説明

電話機

【課題】 通話相手の言語が外国語の場合等のように、通常の速度で聞き取ることが困難な場合に話速を変換する状態に使用者が切り替え操作する方がより実用的である。この時、使用者が音声を確認してから切り替え操作が行われるため、煩雑な操作を必要とする。加えて、一般に通話を開始した初期に告げられる相手先の氏名や名称を正確に聞き取れない場合がある。そこで、利便性を向上することのできる電話機を提供する。
【解決手段】 通話相手の話速を変換する話速変換部22と、着信した直後の通話相手の音声の言語を判別する音声認識部20とを備え、音声認識部20により日本語を認識した場合よりも外国語を認識した場合の話速を遅くした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、話速変換機能を有する電話機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電話機は特許文献1に開示されている。この電話機は通話相手の音声信号の時間軸を圧縮または伸長して音声信号の再生速度を変更する話速変換部を有している。使用者は着信があった際に必要に応じて切り替え操作を行い、話速変換部により話速を所望の速度に変換して再生することができる。また、話速を予め設定し、着信があった際に話速変換部により自動的に話速を遅くすることができる。これにより、高齢者が電話機を利用する場合や、通話相手の通話言語が外国語の場合に話速変換部により通話相手の通話速度を遅くして聞き取りやすくすることができる。
【特許文献1】特開2001−53835号公報(第7頁−第10頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の電話機によると、自動的に話速が遅くなるように設定すると、例えば、通話相手の言語が日本語で通常の速度でも聞き取ることが可能な場合であっても話速が遅くなる。このため、返答するまでに時間がかかって会話がぎこちなくなる場合や、再生速度の遅い音声により使用者が違和感を感じる場合がある。
【0004】
このため、通話相手の言語が外国語の場合等のように、通常の速度で聞き取ることが困難な場合に話速を変換する状態に使用者が切り替え操作する方がより実用的である。この時、使用者が音声を確認してから切り替え操作が行われるため、煩雑な操作を必要とする。加えて、一般に通話を開始した初期に告げられる相手先の氏名や名称を正確に聞き取れない場合がある。従って、電話機の利便性が悪い問題があった。
【0005】
本発明は、利便性を向上できる電話機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明は、通話相手の話速を変換する話速変換部と、着信した直後の通話相手の通話言語を判別する音声認識部とを備え、前記音声認識部が判別した言語に応じて前記話速変換部により話速変換することを特徴としている。
【0007】
この構成によると、着信直後に通話相手の通話言語が音声認識部により判別され、認識した言語に応じて通常(1倍速)の話速や例えば1/2倍速の話速に可変して通話相手の音声が再生される。
【0008】
また本発明は、上記構成の電話機において、前記音声認識部により日本語を認識した場合よりも外国語を認識した場合の話速を遅くすることを特徴としている。
【0009】
また本発明は、上記構成の電話機において、前記音声認識部の判別結果に拘わらず通話相手の話速を切り替える切替手段を設けたことを特徴としている。この構成によると、切替手段の操作により、通話相手の音声が所定の話速で再生される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、着信直後に認識した言語に応じて話速変換するので、使用者が容易に聞き取ることのできる言語は通常の話速で再生して会話をスムーズに行うことができる。加えて、使用者が容易に聞き取ることのできない言語は煩雑な操作を必要とせずに迅速に話速を遅くして聞き取りやすくすることができる。従って、通常通話の初期に告げられる相手先の氏名や名称を正確に聞き取ることができ、電話機の利便性を向上することができる。
【0011】
また本発明によると、音声認識部により日本語を認識した場合よりも外国語を認識した場合の話速を遅くするので、日本語でスムーズに会話を行うことができるとともに、煩雑な操作を必要とせずに外国語を聞き取りやすくすることができる。
【0012】
また本発明によると、通話相手の話速を切り替える切替手段を設けたので、使用者が通常の速度で聞き取ることができる言語の場合や、音声認識部が誤検知した場合に、通話相手の音声を所望の話速に切り替えて再生を行うことができ、電話機の利便性がより向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は一実施形態の電話機の構成を示すブロック図である。電話機1は各部を制御する制御回路13を有している。制御回路13にはフックスイッチ23、2線/4線回路2、切替回路8、発呼者番号検出回路12、CAR検出回路11、着信検出回路10、極性反転検出回路9、音声認識回路20、音声合成回路21、ROM14、RAM15、載置検出手段19、ベル16、表示手段17、入力手段18、話速変換部22が接続される。
【0014】
フックスイッチ23は電話回線に接続され、直流ループの解除による回線の開放(オンフック)及び直流ループの形成による回線の閉結(オフフック)を行う。2線/4線回路2はフックスイッチ23に接続され、2線/4線変換を行う。切替回路8は2線/4線回路2に接続されるとともに、ハンドセット3及び増幅器6、7が接続される。
【0015】
ハンドセット3はスピーカ31及びマイクロホン32を有している。増幅器6、7はそれぞれハンズフリーのスピーカ4及びマイクロホン5が接続され、出力音声または入力音声の音声信号を増幅する。切替回路8により、ハンドセット3とハンズフリー用のスピーカ4及びマイクロホン5とを切り替えて2線/4線回路2に接続する。
【0016】
極性反転検出回路9は電話回線に接続され、電話回線の極性の反転を検出する。着信検出回路10は電話回線に接続され、着信(呼出信号)を検出する。CAR検出回路11は電話回線に接続され、CAR信号を検出する。発呼者番号検出回路12は2線/4線回路2を介して入力されたモデム信号により発呼者の電話番号(発呼者番号)を検出して制御回路13に出力する。
【0017】
ROM14は制御回路13の動作プログラム等を記憶する。RAM15は制御回路13の動作に必要な留守録の応答メッセージ、保留を知らせるメッセージ、電話帳データ等を記憶する。また、RAM15には「もしもし」や「HELLO」等の言語を判別するためのデータベースが記憶される。ベル16は着信時に呼び出し音を出力する。表示手段17は液晶表示パネル等から成り、ダイヤルした電話番号や電話帳データ等を表示する。入力手段18は複数の操作キー等から成り、電話番号の入力等を行う。
【0018】
載置検出手段19はハンドセット3がハンドセット載置部(不図示)に載置されているか否かを検出して制御回路13に出力する。音声認識回路20(音声認識部)は入力された音声を認識して通話相手の通話言語をRAM15に記憶されたデータと比較して判別し、制御回路13に出力する。音声合成回路21は制御回路13から入力された文字データから音声信号を生成する。話速変換部22は入力された音声信号の時間軸を圧縮または伸長して音声信号の再生速度を変更する。
【0019】
上記構成の電話機1において、電話を発信する場合は、ハンドセット3を持ち上げると載置検出手段19によりハンドセット3を持ち上げたことが検知される。これにより、切替回路8がハンドセット3と2線/4線回路2とを接続し、フックスイッチ23により電話回線が開放される。入力手段18により相手先の電話番号を入力すると電話回線を介して相手先に接続される。通話相手が電話に出ると極性反転検出回路9が検知し、ハンドセット3による通話が可能になる。また、通話相手が電話を切った場合は極性反転検出回路9が検知してフックスイッチ23により電話回線が閉結される。
【0020】
尚、ハンドセット3を載置したままで入力手段18の入力が行われると、切替回路8により増幅器6、7と2線/4線回路2とを接続してハンズフリーで通話可能になる。また、RAM15に格納された電話帳データを入力手段18により選択して電話番号を発信してもよい。また、入力手段18で入力した文字を音声合成回路21で音声合成して通話することもできる。
【0021】
電話の着信があった場合は、着信検出回路10により着信が検出され、ベル16により呼び出し音が鳴動される。この時、発呼者番号検出回路12により相手先の電話番号が表示手段17に表示される。また、ナンバーディスプレイの場合はCAR検出回路11によりCAR信号を検出して所定のデータが表示手段17に表示される。
【0022】
ハンドセット3を持ち上げると載置検出手段19によりハンドセット3を持ち上げたことが検知される。これにより、切替回路8がハンドセット3と2線/4線回路2とを接続し、フックスイッチ23により電話回線を開放して通話が可能になる。また、入力手段18により所定の操作を行うと、切替回路8により増幅器6、7と2線/4線回路2とを接続してハンズフリーで通話可能になる。
【0023】
図2は着信時の詳細な動作を示すフローチャートである。着信して通話可能になると、ステップ#11で着信直後からの通話相手の音声信号を音声認識回路20により認識して言語を判別する。RAM15には「もしもし」や「HELLO」等の電話による通話の始めに通常使用される言葉が格納され、音声認識回路20は音声信号とRAM15のデータとを比較して判別を行う。ステップ#12では所定時間が経過するまで音声認識回路20による判別を継続する。「もしもし」や「HELLO」等の言葉を判別することができる充分な所定時間が経過するとステップ#13に移行する。
【0024】
ステップ#13では音声認識回路20により判別した言語が「HELLO」等の外国語であるか否かが判断される。音声認識回路20により判別した言語が外国語の場合はステップ#14に移行し、「もしもし」等の日本語の場合はステップ#15に移行する。ステップ#14では話速変換部22により通話相手の音声の話速が例えば1/2倍速等に遅くなるように変換して通話が行われる。ステップ#15では通話相手の音声の話速変換は行わずに通常の速度(1倍速)で通話が行われる。
【0025】
本実施形態によると、着信直後に認識した言語に応じて話速変換部22により通話相手の音声を話速変換するので、音声認識回路20により通話相手の言語として日本語を認識した場合は通常の話速で再生して会話をスムーズに行うことができる。加えて、使用者が容易に聞き取ることのできない外国語の場合は、煩雑な操作を必要とせずに迅速に話速を遅くして通話の初期から聞き取りやすくすることができる。従って、通常通話の初期に告げられる相手先の氏名や名称を正確に聞き取ることができ、電話機1の利便性を向上することができる。
【0026】
本実施形態において、音声認識回路20の判別結果に拘わらず、通話相手の音声を通常の速度(1倍速)や予め設定した速度で再生させる切替手段を設けてもよい。これにより、使用者が日本語の他に通常の速度で聞き取ることができる言語がある場合や、音声認識回路20により誤検知した場合に、通話相手の音声を所望の話速に切り替えて再生を行うことができる。また、通話相手の音声を通常の速度で再生する複数の言語を選択できる選択手段を設けてもよい。これにより、使用者が容易に聞き取ることのできる複数の言語について特別な操作を必要とせずに通話相手の音声を所望の話速で再生することができる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、話速変換機能を有する電話機に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施形態の電話機の構成を示すブロック図
【図2】本発明の実施形態の電話機の着信時の動作を示すフローチャート
【符号の説明】
【0029】
1 電話機
2 2線/4線回路
3 ハンドセット
4、31 スピーカ
5、32 マイクロホン
6、7 増幅器
8 切替回路
9 極性反転検出回路
10 着信検出回路
11 CAR検出回路
12 発呼者番号検出回路
13 制御回路
14 ROM
15 RAM
16 ベル
17 表示手段
18 入力手段
19 載置検出手段
20 音声認識回路
21 音声合成回路
22 話速変換部
23 フックスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通話相手の話速を変換する話速変換部と、着信した直後の通話相手の通話言語を判別する音声認識部とを備え、前記音声認識部が判別した言語に応じて前記話速変換部により話速変換することを特徴とする電話機。
【請求項2】
前記音声認識部により日本語を認識した場合よりも外国語を認識した場合の話速を遅くすることを特徴とする請求項1に記載の電話機。
【請求項3】
前記音声認識部の判別結果に拘わらず通話相手の話速を切り替える切替手段を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電話機。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−81643(P2007−81643A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−265194(P2005−265194)
【出願日】平成17年9月13日(2005.9.13)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)鳥取三洋電機株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】