説明

電熱装置付高周波加熱装置

【課題】扉と加熱庫の開口のドアーキー側縦方向をシールする構成とし、運転中に加熱庫からの油煙やほこりがドアーキー孔から吸引されるのを防止することを目的としている。
【解決手段】被加熱物39を収納して加熱する加熱庫30に装着された回転自在に開閉する扉25のドアーキー側縦方向のドアーE33とドアーC34の隙間にガスケット41を装着し、扉25のドアーE33面と加熱庫30のドアー板37の間に食品等が挟まり隙間が生じた場合においても扉25に装着されたガスケット41によって加熱庫30からの熱気や油煙が遮断され、ドアーキー孔38からの油煙の流入を防止することで機械室側のスイッチ類が汚れによって生じる動作不良から保護する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電熱装置付高周波加熱装置の扉に装着されたガスケットの取り付け構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電熱装置付高周波加熱装置の冷却構成としては、機械室の前面下部に配置した冷却ファンにより装置本体の前面下部に設けた吸気孔から空気を導入して、機械室内部の制御機器を冷やしたり、ダクトを使って空気分流し高周波発生装置を冷やす構成があった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、他の方式として、機械室の後方位置に冷却ファンが固定され、冷却ファンによって加熱庫の下に設けられた吸気孔より外気が吸引され、吸引された外気は機械室の各部品を冷却しながら冷却ファンに吸引され、次に高周波発振器を冷却するエアーガイドに送られる構成がある。また、外気を吸引するための吸気孔には外からのごみや油、虫などの侵入を防止又は軽減するための吸気フィルターが装着される構成のものが知られている。
【0004】
図7は、前記従来の電熱装置付高周波加熱装置の斜視図で、ボデー7の一部を切り取り機械室の内部を示している。図に示すように、機械室8の後方位置に設けられた冷却ファン1により、機械室8内を冷却するための外気が底板4の前面に設けた吸気フィルター3を介して吸引される。吸引された空気により、機械室8に装着された高電圧を発生させるための高圧トランス9や、その他、機械室の各部に配置された部品が冷却される構成となっている。又、冷却ファン1に吸引された外気はエアーガイド5に吐き出され、高周波発振器6のアノードブロックを冷却する構成としていた。
【0005】
また、扉の開閉に連動して入り切りされるドアースイッチが内蔵されている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
図8は、電熱装置付高周波加熱装置の扉2を開けた状態の正面図で 高周波加熱装置のコントロールを制御操作するためのコントロールパネル19が装着されている。加熱庫10の上下には扉2を軸固定するためのヒンジ11が固定され、扉2の外面に設けられたハンドル15の前後操作によって扉2が回動する構成となっている。
【0007】
扉2はドアーE12が加熱庫10の開口面を閉じる構成で、ドアーC13が樹脂成型品で形成されている。ドアーC13の内部には電波をシールするチョーク(図示せず)が形成されドアーC13によってカバーする構成となっている。
【0008】
又、扉2の開閉によってスイッチを動作させるドアーキーA14とドアーキーB16がドアーC13内部のバネによって上下稼動し、扉2を閉じると加熱庫10の前面のドアー板18に設けられた、ドアーキー孔17に収納され扉2のドアーE12面と加熱庫10の前面のドアー板18が密着し且つ機械室側のスイッチを動作させる構成となっている。
【0009】
更に加熱庫10の内部には被加熱物19を乗せる金属製のスノコアミ20が出し入れ自在に収納できる構成となっている。
【特許文献1】特開平6−82046号公報
【特許文献2】特開平11−182853号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前記従来の構成では、冷却ファン1によって外気を吸引する際には加熱庫10の前面のドアー板18に設けられたドアーキー孔17からも外気を吸引しようとする作用が働く。これは、機械室8とドアーキー孔17とが連通しており、しかも、冷却ファンは大きな吸い込み力を有しているため、冷却のための外気の導入が吸気フィルター3の部分からだけでなく、あらゆる隙間から行われるためである。
【0011】
その為、特に、ドアー板18と扉2のドアーE12面とに隙間が発生した際には加熱庫10内で加熱調理した際に発生する油煙が、ドアーキー孔17から機械室に吸引されることになり、ドアーキー孔17の機械室側に設けられたドアーキーA14及びドアーキーB16と連動して動作するスイッチ類に油煙やほこりが付着し性能的不具合を発生させることがあった。
【0012】
更に、扉2の下の吸気フィルター3が、ほこりや油煙によって目詰まりすると機械室の後方に設けられた冷却ファン1によって吸引する外気の進入する開口面積が小さくなりその結果、ドアーキー孔17からの吸引力が上昇し、更にスイッチ類の汚れにつながるといった不具合もあった。
【0013】
又、実際の使用においても加熱庫10の前面のドアー板18と扉2のドアーE12の面との間に食品が挟まれた状態は十分ありえることで、使用状態によっては加熱庫からの油煙が大量にドアーキー孔17へ吸引されるという課題があった。
【0014】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、扉2のドアーE12とドアー板18をシールする構成とし、運転中に加熱庫10からの油煙やほこりがドアーキー孔17から吸引されるのを防止することを目的とし、耐久性の優れた電熱装置付高周波加熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記従来の課題を解決するために、本発明の電熱装置付高周波加熱装置は被加熱物を収納して加熱する加熱庫に装着された回動自在に開閉する扉のドアーキー側縦方向のドアーEとドアーCの隙間にガスケットを装着し、扉のドアーE面と加熱庫のドアー板の間に食品等が挟まり隙間が生じた場合においても扉に装着されたガスケットによって加熱庫からの熱気や油煙が遮断され、ドアーキー孔からの油煙の流入を防止することで機械室側のスイッチ類が汚れによって生じる動作不良から保護する構成とした。
【発明の効果】
【0016】
本発明の電熱装置付高周波加熱装置は、扉のドアー面と加熱庫のドアー板の間に食品等が挟まり隙間が生じた場合においても、扉に装着されたガスケットによって加熱庫からの熱気や油煙が遮断され、ドアーキー孔からの油煙の流入を防止することで機械室側のスイッチ類が汚れによって生じる動作不良を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
第1の発明は、被加熱物を収納して加熱する加熱庫と、前記加熱庫の開口面に片端を支点として回動保持された扉と、前記扉の回動支点の反対側に設けたドアーキーと、前記加熱庫の外周前面に設け前記ドアーキーが挿入されるドアーキー孔と、装置本体内に内装され前記ドアーキーにより操作されるドアスイッチと、装置本体内部を冷却するため前面から外気を吸引する冷却ファンとを備え、前記加熱庫の開口面とドアーキー孔との間に位置するように扉側に設けられたガスケットにより、扉が閉じた際に生じる加熱庫との隙間をシールする構成としたもので、扉のドアー面と加熱庫のドアー板の間に食品等が挟まり隙間が生じた場合においても、扉に装着されたガスケットによって加熱庫からの熱気や油煙
が遮断され、ドアーキー孔からの油煙の流入を防止することで機械室側のスイッチ類が汚れによって生じる動作不良を防止できる。
【0018】
第2の発明は、特に、第1の発明のガスケットを、ドアーキー側にのみ略直線状に設けられたことを特徴とするもので、必要な部分のみにガスケットを装着することで安価に構成でき、しかも、回動の支点と反対側のみに装着することにより、小さな接圧で確実にシールすることができる。
【0019】
第3の発明は、特に、第2の発明のガスケットの両端が扉に設けられた開口部により扉の中に納まる構成としたもので、実使用におけるガスケットの破損を防止する構成とした。
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0021】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における電熱装置付高周波加熱装置の斜視図を示すものである。
【0022】
図1においては、電熱装置付高周波加熱装置の斜視図でボデーの一部を切り取り機械室の内部を示した図で、機械室21の後方位置に設けられた冷却ファン22により、機械室21内を冷却するための外気が吸引される。機械室21に装着された高電圧を発生させるための高圧トランス23がソコイタ24に固定保持され、扉25下部に装着された吸気フィルター26より吸引された外気が高圧トランス23を通過し冷却ファン22に吸引されることによって機械室21の各部に配置された部品が冷却される構成とした。又、冷却ファン22に吸引された外気はエアーガイド27に吐き出され高周波発振器28のアノードブロックを冷却する構成としている。
【0023】
図2は、電熱装置付高周波加熱装置の扉25を開けた状態の正面図で、加熱装置のコントロールを制御操作するためのコントロールパネル29が装着されている。加熱庫30の上下には扉25を軸固定するためのヒンジ31が固定され、扉25の外面に設けられたハンドル32の前後操作によって扉25が回転稼動する構成としている。
【0024】
扉25はドアーE33が加熱庫30の開口面を閉じる構成で、ドアーC34が樹脂成型品で形成されている。ドアーC34の内部には電波をシールするチョークが形成されドアーC34によってカバーする構成とした。
【0025】
又、扉25の開閉によってスイッチを動作させるドアーキーA35とドアーキーB36がドアーC34内部のバネによって上下稼動し、扉25を閉じると加熱庫30の前面のドアー板37に設けられた、ドアーキー孔38に収納され扉25のドアーE33の面と加熱庫30の前面のドアー板37が密着し且つ機械室側のスイッチ(図示せず)を動作させる構成としている。
【0026】
更に、加熱庫30の内部には被加熱物39を乗せる金属製のスノコアミ40が出し入れ自在に収納できる構成である。更に扉25のドアーキーA35側縦方向のドアーE33とドアーC34の間にはガスケット41が上下のコーナー部まで装着されている。
【0027】
次に、ガスケット41の装着構成について図3〜6を用いて説明する。
図3はドアーC34のガスケット41の装着部を示しコーナー部2箇所に切り込み42が形成されている。また ガスケット41の装着部分であるドアーCは リブ形状43とし
ている。
【0028】
図4は扉25にガスケット41を装着した状態を示し、ガスケット41の装着状態が見えるようにドアーE33を外した状態を示している。これによるとドアーC34のリブ形状43のドアーキーA35側縦方向面及びコーナー部にガスケット41が装着されている。更にガスケット41の両端の先端部分はドアーC34の切り込み42に収納される構成とした。
【0029】
図5は扉25完成状態のガスケット41の装着状態を示している。この構成によると扉25のドアーE33とドアーC34の隙間に装着されたガスケット41の上下の端面46は外に出ることなくドアーC34の中に挿入された状態となる。
【0030】
図6はドアーC34と装着されたガスケット41の断面矢視図である。この構成によるとドアーC34に設けられたリブ43に勘合しガスケット41が装着されガスケット41の鍵部44によって抜けない構成としている。更にガスケット41のパイプ部分は空洞45としておりガスケット41はドアーE33の面より約2mm出る構成とした。これによりドアーE33が加熱庫30の前面ドアー板37と密着する際に圧接され密着することになる。
【0031】
以上のように本実施の形態によると加熱庫30の前面ドアー板37と密着する構成からなる扉25のドアーE33のドアーキーA35側縦方向にガスケット41が装着されることにより加熱庫30から発生する食品からの油煙がドアー板37のドアーキー孔38から吸引されることを防止できる。
【0032】
更にガスケット41の範囲がドアーキーA35の縦方向のみであるので扉25の密着性に対する不具合は無い。
【0033】
またガスケット41が装着された場合電波漏洩レベルが上昇する一般的に知られた事実であるが本実施例の場合ドアーキーA35側のみにガスケット41を装着するため電波漏洩への影響がほとんど無い。
【0034】
更に実使用においてもガスケット41の上下の先端部分はドアーC34の内部に挿入された構成のため外部からの力による破損が軽減できる。
【0035】
以上のように、本実施例においては扉25と加熱庫30が密着する扉25の縦方向のみにガスケット41を装着する構成により加熱庫30からの油煙がドアーキー孔38より機械室へ吸引されるといった品質的不具合を防止できコスト的にも安価に構成できる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
以上のように、本発明にかかる電熱装置付高周波加熱装置は、扉への一部分のガスケット取り付け構成により機械室への油煙等の汚れの侵入を防ぐことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施の形態1における電熱装置付高周波加熱装置の斜視図
【図2】本発明の実施の形態1における電熱装置付高周波加熱装置の扉を開けた正面図
【図3】本発明の実施の形態1における扉構成部品の部分斜視図
【図4】本発明の実施の形態1における扉部分斜視図
【図5】本発明の実施の形態1における扉の部分斜視図
【図6】本発明の実施の形態1における扉の断面図
【図7】従来の電熱装置付高周波加熱装置の斜視図
【図8】従来の電熱装置付高周波加熱装置の扉を開けた正面図
【符号の説明】
【0038】
22 冷却ファン
25 扉
30 加熱庫
35、36 ドアーキー
38 ドアーキー孔
41 ガスケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱物を収納して加熱する加熱庫と、前記加熱庫の開口面に片端を支点として回動保持された扉と、前記扉の回動支点の反対側に設けたドアーキーと、前記加熱庫の外周前面に設け前記ドアーキーが挿入されるドアーキー孔と、装置本体内に内装され前記ドアーキーにより操作されるドアスイッチと、装置本体内部を冷却するため前面から外気を吸引する冷却ファンとを備え、前記加熱庫の開口面とドアーキー孔との間に位置するように扉側に設けられたガスケットにより、扉が閉じた際に生じる加熱庫との隙間をシールする構成を特徴とした電熱装置付高周波加熱装置。
【請求項2】
ガスケットは、ドアーキー側にのみ略直線状に設けられたことを特徴とした請求項1に記載の電熱装置付高周波加熱装置。
【請求項3】
ガスケットの両端が扉に設けられた開口部により扉の中に納まる構成を特徴とした請求項1に記載の電熱装置付高周波加熱装置。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図1】
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【図2】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−349197(P2006−349197A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−171990(P2005−171990)
【出願日】平成17年6月13日(2005.6.13)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】