説明

電解式リン回収装置及びこれを用いた下水処理システム

【課題】省資源化、温暖化対策に優れ、リン資源の再利用も可能な電解式リン回収装置と、これを用いた下水処理システムを提供すること。
【解決手段】流入してくる下水を少なくとも活性汚泥を利用して浄化処理する汚水処理施設1と、該汚水処理施設から排出される余剰汚泥を脱水乾燥処理して濃縮汚泥と脱離水とに分離する汚泥処理施設2と、該汚泥処理施設から排出される脱離水中のリン成分を回収する電解式リン回収装置3と、太陽光によって発電を行なう太陽電池4と、電解式リン回収装置3から発生する水素ガスを回収する水素ガス回収装置5と、水素ガス回収装置で回収された水素ガスを燃料として発電する水素電池6と、電源切替装置7とを備え、電源切替装置7によって、電解式リン回収装置3に印加される電気分解用の直流電源を太陽電池4または水素電池6のいずれかの側に切り替え可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解式リン回収装置とこれを用いた下水処理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
下水道などを通じて送られてくる下水(生活排水、し尿排水、一般産業排水、これらと雨水の混合水など)を浄化処理する下水処理システムでは、通常、その処理過程において活性汚泥を利用して浄化処理を行なうのが一般的である。この活性汚泥を用いた浄化処理の場合、下水中に含まれるリン成分を完全に除去することは難しく、リン成分は最終的に余剰汚泥のかたちで外部へ排出される。
【0003】
従来、汚水や余剰汚泥中に含まれるリン成分を回収除去する方法として、例えば薬品添加によるリン回収法や電気分解を利用したリン回収法が知られている。薬品添加によるリン回収法は、リン化合物を含む被処理水中に無機凝集剤や高分子凝集剤を添加し、リン化合物をフロック化して凝集沈殿させることにより、回収するものである。この薬品添加によるリン回収法によるときは、添加した凝集剤によって被処理水のpHが低下するため、水酸化ナトリウムなどのpH調整剤を用いてpH調整を行なわねばならないという不具合がある。
【0004】
一方、電解式のリン回収法は、例えば特許文献1、2に示されるように、活性汚泥を用いた浄化処理後に排出される余剰汚泥を脱水して濃縮汚泥と脱離水とに分離し、脱離水を不溶性リン酸塩形成金属(例えば、鉄やアルミニウムなど)からなる電極を用いて電気分解することにより、脱離水中に溶出した鉄イオンやアルミニウムイオンと脱離水中に含まれるリンイオンとを電気化学的に反応させ、脱離水中のリン成分を不溶性リン酸塩(リン酸鉄やリン酸アルミニウムなど)のかたちで沈殿回収するものである。この電解式のリン回収法は、処理後の脱離水のpH調整が不要であり、極めて優れた回収方法である。
【0005】
【特許文献1】特開平3−89998号公報(全文、全図)
【特許文献2】特開2007−330919号公報(全文、全図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記電解式リン回収法によるときは、電気分解用の直流電源を必要とする。従来、この電気分解用の直流電源としては商用交流電源を用い、これを直流に変換して用いるのが一般的であるが、下水処理システムはその規模がかなり大きく、リン回収用の電気分解に使用する電力量も膨大なものとなる。また、変圧器や交流−直流変換装置を始めとする電気設備もかなりの大型のものとなる。
【0007】
ところで、昨今、地球環境保全の立場から省資源化や温暖化対策が強く叫ばれている。下水処理システムにおいても例外ではなく、省資源化と温暖化対策に優れた下水処理システムの開発が要望されている。そこで、本発明が課題とするところは、省資源化、温暖化対策に優れ、リン資源の再利用も可能な電解式リン回収装置と、これを用いた下水処理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1の電解式リン回収装置は、リン成分を含有する処理対象水を貯留する電解槽と、貯留された処理対象水中に浸漬配置されるとともに、少なくともアノード電極は不溶性リン酸塩形成金属からなる正負一対の電極と、該一対の電極に電気分解用の直流電圧を供給する太陽電池とからなることを特徴とするものである。
【0009】
また、請求項2の電解式リン回収装置は、前記請求項1の電解式リン回収装置において、前記一対の電極のカソード電極から発生する水素ガスを回収する水素ガス回収装置と、該水素ガス回収装置で回収した水素ガスを燃料として用いた水素電池と、前記一対の電極に印加する電気分解用の直流電源を前記太陽電池または水素電池のいずれかの側に切り替え可能な電源切替装置とを付加し、太陽光発電を利用できる時間帯には太陽電池側に、太陽光発電を利用できない時間帯には水素電池側に切り替えるようにしたことを特徴とするものである。
【0010】
請求項3の電解式リン回収装置は、前記請求項2の電解式リン回収装置において、前記電気分解用の一対の電極のアノード電極として鉄電極を、カソード電極としてチタン電極を用いたことを特徴とするものである。
【0011】
請求項4の下水処理システムは、流入してくる下水を少なくとも活性汚泥を利用して浄化処理する汚水処理施設と、該汚水処理施設から排出される余剰汚泥を脱水乾燥処理して濃縮汚泥と脱離水とに分離する汚泥処理施設と、該汚泥処理施設から排出される脱離水中のリン成分を回収するリン回収装置とを備え、脱リン後の脱離水を前記汚水処理施設に返送するようにした下水処理システムにおいて、前記リン回収装置として、前記請求項1〜3のいずれかの電解式リン回収装置を用いたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
上記構成になる本発明の電解式リン回収装置とこれを用いた下水処理システムによれば、電解式リン回収装置で用いる電気分解用の直流電源として太陽電池を採用したので、従来用いていた商用交流電源を不要とすることができ、下水処理のコスト低減と省資源化を図ることができる。例えば、処理脱離水の量を5,000m/日、脱離水中のリン化合物の総リン濃度(PO−P)64mg/L、PO−P流入量320kg/日、リン除去率90%で処理した場合を例にとると、電気分解のための1日の電力量は約97〜98kWh(DC3V、32,400A)を必要とするが、これをすべて太陽電池(例えば、153Wパネル×約635枚、約732m)でまかなうことができるので、コスト削減と省資源化を図ることができる。また、石油や石炭、LNGなどの化石燃料による火力発電を利用しないので、炭酸ガスの排出量も低減することができ、環境破壊の防止にも資することができる。また、回収したリンを再利用することにより、リンの再資源化を図ることができる。さらに、商用交流電源を用いないので、大容量の変圧器や交流−直流変換装置なども不要となり、設備費や管理コストなども低減することができる。
【0013】
また、電解式リン回収装置のカソード電極から発生する水素ガスを回収する水素ガス回収装置と、回収した水素ガスを燃料とする水素電池と、電源切替装置とを付加し、太陽光発電を利用できる時間帯(例えば昼間時)には太陽電池によって電気分解を行ない、太陽光発電を利用できない時間帯(例えば夜間や雨天時)には水素電池によって電気分解を行なうようにしたので、太陽光発電を利用できない時間帯でも電気分解によるリン成分の回収を継続することができ、安価で効率的なリン回収を実現できる。
【0014】
また、電気分解用の一対の電極のアノード電極として鉄電極を用いたので、脱離水中のリン成分を水に不溶性のリン酸鉄(FePO)のかたちで効率よく回収することができる。また、アノード電極は電気分解によって脱離水中へ溶出して消耗されるため、一定期間毎に交換する必要があるが、鉄電極は安価であるためコスト低減にも資することができる。さらに、カソード電極として強度、硬度、耐食性に優れたチタン電極を用いたので、長期にわたって安定的に電気分解を継続することができ、効率的なリン回収を行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の電解式リン回収装置を用いて構成した下水処理システムの一実施の形態について、図面を参照して説明する。
本実施の形態に係る下水処理システムは、図1に示すように、流入してくる下水を少なくとも活性汚泥を利用して浄化処理する汚水処理施設1と、該汚水処理施設1から排出される余剰汚泥を脱水乾燥処理して濃縮汚泥と脱離水とに分離する汚泥処理施設2と、該汚泥処理施設2から排出される脱離水中のリン成分を回収する電解式リン回収装置3と、太陽光によって発電し、得られた直流電力を電気分解用の直流電源として前記電解式リン回収装置3に供給する太陽電池4と、前記電解式リン回収装置3のカソード電極から発生する水素ガスを回収する水素ガス回収装置5と、該水素ガス回収装置5で回収した水素ガスを燃料として発電し、得られた直流電力を電気分解用の直流電源として前記電解式リン回収装置3に供給する水素電池6と、前記電解式リン回収装置3に供給される電気分解用の直流電源を前記太陽電池4または水素電池6のいずれかに切り替える電源切替装置7とから構成されている。
【0016】
前記電解式リン回収装置3は、図2に示すように、流入口35を通じて送られてくる汚泥処理施設2からの脱離水を貯留するとともに、流出口36を通じて脱リン後の脱離水を汚水処理施設1へ返送する電解槽31を備えており、電気分解用の正負一対の電極32,33が所定の間隔をおいて脱離水中に浸漬した状態で対向配置されている。この実施の形態の場合、正負一対の電極32,33のうち、アノード電極(陽極)32には鉄(Fe)電極を、カソード電極(陰極)33にはチタン(Ti)電極を用いた。
【0017】
また、図示例の場合、前記電解槽31の底面はすり鉢状とされているとともに、このすり鉢状をした底面の中央位置にはリン回収用のバルブ34が設けられており、電解槽31の底部に凝集沈殿して貯まったリン酸鉄を回収できるように構成されている。
【0018】
一方、電解槽31内のカソード電極33の上部側には、電気分解によってカソード電極33から発生する水素(H)ガスを集めて回収するための水素ガス回収塔51と、圧縮ポンプ52と、水素ガス貯蔵タンク53と、圧力調整用のレギュレータ54からなる水素ガス回収装置5が配備されており、回収貯蔵した水素ガスを水素発電用の燃料として水素電池6へ供給可能とされている。
【0019】
また、電源切替装置7は、太陽電池4と水素電池6からの直流電源を受け、図示を略したコントローラからの指示に従って一対の電極32,33に印加する直流電源を太陽電池4、水素電池6のいずれかの側に自在に切り替えることができるように構成されている。
【0020】
上記構成からなる下水処理システムにおいて、下水道などを通じて下水が流れ込んでくると、下水は汚水処理施設1へ送られ、活性汚泥を利用して浄化処理が行なわれる。
【0021】
例えば、まず沈砂池において土砂類を沈降除去するとともにスクリーンによって大きなゴミ類を取り除き、さらに第1沈殿池において沈砂池で取り除くことのできなかった細かなゴミ類を時間をかけて沈降除去した後、曝気槽へと送る。曝気槽では、送られてきた下水を曝気しながら活性汚泥と攪拌混合し、活性汚泥を用いた浄化処理を行なう。活性汚泥による浄化処理後の下水は、第2沈殿池へ送られ、曝気槽でできたフロックやその他のごみを時間をかけてゆっくりと沈降除去する。そして、沈降除去後の上澄み水を取り出し、これを塩素消毒した後、河川へと放流する。
【0022】
一方、上記汚水処理施設1では、活性汚泥を用いた浄化処理が進むにつれて処理系内に多量の活性汚泥が発生するが、その一部は種汚泥として曝気槽へ返送され、また余った汚泥は余剰汚泥として汚泥処理施設2へ送られる。
【0023】
汚泥処理施設2へ送られた余剰汚泥は、濃縮槽、脱水機などを用いて脱水乾燥され、濃縮汚泥と脱離水とに分離される。濃縮汚泥は消化槽で消化処理された後、焼却炉へ送られて焼却され、焼却後の灰は埋め立てなどによって廃棄処理される。また、余剰汚泥から分離された脱離水は、電解式リン回収装置3へ送られ、電解槽31(図2参照)に貯留される。
【0024】
電解槽内に浸漬配置された一対の電極32,33には、電源切替装置7を介して、例えば太陽電池4から電気分解用の直流電源が供給されている。すなわち、鉄電極からなるアノード電極32にはプラス電圧が印加されているとともに、チタン電極からなるカソード電極33にはマイナス電圧が印加されている。
【0025】
電極32,33に直流電圧が印加されると、電気分解作用によってアノード電極32を構成する鉄電極から2価の鉄イオンFe2+が脱離水中へ溶出する。そして、この2価の鉄イオンは脱離水中の溶存酸素と反応して3価の鉄イオンFe3+となる。一方、脱離水中にはリン成分が3価のリン酸イオンPO3−のかたちで存在している。この結果、鉄イオンFe3+とリン酸イオンPO3−が結合し、水に不溶性のリン酸鉄(FePO)となって電解槽31の底部に凝集沈殿する。従って、一定期間毎あるいは必要な時に、リン回収用バルブ34を開いて電解槽31の底部に貯まっているリン酸鉄を回収すれば、これをリン資源として再利用することができる。なお、リン回収後の脱離水は、流出口36を通じて汚水処理施設1へ返送される(図1参照)。
【0026】
上記電気分解によるリン成分の回収が開始されると、カソード電極33からは水素(H)ガスが発生する。水素ガス回収塔51(図2参照)はこの水素ガスを集め、圧縮ポンプ52を介して水素ガス貯蔵タンク53に送り、水素発電のための燃料として貯蔵する。そして、貯蔵された水素ガスは、図示を略したコントローラの制御の下に圧力調整用のレギュレータ54を介して水素電池6に送られ、酸素と反応させることによって水素ガス発電が行なわれる。水素電池6で発電された直流電力は電源切替装置7に送られ、以下のようにして太陽電池4とともに電気分解用の直流電源として利用される。
【0027】
すなわち、太陽電池4は、昼間時の太陽が出ている時間帯しか発電することができない。そこで、電源切替装置7によって、昼間時の太陽光発電を利用できる時間帯には太陽電池4側に切り替え、電気分解用の直流電源として太陽電池4を使用する。一方、太陽電池4を利用することができない夜間などの時間帯においては、水素電池6側に切り替え、電気分解用の直流電源として水素電池6を利用する。これによって、昼夜連続してリン成分の回収処理を行なうことが可能となる。なお、このような切り替えを行なうには、例えば、夜間自動点灯式の街路灯などで使用されている照度センサーを用い、この照度センサーの出力に従って電源切替装置7で切り替えるようにすればよい。もちろん、手動で切り替えるようにしてもよいし、タイマーによって切り替えるようにしてもよい。
【0028】
上記実施の形態に係る下水処理システムによれば、次のような優れた効果を奏する。
(1)リンの再資源化
肥料の最大栄養素であるリンはほとんどの農家で肥料として利用されるが、我が国にはリン鉱石が存在せず、100%輸入に頼っている。また、最近は世界の需要逼迫に伴い、リン鉱石の価格が高騰している。本システムによれば、リン鉱石からではなく、下水に含まれるリンを原料として人工的にリン鉱石を作るため、安定的に供給・販売することができ、リンの再資源化を図ることができる。
【0029】
(2)下水処理費用の低減
下水処理過程で発生する汚泥には大量のリンが含まれている。この汚泥を焼却処分する過程では汚泥に含まれている水分を脱水するが、そのとき得られる脱離水には大量のリンが含まれている。そのため、この脱離水をそのまま河川に放流することはできず、返送して再び下水処理場で処理している。この脱離水によるリン負荷の影響は、下水処理場における全リン負荷の2割以上に達しており、処理過程で膨大なエネルギーを要し、下水処理費用のコストアップにつながっている。本システムによれば、脱離水中のリンをほぼ全量回収することができるため、リン処理におけるエネルギーとコストを約2割程度削減することができる。
【0030】
(3)温暖化対策
通常、リン鉱石を掘り出す過程では炭酸ガス(CO)などの温室効果ガスが排出される上、外国から我が国に輸送する過程でもリン鉱石を積んだ船舶などが温室効果ガスを排出する。本システムは、リン鉱石作製に要するエネルギー源として太陽電池と水素電池を使用しているので、温室効果ガスをまったく発生しない環境に優しいシステムとすることができる。
【0031】
(4)汚泥焼却灰の削減
本システムは、下水汚泥焼却灰に含まれるリンも減らすことができるので、結果として焼却灰の量も減らすことができ、埋め立てや運搬などに要する処理費用も低減することができる。ちなみに、1日当たり218kgのリンを回収する場合、1年間で約80トンの焼却灰の削減につながる。
【0032】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、上記実施の形態では、電気分解用の正負一対の電極として鉄電極とチタン電極を用いた場合について例示したが、アノード側電極としては、電気分解によって不溶性リン酸塩を形成可能な金属であれば良く、鉄以外にも、例えばアルミニウム電極、鉄−アルミニウム合金電極などを用いることができる。また、カソード側電極もチタン電極に限られるものではなく、炭素電極やアノード側と同じ金属からなる電極を用いることができる。
【0033】
また、上記実施の形態では、電解式リン回収装置から発生する水素ガスを用いた水素発電による電力を電気分解用の直流電源として利用したが、これに加えて、消化ガス(メタンガス)によるガス発電による電力を電気分解用の直流電源として利用することもできる。
【0034】
すなわち、汚泥処理施設2では、汚泥処理工程の1つとして消化槽を用いた消化処理を採用しているが、この消化処理において分解された汚泥から消化ガス(メタンガス)が発生する。従って、この消化ガスを用いてガス発電を行えば、この発電電力も電気分解用の直流電源として利用することができる。消化ガス発電も利用するようにすれば、電気分解用の直流電源として太陽電池、水素電池、消化ガス発電の三者を用いることができ、さらなるコスト低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の電解式リン回収装置を用いて構成した下水処理システムの一実施の形態を示す図である。
【図2】図1中の電解式リン回収装置の具体例な構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0036】
1 汚水処理施設
2 汚泥処理施設
3 電解式リン回収装置
4 太陽電池
5 水素ガス回収装置
6 水素電池
7 電源切替装置
31 電解槽
32 アノード電極
33 カソード電極
34 リン回収用バルブ
35 脱離水流入口
36 脱離水流出口
51 水素ガス回収塔
52 圧縮ポンプ
53 水素ガス貯蔵タンク
54 圧力調整用レギュレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リン成分を含有する処理対象水を貯留する電解槽と、
貯留された処理対象水中に浸漬配置されるとともに、少なくともアノード電極は不溶性リン酸塩形成金属からなる正負一対の電極と、
該一対の電極に電気分解用の直流電圧を供給する太陽電池とからなることを特徴とする電解式リン回収装置。
【請求項2】
請求項1記載の電解式リン回収装置において、
前記一対の電極のカソード電極から発生する水素ガスを回収する水素ガス回収装置と、
該水素ガス回収装置で回収した水素ガスを燃料として用いた水素電池と、
前記一対の電極に印加する電気分解用の直流電源を前記太陽電池または水素電池のいずれかの側に切り替え可能な電源切替装置とを付加し、
太陽光発電を利用できる時間帯には太陽電池側に、太陽光発電を利用できない時間帯には水素電池側に切り替えるようにしたことを特徴とする電解式リン回収装置。
【請求項3】
請求項2記載の電解式リン回収装置において、
前記電気分解用の一対の電極のアノード電極として鉄電極を、カソード電極としてチタン電極を用いたことを特徴とする電解式リン回収装置。
【請求項4】
流入してくる下水を少なくとも活性汚泥を利用して浄化処理する汚水処理施設と、該汚水処理施設から排出される余剰汚泥を脱水乾燥処理して濃縮汚泥と脱離水とに分離する汚泥処理施設と、該汚泥処理施設から排出される脱離水中のリン成分を回収するリン回収装置とを備え、脱リン後の脱離水を前記汚水処理施設に返送するようにした下水処理システムにおいて、
前記リン回収装置として、請求項1〜3に記載のいずれかの電解式リン回収装置を用いたことを特徴とする下水処理システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−5491(P2010−5491A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−164159(P2008−164159)
【出願日】平成20年6月24日(2008.6.24)
【出願人】(591043581)東京都 (107)
【Fターム(参考)】