説明

電界紡糸されたマイクロファイバ及びナノファイバ内に組み込まれた添加剤を送出するように改善された喫煙物品及び関連する方法

喫煙物品81のためのフィルタ部品83が、少なくとも1つのタイプの風味料及び/又は非風味料添加剤と、少なくとも1つのタイプのポリマーとを含む電界紡糸された繊維を含む。製造された電界紡糸された繊維の小区画又は下部構造内に種々の添加剤をカプセル封入するように、様々な電界紡糸された繊維を生成することができる。さらに、製造プロセス中、製造された電界紡糸された繊維を、喫煙物品のフィルタ部品内に静電的に配置することができる。電界紡糸プロセスを制御する種々のパラメータを変更することによって、組成、下部構造上の組織、及び寸法が変化する、電界紡糸された繊維の様々なセットを製造することができる。電界紡糸によって生成される電界紡糸された繊維は、電界紡糸された繊維内に少なくとも1つのタイプの風味料及び/又は非風味料をカプセル封入するか、又はその保持を支持する少なくとも1つのポリマー材料を含む。ポリマー材料は、少なくとも1つの風味料及び/又は非風味料をカプセル封入するための支持構造を提供する。以下に述べられる種々の電界紡糸プロセスによって生成することができる電界紡糸された繊維は、マイクロスケール範囲の超極細繊維、ナノスケール範囲のナノ繊維、及び超極細繊維とナノ繊維との種々の混合物を含む。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
喫煙物品内に添加剤として種々の風味強化剤(flavor−enhancing−agent)(「風味料(flavorant)」)を組み込むことによって、タバコを含む喫煙物品からの主流煙の味覚を改善することができる。例えば、炭素吸収剤を通過するタバコ煙が、好ましい味覚属性を失うことがある。従って、失った風味料に取って代わるように再びタバコ煙に種々の風味料を添加することが望ましい。しかしながら、周知の方法による喫煙物品の味覚の強化は、長持ちせず、一貫性のない風味をもつ製品をもたらす結果になる。喫煙製品内に組み込まれた揮発性の風味は、安定して保持されない。風味料は、気相構成成分を除去することができるシガレット・フィルタの吸収剤の中に偶発的に移動する。シガレット製品のタバコ含有部分又はパッケージ部分に表面的に適用された風味料は、不可逆的に失われる。さらに、喫煙使用中に生じる高温内部温度で風味料分子が化学的に改質し、1又はそれ以上の望ましくない味覚を呈する副産物を生成することがある。従って、使用中に喫煙者に対して、風味料添加剤及び/又は非風味料添加剤を含む様々な添加剤の、一貫し、制御された送出を提供するように改質されたタバコ含有喫煙物品を生成することに対する継続的な関心がある。
【発明の概要】
【0002】
幾つかの実施形態において、電界紡糸(electrospinning)によって異なるタイプの繊維を生成する種々の方法が説明される。電界紡糸によって生成された繊維は、マイクロスケールの範囲の超極細繊維、ナノスケールの範囲のナノ繊維、及び超極細繊維とナノ繊維の混合物とを含む。様々な風味が強化された喫煙物品を生成するために、製造された繊維を種々のフィルタ部品内に組み込むことができる。種々の実施形態においては、フィルタ部品は、1組の繊維を含み、そこでは、電界紡糸によって繊維の全て又は一部を生成することができ、繊維は、主流煙の流入方向と平行整合するように配置される。
【0003】
別の実施形態においては、電界紡糸によって生成される繊維が、喫煙物品のフィルタ部品内に組み込まれ、繊維は、少なくとも1つのタイプの風味料及び/又は非風味料添加剤をカプセル封入するか、又はその保持を支持する少なくとも1つのポリマー材料を含む。
【0004】
別の実施形態においては、電界紡糸によって生成される「芯・殻(core−shell)」繊維が、喫煙物品のフィルタ部品内に組み込まれ、「芯・殻」繊維は、内部芯としての少なくとも1つのタイプの風味料及び/又は非風味料添加剤と、内部芯の内容物をカプセル封入する外殻としての少なくとも1つのポリマー材料とを含む。
【0005】
別の実施形態においては、電界紡糸によって生成される「2相」マトリクス繊維が、喫煙物品のフィルタ部品内に組み込まれ、「2相」マトリクス繊維は、連続相の少なくとも1つのポリマー材料と、マイクロエマルションの形態の分散相の少なくとも1つのタイプの風味料及び/又は非風味料添加剤とを含む。
【0006】
別の実施形態においては、電界紡糸によって生成される「中空芯(hollow−core)」繊維が、喫煙物品のフィルタ部品内に組み込まれ、「中空芯」繊維は、殻として犠牲ポリマー又は非犠牲ポリマーを含む。ポリマー殻の内面が、主流煙内の構成成分との相互作用によって部分的に又は完全に放出することができる少なくとも1つの風味料及び/又は非風味料添加剤に結合する。
【0007】
別の実施形態においては、電界紡糸によって生成される「残存芯(residual−core)」繊維が、喫煙物品のフィルタ部品内に組み込まれ、「残存芯」繊維は、芯として犠牲ポリマー又は非犠牲ポリマーを含む。ポリマー芯の外面が、少なくとも1つのタイプの風味料及び/又は非風味料添加剤に結合する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】繊維を生成するための例示的な電界紡糸装置の概略である。
【図2A】多成分の繊維を生成するための同軸型電界紡糸装置の概略である。
【図2B】同軸型電界紡糸によって生成される「芯・殻」繊維の概略である。
【図3A】繊維を改質して異なる風味料及び/又は非風味料添加剤をカプセル封入することができる、同軸型電界紡糸によって生成される「芯・殻」繊維の概略である。
【図3B】芯が2つの異なる風味料及び/又は非風味料添加剤を含む、図3Aに示される「芯・殻」繊維の芯の部分分解図の概略である。
【図4A】同軸型電界紡糸によって生成される「2相」マトリクス繊維を押し出すことができる単一の毛管を含む紡糸口金の概略である。
【図4B】「2相」マトリクス繊維が第1の相としてのポリマー・マトリクスと、第2の相としての風味料及び/又は非風味料添加剤の液滴とを含む、図4Aに示される「2相」マトリクス繊維の部分分解図の概略である。
【図5A】「中空芯」繊維を生成するための同軸型電界紡糸装置の概略である。
【図5B】さらに改質して「中空芯」繊維を生成することができる同軸型電界紡糸によって生成される「芯・殻」繊維の概略である。
【図5C】図5Bに示される「芯・殻」繊維の芯区域を除去した後に生成される「中空芯」繊維の概略である。
【図6A】「残存芯」繊維を生成するための同軸型電界紡糸装置の概略である。
【図6B】さらに改質して「残存芯」繊維を生成することができる同軸型電界紡糸によって生成される「芯・殻」繊維の概略である。
【図6C】図6Bに示される「芯・殻」繊維の殻区域を除去した後に生成される「残存芯」繊維の概略である。
【図7A】整合した状態の繊維のセットの概略である。
【図7B】シガレット・フィルタ内で整合した状態の繊維のセットの構成を示す、シガレットの部分分解斜視図の概略である。
【図8】同軸型電界紡糸によって生成される繊維のセットを組み込むように改質することができるシガレットの種々の小区域を示す、シガレットの部分分解斜視図の概略である。
【図9】同軸型電界紡糸によって生成される繊維のセットを組み込むように改質することができるシガレットの種々の小区域を示す、シガレットの部分分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
シガレットのようなタバコを含有する喫煙物品は、処理の際にタバコ配合物に直接添加できる、冷却剤、希釈剤、及びエアロゾル形成剤といった、風味料及び非風味料添加剤などの種々の添加剤を含むように製造することができる。添加剤分子を安定した繊維の形態の中にカプセル封入することによって、及び、このような多数の安定した繊維を喫煙物品の種々の小区域内に組み込むことによって、添加剤のこのような喫煙物品への組み込みを安定させる改善された方法が提供される。説明される方法は、貯蔵寿命の増加を示す、添加剤を含有する喫煙物品を生成することができるので、このような喫煙製品は、他の周知の方法で製造された喫煙製品と比べて、ユーザにより多くの風味を与えることができる。
【0010】
本発明の種々の実施形態は、製造された繊維の小区画又は下部構造内に様々な添加剤をカプセル封入する繊維を組み込むことにより、喫煙物品のフィルタ部品内に所定の添加剤を導入するための方法を提供する。さらに、製造プロセス中、喫煙物品のフィルタ部品内に製造された繊維を静電的に配置することができる。電界紡糸プロセスを制御する種々のパラメータを変更することにより、組成、下部構造組織、及び寸法が変化する様々な繊維のセットを製造することができる。喫煙物品の種々のフィルタ部品に組み込むのに適した添加剤は、所望の製品を達成するために製造される繊維内に随意的に含ませることができる、風味強化剤(「風味料」)及び/又は所定の化学的又は物理的特性を示す任意の薬剤(「非風味料」)を含む。非風味料の例は、冷却剤、希釈剤、エアロゾル形成剤、及び他の多くの同等物を含む。
【0011】
本開示において、「繊維」という用語は、電界紡糸プロセスによって生成することができる材料又は材料の形態を言う。材料は、繊維内に少なくとも1つのタイプの風味料又は非風味料をカプセル封入するか、又はその保持を支持する少なくとも1つのポリマー材料を含む。ポリマー材料は、少なくとも1つのタイプの風味料又は非風味料添加剤をカプセル封入するための支持構造を提供する。以下に述べられる種々の電界紡糸プロセスによって生成することができる繊維は、マイクロスケール範囲(マイクロメートルすなわちμmの単位で測定される)の「マイクロファイバ」、ナノスケール範囲(ナノメートルすなわちnmの単位で測定される)の「ナノファイバ」、及びマイクロファイバ及びナノファイバの種々の混合物を含む。マイクロスケール範囲のマイクロファイバは、約100nmから約50μmまで、約100nmから約40μmまで、約100nmから約30μmまで、約100nmから約20μmまで、約100nmから約10μmまで、約100nmから約5μmまで、約100nmから約4μmまで、約100nmから約3μmまで、約100nmから約2μmまで、約100nmから約1μmまでの外径を有する繊維を含む。ナノメートル範囲の繊維は、約1nmから約100nmまで、約1nmから約95nmまで、約1nmから約90nmまで、約1nmから約85nmまで、約1nmから約80nmまで、約1nmから約75nmまで、約1nmから約70nmまで、約1nmから約65nmまで、約1nmから約60nmまで、約1nmから約55nmまで、約1nmから約50nmまで、約1nmから約45nmまで、約1nmから約40nmまで、約1nmから約35nmまで、約1nmから約30nmまで、約1nmから約25nmまで、約1nmから約20nmまで、約1nmから約15nmまで、約1nmから約10nmまで、約1nmから約5nmまでの外径を有する繊維を含む。好ましい実施形態においては、繊維は、約20nmから約10μmまでの範囲の外径を有する。別の好ましい実施形態においては、繊維は、約20nmから約3μmまでの範囲の外径を有する。
【0012】
図1は、繊維を生成するための例示的な電界紡糸装置の概略である。図1において、例示的な装置は、注射器11及び注射針12を必ず通過する流動性材料の連続的供給を提供するための供給源を含む。注射針12に適用されるDC高圧電源13によって、静電場が生成される。静電場から、出てくる流動性材料は、接地した円筒形のターゲット・コレクタ15に取り付けることができる繊維14の形態の材料の不安定な連続的噴射である。接地したターゲット・コレクタ15は、その軸線に沿って回転し、並進することができる。
【0013】
図2Aは、多成分の繊維を生成するための同軸型電界紡糸装置の概略である。図2Aにおいては、2つの同軸の毛管を含む紡糸口金200が示され、中心軸腺に沿った内側毛管201は繊維の芯を形成する第1の材料203で充填され、内側毛管201を同心円状に囲む外側毛管202は繊維の殻を形成する第2の材料204で充填されている。紡糸口金200内では、流動性材料203及び204が、毛管力を受けた状態にある。両方の毛管内の流動性材料203及び204は、例えば、コレクション・プレートのような接地したターゲット206に対して高電位で維持することができる。内側毛管201の第1の流動性材料203及び外側毛管202の第2の流動性材料204は、両方の毛管の末端縁部207又はノズルを出て、単一の繊維208として押し出すことができる。両方の毛管の末端縁部207は、接地したターゲット206から等しい距離で、近接して、名目上、及び同心円状に配置することができる。導電性紡糸口金に電位を印加することによって、毛管内の第1の材料203及び第2の材料204を所望の電位で維持することができ、そこでは、各々の毛管は導電性であるが他方の毛管から電気的に絶縁されている。代替的に、各々の毛管内に含有される材料内に直接挿入することができる導電性電極205に電位を印加することによって、毛管内の第1の材料203及び第2の材料204を所望の電位で維持することができる。電極が導電性であるとき、毛管は導電性であっても、又は非導電性であってもよい。
【0014】
図2Aにおいては、同軸型電界紡糸装置は、毛管又は同軸の毛管のセットを含む紡糸口金を含み、毛管の各サブセットは、異なる流動性材料を押し出すように指定することができる。電界紡糸プロセスの際、紡糸口金の開口部に形成された流動性材料の液滴に強い電場を印加することによって、1又はそれ以上の流動性材料から材料の流れが引き出される。毛管内の高圧電極又は毛管自体との接触を通して、材料内に電荷が誘起される。高電圧の印加により、液滴上に表面電荷が与えられ、液滴が繊維形態に伸長される。十分に高い電圧で、円錐の先端から材料の連続的噴射が放出されるテイラー・コーンを形成することができる。テイラー・コーン内では、紡糸口金から放出された材料の流れを同時に広げ、伸長することによって、細い直径を有する繊維を生成することができる。接地したターゲット・コレクタの上に電界紡糸により生成された繊維を堆積させることができる。堆積の際、繊維調製の当業者には周知の適切な整合技術を用いて、こうした繊維を整合させることができる。
【0015】
一般に、繊維に組み込むために選択された添加剤は、紡糸口金を通して押し出すことができる任意の材料を含む。一実施形態においては、押し出しに適した添加剤は、非粘性の形態のポリマー、ジェル、液体、又は溶融物を含む。別の実施形態においては、押し出しに適した添加剤は、所望の粘性を達成するように、溶媒、乳化剤、又は重合剤と組み合わせることができる粘性形態のポリマー、ジェル、液体、又は溶融物を含む。所定の添加剤を溶解することができ、かつ、流動性材料を生成することができる溶媒は、電界紡糸プロセスに適している。例えば、適切な溶媒は、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)、塩化メチレン、ジオキサン、エタノール、クロロホルム、水、同等の溶媒、及びそれらの種々の組み合わせを含む。電界紡糸流体の所望の表面張力を得るために、種々の界面活性剤、塩、及びそれらの混合物を電界紡糸流体に添加し、最低範囲の導電性を示すことができる。例えば、塩化リチウムは、流体の導電性を増すために電界紡糸流体に添加することができる無機塩類として適しており、かつ、電界紡糸プロセスの際に蒸発により除去される。メントールが所定の添加剤として含まれる場合、押し出しステップの前に所望の粘性を達成するために、メントールを油又は乳化剤のような液体溶媒と組み合わせることが好ましい。代替的に、電界紡糸プロセスの際に材料を余熱又は加熱し、所望の粘性を達成することもできる。別の実施形態においては、押し出しに適した添加剤は、固形の材料を含む。例えば、メントールは、固体として容易に入手可能であり、繊維を製造する際に添加剤として固形で用い、喫煙物品に組み込むことできるので、喫煙中、主流煙を通して所望の量のメントールを放出することができる。
【0016】
ここで説明される種々の繊維に向けられる実施形態については、繊維は、「犠牲ポリマー」及び/又は「非犠牲ポリマー」を含む。犠牲ポリマーは、少なくとも2つの方法で、すなわち、喫煙物品のフィルタ部品の温度上昇に起因してポリマーの物理的状態の可逆変化(すなわち、固体状態から液体状態へのポリマーの溶解)をもたらす熱転移によって、及び、喫煙中に達した高温における喫煙物品の主流煙の構成成分との相互作用に起因するポリマーの不可逆的な化学変化をもたらす化学分解によって改質され得る。非犠牲ポリマーもまた、喫煙中に達した高温における喫煙物品の主流煙の構成成分と相互作用したときに、化学分解される。繊維の組成を制御することにより、犠牲ポリマー及び非犠牲ポリマーの適切な組み合わせを使用して、犠牲ポリマーと非犠牲ポリマーが仲介する、フィルタ部品内の保持又はカプセル封入から種々の添加剤を選択的に放出する繊維を生成することができる。
【0017】
繊維内に組み込まれた犠牲ポリマーは、フィルタ部品の温度がガラス転移温度又は犠牲ポリマーの溶融温度を超えたとき、犠牲ポリマーの構造上の完全性を低減させる熱転移され得る。例えば製造プロセス中の加熱により、熱転移され得る犠牲ポリマーは、ポリエーテルケトン、ポリオキシトリメチレン、アタクチック・ポリプロピレン、低密度ポリエチレン、ポリ(アルキルシロキサン)、ポリ(ブチレンアジペート)、ポリアクリラート、ポリメタクリレート、及びポリイタコン酸からなる群から選択される。適切なポリマーは、ポリ(エチレン酸化物)(PEO)、ポリラクチド(PLA)、ポリグリコライド(PGA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリヒドロキシ酪酸(PHB)、ポリヒドロキシバレレート(PHBV)、ポリビニルアルコール(PVA)、及び種々のポリ酸無水物のような、水溶性ポリマー又は加水分解性ポリマーを含む。当業者には周知の他のホモポリマーを犠牲ポリマーとして用いることもできる。一実施形態においては、熱転移される犠牲ポリマーの構造上の完全性は、フィルタ部品の最初の未喫煙状態のものから少なくとも1%だけ低減される。好ましい実施形態においては、熱転移される犠牲ポリマーの構造上の完全性は、フィルタ部品の最初の未喫煙状態のものから、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、及び少なくとも50%だけ低減される。
【0018】
フィルタ部品の温度が犠牲ポリマーの化学結合を破壊するのに十分な温度に達すると、繊維内に組み込まれた犠牲ポリマーは、犠牲ポリマーの構造上の完全性を低減させる化学分解され得る。例えば、化学分解は、ポリマーをモノマーに分解し、モノマーから官能基を切断することができる。化学分解され得る適切な犠牲ポリマーは、でんぷんベースの熱分解性ポリマーを含む、種々の熱分解性ポリマー及び熱分解性エポキシ樹脂といった、十分に高い温度で熱分解され得るポリマーを含む。適切なポリマーの例は、線状ポリマー、星型ポリマー、及び架橋ポリマーを含む。犠牲ポリマーとして用いるのに適したポリマーは、喫煙中に喫煙フィルタ部品内で達した高温下で化学分解され得る、及び/又は、喫煙中に主流煙の構成成分と相互作用することができる、あらゆるタイプのポリマーを含む。一実施形態においては、化学分解による犠牲ポリマーの構造上の完全性は、フィルタ部品の最初の未喫煙のものから少なくとも1%だけ低減される。好ましい実施形態においては、化学分解による犠牲ポリマーの構造上の完全性は、フィルタ部品の最初の未喫煙のものから、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、及び少なくとも50%だけ低減される。
【0019】
当業者には周知のコポリマーを犠牲ポリマーとして用いることができる。犠牲ポリマーを生成するのに適したコポリマーは、上述のホモポリマーのモノマーからなるコポリマー、及び上述のホモポリマーのモノマー及び当業者には周知の他のタイプのポリマーのモノマーの両方を含むコポリマーを含む。適切なコポリマーの例は、ランダムコポリマー、グラフトコポリマー、及びブロックコポリマーを含む。
【0020】
電界紡糸プロセスを調節するパラメータを制御することによって、特化された特徴を示す様々な繊維を生成することができる。紡糸口金−ターゲット・コレクタの電圧Vscを、2kVから20kVの範囲に設定することができ、5kVから15kVの範囲に設定することが好ましい。毛管の帯電した先端部と接地したターゲットとの間の距離は、約3cmから25cmまでに設定することができ、約5cmから20cmまでに設定されることが好ましい。ポリマー溶液の供給量は、約0.02mL/時から2.0mL/時までに設定することができ、好ましい供給量は、約0.05mL/時から1.0mL/時までに設定することができる。溶液中の添加剤の供給量は、約0.02mL/時から2mL/時までに設定することができ、好ましい供給量は、約0.05mL/時から1mL/時までに設定することができる。溶液中のポリマーの濃度は、約0.5wt%から40wt%までの範囲に設定することができ、約1wt%から10wt%までの範囲に設定されることが好ましい。添加剤の濃度は、約1wt%から100wt%までの範囲に設定することができ、約10wt%から50wt%までの範囲に設定されることが好ましい。外側毛管の外径は、約0.1mmから5mmまでに設定することができ、0.2mmから1mmまでに設定されることが好ましく、内側毛管の直径は、約0.05mmから2mmまでに設定することができ、0.07mmから0.7mmまでに設定されることが好ましい。毛管は、ステンレス鋼、ガラス、又はポリマーからなることができる。ステンレス鋼又は他の導電性毛管が用いられるとき、コレクタと毛管との間に、紡糸口金−ターゲット・コレクタ電圧を印加することができる。非導電性毛管が用いられる場合、電気的接触を促進するように、導電性電極を液体の中に挿入することができる。0.5mL/時の液体供給量を用いてこれらのパラメータに従って行なわれる電界紡糸は、20mg/時から500mg/時までの繊維生成速度をもたらすことができる。
【0021】
図2Bは、別の実施形態として、同軸型電界紡糸によって生成された「芯・殻」繊維の概略である。図2Bにおいて、図2Aに示される例示的な2成分の繊維を表す「芯・殻」繊維208が、所望の長さに切断され、「芯・殻」繊維の小区域209を生成する。図2Aにおいては、第1の流動性材料として風味料及び/又は非風味料添加剤を含むように内側毛管203が充填され、第2の流動性材料としてポリマーを含むように外側毛管204が充填されるとき、電界紡糸プロセスは、内部芯210内の風味料及び/又は非風味料添加剤と、外殻211としてのポリマーとを含む繊維を生成する。生成された繊維は、形状が名目上円筒形であり、繊維の長さ全体にわたってほぼ一定の直径を有する。1つの好ましい実施形態においては、「芯・殻」繊維は、約20nmから約10μmまでの範囲の外径を有する。別の好ましい実施形態においては、「芯・殻」繊維は、約20nmから約3μmまでの範囲の外殻厚を有する。
【0022】
風味料及び/又は他の添加剤の種々の組み合わせは、図2Aに示されるような紡糸口金の内側毛管201内に充填することができ、かつ、図2Bに示されるような繊維の内部芯210内にカプセル封入することができる。例えば、適切な風味料は、メントール、オイゲノール、スペアミント、ペパーミント、ココア、バニラ、シナモン、甘草、シトラス、又は他のフルーツの風味、及びそれらの組み合わせを含む。非風味料添加剤の例は、冷却剤、希釈剤、エアロゾル形成剤、及び同等物を含む。好ましい実施形態においては、メントールは、冷却剤として、及び、風味料として、喫煙物品の繊維内に組み込まれる。
【0023】
図3Aは、同軸型電界紡糸によって生成された「芯・殻」繊維の概略であり、別の実施形態のように、この繊維を改質して、異なる風味料及び/又は非風味料添加剤をカプセル封入することができる。図3Aにおいては、殻30及び芯32を含む例示的な「芯・殻」繊維が示される。「芯・殻」繊維の芯32は、別個の小区画内に1又はそれ以上の風味料及び/又は非風味料添加剤をカプセル封入することができるので、「芯・殻」繊維の完全性が損なわれない限り、小区画の内容物は分離されたままである。下記の図3Bに示され説明されるように多数の風味料及び/又は非風味料添加剤が交互配置されるように、「芯・殻」繊維の芯32を設計することができる。
【0024】
図3Bは、図3Aに示される「芯・殻」繊維の芯の部分分解図の概略であり、この芯は、別の実施形態のように、2つの異なる風味料及び/又は非風味料添加剤を含有する。図3Bにおいては、単一の内側毛管内に所望量の2つの異なる添加剤「A」及び「B」を連続的に充填し、繊維の内部芯内に交互配置された少なくとも2つの異なる添加剤「A」33及び「B」34を生成する。一実施形態においては、繊維は、繊維の長さに沿って繊維の内部芯内に交互配置された風味料「A」及び「B」を含む。好ましい実施形態のように、ポリマー繊維の芯内にメタノールをカプセル封入する繊維を生成するために、添加剤として内側毛管にメントールが充填され、外側毛管に犠牲ポリマーが充填される。
【0025】
繊維内にカプセル封入された風味料及び/又は非風味料添加剤を繊維の長さに沿って配置し、喫煙物品のパフごとに所望される効果をもたらすのに十分な量の風味料又は非風味料添加剤を放出することができる。例えば、図3Bに示されるように2つの異なる添加剤が交互配置される場合、最初のパフの際に風味料「A」を放出し、第2のパフの際に風味料「B」を放出し、第3のパフの際に風味料「A」を放出することができ、喫煙物品が完全に消耗されるまで以下同様である。好ましい実施形態においては、喫煙物品の一回のパフによって、カプセル封入から放出されることが意図される添加剤の平均量と相互に関連する、芯の小区画内の各添加剤の所定量をカプセル封入するように、「芯・殻」繊維を設計することができる。添加剤「A」及び「B」をセットとして配置することができるので、添加剤「A」及び「B」のセットの数は、喫煙物品において得ることができるパフの最大数と等しくすることができ、その結果、一回のパフで風味料「A」及び「B」の両方を一緒に楽しむことができる。例えば、平均のシガレット長について8回のパフを得ることができる場合、8つの「AB」セットの繰り返し、すなわち、「AB−AB−AB−AB−AB−AB−AB−AB」のセットを含む所定の長さの「芯・殻」繊維を設計することができる。代替的に、繊維の長さに沿って繰り返される「AB」セットの数が所定のシガレット長について得ることができるパフの最大数より少ない「AB」セットの多数の繰り返しを含むように、「芯・殻」繊維を設計することができる。例えば、所定の長さの繊維の第1の部分が風味料「A」を含み、同じ繊維の第2の部分が風味料「B」を含む、2つの風味料「AB」を含む繊維も考えられる。別の実施形態においては、添加剤「A」、「B」、「C」及び「D」をセットとして配置できるので、添加剤「AB」及び「CD」のセットの数は、喫煙物品において得ることができるパフの最大数と等しくすることができ、その結果、一回のパフで添加剤「A」、「B」、「C」及び「D」を一緒に楽しむことができる。例えば、平均シガレット長について8回のパフを得ることができる場合、「AB」及び「CD」の8つの交互するセットの繰り返し、すなわち、「AB−CD−AB−CD−AB−CD−AB−CD−AB−CD−AB−CD−AB−CD−AB−CD」のセットを含む所定の長さの「芯・殻」繊維を設計することができる。
【0026】
図4Aは、別の実施形態のような、同軸型電界紡糸によって生成された「2相」マトリクス繊維を押し出すことができる単一の毛管を含む紡糸口金の概略である。図4Aにおいては、犠牲ポリマー402を含む第1の材料及び風味料及び/又は非風味料添加剤を含む第2の材料403を、単一の毛管401を含む単一毛管紡糸口金400の中に充填することができる。毛管401内では、犠牲ポリマー402を含む第1の材料は、連続相で形成され、風味料及び/又は非風味料添加剤を含む第2の材料403は、分散相で形成される。第1の材料402及び第2の材料403は、マイクロエマルションとして結合され、その混合物は、毛管内に含まれる材料の混合物内に直接挿入される導電性電極404に電位を加えることによって、所望の電位で維持される。導電性電極の電位は、接地したターゲット405として働くコレクション・プレートの電位に対するものである。2つの材料の混合物を表す「2相」マトリクス材料が、ノズル406を出る。電界紡糸プロセスによって生成された「2相」マトリクス繊維407は、接地したターゲット上に集めることができる。
【0027】
図4Bは、図4Aに示される「2相」マトリクス繊維の部分分解図の概略であり、別の実施形態のように、「2相」マトリクス繊維が第1の相としてポリマー・マトリクスを含み、第2の相として風味料及び/又は非風味料添加剤の液滴を含む。図4Bにおいては、図4Aに示される例示的な「2相」マトリクス繊維407が、所望の長さに切断され、「2相」マトリクス繊維の小区域408を生成する。電界紡糸プロセスの結果として、図4Aに示される犠牲ポリマー402を含む第1の材料及び図4Aに示される少なくとも1つのタイプの風味料及び/又は非風味料添加剤403を含む第2の材料が結合されて、連続相として形成された犠牲ポリマーのマトリクス409と、分散相として形成された風味料及び/又は非風味料添加剤の液滴410とを生成する。喫煙物品のフィルタ部品内の「2相」マトリクス・カプセルが、水蒸気を含む粒子を含有する主流煙に露出されるようになると、喫煙中の犠牲ポリマーの熱転移及び/又は化学分解のプロセスのために、犠牲ポリマーを含むマトリクス構造全体にわたって分散される風味料及び/又は非風味料添加剤が徐々に放出される。
【0028】
図5Aは、「中空芯」繊維を生成するための同軸型電界紡糸装置の概略である。図5Aにおいては、犠牲ポリマーと結合した風味料及び/又は非風味料添加剤の単相混合物51が、内側毛管に充填される。犠牲ポリマーは、ゲル、液体、又は溶融物の形態で用いることができる。非犠牲ポリマーを含むポリマー溶液52が、外側毛管に充填される。
【0029】
図5Bは、別の実施形態のような、「中空芯」繊維を生成するようにさらに改質することができる、同軸型電界紡糸によって生成される「芯・殻」繊維の概略である。図5Bにおいては、図5Aに示される外側毛管内に充填された非犠牲ポリマー材料52が、繊維のポリマー殻54を形成し、図5Aに示される単相混合物51が、繊維の犠牲芯53を形成する。電界紡糸プロセスの際、又はアニールのような後のステップの際、繊維の芯53内の添加剤分子は、化学的又は物理的にポリマー殻54と相互作用することができるので、添加剤分子は、添加剤に曝されたポリマー殻の表面に結合する。添加剤とポリマー殻との間の相互作用は十分に強いものであるので、後に芯が除去されたとき、結合された添加剤分子は、ポリマー殻の表面に取り付けられたままである。図5Bにおいては、崩壊反応によって「芯・殻」繊維の芯53を除去し、円筒状殻として形成されたポリマーを含む「中空芯」繊維を生成することができ、そこでは、円筒状殻の内面が風味料及び/又は非風味料添加剤55の分子と結合される。芯53は、化学分解及び/又は熱転移によって除去することができる。繊維がターゲット・コレクタに達する前に繊維の温度を上げることによって、電界紡糸プロセスの際、熱処理により「芯・殻」繊維の芯53を除去することができる。芯53が溶媒を含有する場合、溶媒を高温で蒸発させることによって、芯53の内容物を除去することができる。代替的に、電界紡糸プロセスの後、或いは繊維を好ましい長さに切断する前又は後に、化学分解及び/又は熱転移によって、芯53を除去することができる。
【0030】
図5Cは、別の実施形態のような、図5Bに示される「芯・殻」繊維の芯区域を除去した後に生成される「中空芯」繊維の概略である。図5Cにおいては、「中空芯」繊維は、ポリマー殻55の内面に取り付けられた風味料及び/又は非風味料添加剤を含む。喫煙中、内面56と風味料及び/又は非風味料添加剤との間の結合を妨げる主流煙構成成分によって、「中空芯」繊維から風味料及び/又は非風味料添加剤を放出することができる。1つの実施形態のように、電界紡糸プロセスによって「中空芯、非犠牲殻」繊維が生成され、「中空芯、非犠牲殻」繊維は、殻として形成された非犠牲ポリマーと、殻の内面に結合された少なくとも1つのタイプの風味料及び/又は非風味料添加剤とを含む。
【0031】
別の実施形態のように、同軸型電界紡糸プロセスによって、「中空芯、犠牲殻」繊維が生成され、この「中空芯、犠牲殻」繊維は、殻として形成された犠牲ポリマーと、殻の内面に結合された少なくとも1つのタイプの風味料及び/又は非風味料添加剤とを含み、主流煙に曝されたとき、「中空芯、犠牲殻」繊維から風味料及び/又は非風味料添加剤が放出される。犠牲ポリマーと結合した風味料及び/又は非風味料添加剤の単相混合物が、内側毛管に充填される。犠牲ポリマーは、ゲル、液体、又は溶融物の形態で用いることができる。さらに、外側毛管に犠牲ポリマーを含むポリマー溶液を充填することができる。外側毛管内に充填された犠牲ポリマー材料は、繊維の犠牲ポリマー殻を形成し、単相混合物は、「中空芯、犠牲殻」繊維の犠牲芯を形成する。犠牲ポリマー殻の崩壊は、犠牲ポリマー芯の崩壊とは異なる方法で行なうことができる。例えば、「中空芯、犠牲殻」繊維の芯を形成するために選択されたポリマーが、「中空芯、犠牲殻」繊維の芯を形成するために選択された犠牲ポリマーより相対的に低い溶融温度を有する場合、製造プロセスの際、高温での熱転移によって犠牲ポリマー芯を除去することができ、喫煙者が次に使用する際に、犠牲ポリマー殻を化学的に分解することができる。殻の構造上の完全性を維持するために、芯のポリマーを選択的に溶融し、殻のポリマーを溶融しない、適度に高い温度で、製造プロセスの際、熱により犠牲ポリマー芯を除去することができる。喫煙中、犠牲ポリマー殻を化学的に分解することもでき、主流煙の構成成分が殻を化学的に分解し、殻の内面から風味料及び/又は非風味料添加剤を放出させる。
【0032】
図6Aは、「残存芯」繊維を生成するための同軸型電界紡糸装置の概略である。図6Aにおいては、内側毛管には、犠牲ポリマー又は非犠牲ポリマーを含むポリマー溶液62が充填されている。外側毛管には、犠牲ポリマーと結合した風味料及び/又は非風味料添加剤の単相混合物61が充填されている。犠牲ポリマーは、ゲル、液体、又は溶融物の形態で用いることができる。
【0033】
図6Bは、別の実施形態のように、さらに改質して「残存芯」繊維を生成することができる、同軸型電界紡糸によって生成された「芯・殻」繊維の概略である。図6Bにおいては、図6Aに示される外側毛管内に充填された単相混合物61が「非犠牲、残存芯」繊維の犠牲殻64を形成し、図6Aに示される非犠牲ポリマー材料62が、「非犠牲、残存芯」繊維の残存芯63を形成する。電界紡糸プロセスの際、又は、アニールのような後のステップの際、残存芯繊維の殻64内の添加剤分子は、化学的又は物理的に添加剤分子に曝された残存芯63と相互作用し得るので、添加剤分子は、添加剤に曝された残存芯63の表面に結合することができる。添加剤と残存芯63との間の相互作用は十分に強いものであるので、殻64が後で除去されたとき、結合した添加剤分子は、残存芯63の表面に取り付けられたままである。図6Bにおいては、最初のステップで生成された「芯・殻」繊維の殻64を除去し、芯として形成されたポリマーを含む「残存芯」繊維65を生成することができ、芯の外面は、風味料及び/又は非風味料添加剤の分子と結合される。化学分解及び/又は熱転移によって、殻64を除去することができる。「芯・殻」繊維の殻64は、繊維がターゲット・コレクタに達する前に繊維の温度を上げることによって、電界紡糸プロセス中、加熱のような熱処理によって除去することができる。殻64が溶媒を含有する場合、高温で溶媒を蒸発させることによって、殻64の内容物を除去することができる。代替的に、電界紡糸プロセス後、化学分解及び/又は熱転移を引き起こす反応によって、殻64を除去することもできる。
【0034】
図6Cは、別の実施形態のような、図6Bに示される「芯・殻」繊維の殻を除去した後に生成された「残存芯」繊維の概要である。図6Cにおいては、「残存芯」繊維は、ポリマー芯の外面65に取り付けられた風味料及び/又は非風味料添加剤を含む。喫煙中、外面65と風味料及び/又は非風味料添加剤との間の結合を妨げる主流煙構成成分によって、「残存芯」繊維から風味料及び/又は非風味料添加剤を除去することができる。1つの実施形態のように、同軸型電界紡糸プロセスによって、「非犠牲、残存芯」繊維が生成され、この「非犠牲、残存芯」繊維は、芯として形成された非犠牲ポリマーと、芯の外面に結合された少なくとも1つの風味料及び/又は非風味料添加剤とを含み、風味料及び/又は非風味料添加剤は、外側の犠牲ポリマー殻により支持される。別の実施形態において、同軸型電界紡糸プロセスによって、「犠牲、残存芯」繊維が生成され、この「犠牲、残存芯」繊維は、芯として形成された犠牲ポリマーと、芯の外面に結合された少なくとも1つの風味料及び/又は非風味料添加剤とを含み、風味料及び/又は非風味料添加剤は、外側犠牲ポリマー殻により支持される。
【0035】
電界紡糸プロセス後、さらなる処理ステップを行ない、喫煙物品の部品内に組み込むように電界紡糸された繊維を調製することができる。例えば、「芯・殻」繊維、「2相」マトリクス繊維、及び「中空芯」繊維を切断して、約1mmから約20mmまでの範囲の長さを有する繊維を生成することができる。特定のフィルタ・タイプに組み込むための繊維を、ほぼ同じ長さに切断することができる。喫煙物品のフィルタの中に繊維を組み込むために、製造された喫煙物品に挿入する前に、繊維を集めて束にすることができる。繊維が束ねられた場合、透水性材料、半透水性材料、又は不透水性材料、或いはリングのようなエンクロージャ、或いはトリアセチン、エポキシ、及びシリコン・ゴムのような接着剤を用いて、繊維を互いに保持することができる。代替的な実施形態においては、繊維を所望の長さに切断する前に、繊維を集めて束にする。
【0036】
別の実施形態においては、ポリマー殻を生成するために電界紡糸プロセスが用いられた後、風味料及び/又は非風味料添加剤が「中空芯」繊維内に組み込まれる。例えば、「中空芯」繊維を交互に生成する場合、内側毛管に、ゲル、液体、又は溶融物の形態の犠牲ポリマーを充填することができるが、付加的に風味料及び/又は非風味料添加剤を充填する必要はない。繊維を風味料及び/又は非風味料添加剤の溶液の中に浸漬して風味料及び/又は非風味料添加剤を「中空芯」繊維の露出面に接着する後続のステップの前に、芯の犠牲ポリマーに熱転移又は化学分解を施すことができる。殻の内面に取り付けられた添加剤を保持し、蒸発又は他の手段によって、「中空芯」繊維を形成する殻の外面に取り付けられた添加剤を除去することができる。喫煙者が使用する際に主流煙の構成成分に曝されたとき、「中空芯」繊維に安定的に結合した風味料及び/又は非風味料添加剤を放出することができる。
【0037】
別の実施形態においては、ポリマー芯を生成するために電界紡糸プロセスが用いられた後、風味料及び/又は非風味料添加剤が「残存芯」繊維の中に組み込まれる。例えば、「残存芯」繊維を交互に生成する場合、外側毛管に、ゲル、液体、又は溶融物の形態の犠牲ポリマーを充填することができるが、付加的に風味料及び/又は非風味料添加剤を充填する必要はない。繊維を風味料及び/又は非風味料添加剤の溶液の中に浸漬して「残存芯」繊維の露出面に接着する後続のステップの前に、殻の犠牲ポリマーに熱転移又は化学分解を施すことができる。喫煙者が使用する際に主流煙の構成成分に曝されたとき、繊維に安定的に結合した風味料及び/又は非風味料添加剤を放出することができる。
【0038】
図7Aは、別の実施形態のような、整合した繊維のセットの概略である。図7Bは、シガレット・フィルタ内で整合した状態のフィルタのセットの配置を示すシガレットの部分分解斜視図の概略である。電界紡糸によって生成された繊維は、主としてシガレットの長軸と整合した状態にあり、よって、主流煙の流入とも整合した状態にある。繊維のこのような整合は、主流煙と芯材料との間の最大の相互作用を促進し、添加剤の効率的な制御された放出を促進する。種々の実施形態においては、電界紡糸によって生成された繊維からなるフィルタ部品を含む喫煙物品が提供され、繊維は、少なくとも1つのタイプの風味料及び/又は非風味料添加剤をカプセル封入する、又はその保持を支持する少なくとも1つのポリマー材料を含む。別の実施形態においては、電界紡糸によって生成される「芯・殻」繊維からなるフィルタ部品を含む喫煙物品が提供され、「芯・殻」繊維は、内部芯として少なくとも1つのタイプの風味料及び/又は非風味料添加剤を含み、内部芯の内容物をカプセル封入する外殻として少なくとも1つのポリマー材料を含む。別の実施形態においては、電界紡糸によって生成される「2相」マトリクス繊維からなるフィルタ部品を含む喫煙物品が提供され、「2相」マトリクス繊維は、連続相の少なくとも1つのポリマー材料と、マイクロエマルションの形態の分散相の少なくとも1つのタイプの風味料及び/又は非風味料添加剤とを含む。別の実施形態においては、電界紡糸によって生成される「中空芯」繊維からなるフィルタ部品を含む喫煙物品が提供され、「中空芯」繊維は、殻として犠牲ポリマー又は非犠牲ポリマーを含む。別の実施形態においては、電界紡糸によって生成される「残存芯」繊維からなるフィルタ部品を含む喫煙物品が提供され、「残存芯」繊維は、芯として犠牲ポリマー又は非犠牲ポリマーを含む。ここに述べられる種々のタイプの繊維について、こうしたタイプの繊維を組み込むフィルタ部品及び喫煙物品は、異なるタイプの繊維について述べられた特性を示す。例えば、化学分解及び/又は熱転移によって殻を形成するポリマー材料の構造上の完全性が低減又は排除されるとき、「芯・殻」繊維の内部芯の内容物を放出することができる。
【0039】
図8は、別の実施形態のような、同軸型電界紡糸によって生成される繊維をセットを組み込むように改質することができるシガレットの種々の小区域を示すシガレットの部分分解斜視図である。こうした繊維を含むシガレット・フィルタは、フィルタ状要素を含有する種々のタイプのシガレットを含む任意のタイプの喫煙物品内に組み込むことができる。シガレット・フィルタに用いられる繊維の数を調整することによって、シガレット・フィルタ部品において、タバコ煙のパフ内に含有される所望量の風味料及び/又は非風味料添加剤を提供することができる。図8においては、タバコ・ロッド82と、フィルタ部品83と、マウスピース・フィルタ・プラグ84とを含むシガレット81が示される。フィルタ部品83を改質して、風味強化繊維を挿入することができる空きスペースを生成することができる。風味強化繊維は、マウスピース・フィルタ・プラグ84内に組み込むことができ、或いは、自由流スリーブ85の内側のような中空キャビティに挿入し、フィルタ部品83の部分を形成することができる。一実施形態においては、繊維のセットをシガレット・フィルタの中空部分に挿入することができる。別の実施形態においては、セルロース・アセテートのプラグのような2つ又はそれ以上の従来のシガレット・フィルタ部品間の中空キャビティ内に繊維のセットを挿入することができる。喫煙物品の製造に関して風味強化繊維について説明されたように、非風味料添加剤で強化された繊維を調製することができる。
【0040】
図9は、別の実施形態のように、同軸型電界紡糸によって生成される繊維のセットを組み込むように改質することができるシガレットの種々の小区域を示す、シガレットの部分分解斜視図である。図9においては、タバコ・ロッド92と、プラグ・スペース・プラグ・フィルタの形態のフィルタ部品93とを含むシガレット91が示される。フィルタ部品93は、マウスピース・フィルタ92と、スペース96と、プラグ95とを含む。プラグは、管の形態とすることができ、ポリプロピレン又はセルロース・アセテート繊維のような固体の材料片からなるものとしてもよい。タバコ・ロッド92及びフィルタ部品93は、チップ・ペーパー97と互いに接合される。フィルタ部品93は、フィルタ・オーバーラップ98を含むことができる。風味強化繊維を、マウスピース・フィルタ94、プラグ95、及び/又はスペース96の中に組み込むことができる。風味強化繊維は、シガレットのフィルタ部品の如何なる要素内にも組み込むことができるので、繊維は、喫煙物品の長軸と実質的に平行である。喫煙物品の製造に関して風味強化繊維について説明されたように、非風味料添加剤で強化された繊維を調製することもできる。
【0041】
一般に、いずれかの周知又は未知の機構を介して繊維の表面から主流煙内に、風味料及び/又は非風味料添加剤を放出することができる。基礎をなす機構に関係なく、水蒸気のような主流煙の構成成分に曝されたとき、支持構造のポリマー表面に添加剤の分子を結合させる結合が壊される。全ての説明された実施形態について、喫煙者による平均的な使用の際に繊維からなる喫煙物品がパフされたとき、風味料及び/又は非風味料添加剤が放出されることが好ましい。「芯・殻」繊維のポリマー外殻及び「2相」マトリクス繊維の連続的なポリマー・マトリクスが犠牲ポリマーからなる場合、ガラス転移温度又は殻の溶融温度がフィルタ内で超えたときに起こり得るポリマー材料の物理的変化によって、支持部のポリマー材料の構造上の完全性が減少又は排除されたときに、添加剤を放出することができる。さらに、主流煙内の構成成分によって殻が化学的に分解され、喫煙中に殻を高温で部分的又は完全に分解させるとき、構造上の完全性が損なわれ得る。
【0042】
犠牲殻又は犠牲マトリクスの部分的分解は、主流煙の流入方向における化学勾配又は温度勾配の存在によって強化することができる。例えば、シガレットのタバコ・ロッド端部における主流煙の温度がマウスピース端部における温度より相対的に高い場合、繊維は、パフの際に近位端(すなわち、マウスピース端部)を消耗する前に、遠位端で最初に分解する。シガレットのタバコ・ロッド端部における主流煙の濃度がマウスピース端部における濃度より相対的に大きい場合、繊維は、パフの際に近位端(すなわち、マウスピース端部)を消耗する前に遠位端で最初に分解する。いずれの手段によっても、繊維の部分的及び漸進的分解を達成することができる。
【0043】
繊維は、芯区画及び殻区画を含む、繊維の小区画内に種々の風味料及び/又は非風味料添加剤を保持するのに有用である。繊維が与える部分的又は完全なカプセル封入により、添加剤の揮発が最小にされるか又は排除され、喫煙物品の製造のために用いられる風味料の量が減少する。こうした繊維を含む喫煙物品は、こうした繊維から構成されていない標準的な風味付けシガレットと比べると、「運ばれる総粒子状物質(TPM)」の減少を示し得る。こうした繊維を含む喫煙物品は、添加剤分子の損失率を減らすことによって、増大した貯蔵寿命を示すことができる。添加剤としてメントールが用いられたとき、パフごとに好ましく放出される量は、約6.0μgから約2.5mgまでの範囲であり、又はより好ましくは約25μgから約125μgまでの範囲である。シガレットのようなタバコ物品のフィルタ内のメントールの総量は、好ましくは約1.0mgから約1000mgまでの範囲であり、又はより好ましくは約0.5mgから約5mgまでの範囲である
【0044】
特定の又は好ましい実施形態に関して幾つかの実施形態を説明したが、当業者には、これらの実施形態の変形及び変更が明らかになるであろう。こうした変形及び変更は、提示される特許請求の範囲の視野及び範囲内にあると考えられる。手順が拡大される場合、又は、付加的な要因を考慮に入れる必要がある場合、実験的な手順、材料及び予想される結果は、調整を必要とする。同軸型電界紡糸プロセスは、実験室規模のレベルの生成について説明された。産業規模のレベルの生成で繊維を作製するために、さらなる変更が予想される。
【0045】
一実施形態においては、喫煙物品のフィルタ部品を生成する方法が、フィルタ支持材料を準備し、少なくとも1つのタイプの風味料及び/又は非風味料添加剤と少なくとも1つのタイプのポリマーとを含む繊維を準備し、フィルタ支持材料を1又はそれ以上の繊維と互いに組み立て、フィルタ部品を形成することとを含み、ポリマーは、最初の未喫煙状態でフィルタ部品内の少なくとも1つのタイプの風味料及び/又は非風味料添加剤を安定化させ、少なくとも1つのタイプのポリマーは、熱転移及び/又は化学分解によって改質されるので、少なくとも1つのタイプの風味料及び/又は非風味料添加剤が主流煙の中に放出される。適切なフィルタ支持材料が当技術分野において周知であり、セルロース・アセテート及びその派生物を含む。電界紡糸によって繊維を生成するための種々の方法がここで提供される。別の実施形態においては、フィルタ部品を生成する方法は、繊維のセットを実質的に一様な長さに切断し、セットの繊維を一様な方向に整合させ、整合された繊維のセットをシガレット・フィルタの他の要素と組み立て、整合された繊維のセットがフィルタ要素/喫煙物品の長手方向及び主流煙の流入方向に対して整合した状態で実質的に平行になるようにする。別の実施形態においては、フィルタ部品は、喫煙物品ごとに約100から約1,000,000までの繊維を含む。別の実施形態においては、フィルタ部品は、喫煙物品ごとに約200から約10,000までの繊維を含む。
【0046】
以下の実施例は、二重ノズル式電界紡糸実験の説明を提供する。
約10wt%のメントール濃度のメントール/塩化メチレン(CH2Cl2)溶液を含む、25ゲージ・ステンレス鋼管(OD:0.5mm;ID:0.3mm)内部の芯液体を用いて、二重ノズル式同軸型電界紡糸実験が行なわれた。殻液体が、19ゲージ・ステンレス鋼管(OD:1.07mm;ID:0.81mm)内に供給され、5,000,000g/モルの分子量を有する1wt%PEOまでのPEO/水溶液から構成された。毛管の先端と接地したターゲットとの間の距離は6cmであり、Vscは名目上5kVであり、芯溶液の流量は0.05mL/時に設定され、殻溶液の流量は0.11mL/時に設定された。接地したターゲットは、10cmの直径を有するシリンダによって供給された。実験は、室温及び大気圧で行なわれた。
【0047】
説明のために、本明細書で本発明の特定の実施形態を説明したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、種々の変更をなし得ることが理解されるであろう。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲によるものを除いては制限されるものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
喫煙物品のためのフィルタ部品であって、前記フィルタ部品は、
少なくとも1つのタイプの風味料及び/又は非風味料添加剤と、
少なくとも1つのタイプのポリマーと、
を含む電界紡糸された繊維を含むことを特徴とするフィルタ部品。
【請求項2】
複数の前記電界紡糸された繊維を含み、該電界紡糸された繊維の大部分は、前記フィルタ部品の長手方向に対して、及び、主流煙の方向に対して平行に整合した状態で配置されることを特徴とする、請求項1に記載のフィルタ部品。
【請求項3】
前記電界紡糸された繊維は、
実質的に円筒形の断面形状と、
前記電界紡糸された繊維の長さ全体にわたって実質的に一定の直径と、
約10ナノメートル(nm)から約50マイクロメートル(μm)までの外径と、
約1ミリメートル(mm)から約20ミリメートル(mm)までの長さと、
を有することを特徴とする、請求項1に記載のフィルタ部品。
【請求項4】
前記電界紡糸された繊維は、約10ナノメートル(nm)から約10マイクロメートル(μm)まで、又は、約20ナノメートル(nm)から約3マイクロメートル(μm)までの外径を有することを特徴とする、請求項3に記載のフィルタ部品。
【請求項5】
前記ポリマーは、最初の未喫煙状態において前記風味料及び/又は非風味料添加剤の保持を安定化させることを特徴とする、請求項1に記載のフィルタ部品。
【請求項6】
前記ポリマーは、熱転移及び/又は化学分解によって構造上の完全性を失う犠牲ポリマーであり、前記構造上の完全性は、前記フィルタ部品の前記未喫煙状態のものから少なくとも1%だけ減少されることを特徴とする、請求項1に記載のフィルタ部品。
【請求項7】
前記ポリマーは、ポリエーテルケトン、ポリオキシトリメチレン、アタクチック・ポリプロピレン、低密度ポリエチレン、ポリ(アルキルシロキサン)、ポリ(ブチレンアジペート)、ポリアクリラート、ポリメタクリレート、及びポリイタコン酸からなる群から選択される犠牲ポリマーであることを特徴とする、請求項1に記載のフィルタ部品。
【請求項8】
前記ポリマーは、ポリ(エチレン酸化物)(PEO)、ポリラクチド(PLA)、ポリグリコライド(PGA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリヒドロキシ酪酸(PHB)、ポリヒドロキシバレレート(PHBV)、ポリビニルアルコール(PVA)、及びポリ酸無水物のような、水溶性ポリマー、加水分解性ポリマーの1つ又はそれ以上であることを特徴とする、請求項7に記載のフィルタ部品。
【請求項9】
前記電界紡糸された繊維は、メントール、オイゲノール、スペアミント、ペパーミント、ココア、バニラ、シナモン、甘草、シトラス風味、フルーツ風味、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される風味料を含むことを特徴とする、請求項1に記載のフィルタ部品。
【請求項10】
前記電界紡糸された繊維は、
前記電界紡糸された繊維の内部芯を形成する少なくとも1つのタイプの風味料及び/又は非風味料と、
前記風味料及び/又は非風味料をカプセル封入する前記電界紡糸された繊維の外殻を形成する少なくとも1つのタイプのポリマーと、
を含む芯・殻型の電界紡糸された繊維であることを特徴とする、請求項1に記載のフィルタ部品。
【請求項11】
前記電界紡糸された繊維は、
前記電界紡糸された繊維の犠牲ポリマー芯を形成する、第1の犠牲ポリマーと結合した少なくとも1つのタイプの風味料及び/又は非風味料と、
前記風味料及び/又は非風味料と、前記第1の犠牲ポリマーとを含む前記犠牲ポリマー芯をカプセル封入する、前記電界紡糸された繊維の犠牲ポリマーを形成する第2の犠牲ポリマーと、
を含む中空芯、犠牲殻型の電界紡糸された繊維であることを特徴とする請求項1に記載のフィルタ部品。
【請求項12】
前記電界紡糸された繊維は、
前記電界紡糸された繊維の前記芯を形成する少なくとも1つのタイプの非犠牲ポリマーと、
前記電界紡糸された繊維の前記外殻を形成する犠牲ポリマーと結合した少なくとも1つのタイプの風味料及び/又は非風味料添加剤と、
を含む非犠牲、残存芯型の電界紡糸された繊維であることを特徴とする、請求項1に記載のフィルタ部品。
【請求項13】
前記電界紡糸された繊維は、
分散相を形成する少なくとも1つのタイプの風味料及び/又は非風味料添加剤と、
連続相を形成する少なくとも1つのタイプの犠牲ポリマーと、
を含む2相マトリクスの電界紡糸された繊維であることを特徴とする、請求項1に記載のフィルタ部品。
【請求項14】
請求項1に記載の前記フィルタ部品を含む喫煙物品。
【請求項15】
喫煙物品のためのフィルタ部品を製造する方法であって、前記方法は、少なくとも1つの電界紡糸された繊維をフィルタ部品に組み込むステップを含み、前記電界紡糸された繊維は、少なくとも1つのタイプの風味料及び/又は非風味料添加剤及び少なくとも1つのタイプのポリマーを電界紡糸することによって生成されることを特徴とする方法。
【請求項16】
前記電界紡糸された繊維は、芯・殻型の電界紡糸された繊維であり、かつ、
同軸型電界紡糸装置の紡糸口金の第1の毛管を少なくとも1つのタイプの風味料及び/又は非風味料添加剤で充填し、
前記紡糸口金の第2の毛管に少なくとも1つのポリマーを充填し、
前記電界紡糸された繊維の内部芯を形成する少なくとも1つのタイプの風味料及び/又は非風味料と、前記風味料及び/又は非風味料をカプセル封入する該電界紡糸された繊維の外殻を形成する少なくとも1つのタイプのポリマーとを含む電界紡糸された繊維を前記紡糸口金から押し出し、
前記電界紡糸された繊維を接地したターゲットに集める、
ステップを含む電界紡糸によって生成されることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記電界紡糸された繊維は、中空芯、非犠牲殻型の電界紡糸された繊維であり、かつ、
同軸型電界紡糸装置の紡糸口金の第1の毛管を、犠牲ポリマーと結合した少なくとも1つのタイプの風味料及び/又は非風味料で充填し、
前記紡糸口金の第2の毛管を少なくとも1つのタイプの非犠牲ポリマーで充填し、
前記電界紡糸された繊維の内部芯を形成する少なくとも1つのタイプの風味料及び/又は非風味料と、前記風味料及び/又は非風味料をカプセル封入する該電界紡糸された繊維の外殻を形成する少なくとも1つのタイプの非犠牲ポリマーとを含む電界紡糸された繊維を前記紡糸口金から押し出し、
前記電界紡糸された繊維を接地したターゲットに集める、
ステップを含む電界紡糸によって生成されることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記電界紡糸された繊維は、中空芯、犠牲殻型の電界紡糸された繊維であり、かつ、
同軸型電界紡糸装置の紡糸口金の第1の毛管を少なくとも1つのタイプの風味料及び/又は非風味料添加剤、並びに第1の犠牲ポリマーで充填し、
前記紡糸口金の第2の毛管を第2の犠牲ポリマーで充填し、
前記電界紡糸された繊維の内部芯を形成する前記風味料及び/又は非風味料添加剤と、該風味料及び/又は非風味料をカプセル封入する該電界紡糸された繊維の外殻を形成する第2の犠牲ポリマーとを含む電界紡糸された繊維を前記紡糸口金から押し出し、
前記電界紡糸された繊維を接地したターゲットに集める、
ステップを含む電界紡糸によって生成されることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記電界紡糸された繊維は、非犠牲、残存芯型の電界紡糸された繊維であり、かつ、
同軸型電界紡糸装置の紡糸口金の第1の毛管を少なくとも1つのタイプの非犠牲ポリマーで充填し、
前記紡糸口金の第2の毛管を犠牲ポリマーと結合した少なくとも1つのタイプの風味料及び/又は非風味料で充填し、
前記電界紡糸された繊維の内部芯を形成する少なくとも1つのタイプの非犠牲ポリマーと、少なくとも1つの風味料及び/又は非風味料と、外殻を形成する犠牲ポリマーとを含む電界紡糸された繊維を前記紡糸口金から押し出し、
前記電界紡糸された繊維を接地したターゲットに集める、
ステップを含む電界紡糸によって生成されることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記電界紡糸された繊維は、犠牲、残存芯型の電界紡糸された繊維であり、かつ、
同軸型電界紡糸装置の紡糸口金の第1の毛管を第1の犠牲ポリマーで充填し、
前記紡糸口金の第2の毛管を第2の犠牲ポリマーと結合した少なくとも1つのタイプの風味料及び/又は非風味料で充填し、
前記電界紡糸された繊維の内部芯を形成する第1の犠牲ポリマーと、少なくとも1つの風味料及び/又は非風味料と、外殻を形成する第2の犠牲ポリマーとを含む電界紡糸された繊維を前記紡糸口金から押し出し、
前記電界紡糸された繊維を接地したターゲットに集める、
ステップを含む電界紡糸によって生成されることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記電界紡糸された繊維は、2相マトリクス型の電界紡糸された繊維であり、かつ、
同軸型電界紡糸装置の紡糸口金の単一の毛管を、少なくとも1つのタイプの犠牲ポリマーと結合した少なくとも1つのタイプの風味料及び/又は非風味料添加剤で充填し、
分散相として形成された前記風味料及び/又は非風味料添加剤と、連続相として形成された前記犠牲ポリマーとを含む電界紡糸された繊維を前記紡糸口金から押し出す、
ステップを含み、
前記分散相及び前記連続相が互いに混合されてマイクロエマルションを形成し、ポリマー・マトリクスによって前記風味料及び/又は非風味料添加剤がカプセル封入され、
前記電界紡糸された繊維を接地したターゲットに集める、
ステップを含む電界紡糸によって生成されることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
風味が強化された喫煙物品を生成する方法であって、前記方法は、請求項15に記載の方法に従ってフィルタ部品を生成し、タバコ・ロッド及び前記フィルタ部品を互いに組み立てるステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項23】
少なくとも1つのタイプの風味料及び少なくとも1つのタイプのポリマーを含む電界紡糸された繊維。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図5C】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図6C】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公表番号】特表2009−545307(P2009−545307A)
【公表日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−522365(P2009−522365)
【出願日】平成19年8月3日(2007.8.3)
【国際出願番号】PCT/IB2007/003096
【国際公開番号】WO2008/015573
【国際公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願人】(596060424)フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム (222)
【Fターム(参考)】