説明

電線及び電線の識別方法

電線の低コスト化を図れかつ電線同士を容易に識別できる電線と電線の識別方法を提供する。電線としての第1の電線(1)は芯線(5)と被覆部(6)とを備えている。被覆部(6)の外表面(6a)は単色(P)である。外表面(6a)には第1の印(7)と第2の印(8)とが形成されている。第1の印(7)と第2の印(8)とは第1の電線(1)の長手方向に沿って間隔をあけて並べられている。第1の印(7)の第1の電線(1)の長手方向の長さ(L1)は第2の印(8)の第1の電線(1)の長手方向の長さ(L2)より長い。第1の印(7)は外表面(6a)が第1の色(R)で着色されて形成されている。第2の印(8)は外表面(6a)が第2の色(G)で着色されて形成されている。第1の色(R)と第2の色(G)とを適宜変更することによって、第1の電線(1)同士を識別可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、導電性の芯線とこの芯線を被覆する絶縁性の被覆部とを備えた電線と、これらの電線同士の識別方法に関する。
【背景技術】
移動体としての自動車などには、種々の電子機器が搭載される。このため、前記自動車などは、前記電子機器に電源などからの電力やコンピュータなどからの制御信号などを伝えるために、ワイヤハーネスを配索している。ワイヤハーネスは、複数の電線100(第13図に示す)と、該電線100の端部などに取り付けられたコネクタなどを備えている。
電線100は、第13図に示すように、導電性の芯線101と該芯線101を被覆する絶縁性の合成樹脂からなる被覆部102とを備えている。電線100は、所謂被覆電線である。前記電線100は、芯線101の外周に絶縁性の合成樹脂を押し出し被覆して製造される。前記電線100は、前述した押し出し被覆を行う際に、前述した合成樹脂に所望の着色剤が混入されて、所望の色に着色される。
コネクタは、導電性の端子金具と絶縁性のコネクタハウジングとを備えている。端子金具は、電線100の端部などに取りつけられかつ該電線100の芯線101と電気的に接続する。コネクタハウジングは、箱状に形成されかつ端子金具を収容する。
前記ワイヤハーネスを組み立てる際には、まず電線100を所定の長さに切断した後、該電線100の端部などに端子金具を取り付ける。必要に応じて電線100同士を接続する。その後、端子金具をコネクタハウジング内に挿入する。こうして、前述したワイヤハーネスを組み立てる。
前述したワイヤハーネスの電線100は、芯線101の太さと、被覆部102の材質(耐熱性の有無などによる材質の変更)と、使用目的などを識別する必要がある。なお、使用目的とは、例えば、エアバック、ABS(Antilock Brake System)や車速情報などの制御信号や、動力伝達系統などの電線100が用いられる自動車の系統(システム)である。
前述した使用目的(系統)を識別するために、第13図に示す電線100では被覆部102の外表面102aが互いに異なる二色A,B(第13図中に平行斜線で示す)でストライプ模様に形成されている。第13図に示された電線100は、前述した押し出し被覆を行う際に色Aの着色剤を合成樹脂に混入するとともに、押し出し被覆後に外表面102aの一部を色Bの着色剤で着色して得られる。
第13図に示された電線100では、前記色Aの部分と、色Bの部分とが、前記電線100の長手方向に沿って互いに平行であるとともに、該電線100の周方向に並べられている。また、前記色Aの部分の面積が前記色Bの部分の面積より広くなっており、前記色Aの部分より前記色Bの部分が細くなっている。
一方、自動車には、ユーザなどから多種多様な要望がよせられている。このため、前記自動車は、より多種多様な電子機器を搭載することが望まれている。したがって、前記ワイヤハーネスには、例えば100種類程度の電線100が用いられることがある。この場合、多種多様な色の電線100を用いることになる。
このため、第13図に例示された電線100では、被覆部102を構成する合成樹脂に混入する着色剤に色Aと、被覆後に着色する着色剤の色Bとの組み合わせを多種多様にしている。また、前述したワイヤハーネスでは、多様な線径の電線100が用いられる。第13図に示す電線100では、電線の端部などにおいて、外表面の全周に亘って前記色A,Bと異なる色Cで着色することにより、バンドマーク103を形成している。バンドマーク103は、勿論円環状(輪状)に形成されている。第13図に示す電線100では、バンドマーク103の有無により、線径を識別可能としている。
また、前述したワイヤハーネスは、自動車などに前述した多種多様な電子機器が搭載されることにより重量が増加する傾向であった。このため、ワイヤハーネスの軽量化を図るために、前記電線100をより細くすることが望まれている。第13図に例示されたストライプの電線100では、細くなると色Aの部分と色Bの部分も勿論細くなり、これら色A,Bの組み合わせを識別することが困難となる。このため、ワイヤハーネスを組み立てる際に、電線100の配索を誤る可能性が増加して、ワイヤハーネスの品質を低下させる虞があった。
また、前述した従来の電線100を用いて、自動車などに配索されるワイヤハーネスを構成すると、100種類以上の色A,Bの組み合わせの電線100が必要になる。このため、電線100を製造する工場やワイヤハーネスの組立工場では、前述した100種類以上の電線100を保管するためのスペースや手間が必要になる。また、電線100を管理するために煩雑な作業が必要になる。
このため、ワイヤハーネスなどの電線100を用いた製品のコストが高騰する傾向であった。ワイヤハーネスなどの電線100を用いた製品の低コスト化を図るために、本発明の出願人は、例えば白色などの単一の色の電線を製造しておき、ワイヤハーネスなどの組立工程中に、前述した白色の電線を適宜所定の色で着色することを提案している。この場合、電線同士の識別が課題となる。
したがって、本発明は、組み立てられるワイヤハーネスなどのコストの低下を図ることができるとともに識別が容易な電線と、電線の低コスト化を図れかつ電線同士を容易に識別できる電線の識別方法を提供することを目的としている。
【発明の開示】
前記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載の本発明の電線は、導電性の芯線と、合成樹脂からなりかつ前記芯線を被覆するとともに外表面が単色の被覆部とを備えた電線において、前記被覆部の外表面の一部が第1の色に着色されて形成された第1の印と、前記被覆部の外表面の一部が前記第1の色と異なる第2の色に着色されて形成された第2の印と、を備え、前記第1の印と第2の印とが前記被覆部の長手方向に沿って互いに間隔をあけて並べられており、前記第1の印の被覆部の長手方向の長さが前記第2の印の被覆部の長手方向の長さより長いことを特徴としている。
このことによれば、第1の印と第2の印とが、被覆部即ち電線の長手方向に沿って並べられている。このため、第1の印と第2の印の電線の周方向の幅を大きくすることができる。さらに、第1の印を第2の印より長くし、これらの印を互いに間隔をあけて配している。このため、第1の印と第2の印とを識別できる。
また、単色の外表面に第1の印と第2の印を形成する。このため、外表面が単色の電線を製造しておき、第1の色と第2の色とを適宜変更することにより、多種多様な電線を得ることができる。
第1の色と第2の色とのうち一方が電線の外表面と同じ色の場合には、外表面と異なる第1の色と第2の色とのうち他方のみを電線の外表面に形成すれば良い。
なお、本明細書でいう被覆部の外表面を着色するとは、電線の被覆部の外表面を着色材で着色することを示している。着色材とは、色材(工業用有機物質)が水またはその他の溶媒に溶解、分散した液状物質である。有機物質としては、染料、顔料(大部分は有機物であり、合成品)があり、時には染料が顔料として、顔料が染料として用いられることがある。より具体的な例として、本明細書でいう着色材とは、着色液と塗料との双方を示している。
着色液とは、溶媒中に染料が溶けているもの又は分散しているものを示しており、塗料とは、分散液中に顔料が分散しているものを示している。このため、着色液で被覆部の外表面を着色すると、染料が被覆部内にしみ込み、塗料で被覆部の外表面を着色すると、顔料が被覆部内にしみ込むことなく外表面に接着する。即ち、本明細書でいう被覆部の外表面を着色するとは、被覆部の外表面の一部を染料で染めることと、被覆部の外表面の一部に顔料を塗ることとを示している。
また、前記溶媒と分散液は、被覆部を構成する合成樹脂と親和性のあるものが望ましい。この場合、染料が被覆部内に確実にしみ込んだり、顔料が被覆部の外表面に確実に接着することとなる。
請求項2に記載の本発明の電線は、請求項1に記載の電線において、前記第1の印と第2の印を端部にそれぞれ一つずつ設けたことを特徴としている。
このことによれば、端部に第1の印と第2の印とをそれぞれ一つずつ設けている。このため、第1の印と第2の印とを形成するために用いられる着色材の量を抑制できる。さらに、電線をローラなどで移動させながら着色する際に、ローラなどに付着する着色材の量を抑制できる。
請求項3に記載の本発明の電線は、請求項1又は請求項2に記載の電線において、前記被覆部の外径を識別可能とする線径識別手段を備えたことを特徴としている。
このことによれば、線径識別手段により電線の線径を識別できる。
請求項4に記載の本発明の電線は、請求項3に記載の電線において、前記線径識別手段は、前記第1の印と第2の印とのうち一方が複数に分割されて形成されているとともに、前記被覆部の長手方向に沿って並べられた複数の印であることを特徴としている。
このことによれば、線径識別手段が、第1の印と第2の印のうち一方を複数に分割している。このため、分割された第1の印と第2の印のうち一方を認識することによって、電線の線径を容易に識別できる。
請求項5に記載の本発明の電線は、導電性の芯線と、合成樹脂からなりかつ前記芯線を被覆するとともに外表面が単色の被覆部とを備えた電線において、前記被覆部の外表面の一部が第3の色に着色されて形成された第3の印を複数備え、これら第3の印は、被覆部の長手方向に沿って互いに間隔をあけて並べられていることを特徴としている。
このことによれば、第3の印が被覆部の長手方向に沿って間隔をあけて並べられている。このため、各第3の印を被覆部と容易に識別でき、第3の印を容易に識別できる。また、単一の色の外表面に第3の印を形成する。このため、外表面が単一の色の電線を製造しておき、第3の色を適宜変更することにより、多種多様な電線を得ることができる。
請求項6に記載の本発明の電線は、請求項5に記載の電線において、前記被覆部の外径を識別可能とする線径識別手段を備えたことを特徴としている。
このことによれば、線径識別手段により電線の線径を識別できる。
請求項7に記載の本発明の電線は、請求項6に記載の電線において、前記線径識別手段は、互いに隣り合う一対の第3の印間に複数設けられ、かつ前記被覆部6の外表面の一部が前記第3の色と異なる第4の色に着色されて形成された第4の印であり、複数の第4の印は、被覆部の長手方向に沿って間隔をあけて並べられていることを特徴としている。
このことによれば、線径識別手段が第3の印間に配された複数の第4の印である。また、第4の印は、被覆部の長手方向に沿って並べられ、第4の色は第3の色と異なる。このため、容易に第4の印を認識でき、この第4の印を目視することによって、電線の線径を容易に識別できる。
請求項8に記載の本発明の電線の識別方法は、電線の単色の外表面の一部を第1の色で着色して第1の印を形成しかつ前記外表面の一部を第1の色と異なる第2の色で着色して第2の印を形成するとともに、前記第1の印と前記第2の印とを前記電線の長手方向に沿って間隔をあけて並べ、前記第1の印の電線の長手方向の長さを前記第2の印の電線の長垂方向の長さより長くするとともに、前記第1の色と第2の色とを適宜変更することによって、電線同士を識別可能とすることを特徴としている。
このことによれば、電線の第1の印と第2の印とを長手方向に沿って間隔をあけて並べている。このため、第1の印と第2の印の電線の周方向の幅を大きくすることができる。したがって、第1の印と第2の印とを容易に認識できる。さらに、第1の印を第2の印より長くし、これらの印を互いに間隔をあけて配している。このため、第1の印と第2の印とを識別できる。
このため、第1の印を構成する第1の色と第2の印とを構成する第2の色とを容易に認識できるとともに、第1の色と第2の色とを容易に識別できる。
また、電線の単色の外表面に第1の印と第2の印を形成する。このため、外表面が単一の色の電線を製造しておき、第1の色と第2の色とを適宜変更することにより、多種多様な電線を得ることができる。
第1の色と第2の色とのうち一方が電線の外表面と同じ色の場合には、外表面と異なる第1の色と第2の色とのうち他方のみを電線の外表面に形成すれば良い。
請求項9に記載の本発明の電線の識別方法は、請求項8に記載の電線の識別方法において、前記第1の印と前記第2の印とのうち一方を複数に分割するか否かによって、前記電線の線径を識別可能とするとともに、分割して形成された印を前記電線の長手方向に沿って並べることを特徴としている。
このことによれば、第1の印と第2の印とのうち一方が分割されているか否かを認識することで、電線の線径を容易に識別できる。
請求項10に記載の本発明の電線の識別方法は、電線の単色の外表面の一部を第3の色で着色して第3の印を複数形成しかつこれらの第3の印を電線の長手方向に沿って間隔をあけて並べ、前記第3の色を適宜変更することにより電線同士を識別可能とすることを特徴としている。
このことによれば、電線の第3の印を長手方向に沿って間隔をあけて並べている。このため、第3の印の電線の周方向の幅を大きくすることができる。したがって、容易に第3の印を認識できる。このため、第3の印を構成する第3の色を容易に認識できる。
また、電線の単一の色の外表面に第3の印を形成する。このため、外表面が単一の色の電線を製造しておき、第3の色を適宜変更することにより、多種多様な電線を得ることができる。
請求項11に記載の本発明の電線の識別方法は、請求項10に記載の電線の識別方法において、互いに隣り合う一対の第3の印間に前記被覆部の外表面の一部が前記第3の色と異なる第4の色に着色されて形成された第4の印を複数設けるか否かによって、前記電線の線径を識別可能とするとともに、複数の第4の印を前記電線の長手方向に沿って並べることを特徴としている。
このことによれば、第3の印間に複数の第4の印があるか否かを認識することで、電線の線径を容易に識別できる。また、第4の印が、電線の長手方向に沿って並べられている。このため、第4の印を容易に認識できる。したがって、電線の線径を容易に識別できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の一実施形態にかかる第1の電線を示す説明図であり、(a)は、第1の電線の斜視図であり、(b)は、第1図(a)に示された第1の電線の側面図である。
第2図は、本発明の一実施形態にかかる第2の電線を示す説明図であり、(a)は、第2の電線を示す斜視図であり、(b)は、第2図(a)に示された第2の電線の側面図である。
第3図は、第1図(a)に示された第1の電線の変形例を示す説明図であり、(a)は、第1の電線の変形例の斜視図であり、(b)は、第3図(a)に示された第1の電線の変形例の側面図である。
第4図は、第2図(a)に示された第2の電線の変形例を示す説明図であり、(a)は、第2の電線の変形例の斜視図であり、(b)は、第4図(a)に示された第2の電線の変形例の側面図である。
第5図は、第1図(a)に示された第1の電線の他の変形例を示す説明図であり、(a)は、第1の電線の他の変形例の斜視図であり、(b)は、第5図(a)に示された第1の電線の他の変形例の側面図である。
第6図は、第2図(a)に示された第2の電線の他の変形例を示す説明図であり、(a)は、第2の電線の他の変形例の斜視図であり、(b)は、第6図(a)に示された第2の電線の他の変形例の側面図である。
第7図は、本発明の一実施形態にかかる第3の電線を示す説明図であり、(a)は、第3の電線の斜視図であり、(b)は、第7図(a)に示された第3の電線の側面図である。
第8図は、本発明の一実施形態にかかる第4の電線を示す説明図であり、(a)は、第4の電線の斜視図であり、(b)は、第8図(a)に示された第4の電線の側面図である。
第9図は、第1図ないし第8図に示された電線に印を形成するマーキング装置を取り付けた電線切断装置の構成を示す斜視図である。
第10図は、第9図に示されたマーキング装置の構成を示す説明図である。
第11図は、第1の電線及び第2の電線の他の変形例の説明図であり、(a)は、第1図(a)に示された第1の電線の更に他の変形例の斜視図であり、(b)は、第1図(a)に示された第1の電線の更に別の変形例の斜視図であり、(c)は、第2図(a)に示された第2の電線の更に別の変形例の斜視図である。
第12図は、第1の電線及び第2の電線の更に他の変形例の説明図であり、(a)は、第1図(a)に示された第1の電線の更に他の変形例の斜視図であり、(b)は、第2図(a)に示された第2の電線の更に他の変形例の斜視図である。
第13図は、従来の電線の説明図であり、(a)は、従来の電線の斜視図であり、(b)は、第13図(a)に示された電線の側面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明の一実施形態にかかる電線の識別方法を、第1図ないし第10図を参照して説明する。本実施形態にかかる電線の識別方法は、第1図に示す第1の電線1と、第2図に示す第2の電線2と、第7図に示す第3の電線3と、第8図に示す第4の電線4とを識別する方法である。なお、第1の電線1と第2の電線2と第3の電線3と第4の電線4とは、本明細書に記した電線をなしている。これらの電線1,2,3,4は、自動車などに配索されるワイヤハーネスを構成する。また、前述したワイヤハーネスでは、例えば断面積が0.3mm、0.5mm、0.85mm、1.25mmなどの互いに太さ(線径又は外径と記す)が異なる複数の電線1,2,3,4などから構成されている。
第1の電線1は、第1図(a)及び第1図(b)に示すように、導電性の芯線5と、絶縁性の被覆部6とを備えている。芯線5は、複数の素線が撚られて形成されている。芯線5を構成する素線は、導電性の金属からなる。また、芯線5は、一本の素線から構成されても良い。被覆部6は、例えば、ポリ塩化ビニル(Polyvinylchloride:PVC)などの合成樹脂からなる。被覆部6は、芯線5を被覆している。このため、被覆部6の外表面6aは、第1の電線1の外表面をなしている。
また、被覆部6の外表面6aは、色(単一の色、以下略して単色と呼ぶ)P一色である。なお、被覆部6を構成する合成樹脂に所望の着色剤を混入して、外表面6aを単色Pにしても良く、被覆部6を構成する合成樹脂に着色剤を混入することなく、単色Pを合成樹脂自体の色として良い。被覆部6を構成する合成樹脂に着色剤を混入せずに、単色Pが合成樹脂自体の色の場合、被覆部6即ち第1の電線1の外表面6aは、無着色であるという。
このように、無着色とは、被覆部6を構成する合成樹脂に着色剤を混入せずに、第1の電線1の外表面6aが合成樹脂自体の色であることを示している。なお、本実施形態では、被覆部6を構成する合成樹脂に白色の着色剤を混入して、外表面6aの単色Pは白色となっている。
第1の電線1の外表面6aの一部には、第1の印7と、第2の印8とが形成されている。第1の印7と、第2の印8とは、芯線5及び被覆部6の長手方向即ち第1の電線1の長手方向に沿って並べられている。第1の印7と第2の印8とは、芯線5及び被覆部6の長手方向即ち第1の電線1の長手方向に沿って交互に配されている。第1の印7と第2の印8とは、被覆部6即ち第1の電線1の長手方向に沿って、互いに間隔をあけている。また、第1の印7と第2の印8は、第1の電線1の全長に亘って、外表面6aに設けられている。
第1の印7は、被覆部6即ち第1の電線1の長手方向に沿って直線状に延びている。第1の印7は、第1の色R(第1図中に平行斜線で示す)である。このため、第1の印7は、外表面6aの一部が第1の色Rに着色されて形成されている。第1の色Rは、単色Pと異なっていても良く、前記単色Pと同じであっても良い。
第2の印8は、被覆部6即ち第1の電線1の長手方向に沿って直線状に延びている。第2の印8は、第2の色G(第1図中に平行斜線で示す)である。第2の色Gは、第1の色Rと異なる。このため、第2の印8は、外表面6aの一部が第2の色Gに着色されて形成されている。第2の色Gは、単色Pと異なっていても良く、前記単色Pと同じであっても良い。
また、芯線5及び被覆部6の長手方向即ち第1の電線1の長手方向の前記第1の印7の長さL1は、予め定められている。芯線5及び被覆部6の長手方向即ち第1の電線1の長手方向の互いに隣り合う第1の印7と第2の印8との間隔D1は、予め定められている。芯線5及び被覆部6の長手方向即ち第1の電線1の長手方向の前記第2の印8の長さL2は、予め定められている。又、長さL1は、長さL2より長い。
前述した第1の電線1は、第1の色Rと第2の色Gとを適宜変更する。第1の電線1では、第1の色Rと第2の色Gとを適宜変更することによって、第1の電線1同士を識別可能としている。例えば、自動車などに配索されるワイヤハーネスでは、第1の電線1は、第1の色Rと第2の色Gとの組み合わせによって、前述した系統などを示すのが望ましい。第1の色Rと第2の色Gの組み合わせを、前述した従来の電線の色A,Bの組み合わせに相当させるのが望ましい。
また、前述した第1の電線1において、第3図及び第5図に示すように、第1の色Rと第2の色Gとのうち一方が、外表面6aの単色Pと同じになる場合がある。これらの場合には、外表面6aの単色Pと異なる第1の色Rと第2の色Gとのうち他方からなる印7,8のみを形成しても良く、第1の印7と第2の印8との双方を形成してもよい。この場合、第3図及び第5図に示すように、あたかも、外表面6aの単色Pと異なる第1の色Rと第2の色Gとのうち他方からなる印7,8のみが形成されているように認識できる。
第3図に示す場合では、第1の色Rが単色Pと同じとなっており、第2の印8のみが形成されているように認識できる。また、第3図中二点鎖線で示す第1の印7が形成される箇所は、空白となっており、単色P又はこの単色Pと同じ第1の色Rとなっている。第3図に示す場合では、第1図に示す場合において第2の印8が形成される箇所に、第2の印8のみが形成されている。第3図に示す場合でも、単色P即ち第1の色Rと、第2の印8の第2の色Gとの組み合わせにより、第1の電線1同士を識別可能とする。
第5図に示す場合では、第2の色Gが単色Pと同じとなっており、第1の印7のみが形成されているように認識できる。また、第5図中二点鎖線で示す第2の印8が形成される箇所は、空白となっており、単色P又はこの単色Pと同じ第2の色Gとなっている。第5図に示す場合では、第1図に示す場合において第1の印7が形成される箇所に、第1の印7のみが形成されている。第5図に示す場合でも、第1の印7の第1の色Rと、単色P即ち第2の色Gとの組み合わせにより、第1の電線1同士を識別可能とする。
第2図に示す第2の電線2は、構成が第1の電線1と略同一である。このため、第1の電線1と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する、第2の電線2の外表面6aの一部には、第2図(a)及び第2図(b)に示すように、前述した第1の電線1と同様に、第1の印7と第2の印8とが形成されている。第1の印7は、外表面6aの一部が第1の色Rに着色されて形成されている。第2の印8は、外表面6aの一部が第2の色Gに着色されて形成されている。
また、第2の電線2は、第2の印8が二つに分割されている。第2の印8が分割されて、形成された二つの印を各々以下符号8aで示す。これらの印8aは、被覆部6即ち第2の電線2の長手方向に沿って互いに間隔をあけて並べられている。これらの印8a間の間隔D2も予め定められている。
この第2の電線2においても、前記第1の色Rと第2の色Gとの組み合わせにより、第2の電線2同士を識別可能としている。自動車に配索されるワイヤハーネスでは、第1の色Rと第2の色Gとの組み合わせにより、前述した系統を示す。
また、第2の電線2の外径(第2図に示し以下線径と呼ぶ)R2は、第1の電線1の外径(第1図に示し以下線径と呼ぶ)R1と異なっている。第2の電線2では、第1及び第2の色R,Gが前記第1の電線1の色R,Gと同じ場合に、前述した第2の印8を二つに分割することによって、第1の電線2との識別を可能としている。
このように、二つに分割された第2の印8は、予め定められた所定の線径の第2の電線2に形成されている。二つに分割された第2の印8は、第1の電線1と第2の電線2との識別即ち電線1,2の線径R1,R2の識別を可能としている。即ち、二つに分割された第2の印8は、所定の線径の電線であるか否かを識別可能にしている。このため、第2の印8が分割されているか否かで、電線1,2の線径R1,R2を識別することができる。このように、第2の印8が二つに分割されて形成された印8aは、本明細書に記した線径識別手段をなしている。又、線径R1,R2は、勿論、被覆部6の外径をなしている。
また、前述した第2の電線2において、第4図及び第6図に示すように、第1の色Rと第2の色Gとのうち一方が、外表面6aの単色Pと同じとなる場合がある。これらの場合には、外表面の単色Pと異なる第1の色Rと第2の色Gとのうち他方からなる印7,8のみを形成しても良く、第1の印7と第2の印8との双方を形成してもよい。この場合、第4図及び第6図に示すように、あたかも、外表面6aの単色Pと異なる第1の色Rと第2の色Gとのうち他方からなる印7,8のみが形成されているように認識できる。
第4図に示す場合では、第1の色Rが単色Pと同じとなっており、第2の印8のみが形成されているように認識できる。また、第4図中二点鎖線で示す第1の印7が形成される箇所は、空白となっており、単色P又はこの単色Pと同じ第1の色Rとなっている。
第4図に示す場合では、第2図に示す場合において第2の印8が形成される箇所に、第2の印8のみが形成されている。第4図に示す場合でも、単色P即ち第1の色Rと、第2の印8の第2の色Gとの組み合わせにより、第2の電線2同士を識別可能とする。さらに、第4図に示す場合では、第2の印8を分割するか否かで、電線1,2同士の線径R1,R2を識別可能としている。
第6図に示す場合では、第2の色Gが単色Pと同じとなっており、第1の印7のみが形成されているように認識できる。また、第6図中二点鎖線で示す第2の印8が形成される箇所は、空白となっており、単色P又はこの単色Pと同じ第2の色Gとなっている。第6図に示す場合では、第1図に示す場合において第1の印7が形成される箇所に、第1の印7のみが形成されている。
さらに、第2の印8の第2の色Gが単色Pと同じである場合には、第1の印7を二つに分割している。第1の印7が分割されて、形成された二つの印を各々以下符号7aで示す。これらの印7aは、被覆部6即ち第2の電線2の長手方向に沿って互いに間隔をあけて並べられており、本明細書に記した線径識別手段をなしている。
これらの印7a間の間隔D3も予め定められている。第6図に示す場合でも、第1の印7の第1の色Rと、単色P即ち第2の色Gとの組み合わせにより、第2の電線2同士を識別可能とする。さらに、第6図に示す場合では、第1の印7を分割するか否かで、電線1,2同士の線径R1,R2を識別可能としている。線径識別手段としての印7a,8aは、所定の線径の第2の電線2に形成されることで、第2の電線2と他の線径の電線とを識別可能にしている。
第7図に示す第3の電線3は、構成が第1の電線1と第2の電線2と略同一である。このため、これらの電線1,2と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。第3の電線3の外表面6aの一部には、第7図(a)及び第7図(b)に示すように、第3の印9が複数形成されている。
第3の印9は、芯線5及び被覆部6の長手方向即ち第3の電線3の長手方向に沿って並べられている。互いに隣り合う第3の印9は、互いに間隔をあけている。第3の印9は、第3の電線3の全長に亘って、外表面6aに設けられている。互いに隣り合う第3の印9間の間隔D4は、予め定められている。第3の印9の被覆部6即ち第3の電線3の長手方向の長さL3は、予め定められている。
第3の印9は、外表面6aの一部が第3の色Q(第7図中に平行斜線で示す)に着色されて形成されている。第3の色Qは、単色Pと異なっている。また、第3の色Qは、第1の色Rと異なっていても良く、同じであっても良い。さらに、第3の色Qは、第2の色Gと異なっていても良く、同じであっても良い。さらに、第3の印9は、被覆部6即ち第3の電線3の長手方向に沿って等間隔に配されているのが望ましい。
前述した第3の電線3は、第3の色Qを適宜変更する。第3の電線3では、第3の色Qを適宜変更することによって、第3の電線3同士を識別可能としている。また、第3の電線3は、同じ第3の色Qの第3の印9が被覆部6即ち第3の電線3の長手方向に沿って互いに間隔をあけているので、第1及び第2の電線1,2と識別可能としている。
例えば、自動車などに配索されるワイヤハーネスでは、第3の電線3は、第3の色Qによって、前述した系統などを示すのが望ましい。第3の色Qを、従来から用いられてきた単色電線の外表面の色に相当させるのが望ましい。
第8図に示す第4の電線4は、構成が第3の電線3と略同一である。このため、第3の電線3と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。第4の電線4の外表面6aの一部には、第8図(a)及び第8図(b)に示すように、第3の電線3と同様に、第3の印9が複数形成されている。さらに、第4の電線4は、複数の第4の印10が外表面6aに形成されている。なお、第8図に示す例では、第4の印10は二つ設けられている。
複数の第4の印10は、互いに隣り合う一対の第3の印9間に配されている。複数の第4の印10は、芯線5及び被覆部6の長手方向即ち第4の電線4の長手方向に沿って並べられている。複数の第4の印10は、互いに間隔をあけている。また、第4の印10は、第3の印9とも芯線5及び被覆部6の長手方向即ち第4の電線4の長手方向に沿って間隔をあけて並べられている。
互いに隣り合う第4の印10間の間隔D5は、予め定められている。互いに隣り合う第4の印10と第3の印9との間隔D6は、予め定められている。第4の印10の被覆部6即ち第4の電線4の長手方向の長さL4は、予め定められている。
第4の印10は、外表面6aの一部が第4の色S(第8図中に平行斜線で示す)に着色されて形成されている。第4の色Sは、単色Pと第3の色Qとの双方と異なっている。また、第4の色Sは、第1の色Rと異なっていても良く、同じであっても良い。さらに、第4の色Sは、第2の色Gと異なっていても良く、同じであっても良い。
前述した第4の電線4は、第3の色Qを適宜変更する。第4の電線4では、第3の色Qを適宜変更することによって、第4の電線4同士を識別可能としている。また、第4の電線4は、同じ第3の色Qの第3の印9が被覆部6即ち第4の電線4の長手方向に沿って互いに間隔をあけているので、第1及び第2の電線1,2と識別可能としている。
例えば、自動車などに配索されるワイヤハーネスでは、第4の電線4は、第3の色Qによって、前述した系統などを示すのが望ましい。第3の色Qを、従来から用いられてきた単色電線の外表面の色に相当させるのが望ましい。
また、第4の電線4の外径(第8図に示し以下線径と呼ぶ)R4は、第3の電線3の外径(第7図に示し以下線径と呼ぶ)R3と異なっている。第4の電線4では、第3の色Qが前記第3の電線3の第3の色Qと同じ場合に、前述した第4の印10を設けることによって、第3の電線3との識別を可能としている。
このように、第4の印10は、予め定められた所定の線径の第4の電線4に形成されている。第4の印10は、第3の電線3と第4の電線4との識別即ち電線3,4の線径R3,R4の識別を可能としている。即ち、第4の印10は、所定の線径の電線であるか否かを識別可能にしている。このため、第4の印10があるか否かで、電線3,4の線径R3,R4を識別することができる。このように、第4の印10は、本明細書に記した線径識別手段をなしている。線径識別手段としての第4の印10は、所定の線径の第4の電線4に形成されることで、第4の電線4と他の線径の電線とを識別可能にしている。又、線径R3,R4は、勿論、被覆部6の外径をなしている。
前述した第1の電線1と第2の電線2と第3の電線3と第4の電線4は、ワイヤハーネスを構成する。ワイヤハーネスは、複数の第1の電線1と、複数の第2の電線2と、複数の第3の電線3と、複数の第4の電線4と、これらの電線1,2,3,4の端部などに取り付けられたコネクタなどを備えている。
ワイヤハーネスは、電線1,2,3,4が束ねられ、これらの電線1,2,3,4にコネクタなどが取り付けられて組み立てられる。組み立てられたワイヤハーネスは、コネクタが電子機器のコネクタなどと結合して、自動車などに配索される。ワイヤハーネスは、前記電子機器などに電力や信号を供給する。
前述した印7,8,9,10の色R,G,Q,Sなどは、自動車に配索されたワイヤハーネスの電線1,2,3,4の線種、電線1,2,3,4が用いられる自動車の系統(システム)の識別などを行うために用いられる。則ち、前述した印7,8,9,10の色R,G,Q,Sなどは、ワイヤハーネスの各電線1,2,3,4の使用目的を示しているとともに、この使用目的を識別可能としている。このため、電線1,2,3,4は、線種、系統(システム)即ち使用目的を識別するために、外表面6aが液状の着色材によりマーキング(着色)されている。
前述した第1の電線1と第2の電線2と第3の電線3と第4の電線4の被覆部6の外表面6aに第1の印7と第2の印8と第3の印9と第4の印10を形成する際には、第9図などに示すマーキング(Marking)装置21を用いる。マーキング装置21は、第9図などに示すように電線切断装置20に取り付けられている。
電線切断装置20は、第9図に示すように、工場などのフロア上などに設置される本体22と、検尺機構23と、切断機構24とを備えている。本体22は、箱状に形成されている。検尺機構23は、一対のベルト送りユニット25を備えている。
ベルト送りユニット25は、駆動プーリ26と、複数の従動プーリ27と、無端ベルト28とを備えている。駆動プーリ26は、本体22内などに収容された駆動源としてモータなどにより回転駆動される。従動プーリ27は、本体22に回転自在に支持される。無端ベルト28は、輪状(無端状)のベルトであり、駆動プーリ26と従動プーリ27とに掛け渡されている。無端ベルト28は、これらのプーリ26,27の周りを回転する。
一対のベルト送りユニット25は、鉛直方向に沿って並べられている。一対のベルト送りユニット25は、互いの間に第1ないし第4の電線1,2,3,4を挟み、駆動プーリ26を同期して回転することにより、無端ベルト28を回転させて第1ないし第4の電線1,2,3,4を所定長さ送り出す。
このとき、一対のベルト送りユニット25は、第1ないし第4の電線1,2,3,4の長手方向と平行な第9図中の矢印Kに沿って、該第1ないし第4の電線1,2,3,4を移動する。なお、矢印Kは、本明細書に記した一方向をなしており、水平方向に沿っている。
切断機構24は、一対のベルト送りユニット25の矢印Kの下流側に配されている。切断機構24は、一対の切断刃29,30を備えている。一対の切断刃29,30は、鉛直方向に沿って並べられている。即ち、一対の切断刃29,30は、鉛直方向に沿って互いに近づいたり離れたりする。一対の切断刃29,30は、互いに近づくと、一対のベルト送りユニット25によって送り出された第1ないし第4の電線1,2,3,4を互いの間に挟んで、切断する。一対の切断刃29,30は、互いに離れると、勿論、前記第1ないし第4の電線1,2,3,4から離れる。
前述した構成の電線切断装置20は、切断機構24の一対の切断刃29,30を互いに離した状態で、一対のベルト送りユニット25間に第1ないし第4の電線1,2,3,4を挟んで、該第1ないし第4の電線1,2,3,4を矢印Kに沿って送り出す。所定の長さの第1ないし第4の電線1,2,3,4を送り出した後、一対のベルト送りユニット25の駆動プーリ26が停止する。そして、一対の切断刃29,30が互いに近づいて、これら切断刃29,30間に第1ないし第4の電線1,2,3,4を挟んで切断する。こうして、電線切断装置20は、第1ないし第4の電線1,2,3,4を矢印Kに沿って移動する。
マーキング装置21は、前述した第1ないし第4の印7,8,9,10を、第1ないし第4の電線1,2,3,4の外表面6aに形成する装置である。マーキング装置21は、第10図に示すように、複数の着色ユニット31と、検出手段としてのエンコーダ33と、制御装置34とを備えている。図示例では、着色ユニット31は、二つ設けられている。複数の着色ユニット31は、矢印Kに沿って並べられている。
複数の着色ユニット31は、第9図に示すように、検尺機構23の一対のベルト送りユニット25と、切断機構24の一対の切断刃29,30との間に配されている。各着色ユニット31は、ノズル35と弁36などを備えている。ノズル35は、一対のベルト送りユニット25によって矢印Kに沿って移動される第1ないし第4の電線1,2,3,4に相対する。ノズル35内には、着色材供給源37(第10図に示す)から所定の色R,G,Q,Sの液状の着色材が供給される。着色材の色は、前述した第1の色Rと第2の色Gと第3の色Qと第4の色Sとのうち一つの色である。
弁36は、ノズル35と連結している。また、弁36には、更に、加圧気体供給源38(第10図に示す)が連結している。加圧気体供給源38は、加圧された気体を、弁36を介してノズル35に供給する。弁36が開くと、加圧気体供給源38から供給される加圧された気体により、ノズル35内の着色材が第1ないし第4の電線1,2,3,4の外表面6aに向かって噴出する(滴射される)。
弁36が閉じると、ノズル35からの着色材の噴出(滴射)が止まる。前述した構成によって、着色ユニット31は、制御装置34などからの信号により、弁36が予め定められる時間開いて、所定の色R,G,Q,Sの一定量の着色材を第1ないし第4の電線1,2,3,4の外表面6aに向かって噴出(滴射)する。
前述した着色材とは、色材(工業用有機物質)が水またはその他の溶媒に溶解、分散した液状物質である。有機物質としては、染料、顔料(大部分は有機物であり、合成品)があり、時には染料が顔料として、顔料が染料として用いられることがある。より具体的な例として、着色材とは、着色液または塗料である。
着色液とは、溶媒中に染料が溶けているもの又は分散しているものを示しており、塗料とは、分散液中に顔料が分散しているものを示している。このため、着色液が第1ないし第4の電線1,2,3,4の外表面6aに付着すると、染料が被覆部6内にしみ込み、塗料が第1ないし第4の電線1,2,3,4の外表面6aに付着すると、顔料が被覆部6内にしみ込むことなく外表面6aに接着する。
即ち、着色ユニット31は、第1ないし第4の電線1,2,3,4の外表面6aの一部を染料で染める又は第1ないし第4の電線1,2,3,4の外表面6aに顔料を塗る。このため、第1ないし第4の電線1,2,3,4の外表面6aをマーキング(着色)するとは、第1ないし第4の電線1,2,3,4の外表面6aの一部を染料で染める(染色する)ことと、第1ないし第4の電線1,2,3,4の外表面6aの一部に顔料を塗ることとを示している。
また、前記溶媒と分散液は、被覆部6を構成する合成樹脂と親和性のあるものが望ましい。この場合、染料が被覆部6内に確実にしみ込んだり、顔料が被覆部6の外表面6aに確実に接着することとなる。
さらに、滴射とは、着色ユニット31のノズル35から液状の着色材が、液滴の状態則ち滴の状態で、一定量電線1,2,3,4の外表面6aに向かって付勢されて打ち出されることを示している。このため、本実施形態のマーキング装置21の着色ユニット31のノズル35は、液状の着色材を、液滴の状態則ち滴の状態で、一定量電線1,2,3,4の外表面6aに向かって付勢して打ち出す。
エンコーダ33は、第1ないし第4の電線1,2,3,4の移動した量及び移動速度に基づいた情報を測定して制御装置34に向かって出力する。制御装置34は、周知のROMと、RAMと、CPUなどを備えたコンピュータであり、前述したエンコーダ33と弁36などと接続してマーキング装置21全体の制御をつかさどる。
制御装置34は、第1ないし第4の電線1,2,3,4の外表面6aに形成される印7,8,9,10の長さL1,L2,L3,L4と、前述した間隔D1,D2,D3,D4,D5,D6などを記憶している。即ち、制御装置34は、前記第1ないし第4の電線1,2,3,4の外表面6aに形成される印7,8,9,10のパターンを記憶している。
制御装置34は、着色ユニット31のノズル35間の間隔を記憶している。制御装置34は、着色する第1ないし第4の電線1,2,3,4の外表面6aに印7,8,9,10が形成されるように、前記エンコーダ33からの情報などに基づいて弁36などを開閉して、着色ユニット31のノズル35から着色材を噴出(滴射)する。
前述した構成のマーキング装置21が、第1ないし第4の電線1,2,3,4の外表面6aに第1ないし第4の印7,8,9,10を形成する即ち第1ないし第4の電線1,2,3,4の外表面6aをマーキングする際には、電線切断装置20の一対のベルト送りユニット25が第1ないし第4の電線1,2,3,4を矢印Kに沿って移動させている。
そして、制御装置34が弁36などを制御して、各着色ユニット31のノズル35から第1ないし第4の電線1,2,3,4の外表面6aに向かって液状の着色材を一定量ずつ噴出(滴射)する。所定のパターンで第1ないし第4の電線1,2,3,4の外表面6aに第1ないし第4の印7,8,9,10が形成される。
そして、電線切断装置20のベルト送りユニット25が第1ないし第4の電線1,2,3,4を所定の長さ送り出した後、停止する。切断機構24の切断刃29,30が、外表面6aに第1ないし第4の印7,8,9,10が形成された第1ないし第4の電線1,2,3,4を切断する。こうして、第1図ないし第8図に示された外表面6aに第1ないし第4の印7,8,9,10が形成された第1ないし第4の電線1,2,3,4が得られる。
本実施形態によれば、第1及び第2の電線1,2の第1の印7と第2の印8とを長手方向に沿って間隔をあけて並べている。このため、第1の印7と第2の印8の第1及び第2の電線1,2の周方向の幅H1,H2(第1図及び第2図などに示す)を大きくすることができる。したがって、第1及び第2の電線1,2が細くなっても、第1の印7と第2の印8とを容易に目視できる。
さらに、第1の印7の長さL1を第2の印8の長さL2より長くし、これらの印7,8を互いに間隔をあけて配している。このため、第1の印7と第2の印8とを容易に認識でき、第1の印7と第2の印8とを互いに識別でき、第1の色Rと第2の色Gを容易に認識できる。また、第1の色Rと第2の色Gとが適宜変更される。このため、第1の色Rと第2の色Gとの組み合わせにより、多種多様な電線1,2を得ることができる。
したがって、第1の印7と第2の印8を容易に認識でき、かつ印7,8同士の識別が容易であるとともに、第1の色Rと第2の色Gとを容易に認識できるので、第1の色Rと第2の色Gとの組み合わせにより、容易に電線1,2同士を識別できる。したがって、ワイヤハーネスを組み立てる際に、電線1,2の配索を誤ることを防止でき、ワイヤハーネスの品質の低下を防止できる。
また、第2の電線2では、第1の印7と第2の印8とのうち一方が複数に分割されている。分割されて形成された複数の印7a,8aは、被覆部6即ち第2の電線2の長手方向に沿って、互いに間隔をあけて配されている。このため、これらの印7a,8aの幅H1,H2も広くでき、これらの印7a,8aを容易に認識できる。
即ち、第1の印7と第2の印8とのうち一方が分割されているか否かを容易に認識できる。したがって、第1の印7と第2の印8とのうち一方が分割されているか否かを認識することで、第1の電線1と第2の電線2と容易に識別できる。即ち、所定の線径の第2の電線2であるか否かを容易に識別できる。したがって、電線1,2の線径R1,R2を容易に識別でき、電線1,2同士を容易に識別できる。
第3及び第4の電線3,4の第3の印9を長手方向に沿って間隔をあけて並べている。このため、第3の印9の第3及び第4の電線3,4の周方向の幅H3(第7図などに示す)を大きくすることができる。したがって、第3及び第4の電線3,4が細くなっても、容易に第3の印9を認識できる。このため、第3の印9を構成する第3の色Qを容易に認識できる。また、第3の色Qが適宜変更される。このため、第3の色Qを適宜変更することにより、多種多様な電線3,4を得ることができる。
したがって、第3の印9を容易に認識でき、かつ第3の色Qを容易に認識できるので、第3及び第4の電線3,4同士を容易に識別することができる。したがって、ワイヤハーネスを組み立てる際に、電線3,4の配索を誤ることを防止でき、ワイヤハーネスの品質の低下を防止できる。
また、第3の印9は、同じ第3の色Qでかつ第3及び第4の電線3,4の長手方向に沿って間隔をあけて配されている。一方、第1の印7と第2の印8は、直線状に延びている。このため、第3の印9と、第1及び第2の印7,8とを容易に識別できる。したがって、第3及び第4の電線3,4と、第1及び第2の電線1,2とを容易に識別できる。
また、第4の電線4では、第3の印9間に複数の第4の印10を設けている。これらの第4の印10は、第4の電線4の長手方向に沿って互いに間隔をあけて配されているとともに、第3の印9と間隔をあけている。このため、第4の印10の幅H4(第8図に示す)も広くでき、第4の印10を容易に認識できる。
即ち、第3の印9間に第4の印10があるか否かを容易に認識できる。したがって、第4の印10があるか否かを認識することで、第3の電線3と第4の電線4とを容易に識別できる。即ち、所定の線径の第4の電線4であるか否かを容易に識別できる。したがって、電線3,4の線径R3,R4を容易に識別でき、電線3,4同士を容易に識別できる。
また、第1ないし第4の電線1,2,3,4の外表面6aに第1ないし第4の印7,8,9,10を形成する。このため、外表面6aが単色Pの電線を製造しておき、所定の着色材で着色することで、第1ないし第4の電線1,2,3,4を得ることができる。
また、着色材の色を変更することにより、多種多様な電線1,2,3,4を得ることができる。このため、電線1,2,3,4を製造する工場や電線1,2,3,4を用いた製品の組立工場などで、蓄えておく電線1,2,3,4の量を抑制でき、電線1,2,3,4の生産コスト即ち電線1,2,3,4及び電線1,2,3,4を用いた製品の低コスト化を図ることができる。
また、前述した実施形態では、第1ないし第4の電線1,2,3,4の外表面6aは、白色である。しかしながら、本発明では、被覆部6を構成する合成樹脂を着色せずに被覆部6の外表面6aを無着色としても良い。また、被覆部6の外表面6aの単色Pを、各種の色相のJIS(日本工業規格)で定義された明度8以上の比較的明るい色としても良い。
さらに、前述した実施形態の第1の電線1と第2の電線2では、第1の印7と第2の印8とを、電線1,2の長手方向に沿って交互に設けている。即ち、第1の電線1と第2の電線2では、外表面6aに第1の印7と第2の印8を多数設けているとともに、全長に亘って第1の印7と第2の印8を設けている。しかしながら、本発明では、第11図(a)、第11図(b)及び第11図(c)に示すように、端部などの所定箇所のみに、前述した第1の印7と第2の印8を設けても良い。
第11図(a)に示す場合では、二つの第1の印7とこれらの第1の印7間に一つの第2の印8とを第1の電線1の端部に設けている。第11図(b)に示す場合では、第1の印7と第2の印8とを第1の電線1の端部にそれぞれ一つずつ設けている。第11図(c)に示す場合では、第1の印7と第2の印8とを第2の電線2の端部にそれぞれ一つずつ設けている。第11図(b)及び第11図(c)に示す場合では、電線1,2の端部に第1の印7と第2の印8とをそれぞれ一つずつ設けている。このため、第1及び第2の印7,8を形成するためにかかる着色材の量を抑制でき、電線1,2などの更なる低コスト化を図ることができる。
さらに、図示しないローラなどで電線1,2を移動させながら第1の印7と第2の印8を形成する際に、前述した図示しないローラなどに付着する着色材の量を抑制できる。したがって、電線1,2の着色にかかる着色材の量を抑制でき、電線1,2の更なる低コスト化を図ることができる。
又、本発明では、第1ないし第4の印7,8,9,10を、第1ないし第4の電線1,2,3,4の外表面6aの周方向に複数設けても良い。第12図(a)及び第12図(b)では、第1の電線1と第2の電線2の外表面6aに、第1の印7と第2の印8とを、周方向に複数設けている。
さらに、前述した実施形態では、第2の電線2の第2の印8を二つに分割している。しかしながら本発明では、第1の印7を二つに分割するか否かによって、線径R1,R2の識別を可能としても良い。さらに、第1の印7または第2の印8を、3つ以上に分割するか否かによって、線径R1,R2を識別可能としても良い。このように、本発明では、第1の印7と第2の印8とのうち一方を複数に分割することによって、線径R1,R2を識別可能としている。さらに、本発明では、第4の印10を一対の第3の印9間に複数設けることによって、線径R3,R4を識別可能とすれば良い。
また、マーキング装置21は、電線切断装置20に取り付けられている。このため、長尺の第1ないし第4の電線1,2,3,4を所定の長さに切断する際に、該第1ないし第4の電線1,2,3,4に所定のマーキングを行うことができる。このため、第1ないし第4の電線1,2,3,4の加工にかかる工数などを抑制できる。
前述した実施形態では、マーキング装置21は、着色ユニット31を二つ備えている。しかしながら、本発明では、着色ユニット31を三つ以上設けても良いことは勿論である。
また、前述した実施形態では、液状の着色材を一定量ずつ第1ないし第4の電線1,2,3,4の外表面6aに向かって噴出(滴射)して、第1ないし第4の印7,8,9,10を形成している。しかしながら本発明では、第1ないし第4の電線1,2,3,4の外表面6aの一部を着色材中に漬けて(含浸して)、第1ないし第4の印7,8,9,10を形成しても良い。さらに、着色材を加圧された気体とともにエアロゾルとして、第1ないし第4の電線1,2,3,4の外表面6aの一部に吹き付けて、第1ないし第4の印7,8,9,10を形成しても良い。
さらに、前述した実施形態では、第1ないし第4の印7,8,9,10を形成するマーキング装置21を電線切断装置20に取り付けている。しかしながら、本発明では、マーキング装置21を、ワイヤハーネスの製造工程において第1ないし第4の電線1,2,3,4を加工する各種の工程に用いられる装置に取り付けても良いことは勿論である。
また、前述した実施形態では、制御装置34をROM、RAM、CPUなどを備えたコンピュータから構成している。しかしながら、本発明では、制御装置34を周知のデジタル回路などから構成しても良い。この場合、前記エンコーダ33からのパルス状の信号を数える回路と、何番目のパルス状の信号が入力した時に前記弁36を開閉するかを判定する回路などを用いるのが望ましい。
さらに、前述した実施形態では、自動車に配索されるワイヤハーネスを構成する第1ないし第4の電線1,2,3,4に関して記載している。しかしながら本発明では、第1ないし第4の電線1,2,3,4を自動車に限らず、ポータブルコンピュータなどの各種の電子機器や各種の電気機械に用いても良いことは勿論である。
さらに、本発明では、着色液及び塗料として、アクリル系塗料、インク(染料系、顔料系)、UVインクなどの種々のものを用いても良い。
【産業上の利用の可能性】
以上説明したように請求項1に記載の本発明は、第1の印と第2の印とが、被覆部即ち電線の長手方向に沿って並べられている。このため、第1の印と第2の印の電線の周方向の幅を大きくすることができる。このため、細くなっても、第1の印と第2の印を容易に認識できるとともに、各印の識別が容易になる。さらに、第1の印を第2の印より長くし、これらの印を互いに間隔をあけて配している。このため、第1の印と第2の印とを互いに識別できる。
したがって、第1の印と第2の印を容易に認識でき、かつ印同士の識別が容易になるので、電線同士を容易に識別することができる。したがって、ワイヤハーネスを組み立てる際に、電線の配索を誤ることを防止でき、ワイヤハーネスの品質の低下を防止できる。
また、外表面に第1の印と第2の印を形成する。このため、外表面が単色の電線を製造しておき、第1の色と第2の色とを適宜変更することにより、多種多様な電線を得ることができる。このため、電線を製造する工場や電線を用いた製品の組立工場などで、蓄えておく電線の量を抑制でき、電線の生産コスト即ち電線及び電線を用いた製品の低コスト化を図ることができる。
請求項2に記載の本発明は、電線の端部に第1の印と第2の印とをそれぞれ一つずつ設けている。このため、第1及び第2の印を形成するためにかかる着色材の量を抑制でき、電線などの更なる低コスト化を図ることができる。
さらに、図示しないローラなどで電線を移動させながら第1の印と第2の印を形成する際に、前述した図示しないローラなどに付着する着色材の量を抑制できる。したがって、電線の着色にかかる着色材の量を抑制でき、電線の更なる低コスト化を図ることができる。
請求項3に記載の本発明は、線径識別手段により電線の線径を識別できる。したがって、電線の識別をより容易に行うことができる。
請求項4に記載の本発明は、線径識別手段が、第1の印と第2の印のうち一方を複数に分割している。このため、分割された第1の印と第2の印のうち一方を認識することによって、電線の線径を容易に識別できる。したがって、電線の識別をより容易に行うことができる。
請求項5に記載の本発明は、第3の印が被覆部の長手方向に沿って間隔をあけて並べられている。このため、各第3の印を被覆部と容易に識別でき、第3の印を容易に識別できる。したがって、第3の印を容易に認識でき、かつ第3を構成する第3の色の識別が容易になるので、電線同士を容易に識別することができる。
また、単色の外表面に第3の印を形成する。このため、外表面が単色の電線を製造しておき、第3の色とを適宜変更することにより、多種多様な電線を得ることができる。このため、電線を製造する工場や電線を用いた製品の組立工場などで、蓄えておく電線の量を抑制でき、電線の生産コスト即ち電線及び電線を用いた製品の低コスト化を図ることができる。
請求項6に記載の本発明は、線径識別手段により電線の線径を識別できる。したがって、電線の識別をより容易に行うことができる。
請求項7に記載の本発明は、線径識別手段が第3の印間に配された複数の第4の印である。また、第4の印は、被覆部の長手方向に沿って並べられ、第4の色は第3の色と異なる。このため、容易に第4の印を認識でき、この第4の印を認識することによって、電線の線径を容易に識別できる。したがって、電線の識別をより容易に行うことができる。
請求項8に記載の本発明は、電線の第1の印と第2の印とを長手方向に沿って間隔をあけて並べている。このため、第1の印と第2の印の電線の周方向の幅を大きくすることができる。したがって、第1の印と第2の印とを容易に認識できる。さらに、第1の印を第2の印より長くし、これらの印を互いに間隔をあけて配している。このため、第1の印と第2の印とを互いに識別できる。また、第1の色と第2の色とが適宜変更される。
したがって、第1の印と第2の印を容易に認識でき、かつ印同士の識別が容易になるとともに、第1の色と第2の色とを容易に認識できるので、電線同士を容易に識別することができる。さらに、第1の色と第2の色との組み合わせにより、多種多様な電線を得ることができる。また、第1の色と第2の色との組み合わせにより、容易に電線同士を識別できる。したがって、ワイヤハーネスを組み立てる際に、電線の配索を誤ることを防止でき、ワイヤハーネスの品質の低下を防止できる。
また、電線の単色の外表面に第1の印と第2の印を形成する。このため、外表面が単色の電線を製造しておき、第1の色と第2の色とを適宜変更することにより、多種多様な電線を得ることができる。このため、電線を製造する工場や電線を用いた製品の組立工場などで、蓄えておく電線の量を抑制でき、電線の生産コスト即ち電線及び電線を用いた製品の低コスト化を図ることができる。
請求項9に記載の本発明は、第1の印と第2の印とのうち一方が分割されているか否かを認識することで、電線の線径を容易に識別できる。したがって、より容易に電線を識別できる。
請求項10に記載の本発明は、電線の第3の印を長手方向に沿って間隔をあけて並べている。このため、第3の印の電線の周方向の幅を大きくすることができる。したがって、容易に第3の印を認識できる。このため、第3の印を構成する第3の色を容易に認識できる。また、第3の色が適宜変更される。
したがって、第3の印を容易に認識でき、かつ第3の色を容易に認識できるので、電線同士を容易に識別することができる。また、第3の色を適宜変更することにより、多種多様な電線を得ることができる。さらに、第3の色により容易に電線同士を識別できる。したがって、ワイヤハーネスを組み立てる際に、電線の配索を誤ることを防止でき、ワイヤハーネスの品質の低下を防止できる。
また、電線の単色の外表面に第3の印を形成する。このため、外表面が単色の電線を製造しておき、第3の色を適宜変更することにより、多種多様な電線を得ることができる。このため、電線を製造する工場や電線を用いた製品の組立工場などで蓄えておく電線の量を抑制でき、電線の生産コスト即ち電線及び電線を用いた製品の低コスト化を図ることができる。
請求項11に記載の本発明は、第3の印間に複数の第4の印があるか否かを認識することで、電線の線径を容易に識別できる。また、第4の印が、電線の長手方向に沿って並べられている。このため、第4の印を容易に認識できる。したがって、電線の線径を容易に識別できる。したがって、より容易に電線を識別できる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性の芯線と、合成樹脂からなりかつ前記芯線を被覆するとともに外表面が単色の被覆部とを備えた電線において、
前記被覆部の外表面の一部が第1の色に着色されて形成された第1の印と、
前記被覆部の外表面の一部が前記第1の色と異なる第2の色に着色されて形成された第2の印と、を備え、
前記第1の印と第2の印とが前記被覆部の長手方向に沿って互いに間隔をあけて並べられており、前記第1の印の被覆部の長手方向の長さが前記第2の印の被覆部の長手方向の長さより長いことを特徴とする電線。
【請求項2】
前記第1の印と第2の印を端部にそれぞれ一つずつ設けたことを特徴とする請求項1記載の電線。
【請求項3】
前記被覆部の外径を識別可能とする線径識別手段を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の電線。
【請求項4】
前記線径識別手段は、前記第1の印と第2の印とのうち一方が複数に分割されて形成されているとともに、前記被覆部の長手方向に沿って並べられた複数の印であることを特徴とする請求項3記載の電線。
【請求項5】
導電性の芯線と、合成樹脂からなりかつ前記芯線を被覆するとともに外表面が単色の被覆部とを備えた電線において、
前記被覆部の外表面の一部が第3の色に着色されて形成された第3の印を複数備え、
これら第3の印は、被覆部の長手方向に沿って互いに間隔をあけて並べられていることを特徴とする電線。
【請求項6】
前記被覆部の外径を識別可能とする線径識別手段を備えたことを特徴とする請求項5記載の電線。
【請求項7】
前記線径識別手段は、互いに隣り合う一対の第3の印間に複数設けられ、かつ前記被覆部の外表面の一部が前記第3の色と異なる第4の色に着色されて形成された第4の印であり、
複数の第4の印は、被覆部の長手方向に沿って間隔をあけて並べられていることを特徴とする請求項6記載の電線。
【請求項8】
電線の単色の外表面の一部を第1の色で着色して第1の印を形成しかつ前記外表面の一部を第1の色と異なる第2の色で着色して第2の印を形成するとともに、
前記第1の印と前記第2の印とを前記電線の長手方向に沿って間隔をあけて並べ、前記第1の印の電線の長手方向の長さを前記第2の印の電線の長手方向の長さより長くするとともに、前記第1の色と第2の色とを適宜変更することによって、電線同士を識別可能とすることを特徴とする電線の識別方法。
【請求項9】
前記第1の印と前記第2の印とのうち一方を複数に分割するか否かによって、前記電線の線径を識別可能とするとともに、分割して形成された印を前記電線の長手方向に沿って並べることを特徴とする請求項8記載の電線の識別方法。
【請求項10】
電線の単色の外表面の一部を第3の色で着色して第3の印を複数形成しかつこれらの第3の印を電線の長手方向に沿って間隔をあけて並べ、前記第3の色を適宜変更することにより電線同士を識別可能とすることを特徴とする電線の識別方法。
【請求項11】
互いに隣り合う一対の第3の印間に前記被覆部の外表面の一部が前記第3の色と異なる第4の色に着色されて形成された第4の印を複数設けるか否かによって、前記電線の線径を識別可能とするとともに、複数の第4の印を前記電線の長手方向に沿って並べることを特徴とする請求項10記載の電線の識別方法。

【国際公開番号】WO2004/049354
【国際公開日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【発行日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−554974(P2004−554974)
【国際出願番号】PCT/JP2003/014499
【国際出願日】平成15年11月14日(2003.11.14)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】