説明

電磁波除去具

【課題】本発明は、小型器具の本体に添付可能な平面状でかつ簡単な構造で電磁波を除去可能な装置を提供することを課題とする。
【解決手段】同方向に並列に接続された2個以上のダイオードと、当該ダイオードのアノード側に接続した導線と、当該ダイオードのカソード側に接続した導線とを有することを特徴とする電磁波除去具を提供することにより、前期課題と解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電磁波除去具に関するものであり、とりわけ、同方向に並列で接続された2個以上のダイオードを有する電磁波除去具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
錯綜した現代社会にあっては、緊張、抑圧、不安、不満、怒り、苛立ちなどの精神ストレスに加えて、携帯電話、テレビ受像機、ビデオディスプレー、情報表示機器、自動車、電車などの普及に伴って、それから輻射される電磁波によるストレス(いわゆる「テクノストレス」)が増大している。最近は、別の観点からも生体に対する電磁波の影響が議論されるようになり、例えば、電磁波遮断エプロンや情報表示機器用前面板などの、生体又は物品の一部に取り付けて用いる電磁波遮断具が提案されるにいたった。しかしながら、それら電磁波遮断具は、電磁波から保護対象の人体や電磁波の輻射源となっている器具の全体を覆う必要があるため、使い勝手が悪いという問題点がある。
【0003】
また、電磁波を吸収し、除去することを目的とした、いわゆる電磁波除去具としては、同じ出願人による特許文献1には、円錐状のコイルにより電磁波を吸収し、生じた電圧を先端の放電部から空中に放出する方式の装置が提案されており、特許文献2には、回路内のコイルにより電磁波を吸収し、生じた電圧を発光ダイオードにより発光させて除去する方式の装置が提案されている。しかしながら、これらの装置はコイルを用いることから必然的に立体的な構造になり、携帯電話などの比較的小型の電気器具に適用するには適していない。また、特許文献3には、ループアンテナにより携帯電話のアンテナから輻射された電磁波を吸収し、生じた電圧をダイオードにより整流した後、発光ダイオードにより除去する方式の装置が提案されている。しかしながら、この装置は携帯電話のアンテナの先端部に設置し、主に発光させることを目的としており、また、立体的な構造であることから、携帯電話の本体から発生する電磁波の除去には適していないという問題点がある。
【0004】
【特許文献1】特開2003−8278号公報
【特許文献2】特開平10−201508号公報
【特許文献3】登録実用新案3047928号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
斯かる状況に鑑み、本発明は、携帯電話などの比較的小型の電気器具の本体から輻射される電磁波を容易に除去又は減弱することができる電磁波除去具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者が鋭意研究したところ、意外にも、市販の各種ダイオード素子は、回路に組み込むことなくそのままで、アノード側の導線とカソード側の導線を対象とする器具表面に添付するだけで、対象器具から輻射される電磁波を吸収し減弱させ得ることを発見した。さらに検討を加えたところ、2個以上のダイオードを同方向に並列で接続すれば、さらに効率よく電磁波を吸収し減弱させ得ることを発見し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は並列に接続された2個以上のダイオードと、当該ダイオードのアノード側に接続した導線と、当該ダイオードのカソード側に接続した導線とを有することを特徴とする電磁波除去具を提供することによって前記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電気器具の表面に添付するだけで、当該器具から輻射される電磁波を減弱し、使用者の電磁波ストレスを軽減することができる。
【0009】
本発明の実施の形態につき、以下、実施例に基いて説明する。図1に示すのは本発明による一実施例の電気的配線部である。図1において、1a及び1bはダイオードであり、同方向に並列に接続される。図1は最も基本的な例を示すものであり、ダイオードが2個の場合の例である。このように同方向に並列で少なくとも2個のダイオードが接続される構造を有するかぎり、並列及び直列に接続されるダイオードの数に制限はない。また、本発明の効果を損ねない範囲で、ダイオード以外の電気素子を組み込んでもよい。2a及び2bは導線であり、ダイオード1a及び1bのアノード側及びカソード側に接続された導電性材料からなる。
【0010】
本発明に用いるダイオードは、すべて同じ種類のものを用いるのが好ましい。また、同じ種類ならばどのような種類を用いてもよく、例えば、スイッチングダイオード、発光ダイオード、可変容量ダイオード、エサキダイオード、ツェナーダイオード、ショットキーバリアダイオードなどを用いることができる。本発明の電磁波除去具を平面状構造とするために、小型のダイオードを用いるのが好ましく、通常、スイッチングダイオードが用いられる。また、ダイオード容量についても同容量のものを用いるのが好ましい。
【0011】
導線2a及び2bは、例えば、鉄、コバルト、ニッケル、白金、銅、銀、金、亜鉛、アルミニウム、錫などの金属若しくはそれらの合金が挙げられ、所望により、鍍金、スパッタリング、真空蒸着、化学蒸着などの方法を施してもよい。また、アノード側の導線2aは、対象の電気器具から輻射される電磁波を収集する機能すると考えれれるので、適用対象の本体の素材に応じて、一部又は全体を電磁波吸収素材、例えば、フェライトなどを含有する塗料を塗布して吸収効率を向上させることができる。導線2aの形状については特に制限がなく、本発明の電磁波除去具を平面状構造とするために、線状又は平板状の形状のものが有利に利用できる。導線2aの形状が線状形状の場合、直線状、曲線状、分岐状形状とすることができる。また、2個以上のダイオードを接続するアノード側の導線に、さらに、複数本の同じ又は異なる形状の導線2aを接続することができる。導線2aの長さとしては、適用する器具の大きさや使用形態に応じて適宜決定すればよく、例えば携帯電話用の場合、通常、0.5cm乃至1m、好ましくは1cm乃至10cm、さらに好ましくは2cm乃至5cmから選ばれる。1mを超えると使い勝手が悪く、一方、0.5cmに満たないと電磁波を吸収する効果が十分でない。
【0012】
カソード側の導線2bとしては、上記のアノード側の導線2aと同様の電気伝導性素材を利用することができ、所望により、アノード側の導線2aとは異なる素材を選択することができる。カソード側の導線2bは生じた電流を放電する機能を有すると考えられ、通常線状である。なお、アノード側の導線2aとカソード側の導線2bとが電気的に接続すると、電磁波の吸収効果が著しく低下することから、両者が導電体により電気的に接続されないようにするのが好ましい。
【0013】
図2は本発明の電磁波除去具を示す模式図であり、本発明を実施するうえで最も基本的な形態であり、1a及び1bはダイオード、2a及び2bは導線を示す。図3は、図2におけるダイオード1a及び1bを含む部分を絶縁体3により覆った形状を示す模式図である。絶縁体3は本発明の電磁波除去具を携帯電話などの外部本体に添付して用いる場合、ダイオードが摩擦や衝撃を受け破損する恐れがあるので、それを保護するために設けられる。素材としてはゴム、プラスチック樹脂などの絶縁体材料ならばいかなるものでも利用できる。図4は、図3に示す電磁波除去具について、係止具4としてプラスチックフィルムを適用した場合の断面図である。係止具4の素材としては、対象の器具に応じて適宜選択すればよいが、導線2a及び2bが係止具4により直接接続される場合は、非伝導性素材を用いるのが好ましい。
【0014】
本発明の電磁波除去具の製造方法について説明すると、2個以上のダイオードを順方向に並べ、アノード側の導線同士とカソード側の導線同士を半田などで接続し、それぞれすくなくとも1本の導線を残し、それを導線2a及び2bとする(図2参照)。なお、当該導線は、ダイオードに付属の導線をそのまま利用することも、別途導線を接続して導線とすることができる。また、簡易的な製造として、アノード側の導線同士、又は、カソード側の導線同士を縒り合わせて製造することもできる。次に、ダイオードとその周辺部を絶縁体3で被覆し、本発明の電磁波除去具を対象の電気器具表面に添付するための適宜の係止具4を装着する。
【0015】
図5は、本発明の電磁波除去具の使用方法の一例を示す模式図である。本発明の電磁波除去具は、対象となる電気器具に近ければ近いほど、最も好ましくは接触しているとき、効率よく電磁波を除去することができる。したがって、通常は、係止具4によって電磁波を輻射する電気器具としての携帯電話5の本体において、操作上の障害にならない適宜の位置、例えば、本体裏側のカバーケースの外側又は内側表面に添付して使用される。この場合、導線2a及び2bの先端は使用者にとって危険であることから、対象の器具の本体表面に密着固定させておくのが望ましい。
【0016】
以下、実施例で本発明の詳細を示す。
【実施例1】
【0017】
<電磁波除去具の製造>
図2に示すように、スイッチングダイオード(1S1588、株式会社東芝)2個を同方向に、ダイオードの両端から2乃至5mmの位置でアノード側の導線同士及びカソード側の導線同士を半田付けにより接続した。導線は露出させておき、アノード側及びカソード側にそれぞれ1本づつとし、半田付けの位置から長さ2.5cmになるように導線を切断して本発明の電磁波除去具を製造した。
【実施例2】
【0018】
<携帯電話から輻射される電磁波の軽減効果>
携帯電話(FOMA D903i、三菱電機株式会社製造)を通話中にし、マイクロ波測定器(商品名『トリフィールドメーター』、アルファラボ社製)の測定部に液晶画面を向け、マイクロ波の測定値が1mW/cmになる位置に携帯電話を設置した。その携帯電話の本体裏側表面に、実施例1で作製した電磁波除去具を、25mm×80mmのプラスチックフィルムにより接着し、再度マイクロ波を測定した。その結果、マイクロ波の測定値は0.2mW/cm以下までに低下した。また、電磁波除去具の添付位置を変えて同様に測定したところ、ほぼ同様の結果であった。なお、本発明の電磁波除去具を添付しても、携帯電話の通話機能に対してなんら障害を与えなかった。したがって、本発明の電磁波除去具は、携帯電話の機能を全く損ねることなく、通話中の携帯電話から輻射される電磁波を効果的に減弱させる作用を有しており、使用者における電磁波障害を軽減する効果が期待できる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
以上説明したごとく、本発明の電磁波除去具は、平面状構造の簡単な構成の装置であるにもかかわらず、電磁波を輻射している器具の本体表面に添付するだけで、その器具から発せられる電磁波を除去又は減弱することができ、使用者への電磁波の悪影響を軽減することができるという実益を有する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明による実施例の電気的配線図である。
【図2】本発明による実施例の模式図である。
【図3】本発明による実施例の模式図である。
【図4】本発明による実施例の断面図である。
【図5】本発明による実施例の使用形態の一例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0021】
1a、1b ダイオード
2a、2b 導線
3 絶縁体
4 係止具(プラスチックフィルム)
5 携帯電話

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同方向に並列に接続された2個以上のダイオードと、当該ダイオードのアノード側に接続した導線と、当該ダイオードのカソード側に接続した導線とをすることを特徴とする電磁波除去具。
【請求項2】
携帯電話に用いられる請求項1に記載の電磁波除去具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−218936(P2008−218936A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−57948(P2007−57948)
【出願日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(301040394)株式会社春興社 (8)
【Fターム(参考)】