説明

電磁ソースの方向及び位置を決定するためのポインティングベクトルベースの方法

ポインティングベクトルが規定可能な電磁波エネルギーを放射する交流(A.C.)生成装置及びロード、パワーライン、変換器及び/又は無線周波数(RF)送信機などのソースの方向及び/又は位置を決定するための方法及び装置が利用される。ソースとフィールドセンサ(電気及び磁気)の両方が静止しているとき、電磁ソースに対する方向を取得することが可能である。電気(E)及び磁気(B)センサセットが動いている場合、複数の指標がソースの特定を可能にする。本方法は、静止及び移動するオブジェクトの位置を決定することが可能なセンサのネットワークに拡張可能である。この要約は、検索者又は他の読者が技術的開示の主題を迅速に確認することを可能にする要約を要求する規則に準拠して提供されることが強調される。請求項の範囲又は意義を解釈又は限定するのに利用されるものでないという理解によって提出されている。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
米国政府は、ローレンスリバーモア国立研究所の運営のための米国エネルギー省とカリフォルニア大学との間の契約第W−7405−ENG−48号に従って本発明に関する権利を有する。
【0002】
[関連出願]
本出願は、2005年4月15日に出願された米国仮特許出願第60/671,793号“A POYNTING−VECTOR BASED METHOD FOR DETERMINING THE BEARING AND LOCATION OF ELECTROMAGNETIC SOURCES”の優先権を主張し、参照することによりそのすべてが含まれる。
【0003】
[発明の背景]
・発明の技術分野
本発明は、電磁波の放射の検出に関し、より詳細には、本発明は、ポインティングベクトルEとBフィールド指標を利用して、ニアフィールド内で作用する、しばしば低周波数放射電磁ソースである放射ソースの検出及び位置に関する。
【0004】
・関連技術の説明
ニアフィールド放射(NF)は、より静的な特性(準静的)を有し、オブジェクトの表面に“近接”して局在する電場及び磁場を有し、“通常の放射”として知られるファーフィールド放射(FF)は、一般に放射の伝搬を表す。一般に、すべての放射オブジェクトは、NFコンポーネントとFFコンポーネントを有するが、従来の大部分の放射ソース検出方法は、一般にFFの伝搬コンポーネントを利用する。
【0005】
放射ソースは、一般に3つのコンポーネント、タンジェンシャル電場Eと、ラジアル電場Eと、タンジェンシャル磁場Hとを有する。ポインティング定理自体は、一般に重畳された電場と磁場に対して、媒体にフローするエネルギーが存在しなければならないことを述べている。従って、放射フィールドに対して受け入れられている理論は、外積のポインティングベクトルE×H=S(ワット/m)における電場Eと磁場Hから求めることができる。
【0006】
電気の生成、伝送及びロードに関するすべての電力システムは、伝送ロスを受ける。実質的に解消不可能な1つの形態のロスは、電力生成利用システムにおいて非線形に印加された電圧に反応するロードの変動に伴う放射フィールドロス(NF及びFF)である。これは、生成装置とロードの仕様及びバランスを欠いたシステムの結果に大きく依存した放射電磁フィールドをもたらす非理想的電流フローによるエネルギーロスである。生成装置などの孤立した遠隔にある電源は、常にあるスタンドオフ範囲において検出可能な電磁フィールドを生じさせる。しかしながら、この範囲は、生成装置とロードの具体的なレイアウトと電力の利用目的とに強く依存する。
【0007】
従って、ポインティングベクトルEとBフィールド指標に基づき、ニアフィールド内のしばしば低周波数放射ソースである放射ソースを特定するため新規な方法及び装置が必要とされる。
【0008】
[発明の概要]
従って、本発明は、1以上の放射電気ソースを、該ソースに特有の1以上のデータフォーマットを生成するため検知するステップと、前記データフォーマットから生じる1以上のポインティングベクトルを、方向、ハーモニックの分布、ソースの空間マッピング及び/又は時間的評価を生成するため、生成するステップとを有する方法に関する。
【0009】
本発明の他の特徴は、1以上の放射電気ソースを特定する方法であって、電場及び磁場コンポーネント、1以上のブロードバンド信号並びに1以上の準静的フィールド信号を決定するため、3つの直交軸を検知するステップと、前記信号に構成される各電場軸コンポーネント(E)と磁場軸コンポーネント(B)とを周波数ドメインに変換するステップと、前記1以上のブロードバンド信号の1以上の所定のハーモニックに特有の選択を可能にするため、前記変換された信号をフィルタリングするステップと、前記準静的フィールドを除去し、前記1以上の放射電気ソースの方向及び位置、フィールドの空間マッピング並びに/又は時間的評価を提供するため、同一の時点に生成された前記フィルタリングされた1以上の所定のハーモニックから生じる1以上のポインティングベクトルを計算するステップとを有する方法を提供する。
【0010】
本発明の他の特徴は、電場(E)及び磁場(B)コンポーネントを有する1以上の放射ソース、該ソースの方向、空間マッピング及び/又は時間的評価を提供するため検出及び特定する装置を提供する。
【0011】
本発明の最後の特徴は、電場(E)及び磁場(B)コンポーネントを有する1以上の放射ソース、該ソースの方向、空間マッピング及び/又は時間的評価を提供するため検出及び特定するセンサのネットワークを提供する。
【0012】
従って、本発明は、A.C.生成装置、送信機、電気コンダクタ及びロードなどによって放射される静止した放射電場(E)及び磁場(B)の検出及びソース特定に適した方法及び装置を提供する。このような技術及び装置は、ここに開示されるように、以下に限定されるものではないが、自動車、トラック、戦車、ボート、潜水艦、飛行機及び宇宙船に関連付けされるかもしれない、外積ポインティングベクトルが決定される任意の放射モバイルソース/ロードシステムの移動の追跡と、静止したオブジェクトの電気使用のフィールドの空間マッピング、リモートソース特性化及び時間的評価を可能にする。
【0013】
[発明の詳細な説明]
図面を参照して、本発明の具体的な実施例が示される。本発明の一般的な説明と共に、これら具体的な実施例の詳細な説明は、本発明の原理を説明するのに使用される。
【0014】
特に指定されない場合、明細書及び請求項において使用される含有物、構成物、反応状態などの数量を表す数は、“約”という用語により修飾されていると理解されるべきである。従って、そうではないと示されていない場合、明細書及び請求項において与えられる数量パラメータは、ここに与えられる主題によって取得されることが求められる所望の性質に応じて変動しうる近似である。請求項の範囲への均等論の適用を制限しようとする試みとしてではなく、各数値パラメータは報告される重要ビットの個数により、また通常の丸め込み技術を適用することによって少なくとも解釈されるべきである。数値範囲及びパラメータがここに与えられる主題の広範な範囲を提供するが、具体例により与えられる数値は可能な限り正確に報告される。しかしながら、何れの数値も本来的には各テスト指標において求められる標準偏差から必然的に生ずるエラーを含む。
【0015】
・一般的な説明
ここに開示される装置及び方法は、ポインティングベクトルEとBフィールド指標を介しフィールドにおける実際のロードを供給する生成ソースなどの電気ソースを放射するスタンドオフ検出及び位置を利用する。60Hzなどの共通の放射ソース周波数(及び高調波)における本発明による信号検出は、約1000km未満のスタンドオフ範囲のコンプレックス電磁ニアフィールド領域内において良好である。本発明は、所望の受信信号の信号対雑音比を向上させるために所望されないニアフィールド準静的フィールド(すなわち、ノイズストリームデータ)を除去するため、このようなEフィールド及びBフィールド情報のデジタル化された時間平均化検出及びフィルタリングを効果的に提供する。ここで開示されるような結果として得られる高感度な3つの軸のEフィールド指標よ、対応するBフィールド指標は、逆方位角(すなわち、1以上の指標による方向(bearing))の計算を可能にすると共に、ソースへの電気ハーモニックの分布を提供する。このような方法及び対応するシステム/装置は、ニアフィールド領域内のソース位置の決定と、ポインティングベクトルE及びBフィールド指標に基づく低周波数におけるソース特定機能を可能にする。
【0016】
・具体的な説明
図に戻って、図1(a)において、本発明により構成されたシステムの基本的な実施例を示す基本図が示される。参照番号10により全体表示されるこのようなシステムは、携帯ユニットとして構成可能であり、又は約1000m未満のスタンドオフ範囲内の静止したソース及び移動するソースの両方の方向及び位置の決定を可能にするセンサのネットワークに拡張可能である。
【0017】
システム10は、コマンドを提供し、所望の情報を取得するとき、各処理を可能にするため、Visual Basic、MATLAB(登録商標)、LabVIEW(登録商標)、Visual C++若しくは任意のプログラミング言語又は特殊なソフトウェアプログラミング環境から構成されるグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を有することが可能な制御ソフトウェアプログラムを有するコンピュータ16を介しユーザにより指示可能である。特に、LabVIEW(登録商標)及び/又はMATLAB(登録商標)は、装置制御アプリケーションの開発用であり、素早いユーザインタフェースの作成を実現し、特に1以上の放射電気ソース/ロードシステムの方向及び/又は空間位置を提供すると共に、1以上の静止した又は移動する放射ソースの生成されたフィールドの空間マッピング、時間評価及び/又は電気ハーモニックの分布を提供するため、必要に応じて自動化可能な特殊ソフトウェアの実施例として利用されるアプリケーションとして有用である。
【0018】
コンピュータ16は、当業者により知られているようなアナログ・デジタル(A/D)集積回路機能により構成可能であり、ソフトウェア、利用可能なファームウェア(ROM、EPROM)及び集積計算、ストレージなどの手段、以下に限定されるものではないが、LSIC(Large Scale Integrated Circuit)、VLSIC(Very Large Scale Integrated Circuit)及びFPGA(Field−Programmable Gate Array)などの回路手段により構成することが可能である。このようなソフトウェア手段、ファームウェア手段及び他の集積回路手段は、本出願に対して所望されるフィルタリング、ストレージ及び計算処理を提供することが可能である。特に、FPGAアレイは、このような装置がプログラマブルロジックコンポーネントとプログラマブルインターコネクトを含むとき、本発明において利用される有用な半導体装置となる。プログラマブルロジックコンポーネントは、図1(a)に示されるようなシステム10や図1(b)に示されるようなリモート携帯アプリケーションなどにおいて本発明を利用するためプログラム可能であり、以下で詳細に説明されるように、基本ロジックゲート(AND、OR、XOR、NOTなど)の機能や、デコーダ若しくはシンプルな数学的な関数などのより複雑な組み合わせ関数を複製するようプログラム可能である。大部分のFPGAでは、これらのプログラマブルロジックコンポーネント(又はFPGAの用語におけるロジックブロック)はまた、シンプルなフリップフロップやより完全なメモリブロックであるかもしれないメモリ要素を有する。
【0019】
コンピュータ16は、このような装置により構成可能であり、USBやRS232ケーブルなどの所定の通信ライン(Lにより記され、双方向矢印により示される)及び/又は無線通信手段を介し3軸のBフィールド8とEフィールド12の検知ユニットにより構成されるセンサネットワーク(図示せず)又はセンサ4(破線ボックス内に示される)に動作可能に接続される。このような無線通信手段及び/又は通信ラインLは、格納、後処理及び/又は即時分析のため、取得したデジタル化情報をコンピュータに転送し、システム10の処理を有効化するため、3軸(すなわち、X−Y−Z電気(E)及び磁気(B))のA/D記録されたデータを出力する各センサ4とコンピュータ16との間の情報の交換を可能にするよう構成される。
【0020】
Bフィールド8とEフィールド12の検知ユニットは、図1(a)に示されるように、所望の放射ソース信号と所望されない準静的(ノイズストリーム)信号とを検知し、このように検知した信号を、毎秒約100,000ビットまでの受信情報をデジタル化可能な電子A/D変換回路手段6を利用して、デジタル形式に変換する。Bフィールド(とEフィールド12の検知ユニットは、特別に設計されたユニット又は市販の構成された3軸ユニットとすることが可能であり、しばしば配置可能なアンテナ要素により構成され、アンテナからゲインを出力信号に加えるための関連するプリアンプとすることが可能である。特に、ここで使用されるようなBフィールドユニットは、コアにおいてフラックスを生成するよう設計される所定のワインディングセットとフラックスを検出するための所定のワインディングセットとを有する3つの直交(すなわち、垂直)メタリック合金コアを有することが可能である。Bフィールド8とEフィールド12の検知ユニットが、例えば、1Hz以上の図1(a)に示されるようなアナログ放射信号3を受信した後、このような受信信号は、当業者により周知な集積回路手段により変換され、記録されたE及びBフィールドのベクトルコンポーネント(例えば、E及びBフィールドの3軸指標に対応する6つまでのチャネルなど)のそれぞれが、コンピュータ16にあるそれぞれ設けられた手段(ソフトウェア、ファームウェア、LSIC、VLSIC、FPGAなど)により解析される。
【0021】
その後、図1(a)に示されるようなポインティングベクトルS22が、しばしばノイズ信号を除去することに加えて、安定したポインティングベクトルS22信号を提供するため、時間平均化した(少なくとも1期間などの)このような信号によって決定される。このような操作は、放射電気ソース/ロードシステムの方向及び/又は空間位置、このようなシステムの電気的使用の時間評価、生成されたフィールドの空間マッピング及び電気ハーモニックの分布を提供することが可能である。
【0022】
他の効果的な構成として、図1(a)に示され、参照番号10’により全体指定されるセンサ4は、様々な過酷な環境又はそれ以外の環境における動作及び移動を容易にするため、携帯センサ24(図1(b)の破線ボックス内に示されるような)として構成することが可能である。このような携帯センサ24は、コマンドを発信し、所望の情報を取得するときの処理を容易化することが可能となるように、Visual Basic、MATLAB(登録商標)、LabVIEW(登録商標)、Visual C++、何れかのプログラミング言語又は特殊なソフトウェアプログラミング環境から構成されるグラフィカルユーザインタフェース(GUI)をしばしば有する計算及び処理に特化したソフトウェア手段を有することが可能である。他の構成される処理のホストに加えて、グラフィカルユーザインタフェースは、上述されたような各種集積、ソフトウェア若しくはファームウェア手段によって、ポインティングベクトル計算34の適用により結果として得られる方向30及び/又は空間位置を提供するため、フィルタリング若しくはモニタリングのための1以上の選択された周波数及び/又はハーモニック30の3軸周波数28のスペクトルを表示するよう構成可能である。
【0023】
さらに、図1(b)に示されるようなセンサ24は、さらなる構成では、以下に限定されるものではないが、後処置及び/又は即座の解析のため情報を中央プロセッサ(図示せず)にダウンロードするため、又は1以上の所定のソースの位置を三角測量するため、無線ネットワークシステム(図示せず)への通信及び統合を可能にするための赤外線及び/又はマイクロ波技術などの商業的な無線インタフェース(図示せず)を有するようにしてもよい。無線技術自体は、以下に限定されるものではないが、ウルトラバンドバンド(UWB)方法、IEEE(International Electronic and Electrical Engineers)プロトコル、ワシントンD.C.にあるデラウェアのCorporation by AssignmentのBluetooth SIG,INC.の登録商標であるBluetooth、又はアドホックシステムネットワーク(範囲外にある中央処理ユニット若しくは1以上の他のセンサ装置などと通信するため、1以上のセンサが他のセンサ装置を介しメッセージを中継するシステムなど)などの一例となる構成としてのネットワークシステムを介した無線通信のための新たなIEEEプロトコルの何れかなど、現在利用可能な通信方法及びハードウェアの何れかを含むものであるかもしれない。このような一例となるセンサ構成はまた、ここに開示されるように、放射ソースの電気ハーモニックの分布及びフィールドの空間マッピングを提供するため、1以上の放射電気ソース/ロードシステムの方向及び/又は空間位置を提供することが可能である。
【0024】
この構成と同様に、図1(a)に示されるように、図1(b)に示されるセンサ24はまた、Bフィールド(及びEフィールド12検知ユニットからの交互の放射フィールドを検知することによって、デジタルフォーマットへの変換のため毎秒約100,000ビットまでデジタル化可能なアナログ・デジタル(A/D)変換装置36を有する。Eフィールド検知ユニット12及びBフィールド検知ユニット8は、図1(a)のシステムのための上述されるような商業的に構成された3軸ユニットとすることが可能である。また上述されるように、センサ24は、アンテナ及び配置機構駆動電子からの出力信号にゲインを追加するため、プリアンプ(図示せず)により構成可能である。Bフィールド8及びEフィールド12検知ユニットが1Hz以上によりアナログ放射信号3を受信した後、このように受信した信号はデジタルフォーマットに変換され、E及びBフィールドの3軸指標に対応する6までのチャネルなど)記録されたE及びBフィールドのベクトルコンポーネントのそれぞれが、上述されるようなファームウェア、ソフトウェア、LSIC、VLSI及びFGPAなどの各計算手段によって解析され、センサ24において構成可能なグラフィカルユーザインタフェースにより表示28することが可能である。その後、1以上の電磁放射ソース2の表示される方向32などを提供するため、図1(b)に示されるように、所定のハーモニック(50Hz及び50Hzの第31ハーモニックを超えるなど)の所望のフィルタリングが、ノイズを除去するためこのような計算手段により時間平均化することが可能であり(例えば、少なくとも1つの期間について平均化される)、ポインティングベクトルS34を決定するよう解析可能である。
【0025】
図2は、本発明により生成されるような電場(E)及び磁場(B)チャネルの実験的なデジタル化された高速フーリエ変換(FFT)スペクトルを示す。本発明の能力を示すため、例えば、56.7Hzのピーク40と60Hzのピーク44がスペクトルの一部に明確に観察することが可能であり、それぞれ分離される。最も明らかなハーモニックは、生成装置に関連付けされ、バックグラウンドの60Hzのハーモニックではない。スペクトルは、上から下にX−Y−Z平面の磁場(B)3軸コンポーネント、すなわち、Bx48、By52及びBz56と、X−Y−X平面の電場(E)3軸コンポーネント、すなわち、Ex60、Ey64及びEz66である。基本ハーモニック及びより高次のハーモニック(例えば、56.7Hzの第5ハーモニックである参照番号72を参照されたい)は、EフィールドコンポーネントとBフィールドコンポーネントの間の信号対雑音を大きく変動させる可能性がある。
【0026】
本発明の方法では、第1ステージは信号検知と、E及びBフィールドセンサからのアナログ信号をデジタルフォーマットに変換することに関する。6つのチャネルが、電場と磁場の両方の3軸指標に対応して記録される。E及びBフィールドのベクトルコンポーネントが、ポインティングベクトルSを決定するため必要とされる。
【0027】
第2ステージは、第1の取得から生じるブロードバンドデジタルデータストリームの解析と、アナログ・デジタル変換ステージとに関する。第2ステージから、2つの解析方法が信号及びノイズデータストリームから要求されるE及びBフィールドコンポーネントを計算するのに利用可能である。
【0028】
第1方法は、ブロードバンド信号及びノイズデータストリームのしばしば高速フーリエ変換(FFT)である変換を計算することを要する。FFTは、信号及びノイズ振幅対周波数のスペクトルを与える。FFTを使用して、対象となる信号のハーモニック(例えば、図2に示されるように、第31ハーモニックを超える56.7Hz40と高次のハーモニックなど)が選択可能であり、E及びBベクトルフィールドに共通する各ハーモニックからの情報が、ポインティングベクトルを決定するため効果的に利用可能である。このようなポインティングベクトルの計算は、ソース位置の確実性を増大させるのに利用可能である。さらに、各ハーモニックのポインティングベクトルは、共通のソースに係るハーモニックセットを特定するための特性として利用可能である。狭帯域通過フィルタ(Butterworth、Bessel、Chebyshev、上記又は同様のものの組み合わせなど)が、選択されたハーモニックに対するブロードバンド信号及び準静的フィールド(ノイズデータストリーム)をフィルタリングするのに構成可能である。B及びEの各コンポーネントのブロードバンド信号とノイズデータストリームのこのようなフィルタリングは、各ハーモニックの周波数特性を有するデジタル波列を生成する。これは、各B及びEコンポーネントに係るデータストリームに対して実行される(例えば、図2に示される52、56、60、64及び66など)。
【0029】
時間について同一ポイントに対応する波列振幅のサンプルが、その後に6つの波列のそれぞれから抽出される。これら6つの振幅は、与えられたハーモニックに係るE及びBフィールドの瞬間値に対応し、ポインティングベクトルSの瞬間値を計算するのに利用される。ポインティングベクトルは時間に依存するため、少なくとも1つの期間に対する平均化が、安定的な量Sを取得するため実行される。
【0030】
B.第2の解析方法は、上述されるようなデジタル化されたブロードバンド信号及びノイズストリームを取得し、例えば、位相と振幅の両方の情報を与えるFFTなどを計算する。位相情報と共に、選択されたハーモニックの振幅は、図2に示されるように、E及びBの3つのコンポーネントのそれぞれに対してFFTから取得することが可能である。この情報は、その後、ポインティングベクトルSを得るため時間について平均化することが可能なポインティングベクトルの瞬間値を計算するのに利用可能である。振動するポインティングベクトルの時間平均は、リモートソースに係るエネルギーフラックスの方向と参照方向との間の方位角などの方向情報をもたらす。
【0031】
従って、本発明は、約1000メートルまでの静止オブジェクトによって生成される電気使用の時間評価、リモートソース特性化及び空間マッピングフィールドに加えて、以下に限定されるものではないが、静止した放射電場(E)及び磁場(B)ソース(A.C.生成装置、送信機、電気コンダクタ、ロードなど)などの1以上の50Hz以上の放射ソースの電気ハーモニックの分布を特定及び提供することが可能である(すなわち、放射電気ソース/ロードシステムの方向及び/又は空間位置を提供する)。さらに、本発明は、以下に限定するものではないが、自動車、トラック、戦車、ボート、潜水艦、飛行機及び宇宙船に係るものなど、ポインティングベクトルが決定可能な任意の放射モバイルソース/ロードシステムの動きを追跡するよう構成される。
【0032】
出願人は、本発明の広範な表現を提供するため、図面と具体的な実施例とを含む本記載を提供している。本発明の趣旨及び範囲内の様々な変更及び改良は、本記載及び本発明の実践により当業者に明らかになるであろう。本発明の範囲は、開示された特定の形態に限定されるものでなく、本発明は、請求項に規定されるような本発明の趣旨及び範囲内に属するすべての改良、均等及び代替をカバーする。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1(a)は、フィールドにおけるポインティングベクトルシステムの簡単化された図を示し、図1(b)は、本発明の一例となる携帯装置を示す。
【図2】図2は、電場(E)及び磁場(B)チャネルの実験的なデジタル化された周波数スペクトルを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の放射電気ソースを、該ソースに特有の1以上のデータフォーマットを生成するため検知するステップと、
前記データフォーマットから生じる1以上のポインティングベクトルを生成するステップと、
を有する方法であって、
前記生成するステップは、前記1以上の放射電気ソースの位置及び方向、フィールドの空間マッピング及び/又は時間的評価の決定を可能にする方法。
【請求項2】
前記データフォーマットは、電場(E)及び磁場3軸データから構成される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記データフォーマットは、約1Hzより大きな周波数をさらに有するハーモニックの分布を有する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記ハーモニックの分布は、少なくとも第31ハーモニックまでを有する、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記検知された1以上の放射電気ソースは、ブロードバンド放射及び準静的フィールドを有する、請求項1記載の方法。
【請求項6】
1以上の準静的フィールド信号及びノイズの除去に加えて、前記ポインティングベクトルの安定的な量を取得するため時間平均するステップをさらに有する、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記時間平均するステップは、少なくとも1つの期間における重み付けされた時間平均から構成される、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記計算するステップはさらに、電気(E)及び磁気(B)軸コンポーネントを有する検知された1以上の放射電気ソースのそれぞれに対する位相及び/又は波列振幅データセットを提供することから構成される、請求項1記載の方法。
【請求項9】
1以上の放射電気ソースを特定する方法であって、
電場及び磁場コンポーネント、1以上のブロードバンド信号並びに1以上の準静的フィールド信号を決定するため、3つの直交軸を検知するステップと、
前記信号に構成される各電場軸コンポーネント(E)と磁場軸コンポーネント(B)とを周波数ドメインに変換するステップと、
前記1以上のブロードバンド信号の1以上の所定のハーモニックに特有の選択を可能にするため、前記変換された信号をフィルタリングするステップと、
前記準静的フィールドを除去し、前記1以上の放射電気ソースの方向及び位置、フィールドの空間マッピング並びに/又は時間的評価を提供するため、同一の時点に生成された前記フィルタリングされた1以上の所定のハーモニックから生じる1以上のポインティングベクトルを計算するステップと、
を有する方法。
【請求項10】
前記1以上の準静的フィールド信号及びノイズを除去することに加えて、前記ポインティングベクトルの安定的な量を取得するため時間平均するステップをさらに有する、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記時間平均するステップは、少なくとも1つの期間における重み付けされた時間平均から構成される、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記変換するステップは、フーリエ変換から構成される、請求項9記載の方法。
【請求項13】
前記フーリエ変換は、高速フーリエ変換から構成される、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記変換するステップはさらに、前記信号に含まれる各電場軸コンポーネント(E)と各磁場軸コンポーネント(B)とに対する位相及び/又は波列振幅データセットを提供することから構成される、請求項9記載の方法。
【請求項15】
前記1以上の所定のハーモニックは、約1Hzより大きな周波数からさらに構成されるハーモニックの分布を有する、請求項9記載の方法。
【請求項16】
前記ハーモニックの分布は、約31ハーモニックまでを有する、請求項9記載の方法。
【請求項17】
1以上の放射ソースの方向を提供するため移動しながら、前記1以上のブロードバンド信号と1以上のノイズ準静的フィールド信号とを検知するステップをさらに有する、請求項9記載の方法。
【請求項18】
前記1以上の放射ソースは、1以上の移動する放射ソース及び/又は1以上の静止した放射ソースを有する、請求項9記載の方法。
【請求項19】
1以上の放射電気ソースを特定するセンサ装置であって、
1以上のブロードバンド及び1以上の準静的フィールド信号を検知するよう構成される電場(E)及び磁場3軸アンテナと、
前記信号に構成される各電場軸コンポーネント(E)及び磁場軸コンポーネント(B)を周波数ドメインに変換する手段と、
前記検知された1以上のブロードバンドフィールドの1以上の所定のハーモニックに特有の選択を可能にするため、前記変換信号をフィルタリングする手段と、
前記フィルタリングされた1以上の所定のハーモニックから生じる1以上のポインティングベクトルを提供する手段と、
を有し、
前記提供する手段は、1以上の放射電気ソースの方向、空間マッピング及び/又は時間的評価を可能にするセンサ装置。
【請求項20】
前記1以上の所定のハーモニックは、約1Hzより大きな周波数から構成されるハーモニックの分布を有する、請求項19記載の装置。
【請求項21】
前記ハーモニックの分布は、約31ハーモニックまでを有する、請求項20記載の装置。
【請求項22】
前記提供する手段は、時間平均から構成される、請求項19記載の装置。
【請求項23】
前記時間平均は、1以上の安定的なポインティングベクトルを提供し、前記準静的なフィールド及びノイズを除去するため、少なくとも1つの期間に対する重み付けされた時間平均から構成される、請求項22記載の装置。
【請求項24】
前記周波数ドメインに変換する手段は、高速フーリエ変換から構成される、請求項19記載の装置。
【請求項25】
前記周波数ドメインに変換する手段はさらに、前記信号に含まれる各電場軸コンポーネント(E)と各磁場軸コンポーネント(B)とに対する位相及び/又は波列振幅データセットを提供する、請求項24記載の装置。
【請求項26】
前記1以上の放射ソースは、1以上の移動する放射ソース及び/又は1以上の静止した放射ソースを有する、請求項19記載の装置。
【請求項27】
1以上の放射電気ソースを特定するネットワークであって、
当該ネットワークは、複数のセンサを有し、
前記センサのそれぞれは、
a)1以上のブロードバンド及び1以上の準静的フィールド信号を検知するよう構成される電場(E)及び磁場軸アンテナと、
b)前記信号に構成される各電場軸コンポーネント(E)と磁場軸コンポーネント(B)を周波数ドメインに変換する手段と、
c)前記1以上のブロードバンド検知されたフィールドの1以上の所定のハーモニックに特有の選択を可能にするため、前記変換信号をフィルタリングする手段と、
d)前記フィルタリングされた1以上の所定のハーモニックから生じる1以上のポインティングベクトルを提供する手段と、
を有し、
前記提供する手段は、1以上の放射電気ソースの方向、空間マッピング及び/又は時間的評価を可能にするネットワーク。
【請求項28】
前記1以上のフィルタリングされた所定のハーモニックは、約1Hzより大きな周波数を有するハーモニックの分布を有する、請求項27記載のネットワーク。
【請求項29】
前記ハーモニックの分布は、約第31ハーモニックまでを有する、請求項28記載のネットワーク。
【請求項30】
前記提供する手段は、時間平均から構成される、請求項29記載のネットワーク。
【請求項31】
前記時間平均は、前記準静的フィールド及びノイズを除去するため、少なくとも1つの期間における重み付けされた時間平均を有する、請求項30記載のネットワーク。
【請求項32】
当該ネットワークは、アドホックコンフィギュレーションから構成される、請求項27記載のネットワーク。
【請求項33】
当該ネットワークは、無線通信から構成される、請求項27記載のネットワーク。
【請求項34】
前記1以上の放射ソースは、1以上の移動する放射ソース及び/又は1以上の静止した放射ソースを有する、請求項27記載のネットワーク。
【請求項35】
前記1以上の移動する放射ソース及び/又は1以上の静止した放射ソースは、A.C.生成装置、送信機、電気コンダクタ、電気ロード、自動車、トラック、戦車、ボート、潜水艦、飛行機及び宇宙船から選択された少なくとも1つのソースである、請求項34記載のネットワーク。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−538042(P2008−538042A)
【公表日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−506779(P2008−506779)
【出願日】平成18年4月14日(2006.4.14)
【国際出願番号】PCT/US2006/014195
【国際公開番号】WO2007/040619
【国際公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(504471296)ザ リージェンツ オブ ザ ユニヴァーシティー オブ カリフォルニア (13)
【Fターム(参考)】