電磁波抑制シート、デバイス、電子機器
【課題】GHz帯域でも充分な透磁率を有し充分な電磁波抑制効果を発揮することができる電磁波抑制シートを提供する。
【解決手段】金属磁性粒子1が樹脂2中に混合されてシート状に成型され、面内方向における1kOeの外部磁界を印加した際の飽和磁化が0.35[Wb/m2]以上であり、かつ、保磁力が320[A/m]以上である電磁波抑制シート10を構成する。
【解決手段】金属磁性粒子1が樹脂2中に混合されてシート状に成型され、面内方向における1kOeの外部磁界を印加した際の飽和磁化が0.35[Wb/m2]以上であり、かつ、保磁力が320[A/m]以上である電磁波抑制シート10を構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器から発生する不要輻射対策に用いられる電磁波抑制材料を有する電磁波抑制シート、その電磁波抑制シートを含むデバイス、電磁波抑制シートが設けられている電子機器に関する。本発明は、特にGHz帯域の電磁波抑制に好適である。
【背景技術】
【0002】
近年の電子情報通信機器の急速な普及に伴い、携帯電話(1.5,2.0GHz)やPHS(1.9GHz)、無線LAN(2.45GHz,5.0GHz)等のGHz帯域の電磁波の利用が急増している。
また、LSIの駆動周波数はGHzを上回る機器も増え、その高調波はさらに高い周波数成分を有している。
このように、潜在的な電磁波発生源及び干渉被害側の双方の数と多様性が指数関数的に増えているため、GHz帯域における電磁干渉(EMI:Electromagnetic Interference)の起こるリスクは天文学的に増加している。
【0003】
電磁干渉の問題に対処するためには、個々の機器が他の機器の正常な作動を妨害するような不要な電磁波を放射せず(エミッションの抑制)、かつ外部から侵入する電磁波に対して何ら影響を受けない十分な耐力をもつこと(イミュニティの向上)が要求される。
このような考え方は、電磁両立性(EMC:Electromagnetic Compatibility)と称され、電磁環境下で電子機器が電磁両立性を確立するために様々な規格が定められている。
【0004】
現在、電磁干渉の問題の解決策の一つとして、電磁波抑制シート(電磁波吸収シート)が利用されている。一般的な電磁波抑制シートは、磁性材料粉末や導電材料粉末等を樹脂と複合化させた構造である(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
ここで、熱エネルギーへの変換のメカニズムは、主に、導電損失、誘電損失、磁性損失の3種に分類される。このときの単位体積当たりの電磁波吸収エネルギーP[W/m3]は、電界E、磁界H及び電磁波の周波数fを用いて、下記式(1)のように表される。
【0006】
【数1】
導電率:σ
複素誘電率:ε=ε’−jε’’
複素透磁率:μ=μ’−jμ’’
【0007】
式(1)は、その第1項が導電損失を表し、第2項が誘電損失を表し、第3項が磁性損失を表している。
【0008】
電流変化の大きな箇所への対策として用いられる電磁波抑制シートは、磁性材料が主流である。
磁性材料を用いた電磁波抑制シートは、電磁波の磁界成分を抑制、吸収するために、上述の式(1)の磁性損失である第3項の透磁率の虚部μ’’が高くなるように設計されている。
【0009】
これらの電磁波抑制シートは、LSIパッケージ上や、プリント回路基板上、さらにはFPC(Flexible Printed Circuit)やハーネス、金属部品等に貼付して実装されている。
さらには、RFIDのアンテナ効率UPを目的として、アンテナと金属部品との間の干渉抑制のためにも、電磁波抑制シートが利用されている。
【0010】
【特許文献1】特開2003−174279号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、既存の電磁波抑制シートは、主にMHz帯域における利用をターゲットとしており、その周波数帯域では大きな透磁率の虚部μ’’を有するものの、1GHzを超えるとその特性は減少してしまう(スネークの限界)。
【0012】
ここで、市販されている数種の電磁波抑制シートについて、透磁率(比透磁率の虚部μr’’)を測定した。測定結果を、図11に示す。
【0013】
ちなみに、[比透磁率:μr]=[透磁率:μ]/[真空の透磁率:μ0]である。
図11より、比透磁率の虚部μr’’は、MHz帯域では非常に大きな値を有しているものの、GHz帯域では極度に低下しており、5GHzでは3未満という値になってしまうことが分かる。
【0014】
上述した問題の解決のために、本発明においては、GHz帯域でも充分な透磁率を有し充分な電磁波抑制効果を発揮することができる電磁波抑制シートを提供する。また、この電磁波抑制シートを有するデバイス、並びに、電子機器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の電磁波抑制シートは、金属磁性粒子が樹脂中に混合されてシート状に成型され、面内方向における1kOeの外部磁界を印加した際の飽和磁化が0.35[Wb/m2]以上であり、かつ、保磁力が320[A/m]以上であるものである。
本発明のデバイスは、集積回路素子のパッケージと、このパッケージに貼り付けられている電磁波抑制シートとを含み、電磁波抑制シートが上記本発明の電磁波抑制シートの構成である。
本発明の電子機器は、集積回路素子と、配線と、集積回路素子又は配線の近傍に設けられている電磁波抑制シートとを含み、電磁波抑制シートが上記本発明の電磁波抑制シートの構成である。
【0016】
上述の本発明の電磁波抑制シートの構成によれば、面内方向における1kOeの外部磁界を印加した際の飽和磁化が0.35[Wb/m2]以上であり、かつ、保磁力が320[A/m]以上である。これにより、電磁波抑制シートの5GHzにおける比透磁率の虚部の値を、3以上と大きくすることができる。
上述の本発明のデバイス及び本発明の電子機器の各構成によれば、上記本発明の電磁波抑制シートを含むことにより、電磁波抑制シートの5GHzにおける比透磁率の虚部の値が3以上と大きくなる。
【発明の効果】
【0017】
上述の本発明によれば、電磁波抑制シートの5GHzにおける比透磁率の虚部の値を、3以上と大きくすることができるので、GHz帯においても充分な電磁波抑制効果を発揮させることが可能になる。
従って、本発明により、電子機器において、GHz帯域の高い駆動周波数と、電磁干渉の抑制とを、共に実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態とする)について説明する。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.本発明の概要
2.電磁波抑制シートの第1の実施の形態
3.電磁波抑制シートの第2の実施の形態
4.電磁波抑制シートの第3の実施の形態
5.デバイスの実施の形態
6.電子機器の実施の形態
【0019】
<1.本発明の概要>
まず、本発明の具体的な実施の形態の説明に先立ち、本発明の概要について説明する。
【0020】
強磁性共鳴の周波数:frは、次式で与えられることが知られている。
【0021】
【数2】
【0022】
ここで、γはジャイロ磁気比、Hrはz方向の外部直流共鳴磁界、Nx,Ny,Nzは回転楕円体の主軸方向の反磁界係数、Hax,Hay,Hazは異方性磁界、Iは磁化である。
式(2)より、異方性磁界及び磁化が増加するに伴い、共鳴周波数も増加傾向を示す関係にあることがわかる。
【0023】
電磁波抑制シートにおける異方性磁界としては、結晶磁気異方性と形状異方性とが考えられる。
本発明の発明者らは、これらの異方性磁界を左右する、磁性粒子の保磁力と形状とに着目して、GHz帯域において高い透磁率が得られる最適な材料設計を検討した。
【0024】
また、どんなに磁気特性の良い磁性粒子を用いたとしても、磁性粒子の粉末と樹脂とを混合してシート化した際には、その混合状態によってもシートの磁気特性は大きく変化してしまう。即ち、電磁波抑制シートとして設計・開発・評価する際には、磁性粒子の磁気特性だけの考慮では不足しており、シート状態におけるデバイスそのものの磁気特性を考慮しなければならない。
そこで、本発明の発明者らは、材料設計に加えて、シート状態における保磁力や飽和磁化等の磁気特性の最適化も検討した。
【0025】
前記特許文献1では、磁性粒子の磁気特性に着目して、磁気特性の良好な磁性粒子を樹脂と混合したシートを構成している。
しかしながら、磁気特性の良い磁性粒子を用いたとしても、樹脂と混合してシート状態にする際に、樹脂と磁性粒子との混合比や樹脂中における磁性粒子の分散状態によって、シートデバイスとしての磁気特性は大きく変化してしまう。そのため、上述したように、磁性粒子の磁気特性だけの考慮では、電磁波抑制シートの詳細な磁気特性の設計は不可能であり、シート状態での磁気特性にも着目して設計することが必要である。
【0026】
本発明の発明者らは、これらの着目点に留意して、GHz帯域に対応した本発明の電磁波抑制シートを発明するに至った。
本発明の電磁波抑制シートは、金属磁性粒子が樹脂中に混合されてシート状に成型されたものである。そして、シート面内方向における1kOeの外部磁界を印加した際の飽和磁化が0.35[Wb/m2]以上であり、かつ、保磁力が320[A/m]以上の磁気特性を有する。
【0027】
電磁波抑制シートの金属磁性粒子の材料としては、例えば、下記の金属磁性材料が挙げられる。
Fe、Co、Fe−Al−Si系合金、Fe−Si−Cr系合金、Fe−Si系合金、Fe−Ni系合金、Fe−Co系合金、Fe−Co−Ni系合金、Fe−Cr系合金
これらの金属磁性材料から、1種以上の材料を選んで、金属磁性粒子を構成することができる。
そして、金属磁性粒子としては、より好ましくは、扁平形状又は球状の金属磁性粒子を使用する。扁平形状や球状の金属磁性粒子を使用することにより、所望の磁気特性を得やすくなる。
【0028】
電磁波抑制シートの樹脂としては、従来の電磁波抑制シートと同様の樹脂を使用することができる。
例えば、アクリル樹脂、シリコーン系樹脂等を使用することができる。
【0029】
ここで、金属磁性粒子を樹脂と混合した電磁波抑制シートにおける、比透磁率の虚部μr’’の周波数分散特性を、図2に示す。
なお、図2に示す電磁波抑制シートの5種類のサンプル(No.1〜No.5)においては、共に、金属磁性粒子としてFe−Si−Cr合金粉末を用いている。
図2より、MHz帯域において最も透磁率特性の大きなサンプルは、No.1のサンプルであるが、GHz帯域ではその特性は減少し、5GHzではμr’’は3程度となってしまっていることが分かる。
一方、No.4のサンプルでは、MHz帯域におけるμr’’はNo.1サンプルと比較すると小さいものの、GHz帯域においてもμr’’の値を維持しており、5GHzにおけるμr’’は3以上の値(5.5程度)が得られている。
市販の高透磁率特性の電磁波抑制シートは、このNo.1のサンプルよりもMHz帯域において透磁率が大きなものであり、GHz帯域におけるμr’’はNo.1のサンプルよりも大きく減衰する。これは、先に説明した図11からも明らかである。
【0030】
次に、シート状態にて種々の磁気特性(保磁力、飽和磁化)になるように設計して、電磁波抑制シートのサンプルを作製した。
そして、シートの面内方向における1kOeの外部磁界を印加した際の飽和磁化Ms[Wb/m2]、保磁力Hc[A/m]を測定した。飽和磁化Msの測定には東英工業株式会社製の振動試料型磁力計(VSM)を用いて、保磁力Hcの測定には東北特殊鋼株式会社製の自動計測保磁力計を用いた。
また、5GHzにおける、透磁率の虚部μr’’の値を求めた。
シート状態にて測定した、これら保磁力、飽和磁化、μr’’の関係を、図3に示す。
図3では、透磁率μr’’については、次のように区別して示している。
0≦μr’’<3 ・・・△
3≦μr’’<5 ・・・□
5≦μr’’ ・・・○
【0031】
図3より、シートの飽和磁化及び保磁力が共に大きくなるに伴い、5GHzにおけるμr’’は、大きな値を有することがわかる。
【0032】
また、同じサンプルの測定値について、積Ms×Hc[(Wb/m2)/(A/m)]の値と5GHzにおけるμr’’との関係を、図4に示す。
図4より、両者の関係は、ほぼ比例関係にあり、積Ms×Hcの値の増加に伴い、5GHzにおけるμr’’も増加傾向を示すことがわかる。
【0033】
また、同じサンプルの測定値について、比Ms/Hc[(Wb/m2)/(A/m)]の値と5GHzにおけるμr’’との関係を、図5に示す。
図5より、5GHzにおけるμr’’には、最適なMs/Hc値が存在することがわかる。これにより、シートにおける飽和磁化Ms及び保磁力Hcのうちのどちらか一方のみが大きくても、5GHzにおけるμr’’を高めることは難しいことがわかる。即ち、μr’’を高めるためには、シート状態における飽和磁化Ms及び保磁力Hcの両者を考慮しながらの最適設計が必要である。
図5より、比Ms/Hcの値が0.0006〜0.016[(Wb/m2)/(A/m)]の範囲内であれば、5GHzにおけるμr’’が3以上と高くなることがわかる。
【0034】
以上の結果から、本発明の電磁波抑制シートの構成により、5GHz帯域において比透磁率の虚部μr’’が3以上を有するGHz帯域対応した電磁波抑制シートが提供可能であることが分かる。
【0035】
続いて、図面を参照して、本発明の具体的な実施の形態を説明する。
【0036】
<2.電磁波抑制シートの第1の実施の形態>
本発明の電磁波抑制シートの第1の実施の形態の概略構成図(断面図)を、図1に示す。
本実施の形態では、図1に示すように、金属磁性粒子1を、樹脂2中に混合して、電磁波抑制シート10を構成している。
【0037】
金属磁性粒子1を構成する金属磁性材料としては、前述した金属磁性材料を使用することができる。
即ち、Fe、Co、Fe−Al−Si系合金、Fe−Si−Cr系合金、Fe−Si系合金、Fe−Ni系合金、Fe−Co系合金、Fe−Co−Ni系合金、Fe−Cr系合金から選ばれる、1種以上の金属磁性材料を使用することができる。
【0038】
樹脂2としては、従来の電磁波抑制シートと同様の樹脂を使用することができる。
即ち、例えば、前述した、アクリル樹脂、シリコーン系樹脂等を使用することができる。
【0039】
図1に示すように、本実施の形態では、扁平形状の金属磁性粒子1を使用している。
なお、扁平形状の金属磁性粒子1の代わりに、その他の形状の金属磁性粒子、例えば、球状の金属磁性粒子を使用することも可能である。
扁平形状の金属磁性粒子1を使用することにより、樹脂2中の金属磁性粒子1の充填率を高めることができる。
【0040】
そして、本実施の形態の電磁波抑制シート10では、シート面内方向における1kOeの外部磁界を印加した際の飽和磁化が0.35[Wb/m2]以上であり、かつ、保磁力が320[A/m]以上の磁気特性を有する構成とする。
電磁波抑制シート10がこのような磁気特性を有するように、金属磁性粒子1の材料や形状、金属磁性粒子1の樹脂2への混合量を選定する。
【0041】
図1に示す電磁波抑制シート10は、例えば、以下のようにして、製造することができる。
金属磁性粒子1として、例えば、粒子の厚みが約1μmであり、粒子の面径サイズが約24μmである、扁平形状のFe−Cr−Si合金粉末を使用する。
また、樹脂2として、例えば、アクリル樹脂を使用して、硬化剤を添加する。
さらに、これらに加えて、金属磁性粒子1の混合分散性を向上させるために、追加溶媒として、例えばトルエンを用いる。
そして、例えば、金属磁性粒子1、樹脂2、硬化剤、追加溶媒を、それぞれ、48.1wt%、44.8wt%、0.6wt%、6.4wt%の割合で混合し、攪拌する。
次に、これらの混合物を、シート形状に塗布する。
続いて、80℃での予備乾燥処理を経て、120℃で熱硬化処理を施す。
最後に、シートにプレス処理(例えば、170℃、0.016MPa/cm2)を与えることにより、所望の厚みの電磁波抑制シート10を製造することができる。
【0042】
上述した製造方法は、電磁波抑制シートの製造方法の一例であり、本発明の電磁波抑制シートを得る製造方法は、この方法に限定されるものではない。
例えば、金属磁性粒子1のサイズや、金属磁性粒子1、樹脂2、硬化剤、追加溶媒の混合割合は、本発明の電磁波抑制シートの特性を満たす範囲であれば、特に限定されるものではない。
【0043】
上述の本実施の形態の電磁波抑制シート10の構成によれば、シート面内方向における1kOeの外部磁界を印加した際の飽和磁化が0.35[Wb/m2]以上であり、かつ、保磁力が320[A/m]以上の磁気特性を有する。これにより、図2〜図3を参照して説明したように、電磁波抑制シート10の5GHzにおける比透磁率の虚部の値を、3以上と大きくすることができる。
従って、GHz帯においても充分な電磁波抑制効果を発揮させることが可能になる。
【0044】
上述した第1の実施の形態では、金属磁性粒子1と樹脂2とから、電磁波抑制シート10を構成したが、本発明の電磁波抑制シートにおいては、樹脂中に非磁性の導電性粒子等、その他の粒子を混合しても構わない。この場合の実施の形態を、以下に示す。
【0045】
<3.電磁波抑制シートの第2の実施の形態>
本発明の電磁波抑制シートの第2の実施の形態の概略構成図(断面図)を、図6に示す。
本実施の形態では、図6に示すように、金属磁性粒子1と、非磁性の導電性材料から成る導電性粒子3とを、樹脂2中に混合して、電磁波抑制シート20を構成している。
導電性粒子3を構成する導電性材料としては、例えば、カーボンや、導電性高分子等を使用することができる。
【0046】
本実施の形態では、導電性粒子3も、扁平形状の粒子を使用している。
なお、扁平形状の導電性粒子3の代わりに、その他の形状の導電性粒子、例えば、球状の導電性粒子を使用することも可能である。
扁平形状の導電性粒子3を使用することにより、樹脂2中の導電性粒子3の充填率を高めることができる。
【0047】
そして、本実施の形態の電磁波抑制シート20では、シート面内方向における1kOeの外部磁界を印加した際の飽和磁化が0.35[Wb/m2]以上であり、かつ、保磁力が320[A/m]以上の磁気特性を有する構成とする。
電磁波抑制シート20がこのような磁気特性を有するように、金属磁性粒子1の材料や形状、金属磁性粒子1の樹脂2への混合量を選定する。
【0048】
その他の構成は、第1の実施の形態の電磁波抑制シート10と同様であるので、重複説明を省略する。
【0049】
上述の本実施の形態の電磁波抑制シート20の構成によれば、シート面内方向における1kOeの外部磁界を印加した際の飽和磁化が0.35[Wb/m2]以上であり、かつ、保磁力が320[A/m]以上の磁気特性を有する。これにより、第1の実施の形態の電磁波抑制シート10と同様に、電磁波抑制シート20の5GHzにおける比透磁率の虚部の値を、3以上と大きくすることができる。
【0050】
また、本実施の形態の電磁波抑制シート20では、特に、導電性粒子3を樹脂2に混合していることによって、前記式(1)からもわかるように、誘電率の虚部ε’’が増大する。
これにより、電磁波の電界成分も抑制することが可能となり、より優れた電磁波抑制シートを提供することができる。
【0051】
<4.電磁波抑制シートの第3の実施の形態>
本発明の電磁波抑制シートの第3の実施の形態の概略構成図(断面図)を、図7に示す。
本実施の形態では、図7に示すように、金属磁性粒子1を樹脂2に混合した第1の層21と、導電性粒子3を樹脂2に混合した第2の層22と、金属磁性粒子1を樹脂2に混合した第3の層23とを積層した構造の電磁波抑制シート30を構成している。
導電性粒子3の導電性材料としては、先の第2の実施の形態と同様に、例えば、カーボンや、導電性高分子等を使用することができる。
【0052】
そして、本実施の形態の電磁波抑制シート30では、シート30全体において、シート面内方向における1kOeの外部磁界を印加した際の飽和磁化が0.35[Wb/m2]以上であり、かつ、保磁力が320[A/m]以上の磁気特性を有する構成とする。
電磁波抑制シート30全体がこのような磁気特性を有するように、金属磁性粒子1の材料や形状、金属磁性粒子1の樹脂2への混合量を選定する。
【0053】
上述の本実施の形態の電磁波抑制シート30の構成によれば、金属磁性粒子1を樹脂2中に混合した第1の層21及び第3の層23によって、電磁波抑制効果が得られる。そして、シート30全体のシート面内方向における1kOeの外部磁界を印加した際の飽和磁化が0.35[Wb/m2]以上であり、かつ、保磁力が320[A/m]以上の磁気特性を有する。これにより、先の各実施の形態の電磁波抑制シート10,20と同様に、電磁波抑制シート20の5GHzにおける比透磁率の虚部の値を、3以上と大きくすることができる。
【0054】
また、導電性粒子3を樹脂2に混合した第2の層22によって、第2の実施の形態の電磁波抑制シート20と同様に、誘電率の虚部ε’’が増大するため、電磁波の電界成分も抑制することが可能となる。
従って、より優れた電磁波抑制シートを提供することができる。
【0055】
<5.デバイスの実施の形態>
本発明のデバイスの実施の形態の概略構成図を、図8A〜図8Cに示す。
図8A〜図8Cに示すいずれの場合も、ICチップ等の集積回路素子のパッケージ41の上面に、図1に示した本発明の電磁波抑制シート10を貼り付けて、一体化したデバイスを構成している。
図8Aでは、集積回路素子のパッケージ41の上面の一部に電磁波抑制シート10を貼り付けて、デバイスを構成している。
図8Bでは、集積回路素子のパッケージ41の上面全体に電磁波抑制シート10を貼り付けて、デバイスを構成している。
図8Cでは、集積回路素子のパッケージ41の上面よりも広い面積を有する電磁波抑制シート10を貼り付けて、デバイスを構成している。
【0056】
集積回路素子のパッケージ41の上面に電磁波抑制シート10を貼り付けて、一体化したデバイスを構成しているので、この一体化したデバイスの状態で流通させることも可能である。そして、集積回路素子を使用して電子機器を製造するメーカーに、部品として、このデバイスを販売することも可能である。
このデバイスは、電磁波抑制シート10がGHz帯域における充分な電磁波抑制効果を有するので、特に集積回路素子の駆動周波数がGHz帯域である場合に、好適である。
【0057】
なお、図8に示した実施の形態では、いずれもパッケージ41の上面に電磁波抑制シート10を貼り付けていた。
この他にも、例えば、電磁波抑制シートを、パッケージの下面に貼り付けたり、パッケージの上面及び下面にそれぞれ貼り付けたりして、デバイスを構成することも可能である。
【0058】
<6.電子機器の実施の形態>
本発明の電子機器の実施の形態として、ビデオカメラの概略斜視図を、図9に示す。
図9に示すように、このビデオカメラ50は、電子部品が実装されたA基板(プリント配線基板)51Aと、電子部品が実装されたB基板(プリント配線基板)51Bとを内蔵し、更にモニタ画面52を具備している。
【0059】
このビデオカメラ50の要部の斜視図を、図10に示す。
図10に示すように、図1に示した本発明の電磁波抑制シート10を、A基板51AとB基板51Bとを電気的に接続する配線を形成したフレキシブル配線基板53を挟持する状態で配置している。また、電磁波抑制シート10を、B基板51B上に実装されたICチップ(集積回路素子)55の上面に貼り付けて配置している。
なお、図10に示すA基板51AのICチップ55の上面や、B基板51B上の配線54の近傍にも、さらに、本発明の電磁波抑制シートを配置することが可能である。
【0060】
本実施の形態のように、ICチップ(集積回路素子)55や配線53,54の近傍に、電磁波抑制シート10を配置することにより、ICチップ55や配線53,54から発生する電磁波の放射を抑制することができる。
電磁波抑制シート10がGHz帯域における充分な電磁波抑制効果を有するので、特にICチップ55の駆動周波数がGHz帯域である場合に、好適である。
【0061】
このように、本発明の電磁波抑制シート10を、内的な電磁波の発生部位と、外的な電磁波の作用部位との少なくとも一方に設けることにより、電子機器に対する電磁波の影響、或いは、電子機器からの電磁波の影響を、最小限に抑制することができる。
これにより、電磁気的両立性を有し、安定して動作する信頼性の高い電子機器を実現することができる。
【0062】
上述のデバイスの実施の形態及び電子機器の実施の形態では、図1に示した電磁波抑制シート10を使用していた。
図1に示した電磁波抑制シート10の代わりに、図6及び図7に示した電磁波抑制シート20,30や、本発明の電磁波抑制シートのその他の構成を使用しても、同様に、本発明のデバイスや本発明の電子機器を構成することができる。
【0063】
本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲でその他様々な構成が取り得る。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の電磁波抑制シートの第1の実施の形態の概略構成図(断面図)である。
【図2】電磁波抑制シートの比透磁率の虚部μr’’の周波数分散特性を示す図である。
【図3】電磁波抑制シートのサンプルの保磁力、飽和磁化、μr’’の関係を示す図である。
【図4】図3と同じサンプルの積Ms×Hcの値と5GHzにおけるμr’’との関係を示す図である。
【図5】図3と同じサンプルの比Ms/Hcの値と5GHzにおけるμr’’との関係を示す図である。
【図6】本発明の電磁波抑制シートの第2の実施の形態の概略構成図(断面図)である。
【図7】本発明の電磁波抑制シートの第3の実施の形態の概略構成図(断面図)である。
【図8】A〜C 本発明のデバイスの実施の形態の概略構成図である。
【図9】本発明の電子機器の実施の形態のビデオカメラの概略斜視図である。
【図10】図9のビデオカメラの要部の斜視図である。
【図11】市販の電磁波抑制シートの透磁率測定結果を示す図である。
【符号の説明】
【0065】
1 磁性粒子、2 樹脂、3 導電性粒子、10,20,30 電磁波抑制シート、21 第1の層、22 第2の層、33 第3の層、41 集積回路素子のパッケージ、50 ビデオカメラ、52 モニタ画面、53 フレキシブル配線基板、55 ICチップ(集積回路素子)
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器から発生する不要輻射対策に用いられる電磁波抑制材料を有する電磁波抑制シート、その電磁波抑制シートを含むデバイス、電磁波抑制シートが設けられている電子機器に関する。本発明は、特にGHz帯域の電磁波抑制に好適である。
【背景技術】
【0002】
近年の電子情報通信機器の急速な普及に伴い、携帯電話(1.5,2.0GHz)やPHS(1.9GHz)、無線LAN(2.45GHz,5.0GHz)等のGHz帯域の電磁波の利用が急増している。
また、LSIの駆動周波数はGHzを上回る機器も増え、その高調波はさらに高い周波数成分を有している。
このように、潜在的な電磁波発生源及び干渉被害側の双方の数と多様性が指数関数的に増えているため、GHz帯域における電磁干渉(EMI:Electromagnetic Interference)の起こるリスクは天文学的に増加している。
【0003】
電磁干渉の問題に対処するためには、個々の機器が他の機器の正常な作動を妨害するような不要な電磁波を放射せず(エミッションの抑制)、かつ外部から侵入する電磁波に対して何ら影響を受けない十分な耐力をもつこと(イミュニティの向上)が要求される。
このような考え方は、電磁両立性(EMC:Electromagnetic Compatibility)と称され、電磁環境下で電子機器が電磁両立性を確立するために様々な規格が定められている。
【0004】
現在、電磁干渉の問題の解決策の一つとして、電磁波抑制シート(電磁波吸収シート)が利用されている。一般的な電磁波抑制シートは、磁性材料粉末や導電材料粉末等を樹脂と複合化させた構造である(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
ここで、熱エネルギーへの変換のメカニズムは、主に、導電損失、誘電損失、磁性損失の3種に分類される。このときの単位体積当たりの電磁波吸収エネルギーP[W/m3]は、電界E、磁界H及び電磁波の周波数fを用いて、下記式(1)のように表される。
【0006】
【数1】
導電率:σ
複素誘電率:ε=ε’−jε’’
複素透磁率:μ=μ’−jμ’’
【0007】
式(1)は、その第1項が導電損失を表し、第2項が誘電損失を表し、第3項が磁性損失を表している。
【0008】
電流変化の大きな箇所への対策として用いられる電磁波抑制シートは、磁性材料が主流である。
磁性材料を用いた電磁波抑制シートは、電磁波の磁界成分を抑制、吸収するために、上述の式(1)の磁性損失である第3項の透磁率の虚部μ’’が高くなるように設計されている。
【0009】
これらの電磁波抑制シートは、LSIパッケージ上や、プリント回路基板上、さらにはFPC(Flexible Printed Circuit)やハーネス、金属部品等に貼付して実装されている。
さらには、RFIDのアンテナ効率UPを目的として、アンテナと金属部品との間の干渉抑制のためにも、電磁波抑制シートが利用されている。
【0010】
【特許文献1】特開2003−174279号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、既存の電磁波抑制シートは、主にMHz帯域における利用をターゲットとしており、その周波数帯域では大きな透磁率の虚部μ’’を有するものの、1GHzを超えるとその特性は減少してしまう(スネークの限界)。
【0012】
ここで、市販されている数種の電磁波抑制シートについて、透磁率(比透磁率の虚部μr’’)を測定した。測定結果を、図11に示す。
【0013】
ちなみに、[比透磁率:μr]=[透磁率:μ]/[真空の透磁率:μ0]である。
図11より、比透磁率の虚部μr’’は、MHz帯域では非常に大きな値を有しているものの、GHz帯域では極度に低下しており、5GHzでは3未満という値になってしまうことが分かる。
【0014】
上述した問題の解決のために、本発明においては、GHz帯域でも充分な透磁率を有し充分な電磁波抑制効果を発揮することができる電磁波抑制シートを提供する。また、この電磁波抑制シートを有するデバイス、並びに、電子機器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の電磁波抑制シートは、金属磁性粒子が樹脂中に混合されてシート状に成型され、面内方向における1kOeの外部磁界を印加した際の飽和磁化が0.35[Wb/m2]以上であり、かつ、保磁力が320[A/m]以上であるものである。
本発明のデバイスは、集積回路素子のパッケージと、このパッケージに貼り付けられている電磁波抑制シートとを含み、電磁波抑制シートが上記本発明の電磁波抑制シートの構成である。
本発明の電子機器は、集積回路素子と、配線と、集積回路素子又は配線の近傍に設けられている電磁波抑制シートとを含み、電磁波抑制シートが上記本発明の電磁波抑制シートの構成である。
【0016】
上述の本発明の電磁波抑制シートの構成によれば、面内方向における1kOeの外部磁界を印加した際の飽和磁化が0.35[Wb/m2]以上であり、かつ、保磁力が320[A/m]以上である。これにより、電磁波抑制シートの5GHzにおける比透磁率の虚部の値を、3以上と大きくすることができる。
上述の本発明のデバイス及び本発明の電子機器の各構成によれば、上記本発明の電磁波抑制シートを含むことにより、電磁波抑制シートの5GHzにおける比透磁率の虚部の値が3以上と大きくなる。
【発明の効果】
【0017】
上述の本発明によれば、電磁波抑制シートの5GHzにおける比透磁率の虚部の値を、3以上と大きくすることができるので、GHz帯においても充分な電磁波抑制効果を発揮させることが可能になる。
従って、本発明により、電子機器において、GHz帯域の高い駆動周波数と、電磁干渉の抑制とを、共に実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態とする)について説明する。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.本発明の概要
2.電磁波抑制シートの第1の実施の形態
3.電磁波抑制シートの第2の実施の形態
4.電磁波抑制シートの第3の実施の形態
5.デバイスの実施の形態
6.電子機器の実施の形態
【0019】
<1.本発明の概要>
まず、本発明の具体的な実施の形態の説明に先立ち、本発明の概要について説明する。
【0020】
強磁性共鳴の周波数:frは、次式で与えられることが知られている。
【0021】
【数2】
【0022】
ここで、γはジャイロ磁気比、Hrはz方向の外部直流共鳴磁界、Nx,Ny,Nzは回転楕円体の主軸方向の反磁界係数、Hax,Hay,Hazは異方性磁界、Iは磁化である。
式(2)より、異方性磁界及び磁化が増加するに伴い、共鳴周波数も増加傾向を示す関係にあることがわかる。
【0023】
電磁波抑制シートにおける異方性磁界としては、結晶磁気異方性と形状異方性とが考えられる。
本発明の発明者らは、これらの異方性磁界を左右する、磁性粒子の保磁力と形状とに着目して、GHz帯域において高い透磁率が得られる最適な材料設計を検討した。
【0024】
また、どんなに磁気特性の良い磁性粒子を用いたとしても、磁性粒子の粉末と樹脂とを混合してシート化した際には、その混合状態によってもシートの磁気特性は大きく変化してしまう。即ち、電磁波抑制シートとして設計・開発・評価する際には、磁性粒子の磁気特性だけの考慮では不足しており、シート状態におけるデバイスそのものの磁気特性を考慮しなければならない。
そこで、本発明の発明者らは、材料設計に加えて、シート状態における保磁力や飽和磁化等の磁気特性の最適化も検討した。
【0025】
前記特許文献1では、磁性粒子の磁気特性に着目して、磁気特性の良好な磁性粒子を樹脂と混合したシートを構成している。
しかしながら、磁気特性の良い磁性粒子を用いたとしても、樹脂と混合してシート状態にする際に、樹脂と磁性粒子との混合比や樹脂中における磁性粒子の分散状態によって、シートデバイスとしての磁気特性は大きく変化してしまう。そのため、上述したように、磁性粒子の磁気特性だけの考慮では、電磁波抑制シートの詳細な磁気特性の設計は不可能であり、シート状態での磁気特性にも着目して設計することが必要である。
【0026】
本発明の発明者らは、これらの着目点に留意して、GHz帯域に対応した本発明の電磁波抑制シートを発明するに至った。
本発明の電磁波抑制シートは、金属磁性粒子が樹脂中に混合されてシート状に成型されたものである。そして、シート面内方向における1kOeの外部磁界を印加した際の飽和磁化が0.35[Wb/m2]以上であり、かつ、保磁力が320[A/m]以上の磁気特性を有する。
【0027】
電磁波抑制シートの金属磁性粒子の材料としては、例えば、下記の金属磁性材料が挙げられる。
Fe、Co、Fe−Al−Si系合金、Fe−Si−Cr系合金、Fe−Si系合金、Fe−Ni系合金、Fe−Co系合金、Fe−Co−Ni系合金、Fe−Cr系合金
これらの金属磁性材料から、1種以上の材料を選んで、金属磁性粒子を構成することができる。
そして、金属磁性粒子としては、より好ましくは、扁平形状又は球状の金属磁性粒子を使用する。扁平形状や球状の金属磁性粒子を使用することにより、所望の磁気特性を得やすくなる。
【0028】
電磁波抑制シートの樹脂としては、従来の電磁波抑制シートと同様の樹脂を使用することができる。
例えば、アクリル樹脂、シリコーン系樹脂等を使用することができる。
【0029】
ここで、金属磁性粒子を樹脂と混合した電磁波抑制シートにおける、比透磁率の虚部μr’’の周波数分散特性を、図2に示す。
なお、図2に示す電磁波抑制シートの5種類のサンプル(No.1〜No.5)においては、共に、金属磁性粒子としてFe−Si−Cr合金粉末を用いている。
図2より、MHz帯域において最も透磁率特性の大きなサンプルは、No.1のサンプルであるが、GHz帯域ではその特性は減少し、5GHzではμr’’は3程度となってしまっていることが分かる。
一方、No.4のサンプルでは、MHz帯域におけるμr’’はNo.1サンプルと比較すると小さいものの、GHz帯域においてもμr’’の値を維持しており、5GHzにおけるμr’’は3以上の値(5.5程度)が得られている。
市販の高透磁率特性の電磁波抑制シートは、このNo.1のサンプルよりもMHz帯域において透磁率が大きなものであり、GHz帯域におけるμr’’はNo.1のサンプルよりも大きく減衰する。これは、先に説明した図11からも明らかである。
【0030】
次に、シート状態にて種々の磁気特性(保磁力、飽和磁化)になるように設計して、電磁波抑制シートのサンプルを作製した。
そして、シートの面内方向における1kOeの外部磁界を印加した際の飽和磁化Ms[Wb/m2]、保磁力Hc[A/m]を測定した。飽和磁化Msの測定には東英工業株式会社製の振動試料型磁力計(VSM)を用いて、保磁力Hcの測定には東北特殊鋼株式会社製の自動計測保磁力計を用いた。
また、5GHzにおける、透磁率の虚部μr’’の値を求めた。
シート状態にて測定した、これら保磁力、飽和磁化、μr’’の関係を、図3に示す。
図3では、透磁率μr’’については、次のように区別して示している。
0≦μr’’<3 ・・・△
3≦μr’’<5 ・・・□
5≦μr’’ ・・・○
【0031】
図3より、シートの飽和磁化及び保磁力が共に大きくなるに伴い、5GHzにおけるμr’’は、大きな値を有することがわかる。
【0032】
また、同じサンプルの測定値について、積Ms×Hc[(Wb/m2)/(A/m)]の値と5GHzにおけるμr’’との関係を、図4に示す。
図4より、両者の関係は、ほぼ比例関係にあり、積Ms×Hcの値の増加に伴い、5GHzにおけるμr’’も増加傾向を示すことがわかる。
【0033】
また、同じサンプルの測定値について、比Ms/Hc[(Wb/m2)/(A/m)]の値と5GHzにおけるμr’’との関係を、図5に示す。
図5より、5GHzにおけるμr’’には、最適なMs/Hc値が存在することがわかる。これにより、シートにおける飽和磁化Ms及び保磁力Hcのうちのどちらか一方のみが大きくても、5GHzにおけるμr’’を高めることは難しいことがわかる。即ち、μr’’を高めるためには、シート状態における飽和磁化Ms及び保磁力Hcの両者を考慮しながらの最適設計が必要である。
図5より、比Ms/Hcの値が0.0006〜0.016[(Wb/m2)/(A/m)]の範囲内であれば、5GHzにおけるμr’’が3以上と高くなることがわかる。
【0034】
以上の結果から、本発明の電磁波抑制シートの構成により、5GHz帯域において比透磁率の虚部μr’’が3以上を有するGHz帯域対応した電磁波抑制シートが提供可能であることが分かる。
【0035】
続いて、図面を参照して、本発明の具体的な実施の形態を説明する。
【0036】
<2.電磁波抑制シートの第1の実施の形態>
本発明の電磁波抑制シートの第1の実施の形態の概略構成図(断面図)を、図1に示す。
本実施の形態では、図1に示すように、金属磁性粒子1を、樹脂2中に混合して、電磁波抑制シート10を構成している。
【0037】
金属磁性粒子1を構成する金属磁性材料としては、前述した金属磁性材料を使用することができる。
即ち、Fe、Co、Fe−Al−Si系合金、Fe−Si−Cr系合金、Fe−Si系合金、Fe−Ni系合金、Fe−Co系合金、Fe−Co−Ni系合金、Fe−Cr系合金から選ばれる、1種以上の金属磁性材料を使用することができる。
【0038】
樹脂2としては、従来の電磁波抑制シートと同様の樹脂を使用することができる。
即ち、例えば、前述した、アクリル樹脂、シリコーン系樹脂等を使用することができる。
【0039】
図1に示すように、本実施の形態では、扁平形状の金属磁性粒子1を使用している。
なお、扁平形状の金属磁性粒子1の代わりに、その他の形状の金属磁性粒子、例えば、球状の金属磁性粒子を使用することも可能である。
扁平形状の金属磁性粒子1を使用することにより、樹脂2中の金属磁性粒子1の充填率を高めることができる。
【0040】
そして、本実施の形態の電磁波抑制シート10では、シート面内方向における1kOeの外部磁界を印加した際の飽和磁化が0.35[Wb/m2]以上であり、かつ、保磁力が320[A/m]以上の磁気特性を有する構成とする。
電磁波抑制シート10がこのような磁気特性を有するように、金属磁性粒子1の材料や形状、金属磁性粒子1の樹脂2への混合量を選定する。
【0041】
図1に示す電磁波抑制シート10は、例えば、以下のようにして、製造することができる。
金属磁性粒子1として、例えば、粒子の厚みが約1μmであり、粒子の面径サイズが約24μmである、扁平形状のFe−Cr−Si合金粉末を使用する。
また、樹脂2として、例えば、アクリル樹脂を使用して、硬化剤を添加する。
さらに、これらに加えて、金属磁性粒子1の混合分散性を向上させるために、追加溶媒として、例えばトルエンを用いる。
そして、例えば、金属磁性粒子1、樹脂2、硬化剤、追加溶媒を、それぞれ、48.1wt%、44.8wt%、0.6wt%、6.4wt%の割合で混合し、攪拌する。
次に、これらの混合物を、シート形状に塗布する。
続いて、80℃での予備乾燥処理を経て、120℃で熱硬化処理を施す。
最後に、シートにプレス処理(例えば、170℃、0.016MPa/cm2)を与えることにより、所望の厚みの電磁波抑制シート10を製造することができる。
【0042】
上述した製造方法は、電磁波抑制シートの製造方法の一例であり、本発明の電磁波抑制シートを得る製造方法は、この方法に限定されるものではない。
例えば、金属磁性粒子1のサイズや、金属磁性粒子1、樹脂2、硬化剤、追加溶媒の混合割合は、本発明の電磁波抑制シートの特性を満たす範囲であれば、特に限定されるものではない。
【0043】
上述の本実施の形態の電磁波抑制シート10の構成によれば、シート面内方向における1kOeの外部磁界を印加した際の飽和磁化が0.35[Wb/m2]以上であり、かつ、保磁力が320[A/m]以上の磁気特性を有する。これにより、図2〜図3を参照して説明したように、電磁波抑制シート10の5GHzにおける比透磁率の虚部の値を、3以上と大きくすることができる。
従って、GHz帯においても充分な電磁波抑制効果を発揮させることが可能になる。
【0044】
上述した第1の実施の形態では、金属磁性粒子1と樹脂2とから、電磁波抑制シート10を構成したが、本発明の電磁波抑制シートにおいては、樹脂中に非磁性の導電性粒子等、その他の粒子を混合しても構わない。この場合の実施の形態を、以下に示す。
【0045】
<3.電磁波抑制シートの第2の実施の形態>
本発明の電磁波抑制シートの第2の実施の形態の概略構成図(断面図)を、図6に示す。
本実施の形態では、図6に示すように、金属磁性粒子1と、非磁性の導電性材料から成る導電性粒子3とを、樹脂2中に混合して、電磁波抑制シート20を構成している。
導電性粒子3を構成する導電性材料としては、例えば、カーボンや、導電性高分子等を使用することができる。
【0046】
本実施の形態では、導電性粒子3も、扁平形状の粒子を使用している。
なお、扁平形状の導電性粒子3の代わりに、その他の形状の導電性粒子、例えば、球状の導電性粒子を使用することも可能である。
扁平形状の導電性粒子3を使用することにより、樹脂2中の導電性粒子3の充填率を高めることができる。
【0047】
そして、本実施の形態の電磁波抑制シート20では、シート面内方向における1kOeの外部磁界を印加した際の飽和磁化が0.35[Wb/m2]以上であり、かつ、保磁力が320[A/m]以上の磁気特性を有する構成とする。
電磁波抑制シート20がこのような磁気特性を有するように、金属磁性粒子1の材料や形状、金属磁性粒子1の樹脂2への混合量を選定する。
【0048】
その他の構成は、第1の実施の形態の電磁波抑制シート10と同様であるので、重複説明を省略する。
【0049】
上述の本実施の形態の電磁波抑制シート20の構成によれば、シート面内方向における1kOeの外部磁界を印加した際の飽和磁化が0.35[Wb/m2]以上であり、かつ、保磁力が320[A/m]以上の磁気特性を有する。これにより、第1の実施の形態の電磁波抑制シート10と同様に、電磁波抑制シート20の5GHzにおける比透磁率の虚部の値を、3以上と大きくすることができる。
【0050】
また、本実施の形態の電磁波抑制シート20では、特に、導電性粒子3を樹脂2に混合していることによって、前記式(1)からもわかるように、誘電率の虚部ε’’が増大する。
これにより、電磁波の電界成分も抑制することが可能となり、より優れた電磁波抑制シートを提供することができる。
【0051】
<4.電磁波抑制シートの第3の実施の形態>
本発明の電磁波抑制シートの第3の実施の形態の概略構成図(断面図)を、図7に示す。
本実施の形態では、図7に示すように、金属磁性粒子1を樹脂2に混合した第1の層21と、導電性粒子3を樹脂2に混合した第2の層22と、金属磁性粒子1を樹脂2に混合した第3の層23とを積層した構造の電磁波抑制シート30を構成している。
導電性粒子3の導電性材料としては、先の第2の実施の形態と同様に、例えば、カーボンや、導電性高分子等を使用することができる。
【0052】
そして、本実施の形態の電磁波抑制シート30では、シート30全体において、シート面内方向における1kOeの外部磁界を印加した際の飽和磁化が0.35[Wb/m2]以上であり、かつ、保磁力が320[A/m]以上の磁気特性を有する構成とする。
電磁波抑制シート30全体がこのような磁気特性を有するように、金属磁性粒子1の材料や形状、金属磁性粒子1の樹脂2への混合量を選定する。
【0053】
上述の本実施の形態の電磁波抑制シート30の構成によれば、金属磁性粒子1を樹脂2中に混合した第1の層21及び第3の層23によって、電磁波抑制効果が得られる。そして、シート30全体のシート面内方向における1kOeの外部磁界を印加した際の飽和磁化が0.35[Wb/m2]以上であり、かつ、保磁力が320[A/m]以上の磁気特性を有する。これにより、先の各実施の形態の電磁波抑制シート10,20と同様に、電磁波抑制シート20の5GHzにおける比透磁率の虚部の値を、3以上と大きくすることができる。
【0054】
また、導電性粒子3を樹脂2に混合した第2の層22によって、第2の実施の形態の電磁波抑制シート20と同様に、誘電率の虚部ε’’が増大するため、電磁波の電界成分も抑制することが可能となる。
従って、より優れた電磁波抑制シートを提供することができる。
【0055】
<5.デバイスの実施の形態>
本発明のデバイスの実施の形態の概略構成図を、図8A〜図8Cに示す。
図8A〜図8Cに示すいずれの場合も、ICチップ等の集積回路素子のパッケージ41の上面に、図1に示した本発明の電磁波抑制シート10を貼り付けて、一体化したデバイスを構成している。
図8Aでは、集積回路素子のパッケージ41の上面の一部に電磁波抑制シート10を貼り付けて、デバイスを構成している。
図8Bでは、集積回路素子のパッケージ41の上面全体に電磁波抑制シート10を貼り付けて、デバイスを構成している。
図8Cでは、集積回路素子のパッケージ41の上面よりも広い面積を有する電磁波抑制シート10を貼り付けて、デバイスを構成している。
【0056】
集積回路素子のパッケージ41の上面に電磁波抑制シート10を貼り付けて、一体化したデバイスを構成しているので、この一体化したデバイスの状態で流通させることも可能である。そして、集積回路素子を使用して電子機器を製造するメーカーに、部品として、このデバイスを販売することも可能である。
このデバイスは、電磁波抑制シート10がGHz帯域における充分な電磁波抑制効果を有するので、特に集積回路素子の駆動周波数がGHz帯域である場合に、好適である。
【0057】
なお、図8に示した実施の形態では、いずれもパッケージ41の上面に電磁波抑制シート10を貼り付けていた。
この他にも、例えば、電磁波抑制シートを、パッケージの下面に貼り付けたり、パッケージの上面及び下面にそれぞれ貼り付けたりして、デバイスを構成することも可能である。
【0058】
<6.電子機器の実施の形態>
本発明の電子機器の実施の形態として、ビデオカメラの概略斜視図を、図9に示す。
図9に示すように、このビデオカメラ50は、電子部品が実装されたA基板(プリント配線基板)51Aと、電子部品が実装されたB基板(プリント配線基板)51Bとを内蔵し、更にモニタ画面52を具備している。
【0059】
このビデオカメラ50の要部の斜視図を、図10に示す。
図10に示すように、図1に示した本発明の電磁波抑制シート10を、A基板51AとB基板51Bとを電気的に接続する配線を形成したフレキシブル配線基板53を挟持する状態で配置している。また、電磁波抑制シート10を、B基板51B上に実装されたICチップ(集積回路素子)55の上面に貼り付けて配置している。
なお、図10に示すA基板51AのICチップ55の上面や、B基板51B上の配線54の近傍にも、さらに、本発明の電磁波抑制シートを配置することが可能である。
【0060】
本実施の形態のように、ICチップ(集積回路素子)55や配線53,54の近傍に、電磁波抑制シート10を配置することにより、ICチップ55や配線53,54から発生する電磁波の放射を抑制することができる。
電磁波抑制シート10がGHz帯域における充分な電磁波抑制効果を有するので、特にICチップ55の駆動周波数がGHz帯域である場合に、好適である。
【0061】
このように、本発明の電磁波抑制シート10を、内的な電磁波の発生部位と、外的な電磁波の作用部位との少なくとも一方に設けることにより、電子機器に対する電磁波の影響、或いは、電子機器からの電磁波の影響を、最小限に抑制することができる。
これにより、電磁気的両立性を有し、安定して動作する信頼性の高い電子機器を実現することができる。
【0062】
上述のデバイスの実施の形態及び電子機器の実施の形態では、図1に示した電磁波抑制シート10を使用していた。
図1に示した電磁波抑制シート10の代わりに、図6及び図7に示した電磁波抑制シート20,30や、本発明の電磁波抑制シートのその他の構成を使用しても、同様に、本発明のデバイスや本発明の電子機器を構成することができる。
【0063】
本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲でその他様々な構成が取り得る。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の電磁波抑制シートの第1の実施の形態の概略構成図(断面図)である。
【図2】電磁波抑制シートの比透磁率の虚部μr’’の周波数分散特性を示す図である。
【図3】電磁波抑制シートのサンプルの保磁力、飽和磁化、μr’’の関係を示す図である。
【図4】図3と同じサンプルの積Ms×Hcの値と5GHzにおけるμr’’との関係を示す図である。
【図5】図3と同じサンプルの比Ms/Hcの値と5GHzにおけるμr’’との関係を示す図である。
【図6】本発明の電磁波抑制シートの第2の実施の形態の概略構成図(断面図)である。
【図7】本発明の電磁波抑制シートの第3の実施の形態の概略構成図(断面図)である。
【図8】A〜C 本発明のデバイスの実施の形態の概略構成図である。
【図9】本発明の電子機器の実施の形態のビデオカメラの概略斜視図である。
【図10】図9のビデオカメラの要部の斜視図である。
【図11】市販の電磁波抑制シートの透磁率測定結果を示す図である。
【符号の説明】
【0065】
1 磁性粒子、2 樹脂、3 導電性粒子、10,20,30 電磁波抑制シート、21 第1の層、22 第2の層、33 第3の層、41 集積回路素子のパッケージ、50 ビデオカメラ、52 モニタ画面、53 フレキシブル配線基板、55 ICチップ(集積回路素子)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属磁性粒子が樹脂中に混合されてシート状に成型された電磁波抑制シートであって、
面内方向における1kOeの外部磁界を印加した際の飽和磁化が0.35[Wb/m2]以上であり、かつ、保磁力が320[A/m]以上である
電磁波抑制シート。
【請求項2】
(前記外部磁界を印加した際の飽和磁化)/(前記保磁力)の値が、0.0006〜0.0016[(Wb/m2)/(A/m)]の範囲内である、請求項1に記載の電磁波抑制シート。
【請求項3】
前記金属磁性粒子が扁平状又は球状である、請求項1に記載の電磁波抑制シート。
【請求項4】
前記金属磁性粒子は、Fe、Co、Fe−Al−Si系合金、Fe−Si−Cr系合金、Fe−Si系合金、Fe−Ni系合金、Fe−Co系合金、Fe−Co−Ni系合金、Fe−Cr系合金から選ばれる1種以上の金属磁性材料から成る、請求項1に記載の電磁波抑制シート。
【請求項5】
比透磁率の虚部が5GHzにおいて3以上である請求項1に記載の電磁波抑制シート。
【請求項6】
前記樹脂中に、前記金属磁性粒子に加えて、さらに導電性材料の粒子が混合されている請求項1に記載の電磁波抑制シート。
【請求項7】
前記金属磁性粒子が前記樹脂に混合されている層と、導電性材料が樹脂に混合されている層とが、積層されて成る、請求項1に記載の電磁波抑制シート。
【請求項8】
集積回路素子のパッケージと、
金属磁性粒子が樹脂中に混合されてシート状に成型され、面内方向における1kOeの外部磁界を印加した際の飽和磁化が0.35[Wb/m2]以上であり、かつ、保磁力が320[A/m]以上であり、前記集積回路素子のパッケージに貼り付けられている電磁波抑制シートとを含む
デバイス。
【請求項9】
集積回路素子と、
配線と、
金属磁性粒子が樹脂中に混合されてシート状に成型され、面内方向における1kOeの外部磁界を印加した際の飽和磁化が0.35[Wb/m2]以上であり、かつ、保磁力が320[A/m]以上であり、前記集積回路素子又は前記配線の近傍に設けられている電磁波抑制シートとを含む
電子機器。
【請求項1】
金属磁性粒子が樹脂中に混合されてシート状に成型された電磁波抑制シートであって、
面内方向における1kOeの外部磁界を印加した際の飽和磁化が0.35[Wb/m2]以上であり、かつ、保磁力が320[A/m]以上である
電磁波抑制シート。
【請求項2】
(前記外部磁界を印加した際の飽和磁化)/(前記保磁力)の値が、0.0006〜0.0016[(Wb/m2)/(A/m)]の範囲内である、請求項1に記載の電磁波抑制シート。
【請求項3】
前記金属磁性粒子が扁平状又は球状である、請求項1に記載の電磁波抑制シート。
【請求項4】
前記金属磁性粒子は、Fe、Co、Fe−Al−Si系合金、Fe−Si−Cr系合金、Fe−Si系合金、Fe−Ni系合金、Fe−Co系合金、Fe−Co−Ni系合金、Fe−Cr系合金から選ばれる1種以上の金属磁性材料から成る、請求項1に記載の電磁波抑制シート。
【請求項5】
比透磁率の虚部が5GHzにおいて3以上である請求項1に記載の電磁波抑制シート。
【請求項6】
前記樹脂中に、前記金属磁性粒子に加えて、さらに導電性材料の粒子が混合されている請求項1に記載の電磁波抑制シート。
【請求項7】
前記金属磁性粒子が前記樹脂に混合されている層と、導電性材料が樹脂に混合されている層とが、積層されて成る、請求項1に記載の電磁波抑制シート。
【請求項8】
集積回路素子のパッケージと、
金属磁性粒子が樹脂中に混合されてシート状に成型され、面内方向における1kOeの外部磁界を印加した際の飽和磁化が0.35[Wb/m2]以上であり、かつ、保磁力が320[A/m]以上であり、前記集積回路素子のパッケージに貼り付けられている電磁波抑制シートとを含む
デバイス。
【請求項9】
集積回路素子と、
配線と、
金属磁性粒子が樹脂中に混合されてシート状に成型され、面内方向における1kOeの外部磁界を印加した際の飽和磁化が0.35[Wb/m2]以上であり、かつ、保磁力が320[A/m]以上であり、前記集積回路素子又は前記配線の近傍に設けられている電磁波抑制シートとを含む
電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−135701(P2010−135701A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−312553(P2008−312553)
【出願日】平成20年12月8日(2008.12.8)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月8日(2008.12.8)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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