説明

電磁誘導加熱装置

【課題】 流体を効率よく加熱するのに適した電磁誘導加熱装置を得る。
【解決手段】 内部を流体通路2とした非磁性体からなる筒体3の周囲に電磁誘導用コイル4を巻装し、筒体3内には前記電磁誘導用コイル4により発生する磁束の透過により発熱する発熱体7を、前記流体を通過させる空間Eを空けて配置し、筒体3内に流体を送り込み、この流体と電磁誘導用コイル4に発生した磁束の透過により発生するジュール熱で発熱した発熱体7とを熱交換させて前記流体を加熱するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体を効率よく加熱するのに適した電磁誘導加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、巻線に交流電流を流し、発生する磁束が近傍に配置した発熱体を透過することにより、発熱体に渦電流が流れて発生したジュール熱を熱源として利用する電磁誘導加熱装置が多方面で使用されている。
【0003】
例えば、円筒体の周囲に電磁誘導用コイルを巻装し、円筒体内に鋼鈑と未加硫ゴム層の積層体を収容して、前記巻線に交流電流を流し、発生する磁束が前記鋼鈑を透過することにより鋼鈑に渦電流が流れて発熱し、鋼鈑に発生した熱により未加硫ゴム層を加熱するようにした電磁誘導加熱装置が開示されている(特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平11−170272号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の電磁誘導加熱装置で、発熱体により流体を直接加熱する電磁誘導加熱装置は知られておらず、流体の加熱、例えば、温水、熱風、過熱蒸気等の生成には、石油、ガス等の燃焼による加熱手段を内容とする加熱装置が多く使用されていた。しかし、電磁誘導加熱装置は前記のような石油、ガス等の燃焼を加熱手段とする加熱装置に比べ、小型化が図れ、安全性が高く、また取り扱いが容易であり、温度制御に優れていることから、流体の加熱手段として利用することが望まれる。
本発明者等はかかる点に鑑み、流体を効率よく加熱できる電磁誘導加熱装置について研究を重ね本発明を完成するに至った。
【0005】
即ち、本発明の目的とするところは、流体を効率よく加熱するのに適した電磁誘導加熱装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための本発明の構成を説明すると、下記の通りである。
請求項1に記載の発明は、内部を流体通路とした非磁性体からなる筒体の周囲に電磁誘導用コイルが巻装され、筒体内には前記電磁誘導用コイルにより発生する磁束の透過により発熱する発熱体が、前記流体を通過させる空間を空けて配置されていることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の、前記発熱体の前記電磁誘導用コイルにより発生する磁束に交差する交差面の面積が、前記筒体の内径断面積の、少なくとも30%以上であることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の、前記発熱体は、前記筒体内に僅かに隙間を空けて挿入可能な形状に形成された板体であって、板厚方向に貫通し流体を通過させる空間となる孔が多数形成された複数の有孔発熱板で構成され、該有孔発熱板は前記筒体内に、板面が前記磁束に交差する交差面となるように磁束に交差する向きで筒体の長手方向に配置されていることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の、前記発熱体は帯状発熱板からなり、該帯状発熱板には長手方向に交差するようにジグザグに折曲されて複数の折曲板部が形成され、前記帯状発熱板は前記筒体内に、折曲板部の板面が前記磁束に交差する交差面となるように磁束に交差する向きで配置されていることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項2に記載の、前記発熱体はメッシュ材を巻回して束ねたメッシュ状発熱体からなり、該メッシュ状発熱体は前記筒体内に、その端面が前記磁束に交差する交差面となるように磁束に交差する向きで配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、下記のような効果を得ることができる。
請求項1に記載の電磁誘導加熱装置によれば、内部を流体通路とした非磁性体からなる筒体の周囲に電磁誘導用コイルが巻装され、筒体内には前記電磁誘導用コイルにより発生する磁束の透過により発熱する発熱体が配置されているので、電磁誘導用コイルに発生した磁束が筒体内に配置されている発熱体を透過することにより発熱体に渦電流が流れて発生するジュール熱で発熱体が発熱し、また、前記発熱体は筒体内における流体を通過させる空間を空けて配置されているので、筒体内に流体を送り込むことにより、この流体は筒体内における空間を通過し、この空間を通過する流体を、前記発熱した発熱体により加熱することができ、しかも、前記流体は、直接発熱した発熱体と接触して熱交換し加熱されるので、効率よく加熱することができる。
更には、流体を加熱する加熱装置として、他の加熱手段を用いた加熱装置に比べ、小型化が図れ、安全性が高く、また取り扱いが容易であり、温度制御に優れている。
【0012】
請求項2に記載の電磁誘導加熱装置によれば、請求項1に記載した電磁誘導加熱装置の、前記発熱体の前記電磁誘導用コイルにより発生する磁束に交差する交差面の面積が、前記筒体の内径断面積の、少なくとも30%以上であるので、電磁誘導用コイルに発生した磁束の多くが発熱体を透過することになり、発熱体に大量の渦電流が流れ、発生するジュール熱も高温となる結果、発熱体に発熱が得られ、流体を加熱することができる。そして、前記発熱体の交差面の面積を筒体の内径断面積に近づけることにより、発熱体の耐熱温度までの昇温を可能とすることができ、流体をより一層の高温で加熱することができるものとなる。
【0013】
請求項3に記載の電磁誘導加熱装置によれば、請求項2に記載した電磁誘導加熱装置の、前記発熱体は、前記筒体内に僅かに隙間を空けて挿入可能な形状に形成された板体であって、板厚方向に貫通し流体を通過させる空間となる孔が多数形成された複数の有孔発熱板で構成され、該有孔発熱板は前記筒体内に、板面が前記磁束に交差する交差面となるように磁束に交差する向きで筒体の長手方向に配置されているので、電磁誘導用コイルに発生した磁束の多くが各有孔発熱板を透過することになり、各有孔発熱板に大量の渦電流が流れ、発生するジュール熱も高温となる結果、各有孔発熱板の耐熱温度までの昇温を可能とすることができる。
【0014】
そして、前記各有孔発熱板には板厚方向に貫通し流体を透過する孔が多数形成されているので、筒体内に送り込まれた流体は、前記各有孔発熱板に形成されている孔、各有孔発熱板の間及び各有孔発熱板と筒体との隙間等で形成される空間を通過し、この空間を通過する流体を前記発熱し高温となっている各有孔発熱板で加熱することができ、そして前記複数の有孔発熱板の表面積が大きく、流体との接触面積が大きいので、流体を一層効率良く加熱することができるものとなる。
【0015】
請求項4に記載の電磁誘導加熱装置によれば、請求項2に記載した電磁誘導加熱装置の、前記発熱体は帯状発熱板からなり、該帯状発熱板には長手方向に交差するようにジグザグに折曲されて複数の折曲板部が形成され、前記帯状発熱板は前記筒体内に、折曲板部の板面が前記磁束に交差する交差面となるように磁束に交差する向きで配置されているので、電磁誘導用コイルに発生した磁束の多くが帯状発熱板に形成されている複数の折曲板部を透過することになり、各折曲板部に大量の渦電流が流れ、発生するジュール熱も高温となる結果、帯状発熱板の耐熱温度までの昇温を可能とすることができる。
【0016】
そして、前記筒体内に送り込まれた流体は、帯状発熱板に形成されている各折曲板部の間及び帯状発熱板と筒体との隙間等で形成される空間を通過し、この空間を通過する流体を前記発熱し高温となっている帯状発熱板で加熱することができ、そして前記帯状発熱板の表面積が大きく、流体との接触面積が大きいので、流体を一層効率良く加熱することができるものとなる。
【0017】
請求項5に記載の電磁誘導加熱装置によれば、請求項2に記載した電磁誘導加熱装置の、前記発熱体はメッシュ材を巻回して束ねたメッシュ状発熱体からなり、該メッシュ状発熱体は前記筒体内に、その端面が前記磁束に交差する交差面となるように磁束に交差する向きで配置されているので、電磁誘導用コイルに発生した磁束の多くがメッシュ状発熱体の端面を透過することになり、メッシュ状発熱体に大量の渦電流が流れ、発生するジュール熱も高温となる結果、メッシュ状発熱体の耐熱温度までの昇温を可能とすることができる。
【0018】
そして、前記メッシュ状発熱体は全体に隙間を有しているので、筒体内に送り込まれた流体はメッシュ状発熱体の隙間及びメッシュ状発熱体と筒体との隙間等で形成される空間を通過し、この空間を通過する流体は前記発熱し高温となっているメッシュ状発熱体で加熱することができ、そして前記メッシュ状発熱体の表面積が大きく、流体との接触面積が大きいので、流体を一層効率よく加熱することができるものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係る電磁誘導加熱装置を実施するための最良の形態の一例を図面により詳細に説明する。
【0020】
図1乃至図3は、本発明に係る電磁誘導加熱装置の実施の形態の第1例を示すものであり、図1は本例の電磁誘導加熱装置を示す説明図、図2は図1に示す電磁誘導加熱装置の要部縦断面図、図3は発熱体を構成する有孔発熱板を示す斜視図である。
【0021】
本例の電磁誘導加熱装置1は、内部を流体通路2とした非磁性体からなる筒体3の周囲に電磁誘導用コイル4が巻装されており、電磁誘導用コイル4には、電源5で給電された電流が発振回路6の発振出力に従って流されるようになっている。前記非磁性体からなる筒体3は、本例ではセラミック製となっているが、これに限定されるものではない。また、前記筒体3の一方の開口部は、流体の流体供給管(図示せず)に接続し、他方の開口部は加熱流体取出管(図示せず)に接続されている。
【0022】
この筒体3内には前記電磁誘導用コイル4により発生する磁束Mの透過により発熱する発熱体7が、前記筒体3に送り込まれた流体を通過させる空間Eを空けて配置されている。発熱体7にあっては、磁性金属体、非磁性金属体のいずれでもよく、特に限定されない。
【0023】
この発熱体7は、前記電磁誘導用コイル4により発生する磁束Mに交差する交差面Sの面積が、前記筒体3の内径断面積の、少なくとも30%以上であることが好ましい。発熱体7の磁束Mに交差する交差面Sの面積が、前記筒体3の内径断面積の30%以上であると、電磁誘導用コイル4に発生した磁束Mの多くが発熱体7を透過することになり、発熱体7に大量の渦電流が流れ、発生するジュール熱も高温となる結果、発熱体7に高温発熱が得られるからである。そして、前記発熱体7の交差面Sの面積を筒体3の内径断面積に近づけることにより、発熱体7の耐熱温度までの昇温を可能とすることができるものとなる。
【0024】
また、発熱体7の磁束Mに交差する交差面Sは、電磁誘導用コイル4により発生する磁束Mに直交していることが好ましい。このようにすると、電磁誘導用コイル4により発生する磁束Mが透過する発熱体7に、より効果的に渦電流が流れるものとなる。
【0025】
本例では、前記発熱体7は、前記筒体3内に僅かに隙間を空けて挿入可能な形状に形成された板体であって、板厚方向に貫通し流体を通過させる空間Eとなる孔8が多数形成された複数の有孔発熱板9で構成されている。有孔発熱板9の板面の面積は、前記筒体3の内径断面積の77%となっている。この複数の有孔発熱板9は、相互間に所定の間隔をあけて連結部材10で相互に連結されている。隣接する有孔発熱板9の間隔を保持するためにスペーサ11を介在させて連結することが好ましい。
【0026】
このように構成された発熱体7となる複数の有孔発熱板9は、前記筒体3内に、板面が前記磁束Mに直交する交差面Sとなるように磁束Mに直交する向きで筒体3の長手方向に配置されている。
【0027】
このように構成した本例の電磁誘導加熱装置1では、電源5から発振回路6の発振出力に従った電流を電磁誘導用コイル4に流すと、電磁誘導用コイル4に発生した磁束Mが筒体3内に流れ、筒体3内に配置されている発熱体7を透過することにより発熱体7に渦電流が流れて発生するジュール熱で発熱体7が発熱する。
【0028】
このとき、前記発熱体7は、前記筒体3内に僅かに隙間を空けて挿入可能な形状に形成された板体であって、板厚方向に貫通し流体を通過させる空間Eとなる孔8が多数形成された複数の有孔発熱板9で構成され、該有孔発熱板9は前記筒体3内に、板面が前記磁束Mに直交する交差面Sとなるように磁束Mに直交する向きで筒体3の長手方向に配置されているので、前記電磁誘導用コイル4に発生した磁束Mの多くが各有孔発熱板9を透過することになり、各有孔発熱板9に大量の渦電流が流れ、発生するジュール熱も高温となり、各有孔発熱板9の耐熱温度までの昇温が可能となる。
【0029】
そして、前記各有孔発熱板9には板厚方向に貫通し流体を透過する孔8が多数形成されているので、流体供給管から筒体3内に送り込まれた流体は、前記各有孔発熱板9に形成されている孔8、各有孔発熱板9の間及び各有孔発熱板9と筒体3との隙間等で形成される空間Eを通過し、前記発熱し高温となっている各有孔発熱板9で加熱される。このとき、前記複数の有孔発熱板9の表面積が大きく、流体との接触面積が大きいので、流体は一層効率良く加熱され、加熱流体取出管から取り出される。
【0030】
例えば、本例の電磁誘導加熱装置を、飽和蒸気を加熱して高温の過熱蒸気を発生させる過熱蒸気発生装置として使用する場合、前記発熱体7を耐熱温度1000℃の金属を使用することで、1000℃の過熱蒸気を発生させることができる。
【0031】
図4、図5は本発明に係る電磁誘導加熱装置の実施の形態の第2例を示すものであり、図4は本例の電磁誘導加熱装置の要部縦断面図、図5は本例の発熱体を構成する帯状発熱板を示す斜視図である
本例の電磁誘導加熱装置1は、発熱体7の構成以外は前記第1例と同様の構成となっている。本例の発熱体7は帯状発熱板12からなり、該帯状発熱板12には長手方向に交差するようにジグザグに折曲されて複数の折曲板部13が形成されている。この折曲板部13の板面の面積は、前記筒体3の内径断面積の62%となっている。
【0032】
前記帯状発熱板12は前記筒体3内に、前記各折曲板部13の板面が前記磁束Mに直交する交差面Sとなるように磁束Mに直交する向きで、且つ前記筒体3に送り込まれた流体を通過させる空間Eを空けて配置されている。
【0033】
このように構成した本例の電磁誘導加熱装置1では、電源5から発振回路6の発振出力に従った電流を電磁誘導用コイル4に流すと、電磁誘導用コイル4に発生した磁束Mが筒体3内に流れ、筒体3内に配置されている発熱体7を透過することにより発熱体7に渦電流が流れて発生するジュール熱で発熱体7が発熱する。
【0034】
このとき、前記発熱体7は、長手方向に直交するようにジグザグに折曲されて複数の折曲板部13が形成された帯状発熱板12で構成され、帯状発熱板12は前記筒体3内に、前記各折曲板部13の板面が前記磁束Mに直交する交差面Sとなるように磁束Mに直交する向きで配置されているので、電磁誘導用コイル4に発生した磁束Mの多くが帯状発熱板12に形成されている複数の折曲板部13を透過することになり、各折曲板部13に大量の渦電流が流れ、発生するジュール熱も高温となる結果、帯状発熱板12の耐熱温度までの昇温を可能とすることができる。
【0035】
そして、前記帯状発熱板12は筒体3内に、流体を通過させる空間Eを空けて配置されているので、流体供給管から前記筒体3内に送り込まれた流体は、帯状発熱板12に形成されている各折曲板部13の間及び帯状発熱板12と筒体3との隙間等で形成される空間Eを通過し、前記発熱し高温となっている帯状発熱板12で加熱される。このとき、前記帯状発熱板12の表面積が大きく、流体との接触面積が大きいので、流体は一層効率良く加熱され、加熱流体取出管から取り出される。
【0036】
図6、図7は本発明に係る電磁誘導加熱装置の実施の形態の第3例を示すものであり、図6は本例の電磁誘導加熱装置の要部縦断面図、図7は本例の発熱体を構成するメッシュ状発熱体を示す斜視図である。
【0037】
本例の電磁誘導加熱装置1は、発熱体7の構成以外は前記第1例と同様の構成となっている。本例の発熱体7はメッシュ材を巻回して束ねたメッシュ状発熱体14で構成されている。このメッシュ状発熱体14の端面15の面積は、前記筒体3の内径断面積の30%となっている。
【0038】
前記メッシュ状発熱体14は前記筒体3内に、その端面15が前記磁束Mに直交する交差面Sとなるように磁束Mに直交し、且つ前記筒体3に送り込まれた流体を通過させる空間Eを空けて配置されている。
【0039】
このように構成した本例の電磁誘導加熱装置1では、電源5から発振回路6の発振出力に従った電流を電磁誘導用コイル4に流すと、電磁誘導用コイル4により発生した磁束Mが筒体3内に流れ、筒体3内に配置されている発熱体7を透過することにより発熱体7に渦電流が流れて発生するジュール熱で発熱体7が発熱する。
【0040】
このとき、前記発熱体7は、メッシュ材を巻回して束ねたメッシュ状発熱体14で構成され、メッシュ状発熱体14は前記筒体3内に、その端面15が前記磁束Mに直交する交差面Sとなるように磁束Mに直交する向きで配置されているので、電磁誘導用コイル4に発生した磁束Mの多くがメッシュ状発熱体14の端面15を透過することになり、メッシュ状発熱体14に大量の渦電流が流れ、発生するジュール熱も高温となる結果、メッシュ状発熱体14の耐熱温度までの昇温を可能とすることができる。
【0041】
そして、前記メッシュ状発熱体14は筒体3内に、流体を通過させる空間Eを空けて配置されているので、流体供給管から前記筒体3内に送り込まれた流体は、メッシュ状発熱体14の隙間及びメッシュ状発熱体14と筒体3との隙間等で形成される空間Eを通過し、前記発熱し高温となっているメッシュ状発熱体14で加熱される。このとき、前記メッシュ状発熱体14の表面積が大きく、流体との接触面積が大きいので、流体は一層効率良く加熱され、加熱流体取出管から取り出される。
【0042】
以上のように、本発明に係る電磁誘導加熱装置は、流体の加熱装置として優れた効果を有するものであり、例えば、本例の電磁誘導加熱装置を、飽和蒸気を加熱して高温の過熱蒸気を発生させる過熱蒸気発生装置として使用する場合、前記発熱体7を耐熱温度1000℃の金属を使用することで、1000℃の過熱蒸気を発生させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係る電磁誘導加熱装置の最良の形態の第1例を示す説明図。
【図2】図1に示す電磁誘導加熱装置の要部縦断面図。
【図3】図1に示す電磁誘導加熱装置における発熱体を構成する有孔発熱板を示す斜視図。
【図4】本発明に係る電磁誘導加熱装置の最良の形態の第2例を示す要部縦断面図。
【図5】図4に示す電磁誘導加熱装置における発熱体を構成する帯状発熱板を示す斜視図。
【図6】本発明に係る電磁誘導加熱装置の最良の形態の第3例を示す要部縦断面図。
【図7】図5に示す電磁誘導加熱装置における発熱体を構成するメッシュ状発熱体を示す斜視図。
【符号の説明】
【0044】
1 電磁誘導加熱装置
2 流体通路
3 筒体
4 電磁誘導用コイル
5 電源
6 発振回路
7 発熱体
8 孔
9 有孔発熱板
10 連結部材
11 スペーサ
12 帯状発熱板
13 折曲板部
14 メッシュ状発熱体
15 端面
M 磁束
E 流体を通過させる空間
S 磁束に交差する交差面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部を流体通路とした非磁性体からなる筒体の周囲に電磁誘導用コイルが巻装され、筒体内には前記電磁誘導用コイルにより発生する磁束の透過により発熱する発熱体が、前記流体を通過させる空間を空けて配置されていることを特徴とする電磁誘導加熱装置。
【請求項2】
前記発熱体の前記電磁誘導用コイルにより発生する磁束に交差する交差面の面積が、前記筒体の内径断面積の、少なくとも30%以上であることを特徴とする請求項1に記載の電磁誘導加熱装置。
【請求項3】
前記発熱体は、前記筒体内に僅かに隙間を空けて挿入可能な形状に形成された板体であって、板厚方向に貫通し流体を通過させる空間となる孔が多数形成された複数の有孔発熱板で構成され、該有孔発熱板は前記筒体内に、板面が前記磁束に交差する交差面となるように磁束に交差する向きで筒体の長手方向に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の電磁誘導加熱装置。
【請求項4】
前記発熱体は帯状発熱板からなり、該帯状発熱板には長手方向に交差するようにジグザグに折曲されて複数の折曲板部が形成され、前記帯状発熱板は前記筒体内に、折曲板部の板面が前記磁束に交差する交差面となるように磁束に交差する向きで配置されていることを特徴とする請求項2に記載の電磁誘導加熱装置。
【請求項5】
前記発熱体はメッシュ材を巻回して束ねたメッシュ状発熱体からなり、該メッシュ状発熱体は前記筒体内に、その端面が前記磁束に交差する交差面となるように磁束に交差する向きで配置されていることを特徴とする請求項2に記載の電磁誘導加熱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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