説明

電磁誘導加熱調理器に使用する土鍋

【課題】電磁誘導加熱調理器に使用することができ、容易に加工することができる土鍋を提供する。
【解決手段】土鍋は陶土と金属材料を混合し、焼成したものである。金属材料は電磁誘導で発熱する種類のものである。好ましい実施例では、土鍋は底壁1と周壁2からなる。そして、混合された陶土と金属材料で底壁が形成される。金属材料は金属繊維7からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電磁誘導加熱調理器に使用する土鍋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているように、電磁誘導加熱調理器に使用する土鍋がすでに提案されている。その土鍋では、まず、陶土で土鍋が焼成される。その後、土鍋に金属層が溶射され、形成される。したがって、金属層が電磁誘導で発熱するとのことであるが、土鍋に金属層を溶射することは容易ではない。
【0003】
一方、特許文献2,3に記載されているように、金属繊維によってフィルタを形成することもすでに提案されている。
【0004】
この発明は、金属繊維などの金属材料に着眼してなされたもので、電磁誘導加熱調理器に使用することができ、容易に加工することができる土鍋を提供することを目的とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−296161号公報
【特許文献2】特開平5−253418号公報
【特許文献3】特開平8−13232号公報
【発明の概要】
【0006】
この発明によれば、電磁誘導加熱調理器に使用する土鍋として特別の構成の土鍋が提供される。その土鍋は陶土と金属材料を混合し、焼成したものである。金属材料は電磁誘導で発熱する種類のものである。
【0007】
好ましい実施例では、土鍋は底壁と周壁からなる。そして、混合された陶土と金属材料で底壁が形成される。
【0008】
金属材料は金属繊維からなる。
【0009】
金属繊維は多角形状の断面をもつ。
【0010】
土鍋の底壁において、金属繊維は30〜40%の混合体積比率をもつ。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】Aはこの発明の実施例を示す断面図、BはAの底壁の拡大図である。
【図2】図1の土鍋の製造工程を示す説明図である。
【図3】他の製造工程を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明の実施例を説明する。
【0013】
図1はこの発明にかかる土鍋を示す。この土鍋は電磁誘導加熱調理器(IHクッキングヒータ)に使用するためのもので、陶土(粘土)と金属材料を混合し、焼成したものである。金属材料は電磁誘導で発熱する種類のものである。
【0014】
この実施例では、土鍋は底壁1と周壁2からなる。そして、混合された陶土と金属材料で底壁1が形成される。
【0015】
たとえば、図2に示すように、自動混合器3によって陶土と金属材料が攪拌され、混合され、混合後、陶土と金属材料が自動混合器3から取り出され、金型4、手または器具で陶土と金属材料が成型され、底壁1が形成される。さらに、金型、手または器具で陶土が成型され、周壁2が形成される。その後、水または固着剤で底壁1と周壁2が固着され、固着後、底壁1と周壁2が電気釜5に収容され、同時に焼成される。
【0016】
図3に示すように、自動混合器3によって陶土と金属材料を攪拌し、混合し、混合後、陶土と金属材料を自動混合器3から取り出し、金型6において、陶土と金属材料によって土鍋を成型してもよい。さらに、土鍋を成型するとき、金型6において、金属材料を底壁1に散布し、その金属材料に陶土を流し込み、底壁1で金属材料の混合量を増大させる。その後、土鍋を電気釜5に収容し、電気釜5によって土鍋を焼成してもよい。
【0017】
金属材料は金属繊維(金属ファイバ)7からなる。金属繊維7は短繊維であり、ステンレス鋼からなる。さらに、金属繊維7は多角形状の断面をもつ。
【0018】
たとえば、金属材料としてSUS430Fのステンレス鋼が使用され、特許文献2,3のものと同様、切削法または裁断法によってステンレス鋼が加工され、金属繊維7が得られる。金属繊維7は50μ〜2.5mmの繊維径のものであり、5〜500のアスペクト比(繊維長さ/繊維径)をもち、その断面は三角形状であり、正三角形状、二等辺三角形状または不等辺三角形状である。そして、混合された陶土と金属繊維7で底壁1が形成されるものである。
【0019】
土鍋の底壁1において、金属繊維7は30〜40%の混合体積比率をもつ。
【0020】
したがって、この土鍋を電磁誘導加熱調理器に使用すると、底壁1の金属繊維7が電磁誘導で発熱する。したがって、土鍋によって食品を調理することができる。
【0021】
この土鍋の場合、陶土と金属繊維7を混合し、底壁1を形成すればよく、特許文献1のもののように、土鍋に金属層を溶射する必要はない。その加工は容易である。
【0022】
しかも、金属繊維7によって土鍋が補強され、破損しにくい。さらに、金属繊維7は多角形状の断面をもつ。この場合、土鍋を大幅に補強することができる。特に、金属繊維7に三角形状の断面をもたせると、土鍋を大幅に補強することができ、土鍋は大きい強度をもつ。
【0023】
さらに、陶土と比較すると、金属繊維7の比重は大きく、コストは高いが、底壁1で金属繊維7の混合体積比率を高めればよく、周壁2で金属繊維7の混合体積比率を高める必要はない。したがって、土鍋の重量を最小限にとどめ、コストを最低限にとどめることができる。
【符号の説明】
【0024】
1 底壁
2 周壁
7 金属繊維

【特許請求の範囲】
【請求項1】
陶土と金属材料を混合し、焼成したものからなり、前記金属材料は電磁誘導で発熱する種類のものであることを特徴とする電磁誘導加熱調理器に使用する土鍋。
【請求項2】
底壁と周壁からなり、混合した陶土と金属材料で前記底壁を形成した請求項1に記載の土鍋。
【請求項3】
前記金属材料は金属繊維からなる請求項2に記載の土鍋。
【請求項4】
前記金属繊維は多角形状の断面をもつ請求項3に記載の土鍋。
【請求項5】
前記底壁において、金属繊維は30〜40%の混合体積比率をもつ請求項3または4に記載の土鍋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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