電磁波シールド扉
【課題】電磁波シールド扉のシールド性能と操作性を向上する。
【解決手段】電磁波シールド扉は、金属でシールドされている扉枠体2と、金属でシールドされ扉枠体2から片開きする扉本体1とを備えている。扉枠体2は、室内側側面部を囲む第1の弾性導電部材3と、室外側側面部を囲む第1の金属部材5aと、側面部を囲み第1の弾性導電部材3と第1の金属部材5aの間に配設されている第1の電磁波吸収部材7aとを有している。扉本体1は、室内側側面部を囲み第1の弾性導電部材3と接触する第2の金属部材6aと、室外側側面部を囲み第1の金属部材5aと接触する第2の弾性導電部材4と、側面部を囲み第2の弾性導電部材4と第2の金属部材6aの間に配設されている第2の電磁波吸収部材7bとを有している。
【解決手段】電磁波シールド扉は、金属でシールドされている扉枠体2と、金属でシールドされ扉枠体2から片開きする扉本体1とを備えている。扉枠体2は、室内側側面部を囲む第1の弾性導電部材3と、室外側側面部を囲む第1の金属部材5aと、側面部を囲み第1の弾性導電部材3と第1の金属部材5aの間に配設されている第1の電磁波吸収部材7aとを有している。扉本体1は、室内側側面部を囲み第1の弾性導電部材3と接触する第2の金属部材6aと、室外側側面部を囲み第1の金属部材5aと接触する第2の弾性導電部材4と、側面部を囲み第2の弾性導電部材4と第2の金属部材6aの間に配設されている第2の電磁波吸収部材7bとを有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は電磁波シールド扉に関し、特にシールド性能の向上を目的とした扉本体と扉枠体の構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電磁波シールド扉は、扉を閉めた状態で、建物の扉から漏れる電磁波をシールドする。扉本体と扉枠体の間の隙間から電磁波が侵入したり漏洩したりするのを防止するために、扉本体と扉枠体の間は導電接続されている。扉を閉めるときに必要となる加圧力を低減したり高周波でのシールド性能を向上させたりするために、電磁波吸収機構を導電接触部に併設した電磁波シールド扉も考案されている。
【0003】
一般に電磁波シールド扉では、電磁波の周波数が高くなると共にシールド性能が低下する。特に1GHz以上の周波数では、シールド性能が急激に低下する。導電接触部の接触抵抗をできるだけ小さくするため、扉本体と扉枠体の隙間全体に導電接触部を設けると共に扉を閉じる時の加圧力を大きくすることが行なわれている。このような扉では、大きな加圧力を得るために、ロック機構が必要になったり、扉の開閉力が大きくなったりして、扉開閉時の操作性が低下する。
【0004】
この点を解決するために、特許文献1では、導電接触部に電磁波吸収機構を併設している。シールド性能は向上しているが、電磁波吸収機構として用いられる電磁波吸収材料による電磁波の減衰量は少ないため、十分なシールド量を得るには吸収材料を長くする必要がある。この文献に開示される構造では吸収材料を扉の厚み方向に設置することができないので、電磁波吸収機構は扉面と室内の壁との間に設置する必要がある。こうすると扉面の大きさに比べて扉開口部の大きさが狭くなる。
【0005】
特許文献2では、電磁波シールド窓に対して、2つの電磁波遮蔽物と、その間の空間の側面に設けられた電磁波吸収材料の作用による多重反射を利用してシールド性能を向上させている。電磁波シールド窓には開閉機構が無く、広い透光面から侵入する電磁波をシールドする。この方法は、開閉機構を有する扉構造や扉本体と扉枠体の狭い隙間にはそのまま適用できない。
【0006】
特許文献3では、2箇所に導電接触部を設けてシールド性能を向上させている。この場合、電磁波吸収材料を用いていないので、電磁波の周波数が高くなるとシールド性能が低下する。また、2箇所に導電接触部を設けているため、扉を閉じる時の加圧力が大きくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−111269号公報
【特許文献2】特開2002−118391号公報
【特許文献3】特開2008−034538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、電磁波シールド扉のシールド性能と操作性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係る電磁波シールド扉は、金属でシールドされている扉枠体と、金属でシールドされ扉枠体から片開きする扉本体とを備えている。扉枠体は、室内側側面部を囲む第1の弾性導電部材と、室外側側面部を囲む第1の金属部材と、側面部を囲み第1の弾性導電部材と第1の金属部材の間に配設されている第1の電磁波吸収部材とを有している。扉本体は、室内側側面部を囲み第1の弾性導電部材と接触する第2の金属部材と、室外側側面部を囲み第1の金属部材と接触する第2の弾性導電部材と、側面部を囲み第2の弾性導電部材と第2の金属部材の間に配設されている第2の電磁波吸収部材とを有している。
【発明の効果】
【0010】
この発明に係る電磁波シールド扉は、電磁波の周波数が高くなっても、扉開閉時の操作性を維持しながら、良好なシールド性能を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施の形態1によるシールド扉の構成を示す断面図である。
【図2】実施の形態1によるシールド扉の開状態を示す断面図である。
【図3】実施の形態1によるシールド扉の詳細構成を示す断面図である。
【図4】導電接触部を有するシールド扉のシールド量を求める図である。
【図5】電磁波吸収部材を有するシールド扉のシールド量を求める図である。
【図6】隙間における電磁波の電界方向と磁界方向を示す断面図である。
【図7】シールド扉のシールド量と隙間の寸法関係を示す図である。
【図8】実施の形態2によるシールド扉の構成を示す断面図である。
【図9】実施の形態2によるシールド扉の開状態を示す断面図である。
【図10】実施の形態3によるシールド扉の構成を示す断面図である。
【図11】実施の形態3によるシールド扉の開状態を示す断面図である。
【図12】実施の形態4によるシールド扉の構成を示す断面図である。
【図13】実施の形態5によるシールド扉の構成を示す断面図である。
【図14】実施の形態6によるシールド扉の構成を示す断面図である。
【図15】シールド扉に用いる電磁波吸収部材の電磁波吸収量の周波数特性を示す図である。
【図16】シールド扉に用いる電磁波吸収部材の電磁波吸収量と電磁波吸収部材の厚みの関係を示す図である。
【図17】実施の形態7によるシールド扉の構成を示す断面図である。
【図18】実施の形態8によるシールド扉の構成を示す断面図である。
【図19】実施の形態9によるシールド扉の構成を示す断面図である。
【図20】実施の形態10によるシールド扉の構成を示す断面図である。
【図21】実施の形態10によるシールド扉の別の構成を示す断面図である。
【図22】実施の形態11によるシールド扉の構成を示す断面図である。
【図23】実施の形態12によるシールド扉の構成を示す断面図である。
【図24】実施の形態13によるシールド扉の電磁波吸収部材の配置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1によるシールド扉の構成を示す断面図である。シールド扉100は、金属板5でシールドされている扉枠体2と、金属板6でシールドされ扉枠体2に取り付けられている扉本体1とから構成される。丁番20は、室外側から見て扉本体1の右側端部に取り付けられている。丁番20によって扉本体1は扉枠体2から片開きする。扉本体1の厚さは40mmから70mm程度である。
【0013】
扉本体1の開閉は、丁番20を中心にして扉本体1を回転運動させることにより、矢印で表示される扉開閉方向に行なう。扉本体1と扉枠体2が干渉することなく開閉動作を行なうために、扉本体1と扉枠体2の間には、5mmから10mmの隙間9が必要である。隙間9は、電磁波が侵入したり漏洩したりする電磁波伝搬経路8となる。扉枠体2の側面部(内周面)10aと扉本体1の側面部(外周面)10bは、扉本体1の閉時に、対向する。
【0014】
図2は、シールド扉100が開いている状態を表している。弾性導電部材(第1の弾性導電部材)3は、扉枠体2の室内側に取り付けられていて、扉枠体2の側面部10aを囲んでいる。金属板(第2の金属部材)6aは扉本体1の室内側に取り付けられていて、扉本体1の側面部10bを囲んでいる。金属板6aは扉本体1の閉時に弾性導電部材3と接触し、かみ合うことで電磁波の漏洩を防ぐ。弾性導電部材(第2の弾性導電部材)4は扉本体1の室外側の側面部10bに取り付けられ、扉本体1の外周を囲んでいる。金属板(第1の金属部材)5aは、扉枠体2の室外側の側面部10aに設けられ、扉本体1の閉時に弾性導電部材4と接触し、かみ合う。金属板5に設けられた電磁波吸収部材(第1の電磁波吸収部材)7aは弾性導電部材3と金属板5aの間に配設されていて、扉枠体2の側面部10aを囲んでいる。金属板6に設けられた電磁波吸収部材(第1の電磁波吸収部材)7bは金属板6aと弾性導電部材4の間に配設されていて、扉本体1の側面部10bを囲んでいる。
【0015】
扉枠体2に設けた金属板5と扉本体1に設けた金属板6は、金属板5に設けた弾性導電部材3と金属板6に設けた弾性導電部材4によって電気的に接続されている。金属板5、6と弾性導電部材3、4で囲まれた空間(隙間9)が扉本体1の全周囲に形成されるため、電磁波は細長い隙間形状の空間を伝搬する。この隙間形状の空間において、弾性導電部材3と金属板6aの接触部から室内に電磁波が漏洩する。同様に金属板5aと弾性導電部材4の接触部から室外に電磁波が漏洩する。金属板の途中からは電磁波は室内外に漏洩しないため、電磁波が室内外に漏れるのは、2箇所の接触部のみとなる。
【0016】
実施の形態1では、電磁波吸収部材7a、7bの断面は矩形形状である。電磁波吸収部材7a、7bとして、磁性体材料や誘電体材料を用いることができる。電磁波は、磁性体損失や誘電体損失によって、隙間9を伝搬するうちに減衰する。特に、電磁波吸収部材7a、7bとして、磁性材料を用いた場合、1GHz以下の比較的低い周波数においても高いシールド効果を得ることができる。電磁波吸収部材7a、7bとして、フェライトなどの磁性体や炭素粉などを含む電波吸収体を用いても良い。この場合、1GHz以下の周波数においても高いシールド効果を得ることができる。
【0017】
弾性導電部材3、4は、弾性を有していて、金属板5a、6aを押し当てるとかみ合うことによって、電磁波の漏洩を防ぐことができる。弾性導電部材3、4には、伸縮性のある芯材を金属ワイヤや導電性繊維で被覆した導電性ガスケット、或は金属バネ形状のシールドフィンガーと呼ばれるガスケットが適している。この場合、扉本体1と扉枠体2の寸法公差によって多少の隙間が生じても、両者の電気的接続を確実に取ることができる。
【0018】
次にシールド扉100の動作を説明する。図3はシールド扉の片側の隙間の断面構造を示す図である。室外から室内に電磁波が侵入する場合の電磁波伝搬経路8の詳細を示したものである。室外から扉に達した電磁波は、弾性導電部材4と金属板5aの接触部を通り、扉本体1と扉枠体2の隙間9に侵入する。隙間9を電磁波が伝搬する間に、隙間9の両側に配置された電磁波吸収部材7a、7bによって電磁波は減衰する。電磁波が弾性導電部材3と金属板6aの接触部に到達すると、電磁波の一部は室内に漏れるが、大部分の電磁波は反射して隙間9の内部を逆方向に伝搬する。
【0019】
このとき電磁波吸収部材7a、7bによって電磁波は減衰する。電磁波が弾性導電部材4と金属板5aの接触部に到達すると、電磁波の一部は室外へ戻るが、大部分は反射して隙間9を最初と同一方向に伝搬する。このとき電磁波吸収部材7a、7bによって電磁波は減衰する。電磁波が再び弾性導電部材3と金属板6aの接触部に到達すると、電磁波の一部は室内に漏れるが、大部分の電磁波は反射して隙間9を逆方向に伝搬する。図中には2回の反射しか記載していないが、実際は2つの導電接触部の間を何度も多重反射しながら電磁波が伝搬するため、電磁波吸収部材7a、7bよる減衰は非常に大きくなる。室内から室外に電磁波が漏洩する場合は電磁波の伝搬方向が逆になる。
【0020】
次にシールド扉100のシールド量を説明する。図4は電磁波吸収部材がないときのシールド量を求める図である。ここではシールド扉100における2箇所の導電接触部A、Bでの多重反射のみを考慮してシールド量を求めている。導電接触部Aは弾性導電部材4と金属板5aを象徴している。導電接触部Bは弾性導電部材3と金属板6aを象徴している。導電接触部Aと導電接触部Bのシールド量を40dBと仮定する。このとき入射波の1/100が導電接触部を透過することになる。室外からの入射波の振幅を10,000とすると、導電接触部Aでは、透過波の振幅は100(=10000×1/100)、反射波の振幅は9900(=10000−100)となる。振幅100の透過波が隙間内に侵入するため、導電接触部Bでの入射波は振幅100となり、透過波は振幅1、反射波は振幅99となる。
【0021】
導電接触部Bでの反射波は導電接触部Aに到達し、透過波は0.99、反射波は98となる。この反射波は導電接触部Bに到達し、透過波は0.98、反射は97となる。以下同様に導電接触部Aと導電接触部Bの間を多重反射しながら減衰してゼロになる。全体のシールド量は多重反射時のトータルの透過波によって決まる。最初に導電接触部Bで反射した電磁波(振幅99)の半分ずつが室外側と室内側を透過するため、導電接触部Bを透過して室内に侵入する電磁波はトータルで振幅50.5(=99/2+1)となる。このときのシールド量は46dBになる。このように電磁波の反射でシールドをおこなっている導電接触部を多段にしても、シールド量は単純加算の80dBにならない。
【0022】
図5は電磁波吸収部材が有るときのシールド量を求める図である。導電接触部Aと導電接触部Bのシールド量を40dB、電磁波吸収部材7による電磁波の減衰を20dBと仮定する。このとき、電磁波は隙間9を伝搬中に振幅が1/10に減衰する。室外からの入射波の振幅を10,000とする。導電接触部Aでの透過波の振幅は100となる。透過波は隙間内の電磁波吸収部材7で減衰し、導電接触部Bに到達すると振幅は10になる。導電接触部Bでの透過波の振幅は0.1である。導電接触部Bでの反射波は9.9となり、導電接触部Aに到達すると振幅は0.99に減衰する。導電接触部Aで反射して導電接触部Bに到達すると振幅は0.098に減衰する。導電接触部Bでの透過波の振幅は0.00098である。
【0023】
このように電磁波は電磁波吸収部材で減衰しながら多重反射を繰り返す。1往復することにより到達波の振幅は元の1/00(往復分)に減衰する。このため、3回目以降の到達波を考慮する必要は無い。従って、トータルの透過波の振幅は、9.8/10000+0.1=0.10098となる。すなわち2重ガスケット(導電接触部A、B)と電磁波吸収体を組み合わせた系のシールド量は―99.9dBとなる。この値は、単純加算した100dB(=40dB+40dB+20dB)と等しい。このように、2箇所の導電接触部の間に電磁波吸収部材を配置することにより、シールド量は46dBから100dBと非常に大きくなる。電磁波吸収部材の両側に導電接触部を設ける構造にすることにより、所定のシールド量を得るために電磁波吸収体の長さを非常に短くすることができる。
【0024】
次に隙間9を伝搬する電磁波の電磁波吸収部材による減衰について説明する。図6は隙
間9を伝搬する電磁波の電界と磁界の方向を示している。隙間9を伝搬する電磁波の進行方向11に対し、電界方向12は金属板5a、6aにほぼ垂直になる。磁界方向13は電磁波吸収部材7a、7bにほぼ平行となる。角度14は金属板5、6の法線と電界方向12のなす角度を指す。電界方向12が電磁波吸収部材7と直交すると大きな減衰量が得られる。角度14が大きくなると減衰量が低下して、所定のシールド量を得るために必要な電磁波吸収部材の長さが長くなる。
【0025】
金属板に挟まれた隙間9を伝搬する電磁波は、隙間9の長さAと隙間9の間隔Bに関係する。比率A/Bが大きいほど、電界方向12は金属板に垂直に近くなり、シールド量が大きくなる。図7に比率A/Bとシールド量の関係を示す。実線18は、金属板5、6が導電接触部で電気的に接続されている場合である。比率A/B>1となると角度14がほとんどゼロになるため、電磁波吸収部材による減衰量が大きくなり大きなシールド量を得ることができる。一方、比率A/B<1では、角度14が大きくなり、電磁波吸収部材の減衰効果がほとんど現れずに、シールド量は小さい。
【0026】
通常のシールド扉では、隙間9の長さAに相当する扉厚さは60mm程度であるのに対し、扉枠体と扉本体の隙間Bは6mm程度である。比率A/B=10となり、大きなシールド量を得ることができ、必要なシールド量を得るための電磁波吸収部材の長さを非常に短くすることができる。これに対して、特許文献2に示した窓枠では、隙間の長さAに相当する窓厚さは10mm程度なのに対し、隙間に相当する窓幅は100mm程度である。この場合、比率A/Bは0.01となり、大きなシールド量を得ることはできない。
【0027】
図7の実線19は、金属板5、6が導電接触部A、Bで電気的に接続されていない場合である。この場合、金属板5と金属板6の高周波的な電位が異なるため、角度14が大きくなる。電磁波吸収部材の減衰効果がほとんど現れずに、シールド量は小さくなる。文献2に示した窓枠では、電磁波遮蔽層と窓枠の間に電磁波吸収部材がある。2つの電磁波遮蔽層間の電気的導通が取れないため、大きなシールド効果を得ることはできない。
【0028】
以上から、この発明によれば、扉枠体と扉本体の間の隙間を漏洩する電磁波を、導電接触部間の多重反射を利用して大きく減衰させることができ、電磁波吸収部材の長さを短くしても優れたシールド性能を得ることができる。電磁波吸収部材を短くできるので、扉の厚さ方向に電磁波吸収部材を配置することができ、扉の開口部が狭くならないという効果を有する。また、扉隙間を伝搬する電磁波の電界方向を電磁波吸収部材に直交させることができるようなるため、シールド性能を更に向上させることができる。
【0029】
実施の形態2.
図8はこの発明の実施の形態2によるシールド扉100の構成を示す断面図である。図中に示す形態は、扉本体1と扉枠体2の角部に電磁波吸収部材を配置した構成である。図9は実施の形態2によるシールド扉の開状態を示している。電磁波吸収部材7a、7bは断面が山型形状を呈している。
【0030】
このような構成にすることにより、扉開口部の面積をあまり減少させずに扉厚さを薄くすることができる。また扉本体や扉枠体の角部に合わせて電磁波吸収部材を取り付ければよいので、取り付け精度を向上させることができ、扉隙間の管理を容易に行なうことができるようになる。
【0031】
実施の形態3.
図10はこの発明の実施の形態3によるシールド扉100の構成を示す断面図である。図中に示す形態は、導電接触部と電磁波吸収部材を多段にした構成である。図11は実施の形態3によるシールド扉の開状態を示している。
【0032】
電磁波吸収部材23a(第3の電磁波吸収部材)は、扉枠体2の側面部10aを囲み、弾性導電部材3(第1の弾性導電部材)と金属板5a(第1の金属部材)の間であって、電磁波吸収部材7a(第1の電磁波吸収部材)よりも金属板5a側に配設されている。電磁波吸収部材23b(第4の電磁波吸収部材)は、扉本体1の側面部10bを囲み、弾性導電部材4(第2の弾性導電部材)と金属板6a(第2の金属部材)の間であって、電磁波吸収部材7b(第2の電磁波吸収部材)よりも弾性導電部材4側に配設されている。
【0033】
金属板5に設けられた弾性導電部材22(第3の弾性導電部材)は、電磁波吸収部材7aと電磁波吸収部材23aの間に配設されていて、扉枠体2の側面部10aを囲んでいる。金属板6に設けられた金属板6b(第3の金属部材)は、電磁波吸収部材7bと電磁波吸収部材23bの間に配設されていて、扉本体1の側面部10bを囲んでいる。弾性導電部材22と金属板6bは、扉本体1の閉時に、接触しかみ合うことで、電磁波の漏洩を防ぐ。
【0034】
このような構成にすることにより、広帯域で大きな減衰量を得ることができるシールド扉を得ることができる。また、このような構成にすることにより、特性の異なる電磁波吸収部材を用いることができるようになる。電磁波吸収部材が減衰させる電磁波の周波数が異なる材料を用いることにより、広帯域で大きな減衰量を得ることのできるシールド扉とすることができる。中央の弾性導電部材22は、無くても同様の効果を有することは言うまでもない。
【0035】
実施の形態4.
図12はこの発明の実施の形態4によるシールド扉100の構成を示す断面図である。実施の形態1から3では、扉枠体の扉側側面部および扉本体の側面部の両側に電磁波吸収部材を配置した場合について説明したが、どちらか片方に電磁波吸収部材を配置しても同様の効果が得られる。図では、電磁波吸収部材7を扉枠体2の扉側側面部に設けた場合を示している。この場合、電磁波吸収部材の使用量を減らして扉の重さを軽くすることができるという効果を有する。
【0036】
実施の形態5.
図13はこの発明の実施の形態5によるシールド扉100の構成を示す断面図である。電磁波吸収部材7a(第1の構成部材)と電磁波吸収部材7c(第2の構成部材)は、扉枠体2の厚さ方向に並んで積み重ねられている。電磁波吸収部材7b(第3の構成部材)と電磁波吸収部材7d(第4の構成部材)は、扉本体1の厚さ方向に並んで積み重ねられている。電磁波吸収部材7aと電磁波吸収部材7cは、扉枠体2の側面部10aを囲み、弾性導電部材3と金属板5aの間に配設されている。電磁波吸収部材7bと電磁波吸収部材7dは、扉本体1の側面部10bを囲み、弾性導電部材4と金属板6aの間に配設されている。
【0037】
電磁波吸収部材7aと電磁波吸収部材7cには、電磁波吸収特性の異なる電磁波吸収部材が用いられている。同様に、電磁波吸収部材7bと電磁波吸収部材7dには、電磁波吸収特性の異なる電磁波吸収部材が用いられている。電磁波吸収部材7a〜7dに、周波数
に対する電磁波吸収特性が異なる材料を用いることにより、シールド扉100は、広帯域で大きな減衰量を得ることができる。複数種類の電磁波吸収部材を用いても、部材の厚さを揃えることにより、扉本体1と扉枠体2の隙間は均一になり、電磁波吸収特性は安定する。
【0038】
実施の形態6.
図14はこの発明の実施の形態6によるシールド扉100の構成を示す断面図である。
電磁波吸収部材7cは、電磁波吸収部材7aよりも扉枠体2の内部側に配置され、電磁波吸収部材7dは、電磁波吸収部材7bよりも扉本体1の内部側に配置されている。電磁波吸収部材7aと電磁波吸収部材7cは、扉枠体2の側面部10aを囲み、弾性導電部材3と金属板5aの間に配設されている。扉枠体2の側面部10aに接して電磁波吸収部材7cが配設され、その上層に電磁波吸収部材7aが配設されている。電磁波吸収部材7bと電磁波吸収部材7dは、扉本体1の側面部10bを囲み、弾性導電部材4と金属板6aの間に配設されている。扉本体1の側面部10bに接して電磁波吸収部材7dが配設され、その上層に電磁波吸収部材7bが配設されている。
【0039】
図15は異なる材料に関して電磁波吸収特性を比較して示す図である。実線51は電磁波吸収部材7c、7dの電磁波吸収量を示している。実線52は電磁波吸収部材7a、7bの電磁波吸収量を示している。電磁波吸収部材7c、7dが最もよく電磁波を吸収する周波数帯域は、電磁波吸収部材7a、7bが電磁波を最もよく吸収する周波数帯域よりも低く設定されている。
【0040】
電磁波は、周波数が高くなるほど表皮深さが浅くなるため、周波数が高い領域では材料の表面しか侵入しないのに対し、周波数が低い領域では材料の奥深くまで侵入する。図16は電磁波吸収部材の厚さと電磁波吸収量の関係を示している。実線61は電磁波の周波数が高いときの電磁波吸収量を示している。実線62は電磁波の周波数が低いときの電磁波吸収量を示している。電磁波の周波数が低いと電磁波吸収部材の厚さが厚いほど吸収量は増加するが、電磁波の周波数が高くなると電磁波吸収部材の厚さが厚くなっても吸収量はさほど増加しない。
【0041】
電磁波を吸収する周波数帯域の異なる電磁波吸収部材を用いる場合、隙間側に電磁波吸収帯域の高い材料を配設し、側面部の奥行き側に電磁波吸収帯域の低い材料を配設することにより、広帯域で大きな減衰量を得ることができる。電磁波吸収部材の厚さは、電磁波の周波数が低くなるほど所定の減衰量を得るために厚くする。このため、電磁波吸収部材7c、7dの厚さを、それぞれ、電磁波吸収部材7a、7bの厚さより厚くしている。このような構成にすることにより、数十MHzから数十GHzまでの広い周波数範囲にて良好なシールド性能を有するシールド扉を得ることができる。2種類の電磁波吸収部材を積層しているため、電磁波吸収部材のトータルの厚さ薄くすることができ、扉の厚さが薄くなる。2種類以上の多数の電磁波吸収部材を用いても、同様の効果を得ることができることは言うまでもない。
【0042】
実施の形態7.
図17はこの発明の実施の形態7によるシールド扉100の構成を示す断面図である。電磁波の周波数が低くなると所定の減衰量を得るための電磁波吸収部材の厚さを厚くする必要がある。このとき扉枠体側の電磁波吸収部材7cの厚みと扉本体側の電磁波吸収部材7dの厚みを合わせたトータルの厚さによって電磁波減衰量が決まるため、必ずしも両者の厚さを同じにする必要はない。実施の形態7で示したシールド扉においては、扉枠体側の電磁波吸収部材7cの厚さを扉本体側の電磁波吸収部材7dの厚さより厚くしている。
【0043】
このような構成にすることにより、数十MHzから数十GHzまでの広い周波数範囲にて良好なシールド性能を有するシールド性能を得ることができる。また、扉本体側の電磁波吸収部材の厚さを薄くできるため、扉本体を軽くでき、扉開閉時の操作性が向上すると共に、扉本体を支える丁番20を小型化できる。
【0044】
実施の形態8.
図18はこの発明の実施の形態8によるシールド扉100の構成を示す断面図である。電磁波吸収部材7aと電磁波吸収部材7cの間に膜状の仕切り金属板31aを設けている
。電磁波吸収部材7bと電磁波吸収部材7dの間に膜状の仕切り金属板31bを設けている。仕切り金属板31aの厚さは、電磁波吸収部材7aが減衰させる周波数帯域の電磁波を反射し、電磁波吸収部材7cが減衰させる周波数帯域の電磁波を透過させる厚さとする。仕切り金属板31bの厚さは、電磁波吸収部材7bが減衰させる周波数帯域の電磁波を反射し、電磁波吸収部材7dが減衰させる周波数帯域の電磁波を透過させる厚さとする。
【0045】
このような構成にすることにより電磁波吸収部材7a、7bが減衰させる周波数帯域において、電界方向を電磁波吸収部材に直交させることができるようになる。高い周波数でのシールド量の低下は防止できる。電磁波吸収部材7c、7dが減衰させる周波数帯域の電磁波は金属膜を透過するために、この周波数帯域でのシールド量が低下することはない。
【0046】
実施の形態9.
図19はこの発明の実施の形態9によるシールド扉100への電磁波吸収部材の取り付け方法を示す断面図である。電磁波吸収部材7aと電磁波吸収部材7bは断面が山型形状に加工されている。押さえ板81は電磁波吸収部材7aと電磁波吸収部材7bの段差部に取り付ける。このような構成にすることにより、押さえ板81の厚みによって電磁波吸収部材7aと電磁波吸収部材7bの間の隙間を広げることなく電磁波吸収部材7a、7bをシールド扉100に取り付けることができる。押さえ板81はポリカーボネイトなどの樹脂材料が望ましい。電磁波吸収部材7の段差部と押さえ板81がかみ合うことにより、電磁波吸収部材7が扉本体1や扉枠体2に確実に固定される。押さえ板81は、扉開閉に伴う振動によって電磁波吸収部材7が割れたり欠けたりすることを防止する。
【0047】
実施の形態10.
図20はこの発明の実施の形態10によるシールド扉100の構成を示す断面図である。実施の形態1から9では、電磁波吸収部材7aが弾性導電部材3と金属板5aの間にある例について説明した。実施の形態10では、弾性導電部材3は扉枠体2の室内側に、弾性導電部材4は扉枠体2の室外側に、それぞれ取り付けられている。電磁波吸収部材7aは、扉枠体2の側面部10aを囲み、弾性導電部材3と弾性導電部材4の間に配設されている。金属板6aは扉本体1の室内側に取り付けられている。金属板6bは扉本体1の室外側に取り付けられている。電磁波吸収部材7bは扉本体1の側面部10bを囲み、金属板6aと金属板6bの間に配設されている。弾性導電部材3と金属板6a、および弾性導電部材4と金属板6bによって、扉枠体2の金属部と扉本体1の金属部は電気的に接続されている。
【0048】
このような構成にすることにより、実施の形態1の場合と同じように、扉枠体と扉本体の間の隙間から漏洩する電磁波は、導電接触部間で多重反射される。漏洩する電磁波が大きく減衰するため、電磁波吸収部材の幅を短くしても優れたシールド性能を得ることができる。電磁波吸収部材7a、7bの幅を短くできるので、扉の厚さ方向に電磁波吸収部材を配置することができ、扉の開口部が狭くならない。また、扉隙間を伝搬する電磁波の電界方向を電磁波吸収部材に直交させることができるようになるため、シールド性能を更に向上させることができる。また、図21に示すように扉枠側に金属板5aと金属板5bを、扉本体側に弾性導電部材3と弾性導電部材4を取り付けても同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0049】
実施の形態11.
図22はこの発明の実施の形態11によるシールド扉100の構成を示す断面図である。扉本体1は室外側に設けられた外周縁1aを備えている。扉枠体2は室内側に設けられた内周縁2aを備えている。電磁波吸収部材7aは内周縁2aの室外側面に固定されている。電磁波吸収部材7bは外周縁1aの室内側面に固定されている。電磁波吸収部材7a
は扉枠体2を囲み、弾性導電部材3と4の間に配設されている。電磁波吸収部材7bは、扉本体1を囲み、金属板6aと金属板6bの間に配設されている。電磁波吸収部材7aと電磁波吸収部材7bはくし型形状とし、電磁波伝搬経路を迷路状にしている。
【0050】
このような構成にすることにより、電磁波伝搬経路を長く取ることができ、大きなシールド性能を有するシールド扉を得ることができるという効果を有する。外周縁1aと内周縁2aに電磁波吸収体を配設しているため、扉厚さが厚くならない。また、扉枠体に弾性導電部材と金属板を取り付け、電磁波吸収部材を扉枠体の弾性導電部材と金属板の間に配設し、扉本体に弾性導電部材と金属板を取り付け、電磁波吸収部材を扉本体の弾性導電部材と金属板の間に配設しても同様の効果が得られる。
【0051】
実施の形態12.
図23はこの発明の実施の形態12によるシールド扉100の構成を示す断面図である。実施の形態11と同様に、電磁波吸収部材7aと電磁波吸収部材7bをくし型形状としている。電磁波吸収部材7aのくし歯に仕切り金属板31aを挿入している。電磁波吸収部材7bの間に仕切り金属板31bを挿入している。このような構成にすることにより隙間を伝搬する電磁波の電界が電磁波吸収部材に直交させることができるため、数十MHzから数十GHzまでの広い周波数範囲にて良好なシールド性能を有するシールド扉を得ることができる。
【0052】
実施の形態13.
図24はこの発明の実施の形態13によるシールド扉100の電磁波吸収部材の配置を示す図である。扉本体1の周囲に配設された電磁波吸収部材7b、7d、23bのうち、床側部71の厚さを他の部分(天井側部74bおよび縦方向連結部74a、74c)の厚さより厚くしている。同様に、扉枠体2の周囲に配設された電磁波吸収部材7a、7c、23aのうち、床側部73の厚さを他の部分(天井側部72bおよび縦方向連結部72a、72c)の厚さより薄くしている。
【0053】
このような構成にすることにより、数十MHzから数十GHzまでの広い周波数範囲にて良好なシールド性能を有するシールド性能を得ることができる。また、扉枠体2の下部の高さを低くすることができ、扉下部と床面との間にできる段差が小さくなる。
【符号の説明】
【0054】
1 扉本体、2 扉枠体、3 弾性導電部材、4 弾性導電部材、5 金属板、6 金属板、7 電磁波吸収部材、8 電磁波伝搬経路、9 隙間、10 側面部、11 進行方向、12 電界方向、13 磁界方向、14 角度、20 丁番、23 電磁波吸収部材、31 仕切り金属板、71 床側部、72a 縦方向連結部、72b 天井側部、72c 縦方向連結部、73 床側部、74a 縦方向連結部、74b 天井側部、74c
縦方向連結部、100 シールド扉
【技術分野】
【0001】
この発明は電磁波シールド扉に関し、特にシールド性能の向上を目的とした扉本体と扉枠体の構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電磁波シールド扉は、扉を閉めた状態で、建物の扉から漏れる電磁波をシールドする。扉本体と扉枠体の間の隙間から電磁波が侵入したり漏洩したりするのを防止するために、扉本体と扉枠体の間は導電接続されている。扉を閉めるときに必要となる加圧力を低減したり高周波でのシールド性能を向上させたりするために、電磁波吸収機構を導電接触部に併設した電磁波シールド扉も考案されている。
【0003】
一般に電磁波シールド扉では、電磁波の周波数が高くなると共にシールド性能が低下する。特に1GHz以上の周波数では、シールド性能が急激に低下する。導電接触部の接触抵抗をできるだけ小さくするため、扉本体と扉枠体の隙間全体に導電接触部を設けると共に扉を閉じる時の加圧力を大きくすることが行なわれている。このような扉では、大きな加圧力を得るために、ロック機構が必要になったり、扉の開閉力が大きくなったりして、扉開閉時の操作性が低下する。
【0004】
この点を解決するために、特許文献1では、導電接触部に電磁波吸収機構を併設している。シールド性能は向上しているが、電磁波吸収機構として用いられる電磁波吸収材料による電磁波の減衰量は少ないため、十分なシールド量を得るには吸収材料を長くする必要がある。この文献に開示される構造では吸収材料を扉の厚み方向に設置することができないので、電磁波吸収機構は扉面と室内の壁との間に設置する必要がある。こうすると扉面の大きさに比べて扉開口部の大きさが狭くなる。
【0005】
特許文献2では、電磁波シールド窓に対して、2つの電磁波遮蔽物と、その間の空間の側面に設けられた電磁波吸収材料の作用による多重反射を利用してシールド性能を向上させている。電磁波シールド窓には開閉機構が無く、広い透光面から侵入する電磁波をシールドする。この方法は、開閉機構を有する扉構造や扉本体と扉枠体の狭い隙間にはそのまま適用できない。
【0006】
特許文献3では、2箇所に導電接触部を設けてシールド性能を向上させている。この場合、電磁波吸収材料を用いていないので、電磁波の周波数が高くなるとシールド性能が低下する。また、2箇所に導電接触部を設けているため、扉を閉じる時の加圧力が大きくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−111269号公報
【特許文献2】特開2002−118391号公報
【特許文献3】特開2008−034538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、電磁波シールド扉のシールド性能と操作性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係る電磁波シールド扉は、金属でシールドされている扉枠体と、金属でシールドされ扉枠体から片開きする扉本体とを備えている。扉枠体は、室内側側面部を囲む第1の弾性導電部材と、室外側側面部を囲む第1の金属部材と、側面部を囲み第1の弾性導電部材と第1の金属部材の間に配設されている第1の電磁波吸収部材とを有している。扉本体は、室内側側面部を囲み第1の弾性導電部材と接触する第2の金属部材と、室外側側面部を囲み第1の金属部材と接触する第2の弾性導電部材と、側面部を囲み第2の弾性導電部材と第2の金属部材の間に配設されている第2の電磁波吸収部材とを有している。
【発明の効果】
【0010】
この発明に係る電磁波シールド扉は、電磁波の周波数が高くなっても、扉開閉時の操作性を維持しながら、良好なシールド性能を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施の形態1によるシールド扉の構成を示す断面図である。
【図2】実施の形態1によるシールド扉の開状態を示す断面図である。
【図3】実施の形態1によるシールド扉の詳細構成を示す断面図である。
【図4】導電接触部を有するシールド扉のシールド量を求める図である。
【図5】電磁波吸収部材を有するシールド扉のシールド量を求める図である。
【図6】隙間における電磁波の電界方向と磁界方向を示す断面図である。
【図7】シールド扉のシールド量と隙間の寸法関係を示す図である。
【図8】実施の形態2によるシールド扉の構成を示す断面図である。
【図9】実施の形態2によるシールド扉の開状態を示す断面図である。
【図10】実施の形態3によるシールド扉の構成を示す断面図である。
【図11】実施の形態3によるシールド扉の開状態を示す断面図である。
【図12】実施の形態4によるシールド扉の構成を示す断面図である。
【図13】実施の形態5によるシールド扉の構成を示す断面図である。
【図14】実施の形態6によるシールド扉の構成を示す断面図である。
【図15】シールド扉に用いる電磁波吸収部材の電磁波吸収量の周波数特性を示す図である。
【図16】シールド扉に用いる電磁波吸収部材の電磁波吸収量と電磁波吸収部材の厚みの関係を示す図である。
【図17】実施の形態7によるシールド扉の構成を示す断面図である。
【図18】実施の形態8によるシールド扉の構成を示す断面図である。
【図19】実施の形態9によるシールド扉の構成を示す断面図である。
【図20】実施の形態10によるシールド扉の構成を示す断面図である。
【図21】実施の形態10によるシールド扉の別の構成を示す断面図である。
【図22】実施の形態11によるシールド扉の構成を示す断面図である。
【図23】実施の形態12によるシールド扉の構成を示す断面図である。
【図24】実施の形態13によるシールド扉の電磁波吸収部材の配置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1によるシールド扉の構成を示す断面図である。シールド扉100は、金属板5でシールドされている扉枠体2と、金属板6でシールドされ扉枠体2に取り付けられている扉本体1とから構成される。丁番20は、室外側から見て扉本体1の右側端部に取り付けられている。丁番20によって扉本体1は扉枠体2から片開きする。扉本体1の厚さは40mmから70mm程度である。
【0013】
扉本体1の開閉は、丁番20を中心にして扉本体1を回転運動させることにより、矢印で表示される扉開閉方向に行なう。扉本体1と扉枠体2が干渉することなく開閉動作を行なうために、扉本体1と扉枠体2の間には、5mmから10mmの隙間9が必要である。隙間9は、電磁波が侵入したり漏洩したりする電磁波伝搬経路8となる。扉枠体2の側面部(内周面)10aと扉本体1の側面部(外周面)10bは、扉本体1の閉時に、対向する。
【0014】
図2は、シールド扉100が開いている状態を表している。弾性導電部材(第1の弾性導電部材)3は、扉枠体2の室内側に取り付けられていて、扉枠体2の側面部10aを囲んでいる。金属板(第2の金属部材)6aは扉本体1の室内側に取り付けられていて、扉本体1の側面部10bを囲んでいる。金属板6aは扉本体1の閉時に弾性導電部材3と接触し、かみ合うことで電磁波の漏洩を防ぐ。弾性導電部材(第2の弾性導電部材)4は扉本体1の室外側の側面部10bに取り付けられ、扉本体1の外周を囲んでいる。金属板(第1の金属部材)5aは、扉枠体2の室外側の側面部10aに設けられ、扉本体1の閉時に弾性導電部材4と接触し、かみ合う。金属板5に設けられた電磁波吸収部材(第1の電磁波吸収部材)7aは弾性導電部材3と金属板5aの間に配設されていて、扉枠体2の側面部10aを囲んでいる。金属板6に設けられた電磁波吸収部材(第1の電磁波吸収部材)7bは金属板6aと弾性導電部材4の間に配設されていて、扉本体1の側面部10bを囲んでいる。
【0015】
扉枠体2に設けた金属板5と扉本体1に設けた金属板6は、金属板5に設けた弾性導電部材3と金属板6に設けた弾性導電部材4によって電気的に接続されている。金属板5、6と弾性導電部材3、4で囲まれた空間(隙間9)が扉本体1の全周囲に形成されるため、電磁波は細長い隙間形状の空間を伝搬する。この隙間形状の空間において、弾性導電部材3と金属板6aの接触部から室内に電磁波が漏洩する。同様に金属板5aと弾性導電部材4の接触部から室外に電磁波が漏洩する。金属板の途中からは電磁波は室内外に漏洩しないため、電磁波が室内外に漏れるのは、2箇所の接触部のみとなる。
【0016】
実施の形態1では、電磁波吸収部材7a、7bの断面は矩形形状である。電磁波吸収部材7a、7bとして、磁性体材料や誘電体材料を用いることができる。電磁波は、磁性体損失や誘電体損失によって、隙間9を伝搬するうちに減衰する。特に、電磁波吸収部材7a、7bとして、磁性材料を用いた場合、1GHz以下の比較的低い周波数においても高いシールド効果を得ることができる。電磁波吸収部材7a、7bとして、フェライトなどの磁性体や炭素粉などを含む電波吸収体を用いても良い。この場合、1GHz以下の周波数においても高いシールド効果を得ることができる。
【0017】
弾性導電部材3、4は、弾性を有していて、金属板5a、6aを押し当てるとかみ合うことによって、電磁波の漏洩を防ぐことができる。弾性導電部材3、4には、伸縮性のある芯材を金属ワイヤや導電性繊維で被覆した導電性ガスケット、或は金属バネ形状のシールドフィンガーと呼ばれるガスケットが適している。この場合、扉本体1と扉枠体2の寸法公差によって多少の隙間が生じても、両者の電気的接続を確実に取ることができる。
【0018】
次にシールド扉100の動作を説明する。図3はシールド扉の片側の隙間の断面構造を示す図である。室外から室内に電磁波が侵入する場合の電磁波伝搬経路8の詳細を示したものである。室外から扉に達した電磁波は、弾性導電部材4と金属板5aの接触部を通り、扉本体1と扉枠体2の隙間9に侵入する。隙間9を電磁波が伝搬する間に、隙間9の両側に配置された電磁波吸収部材7a、7bによって電磁波は減衰する。電磁波が弾性導電部材3と金属板6aの接触部に到達すると、電磁波の一部は室内に漏れるが、大部分の電磁波は反射して隙間9の内部を逆方向に伝搬する。
【0019】
このとき電磁波吸収部材7a、7bによって電磁波は減衰する。電磁波が弾性導電部材4と金属板5aの接触部に到達すると、電磁波の一部は室外へ戻るが、大部分は反射して隙間9を最初と同一方向に伝搬する。このとき電磁波吸収部材7a、7bによって電磁波は減衰する。電磁波が再び弾性導電部材3と金属板6aの接触部に到達すると、電磁波の一部は室内に漏れるが、大部分の電磁波は反射して隙間9を逆方向に伝搬する。図中には2回の反射しか記載していないが、実際は2つの導電接触部の間を何度も多重反射しながら電磁波が伝搬するため、電磁波吸収部材7a、7bよる減衰は非常に大きくなる。室内から室外に電磁波が漏洩する場合は電磁波の伝搬方向が逆になる。
【0020】
次にシールド扉100のシールド量を説明する。図4は電磁波吸収部材がないときのシールド量を求める図である。ここではシールド扉100における2箇所の導電接触部A、Bでの多重反射のみを考慮してシールド量を求めている。導電接触部Aは弾性導電部材4と金属板5aを象徴している。導電接触部Bは弾性導電部材3と金属板6aを象徴している。導電接触部Aと導電接触部Bのシールド量を40dBと仮定する。このとき入射波の1/100が導電接触部を透過することになる。室外からの入射波の振幅を10,000とすると、導電接触部Aでは、透過波の振幅は100(=10000×1/100)、反射波の振幅は9900(=10000−100)となる。振幅100の透過波が隙間内に侵入するため、導電接触部Bでの入射波は振幅100となり、透過波は振幅1、反射波は振幅99となる。
【0021】
導電接触部Bでの反射波は導電接触部Aに到達し、透過波は0.99、反射波は98となる。この反射波は導電接触部Bに到達し、透過波は0.98、反射は97となる。以下同様に導電接触部Aと導電接触部Bの間を多重反射しながら減衰してゼロになる。全体のシールド量は多重反射時のトータルの透過波によって決まる。最初に導電接触部Bで反射した電磁波(振幅99)の半分ずつが室外側と室内側を透過するため、導電接触部Bを透過して室内に侵入する電磁波はトータルで振幅50.5(=99/2+1)となる。このときのシールド量は46dBになる。このように電磁波の反射でシールドをおこなっている導電接触部を多段にしても、シールド量は単純加算の80dBにならない。
【0022】
図5は電磁波吸収部材が有るときのシールド量を求める図である。導電接触部Aと導電接触部Bのシールド量を40dB、電磁波吸収部材7による電磁波の減衰を20dBと仮定する。このとき、電磁波は隙間9を伝搬中に振幅が1/10に減衰する。室外からの入射波の振幅を10,000とする。導電接触部Aでの透過波の振幅は100となる。透過波は隙間内の電磁波吸収部材7で減衰し、導電接触部Bに到達すると振幅は10になる。導電接触部Bでの透過波の振幅は0.1である。導電接触部Bでの反射波は9.9となり、導電接触部Aに到達すると振幅は0.99に減衰する。導電接触部Aで反射して導電接触部Bに到達すると振幅は0.098に減衰する。導電接触部Bでの透過波の振幅は0.00098である。
【0023】
このように電磁波は電磁波吸収部材で減衰しながら多重反射を繰り返す。1往復することにより到達波の振幅は元の1/00(往復分)に減衰する。このため、3回目以降の到達波を考慮する必要は無い。従って、トータルの透過波の振幅は、9.8/10000+0.1=0.10098となる。すなわち2重ガスケット(導電接触部A、B)と電磁波吸収体を組み合わせた系のシールド量は―99.9dBとなる。この値は、単純加算した100dB(=40dB+40dB+20dB)と等しい。このように、2箇所の導電接触部の間に電磁波吸収部材を配置することにより、シールド量は46dBから100dBと非常に大きくなる。電磁波吸収部材の両側に導電接触部を設ける構造にすることにより、所定のシールド量を得るために電磁波吸収体の長さを非常に短くすることができる。
【0024】
次に隙間9を伝搬する電磁波の電磁波吸収部材による減衰について説明する。図6は隙
間9を伝搬する電磁波の電界と磁界の方向を示している。隙間9を伝搬する電磁波の進行方向11に対し、電界方向12は金属板5a、6aにほぼ垂直になる。磁界方向13は電磁波吸収部材7a、7bにほぼ平行となる。角度14は金属板5、6の法線と電界方向12のなす角度を指す。電界方向12が電磁波吸収部材7と直交すると大きな減衰量が得られる。角度14が大きくなると減衰量が低下して、所定のシールド量を得るために必要な電磁波吸収部材の長さが長くなる。
【0025】
金属板に挟まれた隙間9を伝搬する電磁波は、隙間9の長さAと隙間9の間隔Bに関係する。比率A/Bが大きいほど、電界方向12は金属板に垂直に近くなり、シールド量が大きくなる。図7に比率A/Bとシールド量の関係を示す。実線18は、金属板5、6が導電接触部で電気的に接続されている場合である。比率A/B>1となると角度14がほとんどゼロになるため、電磁波吸収部材による減衰量が大きくなり大きなシールド量を得ることができる。一方、比率A/B<1では、角度14が大きくなり、電磁波吸収部材の減衰効果がほとんど現れずに、シールド量は小さい。
【0026】
通常のシールド扉では、隙間9の長さAに相当する扉厚さは60mm程度であるのに対し、扉枠体と扉本体の隙間Bは6mm程度である。比率A/B=10となり、大きなシールド量を得ることができ、必要なシールド量を得るための電磁波吸収部材の長さを非常に短くすることができる。これに対して、特許文献2に示した窓枠では、隙間の長さAに相当する窓厚さは10mm程度なのに対し、隙間に相当する窓幅は100mm程度である。この場合、比率A/Bは0.01となり、大きなシールド量を得ることはできない。
【0027】
図7の実線19は、金属板5、6が導電接触部A、Bで電気的に接続されていない場合である。この場合、金属板5と金属板6の高周波的な電位が異なるため、角度14が大きくなる。電磁波吸収部材の減衰効果がほとんど現れずに、シールド量は小さくなる。文献2に示した窓枠では、電磁波遮蔽層と窓枠の間に電磁波吸収部材がある。2つの電磁波遮蔽層間の電気的導通が取れないため、大きなシールド効果を得ることはできない。
【0028】
以上から、この発明によれば、扉枠体と扉本体の間の隙間を漏洩する電磁波を、導電接触部間の多重反射を利用して大きく減衰させることができ、電磁波吸収部材の長さを短くしても優れたシールド性能を得ることができる。電磁波吸収部材を短くできるので、扉の厚さ方向に電磁波吸収部材を配置することができ、扉の開口部が狭くならないという効果を有する。また、扉隙間を伝搬する電磁波の電界方向を電磁波吸収部材に直交させることができるようなるため、シールド性能を更に向上させることができる。
【0029】
実施の形態2.
図8はこの発明の実施の形態2によるシールド扉100の構成を示す断面図である。図中に示す形態は、扉本体1と扉枠体2の角部に電磁波吸収部材を配置した構成である。図9は実施の形態2によるシールド扉の開状態を示している。電磁波吸収部材7a、7bは断面が山型形状を呈している。
【0030】
このような構成にすることにより、扉開口部の面積をあまり減少させずに扉厚さを薄くすることができる。また扉本体や扉枠体の角部に合わせて電磁波吸収部材を取り付ければよいので、取り付け精度を向上させることができ、扉隙間の管理を容易に行なうことができるようになる。
【0031】
実施の形態3.
図10はこの発明の実施の形態3によるシールド扉100の構成を示す断面図である。図中に示す形態は、導電接触部と電磁波吸収部材を多段にした構成である。図11は実施の形態3によるシールド扉の開状態を示している。
【0032】
電磁波吸収部材23a(第3の電磁波吸収部材)は、扉枠体2の側面部10aを囲み、弾性導電部材3(第1の弾性導電部材)と金属板5a(第1の金属部材)の間であって、電磁波吸収部材7a(第1の電磁波吸収部材)よりも金属板5a側に配設されている。電磁波吸収部材23b(第4の電磁波吸収部材)は、扉本体1の側面部10bを囲み、弾性導電部材4(第2の弾性導電部材)と金属板6a(第2の金属部材)の間であって、電磁波吸収部材7b(第2の電磁波吸収部材)よりも弾性導電部材4側に配設されている。
【0033】
金属板5に設けられた弾性導電部材22(第3の弾性導電部材)は、電磁波吸収部材7aと電磁波吸収部材23aの間に配設されていて、扉枠体2の側面部10aを囲んでいる。金属板6に設けられた金属板6b(第3の金属部材)は、電磁波吸収部材7bと電磁波吸収部材23bの間に配設されていて、扉本体1の側面部10bを囲んでいる。弾性導電部材22と金属板6bは、扉本体1の閉時に、接触しかみ合うことで、電磁波の漏洩を防ぐ。
【0034】
このような構成にすることにより、広帯域で大きな減衰量を得ることができるシールド扉を得ることができる。また、このような構成にすることにより、特性の異なる電磁波吸収部材を用いることができるようになる。電磁波吸収部材が減衰させる電磁波の周波数が異なる材料を用いることにより、広帯域で大きな減衰量を得ることのできるシールド扉とすることができる。中央の弾性導電部材22は、無くても同様の効果を有することは言うまでもない。
【0035】
実施の形態4.
図12はこの発明の実施の形態4によるシールド扉100の構成を示す断面図である。実施の形態1から3では、扉枠体の扉側側面部および扉本体の側面部の両側に電磁波吸収部材を配置した場合について説明したが、どちらか片方に電磁波吸収部材を配置しても同様の効果が得られる。図では、電磁波吸収部材7を扉枠体2の扉側側面部に設けた場合を示している。この場合、電磁波吸収部材の使用量を減らして扉の重さを軽くすることができるという効果を有する。
【0036】
実施の形態5.
図13はこの発明の実施の形態5によるシールド扉100の構成を示す断面図である。電磁波吸収部材7a(第1の構成部材)と電磁波吸収部材7c(第2の構成部材)は、扉枠体2の厚さ方向に並んで積み重ねられている。電磁波吸収部材7b(第3の構成部材)と電磁波吸収部材7d(第4の構成部材)は、扉本体1の厚さ方向に並んで積み重ねられている。電磁波吸収部材7aと電磁波吸収部材7cは、扉枠体2の側面部10aを囲み、弾性導電部材3と金属板5aの間に配設されている。電磁波吸収部材7bと電磁波吸収部材7dは、扉本体1の側面部10bを囲み、弾性導電部材4と金属板6aの間に配設されている。
【0037】
電磁波吸収部材7aと電磁波吸収部材7cには、電磁波吸収特性の異なる電磁波吸収部材が用いられている。同様に、電磁波吸収部材7bと電磁波吸収部材7dには、電磁波吸収特性の異なる電磁波吸収部材が用いられている。電磁波吸収部材7a〜7dに、周波数
に対する電磁波吸収特性が異なる材料を用いることにより、シールド扉100は、広帯域で大きな減衰量を得ることができる。複数種類の電磁波吸収部材を用いても、部材の厚さを揃えることにより、扉本体1と扉枠体2の隙間は均一になり、電磁波吸収特性は安定する。
【0038】
実施の形態6.
図14はこの発明の実施の形態6によるシールド扉100の構成を示す断面図である。
電磁波吸収部材7cは、電磁波吸収部材7aよりも扉枠体2の内部側に配置され、電磁波吸収部材7dは、電磁波吸収部材7bよりも扉本体1の内部側に配置されている。電磁波吸収部材7aと電磁波吸収部材7cは、扉枠体2の側面部10aを囲み、弾性導電部材3と金属板5aの間に配設されている。扉枠体2の側面部10aに接して電磁波吸収部材7cが配設され、その上層に電磁波吸収部材7aが配設されている。電磁波吸収部材7bと電磁波吸収部材7dは、扉本体1の側面部10bを囲み、弾性導電部材4と金属板6aの間に配設されている。扉本体1の側面部10bに接して電磁波吸収部材7dが配設され、その上層に電磁波吸収部材7bが配設されている。
【0039】
図15は異なる材料に関して電磁波吸収特性を比較して示す図である。実線51は電磁波吸収部材7c、7dの電磁波吸収量を示している。実線52は電磁波吸収部材7a、7bの電磁波吸収量を示している。電磁波吸収部材7c、7dが最もよく電磁波を吸収する周波数帯域は、電磁波吸収部材7a、7bが電磁波を最もよく吸収する周波数帯域よりも低く設定されている。
【0040】
電磁波は、周波数が高くなるほど表皮深さが浅くなるため、周波数が高い領域では材料の表面しか侵入しないのに対し、周波数が低い領域では材料の奥深くまで侵入する。図16は電磁波吸収部材の厚さと電磁波吸収量の関係を示している。実線61は電磁波の周波数が高いときの電磁波吸収量を示している。実線62は電磁波の周波数が低いときの電磁波吸収量を示している。電磁波の周波数が低いと電磁波吸収部材の厚さが厚いほど吸収量は増加するが、電磁波の周波数が高くなると電磁波吸収部材の厚さが厚くなっても吸収量はさほど増加しない。
【0041】
電磁波を吸収する周波数帯域の異なる電磁波吸収部材を用いる場合、隙間側に電磁波吸収帯域の高い材料を配設し、側面部の奥行き側に電磁波吸収帯域の低い材料を配設することにより、広帯域で大きな減衰量を得ることができる。電磁波吸収部材の厚さは、電磁波の周波数が低くなるほど所定の減衰量を得るために厚くする。このため、電磁波吸収部材7c、7dの厚さを、それぞれ、電磁波吸収部材7a、7bの厚さより厚くしている。このような構成にすることにより、数十MHzから数十GHzまでの広い周波数範囲にて良好なシールド性能を有するシールド扉を得ることができる。2種類の電磁波吸収部材を積層しているため、電磁波吸収部材のトータルの厚さ薄くすることができ、扉の厚さが薄くなる。2種類以上の多数の電磁波吸収部材を用いても、同様の効果を得ることができることは言うまでもない。
【0042】
実施の形態7.
図17はこの発明の実施の形態7によるシールド扉100の構成を示す断面図である。電磁波の周波数が低くなると所定の減衰量を得るための電磁波吸収部材の厚さを厚くする必要がある。このとき扉枠体側の電磁波吸収部材7cの厚みと扉本体側の電磁波吸収部材7dの厚みを合わせたトータルの厚さによって電磁波減衰量が決まるため、必ずしも両者の厚さを同じにする必要はない。実施の形態7で示したシールド扉においては、扉枠体側の電磁波吸収部材7cの厚さを扉本体側の電磁波吸収部材7dの厚さより厚くしている。
【0043】
このような構成にすることにより、数十MHzから数十GHzまでの広い周波数範囲にて良好なシールド性能を有するシールド性能を得ることができる。また、扉本体側の電磁波吸収部材の厚さを薄くできるため、扉本体を軽くでき、扉開閉時の操作性が向上すると共に、扉本体を支える丁番20を小型化できる。
【0044】
実施の形態8.
図18はこの発明の実施の形態8によるシールド扉100の構成を示す断面図である。電磁波吸収部材7aと電磁波吸収部材7cの間に膜状の仕切り金属板31aを設けている
。電磁波吸収部材7bと電磁波吸収部材7dの間に膜状の仕切り金属板31bを設けている。仕切り金属板31aの厚さは、電磁波吸収部材7aが減衰させる周波数帯域の電磁波を反射し、電磁波吸収部材7cが減衰させる周波数帯域の電磁波を透過させる厚さとする。仕切り金属板31bの厚さは、電磁波吸収部材7bが減衰させる周波数帯域の電磁波を反射し、電磁波吸収部材7dが減衰させる周波数帯域の電磁波を透過させる厚さとする。
【0045】
このような構成にすることにより電磁波吸収部材7a、7bが減衰させる周波数帯域において、電界方向を電磁波吸収部材に直交させることができるようになる。高い周波数でのシールド量の低下は防止できる。電磁波吸収部材7c、7dが減衰させる周波数帯域の電磁波は金属膜を透過するために、この周波数帯域でのシールド量が低下することはない。
【0046】
実施の形態9.
図19はこの発明の実施の形態9によるシールド扉100への電磁波吸収部材の取り付け方法を示す断面図である。電磁波吸収部材7aと電磁波吸収部材7bは断面が山型形状に加工されている。押さえ板81は電磁波吸収部材7aと電磁波吸収部材7bの段差部に取り付ける。このような構成にすることにより、押さえ板81の厚みによって電磁波吸収部材7aと電磁波吸収部材7bの間の隙間を広げることなく電磁波吸収部材7a、7bをシールド扉100に取り付けることができる。押さえ板81はポリカーボネイトなどの樹脂材料が望ましい。電磁波吸収部材7の段差部と押さえ板81がかみ合うことにより、電磁波吸収部材7が扉本体1や扉枠体2に確実に固定される。押さえ板81は、扉開閉に伴う振動によって電磁波吸収部材7が割れたり欠けたりすることを防止する。
【0047】
実施の形態10.
図20はこの発明の実施の形態10によるシールド扉100の構成を示す断面図である。実施の形態1から9では、電磁波吸収部材7aが弾性導電部材3と金属板5aの間にある例について説明した。実施の形態10では、弾性導電部材3は扉枠体2の室内側に、弾性導電部材4は扉枠体2の室外側に、それぞれ取り付けられている。電磁波吸収部材7aは、扉枠体2の側面部10aを囲み、弾性導電部材3と弾性導電部材4の間に配設されている。金属板6aは扉本体1の室内側に取り付けられている。金属板6bは扉本体1の室外側に取り付けられている。電磁波吸収部材7bは扉本体1の側面部10bを囲み、金属板6aと金属板6bの間に配設されている。弾性導電部材3と金属板6a、および弾性導電部材4と金属板6bによって、扉枠体2の金属部と扉本体1の金属部は電気的に接続されている。
【0048】
このような構成にすることにより、実施の形態1の場合と同じように、扉枠体と扉本体の間の隙間から漏洩する電磁波は、導電接触部間で多重反射される。漏洩する電磁波が大きく減衰するため、電磁波吸収部材の幅を短くしても優れたシールド性能を得ることができる。電磁波吸収部材7a、7bの幅を短くできるので、扉の厚さ方向に電磁波吸収部材を配置することができ、扉の開口部が狭くならない。また、扉隙間を伝搬する電磁波の電界方向を電磁波吸収部材に直交させることができるようになるため、シールド性能を更に向上させることができる。また、図21に示すように扉枠側に金属板5aと金属板5bを、扉本体側に弾性導電部材3と弾性導電部材4を取り付けても同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0049】
実施の形態11.
図22はこの発明の実施の形態11によるシールド扉100の構成を示す断面図である。扉本体1は室外側に設けられた外周縁1aを備えている。扉枠体2は室内側に設けられた内周縁2aを備えている。電磁波吸収部材7aは内周縁2aの室外側面に固定されている。電磁波吸収部材7bは外周縁1aの室内側面に固定されている。電磁波吸収部材7a
は扉枠体2を囲み、弾性導電部材3と4の間に配設されている。電磁波吸収部材7bは、扉本体1を囲み、金属板6aと金属板6bの間に配設されている。電磁波吸収部材7aと電磁波吸収部材7bはくし型形状とし、電磁波伝搬経路を迷路状にしている。
【0050】
このような構成にすることにより、電磁波伝搬経路を長く取ることができ、大きなシールド性能を有するシールド扉を得ることができるという効果を有する。外周縁1aと内周縁2aに電磁波吸収体を配設しているため、扉厚さが厚くならない。また、扉枠体に弾性導電部材と金属板を取り付け、電磁波吸収部材を扉枠体の弾性導電部材と金属板の間に配設し、扉本体に弾性導電部材と金属板を取り付け、電磁波吸収部材を扉本体の弾性導電部材と金属板の間に配設しても同様の効果が得られる。
【0051】
実施の形態12.
図23はこの発明の実施の形態12によるシールド扉100の構成を示す断面図である。実施の形態11と同様に、電磁波吸収部材7aと電磁波吸収部材7bをくし型形状としている。電磁波吸収部材7aのくし歯に仕切り金属板31aを挿入している。電磁波吸収部材7bの間に仕切り金属板31bを挿入している。このような構成にすることにより隙間を伝搬する電磁波の電界が電磁波吸収部材に直交させることができるため、数十MHzから数十GHzまでの広い周波数範囲にて良好なシールド性能を有するシールド扉を得ることができる。
【0052】
実施の形態13.
図24はこの発明の実施の形態13によるシールド扉100の電磁波吸収部材の配置を示す図である。扉本体1の周囲に配設された電磁波吸収部材7b、7d、23bのうち、床側部71の厚さを他の部分(天井側部74bおよび縦方向連結部74a、74c)の厚さより厚くしている。同様に、扉枠体2の周囲に配設された電磁波吸収部材7a、7c、23aのうち、床側部73の厚さを他の部分(天井側部72bおよび縦方向連結部72a、72c)の厚さより薄くしている。
【0053】
このような構成にすることにより、数十MHzから数十GHzまでの広い周波数範囲にて良好なシールド性能を有するシールド性能を得ることができる。また、扉枠体2の下部の高さを低くすることができ、扉下部と床面との間にできる段差が小さくなる。
【符号の説明】
【0054】
1 扉本体、2 扉枠体、3 弾性導電部材、4 弾性導電部材、5 金属板、6 金属板、7 電磁波吸収部材、8 電磁波伝搬経路、9 隙間、10 側面部、11 進行方向、12 電界方向、13 磁界方向、14 角度、20 丁番、23 電磁波吸収部材、31 仕切り金属板、71 床側部、72a 縦方向連結部、72b 天井側部、72c 縦方向連結部、73 床側部、74a 縦方向連結部、74b 天井側部、74c
縦方向連結部、100 シールド扉
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属でシールドされている扉枠体と、金属でシールドされ前記扉枠体から片開きする扉本体とを備えている電磁波シールド扉において、
前記扉枠体は、室内側側面部を囲む第1の弾性導電部材と、室外側側面部を囲む第1の金属部材と、前記第1の弾性導電部材と前記第1の金属部材の間に配設され側面部を囲む第1の電磁波吸収部材とを有しており、
前記扉本体は、室内側側面部を囲み前記第1の弾性導電部材と接触する第2の金属部材と、室外側側面部を囲み前記第1の金属部材と接触する第2の弾性導電部材と、前記第2の弾性導電部材と前記第2の金属部材の間に配設され側面部を囲む第2の電磁波吸収部材とを有している電磁波シールド扉。
【請求項2】
前記第1の電磁波吸収部材および前記第2の電磁波吸収部材は断面が矩形形状であることを特徴とする請求項1に記載の電磁波シールド扉。
【請求項3】
前記第1の電磁波吸収部材および前記第2の電磁波吸収部材は断面が山型形状であることを特徴とする請求項1に記載の電磁波シールド扉。
【請求項4】
前記扉枠体の側面部を囲み前記第1の電磁波吸収部材と前記第1の金属部材の間に配設されている第3の電磁波吸収部材と、
前記扉本体の側面部を囲み前記第2の電磁波吸収部材と前記第2の弾性導電部材の間に配設されている第4の電磁波吸収部材とを
有していることを特徴とする請求項2に記載の電磁波シールド扉。
【請求項5】
前記第1の電磁波吸収部材と前記第3の電磁波吸収部材の間に配設され、前記扉枠体の側面部を囲む第3の弾性導電部材と、
前記第2の電磁波吸収部材と前記第4の電磁波吸収部材の間に配設され、前記扉本体の側面部を囲んでおり、前記第3の弾性導電部材と接触する第3の金属部材とを
有していることを特徴とする請求項4に記載の電磁波シールド扉。
【請求項6】
前記第3の電磁波吸収部材および前記第4の電磁波吸収部材は断面が矩形形状であることを特徴とする請求項4に記載の電磁波シールド扉。
【請求項7】
金属でシールドされている扉枠体と、金属でシールドされ前記扉枠体から片開きする扉本体とを備えている電磁波シールド扉において、
前記扉枠体の室内側側面部を囲む第1の弾性導電部材と、
前記扉枠体の室外側側面部を囲む第1の金属部材と、
前記扉本体の室内側側面部を囲み前記第1の弾性導電部材と接触する第2の金属部材と、前記扉本体の室外側側面部を囲み前記第1の金属部材と接触する第2の弾性導電部材と、前記扉枠体の側面部または前記扉本体の側面部を囲む電磁波吸収部材と
を有している電磁波シールド扉。
【請求項8】
前記扉本体と前記扉枠体の隙間の長さをAとし、前記扉本体と前記扉枠体の隙間の幅をBとすると、比率A/Bが1よりも大きいことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の電磁波シールド扉。
【請求項9】
前記電磁波吸収部材が磁性体材料を含むことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の電磁波シールド扉。
【請求項10】
前記第1の電磁波吸収部材は電磁波に対する吸収ピークの位置が異なる第1の構成部材
と第2の構成部材から構成され、前記第2の電磁波吸収部材は電磁波に対する吸収ピークの位置が異なる第3の構成部材と第4の構成部材から構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電磁波シールド扉。
【請求項11】
前記第1の構成部材の吸収ピークは前記第2の構成部材の吸収ピークよりも高周波側にシフトし、前記第3の構成部材の吸収ピークは前記第4の構成部材の吸収ピークよりも高周波側にシフトしていることを特徴とする請求項10に記載の電磁波シールド扉。
【請求項12】
前記第1の構成部材と前記第2の構成部材は前記扉枠体の厚さ方向に並列配置され、前記第3の構成部材と前記第4の構成部材は前記扉本体の厚さ方向に並列配置されていることを特徴とする請求項11に記載の電磁波シールド扉。
【請求項13】
前記第1の構成部材と前記第2の構成部材は前記扉枠体の側面部から前記扉枠体の内部側に向かう方向に積層され、前記第3の構成部材と前記第4の構成部材は前記扉本体の側面部から前記扉本体の内部側に向かう方向に積層されていることを特徴とする請求項11に記載の電磁波シールド扉。
【請求項14】
前記第2の構成部材は前記第1の構成部材よりも前記扉枠体の内部側に配置され、前記第4の構成部材は、前記第3の構成部材よりも前記扉本体の内部側に配置されていることを特徴とする請求項13に記載の電磁波シールド扉。
【請求項15】
前記第1の構成部材と前記第2の構成部材は金属膜で仕切られ、前記第3の構成部材と前記第4の構成部材は金属膜で仕切られていることを特徴とする請求項13に記載の電磁波シールド扉。
【請求項16】
前記第1の構成部材は前記第2の構成部材よりも薄いことを特徴とする請求項13に記載の電磁波シールド扉。
【請求項17】
前記第1の電磁波吸収部材は前記第2の電磁波吸収部材よりも厚いことを特徴とする請求項13に記載の電磁波シールド扉。
【請求項18】
前記第1の電磁波吸収部材は第1の押さえ板によって前記扉枠体に取り付けられ、前記第2の電磁波吸収部材は第2の押さえ板によって前記扉本体に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の電磁波シールド扉。
【請求項19】
金属でシールドされている扉枠体と、金属でシールドされ前記扉枠体から片開きする扉本体とを備えている電磁波シールド扉において、
前記扉枠体は、室内側側面部を囲む第1の弾性導電部材と、室外側側面部を囲む第2の弾性導電部材と、前記第1の弾性導電部材と前記第2の弾性導電部材の間に配設され側面部を囲む第1の電磁波吸収部材とを有しており、
前記扉本体は、室内側側面部を囲み前記第1の弾性導電部材と接触する第1の金属部材と、室外側側面部を囲み前記第2の弾性導電部材と接触する第2の金属部材と、前記第1の金属部材と前記第2の金属部材の間に配設され側面部を囲む第2の電磁波吸収部材とを有している電磁波シールド扉。
【請求項20】
金属でシールドされている扉枠体と、金属でシールドされ前記扉枠体から片開きする扉本体とを備えている電磁波シールド扉において、
前記扉枠体は、室内側側面部を囲む第1の金属部材と、室外側側面部を囲む第2の金属部材と、前記第1の金属部材と前記第2の金属部材の間に配設され側面部を囲む第1の電磁波吸収部材とを有しており、
前記扉本体は、室内側側面部を囲み前記第1の金属部材と接触する第1の弾性導電部材と、室外側側面部を囲み前記第2の金属部材と接触する第2の弾性導電部材と、前記第1の弾性導電部材と前記第2の弾性導電部材の間に配設され側面部を囲む第2の電磁波吸収部材とを有している電磁波シールド扉。
【請求項21】
金属でシールドされ内周を囲む内周縁が室内側側面部に設けられている扉枠体と、金属でシールドされ前記扉枠体から片開きし、かつ外周を囲む外周縁が室外側側面部に設けられている扉本体とを備えている電磁波シールド扉において、
前記扉枠体は、前記内周縁を囲み前記内周縁の室外側に配設された第1の電磁波吸収部材を有しており、
前記扉本体は、前記外周縁を囲み前記外周縁の室内側に配設された第2の電磁波吸収部材を有している電磁波シールド扉。
【請求項22】
前記第1の電磁波吸収部材と前記第2の電磁波吸収部材は、くし歯を有するくし型に形成され、扉本体の閉時に相互に噛合することを特徴とする請求項21に記載の電磁波シールド扉。
【請求項23】
前記第1の電磁波吸収部材と前記第2の電磁波吸収部材は、前記くし歯が金属膜で仕切られていることを特徴とする請求項22に記載の電磁波シールド扉。
【請求項24】
前記第1の電磁波吸収部材と前記第2の電磁波吸収部材は、床側部、天井側部、および縦方向部から構成され、前記第1の電磁波吸収部材は、前記床側部が前記天井側部および前記縦方向部よりも薄く、前記第2の電磁波吸収部材は、前記床側部が前記天井側部および前記縦方向部よりも厚いことを特徴とする請求項1から23のいずれか1項に記載の電磁波シールド扉。
【請求項1】
金属でシールドされている扉枠体と、金属でシールドされ前記扉枠体から片開きする扉本体とを備えている電磁波シールド扉において、
前記扉枠体は、室内側側面部を囲む第1の弾性導電部材と、室外側側面部を囲む第1の金属部材と、前記第1の弾性導電部材と前記第1の金属部材の間に配設され側面部を囲む第1の電磁波吸収部材とを有しており、
前記扉本体は、室内側側面部を囲み前記第1の弾性導電部材と接触する第2の金属部材と、室外側側面部を囲み前記第1の金属部材と接触する第2の弾性導電部材と、前記第2の弾性導電部材と前記第2の金属部材の間に配設され側面部を囲む第2の電磁波吸収部材とを有している電磁波シールド扉。
【請求項2】
前記第1の電磁波吸収部材および前記第2の電磁波吸収部材は断面が矩形形状であることを特徴とする請求項1に記載の電磁波シールド扉。
【請求項3】
前記第1の電磁波吸収部材および前記第2の電磁波吸収部材は断面が山型形状であることを特徴とする請求項1に記載の電磁波シールド扉。
【請求項4】
前記扉枠体の側面部を囲み前記第1の電磁波吸収部材と前記第1の金属部材の間に配設されている第3の電磁波吸収部材と、
前記扉本体の側面部を囲み前記第2の電磁波吸収部材と前記第2の弾性導電部材の間に配設されている第4の電磁波吸収部材とを
有していることを特徴とする請求項2に記載の電磁波シールド扉。
【請求項5】
前記第1の電磁波吸収部材と前記第3の電磁波吸収部材の間に配設され、前記扉枠体の側面部を囲む第3の弾性導電部材と、
前記第2の電磁波吸収部材と前記第4の電磁波吸収部材の間に配設され、前記扉本体の側面部を囲んでおり、前記第3の弾性導電部材と接触する第3の金属部材とを
有していることを特徴とする請求項4に記載の電磁波シールド扉。
【請求項6】
前記第3の電磁波吸収部材および前記第4の電磁波吸収部材は断面が矩形形状であることを特徴とする請求項4に記載の電磁波シールド扉。
【請求項7】
金属でシールドされている扉枠体と、金属でシールドされ前記扉枠体から片開きする扉本体とを備えている電磁波シールド扉において、
前記扉枠体の室内側側面部を囲む第1の弾性導電部材と、
前記扉枠体の室外側側面部を囲む第1の金属部材と、
前記扉本体の室内側側面部を囲み前記第1の弾性導電部材と接触する第2の金属部材と、前記扉本体の室外側側面部を囲み前記第1の金属部材と接触する第2の弾性導電部材と、前記扉枠体の側面部または前記扉本体の側面部を囲む電磁波吸収部材と
を有している電磁波シールド扉。
【請求項8】
前記扉本体と前記扉枠体の隙間の長さをAとし、前記扉本体と前記扉枠体の隙間の幅をBとすると、比率A/Bが1よりも大きいことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の電磁波シールド扉。
【請求項9】
前記電磁波吸収部材が磁性体材料を含むことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の電磁波シールド扉。
【請求項10】
前記第1の電磁波吸収部材は電磁波に対する吸収ピークの位置が異なる第1の構成部材
と第2の構成部材から構成され、前記第2の電磁波吸収部材は電磁波に対する吸収ピークの位置が異なる第3の構成部材と第4の構成部材から構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電磁波シールド扉。
【請求項11】
前記第1の構成部材の吸収ピークは前記第2の構成部材の吸収ピークよりも高周波側にシフトし、前記第3の構成部材の吸収ピークは前記第4の構成部材の吸収ピークよりも高周波側にシフトしていることを特徴とする請求項10に記載の電磁波シールド扉。
【請求項12】
前記第1の構成部材と前記第2の構成部材は前記扉枠体の厚さ方向に並列配置され、前記第3の構成部材と前記第4の構成部材は前記扉本体の厚さ方向に並列配置されていることを特徴とする請求項11に記載の電磁波シールド扉。
【請求項13】
前記第1の構成部材と前記第2の構成部材は前記扉枠体の側面部から前記扉枠体の内部側に向かう方向に積層され、前記第3の構成部材と前記第4の構成部材は前記扉本体の側面部から前記扉本体の内部側に向かう方向に積層されていることを特徴とする請求項11に記載の電磁波シールド扉。
【請求項14】
前記第2の構成部材は前記第1の構成部材よりも前記扉枠体の内部側に配置され、前記第4の構成部材は、前記第3の構成部材よりも前記扉本体の内部側に配置されていることを特徴とする請求項13に記載の電磁波シールド扉。
【請求項15】
前記第1の構成部材と前記第2の構成部材は金属膜で仕切られ、前記第3の構成部材と前記第4の構成部材は金属膜で仕切られていることを特徴とする請求項13に記載の電磁波シールド扉。
【請求項16】
前記第1の構成部材は前記第2の構成部材よりも薄いことを特徴とする請求項13に記載の電磁波シールド扉。
【請求項17】
前記第1の電磁波吸収部材は前記第2の電磁波吸収部材よりも厚いことを特徴とする請求項13に記載の電磁波シールド扉。
【請求項18】
前記第1の電磁波吸収部材は第1の押さえ板によって前記扉枠体に取り付けられ、前記第2の電磁波吸収部材は第2の押さえ板によって前記扉本体に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の電磁波シールド扉。
【請求項19】
金属でシールドされている扉枠体と、金属でシールドされ前記扉枠体から片開きする扉本体とを備えている電磁波シールド扉において、
前記扉枠体は、室内側側面部を囲む第1の弾性導電部材と、室外側側面部を囲む第2の弾性導電部材と、前記第1の弾性導電部材と前記第2の弾性導電部材の間に配設され側面部を囲む第1の電磁波吸収部材とを有しており、
前記扉本体は、室内側側面部を囲み前記第1の弾性導電部材と接触する第1の金属部材と、室外側側面部を囲み前記第2の弾性導電部材と接触する第2の金属部材と、前記第1の金属部材と前記第2の金属部材の間に配設され側面部を囲む第2の電磁波吸収部材とを有している電磁波シールド扉。
【請求項20】
金属でシールドされている扉枠体と、金属でシールドされ前記扉枠体から片開きする扉本体とを備えている電磁波シールド扉において、
前記扉枠体は、室内側側面部を囲む第1の金属部材と、室外側側面部を囲む第2の金属部材と、前記第1の金属部材と前記第2の金属部材の間に配設され側面部を囲む第1の電磁波吸収部材とを有しており、
前記扉本体は、室内側側面部を囲み前記第1の金属部材と接触する第1の弾性導電部材と、室外側側面部を囲み前記第2の金属部材と接触する第2の弾性導電部材と、前記第1の弾性導電部材と前記第2の弾性導電部材の間に配設され側面部を囲む第2の電磁波吸収部材とを有している電磁波シールド扉。
【請求項21】
金属でシールドされ内周を囲む内周縁が室内側側面部に設けられている扉枠体と、金属でシールドされ前記扉枠体から片開きし、かつ外周を囲む外周縁が室外側側面部に設けられている扉本体とを備えている電磁波シールド扉において、
前記扉枠体は、前記内周縁を囲み前記内周縁の室外側に配設された第1の電磁波吸収部材を有しており、
前記扉本体は、前記外周縁を囲み前記外周縁の室内側に配設された第2の電磁波吸収部材を有している電磁波シールド扉。
【請求項22】
前記第1の電磁波吸収部材と前記第2の電磁波吸収部材は、くし歯を有するくし型に形成され、扉本体の閉時に相互に噛合することを特徴とする請求項21に記載の電磁波シールド扉。
【請求項23】
前記第1の電磁波吸収部材と前記第2の電磁波吸収部材は、前記くし歯が金属膜で仕切られていることを特徴とする請求項22に記載の電磁波シールド扉。
【請求項24】
前記第1の電磁波吸収部材と前記第2の電磁波吸収部材は、床側部、天井側部、および縦方向部から構成され、前記第1の電磁波吸収部材は、前記床側部が前記天井側部および前記縦方向部よりも薄く、前記第2の電磁波吸収部材は、前記床側部が前記天井側部および前記縦方向部よりも厚いことを特徴とする請求項1から23のいずれか1項に記載の電磁波シールド扉。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
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【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2012−169604(P2012−169604A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−11660(P2012−11660)
【出願日】平成24年1月24日(2012.1.24)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年1月24日(2012.1.24)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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