説明

青色発光用途のためのクリセン類

本発明は、エレクトロルミネッセンス用途に有用な、青色発光が可能であるクリセン化合物に関する。本発明は、活性層がこのようなクリセン化合物を含む電子デバイスにも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願データ
本出願は、米国特許法第119(e)条に基づき2007年6月1日に出願された米国仮特許出願第60/941,404号明細書の優先権を主張し、この文献全体が参照として本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、青色発光するエレクトロルミネッセンスのクリセン化合物に関する。本発明は、活性層がこのようなクリセン化合物を含む電子デバイスにも関する。
【背景技術】
【0003】
ディスプレイを構成する発光ダイオードなどの光を発する有機電子デバイスは、多くの異なる種類の電子装置中に存在する。すべてのこのようなデバイスにおいては、2つの電気接触層の間に有機活性層が挟まれている。少なくとも1つの電気接触層は、光が電気接触層を通過できるように光透過性である。電気接触層に電気を印加すると、有機光活性層は、光透過性電気接触層を透過する光を発する。
【0004】
発光ダイオード中の活性成分として有機エレクトロルミネッセンス化合物が使用されることが知られている。アントラセン、チアジアゾール誘導体、およびクマリン誘導体などの単純な有機分子はエレクトロルミネッセンスを示すことが知られている。半導体共役ポリマーもエレクトロルミネッセンス成分として使用されており、たとえば、米国特許第5,247,190号明細書、米国特許第5,408,109号明細書、および欧州特許出願公開第443 861号明細書に開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、エレクトロルミネッセンス化合物、特に青色発光の化合物が引き続き必要とされている。
【0006】
式I:
【0007】
【化1】

(式中:
Ar1からAr4は、同一または異なり、アリールであり、Ar1からAr4の少なくとも1つは置換されており;
R1からR5およびR7からR11は、同一または異なり、Hおよび分岐アルキルからなる群から選択されるか、隣接するR基が互いに結合して5または6員環の脂肪族環を形成できるかであり、ここで、(i)R3が分岐アルキルであるか、(ii)R2およびR3が一緒になって5または6員環の脂肪族環を形成するかのいずれかであることを条件とする)
を有し、青色光を発することが可能である化合物が提供される。
【0008】
式Iの化合物を含む活性層を含む電子デバイスも提供する。
【0009】
本明細書において提示される概念の理解をすすめるために、添付の図面において実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】有機電子デバイスの一例の図である。
【0011】
当業者であれば理解しているように、図面中の物体は、平易かつ明快にするために示されており、必ずしも縮尺通りに描かれているわけではない。たとえば、実施形態を理解しやすいようにするために、図面中の一部の物体の寸法が他の物体よりも誇張されている場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0012】
多数の態様および実施形態が本明細書において開示されるが、これらは例示的で非限定的なものである。本明細書を読めば、当業者には、本発明の範囲から逸脱しない他の態様および実施形態が可能であることが理解されよう。
【0013】
任意の1つ以上の実施形態の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかとなるであろう。この詳細な説明では、最初に、用語の定義および説明を扱い、続いて、クリセン化合物、電子デバイス、そして最後に実施例を扱う。
【0014】
1.用語の定義および説明
以下に説明する実施形態の詳細を扱う前に、一部の用語について定義または説明を行う。
【0015】
用語の定義
本明細書において使用される場合、用語「化合物」は、原子からなる分子から構成される非帯電物質であって、これらの原子が、物理的手段によって分離することができない物質を意味することを意図している。デバイス中の層に言及するために使用される場合、語句「隣接する」は、ある層が別の層のすぐ隣にあることを必ずしも意味するものではない。他方で、語句「隣接するR基」は、化学式中で互いに隣同士であるR基(すなわち、1つの結合によって連結した複数の原子上に存在する複数のR基)を意味するために使用される。用語「光活性」は、エレクトロルミネッセンスおよび/または感光性を示すあらゆる材料を意味する。
【0016】
用語「アリール」は、1つの結合点を有する芳香族炭化水素から誘導される基を意味することを意図している。この用語には、1つの環を有する基、ならびに単結合によって連結したり、互いに縮合したりすることができる複数の環を有する基が含まれる。この用語はヘテロアリールを含むことを意図している。用語「アリーレン」は、2つの結合点を有する芳香族炭化水素から誘導される基を意味することを意図している。ある実施形態においては、アリール基は3〜60個の炭素原子を有する。
【0017】
用語「アルキル」は、1つの結合点を有する脂肪族炭化水素から誘導される基を意味することを意図しており、線状、分岐、または環状の基を含んでいる。この用語はヘテロアルキルを含むことを意図している。用語「アルキレン」は、脂肪族炭化水素から誘導され2つ以上の結合点を有する基を意味することを意図している。ある実施形態においては、アルキル基は1〜20個の炭素原子を有する。
【0018】
用語「分岐アルキル」は、少なくとも1つの第2級または第3級の炭素を有するアルキル基を意味する。用語「第2級アルキル」は、第2級炭素原子を有する分岐アルキル基を意味する。用語「第3アルキル」は、第3級炭素原子を有する分岐アルキル基を意味する。ある実施形態においては、分岐アルキル基は、第2級または第3級の炭素を介して結合している。
【0019】
用語「脂肪族環」は、非局在化π電子を有さない環状基を意味することを意図している。ある実施形態においては、脂肪族環は不飽和を有さない。ある実施形態においては、この環は1つの二重結合または三重結合を有する。
【0020】
用語「ビナフチル」は、単結合によって結合した2つのナフタレン単位を有する基を意味することを意図している。ある実施形態においては、ビナフチル基は、3位、4位、または5位で結合する1,1−ビナフチルであり;ある実施形態においては、1−ナフチル部分上の3位、4位、または5位、あるいは2−ナフチル部分上の4位または5位で結合する1,2−ビナフチルであり;ある実施形態においては、4位または5位で結合する2,2−ビナフチルである。
【0021】
用語「ビフェニル」は、単結合によって結合した2つのフェニル単位を有する(havin)基を意味することを意図している。この基は2位、3位、または4位で結合することができる。
【0022】
用語「青色」は、約400〜500nmの範囲内の波長で発光極大を有する放射線を意味する。
【0023】
接頭語「ヘテロ」は、1つ以上の炭素原子が異なる原子で置換されていることを示している。ある実施形態においては、この異なる原子はN、O、またはSである。
【0024】
すべての基は、非置換であってもよいし置換されていてもよい。ある実施形態においては、置換基は、ハライド、アルキル、アルコキシ、アリール、およびシアノからなる群から選択される。
【0025】
用語「層」は、用語「膜」と同義的に使用され、所望の領域を覆うコーティングを意味する。この用語は大きさによって限定されることはない。この領域は、デバイス全体の大きさであってもよいし、実際の視覚的表示などの特殊機能領域の小ささ、または1つのサブピクセルの小ささであってもよい。層および膜は、気相堆積、液相堆積(連続的技術および不連続な技術)、および熱転写などの従来のあらゆる堆積技術によって形成することができる。連続堆積技術としては、スピンコーティング、グラビアコーティング、カーテンコーティング、浸漬コーティング、スロットダイコーティング、スプレーコーティング、および連続ノズルコーティングが挙げられるが、これらに限定されるものではない。不連続堆積技術としては、インクジェット印刷、グラビア印刷、およびスクリーン印刷が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0026】
用語「有機電子デバイス」または場合により単に「電子デバイス」は、1つ以上の有機半導体層または有機半導体材料を含むデバイスを意味することを意図している。
【0027】
特に定義しない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されている意味と同じ意味を有する。本明細書に記載されているものと類似または同等の方法および材料を使用して、本発明の実施形態の実施または試験を行うことができるが、好適な方法および材料について以下に説明する。本明細書において言及されるあらゆる刊行物、特許出願、特許、およびその他の参考文献は、それらの記載内容全体が参照として援用される。矛盾が生じる場合には、定義を含めて本明細書に従うものとする。さらに、材料、方法、および実施例は、単に説明的なものであって、限定を意図したものではない。
【0028】
さらに、全体的にIUPAC番号方式が使用され、周期表の族は、左から右に1〜18の番号が付けられる(CRC Handbook of Chemistry and Physics,81st Edition,2000)。
【0029】
2.クリセン化合物
本発明の一態様は式I:
【0030】
【化2】

(式中:
Ar1からAr4は、同一または異なり、アリールであり、Ar1からAr4の少なくとも1つは置換されており;
R1からR5およびR7からR11は、同一または異なり、Hおよび分岐アルキルからなる群から選択されるか、隣接するR基が互いに結合して5または6員環の脂肪族環を形成できるかであり、ここで、(i)R3が分岐アルキルであるか、(ii)R2およびR3が一緒になって5または6員環の脂肪族環を形成するかのいずれかであることを条件とする)の組成物である。この化合物は青色発光が可能である。
【0031】
ある実施形態においては、分岐アルキル基は3〜8個の炭素原子を有する。ある実施形態においては、分岐アルキル基は、イソプロピルおよび2−ブチルからなる群から選択される第2級アルキルである。ある実施形態においては、分岐アルキル基は、t−ブチルおよび2−(2−メチル)−ブチルからなる群から選択される第3級アルキルである。
【0032】
ある実施形態においては、R3は分岐アルキル基である。ある実施形態においては、R1、R2、R5、およびR7からR11はHである。
【0033】
ある実施形態においては、R2およびR3を合わせたものが、5または6員環の脂肪族環を形成する。ある実施形態においては、この脂肪族環はシクロヘキシルおよびシクロペンチルからなる群から選択される。ある実施形態においては、この脂肪族環は1つ以上のアルキル置換基を有する。
【0034】
ある実施形態においては、Ar1からAr4は独立して、フェニル、ビフェニル、ナフチル、ビナフチル、フェニルナフチル、およびナフチルフェニルからなる群から選択される。ある実施形態においては、少なくとも1つのアリール基が、C1〜20アルキル、C1〜20アルコキシ、パーフルオロアルキル、シアノ、およびフルオロからなる群から選択される置換基を有する。ある実施形態においては、これらのアルキル、アルコキシ、およびパーフルオロアルキル基は1〜8個の炭素を有する。
【0035】
ある実施形態においては、Ar1およびAr3はフェニル基である。ある実施形態においては、Ar1およびAr3は、パーフルオロアルキル、シアノ、およびフルオロから選択される1つの置換基を有するフェニル基である。ある実施形態においては、このパーフルオロアルキル基はトリフルオロメチルである。ある実施形態においてはAr1およびAr3は、アルキル基およびアルコキシ基からなる群から選択される1〜5個の置換基を有するフェニル基である。
【0036】
ある実施形態においては、Ar2およびAr4は、フェニル基およびビフェニル基からなる群から選択される。ある実施形態においては、Ar2およびAr4は、少なくとも1つのアルキル置換基を有する。
【0037】
ある実施形態においては、青色クリセン化合物は化合物E1からE9:
【0038】
【化3】

【0039】
【化4】

【0040】
【化5】

【0041】
【化6】

【0042】
【化7】

から選択される。
【0043】
ある実施形態においては、青色クリセン化合物は以下のE10からE15
【0044】
【化8】

【0045】
【化9】

【0046】
【化10】

から選択される。
【0047】
化合物E10からE15中、Ar1からAr4は前述の通りである。ある実施形態においては、Ar1からAr4は、フェニルおよびビフェニルからなる群から選択される。ある実施形態においては、Ar1=Ar2およびAr3=Ar4である。ある実施形態においては、Ar1=Ar3およびAr2=Ar4である。
【0048】
本発明の新規クリセン類は、周知のカップリング反応および置換反応によって調製することができる。代表的な調製を実施例で示している。
【0049】
本明細書に記載のクリセン化合物は、液相堆積技術を使用して膜に成形することができる。ホストマトリックス中に分散させたこれらの材料の薄膜は、良好から優秀なフォトルミネッセンス特性および青色発光を示す。
【0050】
3.電子デバイス
本明細書に記載の青色発光材料を含む1つ以上の層を有することが有益となりうる有機電子デバイスとしては、(1)電気エネルギーを放射線に変換するデバイス(たとえば、発光ダイオード、発光ダイオードディスプレイ、またはダイオードレーザー)、(2)電子的過程を介して信号を検出するデバイス(たとえば、光検出器、光導電セル、フォトレジスタ、光スイッチ、光トランジスタ、光電管、IR検出器)、(3)放射線を電気エネルギーに変換するデバイス(たとえば、光起電力デバイスまたは太陽電池)、ならびに(4)1つ以上の有機半導体層を含む1つ以上の電子部品(たとえば、トランジスタまたはダイオード)を含むデバイスが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0051】
有機電子デバイス構造の一例を図1に示す。デバイス100は、第1の電気接触層のアノード層110、および第2の電気接触層のカソード層160、並びにそれらの間の光活性層140を有する。アノードに隣接して緩衝層120が存在する。緩衝層に隣接して、正孔輸送材料を含む正孔輸送層130が存在する。カソードに隣接して、電子輸送材料を含む電子輸送層150が存在することができる。選択肢の1つとして、デバイスは、アノード110の隣に1つ以上の追加の正孔注入層または正孔輸送層(図示せず)、および/またはカソード160の隣に1つ以上の追加の電子注入層または電子輸送層(図示せず)を使用することができる。
【0052】
層120から150は、個別および集合的に活性層と呼ばれる。
【0053】
一実施形態においては、種々の層は以下の範囲の厚さを有する:アノード110、500〜5000Å、一実施形態においては1000〜2000Å;緩衝層120、50〜2000Å、一実施形態においては200〜1000Å;正孔輸送層130、50〜2000Å、一実施形態においては200〜1000Å;光活性層140、10〜2000Å、一実施形態においては100〜1000Å;層150、50〜2000Å、一実施形態においては100〜1000Å;カソード160、200〜10000Å、一実施形態においては300〜5000Å。デバイス中の電子−正孔再結合領域の位置、したがってデバイスの発光スペクトルは、各層の相対厚さによって影響されうる。層の厚さの望ましい比は、使用される材料の厳密な性質に依存する。
【0054】
デバイス100の用途に依存するが、光活性層140は、印加電圧によって励起する発光層(発光ダイオード中または発光電気化学セル中など)、放射エネルギーに応答し、バイアス電圧の印加を使用してまたは使用せずに信号を発生する材料層(光検出器中など)であってよい。光検出器の例としては、光導電セル、フォトレジスタ、光スイッチ、光トランジスタ、および光電管、ならびに光起電力セルが挙げられ、これらの用語は、Markus、John、Electronics and Nucleonics Dictionary、470および476(McGraw−Hill, Inc.1966)に記載されている。
【0055】
a.光活性層
式Iのクリセン化合物は、層140中の光活性材料として有用である。これらの化合物は単独で使用することもできるし、ホスト材料と組み合わせることもできる。
【0056】
ある実施形態においては、ホストは、ビス縮合環状芳香族化合物である。
【0057】
ある実施形態においては、ホストは、アントラセン誘導体化合物である。ある実施形態においてはこの化合物は以下の式:
An−L−An
(式中:
Anはアントラセン部分であり;
Lは二価の連結基である)
で表される。この式のある実施形態においては、Lは、単結合、−O−、−S−、−N(R)−、または芳香族基である。ある実施形態においては、Anは、モノ−またはジフェニルアントリル部分である。
【0058】
ある実施形態においては、ホストは式:
A−An−A
(式中:
Anはアントラセン部分であり;
Aは、出現ごとに同一または異なり、芳香族基である)
で表される。
【0059】
ある実施形態においては、A基は、アントラセン部分の9位または10位に結合している。ある実施形態においては、Aは、ナフチル、ナフチルフェニレン、およびナフチルナフチレンからなる群から選択される。ある実施形態においては、この化合物は対称であり、ある実施形態においては、この化合物は非対称である。
【0060】
ある実施形態においては、ホストは式:
【0061】
【化11】

(式中:
1およびA2は、出現ごとに同一または異なり、H、芳香族基、およびアルケニル基からなる群から選択されるか、またはAが1つ以上の複合芳香環を表すことができ;
pおよびqは、同一または異なり、1〜3の整数である)
で表される。ある実施形態においては、アントラセン誘導体は非対称である。ある実施形態においては、p=2およびq=1である。ある実施形態においては、A1およびA2の少なくとも1つがナフチル基である。
【0062】
ある実施形態においては、ホストは
【0063】
【化12】

およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0064】
式Iのクリセン化合物は、光活性層中の発光ドーパントとして有用であることに加えて、光活性層140中の別の発光ドーパントの電荷キャリアホストとして機能することもできる。
【0065】
b.他のデバイス層
デバイス中の他の層は、そのような層中に有用であることが知られているあらゆる材料でできていてよい。
【0066】
アノード110は、正電荷キャリアの注入に特に有効な電極である。アノードは、たとえば金属、混合金属、合金、金属酸化物、または混合金属酸化物を含有する材料でできていいてもよいし、伝導性ポリマー、およびそれらの混合物であってもよい。好適な金属としては、11族金属、4〜6族の金属、および8〜10族の遷移金属が挙げられる。アノードが光透過性となるべき場合には、インジウムスズ酸化物などの12族、13族、および14族の金属の混合金属酸化物が一般に使用される。アノード110は、「Flexible light−emitting diodes made from soluble conducting polymer」、Nature 第357巻、pp 477−479(1992年6月11日)に記載されるようなポリアニリンなどの有機材料を含むこともできる。アノードおよびカソードの少なくとも1つは、発生した光を観察できるように、少なくとも部分的に透明であることが望ましい。
【0067】
緩衝層120は緩衝材料を含み、限定するものではないが、下にある層の平坦化、電荷輸送および/または電荷注入特性、酸素または金属イオンなどの不純物の捕捉、ならびに有機電子デバイスの性能を促進または改善する他の特徴などの、1つまたは複数の機能を有機電子デバイス中で有することができる。緩衝材料は、ポリマー、オリゴマー、または小分子であってよい。これらは、溶液、分散体、懸濁液、エマルジョン、コロイド混合物、またはその他の組成物の形態であってよい液体から気相堆積または堆積することができる。
【0068】
緩衝層は、プロトン酸がドープされることが多いポリアニリン(PANI)またはポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)などのポリマー材料で形成され得る。プロトン酸は、たとえば、ポリ(スチレンスルホン酸)、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)などであってよい。
【0069】
緩衝層は、銅フタロシアニンやテトラチアフルバレン−テトラシアノキノジメタン系(TTF−TCNQ)などの電荷輸送化合物などを含むことができる。
【0070】
ある実施形態においては、緩衝層は、少なくとも1種類の導電性ポリマーおよび少なくとも1種類のフッ素化酸ポリマーを含む。このような材料は、たとえば、米国特許出願公開第2004−0102577号明細書、米国特許出願公開第2004−0127637号明細書、および米国特許出願公開第2005/205860号明細書に記載されている。
【0071】
層130の正孔輸送材料の例は、たとえば、Y.Wangにより,Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology、第4版、第18巻、p.837−860、1996にまとめられている。正孔輸送分子および正孔輸送ポリマーの両方を使用することができる。一般に使用される正孔輸送分子は:N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(TPD)、1,1−ビス[(ジ−4−トリルアミノ)フェニル]シクロヘキサン(TAPC)、N,N’−ビス(4−メチルフェニル)−N,N’−ビス(4−エチルフェニル)−[1,1’−(3,3’−ジメチル)ビフェニル]−4,4’−ジアミン(ETPD)、テトラキス(3−メチルフェニル)−N,N,N’,N’−2,5−フェニレンジアミン(PDA)、a−フェニル4−N,N−ジフェニルアミノスチレン(TPS)、p−(ジエチルアミノ)ベンズアルデヒドジフェニルヒドラゾン(DEH)、トリフェニルアミン(TPA)、ビス[4(N,N−ジエチルアミノ)−2−メチルフェニル](4−メチルフェニル)メタン(MPMP)、1−フェニル−3−[p−(ジエチルアミノ)スチリル]−5−[p−(ジエチルアミノ)フェニル]ピラゾリン(PPRまたはDEASP)、1,2−trans−ビス(9H−カルバゾール−9−イル)シクロブタン(DCZB)、N,N,N’,N’テトラキス(4−メチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(TTB)、N,N’−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ビス−(フェニル)ベンジジン(α−NPB)、および銅フタロシアニンなどのポルフィリン系化合物である。一般に使用される正孔輸送ポリマーは、ポリビニルカルバゾール、(フェニルメチル)ポリシラン、およびポリアニリンである。ポリスチレンおよびポリカーボネートなどのポリマー中に、上述のものなどの正孔輸送分子をドープすることによって、正孔輸送ポリマーを得ることもできる。場合により、トリアリールアミンポリマー、特にトリアリールアミン−フルオレンコポリマーが使用される。場合により、これらのポリマーおよびコポリマーは架橋性である。
【0072】
層150中に使用可能な他の電子輸送材料の例としては、トリス(8−ヒドロキシキノラト)アルミニウム(Alq3)などの金属キレート化オキシノイド化合物;ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(p−フェニル−フェノラト)アルミニウム(III)(BAlQ);ならびに2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(PBD)および3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(TAZ)、および1,3,5−トリ(フェニル−2−ベンズイミダゾール)ベンゼン(TPBI)などのアゾール化合物;2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリンなどのキノキサリン誘導体;9,10−ジフェニルフェナントロリン(DPA)および2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(DDPA)などのフェナントロリン誘導体;ならびにそれらの混合物が挙げられる。層150は、電子輸送の促進と、層界面での励起子の消光を防止する緩衝層または閉じ込め層としての両方の機能を果たすことができる。好ましくは、この層は電子移動を促進し、励起子の消光を減少させる。
【0073】
カソード160は、電子または負電荷キャリアの注入に特に有効な電極である。カソードは、アノードよりも低い仕事関数を有するあらゆる金属または非金属であってよい。カソードの材料は、1族のアルカリ金属(たとえば、Li、Cs)、2族(アルカリ土類)金属、12族金属、たとえば希土類元素およびランタニド、ならびにアクチニドから選択することができる。アルミニウム、インジウム、カルシウム、バリウム、サマリウム、およびマグネシウム、ならびに組み合わせた材料を使用することができる。動作電圧を低下させるために、Li含有有機金属化合物、LiF、およびLi2Oを有機層とカソード層との間に堆積することもできる。
【0074】
有機電子デバイス中に別の層を有することが知られている。たとえば、注入される正電荷量を制御するため、および/または層のバンドギャップの整合性を促進するため、あるいは保護層として機能させるために、アノード110と緩衝層120との間に層(図示せず)が存在してもよい。銅フタロシアニン、ケイ素酸窒化物、フルオロカーボン類、シラン類、またはPtなどの金属の超薄層などの、当技術分野において周知の層を使用することができる。あるいは、アノード層110、活性層120、130、140、および150、あるいはカソード層160の一部またはすべては、電荷キャリア輸送効率を増加させるために表面処理を行うことができる。各構成層の材料の選択は、好ましくは、高いエレクトロルミネッセンス効率を有するデバイスを得るために発光層中の正電荷および負電荷の釣り合いを取ることによって決定される。
【0075】
各機能層は2つ以上の層で構成されてよいことを理解されたい。
【0076】
本発明のデバイスは、好適な基体上に個別の層を順次気相堆積するなどの種々の技術によって作製することができる。ガラス、プラスチック、および金属などの基体を使用することができる。熱蒸着、化学蒸着などの従来の気相堆積技術を使用することができる。あるいは、有機層は、限定するものではないが、スピンコーティング、浸漬コーティング、ロール・トゥ・ロール技術、インクジェット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷などの従来のコーティングまたは印刷技術を使用して、好適な溶媒中の溶液または分散体から適用することもできる。
【0077】
本発明は、2つの電気接触層の間に少なくとも1つの活性層を含む電子デバイスであって、デバイスの少なくとも1つ活性層が式1のクリセン化合物を含む電子デバイスにも関する。多くの場合デバイスは追加の正孔輸送および電子輸送層を有する。
【0078】
高効率LEDを実現するために、正孔輸送材料のHOMO(最高被占分子軌道)がアノードの仕事関数に合わせられることが望ましく、電子輸送材料のLUMO(最低空分子軌道)がカソードの仕事関数に合わせられることが望ましい。材料の化学的適合性および昇華温度も、電子輸送材料および正孔輸送材料の選択における重要な考慮事項である。
【0079】
本明細書に記載のクリセン化合物を使用して作製されたデバイスの効率は、デバイス中の別の層を最適化することによってさらに改善できることを理解されたい。たとえば、Ca、Ba、またはLiFなどのより効率的なカソードを使用することができる。動作電圧を下げ量子効率を増加させる成形基体および新規な正孔輸送材料も利用可能である。種々の層のエネルギー準位を調整しエレクトロルミネッセンスを促進するために追加層を加えることもできる。
【0080】
本発明のクリセン化合物は、多くの場合、蛍光性およびフォトルミネッセンスであり、酸素感受性インジケーターおよびバイオアッセイにおける蛍光インジケーターなど、OLED以外の用途において有用となりうる。
【実施例】
【0081】
以下の実施例により、本発明の特定の特徴および利点を説明する。これらは、本発明の説明を意図するものであり、限定を意図するものではない。特に明記しない限り、すべてのパーセント値は重量を基準としている。
【0082】
実施例1
この実施例では、化合物E1である3−イソ−プロピル−N6,N6,N12,N12−テトラキス(3,4−ジメチルフェニル)−クリセン−6,12−ジアミンの調製を示す。
【0083】
【化13】

【0084】
a.(Z)−1−(4−イソ−プロピルスチリル)ナフタレンの調製。
ドライボックス中で、1−ビニルナフタレン(9.80g、63.5mmol)および4−ブロモクメン(11.5g、57.8mmol)を250mlの丸底フラスコ中に入れ、80mlの乾燥DMF中に溶解させた。パラジウム触媒(trans−ジ(μ−アセタト)ビス[o−(ジ−o−トリルホスフィノ)ベンジル]ジパラジウム(II)、0.542g、0.58mmol)および酢酸ナトリウム(7.11g、86.6mmol)を最後に加え、続いて20mlの乾燥DMFを加えた。このフラスコに蓋をして、ドライボックスから取り出し、窒素をフラッシングした冷却器に取り付けた。反応混合物を120℃で60時間撹拌した。溶液を室温まで冷却し、750mlの水中に注いだ。水層をCH2Cl2(3×500ml)で抽出した。1つにまとめた有機層を水およびブライン(各500ml)で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、揮発分を真空下で除去した。粗生成物を、4インチのカラムに充填した25gのシリカ上に吸着させ、最初にヘキサン、次にヘキサン中20%のCH2Cl2で溶出させた。最初の画分を濃縮し、残留物を高真空下で乾燥させて6.3g(40%)の所望の生成物を得た。1H NMRは、文献(Beckmann et al.,Solid St.Nuc.Mag.Res.,1998,12,251)に報告されるものと類似している。
【0085】
b.3−イソ−プロピルクリセンの調製。
(Z)−1−(4−イソプロピルスチリル)ナフタレン(4g、7.34mmol)を、空気流入口および撹拌棒を取り付けた1Lの光化学容器(photochemical vessel)中の1Lの乾燥四塩化炭素中に溶解させた。この光化学容器の上部に2つの冷却器を取り付けた。反応混合物にハロゲンランプ(Hanovia、450W)を4時間照射した。揮発分を真空下で除去し、得られた固形分をトルエンで抽出して、1.6g(40%)の黄色粉末を得た。1H NMR(CD2Cl2、LIMS 643357):□1.32(d,6H,J=6.8Hz)、3.02(sept,1H,J=6.8Hz)、7.34〜7.47(m,3H)、7.73〜7.79(m,4H)、8.44(d,1H,J=9.3Hz)、8.52(s,1H)、8.53(d,1H,J=9.2Hz)、8.6(d,1H,J=9.2Hz)。
【0086】
c.6,12−ジブロモ−3−イソ−プロピルクリセンの調製
Kodomari et al.,J.Org.Chem.,1988,2093に記載のようにして臭素化を行った。収率22.5%。1H NMR(CD2Cl2):δ1.21(d,6H,J=6.8Hz)、2.83(sept,1H,J=6.8Hz)、7.28〜7.39(m,3H)、8.08(d,1H,J=8.4Hz)、8.22(s,1H)、8.37(d,1H,J=8.8Hz)、8.39(dd,1H,J=1.2、8.2Hz)、8.73(s,1H)、8.94(s,1H)。
【0087】
d.E1の調製
ドライボックス中で、6,12−ジブロモ−3−イソ−プロピルクリセン(0.55g、1.28mmol)およびビス(3,4−ジメチルフェニル)アミン(0.593g、2.63mmol)を肉厚ガラス管中で混合し、15mlのトルエン中に溶解させた。次にトリス(tert−ブチル)ホスフィン(0.052g、0.26mmol)およびトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.118g、0.13mmol)を加え、続いてナトリウムtert−ブトキシド(0.296g、3.08mmol)および5mlの乾燥トルエンを加えた。ガラス管を密封して、ドライボックスから取り出し、100℃の油浴中に24時間入れた。反応混合物を室温まで冷却し、80mlのジクロロメタンで希釈し、セライトおよびシリカのプラグで濾過した。プラグをさらなる200mlのジクロロメタンで洗浄した。濾液を1つにまとめ、減圧下で揮発分を除去して、暗黄色固体を得た。ヘキサン中10%のジクロロメタンを使用したシリカ上のカラムクロマトグラフィーによってさらに精製を行った。第2の溶出画分を蒸発させると、750mg(81%)の鮮黄色粉末が得られた。1H NMR(CD2Cl2):δ1.22(d,6H,J=7Hz)、2.03(s,12H)、2.10(s,12H)、3.02(sept,1H,J=7Hz)、6.69〜6.77(m,4H)、6.82(dd,4H,J=2.1、6.5Hz)、6.87(dd,4H,J=2.7、8.2Hz)、7.98(d,1H,J=8.4Hz)、8.03(d,1H,J=8.4Hz)、8.27(s,1H)、8.36(s,1H)、8.43〜8.47(m,2H)。
【0088】
実施例2
この実施例では、化合物E2である3−tert−ブチル−N6,N6,N12,N12−テトラキス(3,4−ジメチルフェニル)−クリセン−6,12−ジアミンの調製を示す。
【0089】
【化14】

【0090】
a.1−(4−tert−ブチルスチリル)ナフタレンの調製。
オーブンで乾燥させた500mlの三口丸底フラスコに、磁気撹拌子、添加漏斗、および窒素流入口コネクターを取り付けた。このフラスコに、塩化(1−ナプチルメチル)トリフェニルホスホニウム(12.07g、27.5mmol)および200mlの無水THFを投入した。水素化ナトリウム(1.1g、25mmol)を1回で加えた。この混合物は鮮橙色になり、室温で終夜撹拌した。カニューレを使用して添加漏斗に無水THF(30ml)中の4−tert−ブチル−ベンズアルデヒド(7.1g、25mmol)の溶液を加えた。このアルデヒド溶液を45分かけて反応混合物に滴下した。反応物を室温で24時間撹拌した(橙色は消失した)。反応混合物にシリカゲルを加え、揮発分を減圧下で除去した。得られた粗生成物を、ヘキサン5〜10%のジクロロメタンを使用したシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーで精製した。生成物は、シスおよびトランス異性体の混合物(6.3g、89%)として単離され、これを分離せずに使用した。1H NMR(CD2Cl2):δ1.27(s,9H)、7.08(d,1H,J=16Hz)、7.33〜7.49(m,7H)、7.68(d,1H,J=7.3Hz)、7.71(d,1H,J=8.4Hz)、7.76〜7.81(m,2H)、8.16(d,1H,J=8.3Hz)。
【0091】
b.3−tert−ブチルクリセンの調製。
1−(4−tert−ブチルスチリル)ナフタレン(4.0g、14.0mmol)を、窒素流入口および撹拌棒を取り付けた1リットルの光化学容器中の乾燥トルエン(1l)に溶解させた。乾燥プロピレンオキシドの瓶を氷水中で冷却してから、シリンジで100mlのエポキシドを抜き取り、上記反応混合物に加えた。最後にヨウ素(3.61g、14.2mmol)を加えた。光化学容器に冷却器を取り付け、ハロゲンランプ(Hanovia、450W)を点灯した。反応混合物中にヨウ素が残留しないことがその色の消失から明らかになると、ランプを消灯して反応を停止させた。反応は3.5時間で終了した。減圧下でトルエンおよび過剰のプロピレンオキシドを除去すると、暗黄色固体が得られた。粗生成物を少量のヘキサン中の25%ジクロロメタンに溶解させ、中性アルミナの4インチのプラグに通し、ヘキサン中の25%ジクロロメタン(約1リットル)で洗浄した。揮発分を除去すると、3.6g(91%)の3−tert−ブチルクリセンが黄色固体として得られた。1H NMR(CD2Cl2):δ1.41(s,9H)、7.51(app t,1H)、7.58(app t,1H)、7.63(dd(1H,J=1.8、8.4Hz)、7.80〜7.92(m,4H)、8.54(d,1H,J=9.1Hz)、8.63〜8.68(m,3H)。
【0092】
c.6,12−ジブロモ−3−tert−ブチルクリセンの調製
3−tert−ブチルクリセン(4.0g、14.1mmol)およびトリメチルホスフェート(110ml)を500mlの丸底フラスコ中で混合した。臭素(4.95g、31mmol)を加えた後、フラスコに還流冷却器を取り付け、反応混合物を油浴中105℃で1時間撹拌した。ほとんどすぐに白色沈殿が形成された。少量の氷水(100ml)上に注ぐことによって、反応混合物の後処理を行った。この混合物を減圧濾過し、水で十分に洗浄した。得られた黄褐色固体を真空下で乾燥させた。粗生成物をメタノール(100ml)中で沸騰させ、室温まで冷却し、再び濾過すると、3.74g(60%)の白色固体が得られた。1H NMR(CD2Cl2):δ1.46(s,9H)、7.70(m,2H)、7.79(dd,1H,J=1.9、8.8Hz)、8.28(d,1H,J=8.7Hz)、8.36(dd,1H,J=1.5、8.0)、8.60(d,1H,J=1.8Hz)、8.64(dd,1H,J=1.5、8.0Hz)、8.89(s,1H)、8.97(s,1H)。
【0093】
d.3−tert−ブチル−N6,N12−ビス(3,4−ジメチルフェニル)クリセン−6,12−ジアミンの調製。
ドライボックス中で、6,12−ジブロモ−3−tert−ブチルクリセン(9.7g、21.94mmol)および3,4−ジメチルアニリン(5.58g、46.1mmol)を500mlの丸底フラスコ中で混合し、200mlの乾燥トルエン中に溶解させた。トリス(tert−ブチル)ホスフィン(0.080g、0.395mmol)およびトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.180g、0.197mmol)を25mlの乾燥トルエン中に溶解させ、10分間撹拌した。この触媒溶液を上記反応混合物に加え、10分間撹拌し、続いてナトリウムtert−ブトキシド(4.2g、43.9mmol)および100mlの乾燥トルエンを加えた。さらに10分後、反応フラスコをドライボックスから取り出し、窒素ラインに取り付け、80℃で終夜撹拌した。翌日、反応混合物を室温まで冷却し、シリカゲルおよびセライトの4インチのプラグに通して濾過し、1リットルのジクロロメタンで洗浄した。揮発分を減圧下で除去すると暗褐色固体が得られた。粗生成物を、500gのシリカゲルカラム(幅5インチ、高さ7インチ)上でヘキサン中のジクロロメタンのグラジエント(20%から50%)を使用してさらに精製した。1つにまとめた画分から、10.5g(91%)の生成物が黄色固体として得られた。1H NMR(CD2Cl2):δ1.39(s,9H)、2.15(s,6H)、2.16(s,6H)、5.94(s,1H)、5.98(s,1H)、6.70(dd,1H)、6.79(dd,1H)、6.86(app dd,2H)、6.97(app dd,2H)、7.48〜7.58(m,2H)、7.63(dd,1H)、8.01(d,1H)、8.05(dd,1H)、8.34(s,1H)、8.46〜8.53(m,3H)。
【0094】
e.E2の調製
ドライボックス中で、3−tert−ブチル−N6,N12−ビス(3,4−ジメチルフェニル)クリセン−6,12−ジアミン(5.0g、9.6mmol)および4−ブロモ−o−キシレン(4.1g、22.2mmol)を500mlの丸底フラスコ中で混合し、125mlの乾燥トルエン中に溶解させた。トリス(tert−ブチル)ホスフィン(0.037g、0.182mmol)およびトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.083g、0.091mmol)を50mlの乾燥トルエン中に溶解させ、10分間撹拌した。この触媒溶液を上記反応混合物に加え、10分間撹拌し、続いてナトリウムtert−ブトキシド(2.1g、22.2mmol)および50mlの乾燥トルエンを加えた。さらに10分後、反応フラスコをドライボックスから取り出し、窒素ラインに取り付け、80℃で終夜撹拌した。翌日、反応混合物を室温まで冷却し、シリカゲルおよびセライトの4インチのプラグに通して濾過し、0.5リットルのジクロロメタンで洗浄した。揮発分を減圧下で除去すると7.25gの黄色固体が得られた。粗生成物の一部(3.5g)を、110gのFlorosil(登録商標)カラム上でヘキサン中のジクロロメタンのグラジエント(10%から40%)を使用してさらに精製した。揮発分を除去すると、2.5g(72.4%)の生成物が淡黄色固体として得られた。1H NMR(CD2Cl2):δ1.31(s,9H)、2.037(s,3H)、2.044(s,3H)、2.11(br s,6H)、6.73(app t,4H)、6.82(app d,4H)、6.89(app dd,4H)、7.39(app t,1H)、7.45〜7.52(m,2H)、7.97(d,1H)、8.03(d,1H)、8.35〜8.48(m,4H)。
【0095】
実施例3
この実施例では、化合物E3である3,3’−(3−tert−ブチルクリセン−6,12−ジイル)ビス((3,4−ジメチルフェニル)アザンジイル)−ジベンゾニトリルの調製を示す。
【0096】
【化15】

【0097】
ドライボックス中で、3−tert−ブチル−N6,N12−ビス(3,4−ジメチルフェニル)クリセン−6,12−ジアミン(2.03g、3.88mmol)および3−ブロモベンゾニトリル(1.45g、7.95mmol)を肉厚ガラス管中に入れ、25mlの乾燥トルエン中に溶解させた。次にトリス(tert−ブチル)ホスフィン(0.031g、0.16mmol)およびトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.071g、0.08mmol)を加え、続いてナトリウムtert−ブトキシド(0.894g、9.31mmol)および5mlの乾燥トルエンを加えた。ガラス管を密封し、ドライボックスから取り出し、90℃の油浴中に16時間入れた。翌日、反応混合物を室温まで冷却した。ジクロロメタン(150ml)で希釈し、シリカゲルおよびセライトの4インチのプラグに通して濾過し、0.5リットルのジクロロメタンで洗浄した。揮発分を減圧下で除去すると、暗赤色固体が得られた。粗生成物を、シリカゲルカラム(幅2インチ、高さ6インチ)上で1:1v/vのヘキサン中ジクロロメタンを使用してさらに精製した。3つの画分を回収し、その真ん中の画分を、1×2インチのFlorosil(登録商標)プラグでジクロロメタンを使用してさらに精製した。得られた黄色溶液を減圧下で濃縮すると、0.97g(34.5%)の黄色固体が得られた(LCによると、florosilカラムの前よりも試料の純度の改善は示されなかった)。1H NMR(CD2Cl2):δ1.34(s,9H)、2.09(s,3H)、2.10(s,3H)、2.15(br s,6H)、6.9〜7.18(m,14H)、7.45(app t,1H)、7.56(m,2H)、7.93(d,1H)、8.45(br d,1H)、8.46(br s,1H)、8.52(m,2H)。
【0098】
実施例4
この実施例では、化合物E4である3−tert−ブチル−N6,N12−ビス(4−tert−ブチルフェニル)−N6,N12−ビス(3,4−ジメチルフェニル)クリセン−6,12−ジアミンの調製を示す。
【0099】
【化16】

【0100】
ドライボックス中で、3−tert−ブチル−N6,N12−ビス(3,4−ジメチルフェニル)クリセン−6,12−ジアミン(3.3g、6.3mmol)および1−ブロモ−4−tert−ブチルベンゼン(2.96g、13.9mmol)を500mlの丸底フラスコ中で混合し、125mlの乾燥トルエン中に溶解させた。トリス(tert−ブチル)ホスフィン(0.023g、0.11mmol)およびトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.052g、0.057mmol)を5mlの乾燥トルエン中に溶解させ、10分間撹拌した。この触媒溶液を上記反応混合物に加え、10分間撹拌し、続いてナトリウムtert−ブトキシド(1.33g、13.91mmol)および40mlの乾燥トルエンを加えた。さらに10分後、反応フラスコをドライボックスから取り出し、窒素ラインに取り付け、80℃で終夜撹拌した。翌日、反応混合物を室温まで冷却し、4インチのシリカゲルプラグおよび1インチのセライトプラグに通して濾過し、1.2リットルのクロロホルムで洗浄した。揮発分を減圧下で除去すると、5.6gの黄色固体が得られた。粗生成物の一部(3.5g)を、200gシリカゲルカラム上、ヘキサン中のクロロホルムのグラジエント(5%から20%)を使用してさらに精製した。揮発分を除去すると、4.5g(90.5%)の生成物が淡黄色固体として得られた。1H NMR(CD2Cl2):δ1.20(s,9H)、1.21(s,9H)、1.30(s,9H)、2.05(br s,3H)、2.06(br s,3H)、2.16(br s,6H)、6.78(app t,2H)、6.91(m,8H)、7.13(app d,2H)、7.16(app d,2H)、7.40(app t,1H)、7.50(m,2H)、7.97(d,1H)、8.04(d,1H)、8.38(d,1H)、8.42(br d,2H)、8.48(d,1H)。
【0101】
実施例5
この実施例では、化合物E5であるN6,N12−ビス(ビフェニル−4−イル)−3−tert−ブチル−N6,N12−ビス(4−tert−ブチルフェニル)クリセン−6,12−ジアミンの調製を示す。
【0102】
【化17】

【0103】
ドライボックス中で、3−tert−ブチル−6,12−ジブロモクリセン(1.8g、4.07mmol)およびN−(4−tert−ブチルフェニル)ビフェニル−4−アミン(2.58g、8.55mmol)を肉厚ガラス管中で混合し、20mlの乾燥トルエン中に溶解させた。トリス(tert−ブチル)ホスフィン(0.0148g、0.073mmol)およびトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.0335g、0.0366mmol)を10mlの乾燥トルエン中に溶解させ、10分間撹拌した。この触媒溶液を上記反応混合物に加え、10分間撹拌し、続いてナトリウムtert−ブトキシド(0.782g、8.14mmol)および20mlの乾燥トルエンを加えた。さらに10分後、反応フラスコをドライボックスから取り出し、窒素ラインに取り付け、80℃で終夜撹拌した。翌日、反応混合物を室温まで冷却し、4インチのシリカゲルプラグおよび1インチのセライトプラグに通して濾過し、1リットルのクロロホルムおよび300mlのジクロロメタンで洗浄した。揮発分を減圧下で除去すると、黄色固体がえら得た。粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによってヘキサン中のジクロロメタンのグラジエント(10%〜15%)を使用してさらに精製した。揮発分を除去すると、3.25g(90.5%)の生成物が黄色固体として得られた。1H NMR(CD2Cl2):δ1.22(s,9H)、1.23(s,9H)、1.31(s,9H)、7.04〜7.56(m,29H)、8.00(d,1H,J=8.8Hz)、8.07(dd,1H,J=1.1、8.3Hz)、8.44(d,1H,J=1.8Hz)、8.51(s,1H)、8.53(s,1H)、8.54(d,1H,J=8.3Hz)。
【0104】
実施例6
この実施例では、化合物E6である3−tert−ブチル−6,12−N,N’−ビス(4−tert−ブチルフェニル)−6,12−N,N’−ビス(m−フルオロフェニル)クリセンジアミンの合成を示す。
【0105】
実施例5に記載されるようにして、3−tert−ブチル−6,12−ジブロモクリセンおよびN−(4−tert−ブチルフェニル)−3−フルオロアニリンから化合物E6を調製した。収量820mg(84%)。1H NMR(dmf−d7):□1.32(s,9H)、1.33(s,9H)、1.45(s,9H)、6.69〜6.76(m,4H)、6.78〜6.83(m,2H)、7.28〜7.40(m,6H)、7.45〜7.50(m,4H)、7.68(ddd,1H,J=1.0、6.9、9.3Hz)、7.76(ddd,1H,J=1.4、6.9、8.4Hz)、7.82(dd,1H,J=1.8、8.7Hz)、8.18(d,1H,J=8.7Hz)、8.20(dd,1H,J=1.0、8.4Hz)、8.86(d,1H,J=1.7Hz)、8.97(s,1H)、9.0(d,1H,J=8.4Hz)、9.05(s,1H)。
【0106】
実施例7
この実施例では、化合物E7である3−tert−ブチル−6,12−N,N’−ビス(4−tert−ブチルフェニル)−6,12−N,N’−ビス(o−トリル)クリセンジアミンの合成を示す。
【0107】
実施例6に記載されるようにして、3−tert−ブチル−6,12−ジブロモクリセンおよびN−(o−トリル)−4−tert−ブチルアニリンから化合物E7を調製した。粗生成物は、ヘキサンおよびジエチルエーテルを使用して粉砕することによって精製した。収量700mg(78%)。1H NMR(dmf−d7):□1.26(s,9H)、1.28(s,9H)、1.32(s,9H)、2.13(s,3H)、2.17(s,3H)、6.74(d,2H,J=8.4Hz)、6.79(d,2H,J=8.6Hz)、7.14〜7.39(m,12H)、7.50(app t,1H,J=7.8Hz)、7.61(app t,1H,J=7.6Hz)、7.65(dd,1H,J=1.7、8.4Hz)、8.04(d,1H,J=8.9Hz)、8.07(dd,1H,J=0.8、8.4Hz)、8.31〜8.34(m,2H)、8.35(s,1H)、8.49(d,1H,J=8.4Hz)。
【0108】
実施例8
この実施例では、化合物E8、3−tert−ブチル−6,12−N,N’−ビス(4−ビフェニル)−6,12−N,N’−ビス(m−フルオロフェニル)クリセンジアミンの合成を示す。
【0109】
実施例6に記載されるようにして、3−tert−ブチル−6,12−ジブロモクリセンおよびN−(m−フルオロフェニル)−4−ビフェニルアミンから化合物E8を調製した。収量930mg(79.6%)。1H NMR(dmf−d7):□1.41(s,9H)、6.79(app dt,2H、J=2.4、8.4Hz)、6.90(br d,2H,J=11.6Hz)、6.96(m,2H)、7.28〜7.40(m,8H)、7.45(t,4H,J=7.5Hz)、7.62〜7.75(m,10H)、7.80(dd,1H,J=1.8、8.47Hz)、8.15(d,1H,J=8.8Hz)、8.18(dd,1H,J=1.1、8.3Hz)、8.90(d,1H,J=1.6Hz)、8.99(s,1H)、9.0(d,1H,J=8.3Hz)、9.15(s,1H)。
【0110】
実施例9
この実施例では、化合物E9、3−tert−ブチル−6,12−N,N’−ビス(4−tert−ブチルフェニル)−6,12−N,N’−ビス(4−(1−ナフチル)フェニル)クリセンジアミンの合成を示す。
【0111】
実施例6に記載されるようにして、3−tert−ブチル−6,12−ジブロモクリセンおよびN−(4−(1−ナフチル)フェニル)−4−tert−ブチルアニリンから化合物E9を調製した。粗生成物を、カラムクロマトグラフィーによってヘキサン中5〜12%のCH2Cl2を使用して精製した。収量440 mg(33.6%)。1H NMR(dmf−d7):□1.29(s,9H)、1.30(s,9H)、1.43(s,9H)、7.23(m,4H)、7.31(m,4H)、7.41〜7.46(m,10H)、7.46〜7.59(m,6H),7.66(app t,1H,J=7.6Hz)、7.75(app t,1H,J=7.6Hz)、7.81(dd,1H,J=1.8、8.5Hz)、7.93(dd,2H,J=3.3、8.4Hz)、8.25(d,1H,J=8.8Hz)、8.27(dd,1H,J=1.1、8.9Hz)、8.83(d,1H,J=1.7Hz)、8.98(s,1H)、8.99(d,1H,J=8.3Hz)、9.03(s,1H)。
【0112】
【表1】

【0113】
実施例10〜21
これらの実施例では、青色発光するデバイスの製造および性能を示す。以下の材料を使用した:
インジウムスズ酸化物(ITO):50nm
緩衝層=緩衝液1(25nm)、これはポリピロールおよびポリマーフッ素化スルホン酸との水性分散体である。この材料は、米国特許出願公開第2005/0205860号明細書の実施例1に記載の手順と類似の手順を使用して調製した。
正孔輸送層=ポリマーP1(20nm)
光活性層=13:1のホスト:ドーパント(48nm)
電子輸送層=テトラキス−(8−ヒドロキシキノリン)ジルコニウム(ZrQ)(20nm)
カソード=LiF/Al(0.5/100nm)
【0114】
OLEDデバイスは溶液処理と熱蒸着技術との組み合わせによって製造した。Thin Film Devices,Incのパターン化されたインジウムスズ酸化物(ITO)がコーティングされたガラス基体を使用した。これらのITO基体は、30オーム/スクエアのシート抵抗および80%の光透過率を有するITOがコーティングされたCorning 1737ガラスを主とするものである。これらのパターン化されたITO基体は、水性洗剤溶液中で超音波洗浄し、蒸留水ですすいだ。次に、このパターン化されたITOを、アセトン中で超音波洗浄し、イソプロパノールですすぎ、窒素気流中で乾燥させた。
【0115】
デバイス製造の直前に、このパターン化されたITO基体を洗浄したものをUVオゾンで10分間処理した。冷却の直後に、緩衝液1の水性分散体をITO表面上にスピンコーティングし、加熱して溶媒を除去した。冷却後、次に基体に正孔輸送材料の溶液をスピンコーティングし、加熱して溶媒を除去した。冷却後、基体に発光層溶液をスピンコーティングし、加熱して溶媒を除去した。基体をマスクし、真空室に入れた。熱蒸着によってZrQ層を堆積し、次にLiF層を堆積した。次に真空下でマスクを交換し、Al層を熱蒸着によって堆積した。真空室に通気し、ガラス蓋、デシカント(dessicant)、およびUV硬化性エポキシを使用してデバイスを封入した。
【0116】
OLED試料の特性決定を、それらの(1)電流−電圧(I−V)曲線、(2)エレクトロルミネッセンス放射輝度対電圧、および(3)エレクトロルミネッセンススペクトル対電圧を測定することによって行った。3つすべての測定を同時に行い、コンピュータで制御を行った。LEDのエレクトロルミネッセンス放射輝度を、デバイスを動作させるために必要な電流密度で割ることによって、ある電圧におけるデバイスの電流効率が求められる。この単位はcd/Aである。出力効率は、電流効率を動作電圧で割った値である。この単位はlm/Wである。デバイスデータを表2に示している。
【0117】
【化18】

【0118】
実施例10
この実施例では、青色ドーパントは化合物E1であり、ホストはH1であった。
【0119】
実施例11
この実施例では、青色ドーパントはE2であり、ホストはH1であった。
【0120】
実施例12
この実施例では、青色ドーパントはE3であり、ホストはH1であった。
【0121】
実施例13
この実施例では、青色ドーパントはE2であり、ホストはH2であった。
【0122】
実施例14
この実施例では、青色ドーパントは化合物E4であり、ホストはH1であった。
【0123】
実施例15
この実施例では、青色ドーパントは化合物E4であり、ホストはH2であった。
【0124】
実施例16
この実施例では、青色ドーパントは化合物E5であり、ホストはH1であった。
【0125】
実施例17
この実施例では、青色ドーパントは化合物E5であり、ホストはH2であった。
【0126】
実施例18
この実施例では、青色ドーパントは化合物E6であり、ホストはH1であった。
【0127】
実施例19
この実施例では、青色ドーパントは化合物E7であり、ホストはH1であった。
【0128】
実施例20
この実施例では、青色ドーパントは化合物E8であり、ホストはH1であった。
【0129】
実施例21
この実施例では、青色ドーパントは化合物E9であり、ホストはH1であった。
【0130】
【表2】

【0131】
概要または実施例において前述したすべての行為が必要なわけではなく、特定の行為の一部は不要である場合があり、1つ以上のさらに別の行為が、前述の行為に加えて実施される場合があることに留意されたい。さらに、行為が列挙されている順序は、必ずしもそれらが実施される順序ではない。
【0132】
以上の明細書において、具体的な実施形態を参照しながら本発明の概念を説明してきた。しかし、当業者であれば、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲から逸脱せずに種々の修正および変更を行えることが理解できよう。したがって、本明細書および図面は、限定的な意味ではなく説明的なものであると見なすべきであり、すべてのこのような修正は本発明の範囲内に含まれることを意図している。
【0133】
特定の実施形態に関して、利益、その他の利点、および問題に対する解決法を以上に記載してきた。しかし、これらの利益、利点、問題の解決法、ならびに、なんらかの利益、利点、または解決法を発生させたり、より顕著にしたりすることがある、あらゆる特徴が、特許請求の範囲のいずれかまたはすべての重要、必要、または本質的な特徴であるとして解釈すべきではない。
【0134】
本明細書において明記される種々の範囲内の数値が使用される場合、記載の範囲内の最小値および最大値の両方の前に単語「約」が付けられているかのように近似値として記載されている。この方法では、記載の範囲よりもわずかに上およびわずかに下のばらつきを使用して、その範囲内の値の場合と実質的に同じ結果を得ることができる。また、これらの範囲の開示は、ある値の一部の成分を異なる値の一部の成分と混合した場合に生じうる分数値を含めて、最小平均値と最大平均値との間のすべての値を含む連続した範囲であることを意図している。さらに、より広い範囲およびより狭い範囲が開示される場合、ある範囲の最小値を別の範囲の最大値と一致させること、およびその逆のことが本発明の意図の範囲内となる。
【0135】
別々の実施形態の状況において、明確にするために本明細書に記載されている特定の複数の特徴は、1つの実施形態の中で組み合わせても提供できることを理解されたい。逆に、簡潔にするため1つの実施形態の状況において説明した種々の特徴も、別々に提供したり、あらゆる副次的な組み合わせで提供したりすることができる。さらに、範囲内に記載される値への言及はわずかなばらつきを含んでおり、記載の範囲の上下の値を使用して、その範囲内の値と実質的に同じ結果を得ることができる。これらの範囲の開示は、ある値の一部の成分を異なる値の一部の成分と混合した場合に得られる場合がある小数値を含む、最小および最大の平均値の間のすべての値を含む連続的な範囲として意図されている。さらに、より広いおよびより狭い範囲が開示される場合、一方の範囲の最小値を他方の範囲の最大値と一致させる、またはその逆を行うことが、本発明の考慮の範囲内となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

(式中:
Ar1からAr4は、同一または異なり、アリールであり、Ar1からAr4の少なくとも1つは置換されており;
R1からR5およびR7からR11は、同一または異なり、Hおよび分岐アルキルからなる群から選択されるか、隣接するR基が互いに結合して5または6員環の脂肪族環を形成できるかであり、ここで、(i)R3が分岐アルキルであるか、(ii)R2およびR3が一緒になって5または6員環の脂肪族環を形成するかのいずれかであることを条件とする)
を有し、青色光を発することが可能である、化合物。
【請求項2】
前記分岐アルキル基が3〜8個の炭素原子を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R1、R2、R5、およびR7からR11がHであり、R3が分岐アルキル基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
R2およびR3をが一緒になって、シクロペンチルおよびシクロヘキシルからなる群から選択される脂肪族環を形成する、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
Ar1からAr4が、フェニル、ビフェニル、ナフチル、およびビナフチルからなる群から独立的に選択され、Ar1からAr4の少なくとも1つが、アルキル、アルコキシ、パーフルオロアルキル、シアノ、およびフルオロから選択される少なくとも1つの置換基を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
Ar1およびAr3がフェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
Ar1およびAr3が、パーフルオロアルキル、シアノ、およびフルオロからなる群から選択される1つの置換基を有する、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
Ar1およびAr3が、アルキル基およびアルコキシ基からなる群から選択される1〜5個の置換基を有する請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
Ar2およびAr4が、フェニル基およびビフェニル基からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
Ar2およびAr4が少なくとも1つのアルキル置換基を有する、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
第1の電気接触層、第2の電気接触層、およびそれらの間の少なくとも1つの活性層を含む有機電子デバイスであって、前記活性層が式I:
【化2】

(式中:
Ar1からAr4は、同一または異なり、アリールであり、Ar1からAr4の少なくとも1つは置換されており;
R1からR5およびR7からR11は、同一または異なり、Hおよび分岐アルキルからなる群から選択されるか、隣接するR基が互いに結合して5または6員環の脂肪族環を形成できるかであり、ここで、(i)R3が分岐アルキルであるか、(ii)R2およびR3が一緒になって5または6員環の脂肪族環を形成するかのいずれかであることを条件とする)
を有する化合物を含み;
前記化合物が青色光を発することが可能な、有機電子デバイス。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物を含む活性層。
【請求項13】
An−L−An
(式中:
Anはアントラセン部分であり;
Lは二価の連結基である):
A−An−A
(式中:
Anはアントラセン部分であり;
Aは、出現ごとに同一または異なり、芳香族基である)
から選択される式を有するホスト材料をさらに含む、請求項12に記載の活性層。
【請求項14】
前記ホストが式
【化3】

(式中:
1およびA2は、出現ごとに同一または異なり、H、芳香族基、およびアルケニル基からなる群から選択されるか、あるいはAが1つ以上の縮合芳香環を表すことができ;
pおよびqは、同じまたは異なるものであり、1〜3の整数である)
を有する、請求項13に記載の活性層。
【請求項15】
前記ホストが
【化4】

ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項14に記載の活性層。

【図1】
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【公表番号】特表2010−529027(P2010−529027A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−510410(P2010−510410)
【出願日】平成20年5月16日(2008.5.16)
【国際出願番号】PCT/US2008/063811
【国際公開番号】WO2008/147721
【国際公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】