説明

電話接続システム

【課題】短時間で確実に取引種類等の入力を行うことが可能で、コールセンタのオペレータの電話機に接続するまでの時間を短縮できるようにする。
【解決手段】利用客が携帯電話1をセンタサーバ2に接続して表示部に表示されているメニュー画面上の取引を選択すると、携帯電話1の制御部は選択された取引に対応するプッシュボタン信号をセンタサーバ2に送信する。センタサーバ2の制御部は受信したプッシュボタン信号をデータベース3に登録されている取引特定テーブルの内容と照合して取引を特定し、その特定した取引をデータベース3に登録されている接続電話機特定テーブルと照合して、特定した取引に対する処理を行う担当のオペレータの電話機4の番号を特定した後、その番号に基づいて利用客の携帯電話1を担当のオペレータの電話機4に接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用客の電話を用件に対応するオペレータの電話機に接続するための電話接続システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の電話接続システムとして、例えば特許文献1に示されるテレフォンバンキングシステムがある。
このテレフォンバンキングシステムでは、利用客が電話機でコールセンタ等のシステムに電話をかけると音声応答装置に接続され。
そして、この音声応答装置から流される音声ガイダンスに従って電話のボタンを操作することで取引を選択入力した後、再び音声応答装置から流される音声ガイダンスに従って電話のボタンを操作することで契約番号や暗証番号を入力して、その暗証番号による本人確認が終了すると、利用客の電話がオペレータの電話につながるようになっている。
【特許文献1】特開2001−154826
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した従来の技術においては、電話が接続されてからその都度音声ガイダンスに従って電話機の複数の数字ボタン等の操作を繰返すことにより取引種類等の用件の入力を行うため、入力操作等が面倒でオペレータの電話機に接続するまでに時間がかかるという問題がある。
また、数字ボタン等の入力操作を一度間違えてしまうと、やり直しに時間がかかる上、数度間違えると電話を切られてしまう場合が多く、システム利用に不慣れな利用客には使い勝手が悪く、利便性が低いという問題がある。
【0004】
本発明は、このような問題を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そのため、本発明の電話接続システムは、利用客の電話機と、この電話機をコールセンタのオペレータの電話機に接続するサーバを備え、前記利用客の電話機は用件とその用件に対応したプッシュボタン信号の情報を記憶し、前記サーバは、プッシュボタン信号の情報と用件、及び用件毎の担当オペレータの電話機情報を対応付けたテーブルを保有し、 前記利用客の電話機を前記サーバに接続して、前記電話機の表示部に表示されたメニュー画面で用件が選択されると、前記電話機は選択された用件に対応するプッシュボタン信号を前記サーバに送信し、前記サーバは、プッシュボタン信号を受信すると、その信号を前記テーブルと照合して用件を特定すると共に、その用件に該当する担当オペレータの電話機情報を特定して、特定した電話機情報に該当するオペレータの電話機と前記利用客の電話機を接続することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
このようにした本発明は、音声ガイダンスに従って電話機の複数の数字ボタン等の操作を繰返す必要がなく、短時間で確実に取引種類等の入力を行うことが可能になるので、オペレータの電話機に接続するまでの時間を短縮できるという効果が得られる。
また、通常の携帯電話でメールの作成やマナーモードなどを選択するのと同様の操作で取引種類等の入力を行うことができるので、操作を間違えることも少なくなり、システムの利用に不慣れな利用客にも使い勝手がよいものとなり、利便性が向上するという効果も得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明による電話接続システムの実施例を説明する。
【実施例】
【0008】
図1は実施例を示すシステム構成図で、ここではテレフォンバンキングシステムを示している。
図において1は利用客が所有するプッシュボタン式の携帯電話、2は金融機関のコールセンタに設けられたセンタサーバ、3はセンタサーバ2が管理するデータベース(DB)、4はコールセンタのオペレータが電話をかけてきた利用客に対して応対するためのn台の電話機、5は通信回線である。
【0009】
携帯電話1に設けられている図示しない記憶部には、通信回線5を介してコールセンタのセンタサーバ2に電話接続するための電話番号、取引を選択するためのメニュー画面情報、メニュー画面で選択される各取引に対応するプッシュボタン信号、及びこれらを利用して図示しない制御部がセンタサーバ2に対する自動呼出し、取引を選択するためのメニュー画面の表示、選択された取引に対応するプッシュボタン信号の自動出力等を実行するためのコールセンタ用プログラムが記憶されており、前記制御部はセンタサーバ2との情報の送受信を制御するものとなっている。
【0010】
ここで、プッシュボタン信号は、ダイヤル数字を2つの周波数を対応させた音にして送出している。例えば、「0」の場合は、941Hzと1336Hzの2つの音を組み合わせ、「9」の場合には852Hzと1477Hzの2つの音を組み合わせて番号を表す。
このように2つの音を組み合わせるのは、音声等でのご認識を防ぐためである。
図2は携帯電話1の表示部に表示されるメニュー画面の例を示す図で、この図では選択可能な取引(用件)つまりコールセンタのオペレータが処理する取引として「残高照会」、「新規口座開設」、「振込」、「出金」、「入金」を示しているが、これに限られるものではない。
【0011】
一方、センタサーバ2には、利用客の携帯電話1とオペレータの電話機4を中継する他、データベース3に登録されている情報に基づいて携帯電話1から送られてくるプッシュボタン信号の該当する取引(要件)の特定、特定された取引に対する音声ガイダンスの出力、特定された取引の処理を行う担当のオペレータへの電話の接続等を実行するプログラムを記憶した図示しない記憶部、及びそのプログラムに基づいて各種の制御を行う制御部を有している。
【0012】
データベース3には、プッシュボタン信号から取引を特定するための取引特定テーブルと、特定された取引の処理を行う担当のオペレータへの電話の接続を行うための接続電話機テーブルが登録されている。
ここで取引特定テーブルは、例えば残高照会に対しては携帯電話の数字「1」と「#」のプッシュボタン信号、新規口座開設に対しては数字「2」と「#」のプッシュボタン信号、振込に対しては数字「3」と「#」のプッシュボタン信号・・・というように、取扱う取引と特定のプッシュボタン信号とを対応付けたものとなっており、また接続電話機特定テーブルは、各取引に対してその処理を行う担当のオペレータの電話機4の番号(電話機情報)を対応付けたもので、例えば残高照会に対しては「No.1」の電話機番号、新規口座開設に対しては「No.2」の電話機番号、振込に対しては「No.3」の電話機番号・・・というように、取引とその処理を行うオペレータの電話機4の番号を対応付けたものとなっている。
【0013】
また、この他データベース3には、携帯電話1に対して各種の音声ガイダンスを出力するための音声ガイダンス情報も登録されている。
上述した構成による実施例の作用について説明する。
図3は実施例の作用を示す図で、図中にSで示したステップに従って説明する。
まず、利用客が携帯電話1の予め定められた所定のボタン(例えば「*」ボタン)を押下すると、コールセンタ用プログラムが起動し、記憶部に記憶された電話番号に基づいてコールセンタのセンタサーバ2に通信回線5を介して自動的に呼び出しが行われ、同時に携帯電話1の表示部に図2に示すメニュー画面が表示される(S1)。
【0014】
携帯電話1がセンタサーバ2に接続されると、センタサーバ2の制御部はデータベースから用件の入力を促す旨の音声ガイダンス情報を読出し、その情報に基づいて携帯電話1に対し「用件を入力してください」等の音声を出力する(S2)。
これにより利用客が携帯電話1のカーソルボタンやセットボタン等を操作して表示部にメニュー画面上の取引を選択すると(S3)、携帯電話1の制御部は選択された取引に対応するプッシュボタン信号を出力してセンタサーバ2に送信する(S4)。
【0015】
例えば、利用客が新規口座開設を選択した場合、制御部は数字「2」と「#」のプッシュボタン信号をセンタサーバ2に送信する。
センタサーバ2の制御部は携帯電話1から受信したプッシュボタン信号をデータベース3に登録されている取引特定テーブルの内容と照合して利用客が選択した取引を特定する(S5)。
【0016】
例えば携帯電話1から受信したプッシュボタン信号が、数字「2」と「#」のプッシュボタン信号の場合、取引特定テーブルの内容と照合することで、利用客が選択した取引が新規口座開設であると特定する。
センタサーバ2の制御部は利用客が選択した取引を特定すると、特定した取引をデータベース3に登録されている接続電話機特定テーブルと照合して、特定した取引に対する処理を行う担当のオペレータの電話機4の番号を特定する(S6)。
【0017】
例えば、新規口座開設の処理を担当するオペレータの電話機番号は「No.2」と特定する。
そして、データベース3から担当のオペレータに電話を接続する旨の音声ガイダンス情報を読出し、その情報に基づいて携帯電話1に対し「只今担当者に電話をお繋ぎします。そのままお待ちください」等の音声を出力すると共に、利用客の携帯電話1を担当のオペレータの電話機4に接続する(S7)。
【0018】
これにより利用客はオペレータと対話しながら新規口座の開設を行う。
尚、以上の説明は新規口座の開設を例にしたものであるが、これに限られるものではなく、残高照会や、振込、出金、入金、カードの発行等についても同様に利用客の電話の接続を携帯電話1と担当のオペレータの電話機に接続できることは無論である。
また、取引(用件)によっては、利用客の本人確認のための暗証番号や取引金額等の取引処理に必要な情報の入力が必要となるが、その場合は暗証番号や取引金額等の情報を予め入力しておき、取引選択後、携帯電話の表示部上に暗証番号や取引金額等を表示して、センタサーバ2からのガイダンスに従って暗証番号や取引金額等を選択することで、それらに対応するプッシュボタン信号を出力してセンタサーバ2に送信することも可能である。
【0019】
以上説明した実施例によれば、利用客は携帯電話の所定のボタンを押すとコールセンタ用プログラムが起動してコールセンタのセンタサーバに自動的に電話がかけられると同時に携帯電話の表示部にメニュー画面が表示され、そしてセンタサーバからの音声ガイダンスに従ってメニュー画面上の取引を選択すると、その選択された取引に対応するプッシュボタン信号を出力してセンタサーバに送信し、センタサーバはプッシュボタン信号により選択された取引を特定すると共に特定した取引に対して処理を行うオペレータの電話機に利用客の携帯電話を接続するため、従来のように音声ガイダンスに従って電話機の複数の数字ボタン等の操作を繰返す必要がなく、短時間で確実に取引種類等の入力を行うことが可能になるので、オペレータの電話機に接続するまでの時間を短縮できるという効果が得られる。
【0020】
また、通常の携帯電話でメールの作成やマナーモードなどを選択するのと同様の操作で取引種類等の入力を行うことができるので、操作を間違えることも少なくなり、システムの利用に不慣れな利用客にも使い勝手がよいものとなり、利便性が向上するという効果も得られる。
尚、本発明は上述した実施例のようなテレフォンバンキングシステムに限られるものではなく、携帯電話を利用する証券取引システムや物品システムなどにおける電話接続システムとして利用可能であり、更にプッシュボタン式の携帯電話に代えて卓上型のプッシュボタン式電話機を利用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施例を示すシステム構成図
【図2】携帯電話の表示部に表示されるメニュー画面の例を示す図
【図3】実施例の作用を示すフローチャート
【符号の説明】
【0022】
1 携帯電話
2 センタサーバ
3 データベース
4 電話機
5 通信回線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用客の電話機と、この電話機をコールセンタのオペレータの電話機に接続するサーバを備え、
前記利用客の電話機は用件とその用件に対応したプッシュボタン信号の情報を記憶し、
前記サーバは、プッシュボタン信号の情報と用件、及び用件毎の担当オペレータの電話機情報を対応付けたテーブルを保有し、
前記利用客の電話機を前記サーバに接続して、前記電話機の表示部に表示されたメニュー画面で用件が選択されると、前記電話機は選択された用件に対応するプッシュボタン信号を前記サーバに送信し、
前記サーバは、プッシュボタン信号を受信すると、その信号を前記テーブルと照合して用件を特定すると共に、その用件に該当する担当オペレータの電話機情報を特定して、特定した電話機情報に該当するオペレータの電話機と前記利用客の電話機を接続することを特徴とする電話接続システム。
【請求項2】
請求項1記載の電話接続システムにおいて、
前記利用客の電話機は、コールセンタのサーバに接続するための電話番号を記憶し、前記電話機の所定のボタンが押下されると、前記記憶した電話番号に基づいて前記コールセンタのサーバに対して自動的に呼び出しを行う
ことを特徴とする電話接続システム。
【請求項3】
請求項1記載または請求項2記載の電話接続システムにおいて、
前記利用客の電話機は、選択された用件の処理に必要な情報とその情報に対応したプッシュボタン信号の情報を記憶し、コールセンタのサーバに接続するための電話番号を記憶し、
前記用件に対応するプッシュボタン信号を前記サーバに送信した後、所定のボタンが押下されると、予め入力された用件の処理に必要な情報に対応するプッシュボタン信号を前記サーバに送信することを特徴とする電話接続システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−71552(P2009−71552A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−237281(P2007−237281)
【出願日】平成19年9月12日(2007.9.12)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】