電磁超音波センサ及び電磁超音波検出システム
【課題】電磁超音波を用いて被計測物に係る計測を行う際に、簡易な構成で、被計測物が曲面形状を有する場合にも、その計測の精度の向上を実現する。
【解決手段】導体からなる被計測物K2に電磁超音波を送受信して被計測物K2に係る計測を行うための電磁超音波センサ100において、被計測物K2に対して磁界を発生する磁界発生部110と、計測を行う際に被計測物K2と接触し、磁界発生部110から発生させた磁界との相互作用により電磁超音波を生じさせる渦電流を被計測物K2の内部に発生させるために交流電流が通電されるコイル120と、磁界発生部110とコイル120との間に当該コイルに接して設けられ、コイル120が被計測物K2と接触した際にコイル120の表面が被計測物K2の表面形状に倣って接触するように変形するスペーサ部130を具備する。
【解決手段】導体からなる被計測物K2に電磁超音波を送受信して被計測物K2に係る計測を行うための電磁超音波センサ100において、被計測物K2に対して磁界を発生する磁界発生部110と、計測を行う際に被計測物K2と接触し、磁界発生部110から発生させた磁界との相互作用により電磁超音波を生じさせる渦電流を被計測物K2の内部に発生させるために交流電流が通電されるコイル120と、磁界発生部110とコイル120との間に当該コイルに接して設けられ、コイル120が被計測物K2と接触した際にコイル120の表面が被計測物K2の表面形状に倣って接触するように変形するスペーサ部130を具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁超音波を用いて導体からなる被計測物の計測を行うための電磁超音波センサ、及び、当該電磁超音波センサを含む電磁超音波検出システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、電磁気的な作用によって発生させた超音波(電磁超音波)を用いて導体からなる被計測物の計測、具体的には、材質や寸法の計測、欠陥の検出等が行われている。例えば、下記の特許文献1には、磁界を発生する磁石と電磁超音波の送受信を行うためのコイルを備えた電磁超音波送受信素子により、金属薄板の材質を測定する技術が示されている。
【0003】
また、下記の特許文献2には、電磁超音波を用いた計測において、電磁超音波探触子の探触子内部で発生する超音波によるノイズを低減するために、バイアス磁石と検出コイル間にスペーサを設けることが示されている。また、下記の特許文献3には、複数のバイアス磁石をフレキシブルな配列として曲面を有する被計測物にも対応可能な電磁超音波センサが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−118064号公報
【特許文献2】特開2009−14466号公報
【特許文献3】特表2008−507697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1や特許文献2では、曲面形状を有する被計測物の場合等には、コイルと被計測物との距離が局所的に大きくなる部分が生じ、その結果、計測の精度が低下するという問題が発生する。
【0006】
また、上述した特許文献3では、磁界を発生させるためのバイアス磁石を複数構成するため、装置構成が複雑になり、かつ、装置全体が大きくなるという問題がある。
【0007】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、電磁超音波を用いて被計測物に係る計測を行う際に、簡易な構成で、被計測物が曲面形状を有する場合にも、その計測の精度の向上を実現する電磁超音波センサ及び電磁超音波検出システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電磁超音波センサは、導体からなる被計測物に電磁超音波を送受信して前記被計測物に係る計測を行うための電磁超音波センサであって、前記被計測物に対して磁界を発生する磁界発生部と、前記計測を行う際に前記被計測物と接触し、前記磁界との相互作用により前記電磁超音波を生じさせる渦電流を前記被計測物の内部に発生させるために交流電流が通電されるコイルと、前記磁界発生部と前記コイルとの間に当該コイルに接して設けられ、前記コイルが前記被計測物と接触した際に前記コイルの表面が前記被計測物の表面形状に倣って接触するように変形するスペーサ部とを有する。
【0009】
本発明の電磁超音波検出システムは、前記電磁超音波センサと、前記コイルに対して前記交流電流を発信する発信部と、前記被計測物の内部を伝播した前記電磁超音波を、前記コイルを介して受信する受信部とを有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電磁超音波を用いて被計測物に係る計測を行う際に、簡易な構成で、被計測物が曲面形状を有する場合にも、その計測の精度の向上を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る電磁超音波センサと被計測物の概略断面の一例を示す模式図である。
【図2】図1に示す通電部の概略構成の一例を示す模式図である。
【図3】図2に示す通電部を流れた交流電流によって被計測物に発生した渦電流及び電磁力等の一例を示す模式図である。
【図4】比較例に係る電磁超音波センサと被計測物の概略断面の一例を示す模式図である。
【図5】比較例に係る電磁超音波センサと被計測物の概略断面の一例を示す模式図である。
【図6】本発明の実施形態に係る電磁超音波センサと被計測物の概略断面の一例を示す模式図である。
【図7】本発明の実施形態に係る電磁超音波センサと被計測物の概略断面の他の一例を示す模式図である。
【図8】本発明の実施形態に係る電磁超音波センサを構成するスペーサ部の変形量を説明するための模式図である。
【図9】比較例に係る電磁超音波センサを用いた実験結果の一例を示す特性図である。
【図10】本発明の実施形態に係る電磁超音波センサを用いた実験結果の一例を示す特性図である。
【図11】本発明の実施形態に係る電磁超音波センサを含む電磁超音波検出システムの機能構成の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態(実施形態)について説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係る電磁超音波センサ100と被計測物K1の概略断面の一例を示す模式図である。この電磁超音波センサ100は、導体からなる被計測物に電磁超音波を送受信して当該被計測物に係る計測を行うためのものである。
【0014】
図1に示すように、本実施形態の電磁超音波センサ100は、磁界発生部110と、コイル(通電部)120と、スペーサ部130を有して構成されている。また、被計測物K1は、例えば導体(金属)からなる鋼板で形成されている。なお、図1に示す例では、被計測物として、平面の鋼板等である被計測物K1が示されているが、本発明の実施形態においては、後述の図6及び図7等に示す、曲面形状を有する導体からなる鋼管等である被計測物K2を適用した方が、より顕著な作用・効果を奏し好適である。
【0015】
磁界発生部110は、被計測物K1に対して磁界を発生するものである。具体的に、図1に示す例では、磁界発生部110は、磁性材料からなる磁心111と、磁心111を磁化させるための電流(直流電流)を流すコイル112とからなる電磁石で構成されている。なお、本実施形態においては、磁界発生部110として、図1に示す電磁石に限らず、永久磁石を用いることも可能である。
【0016】
コイル120は、被計測物K1に係る計測を行う際に当該被計測物と接触し、磁界発生部110から発生させた磁界との相互作用により電磁超音波を生じさせる渦電流を当該被計測物の内部に発生させるために交流電流が通電される、例えば円形扁平コイルである。
【0017】
スペーサ部130は、磁界発生部110とコイル120との間に当該コイルに接して設けられ、被計測物K1の計測を行うためにコイル120が被計測物K1と接触した際にコイル120の表面が当該被計測物の表面形状に倣って接触(整合)するように変形するものである。
また、スペーサ部130と、磁界発生部110及びコイル120とを互いに接着して一体的に構成してもよい。
【0018】
具体的に、スペーサ部130は、弾性を有する柔軟な物質からなる物体で構成されており、例えば、ウレタンスポンジ、ウレタンフォーム、ゴムスポンジのいずれかを用いることが好適である。このように、スペーサ部130は、ウレタンスポンジ、ウレタンフォーム、ゴムスポンジ等の柔軟な物質から形成されているため、図1に示す例では、スペーサ部130は、コイル120の表面が被計測物K1の平面形状に倣って接触(整合)するように平行圧縮変形することになる。また、図1に示す例では、コイル120は、被計測物K1との接触面が被計測物K1の平面と平行に形成されている例が示されているが、本実施形態においてはこの態様に限定されるものではない。例えば、本実施形態の電磁超音波センサ100においては、コイル120は、被計測物K1との接触面が被計測物K1の平面と非平行に形成されていてもよく、この場合においても、スペーサ部130は、コイル120の表面が被計測物K1の平面形状に倣って接触(整合)するように圧縮変形することになる。
【0019】
また、図1に示すように、コイル120及びスペーサ部130からなる構造体140は、磁界発生部110における被計測物K1側の表面110aよりも被計測物側(K1側)に出っ張った凸部構造141を有して形成されている。換言すれば、スペーサ部130は、磁界発生部110における被計測物側の表面よりも、コイル120が被計測物寄りに設置されることになる厚みを有して形成されている。これにより、スペーサ部130は、コイル120の表面を被計測物K1の平面形状に倣って接触させる際に、設計的に余裕をもって確実に当該接触を行うことができる。
【0020】
次に、被計測物K1の内部に発生する電磁超音波について説明する。
ここで、本例では、コイル112に流す電流(直流電流)により、磁極111aがN極、磁極111bがS極である場合について説明を行う。なお、コイル112に流す電流を逆向きにすれば、磁極111aをS極、磁極111bをN極とすることも可能である。
【0021】
[電磁超音波の送信過程]
まず、電磁超音波の送信過程について説明する。
図1に示すように、被計測物K1の内部には、磁界発生部110の磁極111a(N極)から発生した磁界が生じている。この被計測物K1の内部における磁界の方向は、被計測物K1の板厚方向成分Bzと、被計測物K1の表面方向成分Brで表すことができる。
【0022】
この状態で、コイル120に所定周波数の交流電流を流すと、被計測物K1の内部に、コイル120に流れる交流電流と逆向きの渦電流Iφが発生する。そして、被計測物K1中の磁界と渦電流Iφにより電磁力(ローレンツ力)が発生する。この電磁力は、電界成分Bzと渦電流Iφにより被計測物K1の表面方向成分Fr(以降、「r方向の電磁力Fr」と称する)が発生し、電界成分Brと渦電流Iφにより被計測物K1の板厚方向成分Fz(以降、「z方向の電磁力Fz」と称する)が発生する。
【0023】
そして、r方向の電磁力Frが横波の電磁超音波振動となり、また、z方向の電磁力Fzが縦波の電磁超音波振動となって、被計測物K1の内部を伝播する。なお、r方向の電磁力Fr及びz方向の電磁力Fzの向きは、渦電流Iφの向きによって交互に変化するため、被計測物K1の内部を伝播する横波及び縦波は、コイル120を流れた交流電流と同じ所定周波数の電磁超音波となる。このように、本実施形態の電磁超音波センサ100は、電磁超音波として、横波及び縦波を被計測物の内部に発生(送信)することができるように構成されている。
【0024】
[電磁超音波の受信過程]
続いて、電磁超音波の受信過程について説明する。
電磁超音波の受信過程は、上述した電磁超音波の送信過程の逆過程として実現される。具体的には、電磁超音波振動による力と磁界との相互作用により、被計測物K1の内部に電流Iφ'が発生する。そして、この被計測物K1の内部に発生した電流Iφ'により、コイル120に渦電流Iφ''が生じ、この渦電流を検出して電磁超音波を受信することになる。
【0025】
次に、図1に示すコイル120の概略構成について説明する。
図2は、図1に示すコイル120の概略構成の一例を示す模式図である。この図2は、図1のIからI'の方向に見た上面図を示しており、図1に示す磁界発生部110も破線で示している。
【0026】
被計測物中の磁界の向きは中心軸と対称に変化していくため、前述のように磁界の板厚方向成分Bzと表面方向成分Brにより縦波と横波の超音波を効率よく送受信させるためには、コイル120の全面積を超音波の発生と受信に用いることが望ましいため、コイル120を例えば図2に示すように、渦巻状に構成することがよい。また、コイル120を渦巻状に構成することによりフレキシブル基板で作成することが容易となり、コイル120を変形しやすくすることが可能である。
コイル120は、コイル端子121及び122を介して外部の制御装置(図1及び図2では不図示であるが、後述の図11に示す制御装置200)と接続されている。即ち、コイル120は、電磁超音波の送信過程では、外部の制御装置から所定周波数の交流電流を入力可能に構成されているとともに、電磁超音波の受信過程では、発生した渦電流Iφ''を外部の制御装置に出力可能に構成されている。また、本例のコイル120における直径Wは、おおよそ30mm程度である。
【0027】
図3は、図2に示すコイル120を流れた交流電流によって被計測物に発生した渦電流及び電磁力等の一例を示す模式図である。この図3は、被計測物を上から見た上面図を示している。
具体的に、図3には、被計測物(K1)に発生した渦電流と、r方向の電磁力Frが放射状に発生している様子が示されている。即ち、図3には、放射状に偏波した横波が被計測物の内部に発生する様子が示されている。
【0028】
次に、本実施形態の電磁超音波センサ100における特徴をより明確にするために、電磁超音波センサの比較例を挙げて説明を行う。
【0029】
図4は、比較例に係る電磁超音波センサ400と被計測物K1の概略断面の一例を示す模式図である。
【0030】
図4に示すように、比較例の電磁超音波センサ400は、磁界発生部410と、コイル420と、スペーサ部430を有して構成されている。また、被計測物K1は、図1に示すものと同様のものである。
【0031】
磁界発生部410は、被計測物K1に対して磁界を発生するものであり、磁性材料からなる磁心411と、磁心411を磁化させるための電流(直流電流)を流すコイル412とからなる電磁石で構成されている。
【0032】
コイル420は、磁界発生部410から発生させた磁界との相互作用により電磁超音波を生じさせる渦電流を被計測物K1の内部に発生させるために交流電流が通電される、例えば円形扁平コイルである。
【0033】
スペーサ部430は、図1に示すスペーサ部130と異なり、柔軟でなく、ほとんど変形しない物質からなる物体で構成されているものである。
【0034】
ここで、比較例に係る電磁超音波センサ400を被計測物に接触させて計測を行う場合について考える。
【0035】
図4に示す例では、計測のために電磁超音波センサ400と被計測物K1とを接触させた場合、スペーサ部430は何ら変形しないものの、コイル420の表面(接触面)が被計測物K1の平面と平行に形成されているため、この場合は、コイル420の表面を被計測物K1の表面に接触させることは可能である。
【0036】
しかしながら、比較例に係る電磁超音波センサ400では、図5に示す、曲面形状を有する鋼管等である被計測物K2を用いた場合に問題が生じる。
図5は、比較例に係る電磁超音波センサ400と被計測物K2の概略断面の一例を示す模式図である。この図5において、電磁超音波センサ400は、図4に示すものと同様のものである。
【0037】
図5に示す例では、計測のために電磁超音波センサ400と被計測物K1とを接触させた場合、被計測物が曲面形状を有する被計測物K2であり、また、スペーサ部430は何ら変形しないため、コイル420の表面を被計測物K1の平面形状に倣って接触させることは不可能となる。より具体的には、スペーサ部430は変形しないため、図5に示す例では、コイル420の表面における中央領域E1と被計測物K2の表面(曲面)とを接触させることは可能であるが、コイル420の表面における端部領域E2と被計測物K2の表面(曲面)とを接触させることは不可能である。
【0038】
そして、図5に示すように、コイル420の表面の一部である端部領域E2を被計測物K2の表面(曲面)と非接触の状態で計測を行った場合、当該端部領域E2ではコイル420と被計測物K2との距離が大きくなるため、この部分で被計測物K2の内部に発生する渦電流Iφの強度が低下するという不具合が発生し、その結果、発生した電磁超音波が弱まり、計測の精度が低下するという問題が生じることになる。
【0039】
次に、本実施形態の電磁超音波センサ100における被計測物として、曲面形状を有する導体からなる鋼管等である被計測物K2を用いた場合について説明を行う。
図6は、本発明の実施形態に係る電磁超音波センサ100と被計測物K2の概略断面の一例を示す模式図である。この図6において、電磁超音波センサ100は、図1に示すものと同様のものである。
【0040】
図6に示す本実施例では、曲面形状を有する被計測物K2の計測を行うために電磁超音波センサ100のコイル120を被計測物K2と接触させた場合、スペーサ部130は、コイル120の表面が被計測物K2の曲面形状に倣って接触(整合)するように圧縮変形するため、コイル120の表面の全面を被計測物K2の表面(曲面)に接触させることができる。これにより、本実施形態の電磁超音波センサ100を用いた被計測物K2の計測では、図5の示す比較例の電磁超音波センサ400を用いた場合に生じる、上述した計測の精度の低下という問題は生じない。
【0041】
なお、上述したように、図1及び図6等に示す例では、磁界発生部110として、電磁石を用いた例について説明を行ったが、本実施形態においてはこれに限定されるわけではなく、例えば、永久磁石を用いることも可能である。
【0042】
図7は、本発明の実施形態に係る電磁超音波センサ100と被計測物K2の概略断面の他の一例を示す模式図である。ここで、図7において、図6に示す構成と同様の機能の構成については同じ符号を付しており、その詳細な説明は省略する。
【0043】
この図7に示す電磁超音波センサ100は、磁界発生部110が永久磁石で構成されている。この永久磁石からなる磁界発生部110は、被計測物K2側がN極、その反対側がS極となるように配置されている。ここで、永久磁石からなる磁界発生部110のN極から発生した磁界は、図7の矢印で図示するように、被計測物K2を通過した後、空中を経由してS極に戻るため、図7に示す電磁超音波センサ100は、磁界発生部110として電磁石を用いた図1及び図6に示す電磁超音波センサ100と同様に、横波及び縦波を同時に発生させることが可能である。
【0044】
この図7に示す電磁超音波センサ100は、図1及び図6に示す電磁超音波センサ100と比較して、電磁石用の大きな磁心111やコイル112が不要であるため、電磁超音波センサを小型化できるという利点がある。
【0045】
次に、スペーサ部130の変形量について説明する。
図8は、本発明の実施形態に係る電磁超音波センサ100を構成するスペーサ部130の変形量を説明するための模式図である。
【0046】
図8において、曲面形状を有する被計測物K2の曲率半径をRとし、コイル120を構成する円形扁平コイルの半径をrとする。また、図8では、スペーサ部130の変形量について着目する目的で説明を簡単にするために、コイル120(その厚みは0.1mm程度)は図示していない。
【0047】
図8に示す例の場合、スペーサ部130の中央領域では、スペーサ部130aとスペーサ部130bとの差分であるdだけ圧縮変形することになる。この場合、スペーサ部130の変形量(図8に示す例の場合にはスペーサ部130の中央領域の変形量)dは、以下の(1)式で表せる。
d=R(1−cosθ) ・・・ (1)
【0048】
また、Rとrとの間には、以下の(2)式の関係が成立するため、(1)式は、以下の(3)式のように書き換えることができる。
R・sinθ=r ・・・ (2)
d=R−(R2−r2)1/2 ・・・ (3)
【0049】
例えば、r=15mm、R=50mmである場合、(3)式から、変形量d=2.3mmとなる。ここで、多少の弾性を有していても一般的な物体では、上述した2.3mm程度の変形量を実現することは困難である。そこで、本実施形態では、スペーサ部130として、上述したように、例えば、ウレタンスポンジ、ウレタンフォーム、ゴムスポンジのいずれかを用いて、2.3mm程度の変形量を実現できるようにしている。被計測物の形状により、Rが50mmとは異なる他の値を持つ場合にも、同様の考え方で、被計測物の曲率に応じて変形量を適切に設定すればよい。
【0050】
また、電磁超音波センサ100を適正に動作させるためには、磁界発生部110とコイル120とを近接して形成することが好適である。スペーサ部130が上述した2.3mm程度の変形をする場合について考えると、スペーサ部130をウレタンスポンジで作成した場合、その圧縮率は10分の1程度であることから、スペーサ部130の厚みを2.6mm以上とすることが好適である。
【0051】
次に、本実施形態に係る電磁超音波センサ100、及び、比較例に係る電磁超音波センサ400を用いた実験結果について説明する。
【0052】
図9は、比較例に係る電磁超音波センサ400を用いた実験結果の一例を示す特性図である。ここで、図9(a)に、電磁超音波センサ400を用いた縦波共振検出結果の一例を示し、図9(b)に、電磁超音波センサ400を用いた横波共振検出結果の一例を示す。また、図9では、被計測物として、厚みが1.8mmであり、平面の鋼板である被計測物K1と、曲率半径が80mm(R80)及び55mm(R55)の曲面形状を有する鋼管等である被計測物K2を用いた場合の実験結果が示されている。
【0053】
図9(a)及び図9(b)に示す比較例の電磁超音波センサ400を用いた実験結果では、被計測物K2を用いた計測の場合に共振強度が大きく低下している。これは、例えば図5に示すように、比較例の電磁超音波センサ400では、被計測物が曲面形状を有する被計測物K2の場合、コイル420の表面における一部(図5では端部領域E2)と被計測物K2の表面(曲面)とが非接触となるために生じる不具合であると考えられる。
【0054】
図10は、本発明の実施形態に係る電磁超音波センサ100を用いた実験結果の一例を示す特性図である。ここで、図10(a)に、電磁超音波センサ100を用いた縦波共振検出結果の一例を示し、図10(b)に、電磁超音波センサ100を用いた横波共振検出結果の一例を示す。また、図10では、被計測物として、曲率半径が80mm(R80)及び55mm(R55)の曲面形状を有する鋼管等である被計測物K2を用いた場合の実験結果が示されている。
【0055】
図10に示す実験結果と図9に示す実験結果と比較すると、縦波共振検出結果及び横波共振検出結果ともに、図10に示す本実施形態の電磁超音波センサ100を用いた場合の方が、共振強度が大きくなっていることがわかる。即ち、比較例の電磁超音波センサ400よりも、本実施形態の電磁超音波センサ100の方が優れていることがわかる。これは、例えば図6に示すように、本実施形態の電磁超音波センサ100では、被計測物が曲面形状を有する被計測物K2の場合、スペーサ部130が、コイル120の表面が被計測物K2の曲面形状に倣って接触するように圧縮変形するため、コイル420の全面を被計測物K2の表面(曲面)に接触させることができるためであると考えられる。
【0056】
次に、本実施形態に係る電磁超音波センサ100を用いた電磁超音波検出システムについて説明する。
【0057】
図11は、本発明の実施形態に係る電磁超音波センサ100を含む電磁超音波検出システム10の機能構成の一例を示す模式図である。ここで、図11に示す電磁超音波センサ100は、図1及び図6(或いは図7)に示す電磁超音波センサ100と同様の構成であり、図11では各構成をブロック図で示している。
【0058】
図11に示すように、電磁超音波検出システム10は、電磁超音波センサ100と、制御装置200を有して構成されている。また、制御装置200は、発信・受信部210と、信号処理部220と、制御部230を有して構成されている。
【0059】
図1及び図6に示す電磁超音波センサ100の場合、磁界発生部110は、発信・受信部210からコイル112に供給された電流(直流電流)により電磁石を構成し、被計測物K2(又はK1)に対して磁界を発生する。また、図7に示す電磁超音波センサ100の場合、磁界発生部110は、発信・受信部210から電流を受信することなく、被計測物K2(又はK1)に対して磁界を発生する。
【0060】
電磁超音波センサ100のコイル120は、発信・受信部210から供給された所定周波数における交流電流を通電し、被計測物K2(又はK1)の内部に渦電流Iφを発生させる。
【0061】
制御装置200の発信・受信部210は、制御部230による制御に応じて、磁界発生部110のコイル112に電流(直流電流)を発信するとともに、コイル120に対して、所定周波数の交流電流を発信する。これにより、被計測物K2(又はK1)の内部には、横波及び縦波の電磁超音波が伝播することになる。
【0062】
また、制御装置200の発信・受信部210は、制御部230による制御に応じて、被計測物K2(又はK1)の内部を伝播した横波及び縦波の電磁超音波を、例えば、コイル120内に発生した渦電流Iφ''を検出することで受信する。なお、図11に示す例では、電磁超音波の発信を行う発信部と、電磁超音波の受信を行う受信部とが一体となった発信・受信部210が示されているが、本実施形態においては、発信部と受信部とをそれぞれ別体で構成した態様も適用可能である。
【0063】
制御装置200の信号処理部220は、制御部230による制御に応じて、発信・受信部210で受信した、各電磁超音波の信号を処理する。具体的に、例えば、信号処理部220は、被計測物K2(又はK1)の内部欠陥の有無や、板厚計測、電磁超音波の減衰に基づく結晶粒径の計測、更には、横波及び縦波の音速測定結果から所謂ランクフォード値(r値)等の組織情報の計測、内部の残留応力の計測等に係る電磁超音波の信号処理を行う。
【0064】
制御装置200の制御部230は、必要に応じて、発信・受信部210及び信号処理部220を制御して、制御装置200における動作を統括的に制御する。また、制御装置200の制御部230は、例えばユーザからの入力指示に応じて、コイル120に供給する交流電流や、信号処理部220で処理する信号処理の種類等を制御可能に構成されている。また、制御装置200の制御部230は、必要に応じて、信号処理部220の処理結果を表示部に出力する制御を可能に構成されている。
【0065】
以上、説明したように、本実施形態の電磁超音波センサ100では、被計測物に対して磁界を発生する磁界発生部110と、計測を行う際に被計測物と接触し、磁界発生部110から発生させた磁界との相互作用により電磁超音波を生じさせる渦電流を被計測物の内部に発生させるために交流電流が通電されるコイル120と、磁界発生部110とコイル120との間に当該コイルに接して設けられ、コイル120が被計測物と接触した際にコイル120の表面が被計測物の表面形状に倣って接触するように変形するスペーサ部130とを構成するようにしている。
かかる構成によれば、電磁超音波センサ100のコイル120を被計測物に接触させて計測を行う際に、スペーサ部130は、コイル120の表面が被計測物の表面形状に倣って接触するように変形するため、被計測物が如何なる表面形状(特に、曲面形状)であっても、コイル120と被計測物との距離が局所的に大きくなる部分が生じる問題を回避することができる。これにより、簡易な構成で、被計測物に係る計測の精度の向上を実現することができる。
【0066】
なお、図1及び図6、並びに図7に示す電磁超音波センサ100では、スペーサ部130が磁界発生部110と直接接して形成されている例が示されているが、スペーサ部130は、必ずしも磁界発生部110と直接接して形成されている必要はない。例えば、スペーサ部130と磁界発生部110との間に硬いスペーサを設けて、当該硬いスペーサを介してスペーサ部130が磁界発生部110に取り付けられている形態も適用可能である。
また、図1や図7に示す実施例では、磁界発生部110の直径がスペーサ部130やコイル120の直径よりも小さい場合を示したが、この3つの構成部品の大きさの関係はこれに限るものではなく、送受信される超音波の効率が良くなるように実験的に決定すればよい。
【0067】
また、前述した本発明の実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。即ち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0068】
100:電磁超音波センサ、110:磁界発生部、111:磁心、112:コイル、120:コイル、130:スペーサ部、140:コイル及びスペーサ部からなる構造体、141:凸部構造、K2:被計測物
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁超音波を用いて導体からなる被計測物の計測を行うための電磁超音波センサ、及び、当該電磁超音波センサを含む電磁超音波検出システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、電磁気的な作用によって発生させた超音波(電磁超音波)を用いて導体からなる被計測物の計測、具体的には、材質や寸法の計測、欠陥の検出等が行われている。例えば、下記の特許文献1には、磁界を発生する磁石と電磁超音波の送受信を行うためのコイルを備えた電磁超音波送受信素子により、金属薄板の材質を測定する技術が示されている。
【0003】
また、下記の特許文献2には、電磁超音波を用いた計測において、電磁超音波探触子の探触子内部で発生する超音波によるノイズを低減するために、バイアス磁石と検出コイル間にスペーサを設けることが示されている。また、下記の特許文献3には、複数のバイアス磁石をフレキシブルな配列として曲面を有する被計測物にも対応可能な電磁超音波センサが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−118064号公報
【特許文献2】特開2009−14466号公報
【特許文献3】特表2008−507697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1や特許文献2では、曲面形状を有する被計測物の場合等には、コイルと被計測物との距離が局所的に大きくなる部分が生じ、その結果、計測の精度が低下するという問題が発生する。
【0006】
また、上述した特許文献3では、磁界を発生させるためのバイアス磁石を複数構成するため、装置構成が複雑になり、かつ、装置全体が大きくなるという問題がある。
【0007】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、電磁超音波を用いて被計測物に係る計測を行う際に、簡易な構成で、被計測物が曲面形状を有する場合にも、その計測の精度の向上を実現する電磁超音波センサ及び電磁超音波検出システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電磁超音波センサは、導体からなる被計測物に電磁超音波を送受信して前記被計測物に係る計測を行うための電磁超音波センサであって、前記被計測物に対して磁界を発生する磁界発生部と、前記計測を行う際に前記被計測物と接触し、前記磁界との相互作用により前記電磁超音波を生じさせる渦電流を前記被計測物の内部に発生させるために交流電流が通電されるコイルと、前記磁界発生部と前記コイルとの間に当該コイルに接して設けられ、前記コイルが前記被計測物と接触した際に前記コイルの表面が前記被計測物の表面形状に倣って接触するように変形するスペーサ部とを有する。
【0009】
本発明の電磁超音波検出システムは、前記電磁超音波センサと、前記コイルに対して前記交流電流を発信する発信部と、前記被計測物の内部を伝播した前記電磁超音波を、前記コイルを介して受信する受信部とを有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電磁超音波を用いて被計測物に係る計測を行う際に、簡易な構成で、被計測物が曲面形状を有する場合にも、その計測の精度の向上を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る電磁超音波センサと被計測物の概略断面の一例を示す模式図である。
【図2】図1に示す通電部の概略構成の一例を示す模式図である。
【図3】図2に示す通電部を流れた交流電流によって被計測物に発生した渦電流及び電磁力等の一例を示す模式図である。
【図4】比較例に係る電磁超音波センサと被計測物の概略断面の一例を示す模式図である。
【図5】比較例に係る電磁超音波センサと被計測物の概略断面の一例を示す模式図である。
【図6】本発明の実施形態に係る電磁超音波センサと被計測物の概略断面の一例を示す模式図である。
【図7】本発明の実施形態に係る電磁超音波センサと被計測物の概略断面の他の一例を示す模式図である。
【図8】本発明の実施形態に係る電磁超音波センサを構成するスペーサ部の変形量を説明するための模式図である。
【図9】比較例に係る電磁超音波センサを用いた実験結果の一例を示す特性図である。
【図10】本発明の実施形態に係る電磁超音波センサを用いた実験結果の一例を示す特性図である。
【図11】本発明の実施形態に係る電磁超音波センサを含む電磁超音波検出システムの機能構成の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態(実施形態)について説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係る電磁超音波センサ100と被計測物K1の概略断面の一例を示す模式図である。この電磁超音波センサ100は、導体からなる被計測物に電磁超音波を送受信して当該被計測物に係る計測を行うためのものである。
【0014】
図1に示すように、本実施形態の電磁超音波センサ100は、磁界発生部110と、コイル(通電部)120と、スペーサ部130を有して構成されている。また、被計測物K1は、例えば導体(金属)からなる鋼板で形成されている。なお、図1に示す例では、被計測物として、平面の鋼板等である被計測物K1が示されているが、本発明の実施形態においては、後述の図6及び図7等に示す、曲面形状を有する導体からなる鋼管等である被計測物K2を適用した方が、より顕著な作用・効果を奏し好適である。
【0015】
磁界発生部110は、被計測物K1に対して磁界を発生するものである。具体的に、図1に示す例では、磁界発生部110は、磁性材料からなる磁心111と、磁心111を磁化させるための電流(直流電流)を流すコイル112とからなる電磁石で構成されている。なお、本実施形態においては、磁界発生部110として、図1に示す電磁石に限らず、永久磁石を用いることも可能である。
【0016】
コイル120は、被計測物K1に係る計測を行う際に当該被計測物と接触し、磁界発生部110から発生させた磁界との相互作用により電磁超音波を生じさせる渦電流を当該被計測物の内部に発生させるために交流電流が通電される、例えば円形扁平コイルである。
【0017】
スペーサ部130は、磁界発生部110とコイル120との間に当該コイルに接して設けられ、被計測物K1の計測を行うためにコイル120が被計測物K1と接触した際にコイル120の表面が当該被計測物の表面形状に倣って接触(整合)するように変形するものである。
また、スペーサ部130と、磁界発生部110及びコイル120とを互いに接着して一体的に構成してもよい。
【0018】
具体的に、スペーサ部130は、弾性を有する柔軟な物質からなる物体で構成されており、例えば、ウレタンスポンジ、ウレタンフォーム、ゴムスポンジのいずれかを用いることが好適である。このように、スペーサ部130は、ウレタンスポンジ、ウレタンフォーム、ゴムスポンジ等の柔軟な物質から形成されているため、図1に示す例では、スペーサ部130は、コイル120の表面が被計測物K1の平面形状に倣って接触(整合)するように平行圧縮変形することになる。また、図1に示す例では、コイル120は、被計測物K1との接触面が被計測物K1の平面と平行に形成されている例が示されているが、本実施形態においてはこの態様に限定されるものではない。例えば、本実施形態の電磁超音波センサ100においては、コイル120は、被計測物K1との接触面が被計測物K1の平面と非平行に形成されていてもよく、この場合においても、スペーサ部130は、コイル120の表面が被計測物K1の平面形状に倣って接触(整合)するように圧縮変形することになる。
【0019】
また、図1に示すように、コイル120及びスペーサ部130からなる構造体140は、磁界発生部110における被計測物K1側の表面110aよりも被計測物側(K1側)に出っ張った凸部構造141を有して形成されている。換言すれば、スペーサ部130は、磁界発生部110における被計測物側の表面よりも、コイル120が被計測物寄りに設置されることになる厚みを有して形成されている。これにより、スペーサ部130は、コイル120の表面を被計測物K1の平面形状に倣って接触させる際に、設計的に余裕をもって確実に当該接触を行うことができる。
【0020】
次に、被計測物K1の内部に発生する電磁超音波について説明する。
ここで、本例では、コイル112に流す電流(直流電流)により、磁極111aがN極、磁極111bがS極である場合について説明を行う。なお、コイル112に流す電流を逆向きにすれば、磁極111aをS極、磁極111bをN極とすることも可能である。
【0021】
[電磁超音波の送信過程]
まず、電磁超音波の送信過程について説明する。
図1に示すように、被計測物K1の内部には、磁界発生部110の磁極111a(N極)から発生した磁界が生じている。この被計測物K1の内部における磁界の方向は、被計測物K1の板厚方向成分Bzと、被計測物K1の表面方向成分Brで表すことができる。
【0022】
この状態で、コイル120に所定周波数の交流電流を流すと、被計測物K1の内部に、コイル120に流れる交流電流と逆向きの渦電流Iφが発生する。そして、被計測物K1中の磁界と渦電流Iφにより電磁力(ローレンツ力)が発生する。この電磁力は、電界成分Bzと渦電流Iφにより被計測物K1の表面方向成分Fr(以降、「r方向の電磁力Fr」と称する)が発生し、電界成分Brと渦電流Iφにより被計測物K1の板厚方向成分Fz(以降、「z方向の電磁力Fz」と称する)が発生する。
【0023】
そして、r方向の電磁力Frが横波の電磁超音波振動となり、また、z方向の電磁力Fzが縦波の電磁超音波振動となって、被計測物K1の内部を伝播する。なお、r方向の電磁力Fr及びz方向の電磁力Fzの向きは、渦電流Iφの向きによって交互に変化するため、被計測物K1の内部を伝播する横波及び縦波は、コイル120を流れた交流電流と同じ所定周波数の電磁超音波となる。このように、本実施形態の電磁超音波センサ100は、電磁超音波として、横波及び縦波を被計測物の内部に発生(送信)することができるように構成されている。
【0024】
[電磁超音波の受信過程]
続いて、電磁超音波の受信過程について説明する。
電磁超音波の受信過程は、上述した電磁超音波の送信過程の逆過程として実現される。具体的には、電磁超音波振動による力と磁界との相互作用により、被計測物K1の内部に電流Iφ'が発生する。そして、この被計測物K1の内部に発生した電流Iφ'により、コイル120に渦電流Iφ''が生じ、この渦電流を検出して電磁超音波を受信することになる。
【0025】
次に、図1に示すコイル120の概略構成について説明する。
図2は、図1に示すコイル120の概略構成の一例を示す模式図である。この図2は、図1のIからI'の方向に見た上面図を示しており、図1に示す磁界発生部110も破線で示している。
【0026】
被計測物中の磁界の向きは中心軸と対称に変化していくため、前述のように磁界の板厚方向成分Bzと表面方向成分Brにより縦波と横波の超音波を効率よく送受信させるためには、コイル120の全面積を超音波の発生と受信に用いることが望ましいため、コイル120を例えば図2に示すように、渦巻状に構成することがよい。また、コイル120を渦巻状に構成することによりフレキシブル基板で作成することが容易となり、コイル120を変形しやすくすることが可能である。
コイル120は、コイル端子121及び122を介して外部の制御装置(図1及び図2では不図示であるが、後述の図11に示す制御装置200)と接続されている。即ち、コイル120は、電磁超音波の送信過程では、外部の制御装置から所定周波数の交流電流を入力可能に構成されているとともに、電磁超音波の受信過程では、発生した渦電流Iφ''を外部の制御装置に出力可能に構成されている。また、本例のコイル120における直径Wは、おおよそ30mm程度である。
【0027】
図3は、図2に示すコイル120を流れた交流電流によって被計測物に発生した渦電流及び電磁力等の一例を示す模式図である。この図3は、被計測物を上から見た上面図を示している。
具体的に、図3には、被計測物(K1)に発生した渦電流と、r方向の電磁力Frが放射状に発生している様子が示されている。即ち、図3には、放射状に偏波した横波が被計測物の内部に発生する様子が示されている。
【0028】
次に、本実施形態の電磁超音波センサ100における特徴をより明確にするために、電磁超音波センサの比較例を挙げて説明を行う。
【0029】
図4は、比較例に係る電磁超音波センサ400と被計測物K1の概略断面の一例を示す模式図である。
【0030】
図4に示すように、比較例の電磁超音波センサ400は、磁界発生部410と、コイル420と、スペーサ部430を有して構成されている。また、被計測物K1は、図1に示すものと同様のものである。
【0031】
磁界発生部410は、被計測物K1に対して磁界を発生するものであり、磁性材料からなる磁心411と、磁心411を磁化させるための電流(直流電流)を流すコイル412とからなる電磁石で構成されている。
【0032】
コイル420は、磁界発生部410から発生させた磁界との相互作用により電磁超音波を生じさせる渦電流を被計測物K1の内部に発生させるために交流電流が通電される、例えば円形扁平コイルである。
【0033】
スペーサ部430は、図1に示すスペーサ部130と異なり、柔軟でなく、ほとんど変形しない物質からなる物体で構成されているものである。
【0034】
ここで、比較例に係る電磁超音波センサ400を被計測物に接触させて計測を行う場合について考える。
【0035】
図4に示す例では、計測のために電磁超音波センサ400と被計測物K1とを接触させた場合、スペーサ部430は何ら変形しないものの、コイル420の表面(接触面)が被計測物K1の平面と平行に形成されているため、この場合は、コイル420の表面を被計測物K1の表面に接触させることは可能である。
【0036】
しかしながら、比較例に係る電磁超音波センサ400では、図5に示す、曲面形状を有する鋼管等である被計測物K2を用いた場合に問題が生じる。
図5は、比較例に係る電磁超音波センサ400と被計測物K2の概略断面の一例を示す模式図である。この図5において、電磁超音波センサ400は、図4に示すものと同様のものである。
【0037】
図5に示す例では、計測のために電磁超音波センサ400と被計測物K1とを接触させた場合、被計測物が曲面形状を有する被計測物K2であり、また、スペーサ部430は何ら変形しないため、コイル420の表面を被計測物K1の平面形状に倣って接触させることは不可能となる。より具体的には、スペーサ部430は変形しないため、図5に示す例では、コイル420の表面における中央領域E1と被計測物K2の表面(曲面)とを接触させることは可能であるが、コイル420の表面における端部領域E2と被計測物K2の表面(曲面)とを接触させることは不可能である。
【0038】
そして、図5に示すように、コイル420の表面の一部である端部領域E2を被計測物K2の表面(曲面)と非接触の状態で計測を行った場合、当該端部領域E2ではコイル420と被計測物K2との距離が大きくなるため、この部分で被計測物K2の内部に発生する渦電流Iφの強度が低下するという不具合が発生し、その結果、発生した電磁超音波が弱まり、計測の精度が低下するという問題が生じることになる。
【0039】
次に、本実施形態の電磁超音波センサ100における被計測物として、曲面形状を有する導体からなる鋼管等である被計測物K2を用いた場合について説明を行う。
図6は、本発明の実施形態に係る電磁超音波センサ100と被計測物K2の概略断面の一例を示す模式図である。この図6において、電磁超音波センサ100は、図1に示すものと同様のものである。
【0040】
図6に示す本実施例では、曲面形状を有する被計測物K2の計測を行うために電磁超音波センサ100のコイル120を被計測物K2と接触させた場合、スペーサ部130は、コイル120の表面が被計測物K2の曲面形状に倣って接触(整合)するように圧縮変形するため、コイル120の表面の全面を被計測物K2の表面(曲面)に接触させることができる。これにより、本実施形態の電磁超音波センサ100を用いた被計測物K2の計測では、図5の示す比較例の電磁超音波センサ400を用いた場合に生じる、上述した計測の精度の低下という問題は生じない。
【0041】
なお、上述したように、図1及び図6等に示す例では、磁界発生部110として、電磁石を用いた例について説明を行ったが、本実施形態においてはこれに限定されるわけではなく、例えば、永久磁石を用いることも可能である。
【0042】
図7は、本発明の実施形態に係る電磁超音波センサ100と被計測物K2の概略断面の他の一例を示す模式図である。ここで、図7において、図6に示す構成と同様の機能の構成については同じ符号を付しており、その詳細な説明は省略する。
【0043】
この図7に示す電磁超音波センサ100は、磁界発生部110が永久磁石で構成されている。この永久磁石からなる磁界発生部110は、被計測物K2側がN極、その反対側がS極となるように配置されている。ここで、永久磁石からなる磁界発生部110のN極から発生した磁界は、図7の矢印で図示するように、被計測物K2を通過した後、空中を経由してS極に戻るため、図7に示す電磁超音波センサ100は、磁界発生部110として電磁石を用いた図1及び図6に示す電磁超音波センサ100と同様に、横波及び縦波を同時に発生させることが可能である。
【0044】
この図7に示す電磁超音波センサ100は、図1及び図6に示す電磁超音波センサ100と比較して、電磁石用の大きな磁心111やコイル112が不要であるため、電磁超音波センサを小型化できるという利点がある。
【0045】
次に、スペーサ部130の変形量について説明する。
図8は、本発明の実施形態に係る電磁超音波センサ100を構成するスペーサ部130の変形量を説明するための模式図である。
【0046】
図8において、曲面形状を有する被計測物K2の曲率半径をRとし、コイル120を構成する円形扁平コイルの半径をrとする。また、図8では、スペーサ部130の変形量について着目する目的で説明を簡単にするために、コイル120(その厚みは0.1mm程度)は図示していない。
【0047】
図8に示す例の場合、スペーサ部130の中央領域では、スペーサ部130aとスペーサ部130bとの差分であるdだけ圧縮変形することになる。この場合、スペーサ部130の変形量(図8に示す例の場合にはスペーサ部130の中央領域の変形量)dは、以下の(1)式で表せる。
d=R(1−cosθ) ・・・ (1)
【0048】
また、Rとrとの間には、以下の(2)式の関係が成立するため、(1)式は、以下の(3)式のように書き換えることができる。
R・sinθ=r ・・・ (2)
d=R−(R2−r2)1/2 ・・・ (3)
【0049】
例えば、r=15mm、R=50mmである場合、(3)式から、変形量d=2.3mmとなる。ここで、多少の弾性を有していても一般的な物体では、上述した2.3mm程度の変形量を実現することは困難である。そこで、本実施形態では、スペーサ部130として、上述したように、例えば、ウレタンスポンジ、ウレタンフォーム、ゴムスポンジのいずれかを用いて、2.3mm程度の変形量を実現できるようにしている。被計測物の形状により、Rが50mmとは異なる他の値を持つ場合にも、同様の考え方で、被計測物の曲率に応じて変形量を適切に設定すればよい。
【0050】
また、電磁超音波センサ100を適正に動作させるためには、磁界発生部110とコイル120とを近接して形成することが好適である。スペーサ部130が上述した2.3mm程度の変形をする場合について考えると、スペーサ部130をウレタンスポンジで作成した場合、その圧縮率は10分の1程度であることから、スペーサ部130の厚みを2.6mm以上とすることが好適である。
【0051】
次に、本実施形態に係る電磁超音波センサ100、及び、比較例に係る電磁超音波センサ400を用いた実験結果について説明する。
【0052】
図9は、比較例に係る電磁超音波センサ400を用いた実験結果の一例を示す特性図である。ここで、図9(a)に、電磁超音波センサ400を用いた縦波共振検出結果の一例を示し、図9(b)に、電磁超音波センサ400を用いた横波共振検出結果の一例を示す。また、図9では、被計測物として、厚みが1.8mmであり、平面の鋼板である被計測物K1と、曲率半径が80mm(R80)及び55mm(R55)の曲面形状を有する鋼管等である被計測物K2を用いた場合の実験結果が示されている。
【0053】
図9(a)及び図9(b)に示す比較例の電磁超音波センサ400を用いた実験結果では、被計測物K2を用いた計測の場合に共振強度が大きく低下している。これは、例えば図5に示すように、比較例の電磁超音波センサ400では、被計測物が曲面形状を有する被計測物K2の場合、コイル420の表面における一部(図5では端部領域E2)と被計測物K2の表面(曲面)とが非接触となるために生じる不具合であると考えられる。
【0054】
図10は、本発明の実施形態に係る電磁超音波センサ100を用いた実験結果の一例を示す特性図である。ここで、図10(a)に、電磁超音波センサ100を用いた縦波共振検出結果の一例を示し、図10(b)に、電磁超音波センサ100を用いた横波共振検出結果の一例を示す。また、図10では、被計測物として、曲率半径が80mm(R80)及び55mm(R55)の曲面形状を有する鋼管等である被計測物K2を用いた場合の実験結果が示されている。
【0055】
図10に示す実験結果と図9に示す実験結果と比較すると、縦波共振検出結果及び横波共振検出結果ともに、図10に示す本実施形態の電磁超音波センサ100を用いた場合の方が、共振強度が大きくなっていることがわかる。即ち、比較例の電磁超音波センサ400よりも、本実施形態の電磁超音波センサ100の方が優れていることがわかる。これは、例えば図6に示すように、本実施形態の電磁超音波センサ100では、被計測物が曲面形状を有する被計測物K2の場合、スペーサ部130が、コイル120の表面が被計測物K2の曲面形状に倣って接触するように圧縮変形するため、コイル420の全面を被計測物K2の表面(曲面)に接触させることができるためであると考えられる。
【0056】
次に、本実施形態に係る電磁超音波センサ100を用いた電磁超音波検出システムについて説明する。
【0057】
図11は、本発明の実施形態に係る電磁超音波センサ100を含む電磁超音波検出システム10の機能構成の一例を示す模式図である。ここで、図11に示す電磁超音波センサ100は、図1及び図6(或いは図7)に示す電磁超音波センサ100と同様の構成であり、図11では各構成をブロック図で示している。
【0058】
図11に示すように、電磁超音波検出システム10は、電磁超音波センサ100と、制御装置200を有して構成されている。また、制御装置200は、発信・受信部210と、信号処理部220と、制御部230を有して構成されている。
【0059】
図1及び図6に示す電磁超音波センサ100の場合、磁界発生部110は、発信・受信部210からコイル112に供給された電流(直流電流)により電磁石を構成し、被計測物K2(又はK1)に対して磁界を発生する。また、図7に示す電磁超音波センサ100の場合、磁界発生部110は、発信・受信部210から電流を受信することなく、被計測物K2(又はK1)に対して磁界を発生する。
【0060】
電磁超音波センサ100のコイル120は、発信・受信部210から供給された所定周波数における交流電流を通電し、被計測物K2(又はK1)の内部に渦電流Iφを発生させる。
【0061】
制御装置200の発信・受信部210は、制御部230による制御に応じて、磁界発生部110のコイル112に電流(直流電流)を発信するとともに、コイル120に対して、所定周波数の交流電流を発信する。これにより、被計測物K2(又はK1)の内部には、横波及び縦波の電磁超音波が伝播することになる。
【0062】
また、制御装置200の発信・受信部210は、制御部230による制御に応じて、被計測物K2(又はK1)の内部を伝播した横波及び縦波の電磁超音波を、例えば、コイル120内に発生した渦電流Iφ''を検出することで受信する。なお、図11に示す例では、電磁超音波の発信を行う発信部と、電磁超音波の受信を行う受信部とが一体となった発信・受信部210が示されているが、本実施形態においては、発信部と受信部とをそれぞれ別体で構成した態様も適用可能である。
【0063】
制御装置200の信号処理部220は、制御部230による制御に応じて、発信・受信部210で受信した、各電磁超音波の信号を処理する。具体的に、例えば、信号処理部220は、被計測物K2(又はK1)の内部欠陥の有無や、板厚計測、電磁超音波の減衰に基づく結晶粒径の計測、更には、横波及び縦波の音速測定結果から所謂ランクフォード値(r値)等の組織情報の計測、内部の残留応力の計測等に係る電磁超音波の信号処理を行う。
【0064】
制御装置200の制御部230は、必要に応じて、発信・受信部210及び信号処理部220を制御して、制御装置200における動作を統括的に制御する。また、制御装置200の制御部230は、例えばユーザからの入力指示に応じて、コイル120に供給する交流電流や、信号処理部220で処理する信号処理の種類等を制御可能に構成されている。また、制御装置200の制御部230は、必要に応じて、信号処理部220の処理結果を表示部に出力する制御を可能に構成されている。
【0065】
以上、説明したように、本実施形態の電磁超音波センサ100では、被計測物に対して磁界を発生する磁界発生部110と、計測を行う際に被計測物と接触し、磁界発生部110から発生させた磁界との相互作用により電磁超音波を生じさせる渦電流を被計測物の内部に発生させるために交流電流が通電されるコイル120と、磁界発生部110とコイル120との間に当該コイルに接して設けられ、コイル120が被計測物と接触した際にコイル120の表面が被計測物の表面形状に倣って接触するように変形するスペーサ部130とを構成するようにしている。
かかる構成によれば、電磁超音波センサ100のコイル120を被計測物に接触させて計測を行う際に、スペーサ部130は、コイル120の表面が被計測物の表面形状に倣って接触するように変形するため、被計測物が如何なる表面形状(特に、曲面形状)であっても、コイル120と被計測物との距離が局所的に大きくなる部分が生じる問題を回避することができる。これにより、簡易な構成で、被計測物に係る計測の精度の向上を実現することができる。
【0066】
なお、図1及び図6、並びに図7に示す電磁超音波センサ100では、スペーサ部130が磁界発生部110と直接接して形成されている例が示されているが、スペーサ部130は、必ずしも磁界発生部110と直接接して形成されている必要はない。例えば、スペーサ部130と磁界発生部110との間に硬いスペーサを設けて、当該硬いスペーサを介してスペーサ部130が磁界発生部110に取り付けられている形態も適用可能である。
また、図1や図7に示す実施例では、磁界発生部110の直径がスペーサ部130やコイル120の直径よりも小さい場合を示したが、この3つの構成部品の大きさの関係はこれに限るものではなく、送受信される超音波の効率が良くなるように実験的に決定すればよい。
【0067】
また、前述した本発明の実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。即ち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0068】
100:電磁超音波センサ、110:磁界発生部、111:磁心、112:コイル、120:コイル、130:スペーサ部、140:コイル及びスペーサ部からなる構造体、141:凸部構造、K2:被計測物
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体からなる被計測物に電磁超音波を送受信して前記被計測物に係る計測を行うための電磁超音波センサであって、
前記被計測物に対して磁界を発生する磁界発生部と、
前記計測を行う際に前記被計測物と接触し、前記磁界との相互作用により前記電磁超音波を生じさせる渦電流を前記被計測物の内部に発生させるために交流電流が通電されるコイルと、
前記磁界発生部と前記コイルとの間に当該コイルに接して設けられ、前記コイルが前記被計測物と接触した際に前記コイルの表面が前記被計測物の表面形状に倣って接触するように変形するスペーサ部と
を有することを特徴とする電磁超音波センサ。
【請求項2】
当該電磁超音波センサは、曲面形状の前記被計測物に前記電磁超音波を送受信するものであり、
前記スペーサ部は、前記コイルが前記被計測物と接触した際に前記コイルの表面が前記被計測物の前記曲面形状に倣って接触するように変形することを特徴とする請求項1に記載の電磁超音波センサ。
【請求項3】
前記スペーサ部は、前記磁界発生部における前記被計測物側の表面よりも、前記コイルが前記被計測物寄りに設置されることになる厚みを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の電磁超音波センサ。
【請求項4】
前記電磁超音波として、横波及び縦波を前記被計測物の内部に発生させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電磁超音波センサ。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電磁超音波センサと、
前記コイルに対して前記交流電流を発信する発信部と、
前記被計測物の内部を伝播した前記電磁超音波を、前記コイルを介して受信する受信部と
を有することを特徴とする電磁超音波検出システム。
【請求項1】
導体からなる被計測物に電磁超音波を送受信して前記被計測物に係る計測を行うための電磁超音波センサであって、
前記被計測物に対して磁界を発生する磁界発生部と、
前記計測を行う際に前記被計測物と接触し、前記磁界との相互作用により前記電磁超音波を生じさせる渦電流を前記被計測物の内部に発生させるために交流電流が通電されるコイルと、
前記磁界発生部と前記コイルとの間に当該コイルに接して設けられ、前記コイルが前記被計測物と接触した際に前記コイルの表面が前記被計測物の表面形状に倣って接触するように変形するスペーサ部と
を有することを特徴とする電磁超音波センサ。
【請求項2】
当該電磁超音波センサは、曲面形状の前記被計測物に前記電磁超音波を送受信するものであり、
前記スペーサ部は、前記コイルが前記被計測物と接触した際に前記コイルの表面が前記被計測物の前記曲面形状に倣って接触するように変形することを特徴とする請求項1に記載の電磁超音波センサ。
【請求項3】
前記スペーサ部は、前記磁界発生部における前記被計測物側の表面よりも、前記コイルが前記被計測物寄りに設置されることになる厚みを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の電磁超音波センサ。
【請求項4】
前記電磁超音波として、横波及び縦波を前記被計測物の内部に発生させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電磁超音波センサ。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電磁超音波センサと、
前記コイルに対して前記交流電流を発信する発信部と、
前記被計測物の内部を伝播した前記電磁超音波を、前記コイルを介して受信する受信部と
を有することを特徴とする電磁超音波検出システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−75511(P2011−75511A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−229883(P2009−229883)
【出願日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】
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