説明

露光方法及び半導体装置の製造方法

【課題】 パターン精度の劣化及びスループットの低下を抑制することが可能な露光方法を提供する。
【解決手段】 実施形態に係る露光方法は、表面にレジスト膜が設けられた被処理基板の複数のパターン転写領域それぞれに対してフォトマスクを介して第1の露光を行う工程(S12)と、パターン転写領域の一部にオーバーラップするようにして被処理基板の周辺領域に対して第2の露光を行う工程(S13)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、露光方法及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置(半導体集積回路装置)の微細化に伴い、半導体ウェハ(半導体基板)上に所望のパターンを精度よく形成することが難しくなってきっている。このような微細化に対して、EUV(extreme ultraviolet)光を用いたEUV露光が提案されている。
【0003】
このEUV露光では、反射光学系及び反射型フォトマスクが用いられる。しかしながら、反射光学系に用いられるミラーの表面にはラフネスが存在するため、ミラーの表面で露光光が乱反射する。その結果、パターン露光の際にウェハ表面に散乱光が照射され、パターン像がぼやけてしまうという問題が生じる。このような乱反射された露光光はフレアと呼ばれ、パターン精度劣化の大きな要因となる。
【0004】
フレアの影響はロングレンジに及ぶため、隣接するショット領域(パターン転写領域)の露光光の影響が生じる。そのため、露光の際に、隣接ショットの影響を考慮する必要がある。ところが、ウェハの中央領域のショットは隣接ショットで囲まれるのに対し、ウェハの周辺領域(ウェハの外周近傍の領域)のショットでは隣接ショットに囲まれていない箇所がある。すなわち、ウェハの周辺領域のショットでは、その外側に隣接ショットが存在しない。そのため、ウェハの中央領域と周辺領域とではフレアの影響度が異なる。ウェハの中央領域と周辺領域とでフレアの影響度を同等とするために、ウェハの周辺領域の外側の領域にダミーショットを行うことが考えられる。すなわち、ウェハの周辺領域のショットも、ダミーショットを含む隣接ショットで囲まれるようにすることが考えられる。
【0005】
しかしながら、ダミーショットを行うと、本来は不要なショットを行うことになるため、大幅なスループットの低下を招くことになる。
【0006】
したがって、フレアによるパターン精度の劣化を抑制し、しかもスループットの低下を抑制することが可能な露光方法が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−58413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
パターン精度の劣化及びスループットの低下を抑制することが可能な露光方法及び半導体装置の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態に係る露光方法は、表面にレジスト膜が設けられた被処理基板の複数のパターン転写領域それぞれに対してフォトマスクを介して第1の露光を行う工程と、前記パターン転写領域の一部にオーバーラップするようにして前記被処理基板の周辺領域に対して第2の露光を行う工程と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態に係る露光方法を示したフローチャートである。
【図2】実施形態に係り、半導体ウェハのパターン転写領域について示した図である。
【図3】実施形態に係り、半導体ウェハの周辺領域の第2の露光が行われる領域について示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態を図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、実施形態に係る露光方法を示したフローチャートである。
【0013】
まず、半導体ウェハ(半導体基板、被処理基板)のパターン形成面上にEUV露光用のフォトレジストを塗布する。これにより、表面にレジスト膜が設けられた半導体ウェハが用意される(S11)。
【0014】
次に、レジスト膜が設けられた半導体ウェハの複数のパターン転写領域それぞれに対してフォトマスクを介して第1の露光を行う(S12)。この第1の露光は、反射光学系及び反射型フォトマスクを用いたEUV露光によって行われる。
【0015】
図2は、半導体ウェハのパターン転写領域について示した図である。図2に示すように、パターン転写領域12は、半導体ウェハ11の外周の内側に完全に含まれている。各パターン転写領域12は、1回のショットが行われるショット領域に対応している。第1の露光では、各パターン転写領域12に対して順次、EUV光によってパターン転写が行われる。
【0016】
次に、パターン転写領域12の一部にオーバーラップするようにして半導体ウェハ11の周辺領域(ウェハの外周近傍の領域)に対して第2の露光を行う(S13)。この第2の露光は、ウェハの中央領域と周辺領域とでフレアの影響度を同等にするために行われるものであり、第1の露光で用いた露光装置とは異なる露光装置を用いて行われる。
【0017】
図3は、半導体ウェハの周辺領域の第2の露光が行われる領域について示した図である。図3(a)は半導体ウェハ11の一部を示した図であり、図3(b)は図3(a)の一部を拡大した図である。図3に示すように、第2の露光が行われる領域13は、第1の露光が行われる領域(パターン転写領域12)の一部にオーバーラップしている。図3の例では、各パターン転写領域12について、他のパターン転写領域12が隣接しない辺の近傍の領域に対して、第2の露光が行われている。すなわち、他のパターン転写領域12が隣接している場合に、他のパターン転写領域12のショットから漏れ出てくるフレア光成分に対応するように、第2の露光を行っている。
【0018】
この第2の露光は、複数のパターン転写領域12の配置に依存して行われる。すなわち、半導体ウェハ11面内における各パターン転写領域12の位置に応じて、各パターン転写領域12に対する露光サイズや露光量が決められる。
【0019】
第2の露光は、周辺露光装置を用いて実行することが可能である。周辺露光装置は通常、ウェハ周辺部の不要なフォトレジストを除去するために用いられる。この周辺露光装置の中には、露光光の照射位置や照射強度を可変にできるものも提案されている。このような可変型の周辺露光装置を用いることで、各パターン転写領域12に対する露光サイズや露光量を変化させることが可能である。EUV用のレジストは、EUV波長域以外の波長域にも感度を有している。そのため、周辺露光装置から生じるUV(ultraviolet)光、特にDUV(deep ultraviolet)光によってEUV用のレジストを感光させることが可能である。周辺露光装置の光ファイバから発せられるUV光をスキャンさせることで、所望の領域にUV光を照射することが可能であり、このUV光によってウェハの中央領域に対する周辺領域のフレア光の不足分を補うことができる。
【0020】
以上のように、本実施形態によれば、半導体ウェハの周辺領域に対して第2の露光を行うことにより、ウェハの中央領域と周辺領域とでフレアの影響度を同等にすることができ、パターン精度を向上させることができる。また、ダミーショットのような余分なショットを行わなくてもよいため、スループットを向上させることができる。したがって、本実施形態によれば、パターン精度の劣化及びスループットの低下を抑制することが可能な露光方法を提供することができる。
【0021】
なお、上述した方法によって露光を行った後、現像工程、エッチング工程等を行うことで、半導体ウェハ上に形成された膜(導電膜、半導体膜、絶縁膜等)のパターニングを行うことが可能である。
【0022】
また、上述した実施形態において、第2の露光が行われる領域13は、パターン転写領域12内のみであってもよいし、パターン転写領域12内の領域及びパターン転写領域12外の領域の両方を含んでいてもよい。
【0023】
また、上述した実施形態では、第2の露光に周辺露光装置から生じるUV光を用いたが、リソグラフィ工程で用いるレジストが感度を有していれば、UV光以外の光を用いることも可能である。
【0024】
また、上述した実施形態では、第1の露光にEUV光を用いたが、上述したようなフレアの影響が問題となる場合には、EUV光以外の光を用いることも可能である。
【0025】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0026】
11…半導体ウェハ
12…パターン転写領域
13…第2の露光が行われる領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面にレジスト膜が設けられた被処理基板の複数のパターン転写領域それぞれに対して反射光学系、反射型フォトマスク及びEUV光を用いて第1の露光を行う工程と、
前記パターン転写領域の一部にオーバーラップするようにして前記被処理基板の周辺領域に対して第2の露光を行う工程と、
を備え、
前記第2の露光は、前記パターン転写領域の配置に依存して行われる
ことを特徴とする露光方法。
【請求項2】
表面にレジスト膜が設けられた被処理基板の複数のパターン転写領域それぞれに対してフォトマスクを介して第1の露光を行う工程と、
前記パターン転写領域の一部にオーバーラップするようにして前記被処理基板の周辺領域に対して第2の露光を行う工程と、
を備えたことを特徴とする露光方法。
【請求項3】
前記第1の露光は、反射光学系を用いて行われる
ことを特徴とする請求項2に記載の露光方法。
【請求項4】
前記フォトマスクは、反射型フォトマスクである
ことを特徴とする請求項2に記載の露光方法。
【請求項5】
前記第1の露光は、EUV露光によって行われる
ことを特徴とする請求項2に記載の露光方法。
【請求項6】
前記第2の露光は、前記パターン転写領域の配置に依存して行われる
ことを特徴とする請求項2に記載の露光方法。
【請求項7】
請求項2の露光方法用いること特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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