説明

霧化液の回収装置

【課題】アルコール等の霧化液を回収して再利用することができる装置を廉価に市場提供すること。
【解決手段】フアン室1と吸引口2と吐出口3を有するケーシング4の上記フアン室1が、中央部にモータ5駆動されるフアン6設けられ、外周側には霧化液を付着させて液滴化させる付着液滴化部材7を設けられ、上記フアン室1の下側には、上記付着液滴化部材7から落下した液滴を収集する傘形斜面8と、収集された液滴を集めて液体にする液体化溝9を設けられていること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、霧化した液体を回収して再利用できるようにする霧化液の回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、噴霧等で霧化して除菌、脱臭、消毒等に使用したアルコール等の霧化液は、回収できれば再使用することができるものであるが、霧化液を回収する装置は、沈降性のスラリーを含むスプレー廃液を回収するものは、特許文献1に開示されているが、アルコール等の霧化液を回収することができる簡易な装置については、情報も製品も入手できないため、霧化液は空気中へ放散されて消滅し、全く再利用されない現状にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−300338号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、アルコール等の霧化液を回収して再利用することができる装置を廉価に市場提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る発明は、フアン室と吸引口と吐出口を有するケーシングの上記フアン室が、中央部にモータで駆動されるフアンを設けられ、外周側に霧化液を付着させて液滴化する付着液滴化部材を設けられ、上記フアン室の下側には、上記付着液滴化部材から落下した液滴を収集する傘形斜面と、収集された液滴を合体させて液体にする液体化溝を設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によると、下記の通りの効果が得られる。
1.フアンを回転させて吸引口から霧化液を吸引させると、霧化液はフアンによる送風で付着霧化部材へ送られ、その表面へ付着して、先ず霧を生成し、霧が液滴に成長すると付着液滴化部材から傘型斜面へ落ちて、この斜面に誘導されて液体化溝へ収集されて、液滴の合体で液体となって回収されるから、回収した液体を再使用し、使用で霧化液になれば、また装置で回収して再使用することで液体を残さず有効活用することができる。
2.全ての機能部材が合理的にケーシングに収められた簡単で小型な装置であるため、廉価に市場提供して、霧化液の回収による再使用を広く一般に普及させることができる。
3.霧化液をフアンで付着液滴化部材へ付着させて露化し、この露が液滴に成長すると斜面へ落下させて、斜面で液体化溝に収集して合体させることで回収するから、回収が迅速に効率よく行なわれて、90%以上の高回収率での回収も容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明に係る霧化液の回収装置の実施形態を示す中央縦断正面図
【図2】同上の横断平面図
【図3】(a)(b)は、同上装置に用いた霧化液の付着液滴化部材の構造及び取付態様を示す一部分の断面図
【図4】本発明に係る霧化液の回収装置の一部の変形例を示す横縦断平面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1及び図2において、符号Aは本発明に係る霧化液の回収装置を示すのもので、この霧化液の回収装置Aは、フアン室1と吸引口2と吐出口3を有するケーシング4の上記フアン室1の中央部に、モータ5で回転駆動されるフアン6を設けられ、外周側に霧化液を付着させて液滴化させる付着液滴化部材7を設けられ、上記フアン室1の下側には、上記付着液滴化部材7から落下した液滴を収集する傘形斜面8と、収集された液滴を合体させて液体にする環状の液体化溝9を設けられた構成のものである。
【0009】
上記ケーシング4は、フアン室1の中央部に設けられたフアン6の軸心が上下方向に向くようフレーム10に支持されて、上側にフアン6に対応する吸引口2を設けられ、周囲には複数(図1、図2においては4個)の吐出口3を等間隔で設けられて、これら吐出口3はその開口面積の和が吸引口2の開口面積の2倍以上になるように設定されることが望ましい。しかし、吐出口3は、図4に示す通り1個だけ設けるようにしても、その開口面積が吸引口2の開口面積の2倍以上に設定されていれば同様の機能が得られる。
【0010】
上記付着液滴化部材7は、上記フアン6による送風で霧化液が飛ばされて表面へ当ると、霧化液を表面へ付着させて、霧化液の集まりによる露を生成させ、この露が液滴に成長すると上記傘型斜面8へ落下させて、この斜面8で環状をなす液体化溝9へ収集し、液滴の合体で液体となるようにしたものである。従って、この付着液滴化部材7は、表面へ霧化液が付着し易いが、内へは吸収されにくい例えば、合成樹脂、金属、その他の薄帯体で、図1、図2に示す通り直径差がある複数(図1、図2においては4個)のリングを形成して、付着液滴化部材7a、7b、7c、7dとし、これら付着液滴化部材7a、7b、7c、7dには、霧化液を含む気流を通過させる穴11a、11b、11c、11dを、穴径が穴11a、11b、11c、11dの順序で次第に小さくなるように開けられている。
【0011】
上記付着液滴化部材7a、7b、7c、7dは、同心状に組み合わせて使用するから、送風の影響で変形を起こし易い材料で形成される場合は、図3(a)に示す通り、各付着液滴化部材7a、7b、7c、7dの外側に、それぞれパンチングメタル等で形成した補強リング12a、12b、12c、12dを添え、各付着液滴化部材7a、7b、7c、7dの上側と下側に、パンチングメタル等の連結環13、13を添えて、これら連結環13、13を補強リング12a、12b、12c、12dと接合することで、各付着液滴化部材7a、7b、7c、7dを同心円状に組み合わせる。そして、上記連結環13、13にはそれぞれ取付腕14、14を複数組取り付け、上側の取付腕13はフアン室1の周壁14へ取り付け、下側の取付腕13は傘形斜面8へ取り付けて付着液滴化部材7a、7b、7c、7dをフアン室1内の外周側に位置付けする。しかし、付着液滴化部材7a、7b、7c、7dが金属製の場合は、上記した補強リング12a、12b、12c、12dを使用せず、図3(b)に示す通り付着液滴化部材7a、7b、7c、7dの上部と下部に連結環13、13を添えて、付着液滴化部材7a、7b、7c、7dと接合することで、各付着液滴化部材7a、7b、7c、7dを同心円状に組み合わせて、上記連結環13、13にそれぞれ取付腕14、14を取り付け、上側の取付腕14はフアン室1の周壁15へ取り付け、下側の取付腕13は傘形斜面8へ取り付けて付着液滴化部材7a、7b、7c、7dをフアン室1内の外周側に位置付けする。
【0012】
なお、上記付着液滴化部材7a、7b、7c、7dへ付着した霧化液は、気温が低ければ速かに露化及び液滴化するが、気温が高いと蒸発して散逸し易くなるから、付着液滴化部材7a、7b、7c、7dの上側に、図1に示す通り冷却管16を配置し、この冷却管16に気温が高いときは、公知の通り冷媒を循環させて付着液滴化部材7a、7b、7c、7dの温度を下げ、霧化液の蒸発による放散を防止させる。
【0013】
上記傘型斜面8と環状の液体化溝9は、上記フアン室1の底壁17を、フアン6の下側に位置する部分は平であるが、フアン6より外側の部分は先下りに傾斜して、先端の下側にはL形の溝形成部18を設けられるようにして、上記溝形成部18の先端をフアン室1の周壁15へ接合すると、上記底壁17で傘型斜面8が形成され、上記溝形成部17と周壁14で環状の液体化溝9が形成されるようにしたものであって、上記液体の貯留溝9は、一方よりも他方が低くなるように傾斜して設けられ、最も低い位置に液体をタンク19等へ取り出す配管20を接続されて、この配管20には弁21を設けられている。
【0014】
上記実施形態の霧化液の回収装置Aは、フアン6を回転させて吸引口2から霧化液を吸入させると、霧化液はフアン6で起こされる風で付着液化部材7aへ向かって飛ばされ、付着液滴化部材7aヘ当るものと、この付着液滴化部材7aに開けられた穴10aを通過するものを生じ、付着液滴化部材7aへ当ったものはその表面へ付着するが、孔10aを通過したものは次の付着液滴化部材7bへ進んで、付着液滴化部材7bヘ当るものと、この部材7aに開けられた穴10bを通過するものを生じるもので、この現象は付着液滴化部材7c及び7dでも同様に行なわれるから、各付着液滴化部材7a、7b、7c、7dの表面では付着した霧化液が集まって露を生成し、この露は液滴に成長すると、付着液滴化部材7a、7b、7c、7dから傘形斜面8へ落下して、この傘形斜面8で液体化溝9へ収集されて集合合体すると、再使用できる液体として回収されるものである。
【実験例1】
【0015】
1000ccのアルコール液を、スプレーヤーで霧化して吸引口2からフアン室1へ吸い込ませ、フアン6の送風で付着液滴化部材7a、7b、7c、7dへ付着させて液滴とし、この液滴を傘形斜面8で液体化溝9に収集し、液体化溝9で集合合体させて液体として回収し、回収された液体を計測容器に取って計測すると、液体量は約950ccあって95%の高い回収率が確認された。
【0016】
本発明に係る霧化液の回収装置Aは、ケーシング4の吐出口3を、図4に示す通り1個設けた場合も、付着液滴化部材7a、7b、7c、7dによる霧化液の液滴化と、傘形斜面8による液滴の収集と、液体化溝9による液滴の集合合体が同様に行なわれるため、上記実施形態とほぼ同様の回収効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明は、殺菌、脱臭、消毒、洗淨等を行なったアルコール等の霧化液を、簡単に効率よく回収して再利用するのに利用できる。
【符号の説明】
【0018】
A 霧化液の回収装置
1 フアン室
2 吸引口
3 吐出口
4 ケーシング
5 モータ
6 フアン
7 付着液滴化部材
8 傘型斜面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フアン室と吸引口と吐出口を有するケーシングの上記フアン室が、中央部にモータで駆動されるフアンを設けられ、
外周側には霧化液を付着させて液滴化させる付着液滴化部材を設けられ、
上記フアン室の下側には、上記付着液滴化部材から落下した液滴を収集する傘形斜面と、収集された液滴を集めて液体化する液体化溝を設けられている
ことを特徴とする霧化液の回収装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−35225(P2012−35225A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−179706(P2010−179706)
【出願日】平成22年8月10日(2010.8.10)
【出願人】(510095330)株式会社AEP (2)
【Fターム(参考)】