電界紡糸装置及びポリマーナノ繊維
【課題】設置面積をそれ程大きくすることなく電界紡糸の生産性を高くでき、さらには長尺シートSの短幅方向に沿ったポリマー繊維の堆積量を均一化することが可能な電界紡糸装置を提供する。
【解決手段】搬送機構110と、紡糸部130a,130b及びコレクタ部140a,140bをそれぞれ有する2つの紡糸ユニット120a,120bと、複数のノズル132a,132bとコレクタ部140a,140bとの間に高電圧を印加する電源部160とを備える電界紡糸装置100であって、長尺シートS上における、長尺シートSの短幅方向に沿ったポリマー繊維の堆積量を均一化するための堆積量均一化手段をさらに備えることを特徴とする電界紡糸装置。
【解決手段】搬送機構110と、紡糸部130a,130b及びコレクタ部140a,140bをそれぞれ有する2つの紡糸ユニット120a,120bと、複数のノズル132a,132bとコレクタ部140a,140bとの間に高電圧を印加する電源部160とを備える電界紡糸装置100であって、長尺シートS上における、長尺シートSの短幅方向に沿ったポリマー繊維の堆積量を均一化するための堆積量均一化手段をさらに備えることを特徴とする電界紡糸装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電界紡糸装置及びポリマーナノ繊維に関する。
【背景技術】
【0002】
エレクトロスピニング法を用いてポリマーナノ繊維を高い生産性で製造することができる電界紡糸装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。図12は、特許文献1に記載された、従来の電界紡糸装置900を説明するために示す図である。図12(a)は従来の電界紡糸装置900の全体構成を概略的に示す図であり、図12(b)は従来の電界紡糸装置の3次元構造を模式的に示す図である。なお、図12において、符号904はポリマー溶液供給ポンプであり、符号906はポリマー溶液定量供給装置であり、符号914は長尺シートの搬送を補助する転回ローラであり、符号942はコレクタベルト940を循環させる循環用ローラである。
【0003】
従来の電界紡糸装置900は、図12に示すように、繰り出しローラ912及び巻き取りローラ916を有し、長尺シートSを所定方向に沿って搬送する搬送機構と、2次元的に配置された複数のノズル932からポリマー溶液を長尺シートSに向けて噴射するノズルブロック930と、ノズルブロック930から見て長尺シートSの裏面側に配置されるコレクタベルト940と、複数のノズル932とコレクタベルト940との間に高電圧を印加する電源部960と、ノズルブロック930にポリマー溶液を供給するポリマー溶液供給タンク902とを備える。
従来の電界紡糸装置900は、図12に示すように、4つのノズルブロック930が平面的に見れば十字状に設けられて1つのノズルブロック群をなし、これらのノズルブロック群が上下方向に4層積層された構造を有する。
【0004】
このため、従来の電界紡糸装置900によれば、単位面積当たりに設置できるノズルの数を多くすることができるため、設置面積をそれ程大きくすることなくポリマーナノ繊維を高い生産性で製造することが可能となる。
【0005】
【特許文献1】韓国特許第10−0702864号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の電界紡糸装置900においては、長尺シートSの短幅方向に沿ったポリマーナノ繊維の堆積量を均一化することが困難であるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、設置面積をそれ程大きくすることなくポリマーナノ繊維を高い生産性で製造することが可能で、さらには長尺シートの短幅方向に沿ったポリマーナノ繊維の堆積量を均一化することが可能な電界紡糸装置を提供することを目的とする。また、このような電界紡糸装置によって製造されたポリマーナノ繊維を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明の電界紡糸装置は、繰り出しローラ及び巻き取りローラを有し、長尺シートを所定方向に沿って搬送する搬送機構と、2次元的に配置された複数のノズルからポリマー溶液を長尺シートに向けて噴射する紡糸部及び前記紡糸部から見て長尺シートの裏面側に配置されるコレクタ部をそれぞれ有する2つの紡糸ユニットであって、各紡糸部が背中合わせに配置されるとともに各紡糸部からのポリマー溶液の噴射方向が互いに180°異なる2つの紡糸ユニットと、前記2つの紡糸ユニットにおける複数のノズルと前記コレクタ部との間に高電圧を印加する電源部とを備える電界紡糸装置であって、長尺シート上における、長尺シートの短幅方向に沿ったポリマー繊維の堆積量を均一化するための堆積量均一化手段をさらに備えることを特徴とする。
【0009】
このため、本発明の電界紡糸装置によれば、各紡糸部が背中合わせに配置されるとともに各紡糸部からのポリマー溶液の噴射方向が互いに180°異なる2つの紡糸ユニットを備えるため、単位面積当たりに設置できるノズルの数を多くすることができ、設置面積をそれ程大きくすることなくポリマーナノ繊維を高い生産性で製造することが可能となる。
【0010】
また、本発明の電界紡糸装置によれば、長尺シート上における、長尺シートの短幅方向に沿ったポリマー繊維の堆積量を均一化するための堆積量均一化手段をさらに備えるため、長尺シートの短幅方向に沿ったポリマーナノ繊維の堆積量を均一化することが可能となる。
【0011】
その結果、本発明の電界紡糸装置は、設置面積をそれ程大きくすることなくポリマーナノ繊維を高い生産性で製造することが可能で、さらには長尺シートの短幅方向に沿ったポリマー繊維の堆積量を均一化することが可能な電界紡糸装置となる。
【0012】
(2)本発明の電界紡糸装置においては、前記2つの紡糸ユニットにおける各紡糸部は、前記複数のノズルが長尺シートの搬送方向及び噴射方向に垂直な第1方向沿って第1ピッチで配列されるノズル列を有するとともに、当該ノズル列が長尺シートの搬送方向に平行な第2方向に沿って第2ピッチで配列された構造を有し、前記堆積量積均一化手段は、電界紡糸中に、前記各紡糸部を前記第1方向に沿って往復動させる機能を有することが好ましい。
【0013】
このような構成とすることにより、各紡糸部は、長尺シートが搬送されていく過程で第1方向に沿って往復動するようになるため、高い生産性を維持しつつ、長尺シートの短幅方向に沿ったポリマーナノ繊維の堆積量を均一化することが可能となる。
【0014】
(3)本発明の電界紡糸装置においては、前記2つの紡糸ユニットにおける各紡糸部は、一体化されていることが好ましい。
【0015】
このような構成とすることにより、各紡糸部を往復動させる機構が単純になり、電界紡糸装置の設置面積を小さくすることが可能となる。また、電界紡糸装置の製造コストを低減することが可能となる。
【0016】
(4)本発明の電界紡糸装置においては、前記2つの紡糸ユニットにおける各紡糸部は、前記複数のノズルが長尺シートの搬送方向及び噴射方向に垂直な第1方向に沿って第1ピッチで配列されるノズル列を有するとともに、当該ノズル列が長尺シートの搬送方向に平行な第2方向に沿って第2ピッチで配列された構造を有し、前記堆積量均一化手段は、電界紡糸中に、長尺シートを前記第1方向に沿って往復動させる機能を有することが好ましい。
【0017】
このような構成とすることにより、長尺シートは、長尺シートが搬送されていく過程で第1方向に沿って往復動するようになるため、高い生産性を維持しつつ、長尺シートの短幅方向に沿ったポリマーナノ繊維の堆積量を均一化することが可能となる。
【0018】
(5)本発明の電界紡糸装置においては、前記堆積量均一化手段は、搬送機構全体を前記第1方向に沿って往復動させることが好ましい。
【0019】
このような構成とすることにより、長尺シートを往復動させる機構が単純になり、電界紡糸装置の設置面積を小さくすることが可能となる。また、電界紡糸装置の製造コストを低減することが可能となる。
【0020】
(6)本発明の電界紡糸装置においては、前記堆積量均一化手段は、前記搬送機構による長尺シートの搬送動作に同期して前記紡糸部又は前記長尺シートを往復動させる機能を有することが好ましい。
【0021】
このような構成とすることにより、搬送速度に対して最適な往復動動作を行うことが可能となるため、高い生産性を維持しつつ、長尺シートの短幅方向に沿ったポリマーナノ繊維の堆積量を均一化することが可能となる。
【0022】
(7)本発明の電界紡糸装置においては、前記2つの紡糸ユニットにおける各紡糸部は、前記複数のノズルが長尺シートの搬送方向及び噴射方向に垂直な第1方向に沿って第1ピッチで配列される第1ノズル列と、前記複数のノズルが前記第1方向に沿って第1ピッチで配列されるとともに前記第1ノズル列における前記複数のノズルとは前記第1方向に沿って第1ピッチの半分だけずれた位置に配列された第2ノズル列とが、長尺シートの搬送方向に平行な第2方向に沿って交互に配列された構造を有することが好ましい。
【0023】
このような構成とすることにより、上記のように構成された第1ノズル列と第2ノズル列とが、長尺シートの搬送方向に平行な第2方向に沿って交互に配列された構造を有するため、長尺シートの短幅方向に沿ったポリマーナノ繊維の堆積量が長尺シートが搬送されていく過程で均一化されることとなる。
【0024】
(8)本発明の電界紡糸装置は、繰り出しローラ及び巻き取りローラを有し、長尺シートを所定方向に沿って搬送する搬送機構と、2次元的に配置された複数のノズルからポリマー溶液を長尺シートに向けて噴射する紡糸部及び前記紡糸部から見て長尺シートの裏面側に配置されるコレクタ部をそれぞれ有する2つの紡糸ユニットであって、各紡糸部が背中合わせに配置されるとともに各紡糸部からのポリマー溶液の噴射方向が互いに180°異なる2つの紡糸ユニットと、前記2つの紡糸ユニットにおける複数のノズルと前記コレクタ部との間に高電圧を印加する電源部とを備える電界紡糸装置であって、前記2つの紡糸ユニットにおける各紡糸部は、前記複数のノズルが長尺シートの搬送方向及び噴射方向に垂直な第1方向に沿って第1ピッチで配列される第1ノズル列と、前記複数のノズルが前記第1方向に沿って第1ピッチで配列されるとともに前記第1ノズル列における前記複数のノズルとは前記第1方向に沿って第1ピッチの半分だけずれた位置に配列された第2ノズル列とが、長尺シートの搬送方向に平行な第2方向に沿って交互に配列された構造を有することを特徴とする。
【0025】
このため、本発明の電界紡糸装置によれば、各紡糸部が背中合わせに配置されるとともに各紡糸部からのポリマー溶液の噴射方向が互いに180°異なる2つの紡糸ユニットを備えるため、単位面積当たりに設置できるノズルの数を多くすることができ、設置面積をそれ程大きくすることなくポリマーナノ繊維を高い生産性で製造することが可能となる。
【0026】
また、本発明の電界紡糸装置によれば、上記のように構成された第1ノズル列と第2ノズル列とが、長尺シートの搬送方向に平行な第2方向に沿って交互に配列された構造を有するため、長尺シートの短幅方向に沿ったポリマーナノ繊維の堆積量が長尺シートが搬送されていく過程で均一化されることとなる。
【0027】
その結果、本発明の電界紡糸装置は、設置面積をそれ程大きくすることなくポリマーナノ繊維を高い生産性で製造することが可能で、さらには長尺シートの短幅方向に沿ったポリマー繊維の堆積量を均一化することが可能な電界紡糸装置となる。
【0028】
(9)本発明の電界紡糸装置においては、2次元的に配置された複数のノズルからポリマー溶液を長尺シートに向けて噴射する別の紡糸部及び前記別の紡糸部から見て長尺シートの裏面側に配置される別のコレクタ部を有する別の紡糸ユニットをさらに備え、前記堆積量均一化装置は、前記別の紡糸ユニットにおいても、長尺シート上における、長尺シートの短幅方向に沿ったポリマー繊維の堆積量を均一化することが好ましい。
【0029】
このような構成とすることにより、単位面積当たりのノズルの数をさらに多くすることが可能となるため、設置面積をそれ程大きくすることなく電界紡糸の生産性をさらに高くできるようになる。
【0030】
(10)本発明の電界紡糸装置においては、前記長尺シート近傍を加熱する加熱機構をさらに備えることが好ましい。
【0031】
このような構成とすることにより、ポリマー溶液に含まれる溶媒をより完全に蒸発させることが可能となるため、残存溶媒量が極めて少なく高品質のポリマーナノ繊維を製造することが可能となる。
【0032】
(11)本発明のポリマーナノ繊維は、本発明の電界紡糸装置によって製造されたポリマーナノ繊維である。
【0033】
このため、本発明のポリマーナノ繊維は、短幅方向に沿って均一な層厚を有するポリマーナノ繊維となり、様々な用途に適したポリマーナノ繊維となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の電界紡糸装置及びポリマーナノ繊維について、図に示す実施の形態に基づいて説明する。
【0035】
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係る電界紡糸装置100を説明するために示す図である。図1(a)は電界紡糸装置100の側面図であり、図1(b)は電界紡糸装置100を図1(a)の矢印A方向に沿って見たときの図であり、図1(c)は電界紡糸装置100の上面図である。なお、図1(b)においては、紡糸ユニット120aのみを図示するとともに、コレクタ140a、加熱機構150a及び電源装置160の図示を省略している。また、図1(c)においては、紡糸ユニット120aのみを図示している。また、また、図1においては、ポリマー溶液供給タンク、ポリマー溶液供給ポンプ及びポリマー溶液定量供給装置の図示を省略している。また、図1中、符号114は転回ローラを示し、符号134aはノズル列を示し、符号P1は第1ピッチを示し、符号P2は第2ピッチを示し、矢印Bは長尺シートSの搬送方向を示し、矢印Cは後述する第1方向を示す。
【0036】
図2は、実施形態1に係る電界紡糸装置100の動作を説明するために示す図である。図2(a)〜図2(e)は電界紡糸装置100の動作の各過程における紡糸部130aと長尺シートSとの関係を示す図である。なお、図2中、矢印は紡糸部130aの往復動の方向を示し、破線部は1つ前の過程の紡糸部130aの位置を示す。
【0037】
図3は、実施形態1に係る電界紡糸装置100の作用・効果を説明するために示す図である。図3(a)〜図3(e)は長尺シートSが搬送されていく過程で長尺シートSに堆積されるポリマーナノ繊維の量を模式的に示す図であり、図3(f)は電界紡糸が終了したあとのポリマーナノ繊維層の層厚を示す図である。
【0038】
実施形態1に係る電界紡糸装置100は、図1に示すように、繰り出しローラ112及び巻き取りローラ116を有し、長尺シートSを所定方向に沿って搬送する搬送機構110と、2次元的に配置された複数のノズル132a,132bからポリマー溶液を長尺シートSに向けて噴射する紡糸部130a,130b及び当該紡糸部130a,130bから見て長尺シートSの裏面側に配置されるコレクタ部140a,140bをそれぞれ有する2つの紡糸ユニットであって、各紡糸部130a,130bが背中合わせに配置されるとともに各紡糸部130a,130bからのポリマー溶液の噴射方向が互いに180°異なる2つの紡糸ユニット120a,120bと、2つの紡糸ユニット120a,120bにおける複数のノズル132a,132bとコレクタ部140a,140bとの間に高電圧を印加する電源部160とを備える。
【0039】
2つの紡糸ユニット120a,120bにおける各紡糸部130a,130bは、複数のノズル132a,132bが長尺シートSの搬送方向B及び噴射方向に垂直な第1方向Cに沿って第1ピッチP1で配列されるノズル列134a,134b(134bは図示せず。)を有するとともに、当該ノズル列134aが長尺シートSの搬送方向に平行な第2方向に沿って第2ピッチP2で配列された構造を有する。
【0040】
実施形態1に係る電界紡糸装置100は、長尺シートS上における、長尺シートSの短幅方向に沿ったポリマー繊維の堆積量を均一化するための堆積量均一化手段をさらに備える。そして、当該堆積量積均一化手段は、図2に示すように、電界紡糸中に、各紡糸部130a,130bを第1方向に沿って、例えば第1ピッチP1に相当する範囲で、往復動させる機能を有する。また、堆積量均一化手段は、搬送機構110による長尺シートSの搬送動作に同期して紡糸部130a,130bを往復動させる機能を有する。
【0041】
実施形態1に係る電界紡糸装置100は、長尺シートS近傍を加熱する加熱機構150a,150bをさらに備える。
【0042】
以上のように構成された、実施形態1に係る電界紡糸装置100によれば、各紡糸部130a,130bが背中合わせに配置されるとともに各紡糸部130a,130bからのポリマー溶液の噴射方向が互いに180°異なる2つの紡糸ユニット120a,120bを備えるため、単位面積当たりに設置できるノズルの数を多くすることができ、設置面積をそれ程大きくすることなくポリマーナノ繊維を高い生産性で製造することが可能となる。
【0043】
また、実施形態1に係る電界紡糸装置100によれば、長尺シートS上における、長尺シートSの短幅方向に沿ったポリマー繊維の堆積量を均一化するための堆積量均一化手段をさらに備えるため、長尺シートSの短幅方向に沿ったポリマーナノ繊維の堆積量を均一化することが可能となる。
【0044】
その結果、実施形態1に係る電界紡糸装置100は、設置面積をそれ程大きくすることなくポリマーナノ繊維を高い生産性で製造することが可能で、さらには長尺シートSの短幅方向に沿ったポリマー繊維の堆積量を均一化することが可能な電界紡糸装置となる。
なお、ポリマー繊維の層厚は、用途に応じて適宜決定されればよいが、1m2当たり5gの割合でポリマー繊維を堆積させると、ポリマー繊維の層厚はおよそ15μmとなる。
【0045】
また、実施形態1に係る電界紡糸装置100によれば、上記した堆積量積均一化手段が、電界紡糸中に、各紡糸部130a,130bを第1方向に沿って往復動させる機能を有することにより、各紡糸部130a,130bは、図3に示すように、長尺シートSが搬送されていく過程で第1方向に沿って往復動するようになるため、高い生産性を維持しつつ、長尺シートSの短幅方向に沿ったポリマーナノ繊維の堆積量を均一化することが可能となる。
【0046】
また、実施形態1に係る電界紡糸装置100によれば、堆積量均一化手段は、搬送機構110による長尺シートSの搬送動作に同期して紡糸部130a,130bを往復動させる機能を有することにより、長尺シートSの搬送速度に対して最適な往復動動作を行うことが可能となるため、高い生産性を維持しつつ、長尺シートSの短幅方向に沿ったポリマーナノ繊維の堆積量を均一化することが可能となる。
【0047】
また、実施形態1に係る電界紡糸装置100によれば、長尺シートS近傍を加熱する加熱機構をさらに備えることにより、ポリマー溶液に含まれる溶媒をより完全に蒸発させることが可能となるため、残存溶媒量が極めて少なく高品質のポリマーナノ繊維を製造することが可能となる。
【0048】
従って、実施形態1に係る電界紡糸装置100によって製造されるポリマーナノ繊維は、製造コストが安価で、かつ、短幅方向に沿って均一な層厚を有するポリマーナノ繊維となり、様々な用途に適したポリマーナノ繊維となる。
【0049】
[実施形態2]
図4は、実施形態2に係る電界紡糸装置200の側面図である。なお、図4においては、図1(a)に示す部材と同一の部材については同一の符号を付し詳細な説明は省略する。
【0050】
実施形態2に係る電界紡糸装置200は、基本的には実施形態1に係る電界紡糸装置100とよく似た構成を有するが、紡糸部の構成が実施形態1に係る電界紡糸装置100の場合とは異なる。すなわち、実施形態2に係る電界紡糸装置200においては、図4に示すように、2つの紡糸ユニット220a,220bにおける各紡糸部が1の紡糸部230に一体化されている。
【0051】
このため、実施形態2に係る電界紡糸装置200によれば、紡糸部230を往復動させる機構が単純になり、電界紡糸装置の設置面積を小さくすることが可能となる。また、電界紡糸装置の製造コストを低減することが可能となる。
【0052】
なお、実施形態2に係る電界紡糸装置200は、紡糸部の構成以外の点では実施形態1に係る電界紡糸装置100の場合と同様の構成を有するため、実施形態1に係る電界紡糸装置100が有する効果のうち同様の効果を有する。
【0053】
[実施形態3]
図5は、実施形態3に係る電界紡糸装置300を図1(b)の場合と同様の方向から見たときの図である。図1中、符号314は転回ローラを示す。
図6は、実施形態3に係る電界紡糸装置300の動作を説明するために示す図である。図6(a)〜図6(e)は電界紡糸装置300の動作の各過程における紡糸部130aと長尺シートSとの関係を示す図である。なお、図6中、矢印は長尺シートSの往復動の方向を示し、破線部は1つ前の過程の長尺シートSの位置を示す。
なお、図5及び図6においては、図1(b)及び図2に示す部材と同一の部材については同一の符号を付し詳細な説明は省略する。
【0054】
実施形態3に係る電界紡糸装置300は、基本的には実施形態1に係る電界紡糸装置100とよく似た構成を有するが、堆積量積均一化手段の構成が実施形態1に係る電界紡糸装置100の場合とは異なる。すなわち、実施形態3に係る電界紡糸装置300においては、堆積量均一化手段が、図5及び6に示すように、電界紡糸中に、搬送機構全体を第1方向に沿って往復動させることにより、長尺シートSを第1方向に沿って、例えば第1ピッチP1に相当する範囲で、往復動させる機能を有する。
【0055】
このように、実施形態3に係る電界紡糸装置300は、堆積量積均一化手段の構成が実施形態1に係る電界紡糸装置100の場合とは異なるが、実施形態1に係る電界紡糸装置100の場合と同様に、各紡糸部130a,130bが背中合わせに配置されるとともに各紡糸部130a,130bからのポリマー溶液の噴射方向が互いに180°異なる2つの紡糸ユニット120a,120b(図5では図示せず。)を備えるため、単位面積当たりに設置できるノズル132a,132bの数を多くすることができ、設置面積をそれ程大きくすることなくポリマーナノ繊維を高い生産性で製造することが可能となる。
【0056】
また、実施形態3に係る電界紡糸装置300によれば、長尺シートS上における、長尺シートSの短幅方向に沿ったポリマー繊維の堆積量を均一化するための堆積量均一化手段をさらに備えるため、実施形態1に係る電界紡糸装置100の場合と同様に、長尺シートSの短幅方向に沿ったポリマーナノ繊維の堆積量を均一化することが可能となる。
【0057】
その結果、実施形態3に係る電界紡糸装置300は、実施形態1に係る電界紡糸装置100の場合と同様に、設置面積をそれ程大きくすることなくポリマーナノ繊維を高い生産性で製造することが可能で、さらには長尺シートSの短幅方向に沿ったポリマー繊維の堆積量を均一化することが可能な電界紡糸装置となる。
【0058】
なお、実施形態3に係る電界紡糸装置300は、紡糸部の構成以外の点では実施形態1に係る電界紡糸装置100の場合と同様の構成を有するため、実施形態1に係る電界紡糸装置100が有する効果のうち同様の効果を有する。
【0059】
[実施形態4]
図7は、実施形態4に係る電界紡糸装置400を図1(b)の場合と同様の方向から見たときの図である。図7中、符号430aは2つの紡糸ユニットのうち一の紡糸ユニットを示し、符号432aは紡糸ユニット430aが有する紡糸部を示し、符号434a1は第1ノズル列を示し、符号434a2は第2ノズル列を示す。なお、図7において図1(b)に示す部材と同一の部材については同一の符号を付し詳細な説明は省略する。
【0060】
実施形態4に係る電界紡糸装置400は、基本的には実施形態1に係る電界紡糸装置100とよく似た構成を有するが、各紡糸部の構成が実施形態1に係る電界紡糸装置100の場合とは異なる。すなわち、実施形態4に係る電界紡糸装置400においては、各紡糸部430aは、複数のノズル432a1が長尺シートSの搬送方向及び噴射方向に垂直な第1方向に沿って第1ピッチP1で配列される第1ノズル列434a1と、複数のノズル432a2が第1方向に沿って第1ピッチP1で配列されるとともに第1ノズル列434a1における複数のノズル432a1とは第1方向に沿って第1ピッチP1の半分だけずれた位置に配列された第2ノズル列432a2とが、長尺シートSの搬送方向に平行な第2方向に沿って交互に配列された構造を有する。なお、実施形態4に係る電界紡糸装置400は、電界紡糸中に各紡糸部又は長尺シートを第1方向に沿って往復動させる機能を有する堆積量積均一化手段を有しない。
【0061】
このように、実施形態4に係る電界紡糸装置400は、各紡糸部の構成が実施形態1に係る電界紡糸装置100の場合とは異なるが、各紡糸部430aが背中合わせに配置されるとともに各紡糸部430aからのポリマー溶液の噴射方向が互いに180°異なる2つの紡糸ユニット420aを備えるため、単位面積当たりに設置できるノズルの数を多くすることができ、設置面積をそれ程大きくすることなくポリマーナノ繊維を高い生産性で製造することが可能となる。
【0062】
また、実施形態4に係る電界紡糸装置400によれば、上記のように構成された第1ノズル列434a1と第2ノズル列434a2とが、長尺シートSの搬送方向に平行な第2方向に沿って交互に配列された構造を有するため、長尺シートSの短幅方向に沿ったポリマーナノ繊維の堆積量が長尺シートが搬送されていく過程で均一化されることとなる。
【0063】
その結果、実施形態4に係る電界紡糸装置400は、実施形態1に係る電界紡糸装置400の場合と同様に、設置面積をそれ程大きくすることなくポリマーナノ繊維を高い生産性で製造することが可能で、さらには長尺シートの短幅方向に沿ったポリマー繊維の堆積量を均一化することが可能な電界紡糸装置となる。
【0064】
なお、実施形態4に係る電界紡糸装置400は、紡糸部の構成及び電界紡糸中に各紡糸部又は長尺シートを第1方向に沿って往復動させる機能を有する堆積量積均一化手段を有しないこと以外の点では実施形態1に係る電界紡糸装置100の場合と同様の構成を有するため、実施形態1に係る電界紡糸装置100が有する効果のうち同様の効果を有する。
【0065】
[実施形態5]
図8は、実施形態5に係る電界紡糸装置500を説明するために示す図である。図9は、実施形態6に係る電界紡糸装置600を説明するために示す図である。なお、図8及び図9においては、各コレクタ部、各加熱機構、各電源部、ポリマー溶液供給タンク、ポリマー溶液供給ポンプ及びポリマー溶液定量供給装置の図示を省略している。
【0066】
実施形態5に係る電界紡糸装置500は、基本的には実施形態1に係る電界紡糸装置100とよく似た構成を有するが、図8に示すように、2次元的に配置された複数のノズル532c,532dからポリマー溶液を長尺シートSに向けて噴射する別の紡糸部530c,530d及び当該別の紡糸部530c,530dから見て長尺シートSの裏面側に配置される別のコレクタ部(図示せず。)を有する別の紡糸ユニット520c,520d(図8では図示せず。)をさらに備えるとともに、堆積量均一化装置は、別の紡糸ユニット520c,520dにおいても、長尺シートS上における、長尺シートSの短幅方向に沿ったポリマー繊維の堆積量を均一化する機能を有する点で、実施形態1に係る電界紡糸装置100とは異なる。
【0067】
また、実施形態6に係る電界紡糸装置600は、基本的には実施形態1に係る電界紡糸装置100とよく似た構成を有するが、図9に示すように、2次元的に配置された複数のノズル632c,632d,632e,632fからポリマー溶液を長尺シートSに向けて噴射する別の紡糸部630c,630d,630e,630f及び当該別の紡糸部630c,630d,630e,630fから見て長尺シートSの裏面側に配置される別のコレクタ部(図示せず。)を有する別の紡糸ユニット620c,620d,620e,620f(図9では図示せず。)をさらに備える点、及び堆積量均一化装置が、別の紡糸ユニット620c,620d,620e,620fにおいても、長尺シートS上における、長尺シートSの短幅方向に沿ったポリマー繊維の堆積量を均一化する機能を有する点で、実施形態1に係る電界紡糸装置100とは異なる。
【0068】
このように、実施形態5に係る電界紡糸装置500又は実施形態6に係る電界紡糸装置600は、上記したような別の紡糸ユニット520c,520d又は別の紡糸ユニット620c,620d,620e,620fをさらに備える点、及び堆積量均一化装置が、別の紡糸ユニット620c,620d,620e,620fにおいても、長尺シートS上における、長尺シートSの短幅方向に沿ったポリマー繊維の堆積量を均一化する機能を有する点で、実施形態1に係る電界紡糸装置100の場合とは異なるが、実施形態1に係る電界紡糸装置100の場合と同様に、各紡糸部530a〜530d,630a〜630fがそれぞれ背中合わせに配置されるとともに各紡糸部530a〜530d,630a〜630fからのポリマー溶液の噴射方向が互いに180°異なる2つの紡糸ユニット520a〜520d,620a〜620fを備えるため、単位面積当たりに設置できるノズルの数を多くすることができ、設置面積をそれ程大きくすることなくポリマーナノ繊維を高い生産性で製造することが可能となる。
【0069】
また、実施形態5に係る電界紡糸装置500又は実施形態6に係る電界紡糸装置600によれば、長尺シートS上における、長尺シートSの短幅方向に沿ったポリマー繊維の堆積量を均一化するための堆積量均一化手段をさらに備えるため、長尺シートSの短幅方向に沿ったポリマーナノ繊維の堆積量を均一化することが可能となる。
【0070】
その結果、実施形態5に係る電界紡糸装置500又は実施形態6に係る電界紡糸装置600は、設置面積をそれ程大きくすることなくポリマーナノ繊維を高い生産性で製造することが可能で、さらには長尺シートSの短幅方向に沿ったポリマー繊維の堆積量を均一化することが可能な電界紡糸装置となる。
【0071】
なお、実施形態5に係る電界紡糸装置500又は実施形態6に係る電界紡糸装置600は、紡糸部の構成以外の点では実施形態1に係る電界紡糸装置100の場合と同様の構成を有するため、実施形態1に係る電界紡糸装置100が有する効果のうち同様の効果を有する。
【0072】
以上、本発明の電界紡糸装置及びポリマーナノ繊維層を上記の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
【0073】
(1)上記実施形態に係る電界紡糸装置100においては、各紡糸部130a,130bに同一のポリマー溶液を供給して同一のポリマーナノ繊維を製造しているが、本発明はこれに限定されるものではない。図10は、変形例1に係る電界紡糸装置700(図示せず。)における紡糸部730a,730bの構成を示す図である。図11は、変形例2に係る電界紡糸装置800(図示せず。)における紡糸部830a1,830a2,830a1,830b2の構成を示す図である。
【0074】
図10又は図11に示すように、各紡糸部730a,730b,830a1,830a2,830a1,830b2にそれぞれ異なるポリマー溶液を供給することにより異なるポリマーナノ繊維を堆積し、ひいては2層以上の異なるポリマーナノ繊維層を有するポリマーナノ繊維を製造することが可能となる。
【0075】
(2)上記実施形態1〜3に係る電界紡糸装置100〜300においては、各紡糸部として、実施形態4に係る電界紡糸装置400が備える紡糸部430aを備えることもできる。これにより、長尺シートの短幅方向に沿ったポリマーナノ繊維の堆積量をさらに均一化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】実施形態1に係る電界紡糸装置100を説明するために示す図である。
【図2】実施形態1に係る電界紡糸装置100の動作を説明するために示す図である。
【図3】実施形態1に係る電界紡糸装置100の作用・効果を説明するために示す図である。
【図4】実施形態2に係る電界紡糸装置200の側面図である。
【図5】実施形態3に係る電界紡糸装置を図1(b)の場合と同様の方向から見たときの図である。
【図6】実施形態3に係る電界紡糸装置300の動作を説明するために示す図である。
【図7】実施形態4に係る電界紡糸装置400を説明するために示す図である。
【図8】実施形態5に係る電界紡糸装置500を説明するために示す図である。
【図9】実施形態6に係る電界紡糸装置600を説明するために示す図である。
【図10】変形例1に係る電界紡糸装置700における紡糸部730a,730bの構成を示す図である。
【図11】変形例2に係る電界紡糸装置800における紡糸部830a1,830a2,830a1,830b2の構成を示す図である。
【図12】従来の電界紡糸装置900を説明するために示す図である。
【符号の説明】
【0077】
100,200,300,400,500,600,900…電界紡糸装置、110,510,610…搬送機構、112,512,612,912…繰り出しローラ、114,314,514,614,914…転回ローラ、116,516,616,916…巻き取りローラ、120a,120b,220a,220b…紡糸ユニット、130a,130b,230,330a,430a,530a,530b,530c,530d,630a,630b,630c,630d,630e,630f,730a,730b,830a1,830a2,830b1,830b2…紡糸部、132a,132b,232a,232b,332a,432a,532a,532b,532c,532d,632a,632b,632c,632d,632e,632f,732a,732b,832a1,832a2,832b1,832b2,932…ノズル、134a,134b,432a1,432a2…ノズル列、140a,140b,340a…コレクタ部、150a,150b,350b…加熱機構,160,960…電源部、902…ポリマー溶液供給タンク、904…ポリマー溶液供給ポンプ、906…ポリマー溶液定量供給装置、914…転回ローラ、930…ノズルブロック、940…コレクタベルト、942…循環用ローラ、S…長尺シート
【技術分野】
【0001】
本発明は、電界紡糸装置及びポリマーナノ繊維に関する。
【背景技術】
【0002】
エレクトロスピニング法を用いてポリマーナノ繊維を高い生産性で製造することができる電界紡糸装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。図12は、特許文献1に記載された、従来の電界紡糸装置900を説明するために示す図である。図12(a)は従来の電界紡糸装置900の全体構成を概略的に示す図であり、図12(b)は従来の電界紡糸装置の3次元構造を模式的に示す図である。なお、図12において、符号904はポリマー溶液供給ポンプであり、符号906はポリマー溶液定量供給装置であり、符号914は長尺シートの搬送を補助する転回ローラであり、符号942はコレクタベルト940を循環させる循環用ローラである。
【0003】
従来の電界紡糸装置900は、図12に示すように、繰り出しローラ912及び巻き取りローラ916を有し、長尺シートSを所定方向に沿って搬送する搬送機構と、2次元的に配置された複数のノズル932からポリマー溶液を長尺シートSに向けて噴射するノズルブロック930と、ノズルブロック930から見て長尺シートSの裏面側に配置されるコレクタベルト940と、複数のノズル932とコレクタベルト940との間に高電圧を印加する電源部960と、ノズルブロック930にポリマー溶液を供給するポリマー溶液供給タンク902とを備える。
従来の電界紡糸装置900は、図12に示すように、4つのノズルブロック930が平面的に見れば十字状に設けられて1つのノズルブロック群をなし、これらのノズルブロック群が上下方向に4層積層された構造を有する。
【0004】
このため、従来の電界紡糸装置900によれば、単位面積当たりに設置できるノズルの数を多くすることができるため、設置面積をそれ程大きくすることなくポリマーナノ繊維を高い生産性で製造することが可能となる。
【0005】
【特許文献1】韓国特許第10−0702864号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の電界紡糸装置900においては、長尺シートSの短幅方向に沿ったポリマーナノ繊維の堆積量を均一化することが困難であるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、設置面積をそれ程大きくすることなくポリマーナノ繊維を高い生産性で製造することが可能で、さらには長尺シートの短幅方向に沿ったポリマーナノ繊維の堆積量を均一化することが可能な電界紡糸装置を提供することを目的とする。また、このような電界紡糸装置によって製造されたポリマーナノ繊維を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明の電界紡糸装置は、繰り出しローラ及び巻き取りローラを有し、長尺シートを所定方向に沿って搬送する搬送機構と、2次元的に配置された複数のノズルからポリマー溶液を長尺シートに向けて噴射する紡糸部及び前記紡糸部から見て長尺シートの裏面側に配置されるコレクタ部をそれぞれ有する2つの紡糸ユニットであって、各紡糸部が背中合わせに配置されるとともに各紡糸部からのポリマー溶液の噴射方向が互いに180°異なる2つの紡糸ユニットと、前記2つの紡糸ユニットにおける複数のノズルと前記コレクタ部との間に高電圧を印加する電源部とを備える電界紡糸装置であって、長尺シート上における、長尺シートの短幅方向に沿ったポリマー繊維の堆積量を均一化するための堆積量均一化手段をさらに備えることを特徴とする。
【0009】
このため、本発明の電界紡糸装置によれば、各紡糸部が背中合わせに配置されるとともに各紡糸部からのポリマー溶液の噴射方向が互いに180°異なる2つの紡糸ユニットを備えるため、単位面積当たりに設置できるノズルの数を多くすることができ、設置面積をそれ程大きくすることなくポリマーナノ繊維を高い生産性で製造することが可能となる。
【0010】
また、本発明の電界紡糸装置によれば、長尺シート上における、長尺シートの短幅方向に沿ったポリマー繊維の堆積量を均一化するための堆積量均一化手段をさらに備えるため、長尺シートの短幅方向に沿ったポリマーナノ繊維の堆積量を均一化することが可能となる。
【0011】
その結果、本発明の電界紡糸装置は、設置面積をそれ程大きくすることなくポリマーナノ繊維を高い生産性で製造することが可能で、さらには長尺シートの短幅方向に沿ったポリマー繊維の堆積量を均一化することが可能な電界紡糸装置となる。
【0012】
(2)本発明の電界紡糸装置においては、前記2つの紡糸ユニットにおける各紡糸部は、前記複数のノズルが長尺シートの搬送方向及び噴射方向に垂直な第1方向沿って第1ピッチで配列されるノズル列を有するとともに、当該ノズル列が長尺シートの搬送方向に平行な第2方向に沿って第2ピッチで配列された構造を有し、前記堆積量積均一化手段は、電界紡糸中に、前記各紡糸部を前記第1方向に沿って往復動させる機能を有することが好ましい。
【0013】
このような構成とすることにより、各紡糸部は、長尺シートが搬送されていく過程で第1方向に沿って往復動するようになるため、高い生産性を維持しつつ、長尺シートの短幅方向に沿ったポリマーナノ繊維の堆積量を均一化することが可能となる。
【0014】
(3)本発明の電界紡糸装置においては、前記2つの紡糸ユニットにおける各紡糸部は、一体化されていることが好ましい。
【0015】
このような構成とすることにより、各紡糸部を往復動させる機構が単純になり、電界紡糸装置の設置面積を小さくすることが可能となる。また、電界紡糸装置の製造コストを低減することが可能となる。
【0016】
(4)本発明の電界紡糸装置においては、前記2つの紡糸ユニットにおける各紡糸部は、前記複数のノズルが長尺シートの搬送方向及び噴射方向に垂直な第1方向に沿って第1ピッチで配列されるノズル列を有するとともに、当該ノズル列が長尺シートの搬送方向に平行な第2方向に沿って第2ピッチで配列された構造を有し、前記堆積量均一化手段は、電界紡糸中に、長尺シートを前記第1方向に沿って往復動させる機能を有することが好ましい。
【0017】
このような構成とすることにより、長尺シートは、長尺シートが搬送されていく過程で第1方向に沿って往復動するようになるため、高い生産性を維持しつつ、長尺シートの短幅方向に沿ったポリマーナノ繊維の堆積量を均一化することが可能となる。
【0018】
(5)本発明の電界紡糸装置においては、前記堆積量均一化手段は、搬送機構全体を前記第1方向に沿って往復動させることが好ましい。
【0019】
このような構成とすることにより、長尺シートを往復動させる機構が単純になり、電界紡糸装置の設置面積を小さくすることが可能となる。また、電界紡糸装置の製造コストを低減することが可能となる。
【0020】
(6)本発明の電界紡糸装置においては、前記堆積量均一化手段は、前記搬送機構による長尺シートの搬送動作に同期して前記紡糸部又は前記長尺シートを往復動させる機能を有することが好ましい。
【0021】
このような構成とすることにより、搬送速度に対して最適な往復動動作を行うことが可能となるため、高い生産性を維持しつつ、長尺シートの短幅方向に沿ったポリマーナノ繊維の堆積量を均一化することが可能となる。
【0022】
(7)本発明の電界紡糸装置においては、前記2つの紡糸ユニットにおける各紡糸部は、前記複数のノズルが長尺シートの搬送方向及び噴射方向に垂直な第1方向に沿って第1ピッチで配列される第1ノズル列と、前記複数のノズルが前記第1方向に沿って第1ピッチで配列されるとともに前記第1ノズル列における前記複数のノズルとは前記第1方向に沿って第1ピッチの半分だけずれた位置に配列された第2ノズル列とが、長尺シートの搬送方向に平行な第2方向に沿って交互に配列された構造を有することが好ましい。
【0023】
このような構成とすることにより、上記のように構成された第1ノズル列と第2ノズル列とが、長尺シートの搬送方向に平行な第2方向に沿って交互に配列された構造を有するため、長尺シートの短幅方向に沿ったポリマーナノ繊維の堆積量が長尺シートが搬送されていく過程で均一化されることとなる。
【0024】
(8)本発明の電界紡糸装置は、繰り出しローラ及び巻き取りローラを有し、長尺シートを所定方向に沿って搬送する搬送機構と、2次元的に配置された複数のノズルからポリマー溶液を長尺シートに向けて噴射する紡糸部及び前記紡糸部から見て長尺シートの裏面側に配置されるコレクタ部をそれぞれ有する2つの紡糸ユニットであって、各紡糸部が背中合わせに配置されるとともに各紡糸部からのポリマー溶液の噴射方向が互いに180°異なる2つの紡糸ユニットと、前記2つの紡糸ユニットにおける複数のノズルと前記コレクタ部との間に高電圧を印加する電源部とを備える電界紡糸装置であって、前記2つの紡糸ユニットにおける各紡糸部は、前記複数のノズルが長尺シートの搬送方向及び噴射方向に垂直な第1方向に沿って第1ピッチで配列される第1ノズル列と、前記複数のノズルが前記第1方向に沿って第1ピッチで配列されるとともに前記第1ノズル列における前記複数のノズルとは前記第1方向に沿って第1ピッチの半分だけずれた位置に配列された第2ノズル列とが、長尺シートの搬送方向に平行な第2方向に沿って交互に配列された構造を有することを特徴とする。
【0025】
このため、本発明の電界紡糸装置によれば、各紡糸部が背中合わせに配置されるとともに各紡糸部からのポリマー溶液の噴射方向が互いに180°異なる2つの紡糸ユニットを備えるため、単位面積当たりに設置できるノズルの数を多くすることができ、設置面積をそれ程大きくすることなくポリマーナノ繊維を高い生産性で製造することが可能となる。
【0026】
また、本発明の電界紡糸装置によれば、上記のように構成された第1ノズル列と第2ノズル列とが、長尺シートの搬送方向に平行な第2方向に沿って交互に配列された構造を有するため、長尺シートの短幅方向に沿ったポリマーナノ繊維の堆積量が長尺シートが搬送されていく過程で均一化されることとなる。
【0027】
その結果、本発明の電界紡糸装置は、設置面積をそれ程大きくすることなくポリマーナノ繊維を高い生産性で製造することが可能で、さらには長尺シートの短幅方向に沿ったポリマー繊維の堆積量を均一化することが可能な電界紡糸装置となる。
【0028】
(9)本発明の電界紡糸装置においては、2次元的に配置された複数のノズルからポリマー溶液を長尺シートに向けて噴射する別の紡糸部及び前記別の紡糸部から見て長尺シートの裏面側に配置される別のコレクタ部を有する別の紡糸ユニットをさらに備え、前記堆積量均一化装置は、前記別の紡糸ユニットにおいても、長尺シート上における、長尺シートの短幅方向に沿ったポリマー繊維の堆積量を均一化することが好ましい。
【0029】
このような構成とすることにより、単位面積当たりのノズルの数をさらに多くすることが可能となるため、設置面積をそれ程大きくすることなく電界紡糸の生産性をさらに高くできるようになる。
【0030】
(10)本発明の電界紡糸装置においては、前記長尺シート近傍を加熱する加熱機構をさらに備えることが好ましい。
【0031】
このような構成とすることにより、ポリマー溶液に含まれる溶媒をより完全に蒸発させることが可能となるため、残存溶媒量が極めて少なく高品質のポリマーナノ繊維を製造することが可能となる。
【0032】
(11)本発明のポリマーナノ繊維は、本発明の電界紡糸装置によって製造されたポリマーナノ繊維である。
【0033】
このため、本発明のポリマーナノ繊維は、短幅方向に沿って均一な層厚を有するポリマーナノ繊維となり、様々な用途に適したポリマーナノ繊維となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の電界紡糸装置及びポリマーナノ繊維について、図に示す実施の形態に基づいて説明する。
【0035】
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係る電界紡糸装置100を説明するために示す図である。図1(a)は電界紡糸装置100の側面図であり、図1(b)は電界紡糸装置100を図1(a)の矢印A方向に沿って見たときの図であり、図1(c)は電界紡糸装置100の上面図である。なお、図1(b)においては、紡糸ユニット120aのみを図示するとともに、コレクタ140a、加熱機構150a及び電源装置160の図示を省略している。また、図1(c)においては、紡糸ユニット120aのみを図示している。また、また、図1においては、ポリマー溶液供給タンク、ポリマー溶液供給ポンプ及びポリマー溶液定量供給装置の図示を省略している。また、図1中、符号114は転回ローラを示し、符号134aはノズル列を示し、符号P1は第1ピッチを示し、符号P2は第2ピッチを示し、矢印Bは長尺シートSの搬送方向を示し、矢印Cは後述する第1方向を示す。
【0036】
図2は、実施形態1に係る電界紡糸装置100の動作を説明するために示す図である。図2(a)〜図2(e)は電界紡糸装置100の動作の各過程における紡糸部130aと長尺シートSとの関係を示す図である。なお、図2中、矢印は紡糸部130aの往復動の方向を示し、破線部は1つ前の過程の紡糸部130aの位置を示す。
【0037】
図3は、実施形態1に係る電界紡糸装置100の作用・効果を説明するために示す図である。図3(a)〜図3(e)は長尺シートSが搬送されていく過程で長尺シートSに堆積されるポリマーナノ繊維の量を模式的に示す図であり、図3(f)は電界紡糸が終了したあとのポリマーナノ繊維層の層厚を示す図である。
【0038】
実施形態1に係る電界紡糸装置100は、図1に示すように、繰り出しローラ112及び巻き取りローラ116を有し、長尺シートSを所定方向に沿って搬送する搬送機構110と、2次元的に配置された複数のノズル132a,132bからポリマー溶液を長尺シートSに向けて噴射する紡糸部130a,130b及び当該紡糸部130a,130bから見て長尺シートSの裏面側に配置されるコレクタ部140a,140bをそれぞれ有する2つの紡糸ユニットであって、各紡糸部130a,130bが背中合わせに配置されるとともに各紡糸部130a,130bからのポリマー溶液の噴射方向が互いに180°異なる2つの紡糸ユニット120a,120bと、2つの紡糸ユニット120a,120bにおける複数のノズル132a,132bとコレクタ部140a,140bとの間に高電圧を印加する電源部160とを備える。
【0039】
2つの紡糸ユニット120a,120bにおける各紡糸部130a,130bは、複数のノズル132a,132bが長尺シートSの搬送方向B及び噴射方向に垂直な第1方向Cに沿って第1ピッチP1で配列されるノズル列134a,134b(134bは図示せず。)を有するとともに、当該ノズル列134aが長尺シートSの搬送方向に平行な第2方向に沿って第2ピッチP2で配列された構造を有する。
【0040】
実施形態1に係る電界紡糸装置100は、長尺シートS上における、長尺シートSの短幅方向に沿ったポリマー繊維の堆積量を均一化するための堆積量均一化手段をさらに備える。そして、当該堆積量積均一化手段は、図2に示すように、電界紡糸中に、各紡糸部130a,130bを第1方向に沿って、例えば第1ピッチP1に相当する範囲で、往復動させる機能を有する。また、堆積量均一化手段は、搬送機構110による長尺シートSの搬送動作に同期して紡糸部130a,130bを往復動させる機能を有する。
【0041】
実施形態1に係る電界紡糸装置100は、長尺シートS近傍を加熱する加熱機構150a,150bをさらに備える。
【0042】
以上のように構成された、実施形態1に係る電界紡糸装置100によれば、各紡糸部130a,130bが背中合わせに配置されるとともに各紡糸部130a,130bからのポリマー溶液の噴射方向が互いに180°異なる2つの紡糸ユニット120a,120bを備えるため、単位面積当たりに設置できるノズルの数を多くすることができ、設置面積をそれ程大きくすることなくポリマーナノ繊維を高い生産性で製造することが可能となる。
【0043】
また、実施形態1に係る電界紡糸装置100によれば、長尺シートS上における、長尺シートSの短幅方向に沿ったポリマー繊維の堆積量を均一化するための堆積量均一化手段をさらに備えるため、長尺シートSの短幅方向に沿ったポリマーナノ繊維の堆積量を均一化することが可能となる。
【0044】
その結果、実施形態1に係る電界紡糸装置100は、設置面積をそれ程大きくすることなくポリマーナノ繊維を高い生産性で製造することが可能で、さらには長尺シートSの短幅方向に沿ったポリマー繊維の堆積量を均一化することが可能な電界紡糸装置となる。
なお、ポリマー繊維の層厚は、用途に応じて適宜決定されればよいが、1m2当たり5gの割合でポリマー繊維を堆積させると、ポリマー繊維の層厚はおよそ15μmとなる。
【0045】
また、実施形態1に係る電界紡糸装置100によれば、上記した堆積量積均一化手段が、電界紡糸中に、各紡糸部130a,130bを第1方向に沿って往復動させる機能を有することにより、各紡糸部130a,130bは、図3に示すように、長尺シートSが搬送されていく過程で第1方向に沿って往復動するようになるため、高い生産性を維持しつつ、長尺シートSの短幅方向に沿ったポリマーナノ繊維の堆積量を均一化することが可能となる。
【0046】
また、実施形態1に係る電界紡糸装置100によれば、堆積量均一化手段は、搬送機構110による長尺シートSの搬送動作に同期して紡糸部130a,130bを往復動させる機能を有することにより、長尺シートSの搬送速度に対して最適な往復動動作を行うことが可能となるため、高い生産性を維持しつつ、長尺シートSの短幅方向に沿ったポリマーナノ繊維の堆積量を均一化することが可能となる。
【0047】
また、実施形態1に係る電界紡糸装置100によれば、長尺シートS近傍を加熱する加熱機構をさらに備えることにより、ポリマー溶液に含まれる溶媒をより完全に蒸発させることが可能となるため、残存溶媒量が極めて少なく高品質のポリマーナノ繊維を製造することが可能となる。
【0048】
従って、実施形態1に係る電界紡糸装置100によって製造されるポリマーナノ繊維は、製造コストが安価で、かつ、短幅方向に沿って均一な層厚を有するポリマーナノ繊維となり、様々な用途に適したポリマーナノ繊維となる。
【0049】
[実施形態2]
図4は、実施形態2に係る電界紡糸装置200の側面図である。なお、図4においては、図1(a)に示す部材と同一の部材については同一の符号を付し詳細な説明は省略する。
【0050】
実施形態2に係る電界紡糸装置200は、基本的には実施形態1に係る電界紡糸装置100とよく似た構成を有するが、紡糸部の構成が実施形態1に係る電界紡糸装置100の場合とは異なる。すなわち、実施形態2に係る電界紡糸装置200においては、図4に示すように、2つの紡糸ユニット220a,220bにおける各紡糸部が1の紡糸部230に一体化されている。
【0051】
このため、実施形態2に係る電界紡糸装置200によれば、紡糸部230を往復動させる機構が単純になり、電界紡糸装置の設置面積を小さくすることが可能となる。また、電界紡糸装置の製造コストを低減することが可能となる。
【0052】
なお、実施形態2に係る電界紡糸装置200は、紡糸部の構成以外の点では実施形態1に係る電界紡糸装置100の場合と同様の構成を有するため、実施形態1に係る電界紡糸装置100が有する効果のうち同様の効果を有する。
【0053】
[実施形態3]
図5は、実施形態3に係る電界紡糸装置300を図1(b)の場合と同様の方向から見たときの図である。図1中、符号314は転回ローラを示す。
図6は、実施形態3に係る電界紡糸装置300の動作を説明するために示す図である。図6(a)〜図6(e)は電界紡糸装置300の動作の各過程における紡糸部130aと長尺シートSとの関係を示す図である。なお、図6中、矢印は長尺シートSの往復動の方向を示し、破線部は1つ前の過程の長尺シートSの位置を示す。
なお、図5及び図6においては、図1(b)及び図2に示す部材と同一の部材については同一の符号を付し詳細な説明は省略する。
【0054】
実施形態3に係る電界紡糸装置300は、基本的には実施形態1に係る電界紡糸装置100とよく似た構成を有するが、堆積量積均一化手段の構成が実施形態1に係る電界紡糸装置100の場合とは異なる。すなわち、実施形態3に係る電界紡糸装置300においては、堆積量均一化手段が、図5及び6に示すように、電界紡糸中に、搬送機構全体を第1方向に沿って往復動させることにより、長尺シートSを第1方向に沿って、例えば第1ピッチP1に相当する範囲で、往復動させる機能を有する。
【0055】
このように、実施形態3に係る電界紡糸装置300は、堆積量積均一化手段の構成が実施形態1に係る電界紡糸装置100の場合とは異なるが、実施形態1に係る電界紡糸装置100の場合と同様に、各紡糸部130a,130bが背中合わせに配置されるとともに各紡糸部130a,130bからのポリマー溶液の噴射方向が互いに180°異なる2つの紡糸ユニット120a,120b(図5では図示せず。)を備えるため、単位面積当たりに設置できるノズル132a,132bの数を多くすることができ、設置面積をそれ程大きくすることなくポリマーナノ繊維を高い生産性で製造することが可能となる。
【0056】
また、実施形態3に係る電界紡糸装置300によれば、長尺シートS上における、長尺シートSの短幅方向に沿ったポリマー繊維の堆積量を均一化するための堆積量均一化手段をさらに備えるため、実施形態1に係る電界紡糸装置100の場合と同様に、長尺シートSの短幅方向に沿ったポリマーナノ繊維の堆積量を均一化することが可能となる。
【0057】
その結果、実施形態3に係る電界紡糸装置300は、実施形態1に係る電界紡糸装置100の場合と同様に、設置面積をそれ程大きくすることなくポリマーナノ繊維を高い生産性で製造することが可能で、さらには長尺シートSの短幅方向に沿ったポリマー繊維の堆積量を均一化することが可能な電界紡糸装置となる。
【0058】
なお、実施形態3に係る電界紡糸装置300は、紡糸部の構成以外の点では実施形態1に係る電界紡糸装置100の場合と同様の構成を有するため、実施形態1に係る電界紡糸装置100が有する効果のうち同様の効果を有する。
【0059】
[実施形態4]
図7は、実施形態4に係る電界紡糸装置400を図1(b)の場合と同様の方向から見たときの図である。図7中、符号430aは2つの紡糸ユニットのうち一の紡糸ユニットを示し、符号432aは紡糸ユニット430aが有する紡糸部を示し、符号434a1は第1ノズル列を示し、符号434a2は第2ノズル列を示す。なお、図7において図1(b)に示す部材と同一の部材については同一の符号を付し詳細な説明は省略する。
【0060】
実施形態4に係る電界紡糸装置400は、基本的には実施形態1に係る電界紡糸装置100とよく似た構成を有するが、各紡糸部の構成が実施形態1に係る電界紡糸装置100の場合とは異なる。すなわち、実施形態4に係る電界紡糸装置400においては、各紡糸部430aは、複数のノズル432a1が長尺シートSの搬送方向及び噴射方向に垂直な第1方向に沿って第1ピッチP1で配列される第1ノズル列434a1と、複数のノズル432a2が第1方向に沿って第1ピッチP1で配列されるとともに第1ノズル列434a1における複数のノズル432a1とは第1方向に沿って第1ピッチP1の半分だけずれた位置に配列された第2ノズル列432a2とが、長尺シートSの搬送方向に平行な第2方向に沿って交互に配列された構造を有する。なお、実施形態4に係る電界紡糸装置400は、電界紡糸中に各紡糸部又は長尺シートを第1方向に沿って往復動させる機能を有する堆積量積均一化手段を有しない。
【0061】
このように、実施形態4に係る電界紡糸装置400は、各紡糸部の構成が実施形態1に係る電界紡糸装置100の場合とは異なるが、各紡糸部430aが背中合わせに配置されるとともに各紡糸部430aからのポリマー溶液の噴射方向が互いに180°異なる2つの紡糸ユニット420aを備えるため、単位面積当たりに設置できるノズルの数を多くすることができ、設置面積をそれ程大きくすることなくポリマーナノ繊維を高い生産性で製造することが可能となる。
【0062】
また、実施形態4に係る電界紡糸装置400によれば、上記のように構成された第1ノズル列434a1と第2ノズル列434a2とが、長尺シートSの搬送方向に平行な第2方向に沿って交互に配列された構造を有するため、長尺シートSの短幅方向に沿ったポリマーナノ繊維の堆積量が長尺シートが搬送されていく過程で均一化されることとなる。
【0063】
その結果、実施形態4に係る電界紡糸装置400は、実施形態1に係る電界紡糸装置400の場合と同様に、設置面積をそれ程大きくすることなくポリマーナノ繊維を高い生産性で製造することが可能で、さらには長尺シートの短幅方向に沿ったポリマー繊維の堆積量を均一化することが可能な電界紡糸装置となる。
【0064】
なお、実施形態4に係る電界紡糸装置400は、紡糸部の構成及び電界紡糸中に各紡糸部又は長尺シートを第1方向に沿って往復動させる機能を有する堆積量積均一化手段を有しないこと以外の点では実施形態1に係る電界紡糸装置100の場合と同様の構成を有するため、実施形態1に係る電界紡糸装置100が有する効果のうち同様の効果を有する。
【0065】
[実施形態5]
図8は、実施形態5に係る電界紡糸装置500を説明するために示す図である。図9は、実施形態6に係る電界紡糸装置600を説明するために示す図である。なお、図8及び図9においては、各コレクタ部、各加熱機構、各電源部、ポリマー溶液供給タンク、ポリマー溶液供給ポンプ及びポリマー溶液定量供給装置の図示を省略している。
【0066】
実施形態5に係る電界紡糸装置500は、基本的には実施形態1に係る電界紡糸装置100とよく似た構成を有するが、図8に示すように、2次元的に配置された複数のノズル532c,532dからポリマー溶液を長尺シートSに向けて噴射する別の紡糸部530c,530d及び当該別の紡糸部530c,530dから見て長尺シートSの裏面側に配置される別のコレクタ部(図示せず。)を有する別の紡糸ユニット520c,520d(図8では図示せず。)をさらに備えるとともに、堆積量均一化装置は、別の紡糸ユニット520c,520dにおいても、長尺シートS上における、長尺シートSの短幅方向に沿ったポリマー繊維の堆積量を均一化する機能を有する点で、実施形態1に係る電界紡糸装置100とは異なる。
【0067】
また、実施形態6に係る電界紡糸装置600は、基本的には実施形態1に係る電界紡糸装置100とよく似た構成を有するが、図9に示すように、2次元的に配置された複数のノズル632c,632d,632e,632fからポリマー溶液を長尺シートSに向けて噴射する別の紡糸部630c,630d,630e,630f及び当該別の紡糸部630c,630d,630e,630fから見て長尺シートSの裏面側に配置される別のコレクタ部(図示せず。)を有する別の紡糸ユニット620c,620d,620e,620f(図9では図示せず。)をさらに備える点、及び堆積量均一化装置が、別の紡糸ユニット620c,620d,620e,620fにおいても、長尺シートS上における、長尺シートSの短幅方向に沿ったポリマー繊維の堆積量を均一化する機能を有する点で、実施形態1に係る電界紡糸装置100とは異なる。
【0068】
このように、実施形態5に係る電界紡糸装置500又は実施形態6に係る電界紡糸装置600は、上記したような別の紡糸ユニット520c,520d又は別の紡糸ユニット620c,620d,620e,620fをさらに備える点、及び堆積量均一化装置が、別の紡糸ユニット620c,620d,620e,620fにおいても、長尺シートS上における、長尺シートSの短幅方向に沿ったポリマー繊維の堆積量を均一化する機能を有する点で、実施形態1に係る電界紡糸装置100の場合とは異なるが、実施形態1に係る電界紡糸装置100の場合と同様に、各紡糸部530a〜530d,630a〜630fがそれぞれ背中合わせに配置されるとともに各紡糸部530a〜530d,630a〜630fからのポリマー溶液の噴射方向が互いに180°異なる2つの紡糸ユニット520a〜520d,620a〜620fを備えるため、単位面積当たりに設置できるノズルの数を多くすることができ、設置面積をそれ程大きくすることなくポリマーナノ繊維を高い生産性で製造することが可能となる。
【0069】
また、実施形態5に係る電界紡糸装置500又は実施形態6に係る電界紡糸装置600によれば、長尺シートS上における、長尺シートSの短幅方向に沿ったポリマー繊維の堆積量を均一化するための堆積量均一化手段をさらに備えるため、長尺シートSの短幅方向に沿ったポリマーナノ繊維の堆積量を均一化することが可能となる。
【0070】
その結果、実施形態5に係る電界紡糸装置500又は実施形態6に係る電界紡糸装置600は、設置面積をそれ程大きくすることなくポリマーナノ繊維を高い生産性で製造することが可能で、さらには長尺シートSの短幅方向に沿ったポリマー繊維の堆積量を均一化することが可能な電界紡糸装置となる。
【0071】
なお、実施形態5に係る電界紡糸装置500又は実施形態6に係る電界紡糸装置600は、紡糸部の構成以外の点では実施形態1に係る電界紡糸装置100の場合と同様の構成を有するため、実施形態1に係る電界紡糸装置100が有する効果のうち同様の効果を有する。
【0072】
以上、本発明の電界紡糸装置及びポリマーナノ繊維層を上記の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
【0073】
(1)上記実施形態に係る電界紡糸装置100においては、各紡糸部130a,130bに同一のポリマー溶液を供給して同一のポリマーナノ繊維を製造しているが、本発明はこれに限定されるものではない。図10は、変形例1に係る電界紡糸装置700(図示せず。)における紡糸部730a,730bの構成を示す図である。図11は、変形例2に係る電界紡糸装置800(図示せず。)における紡糸部830a1,830a2,830a1,830b2の構成を示す図である。
【0074】
図10又は図11に示すように、各紡糸部730a,730b,830a1,830a2,830a1,830b2にそれぞれ異なるポリマー溶液を供給することにより異なるポリマーナノ繊維を堆積し、ひいては2層以上の異なるポリマーナノ繊維層を有するポリマーナノ繊維を製造することが可能となる。
【0075】
(2)上記実施形態1〜3に係る電界紡糸装置100〜300においては、各紡糸部として、実施形態4に係る電界紡糸装置400が備える紡糸部430aを備えることもできる。これにより、長尺シートの短幅方向に沿ったポリマーナノ繊維の堆積量をさらに均一化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】実施形態1に係る電界紡糸装置100を説明するために示す図である。
【図2】実施形態1に係る電界紡糸装置100の動作を説明するために示す図である。
【図3】実施形態1に係る電界紡糸装置100の作用・効果を説明するために示す図である。
【図4】実施形態2に係る電界紡糸装置200の側面図である。
【図5】実施形態3に係る電界紡糸装置を図1(b)の場合と同様の方向から見たときの図である。
【図6】実施形態3に係る電界紡糸装置300の動作を説明するために示す図である。
【図7】実施形態4に係る電界紡糸装置400を説明するために示す図である。
【図8】実施形態5に係る電界紡糸装置500を説明するために示す図である。
【図9】実施形態6に係る電界紡糸装置600を説明するために示す図である。
【図10】変形例1に係る電界紡糸装置700における紡糸部730a,730bの構成を示す図である。
【図11】変形例2に係る電界紡糸装置800における紡糸部830a1,830a2,830a1,830b2の構成を示す図である。
【図12】従来の電界紡糸装置900を説明するために示す図である。
【符号の説明】
【0077】
100,200,300,400,500,600,900…電界紡糸装置、110,510,610…搬送機構、112,512,612,912…繰り出しローラ、114,314,514,614,914…転回ローラ、116,516,616,916…巻き取りローラ、120a,120b,220a,220b…紡糸ユニット、130a,130b,230,330a,430a,530a,530b,530c,530d,630a,630b,630c,630d,630e,630f,730a,730b,830a1,830a2,830b1,830b2…紡糸部、132a,132b,232a,232b,332a,432a,532a,532b,532c,532d,632a,632b,632c,632d,632e,632f,732a,732b,832a1,832a2,832b1,832b2,932…ノズル、134a,134b,432a1,432a2…ノズル列、140a,140b,340a…コレクタ部、150a,150b,350b…加熱機構,160,960…電源部、902…ポリマー溶液供給タンク、904…ポリマー溶液供給ポンプ、906…ポリマー溶液定量供給装置、914…転回ローラ、930…ノズルブロック、940…コレクタベルト、942…循環用ローラ、S…長尺シート
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繰り出しローラ及び巻き取りローラを有し、長尺シートを所定方向に沿って搬送する搬送機構と、
2次元的に配置された複数のノズルからポリマー溶液を長尺シートに向けて噴射する紡糸部及び前記紡糸部から見て長尺シートの裏面側に配置されるコレクタ部をそれぞれ有する2つの紡糸ユニットであって、各紡糸部が背中合わせに配置されるとともに各紡糸部からのポリマー溶液の噴射方向が互いに180°異なる2つの紡糸ユニットと、
前記2つの紡糸ユニットにおける複数のノズルと前記コレクタ部との間に高電圧を印加する電源部とを備える電界紡糸装置であって、
長尺シート上における、長尺シートの短幅方向に沿ったポリマー繊維の堆積量を均一化するための堆積量均一化手段をさらに備えることを特徴とする電界紡糸装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電界紡糸装置において、
前記2つの紡糸ユニットにおける各紡糸部は、前記複数のノズルが長尺シートの搬送方向及び噴射方向に垂直な第1方向に沿って第1ピッチで配列されるノズル列を有するとともに、当該ノズル列が長尺シートの搬送方向に平行な第2方向に沿って第2ピッチで配列された構造を有し、
前記堆積量積均一化手段は、電界紡糸中に、前記各紡糸部を前記第1方向に沿って往復動させる機能を有することを特徴とする電界紡糸装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電界紡糸装置において、
前記2つの紡糸ユニットにおける各紡糸部は、一体化されていることを特徴とする電界紡糸装置。
【請求項4】
請求項1に記載の電界紡糸装置において、
前記2つの紡糸ユニットにおける各紡糸部は、前記複数のノズルが長尺シートの搬送方向及び噴射方向に垂直な第1方向に沿って第1ピッチで配列されるノズル列を有するとともに、当該ノズル列が長尺シートの搬送方向に平行な第2方向に沿って第2ピッチで配列された構造を有し、
前記堆積量均一化手段は、電界紡糸中に、長尺シートを前記第1方向に沿って往復動させる機能を有することを特徴とする電界紡糸装置。
【請求項5】
請求項4に記載の電界紡糸装置において、
前記堆積量均一化手段は、搬送機構全体を前記第1方向に沿って往復動させることを特徴とする電界紡糸装置。
【請求項6】
請求項2〜5のいずれかに記載の電界紡糸装置において、
前記堆積量均一化手段は、前記搬送機構による長尺シートの搬送動作に同期して前記紡糸部又は前記長尺シートを往復動させる機能を有することを特徴とする電界紡糸装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の電界紡糸装置において、
前記2つの紡糸ユニットにおける各紡糸部は、前記複数のノズルが長尺シートの搬送方向及び噴射方向に垂直な第1方向に沿って第1ピッチで配列される第1ノズル列と、前記複数のノズルが前記第1方向に沿って第1ピッチで配列されるとともに前記第1ノズル列における前記複数のノズルとは前記第1方向に沿って第1ピッチの半分だけずれた位置に配列された第2ノズル列とが、長尺シートの搬送方向に平行な第2方向に沿って交互に配列された構造を有することを特徴とする電界紡糸装置。
【請求項8】
繰り出しローラ及び巻き取りローラを有し、長尺シートを所定方向に沿って搬送する搬送機構と、
2次元的に配置された複数のノズルからポリマー溶液を長尺シートに向けて噴射する紡糸部及び前記紡糸部から見て長尺シートの裏面側に配置されるコレクタ部をそれぞれ有する2つの紡糸ユニットであって、各紡糸部が背中合わせに配置されるとともに各紡糸部からのポリマー溶液の噴射方向が互いに180°異なる2つの紡糸ユニットと、
前記2つの紡糸ユニットにおける複数のノズルと前記コレクタ部との間に高電圧を印加する電源部とを備える電界紡糸装置であって、
前記2つの紡糸ユニットにおける各紡糸部は、前記複数のノズルが長尺シートの搬送方向及び噴射方向に垂直な第1方向に沿って第1ピッチで配列される第1ノズル列と、前記複数のノズルが前記第1方向に沿って第1ピッチで配列されるとともに前記第1ノズル列における前記複数のノズルとは前記第1方向に沿って第1ピッチの半分だけずれた位置に配列された第2ノズル列とが、長尺シートの搬送方向に平行な第2方向に沿って交互に配列された構造を有することを特徴とする電界紡糸装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の電界紡糸装置において、
2次元的に配置された複数のノズルからポリマー溶液を長尺シートに向けて噴射する別の紡糸部及び前記別の紡糸部から見て長尺シートの裏面側に配置される別のコレクタ部を有する別の紡糸ユニットをさらに備え、
前記堆積量均一化装置は、前記別の紡糸ユニットにおいても、長尺シート上における、長尺シートの短幅方向に沿ったポリマー繊維の堆積量を均一化することを特徴とする電界紡糸装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の電界紡糸装置において、
前記長尺シート近傍を加熱する加熱機構をさらに備えることを特徴とする電界紡糸装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の電界紡糸装置によって製造されたポリマーナノ繊維。
【請求項1】
繰り出しローラ及び巻き取りローラを有し、長尺シートを所定方向に沿って搬送する搬送機構と、
2次元的に配置された複数のノズルからポリマー溶液を長尺シートに向けて噴射する紡糸部及び前記紡糸部から見て長尺シートの裏面側に配置されるコレクタ部をそれぞれ有する2つの紡糸ユニットであって、各紡糸部が背中合わせに配置されるとともに各紡糸部からのポリマー溶液の噴射方向が互いに180°異なる2つの紡糸ユニットと、
前記2つの紡糸ユニットにおける複数のノズルと前記コレクタ部との間に高電圧を印加する電源部とを備える電界紡糸装置であって、
長尺シート上における、長尺シートの短幅方向に沿ったポリマー繊維の堆積量を均一化するための堆積量均一化手段をさらに備えることを特徴とする電界紡糸装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電界紡糸装置において、
前記2つの紡糸ユニットにおける各紡糸部は、前記複数のノズルが長尺シートの搬送方向及び噴射方向に垂直な第1方向に沿って第1ピッチで配列されるノズル列を有するとともに、当該ノズル列が長尺シートの搬送方向に平行な第2方向に沿って第2ピッチで配列された構造を有し、
前記堆積量積均一化手段は、電界紡糸中に、前記各紡糸部を前記第1方向に沿って往復動させる機能を有することを特徴とする電界紡糸装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電界紡糸装置において、
前記2つの紡糸ユニットにおける各紡糸部は、一体化されていることを特徴とする電界紡糸装置。
【請求項4】
請求項1に記載の電界紡糸装置において、
前記2つの紡糸ユニットにおける各紡糸部は、前記複数のノズルが長尺シートの搬送方向及び噴射方向に垂直な第1方向に沿って第1ピッチで配列されるノズル列を有するとともに、当該ノズル列が長尺シートの搬送方向に平行な第2方向に沿って第2ピッチで配列された構造を有し、
前記堆積量均一化手段は、電界紡糸中に、長尺シートを前記第1方向に沿って往復動させる機能を有することを特徴とする電界紡糸装置。
【請求項5】
請求項4に記載の電界紡糸装置において、
前記堆積量均一化手段は、搬送機構全体を前記第1方向に沿って往復動させることを特徴とする電界紡糸装置。
【請求項6】
請求項2〜5のいずれかに記載の電界紡糸装置において、
前記堆積量均一化手段は、前記搬送機構による長尺シートの搬送動作に同期して前記紡糸部又は前記長尺シートを往復動させる機能を有することを特徴とする電界紡糸装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の電界紡糸装置において、
前記2つの紡糸ユニットにおける各紡糸部は、前記複数のノズルが長尺シートの搬送方向及び噴射方向に垂直な第1方向に沿って第1ピッチで配列される第1ノズル列と、前記複数のノズルが前記第1方向に沿って第1ピッチで配列されるとともに前記第1ノズル列における前記複数のノズルとは前記第1方向に沿って第1ピッチの半分だけずれた位置に配列された第2ノズル列とが、長尺シートの搬送方向に平行な第2方向に沿って交互に配列された構造を有することを特徴とする電界紡糸装置。
【請求項8】
繰り出しローラ及び巻き取りローラを有し、長尺シートを所定方向に沿って搬送する搬送機構と、
2次元的に配置された複数のノズルからポリマー溶液を長尺シートに向けて噴射する紡糸部及び前記紡糸部から見て長尺シートの裏面側に配置されるコレクタ部をそれぞれ有する2つの紡糸ユニットであって、各紡糸部が背中合わせに配置されるとともに各紡糸部からのポリマー溶液の噴射方向が互いに180°異なる2つの紡糸ユニットと、
前記2つの紡糸ユニットにおける複数のノズルと前記コレクタ部との間に高電圧を印加する電源部とを備える電界紡糸装置であって、
前記2つの紡糸ユニットにおける各紡糸部は、前記複数のノズルが長尺シートの搬送方向及び噴射方向に垂直な第1方向に沿って第1ピッチで配列される第1ノズル列と、前記複数のノズルが前記第1方向に沿って第1ピッチで配列されるとともに前記第1ノズル列における前記複数のノズルとは前記第1方向に沿って第1ピッチの半分だけずれた位置に配列された第2ノズル列とが、長尺シートの搬送方向に平行な第2方向に沿って交互に配列された構造を有することを特徴とする電界紡糸装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の電界紡糸装置において、
2次元的に配置された複数のノズルからポリマー溶液を長尺シートに向けて噴射する別の紡糸部及び前記別の紡糸部から見て長尺シートの裏面側に配置される別のコレクタ部を有する別の紡糸ユニットをさらに備え、
前記堆積量均一化装置は、前記別の紡糸ユニットにおいても、長尺シート上における、長尺シートの短幅方向に沿ったポリマー繊維の堆積量を均一化することを特徴とする電界紡糸装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の電界紡糸装置において、
前記長尺シート近傍を加熱する加熱機構をさらに備えることを特徴とする電界紡糸装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の電界紡糸装置によって製造されたポリマーナノ繊維。
【図2】
【図3】
【図4】
【図6】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図1】
【図5】
【図7】
【図3】
【図4】
【図6】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図1】
【図5】
【図7】
【公開番号】特開2010−31426(P2010−31426A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−197098(P2008−197098)
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【出願人】(504180239)国立大学法人信州大学 (759)
【出願人】(508231821)トップテック・カンパニー・リミテッド (40)
【氏名又は名称原語表記】TOPTEC Co., Ltd.
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【出願人】(504180239)国立大学法人信州大学 (759)
【出願人】(508231821)トップテック・カンパニー・リミテッド (40)
【氏名又は名称原語表記】TOPTEC Co., Ltd.
【Fターム(参考)】
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