説明

電解コンデンサ

【課題】溶接性及び半田濡れ性に優れ、ウィスカの発生のないリード線を用いた電解コンデンサを提供する。
【解決手段】陽極リードタブ端子が接続された陽極箔及び陰極リードタブ端子が接続された陰極箔がセパレータを介して巻回されてなるコンデンサ素子と、外装ケースと、外装ケースの開口部を封口する封口体とを備えた電解コンデンサにおいて、陽極リードタブ端子及び陰極リードタブ端子の各リード線は、基材の表面に、厚さ0.3〜5.0μmのニッケルめっき層、厚さ0.01〜0.10μmのパラジウムめっき層、及び厚さ0.002〜0.030μmの金めっき層がこの順に形成されている電解コンデンサ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の電子機器に使用される電解コンデンサに関する。特に、本発明は、コンデンサ素子から外部に導出されるリード線の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高周波領域用のコンデンサとしては、積層セラミックコンデンサが多用されているが、これらは比較的小容量である。このため、小型、大容量で低い等価直列抵抗(以下、ESRという)を有するコンデンサとして、タンタルあるいはアルミニウムなどのような弁作用を有する金属を利用した電解コンデンサが広く用いられており、特に、ポリピロール系、ポリチオフェン系、ポリアニリン系などの導電性高分子またはTCNQ(7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン)錯塩を電解質に用いた固体電解コンデンサが注目されている。
【0003】
この種の固体電解コンデンサは、以下のようにして製造されている。まず、アルミニウム箔にエッチング処理及び化成処理を行った陽極箔と、アルミニウム箔にエッチング処理を行った陰極箔とをそれぞれ作製する。そして、各電極箔にリード線を溶接したリードタブ端子を接続した後、陽極箔と陰極箔とをセパレータを介して円筒状に巻き取ってコンデンサ素子を形成し、更に、該コンデンサ素子の切り口化成と熱処理とを行う。次に、モノマーと酸化剤とを上記コンデンサ素子に含浸させた後、該モノマーを熱重合させることにより、コンデンサ素子の電極箔間に導電性高分子層(固体電解質層)を形成させる。次いで、コンデンサ素子を有底筒状の外装ケースに収納固定し、外装ケースの開口部を各リード線を外部に導出するための貫通孔を有する封口体で封口し、更にエージング処理を行う。最後に、封口体側に配置した座板のリード挿通孔から各リード線を外部に導出し、各リード線の端部をプレス加工及び折り曲げ加工して電極端子を作製することにより、固体電解コンデンサが製造される。
【0004】
ところで、上記のような電解コンデンサの各リード線は、その一端側を電極箔に接続固定されたリードタブ端子のアルミニウム製のボス部と溶接することにより電極箔と電気的に接続されるとともに、座板のリード挿通孔から外部に導出されたリード線の他端側を電極端子として実装基板に半田付けしている。従って、このような電解コンデンサにおいては、リード線の一端側はアルミニウム製のボス部との溶接性に優れていることが求められるとともに、リード線の他端側は半田濡れ性に優れることが要求される。このため、一般に、銅線などの基材の表面に、銀めっき層、錫めっき層、あるいは錫−ビスマス系合金めっき層などのめっき層が施されたリード線が用いられている。
【0005】
しかしながら、ポリチオフェン系などの導電性高分子を含有する固体電解質層を電極箔間に形成するにあたっては、上記のようにリード線を接続したコンデンサ素子内でモノマーが熱重合されるため、この熱重合時にモノマーやドーパントなどから硫化ガスが発生する。このような硫化ガスが発生した場合、銀めっき層を有するリード線においては、銀めっき層が硫化ガスによって汚染され、銀めっき層が変色し、半田濡れ性が低下するという問題がある。熱重合後、リード線を洗浄することも考えられるが、銀めっき層は空気中の硫黄成分によっても変色するため、工業的生産においては、電解コンデンサを製造後、実装基板に半田付けされるまでに電解コンデンサが長時間放置される場合もあることから、経時的に銀めっき層が変色し、半田濡れ性が低下するという問題がある。
【0006】
一方、錫めっき層あるいは錫−ビスマス系合金めっき層を有するリード線が接続されたコンデンサ素子では、製造工程における上記のような熱重合や、電極箔やセパレータの熱処理を行う際の高温によりめっき層が溶融しやすいため、リード線径が不均一となりやすいという問題がある。また、錫めっき層あるいは錫−ビスマス系合金めっき層を有するリード線はウィスカが発生しやすいという問題もある。さらに、ウィスカは電解コンデンサを高温の環境下で使用することによっても発生しやすい。このため、錫めっき層あるいは錫−ビスマス系合金めっき層を有するリード線を用いた場合、陽極リード線と陰極リード線との間でショートを引き起こす恐れがある。
【0007】
このため、いずれのめっき層を施したリード線によっても、不良品が発生しやすく、生産効率が低下するという問題やショート不良などの問題が発生しやすい。
【0008】
チップ型コンデンサにおいては、半田付け性やESRの低減を目的に、厚さ100μm程度のニッケル−鉄系合金からなるリードフレームの表面に、銅めっき層、ニッケルめっき層、パラジウムめっき層、及び金めっき層を形成することも提案されている(例えば、特許文献1)。しかしながら、上記特許文献1のリードフレームに形成されているめっき層でもアルミニウム製のボス部と小径のリード線との間の十分な溶接性を確保することができないという問題がある。
【特許文献1】特開平11−283870号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、アルミニウム製のボス部との溶接性に優れ、また製造工程における硫化ガスや空気中の硫黄成分によっても半田濡れ性の劣化が少なく、錫めっき層などで見られるウィスカの発生のないリード線を有する電解コンデンサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、陽極リードタブ端子が接続された陽極箔及び陰極リードタブ端子が接続された陰極箔がセパレータを介して巻回されてなるコンデンサ素子と、前記コンデンサ素子を収納した外装ケースと、前記外装ケースの開口部を封口する封口体とを備えた電解コンデンサであって、
前記陽極リードタブ端子及び陰極リードタブ端子はそれぞれ、前記リードタブ端子のボス部と溶接され、外部に導出されるリード線を有し、
前記リード線は、基材の表面に、ニッケルめっき層、パラジウムめっき層、及び金めっき層がこの順に形成されており、
前記ニッケルめっき層の厚さが0.3〜5.0μm、前記パラジウムめっき層の厚さが0.01〜0.10μm、及び前記金めっき層の厚さが0.002〜0.030μmであることを特徴とする。
【0011】
上記リード線の基材は、無酸素銅線または銅被覆鉄線を用いることができる。
【0012】
また、上記ニッケルめっき層、パラジウムめっき層、及び金めっき層はいずれも、電解めっき法により形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、アルミニウム製のボス部との溶接性に優れ、製造工程における硫化ガスや空気中の硫黄成分に対しても十分な耐性を有し、半田濡れ性に優れるとともに、錫めっき層などで見られるウィスカの発生がなく、ショート不良の発生の恐れの少ないリード線を有する電解コンデンサを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、本実施の形態のリードタブ端子の一例を示す平面概略図であり、図2は、図1のリード線の断面概略図である。なお、陰極リードタブ端子及び陰極リード線の構成は陽極リードタブ端子及び陽極リード線のそれらと同様であるため、同一図を使用して各リードタブ端子を説明する。
【0015】
図1に示すように、陽極リードタブ端子1a及び陰極リードタブ端子1bにはそれぞれ、基材を成形することにより、ボス部11a,11bとリブ部12a,12bと平打ち部13a,13bとが形成されている。そして、陽極リード線2a及び陰極リード線2bが各ボス部11a,11bの溶接部14a,14bと溶接により接続されている。
【0016】
本実施の形態において、リード線2a,2bには、図2に示すように、基材21の表面にニッケルめっき層22、パラジウムめっき層23、及び金めっき層24が順に形成されている。リード線2a,2bは実装基板に半田付けするための電極端子として使用されるため、半田濡れ性が良好であることだけでなく、溶接部14a,14bではリード線2a,2bがアルミニウム製のボス部11a,11bと抵抗溶接で接続されるため、アルミニウムとの溶接性も良好であることが求められる。抵抗溶接により高い溶接強度を得るためには、抵抗値の高いめっき層を形成する必要があるが、半田付けのために形成される最表層の金めっき層24は抵抗値が低い。上記観点から半田濡れ性と溶接性とを両立できるめっき層について検討した結果、ニッケルめっき層22の厚さが0.3〜5.0μmの範囲、パラジウムめっき層23の厚さが0.01〜0.10μmの範囲、及び金めっき層24の厚さが0.002〜0.030μmの範囲であれば、小径のリード線2a,2bであってもアルミニウム製のボス部11a,11bとの溶接性に優れ、高い溶接強度を確保できるとともに、半田濡れ性にも優れることが見出された。
【0017】
最表層である金めっき層24の厚さが0.002μm未満では、半田濡れ性が低下する。一方、金めっき層24は一定の厚みで形成されていれば良好な半田濡れ性を確保することができるため、金めっき層24が0.030μmより厚い場合その効果が飽和し、コスト的に不利となる。このため、金めっき層24の厚さは0.002〜0.030μmの範囲とする必要があり、0.002〜0.010μmの範囲がより好ましい。
【0018】
また、中間層であるパラジウムめっき層23の厚さが0.01μm未満では、ニッケルめっき層22及び金めっき層24の厚さが上記範囲であっても、半田濡れ性が低下するとともに、一定の抵抗値を確保することができず溶接性も不十分となる。一方、パラジウムめっき層23は一定の厚みで形成されていれば良好な半田濡れ性及び溶接性を確保することができるため、パラジウムめっき層23が0.10μmより厚い場合その効果が飽和し、コスト的に不利となる。このため、パラジウムめっき層23の厚さは0.01〜0.10μmの範囲とする必要があり、0.01〜0.05μmの範囲がより好ましい。
【0019】
さらに、基材21の表面と接触する最下層のニッケルめっき層22の厚さが0.3μm未満では、パラジウムめっき層23の厚さが上記範囲であっても、一定の抵抗値を確保することができず、溶接性が低下し、十分な溶接強度を確保することが難しくなる。一方、ニッケルめっき層22は一定の厚みで形成されていれば良好な溶接性を確保することができるため、ニッケルめっき層22が5.0μmより厚い場合その効果が飽和し、コスト的に不利となる。このため、ニッケルめっき層22の厚さは0.3〜5.0μmの範囲とする必要があり、0.3〜2.0μmの範囲がより好ましい。
【0020】
上記各めっき層の形成方法は、従来公知のめっき法を使用することができる。具体的には、例えば、電解めっき法、無電解めっき法、溶融めっき法、超音波めっき法、蒸着めっき法、置換析出めっき法などが挙げられる。これらの中でも、電解めっき法は、均一なめっき層が形成できるため好ましく用いることができる。
【0021】
本実施の形態のリード線に用いられる基材としては、無酸素銅線(OFC線)、銅被覆鉄線(CP線)などを使用することができる。これらの中でも電解コンデンサのESRを低減させる目的から無酸素銅線が好ましい。基材の径は、通常0.3〜1.0mmである。
【0022】
次に、本実施の形態の電解コンデンサについて説明する。図3は上記のリード線を溶接した各電極リードタブ端子が接続された本実施の形態のコンデンサ素子の一例を示す斜視図、図4は図3のコンデンサ素子を用いた本実施の形態の電解コンデンサの一例を示す概略断面図である。
【0023】
図3に示すように、巻回型のコンデンサ素子4は、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタンなどの弁作用金属からなる箔に粗面化のためのエッチング処理及び誘電体皮膜形成のための化成処理を施した陽極箔41と、エッチング処理を施した対向陰極箔42とをセパレータ43を介して巻き取ることにより形成される。これらは、巻き取られた後、巻き止めテープ44により固定される。上記陽極箔41及び対向陰極箔42には、各リードタブ端子1a,1bの平打ち部13a,13b(図示せず)が接続されており、各リードタブ端子1a,1bのボス部11a,11bはリード線2a,2bと抵抗溶接されている。
【0024】
上記のようにして作製されるコンデンサ素子4は、切り口化成と、150〜300℃での熱処理とが施された後、コンデンサ素子4内にTCNQ錯塩や導電性高分子などを含有する固体電解質層が形成される。本実施の形態のリード線2a,2bは最表層に金めっき層が形成されており、錫めっき層を有していないため、上記の熱処理によってもめっき層の溶融が発生せず、それゆえリード線径が不均一になることもない。
【0025】
コンデンサ素子4内に固体電解質層を形成する場合、例えば、上記の巻回型のコンデンサ素子4にチオフェン、ピロールなどの重合により導電性高分子となるモノマーと、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、遷移金属塩などの酸化剤とを含浸させ、モノマーを熱重合させる。このような熱重合を行うと硫化ガスが発生するが、本実施の形態のリード線2a,2bは、上記のように最表層に金めっき層が形成されており、銀めっき層を有していないため、該硫化ガスによっても変色がなく、それゆえ半田濡れ性が低下することもない。
【0026】
図4に示すように、本実施の形態の電解コンデンサは、上記のようにして固体電解質層を形成したコンデンサ素子4が収納された有底筒状の外装ケース5と、外装ケース5の開口部を封口する封口体6と、封口体側の端面に電解コンデンサを実装基板に装着するための座板7とを備えている。
【0027】
リード線2a,2bを外部に導出する場合、まず上記した封口体6の貫通孔61a,61bにボス部11a,11bを挿通させた後、アルミニウム製の外装ケース5に絞り加工及びカーリング加工を施す。そして、封口体6の貫通孔61a,61bから導出されたリード線2a,2bを座板7のリード挿通孔71a,71bに挿通し、リード線2a,2bが座板面に沿うようにリード挿通孔71a,71b近傍の根元部分から互いに離れる方向に略90度折り曲げる。なお、本実施の形態のリード線2a,2bは錫めっき層を有していないため、ウィスカの発生がなく、それゆえウィスカを除去するための熱処理や加工処理などを施す必要もなく、またウィスカによるショート不良が発生する恐れもない。
【0028】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0029】
表1に示す各めっき層を電解めっき法により基材の表面に形成したリード線を作製した。これらのリード線を用いてリードタブ端子を作製し、リードタブ端子単体のリード線とアルミニウム製ボス部との溶接性を下記の溶接性試験により評価した。
また、上記とは別に、作製した各リードタブ端子を用いて、コンデンサ素子内にポリチオフェンからなる固体電解質層を有する固体電解コンデンサを作製した。その後、固体電解コンデンサからリード線を切り取り、リード線の半田濡れ性を下記の半田濡れ性試験により評価した。
表1にリード線の種類と評価結果とを併せて示す。
【0030】
〔溶接性試験〕
リードタブ端子のリード線側を軸方向下側とし、そのリード線先端に0.5kgの重りをつけた測定試料を作製した。この測定試料の軸方向に荷重をかけながらボス部を掴んで90度折り曲げて元に戻し、次に反対方向に90度折り曲げて元に戻す工程を1サイクルとして、これを2サイクル行った。試験後に溶接部の破断がないものを、○、破断が発生したものを、×と評価した
【0031】
〔半田濡れ性試験〕
半田濡れ性は、JIS C 60068−2−54規定の半田付け試験(平衡法)により評価した。半田表面とリード線とが最初に接触する作用力零値の時点からリード線が浮力を受けた後に濡れ始めることで再び作用力零値となる時点までの時間であるZ.C.T.(ゼロクロスタイム)を測定した。フラックスにはロジンを25質量%含有するエタノール溶液を、半田槽には無鉛半田(温度:245℃)を用いた。なお、銀めっき層を形成した比較例7、及び錫めっき層を形成した比較例8のリード線の半田濡れ性の評価にあたっては、固体電解コンデンサ作製時の熱や硫化ガスの影響を排除するため、固体電解コンデンサを作製することなく、リード線単体を測定試料として用いた。
【0032】
【表1】

【0033】
一般にZ.C.T.は3秒以内が好ましいとされている。上記表に示すように、金めっき層の厚さが0.002μm、パラジウムめっき層の厚さが0.01μmより薄くなると、半田濡れ性が低下することが分かる。また、パラジウムめっき層の厚さが0.01μm、ニッケルめっき層の厚さが0.3μmより薄くなると、溶接性が低下することが分かる。
【0034】
次に、実施例のリード線と、比較例7のリード線とを用い、上記の半田濡れ性試験と同様にして作製したリード線を測定試料として、以下の硫化ガスによる加速試験を行い、硫化ガスの汚染による半田濡れ性への影響を評価した。この結果を、表2に示す。
【0035】
〔硫化ガス試験〕
リード線を硫化アンモニウム水溶液(硫黄分:0.2vol/vol%)に3分間浸漬した後、水洗した。このリード線を用いて上記と同様の半田濡れ性試験を行い、Z.C.T.を測定した。
【0036】
【表2】

【0037】
銀めっき層を有するリード線は、めっき直後では優れた半田濡れ性を示したが、上記表2に示すように、硫化により半田濡れ性が顕著に劣化することが分かる。このため、このリード線は、固体電解質層を形成するために熱重合を行った場合に発生する硫化ガスや、めっき層形成後に長時間放置された場合の空気中の硫黄成分により経時的に半田濡れ性が劣化するという問題を有している。これに対して、金めっき層、パラジウムめっき層、及びニッケルめっき層をそれぞれ一定厚みで有するリード線は、硫化ガスに晒されても半田濡れ性の劣化が少ないことが分かる。このため、本実施例のリード線は固体電解質層を有する電解コンデンサに好適に用いることができる。
【0038】
次に、実施例のリード線と、比較例8のリード線とをそれぞれ用いて作製した固体電解コンデンサについて、以下のウィスカ試験を行った。この結果を、表3に示す。
【0039】
〔ウィスカ試験〕
固体電解コンデンサを60℃90%RHの環境下で1,000時間保存した後、室温雰囲気に取り出し、リード線表面を300倍の走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察し、ウィスカ発生の有無を観察した。
【0040】
【表3】

【0041】
上記表に示すように、錫めっき層を有するリード線は、ウィスカの発生が確認された。これに対して、金めっき層、パラジウムめっき層、及びニッケルめっき層をそれぞれ一定厚みで有するリード線は、高温高湿で保存されてもウィスカの発生がないことが確認された。従って、本実施例のリード線を用いることにより、製造工程においてウィスカ除去のための熱処理や洗浄処理を設ける必要がなく、また該リード線は高温下で使用される電解コンデンサにも好適に用いることができる。
なお、上記実施例のリード線を用いて作製した固体電解コンデンサの特性を評価したところ、実用上問題のない特性を有しており、ショート不良もないことが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本実施の形態のリードタブ端子の一例を示す平面概略図である。
【図2】図1のリード線の断面概略図である。
【図3】本実施の形態のコンデンサ素子の一例を示す斜視図である。
【図4】本実施の形態の電解コンデンサの一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0043】
1a,1b リードタブ端子
2a,2b リード線
4 コンデンサ素子
5 外装ケース
6 封口体
7 座板
11a,11b ボス部
14a,14b 溶接部
21 基材
22 ニッケルめっき層
23 パラジウムめっき層
24 金めっき層
41 陽極箔
42 陰極箔
43 セパレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極リードタブ端子が接続された陽極箔及び陰極リードタブ端子が接続された陰極箔がセパレータを介して巻回されてなるコンデンサ素子と、前記コンデンサ素子を収納した外装ケースと、前記外装ケースの開口部を封口する封口体とを備えた電解コンデンサであって、
前記陽極リードタブ端子及び陰極リードタブ端子はそれぞれ、前記リードタブ端子のボス部と溶接され、外部に導出されるリード線を有し、
前記リード線は、基材の表面に、ニッケルめっき層、パラジウムめっき層、及び金めっき層がこの順に形成されており、
前記ニッケルめっき層の厚さが0.3〜5.0μm、前記パラジウムめっき層の厚さが0.01〜0.10μm、及び前記金めっき層の厚さが0.002〜0.030μmである、電解コンデンサ。
【請求項2】
前記リード線の基材は、無酸素銅線または銅被覆鉄線からなる請求項1に記載の電解コンデンサ。
【請求項3】
前記ニッケルめっき層、パラジウムめっき層、及び金めっき層は、電解めっき法により形成されている請求項1または2に記載の電解コンデンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−3731(P2010−3731A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−159001(P2008−159001)
【出願日】平成20年6月18日(2008.6.18)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000171768)佐賀三洋工業株式会社 (116)
【出願人】(592181602)古河精密金属工業株式会社 (15)