説明

電磁接触器ユニット

【課題】電磁接触器同士を連結した際に、外形寸法に影響を与えることなく、強固に連結することが可能な電磁接触器ユニットを提供する。
【解決手段】併置した少なくとも2台の電磁接触器2a,2bを連結駒42で連結するようにした電磁接触器ユニットであって、前記電磁接触器は、取付板部の各角部に形成した取付孔41aと、該取付孔の上部に形成した前記連結駒の半部を外形寸法内に収めて収納し、隣接する電磁接触器との連接面に開口する駒収納凹部43と、該駒収納凹部に形成した前記連結駒を係止する係止部44とを備え、前記連結駒は、併置した前記電磁接触器の隣接する前記取付孔に個別に係合する一対の係合突起42b,42cと、前記係止部に係止される被係止部42kとを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電磁接触器を連結する電磁接触器ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
電磁接触器同士を連結するとして、例えば特許文献1に記載の開閉機器ユニットが知られている。この開閉機器ユニットは、結合転換部を併置する2つの開閉機器の結合側側面のスリットに嵌め込むことにより、一方の開閉機器が投入状態となったときに、他方の開閉機器を投入状態への移行を阻止するようにしている。また、中央軸とこの中央軸を挟む一対の脚部とを有するE字状のクランプを設けるとともに、2つの開閉機器の結合側側面の端部に形成された対向面に凹部を有するリブを形成している。そして、外部からクランプを、その中央軸を凹部に嵌め込み、両脚部でリブの凹部とは反対側から抱え込んで装着することにより、2つの開閉機器を一体化するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2000−502208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された従来例にあっては、併置された開閉機器を一体化するために、両開閉機器の結合側側面に形成した凹部を有するリブに外部からクランプを装着するようにしている。このため、両開閉機器へのクランプの装着状態で、クランプが開閉機器より外部に突出することになり、組み合わせた開閉機器の外形寸法が大きくなるという未解決の課題がある。
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、電磁接触器同士を連結した際に、外形寸法に影響を与えることなく、強固に連結することが可能な電磁接触器ユニットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の一実施形態に係る電磁接触器ユニットは、併置した少なくとも2台の電磁接触器を連結駒で連結するようにしている。前記電磁接触器は、取付板部の各角部に形成した取付孔と、該取付孔の上部に形成した前記連結駒の半部を外形寸法内に収めて収納し、隣接する電磁接触器との連接面に開口する駒収納凹部と、該駒収納凹部に形成した前記連結駒を係止する係止部とを備えている。また前記連結駒は、併置した前記電磁接触器の隣接する前記取付孔に個別に係合する一対の係合突起と、前記係止部に係止される被係止部とを備えている。
【0006】
この構成によると、併置した電磁接触器の駒収納凹部内に連結駒を装着することにより、両電磁接触器を一体化する。このとき、連結駒が電磁接触器の外形寸法内に収まり、連結した電磁接触器の外形寸法が大きくなることはない。しかも、連結駒の一対の係合突起が両電磁接触器の取付板部に形成した取付孔に係合し、且つ被係止部が駒収納凹部に形成した係止部に係止されるので、連結した電磁接触器同士をあらゆる方向で互いに逆方向にずらす外力を与えても、電磁接触器間のずれを防止することができる。
【0007】
また、本発明の他の形態に係る電磁接触器ユニットは、前記駒収納凹部が、前記取付孔に挿通したねじを締める工具の挿通を許容する凹部で構成されている。
この構成によると、電磁接触器を基板等に取付ける際に取付孔に挿通したねじを締めるドライバなどの工具の挿通するための凹部を利用するので、連結駒を収納する空間を新たに形成する必要がない。
【0008】
また、本発明の他の形態に係る電磁接触器ユニットは、前記連結駒の一対の係合突起間に、隣接する前記電磁接触器間に挿通されて、前記一対の係合突起とで挟持部となる挟持用突起を形成している。
この構成によると、連結駒の係合突起と挟持用突起との間で電磁接触器の取付板部の連結面と取付孔との間を挟持することができ、電磁接触器同士をより強固に連結することができる。
【0009】
また、本発明の他の形態に係る電磁接触器ユニットは、前記係止部が、併置した前記電磁接触器の隣接する駒収納凹部に跨がって外側面から前記係合突起とは反対側の内方側に湾曲する湾曲板部と、該湾曲板部の先端に前記係合突起とは反対側へ突出形成した係止突起とで構成されている。
この構成によると、湾曲板部で弾性を確保することができ、その先端に係合突起とは反対側へ突出する係止突起が形成されているので、この係止突起を電磁接触器の駒収納凹部に形成された係止部に係止することにより、連結駒が駒収納凹部から係合突起とは反対側への移動が規制される。
【0010】
また、本発明の他の形態に係る電磁接触器ユニットは、前記一対の係合突起は、円筒部を前記駒収納部との接合面側で切欠いてC字筒状に形成され、先端側外周面に先細のテーパー部が形成されている。
この構成によると、係合突起がC字筒状に形成されていることで、電磁接触器の取付孔に挿入する際に撓むことが可能となり、取付孔への係合が容易となるとともに、先端に先細テーパー部が形成されているのでより取付孔への係合が容易となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、電磁接触器を併置して連結する場合に、電磁接触器に駒収納凹部を形成し、連結する電磁接触器の連結面側の駒収納凹部に連結駒を収納し、連結駒の一対の係合突起を隣接する電磁接触器の取付孔に係合させ、且つ被係止部を駒収納凹部に形成した係止部に係止させることにより、連結駒が電磁接触器の外径寸法から突出することなく、電磁接触器同士を強固に連結することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る電磁接触器ユニットを示す斜視図である。
【図2】図1の電磁接触器ユニットの分解斜視図である。
【図3】電磁接触器を示す断面図である。
【図4】可逆ユニットの動作を説明する平面図であって、(a)は釈放状態、(b)は左側投入状態、(c)は右側投入状態をそれぞれ示す。
【図5】装着前の可逆ユニット及び電磁接触器を示す斜視図である。
【図6】電磁接触器の下部フレームを示す斜視図である。
【図7】連結駒を示す斜視図であって、(a)は正面側の斜視図、(b)は背面側の斜視図である。
【図8】電磁接触器を連結駒で連結した状態の要部を断面で示す平面図である。
【図9】電磁接触器を連結駒で連結した状態の要部を断面で示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を、図面を伴って説明する。
図1は、例えば三相の誘導電動機(図示せず)の給電回路に接続され、誘導電動機の正逆運転制御する電磁接触器ユニットを示す斜視図、図2は図1の分解斜視図である。
電磁接触器ユニット1は、2台の電磁接触器2a,2bと、1台の可逆ユニット3とで構成されている。
2台の電磁接触器2a,2bのうち一方の電磁接触器2aは、誘導電動機を正転制御する電磁接触器であり、他方の電磁接触器2bは、誘導電動機を逆転制御する電磁接触器である。
電磁接触器2aは、図2に示すように、上面に、接点をそれぞれ有する端子部10と、コイル端子部11とを備えた装置であり、図3に示すように、本体ケース6内に、接点部7、電磁石8及び駆動レバー9が収納されている。
【0014】
本体ケース6は、電磁石8を収納している下ケース6aと、接点部7を収納している上ケース6bと、上ケース6bの上部を覆っている消弧カバー6cとを有している。
消弧カバー6cには表裏に連通する矩形状の表示窓6c2が形成されており、この表示窓6c2を通じて接点部7の動作表示片7a1が上面に突出されている。また、消弧カバー6cには、1台の可逆ユニット3を連結可能とする連結孔12〜14が表裏に貫通して形成されている。連結孔12〜14は、四角形状に開口した孔である。
【0015】
接点部7は、図3に示すように、上ケース6b内に配設された所定方向に摺動可能に配設された可動接点支え7aと、この可動接点支え7aを一方向に押圧する復帰ばね7bとで構成されている。
電磁石8は、励磁コイル8aを巻装し、軸方向が前記可動接点支え7aの摺動方向と平行に設定された筒状のコイル枠8bと、このコイル枠8bの空洞部内に挿入され、下ケース6aの側壁に固定される固定コア8cと、この固定コア8cに接離自在に対向し、コイル枠8bの空洞部に挿入されている可動コア8dとを備えている。
【0016】
また、可動コア8dの吸引運動、釈放運動を可動接点支え7aに伝達するため、図3に示すように、可動接点支え7aの復帰ばね7b側とは反対側と電磁石8の可動コア8dとの間が駆動レバー9によって連結されている。
この駆動レバー9は板状部材であり、長手方向の上端を回動支点部9aとし、長手方向の他端側に可動コア連結部9bが形成され、長手方向の中央部に可動接点支え連結部9cが設けられているとともに、可動接点支え連結部9cより回動支点部9a側に寄った位置に一対の被支持部9dが形成されている。
【0017】
駆動レバー9の可動コア連結部9bは、可動コア8dに形成した連結穴8eに上方から挿入されて連結する。そして、駆動レバー9の回動支点部9aが消弧カバー6cの下面に設けた支点凹部6c1に入り込んで回動自在に連結されている。
なお、他方の電磁接触器2bは、一方の電磁接触器2aと同一構造を有するので、その詳細説明はこれを省略する。
可逆ユニット3は、2台の電磁接触器2a,2bを隣接配置して固定するとともに、何らかの操作により2台の電磁接触器2a,2bの両者に動作信号が入力しても(2台の電磁接触器2a,2bの電磁石8が同時に動作しようとしても)、2台の電磁接触器2a,2bが同時に閉路(ON)状態となるのを機械的にロックするインターロック装置である。
【0018】
可逆ユニット3は、図4に示すように、直方体形状のユニット本体3aと、隣接配置した2台の電磁接触器2a,2bの消弧カバー6cに当接するユニット本体3aの裏面側の接触器装着部3bから突出している先端が外方に突出する爪部を有するスナップ片3c〜3fとを備えている。
また、可逆ユニット3は、ユニット本体の3aの表面側に、図1及び図2に示すように、図示しない補助接点ユニットのフック片が係合する連結孔3h,3i,3j,3k,3l,3mが形成されている。
【0019】
さらに、ユニット本体3a内には、図4に示すように、2台の電磁接触器2a,2bが同時に閉路(ON)状態となるのを機械的にロックするインターロック機構31が設けられている。このインターロック機構31は、電磁接触器2a,2bの動作表示片7a1に個別に連結されて電磁接触器2a,2bの連接方向すなわち長手方向に摺動可能な摺動部材32a,32bと、これら摺動部材32a,32bの対向部間を表裏の一方の面側で連結するとともに、摺動部材32a,32b間で一方の摺動に対する他方の摺動を規制する摺動規制部材33と、この摺動規制部材33と対向してその回動を規制する回動規制部材34とで構成されている。
【0020】
摺動部材32a及び32bは、平面からみて点対象となる同一形状に形成され、長方形板部32cと、この長方形板部32cの内側端における外側に形成された長手方向と直交する方向に外方に折れ曲がる鉤状部32dとで構成されている。そして、摺動部材32a及び32bは、釈放状態(ロック解除状態)で、図4(a)に示すように、互いの鉤状部32d同士が背合わせ状態で対向するように配置されている。
【0021】
摺動規制部材33は、摺動部材32a及び32bの鉤状部32dの外方端側に形成された係合ピン32eに係合された基部33aと、この基部33aの中央部から摺動部材32a側に突出する三角形状突出部33bとから構成されている。
回動規制部材34は、ユニット本体3a内に、釈放状態における摺動規制部材33の三角形状突出部33bの頂部と近接対向する頂部34aと、この頂部34aを通り摺動部材32aを釈放状態から摺動させたときに生じる三角形状突出部33bの頂部の移動軌跡に沿った円弧面でなる回動規制壁部34bと、前記頂部34aを通り摺動部材32bを釈放状態から摺動させたときに生じる三角形状突出部33bの頂部の移動軌跡に沿った円弧面でなる回動規制壁部34cとを少なくとも有する。
【0022】
そして、摺動部材32a及び32bには、図1及び図2に示すように、表面側にユニット本体3aの表面に形成した矩形状のユニット窓35a及び35bから突出する動作表示片36a及び36bが形成されているとともに、裏面側に図5に示すようにユニット本体3aの裏面に形成した矩形状のユニット窓37a及び37bから突出する筒状の表示片係合部38a及び38bが形成されている。
【0023】
そして、前述した電磁接触器2a,2bを開路(OFF)とした状態で、これら電磁接触器2a,2bの動作表示片7a1のそれぞれに表示片係合部38a及び38bを係合させながら、可逆ユニット3のスナップ片3cの先端を電磁接触器2aの連結孔12に挿入して開口周縁に係合し、スナップ片3dの先端を電磁接触器2aの連結孔13に挿入して開口周縁に係合し、スナップ片3eの先端を電磁接触器2bの連結孔12に挿入して開口周縁に係合し、スナップ片3fの先端を電磁接触器2bの連結孔13に挿入して開口周縁に係合して、可逆ユニット3を電磁接触器2a及び2b上に装着する。
【0024】
この可逆ユニット3の装着状態では、電磁接触器2a及び2bがともに開路(OFF)状態となっている。このため、インターロック機構31も、図4(a)に示すように、摺動部材32a及び32bがともに右動した位置となって釈放状態となり、摺動規制部材33の基部33aが長手方向と略直交する方向となっている。したがって、インターロック機構31の摺動規制部材33における三角形状突出部33bの頂部が回動規制部材34の頂部34aと近接対向しており、摺動規制部材33が基部33aの一端を中心に回動可能となっている。
このインターロック機構31の釈放状態から、電磁接触器2aを閉路(ON)状態とすると、電磁接触器2aの可動コア8dが固定コア8cに吸引されて移動する。これに応じて、駆動レバー9を介して接点部7の可動接点支え7aが復帰ばね7bに抗して移動して投入状態となる。
【0025】
このように電磁接触器2aが投入状態となると、電磁接触器2aの接点部7の動作表示片7a1が図4(a)に示す開路(OFF)位置から図4(b)に示す閉路位置に移動する。この動作表示片7a1に可逆ユニット3の摺動部材32aが連結されているので、この摺動部材32aが図4(b)に示すように、図4(a)に示す開路(OFF)位置から閉路位置に移動して左側投入状態となる。このため、摺動規制部材33が摺動部材32bの係合ピン32eを中心として回動する反時計方向に回動することになり、三角形状突出部33bが回動規制部材34の回動規制壁部34bと接触又は近接対向することになる。
【0026】
この左側投入状態では、摺動規制部材33の三角形状突出部33bが回動規制部材34の回動規制壁部34bと接触又は近接対向している。したがって、右側の電磁接触器2bを閉路(ON)状態としようとしたときに、電磁接触器2bの動作表示片7a1を介してインターロック機構31の摺動部材32bが図4(b)に示す開路(OFF)位置から摺動部材32b側の閉路(ON)位置に移動しようとする。このため、摺動規制部材33が摺動部材32aの係合ピン32eを中心に時計方向に回動しようとするが、三角形状突出部33bが回動規制部材34の回動規制壁部34bに接触することにより摺動規制部材33の回動が阻止される。結果として、左側の電磁接触器2aが閉路(ON)状態であるときに、右側の電磁接触器2bの閉路(ON)への移行が確実に阻止される。
【0027】
同様に、可逆ユニット3のインターロック機構31が、図4(a)に示すように釈放状態にある状態で、図4(c)に示すように、右側の電磁接触器2bを閉路(ON)状態としたときには、電磁接触器2bの動作表示片7a1を介してインターロック機構31の摺動部材32bが摺動部材32a側に摺動する。これに応じて、摺動規制部材33が摺動部材32aの係合ピン32eを中心として時計方向に回動し、三角形状突出部33bが回動規制部材34の回動規制壁部34cに接触又は近接対向する。このため、摺動規制部材33の反時計方向の回動が規制されることにより、摺動部材32aの摺動部材32bから離れる方向の摺動が規制される。したがって、左側の電磁接触器2aの開路(OFF)状態から閉路(ON)状態への移行が確実に阻止される。
【0028】
このように、2つの電磁接触器2a,2bを併置して、両者の消弧カバー6cに可逆ユニット3を装着した場合には、さらに両電磁接触器2a,2bを強固に連結するために、両電磁接触器2a,2bを基板に装着する下ケース6aに形成された取付板部41を連結駒42で連結して、電磁接触器2a,2bをより強固に連結する連結構造が採用されている。
【0029】
この連結構造は、図6に示すように、電磁接触器2a,2bの下ケース6aにおける取付板部41の4隅に、電磁接触器2a,2bを基板に装着する際に使用する取付ねじ(図示せず)を挿通する取付孔41aが形成されている。また、取付板部41には各取付孔41aの電磁石8の軸方向の端部側に切欠部41bが形成されている。そして、各取付孔41aの上方側に、取付孔aに挿通した取付ねじを締付けるドライバ等の工具の挿通を許容するとともに、連結駒42を収納する駒収納凹部43が形成されている。この駒収納凹部43は取付孔41aを内側の2方から囲むように形成されており、駒収納凹部43の傾斜上面43aに下方に突出する係止部としての係止片44が形成されている。また、駒収納凹部43は後述するように連結駒42の半部を収納した状態で、連結駒42の外側面が電磁接触器2a,2bの外径寸法内に収まるように形成されている。
【0030】
連結駒42は、合成樹脂材で例えばモールド成型されて構成され、図7(a)に示すように、長円形の取付板部42aの下面側に併置した電磁接触器2a,2bの取付孔41aに係合される一対の係合突起42b,42cが突出形成されているとともに、係合突起42b及び42cの中間位置に、係合突起42b及び42cとで挟持部を形成する例えば円柱状の挟持用突起42dが形成されている。ここで、係合突起42b,42cのそれぞれは、図7(b)に示すように、円筒部を電磁接触器2a,2bの駒収納凹部43と対向する面側で切欠いたC字筒状に形成され、下端側に先細のテーパー部42eが形成されている。
【0031】
また、取付板部42aの上部には、係合突起42b及び42cの略中心に対応する位置に上方に延長する側板部42f及び42gが形成され、これら側板部42f及び42gの下端側は前面板部42hで連結されるとともに、背面側に格子状枠部42iが形成されて機械的強度を確保している。
側板部42f及び42gの上端側は、前面板部42hの上端から上方に向かい次いで後方に電磁接触器2a,2bの駒収納凹部43側に向かう湾曲部42jが形成されている。この湾曲部42jの先端には上方に僅かに突出する前述した駒収納凹部43の上部に形成された係止片44の内側に係止される一対の被係止部としてのフック部42kが形成されている。また、側板部42f及び42gの先端部には係止片44の正面側に係合する係合部42mが形成されている。
【0032】
次に、上記実施形態の動作を説明する。
一対の電磁接触器2a,2bに可逆ユニット3を装着するには、先ず、一対の電磁接触器2a,2bを、図5に示すように、互いに同一方向に併置した状態で、互いの側壁を接触させる。この状態では、電磁接触器2a,2bの電磁石8が非通電状態となっており、接点部7の可動接点支え7aが復帰ばね7bによって押圧されて開路(OFF)状態に維持されている。このため、電磁接触器2a,2bの動作表示片7a1が図5に示すように、右側の開路位置を示している。
【0033】
そして、可逆ユニット3を動作表示片36a及び36bが右側の開路位置となるように設定した状態で、電磁接触器2aの消弧カバー6cに形成した連結孔12,13及び電磁接触器2bの消弧カバー6cに形成した連結孔12,13にそれぞれ可逆ユニット3のスナップ片3c,3d及び3e,3fを対向させた状態とする。
この状態で、可逆ユニット3を電磁接触器2a,2b側に押下することにより、各スナップ片3c,3d及び3e,3fが電磁接触器2a及び2bの連結孔12,13に挿入されて係止されるとともに、可逆ユニット3の表示片係合部38a及び38bが電磁接触器2a及び2bの動作表示片7a1に係合される。
【0034】
次いで、又はこの可逆ユニット3を装着する前に、電磁接触器2a及び2bの連結位置の取付板部41間を前後2つの連結駒42で連結する。この連結駒42の連結は、図8及び図9に示すように、先ず、連結駒42の裏面側を駒収納凹部43側とした状態で、連結駒42の下面側に形成した係合突起42b及び42cと挟持用突起42dとを電磁接触器2a及び2bの取付孔41aに係合させながら挟持用突起42dを電磁接触器2a及び2bの取付板部41に形成した切欠部41b間に挿入する。これにより、挟持用突起42dと係合突起42b及び42cとで電磁接触器2a及び2bの取付板部41における取付孔41aと切欠部41bとの間を挟持する。このとき、連結駒42の係合突起42b及び42cがC字状筒部に形成されているので、撓むことが可能であるとともに、先端に先細のテーパー部42eが形成されているので、取付孔41aへの係合を容易に行うことができる。
【0035】
次いで、連結駒42の湾曲部42jを撓ませて、フック部42kを電磁接触器2a及び2bの駒収納凹部43の上部に形成した係止片44の裏側に挿入し、側板部42f及び42gの先端の係合部42mを係止片44の正面側に係合させて湾曲部42jの撓みを解除することにより、フック部42kと係合部42mとで係止片44を挟持して固定される。
このように、2つの連結駒42で電磁接触器2a及び2bの取付板部41側を強固に連結することにより、図1に示すX方向で電磁接触器2a及び2bを連結面から引き離す方向の外力に対しては、電磁接触器2a及び2bの取付孔41aに係合突起42b及び42cが個別に係合していることにより、十分に抗することができる。
【0036】
また、電磁接触器2a及び2bをY方向で互いに逆方向にずらす外力が作用したときには、連結駒42の係合突起42b及び42cが電磁接触器2a,2bの取付板部41の取付孔41aに係合しているとともに、被係止部となるフック部42k及び側板部42f,42gの係合部42mで駒収納凹部43の上部に形成された係止片44を挟持していることにより、十分に抗することができる。
【0037】
さらに、電磁接触器2a及び2bをZ方向で互いに逆方向にずらす外力が作用したときには、一方の電磁接触器2a(又は2b)では係合突起42b及び42cを形成した取付板部42aが取付板部41に当接し、他方の電磁接触器2b(又は2a)では係止片44に側板部42f及び42gの係合部42mが当接することにより、十分に抗することができる。電磁接触器2a及び2bに捩じり方向の外力が作用した場合も、上記と同様に十分に抗することができる。
【0038】
なお、連結した電磁接触器2a,2bを分離するには、可逆ユニット3を取り外すとともに、連結駒42の湾曲部42jを下側に撓ませることにより、フック部42kを駒収納凹部43の上方に形成した係止片44の裏面から離脱させた状態で、連結駒42を駒収納凹部43から引き離すように回動させることにより、連結駒42を駒収納凹部43から容易に離脱させることができる。
しかも、電磁接触器2a及び2bの連結駒42とは反対側の上面には可逆ユニット3が装着されているので、電磁接触器2a,2b同士をより強固に連結保持することができる。
また、連結駒をモールド成型等の一体成型加工で形成することができるので、製作を容易に行うことができる。
【0039】
さらに、電磁接触器2a及び2bの駒収納凹部43として、取付孔41aに挿通した取付ねじを締めるドライバ等の工具を挿通する凹部を利用したので、既存の電磁接触器2a及び2bに大幅な改造を行うことなく製作することができ、下ケース6aの強度が低下することはない。
なお、上記実施形態においては、連結駒42の係合突起42b及び42c間に形成した挟持用突起42dが円柱状である場合について説明したが、これに限定されるものではなく、板状や下端に行くに従い細くなる円錐状又は楔状に形成することもできる。また、挟持用突起42dを省略することもできる。
【0040】
さらに、上記実施形態においては、被係止部として湾曲部42jとフック部42kとを設けた場合について説明したが、これに限定されるものではなく、フック部42kを上下に摺動可能とし、このフック部42kをバネなどの弾性体で上方に付勢するようにしてもよい。
また、電磁接触器2a及び2bの駒収納凹部43に形成した係止片44は、駒収納凹部43の上部側に形成する場合に限らず、駒収納凹部43の内側(Y方向側面)に形成するようにしてもよい。この場合には、連結駒42の左右側部に被係止部を形成するとともに、連結駒42の上面を駒収納凹部43の上面に接触させればよい。
【符号の説明】
【0041】
2a,2b…電磁接触器、3…可逆ユニット、3a…ユニット本体、3b…接触器装着部、3c〜3f…スナップ片、3g…ユニット装着部、3h〜3m…連結孔、6…本体ケース、6a…下ケース、6b…上ケース、6c…消弧カバー、6c1…レバー支持部、6c2…表示窓、6e…接触器側装着許容部、6f…接触器側装着阻止部、7…接点部、7a…可動接点支え、7a1…動作表示片、7b…復帰ばね、7c…可動接点、8…電磁石、8a…コイル、8b…コイル枠、8c…固定コア、8d…可動コア、9…駆動レバー、10…端子部、11…コイル端子部、12〜15…連結孔、31…インターロック機構、32a,32b…摺動部材、33…摺動規制部材、34…回動規制部材、36a,36b…動作表示片、41…取付板部、41a…取付孔、42…連結駒、42a…取付板部、42b,42c…係合突起、42d…挟持用突起、42f,42g…側板部、42j…湾曲部、42k…フック部、42m…係合部、43…駒収納凹部、44…係止片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
併置した少なくとも2台の電磁接触器を連結駒で連結するようにした電磁接触器ユニットであって、
前記電磁接触器は、取付板部の各角部に形成した取付孔と、該取付孔の上部に形成した前記連結駒の半部を外形寸法内に収めて収納し、隣接する電磁接触器との連接面に開口する駒収納凹部と、該駒収納凹部に形成した前記連結駒を係止する係止部とを備え、
前記連結駒は、併置した前記電磁接触器の隣接する前記取付孔に個別に係合する一対の係合突起と、前記係止部に係止される被係止部とを備えている
ことを特徴とする電磁接触器ユニット。
【請求項2】
前記駒収納凹部は、前記取付孔に挿通したねじを締める工具の挿通を許容する凹部で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電磁接触器ユニット。
【請求項3】
前記連結駒の一対の係合突起間に、隣接する前記電磁接触器間に挿通されて、前記一対の係合突起とで挟持部となる挟持用突起を形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の電磁接触器ユニット。
【請求項4】
前記係止部は、併置した前記電磁接触器の隣接する駒収納凹部に跨がって外側面から前記係合突起とは反対側の内方側に湾曲する湾曲板部と、該湾曲板部の先端に前記係合突起とは反対側へ突出形成した係止突起とで構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電磁接触器ユニット。
【請求項5】
前記一対の係合突起は、円筒部を記駒収納部との接触面側で切欠いてC字筒状に形成され、先端側外周面に先細のテーパー部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電磁接触器ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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