説明

電界発光ディスプレイ用コンフォーマル積層シール

本発明は、ディスプレイコンポーネントが大気汚染物質及び製造のシーリング工程に曝されることを防止する積層シールを組み込んだ電界発光ディスプレイである。密閉型電界発光ディスプレイは、下部多機能ポリマー膜と、電界発光ディスプレイ構造が大気汚染物質に曝されることを防止するバリア層を提供する上部無機物膜と、を備える積層シールによって被覆された厚膜誘電層型電界発光ディスプレイを上部に形成された基板を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電界発光ディスプレイに関する。特に積層シール、その製造方法、及び積層シールを組み込んだ厚膜誘電層型電界発光ディスプレイに関する。積層シールはディスプレイの部品が一つの大気汚染物質にさえ曝されるのを実質的に防止すると共に、ディスプレイ内に形成した蒸気種の除去を補助する。
【背景技術】
【0002】
薄膜発光体と厚膜誘電層を用いるフルカラー厚膜誘電層型電界発光ディスプレイは従来の薄膜電界発光ディスプレイより強い輝度と高い信頼性を提供する。しかしながら、厚膜誘電層型電界発光ディスプレイは水や他の大気中の気体との反応による劣化を受けやすい発光材料と絶縁物質を用いている。その上、使用できるレベルにまで輝度を強化したディスプレイの厚膜誘電層は大気汚染物質との反応による劣化の影響も受けやすく、そして、ディスプレイの稼動中にディスプレイ構成材と反応してしまう水や汚染物質のリザーバとして働く。大気汚染物質は電界発光ディスプレイの寿命を縮めることで知られているので、これらの電界発光ディスプレイを保護し、損害を最小にするためにディスプレイに組み込むための様々なタイプのシールが開発されてきた。
【0003】
米国特許第6,771,019号明細書(その開示内容はその全体が参考としてここに組み込まれている)は厚膜電界発光ディスプレイでの周辺シールの使用を開示している。簡単に説明すると、薄膜発光体は一般的にアドレス可能な電極の対に挟まれ、水や大気汚染物質を通さない熱抵抗基板上に形成されている。発光材料は電極間で生じる電界により活性化される。通常、化学的に不透過なカバープレートが製造されたディスプレイの上に置かれ、基板とカバープレートとの間の発光材料、誘電層、電極を保護するために、基板とカバープレートとの間は周辺シールを用いて密封される。ある場合には、カバープレートはディスプレイの表示側に置かれ(この場合はカバープレートは光学的に透明でなければならない)、他の場合には、ディスプレイは光学的に透明な表示側の基板上に設けられ、カバープレートは表示側とは反対に置かれる。
【0004】
ディスプレイ構造への大気汚染物質の浸入をさらに抑えるために、本出願人の同時係属中の国際特許出願国際公開第2004/067676号(その開示内容はその全体がここに組み込まれている)に例示されているように、ディスプレイ基板とカバープレートとの間にある周辺シール内部に乾燥剤を組み込んでもよい。しかしながら、これらの乾燥剤にも汚染物質を吸収する容量の限界がある。
【0005】
他のタイプのディスプレイで用いるためのシール層も開発されている。例えば、米国特許第5,920,080号明細書は、有機発光ダイオード(OLED)の最上部導体より上にアモルファスカーボンまたはシリコンカーバイトの防湿層を含むトップカバー構造と、さらには防湿層上に例えばバリウム酸化物のような微粒子吸湿体を含むヒートシンクゲル材を備えたシール層を組み込んだ基板上に構成されたOLEDを開示している。ディスプレイ基板上にカバーガラスがあり、各ディスプレイの周りに周辺シールを形成するため基板に結合される。
【0006】
米国特許第6,146,225号明細書は水や酸素が有機発光デバイスへ浸入することを防ぐバリアを開示している。そのバリアは酸化物、オキシナイトライドまたは窒化物を備えた、無機物層を有するポリマー層群を備える。ゲッター材料は無機物層内に、又は、ポリマー層とディスプレイの間の分離層として備えられるが、ゲッターが汚染物質を吸収する容量は有限である。
【0007】
米国特許第6,891,330号明細書は、有機ポリマーと無機物質の多層バリアコーティングで表面がコーティングされた有機電界発光ディスプレイを開示している。
【0008】
米国特許第6,896,979号明細書は、有機無機ハイブリッド物質から作られる有機ELデバイスで用いる膜を開示している。その膜は装置を封入するためにガスバリアとして用いられる。
【0009】
以上の参考文献は、電界発光ディスプレイ用の様々なタイプのシールの使用とのシールの構成について教示する一方で、これらのシールとシールの構成は、ディスプレイの寿命の間、電界発光ディスプレイへの大気汚染物質の進入を十分には抑止していない。それらはディスプレイの稼動中、ディスプレイ構造と反応してしまう厚膜誘電層に溜まる水と他の汚染物質については十分な対処をしていない。それ故、安定な稼動を促進させるために厚膜誘電層型電界発光ディスプレイに適したシールとシーリング工程の必要性が残っている。
【特許文献1】米国特許第6,771,019号明細書
【特許文献2】国際公開第2004/067676号
【特許文献3】米国特許第5,920,080号明細書
【特許文献4】米国特許第6,146,225号明細書
【特許文献5】米国特許第6,891,330号明細書
【特許文献6】米国特許第6,896,979号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明はディスプレイの操作性及び保存性を向上させる働きをする厚膜誘電層型電界発光ディスプレイのための積層シールである。積層シールはポリマー層に接触して被覆する無機物層を備え、発光層と厚膜誘電層型電界発光ディスプレイのトップカバー表示面との間に位置する。本発明の態様では、積層シールはポリマー層を被覆する無機物層を備え、ディスプレイの上部電極の上に備えられるか、あるいは、ディスプレイの青色発光膜と共に用いられる色変換層の上に備えられる。さらに、代わりの実施形態では、積層シールは色変換層を被覆する無機物層を備え、ディスプレイの青色発光画素アレイの上に備えられる。この実施形態において、色変換層は積層シールのポリマー層部として働く。
【0011】
積層シールは一つの無機物層と一つのポリマー層として備えられてもよい。例えば、一つのポリマー層を被覆する一つの無機物層、あるいは、ポリマー層と無機物層が交互に重なる複数層であり、その積層の全体的な厚さがその膜の光学透過率によって限定される。場合によっては、シールが下の画素アレイに十分接着できるためのシールの第一層として、無機物層を有することは望ましく、下の画素アレイ上に第一ポリマー層の適切な湿潤を備えることは望ましい。この場合、最初の無機物層は実質的にピンホールの無い層を提供しない。しかし、第二無機物層と任意の追加無機物層は実質的にピンホールが無い。場合によっては、処理中及びその後の組み立て中に起りうる機械磨耗に対する耐性を与える追加のポリマー層で、一番上の無機物層を被覆することも望ましい。
【0012】
本発明の実施形態では、厚膜誘電層型電界発光ディスプレイ内の積層シールと共に周辺シールが用いられてもよい。カバープレートと基盤の間に備えられる電界発光ディスプレイ構造に悪影響を与える可能性のある大気汚染物質の流量をさらに最小化するために、周辺シールはディスプレイの基盤とカバープレートに延長して接触する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の態様は厚膜誘電層型電界発光ディスプレイ用の積層シールであることに従って、この積層シールは
ポリマー層を被覆する無機物層;
を備える。
【0014】
本発明の態様では、積層シールはディスプレイの上部電極と表示面の間に備えられる。他の態様では、積層シールは青色発光画素アレイを被覆する色変換層に直接隣接して、その頂部上に備えられる。さらなる態様では、積層シールのポリマー層は色変換層であり、前記積層シールは青色発光アドレッサブル電界発光画素アレイの上に備えられる。画素アレイは、下部電極と、厚膜誘電層と、青色発光層と、任意の薄膜誘電層と、上部電極と、を上部に備える。
【0015】
本発明のもう一つ態様では、
ポリマー層を被覆する無機物層と;
前記ポリマー層に隣接する電極と;を備えている積層シール構造を提供する。
態様によって、積層シールは複数層であってもよい。
【0016】
本発明のもう一つ態様では、
ポリマー層を被覆する無機物層と;
前記ポリマー層に隣接する色変換層と;を備えている積層シール構造を提供する。
態様によって、積層シールは複数層であってもよい。
【0017】
本発明のさらにもう一つの態様では、
色変換層を被覆する無機物層と;
前記色変換層に隣接する青色発光層と;を備えている積層シール構造を提供する。
態様によって、積層シールは複数層であってもよい。
【0018】
本発明のさらにもう一つ態様では、
(i)ポリマー層を被覆する無機物層と、該ポリマー層に隣接する上部電極と;
(ii)ポリマー層を被覆する無機物層と、該ポリマー層に隣接する色変換層と;
(iii)色変換層を被覆する無機物層と、該色変換層に隣接する青色発光アドレッサブル電界発光画素アレイと;
からなる群より選ばれた積層シール構造を備えている電界発光ディスプレイを提供する。
【0019】
本発明の態様では、ディスプレイは厚膜誘電層型電界発光ディスプレイである。ディスプレイが厚膜誘電層型電界発光ディスプレイである本発明のいくらかの態様では、ディスプレイは周辺シールを備えてもよい。
【0020】
本発明のさらなる態様に従って、
基板と;
透明カバープレートと;
前記基板と前記カバープレートとの間に位置する青色発光アドレッサブル電界発光画素アレイと;
前記画素アレイの副画素に近接して並んで配置し、該画素アレイにおける少なくともいくつかの画素からの青色光を異なる色の可視光に変換するフォトルミネセンス色変換層と、該色変換層に接着した光学的に透明な無機物層と、を備えた積層シールと;を具備する電界発光ディスプレイ。
画素アレイは順に、下部電極と;厚膜誘電層と;平滑層と;薄膜誘電層と;発光層と;上部薄膜誘電層と;及び上部電極と;を備える。
態様により、ディスプレイはさらに、電界発光画素アレイが大気汚染物質に曝されることを防ぐために、前記基板に接触して該基板から前記カバープレートまで延在する周辺シールを備えてもよい。
【0021】
本発明のさらなる態様に従って、
基板と;
カバープレートと;
前記基板と前記カバープレートとの間に配置する青色発光アドレッサブル電界発光画素アレイと;
前記画素アレイの副画素に付着して並んで配置し、該画素アレイにおける少なくともいくつかの画素からの青色光を異なる色の可視光に変換するフォトルミネセンス色変換層と;
前記色変換層の上部に接触して備えられた積層シールと;を備え、
前記積層シールは前記画素アレイに付着するポリマー層と、該ポリマー層に付着する光学的に透明な無機物シーリング層とを備える、密閉型電界発光ディスプレイ。
態様により、ディスプレイは厚膜誘電層型電界発光ディスプレイである。同じく、態様により、ディスプレイはさらに、電界発光画素アレイが大気汚染物質に曝されることを防ぐために、前記基板に接触して該基板から前記カバープレートまで延在する周辺シールを備えてもよい。
【0022】
本発明のさらなる態様に従って、
基板と;
カバープレートと;
前記基板と前記カバープレートとの間に配置する青色発光アドレッサブル電界発光画素アレイと;
電界発光画素アレイが大気汚染物質に曝されることを防ぐために、前記基板に接触して該基板から前記カバープレートまで延在する周辺シールと;
前記画素アレイ上に蒸着して付着された下部平坦化ポリマー層と該下部ポリマー層上に蒸着された上部無機物シーリング層を備える光学的に透明な二重シーリング構造と;
二重シーリング構造に付着すると共に前記画素アレイの副画素に並んで配置し、画素アレイにおける少なくともいくつかの画素からの青色光を異なる色の可視光に変換するフォトルミネセンス色変換層と;
前記色変換層に付着した光学的に透明な無機物シーリング層と、を具備した、密閉型電界発光ディスプレイ。
【0023】
本発明のもう一つの態様に従って、
基板と;
カバープレートと;
前記基板と前記カバープレートとの間に配置し、厚膜誘電層と青色発光層を備えた電界発光画素アレイと;
電界発光画素アレイが大気汚染物質に曝されることを防ぐために、前記基板に接触して該基板から前記カバープレートまで延在する周辺シールと;
下に位置する画素アレイの上に蒸着される交互のポリマー層と無機物層とを備えるディスプレイ上の複数層シーリング構造と;を具備する密閉型電界発光ディスプレイ。
【0024】
本発明のもう一つの態様に従って、
基板と;
前記基板上に備えられた厚膜誘電層型電界発光画素アレイと;
前記厚膜誘電層型電界発光画素アレイの上方に備えられたディスプレイ内の積層シール構造と;を備え、
前記シール構造は、ディスプレイの上部導体アレイの上に蒸着された下部層と、該下部層の上に蒸着された上部水分不透過層を備え、シール構造の下部層は、シール構造の上部水分不透過層と画素アレイの間の圧力増加を実質的に防止して上部水分不透過層の破断を回避するために、画素アレイからの発散蒸気を吸収またはそれと反応する手段を提供する、密閉型電界発光ディスプレイ。
【0025】
本発明のさらにもう一つの態様に従って、
基板と;
前記基板上に備えられた電界発光画素アレイと;
ディスプレイの上部導体アレイの上に蒸着された下部層と、該下部層の上に蒸着された上部水分不透過層を備えたディスプレイのシール構造と;を備え、
シール構造の下部層は、シール構造の水分不透過層と画素アレイの間の力学的ストレスを解放し、上部水分不透過層の破断を回避するための手段を提供する、密閉型電界発光ディスプレイ。
【0026】
本発明のもう一つの態様に従って、基板と、積層シールを備える電界発光画素アレイと、を有する密閉型電界発光ディスプレイの製造方法であって、
ディスプレイの頂部電極アレイに隣接して液状またはスラリー状の前駆体層を蒸着し、蒸着された層を硬化してポリマー層を形成して、これによって、滑らかで実質的にピンホールの無い薄膜無機物層のその後の蒸着を容易にするように前記層が滑らかな上部表面を有するものとする段階と;
前記有機物層上に実質的にピンホールの無い無機物薄膜を真空蒸着する段階と、を含む、方法。
態様により、液状またはスラリー状はモノマー含有液またはスラリーである。他の態様において、液状またはスラリー状の前駆層は、ディスプレイの電極アレイ最上部に隣接してモノマー含有液またはスラリーを塗布することによって蒸着される。
【0027】
本発明の他の態様に従って、基板と、積層シールを備える電界発光画素アレイと、を有する密閉型電界発光ディスプレイの製造方法であって、
蒸気を凝縮することによってディスプレイの頂部電極アレイに隣接する前駆体層を蒸着し、蒸着された層を硬化してポリマー層を形成して、これによって、滑らかで実質的にピンホールの無い薄膜無機物層のその後の蒸着を容易にするように前記層が滑らかな上部表面を有するものとする段階と;
有機物層上に実質的にピンホールの無い無機物薄膜を真空蒸着する段階と、を含む、方法。
態様により、蒸気はモノマー含有蒸気である。
【0028】
本発明の他の態様は、いくつかの実施形態においてここで述べられるように基板と、積層シールを備える電界発光構造と、を有する密閉型電界発光ディスプレイの製造方法であることに従って、
上部電極に隣接してUV硬化樹脂のラッカー形成膜を印刷し、印刷された形成膜を硬化して、該膜が、滑らかで実質的にピンホールの無い薄膜無機物層のその後の蒸着を容易にするように滑らかな上部表面を有するものとする段階と;
前記ポリマー層上に前記無機物層を真空蒸着する段階と、を具備する方法。
【0029】
本発明の他の特徴と利点は、以下の説明で明白になる。しかしながら、詳細な説明から発明の精神及びその範囲内で多様な変化や修正が当業者に明白になるので、本発明の実施形態を示すと同時に、詳細な説明や具体例が実例のみで与えられることは理解されるべきことである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明はここで与えられる詳細な説明と図のみで与えられ、本発明の対象範囲を限定しない添付の図面から十分な理解が得られる。
【0031】
本発明は電界発光ディスプレイでの使用、そして、態様によって厚膜誘電層型電界発光ディスプレイのための積層シール、積層シールの構造、そしてその製造方法について示している。
【0032】
本発明の積層シールは上部無機物層と色変換層となることのできる下部ポリマー層とを備える。積層シールはディスプレイの上部電極配列全体を接触して備えられるか、又は、青色発光体の上に備えられる色変換層の上に接触して備えられる。さらに、積層シールのポリマー層はそれ自体が色変換層であってもよい。
【0033】
ポリマー層は平坦化された表面を提供するためのものであり、周囲の環境からの湿度及び他の汚染物質に対して有効なバリアとして機能する、一様に滑らかで実質的にピンホールの無い上部無機物層の上に蒸着される。積層シールのポリマー層と無機物層は直接隣接して接触する。時間が経ってディスプレイ構造から揮発性種が発生するとき、破裂への耐性によりディスプレイは操作されるような保全性を本発明の積層シールの二重層構造は保持している。
【0034】
積層シールはポリマー層と無機物層が三つかそれ以上で交互に重なった層として備えられてもよい。積層の最大の厚さは膜の光学的透過率によって制限されるが、シールの全厚は光学視差効果を避けるためにサブピクセルの幅より薄くなければならない。積層シールが二つまたはそれ以上の層で備えられ、下部ポリマー層が色変換層であるとき、用いられる積層シールの一つまたはそれ以上の追加層は色変換層ではないポリマー層を組み込む。
【0035】
本発明の実施形態において、積層シールは下部のポリマー層と上部の水分不透過無機物層を備える。ポリマー層はディスプレイ構造と水分不透過無機物層との間の力学的ストレスを解放できるように柔軟性を有している。さらに、ポリマー層は経時的にディスプレイ構造から形成される水蒸気を吸収し構造内部の気体圧力の増加による水分不透過無機物層の破裂を避けるように作動する。
【0036】
本発明のもう一つの実施形態において、積層シールのポリマー層は、色変換機能としての機能、ディスプレイ構造と水分不透過無機物層との間のストレス解放としての機能、前記水分不透過無機物層を蒸着させるために平坦化された表面としての機能、及び、作動中にディスプレイ内部で生じた蒸気及び気体に対するゲッター材や吸収剤としての機能、から選択される二つまたはそれ以上の機能を備えた多機能層を備える。ポリマー層の表面は十分に滑らかである必要がある。これは、薄膜無機物層が、水分移動の導管として作用してしまうピンホールや他の力学的欠陥を実質的に有さないように、ポリマー層の最上面に真空蒸着され得るようにするためである。
【0037】
上部無機物層は、無機金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物、金属酸ホウ化物、金属ケイ化物、金属ケイ酸塩、そして金属炭化物、またはそれらの組み合わせからなるグループより選択される材料を、多結晶材料中に存在する結晶粒界を通して原子または分子種が高速拡散するのを避けるために好ましくはアモルファス膜の形態で備える。より具体的には、上部無機バリア層はシリカ、アルミナ、チタニア、酸化インジウム、酸化スズ、インジウムスズ酸化物、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、酸化クロム、酸化亜鉛、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化ゲルマニウム、窒化クロム、窒化ニッケル、炭化ホウ素、炭化タングステン、炭化シリコン、酸窒化アルミニウム、酸窒化ケイ素、酸窒化ホウ素、酸ホウ化ジルコニウム、酸ホウ化チタン、酸窒化シリコンアルミニウム(SiAlON)、酸窒化アルミニウム(AlON)、及び、これらの組み合わせからなるグループより選択される。上部無機物層は例えば、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素である。上部無機物層の厚さは、膜が連続的である必要性と、周囲の環境またはディスプレイ基板をカバープレートに結合する周辺シールの内部で密閉された環境より発生する有害種からの適切なバリアを備える必要性に基づいて決定される。ある態様では、上部の無機物層の厚さの範囲は約0.01から2μm(そしてその間の任意の範囲)であり、他の態様においては、約0.05から1μm(そしてその間の任意の範囲)である。
【0038】
下部ポリマー層は、光学的に透明なウレタン、ポリアミド、アクリレート、ポリイミド、ポリブチレン、イソブチレン、イソブチレンイソプレーン、ポリオレフィン、エポキシ、パリレン、ベンゾシクロブタジエン、ポリノルボルナン、ポリアリールエーテル、ポリカーボネート、アルキド、ポリアニリン、エチレン酢酸ビニル、そしてエチレンアクリル酸、ポリスチレン、ポリエステル、シリコーン、ポリシリコーン、ポリホスファゼン、ポリシラザン、ポリカルボシラン、ポリカルボラン、カルボランシリオキサン、ポリシラン、ホスホニトリル、窒化硫黄ポリマー、シロキサン、及び、それらの組み合わせからなるグループより選ばれる材料を備える。本発明の実施形態では、下部ポリマー層は本出願人のPCT出願 CA2005/000756(その開示内容はその全体が参考としてここに組み込まれている)で述べられているような色変換層であってもよい。簡単に説明すると、そのような色変換層は紫外線硬化樹脂中に分散して蛍光顔料粒子組成物を備える。蛍光顔料粒子は少なくとも一つの染料とポリマー材料(本発明の一つの態様において、分子添加剤、例えば、紫外線吸収剤(UVAs)や、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)やニッケル化合物のような光安定剤、がさらに加えられる)を備える組成物から作られる。樹脂内で用いられる光開始剤がUV光によって活性化される能力を妨げることなく選択的に紫外線を吸収すると共に、青色光の吸収を最小化するために、紫外線吸収剤(UVAs)が選ばれる。次いで、蛍光顔料粒子は透明な紫外線硬化剤(例えばペーストをパターンニングさせるために光開始剤を備えるアクリレートメラミン樹脂)の全体にわたって混合され分散される。色変換層は均一な膜として蒸着するペーストとして備えられ、次いで従来公知のフォトリソグラフ法を用いて電界発光パネル上にパターン化される。通常、一つの色変換フォトルミネセンス層は赤色に用いられ、また一つの層は緑色に用いられ、層組成物は赤色と緑色とで異なる。ペーストは蒸着され、スクリーン印刷技術等の当業者に公知の手法を用いて、サブピクセルアレイ上に第1の色変換フォトルミネセンス層(例えば緑色)の均質な層を形成する。サブピクセルアレイは本出願人のPCT出願PCT CA03/01567(開示内容は参考としてその全体がここに組み込まれている)で開示されているようなものである。樹脂を硬化する光開始剤を活性化するために、均一なスクリーン印刷膜は所望のピクセルパターンを有するフォトマスクを通してUV光に曝し、次いで、第1の色変換フォトルミネセンス層の所望のパターンを生成するために紫外線に曝されていない部分は溶媒中で溶解される(本出願人のPCT特許出願PCT CA03/01567で述べられている)。この工程は第二の色変換フォトルミセンス層でも繰り返す。紫外線硬化の後、外向拡散と蒸発によりモノマー、残余光開始剤、オリゴマー、そして他の揮発性種を除去するため、単層または複数層は熱ベーキングにさらされる。熱硬化は温度範囲が約80℃から約160℃(それらの間の任意の範囲)で約2時間からそれ以上行われる。
【0039】
色変換層ともなりうる下部ポリマー層の厚さは層の光吸収特性に基づいて決定される。ポリマー層の厚さは、ピンホールの無い無機物層を蒸着させるために十分滑らかな表面を得ることが要求される厚さを基に選択される。以下で議論されるように、ゲッターがポリマー層の中に組み込まれるような場合、当分野の一つの技術として理解されるように、ディスプレイの稼動中に吸収される必要のあるディスプレイ構造材からの発生気体の予測量を基に、その厚さは適切なゲッター量を含ませるのに十分な厚さとなる。ポリマー層と色変換層が同じ層なら、求められる厚さは両立できるものでなければならず、当業者によってそのような要求は容易に決定される。
【0040】
ディスプレイ構造から形成された水蒸気を除去するシール材の能力を増加させるため、ポリマー層は追加的に有機、または無機の微粒子状のゲッター材を備える。下部ポリマー層で用いられるゲッター材の濃度はシール材体積の約5%から約50%となり、態様により、下部ポリマー層の材料体積の約10%から約30%の間となる。さらなる態様により、ゲッター材は下部ポリマー層の厚さを超えない粒子サイズとなる。態様によっては、ゲッター材は約0.1から約0.25μmの範囲の粒子サイズとなる。
【0041】
本発明の別の態様では、ゲッター材はアルカリ金属酸化物、アルカリ金属硫化物、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ土類金属硫化物、塩化カルシウム、塩化リチウム、塩化亜鉛、過塩素酸塩とそれらの混合物からなるグループより選択される。ゲッター材はモレキュラーシーブ、酸化カルシウム、酸化バリウム、五酸化リン、硫化カルシウムとそれらの混合物からなるグループより選択されることもできる。ゲッター材は積層シールの光透過性を実質的に減少させないように選択される。この目的を達成させるために、ゲッター粒子のサイズは伝播する光の波長より十分小さくするか、又は、ゲッター粒子の屈折率を積層シールのポリマー層の屈折率に近くなるようにすべきである。もう一つの方法として、光を伝播させることが求められない積層シールの領域にゲッターを分散させる。しかし、この手法でゲッターを分布するためには追加の工程ステップが必要となるため、好ましい解決策ではない。
【0042】
態様により、積層シールのポリマー層の単位体積あたりに搭載するゲッター材の最大量は約50%である。さらなる態様により、少なくても約5%となる。態様により、ゲッター材の濃度はシール材体積の約10%から約30%の間であり、ポリマー材体積の約15%から約25%が一番望ましい。理想的には、シール構造のポリマー層全体にゲッター材は均一に分布される。
【0043】
ゲッター材は、例えば、水を吸収するような大気汚染物質固定化材である。適切なゲッター材はアルカリ金属酸化物、アルカリ金属硫化物、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ土類金属硫化物、塩化カルシウム、塩化リチウム、塩化亜鉛、過塩素酸塩とそれらの混合物を含むが、それらに限定されない。望ましいゲッター材はモレキュラーシーブ、酸化カルシウム、酸化バリウム、五酸化リン、硫化カルシウム、そしてそれらの混合物を含む。
【0044】
ゲッター材はシール材の厚さ次第で、約0.1から約250μmの粒子サイズをとってもよい。シール構造のポリマー層内部を水蒸気が通過する間、水蒸気は容易にゲッター粒子と接触できるほど粒子間の間隔が実質的に小さくなるために、粒子サイズは実質的に小さくなるよう選択されることが望ましい。
【0045】
本発明の積層シールは通常、ガラス、ガラスセラミック、セラミックその他の耐熱基板等の上に構築された厚膜誘電電界発光ディスプレイ用に用いられる。そのディスプレイの製造工程ではまず、基板上に一組の下部電極を蒸着させる必要がある。その上に、米国特許第6,771,019号明細書(その開示内容はその全体がここに組み込まれている)に例示された厚膜蒸着技術を用いて厚膜誘電層が蒸着される。この厚膜層は通常、数1000の誘電率を有するマグネシウムニオブ酸鉛(PMN)やマグネシウムチタンジルコン酸塩鉛といった、焼結ペロブスカイト圧電性物質、または強誘電体物質を備える。この厚膜の上に、その表面を滑らかにして薄膜発光構造を蒸着させるために有機金属蒸着(MOD)またはソルゲル法を用いて、例えばチタン酸ジルコン酸鉛のような相性のよい圧電性または強誘電性物質の薄い被覆層(平滑層)を形成してもよい。本出願人の米国特許第5,432,015号明細書(その開示内容はその全体が参考としてここに組み込まれている)は電界発光ディスプレイで用いられる厚膜誘電層型複合構造を開示している。厚膜誘電層はさらに、本出願人のPCT特許出願国際公開第00/70917号に記載しているように、機械的に圧縮してもよい。さらに、本出願人の国際特許出願PCT CA02/01932(その開示内容はその全体が参考としてここに組み込まれている)は厚膜誘電層を形成するために用いられる厚膜ペースト形成法の変形例を開示している。この方法で形成した厚膜誘電層はガラス基板の使用を容易にするため、650℃の低い温度で焼結されてもよく、本発明で厚膜誘電体として用いることができる。
【0046】
次いで、厚膜誘電層の上に、本出願人の米国特許第6,589,674号明細書(その開示内容はその全体がここに組み込まれている)に記載しているように、一つかそれ以上の薄膜誘電層(例えば、それは一つかそれ以上の薄い発光膜を間にはさむチタン酸バリウムで作られる)を備える薄膜構造を蒸着し、続いてその上に、米国特許出願公開第2004/0013906号明細書(その開示内容はその全体がここに組み込まれている)で例示されている真空蒸着技術を用いて光透過性の一組の上部電極を蒸着する。フルカラー厚膜誘電層型電界発光ディスプレイの他の実施形態は米国特許出願公開第2004/0135495号明細書(その開示内容はその全体がここに組み込まれている)により例示されている。この実施形態では、赤色、緑色、及び青色のサブピクセルは青色発光エレクトロルミネセンス素子を備える。この青色発光エレクトロルミネセンス素子は、青色サブピクセルの発光源として直接働くと共に、青色発光素子を被覆し、青色発光素子により活性化される赤色及び緑色のフォトルミネセンス色変換層を活性化して、赤色と緑色のサブピクセルの発光を行う。
【0047】
赤色と緑色のサブピクセルの色変換層を組み込んだ厚膜誘電層型電界発光ディスプレイにおいて、色変換層は電界発光サブピクセル構造の最上部全体に配置されてもよい。電界発光サブピクセル構造は、サブピクセルカラムを含む基板の最上部全体に備えられたこれらの要素を備えている。本発明のシール構造の態様では、下部ポリマー層が、色変換層の機能と本発明の応力緩和または水蒸気吸収機能の両方を供給するために色変換層であってもよい。
【0048】
しかしながら、色変換層(または色変換層群)は用いられていないが、ディスプレイ内部に備えられた発光層がパターン化された厚膜誘電層型電界発光ディスプレイの中に積層シールが組み込まれてもよいということは、当業者には理解される。この実施形態においては、積層シール構造はパターン化された発光体上全体に直接備えられるのではなく、ディスプレイの上部電極上全体に備えられる。色変換層と本発明の積層シールとを組み込んだフルカラー厚膜誘電層型ディスプレイの異なる実施形態を図示する図1Aから図3を参照されたい。これらの図は縮尺通りでなく、本発明の積層シールを組み込んだ厚膜誘電層型電界発光ディスプレイ内部で備えられる層の代表的な順番や配列を示しているにすぎないことに留意されたい。その中に示されている層も代表例にすぎず、向かい合う他の層との実際のまたは相対的な層の厚さを反映したものではない。本出願人の同時係属中であるPCT出願CA2005/001151(その開示内容はその全体が参考としてここに組み込まれている)だけでなく、本出願人の同時係属中である米国特許出願シリアルナンバー第10/661,910号、第10/736,020号、そして第10/736,368号で述べられているようなその他の層を、この図で示されるディスプレイが組み込んでもよいことも、当業者には理解される。
【0049】
図1Aにおいて、電界発光ディスプレイのサブピクセル構造の一部を参照符号10より示す。電界発光ディスプレイ10は基板20と、カバープレート22と、その二つ間にある電界発光ディスプレイ構造24と、基板20と一つまたはそれ以上の大気汚染物質から電界発光ディスプレイ構造24(青色発光アドレッサブル電界発光画素アレイとも称する)を保護するためのカバープレート22との間に任意の周辺シール(図示されていない)とを有する。周辺シールはカバープレート22および基板20にまで延びて接触し、ディスプレイの外側周辺上のみで、カバープレート22と基板20の間の全体的な隙間を満たす。周辺シールは電界発光ディスプレイ構造24とは接さない。その詳細は本出願人の同時係属中である米国特許出願シリアルナンバー第10/885,257号(その開示内容はその全体が参考としてここに組み込まれている)に記載されている。基板20はその上に下部電極30を備え、続いて、厚膜誘電層32、誘電平滑層34、そしてそれらの上にはチタン酸バリウムのような物質から作られる任意の薄膜誘電層36を備える。青色発光層38は、上部薄膜誘電層40が示されている薄膜誘電層の上に備えられ、アルミニウム窒化物のような物質からなる。この上部薄膜誘電層40の上に三つのサブピクセルカラム42、44、46が配置する。これらのサブピクセルカラムは発光層を発光させるための電圧の印加を容易にする。上部薄膜誘電層40は発光層38からサブピクセルカラム42、44、46を分離する。サブピクセルカラム42はその上方に緑色変換層48を持つ。同様に、サブピクセルカラム44はその上方に赤色変換層50を持つ。青色サブピクセルに対応するサブピクセルカラム46は色変換層を持たないが、層間の光の反射を最小にするために選定された屈折率をもつ、光透過層55を持つ。カバープレート22は蒸着した層に面して基板全体に配置され、周辺シールと共に基板に密閉される。この実施形態では、本発明の積層シール52はディスプレイの上部電極全体に備えられ、ポリマー層56とその上全体に無機物層54を備える。
【0050】
図1Bは、電界発光ディスプレイ構造全体を覆う積層シールを示している図1Aのディスプレイの断面図である。この実施形態では、基板から透明なカバープレート22まで広がる周辺シール21を示している。
【0051】
図2は、厚膜誘電層型電界発光ディスプレイ100のサブピクセル構造の一部分の他の実施形態を示しており、この実施形態では、積層シール152はディスプレイの青色発光体138の上の全体に備えられている。さらに、この実施形態においては、電界発光ディスプレイ100は基板120と、カバープレート122と、その二つの間に電界発光ディスプレイ構造124と、一つまたはそれ以上の大気汚染物質から電界発光ディスプレイ構造124を保護するために、基板120とカバープレート122の間に任意の周辺シール(図示されていない)とを有する。周辺シールは延長し、カバープレート122および基板120と接触する。そして、カバープレート122と基板120の間の全体の隙間を満たす。周辺シールは電界発光ディスプレイ124と接触しない。基板120はその上に下部電極130を持ち、続いて、厚膜誘電層132、誘電平滑層134、そしてそれらの上にはチタン酸バリウムのような物質から作られる任意の薄膜誘電層136を持つ。薄膜誘電層136の上に青色発光体層138を備え、その上に上部薄膜誘電層140を備え、さらにその上に三つのサブピクセルカラム142、144及び146が配置するこれらのサブピクセルカラムは発光層を発光させる電圧の印加を容易にする。その薄膜誘電層140は発光層138からサブピクセルカラム142、144、146を分離する。サブピクセルカラム142は直接上に緑色変換層148を持つ。同様に、サブピクセルカラム144は直接上に赤色変換層150を持つ。青色サブピクセルに対応するサブピクセルカラム146は色変換層を持たない。代わりに、積層シール152は色変換層148と150の上と、直接サブピクセルカラム146の上に備えられる。積層シール152はポリマー層156の上に無機層154を備える。積層シール152は色変換層が備えられていないボイド155を充填することが示され、そのようにしてこの空間が充填される。積層シール152の上に備えられた空間157は光学的に透明な非反応物質で充填され得るか、またあるいは、積層シール152が空間157を充填するように備えられる。カバープレート122は蒸着した層に面して基板の上に配置され、周辺シールと共に基板に密閉される。
【0052】
図3は、厚膜誘電層型電界発光ディスプレイ200のサブピクセルの一部分の他の実施形態を示し、この実施形態では、ディスプレイは、色変換層248及び250を組み込んだ下部ポリマー層と共に本発明の積層シール252を備える。さらに、この実施形態においては、電界発光ディスプレイ200は基板220と、カバープレート222と、その二つの間に電界発光ディスプレイ構造224と、一つまたはそれ以上の大気汚染物質から電界発光ディスプレイ構造224を保護するために基板220とカバープレート222の間に任意の周辺シール(図示されていない)とを有する。周辺シールは延長し、カバープレート222および基板220と接触する。そして、カバープレート222と基板220の間の全体の隙間を満たす。周辺シールは電界発光ディスプレイ構造224と接触しない。基板220はその上に下部電極230を持ち、続いて、厚膜誘電層232、誘電平滑層234、そしてそれらの上にはチタン酸バリウムのような物質から作られる任意の薄膜誘電層236を持つ。三つのサブピクセルカラム242、244、及び246が配置される上部薄膜誘電層240が示されている薄膜誘電層の上に発光層238は備えられる。それらのサブピクセルカラムは発光層が発光するための電圧の印加を促進する。薄膜誘電層240は発光層238からサブピクセルカラム242、244、246を分離する。サブピクセルカラム242は上に緑色変換層248を持つ。同様に、サブピクセルカラム244は上に赤色変換層250を持つ。青色サブピクセルに対応するサブピクセルカラム246は色変換層を持たないが、層間の光の反射を最小にするために選定される屈折率を持ち、次に蒸着する無機物層においてすべてのサブピクセル上で滑らかな表面を与えるため、光学的に透明な部品255の下部ポリマー物質を持つ。この部品は光学的な青色フィルターであるか、空間でもよい。カバープレート222は蒸着した層に面して基板の上に配置され、周辺シールと共に基板に密閉される。
【0053】
装置内に備えられるいくつかの隙間は、適した透明なポリマー材料で充填されてもよいことは当業者に理解される。
【0054】
本発明の密閉型電界発光ディスプレイを製造する工程の実施形態において、汚染物質の無い雰囲気中、例えばドライボックスのような中で、シール構造材のポリマー層に対して液状またはペースト状の前駆体物質が下処理される。これは、(ゲッター材が組み込まれた際)ゲッター材が非活性化されてしまうような、水蒸気によるゲッター材の汚染を避けるためである。所望の汚染物質吸収容量及び汚染物質吸収率を実現するために、シール材中へのゲッター材の装填量を調整してもよい。蒸着及び硬化も水蒸気汚染を避けるためにドライボックスの中で行うべきである。本発明の手法の態様では、紫外線硬化ポリマー層はラッカー形成として電極アレイの最上部に印刷される。印刷は、間接オフセット印刷やロール塗布などを含む(これだけに限定されない)多様な手法で実施される。次いで、このポリマー層は、滑らかでかつ実質的にピンホールのない薄膜無機物層のその後の蒸着を容易にするために滑らかな最上面を有するように硬化される。実質的にピンホールの無い無機物層はポリマー層の上に真空蒸着する。
【0055】
以上の開示は一般的に本発明の好適な実施形態である。以下の具体的な実施例を参考にすることで、より完全な理解を得ることができる。これらの実施例は説明の目的のためだけに示したものであり、本発明の範囲を限定することを意図していない。状況が他の方策を示唆、または表すときには、構成上の変更及び均等物による置換が想定されている。特有の用語がここでは用いられているが、そのような用語は説明の意味で用いているものであり、限定する目的ではない。
[実施例1]
【0056】
試験用電界発光装置の作業安定性に関して、異なる積層シールの構成による効果を立証する。
【0057】
国際公開第00/70917号、第02/058438号及び米国仮出願第60/434639号明細書(その開示内容はその全体が参考としてここに組み込まれている)で例示されるような、厚膜誘電層及び青色発光ユーロピウム活性バリウムチオアルミネート薄膜発光層をそれぞれ備えた二つの試験用電界発光装置が5cm角のガラス基板上に構成された。一方の装置は、スピンコーティング工程による蒸着、100℃で10分間の乾燥、400mJ/cmの紫外線フラックス下でUV硬化、160℃の温度で1時間ベークされた、アーチケミカル社(Arch Chemical、コネチカット州ノーウォーク(Nortwalk、Connecticut))製のフジ(Fuji)アクリル樹脂CT2000Lより成る樹脂コーティングによって密封された。他方の装置はポリマー層で覆われなかった。ポリマー層を備えていない装置は5%の相対湿度で窒素を含む周囲環境中で作動させ、ポリマー層を備える他方の装置は−78℃の露点をもつ超高純度窒素の下で作動させた。装置は装置に対する輝度オンセットの閾電圧及び240Hzの反復率を超える振幅電圧60Vの交流極性電圧パルスを用いて作動させた。図4はこれらの環境における作動時間に応じた相対光度を示している。データを見てわかるように、超高純度窒素下で作動させた装置はかなり高い光度を示し、作動時間の増加による光度損失も低い割合を示した。さらに、5%相対湿度の雰囲気で作動させた試験装置は時間が経つとブラックスポットを成長させたのに対して、超高純度窒素下で作動させた試験装置はそのようなことがなかった。データではポリマー層及び/または低湿度環境の少なくとも一方が高光度及び安定性を提供することを示している。
[実施例2]
【0058】
この実施例では、実施例1と同類のテスト装置が試験された。一方の装置はスパッタリングまたは低温化学蒸着法で蒸着した1μmの厚膜アモルファスシリコン窒化物で覆われる実施例1の方法で蒸着した、1μmの厚膜ポリマー層の積層シール構造を備える。他方の装置は実施例1の装置と同一である。積層シール構造を備えた装置は22℃で相対湿度40%の周囲環境において実施例1と同様の動作方法を用いて作動させた。積層シール構造を備えていない装置は22℃で5%の相対湿度である低湿度雰囲気で作動させた。図5では、両装置の作動時間に応じた光度が示されている。データを見てわかるように、シリコン窒化物層を含むシール構造を備えた装置は高湿度な動作環境であるにもかかわらず、作動時間が増加しても実質的に高光度、低光度減少率を保持している。さらに、シリコン窒化物層を含むシール構造を備えた試験装置は時間が経ってもブラックスポットを成長させなかった。
[実施例3]
【0059】
この実施例では、シリコン窒化物層の厚さがそれぞれ0.1μm、0.3μm及び1μmのシール構造を備えた実施例2と同類の三つの装置を構築して、試験した。図6で作動時間に応じた光度が示されている。データを見てわかるように、より厚いシリコン窒化物層を備えた装置の光度は高く、より厚いシリコン窒化物層では装置内の水蒸気拡散を防ぐ大きな効果を示していた。
[実施例4]
【0060】
この実施例は、色変換層からの放射光の実質的な減少または放射光のCIE表色のシフトが無いシリコン窒化物の光学的に透明な無機物層で色変換層が覆われてもよいということを説明するためのものである。二つの5cm角のガラス基板はいずれも、国際公開第2004/02600号及び米国仮出願第60/560602号明細書(その開示内容はその全体が参考としてここに組み込まれている)で教示される方法に従って、赤色及び緑色のフォトルミネセント色変換膜の各領域で覆われた。一方の基板のフォトルミネセント膜はいずれも300nmの厚膜シリコン窒化物層で覆われ、他方の基板は何も覆わなかった。膜はCIE表色x=0.138及びy=0.07で青色にフィルターした発光ダイオードで照射される。被覆されていない緑色発光膜は規格化発光強度1.0及びCIE表色x=0.290及びy=0.665を具備しており、シリコン窒化膜で被覆された緑色発光膜は相対発光強度0.89及びCIE表色x=0.292及びy=0.658を具備していた。被覆されていない赤色発光膜は規格化発光強度1.0及びCIE表色x=0.614及びy=0.327を具備し、シリコン窒化膜で被覆された赤色発光膜は相対発光強度0.87及びCIE表色x=0.601及びy=0.324を具備していた。このようにして、シリコン窒化膜は最小量で緑色及び赤色発光を吸収及び反射して、CIE表色に大きな影響を有さなかった。
【0061】
本発明の好適な実施形態をここに詳細に示したが、発明の精神から逸脱することなくそこに変更が加えられてもよいことは当業者であれば理解される。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1A】図1Aは本発明である積層シールの一形態を組み込んだ一実施例に従って、電界発光ディスプレイにおけるサブピクセルの一部分の断面図である。
【図1B】図1Bは図1Aの電界発光ディスプレイの全体的な断面図である。
【図2】図2は本発明である積層シールのもう一つの実施例を組み込んだ電界発光ディスプレイにおけるサブピクセルの一部分の断面図である。
【図3】図3は本発明である積層シールのさらにもう一つの実施例を組み込んだ電界発光ディスプレイにおけるサブピクセルの一部分の断面図である。
【図4】図4は相対的に異なる湿度をもつ周囲の大気内で操作された先行技術である厚膜誘電電界発光ディスプレイの輝度を表すグラフである。
【図5】図5は積層シールが組み込まれていない場合と比較して積層シールが組み込まれている厚膜誘電電界ディスプレイの稼働時間に応じた輝度を表すグラフである。
【図6】図6は電界発光ディスプレイに組み込んだ本発明の積層シールの上部無機物層の厚さを変化させた電界発光ディスプレイの稼働時間に応じた輝度を表すグラフである。
【符号の説明】
【0063】
10、100、200 厚膜誘電層型電界発光ディスプレイ
20、120、220 基盤
21 周辺シール
22、122、222 カバープレート
24、124 電界発光ディスプレイ構造
30、130、230 下部電極
32、132、232 厚膜誘電層
34、134、234 誘電平滑層
36、136 薄膜誘電層
38、138,238
40、140、240 薄膜誘電層
42、44、46、142、144、146、242、244、246 サブピクセルカラム
48、148、248 緑色変換層
50、150、250 赤色変換層
52、152、252 積層シール
54、154、254 無機物層
55、255 光透過層(透明部材)
56、156、256 ポリマー層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚膜誘電層型電界発光ディスプレイ用の積層シールであって、
(i)ポリマー層を被覆する無機物層と、該ポリマー層に隣接する上部電極と;
(ii)ポリマー層を被覆する無機物層と、該ポリマー層に隣接する色変換層と;
(iii)色変換層を被覆する無機物層と、該色変換層に隣接する青色発光体層と;
からなる群から選ばれた構造を備えている積層シール。
【請求項2】
前記無機物層は、無機金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物、金属酸ホウ化物、金属ケイ化物、金属ケイ酸塩、金属炭化物、及びそれらの組み合わせからなる群から選ばれた物質を備えている請求項1に記載のシール。
【請求項3】
前記無機物層は、アモルファス膜として備えた請求項2に記載のシール。
【請求項4】
前記物質は、シリカ、アルミナ、チタニア、酸化インジウム、酸化スズ、インジウムスズ酸化物、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、酸化クロム、酸化亜鉛、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化ゲルマニウム、窒化クロム、窒化ニッケル、炭化ホウ素、炭化タングステン、炭化シリコン、酸窒化アルミニウム、酸窒化ケイ素、酸窒化ホウ素、酸ホウ化ジルコニウム、酸ホウ化チタン、酸窒化シリコンアルミニウム(SiAlON)、酸窒化アルミニウム(AlON)、及びそれらの組み合わせからなる群から選ばれた請求項3に記載のシール。
【請求項5】
前記物質は、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸窒化シリコンアルミニウム(SiAlON)、酸窒化アルミニウム(AlON)、及びそれらの組み合わせからなる群から選ばれたことを特徴とする請求項3に記載のシール。
【請求項6】
前記物質は、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、またはそれらの混合物であることを特徴とする請求項4に記載のシール。
【請求項7】
無機物層の膜厚は、約0.01から2μmであることを特徴とする請求項3に記載のシール。
【請求項8】
前記膜厚は、約0.05から1μmであることを特徴とする請求項7に記載のシール。
【請求項9】
前記ポリマー層は、光学的に透明なウレタン、ポリアミド、アクリレート、ポリイミド、ポリブチレン、イソブチレン、イソブチレンイソプレーン、ポリオレフィン、エポキシ、パリレン、ベンゾシクロブタジエン、ポリノルボルナン、ポリアリールエーテル、ポリカーボネート、アルキド、ポリアニリン、エチレン酢酸ビニル、エチレンアクリル酸、ポリスチレン、ポリエステル、シリコーン、ポリシリコーン、ポリホスファゼン、ポリシラザン、ポリカルボシラン、ポリカルボラン、カルボランシリオキサン、ポリシラン、ホスホニトリル、窒化硫黄ポリマー、シロキサン、及びそれらの組み合わせからなる群から選ばれた物質であることを特徴とする請求項1に記載のシール。
【請求項10】
前記ポリマー層は、シリコーン、ポリシリコーン、アクリレート、ポリイミド、パリレン、及びそれらの組み合わせからなる群から選ばれた物質であることを特徴とする請求項9に記載のシール。
【請求項11】
前記ポリマー物質は、アクリレートであることを特徴とする請求項10に記載のシール。
【請求項12】
前記ポリマー層は、色変換層であることを特徴とする請求項1に記載のシール。
【請求項13】
前記色変換層は、紫外線硬化樹脂内部に分散される蛍光顔料粒子組成物を備えていることを特徴とする請求項12に記載のシール。
【請求項14】
前記顔料粒子組成物は、少なくとも一つのダイ及び任意の分子添加剤を有するポリマー材料を備えていることを特徴とする請求項13に記載のシール。
【請求項15】
前記積層シールは、ディスプレイの上部電極と表示面の間に備えられていることを特徴とする請求項1に記載のシール。
【請求項16】
前記積層シールは、青色発光体層を被覆する色変換層最上部全体に直接隣接して備えられていることを特徴とする請求項1に記載のシール。
【請求項17】
前記ポリマー層は色変換層であり、前記積層シールは青色発光アドレッサブル電界発光画素アレイ上部全体に備えられていることを特徴とする請求項1に記載のシール。
【請求項18】
前記積層シールはポリマー層と無機物層が三つかそれ以上で交互に重なった層として提供されることを特徴とする請求項1ないし17のうちいずれか一項に記載のシール。
【請求項19】
基板と;
透明カバープレートと;
前記基板と前記カバープレートとの間に配置する青色発光アドレッサブル電界発光画素アレイと;
画素アレイの副画素に近接して並んで配置し、該画素アレイにおける少なくともいくつかの画素からの青色光を異なる色の可視光に変換するフォトルミネセンス色変換層と、該色変換層に接着した光学的に透明な無機物層と、を備えた積層シールと;を具備する電界発光ディスプレイ。
【請求項20】
前記画素アレイは、
下部電極と;
厚膜誘電層と;
平滑層と;
薄膜誘電層と;
発光層と;
上部薄膜誘電層と;
上部電極と;
を順に備えていることを特徴とする請求項19に記載のディスプレイ。
【請求項21】
前記無機物層は、無機金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物、金属酸ホウ化物、金属ケイ化物、金属ケイ酸塩、そして金属炭化物、及びそれらの組み合せからなる群から選ばれた物質を備えていることを特徴とする請求項19に記載のディスプレイ。
【請求項22】
前記無機物層は、アモルファス膜として提供されることを特徴とする請求項20に記載のディスプレイ。
【請求項23】
前記物質は、シリカ、アルミナ、チタニア、酸化インジウム、酸化スズ、インジウムスズ酸化物、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、酸化クロム、酸化亜鉛、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化ゲルマニウム、窒化クロム、窒化ニッケル、炭化ホウ素、炭化タングステン、炭化シリコン、酸窒化アルミニウム、酸窒化ケイ素、酸窒化ホウ素、酸ホウ化ジルコニウム、酸ホウ化チタン、酸窒化シリコンアルミニウム(SiAlON)、酸窒化アルミニウム(AlON)、及びそれらの組み合わせからなる群から選ばれることを特徴とする請求項20に記載のシール。
【請求項24】
前記物質は、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸窒化シリコンアルミニウム(SiAlON)、酸窒化アルミニウム(AlON)、及びそれらの組み合わせからなる群から選ばれることを特徴とする請求項20に記載のディスプレイ。
【請求項25】
前記物質は、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、またはそれらの混合物であることを特徴とする請求項20に記載のディスプレイ。
【請求項26】
無機物層の膜厚は、約0.01から2μmであることを特徴とする請求項20に記載のディスプレイ。
【請求項27】
前記膜厚は約0.05から1μmであることを特徴とする請求項20に記載のディスプレイ。
【請求項28】
前記ポリマー層は色変換層であることを特徴とする請求項19に記載のディスプレイ。
【請求項29】
前記色変換層は、紫外線硬化樹脂内に分散される蛍光顔料粒子組成物を備えていることを特徴とする請求項28に記載のディスプレイ。
【請求項30】
前記顔料粒子組成物は、少なくとも一つのダイと、任意の分子添加剤を有するポリマー材料とを備えていることを特徴とする請求項29に記載のディスプレイ。
【請求項31】
電界発光ディスプレイ構造が大気汚染物質に曝されることを防ぐために、前記基板に接触して該基板から前記カバープレートまで延在する周辺シールをさらに備えていることを特徴とする請求項19に記載のディスプレイ。
【請求項32】
基板と;
カバープレートと;
前記基板と前記カバープレートとの間に配置する青色発光アドレッサブル電界発光画素アレイと;
前記画素アレイ上に蒸着されて付着した下部ポリマー層と、前記下部ポリマー層上に蒸着された上部無機物層とを備えている光学的に透明な積層シールと;
前記積層シールに付着すると共に前記画素アレイの副画素に並んで配置し、画素アレイにおける少なくともいくつかの画素からの青色光を異なる色の可視光に変換するフォトルミネセンス色変換層と;
前記色変換層に付着する光学的に透明な無機物シーリング層と、を具備した、電界発光ディスプレイ。
【請求項33】
前記画素アレイは、
下部電極と;
厚膜誘電層と;
平滑層と;
薄膜誘電層と;
発光層と;
上部薄膜誘電層と;及び
上部電極と、を備えていることを特徴とする請求項32に記載のディスプレイ。
【請求項34】
前記無機物層は、無機金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物、金属酸ホウ化物、金属ケイ化物、金属ケイ酸塩、そして金属炭化物、及びそれらの組み合せよりなるグループから選ばれる物質を備えていることを特徴とする請求項32に記載のディスプレイ。
【請求項35】
前記無機物層はアモルファス膜として提供されることを特徴とする請求項32に記載のディスプレイ。
【請求項36】
前記物質は、シリカ、アルミナ、チタニア、酸化インジウム、酸化スズ、インジウムスズ酸化物、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、酸化クロム、酸化亜鉛、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化ゲルマニウム、窒化クロム、窒化ニッケル、炭化ホウ素、炭化タングステン、炭化シリコン、酸窒化アルミニウム、酸窒化ケイ素、酸窒化ホウ素、酸ホウ化ジルコニウム、酸ホウ化チタン、酸窒化シリコンアルミニウム(SiAlON)、酸窒化アルミニウム(AlON)、及びそれらの組み合わせよりなるグループから選ばれることを特徴とする請求項32に記載のディスプレイ。
【請求項37】
前記物質は、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸窒化シリコンアルミニウム(SiAlON)、酸窒化アルミニウム(AlON)、及びそれらの組み合わせよりなるグループから選ばれることを特徴とする請求項34に記載のディスプレイ。
【請求項38】
前記物質は、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、またはそれらの混合物であることを特徴とする請求項35に記載のディスプレイ。
【請求項39】
無機物層の厚さは、約0.01から2μmであることを特徴とする請求項37に記載のディスプレイ。
【請求項40】
前記厚さは、約0.05から1μmであることを特徴とする請求項37に記載のディスプレイ。
【請求項41】
前記色変換層は、紫外線硬化樹脂内に分散される蛍光顔料粒子組成物を備えていることを特徴とする請求項32に記載のディスプレイ。
【請求項42】
前記顔料粒子組成物は、少なくとも一つのダイ及び任意の分子添加剤を有するポリマー材料を備えていることを特徴とする請求項41に記載のディスプレイ。
【請求項43】
電界発光ディスプレイ構造が大気汚染物質に曝されることを防ぐために、前記基盤から前記カバープレートに延びて接触する周辺シールをさらに備えていることを特徴とする請求項32に記載のディスプレイ。
【請求項44】
基板と;
前記基板上に備えられた厚膜誘電層型電界発光ディスプレイ構造と;
ディスプレイ内に備えられ、前記厚膜誘電層型電界発光ディスプレイ構造の上方に備えられた積層シールと;を備え、
前記積層シールは、下部ポリマー層と該下部ポリマー層上に蒸着された上部無機物層を備え、シール構造の下部層は、上部水分不透過層とディスプレイ構造の間の圧力増加を実質的に防止してシール構造の上部水分不透過層の破断を回避するために、ディスプレイ構造からの発散蒸気を吸収またはそれと反応する手段を提供する、密閉型電界発光ディスプレイ。
【請求項45】
基板と、積層シールを備えている電界発光画素アレイと、を有する密閉型電界発光ディスプレイの製造方法であって、
ディスプレイの頂部電極アレイに隣接して液状またはスラリー状の前駆体層を蒸着し、蒸着された層を硬化してポリマー層を形成して、これによって、滑らかで実質的にピンホールの無い薄膜無機物層のその後の蒸着を容易にするように前記層が滑らかな上部表面を有するものとする段階と;
前記有機物層上に実質的にピンホールの無い無機物薄膜を真空蒸着する段階と、を含む、方法。
【請求項46】
液体またはスラリーは、モノマー含有液またはスラリーであることを特徴とする請求項45に記載の製造方法。
【請求項47】
液状またはスラリー状の前駆層は、ディスプレイの電極アレイ最上部に隣接してモノマー含有液またはスラリーを塗布することによって蒸着されることを特徴とする請求項46に記載の製造方法。
【請求項48】
基板と積層シールを備えている電界発光画素アレイとを有する密閉型電界発光ディスプレイの製造方法であって、
蒸気を凝縮することによってディスプレイの頂部電極アレイに隣接する前駆体層を蒸着し、蒸着された層を硬化してポリマー層を形成して、これによって、滑らかで実質的にピンホールの無い薄膜無機物層のその後の蒸着を容易にするように前記層が滑らかな上部表面を有するものとする段階と;
前記有機物層上に実質的にピンホールの無い無機物薄膜を真空蒸着する段階と、を含む、方法。
【請求項49】
蒸気は、モノマー含有蒸気であることを特徴とする請求項48に記載の製造方法。
【請求項50】
基板と請求項1ないし19のうちいずれか一項に記載される積層シールを備えている電界発光構造とを含む密閉型電界発光ディスプレイの製造方法であって、
上部電極に隣接してUV硬化樹脂のラッカー形成膜を印刷し、印刷された形成膜を硬化して、該膜が、滑らかで実質的にピンホールの無い薄膜無機物層のその後の蒸着を容易にするように滑らかな上部表面を有するものとする段階と;
前記ポリマー層上に前記無機物層を真空蒸着する段階と、を含む、方法。
【請求項51】
前記印刷は、間接オフセット印刷及びロール塗布から選ばれる方法により行われることを特徴とする請求項50に記載の製造方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−514177(P2009−514177A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−538233(P2008−538233)
【出願日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際出願番号】PCT/CA2006/001798
【国際公開番号】WO2007/051301
【国際公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(505089913)アイファイアー・テクノロジー・コープ (18)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】