説明

電線の押出機用金型及びこれを用いた電線の製造方法

【課題】通常の電線を製造するにあたり、被覆部を構成する絶縁体層と線材を構成する導体との密着力が高くなると、例えば電線の端部の絶縁体層を剥いで線材を露出させ、この部分に接続端子を圧着する場合などにおいて絶縁体層の除去作業性が低下する問題を解決する。
【解決手段】熱可塑性樹脂部材の流路を有する押出用ダイ12と、流路内に同心的に配置され被覆すべき線材を挿通する押出用ニップル13を備えた電線の押出機用金型11であって、押出用ダイの流路は、入口部からテーパ状に縮径する第1流路部16と、これに連通する所定径の第2流路部17を有し、第1流路部の開き角度が20〜35度、第2流路部の内径が製品外径の1〜1.5倍、長さが0を超え3mm未満となっており、押出用ニップルは、流路の入口側からテーパ状に縮径するテーパ部13bを有し、テーパ部の開き角度が20〜30度となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車のワイヤーハーネスに利用される電線の押出成形に用いられる電線の押出機用金型及びこれを用いた電線の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の環境問題によりワイヤーハーネスを構成する自動車用電線の絶縁材料には、PVC(ポリ塩化ビニル)部材からハロゲンフリーのオレフィン系の樹脂と金属水酸化物により構成される熱可塑性樹脂部材が使用されつつある。電線の被覆材に従来のPVC部材を用いた場合、いわゆるメヤニと呼ばれる樹脂カスの発生は見られなかったが、上記熱可塑性樹脂材を自動車用電線の絶縁材料として押出成形した場合、材料の特性により押出成形時のメヤニが発生し易くなった。
【0003】
そして、発生したメヤニが被覆したケーブル表面に付着すると、ケーブルの外観を損なうばかりでなく、ワイヤーハーネスの加工性が著しく困難になるという問題があった。
【0004】
このような課題を解決するために、図2に示すように押出機用ダイ1において溶融した熱可塑性樹脂部材の流路Fを形成するホール部4の出口部2に曲率半径が0.1mm以上10mm未満になるようなラッパ状の第1湾曲壁(R部)5を形成し、ダイ入口部6に曲率半径が0.1mm以上になるようなラッパ状の第2湾曲壁(R部)8を形成することで、メヤニの除去作業を軽減すると共に、ケーブル表面に傷のない製品を成形するようにした押出機用ダイが知られていた(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、上記構造の押出機用ダイ1は、熱可塑性樹脂部材の流路の入口部及び出口部に第1及び第2の湾曲部(R部)5,8を製作するためにコストアップになる問題があった。
【0006】
そして、このような問題を解決するために、特許文献2に記載されたような電線の押出機用金型が提案された。この電線の押出機用金型は、熱可塑性樹脂部材の流路を有する押出用ダイと、流路内に同心的に配置され被覆すべき線材を挿通する押出用ニップルとを備え、押出成形により熱可塑性樹脂部材で線材を被覆するようになっている。そして、押出用ダイの流路は、入口部からテーパ状に縮径する第1流路部と、この第1流路に連通する所定径の第2流路部とを有し、第1流路部の開き角度が25度〜35度、第2流路部の内径が電線外径の1〜2倍、第2流路部の長さが3mm〜4mmとなっており、押出用ニップルは、流路の入口側からテーパ状に縮径するテーパ部と、このテーパ部に連設された所定径の円筒部とを有し、テーパ部の開き角度が10度〜20度、円筒部の長さが4mm〜5mmとなっており、かつ押出用ダイの第2流路部の出口部端面と押出用ニップルの円筒部の出口部端面とが同一面となっている。
【特許文献1】特開平11-34141号公報(3頁、図1)
【特許文献2】特開2007-196498号公報(3−4頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
係る特許文献2に記載の電線の押出機用金型は、特許文献1に記載の電線の押出機用金型の不都合な点を解決する点では非常に優れており、特にシールド電線の製造に適していることが同文献内の実施例で立証されている。
【0008】
一方、シールド電線と異なり、自動車のワイヤーハーネスに使用される通常の電線に関しては、被覆部を構成する絶縁体層と線材を構成する導体との密着力が高くなると、例えば電線の端部の絶縁体層を剥いで線材を露出させ、この部分に接続端子を圧着する場合などにおいて絶縁体層の除去作業性が低下するという問題が生じてしまい、これを解決したいという第1の要望があった。
【0009】
また、絶縁体層を構成する材質がオレフィン系樹脂と金属水酸化物の場合に上述したメヤニ発生の問題があるため、通常の電線を製造する過程においてもこのメヤニ発生量も極力少なくしたいという第2の要望もあった。
【0010】
本発明の目的は、通常の電線を製造するにあたって上述した要望を同時に満たすことができる電線の押出機用金型及びこれを用いた電線の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するために本発明の請求項1に係る電線の押出機用金型は、
熱可塑性樹脂部材の流路を有する押出用ダイと、前記流路内に同心的に配置され被覆すべき線材を挿通する押出用ニップルとを備え、押出成形により前記熱可塑性樹脂部材で前記線材を被覆する電線の押出機用金型において、
前記押出用ダイの流路は、入口部からテーパ状に縮径する第1流路部と、該第1流路部の縮径部側に連通する所定径の第2流路部とを有し、前記第1流路部の開き角度が20度〜35度、前記第2流路部の内径が電線外径の1倍〜1.5倍、前記第2流路部の長さが0を超え3mm未満となっており、
前記押出用ニップルは、前記流路の入口側からテーパ状に縮径するテーパ部を有し、前記テーパ部の開き角度が20度〜30度となっていることを特徴としている。
【0012】
また、本発明の請求項2にかかる電線の製造方法は、
熱可塑性樹脂部材の流路を有する押出用ダイと、前記流路内に同心的に配置され被覆すべき線材を挿通する押出用ニップルとを備え、押出成形により前記熱可塑性樹脂部材で前記線材を被覆する電線の押出機用金型に、オレフィン系樹脂と金属水酸化物により構成される熱可塑性樹脂部材を溶融した状態で前記第1流路部の入口部から連続的に流し込むと共に、線材を前記押出用ニップルの拡径部から連続的に挿入することで、前記熱可塑性樹脂部材で被覆された線材からなる電線を製造する電線の製造方法であって、
前記押出用ダイの流路が、入口部からテーパ状に縮径する第1流路部と、該第1流路の縮径部側に連通する所定径の第2流路部とを有し、前記第1流路部の開き角度が20度〜35度、前記第2流路部の内径が電線外径の1倍〜1.5倍、前記第1流路部の長さが0を超え3mm未満となっており、かつ、前記押出用ニップルが、前記流路の入口側からテーパ状に縮径するテーパ部を有し、前記テーパ部の開き角度が20度〜30度となっていることを特徴としている。
【0013】
例えば自動車のワイヤーハーネスに利用される通常の電線に関して被覆部を構成する絶縁体層と線材を構成する導体との密着力が高くなると、例えば電線の端部の絶縁体層を剥いで線材を露出させてこの部分に接続端子を圧着する場合などにおいて絶縁体層の除去作業性が低下するという問題を、本発明の請求項1に係る電線の押出機用金型及び本発明の請求項2に係る電線の製造方法によって解決することができる。
【0014】
また、絶縁体層を構成する材質がオレフィン系樹脂と金属水酸化物の場合に上述したメヤニ発生の問題があるが、本発明の請求項1に係る電線の押出機用金型及び本発明の請求項2に係る電線の製造方法によると、通常の電線を製造する過程においてもこのメヤニ発生量を極力少なくすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、例えば自動車のワイヤーハーネスに利用される通常の電線を製造するにあたって、被覆部を構成する絶縁体層と線材を構成する導体との密着力が高くなると、例えば電線の端部の絶縁体層を剥いで線材を露出させ、この部分に接続端子を圧着する場合などにおいて絶縁体層の除去作業性が低下するという問題を解決することができた。
【0016】
また、絶縁体層を構成する材質がオレフィン系樹脂と金属水酸化物の場合に上述したメヤニ発生の問題があるが、本発明によると通常の電線を製造する過程においてもこのメヤニ発生量を極力少なくすることができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明に係る電線の押出機用金型11の断面を示し、押出機用金型11は、押出用ダイ12と押出用ニップル(マンドレル)13からなる。押出用ダイ12は、円柱形状をなし、中心に一側(入口側)端面12aから他側(出口側)端面12bまで溶融した熱可塑性樹脂部材の流路15が貫通して形成されている。
【0018】
流路15は、入口側の流路部(第1流路部)16と出口側の流路部(第2流路部)17からなり、流路部16は、入口部16aから流路部17との連通部まで内壁面16bが所定の開き角度αをなしてテーパ状に縮径して形成されている。流路部17は、所定の内径Aをなし出口部17bが端面12bに開口している。そして、この流路部17は、出口部17bの端面12bから所定の長さに設定されている。
【0019】
押出用ニップル13は、流路15の中心に同心的に環状空間部を存して配設されている。押出用ニップル13の先端部13aは、押出用ダイ12の流路15の第1の流路部16の形状と略対応した形状をなしており、押出用ダイ12の端面12a側からテーパ状に縮径して流路部16の内壁面16bと対向するテーパ部13bからなる。
【0020】
そして、テーパ部13bの出口部13dの端面13eが流路部17の出口部17bの端面即ち、押出用ダイ12の端面12bより若干流路部17内に引っ込んで位置している。また、テーパ部13bの外周面13fは、所定の開き角度β(即ち、後述する実施例におけるD部の角度)に設定されている。
【0021】
出口径である流路部17の内径(即ち、後述する実施例におけるA部の内径)は、製品としての電線外径に比べて1倍から1.5倍を大きくなっているが、好ましくは、1倍であるのが良い。また、流路部17の長さ(即ち、後述する実施例におけるランドをなすB部の長さ)は3mm以下となっているが、好ましくは2mm以下であるのが良い。また、流路部16の内壁面16bの開き角度α(即ち、後述する実施例におけるC部の角度)は20度〜35度になっているが、好ましくは20度〜30度であるのが良い。また、押出用ニップル13のテーパ部13bの外周面13fの開き角度β(即ち、後述する実施例におけるD部の角度)は20度〜30度となっている。
【0022】
次に、上述した構造を有する押出機用金型11を用いた電線の製造方法について説明する。最初に上述した構造の押出機用金型11を用意し、次いで、図示しない被覆すべき線材を押出用ニップル13内をテーパ部13bの入口側から図示しない線材搬送挿入機を用いて矢印Xで示すように挿通すると共にテーパ部13bの出口側から押し出し、これと同時にオレフィン系樹脂と金属水酸化物により構成された熱可塑性樹脂部材を溶融した状態で流路15の入口部から矢印Yで示すように連続的に供給して線材の周囲を熱可塑性樹脂で囲繞し、熱可塑性樹脂部材で被覆された線材からなる電線を製造する。
【実施例】
【0023】
続いて、本発明に係る電線の押出機用金型及びこれを用いた電線の製造方法の有用性を裏付ける評価試験を行ったので、以下にこれを実施例として説明する。なお、この評価試験においては、実際に電線の押出製造を行い、電線1万m製造後の状態について5段階評価を行った。
【0024】
評価点は、メヤニ発生量については少ない場合を1、多い場合を5として5段階で評価した。また、絶縁体層と導体の剥離強度を表す密着力については、小さい場合(適正な場合)を1、大きい場合(不適正な場合)を5として5段階で評価した。
【0025】
なお、以下の実施例においては、実際に電線の押出製造を行って得た長さ1万mの電線を「製品」とし、押出用ダイの出口部をA部とし、押出用ダイのランドをB部とし、押出用ダイの流路の入口部からテーパ状に縮径する第1流路部をC部とし、押出用ニップルをD部として説明する。
(実施例1)
本実施例1においては、実施例1として製造後の製品外径に対する押出用ダイの出口部であるA部の内径の製品外径に対する倍率を異なる5つの倍率(具体的には、1倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍)とし、この各倍率に対応するメヤニ発生量及び密着力(絶縁体層と導体の剥離強度)をそれぞれ測定して評価点をつけた。なお、ここで倍率1倍より小さい場合について評価試験を行わなかった。この理由は、倍率を1倍より小さくすると、樹脂圧力が高くなり電線製造時の断線の要因となる虞があるためである。この実施例1の評価試験結果を以下の表1に示す。
【0026】
【表1】

上記評価試験結果により、押出用ダイの出口径Aを電線外径の1〜1.5倍にすると、評価試験の合計点数が2点又は3点となり、絶縁体層と導体との剥離強度(以下「密着力」という)を低下させると共に、メヤニ発生量も低下させることが分かった。この場合、倍率が1倍の方が合計点数が2点となり、メヤニ発生量がさらに少なくなり、より好ましいことが分かった。
(実施例2)
本実施例2においては、製造後の電線(製品)外径に対するランドであるB部の長さ(mm)を異なる5つの長さ(具体的には、1mm、2mm、3mm、4mm、5mm)とし、この各倍率に対応するメヤニ発生量及び密着力(絶縁体層と導体の剥離強度)をそれぞれ測定して上述の実施例と同様の5段階評価の評価点をつけた。なお、1mmより短い長さについて評価試験を行わなかった。この理由は、この長さを0mmにすると、電線の表面(外観)に肌荒れが発生する虞があるためである。この実施例2の評価試験結果を以下の表2に示す。
【0027】
【表2】

上記評価試験結果により、電線外径に対するB部長さを1mm〜3mmにすると、評価試験合計点数が2点又は3点となり、密着力を低下させると共にメヤニ発生量を低下させることが分かった。この場合、電線外径に対するB部長さを1mm〜2mmとすると、評価試験合計点数が2点となり、密着力がさらに低下してより好ましいことが分かった。
(実施例3)
本実施例3においては、第1流路部C部の角度(°)を異なる5つの角度(具体的には、20°、30°、35°、40°、50°)とし、この各倍率に対応するメヤニ発生量及び密着力(絶縁体層と導体の剥離強度)をそれぞれ測定して上述の各実施例と同様の5段階評価の評価点をつけた。なお、20°より小さい角度に関する評価試験を行わなかった。この理由は、これ以上角度を小さくすると押出用ダイの長さが長くなり、部品単価が高くなるためである。この実施例3の評価試験結果を以下の表3に示す。
【0028】
【表3】

上記評価試験結果により、押出用ダイの流路の入口部からテーパ状に縮径する第1流路部(C部)の開き角度が20度〜35度であると、評価試験合計点数が2点又は3点となり、密着力を低下させると共にメヤニ発生量を低下させることが分かった。この場合、C部の開き角度が20度〜30度であると、評価試験合計点数が2点となり、密着力がさらに低下してより好ましいことが分かった。
(実施例4)
本実施例4においては、製造後の電線(製品)外径に対する押出用ニップルD部の角度(°)を異なる5つの角度(具体的には、20°、30°、35°、40°、50°)とし、この各倍率に対応するメヤニ発生量及び密着力(絶縁体層と導体の剥離強度)をそれぞれ測定して上述の各実施例と同様の5段階評価の評価点をつけた。なお、20°より小さい角度に関する評価試験を行わなかった。この理由は、これ以上角度を小さくすると押出用ニップルの長さが長くなり、部品単価が高くなるためである。この実施例4の評価試験結果を以下の表4に示す。
【0029】
【表4】

上記評価試験結果により、押出用ニップル(D部)の開き角度が20度〜30度であると、評価試験合計点数が2点となり、密着力を低下させると共にメヤニ発生量を低下させることが分かった。
【0030】
以上説明したように、通常の電線を製造するにあたって、被覆部を構成する絶縁体層と線材を構成する導体との密着力が高くなると、例えば電線の端部の絶縁体層を剥いで線材を露出させ、この部分に接続端子を圧着する場合などにおいて絶縁体層の除去作業性が低下するという問題を、本発明に係る電線の押出機用金型及びこれを用いた電線の製造方法によって解決することができた。
【0031】
即ち、絶縁体層と導体との密着力が低下して、絶縁体層の剥離性が大幅に向上した結果、絶縁体層の剥離を伴う端末加工性が向上してワイヤーハーネスの作業性も向上し、製品歩留まりの問題が解消した。
【0032】
また、絶縁体層を構成する材質がオレフィン系樹脂と金属水酸化物の場合に上述したメヤニ発生の問題があるが、通常の電線を製造する過程においてこのメヤニ発生量も極力少なくすることができた。これによって、メヤニの発生を低減したことでケーブルの表面に傷のない製品を成形することでき、安定した製品を製造することが可能となった。従って、従来発生していたメヤニに起因する製品の歩留まり悪さが改善されてケーブルを安価に製造することが可能となった。具体的には、表面に傷の無い電線(製品)を成形することができ、安定した製品を製造することができるようになった。
本発明に係る電線の押出機用金型及びこれを用いた電線の製造方法によると、絶縁体層と導体との密着力、及び、歩留まりを同時に解決することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る電線の押出機用金型の一実施形態の断面図である。
【図2】従来の押出機用ダイの断面図である。
【符号の説明】
【0034】
1 押出機用ダイ
2 出口部
4 ホール部
5 第1湾曲部(R部)
6 ダイ入口部
8 第2湾曲部(R部)
11 押出機用金型
12 押出用ダイ
12a 一側(入口側)端面
12b 他側(出口側)端面
13 押出用ニップル
13a 先端部
13b テーパ部
13d 出口部
13e 端面
13f 外周面
15 流路
16 入口側の流路部(第1流路部)
16a 入口部
16b 内壁面
17 出口側の流路部(第2流路部)
17b 出口部
α 第1流路部内壁面開き角度
β テーパ部開き角度
A 流路部17の内径(出口径)
B 流路部17の長さ(ランド長さ)
C 第1流路部
D 押出用ニップル
F 流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂部材の流路を有する押出用ダイと、前記流路内に同心的に配置され被覆すべき線材を挿通する押出用ニップルとを備え、押出成形により前記熱可塑性樹脂部材で前記線材を被覆する電線の押出機用金型において、
前記押出用ダイの流路は、入口部からテーパ状に縮径する第1流路部と、該第1流路部の縮径部側に連通する所定径の第2流路部とを有し、前記第1流路部の開き角度が20度〜35度、前記第2流路部の内径が電線外径の1倍〜1.5倍、前記第2流路部の長さが0を超え3mm未満となっており、
前記押出用ニップルは、前記流路の入口側からテーパ状に縮径するテーパ部を有し、前記テーパ部の開き角度が20度〜30度となっていることを特徴とする電線の押出機用金型。
【請求項2】
熱可塑性樹脂部材の流路を有する押出用ダイと、前記流路内に同心的に配置され被覆すべき線材を挿通する押出用ニップルとを備え、押出成形により前記熱可塑性樹脂部材で前記線材を被覆する電線の押出機用金型に、オレフィン系樹脂と金属水酸化物により構成される熱可塑性樹脂部材を溶融した状態で前記第1流路部の入口部から連続的に流し込むと共に、線材を前記押出用ニップルの拡径部から連続的に挿入することで、前記熱可塑性樹脂部材で被覆された線材からなる電線を製造する電線の製造方法であって、
前記押出用ダイの流路が、入口部からテーパ状に縮径する第1流路部と、該第1流路の縮径部側に連通する所定径の第2流路部とを有し、前記第1流路部の開き角度が20度〜35度、前記第2流路部の内径が電線外径の1倍〜1.5倍、前記第1流路部の長さが0を超え3mm未満となっており、かつ、前記押出用ニップルが、前記流路の入口側からテーパ状に縮径するテーパ部を有し、前記テーパ部の開き角度が20度〜30度となっていることを特徴とする電線の製造方法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2009−202345(P2009−202345A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−44016(P2008−44016)
【出願日】平成20年2月26日(2008.2.26)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【出願人】(391045897)古河AS株式会社 (571)
【Fターム(参考)】