷に比例した直流電流を負荷60に対して供給する。したがって、負荷60に対し、第1の蓄電池30の蓄電電流(大電流)と第2の電源部40から供給される電流(小電流)とを第1の蓄電池30の内部で合成した直流電流を供給することが可能になる。
【0026】
以下に電源装置1の実験結果について説明する。低電圧変圧器11は、容量が600Wで巻線比を5:1に設定した。単相全波整流ブリッジ12は、耐電圧を25V、許容電流が35Aとなるようにした。また第1の蓄電池30には、リチウム・イオン蓄電池(容量10Ah、電圧22V)を用いた。負荷60には、抵抗値が4オームの抵抗器を用いた。さらに交流の電流制限部41における電流制限用の交流リアクトルによって、電源装置1の通過電流を5A前後に制限した。
【0027】
第1の電源部10の入力側端子10a、10bに、電圧値が101.2Vで電流値が6.47Aの単相交流電力を供給すると、第1の電源部10は、電圧値が19.4Vで電流値が30.9Aの直流電力を生成し、この直流出力を第1の蓄電池30に印加した。この直流電力によって、第1の蓄電池30の放電電圧値は18.3Vに到達した。一方第2の電源部40に備えられた交流の電流制限部41に、電圧値が101.2Vで電流値が5.2Aの単相交流電力を供給すると、第2の電源部40は、電圧値が86Vで電流値が4.63Aの直流電力を生成した。
【0028】
第1の蓄電池30(リチウム・イオン蓄電池)の充電が完了した後に、第1接続開閉部20A、20Bを開放し第2接続開閉部50A、50Bを閉塞した状態では、負荷接続正極端子1aと負荷接続負極端子1bとの間の電圧値は、第1の蓄電池30の放電電圧値(18.3V)と第2の電源部40から供給される直流電圧値(86V、機器の効率が悪く電圧の降下量が大きかった)の合計値(104.3V=18.3V+86V)であった。さらに第2の電源部40が第1の蓄電池30に供給する電流値は4.63Aとなり、負荷60に供給される電流値は、前記電流値(4.63A)と第1の蓄電池30の放電電流値との合成値(26.1A)であった。よって、電源装置1の総出力電力は直流で約2722VA(=104.3V×26.1A)となり、電源装置1の総入力電力は交流で約1181W(={101.2V×6.47A}+{101.2V×5.2A})であった。
【0029】
<実施形態1の効果>
本実施形態の電源装置1では、第1の蓄電池30の充電が完了した後に、第1接続開閉部20A、20Bを開放し第2接続開閉部50A、50Bを閉鎖したときには、第1の蓄電池30の蓄電電圧(低電圧)と第2の電源部40から供給される直流電圧(高電圧)とが第1の蓄電池30の内部で合成されると共に、第1の蓄電池30の蓄電電流(大電流)と第2の電源部40から供給される電流(小電流)を第1の蓄電池30の内部で合算せずに合成できる。したがって、高電圧で大電流の電力を負荷60に供給することが可能になる。
【0030】
また第2の電源部40では、外部電源から供給された交流電流の通過を交流の電流制限部41で制限した後に、整流部42で全波整流された脈流波形の電力を平滑部43で平滑化して直流の小電流を作り出すことができる。したがって第2の電源部40は、交流の外部電源から直流の小電流を容易に作り出すことが可能になる。
【0031】
<実施形態2>
本発明の実施形態2を図2を参照しつつ説明する。ここでは実施形態1と同一の構成は同一の符号を付しその説明を省略する。図2に示すように電源装置1Aは、第1の電源部10Aと、第1接続開閉部20A〜20Dと、第1の蓄電池30と、第2の蓄電池31と、第2の電源部40と、第2接続開閉部50A〜50Dとを備えている。なお、第1接続開閉部20A、20Bは本発明の一の第1接続開閉部の一例であり、第1接続開閉部20C、20Dは本発明の他の第1接続開閉部の一例である。また第1の蓄電池30は本発明の一の蓄電池の一例であり、第2の蓄電池31は本発明の他の蓄電池の一例である。さらに第2接続開閉部50A、50Bは本発明の一の第2接続開閉部の一例であり、第2接続開閉部50C、50Dは本発明の他の第2接続開閉部の一例である。
【0032】
第1の電源部10Aは、低電圧大電流の電源として作用するもので低電圧変圧器11Aと三相全波整流ブリッジ12Aとを備えている。低電圧変圧器11Aは、単相出力と三相出力とを兼ね備えた三相変圧器によって形成されている。低電圧変圧器11Aの一次側巻線は、第1の電源部10Aの入力側端子10e〜10gに接続されている。
【0033】
三相全波整流ブリッジ12Aは、6つのダイオードD7〜D12によって構成されている。ダイオードD7のアノードとダイオードD8のカソードとは直列接続され、ダイオードD9のアノードとダイオードD10のカソードとは直列接続され、ダイオードD11のアノードとダイオードD12のカソードとは直列接続されている。ダイオードD7のアノードとダイオードD8のカソードとの間、ダイオードD9のアノードとダイオードD10のカソードとの間、ダイオードD11のアノードとダイオードD12のカソードとの間には、低電圧変圧器11Aの二次側巻線がそれぞれ接続されている。
【0034】
さらに、ダイオードD7、D9、D11のカソードは相互に並列接続され、ダイオードD8、D10、D12のアノードは相互に並列接続されている。ダイオードD7、D9、D11のカソードは、第1の電源部10Aの出力側正極端子10cに接続され、ダイオードD8、D10、D12のアノードは、第1の電源部10Aの出力側負極端子10dに接続されている。
【0035】
第1接続開閉部20C、20Dは、開閉スイッチによって形成されている。第1接続開閉部20Cは、第1の電源部10Aの出力側正極端子10cと、第2の蓄電池31の正極端子31aとの間に直列接続されている。一方第1接続開閉部20Dは、第1の電源部10Aの出力側負極端子10dと、第2の蓄電池31の負極端子31bとの間に直列接続されている。第2の蓄電池31も、第1の蓄電池30と同様に複数の蓄電池セルを直列接続して形成されている。
【0036】
第2の接続開閉部50Cは、第2の電源部40の出力側正極端子40cと第2の蓄電池31の負極端子31bとの間に直列接続されている。一方第2の接続開閉部50Dは、第2の蓄電池31の正極端子31aと電源装置1Aの負荷接続正極端子1aとの間に直列接続されている。また、第2の電源部40の出力側負極端子40dは、電源装置1Aの負荷接続負極端子1bに直列接続されている。負荷接続正極端子1aと負荷接続負極端子1bとの間には、平滑コンデンサC4と負荷60とが並列接続されている。平滑コンデンサC4は、第1の蓄電池30と第2の蓄電池31との放電切替時に生じる電圧差を緩和するために用いられる。
【0037】
次に電源装置1A(出力負荷時)の動作を説明する。電源装置1Aでは、以下のようにして、第1の蓄電池30の充電が完了した後に第1の蓄電池30と第2の電源部40とから負荷60に直流電流を供給する第1の充放電動作を行う。第1の電源部10Aの入力側端子10e〜10gに、外部電源から単相又は多相(例えば三相)の交流電力が供給されると、低電圧変圧器11Aで交流電圧を降圧し交流電流を増加させる。続いて低電圧変圧器11Aの2次側から供給される交流電力は、三相全波整流ブリッジ12Aで全波整流された後に平滑コンデンサ13で平滑されることで低電圧大電流の直流電力に変換される。第1接続開閉部20A、20Bを閉塞し第2接続開閉部50A、50Bを開放した状態で、低電圧大電流の直流電力は第1の蓄電池30に供給される。これにより、第1の蓄電池30が充電される。このとき、第1接続開閉部20C、20Dと第2接続開閉部50C、50Dとを開放させておく。
【0038】
第1の電源部10Aによる第1の蓄電池30の充電が完了した後に、第1接続開閉部20A、20Bを開放し第2接続開閉部50A、50Bを閉塞することで、実施形態1と同様に高電圧大電流の直流電力を第1の蓄電池30に供給する。その結果、第1の蓄電池30の蓄電電圧(低電圧)と第2の電源部40から供給される直流電圧(高電圧)とが第1の蓄電池30の内部で合成されると共に、第1の蓄電池30の蓄電電流(大電流)と第2の電源部40から供給される電流(小電流)とが第1の蓄電池30の内部で合算されずに合成される。そして電源装置1Aは、負荷に比例した直流電流を負荷60に対して供給する。
【0039】
また本実施形態では、第1の充放電動作と交互に以下のようにして、第2の蓄電池31の充電が完了した後に第2の蓄電池31と第2の電源部40とから負荷60に直流電流を供給する第2の充放電動作を行う。第1の蓄電池30の充電が完了し、第1接続開閉部20A、20Bを開放し第2接続開閉部50A、50Bを閉塞した直後に、第1接続開閉部20C、20Dを閉塞し第2接続開閉部50C、50Dを開放した状態で低電圧大電流の直流電力を第2の蓄電池31に供給する。これにより、第2の蓄電池31は充電される。
【0040】
その後第1の電源部10Aによる第2の蓄電池31の充電が完了した後に、第1接続開閉部20C、20Dを開放し第2接続開閉部50C、50Dを閉塞した状態で、第2の電源部40から高電圧大電流の直流電力を第2の蓄電池31に供給する。その結果第1の充放電動作と同様に、第2の蓄電池31の蓄電電圧(低電圧)と第2の電源部40から供給される直流電圧(高電圧)とが第2の蓄電池31の内部で合成されると共に、第2の蓄電池31の蓄電電流(大電流)と第2の電源部40から供給される電流(小電流)とが第2の蓄電池31の内部で合算されずに合成される。そして第1の充放電動作と同様に、電源装置1Aは負荷60に直流電流を供給する。
【0041】
続いて第2の充放電動作中で第2の蓄電池31の充電が完了し、第1接続開閉部20C、20Dを開放し第2接続開閉部50C、50Dを閉塞した直後に、第1接続開閉部20A、20Bを閉塞し第2接続開閉部50A、50Bを開放した状態で第1の蓄電池30を充電する。これに続き、第1接続開閉部20A、20Bを開放し第2接続開閉部50A、50Bを閉塞することで高電圧大電流の直流電力を第1の蓄電池30に供給する動作(第1の充放電動作)を行うことが可能である。したがって本実施形態の電源装置1Aでは、第1の充放電動作と第2の充放電動作とを交互に繰り返すことが可能になる。
【0042】
<実施形態2の効果>
本実施形態の電源装置1Aでは、第1の蓄電池30を用いた第1の充放電動作と、第2の蓄電池31を用いた第2の充放電動作とを交互に行うことで、高電圧で大電流の電力を途切れなく負荷60に供給することが可能になる。
【0043】
<実施形態3>
本発明の実施形態3を図3を参照しつつ説明する。ここでは実施形態1、2と同一の構成は同一の符号を付しその説明を省略する。図3に示すように電源装置1Bは、第1の電源部10B〜10Dと、第1接続開閉部20A〜20Dと、第1の蓄電池30と、第2の蓄電池31と、第2の電源部40と、第2接続開閉部50A〜50Dとを備えている。なお、第1の電源部10B〜10Dは本発明の第1の直流電源部の一例である。
【0044】
第1の電源部10B〜10Dは、実施形態1の第1の電源部10と同様に低電圧変圧器11と単相全波整流ブリッジ12とをそれぞれ備えている。第1の電源部10Bの低電圧変圧器11の一次側巻線は、第1の電源部10Bの入力側端子10h、10iに接続されている。第1の電源部10Bの低電圧変圧器11の二次側巻線は、単相全波整流ブリッジ12の入力端子12a、12bに接続されている。単相全波整流ブリッジ12の出力端子12c、12dは、第1の電源部10Bの出力側正極端子10nと出力側負極端子10oとに接続されている。この出力側正極端子10nは整流ダイオードD15のアノードと接続されている。
【0045】
第1の電源部10Cの低電圧変圧器11の一次側巻線は、第1の電源部10Cの入力側端子10j、10kに接続されている。第1の電源部10Cの低電圧変圧器11の二次側巻線は、単相全波整流ブリッジ12の入力端子12a、12bに接続されている。単相全波整流ブリッジ12の出力端子12c、12dは、第1の電源部10Cの出力側正極端子10pと出力側負極端子10qとに接続されている。この出力側正極端子10pは整流ダイオードD16のアノードと接続されている。
【0046】
第1の電源部10Dの低電圧変圧器11の一次側巻線は、第1の電源部10Dの入力側端子10l、10mに接続されている。第1の電源部10Dの低電圧変圧器11の二次側巻線は、単相全波整流ブリッジ12の入力端子12a、12bに接続されている。単相全波整流ブリッジ12の出力端子12c、12dは、第1の電源部10Dの出力側正極端子10rと出力側負極端子10sとに接続されている。この出力側正極端子10rは整流ダイオードD17のアノードと接続されている。
【0047】
整流ダイオードD15、D16、D17のカソードは、相互に並列接続されて第1接続開閉部20Aを介して第1の蓄電池30の正極端子30aにそれぞれ並列接続されている。さらに整流ダイオードD15、D16、D17のカソードは、第1接続開閉部20Cを介して第2の蓄電池31の正極端子31aに並列接続されている。その結果、第1の電源部10B〜10Dの出力側正極端子10n、10p、10rは相互に並列接続されることになる。
【0048】
また上記の出力側負極端子10o、10q、10sは、相互に並列接続されて第1接続開閉部20Bを介して第1の蓄電池30の負極端子30bにそれぞれ並列接続されている。さらに出力側負極端子10o、10q、10sは、第1接続開閉部20Dを介して第2の蓄電池31の負極端子31bに並列接続されている。その結果、第1の電源部10B〜10Dの出力側負極端子10o、10q、10sは相互に並列接続されることになる。
【0049】
加えて平滑コンデンサ13Aの正極は、出力側正極端子10nと整流ダイオードD15のアノードとの間に接続され、平滑コンデンサ13Aの負極は、出力側負極端子10oと第1接続開閉部20B、20Dとの間に接続されている。平滑コンデンサ13Bの正極は、出力側正極端子10pと整流ダイオードD16のアノードとの間に接続され、平滑コンデンサ13Bの負極は、出力側負極端子10qと第1接続開閉部20B、20Dとの間に接続されている。平滑コンデンサ13Cの正極は、出力側正極端子10rと整流ダイオードD17のアノードとの間に接続され、平滑コンデンサ13Cの負極は、出力側負極端子10sと第1接続開閉部20B、20Dとの間に接続されている。
【0050】
次に電源装置1Bの動作(出力負荷時)を説明する。各第1の電源部10B〜10Dの入力側端子10h〜10mに、外部電源から単相の交流電力が供給されると、各低電圧変圧器11で交流電圧を降圧し交流電流を増加させる。続いて各低電圧変圧器11の2次側から供給される交流電力は、実施形態1と同様にして低電圧大電流の直流電力に変換される。また、すべての第1の電源部10B〜10Dに、入力側端子10h〜10mを通じて外部電源や複数(例えば3つ)のステータコイルを有する交流発電機から多相(例えば三相)の交流電力が供給されることでも、入力側端子10h〜10mに単相の交流電力が供給される場合と同様に、多相の交流電力が低電圧大電流の直流電力に変換される。
【0051】
本実施形態では、第1接続開閉部20A、20Bを閉塞し第2接続開閉部50A、50Bを開放した状態で、各第1の電源部10B〜10Dの出力側正極端子10n、10p、10rは第1の蓄電池30の正極端子30aに、出力側負極端子10o、10q、10sは第1の蓄電池30の負極端子30bにそれぞれ接続可能である。この状態では、低電圧大電流の直流電力が第1の蓄電池30に供給可能である。また、前記直流電力によって第1の蓄電池30の充電が完了し、第1接続開閉部20A、20Bを開放し第2接続開閉部50A、50Bを閉塞した直後に、第1接続開閉部20C、20Dを閉塞し第2接続開閉部50C、50Dを開放した状態で、各第1の電源部10B〜10Dの出力側正極端子10n、10p、10rは第2の蓄電池31の正極端子31aに、出力側負極端子10o、10q、10sは第2の蓄電池31の負極端子31bにそれぞれ接続可能である。この状態では、低電圧大電流の直流電力が第2の蓄電池31に供給可能である。したがって本実施形態の電源装置1Bでは、第1接続開閉部20A、20Bと第1接続開閉部20C、20Dとを交互に開閉することで、各第1の電源部10B〜10Dは第1の蓄電池30と第2の蓄電池31とに交互に接続可能となる。
【0052】
<実施形態3の効果>
本実施形態の電源装置1Bでは、各第1の電源部10B〜10Dの入力側端子10h〜10mに単相の交流電力を供給する以外にも、並列に接続された第1の電源部10B〜10Dに、入力側端子10h〜10mを通じて多相の交流電力が供給されることで、各第1の電源部10B〜10Dが直流電力を生成することが可能になる。さらに、各第1の電源部10B〜10Dは第1の蓄電池30と第2の蓄電池31とに交互に接続可能となるため、第1の電源部10B〜10Dが生成した直流電力で、第1の蓄電池30と第2の蓄電池31とを交互に充電することも可能になる。
【0053】
<実施形態4>
本発明の実施形態4を図4を参照しつつ説明する。ここでは実施形態1ないし3と同一の構成は同一の符号を付しその説明を省略する。本実施形態の電源装置1Cでは、図4に示すように第2の電源部40Aが、整流部42Aと平滑部43Aと直流の電流制限部44とを備えている。なお、第2の電源部40Aは本発明の第3の直流電源部の一例である。
【0054】
整流部42Aは、実施形態1の整流部42と同様に三相全波整流ブリッジによって形成されている。第2の電源部40Aの入力側端子40eは、ダイオードD1のアノードとダイオードD2のカソードとの間に並列接続され、第2の電源部40Aの入力側端子40fは、ダイオードD3のアノードとダイオードD4のカソードとの間に並列接続され、第2の電源部40Aの入力側端子40gは、ダイオードD5のアノードとダイオードD6のカソードとの間に並列接続されている。ダイオードD1、D3、D5のカソードは、整流部42Aの出力側正極端子42cに接続され、ダイオードD2、D4、D6のアノードは、整流部42Aの出力側負極端子42dに接続されている。
【0055】
平滑部43Aは、並列に接続された2つのコンデンサC11、C12の間にリアクトルL11が接続された平滑回路によって形成されている。コンデンサC11の正極は、整流部42Aの出力側正極端子42cに接続され、コンデンサC11の負極は出力側負極端子42dに接続されている。
【0056】
直流の電流制限部44は、PNPトランジスタTR1と制御装置45とを備えている。PNPトランジスタTR1のエミッタは、平滑部43AのコンデンサC12の正極に接続されている。PNPトランジスタTR1のベースは、制御装置45の制御信号出力端子45aに接続されている。電源装置1Cの電源が投入されると制御装置45は、制御信号出力端子45aから、PNPトランジスタTR1を通過する直流電流を所定値以内に制限するハイレベル信号を出力する。さらに、第2の電源部40Aの出力側正極端子40cは、PNPトランジスタTR1のコレクタに接続され、出力側負極端子40dは、平滑部43AのコンデンサC12の負極に接続されている。
【0057】
次に第2の電源部40Aの動作(出力負荷時)を説明する。第2の電源部40Aの入力側端子40e〜40gに、外部電源から単相又は多相(例えば三相)の交流電力が供給されると、この交流電力は整流部42Aで全波整流される。その後平滑部43Aは、全波整流された脈流波形の電力を平滑化することで直流電力を生成する。これに続き、制御装置45からのハイレベル信号によって導通状態となったPNPトランジスタTR1が、平滑部43Aから出力された直流電流を所定値以内の小電流に制限して出力側正極端子40cに出力する。その結果第2の電源部40Aは、高電圧小電流の直流電力を、出力側正極端子40cと出力側負極端子40dとから供給可能となる。なお、ハイレベル信号は本発明の出力制御信号の一例である。
【0058】
<実施形態4の効果>
本実施形態の電源装置1Cでは、直流の電流制限部44のPNPトランジスタTR1は、制御装置45から出力されるハイレベル信号によって導通状態が制御されることで、通過電流量を調整することが可能になる。したがって、直流の電流制限部44が出力する小電流の電流値を、ハイレベル信号によって調整することが容易になる。
【0059】
<実施形態5>
本発明の実施形態5を図5を参照しつつ説明する。ここでは実施形態1ないし4と同一の構成は同一の符号を付しその説明を省略する。本実施形態の電源装置1Dでは、図5に示すように第2の電源部40Bが、三相全波整流ブリッジと、直流の電流制限部として作用するPNPトランジスタTR2〜TR4と、制御装置45Aと、平滑部43Bとを備えている。なお、第2の電源部40Bは本発明の第4の直流電源部の一例である。
【0060】
三相全波整流ブリッジは、6つのダイオードD21〜D26によって構成されている。この三相全波整流ブリッジ内には、PNPトランジスタTR2〜TR4が組み合わされている。PNPトランジスタTR2のコレクタは、ダイオードD21のアノードに直列接続され、PNPトランジスタTR2のエミッタは、ダイオードD22のカソードに接続されている。
【0061】
PNPトランジスタTR3のコレクタは、ダイオードD23のアノードに直列接続され、PNPトランジスタTR3のエミッタは、ダイオードD24のカソードに接続されている。PNPトランジスタTR4のコレクタは、ダイオードD25のアノードAに直列接続され、PNPトランジスタTR4のエミッタは、ダイオードD26のカソードKに接続されている。
【0062】
さらに、三相全波整流ブリッジの出力側に当たるダイオードD21、D23、D25のカソードは相互に並列接続され、ダイオードD22、D24、D26のアノードは相互に並列接続されている。一方、三相全波整流ブリッジの入力側に当たるPNPトランジスタTR2のエミッタとダイオードD22のカソードとの間は、第2の電源部40Bの入力側端子40hに接続されている。三相全波整流ブリッジの入力側に当たるPNPトランジスタTR3のエミッタとダイオードD24のカソードとの間は、第2の電源部40Bの入力側端子40iに接続されている。三相全波整流ブリッジの入力側に当たるPNPトランジスタTR4のエミッタとダイオードD26のカソードKとの間は、第2の電源部40Bの入力側端子40jに接続されている。本実施形態の三相全波整流ブリッジ内では、ダイオードD21、D23、D25が三相全波整流ブリッジの入力側と出力側との間に位置し、PNPトランジスタTR2〜TR5が入力側でダイオードD21、D23、D25に直列接続されることになる。なお、本実施形態の三相全波整流ブリッジは本発明の整流ブリッジの一例であり、ダイオードD21、D23、D25は本発明の整流素子の一例である。
【0063】
加えて、PNPトランジスタTR2のベースは、制御装置45Aの制御信号出力端子45bに接続され、PNPトランジスタTR3のベースは、制御装置45Aの制御信号出力端子45cに接続されている。これに加えて、PNPトランジスタTR4のベースは、制御装置45Aの制御信号出力端子45dに接続されている。電源装置1Dの電源が投入されると制御装置45Aは、制御信号出力端子45b〜45dから、各PNPトランジスタTR2〜TR4を通過する脈流直流電流を所定値以内に制限するハイレベル信号を出力する。
【0064】
平滑部43Bは、並列に接続された2つのコンデンサC21、C22の間にリアクトルL21が接続された平滑回路によって形成されている。コンデンサC21の正極は、ダイオードD21、D23、D25のカソードに接続され、コンデンサC21の負極は、ダイオードD22、D24、D26のアノードに接続されている。コンデンサC22の正極は、第2の電源部40Bの出力側正極端子40cに接続され、コンデンサC22の負極は、第2の電源部40Bの出力側負極端子40dに接続されている。
【0065】
次に第2の電源部40Bの動作(出力負荷時)を説明する。実施形態4と同様に、制御装置45Aからのハイレベル信号によって各PNPトランジスタTR2〜TR4は導通状態になる。この状態で第2の電源部40Bの入力側端子40h〜40jを通じて三相全波整流ブリッジに、外部電源から単相又は多相(例えば三相)の交流電力が供給されると、各PNPトランジスタTR2〜TR4は、整流作用を発揮することで、外部電源から供給された交流電流を所定値以内に制限した脈流直流電流に変換して通過させる。これと同時に三相全波整流ブリッジは、外部電源から供給された交流電力を全波整流する。
【0066】
続いて平滑部43Bは、三相全波整流ブリッジから出力された全波整流後の脈流波形の電力を平滑化して直流出力を生成する。その後平滑部43Bは、電流値が上記の所定値以内に制限された小電流を出力側正極端子40cに出力する。その結果第2の電源部40Bは、高電圧小電流の直流電力を、出力側正極端子40cと出力側負極端子40dとから供給可能となる。
【0067】
<実施形態5の効果>
本実施形態の電源装置1Dが備える第2の電源部40Bが、外部電源から供給された交流電流を所定値以内に制限した脈流直流電流に変換して該脈流直流電流の通過を制限するPNPトランジスタTR2〜TR4を、三相全波整流ブリッジ内に組み合わせることで、三相全波整流ブリッジ内で、脈流直流電流の通過電流量を調整することと、外部電源から供給された交流電力の全波整流との双方を行うことができる。
【0068】
<実施形態6>
本発明の実施形態6を図6を参照しつつ説明する。ここでは実施形態1ないし5と同一の構成は同一の符号を付しその説明を省略する。本実施形態の電源装置1Eでは、図6に示すように第2の電源部40Cが、直流の電流制限部44Bと制御装置45Bとを備えている。なお、第2の電源部40Cは本発明の第5の直流電源部の一例である。
【0069】
直流の電流制限部44Bは、PNPトランジスタTR5によって形成されている。PNPトランジスタTR5のエミッタは、第2の電源部40Cの入力側正極端子40kに接続されている。PNPトランジスタTR5のベースは、制御装置45Bの制御信号出力端子45gに接続されている。電源装置1Eの電源が投入されると制御装置45Bは、制御信号出力端子45gから、PNPトランジスタTR5を通過する直流電流を所定値以内に制限するハイレベル信号を出力する。さらに、第2の電源部40Cの出力側正極端子40cは、PNPトランジスタTR5のコレクタに接続され、第2の電源部40Cの出力側負極端子40dは、第2の電源部40Cの入力側負極端子40lに接続されている。
【0070】
次に第2の電源部40Cの動作(出力負荷時)を説明する。第2の電源部40Cの入力側正極端子40k、入力側負極端子40lには、外部電源としての直流電源(例えば直流発電機又は蓄電池)から直流電力が供給される。その後制御装置45Bからのハイレベル信号によって導通状態となったPNPトランジスタTR5が、直流電源から供給された直流電流を所定値以内の小電流に制限して出力側正極端子40cに出力する。その結果第2の電源部40Cは、高電圧小電流の直流電力を、出力側正極端子40cと出力側負極端子40dとから供給可能となる。
【0071】
<実施形態6の効果>
本実施形態の電源装置1Eでは、直流電流を出力するPNPトランジスタTR5の導通状態が制御可能な直流の電流制限部44Bによって、直流電源から供給された直流電流を、電流値を小さくした小電流に変換することが可能になる。したがって、PNPトランジスタTR5で形成された直流の電流制限部44Bを用いた簡単な構成で、直流の電流制限部44Bは直流電源から供給された直流電流を小電流に変換できる。
【0072】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく発明の趣旨を逸脱しない範囲内において構成の一部を適宜変更して実施できる。例えば、外部電源から第1の電源部10、10A、10Bに供給される交流電圧、交流電流及び周波数や位相は、外部電源から第2の電源部40、40A、40Bに供給される交流電圧、交流電流及び周波数や位相と一致していなくてもよい。また平滑部43(実施形態1)、平滑部43A(実施形態4)、平滑部43B(実施形態5)は、各リアクトルL1、L11、L21に代えてダイオードを用いた平滑回路で形成してもよい。また各平滑部43、43A、43Bは、コンデンサを2つではなく1つ(C1、C11、C21)にして形成してもよい。
【0073】
さらに、外部電源としてタンデム型交流発電機又は2台の交流発電機を用いる場合には、タンデム型交流発電機の低電圧発生部又は第1の交流発電機から第1の電源部10、10A、10Bに交流電力を供給し、タンデム型交流発電機の高電圧発生部又は第2の交流発電機から第2の電源部40、40A、40Bに交流電力を供給してもよい。加えて実施形態1ないし3の各電源装置1、1A、1Bの負荷接続正極端子1a、負荷接続負極端子1bと交流駆動の負荷との間に、直流を交流に変換するインバータや、サーボモータ等の負荷を制御するサーボアンプを設ける等してもよい。
【0074】
また整流部42、42AのダイオードD1〜D6(実施形態1、4)、三相全波整流ブリッジ12AのダイオードD7〜D12(実施形態2)、整流ダイオードD15〜D17(実施形態3)、三相全波整流ブリッジのダイオードD21〜D26(実施形態5)は、セレン整流器やサイリスタに置き換えてもよい。さらに第1の電源部10(実施形態1)、第1の電源部10A(実施形態2)、第1の電源部10B(実施形態3)は、低電圧変圧器11、11Aを設けずに、外部電源から低電圧大電流の交流電力が供給されることで、単相全波整流ブリッジ12や三相全波整流ブリッジ12Aが前記交流電力を全波整流するものであってもよい。さらに加えて、外部電源によって各電源装置1、1A〜1Eに予め適正な低電圧大電流の直流電力が供給可能な場合には、各電源装置1、1A〜1Eは、第1の電源部10、10A、10Bをそれぞれ備えなくてもよい。
【0075】
また第1接続開閉部20A、20C(実施形態1ないし3)は、開閉スイッチに限らず、整流作用を発揮するダイオード等やサイリスタで形成してもよい。さらに第1接続開閉部20A〜20D(実施形態1ないし3)や第2接続開閉部50A〜50D(実施形態1ないし3)は、サイリスタやトランジスタ等の半導体スイッチに代表される無接点スイッチや電磁開閉器に代表される有接点スイッチで形成してもよい。さらに加えて電源装置1C〜1F(実施形態4ないし6)における直流の電流制限部44、44B等は、PNPトランジスタTR1〜TR5を電界効果トランジスタ又はサイリスタに置き換えて形成してもよい。
【0076】
その他にも、実施形態1ないし3の各電源装置1、1A、1Bの負荷接続正極端子1a、負荷接続負極端子1bと負荷60との間に、昇圧チョッパ等の昇圧回路を設けてもよい。さらに、実施形態2では2つの蓄電池30、31が負荷60へ交互に直流電流を供給可能としたが、3つ以上の蓄電池が交代で負荷60に直流電流を供給可能としてもよい。加えて各電源装置1、1A〜1Dには、外部電源から三相の交流電力が供給されることに限らず、例えば6つのステータコイルを有する交流発電機から各ステータコイル毎に交流電力が供給されるようにしてもよい。また交流の電流制限部41(実施形態1)は、電流制限用の交流リアクトルに限らず、これ以外の交流電流制限用の回路で形成してもよい。さらに電源装置1、1A、1Bにおける第2の電源部40を、高電圧小電流の電力を供給可能な直流発電機に置き換えてもよい。
【符号の説明】
【0077】
1、1A〜1E・・電源装置、10、10A〜10D・・第1の電源部、20A〜20D・・第1接続開閉部、30・・第1の蓄電池、31・・第2の蓄電池、40、40A〜40C・・第2の電源部、41・・交流の電流制限部、42、42A・・整流部、43、43A、43B・・平滑部、44、44B・・直流の電流制限部、50A〜50D・・第2接続開閉部、60・・負荷、D21〜D26・・ダイオード、TR2〜TR4・・PNPトランジスタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷に電力を供給可能な蓄電池が設けられた電源装置であって、
前記蓄電池に、低電圧で大電流の電力を供給可能な第1の電源部と、
前記蓄電池に、前記第1の電源部よりも電位が高い高電圧でかつ前記第1の電源部よりも電流値が小さい小電流の電力を供給可能な第2の電源部と、
前記蓄電池に前記第1の電源部を接続可能な第1接続開閉部と、
前記蓄電池に、前記第2の電源部と前記負荷とを接続可能で前記第1接続開閉部と交互に開閉可能な第2接続開閉部と、を備え、
前記第1接続開閉部を閉塞し前記第2接続開閉部を開放することで、前記第1の電源部からの電力によって前記蓄電池の充電が完了した後に、前記第1接続開閉部を開放し前記第2接続開閉部を閉塞することで、前記蓄電池と前記第2の電源部とから前記負荷に電力を供給することを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記蓄電池を2つ以上備え、
前記第1接続開閉部は、一の蓄電池と前記第1の電源部とを接続可能な一の第1接続開閉部と、他の蓄電池と前記第1の電源部とを接続可能な他の第1接続開閉部と、からなり、前記一の第1接続開閉部と前記他の第1接続開閉部とは交互に開閉可能に設けられて、
前記第2接続開閉部は、前記一の蓄電池に、前記第2の電源部と前記負荷とを接続可能な一の第2接続開閉部と、前記他の蓄電池に、前記第2の電源部と前記負荷とを接続可能な他の第2接続開閉部と、からなり、前記一の第2接続開閉部と前記他の第2接続開閉部とは交互に開閉可能に設けられて、
前記一の第1接続開閉部を閉塞し前記一の第2接続開閉部を開放することで、前記第1の電源部からの電力によって前記一の蓄電池の充電が完了した後に、前記一の第1接続開閉部を開放し前記一の第2接続開閉部を閉塞することで、前記一の蓄電池と前記第2の電源部とから前記負荷に電力を供給する第1の充放電動作と、
前記他の第1接続開閉部を閉塞し前記他の第2接続開閉部を開放することで、前記第1の電源部からの電力によって前記他の蓄電池の充電が完了した後に、前記他の第1接続開閉部を開放し前記他の第2接続開閉部を閉塞することで、前記他の蓄電池と前記第2の電源部とから前記負荷に電力を供給する第2の充放電動作と、を交互に行うことを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記第1の電源部は、外部電源として単相の交流電力を入力して前記低電圧で前記大電流の直流電力を生成する第1の直流電源部を複数並列に接続して形成されて、
前記一の第1接続開閉部と前記他の第1接続開閉部とによって、前記複数の第1の直流電源部を、前記一の蓄電池と前記他の蓄電池とに交互に接続可能としたことを特徴とする請求項2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記第2の電源部は、外部電源として単相の交流電力又は多相の交流電力を入力して前記高電圧で前記小電流の直流電力を生成する第2の直流電源部によって形成されて、
前記第2の直流電源部は、
前記外部電源から供給された交流電流を前記小電流の電流値に制限する交流の電流制限部と、
前記交流の電流制限部の出力を整流する整流部と、
前記整流部の出力を平滑して直流の前記小電流を出力する平滑部と、
を備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の電源装置。
【請求項5】
前記第2の電源部は、外部電源として単相の交流電力又は多相の交流電力を入力して前記高電圧で前記小電流の直流電力を生成する第3の直流電源部によって形成されて、
前記第3の直流電源部は、
前記入力された交流電力を整流する整流部と、
前記整流部の出力を平滑して直流電流を出力する平滑部と、
出力制御信号に応じて導通状態が制御されて、前記平滑部によって出力された直流電流の通過を制限して 、前記小電流を出力する直流の電流制限部と、
を備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の電源装置。
【請求項6】
前記第2の電源部は、外部電源として単相の交流電力又は多相の交流電力を入力して前記高電圧で前記小電流の直流電力を生成する第4の直流電源部によって形成されて、
前記第4の直流電源部は、
前記単相又は前記多相の交流電力をそれぞれ全波整流する整流ブリッジと、
前記整流ブリッジ内で、入力側と出力側との間に位置する整流素子に前記入力側で直列に接続され、出力制御信号に応じて導通状態が制御されて、前記外部電源によって供給された交流電流を脈流直流電流に変換して該脈流直流電流の通過を制限する直流の電流制限部と、
前記直流の電流制限部の出力を平滑して前記小電流を出力する平滑部と、を備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の電源装置。
【請求項7】
前記第2の電源部は、外部電源として直流電力を入力して前記高電圧で前記小電流の直流電力を生成する第5の直流電源部によって形成されて、
前記第5の直流電源部は、出力制御信号によって導通状態が制御されて、前記外部電源から供給された直流電流の通過を制限して、前記小電流を出力する直流の電流制限部を備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−244743(P2012−244743A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−111692(P2011−111692)
【出願日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【出願人】(591106613)
【Fターム(参考)】