説明

電磁継電器

【課題】開閉動作を改善した電磁継電器が求められている。
【解決手段】本発明によれば、電磁石部12と、作動部14と、接点部16と、これらを保持するベース18とを備えた電磁継電器10において、接点部16は、ベース18に対して固定された1対の平行な固定板52と、それら固定板52の末端にそれぞれ設けられた1対の固定接点54と、ベース18に対して揺動可能に取り付けられた1対の平行な可動ばね56と、それら可動ばね56の末端にそれぞれ設けられた1対の可動接点58と、1対の可動ばね56の間に延在していて、1対の可動接点58を互いに電気的に接続する接続部とを備え、作動部14は、1対の可動ばね56の、1対の可動接58点を通る長手方向のそれぞれの軸線Y−Yの間に画定される領域よりも内側の領域のみを押圧して、前記接点部16を閉塞動作させる、電磁継電器10が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電磁継電器に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄心の周りに巻かれたコイルを励磁することにより発生される磁力を利用して、接点部を開閉動作させる電磁継電器が知られている(特許文献1参照)。そして、接点部が、1対の可動接点と、1対の固定接点とから構成される電磁継電器も同様に知られている(特許文献2〜4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−243427号公報
【特許文献2】特開2010−73323号公報
【特許文献3】特開2010−123545号公報
【特許文献4】特開平5−2963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
1対の可動接点と、1対の固定接点とを有する電磁継電器では、接点間の開閉動作を安定的かつ確実に行えるようにすることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によると、電磁石部と、該電磁石部の磁気的作用を受けて作動する作動部と、該作動部が作動するのに従って開閉動作する接点部と、該電磁石部、該作動部及び該接点部を保持するベースとを備える電磁継電器において、前記接点部は、前記ベースに対して固定される1対の平行な固定板と、それら固定板の末端にそれぞれ設けられる1対の固定接点と、前記ベースに対して揺動可能に取り付けられる1対の平行な可動ばねと、それら可動ばねの末端にそれぞれ設けられる1対の可動接点と、前記1対の可動ばねの間に延在していて、前記1対の可動接点を互いに電気的に接続する接続部とを備え、前記作動部は、前記1対の可動ばねの、前記1対の可動接点を通る長手方向のそれぞれの軸線の間に画定される領域よりも内側の領域のみを押圧して、前記接点部を閉塞動作させる、電磁継電器が提供される。
【0006】
上記態様によると、一方の可動接点と固定接点とが先に接触した場合であっても、他方の可動接点と固定接点との間の接触動作を確実に行えるようになる。したがって、接点部がより安定的かつ確実に開閉動作できるようになり、より信頼性の高い電磁継電器が得られる。
【0007】
上記態様において、前記接続部が、前記可動ばねとは別部品として前記1対の可動ばねに取り付けられる導電片である構成とすることができる。
【0008】
上記態様において、前記導電片が、前記可動接点を通る前記軸線に平行に延びる中心軸線を有するとともに該中心軸線に対して非対称の形状を有する構成とすることができる。
【0009】
上記態様において、前記電磁石部が2つの電磁コイルを備える構成とすることができる。
【0010】
上記態様において、前記可動ばねの基端が前記ベースから延出する端子を備える構成とすることができる。
【0011】
上記態様において、前記電磁石部は、前記ベースから延出するコイル端子を備え、前記接点部は、前記ベースから、前記コイル端子よりも長く延出する負荷側端子を備える構成とすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様によれば、電磁継電器における接点部の開閉動作を安定的かつ確実に行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る電磁継電器の斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る電磁継電器の側面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る電磁継電器を底部側から見た斜視図である。
【図4】本発明の実施形態に係る電磁継電器のベースをカードとともに示す斜視図である。
【図5】本発明の実施形態に係る電磁継電器のカードを後面側から示す斜視図である。
【図6】本発明の実施形態に係る電磁継電器の可動ばねの被押圧部について説明するための正面図である。
【図7】本発明の実施形態に係る電磁継電器の可動ばねの被押圧部について説明するための斜視図である。
【図8】変形例に係る可動ばねを示す斜視図である。
【図9】本発明の実施形態に係る電磁継電器を用いた回路構成の例を説明するための斜視図である。
【図10】従来の電磁継電器における可動ばねの被押圧部について説明するための参考図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。複数の図面又は複数の実施形態にわたって共通して用いられる同一の部材には、同一の参照符号が付与されている。図面の視認性を高めるため、各部材間の縮尺は適宜変更されている場合がある。また、以下の説明において、構成部品などの位置関係又は方向性を特定して記載する場合があるが、これら記載は、特別に言及される場合を除き、特定の実施形態を説明するために図示された位置関係を基準にして便宜上用いられるにすぎず、実際の使用態様及び各部品の組付けの態様などを何ら限定するものではない。
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係る電磁継電器10の斜視図であり、図2は、本発明の実施形態に係る電磁継電器10の側面図であり、図3は、本発明の実施形態に係る電磁継電器10を底部側から見た斜視図である。電磁継電器10は、電磁石部12と、電磁石部12の磁気的作用を受けて作動する作動部14と、作動部14が作動するのに従って開閉動作する接点部16とを備えている。電磁継電器10は樹脂製のベース18を備えており、このベース18上に電磁石部12、作動部14及び接点部16がそれぞれ保持されている。ベース18は、図示されない同じく樹脂製のカバーとともに電磁継電器10のハウジングを形成する。カバーはハウジングの上面を形成する上壁と、上壁の周縁から概ね鉛直下方に延びる周壁とから構成されている。カバーは底部側において開口しており、ベース18に組み付けられた状態で、ベース18に保持された各構成要素を包囲するような形状になっている。図示される実施形態においては、ベース18の側面に形成された突起状の係合部20がカバーの側壁下端に形成された凹部又は嵌合孔に嵌合することにより、ベース18とカバーとが組み立てられるようになっている。
【0016】
図4は、本発明の実施形態に係る電磁継電器10のベース18をカード40(後述する)とともに示す斜視図である。ベース18は、電磁継電器10の底部を形成する概ね平板状の平板部18aと、平板部18aから鉛直方向に概ね円筒状に延在する1対の円筒部18bとから主として構成される。円筒部18bは、その上端において開口する開口部22を通って挿入される円柱状の鉄心(下端部34のみ図3に示される)を受容できる内部空間を画定している。円筒部18bの上端には、ガイド壁24が円筒部18bと一体に形成され、又は別部品として組み付けられる。
【0017】
再び図1〜図3を参照すると、電磁石部12は、前述した図示されない鉄心と、鉄心の周りに形成される電磁コイル26と、鉄心の下端部34に係合して磁路を形成する継鉄28とから主として構成される。図示される実施形態において、電磁石部12は、ベース18上に並置された、同一の部品群から構成される1対のユニットを備えており、各ユニットが電磁コイル26を備えている。電磁コイル26は、鉄心の周り、すなわち円柱部18bの周りに電線が巻き付けられることにより形成されている。電磁コイル26を形成する電線の両端は、ベース18を概ね鉛直方向に貫通して延在するコイル端子30に固着されている。コイル端子30は、電磁石部12に電力を供給するための励磁端子として作用する。したがって、電磁石部12は、コイル端子30を介して給電されると磁界を発生する電磁石として作用する。継鉄28は、一体的に形成される水平片28a及び鉛直片28bを有する磁性体であり、側面視でL字状の形状を有している。水平片28aは組付状態において水平方向に延在するとともに、係合孔32を画定しており、鉄心の下端部34を受容するようになっている(図3参照)。鉛直片28bは、鉛直片28bの一方の縁部から概ね鉛直方向に延在している。
【0018】
作動部14は、電磁石部12の磁気的作用を受けて作動し、後述する接点部16の可動接点58を移動させる機能を有する。作動部14は、板ばね36を介在させることにより継鉄28に対して揺動可能に取り付けられた接極子38と、接極子38の動作に従って後述する可動ばね56を押圧するカード40とから主として構成される。接極子38は、図1に示されるように接触板部38aと押圧板部38bとからなり、接触板部38a及び押圧板部38bは、それらの間に鈍角を形成するように一体に連結されている。図示される実施形態においては、1対の接極子38が設けられており、1対の電磁コイル26とそれぞれ協働するように対応して設置されている。接極子38は、接触板部38aと押圧板部38bとが結合する個所において、継鉄28の上端の縁部に沿って当接しており、この縁部を支点として回動できるようになっている。
【0019】
カード40は、可動ばね56を押圧するように前面40aから突出して形成される押圧部50と、後面40bから接極子38に向かって突出して形成される突出片48とを有している。また、カード40には、その両側縁から下方に延在する1対の脚部42に嵌合孔44がそれぞれ形成されている。他方、ベース18にはこの嵌合孔44に嵌合する嵌合突起46がベース18の側縁に向かって突出しており(図4参照)、これら嵌合突起46をカード40の嵌合孔44に嵌合させることによって、カード40がベース18に対して揺動可能に取り付けられる。
【0020】
図5は、カード40を背面40b側から示す斜視図である。図示されるように、接極子38に対向するカード40の背面40bには、概ね水平方向に延在する1対の突出片48が所定間隔に形成されている。これら突出片48は、突出片48に対向する個所において接極子38に形成される貫通孔又は凹所に係合できるようになっている。カード40の突出片48が形成された後面40bとは反対側の前面40aには、後述する可動ばね56を押圧する押圧部50が突出して形成されている。押圧部50によって可動ばね56を押圧する態様については、より詳細に後述する。
【0021】
以上のとおり、作動部14は、接極子38が前述したように回動するのに従って、カード40がベース18に対して揺動し、カード40の押圧部50を介して可動ばね56を押圧するように構成されている。
【0022】
接点部16は、ベース18に対して固定された1対の平行な固定板52と、それら固定板52の末端にそれぞれ設けられた1対の固定接点54と、ベース18に対して揺動可能に取り付けられた1対の平行な可動ばね56と、それら可動板56の末端にそれぞれ設けられた1対の可動接点58と、1対の可動ばね56の間に延在していて、1対の可動接点58を互いに電気的に接続する接続部とを備えている。固定板52は、その基端部がベース18の取付孔60に挿入された状態でベース18に対して概ね直立して固定されている。固定板52の末端には、リベット状の固定接点54が、固定板52の表面から可動接点58に対向して突出するように設けられている。可動ばね56は、固定板52から所定間隔をおいて対向して取り付けられている。可動ばね56の末端には、固定接点52と同様に可動ばね56の表面から突出するようにしてリベット状の可動接点58が設けられている。図示される実施形態において、1対の可動接点58を互いに電気的に接続する接続部は、可動ばね56とは別部品として1対の可動ばね56に取り付けられる導電片62である。導電片62は、可動接点58によって、可動ばね56に対して固着されており、この導電片62を介して可動接点58どうしが電気的に接続されている。このように、導電片62を可動ばね56とは別部品として形成すると、例えば接点部16を通る特定の負荷電流の目標値に応じて導電片62の寸法を変更することができるので、設計の自由度が増すようになる。図示されない別の実施形態において、1対の可動ばねと、1対の可動接点を互いに電気的に接続する接続部とを1つの部品として一体形成してもよい。この場合は、導電片62のような部品を取り付ける作業が不要になるとともに、部品点数が減るのでコスト低減につながる。
【0023】
図示される実施形態において、各可動ばね56の基端側において、固定板52から離間する方向へU字状に湾曲する湾曲部64を有している(図7参照)。湾曲部64を有する可動ばね56は、例えば真直の板材の場合と比較して、より小さい力でも固定板52に向かって曲げ変形させられるので有利である。さらに、図示される実施形態のように、可動ばね56の基端部からベース18を貫通して下方に延長形成される第1の端子66を設ける場合には、これら第1の端子66と、固定板52から延長される第2の端子68との距離を十分に確保できるようになる。それにより、第1の端子66と第2の端子68とが不意に接触して、回路が短絡することを確実に防止できる。したがって、電磁継電器10を支持基板(図示せず)などに取り付ける作業に際して効率が向上する。なお、図1において、可動ばね56の基端部は、この基端部を周囲から絶縁するとともに異物の付着又は機械的損傷から保護する保護カバー70内に収容されているため視認できない。
【0024】
続いて、この実施形態に係る電磁継電器10の開閉動作について説明する。外部から電力供給を受けていない状態では、可動接点58が固定接点54から離間されており(図1及び図2参照)、接点部16を経由する電流経路は遮断されている。電磁継電器10は、このような状態からコイル端子30を介して電磁石部12の電磁コイル26に給電すると、接点部16が導通するようになる。そして、電磁コイル26への給電を停止すると、再び接点部16が開放されて電流経路が遮断されるようになっている。
【0025】
電磁コイル26に対する給電はコイル端子30を介して行われ、電磁コイル26及び鉄心の周りに磁界が生成される。図3に示されるようにベース18の下面からコイル端子30が延出しており、例えばこれらコイル端子30を支持基板(図示せず)の所定の受容部に差し込むことによって外部電力源に電気的に接続できるようになっている。このようにして磁界を発生させると、接極子38に対して引力が作用し、接極子38が継鉄28の上端を支点として反時計回りに回動して、接極子38の接触板部38aが鉄心の上端に接触するようになる。そして、接極子38の押圧板部38bに当接するカード40の突出片48は、接極子38が回動するのに従って押圧される。可動ばね56に対向するカード40の前面40aには、前述したように可動ばね56を押圧する押圧部50が形成されている。したがって、カード40が接極子38によって押圧されて揺動すると、可動ばね56が固定板52に向かって、可動接点58が固定接点54に接触するまで曲げ変形するようになっている。
【0026】
本発明の実施形態においては、図6及び図7において破線で表わされるように、カード40から受ける押圧力が被押圧部Xのみに作用するようになっている。すなわち、前記作動部14は、1対の可動ばね56の、1対の可動接点58(図6及び図7においては、固定接点54に接触する部分とは反対側のみが見えている)を通る長手方向の軸線Y−Yの間に画定される領域よりも内側の領域のみを押圧して、可動接点58と固定接点54との間の接触動作が行われるようになっている。したがって、接点部16の閉塞動作がより円滑に行われるようになる。
【0027】
この本発明の作用効果について図6,図7及び図10を参照して説明する。図6は、本発明の実施形態に係る電磁継電器10の可動ばね56の被押圧部Xについて説明するための正面図であり、図7は、本発明の実施形態に係る電磁継電器10の可動ばね56の被押圧部Xについて説明するための斜視図である。図10は、従来の電磁継電器における可動ばね100,102の被押圧部X’について説明するための参考図である。先ず、参考例の可動ばね100,102について説明する。これら可動ばね100,102は、図10に示されるように、可動接点104,106を通るそれぞれの軸線Y−Yを越えて延在する領域(被押圧部X’)にわたって押圧力を受けるようになっている。ところで、電磁継電器の接点部を導通させる過程において、1対の可動接点104,106は、それぞれ対応する固定接点に完全に同時に接触するのではなく、一方の可動接点104が対応する固定接点に接触した後にわずかに遅れて、他方の可動接点106が対応する固定接点に接触する場合がある。このような場合、先に接触した可動接点104は、固定接点に接触した後においても被押圧部X’の領域にわたってカードの押圧力を受け続けることになる。そうすると、参考例の可動ばね100には、先に接触した可動接点104を支点として可動ばね100,102を回転させようとする力のモーメントが発生し、他方の可動ばね102に対して、可動接点106を対応する固定接点から離間させようとする力が作用する。このことは、被押圧部X’の、可動ばね100の軸線Yの外側に対して作用する押圧力に関して特に顕著である。その結果、他方の可動接点106を固定接点に接触させるためにより大きな動力が必要になったり、接点部の導通が遅延するなど、電磁継電器の動作が不安定になる。
【0028】
しかしながら、図6及び図7に示されるような本発明の実施形態によれば、可動ばね56の被押圧部Xが、可動接点58を通る軸線Y−Yによって画定される領域の内側のみに延在している。したがって、一方の可動接点58が対応する固定接点54に先に接触しても、その可動接点58を支点とする力のモーメントは発生しない。その結果として、接点部16の開閉動作がより安定的かつ確実に行われる。
【0029】
例えば、図示された実施形態において、可動ばね56の横幅をa、1対の可動ばね56の間の間隙をb、被押圧部Xの横幅をcとすると(図7)、これらの寸法比がa:b:c=5:3:4になるように構成される。したがって、この例において、押圧力が実際に作用するのは、可動ばね56の内側の縁部から可動ばね56の横幅aの1/10の範囲のみである。当然ながら、この寸法比は単なる一例であるため、これを適宜変更することができることはいうまでもない。すなわち、前述したような軸線Yを支点とする力のモーメントが発生しない範囲、又はこの力のモーメントを無視できる程度に抑えられる範囲であればよい。
【0030】
以上、接点部16を導通させる動作について説明した。接点部16を再び開放する場合は、電磁石部12への給電を停止する。電磁石部12への給電が停止されると、電磁石部12と作動部14との間に作用していた引力が消失する。他方、継鉄28と接極子38との間に介在する板ばね36は、その復元力によってカード40を、接点部16を開放させる方向に付勢している。したがって、カード40は、電磁石部12への給電停止後、速やかに給電前の位置に戻り、それとともに可動接点58が固定接点54から離間され、接点部16が開放される。
【0031】
図8は、前述した可動ばねの変形例に係る可動ばね72を示す斜視図である。可動ばね72は、導電片74が異なる形状を有する点を除き、前述した可動ばね56と同様に構成可能である。この変形例に係る導電片74は、可動接点76を通る軸線に平行に延びる中心軸線Y’に対して非対称の形状を有している。図示される実施形態においては、導電片74の一方の縁部に切欠き78が形成されている。このように非対称の形状の可動ばね72を採用することによって、導電片74を可動ばね72に組み付ける際に組付方向が明確になるため、作業効率が向上する。
【0032】
図9は、本発明の実施形態に係る電磁継電器10を用いた回路構成の例を説明するための斜視図である。電磁継電器10は、図3に関連して前述したように、第1の端子66がベース18から延出している。すなわち、可動ばね56の基端がベース18から延出する端子66を備えている。これら固定接点54及び可動接点58がベース18から延出する端子66,68をそれぞれ備えることによって、電磁継電器10によって開閉される1対の接点が、互いに並列になるようにして負荷回路80に接続できる。このように接点部16を並列に構成すると、各接点における接触抵抗が小さくなり、結果として発熱量も抑制できるため、接点部16、ひいては電磁継電器10の耐久性を向上させることができる。
【0033】
なお、電磁石部12は、ベース18から延出するコイル端子30を備え、接点部16は、ベース18から、コイル端子30よりも長く延出する負荷側端子(例えば第1の端子66又は第2の端子68)を備える構成とするのが好ましい。この構成によれば、これら負荷側端子を支持基板(図示せず)に実装する際の作業効率が向上する。すなわち、固定板52又は可動ばね56の板厚に比較して、これらの基端から延びる端子は肉厚が大きく、支持基板(図示せず)に実装する際に半田付けの強度を高める必要がある。そのために半田付けの温度を高くすることが考えられるが、端子を長く延出させておくことによって、加熱対象範囲が拡がるので加熱作業が容易になる。
【0034】
以上、接点のセットの数に対応して2つの電磁コイル26を備えた構成の実施形態について説明した。しかしながら、1つのみの電磁コイル26によって十分な動力が得られる場合には、1つの電磁コイル26を2つの可動ばね56のために兼用してもよい。
【符号の説明】
【0035】
10 電磁継電器
12 電磁石部
14 作動部
16 接点部
18 ベース
26 電磁コイル
30 コイル端子
38 接極子
40 カード
50 押圧部
52 固定板
54 固定接点
56,72 可動ばね
58,76 可動接点
62,74 導電片
64 湾曲部
66 第1の端子
68 第2の端子
X 被押圧部
Y 軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁石部と、該電磁石部の磁気的作用を受けて作動する作動部と、該作動部が作動するのに従って開閉動作する接点部と、該電磁石部、該作動部及び該接点部を保持するベースとを備える電磁継電器において、
前記接点部は、前記ベースに対して固定される1対の平行な固定板と、それら固定板の末端にそれぞれ設けられる1対の固定接点と、前記ベースに対して揺動可能に取り付けられる1対の平行な可動ばねと、それら可動ばねの末端にそれぞれ設けられる1対の可動接点と、前記1対の可動ばねの間に延在していて、前記1対の可動接点を互いに電気的に接続する接続部とを備え、
前記作動部は、前記1対の可動ばねの、前記1対の可動接点を通る長手方向のそれぞれの軸線の間に画定される領域よりも内側の領域のみを押圧して、前記接点部を閉塞動作させる、電磁継電器。
【請求項2】
前記接続部が、前記可動ばねとは別部品として前記1対の可動ばねに取り付けられる導電片である、請求項1に記載の電磁継電器。
【請求項3】
前記導電片が、前記可動接点を通る前記軸線に平行に延びる中心軸線を有するとともに該中心軸線に対して非対称の形状を有する、請求項2に記載の電磁継電器。
【請求項4】
前記電磁石部が2つの電磁コイルを備える、請求項1から3のいずれか1項に記載の電磁継電器。
【請求項5】
前記可動ばねの基端が前記ベースから延出する端子を備える、請求項1から4のいずれか1項に記載の電磁継電器。
【請求項6】
前記電磁石部は、前記ベースから延出するコイル端子を備え、
前記接続部は、前記ベースから、前記コイル端子よりも長く延出する負荷側端子を備える、請求項1から5のいずれか1項に記載の電磁継電器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−54846(P2013−54846A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−190630(P2011−190630)
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(501398606)富士通コンポーネント株式会社 (848)