説明

電荷を有する多糖の分別

【課題】自然に人体の一部になる免疫学的に“見えない”生分解性ポリマーであるポリシアル酸(PSA)のその分別方法を提供する。
【解決手段】多分散系で電荷を有する多糖が、各々は分子量の狭い範囲内のスピーシーズを含む低多分散性の分画(好ましくはpd<1.1を有する)に分別される。多分散多糖の水性溶液はカラムのイオン交換樹脂と接触し、多糖は水性溶出バッファーによる選択的溶出にかけられる。選択的溶出は異なる一定のイオン強度及び/又はpHを有する少なくとも3種類の連続の溶出バッファーからなり、その次のバッファーは直前の段階のバッファーよりイオン強度及び/又はpHを有している。新しい調製は人間や動物での使用を意図したPSA誘導体化治療剤に特に適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は必要に応じて反応性基を有する多分散の電荷を有する多糖の低多分散度の分画(好ましくはpd < 1.1)への分別に関する。分別された多糖はペプチド、タンパク質、薬剤、ドラッグデリバリーシステム(例えばリポソーム)、ウィルス、細胞(例えば、動物細胞、微生物、合成ポリマーなど)のようなサブストレートに結合するのに有用であり、医薬組成物における賦形剤や希釈剤としての使用にも有用である。
【背景技術】
【0002】
ポリシアル酸(PSA)は特定の細菌株や哺乳動物の特定の細胞において産生されるシアル
酸の天然の直鎖ポリマーである[Roth et. al., 1993]。PSAは制限された酸加水分解やノ
イラミニダーゼによる消化、天然の細菌もしくは細胞由来のポリマーの分別によってn=約80以上のシアル酸残基からn=2までの様々な重合度で生産される。異なるPSAの組成はまた以下のように異なっている:I. ホモポリマー形態、例えば大腸菌K1株やグループB髄膜炎菌のカプセル状多糖を構成するα-2,8-結合PSAがあり、それは胚型の神経細胞接着分子(H-CAM)でも見られる。II. ヘテロポリマーの形態、例えば大腸菌K92株の交互のα-2,8、α-2,9結合PSAやN. meningitidisのグループC多糖である。加えて、III.N. meningtidisのグループW135やグループYのようなシアル酸以外のシアル酸モノマーを含む交互共重合体である。PSAは病原性細菌による免疫、補体システムの回避、胎児の発達中の未熟なニューロンの膠接着の調節(ここでポリマーは抗接着機能を有する)を含む重要な生物学的機能を有する[Muhlenhoff et. Al., 1998; Rutishauser, 1989; Troy, 1990, 1992; Cho and Troy, 1994]。哺乳類ではPSAの既知の受容体は存在しない。大腸菌K1株のα-2,8結合PSAはまたコロミン酸として知られ、本発明を例証するために(様々な長さで)使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
細菌の多糖にあるPSAのα-2,8結合形態は免疫原運搬タンパク質に結合したときでさえ
、(哺乳類被験者でT細胞や抗体反応を誘導せず)独特に免疫原とならず、それは哺乳類(並びに細菌)のポリマーとしてその存在を反映しているかもしれない。ポリマーの(n=4まで
の)より短い形態は細胞表面のガングリオシドで見られ、それは体中に広く分布されてお
り、効率的にPSAへの免疫抵抗性を負わせ、保持させると考えられている。近年、PSAの生物学的特性、特にα-2,8結合ホモポリマーPSAの生物学的特性はタンパク質や低分子量薬
剤分子の薬物動態特性を改変するために活用されている[Gregoriadis, 2001; Jain et. Al., 2003; US-A-5,846,951; WO-A-0187922]。カタラーゼやアスパラギナーゼを含む多く
の治療用タンパク質のPSA誘導体化[Fernandes and Gregoriadis, 1996 and 1997]は循環
半減期に劇的な向上をもたらし、治療用タンパク質に事前にさらされることによる望まない(時々避けがたい)結果として上昇して先在する抗体をものともせず、そのようなタンパク質を使用することが許される[Fernandes and Gregoriadis, 2001]。多くの点でポリシ
アル化されたタンパク質の改変された特性はポリエチレングリコール(PEG)で誘導体化さ
れたタンパク質に匹敵する。例えば、各々の場合、半減期は上昇し、タンパク質とペプチドはタンパク質分解により安定で、生物学的活性の保持はPEGよりPSAがより大きく表れる[Hreczuk-Hirst et. al., 2002]。また、慢性的に投与しなければならない治療剤にPEGの使用については疑問があり、なぜならPEGは非常にゆっくりとしか生分解されないし[Beranova et.al., 2000]、高分子量の形態が組織に蓄積する傾向があるからである[Bendele, et. Al., 1998; Convers, et. al., 1997]。PEG化されたタンパク質は血液循環で複合体の滞留時間に影響も与え得る抗PEG抗体を産生することが発見されている[Cheng et. al., 1990]。治療薬に結合した非経口で投与されるポリマーとしてのPEGの確立された歴史にも関わらず、免疫毒性学、薬理学、代謝のよりよい理解が必要とされる[Hunter and Moghimi, 2002; Brocchini, 2003]。またPEGの蓄積は毒性に導くかもしれないので、高用量を必要とする治療剤へのPEGの利用(そしてそれゆえ結局PEGの高用量)について懸念がある。それゆえ、自然に人体の一部になる免疫学的に“見えない”生分解性ポリマーであり、組織のノイラミニダーゼを媒介として非毒性の糖であるシアル酸に分解され得るα-2,8結合PSAはPEGへの魅力的な代替物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
我々のグループは以前に科学論文と登録された特許でタンパク質治療薬の薬物動態特性を向上させる天然のPSAの利用について記載した[Gregoriadis, 2001; Fernandes and Gregoriadis, 1996, 1997, 2001; Gregoriadis, et. al., 1993, 1998, 2000; Hreczuk-Hirst et. al., 2002; Mital, 2004; Jain et.al., 2003, 2004; US-A-05846,951; WO-A-0187922]。今、我々はPSA誘導体化タンパク質(と治療剤の他の形態)の新規の組成物及び製造方法を可能にする新規のPSA誘導体を記載する。
【0005】
タンパク質のような治療剤に多糖を結合させる方法は以前記載されている[Jennings and Lugowski, 1981; US-A-5,846,951; WO-A-0187922]。これらの方法のいくつかはタンパク質に反応性のあるアルデヒド部分を作るためにポリマーの’非還元’末端を化学的に誘導体化することによる(図1、2)。PSA(と他の多糖類)の還元末端は結合中のタンパク質コンフォーメーションとPSAの化学的完全性を保存するために必要な穏やかな条件下ではタンパク質と弱くしか反応しない。ビシナルジオールを含むシアル酸末端の非還元末端はモノアルデヒド誘導体を生産するために過ヨウ素酸塩で容易に(そして選択的に)酸化される。この誘導体はタンパク質に対してより反応性であり還元的アミノ化と他の化学作用を経てタンパク質に結合するための適した反応エレメントを構成する。我々はUS-A-5,846,951とWO-A-0187922でこれを以前に述べた。その反応は図1aと2に図示しており、各々の図は、
1a)末端のシアル酸の非還元末端でタンパク質反応性アルデヒドを形成するために過ヨ
ウ素酸ナトリウムでのCA(大腸菌由来のα-2,8結合PSA)の酸化を示す、そして
2)タンパク質のアミノ基と安定的で不可逆的な共有結合を形成するためにシアノ水素化ホウ素ナトリウム(NaCNBH3)とシッフ塩基の選択的還元を示す。
【0006】
還元末端の弱い反応は、過ヨウ素酸塩酸化CAとタンパク質との還元的アミノ化の確立された方法(図1a)を使用して図1bに述べられている生産物の複雑さを避ける(非還元末端を
破壊すること、還元末端をキャッピングすること、二官能性架橋剤で誘導体化することによる) 有益な効果に利用され得る。
【0007】
商業的に利用できるポリマー(特に天然のポリマー、例えばコロミン酸(CA); 上の論文
のほとんどで使用されている)は細菌から製造されており、高多分散系である。それらは
また、エンドトキシンや塩などの細菌の汚染物質を含んでいるかもしれない。そのような物質は人間や動物での使用を意図したPSA誘導化治療剤の生産に適しているかもしれない
し、そこで医療倫理や規制当局(たとえば、FDAやEMEA)の安全性の必要のために薬剤の化
学的、分子的な定義は非常に重要である。
【0008】
それゆえ、我々は多分散多糖の調製物を分子量の狭い範囲内のスピーシーズを各々含む一連の低多分散度(< 1.1 pd)分画に分別する新しい方法を開発することにより上の問題を解決した。これらの新しい調製物は特に人間と動物での使用を意図したPSA誘導体化治療
剤の生産に適しており、医療倫理や規制当局(たとえば、FDAやEMEA)の安全性の必要のた
めに薬剤の化学的、分子的な定義(例えば、予想半減期)は非常に重要である。
【0009】
イオン交換クロマトグラフィー法は複合体混合物の分離のための当該技術分野においてよく知られている。一般的に、先行技術はこの分離を達成するためにイオン強度の変化を
使用している。十分に電離した電解質溶液中でのイオン強度(I)はI=0.5ΣiCiZi2と定義されている(式中、Ciは個々のイオンの濃度を表し、Ziはイオン種の電荷数を表す。)。
【0010】
Constantino et. al., [1999]はHaemophilus influenzae type bとNeisseria meningitidis group Aとgroup B抗原のような負電荷の多糖の多分散系調製物から高分子量分画の分離に適したクロマトグラフィー法を報告していた。得られた物質はまだ広範囲の分子量を有するスピーシーズを含んでいる(すなわち、まだ高い多分散系である。)が、小さなオリゴ糖は無い。オリゴ糖の除去はこの物質を多糖に基づいたワクチンの使用により適したものにする。低分子量スピーシーズの除去は2段階の溶出過程を使用して達成された。負電荷の多糖である略してHib(Haemophilus influenzae type b抗原)は、イオン交換樹脂に結合され、低分子量スピーシーズは低イオン強度バッファーでの徹底的な洗浄によって溶出された。中間体と高分子量スピーシーズはカラムに結合したままであり、高イオン強度バッファーで溶出することによって回収された。
【0011】
Zhang et al(1997)はコロミン酸ポリマーの分離のための高性能イオン交換クロマトグ
ラフィーの使用を報告した。3種類の原料溶液が硝酸ナトリウムの濃度が連続的により高
くなる線形勾配を形成するために一緒に混合された。
【0012】
本発明は線形勾配の溶出よりむしろ一段階の使用によりConstantino et alとZhang et alの開示と区別され得る。Constantino et alはカラムからすべての低分子量スピーシー
ズを除去するために大容量の低イオン強度の洗浄を使用し、それからカラムからすべての他のスピーシーズを除去するために大容量の高イオン強度の洗浄を使用した。これは低多分散度の分画への分離という結果にならなかった。イオン強度のわずかな相違だけ異なる段階を有する本発明に記載の段階的勾配の使用は低多分散度の分画の分離に導く。
【0013】
Ravenscroft et. al., [1999]は、イオン交換クロマトグラフィー(IEC)を使用した低分子量Hibオリゴ糖の分子量測定の手順を開発した。イオン交換はDP(重合度)の値が10以下
を有する小さなオリゴ糖の優れた分離を提供する。これは個々のオリゴマーにイオン交換を使用してオリゴマーの混合物を分離するために開発された。DPは質量分析計で測定され、それから精製されたオリゴ糖は小さなオリゴ糖の分子量の測定を分析用イオン交換を使用して実行されることを可能にするイオン交換カラムを較正するためのスタンダードとして使用された。
【0014】
本発明は良い収率で医薬的に有用なタンパク質-ポリマー複合体を提供するために使用
されるかもしれない低分散性の多糖分画を生ずる。先行技術のどれもこの方法での多糖の分別する技術を述べていない。
【0015】
本発明によれば、多分散多糖の水溶液はカラム中のイオン交換樹脂に接触し、多糖は水性溶出バッファーによって選択的溶出にかけられ、多糖は溶出分画から回収される多分散のイオンにより電荷を有する多糖を異なる平均分子量の分画に分離する方法が提供され、選択的溶出がカラムの樹脂を連続的に異なる一定のイオン強度及び/又はpHを有する少な
くとも3種類の溶出バッファーで洗浄することを含み、2番目とそれに続くバッファーは直前の段階のバッファーより高いイオン強度及び/又はpHを有することを特徴とする。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本方法では、好ましくは溶出バッファーはすべて同じpHを有し、しかし強無機酸や強無機塩基の塩のイオンのような増加するイオン濃度のために連続的により高いイオン強度を有する。好ましくは塩は塩化ナトリウムである。好ましくはイオン強度の増加はNaClの濃度を5-100 mM、好ましくは25 mM増加することによって生み出されるものと同じである。
これは0.005から0.1M、好ましくは0.025Mのイオン強度の増加に一致する。
【0017】
代替的に、溶出バッファーは連続的により高いpHの値を有し得る。好ましくは、各々の溶離液のpHの間の差異は同じであり、好ましくは0.2 pH単位である。各々のバッファーのpHは好ましくは7.4-13の範囲である。典型的に、最初の溶出バッファーは約7.4のpHを持
ち、少なくとも5回の溶出段階が本方法で使用される。理想的には、すべての溶出バッフ
ァーのイオン強度は25M未満である。バッファー中の水素イオンと水酸化物イオンの濃度
はとても低いので溶液の総イオン強度へのそれらの寄与は無視できる。
【0018】
イオン強度とpHの増加は分別過程でタンデムに使用されてもよい。代替的に、pH溶出はpH 7.4から少なくとも8.8まで上昇する一連の段階で最初に使用されてもよく、それから
イオン強度溶出が始まってもよい。他の方法として、短い塩勾配が行われた後pHを増加させてもよいが、これは開始のpHが7.4以上である必要がある。強いイオン交換カラムを使
用したときに、低いpHの範囲(約4)は分別を可能にする。しかしながら、多くの多糖はこ
のpHでは安定ではないので、この場合溶出された分画のpHは直ぐに約7.4に調整すべきで
ある。
【0019】
好ましくは、溶出バッファーは塩基を含んでおり、それは好ましくはトリエタノールアミンである。
【0020】
低イオン濃度溶出バッファーがカラムを通して洗浄される洗浄段階が最初にあることは可能である。例えば、そのような最初の洗浄段階は本方法で使用される必須の3種の溶出
バッファーの最初より塩濃度において100 mM超より低い塩濃度を有するバッファーで行ってもよい。そのような最初の段階は天然に生じている材料の回収過程での副産物である低分子量の混入物また他の混入物を洗浄するかもしれない。そのような最初の洗浄段階はイオン交換樹脂カラムの容量に基づいて、少なくとも1容量、好ましくは少なくとも1.5カラム容量を含み得る。イオン交換樹脂のカラムは高さより大きい横断面の直径を有してもよいし、通常のカラムでは横断面の直径より大きい高さを有していてもよいことは注意すべきである。容量は1から5000 mLの範囲であってもよい。カラムの高さは1 cmから5000 cm
の範囲であってもよい。断面積は1 cmから5000 cm2の範囲であってもよい。横断面はどんな形であってもよいかもしれないが、好ましくは円である。
【0021】
我々は各々の必要な溶出段階で各々の溶出バッファーを少なくとも1.0、好ましくは少
なくとも1.25、最も好ましくは少なくとも1.5カラム容量を使用することが好ましいこと
を発見した。好ましくは、溶出バッファーの3カラム容量以下が使用される。75mlのマト
リックスでフローレートは好ましくは 7ml/分である。
【0022】
本発明の方法は好ましくは少なくとも5、例えば20も、一般的には6から12の範囲の連続的に増加するイオン強度の溶出バッファーを用いる溶出の連続段階を含む。これらの必須の段階の最初のイオン強度は、一般に1mMから1Mの範囲にある。塩化物イオンより強い硫酸イオンのような対イオンに対してはより弱いイオン濃度が必要とされるであろう。
【0023】
好ましくは溶出バッファーのイオン強度は強無機酸と強無機塩基、好ましくは塩化ナトリウムの塩濃度を変えることによって変えられる。
【0024】
回収段階に関して、これらは一般的に例えば膜や、例えば限外濾過膜を使用した多糖が塩から分離される段階を伴う。そのような段階はより高濃度の溶液を形成するために多糖の濃縮を可能にするかもしれない。そのような溶液は、例えば連続的な限外濾過や他の濾過段階のような膜処理の付加的な段階にかけられるかもしれない。溶出バッファーは揮発性の酸または塩基を含んでいてもよく、この場合に回収は溶出分画からの揮発性の酸または塩基の揮発を含む。例えば多糖の非溶媒を伴う沈降技術による水性溶液から多糖を回収
することは可能であるが、これは各々の溶媒から最後の分離をより難しくするかもしれないので、そのような溶媒を利用しないことが好まれる。結果的に回収の最後の段階は好ましくは水、好ましくは溶出段階から残っているどんな残留揮発性バッファー成分もの蒸発を含む。トリエタノールアミンが存在する好ましい場合で、トリエタノールアミンカチオンとアセタートアニオンの両方が揮発性であり真空下で簡単に取り除くことができる。
【0025】
多糖は最後に、好ましくは減圧下での、乾燥によって溶液から分離され得る。これは好ましくは凍結乾燥によって行われる。
【0026】
沈澱は分別の予備的段階として集団の一部を取り除くためおよびより高分子量の分画の多分散度を減少させるために、好ましくは非溶媒を使用して、実行されるかもしれない。好ましくはディファレンシャルエタノール沈澱が使用される。
【0027】
ここで述べられている本発明はイオン交換樹脂に結合した多分散ポリマー集団からの連続的により高い分子量スピーシーズの段階的除去(と次の回収)を提供する段階的勾配戦略の使用である。イオン交換樹脂は任意の強い又は弱いアニオン又はカチオン交換媒体であってもよい。任意の与えられたイオン強度の洗浄液の使用であってもカラムからスピーシーズの複雑な集団を溶出するだろう。タンデムの一連の短い洗浄を使用することによって、各々の段階は次の段階によって溶出されるであろう集団の一部を溶出するが、各々の点での小さな集団だけが実際に溶出されるので、多分散調製物の狭い多分散度を有する分画への分別を容易にする。この方法はまた、例えば塩やエンドトキシンなどの不純物の除去を容易にするかもしれない。
【0028】
IECでは、分子は低い塩濃度では完全に静止したままではない。それらは非常にゆっく
りバンドとして動いている。それらのスピードはカラムへの分子の結合定数に依存しており、それはイオン強度で変化する。例えば、結合定数が中間である時、バンドはカラムを通して比較的ゆっくり動き、ある程度まで広がるだろう。結合定数が弱いとき、バンドは非常に速くしかし無視できる広がりで動く。結合定数が強いとき、バンドは非常にゆっくり、通常は広がって動く。線形勾配は広がることを防ぎ、狭いバンドでよく限定されたピークを与える。一方で、段階的勾配は特定の濃度で狭いバンドとして低い結合定数をもって分子を溶出し、(同様に次の分画に持ち越されそうな)広がったバントとして中間の結合定数を有する分子を溶出する。高い結合定数を有する分子はほとんど移動を示さず、それらは通常は広がるだろう。結果は各々の段階が非常に速く上昇しそれからゆっくりテイルを生じながら減少するピークを生み出す。段階的勾配はこの様に振る舞うことがよく述べられている。ピークの上昇は低い結合定数をもつスピーシーズをより多く含んでおり、テイルは(次の分画に持ち越されるかもしれない)中間の結合定数を有するスピーシーズをより多く含んでいる。各々の段階がより長く実行すればするほど、より高いスピーシーズのカラムに残されたものを濃縮しながら中間の結合定数を有するスピーシーズをますます広がらせて、ついにいくつかは溶出する。そこで、段階的勾配はまた線形勾配でより高いイオン強度で降りていき、さらに高いバンドでさえいくらかの移動を引き起こすスピーシーズを溶出する。これは分離を容易にはしないけれど、分別には利益がある。もし2つのスピーシーズが非常に近い結合定数を有するなら、段階的勾配はより高い結合定数を有するスピーシーズの精製または濃縮を提供する。第一段階は両方のスピーシーズを溶出するが、優先的により低い結合定数を有するものがより多く溶出する。第二段階は両方のスピーシーズを溶出するが、低い結合定数のスピーシーズのほとんどは既に以前の段階で除去されているので、分画のほとんどは高い結合定数のスピーシーズである。よく似た結合定数をもつスピーシーズを完全に分離することはできないが、段階的勾配はより高い結合定数をもつ一方の相当な濃縮という結果生じ得る。
【0029】
例としてCAを取り上げると、結合定数は分子における平均電荷の結果である。結合定数
の相違は異なるスピーシーズ間の電荷の相違による。41電荷を有するスピーシーズと40電荷を有するスピーシーズの間の電荷比は11電荷を有するスピーシーズと10電荷を有するものの間のものよりかなり低い。電荷(とそれゆえ)モノマーの量が増加すれば、結合定数の間の相違は減少する。より大きな分子量では、それは事実上無視できるようになる。
【0030】
それゆえ線形勾配は低分子量のスピーシーズでは優れた分離の結果となるが、分子量(
そしてそれゆえ電荷)が増加した場合は、分離度は低下する。反対に、段階的勾配戦略は
各々の洗浄でより高い分子量のスピーシーズよりもより低いものの方がより多く溶出する。このように段階的勾配は分子量範囲のより高い端に対してはより小さな分散の分画であり、範囲の中間と初期ではより大きな分散となっている。
【0031】
いくつかのパラメーターが分離に影響を与え得る。
【0032】
1)pH: ポリマーにおける電荷はpHに依存する: pHが減少すれば電荷は減少するだろうし分子量の範囲のより高い端でのより優れた分離度を提供し得る。
【0033】
2)段階的洗浄液の容量: 多くの洗浄を行うほど、より高い分子量のスピーシーズがより少なく回収されるだろが、それらの多分散度はより低くなる。
【0034】
3)段階数: 段階数はまた重要なパラメーターである。初期の段階を飛ばすことは各分画で得られる平均の大きさの減少という結果になり、分子量が増加するにつれてますます明白ではなくなる多分散度の増加という結果になるかもしれない。もしより多くの段階が使われたなら、ほとんどの分画の分離度が増加するかもしれないが、各々の分画のCAの平均量は減少するであろう。
【0035】
4)温度. より低い温度は結合強度を増加させ、各々の分画で降りてくるスピーシーズの大きさを減少させるかもしれない。
【0036】
本発明での多分散多糖は、天然で生じている多糖、その加水分解産物又はこれらのどちらかの官能化誘導体であり得る。本発明は例えば多糖抗原のような細菌の多糖のように天然の多糖を分離するのに特に有用である。本発明は、例えばポリ(2,8-結合シアル酸)、ポリ(2,9-結合シアル酸)または交互の2,8-2,9-結合PSAのようなシアル酸ポリマーと共重合
体を分離するのに特に有用である。好ましくは多糖はコロミン酸(CA)またはそれの酸化、還元、アミノ化及び/又はヒドラジド誘導体である。
【0037】
多分散多糖の分子量の多分散度(重量平均分子量を数平均分子量で割ったもの)は少なくとも1.1、好ましくは少なくとも2.0であるべきである。多分散多糖の重量平均分子量が少なくとも1 kDaであり、好ましくは少なくとも10 kDaであり、好ましくは少なくとも100 kDaである場合に、我々は本方法が特別な有用性を有することを見出した。
【0038】
本方法は非常に低い多分散度の多糖分画を作成するのに有用である。例えば、溶出した分画から回収された生産物多糖が好ましくは1.5未満、最も好ましくは1.25未満、たとえ
ば1.1またはそれ以下さえの多分散度を有する。本発明者は約1.01まで下げた多分散度を
達成することができることを見出した。
【0039】
好ましくは多糖開始物質は少なくとも1、より好ましくは少なくとも5、より好ましくは少なくとも10、例えば少なくとも50糖単位を有する。好ましくは多糖は互いにα(2,8)又
はα(2,9)結合しているシアル酸単位を含むポリシアル酸(PSA)である。
【0040】
分別される多分散多糖の大きさに特に上限はない。しかしながら、本発明者はPSAの場
合に有用なほとんどのポリマーは150 kDaまでの重量平均分子量を有していることを見出
した。
【0041】
PSAはどんな供給源に由来してもよいが、好ましくは例えば大腸菌K1又はK9株、グルー
プB meningococciのような細菌供給源、牛のミルクまたはN-CAMのような天然供給源に由
来する。シアル酸ポリマーはN. meningitidisのグループ135やグループVのようなヘテロ
重合ポリマーであってもよいし、合成されていても良い。PSAは塩の形態であっても良い
し、フリーの酸であっても良い。それは、細菌の供給源からの回収の後に分子量が減少しているような加水分解された形態であってもよい。PSAは1.3超、例えば2ほど大きいかそ
れ以上の多分散度を有するような幅の広い分子量を有する物質であってもよい。好ましくは分子量の多分散度は1.2未満、例えば1.01ほどの低さである。
【0042】
次の記述は本発明が特に有用である多糖PSAで実行される本発明の方法の好ましい実施
形態について述べる。
【0043】
広い分子量分布を有するPSAの集団はより低い多分散度、すなわち異なる平均分子量を
有する分画に分別され得る。分別は好ましくは適切な塩基性バッファーを溶出のために用いたアニオン交換クロマトグラフィーである。多糖がカルボン酸基を有するとき、アニオン交換は特に望ましい。我々は適切なアニオン交換媒体を発見した; 第四級アンモニウムイオンのペンダント基(すなわち強い塩基)を有する、活性化されたアガロースに基づいた強いイオン交換物質のような調製媒体。媒体の選択はpH又はイオン強度のどちらが分別の手段であるかに依存しており、それは当業者にとって明らかであろう。溶出バッファーは非反応性であり、望まれる生産物が蒸発によって各々の分画のベースから回収され得るので好ましくは揮発性である。適切な例は、例えばトリエタノールアミンのようなアミンである。回収は例えば凍結乾燥によるものでもよい。分別の方法はPSA開始物質並びにその
誘導体に適切である。PCT/GB04/03488、これとともに同じ日に出願された出願(代理人ref: HMJ03917)やこれとともに同じ日に出願された出願(代理人ref: HMJ03871)で述べられている関連する発明での必須の方法の段階の前または後に、該技術は適用され得、そこで本発明者はポリシアル酸とその中で作製される中間体で実行される様々な誘導体化反応を述べている。
【0044】
これは、IECが約5 kDa以上の分子量を有するイオン性多糖、特にそのような分子量のPSAを分別するために利用された最初であると信じられている。
【0045】
この発明の更なる局面に従うと、溶出バッファーで好ましくは揮発性の塩基又は酸を使用してIECを用いて5kDaより高い分子量を有するイオン性多糖の集団を分別する方法が提
供される。
【0046】
好ましくは多糖はカルボン酸基を有しイオン交換はアニオン交換である。好ましくは溶出バッファーはアミンを、より好ましくはトリエタノールアミンを含む。最も好ましくは多糖は乾燥によって、好ましくは減圧下、最も好ましくは凍結乾燥で分画から回収される。
【0047】
この方法は水中で安定な反応性部分(マレイミドまたはヨードアセタートなど)を有するCAや他の天然(例えばデキストラン硫酸)や合成(例えばポリグルタミン酸、ポリリジン、
ヒアルロン酸)の電荷を有するポリマーの分別に適用可能である。カチオンとアニオン交
換クロマトグラフィーはまた塩もしくはpH勾配を使用した電荷を有するポリマーの分別に使用され得る。
【0048】
これは、IECが沈澱技術及び/又は限外濾過法との組み合わせでイオン性多糖を分離する
ために使用された最初であると信じられている。
【0049】
IEC法は商業的に利用できるPSAとCAに残っているエンドトキシンのような副産物を取り除けるかもしれない。
【0050】
イオン対と疎水的相互作用クロマトグラフィーはまたポリマーとタンパク質-ポリマー
複合体の分別のために使用され得る。
【0051】
本発明では多糖、好ましくはPSA化合物(ネイティブまたは活性化されている)の一連の
狭い多分散度(pd <1.1)の調製物(分画)を生産する新しい方法が提供され、それでは高い
多分散度で負電荷を有する開始材料がアニオン交換樹脂に結合し、分画は連続的により高いイオン強度を有する一連の短い洗浄で溶出される。
【0052】
代替の実施形態では、+veと-ve電荷を有する広分散のポリマーとタンパク質-多糖複合
体がカチオン又はアニオン交換クロマトグラフィーによって各々分別され得る。
【0053】
本発明のもうひとつの局面では、ポリシアリル化されたマクロ分子が上で述べられているのと同じIECと段階的勾配戦略を使用して狭い多分散度の調製物に分別される新しい方
法が提供され、そこでの生産物はマクロ分子に結合した開始材料のポリシアル酸の多分散度のために多分散系である。
【0054】
本方法ではパラメーター(例えば使用されるマトリックスの量、注入されるサンプルの
量、温度、フローレート、勾配など)は好ましくは(例えば)ポリシアリル化されたマクロ
分子の分別のために最適化され(ここで、該生産物はマクロ分子に結合した開始物質PSAの多分散度のために多分散系である)、上で述べられているのと同じIECと段階的勾配
戦略を使用して狭い多分散度の調製物に分別される。これらの段階は長鎖の(ポリマーの)開始材料のバックボーンからの鎖中の実質的な開裂がなく、実質的に分子量減少は生じない条件下で実行される。
【0055】
狭分散の多糖は活性基を作成するために使用され得る。例えばアルデヒド基はアミン基含有サブストレートまたはヒドラジン化合物に結合するために適切である。酸化段階の活性化生産物が次にサブストレートの化合物に結合する方法は述べられている。好ましくは(上で述べた我々の以前の刊行物で述べているように)結合反応はシッフ塩基を形成するアミンとPSAの結合を伴い、好ましくはその次に第二級アミン部分を作成するための還元が
行われる。本方法はタンパク質を誘導体化することに特別な価値があり、そのアミン基はリジン基のイプシロンアミン基またはN末端アミノ基が適切である。本方法はサイトカイ
ン、成長ホルモン、酵素、ホルモン、抗体またはフラグメントのようなタンパク質またはペプチドの治療的に活性のある薬剤を誘導体化することに特別な価値がある。図1と2はそのような反応の反応スキームを示しており、そこで多糖はPSAである。
【0056】
代替的に本方法は、例えばアルデヒドをリポソーム形成成分のアミン基と反応させることによって、リポソームのようなドラッグデリバリーシステムを誘導体化するために使用され得る。他のドラッグデリバリーシステムは我々の以前の事例US-A-5846951で述べられている。誘導体化され得る他の材料はウィルス、微生物、動物細胞を含む細胞や合成ポリマーを含んでいる。
【0057】
代替的にサブストレートはヒドラジン基を有し得、その場合に生産物はヒドラゾンである。これは望むなら追加的な安定性のためにアルキルヒドラジドに還元されてもよい。
【0058】
タンパク質とドラッグデリバリーシステムの誘導体化は増加した半減期、向上した安定
性、減少した免疫原性及び/又は溶解度そしてそれゆえ生物学的利用能と薬物動力学特性
の制御という結果を生じ得、または活性物の溶解度又は誘導体化活性物を含む溶液の粘性を高め得る。
【0059】
好ましくは溶出した分画から回収した多糖化合物はシアル酸単位を含み、最も好ましくはシアル酸単位からなる。より好ましくは多糖は1-1000シアル酸単位、例えば10-500であり、より好ましくは10から50シアル酸単位を有する。溶出した分画はモノマー、ダイマー、又はより大きなポリマーからなり得る。好ましくは、分画の多分散度は1.26未満、理想的には1.2未満、理想的には1.01から1.10の範囲にあるだろう。
【0060】
1.26未満の分子量の多分散度を有するポリシアル酸、特にCAが分離されたのはこれが最初であると信じられる。それゆえ、本発明の更なる局面は1.26未満、好ましくは1.2以下
、最も好ましくは1.01から1.10の範囲にある分子量の多分散度を有するポリシアル酸を提供する。ポリシアル酸はCA、又はそれの酸化、還元、アミノ化及び/又はヒドラジド誘導
体であリ得る。好ましくは、ポリシアル酸は少なくとも5kDa、好ましくは少なくとも10kDaの分子量を有する。
【0061】
我々がここで述べた分別方法は連続的に規模の拡大が可能であり、再現性がある。それは工業的な規模での生産やCAの多分散度の制御には適切である。ここで述べられている分別技術はCAと同様に他の多糖(好ましくは電荷を有する)、タンパク質-ポリマー複合体及
びワクチンが一様な(単分散の)ポリマー鎖長で調製されることを可能にする。
【0062】
本発明は添付の実施例でさらに説明される。
【実施例】
【0063】
材料
炭酸アンモニウム、エチレングリコール、PEG(8KDa)、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(> 純度98% )、メタ過ヨウ素酸ナトリウム、トリエタノールアミン、塩化ナトリウム、硝
酸ナトリウム、アジ化ナトリウム、PBSタブレット及び分子量マーカーはSigma Chemical Laboratory, UKから購入された。使用されたCAである直鎖のα-(2→8)-結合大腸菌K1 PSA(22.7 kDa 平均, 高い多分散度 1.34; 39 kDa, p.d. 1.4; 11kDa, p.d. 1.27)はCamida, Irelandから購入された。他の材料は2,4ジニトロフェニルヒドラジン(2,4 DNPH)(Aldrich
Chemical Company, UK)、透析チューブ(3.5kDa及び10kDaカットオフ限度; Medicell International Limited, UK), Sepharose SP HiTrap, PD-10カラム(Pharmacia, UK)、トリス-グリシンポリアクリルアミドゲル(4-20%)、トリス-グリシンドデシル硫酸ナトリウムのランニングバッファー及びローディングバッファー(Novex, UK), Sepharose Q FF及びDEAE(Amersham Biosciences, UK)、トリス-ボラート-EDTA(TBE) ポリアクリルアミド ゲル(4-20%及び20%)、TBEバッファーとローディングバッファー(Invitrogen, UK)を含んでいた。脱イオン水はElgastat Option 4 water purification unit(Elga Limited, UK)から得られた。使用したすべての試薬は分析グレードであった。プレートリーダー(Dynex Technologies, UK)はタンパク質の分光光度測定およびCA分析に使用された。
【0064】
方法
タンパク質とコロミン酸測定
(シアル酸のような)PSAの定量的推定は他でも述べられているように[Gregoriadis et. al.,1993; Fernandes and Gregoriadis, 1996, 1997]レゾルシノール法[Svennerholm 1957]によって行われた。タンパク質はビシンコニン酸(BCA)比色法によって測定された。
【0065】
実施例1: 単官能性PSAの調製:
1a CAの活性化
新しく調製された0.02 Mメタ過ヨウ素酸ナトリウム(NaIO4; CAより6倍モル過剰)溶液
が20℃でCAと混合され、反応混合物は暗所で15分間磁気撹拌された。酸化されたCAは70%(最終濃度)エタノールを用い、20分間3000gの遠心分離によって沈澱された。上清は取り除かれペレットは最小量の脱イオン水に溶解された。CAは再び70%エタノール沈澱させられ、それから12,000 gで遠心分離された。ペレットは最小量の水で溶解され、凍結乾燥しさらなる使用まで-20℃で保存された(図1; 段階1)。
【0066】
1b CAの還元
酸化されたCA(CAO; 22.7kDa)は水素化ホウ素ナトリウムの存在下で還元された。新しく調製された15mMの水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4; 希硫酸溶液で希釈することによってpH8-8.5まで希釈されたNaOH中)は20℃でCAO(100mg CA/ml)と混合され、反応混合物は暗所で2時間までの間撹拌された。pHは反応の完了まで7に下げられた。酸化/還元されたCA(CAOR)は4℃でpH 7の0.01%炭酸アンモニウムバッファーに対して透析された(透析チューブに対して3.5 kDa分子量カットオフ)。限外濾過は透析チューブからのCAOR溶液の濃縮のために使用された。濾液は凍結乾燥され、さらに必要となるまで4℃で保存された。どのようなアルデヒド量の測定も’CA酸化の測定’下で述べられているように測定された(図1; 段階2)。
【0067】
1c CAの再酸化
アルデヒド含量がないことを確認した後、CAORが(1時間までの)より長い時間の間過ヨ
ウ素酸溶液とともにインキュベートされた点を除いてはCAの活性化の下で報告されているようにCAORは再び酸化された。CAORO生産物の酸化度もまたこの段階から得られる凍結乾
燥粉末で測定された(図1:段階3)。
【0068】
1d CAと誘導体の酸化状態の測定
コロミン酸酸化度の定量的推定は2,4 DNPHで行われ、それはカルボニル化合物との相互作用でわずかに溶解性の2,4 ジニトロフェニルヒドラゾンを生じる。非酸化(CA)、酸化(CAO)、還元(CAOR)及び再酸化(CAORO)(各々5mg)が2,4-DNPH試薬(1.0ml)に加えられ、溶液は振られてから結晶性沈澱が観察されるまで37℃で放置された[Shriner et. al., 1980]。CA(定量的)酸化度はアルカリ溶液中でのフェリシアン化物イオンのフェロシアン化第二鉄(ペルシアブルー)への還元に基づいた方法[Park and Johnson, 1949]で測定され、それは630nmで測定された。この例では、グルコースがスタンダードとして使用された。
【0069】
1e CA-NH2の調製
(10-100 mg/ml)でCAOは300倍モル過剰のNH4Clを含む脱イオン水の2mlに50 mlチューブ
中で溶解され、それからNaCNBH4(1 N NaOH(aq)中の5 Mストック)を最終濃度5 mg/mlで加
えられた。混合物は3日間室温でインキュベートされた。コントロール反応はまたCAOの代わりにコロミン酸で行なわれた。生産物のコロミン酸アミン誘導体は5 mlの氷冷エタノールの添加によって沈澱された。沈澱はベンチトップ型遠心分離機で室温下、30分、4000 rpmで遠心分離することによって回収された。ペレットは確保し2 mlの脱イオン水で再度懸濁し、それから10 mlの超遠心分離チューブで5 mlの氷冷エタノールで再度沈澱された。沈澱は室温で30分間30,000 rpmで遠心分離によって集められた。ペレットは2 mlの脱イオン水で再度懸濁され、凍結乾燥された。
【0070】
1f アミン含量の分析
TNBS(ピクリルスルホン酸, すなわち2,4,6-トリ-ニトロ-ベンゼン スルホン酸)分析は
生産物に存在するアミノ基の量を測定するために使用された[Satake et. al., 1960]。マイクロタイタープレートのウェル中でTNBS(15 mM TNBSの0.5 μl)が0.1 Mホウ酸バッファー pH 9.5の90μlに加えられた。これにCAアミドの50 mg/ml溶液10 μlが加えられた。405nmの吸光度を測る前にプレートは20分間室温で放置された。グリシンはスタンダードとして0.1から1mMの濃度範囲で使用された。TNBSは第一級アミン基をトリニトロフェニル化する。アミンのTNP付加物が検出される。2回の冷却エタノール沈澱で精製した生産物のTNBS分析を使用した検査は90%近い変換を示した。
【0071】
1g マレイミドポリマー(CA-M)の調製
上の実施例1cで合成されたCAOROは20℃、2時間、0.1M酢酸ナトリウム中でN-[β-マレイミドプロピオン酸] ヒドラジドの5モル当量と反応された。生産物のヒドラゾンはエタノ
ール中で沈澱され、酢酸ナトリウム中で再懸濁し、エタノール中で再び沈澱され、水に再度溶解し凍結乾燥した。生産物はタンパク質とペプチドのシステイン部分のチオール基への位置特異的結合にとって有用である。
【0072】
1h ゲル浸透クロマトグラフィー
CAサンプル(CA, CAO, CAOR及びCAORO)はNaNO3(0.2M), CH3CN(10%; 5mg/ml) に溶解され、 屈折率による検出(GPC system: VE1121 GPC 溶媒ポンプ、VE3580 RI検出器及びTrisec 3 ソフトウェアでの照合(Viscotek Europe Ltd)とともに2x GMPWXLカラムでクロマトグラフされた。サンプル(5mg/ml)は0.45μmナイロン膜で濾過され、移動相として0.2M NaNO3とCH3CN(10%)で7 cm/minで実行された(図3)。
【0073】
実施例1の結果: 単官能性PSAの調製
過ヨウ素酸塩と水素化ホウ素での処理後に内部のα-2,8結合Neu5Ac残基の完全性はGPC
よって分析され、酸化されたもの(CAO)、酸化還元されたもの(CAOR)、2度酸化されたもの(CAORO)、アミノCA(CA-NH2)材料で得られたクロマトグラフがネイティブのCAのものと比
較された。酸化されたもの(15分)(CAO)、還元されたもの(CAOR)、2度酸化されたもの(1時間)(CAORO)及びネイティブのCAは、連続の酸化、還元段階がポリマー鎖の重大なフラグメント化を生じさせるという証拠はなく、ほとんど一致した溶出プロフィールを示すことがわかった(図3)。小さなピークはバッファーの塩を示す。
【0074】
フェリシアニドを用いた2度の酸化過程でのCA中間体の定量分析の結果はネイティブのCAではかすかな黄色の沈澱を、アルデヒドを含むポリマーの形態では強い黄色を与え、室
温での10分間の反応後に強い黄色の沈澱という結果になる2,4 DNPHを用いた定性検査の結果と一致する。
【0075】
ポリマーのアミノ化含量は2,4,6-トリ-ニトロ-ベンゼンスルホン酸(TNBS)分析によって85%であることが分かった。PSAアルデヒド誘導体はまたチオール基と反応するのに機能的に有用である反応性のマレイミドを有する安定なヒドラゾンを作成するN-マレイミド部分とヒドラジド部分を有する結合化合物と反応させることができた。ポリマーのマレイミド含量はマレイミド分析により95%であることが分かった。
【0076】
実施例 2- IEC(CA, 22.7 KDa, pd 1.34)によるコロミン酸の分別
2.1 大規模の分別
XK50カラム(Amersham Biosciences, UK)は900 mlのSepharose Q FF(Amersham Biosciences)を詰められ、フローレート50ml/minで洗浄バッファー(20mM トリエタノールアミン; pH 7.4)の3カラム容量で平衡化された。CA(200 ml洗浄バッファー中に25グラム)がシリンジ口を経由して毎分50 mlでカラムにかけられた。この後に洗浄バッファーの1.5カラム容量(1350ml)でカラムを洗浄した。
【0077】
結合したCAは1.5カラム量の異なる溶出バッファー(25 mM NaClの段階で0mMから475mM
までのNaClを含むトリエタノールアミンバッファー, 20 mM, pH 7.4)で溶出し、最後にすべての残りのCAと(もしあるなら)他の残留物を取り除くために1000mM NaClを含む同じバ
ッファーで溶出した。フローレートは7ml/分であった。
【0078】
サンプルは3-10kDa膜(Vivascience, UK)上で高圧限外濾過によって20 mlまで濃縮され
た。これらのサンプルは4℃で繰り返しの限外濾過により脱イオン水にバッファーを交換
した。サンプルは (実施例1hで報告されているように)GPCと(アルシアンブルーで染色された)native PAGEによって平均分子量と他のパラメーターについて分析された[表1及び2; 図4, 5, 6]。
【0079】
実施例2.2: 中間とより小さな規模での分別
次のサンプルはより小さな規模(1-75ml マトリックス;コロミン酸0.2-3グラム)で同一
の洗浄と勾配系を使用して分別された。
【0080】
生産されたCA(CA, 22.7kDa, pd 1.34; CA, 39 KDa, pd 1.4), CAO(CAO, 22.7 kDa, pd 1.34), 単官能性CAO(RO, 22.7kDa; pd 1.34), CA-NH2(22.7kDa, pd 1.34), CAM(実施例1gあたりとして)が終始モニターされた。
【0081】
上の手順を使用して生産されたCAの狭い分画が20mM過ヨウ素酸塩で酸化され、ポリマーへの全体的な変化をゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)とnative PAGEで分析された(図7, 8)。
【0082】
実施例2の結果: 大、中、小規模での分別
CAとその誘導体(22.7 kDa)は集団の異なる%を有する46 kDaまでの分子量平均をもち多
分散度が1.1未満の様々な狭いスピーシーズに首尾よく分別された(表1-2と図4-8)。表1は75mlの規模での22.7kDaの材料を分別した結果を示す。図7はGPC結果であり、図4-6はCA分画のnative PAGEである。
【0083】
【表1】

【0084】
【表2】

【0085】
この方法は各々の規模でほとんど同一の分別プロフィールを有するマトリックスを1 mlから900 mlの規模に拡大可能であった(すべての結果は示されていない。)。
【0086】
より大きなポリマー(CA, 39kDa, pd 1.4)の分別は90kDaまでのスピーシーズを生じた。この方法はポリマーの大きなバッチでさえ分別のために首尾よく使用され得る。図8は提
供された3種のCAサンプルと表3のように分析されたイオン交換によって分離された分画のnative PAGEの結果を示す。PAGE結果はイオン交換分画が狭く分散されていることを示す
。これは図7で示されているGPCデータと一致し、それは22.7kDa CAから分離された分画の3種の結果を示す(表3)。
【0087】
【表3】

【0088】
22.7kDaの材料はより大きな規模で分離されている。GPCを使用してイオン交換からの分画が分析される。
【0089】
すべての狭い分画は20mM過ヨウ素酸塩で首尾よく酸化され、生産過程の異なる段階から採取され、GPCとnative PAGEよって分析されたサンプルは分子量と多分散度で変化を示さ
なかった。サンプルのいくつかのデータは図8で示されている。
【0090】
実施例3 CAの分別に影響を与える因子
CAの分別に影響を与える様々な因子(例えば洗浄容量など)は研究された[図7-14]。
【0091】
実施例3の結果: CAの分別に影響を与える因子
CAの分別に影響を与える様々な因子が研究された。結合研究はカラム(5mlマトリックス)上へのCAの50、100、150及び200mgのローディングによってなされた。CAの200mgを使用して、CAの99%超がカラムに結合した(図9)。段階的勾配によって、溶出バッファーの1カラム容量でカラムが洗浄された時、ポリマーの多分散度は1.1を超えることが分かった(図11)。1.5カラム容量でのカラムの洗浄は1.1未満の多分散度を有するCA分画を生じた(図10)。
【0092】
アミノCA(CA-NH2; 図12)、酸化CA(図13)及び単官能性CAは多分散度1.1を有する分画に
首尾よく分別されることができた。
【0093】
実施例4-成長ホルモン(GH)-CA複合体の合成(広及び狭分散のもの)
参考例2で調製されたCAO(22.7 KDa)と狭分散-CAO(27.7kDa pd= 1.09; 40.9 kDa. pd = 1.02)はGH複合体の調製のために使用された。
【0094】
成長ホルモン-CA複合体の調製
成長ホルモンは0.15 M PBS(pH 7.4)に溶解され、異なるCA(CAO及びNCAO)に共有結合さ
れた。異なるCA(22kDa, CAO; 27.7kDaと40.9kDa, NCA)は個々にCA:GHモル比(12.5:1)でGH(2mg)に加えられ、シアノ水素化ホウ素ナトリウムが4 mg/mlの最終濃度で加えられた。反応混合物は密閉され35±2℃で24時間磁気撹拌された。その混合物はそれから70% w/v飽和度に達するまで連続的に撹拌しながらゆっくり塩を加えることによる硫酸アンモニウム((NH4)2SO4)沈澱にかけられて、4℃で1時間撹拌され、それから15分間回転(5000xg)させ、ペレットは(NH4)2SO4の飽和溶液に再懸濁され、15分間再度回転させた(5000xg)。回収された沈澱は1 ml PBS pH7.4に再度溶解され、同じバッファーに対して4℃で長く(24 h)透析された。コントロールは非酸化CAの存在下またはCAの非存在下でネイティブのタンパク質を複合体化手順にかけることを含んでいた。タンパク質の付随した変性を避けるために振盪は最小限にしておいた。ポリシアリル化GHはSDS-PAGEによって特徴付けされた。ポリシアリル化GHはアニオン交換クロマトグラフィーを通過し、生産物の分画はSDS PAGEにかけられた(図15)。
【0095】
実施例4の結果: GH-CA複合体の合成(広及び狭分散のもの)
GH-CA複合体は首尾よく合成された。SDS-PAGEの結果(図15)は(GHと)コントロールでの
サンプルの移動は新しいGHのそれとよく似ていることを示す。複合体レーンではポリシアリル化-GHを示す質量の増加を典型的に示すバンドの移動がある。バンド幅は広分散ポリ
マーとの複合体に比較して狭分散ポリマーとの複合体の場合には顕著に狭くなる。さらに、(広分散ポリマーとの)GH複合体はアニオン交換クロマトグラフィーによって異なるスピーシーズに首尾よく分離された(図19)。
【0096】
実施例5: CAの沈澱
ディファレンシャルエタノール沈澱はコロミン酸の異なる鎖長を沈澱させるのに使用された[図16, 17]。
【0097】
実施例5の結果: CAの沈澱
CA(22.7; pd 1.34)は異なるエタノールの濃度を使用して狭分散の分画に沈澱すること
はできなかった(図17)。しかしながら、ディファレンシャルエタノール沈澱はより小さく
幅が狭いCAはより多くのエタノール(EtOH)を必要とすることを示した。幅が広い22.7 kDaのポリマーは生産物ポリマーの収量>80%を与えて70% EtOHで沈澱した。80%EtOHの濃度は
より低いMW6.5KDa(pd< 1.1)の> 80%を沈澱させるために必要とされた。この方法はまた生産物に混入した塩の一部を取り除く。
【0098】
実施例6: 限外濾過によるCAの分別
22.7kDaのサンプルは異なる分子量カットオフ膜(5, 10, 30, 50及び100 kDa)上での限
外濾過により精製された。すべての場合で濃縮液はGPCとnative PAGEによって検査された[図18]。
【0099】
実施例6の結果: 限外濾過によるCAの分別
異なる分子量カットオフ膜上での限外濾過によって精製された22.7 kDaのサンプルは膜のカットオフの増加に伴いポリマーの多分散度の減少とより高分子量へのシフトがあったことを示した(図18)。図16はアニオン交換クロマトグラフィー(左)と濾過(右)によるCAの分別を示す。CAのIECは濾過による分別に比べてずっと狭い分散のCAを有する分画を生じ
た。
【0100】
実施例7: NMR分光法による特徴付け
分別されたCAポリマーはD2Oを使用して(もしあるなら)不純物に対して1H(400 MHz)と13C(100 MHz)NMR分光法によって特徴付けされた(図20)。
【0101】
実施例7の結果: NMR分光法による特徴付け
狭分散ポリマーの分別された物質の1Hと13C NMRには不純物がない。加えて、1H NMRス
ペクトルでのH-3プロトンと13C NMRスペクトルのC-2炭素の化学シフトはポリマーが実際
に期待されるα-2,8結合シアル酸物質であることを確認する。
【0102】
実施例8: IECによるCA(39 kDa, pd 1.4)の分別
8.1 大規模での分別
XK50カラム(Amersham Biosciences, UK)は900 ml Sepharose Q FFで詰められて、50ml/minのフローレートで洗浄バッファー(20mM トリエタノールアミン; pH 7.4)3カラム容量で平衡化された。CA(200 ml洗浄バッファー中に12.5g)がシリンジ口を経由して毎分50 mlでカラムにかけられた。この後に洗浄バッファーの1.5カラム容量(1350ml)でカラムを洗浄した。
【0103】
結合したCAは異なる塩濃度(0, 200, 250, 300, 350, 375, 400, 425, 450, 475, 500及び525mM NaCl)を含む溶出バッファー(トリエタノールアミン, 20 mM, pH 7.4)の1.5カラ
ム容量で、そして最後にすべての残りのCAと(もしあるなら)他の残留物を取り除くために同じバッファーで1000mM NaClで溶出された。
【0104】
サンプルは3又は10kDa膜(Vivascience, UK)上での高圧限外濾過、または3 kDa mwco膜(Vivascience, UK)を有するVivaflow 50ダイアフィルトレーション(サンプルを常に膜を通過させることによる濾過)のいずれかによって約20 mlまで濃縮された。これらのサンプルは4℃で繰り返しの限外濾過またはVivaflowのいずれかによって脱イオン水にバッファーが交換された。サンプルは(実施例2で報告されているように)GPCとnative PAGE(アルシアンブルーで染色された4-20%トリス-グリシン ゲル)によって平均分子量と他のパラメーターを分析された(図21及び22)。
【0105】
8.2 小規模での分別
CAはまた異なる塩濃度(0, 200, 250, 300, 350, 375, 400, 425, 450, 475, 500, 525,
550及び575mM NaCl)を含む同一のバッファー系(20mMトリエタノールアミン; pH 7.4)を
使用するSepharose Q FF(5ml マトリックス、あらかじめ詰められている; Amersham Biosciences, UK)を使用して小規模(CAの200mg)で分別された。結合したCAは通常のトリエタノールアミンバッファー中の1000mM NaClを使用したカラムの最終洗浄とともに1ml/minのフローレートで1.5カラム容量(7.5ml)でカラムを洗浄することによって溶出された。
【0106】
サンプルはVivaspin膜濾過(mwco 3 kDa)(Vivascience, UK)によって約0.75 mlまで濃縮され、バッファーは8℃で繰り返しの膜濾過によって脱イオン水に交換され、それから凍
結乾燥された。サンプルはnativa PAGE(アルシアンブルーで染色された4-20%トリス-グリシン ゲル)によって分析された(図23及び24)。
【0107】
実施例8の結果: 多分散CA(39 kDa; pd 1.4)は7から97 kDまでの範囲の分子量平均を持
ち、異なる%の集団を有する様々な狭分散のスピーシーズに首尾よく分別された(図21-24
及び表4)。
【0108】
【表4】

【0109】
分析で使用された溶媒はMECN中の0.2M NaNO3であり、PEOとデキストロンがスタンダー
ドとして使用された。温度は22℃13であり、注入量は100 μLであり、フローレートは0.7
mL/minであった。
【0110】
*native PAGEによって推定されたおおよその値
図21と23はそれぞれ大規模(12.5 g CA; 900 mlマトリックス)と小規模(200 mg CA; 5 ml マトリックス)での39 kDa CAポリマーを分別した結果として様々な分画のCAの%集団を
示す。図22と24は大及び小規模でのCAの分別の結果として得られたnative PAGEである。
表4は様々な塩濃度でのIECによって得られた分画のGPC結果である。GPCデータは97 kDaまでのスピーシーズが分別方法によって生じていることを示す(さらに詳細は実施例9を参照)。これらのより大きな分子量のポリマーはホスフェート分析によってより低い分子量のものに比べてより大きな割合でCAの還元末端に存在するホスフェート部分を有することが示され、それは無機リンの存在の検査である(Rouser et. al. 1970)。
【0111】
実施例9: GPCによる分別CAの特徴付け
例えばCA、CAO、CAOR又はCAORO(4-5 mg/ml)のどれかを0.2 M NaNO3/0.1% NaN3/10% ア
セトニトリル(1 ml)(または、他には10mM PBS, pH 7.4)中に溶解し、それから0.2imナイ
ロン膜(Whattman, UK)上で結果溶液を濾過することによって新しく調製されたCAサンプル
は、、GPCによって分析された。
【0112】
サンプルは3重検出GPC(SEC3)システム(Viscotek Europe Ltd, UK)を使用した2x GMPWxl
(250x4.6mm)カラムでクロマトグラフされた。検出器はOmniSEC 3.1ワークステーション(Viscotek Europe Ltd)で照合されたViscotek Laser Refractometer (屈折率)とViscotek 270 Dual Detector(4-キャピラリー粘度計検出器で設定された直角光散乱検出器) から
なった。
【0113】
使用された分析条件; 溶離液: CAサンプルを溶解するために使用されたバッファー; フローレート: 0.7ml/min; サンプルローディング; 100 μl; 温度22℃。システムは幅が狭い分子量のポリエチレングリコールと幅が広い分子量のデキストランリファレンス材料で較正された。
【0114】
ポリマーがGPCカラムから溶出された時間は、様々な検出器を使用して分子量に変換さ
れた。光分散検出器は絶対分子量の直接の測定値を提供し、カラム較正の必要性を排除する(検出器は分子量と濃度に比例した反応を与える)。旋回の半径は測定が一つの角度を使用して行われた場合は計算されない。粘度計は固有の粘度の直接の測定値を提供し、分子の大きさ、立体配座、構造の測定を可能にする(検出器は分子密度に反比例の反応を与え
る)。屈折率検出器からの応答はポリマーの濃度に比例する: 比例定数はdn/dc(光散乱で必要とされるのと同じ特異的な屈折率の増加)である。
【0115】
上で述べられたGPCシステムはCAの多くのパラメーターが測定されるのを可能にする。
例えば、数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)が得られることができ、これらの数値からCAの多分散度が計算され得る。GPCデータから得られる他の情報はCAの回収割合やポリ
マーの(もしあるなら)分岐度を含んでいる。サンプルの正確な濃度はまたdn/dc値から決
定され得る(または、代替的にdn/dc値がポリマーの正確に知られた濃度から計算され得る)。
【0116】
実施例9の結果: 表5はCA(39 kDa, pd 1.4)のIEC分別からのCA分画(20mM トリエタノー
ルアミン, pH 7.4中に400mM NaCl)の分析から得られたパラメーターの範囲の代表的なデ
ータを示す。この表で、次の定義が適用される:
Mn = 数平均分子量
Mw = 重量平均分子量
Mz = Z平均分子量
Mp = ピーク平均分子量
Mv = 粘度平均分子量
Mw/Mn = 分子量分布(多分散度)
Rh = 流体力学的径
IV = 固有粘度
dn/dc = サンプルの濃度に対する屈折率の変化
【0117】
【表5】

【0118】
例えば、27,956と26,666 DaはそれぞれMwとMnであり、それらは1.048の多分散度を与え
た。表4はIECでの多分散CA(39 kDa; pd 1.4)の分別でGPC分析によって得られた狭分散分
子量の範囲を示しており、一方で図25は狭分散CAサンプルで得られた併用された粘度計、屈折計(refratometer)及び光散乱曲線の典型的なGPCクロマトグラムを示す。
【0119】
実施例10: 最適化研究
10.1 native PAGEによるCAの分析の最適化
分別された及び分別されていないCAはゲルでのこれらのポリマーの分離を最適化するためにnative PAGEでTBEとトリス-グリシンゲルによってさらに分析された。一般的に、狭
又は広分散のCAの40 igが、ゲルのウェル毎にローディングバッファーの10 il を含む20 il としてロードされた。ゲルは3種の異なる速度(150, 25, 15 mV/cm)で作動され、それ
からアリカンブルーで染色され、その後に2%酢酸で脱色された。
【0120】
実施例10.1の結果: 図26は4-20%トリス-グリシン、4-20%及び20%TBE ゲルでCAの異なる分子量で得られ得る様々な分離度を明らかにする。高及び低分子量CAの良い分離は4-20% 及び20% TBE ゲルで観察され、20% TBEゲルでは特に良い分離が観察され得ることがゲル
から観察され得る。幅の狭いバンドはゲル速度が150mV/cmである時に比べて25又は15 mV/cmでゲルが作動された時に最もよく観察される。
【0121】
10.2 CAの濃度
CA(22.7 kDa, pd 1.34)のIEC分別から得られた高圧限外濾過の濾液はVivaflow(mwco 3
kDa)により濃縮された。これらのCAサンプルはポリマーのどんな分解に対しても4-20% TBEゲルを使用したnative-PAGE(図27)によって高圧限外濾過の対応するフィルターとともに分析された。
【0122】
実施例10.2の結果: 濾液のVivaflow精製によって得られたCAサンプルのnative PAGEか
らの結果(図27)は両方の材料が同じ分子量を有していたことを示す。高圧限外濾過の濾液中でのCAの存在の観察は、レプテーションとして知られる過程によって説明され得、それによる柔軟性、変形性及びCAポリマーの棒状の立体配座のために、ポリマーは膜を通過することができ濾液中にCAの存在を生じる。ゲルはまたVivaflowと限外濾過の両方がCAのIEC分別によって得られた分画を加工するために首尾よく使用され得ることを証明している。
【0123】
実施例11: トリエタノールアミン/HClのイオン強度の増加を使用するIECによるCA(22.7
kDa, pd1.34)の分別
多分散CAはまたNaClのようなどの塩も不存在下でpH 7.4でのトリエタノールアミン濃度範囲を使用してSepharose Q FF(1ml マトリックス、あらかじめ詰められている)によって分別された。従って、CA(40mg; 1ml)(22.7kDa; pd 1.34)はQ FFカラム(1ml マトリックス; あらかじめ詰められている; Amersham Biosciences)にロードされた。結合したCAは1ml/minのフローレートで各々のトリエタノールアミンバッファー(50, 100, 200, 300, 400, 500, 600, 700, 800, 900, 1000, 1100及び1200mMトリエタノールアミン)の1mlをカラムに通すことにより2000mMトリエタノールアミンを使用したカラムの最終洗浄を伴って溶出された。サンプルは直接凍結乾燥され、それからnative PAGE(アルシアンブルーによって染色されたTBEゲル)によって分析された。
【0124】
実施例11の結果: 図8はCAの分別はpH 7.4で変化するトリエタノールアミン濃度の存在
下で達成され得ることを証明している。
【0125】
実施例12: トリエタノールアミンアセタートのイオン強度の増加を使用するIECによるCA(22.7 kDa, pd 1.34)の分別
多分散CAはまたNaClのようなどの塩も不存在下でpH 7.4でのトリエタノールアミンアセタート濃度範囲を使用してSepharose Q FF(1ml マトリックス、あらかじめ詰められてい
る)によって分別された。トリエタノールアミンアセタートバッファーはトリエタノール
アミンを使用し、酢酸を用いてpHを7.4に調整することにより調製された。多分散CA(40mg; 1 ml)(22.7kDa; pd 1.34)はQ FFカラム(1ml マトリックス; あらかじめ詰められている)にロードされた。結合したCAは1ml/minのフローレートで各々のトリエタノールアミンアセタートバッファー(300, 400, 500, 600, 700, 800, 900, 1000, 1100, 1200, 1300, 1400及び1500mMトリエタノールアミンアセタート)の1mlをカラムに通すことにより2000mMトリエタノールアミンを使用したカラムの最終洗浄を伴って溶出された。各々の分画の少量のサンプル(20 il)がそれから微小膜透析系を使用して水とバッファーが交換され、凍結乾燥され、それからnative PAGE(アルシアンブルーで染色された20% TBEゲル)によって分析された。
【0126】
実施例12の結果: 図29はCAの分別はpH 7.4で変化するトリエタノールアミン濃度の存在下で首尾よく達成され得ることを証明している。
【0127】
実施例13: pH勾配を使用したCA(22.7 kDa, pd 1.34)の分別
HEPESとエタノールアミンバッファー系はpH段階的勾配を作るために使用された。pH 7.6, 7.8及び8.0でのバッファーはHEPESの濃度を10から50mMまで増加し、pHをNaOHでおおよその値に設定することを用いて調整された。ナトリウムイオンの濃度は36mMを超えなかった。pH 8.2, 8.3, 8.5, 8.7, 8.9, 9.1, 9.3, 9.5及び9.7は1M エタノールアミン(20から70mM最終濃度)のおおよその量をHEPES 50mM(10から50mM最終濃度)と混合し、ナトリウムイオン濃度が30mMを超えないことを確認しながら、pHをNaOHで調整することにより作られた。最終のバッファーは70mM エタノールアミン pH 11であった。
【0128】
多分散CA(22.7 kDa; pd 1.34)の30 mgはpH 7.6バッファー(1mL)に溶解され、同様にpH 7.6バッファーでDEAE sepharoseカラム(1ml マトリックス, あらかじめ詰められている)
にかけられた。カラムはpH 7.6バッファー(フローレート 1ml/min)の5mlで洗浄され、そ
の後にカラムに各々のバッファーの2mlを通し、1ml分画を集めた。各々の溶出した分画の500ilが凍結乾燥され、それからnative PAGE(アルシアンブルーで染色された20% TBEゲル)による分析のために脱イオン水の50ilに再度溶解された。
【0129】
実施例12の結果: 図30はCAの分別が増加するpH強度の存在下で首尾よく達成され得ることを証明している。DEAE sepharoseは高いpHでその電荷を遊離する第三級アミノ基、N-ジメチル-アミノ-エチルを有するアニオン交換マトリックスである。このように、高いpHはマトリックスを脱プロトン化し、その電荷を変化させ、カラムにイオン相互作用によって結合されたどんなスピーシーズも溶出するために使用される。混合された勾配はまた、pH勾配が最初に低分子量のスピーシーズを分別するために使用され、その後により高い分子量のスピーシーズを溶出するためにイオン強度勾配が続く箇所で使用され得る。
【0130】
参考文献
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【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1−a】図1aは単官能性CAの調製を示す反応スキームである。
【図1−b】図1bはオリジナルの結合方法を使用した生産物の調製を示す反応スキームである。
【図2】図2はタンパク質-CA複合体の調製を示す反応スキームである。
【図3】図3はCAのゲル浸透クロマトグラフィーの結果を示す。
【図4】図4は異なるCA分画の%集団を示す。
【図5】図5は分子量を有するCAの典型的なnative pageを示す。
【図6】図6はCA(22.7KDa; pd 1.34)のnative PAGEを示す。
【図7】図7はCA分画の典型的なクロマトグラムを示す。
【図8】図8は分別の異なる段階からのCAをサンプルを示す。
【図9】図9はCAサンプルの異なる量のローディングを示す。
【図10】図10はCA(CAの150mg; 5 ml マトリックス)の分別を示す。
【図11】図11はCA(200mg; 5ml)の分別を示す。
【図12】図12はCA-NH2の分別を示す。
【図13】図13は酸化CA(22.7KDa)のアニオン交換クロマトグラフィーを示す。
【図14】図14は単官能性CAのアニオン交換クロマトグラフィーを示す。
【図15】図15は広及び狭分散のポリマーとのタンパク質-ポリマー複合体の調製物のSDS-PAGEを示す。
【図16】図16はアニオン交換クロマトグラフィーvs濾過によるCAの分別のnative PAGEの結果を示す。
【図17】図17はエタノール沈澱によるCAの分別を示す。
【図18】図18は限外濾過によるCAの分別を示す。
【図19】図19はGH-CA複合体のアニオン交換クロマトグラフィーを示す。
【図20】図20はNMRによるCA(35KDa)の特徴付けを示す。
【図21】図21はCA(39kDa; pd 1.4)の大規模IEC分別の%集団を示す。
【図22】図22はCA(39 kDa; 12.5g) IEC分画のnative PAGEを示す。
【図23】図23はCA(39kDa; pd 1.4)の小規模IEC分別の%集団を示す。
【図24】図24はCA(39 kDa; 200mg) IEC分画のnative PAGEを示す。
【図25】図25は狭分散CAの典型的なGPCクロマトグラフィーを示す。
【図26】図26はCAのnative-PAGE分析の最適化を示す。
【図27】図27はIECからのCA分画のnative PAGEを示す。
【図28】図28はトリエタノールアミンの増加しているイオン強度を用いてCA(22.7 kDa) IEC分画のnative PAGEを示す。
【図29】図29はトリエタノールアミンアセタートの増加しているイオン強度を用いるCA(22.7 kDa)のQ FF分別のnative PAGEを示す。
【図30】図30は勾配pH系を用いてCA(22.7 kDa)のDEAE分別のnative PAGEを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多分散多糖の水溶液がカラム中のイオン交換樹脂に接触し、該多糖は次に水性溶出バッファーによって選択的溶出に供されて、多糖が溶出分画から回収される、多分散系のイオンにより電荷を有する多糖を異なる平均分子量の分画に分離する方法であって、選択的溶出がカラムの樹脂を各々が連続的に異なる一定のイオン強度及び/又はpHを有する少なく
とも3種類の溶出バッファーで洗浄することを含み、2番目とそれに続くバッファーは直前の段階のバッファーより高いイオン強度及び/又はpHを有することを特徴とする、方法。
【請求項2】
溶出バッファーがすべて同じpHを有する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
連続する段階のイオン強度間の相違が実質的に同じである請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記の相違が0.005から0.1M、好ましくは0.025Mである請求項3に記載の方法。
【請求項5】
イオン強度が強無機酸と強無機塩基の塩、好ましくは塩化ナトリウムの濃度を変化させることによって変えられる先の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
溶出バッファーが連続的により高いpHの値を有する請求項1に記載の方法。
【請求項7】
連続する段階のpH間の相違が実質的に同じである請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記の相違が0.2 pH単位である請求項7に記載の方法。
【請求項9】
各々のバッファーのpHが7.4-13の範囲にある先の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
2番目とそれに続くバッファーは直前の段階のバッファーより高いイオン強度及びpHを
有する請求項6〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
各々の溶出バッファーが少なくとも1.0、好ましくは少なくとも1.5カラム容量の量で使用される先の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
溶出バッファーが揮発性の酸又は塩基を含みかつ回収が溶出分画からの揮発性の酸又は塩基の揮発を含む先の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
バッファーがアミン、好ましくはトリエタノールアミンである塩基を含む請求項12に記載の方法。
【請求項14】
イオン交換樹脂が強い又は弱いアニオン又はカチオン交換媒体である先の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
多分散多糖の重量平均分子量が少なくとも5 kDa、好ましくは少なくとも10 kDaである
先の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
選択的溶出が少なくとも5段階を含む先の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
最初の溶出バッファーのイオン強度が0.001から1Mの範囲にある先の請求項のいずれか
に記載の方法。
【請求項18】
多糖が溶出分画で実行される最初の限外濾過の段階を含む段階によって回収される先の
請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
多糖が乾燥、好ましくは減圧下、好ましくは凍結乾燥により溶液から最終的に分離される先の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
イオン交換樹脂と接触する前に非溶媒沈澱の予備的な段階を含む先の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
多糖が天然の多糖、その加水分解産物又はいずれかの官能化誘導体である先の請求項のいずれかに記載した方法。
【請求項22】
天然の多糖が細菌の多糖、好ましくは多糖抗原である請求項21に記載の方法。
【請求項23】
多糖がシアル酸ポリマー又は共重合体、好ましくはポリ(2,8-結合シアル酸)、ポリ(2,9-結合シアル酸)又は交互の2,8-2,9-結合PSAである請求項21又は請求項22に記載の方法。
【請求項24】
多糖がCA、又はそれの酸化、還元、アミノ化及び/又はヒドラジド誘導体である請求項23に記載の方法。
【請求項25】
多分散多糖の分子量の多分散度が少なくとも1.5, 好ましくは少なくとも2.0である先の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
1.26未満の分子量の多分散度(Mn/Mw)を有するポリシアル酸。
【請求項27】
多分散度が1.2以下、好ましくは1.01から1.10の範囲にある請求項26に記載のポリシア
ル酸。
【請求項28】
CA、又はそれの酸化、還元、アミノ化及び/又はヒドラジド誘導体である請求項26又は
請求項27に記載のポリシアル酸。
【請求項29】
少なくとも5kDa、好ましくは少なくとも10kDaの分子量(Mw)を有する請求項26から28の
いずれかに記載のポリシアル酸。

【図1−a】
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【図1−b】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2012−82436(P2012−82436A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−273806(P2011−273806)
【出願日】平成23年12月14日(2011.12.14)
【分割の表示】特願2007−525353(P2007−525353)の分割
【原出願日】平成17年8月12日(2005.8.12)
【出願人】(507042545)リポクセン テクノロジーズ リミテッド (15)
【Fターム(参考)】