説明

霧化洗浄装置及びその霧化方法

【課題】容器の内圧と外圧とを均衡させて噴霧量を高め、使用状況又は必要に応じて移送量を調整することができる霧化洗浄装置及びその霧化方法を提供する。
【解決手段】霧化洗浄装置は、容器10、霧化部30、噴霧器40及び少なくとも1つの通気孔35を備える。容器10は、洗浄液体を貯蔵するチャンバ11と、開口12とを有する。霧化部30は、容器10に配置され、スリーブ31と、スリーブ31の端部に接続され、スリーブ31を介して空気流61を移送するガス導入管32とを有する。噴霧器40は、スリーブ31の内部空間中に配置され、内チャネル42及び挿入口43を有する。通気孔35は、ガス導入管32に設けられ、容器10のチャンバ11に連通し、チャンバ11中に空気流61の一部が入る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、霧化洗浄装置及びその霧化方法に関し、特に、容器の内圧と外圧とを均衡させて噴霧移送量を増やすことができる上、使用状況又は必要に応じて移送量を調整することができる霧化洗浄装置及びその霧化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
物理学のベルヌーイの定理と、気体・液体の吸い上げ作用とを応用し、鼻腔内部に噴霧洗浄(例えば、霧化した微小分子の生理食塩水、液体薬などを噴射する)を行い、鼻腔を清潔に保つ効果を有する噴霧式鼻洗浄装置が従来技術として知られている。例えば、従来の鼻洗浄器は、少なくとも洗浄液体を貯蔵する容器と、容器に取付ける噴霧器とから構成され、手動で容器を押圧したりエアーポンプにより空気流を送り込み、吸い上げた液体を噴霧器により霧化させて噴射させる。
【0003】
しかし、霧化洗浄装置とエアーポンプとを組み合わせて使用する場合、以下の問題点がある。液体の移送量を増やす場合、異なる用途(例えば、口腔洗浄器のジェット水流など)に利用するときに、ポンプの空気供給量又は圧力を高め、容器から吸い上げる液体移送量を増やすのが一般的である。しかし、当業者であれば分かるように、これは鼻洗浄器の製造コストが増加する虞があり好ましくなかった。
【0004】
従来の霧化洗浄装置を使用する際の別の問題点としては、容器内に貯蔵されている液体(例えば、水)の温度が高い場合でも、ユーザが使用する液体が噴霧されて供給されると、温度が低くなってしまうという問題点がある。この理由は、温度が高い液体(例えば、水)が霧化されると、水分子又は粒子が空気に接触する面積が増大して温度が下がるためであり、水の場合、冷水のような温度になることがある。そのため、例えば、虫歯の治療で洗浄する場合などでは理想的でなく、洗浄装置の応用範囲が制限された。
【0005】
上述したことから分かるように、従来の霧化洗浄装置及びエアーポンプにより空気流を供給する技術は、これら霧化洗浄装置の構造設計上、応用する際問題が発生しやすい。もし従来の霧化洗浄装置と異なるように構造を再設計し、その使用態様を従来のものと変えることができるなら、実質上、その応用範囲が広がる。しかし、従来の霧化洗浄装置は、空気供給量を増やさない(又は同じ)条件下で、容器内の洗浄液又は液体薬の噴霧移送量を増やしたり、容器内の液体の残留量を減らしたりすることができるようにし、専門スタッフでない一般のユーザでも噴霧移送量を調整することができるようにするためには、以下(1)〜(6)の問題点を解決することが求められていた。
【0006】
(1)エアーポンプにより供給される空気流を少量の部分に分流し、元の供給ルートで容器内部に入るようにし、容器内に発生する内圧を下げたり、容器の内圧と外圧との均衡を取り、霧化洗浄装置の噴霧移送量を増やす必要がある。
(2)容器内に残留する液体薬の量を最小にするために、容器の内圧と外圧とを均衡させる必要がある。
(3)専門スタッフでない一般のユーザでも使用状況に応じて噴霧移送量を調整することができるようにし、調整制御機構と霧化洗浄装置とを組み合わせても霧化洗浄装置の構造が複雑にならないようにする必要がある。
(4)構造が複雑にならない条件下で、容器又は噴霧器が噴霧を供給するルート上で、液体又は液体薬の移送量を制御することにより、噴霧移送量を調整することができるようにする必要がある。
(5)従来の霧化洗浄装置が供給する液体噴霧の温度が低くなる問題を解決するために、容器内に貯蔵した高温の液体(例えば、水)が噴霧されて供給された後、高温の液体と空気との混合比が低下し、洗浄装置により高温の液体を供給することができるようにし、洗浄装置の応用範囲を広げることが必要である。
(6)容器の内圧と外圧とが不均衡である問題点を解決し、噴霧移送量を制御することが求められていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、容器の内圧と外圧とを均衡させて噴霧量を高め、使用状況又は必要に応じて移送量を調整することができる霧化洗浄装置及びその霧化方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の第1の形態によれば、容器、霧化部、噴霧器及び少なくとも1つの通気孔を備える霧化洗浄装置であって、前記容器は、洗浄液体を貯蔵するチャンバと、開口と、を有し、前記霧化部は、前記容器に配置され、スリーブと、前記スリーブの端部に接続され、前記スリーブを介して空気流を移送するガス導入管と、を有し、前記噴霧器は、前記スリーブの内部空間中に配置され、内チャネル及び挿入口を有し、前記通気孔は、前記ガス導入管に設けられ、前記容器の前記チャンバに連通し、前記チャンバ中に空気流の一部が入ることを特徴とする霧化洗浄装置が提供される。
【0009】
前記内チャネルは、前記ガス導入管に連通することが好ましい。
【0010】
前記霧化部は、前記スリーブの略短手方向で、前記スリーブに接続された第1の管路を有し、前記第1の管路は、一方の端部が前記スリーブの内部空間に連通し、他方の端部が前記チャンバ内に延伸されることが好ましい。
【0011】
前記チャンバ内に延伸された前記第1の管路の端部には、導管が接続されることが好ましい。
【0012】
前記噴霧器は、凸部を有し、前記凸部は、螺旋状凸縁又は湾曲肩部を有し、前記螺旋状凸縁又は湾曲肩部は、最高領域及び最低領域を有することが好ましい。
【0013】
前記スリーブと前記ガス導入管とは、同一の基準軸線上に配置されることが好ましい。
【0014】
前記噴霧器の出口には、干渉部を有する緩衝部材が取付けられることが好ましい。
【0015】
前記干渉部は、プレート状又は帯状であり、前記緩衝部材の中央領域に形成されることが好ましい。
【0016】
前記干渉部には、ストッパが設けられることが好ましい。
【0017】
前記噴霧器には、外部と前記内チャネルとを連通する前記挿入口が設けられていることが好ましい。
【0018】
前記噴霧器には、調整器が組み合わされることが好ましい。
【0019】
前記噴霧器は、第1のテーパ部、第2のテーパ部及びネジ部を有し、前記調整器は、前記噴霧器の前記第1のテーパ部、前記第2のテーパ部及び前記ネジ部に対応するように設けられた第1のテーパ部、第2のテーパ部及びネジ部を有し、前記調整器は、前記ネジ部が前記噴霧器の前記ネジ部と噛合し、前記噴霧器の内部空間内で回動したり変位したりすることが可能なように配置され、前記調整器の前記第1のテーパ部及び前記第2のテーパ部と、前記噴霧器の前記第1のテーパ部及び前記第2のテーパ部との間に設けられる隙間を調整することが好ましい。
【0020】
前記調整器は、内チャネル、空気流入口及び出口を有することが好ましい。
【0021】
前記調整器は、ワッシャが上に配置され、前記ワッシャの位置を拘束する肩部を有することが好ましい。
【0022】
前記霧化部は、前記スリーブの中段部に設けられた内部空間と外部とを連通する少なくとも1つの前記第1の管路と、前記スリーブの内部空間の最内側端に近設された第2の管路と、を有することが好ましい。
【0023】
前記第1の管路又は前記第2の管路には、前記導管が接続されることが好ましい。
【0024】
上記課題を解決するために、本発明の第2の形態によれば、導入された空気流を霧化部内に導入するステップと、分流方式により空気流の少ない部分を容器内に入れるステップと、残りの大部分の空気流を前記霧化部の内部空間の噴霧器に案内し、予め容器内に貯蔵してある液体を吸い上げて前記噴霧器に送り、大部分の空気流を混入して霧化状態を発生させ、移送するステップと、を含むことを特徴とする霧化洗浄装置の霧化方法が提供される。
【0025】
前記導入した空気流の大部分は、前記噴霧器内に案内されることが好ましい。
【0026】
前記空気流の少ない部分は、前記霧化部の通気孔を介して前記容器内に入ることが好ましい。
【0027】
前記噴霧器に案内された空気流の大部分は、前記噴霧器内の内チャネルに案内されることが好ましい。
【0028】
前記霧化部は、第1の管路を有し、前記第1の管路は、前記容器内に延伸されて液体を吸い上げ、前記容器内の液体は、前記第1の管路を介して前記噴霧器に入ることが好ましい。
【0029】
前記霧化部は、内部空間の中段部に近設された第1の管路と、内部空間の最内側端に近設された第2の管路と、を有し、前記第1の管路又は前記第2の管路が液体内まで延伸され、液体内に延伸された前記第1の管路又は前記第2の管路を介し、前記容器内の液体を前記噴霧器に導入することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態による霧化洗浄装置を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態による霧化洗浄装置を示す分解斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態による霧化洗浄装置の小さな内径を有する導管を示し、矢印により空気流の方向を示す断面図である。
【図4】本発明の一実施形態による霧化洗浄装置の霧化部及び噴霧器を示す分解斜視図である。
【図5】本発明の修正実施形態による霧化洗浄装置の噴霧器の凸部が管路を封止していないときの状態を示す断面図であり、矢印は空気流の方向を示す。
【図6】本発明の修正実施形態による霧化洗浄装置の噴霧器の凸部により管路を部分的に封止したときの状態を示す断面図であり、矢印は空気流の方向を示す。
【図7】本発明の一実施形態による霧化洗浄装置の大きな内径を有する管路を示す断面図である。
【図8】本発明の一実施形態による霧化洗浄装置の噴霧器の出口に、緩衝部材が配置されるときの状態を示す斜視図である。
【図9】本発明の他の修正実施形態による霧化洗浄装置の噴霧器と調整器とを分解したときの状態を示す分解斜視図である。
【図10】本発明の一実施形態による霧化洗浄装置の噴霧器と調整器とを組み合わせたときの状態を示すとともに、ワッシャが調整器の肩部により圧縮されずに、噴霧器の第1のテーパ部及び第2のテーパ部と、調整器の第1のテーパ部及び第2のテーパ部との間に生じる隙間を示す断面図である。
【図11】本発明の一実施形態による霧化洗浄装置の噴霧器と調整器とを組み合わせたときの状態を示すとともに、ワッシャが調整器の肩部により圧縮され、噴霧器の第1のテーパ部及び第2のテーパ部と、調整器の第1のテーパ部及び第2のテーパ部との間に生じる隙間を示す断面図である。
【図12】本発明の一実施形態による霧化洗浄装置の霧化部に第1のチャネル及び第2のチャネルが設けられ、第1のチャネルに導管が接続されたときの状態を示す断面図である。
【図13】本発明の一実施形態による霧化洗浄装置の霧化部に第1のチャネル及び第2のチャネルが設けられ、第2のチャネルに導管が接続されたときの状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、これによって本発明が限定されるものではない。
【0032】
図1〜図3を参照する。図1〜図3に示すように、本発明の一実施形態による霧化洗浄装置は、開口12のチャンバ11を含み、液体薬又は洗浄用液体20(図3参照)を貯蔵するために用いる容器10を備える。容器10には、洗浄で使用した液体20を回収するために用いる回収部13が設けられている。容器10の霧化部30は、容器10の開口12に着脱自在に螺合されると、チャンバ11を封止することができる。霧化部30は、同一の基準軸線上に配置され、内部空間を有するスリーブ31と、スリーブ31の端部に設けられたガス導入管32と、を有する。ガス導入管32は、スリーブ31又は噴霧器40を介して空気流61を移送するために用い、加圧空気の発生源に移送管60が接続されている。ガス導入管32上には、排気量を変えたり、チャンバ11内の気圧を制御したりするために用いる圧力開放調整バルブ孔33が設けられている。図2及び図3に示すように、霧化部30は、スリーブ31の中段部の内部空間と外部とを連通し、スリーブの略短手方向に延伸された第1の管路34を含み、さらに別に、スリーブ31の内部空間の最内側端に近設し、スリーブ31の略短手方向に延伸された第2の管路36(図12及び図13参照)を含んでもよい。図2及び図3に示すように、本実施形態のスリーブ31には、第1の管路34が1つ設けられている。第1の管路34には、チャンバ11内の液体20内に延伸する導管80が接続されている。これにより、チャンバ11内の液体20は、導管80及び第1の管路34を介してスリーブ31の内部空間に導入することができる(この技術内容については、以下詳述する)。
【0033】
図2及び図3に示すように、噴霧器40と、噴霧器40の端部に位置するシーリング・リング50とは、スリーブ31内で回動可能かつ着脱可能に配置されている。噴霧器40は、ガス導入管32と連通し、出口41と、内部に設けられた内チャネル42と、内チャネル42中に液体20を導入するために用いる噴霧器40上に設けられた挿入口43と、を有する。
【0034】
図2及び図3に示すように、本発明の一実施形態による霧化洗浄装置のガス導入管32には、容器10のチャンバ11に連通した少なくとも1つの通気孔35が設けられている。ガス導入管32に導入された空気流61は、分流されて形成された大部分の空気流612が噴霧器40の内チャネル42に導入され、吸い上げた液体20を霧化させて噴射させる。しかし、通気孔35からチャンバ11中に少ない部分の空気流611が導入されると、チャンバ11の内圧がリリースされたり、チャンバ11の内圧と外圧とが均衡されたりする(図3の矢印を参照)。
【0035】
ここで、チャンバ11の内圧がリリースされるか、チャンバ11の内圧及び外圧が均衡されると、内チャネル42に入る空気流61により、第1の管路34及び挿入口43を介してチャンバ11内の液体20が吸い上げられて内チャネル42中に入る。そのため、噴霧器40の噴霧移送量が増え、気体と液体とを混合させる機能を向上させることができる。このように、チャンバ11内の液体20が空気流61により吸い上げられる上、チャンバ11内に導入された少ない部分の空気流611により内側に押されるため、液体の残留量を減らすことができる。これにより、容器内に液体が残留しやすかった従来技術の問題点を解決することができる。
【0036】
具体的には、本実施形態による霧化洗浄装置の霧化方法は、霧化部30又はガス導入管32内に空気流61を送るステップと、分流方式により空気流61の少ない部分の空気流611を容器10内に入れるステップと、残りの大部分の空気流612を噴霧器40及び内チャネル42に案内し、容器10内の液体20を吸い上げて噴霧器40に入れ、空気流612を混入して霧化状態にして移送するステップと、を含む。
【0037】
図4を参照する。図4に示すように、本発明の他の実施形態による霧化洗浄装置の噴霧器40は、凸部44を有する。噴霧器40を回転させると、凸部44により第1の管路34の管径が部分的に封止され、噴霧器40の噴霧状態及び供給量を調整することができる。噴霧器40の凸部44は、噴霧器40の表面部45上に設けられ、噴霧器40の表面部45には、螺旋状凸縁又は湾曲肩部46が形成されている。螺旋状凸縁又は湾曲肩部46は、最高領域47及び最低領域48を有する。そのため、噴霧器40を回動させ、螺旋状凸縁又は湾曲肩部46が往動したり復動したりすることにより、第1の管路34が部分的に封止されたり開放されたりし、容器のチャンバ11内にある液体20が、第1の管路34を介してスリーブ31及び噴霧器40に送られる供給量を調整することができる。
【0038】
図5及び図6を参照する。図5及び図6に示すように、本発明の一実施形態による霧化洗浄装置は、噴霧器40を回転させると、液体20の供給量を調整することができる。図5に示すように、噴霧器40は、第1の管路34が凸部44により封止されていない状態である。そのため、導管80を介して第1の管路34に入る液体20は、スリーブ31及び噴霧器40の挿入口43に完全に導入された後、出口41から噴射される(図5の矢印に示す)。本実施形態では、第1の管路34が完全に開放された状態であるため、噴霧器40の移送量及び液体の噴霧量が多く(即ち、圧力水の量に略等しい)、口腔洗浄器のジェット水流のような機能を得ることができる。ここで、本実施形態では、液体20が霧化されるレベルが小さいため、液体20と空気との混合比が低く、液体20の温度を高く維持することができる。このように、本実施形態の洗浄装置は、液体20の温度を高く維持することができるため、応用範囲が広い。
【0039】
図6を参照する。図6に示すように、噴霧器40を回して、第1の管路34の位置まで螺旋状凸縁又は湾曲肩部46を往動させると、第1の管路34が部分的に封止される。そのため、第1の管路34内の一部の液体20がスリーブ31及び挿入口43内に導入された後、出口41から噴射される(図6の矢印に示す)。図6の実施形態の噴霧器40の霧化移送量は、図5の実施形態の移送量より少ない。即ち、噴霧器40を往復回動させると、凸部44の螺旋状凸縁又は湾曲肩部46により、第1の管路34を部分的に封止したり開放したりすることにより、液体の霧化移送量又は噴霧供給量を調整することができる。
【0040】
ここで、噴霧器40を往復回動させ、螺旋状凸縁又は湾曲肩部46の最高領域47(又は最低領域48)が復動して元の位置に戻ると封止状態が解除され、スリーブ31及び噴霧器40に供給される液体20の供給量を増やすことができる。ここで、本実施形態の霧化洗浄装置は、実際の必要に応じて噴霧器40を往復回動させるだけで噴霧供給量を調整することができるため、専門スタッフでない一般のユーザでも簡便に使用することができる。例えば、噴霧器40の出口41構造は、工具を用いて噴霧器40の往復回動を調整することができる。
【0041】
本実施形態の霧化洗浄装置は、導管80の内径サイズを変えることにより、噴霧器40の噴霧状態を変えることができる。図7を参照する。図7に示すように、本実施形態の導管80は、内径が大きい態様である。本実施形態の導管80の内径は、第1の管路34の内径より大きいため、導管80が満たされるくらい大量の水を吸い上げると、噴霧器40の移送量及び液体噴霧量を増やすことができる。本実施形態の導管80は、内径が小さい態様である場合、導管80の内径が第1の管路34より小さいか同じ内径であり、噴霧器40の移送量及び液体噴霧量が相対的に減る(図3参照)。
【0042】
本発明の他の実施形態による霧化洗浄装置では、噴霧器40の挿入口43のサイズを変えてもよい。具体的には、本実施形態の霧化洗浄装置は、スリーブ31に着脱自在に取付けられ、交換可能な複数の噴霧器40を有する。各噴霧器40には、異なるサイズの挿入口43の規格を表示したり区別したりするために、異なる色又は注記が設けられ、これにより、ユーザは必要に応じて選択したり交換したりし、挿入口43及び内チャネル42の中に入る液体20の流入量を調整することができる。
【0043】
図8を参照する。図8に示すように、本発明の他の実施形態による霧化洗浄装置は、噴霧器40の出口41に、緩衝部材70が取付けられる。緩衝部材70は、霧化気流が通るルート上に配置された干渉部71を有する。図8に示すように、干渉部71は、プレート状又は帯状であり、緩衝部材70の中央領域に形成され、ストッパ72が上に設けられている。緩衝部材70は、霧化された空気流が外側に直接噴射されることを防ぐために用いる。
【0044】
図9を参照する。図9に示すように、本発明の他の実施形態による霧化洗浄装置の噴霧器40には、噴霧器40の噴霧状態及び供給量を調整するために用いる調整器90が取付けられている。具体的には、本実施形態の噴霧器40の内チャネル42は、第1のテーパ部42a、第2のテーパ部42b及びネジ部49を含む。調整器90は、噴霧器40の第1のテーパ部42a、第2のテーパ部42b及びネジ部49に対応するように設けられた第1のテーパ部91、第2のテーパ部92及びネジ部93を有する。調整器90のネジ部93は、噴霧器40のネジ部49と噛合し、噴霧器40の内チャネル42内で回動可能かつ移動可能に配置され、調整器90の第1のテーパ部91及び第2のテーパ部92と、噴霧器40の第1のテーパ部42a及び第2のテーパ部42bとの間に生じる隙間を調整することにより、噴霧器40の噴霧状態を変える。
【0045】
調整器90は、内チャネル94、空気流入口95及び出口96を有し、ガス導入管32から導入された空気流61を、空気流入口95から内チャネル94に移送した後、出口96及び噴霧器40の出口41から排出させる。好適な実施形態において、調整器90には、ワッシャ55の位置を拘束するために用いる肩部97が設けられ、調整器90上の肩部97と噴霧器40の末端との間にワッシャ55が配置されている。本実施形態のワッシャ55は、弾性材料からなり、ワッシャ55が有する弾性作用を利用し、肩部97と噴霧器40の末端とを組み合わせる(以下、詳述する)。
【0046】
図10を参照する。図10に示すように、ワッシャ55が調整器90の肩部97により圧縮されていない状態であるため、調整器90のテーパ部91,92と、噴霧器40のテーパ部42a,42bとの間に生じる隙間が大きく、相対的に多くの液体20が入り、噴霧器40の移送量及び液体の噴霧量が多くなる。
【0047】
図11を参照する。図11に示すように、噴霧器40又は調整器90を回転させると、調整器90の肩部97によりワッシャ55が圧縮し、調整器90のテーパ部91,92と、噴霧器40のテーパ部42a,42bとの間の隙間が小さくなると、液体20の供給量が少なくなり、噴霧器40の移送量及び液体噴霧量が少なくなる。即ち、噴霧器40又は調整器90を回転させることにより、第1のテーパ部42a,91と第2のテーパ部42b,92との間に形成される隙間の大きさが変化し、液体霧化の移送量又は噴霧供給量を調整することができる。
【0048】
本実施形態の霧化洗浄装置は、噴霧器40と調整器90とを組み合わせて2段式の絞り構造を構成する。具体的には、噴霧器40又は調整器90を僅かに回転させ、調整器90の肩部97によりワッシャ55が僅かに圧縮されると、まず、調整器90の第2のテーパ部92と噴霧器40の第2のテーパ部42bとの間の隙間が小さくなり、1段目の絞りメカニズムが構成される。噴霧器40又は調整器90を回転し続ける場合、調整器90の肩部97によりワッシャ55が強く圧縮され、調整器90の第1のテーパ部91と噴霧器40の第1のテーパ部42aとの間の隙間が大幅に小さくなって隙間から入る液体20の量が少なくなる2段目の絞りメカニズムが構成される。このように、1段目及び2段目の絞りメカニズムは、噴霧器40と調整器90とを組み合わせることにより、液体噴霧量の微調整を行うことができる。
【0049】
図12及び図13を参照する。図12及び図13に示すように、本発明の一実施形態による霧化洗浄装置の霧化部30は、スリーブ31の内部空間の中段部から延伸された第1の管路34と、スリーブ31の内部空間の最内側端に近設され、外側に向かって延伸された第2の管路36と、を有する。導管80は、第1の管路34に取付けたり、第2の管路36に取付けたりすることにより、液体20及び少ない部分の空気流611が、スリーブ31の内部空間と、噴霧器40の内チャネル42とに導入されるようになり、霧化効果、流出水量、強度などが変化し、応用範囲が広がる。
【0050】
上述したことから分かるように、本発明の霧化洗浄装置及びその霧化方法は、空気供給量を増やさない(又は同じ)条件下で、以下(1)〜(4)の特徴を有する。
(1)エアーポンプが供給する空気流を少ない部分の空気流に分流し、元の供給ルート上で容器内部に入れる。即ち、ガス導入管に設けた少なくとも1つの通気孔を介し、ガス導入管の少ない部分の空気流をチャンバ中に導入し、チャンバの内圧を下げたり、チャンバの内圧と外圧とを均衡させたりすることにより、霧化洗浄装置の噴霧移送量を増やすことができる。これにより、従来技術の問題点であったチャンバ内に残留する液体薬の残留量を最小にすることができる。
(2)専門スタッフでない一般のユーザでも使用状況に応じて噴霧移送量を簡便に調整することができる上、調整制御機構と霧化洗浄装置との組み合わせ構造を簡素にすることができる。
(3)霧化洗浄装置は、構造が複雑にならない条件下で、チャンバとガス導入管とを通気孔により連通し、往復回動する噴霧器及び凸部と、第1の管路とを組み合わせることにより、容器の内圧と外圧とを均衡にし、噴霧移送量を調整することができる。
(4)霧化洗浄装置の調整メカニズムにより、液体と空気との混合比を制御して高温の液体を供給することができる。そのため、霧化洗浄装置は、噴霧温度が高温に維持された液体を提供することができ、洗浄装置の応用範囲が広い。
【0051】
当該分野の技術を熟知するものが理解できるように、本発明の好適な実施形態を前述の通り開示したが、これらは決して本発明を限定するものではない。本発明の主旨と領域を逸脱しない範囲内で各種の変更や修正を加えることができる。従って、本発明の特許請求の範囲は、このような変更や修正を含めて広く解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0052】
10 容器
11 チャンバ
12 開口
13 回収部
20 液体
30 霧化部
31 スリーブ
32 ガス導入管
33 圧力開放調整バルブ孔
34 第1の管路
35 通気孔
36 第2の管路
40 噴霧器
41 出口
42 内チャネル
42a 第1のテーパ部
42b 第2のテーパ部
43 挿入口
44 凸部
45 表面部
46 螺旋状凸縁又は湾曲肩部
47 最高領域
48 最低領域
49 ネジ部
50 シーリング・リング
55 ワッシャ
60 移送管
61 空気流
70 緩衝部材
71 干渉部
72 ストッパ
80 導管
90 調整器
91 第1のテーパ部
92 第2のテーパ部
93 ネジ部
94 内チャネル
95 空気流入口
96 出口
97 肩部
611 少ない部分の空気流
612 大部分の空気流

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器、霧化部、噴霧器及び少なくとも1つの通気孔を備える霧化洗浄装置であって、
前記容器は、洗浄液体を貯蔵するチャンバと、開口と、を有し、
前記霧化部は、前記容器に配置され、スリーブと、前記スリーブの端部に接続され、前記スリーブを介して空気流を移送するガス導入管と、を有し、
前記噴霧器は、前記スリーブの内部空間中に配置され、内チャネル及び挿入口を有し、
前記通気孔は、前記ガス導入管に設けられ、前記容器の前記チャンバに連通し、前記チャンバ中に空気流の一部が入ることを特徴とする霧化洗浄装置。
【請求項2】
前記内チャネルは、前記ガス導入管に連通することを特徴とする請求項1に記載の霧化洗浄装置。
【請求項3】
前記霧化部は、前記スリーブの略短手方向で、前記スリーブに接続された第1の管路を有し、
前記第1の管路は、一方の端部が前記スリーブの内部空間に連通し、他方の端部が前記チャンバ内に延伸されることを特徴とする請求項1又は2に記載の霧化洗浄装置。
【請求項4】
前記チャンバ内に延伸された前記第1の管路の端部には、導管が接続されることを特徴とする請求項3に記載の霧化洗浄装置。
【請求項5】
前記噴霧器は、凸部を有し、
前記凸部は、螺旋状凸縁又は湾曲肩部を有し、
前記螺旋状凸縁又は湾曲肩部は、最高領域及び最低領域を有することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の霧化洗浄装置。
【請求項6】
前記スリーブと前記ガス導入管とは、同一の基準軸線上に配置されることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の霧化洗浄装置。
【請求項7】
前記噴霧器の出口には、干渉部を有する緩衝部材が取付けられることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の霧化洗浄装置。
【請求項8】
前記干渉部は、プレート状又は帯状であり、前記緩衝部材の中央領域に形成されることを特徴とする請求項7に記載の霧化洗浄装置。
【請求項9】
前記干渉部には、ストッパが設けられることを特徴とする請求項8に記載の霧化洗浄装置。
【請求項10】
前記噴霧器には、外部と前記内チャネルとを連通する前記挿入口が設けられていることを特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載の霧化洗浄装置。
【請求項11】
前記噴霧器には、調整器が組み合わされることを特徴とする請求項1乃至10の何れかに記載の霧化洗浄装置。
【請求項12】
前記噴霧器は、第1のテーパ部、第2のテーパ部及びネジ部を有し、
前記調整器は、前記噴霧器の前記第1のテーパ部、前記第2のテーパ部及び前記ネジ部に対応するように設けられた第1のテーパ部、第2のテーパ部及びネジ部を有し、
前記調整器は、前記ネジ部が前記噴霧器の前記ネジ部と噛合し、前記噴霧器の内部空間内で回動したり変位したりすることが可能なように配置され、前記調整器の前記第1のテーパ部及び前記第2のテーパ部と、前記噴霧器の前記第1のテーパ部及び前記第2のテーパ部との間に設けられる隙間を調整することを特徴とする請求項11に記載の霧化洗浄装置。
【請求項13】
前記調整器は、内チャネル、空気流入口及び出口を有することを特徴とする請求項11又は12に記載の霧化洗浄装置。
【請求項14】
前記調整器は、ワッシャが上に配置され、前記ワッシャの位置を拘束する肩部を有することを特徴とする請求項11又は12に記載の霧化洗浄装置。
【請求項15】
前記霧化部は、前記スリーブの中段部に設けられた内部空間と外部とを連通する少なくとも1つの前記第1の管路と、前記スリーブの内部空間の最内側端に近設された第2の管路と、を有することを特徴とする請求項1乃至14の何れかに記載の霧化洗浄装置。
【請求項16】
前記第1の管路又は前記第2の管路には、前記導管が接続されることを特徴とする請求項15に記載の霧化洗浄装置。
【請求項17】
導入された空気流を霧化部内に導入するステップと、
分流方式により空気流の少ない部分を容器内に入れるステップと、
残りの大部分の空気流を前記霧化部の内部空間の噴霧器に案内し、予め容器内に貯蔵してある液体を吸い上げて前記噴霧器に送り、大部分の空気流を混入して霧化状態を発生させ、移送するステップと、を含むことを特徴とする霧化洗浄装置の霧化方法。
【請求項18】
前記導入した空気流の大部分は、前記噴霧器内に案内されることを特徴とする請求項17に記載の霧化洗浄装置の霧化方法。
【請求項19】
前記空気流の少ない部分は、前記霧化部の通気孔を介して前記容器内に入ることを特徴とする請求項17又は18に記載の霧化洗浄装置の霧化方法。
【請求項20】
前記噴霧器に案内された空気流の大部分は、前記噴霧器内の内チャネルに案内されることを特徴とする請求項17又は18に記載の霧化洗浄装置の霧化方法。
【請求項21】
前記霧化部は、第1の管路を有し、
前記第1の管路は、前記容器内に延伸されて液体を吸い上げ、前記容器内の液体は、前記第1の管路を介して前記噴霧器に入ることを特徴とする請求項17又は18に記載の霧化洗浄装置の霧化方法。
【請求項22】
前記霧化部は、内部空間の中段部に近設された第1の管路と、内部空間の最内側端に近設された第2の管路と、を有し、
前記第1の管路又は前記第2の管路が液体内まで延伸され、液体内に延伸された前記第1の管路又は前記第2の管路を介し、前記容器内の液体を前記噴霧器に導入することを特徴とする請求項17又は18に記載の霧化洗浄装置の霧化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−224559(P2011−224559A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−89739(P2011−89739)
【出願日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(511094347)禾光興業有限公司 (1)
【Fターム(参考)】