説明

霧化装置に用いる薬液、及び霧化装置

【課題】電子タバコ等の霧化装置に用いるに効果的な薬液を提供すること。
【解決手段】本発明に係る霧化装置に用いる薬液は、薬液を霧化して空気中に放出し得る霧化装置に用いる薬液であって、グリセリンと水との配合比率を、25:1〜0.5〜1で配合してなることを特徴としている。また、前記配合比率の薬液に、少なくとも、温泉含有成分、漢方薬成分、ビタミン成分、ミネラル成分、アミノ酸成分の何れか1つの成分を混合するとよい。
また、薬液を霧化して空気中に放出し得る霧化装置を、グリセリンと水との配合比率を、25:1〜0.5〜1で配合してなる薬液を保持する保持手段と、前記保持された薬液の一部を80℃以下で加熱して水蒸気化させる霧化手段とを備えて構成してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子タバコ等の霧化装置に用いるに適した薬液、および霧化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、タバコを燃焼させることなく、タバコに似た香味を嗜好するための擬似喫煙具として、種々のタイプのものが提案されている。
例えば、特許文献1等には、断熱チューブ内に加熱素子と固形状の香味発生媒体とを設け、この断熱チューブと加熱素子の電源とを上包み紙で包んでタバコ状に形成した電子タバコが提案されている。
【0003】
このような構成の電子タバコは、電源から加熱素子に電気エネルギーを供給することにより、香味発生媒体に保持された薬液が加熱されて霧状となり、このようにして気化された薬液成分と、外部から取り込んだ空気との混合気を吸い込むことにより、タバコに似た香味を嗜好することができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平3-232481号公報
【0005】
しかしながら、このような従来の電子タバコでは、霧化させた薬液に種々の成分を含有させているので、健康上の問題が危惧されることがある。そのような健康上の問題のために使用をためらう人もあり、広く普及するための障害となっている。
また、健康上の問題がない薬液であれば、電子タバコにかぎらず、種々の霧化装置に用いることもできるが、そのような用途としてはアロマテラピー的な用途が知られているのみである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が目的とするところは、電子タバコ等の霧化装置に用いるに効果的な薬液を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る霧化装置に用いる薬液は、
薬液を霧化して空気中に放出し得る霧化装置に用いる薬液であって、
グリセリンと水との配合比率を、25:1〜0.5〜1で配合してなることを特徴としている。
請求項2では、
前記配合比率の薬液に、少なくとも、温泉含有成分、漢方薬成分、ビタミン成分、ミネラル成分、アミノ酸成分の何れか1つの成分を混合している。
請求項3の霧化装置は、
薬液を霧化して空気中に放出し得る霧化装置であって、
グリセリンと水との配合比率を、25:1〜0.5〜1で配合してなる薬液を保持する保持手段と、
前記保持された薬液の一部を80℃以下で加熱して水蒸気化させる霧化手段とを備えている。
請求項4では、
前記保持手段は、前記霧化手段に対して交換可能に備えられている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の請求項1に係る霧化装置に用いる薬液によれば、
グリセリンと水との配合比率を、25:1〜0.5〜1で配合してなるので、霧化した場合に人体に有害な成分を含有していない。
また、上記配合比率は霧化に適しているが、上記配合比率以外の場合には霧化しなくなる。
また、グリセリンの配合比率を上記配合比率以上に高くすると、薬液としての価格が高くなるという問題や、吸引した場合に甘味が強くなるという問題がある。
また、水の配合比率を上記配合比率以上に高く.すると、薬液の粘度が低くなり、電子タバコなどで吸引する場合に、液体状のままで吸い込みやすくなるという問題がある。
請求項2の薬液は、
前記配合比率の薬液に、少なくとも、温泉含有成分、漢方薬成分、ビタミン成分、ミネラル成分、アミノ酸成分の何れか1つの成分を混合しているので、
上記のような栄養素や健康効果剤を配合させることにより、健康増進作用がえられる。
【0009】
本発明の請求項3に係る霧化装置は、
グリセリンと水との配合比率を、25:1〜0.5〜1で配合してなる薬液を保持する保持手段と、
前記保持された薬液の一部を80℃以下で加熱して水蒸気化させる霧化手段とを備えているので、
霧化した場合に人体に有害な成分を含有していない。
また、上記配合比率は霧化に適しているが、上記配合比率以外の場合には霧化しなくなる。
また、グリセリンの配合比率を上記配合比率以上に高くすると、薬液としての価格が高くなるという問題や、吸引した場合に甘味が強くなるという問題がある。
また、水の配合比率を上記配合比率以上に高くすると、薬液の粘度が低くなり、電子タバコなどで霧化して吸引する場合に、液体状のままで吸い込みやすくなるという問題がある。
請求項4では、
前記保持手段は、前記霧化手段に対して交換可能に備えられているので、薬液を使用し終わった場合でも、薬液を充填した別の保持手段に交換して装着することができる。また、異なる成分を含有した薬液を充電した別の保持手段に交換して装着することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る霧化装置に構成を説明する説明図である。
【図2】本発明に係る霧化装置の実施例としての電子タバコの外観を示した斜視図である。
【図3】前記電子タバコの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を実施するための形態を示した図1において、
Aは本発明に係る霧化装置であり、グリセリンと水との配合比率を、25:1〜0.5〜1で配合してなる薬液を保持する保持手段Bと、前記保持された薬液の一部を80℃以下で加熱して水蒸気化させる霧化手段Cと、充電可能なバッテリーを内蔵した電源部Dとを備えている。
【0012】
前記保持手段Bは、前記霧化手段Cに対してネジ等によって着脱可能に取り付けられている。
前記保持手段Bには、グリセリンと水との配合比率を、25:1〜0.5〜1で配合してなる薬液が保持されている。
前記薬液には、さらに、温泉含有成分、漢方薬成分、ビタミン成分、ミネラル成分、アミノ酸成分のうち、少なくとも何れか1つの成分が栄養素もしくは健康効果剤として混合されている。
【0013】
上記構成の霧化装置Aは、前記霧化手段Cに、電源部Dから電気エネルギーを供給すると、霧化手段Cにおいては、電気式加熱手段が発熱し、前記保持手段Bにて保持されている薬液が加熱されて蒸発して霧化する。
このように霧化した薬液を吸引することによって、安全な霧化成分を吸引することが可能となる。また、配合された栄養素もしくは健康効果剤による健康増進作用も得られるのである。
【実施例1】
【0014】
図2には、本発明に係る霧化装置の実施例として構成した電子タバコの説明図である。
図2において、
1は霧化装置の実施例としての電子タバコであり、全体形状が略筒状のケーシングからなる電源部11と、前記電源部11に着脱可能な筒状のヒータユニット12と、前記ヒータユニット12に着脱可能な筒状の薬液供給手段13とを備え、前記電源部11の先端部には、例えば赤色発光ダイオードによる発光手段2を備え、前記薬液供給手段13の後端部には、吸い口14を備えている。
なお、前記ヒータユニット12は、特許請求の範囲に記載された霧化手段に対応する構成であり、前記薬液供給手段13は、特許請求の範囲に記載された保持手段に対応する構成である。
【0015】
図3に示したように、前記電源部11の内部には、充電可能な蓄電手段3と、前記蓄電手段3に蓄電された電気エネルギーによって前記発光手段2、前記ヒータユニット12等の構成素子を制御する制御手段4と、吸い口14から吸引されたときに発生する前記電源部内の圧力変化を検知して通電状態になる例えばダイヤフラム式のスイッチを備えた吸引検知手段5とを備え、後端には前記制御手段4と接続された同心状の第1電極部6を備えている。
【0016】
前記第1電極部6は、中心軸に沿って貫通した通気孔61と、前記通気孔61の外側に配設された筒状の一方の電極62と、前記一方の電極62のさらに外側に絶縁体を挟んで配設された筒状の他方の電極63とを備えて、前記他方の電極63には外ネジ64が形成されている。
【0017】
前記ヒータユニット12の先端には第2電極部7を備え、内部には電熱ヒータ8を備え、後端には突起部15を備えている。
前記第2電極部7は、中心軸に沿って貫通した通気路71と、前記通気路71の外側に配設された筒状の一方の電極72と、前記一方の電極72のさらに外側に絶縁体を挟んで配設された筒状の他方の電極73とを備えて、前記他方の電極73の内面には内ネジが形成されている。
前記電熱ヒータ8の両端は、前記一方の電極72と前記他方の電極73とに接続されている。
前記通気路71は前記ヒータユニット12を貫通している。前記通気路71の一端は、第2電極部7側で前記ヒータユニット12の外周面に開口した2つの吸気孔18、19に通じ、他端は、前記電熱ヒータ8を内包して前記突起部15側に開口している。前記電熱ヒータ8は前記通気路71中に配設されている。
【0018】
前記薬液供給手段13の先端側には前記突起部15によって破られるアルミ膜16を備え、内部には薬液が充填された通気可能なフィルタ17が内蔵され、後端には吸い口14が開口している。
【0019】
また、前記制御手段4には、前記発光手段2、前記蓄電手段3、前記吸引検知手段5、前記第1電極部6が接続されている。
前記制御手段4は、電子タバコとして吸引して使用されるときには、前記第1電極部6を介して前記電熱ヒータ8の発熱を制御するとともに、前記第1電極部6への出力電圧を監視して蓄電手段3の過放電を防止し、電子タバコ用充電ユニットに接続されて充電するときには、電子タバコ用充電ユニットから供給される充電用の電力を前記第1電極部6を介して受電し、充電電流と充電電圧を監視して前記蓄電手段3へ適正な充電をするように制御し、過充電を防止する。
【0020】
電子タバコとして吸引して使用されるときには、図2に示した電子タバコ1のように、電源部11と、ヒータユニット12と、薬液供給手段13とを連結して1本のタバコのような形態で使用する。この状態では、薬液供給手段13のアルミ膜16は突起部15によって破られている。
このように、電子タバコとして吸引して使用するときには、蓄電手段に充電するための電極は、ヒータユニット12と薬液供給手段13とが接続されることによって露出しない状態になるので、自然な外観で吸引使用することができる。
そして、使用者が吸い口14を口に含んで吸引すると、前記ヒータユニット12の外面に形成された吸気孔18、19から吸引された外気は、前記ヒータユニット12の通気路71を通る空気流となる。
【0021】
このとき、前記吸引検知手段5の通気孔61に面する空間は前記空気流によって若干減圧されるので、前記吸引検知手段5は、生じた気圧変化に基づいて吸い口から吸引されたことを検知して、内蔵した接点をオンにする。
このようにして、吸引検知手段5の接点がオンされると、前記制御手段は、蓄電手段3に蓄電された電気エネルギーを、発光手段2に供給して点灯させるとともに、第1電極部6に供給する。
従って、第1電極部6と電気的にも接続された第2電極部7に接続された電熱ヒータ8は通電される。よって、前記空気流は、前記電熱ヒータ8によって加熱され、前記フィルタ17に充填された薬液の気化成分とともに前記吸い口14から使用者の口腔内に吸引される。
【0022】
このように使用するとき、前記薬液供給手段13のアルミ膜16は、前記ヒータユニット12に設けられた突起部15によって破られるため、前記フィルタ17に充填された薬液の一部が前記突起部15および前記電熱ヒータ8の周囲を濡らすので、前記電熱ヒータ8に通電されると、その発熱により吸引された外気が加熱されるとともに、前記薬液の一部が気化して霧状となって、前記吸い口14から使用者の口腔内に吸い出される。
したがって、使用者は、吸い口をくわえてタバコのように吸い込むことによって、前記薬液の香味成分を吸い込んで楽しんだり、その薬効を利用することができる。このとき、先端の発光手段2が赤く点灯し、タバコの火のように見える。
【0023】
吸い込むことを止めると、前記通気路71内の気圧低下が無くなるので吸引検知手段5はオフとなり、先端の発光手段2が非点灯状態となる。このように、吸い込んだり、吸い込むことを止めたりすることで、本物のタバコの火のように、赤くなったり赤みが消えたりするので、本物のタバコを吸っているように自然に見える。
さらに、吸い込むことを止めて、くわえていた電子タバコを口から離すと、口腔内に吸い出されていた霧状の薬液が口から吐き出され、あたかも本物のタバコの煙のように見える。
【符号の説明】
【0024】
A 霧化装置
B 保持手段
C 霧化手段
D 電源部
1 電子タバコ
10 充電ユニットを兼ねたケース
11 電源部、ケーシング
12 ヒータユニット
13 薬液供給手段
14 吸い口
2 発光手段、赤色発光ダイオード
20 収納部
3 蓄電手段
4 制御手段
5 吸引検知手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬液を霧化して空気中に放出し得る霧化装置に用いる薬液であって、
グリセリンと水との配合比率を、25:1〜0.5〜1で配合してなることを特徴とする霧化装置に用いる薬液。
【請求項2】
前記配合比率の薬液に、少なくとも、温泉含有成分、漢方薬成分、ビタミン成分、ミネラル成分、アミノ酸成分の何れか1つの成分を混合してなることを特徴とする請求項1に記載の霧化装置に用いる薬液。
【請求項3】
薬液を霧化して空気中に放出し得る霧化装置であって、
グリセリンと水との配合比率を、25:1〜0.5〜1で配合してなる薬液を保持する保持手段と、
前記保持された薬液の一部を80℃以下で加熱して水蒸気化させる霧化手段とを備えたことを特徴とする霧化装置。
【請求項4】
前記保持手段は、前記霧化手段に対して交換可能に備えられていることを特徴とする請求項3に記載の霧化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−5412(P2012−5412A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−143857(P2010−143857)
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(506058967)株式会社 ジェイビーエス (8)
【Fターム(参考)】