説明

電球用ソケット及び照明装置

【課題】前側の操作レバーと後側の反射器のいずれを操作しても電球の着脱操作を行うことができ、操作レバーで電球交換を行っているときには反射器が俯伏しない、電球用ソケット及び照明装置を提供すること。
【解決手段】反射器21を俯伏状態にすると、後側ピン受けホルダー12b及び後側ピン受け金具13bを後方へ移動することができ、両ピン受けホルダー12a,12bの間が開くので、電球Lを交換できる。反射器21を起立状態にすると、ピン受け金具13a,13bが電球Lの口金ピンL1を挟持する。操作レバー17を電球抜き差し自在側へ傾斜させると、ピン受け金具13a,13bによる電球Lの口金ピンL1の挟持が解除状態になるので、電球Lを交換できる。操作レバー17を電球挟持側へ傾斜させると、ピン受け金具13a,13bが電球Lの口金ピンL1を挟持する。操作レバー17を電球抜き差し自在側へ傾斜させたとき、反射器21は俯伏状態への揺動が不可になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば劇場舞台やテレビスタジオなどの演出空間において演出照明を行うスポットライト等の照明装置に適用される電球用ソケット及びこの電球用ソケットを備えた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、舞台照明やテレビスタジオ照明などにおいて演出照明を行うための照明装置には、片口金のバイポスト型(2極突出型)のハロゲン電球が、電球用ソケットを介して交換可能に装着されている。
【0003】
この種の電球用ソケットは、例えば特許文献1、特許文献2に開示されている。特許文献1に開示されたスポットライトは、反射器を後方へ倒してハロゲン電球を交換するように構成されている。特許文献2に開示された電球用ソケットは、ピン受けホルダーの開閉を反射鏡の起立・俯伏に連動させておらず、ソケットケースの後側(すなわち、反射鏡と同側)に備えられた作動レバーを揺動操作することによりピン受けホルダーを開閉操作し、ピン受けホルダーの内側のピン受け金具によってハロゲン電球の着脱を行うように構成されている。
【0004】
【特許文献1】実公昭63−17182号公報
【特許文献2】特開2003−59600号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来においては、上記特許文献に示されるように、ハロゲン電球を交換(着脱)する操作手段の位置が、ソケットの前側または後側のいずれか一方であった。このため、特許文献3のものでは、照明装置の灯体内の前寄り位置にハロゲン電球及び反射鏡を位置させて照明を行っている最中にハロゲン電球の交換が必要になる場合には、反射鏡を後方へ俯伏できるのでハロゲン電球の交換に不自由がない。しかし、灯体内の後寄り位置にハロゲン電球及び反射鏡を位置させて照明を行っている最中にハロゲン電球の交換が必要になる場合には、そのままの位置で反射鏡を後方へ俯伏することができないから、ハロゲン電球及び反射鏡を前方へ位置させてから反射鏡を後方へ俯伏しハロゲン電球を交換する、という手順を行うことを余儀なくされ、交換作業が面倒であると共に、反射鏡を起立させると、照明光が広がってしまう事態を回避するために、ハロゲン電球及び反射鏡を元位置の後方へ正しく位置させてから電源を投入するという手順を踏まなければならない不都合があった。
【0006】
特許文献2のものでは、照明装置の灯体内の前寄り位置にハロゲン電球及び反射鏡を位置させて照明を行っている最中にハロゲン電球の交換が必要になる場合には、そのままの位置でソケットケースの後側(すなわち、反射鏡と同側)に備えられた作動レバーを揺動操作しピン受けホルダーを開閉操作することができ、反射鏡を俯伏し、ピン受け金具によってハロゲン電球の着脱を行うことができる。しかし、灯体内の後寄り位置にハロゲン電球及び反射鏡を位置させて照明を行っている最中にハロゲン電球の交換が必要になる場合には、そのままの位置では作動レバーを揺動操作することができないから、ハロゲン電球及び反射鏡を前方へ位置させてから作動レバーを一方側へ揺動操作しかつ反射鏡を後方へ俯伏しハロゲン電球を交換し、作動レバーを他方側へ揺動操作しかつ反射鏡を起立する、という手順を行うことを余儀なくされ、交換作業が面倒であると共に、反射鏡を起立させると、照明光が広がってしまう事態を回避するために、ハロゲン電球及び反射鏡を元位置の後方へ正しく位置させてから電源を投入するという手順を踏まなければならない不都合があった。
【0007】
照明装置をフロントサイド型,シーリング型として使用する場合や、サスペンション型,バトン吊り型として使用する場合においても、電球交換やメンテナンスを行うことができるようする必要があり、照射光の広がり度合いは微細な調整が必要であり、一旦固定した照明装置を動かすことは好ましくない。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みて案出されたもので、その目的とするところは、前側の操作レバーの揺動操作と後側の反射器の俯伏操作のいずれによっても電球の着脱操作を行うことができ、操作レバーで電球交換を行っているときには反射器が俯伏しない、電球用ソケット及び照明装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の電球用ソケットによれば、電球の口金ピンを挟持する一対のピン受け金具を具備した電球用ソケットであって、ソケットケースと、前記ソケットケース内の前側に移動不能に収容された前側ピン受けホルダーと、前記ソケットケース内の後側に収容され前記前側ピン受けホルダーに対して接近離隔自在な後側ピン受けホルダーと、前記両ピン受けホルダーの各内部に備えられ給電コードが接続される電極部を有し後側ピン受けホルダーを前側ピン受けホルダーに接近させるときに電球の口金ピンを挟持する一対のピン受け金具と、前記後側ピン受け金具を後方に付勢する挟持解除用ばねと、前記ソケットケースの前後壁及び前記両ピン受けホルダー内を前後方向に挿通され回動・スライド自在な開閉操作軸と、前記開閉操作軸の後端より延在され後端面が楔状尖端形状のカム面となっている端面カムと、前記開閉操作軸の前端部に設けられ該開閉操作軸を回動させる操作レバーと、前記後側ピン受けホルダーと端面カムとの間に介設され前記後側ピン受けホルダーを前方へ付勢すると共に前記開閉操作軸を後方へ付勢する挟持用ばねと、前記端面カムの後方に前記開閉操作軸の軸延長線と直交して設けられたカム軸の両端に基端を固定され起立状態と俯伏状態との二位置間を揺動する作動レバーと、前記作動レバーに取り付けられ該作動レバーの起立状態のときに反射光軸線が前記電球に対応した位置となり前記電球からの光束を前方へ反射する反射器と、前記カム軸に固設され前記端面カムの楔状尖端に係合する周面カムとを備え、前記周面カムは、前記作動レバーが起立状態のとき前記開閉操作軸の軸心延長線に対して垂直となる第1の平面部と、前記作動レバーが俯伏状態のとき前記開閉操作軸の軸心延長線に対して垂直となる第2の平面部と、前記第1の平面の略中央部にカム軸線方向に設けられた深溝部と、前記第1の平面及び第2の平面にわたり周方向に設けられた浅溝部とを有し、前記端面カムと前記周面カムとは、前記操作レバーを一方側へ傾けるときは、楔状尖端部の稜線方向が前記カム軸の軸線と平行状態になり、該楔状尖端部が前記深溝部に係合し、かつ、前記挟持解除用ばねの付勢により、後側ピン受けホルダー及び後側ピン受け金具を後方へ移動し前記開閉操作軸の前方移動を制限し前記作動レバーの俯伏位置への揺動を不能にするように構成され、また前記操作レバーを他方側へ傾けるときは、楔状尖端部の稜線方向が前記カム軸の軸線と90度異なる状態になり、該楔状尖端部が周面カムの浅溝部に係合し、かつ、前記挟持用ばねの付勢により、後側ピン受けホルダー及び後側ピン受け金具を前方へ移動すると共に前記作動レバーの俯伏位置への揺動を可能にするように構成された、ことを特徴とする。
また本発明の照明装置は、上記電球用ソケットを内蔵してなることを特徴とする。
【0010】
本発明の電球用ソケット及び照明装置によれば、使用状態では、操作レバーが他方側(電球挟持側)へ傾いていると共に反射器が起立状態であり、かつ、操作レバーは照明方向の側にあり、操作者の側に反射器の背面が向いている。電球の交換に際し、反射器の背面が操作者の側に向いた状態で向きを直しにくく使用状態のままで電球を交換する必要があるときは、操作者から離れた側の操作レバーの揺動操作がやりにくいので、作動レバーに支持された反射器を起立状態から俯伏状態にして、手前を開放して電球の交換を行う。反射器を俯伏状態にすると、後側ピン受けホルダー及び後側ピン受け金具を後方へ移動することができ、両ピン受けホルダーの間が開くので、電球を抜き取る。両ピン受けホルダー及び両ピン受け金具の間に新しく使用する電球の口金ピンを差し込んで、作動レバーに支持された反射器を俯伏状態から起立状態にさせると、後側ピン受けホルダー及び後側ピン受け金具が前方へ移動し両ピン受け金具が電球の口金ピンを挟持する。
他方、電球の交換に際し、使用状態から180度向きを変えて、操作レバーを操作者の側に向けた持ち方をすることができるときは、この持ち方に変えて操作レバーを揺動容易な状態にして操作レバーを操作して電球の交換を行う。操作レバーを他方側(電球挟持側)に傾斜した状態から一方側(電球抜き差し自在側)へ傾斜させると、後側ピン受けホルダー及び後側ピン受け金具を後方へ移動することができ、両ピン受けホルダーの間が開き、両ピン受け金具による電球の口金ピンの挟持が解除状態になるので、電球を抜き取る。そして、両ピン受けホルダー及び両ピン受け金具の間に新しく使用する電球の口金ピンを差し込んで、操作レバーを他方側(電球挟持側)へ傾斜させると、後側ピン受けホルダー及び後側ピン受け金具が前方へ移動し、両ピン受け金具が電球の口金ピンを挟持する。操作レバーを他方側(電球挟持側)に傾斜した状態から一方側(電球抜き差し自在側)へ傾斜させるとき、反射器は起立状態から俯伏状態への揺動が不可になっているので、操作に関係なく向こう側に倒れてしまった反射器を操作者が起立させるという不具合な動作の発生を回避できる。
以上のように、前側に設けた操作レバーの揺動、及び、反射器を支持する作動レバーの起立と俯伏のいずれにも連動にして、後側ピン受けホルダー及び後側ピン受け金具を移動することができるから、電球と反射器が灯体内の前側寄りと後側寄りのいずれにあっても電球と反射器の位置をそのままにしてスペースの空いている後側または前側から電球の着脱操作を行うことができ、前側から電球交換を行うに際して後側の反射器が操作しないのに俯伏してしまうことを回避でき、セットに余計な手間がかかることを回避できる。
【0011】
本発明の電球用ソケットは、前記端面カムの楔状尖端部の一側と前記周面カムの深溝部の一側とに一対に設けられていて、前記操作レバーが前記一方側へ傾斜した状態で、前記作動レバーが起立状態のときに互いに係合する前倒れ防止手段を備えていることが好ましい。
この構成にすると、作動レバーの起立状態を超えた前方への揺動を不可とすることができ、照明方向を正確に規制できる。
【0012】
本発明の電球用ソケットは、前記電球が、突出する2極の口金ピンを有する電球であり、前記一対のピン受け金具は該電球の口金ピンに対応して、前記両ピン受けホルダーの幅方向に対し左右二箇所に配されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明に電球用ソケットによれば、前側の操作レバーの揺動操作と後側の反射器の俯伏操作のいずれによっても電球の着脱操作を行うことができ、操作レバーで電球交換を行っているときには反射器が俯伏しない電球用ソケットを提供することができる。
また、本発明に照明装置によれば、本発明に電球用ソケットの効果を有するので、電球と反射器が灯体内の前側寄りと後側寄りのいずれにあっても電球と反射器の位置をそのままにしてスペースの空いている後側または前側から電球の着脱操作を行うことができ、前側から電球交換を行うに際して後側の反射器が操作しないのに俯伏してしまうことを回避でき、セットに余計な手間がかかることを回避できる、照明装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0015】
〔第1の実施の形態〕
図1は、この実施の形態に係る照明装置100の縦断側面図である。図1に示すように、照明装置100は、ワンタッチで開閉自在で上方及び後方を大きく開放するカバー1aを有し、カバー取付時は不要光を遮光する灯体1と、灯体1の前面壁に設けられスポット光を構成し投影する投影光学系2と、灯体1内の左右両側に平行に配設されかつ両端を灯体1の前面壁と後面壁とに軸支されたねじが長リードである一対の送りねじ3と、電球用ソケット10と、電球用ソケット10のソケットケース11の左右両端のフランジ部下面に固定され各側の送りねじ3と螺合されたナットランナー4と、灯体1の後面壁外面に設けられたハンドル5と、ハンドル5の回転を一対の送りねじ3に伝達する回転伝達機構6とを有してなる。
【0016】
電球用ソケット10には、電球Lの口金ピンL1を挟持する一対のピン受け金具13a,13bを具備し、両ピン受け金具13a,13bにより口金ピンL1を有する電球Lを交換可能に備え、電球Lの後側に反射器21を備えている。
【0017】
従って、照明装置100は、ハンドル5を回転することにより、一対の送りねじ3を回転し、電球用ソケット10を前進または後退して、投影光学系2から投射されるスポットライトの大きさを調整自在であり、使用中に電球Lの交換が必要になったときは、電球用ソケット10の機能により、ピン受け金具13a,13bを離間させて電球Lの交換を行う。電球Lの交換には、前側が開いている場合には前側の操作レバー17の揺動操作により、また、後側が開いている場合には反射器21を後方へ俯伏することにより行えるように構成されている。ピン受け金具13a,13bが離間するときは、給電コードCからピン受け金具13a,13bへの給電が行われないようになっているように構成されているものとする。この構成は、特許文献2に記載されている構成を採用する。
【0018】
図2(a),(b)、図3は、電球用ソケット10の動作状態が異なる縦断側面図である。図4、図5は、電球用ソケット10の動作状態が異なる斜視図である。これらの図から分かるように、電球用ソケット10は、ソケットケース11と、一対のピン受けホルダー12a,12bと、一対のピン受け金具13a,13bと、挟持解除用ばね14と、開閉操作軸15と、端面カム16と、操作レバー17と、挟持用ばね18と、作動レバー20と、反射器21と、周面カム22とを備えている。
【0019】
ソケットケース11は、上端両側にフランジ部を有し上下方向に開放した矩形孔を有する枠状の成形体であり、送りねじ3に螺合するナットランナー4に載置されねじで固定される。
【0020】
前側ピン受けホルダー12aは、ソケットケース11の矩形孔内の前側に移動不能に収容されている。後側ピン受けホルダー12bは、ソケットケース11の矩形孔内の後側に収容され案内手段(不図示)により前側ピン受けホルダー12aに対して接近離隔自在に案内されている。
【0021】
一対のピン受け金具13a,13bは、両ピン受けホルダー12a,12bの各内部に備えられている。一対のピン受け金具13a,13bは、導電性金属製の略半筒形状であり、下部に給電コードCが接続される電極部13a’,13b’を有している。一対のピン受け金具13a,13bは、後側ピン受けホルダー12bを前側ピン受けホルダー12aに接近させるときに電球Lの口金ピンL1を挟持するように構成されている。なお、ここでは、電球Lは、片口金タイプのバイポスト型(2極突出型)のハロゲン電球を示している。電球用ソケット10は、一対の口金ピンL1を挟持する二対のピン受け金具13a,13bをソケット幅方向に備えている。電球Lは、2極の口金ピンが突出する電球であればよい。
【0022】
挟持解除用ばね14は、U字状板であり、一端を前側ピン受け金具13aに固定され、他端を後側ピン受け金具13bに固定され、後側ピン受け金具13bを後方に付勢するように取り付けられ、開閉操作軸15が後方へ移動し挟持用ばね18が緩むときに、後側ピン受け金具13bの付勢が効いて後側ピン受け金具13b及び後側ピン受けホルダー12bを後方へ押動するように構成されている。
【0023】
開閉操作軸15は、回動・スライド自在になるように、ソケットケース11の前後壁及び両ピン受けホルダー12a,12b内を前後方向に挿通されている。
【0024】
端面カム16は、開閉操作軸15の後端より延在され後端面が、頂角が例えば60度〜90度の楔状尖端形状のカム面16aとなっている。
【0025】
操作レバー17は、開閉操作軸15の前端部に、該開閉操作軸15の前後方向の軸方向移動のときに該開閉操作軸15に対して滑り対偶するように係合されていて、開閉操作軸15の軸心に関し垂直面内に扇状に揺動することにより該開閉操作軸15を回動させ得るように構成されている。
【0026】
挟持用ばね18は、この実施形態では、挟持用ばね18は、コイルばね18aと波板ばね18bとからなり、作用分担する構成である。コイルばね18aは、開閉操作軸15の外周に配置されかつ端面カム16の前側端面に当接されている。コイルばね18aは、ソケットケース11の外側に位置され前側の波板ばね18bに当接している。波板ばね18bは、ソケットケース11の後面壁に設けられた開口に面していて、コイルばね18aの押圧力を後側ピン受けホルダー12bに対して片側へ偏らないように左右に均等に分散して伝える役目を果たす。付勢状態と付勢解除状態との変位は、主にコイルばね18aにおいて生じるようになっている。
挟持用ばね18は、開閉操作軸15の後側ピン受けホルダー12bと端面カム18との間に介設されているから、後側ピン受けホルダー12bを前方へ付勢すると共に開閉操作軸15を後方へ付勢するように構成されている。
【0027】
作動レバー20は、反射器21を支持し、基端をソケットケース11の後面壁に固定されたブラケット23に両端支持されるカム軸19に固定されている。カム軸19は、端面カム16の後方に開閉操作軸15の軸延長線と直交して設けられている。カム軸19の中程に周面カム22が固定されている。この実施形態では、反射器21を支持するフレームについても作動レバー20に含めているが、分割して構成しても良い。
【0028】
作動レバー20は、カム軸19を回転中心として回動し起立状態と俯伏状態との二位置間を揺動するように構成されている。端面カム16と周面カム22とは、挟持用ばね18の付勢により常に係合するように構成されている。
【0029】
反射器21は、作動レバー20に取り付けられ該作動レバー20の起立状態のときに反射光軸線が電球Lに対応した位置となり電球Lからの光束を前方へ反射する
【0030】
周面カム22について詳述する。
周面カム22は、カム軸19の回転中心からの距離が大きい第1の平面部22aと、カム軸19の回転中心からの距離が小さい第2の平面部22bと、第1の平面22aの略中央部にカム軸線方向に設けられた深溝部22cと、第1の平面22a及び第2の平面22bにわたり周方向に設けられた浅溝部22bとを有し、周面カム22の深溝部22cの一側に垂直突起部(前倒れ防止手段)22eが形成されている。
第1の平面部22aは、作動レバー20が起立状態のとき前記開閉操作軸15の軸心延長線に対して垂直となる。第2の平面部22bは、作動レバー20が俯伏状態のとき前記開閉操作軸15の軸心延長線に対して垂直となる。深溝部22cは、第1の平面22aの略中央部にカム軸線方向に設けられカム軸線方向に視て三角形である。浅溝部22bは、第1の平面22a及び第2の平面22bにわたり周方向に設けられている。端面カム16の楔状尖端部16aの一側に切り欠き(前倒れ防止手段)16bが形成されている(図6参照)。
【0031】
端面カム16と前記周面カム22との相関関係について詳述する。
図2(a)、図4は、電球Lを取り付けた使用状態を示す。図2(b)は、操作レバー17の操作により電球Lを着脱自在な電球交換時の状態を示す。図3、図5は、作動レバー20の俯伏操作により電球Lを着脱自在な電球交換時の状態を示す。
操作レバー17を一方側(電球抜き差し自在側)へ傾けたときは、楔状尖端部16aの稜線方向がカム軸19の軸線と平行状態になり、挟持用ばね18の付勢によりカム軸19が後方へ移動し該楔状尖端部16aが深溝部22cに係合するように構成されている。このとき、挟持解除用ばね14の付勢により、後側ピン受けホルダー12b及び後側ピン受け金具13bを後方へ移動するように構成されている。従って、両ピン受け金具13a,13b間が開き電球Lの口金ピンL1を抜き差し自在になる(図2(b)参照)。
後側ピン受けホルダー12b及び後側ピン受け金具13bを後方へ移動した状態では、開閉操作軸15の前方方向の許容ストロークは、コイルばね18aの圧縮寸法に制限され、この許容ストロークは、楔状尖端部16aが深溝部22cから脱出するために必要なストロークよりも小さくなるように設定されている。このように、開閉操作軸15の前方移動を制限しているので、作動レバー20を俯伏方向に揺動しても、楔状尖端部16aが深溝部22cから脱出するように移動できないから、操作レバー17を一方側(電球抜き差し自在側)へ傾けたときは、作動レバー20の俯伏位置への揺動が不能に構成されている(図2(b)参照)。
楔状尖端部16aが深溝部22cに係合した状態では、端面カム16の楔状尖端部16aの一側に形成された切り欠き(前倒れ防止手段)16bと、周面カム22の深溝部22cの一側に形成された垂直突起部(前倒れ防止手段)22eが係合し、作動レバー20を起立状態から前倒れさせることができないことにより、照明方向を正確に規制できるように構成されている。
【0032】
操作レバー17を一方側(電球抜き差し自在側)へ傾けた状態から他方側(電球挟持側)へ傾けると、端面カム16の楔状尖端部16aが開閉操作軸15を前方に移動する推力を深溝部22cとの楔作用により生起して該深溝部22cから脱出することができるように構成されている。
【0033】
そして、操作レバー17を他方側(電球挟持側)へ傾けたときは、楔状尖端部16aの稜線方向がカム軸19の軸線と90度異なる状態になり、該楔状尖端部16aが周面カム22の浅溝部22dに係合するように構成されている。操作レバー17を一方側(電球抜き差し自在側)へ傾けた状態から他方側(電球挟持側)へ傾けると、第1の平面部22aの回転中心からの距離が大きいので、開閉操作軸15が前方に移動することになるから、端面カム16が挟持用ばね18(コイルばね18aと波板ばね18b)を前方へ圧縮状態に押しやることになり、コイルばね18aの付勢により、後側ピン受けホルダー12b及び後側ピン受け金具13bを前方へ移動する。従って、対向するピン受けホルダー12a,12bによって支持されたピン受け金具13a,13bが、電球Lの口金ピンL1を挟持することができるようになっており、給電コードCから電球Lに給電されるように構成されている(図2(a)、図4参照)。
【0034】
そして、操作レバー17を他方側(電球挟持側)へ傾けて、端面カム16の楔状尖端部16aが周面カム22の第1の平面部22aに位置する浅溝部22dに係合した状態では、開閉操作軸15が前進していてコイルばね18aが圧縮されているが、作動レバー20を起立状態から俯伏方向に揺動していくと、開閉操作軸15が周面カム22によってさらに前方へ押されてコイルばね18aが圧縮されていく。端面カム16の楔状尖端部16aが周面カム22の浅溝部22dに係合した状態で周面カム22の第1の平面部22aと第2の平面部22bのと角部に至ると、コイルばね18aの圧縮がほぼ限界に達するように設定されているので、操作レバー17を他方側(電球挟持側)へ傾けた状態では、作動レバー20を起立状態から俯伏状態に揺動することがぎりぎり可能であるように構成されている((図2(a)、図3(b)参照)。
この関係は、図中寸法に関し、a1>a2>a3>a4>a5の関係にして、a2の段階ではコイルばね18aの圧縮が限界になるように設定されていることにより、操作レバー17を他方側(電球挟持側)へ傾けた状態では、作動レバー20を起立状態から俯伏状態に揺動することがぎりぎり可能であり、操作レバー17を一方側(電球抜き差し自在側)に傾いた状態から、他方側(電球挟持側)へ揺動するときに、a2からa1へ移行しようとするので、揺動が制限される。
【0035】
(電球用ソケット10の動作について)
使用状態では、操作レバー17が他方側(電球挟持側)へ傾いていると共に反射器21が起立状態であり、かつ、操作レバー17は照明方向の側にあり、操作者の側に反射器21の背面が向いている。電球Lの交換に際し、反射器21の背面が操作者の側に向いた状態で向きを直しにくく使用状態のままで電球Lを交換する必要があるときは、操作者から離れた側の操作レバー17の揺動操作がやりにくいので、作動レバー20に支持された反射器21を起立状態から俯伏状態にして、手前を開放して電球Lの交換を行う。反射器21を俯伏状態にすると、後側ピン受けホルダー12b及び後側ピン受け金具13bを後方へ移動することができ、両ピン受けホルダー12a,12bの間が開くので、電球Lを抜き取る。両ピン受けホルダー12a,12b及び両ピン受け金具13a,13bの間に新しく使用する電球Lの口金ピンL1を差し込んで、作動レバー20に支持された反射器21を俯伏状態から起立状態にさせると、後側ピン受けホルダー12b及び後側ピン受け金具13bが前方へ移動し両ピン受け金具13a,13bが電球Lの口金ピンL1を挟持する。
【0036】
また電球Lの交換に際し、使用状態から180度向きを変えて、操作レバー17を操作者の側に向けた持ち方をすることができるときは、この持ち方に変えて操作レバー17を揺動容易な状態にして操作レバー17を操作して電球Lの交換を行う。て操作レバー17を他方側(電球挟持側)に傾斜した状態から一方側(電球抜き差し自在側)へ傾斜させると、後側ピン受けホルダー12b及び後側ピン受け金具13bを後方へ移動することができ、両ピン受けホルダー12a,12bの間が開き、両ピン受け金具13a,13bによる電球Lの口金ピンL1の挟持が解除状態になるので、電球Lを抜き取る。そして、両ピン受けホルダー12a,12b及び両ピン受け金具13a,13bの間に新しく使用する電球Lの口金ピンL1を差し込んで、操作レバー17を他方側(電球挟持側)へ傾斜させると、後側ピン受けホルダー12b及び後側ピン受け金具13bが前方へ移動し、両ピン受け金具13a,13bが電球Lの口金ピンL1を挟持する。操作レバー17を他方側(電球挟持側)に傾斜した状態から一方側(電球抜き差し自在側)へ傾斜させるとき、反射器21は起立状態から俯伏状態への揺動が不可になっているので、操作に関係なく向こう側に倒れてしまった反射器21を操作者が起立させるという不具合な動作の発生が回避される。
【0037】
〔その他の実施の形態〕
本発明は上記実施の形態にこれに限定されるものでなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨を逸脱しない範囲内での種々、設計変更した形態を技術的範囲に含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】第1の実施の形態に係る照明装置を示す縦断側面図である。
【図2】図1の照明装置に備えた電球用ソケットの縦断側面図であり、(a)は使用状態を示し、(b)は電球交換時の状態を示す。
【図3】図2の電球用ソケットの他の状態の縦断側面図であり、反射器を俯伏操作して電球交換時の状態を示す。
【図4】図2の電球用ソケットの使用状態を示す斜視図である。
【図5】図2の電球用ソケットの、反射器を俯伏操作して電球交換時の状態を示す斜視図である。
【図6】図2の電球用ソケットの端面カムと周面カムとの関係を示す概略拡大図である。
【符号の説明】
【0039】
100 照明装置
10 電球用ソケット
11 ソケットケース
12a 前側ピン受けホルダー
12b 後側ピン受けホルダー
13a 前側ピン受け金具
13b 後側ピン受け金具
C 給電コード
14 挟持解除用ばね
15 開閉操作軸
16 端面カム
16a 楔状尖端部
16b 切り欠き(前倒れ防止手段)
17 操作レバー
18 挟持用ばね
18a コイルばね
18b 波板ばね
19 カム軸
20 作動レバー
21 反射器
22 周面カム
22a 第1の平面部
22b 第2の平面部
22c 深溝部
22d 浅溝部
22e 垂直突起部(前倒れ防止手段)
22b 第2の平面部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電球の口金ピンを挟持する一対のピン受け金具を具備した電球用ソケットであって、
ソケットケースと、
前記ソケットケース内の前側に移動不能に収容された前側ピン受けホルダーと、
前記ソケットケース内の後側に収容され前記前側ピン受けホルダーに対して接近離隔自在な後側ピン受けホルダーと、
前記両ピン受けホルダーの各内部に備えられ給電コードが接続される電極部を有し後側ピン受けホルダーを前側ピン受けホルダーに接近させるときに電球の口金ピンを挟持する一対のピン受け金具と、
前記後側ピン受け金具を後方に付勢する挟持解除用ばねと、
前記ソケットケースの前後壁及び前記両ピン受けホルダー内を前後方向に挿通され回動・スライド自在な開閉操作軸と、
前記開閉操作軸の後端より延在され後端面が楔状尖端形状のカム面となっている端面カムと、
前記開閉操作軸の前端部に設けられ該開閉操作軸を回動させる操作レバーと、
前記後側ピン受けホルダーと端面カムとの間に介設され前記後側ピン受けホルダーを前方へ付勢すると共に前記開閉操作軸を後方へ付勢する挟持用ばねと、
前記端面カムの後方に前記開閉操作軸の軸延長線と直交して設けられたカム軸の両端に基端を固定され起立状態と俯伏状態との二位置間を揺動する作動レバーと、
前記作動レバーに取り付けられ該作動レバーの起立状態のときに反射光軸線が前記電球に対応した位置となり前記電球からの光束を前方へ反射する反射器と、
前記カム軸に固設され前記端面カムの楔状尖端に係合する周面カムとを備え、
前記周面カムは、
前記作動レバーが起立状態のとき前記開閉操作軸の軸心延長線に対して垂直となる第1の平面部と、
前記作動レバーが俯伏状態のとき前記開閉操作軸の軸心延長線に対して垂直となる第2の平面部と、
前記第1の平面の略中央部にカム軸線方向に設けられた深溝部と、
前記第1の平面及び第2の平面にわたり周方向に設けられた浅溝部とを有し、
前記端面カムと前記周面カムとは、
前記操作レバーを一方側へ傾けるときは、楔状尖端部の稜線方向が前記カム軸の軸線と平行状態になり、該楔状尖端部が前記深溝部に係合し、かつ、前記挟持解除用ばねの付勢により、後側ピン受けホルダー及び後側ピン受け金具を後方へ移動し前記開閉操作軸の前方移動を制限し前記作動レバーの俯伏位置への揺動を不能にするように構成され、
また前記操作レバーを他方側へ傾けるときは、楔状尖端部の稜線方向が前記カム軸の軸線と90度異なる状態になり、該楔状尖端部が周面カムの浅溝部に係合し、かつ、前記挟持用ばねの付勢により、後側ピン受けホルダー及び後側ピン受け金具を前方へ移動すると共に前記作動レバーの俯伏位置への揺動を可能にするように構成された、
ことを特徴とする電球用ソケット。
【請求項2】
前記端面カムの楔状尖端部の一側と前記周面カムの深溝部の一側とに一対に設けられていて、前記操作レバーが前記一方側へ傾斜した状態で、前記作動レバーが起立状態のときに互いに係合する前倒れ防止手段を備えた、ことを特徴とする請求項1に記載の電球用ソケット。
【請求項3】
前記電球が、突出する2極の口金ピンを有する電球であり、前記一対のピン受け金具は該電球の口金ピンに対応して、前記両ピン受けホルダーの幅方向に対し左右二箇所に配されている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電球用ソケット。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一に記載の電球用ソケットを内蔵してなる、ことを特徴とする照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−272250(P2009−272250A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−123848(P2008−123848)
【出願日】平成20年5月9日(2008.5.9)
【出願人】(390032573)丸茂電機株式会社 (17)
【Fターム(参考)】