説明

電球形蛍光ランプ及び発光管の製造方法。

【課題】ランプ効率を現行品以上に向上させると共に、ランプ始動時の立上り特性を一般蛍光ランプと同レベルに改善できる電球形蛍光ランプを提供する。
【解決手段】電球形蛍光ランプ1は、外管バルブ6内に湾曲するガラス管9からなる発光管2が内包されている。この発光管9はその両端間の略中央に折り返し部を有すると共に、一方の端部から旋回しながら折り返し部に向かう第1の旋回部と、折り返し部から第1の旋回部の旋回軸廻りに旋回しながら他方の端部に向かう第2の旋回部とを有する2重螺旋形状をし、ガラス管9の内部に、アマルガム形態を略除いて水銀が単体形態で封入されていると共に、ガラス管9の横断面形状が略円形であり、かつ、その内径が7.4mmである。また、ガラス管9の折り返し部は、熱伝導性媒体15により外管バルブ6に結合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湾曲する発光管を備えた電球形蛍光ランプ及び発光管の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
省エネルギー時代を迎え、白熱電球を代替する光源として、ランプ効率が高くしかも長寿命な電球形蛍光ランプが注目されている。この電球形蛍光ランプ(以下、単に「ランプ」という。)は、湾曲状の発光管を備え、この発光管を覆う外管バルブありのものと、なしのものとの意匠性の異なる2タイプがある。以下、外管バルブありのランプをバルブ有りタイプ、また外管バルブなしのランプをバルブ無しタイプという。
【0003】
この2タイプの違いは、単に外管バルブの有無だけでなく、バルブ有りタイプは、発光管内部に水銀、ビスマスBi、インジュウムIn、錫Sn等が含んだ合金形態、所謂主アマルガム形態で封入され、一方、バルブ無しタイプは、発光管内に、主アマルガム形態を取らずに水銀が単体形態で封入されている。当初、バルブ有りタイプも、発光管内に水銀単体が封入されていた。しかし、このタイプのランプを点灯すると、発光管が外管バルブに覆われている関係上、この外管バルブ内に熱がこもるため、発光管の温度が過度に上昇し、これに伴って、発光管内の水銀蒸気圧が上昇して、ランプ効率が著しく低下するという問題があった。なお、バルブ無しタイプでは、点灯中における発光管の温度上昇が小さく、ランプ効率の低下も少ないため、現在も発光管内に水銀単体が封入されている。
【0004】
上記問題に対して、発光管内の水銀蒸気圧の上昇を抑制する技術が、特公平03−22016、特公平03−22017、特公平03−24018及び特公平03−24019の各号公報に記載のように多く提案された。しかしながら、これらの技術で効果が得られるのは、白熱電球40Wを代替する9W品種のような少電力型のランプであり、白熱電球60W及び100Wを代替する12W及び22W品種になると、点灯中の発光管の温度上昇が大きく、水銀蒸気圧の上昇を効果的に抑制することができなかった。
【0005】
このような背景から、白熱電球60W及び100W代替の12W及び22W品種にも対応できる技術として、発光管内に封入する水銀を単体形態で封入するのをやめ、現行品で使用されている主アマルガム形態で封入する技術が検討され、その結果として、ランプに使用する主アマルガムが、BiIn、BiPbSn、InPb、BiIn、InPbSnであれば、ランプ効率の低下を防げることを見出した。なお、この主アマルガム形態を用いる技術は、現在のほとんどのバルブ有りタイプについて導入され主流となっている。
【0006】
その結果、白熱電球60W品種を代替する3本U形および4本U形発光管を使用した12W品種では、そのランプ効率が68lm/Wのレベルが実現されるようになった。
【特許文献1】特公平03−22016号公報
【特許文献2】特公平03−22017号公報
【特許文献3】特公平03−24018号公報
【特許文献4】特公平03−24019号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のようにさまざまな技術により、ランプ効率の改善に大きな進展が見られた。しかしながら、ランプ効率の低下抑制用に主アマルガム形態を発光管内に封入したため、ランプ始動時の光束立上りが遅いという問題がある。これは、ランプ消灯時に水銀が主アマルガムに吸着されてしまい、ランプ始動時の水銀蒸気圧が一般蛍光ランプ、つまり水銀単体を使用したランプに比べて低いため、始動時の光束が少なくなるためである。
【0008】
本発明は、上記にような問題点を鑑みてなされたものであって、ランプ効率を現行品以上に向上させると共に、ランプ始動時の立上り特性を一般蛍光ランプと同レベルに改善できる電球形蛍光ランプ及びよりランプ効率を向上させることができる発光管の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る電球形蛍光ランプは、外管バルブ内に湾曲した発光管が内包され、前記発光管の一部が熱伝導性媒体を介して前記外管バルブに熱的に結合されてなる電球形蛍光ランプであって、前記発光管内部に、水銀が、略、単体形態及び水銀単体の点灯中の水銀蒸気圧特性と略同等な水銀蒸気圧特性を有するアマルガム形態のうち、少なくとも1形態で封入されていると共に、前記発光管を形成するガラス管の横断面形状が略円形であり、かつ、その内径が5mm以上9mm以下であることを特徴としている。特に、前記水銀単体の点灯中の水銀蒸気圧特性と略同等な水銀蒸気特性を有するアマルガム形態は、ZnHg、FeHg、BiHg、BiSnHg、SnHgの内、1以上含む形態であることを特徴としている。
【0010】
この構成によれば、発光管内に水銀が単体形態で封入されているため、一般蛍光ランプと同等の立上り特性を得ることができる。しかも、ガラス管の横断面の内径を5mm以上9mm以下にしているので、水銀原子から放出された紫外放射が発光管の管壁に至るまでの光路を短くでき、発光管から発する光束が最大となる温度を上昇させることできる。このため、ランプ点灯中の発光管の温度との差が小さくなり、現行品以上のランプ効率を得ることができる。
【0011】
また、前記発光管は、前記ガラス管の両端部に電極を備え、前記ガラス管の内径をφi(mm)、前記発光管内の電極間距離をLe(mm)とし、それぞれを直交座標(φi、Le)で表すときに、前記(φi、Le)が、点(5.0、370)、点(7.4、275)、点(9.0、290)、点(9.0、360)及び点(5.0、690)の各点により囲まれた範囲内に規定されていることを特徴としている。この構成を白熱電球60W品種に適用すると、ランプ効率を現行品以上にできると共に、ランプ寿命を6000時間保証でき、しかもランプの大きさを白熱電球60W品種と同等もしくはそれ以下の大きさにできる。
【0012】
さらに、前記発光管は、前記ガラス管の両端部に電極を備え、前記ガラス管の内径をφi(mm)、前記発光管内の電極間距離Le(mm)とし、それぞれを直交座標(φi、Le)で表すときに、前記(φi、Le)が、点(5.0、700)、点(7.4、530)、点(9.0、560)、点(9.0、620)及び点(5.0、930)の各点により囲まれた範囲内に規定されていることを特徴としている。この構成を白熱電球100W品種に適用すると、ランプ効率を現行品以上にできると共に、ランプ寿命を6000時間保証でき、しかもランプの大きさを白熱電球100W品種代替としての現行の22W品種よりも小さくできる。
【0013】
しかも、前記発光管は、前記ガラス管の両端部に電極を備え、前記ガラス管の内径をφi(mm)、前記発光管内の電極間距離Le(mm)とし、それぞれを直交座標(φi、Le)で表すときに、前記(φi、Le)が、点(5.0、800)、点(7.4、570)、点(9.0、600)、点(9.0、670)及び点(5.0、1000)の各点により囲まれた範囲内に規定されていることを特徴とする。この構成を白熱電球100W代替の高光束形23W品種に適用すると、ランプ効率を現行品以上にできると共に、ランプ寿命を6000時間保証でき、しかもランプの大きさを従来品と同等もしくはそれ以下の大きさにできる。
【0014】
また、前記発光管は、前記ガラス管の両端部に電極を備え、前記ガラス管の内径をφi(mm)、前記発光管内の電極間距離Le(mm)とし、それぞれを直交座標(φi、Le)で表すときに、前記(φi、Le)が、点(5.0、270)、点(7.4、200)、点(9.0、230)、点(9.0、320)及び点(5.0、590)の各点により囲まれた範囲内に規定されていることを特徴とする。この構成を白熱電球40W代替の7W品種に適用すると、ランプ効率を現行品以上にできると共に、ランプ寿命を6000時間保証でき、しかもランプの大きさを従来品と同等もしくはそれ以下の大きさにできる。
【0015】
しかも、前記ガラス管は、前記ガラス管の両端間の略中央に折り返し部を有し、前記ガラス管は、一方の端部から旋回軸廻りを旋回しながら前記折り返し部に向かう第1の旋回部と、前記折り返し部から前記第1の旋回部の旋回軸廻りを旋回しながら他方の端部に向かう第2の旋回部とを有する2重螺旋形状に形成され、前記折り返し部周辺が前記外管バルブに前記熱伝導性媒体を介して結合されていることを特徴としている。この構成では、ランプ点灯中における発光管の最冷点箇所が折り返し部周辺になり、この部分の熱を熱伝導性媒体を介して外管バルブに伝えることができ、最冷点箇所の温度を効果的に低下させることできる。
【0016】
螺旋状に湾曲するガラス管を有する発光管を備え、前記ガラス管の横断面の内周が非円形状をしていることを特徴としている。特に前記ガラス管は旋回軸廻りに旋回され、前記ガラス管の横断面の内周において、前記旋回軸と略直交する方向の第1の径が、前記旋回軸と略平行な方向の第2の径より小であることを特徴としている。
具体的には、前記ガラス管の横断面形状が略楕円であることを特徴とし、又は、前記ガラス管の横断面形状が「く」の字形状をしていることを特徴としている。この構成によると、第1の径が第2の径より小さく、例えば、ガラス管の横断面における内周の形状が第2の径と同寸法の直径を有する円形状に比べて、水銀原子から放出された紫外放射が発光管の管壁に至るまでの光路を短くできると共に、発光管から発する光束が最大となる温度を上昇させることできる。従って、ランプ点灯中の発光管の温度との差が小さくなりランプ効率を向上させることができる。しかも、第1の径の内周が旋回軸と略直交する方向なので、ガラス管の横断面における旋回軸側の内周が、前記円形状における旋回軸側の内周よりも旋回軸から離れた位置にあり、前記円形状のものに比べて電極間距離を長くすることができ、ランプ効率を向上させることできる。
【0017】
また、前記第1の径をD1(mm)、前記第2の径をD2(mm)としたとき、D2の値が5mm以上9mm以下であり、且つD1の値が3mm以上D2未満であることを特徴としている。この構成にすれば、水銀原子から放出された紫外放射が発光管の管壁に至るまでの光路を短くでき、発光管から発する光束が最大となる温度を上昇させることできる。このため、ランプ点灯中に発光管の温度が上昇しても、ランプ効率の低下を抑制することができる。また、第2の径を利用すると電極の設置が容易にできる。
【0018】
さらに前記発光管は、前記ガラス管の両端部に電極を備え、前記発光管内の電極間距離をLe(mm)とし、前記D1と前記Leとを直交座標(D1、Le)で表すときに、前記(D1、Le)が、点(3.0、445)、点(7.4、275)、点(9.0、290)、点(9.0、360)及び点(3.0、855)の各点により囲まれた範囲内に規定されていることを特徴としている。この構成を白熱電球60W品種に適用すると、ランプ効率を現行品以上にできると共に、ランプ寿命を6000時間保証でき、しかもランプの大きさを白熱電球60W品種と同等の大きさにできる。
【0019】
また、前記発光管は、前記ガラス管の両端部に電極を備え、前記発光管内の電極間距離をLe(mm)とし、前記D1と前記Leとを直交座標(D1、Le)で表すときに、前記(D1、Le)が、点(3.0、840)、点(7.4、530)、点(9.0、560)、点(9.0、620)及び点(3.0、1085)の各点により囲まれた範囲内に規定されていることを特徴としている。この構成を白熱電球100W品種に適用すると、ランプ効率を現行品以上にできると共に、ランプ寿命を6000時間保証でき、しかもランプの大きさを白熱電球100W品種代替としての現行の22W品種よりも小さくできる。
【0020】
さらに、前記発光管は、前記ガラス管の両端部に電極を備え、前記発光管内の電極間距離をLe(mm)とし、前記D1と前記Leとを直交座標(D1、Le)で表すときに、前記(D1、Le)が、点(3.0、975)、点(7.4、570)、点(9.0、600)、点(9.0、670)及び点(3.0、1165)の各点により囲まれた範囲内に規定されていることを特徴とする。この構成を白熱電球100W代替の高光束形23W品種に適用すると、ランプ効率を現行品以上にできると共に、ランプ寿命を6000時間保証でき、しかもランプの大きさを従来品と同等もしくはそれ以下の大きさにできる。
【0021】
また、前記発光管は、前記ガラス管の両端部に電極を備え、前記発光管内の電極間距離をLe(mm)とし、前記D1と前記Leとを直交座標(D1、Le)で表すときに、前記(D1、Le)が、点(3.0、330)、点(7.4、200)、点(9.0、230)、点(9.0、320)及び点(3.0、725)の各点により囲まれた範囲内に規定されていることを特徴とする。この構成を白熱電球40W代替の7W品種に適用すると、ランプ効率を現行品以上にできると共に、ランプ寿命を6000時間保証でき、しかもランプの大きさを従来品と同等もしくはそれ以下の大きさにできる。
【0022】
しかも、前記ガラス管は、前記ガラス管の両端間の略中央に折り返し部を有し、前記ガラス管は、一方の端部から旋回軸廻りを旋回しながら前記折り返し部に向かう第1の旋回部と、前記折り返し部から前記第1の旋回部の旋回軸廻りを旋回しながら他方の端部に向かう第2の旋回部とを有する2重螺旋形状をしていることを特徴としている。この構成によると、外管バルブ内の限られた空間を有効に利用でき、例えば、発光管が3本U形状をしたものより、電極間距離を長くすることができる。
【0023】
また、前記発光管の内部に、水銀がアマルガム形態をとらずに略単体形態で封入されていることを特徴としている。この構成によれば、発光管内にアマルガム形態が封入されたものより、ランプ始動時の立上り特性を向上させることができる。さらに、前記発光管を内包する外管バルブを備え、前記ガラス管は、前記折り返し部周辺が前記外管バルブに熱伝導性媒体を介して結合されていることを特徴としている。この構成によれば、発光管の折り返し部の熱を熱伝導性媒体を介して外管バルブに伝えることができ、発光管の温度を効果的に低下させることができる。
【0024】
しかも、前記ガラス管は、前記電極を封装する部分が円形断面をしていることを特徴としている。この構成によれば、ガラス管の中央部の形状に拘わらず、電極のガラス管内への挿入及び封装を容易にできる。また、前記熱伝導性媒体により結合されている前記ガラス管の折り返し部と前記外管バルブとの間隔が6.0mm以下であることを特徴としている。この構成によれば、発光管の折り返し部の熱を外管バルブに効果的に伝えることができる。
【0025】
さらに、前記熱伝導性媒体として、金属、ゴム、樹脂のいずれかを用いたことを特徴としている。特に前記熱伝導性媒体として、透過性のシリコン樹脂を用いたことを特徴としているので、ランプの外観を損なうことなく、発光管の温度を低下させることができる。しかも、前記発光管における前記熱伝導性媒体と結合する部分に、前記熱伝導性媒体との結合面積を拡張させる拡張部が形成されていることを特徴としている。この構成によれば、発光管の温度をさらに1〜2℃下げることができ、ランプ点灯中のランプ効率を向上させることができる。
【0026】
また、前記ガラス管は、前記折り返し部と、この折り返し部につながる第1及び第2の旋回部との隙間が、ガラス管の折り返し部の外径より小であることを特徴としている。この構成によれば、発光管から旋回軸方向の電極側と反対側への発光分布が均一なものとなる。また、軟化状態のガラス管を、成形冶具の外周面に形成されている螺旋状の溝部に沿って巻き付けて螺旋状の発光管を製造する方法であって、前記溝部の横断面形状が非円弧状であることを特徴とし、特に、前記溝部の横断面形状が、旋回軸方向と略平行な方向が長径となる楕円形の一部と略一致していることを特徴とし、前記溝部の横断面形状が、「く」の字形であることを特徴としている。このような方法で製造することで、螺旋形状の発光管を形成するガラス管の横断面の内周を非円形状、特に楕円形状「く」の字形状に容易にできる。
【0027】
さらに、前記溝部は、前記成形冶具の頂部から基部に向かう2重螺旋状になっており、前記頂部に前記ガラス管の略中央部を位置決めした状態で、前記成形冶具にガラス管を巻き付けて2重螺旋状の発光管を得ることを特徴としているので、2重螺旋形状の発光管を容易に形成できる。また、前記ガラス管を前記成形冶具に巻き付ける際に、ガラス管内に圧力流体を封入することを特徴としている。このため、軟化状態のガラス管の潰れを防止することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る電球形蛍光ランプは、外管バルブ内に湾曲した発光管が内包され、前記発光管の一部が熱伝導性媒体を介して前記外管バルブに熱的に結合されてなる電球形蛍光ランプであって、前記発光管内部に、水銀が、略、単体形態及び水銀単体の点灯中の水銀蒸気圧特性と略同等な水銀蒸気圧特性を有するアマルガム形態のうち、少なくとも1形態で封入されていると共に、前記発光管を形成するガラス管の横断面形状が略円形であり、かつ、その内径が5mm以上9mm以下である。この構成では、発光管内に水銀が単体形態で封入されているため、一般蛍光ランプと同等の立上り特性を得ることができる。しかも、ガラス管の横断面の内径を5mm以上9mm以下にしているので、発光管から発する光束が最大となる温度を上昇させることできる。このため、ランプ点灯中の発光管の温度との差が小さくなり、現行品以上のランプ効率を得ることができる。
【0029】
また、軟化状態のガラス管を、成形冶具の外周面に形成されている螺旋状の溝部に沿って巻き付けて螺旋状の発光管を製造する方法であって、前記溝部の横断面形状が非円弧状である。このような方法で製造することで、螺旋形状の発光管を形成するガラス管の横断面形状を非円形状に容易にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明に係る電球形蛍光ランプの実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(第1の実施の形態)
1.電球形蛍光ランプの構成について1)全体構成について図1は本発明に係る電球形蛍光ランプの一部を切り欠いた全体構造を示す正面図である。この電球形蛍光ランプ1(以下、単に「ランプ1」という。)は、白熱電球60Wの代替用である11W品種である。ランプ1は、同図に示すように、螺旋状に湾曲する発光管2と、この発光管2を点灯させるための点灯回路3と、点灯回路3を収納し且つ口金5を有するケース4と、発光管2を覆う外管バルブ6とを備えている。
【0031】
図2の(a)は、発光管2の一部を切り欠いた構造を示す正面図であり、(b)は発光管を下方から見た下面図である。発光管2は、ケース4の開口から下方(口金5と反対側)に延伸しており、発光管2を形成するガラス管9は、その両端がケース4側に位置するように、両端間の略中央の折り返し部10で折り返されている。
ガラス管9は、旋回軸Aを中心とした軸廻り(以下、単に「旋回軸A廻り」という。)を旋回しながら一方の端部から旋回軸A廻りに旋回しながら下方の折り返し部10に向かう第1の旋回部11aと、折り返し部10から旋回軸A廻りを旋回しながら他方の端部に向かう第2の旋回部11bとを有する2重螺旋形状をしている。第1及び第2の旋回部11a、11bは、両者をあわせて旋回軸Aを略5周旋回している。
【0032】
なお、上記のように、旋回軸A廻りを旋回している状態を、その周回数を用いて、例えば、「5周巻き」という。また、ガラス管9は、水平方向(旋回軸Aに対して直交する方向)に対して所定角度(この角度を、以下「螺旋角度」という。)傾斜しながら、旋回軸A廻りを旋回している。ここで、発光管2の形状として螺旋形状を選択した理由は、現行のU形状より、発光管2の電極間距離、つまり放電路長を長くすることができ、全体として発光管2の小形化が図れるからである。
【0033】
ガラス管9の両端部には、電極7、8が封装されている。この電極7、8には、タングステン製のコイル電極が用いられており、この電極7、8は、ビーズガラスにより仮止めされた状態でガラス管9内に挿入され、電極7、8用のリード線7a、7b、8a、8bがガラス管9に封着されている。このためガラス管9内は気密状に封止されることになる。
【0034】
この気密封止されたガラス管9内には、水銀が単体形態で約5mg封入され、また緩衝ガスとしてアルゴン・ネオンガスが封入されている。なお、ガラス管9の内面には、希土類の蛍光体が塗布されている。ここで使用されている蛍光体は、赤、緑、青発光の3種類のY23:Eu、LaPO4:Ce2Tb及びBaMg2Al1627:Eu、Mn蛍光体を混合したものである。
【0035】
ここで、ガラス管9内に封入された水銀は、発光管2の点灯動作時における水銀蒸気圧が略水銀単体の蒸気圧値を呈するような形態で存在することが基本である。従って、発光管2の製造工程において封入する水銀は単体形態でも良くまた、点灯動作時の水銀蒸気圧が水銀単体に近い値を呈する、例えば、亜鉛水銀などの形態でも良い。
発光管2は、その電極7、8側の端部がホルダー12の下面に固定され、またこのホルダー12の裏面には、図1に示すように、発光管2を点灯させるための電気部品13が装着されている。なお、これらの電気部品13により発光管2を点灯させるための点灯回路3が構成されている。ケース4は、合成樹脂製であって、図1に示すように、下拡がりの筒状をしている。ケース4内には、点灯回路3側が奥側となるようにホルダー12が開口部から挿入され、ホルダー12の周縁部がケース4の内壁に接着剤、ねじ等の適宜装着手段により装着されている。ケース4の上部、つまり開口部と反対側には、E26用の口金5が装着されている。なお、図1では、発光管2と点灯回路3との電気的接続及び口金5と点灯回路3との電気的接続の図示は省略している。
【0036】
外管バルブ6は、発光管2を覆うためのもので、その開口部がケース4の開口部の内側に挿入され、外管バルブ6の開口側の端部がケース4の開口部の内側に、接着剤、ねじ等の適宜装着手段により固着されている。そしてこの外管バルブ6とケース4とで外囲器が構成される。以下、ランプ1の外観の外径、つまり外管バルブ6の外径をランプ径φとし、ランプ1の全長、つまりケース4の口金5を含めた外囲器の全長をランプ長Lとする。本実施の形態における外管バルブ6は、ガラス製であって、その形状がなす状、所謂A型をしている。
【0037】
外管バルブ6の内壁の下端部及び発光管2の下端部は、熱伝導性媒体15により熱的に結合されている。このため、ランプ1を点灯したときに、発光管2の温度が上昇しても、その熱が熱伝導性媒体15を介して外管バルブ6へと伝わり、発光管2の温度、特に発光管2の下端部の温度上昇を抑制することができる。ここで、発光管2の下端部の温度上昇を抑制する理由は、発光管2の最も温度の低い箇所(以下、「最冷点箇所」という。)の温度を下げれば、発光管2内の水銀蒸気圧が効果的に下がるためであり、本実施の形態のような螺旋状の発光管2の場合には、電極7、8から最も離れた箇所、つまり発光管2の下端部が、最冷点箇所になるためである。なお、この最冷点箇所は、ガラス管9の折り返し部10でもある。
【0038】
熱伝導性媒体15には、例えば、金属、合成樹脂、ゴム等を使用することができる。但し、発光管2から発せられた光は、熱伝導性媒体15を介して外管バルブ6から外部、特に下方に放射されるため、熱伝導性媒体15は、当然光透過性に優れたものが良い。さらに、発光管2の温度上昇を考慮すると、耐熱性に優れたものが良く、これらを満足する具体的材料として、透明のシリコン樹脂がある。
【0039】
2)具体的構成について本実施の形態での具体的構成を説明する。発光管2を形成するガラス管9は、図1及び図2に示すように、その管内径φiが7.4mm、管外径φoが9.0mmである。発光管2は、その電極間距離が340mmで、ガラス管2が旋回軸A廻りを略5周旋回する螺旋形状に形成されている。また、発光管2の外観の外径φhが36mmで、長さLhが64mmになっている。
【0040】
ガラス管9の折り返し部10と、この折り返し部10で折り返された最下位に位置する第1及び第2の旋回部11a、11bとの間の隙間Sは、図2の(b)に示すように、ガラス管9の管外径φoが9.0mmであることから、4.5mmとなる。このことから、発光しない部分(隙間部分)の面積が、発光管2の下面図において、発光する部分(両旋回部11a、11bと折り返し部10)の面積に対してその割合が小さくなり、発光分布が略均一となると共に、発光管2の下端部からの、所謂直下照度が増大できる。
【0041】
外管バルブ6は、外径φが55mm及び長さLbが58mmであり、その内部に上記の発光管2が納まるようになっている。なお、発光管2の長さLh(64mm)が、外管バルブ6の長さLb(58mm)より長くなっている(図1参照)のは、発光管2を取り付けたホルダー12がケース4内に挿入された状態でケース4に装着されているからである。
【0042】
ランプ1は、全体の大きさとして、ランプ径φが55mm、ランプ長Lが110mmであり、一般の白熱電球60W品種のランプ径が60mm、ランプ長が110mmに対して、ランプ径が5mm小さくなり、ランプ長が同等となっており、白熱電球60W品種より小形化されている。次に、上記構成のランプ1における性能について説明する。
ランプ入力11Wでランプ1を、口金5を上にした状態で点灯(以下、単に「口金上点灯」という。)したとき、ランプ始動時での光束立上り特性が、従来の一般蛍光ランプと同等の特性を示し、また、ランプ電流約75mAにおいて光束790lmを得、ランプ効率として目標の70lm/W以上である71.9lm/Wが得られた。同時に、ランプ寿命が6000時間以上であることも確かめられた。
【0043】
3)発光管の製造方法についてここで発光管2の製造方法を説明する。図3及び図4は、2重螺旋状の発光管を成形冶具を用いて製造する製造工程を説明する図であり、図3は成形冶具を正面から見た図であり、図4は成形冶具を上方から見た図である。まず、図3の(a)、図4の(a)に示すように、成形用の成形冶具20を用意する。この成形冶具20は、図3の(a)に示すように、円柱形状をしており、その外周には螺旋状の溝部25を有している。この溝部25は、成形冶具20の頂部から付け根部(成形冶具20の下端部)に向かう2重螺旋状をしている。
【0044】
成形冶具20の一端(上端)である頂部21には、発光管2の折り返し部16を形成するための返し部22と、巻き付け時にガラス管成形冶具20から外れるのを防止するための押さえ部23とが、成形冶具20の頂部の中心(成形冶具の軸心を通る点)に対して対称な位置に配されている(図4の(a)参照)。なお、図3の(a)、図4の(a)に示す25aは、溝部25の底面(螺旋形状の発光管の内周となる)を示しており、この底部25の螺旋方向の頂部21側の終端が返し部22になっている。
【0045】
一方、成形冶具20の他端(下端)は、成形冶具20を駆動装置に装着するための装着部24となっている。なお、駆動装置は、成形冶具20をその軸心廻りに回転しながら軸心方向に移動させる機能を有している。次に、横断面が円形状をした直管状のガラス管30を用意し、このガラス管9全体を加熱して軟化させる。この軟化したガラス管30の略中央部を、図3の(b)、図4の(b)に示すように、成形冶具20の頂部21の返し部22間にセットする。そして、図3の(c)、図4の(c)に示すように、ガラス管30の両端を把持した状態で、成形冶具20を軸心廻りのB方向に回転させると共にX方向に移動させることにより、軟化したガラス管9を螺旋状の溝部25に沿って成形冶具20に巻き付ける。なお、成形冶具20が1回転する間にX方向に移動する移動量は、成形冶具20上の溝部25の螺旋形状の1ピッチと一致するように制御されている。
【0046】
この際に、巻き付けられたガラス管30の横断面が円形状となるように、溝部25の横断面形状が円弧状をしている。またガラス管30の巻き付け中は、圧力制御された窒素等のガスがガラス管30内に吹き込まれる。なお、ガスの吹き込みは、ガラス管30を成形冶具20の溝部25に沿って巻き付けた後に行っても良い。また、本実施の形態では、ガラス管30内に、窒素等の気体を吹き込んでいるが、気体の代わりに液体、例えば、水、酢酸ブチル等を吹き込んでも良い。
【0047】
そして巻き付けが完了してガラス管30の温度が下がると、巻き付け時の回転と反対方向(反B方向)に成形冶具20を回転させて、成形冶具20からガラス管30を外す。従って、成形冶具20を図3の反B方向に回転させると、成形冶具20から容易にガラス管30を取り外せることができる。
2.検討内容本発明者は、バルブ有りタイプのランプ1の検討にあたり、以下の4つを具体的目標とした。
【0048】
a)ランプ始動時の光束立上り特性を従来の一般蛍光ランプと同等のレベル(具体的には、室温25℃で、点灯してから3秒後(以下、「点灯直後」ともいう。)の光束値が定常点灯時の60%にする。
b)ランプ1の外観寸法を白熱電球、特に60W品種の大きさ、つまりランプ径φが60mm、ランプ長Lが110mmの大きと同等以下まで小形化する。
【0049】
c)ランプ効率を現行品のランプの68lm/Wより高い、70lm/W以上とする。
d)ランプ寿命を、日本電球工業会規格JEL201規格で定められた6000時間以上とする。
本発明者は、上記の目標を達成すべく検討を進める際に、現行品で使用されている主アマルガム形態を発光管2内に封入するのではなく、水銀を単体形態で封入して、ランプ点灯中におけるランプ効率の低下を抑制できる手段を探索した。
【0050】
1)管内径についてまず、点灯中におけるランプ効率の低下の原因は、発光管の温度上昇により発光管内の水銀蒸気圧が上昇すると、放電空間内の水銀原子が増加し、ある水銀原子から放出された紫外放射が、他の水銀原子に吸収されるからだといわれている。このため、本発明者は、水銀原子から放出された紫外放射が発光管の管壁(内周)に至るまでの光路を短くすれば、紫外放射が他の水銀原子に吸収される割合が少なくなる、つまり、発光管2を形成するガラス管9の管内径φiを小さくすれば、ランプ効率の低下を抑制できると考えた。
【0051】
そこで、発光管2に用いるガラス管9の管内径φiを5〜12mmの範囲で変えたときに、その管内径φiにおける最大ランプ効率を与える水銀蒸気圧を特定するための実験を行なった。具体的には、ガラス管9の管内径φiを5から12mmまで1mmずつ大きくしたランプをそれぞれ製作し、これらのランプについて実験を行った。ここで、管内径φiの範囲として5〜12mmを選定したのは、管内径φiが5mmより小だと発光管2内への電極7、8の設置が難しく、一方管内径φiが12mmより大だと発光管2が大きくなり、ランプ1の小形化が難しくなるからである。
【0052】
また、上記の管内径φiに対応する電極間距離Leは、発光管2の管壁負荷weが従来品からのデータにより0.13W/cm2になるように決定されている。この理由は、管壁負荷weの値が0.13W/cm2であれば、ランプ1の寿命が略6000時間を保証できることを、本発明者が行ったランプ寿命特性に関する検討結果から得られているからである。この管壁負荷weは、発光管入力値を発光管2の内周面の表面積π×φi×Leで除した値である。ここで、発光管入力値は、ランプ入力値(11W)に点灯回路3の回路効率(0.91)を乗じて算出される。
【0053】
実験では、バルブ無しタイプのランプを温度制御可能な恒温槽内に設置して、発光管内の水銀蒸気圧を変化させた。具体的には、発光管内の水銀蒸気圧を変化させるために恒温槽内の温度を変化させ、発光管が最大の光束を発光する温度(以下、「最大発光温度T」という。)を測定した。なお、発光管が最大の光束を発する水銀蒸気圧を最適水銀蒸気圧ともいう。
【0054】
この結果を図5に示す。同図に示すように、管内径φiが小さくなるに従って最大発光温度Tが上昇している。特に、管内径φiを5mmまで小さくすると、最大発光温度Tが65℃まで高くなることがわかった。このことより、発光管2の温度が最も低い最冷点箇所の温度(以下、単に「最冷点温度」という。)、つまり発光管2の下端部の温度が、仮に上記の最大発光温度と略等しくなれば、ランプ点灯中におけるランプ効率の低下はなくなることになる。ここで、最冷点温度と最大発光温度とを比較しているのは、最大の光束を発する水銀蒸気圧となる温度が最大発光温度であり、また水銀蒸気圧を決定する温度は発光管2の最冷点温度だからである。
【0055】
2)発光管の温度について本発明者は、次いでランプ点灯中における発光管2の最冷点温度を低下させる手段を探索した。なぜなら、上述のように、ランプ点灯中の発光管2の最冷点温度が65℃以下にできれば、発光管2の管内径φiを小さくすることで、ランプ点灯中のランプ効率の低下を抑制できるからである。
ここで、予備検討として、ガラス管9の管内径φiが7.4mm、管外径φoが9.0mmで、電極間距離Leが340mmの発光管2を用いて、白熱電球60W品種の大きさ(ランプ径φ:60mm、ランプ長L:110mm)とほぼ同等の大きさに試作したランプ1をランプ入力11Wで点灯させて、発光管2と外管バルブ6の温度測定を行なった。なお、点灯の条件は口金上点灯である。また、外管バルブ6の形状は白熱電球60Wと同様なA型を使用した。
【0056】
この測定結果は、発光管2では、その下端部の温度が約75℃と最も低く、発光管2の下端部に最冷点箇所が形成されることが確認できた。このことから、発光管2の最冷点温度を10℃以上下げることができれば、ランプ点灯中の発光管2の最冷点温度と、最大光束を発する最大発光温度Tとを略一致させることができる。一方、発光管2の最冷点箇所に対向する外管バルブ6の下端部の温度は約50℃であり、両者間の温度差が約25℃であった。
【0057】
そこで、本発明者は、点灯中の発光管2の熱を、発光管2を覆う外管バルブ6に伝えることができれば、発光管2の温度が下がると考え、図1にも示したように、熱伝導体媒体を用いて、発光管2の最冷点箇所16と、この最冷点箇所16に対向する外管バルブ6とを熱的に結合するという手段を選択し、その有効な適用方法を検討した。
熱伝導性媒体15には、上述したように、耐熱性及び光透過性に優れた材料を探索し、透明なシリコン樹脂を選択した。またこのシリコン樹脂を用いることにより透明ゆえにランプ1の美観も損なうことがなく、また点灯後にシリコン樹脂が影として外管バルブ6に現出することもない。発光管2の下端部と外管バルブ6の内壁の下端部との距離d(図1参照)を2mmと設定し、発光管2の下端部を約2mmだけシリコン樹脂に埋没させている。ここで、上記測定に用いたランプ1において、発光管2の下端部と外管バルブ6の内壁の下端部との距離dを6.0mmより長く設定すると、最冷点温度の低下割合が減少することがわかった。従って、上記距離dは6.0mm以下の範囲に規定されるべきである。
【0058】
発光管2の下端部と、外管バルブ6との距離dは、熱伝導性を考慮すると、互に密着させて、発光管2の下端部から外管バルブ6に熱が直接伝わるように構成するのが良い。しかしながら、発光管2及び外管バルブ6は互いにガラス製であるため、ランプ1の搬送時、或いはランプ1の点灯具への装着時等に、衝撃負荷のような何らかの負荷がランプ1に作用した際に、損傷する可能性がある。従って、発光管2と外管バルブ6との間に、若干の間隙があるほうが好ましい。なお、この間隙にシリコン樹脂を充填しているため、ランプ1に上記のような負荷が作用しても、その負荷をシリコン樹脂である程度吸収することもできる。
【0059】
上記構成のランプ1を点灯させて、発光管2の下端部にある最冷点温度の温度測定を行った。その測定結果は、最冷点温度は63℃となり、予備検討で行ったシリコン樹脂を利用していないもの(最冷点温度:75℃)に対して約12℃低下し得ることがわかった。このことから、発光管2の下端部と外管バルブ6の下端部とをシリコン樹脂で結合することで、発光管2の下端部にある最冷点温度を60〜65℃の範囲にすることができ、この60〜65℃の範囲で発光管2の発光する光束が最大となる管内径φiは5.0mm〜9.0mmの範囲となる。
【0060】
3)小形化及びランプ効率について上記のような管内径の細い発光管2とシリコン樹脂を用いたランプ1において、白熱電球60W品種と同等の大きさ、ランプ効率70lm/W以上及びランプ寿命6000時間以上を保証する、という残された目標を達成するための検討を行った。その検討結果を図6に示し、発光管2の管内径φiと電極間距離Leとが、図6に示す斜線部内であれば、上記目標を達成できるランプ1を得ることができる。以下、図6の説明及び上記目標を達成できる理由について説明する。
【0061】
a)ランプ形状の小形化について図6における線1は、白熱電球60Wの大きさに対応する外管バルブ6内に納まりうる範囲内で、各管内径における最大の電極間距離を結んだラインである。すなわち、ランプ1形状の小形化のためには、電極間距離Leを短縮して発光管2を小形化する必要があり、白熱電球と同等の大きさに対応する外管バルブ6(外径φ55mm、長さLb58mm)内に収まり得る発光管2の最大の長さを算出して、その最大の電極間距離Leを求めている。なお、線1上の値は電極間距離Leの上限値となる。
【0062】
b)ランプ寿命について図6における線2は、ランプ寿命が6000時間以上になる各管内径における電極間距離Leを結んだラインである。ランプ寿命が6000時間以上になるよう保証するには、本発明者のランプ寿命特性に関する検討により、発光管2の管壁負荷weの値が0.16W/cm2以下に規定すれば良いことが得られている。
c)ランプ効率について図6における線3は、ランプ効率が70lm/Wになる電極間距離Leを結んだラインである。このライン上の電極間距離Leは、ランプ効率が70lm/Wになる値を実験により求めた。具体的には、ガラス管9の管内径φiが5.0mm〜9.0mmの範囲で発光管2を作製し、この発光管2の電極間距離Leを種々換えて実際に点灯させて、その光束を測定し、ランプ効率が70lm/Wになる電極間距離Leを求めている。
【0063】
4)まとめ以上の検討から、本実施の形態であるランプ1の構成をまとめると、発光管2には、アマルガム形態を取らずに水銀が単体形態として封入され、発光管2を構成するガラス管9の管内径φiが5.0mm〜9.0mmの範囲に規定され、発光管21の下端部と、外管バルブ6の内壁の下端部とがシリコン樹脂により熱伝導可能に結合されている。
このように、発光管2内に水銀が単体で封入されているので、一般の蛍光ランプ1と同等の光束立上り特性を得ることができる。また、管内径φiを5.0〜9.0mmの範囲にすることで、最大の光束を発する温度を60〜65℃の範囲にできるため、ランプ点灯中に発光管2の温度が上昇しても、最大の光束を発する温度との温度差が小さくなり、ランプ効率の低下を抑制することができる。また、管内径φiを小さくすることで、電極間距離Leを長くでき、ランプ効率を向上させることができる。さらに、シリコン樹脂を用いて発光管2と外管バルブ6とを結合することにより、ランプ点灯中に発光管2から発生する熱を外管バルブ6に伝えることができ、発光管2の温度を下げることができる。
【0064】
特に、白熱電球60W代替として、発光管2の電極間距離Leを、図6の斜線表示の範囲内に規定することにより、ランプ1は、従来の白熱電球60Wと同等或いはそれより小さくなり、さらにランプ効率が70lm/W以上で、ランプ寿命が6000時間以上を達成できる。
(第2の実施の形態)上記第1の実施の形態では、本発明を白熱電球60W代替の11W品種に適用させた例を示したが、本実施の形態では、白熱電球100W代替の21W品種に適用させたものである。本実施の形態におけるランプと、第1の実施の形態におけるランプ1とを区別するために、本実施の形態における各構成の符号に200番台を、例えばランプの符号を201のように使用する。このため、構成に符号が付されているが、図示されていない(例えばランプ201、外管バルブ206)場合がある。
【0065】
ここで、本実施の形態におけるランプ201が代替目標とする白熱電球100Wの基本構成について説明する。一般の白熱電球100W品は、ランプ径φが60mm、ランプ長Lが110mmである。またこの白熱電球100Wの代替品である現行の22W品種用のランプは、ランプ径φが65mm、ランプ長Lが140mmの大きさで、白熱電球100Wに対して、ランプ径φで5mm、ランプ長Lで30mmほど大きい。なお、現行の22W品種用のランプは、その光束が1520lmで、ランプ効率が69.1lm/Wである。
1.構成
図7は、本実施の形態を示す発光管の全体を示す正面図である。本実施の形態におけるランプ201の基本構成は、第1の実施の形態と同様であり、構成が異なる点は、白熱電球100W代替であるため、ランプ入力が11Wから21Wに増大すると共に、100W品種と略同等の光束を得るために、発光管202の電極間距離を長くしている。このため、発光管202の螺旋形状が、図7に示すように、第1の実施形態の略5周巻きから略7周巻きに変更されている。
【0066】
なお、本実施の形態においても、ガラス管209の管内径φiは、第1の実施の形態と同様の理由により、5.0mm以上9.0mm以下の範囲で規定されている。ここで、本実施の形態における具体的構成を説明する。発光管202は、ガラス管209の管内径φiが7.4mm、管外径φoが9.0mmで、電極間距離Leは640mmである。そして、ガラス管209は略7周巻きの螺旋形状に形成され、発光管209の大きさが、直径φhが36mm、長さLhが85mmになっている。一方外管バルブ206は、外径φが60mm、長さLbが80mmである。
【0067】
ランプ201は、全体の大きさとして、ランプ径φが60mm、ランプ長Lが128mmであり、現行の22W品種用のランプ(ランプ径φ:65mm、ランプ長L:140mm)に対して、ランプ径φが5mm、ランプ長Lが12mm小さくなり、現行品より小形化されている。次に、上記構成のランプ201における性能について説明する。
まず、ランプ入力21Wで口金上点灯したとき、ランプ始動時での光束立上り特性が、従来一般蛍光ランプと同等の特性を示し、また、ランプ電流約100mAにおいて光束1520lmを得、ランプ効率が目標の70lm/W以上である72.4lm/Wとなった。同時に、ランプ寿命が6000時間以上であることも確かめられた。
2.検討内容
本実施の形態では、現行の22W品種用のランプより小形化することを目標とし、ランプ外径φを現行品の65mmより小さい60〜65mmに、ランプ長Lを現行の22W品種の140mmより短い120〜135mmにした。またランプ効率の目標は、第1の実施の形態と同様に、現行の22W品種用のランプ(69lm/W)以上の70lm/Wとした。なお、ランプ寿命については、第1の実施の形態と同様に、6000時間以上としている。
【0068】
そこで、第1の実施の形態と同様に、上記目標のランプの小形化、ランプ効率改善及びランプ寿命保証の全てを満たせるガラス管209の管内径φ及び発光管2の電極間距離Leを特定するために、ランプ201の試作及び測定を行なった。その検討結果を図8に示し、発光管202の管内径φi及び電極間距離Leとの関係が、図8に示す斜線部内にあれば、上記目標を達成するランプ201を得ることができる。以下、図8について説明する。
【0069】
1)ランプの小形化について図8における線21は、白熱電球100Wの大きさに対応する外管バルブ206内に納まりうる範囲内で、各管内径における最大の電極間距離を結んだラインである。この電極間距離Leは、第1の実施の形態と同様に計算等により求められており、具体的には、白熱電球100Wと同等の大きさとなる外管バルブ206(外径60mm、長さ80mm)内に収まり得る発光管202の最大長さから電極間距離Leを求めている。なお、線21上の値は電極間距離Leの上限値となる。
【0070】
2)ランプ寿命について図8における線22は、ランプ寿命が6000時間以上になる電極間距離Leを結んだラインである。ランプ寿命が6000時間以上になるよう保証するには、第1の実施の形態と同様に、発光管202の管壁負荷weの値が0.16W/cm2以下に規定すれば良く、この管壁負荷weから電極間距離Leが算出されている。
3)ランプ効率について図8における線23は、ランプ効率が70lm/Wになる電極間距離Leを結んだラインである。この電極間距離Leは、第1の実施の形態と同様に、ランプ効率が70lm/Wになるように実験により求められている。
(第3の実施の形態)
上記第2の実施の形態では、本発明を光束1500lmクラスの白熱電球100W代替の21W品種に適用した例を示したが、本実施の形態では、本発明を光束1700lmクラスの白熱電球100W代替の所謂高光束形23W品種に適用したものである。
【0071】
なお、本実施の形態では、現行の白熱電球100W代替22W品種用のランプを「現行のランプ」ともいう。また、本実施の形態におけるランプと、上記の実施の形態におけるランプ1、201とを区別するために、本実施の形態における各構成の符号に300番台を、例えばランプの符号を301のように使用するが、これらは図示されていない。
本実施の形態において代替目標とする光束1700lmクラスの白熱電球100Wのランプ形状及び寸法そのものは、上記光束1500lmクラスのランプと同じ、すなわち、ランプ径φが60mm、ランプ長Lが110mmである。
1.構成本実施の形態におけるランプ301の基本構成は、上記第2の実施の形態と同様であり、構成が異なる点は、高光束1700lm対応であるため、ランプ入力が21Wから23Wに増大すると共に、発光管302の電極間距離Leをより長くしていることである。なお、本実施の形態でも、ガラス管9の管内径φiは、上記実施の形態と同様の理由により、5.0mm以上9.0mm以下の範囲に規定されている。
【0072】
ここで、本実施の形態での具体的構成を説明する。発光管302は、ガラス管309の管内径φiが7.4mm、管外径φoが9.0mmで、電極間距離Leが680mmである。そして、ガラス管309は略8周巻きの螺旋形状に形成され、発光管302の大きさは、直径φhが36mm、長さLhが95mmである。一方、外管バルブ306は、外径φが60mm、長さLbが90mmである(図1及び図2参照)。
【0073】
ランプ301の全体の大きさは、ランプ径φが60mm、ランプ長Lが138mmであり、現行のランプ(ランプ径φ65mm、ランプ長L140mm、光束1520lm)と比較して、光束が200lm上がるにも拘わらず、長さLは略同じであり、ランプ径φで5mmの小形化が達成されている。次に上記構成のランプ301における性能について説明する。
【0074】
まず、ランプ入力23Wで口金上点灯したとき、ランプ始動時での光束立ち上がり特性は、従来一般蛍光ランプと同等のレベルまで改善され、また光束1720lmが得られて、目標とするランプ効率74.8lm/Wが達成された。同時に、ランプ寿命が6000時間以上であることも確かめられた。
2.検討内容
本実施の形態では、現行のランプに比べて、特にランプ外径φを現行の65mmより小さい60〜65mmに小形化することを目標とした。また、ランプ効率及び寿命時間の目標は、第2の実施の形態である1500lmクラスの21W品種ランプ201と同様に、それぞれ70lm/W以上及び6000時間以上とした。
【0075】
第2の実施の形態と同様に、上記目標のランプの小形化、ランプ効率の改善及びランプ寿命保証の全てを満たせるガラス管309の管内径φiと発光管2の電極間距離Leを特定するために、ランプ301の試作及びその測定を行った。その検討結果を図9に示す。ここで、発光管302の管内径φi及び電極間距離Leとの関係が、図9に示す斜線内にあれば、上記目標を達成するランプ301を得ることができる。
【0076】
以下図9について説明する。
1)ランプ小形化について図9における線31は、ランプ301の形状として大きくてもそのランプ径φが白熱電球100Wと略同等で、かつ長さLが現行の22W品種用と略同等となるように各管内径φiにおける最大の電極間距離Leを結んだラインである。具体的には、各管径φiにおける電極間距離Leは、外径φが略60mm及び長さLbが略90mmの外管バルブ306内に収まり得る発光管302の最大長さから求めている。
【0077】
2)ランプ寿命について図9における線32は、ランプ寿命が6000時間以上になる電極間距離Leを結んだラインである。これは、第1及び第2の実施の形態と同様に、発光管302の管壁負荷weが0.16W/cm2に相当する電極間距離Leとして算出されたものである。
3)ランプ効率について図9における線33は、ランプ効率が70lm/Wになる電極間距離Leを結んだラインであり、これは実験により求められている。
(第4の実施の形態)
上記第1の実施の形態では本発明を白熱電球60W代替の11W品種に、第2の実施の形態では本発明を白熱電球100W代替の21W品種に、第3の実施の形態では本発明を白熱電球100W代替の23W品種にそれぞれ適用した例を示したが、本実施の形態では、光束500lmクラスの白熱電球40W代替の7W品種に適用したものである。
【0078】
なお、本実施の形態では、現行の白熱電球40W代替8W品種用のランプを「現行のランプ」ともいう。本実施の形態におけるランプと、上記の実施の形態におけるランプ1、201、301とを区別するために、本実施の形態における各構成の符号に400番台を、例えばランプの符号を401のように使用するが、これらは図示されていない。
本実施の形態において代替目標とする白熱電球40Wのランプ形状寸法は、ランプ径φが55mm、ランプ長Lが98mmであり、また光束は485lmである。なお、この40W白熱電球は、前記60W及び100W白熱電球と共に市場において主力品種として広く使用されている。また、現行の白熱電球40W代替の8W品種における外管バルブ付き電球形蛍光ランプの形状は、ランプ径φが略60mmでランプ長Lが略122mmである。そしてランプ性能は、光束が500lmでランプ効率が62.5lm/Wである。
1.構成
本実施の形態におけるランプ401の基本構成は、上記第1〜第3の実施の形態と同様であり、構成が異なる点は、光束が500lm対応であるため、ランプ入力が7Wに低減されると共に、発光管402の電極間距離Leも短縮されていることである。なお、本実施の形態でも、ガラス管409の管内径φiは、上記第1の実施の形態と同様の理由により、5.0mm以上9.0mm以下の範囲に規定されている。
【0079】
ここで、本実施の形態での具体的構成を説明する。発光管402は、ガラス管409の管内径φiが7.4mm、管外径φoが9.0mmで、電極間距離Leが250mmである。そして、ガラス管409は略3.5周巻きの螺旋形状に形成され、発光管409の大きさは、直径φhが36mm、長さLhが52mmである。一方、外管バルブ406は、外径φが55mm、長さLbが46mmである(図1及び図2参照)。
【0080】
ランプ401の全体の大きさは、ランプ径φが55mm、ランプ長Lが98mmであり、現行のランプ(ランプ径φ60mm、ランプ長L122mm)に比べて大幅に小形化されており、更に、白熱電球40Wの形状(ランプ径φ55mm、ランプ長L98mm)と同等の大きさが達成されている。次に上記構成のランプ401における性能について説明する。
【0081】
まず、ランプ入力7Wで口金上点灯したとき、ランプ始動時での光束立ち上がり特性は、従来一般蛍光ランプと同等のレベルまで改善され、また光束が510lmとなり、またランプ効率が72.9lm/Wとなり、目標とするランプ効率が得られた。同時に、ランプ寿命が6000時間以上であることも確かめられた。
2.検討内容
本実施の形態では、まずランプサイズを白熱電球40Wと略同等の形状まで小形化することを目標とした。また、ランプ効率及び寿命時間の目標は、前記第1〜第3の実施の形態で説明した各品種ランプ1、201、301と同様に、それぞれ70lm/W以上及び6000時間以上とした。
【0082】
第1〜第3の実施の形態と同様に、上記目標のランプの小形化、ランプ効率の改善及びランプ寿命保証の全てを満たせるガラス管409の管内径φi及び発光管402の電極間距離Leを特定するために、ランプ401の試作及びその測定を行った。その検討結果を図10に示す。ここで、発光管402の管内径φi及び電極間距離Leとの関係が、図10に示す斜線内にあれば、上記目標を達成するランプ401を得ることができる。
【0083】
以下図10について説明する。
1)ランプ小形化について図10における線41は、ランプ401の形状が白熱電球40Wと略同等になるように各管径φiにおける最大の電極間距離Leを結んだラインである。具体的には、各管径φiにおける電極間距離Leは、外径φが略55mm及び長さLbが略46mmの外管バルブ406内に収まり得る発光管402の最大長さから求めている。
【0084】
2)ランプ寿命について図10における線42は、ランプ寿命が6000時間以上になる電極間距離Leを結んだラインである。これは、第1〜第3の実施の形態と同様に、発光管402の管壁負荷weが0.16W/cm2に相当する電極間距離Leとして算出されたものである。
3)ランプ効率について図10における線43は、ランプ効率が70lm/Wになる電極間距離Leを結んだラインであり、これは実験により求められている。
(第5の実施の形態)
上記の第1〜第4の実施の形態では、2重螺旋形状のガラス管からなる発光管2、202、302、402を適用したが、その他の3本U形及び4本U形発光管を用いたランプについても検討した。なお、本実施の形態におけるランプと、上記の実施の形態におけるランプ1、201、301、401とを区別するために、本実施の形態における各構成の符号に500番台を、例えばランプの符号を501のように使用する。
【0085】
この結果、3本U形及び4本U形発光管を用いたランプ501の基本構成として、上記2重螺旋形状の発光管によるランプ1、201、301、401と同様に、(a)発光管502内部に水銀を略単体形態で封入し、発光管502の管内径φiを5.0mm〜9.0mmの範囲に規定し、(b)上記3本あるいは4本の少なくとも1本のU形ガラス管509の最冷点箇所516と、この最冷点箇所516に対峙する外管バルブ506の部位とをシリコン樹脂515等の熱伝導性媒体により熱的に結合して、この結合されたU形ガラス管の一部に形成される最冷点箇所を冷却することにより、基本的にランプ始動時の立ち上がり特性は、一般蛍光体と同等のレベルまで改善でき、併せて上記2重螺旋形状の発光管2、202によるランプ1、201と略同等のランプ効率が達成できることが明らかになった。
【0086】
図11は、第5の実施の形態である白熱電球60W代替の11W品種用で例えば、4本U形発光管502を備えたランプ501の全体構成を示す図であり、(a)は正面図で、(b)は(a)のXX線における断面平面図である。なお、(a)におけるXX線は、外管バルブ506における最大の外径となる本実施の形態であるランプ501の特徴は、3本或いは4本のU形ガラス管509が一連の放電路をなすようにいわゆるブリッジ接合された発光管502から構成されていることである。そして、図11では、4本のU形ガラス管509で最冷点箇所516の形成されるU形湾曲部とこれに対峙する外管バルブ506の下端部とが、シリコン樹脂515の熱伝導性媒体により熱的に結合されている。その他のランプ501の構成は、2重螺旋形状の発光管2を用いたランプ1に準じて構成されている。
【0087】
ここで、特に発光管502の管内径φi及び電極間距離Leは、図6の斜線の範囲内において設定されており、これにより2重螺旋形状の発光管2を用いたときと同様に、ランプ効率70lm/W及びランプ寿命6000hrsを呈するランプが具現化できる。本実施の形態におけるランプの具体構成を説明する。
発光管502は、4本のU形ガラス管509からなり、その管内径φiが7.4mm、管外径φoが9.0mm、電極管距離Leが340mmに設定されている。また、U形ガラス管509の幅bは20mmである(図11(b)参照)。また、発光管502の外観の外径φhが46mm、長さLhが60mmになっている。外管バルブ506は、外径φが60mm及び長さLbが58mmである。そして、最終のランプ501の全体の大きさとして、ランプ径φが60mm及びランプ長Lが110mmであり、これは白熱電球60Wと略同等である。
【0088】
なお、発光管502を4本U形でなく3本U形ガラス管509で構成しても良い。但し、この場合は発光管502の長さLhが60mmから73mmと長くなり、よってランプ長Lが110mmから123mmへと長くなるのは避けられなかった。上記ランプ501は、ランプ入力11Wで口金上点灯したとき、ランプ始動時での光束立ち上がり特性が一般蛍光ランプと略同等のレベルまで改善され、また光束780lm及びランプ効率70.9lm/Wという優れた特性が得られた。併せて、ランプ寿命6000hrs以上であることも確かめられた。
【0089】
なお、白熱電球100W代替で光束1500lmクラスの21W品種用のランプ501a(白熱電球60W代替と区別するために、上記のランプ501にaを追加した符号を使用する。)についても図11と同様の基本構成からなる4本U形発光管502aを装備し、発光管502aの管内径φi及び電極間距離Leを図8の斜線の範囲内において設定することにより、2重螺旋形状の発光管502aを用いたときと同様の光束立ち上がり特性の改善とランプ効率70lm/W以上の特性を呈するランプ501aが具現化できた。
【0090】
但し4本U形発光管502aを用いる限り、ランプ501aの全体形状が2重螺旋形状の発光管202を用いたときに比べて大きくなるのは裂けられなかった。例えば、発光管502aの管内径φiを7.4mm、管外径φoを9.0mm及び電極間距離Leを640mmにそれぞれ設定したとき、発光管502aの外管の外径φhが46mm及び長さLhが95mmになり、このときの外管バルブ506aは、外径φbが65mm及び長さLbが90mmとなった。
【0091】
また、最終のランプ506aの全体形状は、ランプ径φが65mm及びランプ長Lが140mmと大きくなった。ここで、大きくなったランプ長Lを前記2重螺旋形状の発光管102を用いたランプ201と同様の128mmまで短縮するには、例えば5本U形の発光管を用いれば良い。
(第6の実施の形態)
上記の各実施の形態では、ランプ効率の目標を70lm/W以上としたが、本発明者は、ランプの大きさを変えずにランプ効率をさらに向上させる技術の検討を行った。本実施の形態におけるランプと、第1の実施の形態におけるランプ1とを区別するために、本実施の形態における各構成の符号に600番台を、例えばランプの符号を601のように使用する。
【0092】
図12は、第6の実施の形態における白熱電球60W代替の11W品種用のランプの全体構成を示す図である。本実施の形態におけるランプ601の基本構成は、第1の実施の形態と同様であり、構成が異なるのは、第1の実施の形態では、発光管2を形成するガラス管9の横断面が円形状であるのに対し、本実施の形態では、ガラス管609の横断面が楕円形状をしている点である。
1.ランプの構成及び特性
a)電極間距離が340mmのタイプ本実施の形態における具体的構成を説明する。発光管602を形成するガラス管609は、その内周面が、管短内径D1が5.4mm、管長内径D2が7.4mmで、外周面が、管短外径が7.0mm、管長外径が9.0mmの楕円形状をしている。また発光管602内の電極間距離Leは340+βmmである。
【0093】
上記のβは、旋回軸A廻りを旋回するガラス管609の位置で変化する。例えば、断面形状が楕円形状のガラス管と、円形状のガラス管9との最外周の位置が同じであれば、βは最大(30mm程度)となり、逆に断面形状が楕円形状のガラス管と、円形状のガラス管との最内周の位置が同じであれば、βは最小(略0mm)となる。
なお、D2は7.4mmであり、第1及び第2の実施の形態における管内径φiに等しい。また、発光管602は、第1の実施の形態と同様に、略5周巻きの螺旋形状に形成され、その大きさが、直径φhが36mm、長さLhが64mmになっている。外管バルブ606の大きさは、外径φが55mm、長さLbが58mmで、その内部に上記の発光管602が納まるようになっている。
【0094】
ランプ601は、全体の大きさとして、ランプ径φが55mm、ランプ長Lが110mmであり、白熱電球60W品種(ランプ径φ=60mm、ランプ長L=110mm)に対して、その長径が若干小さくなっている。一方、発光管602の下端部に形成される最冷点個所616と外管バルブ606の内周の下端部とを、透明なシリコン樹脂615を介して結合している。なお、発光管602の下端部と外管バルブ606内周の下端部との距離dは2mmで、発光管602の下端部が、シリコン樹脂615により約2mm程度埋没している。
【0095】
次に、上記構成のランプ601における性能について説明する。まず、ランプ入力11Wで口金上点灯したとき、ランプ始動時での光束立上り特性が、従来一般蛍光ランプと同等の特性を示し、また、ランプ電流約70mAにおいて光束820lmを得、目標の70lm/Wを大きく超える74.6lm/Wのランプ効率が得られた。
このランプ効率は、第1の実施の形態におけるランプ1のランプ効率に対して、約4%改善されている。このように、発光管602の断面形状を楕円状にすることにより、第1の実施の形態と同じ発光管2の長さであるにもかかわらず、ランプ効率を向上させることができる。これは、単位長当たりの発光管入力と内周面の表面積が同一の発光管2においては、楕円断面では円形断面に比べて光路が短縮されるため、それだけ最大の光束を発する温度が一層高温側へ移行できる。これにより、外管バルブ606内に装備されたときの発光管602内の水銀蒸気圧が上昇して生じるランプ効率の低下をより抑制でき、それだけランプ効率が一層改善されることになる。つまり、バルブ有りタイプのランプ601においては、基本的に楕円断面をなす発光管602を用いることはランプ効率改善のうえからも有利といえる。
【0096】
b)電極間距離が365mmのタイプ本実施の形態における具体的構成を説明する。発光管602を形成するガラス管609は、その内周面が、管短内径D1が5.4mm、管長内径D2が7.4mmで、外周面が、管短外径が7.0mm、管長外径が9.0mmの楕円形状をしている。また発光管602内の電極間距離Leは略365mmである。発光管602は、第1の実施の形態と同様に、略5周巻きの螺旋形状に形成され、その大きさが、直径φhが36mm、長さLhが64mmになっている。
【0097】
ランプ601は、全体の大きさとして、ランプ径φが55mm、ランプ長Lが100mmであり、白熱電球60W品種(ランプ径φ=60mm、ランプ長L=110mm)に対して小さくなっている。次に、上記構成のランプにおける性能について説明する。まず、ランプ入力11Wで口金上点灯したとき、ランプ始動時での光束立上り特性が、従来一般蛍光ランプと同等の特性を示し、また、ランプ電流約65mAにおいて光束810lmを得、74.6lm/Wのランプ効率が得られた。
【0098】
これに対して、第1の実施の形態における、発光管2を構成するガラス管9の横断面の形状が内径7.4mm、外径9.0mmの円形状をし、電極間距離が340mmであるランプ1を、ランプ電流を75mAで口金上点灯した結果、光束が790lmで、ランプ効率が71.9lm/Wであった。上記のようにガラス管609の横断面形状を楕円形状にすることで、その楕円形状の管長内径と同じ寸法を管内径とした円形状のものより、入力電流を約10mA低減でき、しかも光束を20lm増加させることができ、ランプ効率を2.7lm/W増加できることが分かった。
【0099】
2.発光管の製造方法ガラス管609の横断面が楕円形状の発光管2の製造方法について説明する。本実施の形態における楕円断面をなす発光管602は、上記の各実施の形態における円形断面をなす発光管2と同様に、円形断面の直管状のガラス管630(図省略)を使用し製作される。つまり、本発光管602の製造工程も、ガラス管630全体を加熱炉で軟化させ、この軟化したガラス管630を成形治具620に螺旋状に巻付けて加工するのである。
【0100】
上記の第1の実施の形態において説明した円断面の発光管2の製作と異なるのは、成形加工中にガラス管631中に吹き込む窒素などのガスの制御圧力を、ガラス管631が楕円断面をなすように低減させる点と、図13に示すように、成冶具620の溝部625における横断面の形状を楕円弧状にしている点である。なお、溝部625の横断面形状と一致する形状は、成形冶具620の軸方向と略平行、具体的には軸方向に対して螺旋角度分傾斜した方向が長軸となる楕円形状である。
【0101】
このため軟化したガラス管631が、成形加工中に吹き込まれるガスにより成形冶具620に押圧され、楕円断面の発光管602を容易に得ることができる。ここで、成形後のガラス管631の両端部は、成形前のガラス管630の円形断面を残している。このため、管短内径D1が5.0mm以下であっても、端部の管長内径D2は5.0mm以上となるので、電極の設置ができる。
3.検討内容
本発明者は、白熱電球を代替する省エネルギーの光源として、電球形蛍光ランプをより普及させるためには、バルブ有りタイプ及びバルブ無しタイプに関係なく、また発光管内に水銀が、主アマルガム形態で或いは単体形態で封入されたものに関係なく、さらにランプ効率を向上させる方法を検討した。
【0102】
1)楕円形状本発明者は、まず最大発光温度を高めるためにガラス管9の内径を小さくすることを検討した。第1の実施の形態では、管内径φiを5mmより小さくすると、ガラス管9内に電極7、8を設置できないという問題があった。しかしながら、ガラス管の横断面を楕円形状、具体的には楕円の管長内径D2を5mm以上にすれば、管短内径D1を5mm以下にしても、管長内径D2を利用して電極を挿入できると考えた。
【0103】
また、ガラス管609の横断面の内周を楕円形状、特に、その管短内径D1の方向が、水平方向(ガラス管9の旋回軸Aに直交する方向)対して螺旋角度α傾斜した方向B(図14参照)と略一致するような形状にすると、この楕円形状の管長内径D2と同じ管内径の円形状に対して、電極間における最短距離(電極間距離)を長くすることができる。
ここで、ガラス管9の横断面を楕円形状にすると電極間距離が長くなることを図14で説明する。まず図14は、ガラス管9の所定位置と、この位置から半周旋回した位置とを切断した図を示している。ガラス管609の横断面において、管短内径D1が方向Bと一致する楕円形状を実線で示し、この楕円の管長内径D2と同じ長さの管内径を有する円を仮想線(第1の実施の形態における発光管2に対応している。)で示している。なお、両者のガラス管9、609は、各中心が一致する場合を示している。
【0104】
発光管2、602内の電極間距離は、一般に発光管2、602内の両電極を結ぶ最短距離で得られるため、横断面の内周が楕円形状の場合において最短距離となる螺旋形状の軌道は、径がL1となる円周となり、また内周が円形状の場合において最短距離となる螺旋形状の軌道は、径がL2となる円周となる。このように、直径と長径とが同じ寸法である円形状及び楕円形状を比較すると、円形状よりも楕円形状の方が、電極間距離が長くなる。しかも、発光管2、602は、ガラス管9、609を旋回軸A廻りに複数回旋回させて形成されているため、発光管2、602の全長では、その電極間距離の差が特に大きくなり、ランプ効率の向上が図れると考えた。
【0105】
また、楕円形状の発光管602において外側(旋回軸Aと反対側)に位置する外周面が、円形状における外側(旋回軸Aと反対側)の外周面より旋回軸Aに近い位置にあり、発光管602の全体形状の外径を発光管2よりも小さくできる効果もあると考えた。以上のようにガラス管609の横断面の形状を、その管短内径D1の方向を方向Bに一致させた楕円形状にすることにより、長径と同じ直径の円形状に比べて、水銀原子から放射された紫外放射が管壁に至るまでの光路を全体として短くでき、しかも電極間距離を長くできるため、ランプ効率が向上すると考えたのである。
【0106】
そこで、発明者は、ガラス管609の横断面を楕円形状として、その管短内径D1と管長内径D2との比を変えてランプ効率を測定した。その結果を、管短内径D1/管長内径D2の比率(以下、「比率D1/D2」という。)と、ランプ効率の改善割合との関係として図15に示す。この結果より、比率D1/D2が小さくなるに従って、ランプ効率の改善割合が大きくなることがわかった。
【0107】
なお、上記試験に用いたガラス管609は、電極間距離が400mm、管長内径D2を8.0mmと一定にし、管短内径を7.4mm、6.7mm、6.1mm、5.3mm、4.5mm、3.6mmの6種類用いた。また点灯条件は、口金上点灯で、ランプ電流を90mAとした。特に、ガラス管609の横断面の形状を楕円形状にして、その管短内径D1の方向を方向Bに略一致させて、管短内径D1と管長内径D2との比(D1/D2)を、0.85以下にするとランプ効率が、横断面の形状が管内径D2の円形状に比較して2%以上ランプ効率が向上することを見出した。なお、ランプ効率において2%向上すると、消費者にもその光束の違いが分かり、商品に特徴を持たせることができる。
【0108】
2)発光管の寸法と電極間距離について上記楕円断面をなす発光管602の具体構成の設定について説明する。まず発光管602を形成するガラス管609の内周の寸法は、管長内径D2の値が5mm以上で9mm以下が良い。これは、第1の実施の形態におけるガラス管9の管内径φiが5mm以上9mm以下に設定する理由と同様である。また管短内径D1の値は3mm以上管長内径D2未満が良い。これは、管短内径D1が3mmより小さくなると電極の設定が困難になり、またD2未満としたのは、ガラス管609の横断面の内周を略楕円形状にするためである。なお、電極は、図2に示すように扁平な形状をしており、この電極を収納するスペースとして、平面視で5mm×3mm程度必要である。
【0109】
次に発光管の寸法と電極間距離の設定方法について説明する。まず、螺旋状の発光管602に用いる直管状のガラス管630の内径を決定しておく。そして、発光管602の電極管距離Leの設定は、上記第1の実施の形態における円形断面からなる発光管2に関して図6に規定された範囲を利用すれば良い。すなわち、同図で表示されている発光管2の管内径φiを本発光管602の管短内径D1として算出した値を用いて、電極間距離Leを決定すれば良い。
【0110】
なお、図6には、管内径φiが5mm以下について電極間距離Leの範囲が示されていないが、管内径φiが3mm以上5mm未満の範囲における電極間距離Leの上限は、管内径φiと電極間距離Leとを直交座標(φi、Le)で示すと、(3.0、1160)と(5.0、690)とを結ぶ線分以下であり、電極間距離Leの下限は、線2を管内径φiが3.0mmとなるまで延長させた線分以上であれば良い。つまり、(φi、Le)は、点(3.0、445)、点(7.4、275)、点(9.0、290)、点(9.0、360)及び点(3.0、1160)の各点により囲まれた範囲内に規定されておれば良い。
【0111】
4.ガラス管の端部について上記の各実施の形態では、ガラス管の両端部、つまり発光管のケース側の端部は、螺旋状の発光管の旋回軸Aと略平行な方向(ホルダーの主面に対して垂直な方向)に延びる直線状に形成されているが、ガラス管の両端部が、ホルダーに近づくに従って旋回軸に近づくように傾斜状にしても良い。このように傾斜状にすることで、発光管の旋回軸方向の寸法を、上記の実施の形態での発光管2に比べて小さくすることができる。
【0112】
5.その他上記の第6の実施の形態におけるランプ601は、白熱電球60W代替としての11W品の発光管に、その横断面が楕円とした例を示しているが、ランプ入力の異なる品種にも本発明は適用できる。
a)白熱電球100W代替用21W品種(符号にaを追加して付している)この場合も、発光管602aの寸法の設定を行う際にも、上記の方法に準じて、図8を利用して設定すれば良い。つまり、発光管602aを形成するガラス管609aの管短内径D1を規定して、D1の値から電極間距離Leを決定すれば良い。なお、図8には、管内径φiが5mm以下について電極間距離Leの範囲が示されていないが、管内径φiが3mm以上5mm未満の範囲における電極間距離Leの上限は、管内径φiと電極間距離Leとを直交座標(φi、Le)で示すと、線21を管内径φiが3.0mmとなるまで延長させた線分以下であり、電極間距離Leの下限は、線22を管内径φiが3.0mmとなるまで延長させた線分以上であれば良い。つまり、(φi、Le)は、点(3.0、840)、点(7.4、530)、点(9.0、560)、点(9.0、620)及び点(3.0、1085)の各点により囲まれた範囲内に規定されておれば良い。
【0113】
b)白熱電球100代替高光束形23W品種(符号にbを追加して付している)この場合も、発光管602bの寸法の設定を行う際にも、上記で説明した同様の方法に準じて、図9を利用して設定すれば良い。つまり、発光管602bを形成するガラス管609bの管短内径D1を規定して、D1の値から電極間距離Leを決定すれば良い。なお、図9には、管内径φiが5mm以下について電極間距離Leの範囲が示されていないが、管内径φiが3mm以上5mm未満の範囲における電極間距離Leの上限は、管内径φiと電極間距離Leとを直交座標(φi、Le)で示すと、線31を管内径φiが3.0mmとなるまで延長させた線分以下であり、電極間距離Leの下限は、線32を管内径φiが3.0mmとなるまで延長させた線分以上であれば良い。つまり、(φi、Le)は、点(3.0、975)、点(7.4、570)、点(9.0、600)、点(9.0、670)及び点(3.0、1165)の各点により囲まれた範囲内に規定されておれば良い。
【0114】
c)白熱電球40W代替用7W品種(符号にcを追加して付している)この場合も、発光管602cの寸法の設定を行う際にも、上記で説明した同様の方法に準じて、図10を利用して設定すれば良い。つまり、発光管602cを形成するガラス管609cの管短内径D1を規定して、D1の値から電極間距離Leを決定すれば良い。なお、図10には、管内径φiが5mm以下について電極間距離Leの範囲が示されていないが、管内径φiが3mm以上5mm未満の範囲における電極間距離Leの上限は、管内径φiと電極間距離Leとを直交座標(φi、Le)で示すと、線41を管内径φiが3.0mmとなるまで延長させた線分以下であり、電極間距離Leの下限は、線42を管内径φiが3.0mmとなるまで延長させた線分以上であれば良い。つまり、(φi、Le)は、点(3.0、330)、点(7.4、200)、点(9.0、230)、点(9.0、320)及び点(3.0、725)の各点により囲まれた範囲内に規定されておれば良い。
(変形例)以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、本発明の内容が、上記の各実施の形態に示された具体例に限定されないことは勿論であり、例えば以下のような変形例を実施することができる。
1.発光管の外観形状について
第1〜第5及び第6の実施の形態では、発光管は、ガラス管を円周状に巻きつけた螺旋形状、つまり発光管を平面視したときの形状が円形をしているが、例えば、平面視の発光管の形状が略楕円状になるように、ガラス管を楕円形状に巻き付けた形状にしても良い。但し、このようにするには成形冶具を割型にするなどの工夫が必要となる。さらには、発光管の螺旋形状は、その旋回軸が口金の中心軸(上下方向)と同じ方向になっているが、例えば、口金の中心軸と直交する方向でも良い。
2.発光管の管形状について
上記の第6の実施の形態では、ガラス管の横断面の内周面が非円形状、特に、ガラス管が旋回する旋回軸と略直交する方向の第1の径が、旋回軸と略平行な方向における第2の径より小であるような形状として、楕円形状を例示したが、第1の径が第2の径より小で、第2の径と第1の径との比率が0.85以下であれば他の形状でも良い。
【0115】
例えば、図16の(a)に示すような、ガラス管909の横断面において、長径D2となる線分に対して発光管902の旋回軸側(以下、「発光管の内側」といい、図16では右側になる。)に位置する内周が、D11の2倍の短径となる楕円形状をし、また、発光管902の旋回軸と反対側(以下、「発光管の外側」といい、図16では左側になる。)に位置する内周が、D12の2倍の短径となる楕円形状をした、つまり長径となる線分に対して発光管902の内側と外側との両側で形状が異なっていても良い。さらに、ガラス管909の横断面において長径D2となる線分に対して発光管902の外側の内周を直径D2の半円状に構成しても良い。
【0116】
このような場合においても、短径D1(D1=D11+D12)が長径D2より小さくなり、ガラス管909の横断面がD2を内径とした円形状のものより、水銀原子から放出された紫外放射が管壁までに至る光路が短くなり、断面の発光管902内の最適水銀蒸気圧を高めることができる。特に、D11がD12より小さい形状では、短径がD12の2倍の楕円形状に比べて、発光管902の内側となる内周が発光管902の旋回軸から離れるため、電極間距離をより長くすることができる。
【0117】
なお、このような形状した場合であっても、図17の(a)に示すような、溝部925の横断面形状を楕円弧状の一部と一致する形状に形成することで、ガラス管931の横断面を上記のような形状に容易に成形できる。また、図16の(b)に示すような、ガラス管909の横断面において、長径D2になる線分に対して発光管902の内側に位置する内周が、発光管902の内側へと三角形状に張り出すような形状でも良い。さらに、長径D2となる線分に対して発光管902の外側の内周を直径D2の半円形状に構成しても良い。
【0118】
なお、このような形状した場合であっても、図17の(b)に示すような、溝部925の横断面形状を三角状に張り出す形状にすることで、ガラス管931の横断面の一部が、上記のような、三角状に張り出す形状に容易に成形できる。なお、上記の図16の(a)及び(b)の形状は、ガラス管909の横断面において、長径D2となる線分に対して発光管909の外側に位置する内周が楕円形状になっており、本発明での略楕円形状には、このような形状も楕円形に含まれるものとする。
【0119】
逆に、図16の(c)に示すような、ガラス管909の横断面において、長径D2になる線分に対して発光管902の内側に位置する内周が、発光管902の外側に凹むような、「く」の字形状でも良い。さらに、長径D2となる線分に対して発光管902の外側の内周を直径D2の半円状に構成しても良い。ここで、上記のガラス管909の横断面形状が「く」の字状をした発光管902を備えたランプの具体的構成とそのランプ性能について説明する。本発光管902は、ガラス管909の横断面形状が「く」の字状になっており、その管短内径D1が4.0mm、管内外径D2が7.4mmで、電極間距離が380mmとなっている。発光管902は、上記の第6の実施の形態と同様に、5周巻きの螺旋形状に形成され、その大きさが、直径φhが36mm、長さLhが60mmになっている。
【0120】
ランプは、全体の大きさとして、ランプ径φが55mm、ランプ長Lが100mmであり、白熱電球60W品種(ランプ径φ=60mm、ランプ長L=110mm)に対して小さくなっている。次に、上記構成のランプにおける性能について説明する。まず、ランプ入力11Wで口金上点灯したとき、ランプ始動時での光束立上り特性が、従来一般蛍光ランプと同等の特性を示し、また、ランプ電流約71mAにおいて光束830lmを得、75.5lm/Wの高いランプ効率が得られた。
【0121】
このランプ効率は、上記第6の実施形態における1.b)で説明した、ガラス管の横断面が楕円状のものを使用したランプよりも、2.6%改善されている。なお、本ランプにおいても、上記の各実施におけるランプと同様に、6000時間以上のランプ寿命を有していることを確認している。なお、このような形状した場合であっても、図17の(c)に示すような、溝部925の横断面形状を「く」の字形状にすることで、ガラス管931の横断面が、「く」の字形状に容易に成形できる。
【0122】
第6の実施の形態及び図16で示した各ガラス管609、909の横断面における第1の径D1の方向は、水平方向に対して旋回角度傾斜した方向と一致しているが、本発明では、このような場合も旋回軸に略直交する方向に含まれるものとしている。また、上記の実施の形態及び変形例では、ガラス管609、909の内周と外周の形状を略同一にしているが、例えば、内周の形状が楕円形状で、外周の形状が円形状のように内外周の形状を同一にしなくても良い。
3.水銀の封入形態について
上記各実施の形態では、基本的に水銀が発光管内に主アマルガムでなく単体の形態で封入され存在しているが、この場合電極近傍などに従来技術による小形の補助アマルガム、例えばインジウムInメッキされたステンレスメッシュ等が付設されても良い。つまり、小形補助アマルガムであれば、封入水銀の一部がこれに吸着されるだけであり、発光管内には十分な水銀が単体と存在しているので、光束立上り特性が悪くなることはない。
【0123】
また、上記の各実施の形態は、水銀を単体形態で発光管内に封入しているが、ランプ効率が、水銀を単体形態で封入したものに対して、さほど悪くならない範囲内であれば、水銀に主アマルガムを若干付加して使用しても良い。なお、ここでの主アマルガムは、In、Pbを主成分とする主アマルガム、具体的には、BiIn、BiPbSn、InPb、BiIn、InPbSn等である。
【0124】
さらに、水銀は単体形態で封入されているが、例えば、水銀単体での水銀蒸気圧特性と略同等な特性を有するものであればアマルガム形態をとっても良い。このようなものとしては、In、Pbを主成分としないアマルガム形態、具体的には、ZnHg、FeHg、BiHg、BiSnHg、SnHg等があり、これらの内の1つを使用しても良いし、或いはこれらを複数使用横しても良い。この場合においても、ランプ効率が、水銀を単体形態で封入したものに対して、さほど悪くならない範囲内であれば、BiIn、BiPbSn、InPb、BiIn、InPbSn等の他のアマルガムを使用しても良い。
4.熱伝導性媒体について
上記各実施の形態では、発光管の下端部と外管バルブの内壁の下端部とを、シリコン樹脂により結合しているが、ランプ点灯中の発光管の熱を外管バルブ側に伝えることができれば良い。つまり、熱的に結合されておれば良い。例えば、シリコン樹脂と発光管の下端部とは結合されていなくても当接しておれば良く、また、消灯時は、シリコン樹脂と発光管とは接触しておらず、ランプ点灯後にシリコン樹脂が膨張して発光管に密着するようにしても良い。但し、シリコン樹脂と発光管、或いはシリコン樹脂と外管バルブとが結合されていない場合は、結合したものに比べて、発光管の温度低下の割合が小さくなるが、発光管の温度を低下させるという効果はある程度得ることはできる。
【0125】
また、発光管の熱を外管バルブに効率的に伝えるには、発光管から熱伝導性媒体への伝熱量を増やせば良く、発光管と熱伝導性媒体との結合面積を増加させる拡張部を発光管に設けても良い。具体的には、この拡張部は、図18に示すように、発光管の下端部の一部を外管バルブ側に凸状に膨らませた凸部18、或いは図19に示すように、発光管の下端部に位置するガラス管の径が太い大径部19等により構成されている。なお、図18及び図19は、凸部18及び大径部19は、第1の実施の形態におけるランプ1に適用させた例を示している。
【0126】
なお、これらの拡張部を設けることにより、発光管の最冷点温度Tはさらに1〜2℃低下されて、それだけランプ効率が一層改善されることも確かめられた。この拡張部は、ガラス管の対応する部分を加熱して軟化させて、ガラス管内に圧力制御されたガスを注入することで容易に成形できる。
【産業上の利用可能性】
【0127】
本発明に係る電球形蛍光ランプ及び発光管の製造方法は、ランプ効率を現行品以上に向上させるのに利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】本発明の第1の実施の形態における電球形蛍光ランプの一部を切り欠いた全体構成を示す正面図である。
【図2】(a)は本発明の第1の実施の形態における発光管の一部を切り欠いた構成を示す正面図であり、(b)は、発光管の下面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態を示す発光管を成形するためにガラス管を成形冶具に巻き付ける工程を説明するための正面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態を示す発光管を成形するためにガラス管を成形冶具に巻き付ける工程を説明するための平面図である。
【図5】発光管が最大の光束を発する温度と管内径との関係を示す図である。
【図6】白熱電球60W代替用として、発光管の管内径と発光管の電極間距離との関係を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態を示す発光管の正面図である。
【図8】白熱電球100W代替用として、発光管の管内径と発光管の電極間距離との関係を示す図である。
【図9】白熱電球100W代替用高光束形23W品種として、発光管の管内径と発光管の電極間距離との関係を示す図である。
【図10】白熱電球40W代替用として、発光管の管内径と発光管の電極間距離との関係を示す図である。
【図11】本発明の第5の実施の形態における電球形蛍光ランプの一部を切り欠いた全体構成を示す正面図である。
【図12】本発明の第6の実施の形態における電球形蛍光ランプの一部を切り欠いた全体構成を示す正面図である。
【図13】本発明の第6の実施の形態における発光管を成形するためにガラス管を成形冶具に巻き付けた状態を示す縦断面図である。
【図14】ガラス管の横断面形状が楕円形状と円形状における電極間距離の違いを説明するための図である。
【図15】横断面形状が楕円形状にガラス管において、管短内径と管長内径との比率と、ランプ効率の改善割合との関係を示す図である。
【図16】発光管を形成するガラス管の横断面の形状の変形例を示す図である。
【図17】変形例の発光管を成形するためにガラス管を成形冶具に巻き付けた状態を示す縦断面図である。
【図18】発光管の電極側と反対側の端部に拡張部を設けた例を示す図である。
【図19】発光管の電極側と反対側の端部に拡張部を設けた例を示す図である。
【符号の説明】
【0129】
1、501、601 ランプ
2、202、502、602、902 発光管
4 ケース
5 口金
6、506、606 外管バルブ
7、8 電極
9、209、509、609 ガラス管
10、210 折り返し部
15、515、615 シリコン樹脂
16、516、616 最冷点箇所
20、920 成形冶具
30 ガラス管
A 旋回軸
φi ガラス管の内径
Le 電極間距

【特許請求の範囲】
【請求項1】
螺旋状に湾曲するガラス管を有する発光管を備え、前記ガラス管の横断面の内周が非円形状をしていることを特徴とする電球形蛍光ランプ。
【請求項2】
前記ガラス管は旋回軸廻りに旋回され、前記ガラス管の横断面の内周において、前記旋回軸と略直交する方向の第1の径が、前記旋回軸と略平行な方向の第2の径より小であることを特徴とする請求項1に記載の電球形蛍光ランプ。
【請求項3】
前記ガラス管の横断面形状が略楕円であることを特徴とする請求項2に記載の電球形蛍光ランプ。
【請求項4】
前記ガラス管の横断面形状が「く」の字形状をしていることを特徴とする請求項2に記載の電球形蛍光ランプ。
【請求項5】
前記第1の径をD1(mm)、前記第2の径をD2(mm)としたとき、D2の値が5mm以上9mm以下であり、且つD1の値が3mm以上D2未満であることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の電球形蛍光ランプ。
【請求項6】
前記発光管は、前記ガラス管の両端部に電極を備え、
前記発光管内の電極間距離をLe(mm)とし、前記D1と前記Leとを直交座標(D1、Le)で表すときに、前記(D1、Le)が、点(3.0、445)、点(7.4、275)、点(9.0、290)、点(9.0、360)及び点(3.0、855)の各点により囲まれた範囲内に規定されていることを特徴とする請求項5に記載の電球形蛍光ランプ。
【請求項7】
前記発光管は、前記ガラス管の両端部に電極を備え、
前記発光管内の電極間距離をLe(mm)とし、前記D1と前記Leとを直交座標(D1、Le)で表すときに、前記(D1、Le)が、点(3.0、840)、点(7.4、530)、点(9.0、560)、点(9.0、620)及び点(3.0、1085)の各点により囲まれた範囲内に規定されていることを特徴とする請求項5に記載の電球形蛍光ランプ。
【請求項8】
前記発光管は、前記ガラス管の両端部に電極を備え、
前記発光管内の電極間距離をLe(mm)とし、前記D1と前記Leとを直交座標(D1、Le)で表すときに、前記(D1、Le)が、点(3.0、975)、点(7.4、570)、点(9.0、600)、点(9.0、670)及び点(3.0、1165)の各点により囲まれた範囲内に規定されていることを特徴とする請求項5に記載の電球形蛍光ランプ。
【請求項9】
前記発光管は、前記ガラス管の両端部に電極を備え、
前記発光管内の電極間距離をLe(mm)とし、前記D1と前記Leとを直交座標(D1、Le)で表すときに、前記(D1、Le)が、点(3.0、330)、点(7.4、200)、点(9.0、230)、点(9.0、320)及び点(3.0、725)の各点により囲まれた範囲内に規定されていることを特徴とする請求項5に記載の電球形蛍光ランプ。
【請求項10】
前記ガラス管は、前記ガラス管の両端間の略中央に折り返し部を有し、前記ガラス管は、一方の端部から旋回軸廻りを旋回しながら前記折り返し部に向かう第1の旋回部と、前記折り返し部から前記第1の旋回部の旋回軸廻りを旋回しながら他方の端部に向かう第2の旋回部とを有する2重螺旋形状をしていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の電球形蛍光ランプ。
【請求項11】
前記ガラス管は、前記電極を封装する部分が円形断面をしていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の電球形蛍光ランプ。
【請求項12】
前記発光管の内部に、水銀がアマルガム形態をとらずに略単体形態で封入されていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の電球形蛍光ランプ。
【請求項13】
前記発光管を内包する外管バルブを備え、
前記ガラス管は、前記折り返し部周辺が前記外管バルブに熱伝導性媒体を介して結合されていることを特徴とする請求項10に記載の電球形蛍光ランプ。
【請求項14】
前記熱伝導性媒体により結合されている前記ガラス管の折り返し部と前記外管バルブとの間隔が6.0mm以下であることを特徴とする請求項13に記載の電球形蛍光ランプ。
【請求項15】
前記熱伝導性媒体として、金属、ゴム、樹脂のいずれかを用いたことを特徴とする請求項13又は14に記載の電球形蛍光ランプ。
【請求項16】
前記熱伝導性媒体として、透過性のシリコン樹脂を用いたことを特徴とする請求項15に記載の電球形蛍光ランプ。
【請求項17】
前記発光管における前記熱伝導性媒体と結合する部分に、前記熱伝導性媒体との結合面積を拡張させる拡張部が形成されていることを特徴とする請求項13〜16のいずれか1項に記載の電球形蛍光ランプ。
【請求項18】
前記ガラス管は、前記折り返し部と、この折り返し部につながる第1及び第2の旋回部との隙間が、ガラス管の折り返し部の外径より小であることを特徴とする請求項10、13、14のいずれか1項に記載の電球形蛍光ランプ。
【請求項19】
軟化状態のガラス管を、成形冶具の外周面に形成されている螺旋状の溝部に沿って巻き付けて螺旋状の発光管を製造する方法であって、
前記溝部の横断面形状が非円弧状であることを特徴とする発光管の製造方法。
【請求項20】
前記溝部の横断面形状が、旋回軸方向と略平行な方向が長径となる楕円形の一部と略一致していることを特徴とする請求項19に記載の発光管の製造方法。
【請求項21】
前記溝部の横断面形状が、「く」の字形であることを特徴とする請求項19に記載の発光管の製造方法。
【請求項22】
前記溝部は、前記成形冶具の頂部から基部に向かう2重螺旋状になっており、
前記頂部に前記ガラス管の略中央部を位置決めした状態で、前記成形冶具にガラス管を巻き付けて2重螺旋状の発光管を得ることを特徴とする請求項19〜21のいずれか1項に記載の発光管の製造方法。
【請求項23】
前記ガラス管を前記成形冶具に巻き付ける際に、ガラス管内に圧力流体を封入することを特徴とする請求項19〜22のいずれか1項に記載の発光管の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2008−147198(P2008−147198A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−15321(P2008−15321)
【出願日】平成20年1月25日(2008.1.25)
【分割の表示】特願2002−96615(P2002−96615)の分割
【原出願日】平成14年3月29日(2002.3.29)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】