説明

電解槽

【課題】機械工作現場において使用されている切削液等から微小な不純物や、金属粉等を除去し再生するできる廃油再生装置用の電解槽を提供する。
【解決手段】廃油を収容する容器と、前記容器内に配置するプラス電極1およびマイナス電極2と、前記電極に高電圧を印加する電源とを備え、前記プラス電極はステンレス材からなる板材で構成し、かつ、上下辺に鋸刃状の突起1cを有する開口部1bを複数個備えており、一方対向するマイナス電極はステンレス材からなる板材で構成されており、また前記プラス電極とマイナス電極とは所定の間隔をもってケース内に配置されており、両電極間に少なくとも6000V以上の高電圧を印加し、容器中に収容する廃油中の汚染物質をマイナス電極に吸着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンオイル、工作機械に用いる切削油、冷却油等の種々の油を再生するための廃油再生装置に好適な電解槽に関するものであり、特に、機械工作現場において使用されている切削液等から微小な不純物や、金属粉等を除去し再生するできる廃油再生装置用の電解槽に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近火災等の安全性から、工作機械において使用される切削液を油性から水溶性(エマルジョンタイプ)に切り替える機械工作現場が多くなっているが、水系のために腐敗の欠点が指摘されている。
【0003】
ところで、従来からこの種の水溶性の切削液を浄化する技術として、メカニカルフィルター方式が知られている。
【0004】
この方式は、工作機械側からの水溶性切削液は処理槽内における円筒状フィルターを介して大きめなスラッジや切粉がろ過処理されるとともに、このろ過液に防腐剤が投入されて最終処理がなされ、これが工作機械側に循環されるものである。
しかしこの方法では大きな切粉等のスラッジは除去できるものの、微細なものはそのままフィルターを通過して循環してしまうという問題点があった。
【0005】
また、上記とは別に、潤滑箇所から排出される潤滑油を浄化再生し、再びシーマへ供給して循環潤滑させる油から微粒子状のスラッジを除去するために、シーマから排出される潤滑油をタンクに流下させ、該タンク内に留まった潤滑油をポンプで静電浄油機に送給して、該静電浄油機の電極板間を潤滑油を通過させることにより静電吸着作用により異物を除去して潤滑油を浄化し、該浄化された潤滑油を分配弁を介してシーマの各潤滑箇所に供給するようにしたシーマの潤滑油供給方法も提案されている(特許文献1)。
【0006】
【特許文献1】特願平10−85876号
【0007】
しかし、上記したいずれの廃油浄化方法も、静電吸着により異物を電極に吸着除去するものであり、帯電状態にある異物以外は吸着除去することができない、さらに浄化した廃油を再生油としてそのまま使用することはできない等の問題点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者らは、上記問題点を解決するために、廃油中で高電圧を印加することにより廃油を再生できるという従来では全く想像できなかった廃油処理技術の開発に成功した(特許文献2)。
【特許文献2】特願2007−25210
【0009】
しかし、上記文献2に記載された廃油処理技術に使用する電解槽では、必ずしも効率的な廃油処理を実現することが難しく、このため、発明者等はさらに電解槽について種々の研究をすすめた結果、新しい構成からなる電解槽を見いだした。
本発明は、上記知見に基づいてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このため、本発明が採用した技術解決手段は、
廃油を収容する容器と、前記容器内に配置するプラスおよびマイナス電極と、前記電極に高電圧を印加する電源とを備え、前記プラス電極はステンレス材からなる板材で構成し、かつ、上下辺に鋸刃状の突起を有する開口部を複数個備えており、一方対向するマイナス電極はステンレス材からなる板材で構成されており、また前記プラス電極とマイナス電極とは所定の間隔をもってケース内に配置されており、両電極間に少なくとも6000V以上の高電圧を印加し、容器中に収容する廃油中の汚染物質をマイナス電極に吸着することを特徴とする電解槽である。
また、前記プラス電極は左右が側板に固定され、、前記マイナス電極は上下がフレームに固定されていることを特徴とする電解槽である。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る電解槽によれば、廃油中で高電圧放電を行うことにより、マイナス電極の表面あるいはケース表面に汚染物質が吸着され、廃油を略完全に浄化することができる。 この廃油再生方法は、エンジンオイル、工作機械の切削油など、工業用の油全てを対象とすることができ、環境面においても極めて画期的な発明ということができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に図面を参照して、本願に係る電解槽を実現するための最良の形態についてその作用と共に説明する。
【0013】
図1は、本実施例に係る廃油再生装置の電解槽の電極の正面図、図2は同平面図、図3は同側面図、図4は同斜視図、図5は電極をケース内に収納した状態の正面図、図6は図5の平面図、図7は図5の側面図、図8は電解槽の斜視図である。
図において、1はプラス電極、2はマイナス電極である。プラス電極1はステンレスの板材で構成され、板の中央部には上下の辺に鋸刃状の凹凸1cを有する略長方形の開口1bが複数個形成されており、電極の左右辺に形成した複数の突起1aを左右の側板3に形成した穴に挿入した状態で側板に固定されている。プラス電極は不図示のプラス電源3に接続されている。
【0014】
またマイナス電極2はステンレスの板材で構成されており、マイナス電極2の上下辺に形成した複数の突起2aを、上下のフレーム4、5に形成した穴に挿入して固定されている。上下フレーム4、5は前記左右側板3に適宜手段で固定されている。マイナス電極2は電極を収納するケース7にアース接続されている。そしてプラス電極、マイナス電極の間には少なくとも6000V以上、数万ボルトまで印加できる電源が接続されている。
【0015】
本例の電極構造は、図1、図3に示すようにプラス電極1が2枚あり、マイナス電極2がプラス電極の間に1枚配置された構成となっているが、プラス電極、マイナス電極の枚数をさらに増やすことができる。ただしその場合でも、プラス電極、マイナス電極の極間の距離は電圧が2kv〜18kvの時2mm〜20mmの範囲の中から選択することが望ましい。
【0016】
前記のように構成された電極は図5〜8に示すようにステンレス材で構成された箱状に形成されたケース7内に収納される。ケース7の下部には汚染された廃油をケース7内に導入する口8が形成されており、またケース7の上部に取り付けた蓋材6には浄化された油をケース外に取り出すための口9が形成されている。
【0017】
上記構成からなる廃油再生装置の作用を説明する。
廃油を電極を配置したケース下部の口8からケース内に流入させ6000ボルト以上〜数万ボルトの電圧を印加する。すると電極間で放電が始まり、その放電により廃油内の汚染物質がマイナス電極、あるいはケース内面に吸着され、廃油が浄化される。浄化された油はケースの上部の口からケース外に取り出す。なお、ケース下部から油を連続的に流入させ、排出させることで、効率的な油浄化を実現することができる。なお、発明者の実験によれば10リットルの廃油に対して8000ボルトの電圧を印加すると約4時間で廃油が浄化された。
また本廃油再生装置により再生した廃油成分を分析した結果、再生油は全く酸化されておらず、色も変化がなく、新品の油と成分に変わりがないことを確認できた。
【0018】
上記電解槽を用いて浄化した油の浄化率、化学的性状、物理的性状について検討した結果を以下に示す。
【0019】
(浄化率)
高電界を印加し金属微粒粉を除去した使用済み潤滑油の浄化の目安として波長400nm以上波長800nm以下の可視光線の透過率を好ましく使用することができ、波長500nm以上750nm以下の可視光線の透過率を用いることがより好ましく、波長600nm以上波長700nm以下の可視光線の透過率を用いることが最も好ましい。この数値範囲未満では潤滑油そのものの吸収が大きくなるなどのため浄化の進行を見極めにくくなる傾向がある。またこの範囲以上では透過率による油浄化進行の判定について優位性が飽和する傾向があり技術的な意義が希薄になる。この波長領域を便宜上潤滑油判定波長領域とよびその領域から選択した一つの波長を用いて、浄化が完了し所定の性能を発揮する状態を数式1の浄化率で表すことが出来る。

浄化率(%)=100×T2λ÷T1λ 数1

ここでT2λは高電界印加後の潤滑油判定波長領域から選択した一つの波長の透過率、T1λは未使用油に関する同じ波長の透過率である。
浄化率については60%以上を示す状態で好ましく使用できる。上限は100%であるが透過率の上昇と共に処理時間が延長する傾向が見られ、生産性の観点から80〜90%が実質的な上限値と考えられる。実際の浄化処理では、使用済み潤滑油を浄化率60%以上の所望値になるまで循環される。使用済み潤滑油約50リットルに対し約240分以内で浄化処理を完了するのが現実的である。それ以上の時間を要する場合にはリサイクル生産性が低下するなど技術的な意義が希薄になる可能性がある。
【0020】
(化学的性状)
再生潤滑油も新油と同等な性能を示すことが望ましい。新油、再生潤滑油ともに赤外吸収スペクトルにおいて波数(wavenumber)1200cm-1以上3300cm-1以下の領域で観測される吸収スペクトルの波数が20%の許容範囲ないにあることが好ましく、新油、再生潤滑油ともに赤外吸収スペクトルにおいて、波数2700cm-1以上3000cm-1以下領域のメチル等のアルキルもしくはメチレン等の伸縮振動に基づく吸収スペクトルが見られること、および波数1200cm-1〜1600cm-1領域にメチレン等の縦揺振動の観測が見られることがより好ましい。
【0021】
(物理的性状)
上述の化学的性状に加え物理的な性状に関しても再生潤滑油と新油の性能が近いことが望ましい。物理的性状としての代表的なものとして粘度がある。粘度として動粘度(dynamic viscosity)、動粘性(kinematic viscosity)があるが、いずれの粘度を使用する場合も40°Cで測定した粘度を用い数式2で定義した粘度変化率が±10%以下が好ましく、±8%以下がより好ましく、±7%以下が更に好ましく、±6%以下が最も好ましい。この数値が小さいほど両者の物理性状の際は小さいため究極的な数字は0%となるが、技術的な見地から最低値を定義する意味は無く、上述の数値以下であれば好ましく使用することが出来る。

粘度変化率(%)= 100×(ηR−ηV)÷ηV 数2

ここでηRは再生油の粘度、ηVは新油の粘度を表す。ηR、ηVには温度40°Cで測定した動粘度または動粘性のみを用いる。動粘度と動粘性の数値を混在させて粘度変化率を得ることは出来ない。
【0022】
(化学的、物理的性状変化の要因について)
なお、化学的性状、および物理的性状に及ぼす高電界の影響は極めて少なく、これらの性状は潤滑油の使用により起因すると考えて良い。従って、繰り返し再生を行う場合この範囲を逸脱した段階で潤滑油としての寿命を迎えたものと考えられる。
以下に実施例および比較例を示し再生潤滑油の性状について説明するが、本発明の技術的な内容を具体的に説明するために示すものであり、電極の形状等をはじめ発明の範囲を限定するものではなく、また技術内容を限定して捉えてはならない。
【0023】
〔実施例1〕
実施例1には200時間アルミ合金のタッピング加工に用いた潤滑油(出光興産(株)製LA30:以下使用済潤滑油と記す)10に1対の網状の電極(電極間距離15mm)を浸し8KVの直流電圧を4時間印加した。これを光路長1cmの石英ガラス製セルを用いて紫外可視スペクトル分析を室温で行った。スペクトル測定には日立製作所(株)製U−3000型分析計を用いた。数式1のT1λに未使用潤滑油の波長700nmでの透過率(Transmittance)をT2λに使用済潤滑油を上記条件で高電界を印加して処理した再生油の700nmでの透過率を用いて得られた浄化率は65%を示した。次に未使用および使用済潤滑油の赤外吸収スペクトルを測定した。測定には赤外顕微鏡(Continu μmR)を備えたNicolet社製Mgna560型フーリエ変換赤外吸収(FT−IR)分析計を用いた。1200cm-1以上3300cm-1以下の波数領域にみられた赤外吸収スペクトルには全く変化が無いことが確認された。さらに、未使用および使用済み潤滑油の動粘度(dynamic vicossity)を40°Cで測定した結果、数式2による粘度変化率は−6%を示した。なお粘度測定にはA&D社製SV10型の振動式粘度計(vivration type viscometer)を用いた。これらの結果から総合評価は適であった。
【0024】
〔実施例2〕
実施例1に示した使用済潤滑油に対し印加電圧を9kV、印加時間を4時間、および使用済潤滑油量を15リットルに変化させた他は同一条件とし、使用済潤滑油と未使用潤滑油に対する浄化率、1200cm-1以上3300cm-1以下の波数領域にみられる赤外吸収スペクトルの波数変化および粘度変化率を測定した。その結果、浄化率は65%、および粘度変化率は−6%であった。また、1200cm-1以上3300cm-1以下の波数領域にみられる赤外吸収スペクトルの波数には変化は見られなかった。これらの結果から総合評価は適であった。
【0025】
〔実施例3〕
実施例1に示した使用済潤滑油に対し印加電圧を10kV、印加時間を3時間、および使用済潤滑油量を30リットルに変化させた他は同一条件とし、使用済潤滑油と未使用潤滑油に対する浄化率、1200cm-1以上3300cm-1以下の波数領域にみられる赤外吸収スペクトルの波数変化および粘度変化率を測定した。その結果、浄化率は65%、および粘度変化率は−7%であった。また、1200cm-1以上3300cm-1以下の波数領域にみられる赤外吸収スペクトルの波数には変化は見られなかった。これらの結果から総合評価は適であった。
【0026】
〔実施例4〕
実施例1に示した使用済潤滑油に対し印加電圧11kV、使用済潤滑油量を50リットルに変化させた他は同一条件とし、使用済潤滑油と未使用潤滑油に対する浄化率、1200cm-1以上3300cm-1以下の波数領域にみられる赤外吸収スペクトルの波数変化および粘度変化率を測定した。その結果、浄化率は60%、および粘度変化率は−7%であった。また、1200cm-1以上3300cm-1以下の波数領域にみられる赤外吸収スペクトルの波数には変化は見られなかった。これらの結果から総合評価は適であった。
【0027】
〔実施例5〕
実施例1に示した使用済潤滑油に対し印加電圧12kV、使用済潤滑油量を30リットルに変化させた他は同一条件とし、使用済潤滑油と未使用潤滑油に対する浄化率、1200cm-1以上3300cm-1以下の波数領域にみられる赤外吸収スペクトルの波数変化および粘度変化率を測定した。その結果、浄化率は68%、および粘度変化率は−8%であった。また、1200cm-1以上3300cm-1以下の波数領域にみられる赤外吸収スペクトルの波数には変化は見られなかった。これらの結果から総合評価は適であった。
【0028】
〔実施例6〕
実施例1に示した使用済潤滑油に対し印加電圧13kV、使用済潤滑油量を30リットルに変化させた他は同一条件とし、使用済潤滑油と未使用潤滑油に対する浄化率、1200cm-1以上3300cm-1以下の波数領域にみられる赤外吸収スペクトルの波数変化および粘度変化率を測定した。その結果、浄化率は72%、および粘度変化率は−8%であった。また、1200cm-1以上3300cm-1以下の波数領域にみられる赤外吸収スペクトルの波数には変化は見られなかった。これらの結果から総合評価は適であった。
【0029】
〔実施例7〕
実施例1に示した使用済潤滑油に対し印加電圧14kV、使用済潤滑油量を30リットルに変化させた他は同一条件とし、使用済潤滑油と未使用潤滑油に対する浄化率、1200cm-1以上3300cm-1以下の波数領域にみられる赤外吸収スペクトルの波数変化および粘度変化率を測定した。その結果、浄化率は83%、および粘度変化率は−10% であった。また、1200cm-1以上3300cm-1以下の波数領域にみられる赤外吸収スペクトルの波数には変化は見られなかった。これらの結果から総合評価は適であった。
【0030】
〔実施例8〕
実施例1に示した使用済潤滑油に対し印加電圧15kV、使用済潤滑油量を30リットルに変化させた他は同一条件とし、使用済潤滑油と未使用潤滑油に対する浄化率、1200cm-1以上3300cm-1以下の波数領域にみられる赤外吸収スペクトルの波数変化および粘度変化率を測定した。その結果、浄化率は90%、および粘度変化率は−10%であった。また、1200cm-1以上3300cm-1以下の波数領域にみられる赤外吸収スペクトルの波数には変化は見られなかった。これらの結果から総合評価は適であった。
【0031】
〔比較例1〕
直流印加電圧を5kVに変更した他は実施例1と同様に使用済潤滑油と未使用潤滑油に対する浄化率、1200cm-1以上3300cm-1以下の波数領域にみられる赤外吸収スペクトルの波数変化および粘度変化率を測定した。その結果、粘度変化率は6%、1200cm-1以上3300cm-1以下の波数領域にみられる赤外吸収スペクトルの波数には変化は見られなかった。しかしながら、浄化率は45%にとどまり、浄化率は不充分だった。この例から印加電圧が所望値よりも低い場合には使用済潤滑油中に存在している金属粉が充分除かれないことが分かる。粘度変化率、所定波数範囲での赤外吸収スペクトルの変化は条件を満たしていたが、浄化率が低いため総合評価は不適であった。
【0032】
〔比較例2〕
直流高電圧の印加時間5分にした他は実施例3と同様に使用済潤滑油と未使用潤滑油に対する浄化率、1200cm-1以上3300cm-1以下の波数領域にみられる赤外吸収スペクトルの波数変化および粘度変化率を測定した。その結果、粘度変化率は6%であった。また、1200cm-1以上3300cm-1以下の波数領域にみられる赤外吸収スペクトルの波数には変化は見られなかった。しかしながら浄化率は35%にとどまり、浄化率は不充分だった。この例から印加電圧が適正であっても印加時間が短い場合には使用済潤滑油中に存在している金属粉が充分除かれないことが分かる。粘度変化率、所定波数範囲での赤外吸収スペクトルの変化は条件を満たしていたが、浄化率が低いため総合評価は不適であった。
【0033】
〔比較例3〕
潤滑油使用量を50リットルにした他は実施例4と同様に使用済潤滑油と未使用潤滑油に対する浄化率、1200cm-1以上3300cm-1以下の波数領域にみられる赤外吸収スペクトルの波数変化および粘度変化率を測定した。その結果、粘度変化率は6%であった。また、1200cm-1以上3300cm-1以下の波数領域にみられる赤外吸収スペクトルの波数には変化は見られなかった。しかしながら浄化率は55%を示し、浄化率は不足した。この例は電極1対あたりの処理油量が過多である場合には、所定時間内に浄化が終了しない可能性を示唆しており、総合評価は不適であった。
【0034】
以下に表を示す
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明はエンジンオイル、工作機械の切削油など、工業用の油全てを対象として廃油の再生化を実現することができ、技術面においても環境面においても極めて画期的な発明ということができる。本発明に係る廃油再生装置によれば、廃油中で高電圧放電を行うことにより、マイナス電極の表面に汚染物質が吸着され、廃油を略完全に元に状態に再生することができる。また、本発明に係る廃油再生装置によれば、汚染物質を吸着した電極を容易に清掃できるため、廃油再生装置のメンテナンスが容易となる等の優れた効果を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本実施例に係る廃油再生装置の電解槽の電極の正面図である。
【図2】同平面図である。
【図3】同側面図である。
【図4】同斜視図である。
【図5】電極をケース内に収納した状態の正面図である。
【図6】図5の平面図である。
【図7】図5の側面図である。
【図8】電解槽の斜視図である。
【符号の説明】
【0037】
1 プラス電極
1a 突起
1b 開口
1c 凹凸
2 マイナス電極
3 側板
4、5 上下フレーム
6 蓋
7 ケース
8 導入口
9 取り出し口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃油を収容する容器と、前記容器内に配置するプラスおよびマイナス電極と、前記電極に高電圧を印加する電源とを備え、前記プラス電極はステンレス材からなる板材で構成し、かつ、上下辺に鋸刃状の突起を有する開口部を複数個備えており、一方対向するマイナス電極はステンレス材からなる板材で構成されており、また前記プラス電極とマイナス電極とは所定の間隔をもってケース内に配置されており、両電極間に少なくとも6000V以上の高電圧を印加し、容器中に収容する廃油中の汚染物質をマイナス電極に吸着することを特徴とする電解槽。
【請求項2】
前記プラス電極は左右が側板に固定され、、前記マイナス電極は上下がフレームに固定されていることを特徴とする請求項1に記載の電解槽。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−115583(P2010−115583A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−289613(P2008−289613)
【出願日】平成20年11月12日(2008.11.12)
【出願人】(503159450)シンコー技研株式会社 (11)
【出願人】(591032703)群馬県 (144)
【Fターム(参考)】