説明

静脈内流体容器用のポート閉鎖システム

【課題】保存および使用中に汚染される可能性を低減するための添加剤ポート閉鎖アセンブリを提供する。
【解決手段】流体ポート14,16を有する流体容器において使用するポート閉鎖システム10は、投与および添加剤ポート閉鎖アセンブリ88,22を含む。キャップアセンブリ38が、投与ハウジング90に嵌合し、投与ハウジング90の内面を封止する。取り外し可能なキャップ44が、内面へのアクセスを提供する。添加剤アセンブリ88は、針を受け入れ、閉鎖された別の流体ポートを封止するリシールハウジング24を含む。別のキャップアセンブリ38が、リシールハウジング24に嵌合し、リシールハウジング24の内面を封止する。別の取り外し可能なキャップ44が、内面へのアクセスを提供する。リシール要素は、リシールハウジング24とキャップアセンブリ38との間に機械的に保持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者に医療用流体を投与する容器の分野に関する。より詳細には、本発明は、静脈内(IV)流体容器用のポート閉鎖システムに関する。
【背景技術】
【0002】
アクセスポートが、注入溶液容器で一般に使用され、溶液を患者に投与するため、または投与前に薬剤または他の溶液を容器に加えるために使用される。現在の溶液容器は、典型的には、患者に溶液を投与するための専用の出口ポートと、希釈剤または他の成分を容器に追加するための専用の入口ポートとを含み得る。
【0003】
出口ポートは、投与セットに結合されるように意図され、したがって、通常、投与ポートと呼ばれる。一方、入口ポートは、治療薬や栄養剤を部分的に充填された容器内へ注入できるように構成され、添加剤ポートとして特定されることもある。このような容器は、注入される添加剤の希釈剤として作用する、生理食塩水やデキストロースなどの滅菌溶液が部分的に充填されてもよい。その後、希釈された薬剤または栄養剤は、患者に直接または間接的に(すなわち別の溶液セットを介して)結合される投与セットによって、患者に投与される。
【0004】
投与される流体の滅菌を維持することが主に重要である。しかし、流体を投与するためまたは添加剤を導入するために接続する際、溶液容器の軽率なまたは不注意な取扱いにより、重大な汚染リスクが発生する可能性があることが分かっている。種々の構成部品を素早く操作しなければならない緊急事態が存在する場合に、このようなリスクは高まる可能性がある。
【0005】
組立てられた容器およびポートのオートクレーブ滅菌処理には、時間と大きなエネルギーを要する。組立てられたポートの最も内側の部品と、接触面と、蒸気が到達不可能なそれらの間のいずれの空隙も、容器の残りよりもオートクレーブ滅菌することが難しい。適切に滅菌すべき領域に到達するのが困難であるために、オートクレーブ滅菌サイクルの温度および/または継続時間を上げなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この点から、本発明の目的は、保存および使用中に汚染される可能性を低減するための添加剤ポート閉鎖アセンブリを提供することである。
【0007】
本発明の別の目的は、流体を取り出しまたは導入する際に取り扱いやすくするための添加剤ポート閉鎖アセンブリを提供することである。
【0008】
本発明の別の目的は、製造しやすくし、製造効率を上げるための添加剤ポート閉鎖アセンブリを提供することである。
【0009】
本発明の別の目的は、保存および使用中に汚染される可能性を低減するための投与ポート閉鎖アセンブリを提供することである。
【0010】
本発明のさらなる目的は、流体を取り出しまたは導入する際に取り扱いやすさを改善するための投与ポート閉鎖アセンブリを提供することである。
【0011】
本発明の別の目的は、挿入および取り出しの力が一定で、漏出しない、種々の直径のスパイクまたはピンを備えた投与セットを受けるよう構成された、投与ポート閉鎖アセンブリを提供することである。
【0012】
本発明の別の目的は、製造しやすくし、製造効率を上げるための投与ポート閉鎖アセンブリを提供することである。
【0013】
これらおよび他の目的は、当業者には明らかであろう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
流体ポートを有する流体容器において使用するためのポート閉鎖システムは、投与および添加剤ポート閉鎖アセンブリを含んでもよい。投与ポート閉鎖アセンブリは、穿孔ピンを受け入れ、閉鎖した1つの流体ポートを封止する投与ハウジングを含む。スリーブが、投与ハウジングのベース面を越えて内面から延びている。スリーブは、直径が異なる上部と下部を有する。キャップアセンブリは、投与ハウジングに嵌合し、投与ハウジングの内面を封止する。取り外し可能なキャップが、内面へのアクセスを可能にする。
【0015】
添加剤ポート閉鎖アセンブリは、針を受け入れ、閉鎖した別の流体ポートを封止するリシールハウジングを含む。キャップアセンブリは、リシールハウジングに嵌合し、リシールハウジングの内面を封止する。投与ポート閉鎖アセンブリと同様に、取り外し可能なキャップも、内面へのアクセスを可能にする。リシール要素は、リシールハウジングとキャップアセンブリとの間で、機械的に保持、固定、または捕獲されている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】流体容器において使用する、本発明のポート閉鎖システムの部分分解組立斜視図である。
【図2】流体容器、針、および穿孔ピンのセットとともに使用する、本発明のポート閉鎖システムの部分斜視図である。
【図3A】流体容器において使用する、本発明のポート閉鎖システムの部分断面分解組立図である。
【図3B】流体容器において使用する、本発明のポート閉鎖システムの部分断面組立図である。
【図4】本発明の添加剤ポート閉鎖アセンブリの断面図である。
【図5】針とともに使用する、本発明の添加剤ポート閉鎖アセンブリの断面図である。
【図6A】本発明のキャップアセンブリの側面図である。
【図6B】本発明のキャップアセンブリの斜視図である。
【図6C】図6Bの6C−6C線に沿って取った、キャップアセンブリの切り欠き部分の拡大部分断面図である。
【図7】本発明のリシール要素の断面図である。
【図8】本発明のリシール要素の斜視図である。
【図9】穿孔ピンのセットとともに使用する、本発明の投与ポート閉鎖アセンブリの断面図である。
【図10】本発明の投与ポート閉鎖アセンブリの一実施形態の断面図である。
【図11】別の投与ポート閉鎖アセンブリの実施形態の断面図である。
【図12】別の投与ポート閉鎖アセンブリの実施形態の断面図である。
【図13】別の投与ポート閉鎖アセンブリの実施形態の断面図である。
【図14】別の投与ポート閉鎖アセンブリの実施形態の断面図である。
【図15】別の投与ポート閉鎖アセンブリの実施形態の断面図である。
【図16】別のポート閉鎖システムの実施形態の斜視図である。
【図17】別のポート閉鎖システムの実施形態の斜視図である。
【図18】図4と同様の、添加剤ポート閉鎖アセンブリの代替実施形態の断面図である。
【図19】添加剤ポート閉鎖アセンブリの拡大部分断面図であり、キャップアセンブリがリシールハウジングに接合される前の図18の19−19線によって囲まれた領域を示す。
【図20】図19と同様の、添加剤ポート閉鎖アセンブリの拡大部分断面図であるが、キャップアセンブリがリシールハウジングに接合された後の同じ領域を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1から図3Aを参照すると、流体容器12において使用するポート閉鎖システム10が示されており、流体容器12は、注射針18および穿孔ピンのセット20がそれぞれアクセス可能な、第1の流体ポート14および/または第2の流体ポート16を有してもよい。充填チューブ13、15が、流体ポート14、16をそれぞれ画定している。
【0018】
図2から図5を参照すると、ポート閉鎖システム10は、2つのポート閉鎖アセンブリを含み、第1のポートアセンブリは、針18に第1の流体ポート14への滅菌アクセスを提供するように構成された添加剤ポート閉鎖アセンブリ22である。添加剤ポート閉鎖アセンブリ22は、流体容器12に結合して使用する前に、サブアセンブリとして組み立てられかつ滅菌されるように構成される。
【0019】
添加剤ポート閉鎖アセンブリ22は、充填チューブ13に取り付けることによって、閉鎖した第1の流体ポート14を封止するように構成された、ポートハウジング24(以下「リシールハウジング24」)を含む。リシールハウジング24は、第1の流体ポート14または充填チューブ13と結合されるように構成されたベース面26と、第1の流体ポート14から外側で面する内面28とを有する。開放シリンダ30が、内面26からベース面28に延び、上方リム32を有する。リシール隔膜34が、開放シリンダ30を封止するために開放シリンダ30に結合され、容器12からの流体の流れに対して閉鎖される。リシール隔膜34は、針18によって孔を開けられると、流体の流れに対して開放される。リシールフランジ36が、開放シリンダ30からほぼ径方向に延びる。リシールフランジ36は、針18を添加剤ポート閉鎖アセンブリ22に加えるときに、使用者が誤って刺すことを防ぐ。
【0020】
リシールフランジ36および開放シリンダ30は、また、リシールハウジング24と一体化される、市販の針のないアクセスシステム(図示せず)を収容するように、向けらされかつ配置される。米国特許第5,924,584号明細書には、本発明に適した、針のないアクセスシステムの一実施形態について記載している。この記述の全内容は、参照により本明細書内に特に組み込まれる。
【0021】
図3Aから図6Cを参照すると、添加剤ポート閉鎖アセンブリ22のキャップアセンブリ38は、リシールハウジング24に接続されている。一般に、キャップアセンブリ38は、リシールハウジング24の内面28に嵌合するように形成されたアンダーシェル40を含む。嵌合されると、キャップアセンブリ38は、汚染の可能性から内面28を封止する。封止された開口42が、キャップアセンブリ38内に設けられ、取り外し可能なキャップ44が、封止された開口42と内面28へのアクセスを提供する。取り外し可能なキャップ44が取り外されると、キャップアセンブリ38が、内面28を汚染の可能性から遮蔽するための滅菌バリアとして作用するため、添加剤ポート閉鎖アセンブリ22は再度滅菌される必要がない。取り外し可能なキャップ44は、一旦取り外すと再び接続することができないため、不正開封の証拠となる。さらに、キャップ44が、定位置にありながら孔が開けられた場合、孔はキャップ内に形成されたことを明瞭に示す(すなわち、不正開封がなされた)。
【0022】
キャップアセンブリ38は、単一構造であり、環状の脆い領域48によって、取り外し可能なキャップ44に接続された冠部46を含む。本明細書で使用される用語の「脆い領域」は、任意の破断可能な領域、または何らかの形態の破断可能なシールを備えた任意の領域を意味する。
【0023】
キャップアセンブリ38の冠部46は、アウターシェル50を有する。封止された開口42は、アウターシェル50とアンダーシェル40との間に延び、取り外し可能なキャップ44が取り外されると、内面28へのアクセスを提供する。保持リム54は、アンダーシェル40から、封止された開口42の周りに延びる。冠フランジ56は、封止された開口42からほぼ径方向に延びている。冠フランジ56は、針18を添加剤ポート閉鎖アセンブリ22に加えるときに、使用者が誤って刺すのを防止する。
【0024】
切り欠き領域58が、キャップアセンブリ38に形成され、切り欠き領域58近くの脆い領域48を弱くするために、脆い領域48と動作可能に結合されている。当業者は、本発明から逸脱することなく、切り欠き領域58が、図6Cに示すように取り外し可能なキャップ44、または冠部46にあることができることを理解するであろう。切り欠き領域58は、これらに限定されないが、部分的な角錐形、V字形、または部分的な円錐形を含む種々の力集束形状で形成されることができる。
【0025】
取り外し可能なキャップ44のカバー60は、脆い領域48によって封止された開口42の上方を封止する。カバー60は、針18または穿孔ピン20による手動穿孔に耐えるのに十分な厚みを有する。カバー60の材料の融点は、129℃〜144℃の範囲であり、組み立てられた後のカバーの下には空気室が存在するため、カバー60は、加熱滅菌中の形状変化に適応し、それによって、使用者は、カバー60の形状によって、添加剤ポート閉鎖アセンブリ22の滅菌された状態を認識することができる。
【0026】
使用者が、脆い領域48を切断し、カバー60を冠部46から分離するために引張要素62を手動で引き上げることができるよう、取り外し可能なキャップ44の引張要素62は、カバー60に接続されている。引張要素62は、レバー64を含み、レバー64は、カバーの片側に接続され、冠部46に隣接する。レバー64は、切り欠き領域58に隣接して位置決めされ、使用者の引き上げ力を、切り欠き領域58で引張要素62に集束させる。レバー64は、引張力集中体を画定する狭い断面領域を含む。引張力集中体は、脆い領域48に隣接して、切り欠き領域58の近くにある。好ましくは、引張力集中体は、レバー64の先端で丸みを帯びた側壁を有する横溝65によって画定されているが、構造によって、使用者の引き上げ力が切り欠き領域58で引張要素に集束または集中される限り、他の形状、向き、および位置であっても、本発明を損なわない。
【0027】
引張タブ66は、引張リング68によってレバー64に接続され、引張リング68上でレバー64の反対側に位置付けられている。引張タブ66には、使用者が引張要素62を手動で把持および引き上げる領域が設けられている。
【0028】
少なくとも1つの旋回要素70が、脆い領域48から径方向に間隔を空け、引張リング68上のレバー64から円周方向に間隔を空けている。より好ましくは、一組の旋回要素が、各旋回要素がレバー64から約90度等間隔を空けるように、位置付けられている。旋回要素70は、冠部46と接触し、不注意に脆い領域48に損傷を与えるのを防ぐために、引張要素62上の如何なる衝撃力も吸収するよう旋回する。必要に応じて、別の旋回要素を使用してもよい。
【0029】
図3A、図4、図5、および図7を参照すると、取り外し可能なキャップ44のリシール要素72は、冠部46のアンダーシェル40と、リシールハウジング24の内面28との間に位置付けられている。リシール要素72は、中心コア76から径方向に延びる環状の肩部74を有する。環状の肩部74は、中心コア76を、隆起した表面80を有する上部コア78と下部コア82とに分ける。
【0030】
隆起した表面80は、取り外し可能なキャップ44が外されると、キャップアセンブリ38内の封止開口42を越えて延在する。露出された隆起した表面80は、次に使用する間に、滅菌するのに便利なふき取り可能な領域を提供する。
【0031】
下部コア82は、リシールハウジング24の開放シリンダ30内に収容される。下部コア82の直径は、開放シリンダ30が、下部コア82を径方向内側に押して、それらの間にシールを提供し、穿孔すると、リシール要素72自体を再封止するように、開放シリンダ30の直径に対して選択される。言い換えると、下部コア82は、リシールハウジング24の開放シリンダ30に摩擦によって嵌合するか、または強制的に押し込められている。この摩擦による嵌合によって、後続の続く組立動作のための、リシールハウジング24内でリシール要素72を固定または保持する1つの手段が提供される。
【0032】
環状のリップ要素84が、環状の肩部74の外側リム86に接続されている。リム86とリップ要素84との接合部は、丸みまたは内側半径85を有する。リップ要素84は、環状の肩部74に対して横方向に、両方向に延在する。リップ要素84の上部および下部内側縁は、そこに面取りした内径または丸み87を有することにより、成形を容易にし、保持リム54またはリム32を環状の肩部74の方向に案内する。環状のリップ要素84は、保持リム54の外径よりも大きい内径と、冠フランジ56の外径よりも小さい外径とを有する。リシール要素72は、冠部46の保持リム54と、開放シリンダ30の上方リム32とによって、機械的に保持、保定、固定、またはより詳細には所定の位置に締め付けられている。保持リム54と上方リム32とは、キャップアセンブリ38とリシールハウジング24と一体に接続されると、環状の肩部74を保持するように、中心コア76とリップ要素84との間に収容される。環状の肩部74の圧縮されていない高さは、キャップ44とリシールハウジング24とが接合される場合に、保持リム54とリム32との間の距離と等しいか、より好ましくはそれよりも大きくなるように選択可能である。圧縮されていない高さを利用可能な距離よりも大きく選択することによって、肩部74でのリシール要素72の弾力材に所望の締め付け力または封止が与えられる。あるいは、最初、保持リム54と肩部74の上面との間に小さな隙間があってもよい。アセンブリ22の加熱滅菌でキャップ44が変形すると、隙間は、そのまま残るかまたは除去されてもよい。除去される場合、リム32、54は、環状の肩部74の下面および上面にそれぞれ当接または接触する。したがって、冠部46およびリシールハウジング24は、環状の肩部74およびリシール要素のリップ84とともに、協働してリシール要素72を固定する、ほぼ永続する機械的な第2の手段を提供する。第2の手段は、リシール要素72と開放シリンダ30との間の嵌合とは無関係であることができ、リシール要素72を所定位置に接着または据え込む別個の固定具や溶剤の必要をなくする。リシール要素72を所定位置に確実に保持することに加えて、キャップアセンブリ38は、リシール要素72を使用まで汚染から封止する取り外し可能なキャップ44を提供する。リシール要素72が所定位置に溶剤接着されても、据え込まれてもいないという事実にもかかわらず、その固定は、部品の大きさ、針ゲージ、針18への挿入力、またはキャップ44の除去の影響を受けない。リシール要素72は、自動的に機械的に所定位置に保持され、主に、冠部46とリシールハウジング24とを接続することによって、軸方向と径方向の両方の動きに対して制約される。
【0033】
図1から図3B、図9、および図10を参照すると、投与ポート閉鎖アセンブリ88が、ポート閉鎖システム10の第2のポート閉鎖アセンブリとして示されている。投与ポート閉鎖アセンブリ88は、穿孔ピンのセット20に第2の流体ポート16への滅菌アクセスを提供するように構成される。投与ポート閉鎖アセンブリ88はまた、流体容器12と結合して使用する前に、サブアセンブリとして組み立てられかつ滅菌されるように構成される。
【0034】
図1、図9、および図10を参照すると、投与ポート閉鎖アセンブリ88は、充填チューブ15に取り付けることによって、第2の流体ポート16を閉鎖して封止するように構成される第2のポートハウジング90(以下、「投与ハウジング90」)を含む。ベース面92が、第2の流体ポート16または充填チューブ15と結合されるように構成され、内面94が、第2の流体ポート16から外側に面するように構成される。
【0035】
封止リング95は、ベース面92から延び、第2の流体ポート16内に封止可能に収容されるように構成される。封止リング95は、固い構造で、約16mm(約5/8インチ)の大きな直径で、投与ポート閉鎖アセンブリ88の使用者の取扱いを容易にする。ポート16に熱封止し、その後オートクレーブ加熱滅菌処理している間に、封止リングを強固にし、変形に抵抗するために、随意の強固な帯状部分またはリブ97、より好ましくは、一組の間隔の空いたリブ97が、封止リング95の径方向内側に延在する。
【0036】
スリーブ96が、内面94からベース面92を越えて、封止リング95内に延びている。スリーブ96は、投与ハウジング90に接続された第2のキャップアセンブリ38の封止された開口42の下側に窪んでいる。この凹部は、投与ポート閉鎖アセンブリ88が開けられたときに、内面94が不注意に汚染されることからスリーブを保護する。スリーブ96は、上部98と下部100とを有する。上部98は、内面94と隣接し、下部100よりも小さい直径の開口104を有する。上部98と下部100との間の直径の差によって、スリーブ96は、異なる大きさの穿孔ピンのセット20を受け入れて、封止可能に結合し、種々の穿孔ピンのセット20における直径の変動を収容することができる。
【0037】
図10に開示される実施形態では、上部98の壁厚は略均一で、外面が凸面で、内面が凹面の銃弾弾頭構造で内側に向かってテーパ状である。テーパ形状は、これらに限定されないが、切断、(加熱を伴うか伴わない)圧延、または据え込みを含む、あらゆるよく知られている製造技術によって形成されることができる。上部98のテーパ形状は、好ましくは曲線であるが、直線テーパがまた用いられてもよい。使用中、使用者の指は、スリーブ96の約6.4mm(1/4インチ)以内であり、使用者は、穿孔ピンのセット20に対してスリーブ96の位置を容易に制御することができる。
【0038】
スリーブ96および封止リング95は、スリーブの基底部114で可撓性の環状接合部102に接続され、一体の本体を形成する。可撓性の接合部102は、使用中に、硬質の封止リング95に対してスリーブ96を僅かに変位させることができる。
【0039】
空気充満溝部106が、封止リング95とスリーブ96との間で、ベース面92に位置付けられている。溝部106によって、封止リング95は、加熱滅菌サイクル中に、容器12の内圧によって、必要に応じて収縮および拡大することができる。したがって、溝部106は、漏出や、許容不可能な挿入力または引抜き力の必要性を引き起こす可能性のある、大きな永続的変形から、スリーブ96を保護している。封止リング95とスリーブ96との間の接続によって、ピンの挿入および引抜き中に、穿孔ピンのセット20(図示せず)に締付力または封止力がかかる。基底部114を除いて封止リング95から物理的に分離されていることに加え、スリーブ96は、封止リング95および溝部106によって、オートクレーブ中に歪む可能性を防止されている。これは、溝部106によって、オートクレーブ中のスリーブ96に対する外圧が低減されるからである。
【0040】
投与隔膜110は、流体の流れ近くでスリーブ96を封止するように、スリーブ96に接続されている。投与隔膜110は、穿孔ピンのセット20によって孔を開けられると、流体の流れに対して開放される。
【0041】
投与フランジ112は、封止リング95から、したがってスリーブ96からほぼ径方向に延在する。スリーブ96周りの投与フランジ112は、使用者が穿孔ピンのセット20を加えるのに有効な標的区域を形成し、使用者が不注意に刺すのを防ぐ。
【0042】
第2のキャップアセンブリ38は、投与ポート閉鎖アセンブリ88を形成するように、投与ハウジング90に接続されている。アンダーシェル40は、投与ハウジング90の内面94に嵌合するように形成されている。嵌合されると、キャップアセンブリ38は、汚染の可能性から内面94を封止する。取り外し可能なキャップ44は、封止された開口42、したがって内面94へのアクセスを提供する。取り外し可能なキャップ44が取り外されると、キャップアセンブリ38が、汚染の可能性から内面94を遮蔽するように滅菌バリアとして働くため、投与ポート閉鎖アセンブリ88は再度滅菌されなくてもよい。
【0043】
図1を参照すると、ポートシステム10の製造の間に、ポートハウジング24/90、キャップアセンブリ38、およびリシール要素72が成形される。添加剤ポート閉鎖アセンブリ22は、キャップアセンブリ38とポートハウジング24との間にリシール要素72を位置付け、キャップアセンブリ38をポートハウジング24に永続的に接続することによって、形成される。投与ポート閉鎖アセンブリ88は、キャップアセンブリ38をポートハウジング90に接続することによって形成される。ポート閉鎖アセンブリ22/88は、キャップアセンブリ38をポートハウジング24/90に超音波溶接または放射熱溶融することによって一体に接続される。ポート閉鎖アセンブリ22/88は、照射によって滅菌される。照射された滅菌前のポート閉鎖アセンブリ22/88は、流体溶器12と実質的に結合されるかまたはそれに取り付けられるサブアセンブリを形成する。流体容器12は、これらに限定されないが、超音波溶接、放射熱溶融溶接、または高温タングによる熱封止を含む従来の手段によって、照射されたポート閉鎖アセンブリ22/88に封止される。結合されたポート閉鎖アセンブリ22/88および流体容器12は、その後、充填後オートクレーブによって、一定時間加熱滅菌される。
【0044】
ポート閉鎖アセンブリ22/88は、照射、滅菌、放射熱溶融溶接、および超音波溶接中に劣化しないポリマー混合物で形成される。本明細書で用いられる用語の「劣化する」は、材料が意図する目的に適していない程度にまで劣化することを意味する。ポリマー混合物はまた、超音波封止性、放射熱溶融封止性を与え、ポリマーが穿孔される場合にはコアリングを防ぐ。本明細書で用いられる用語の「コアリング」は、ゆるいポリマー微粒子の形成を結果として生じるように、穿孔時にポリマーを細分化する工程を意味する。ポリマー混合物が、超音波接合および/または放射熱溶融によって封止される能力によって、いずれの溶剤または据え込み接合の必要性がなくなり、ポート閉鎖システム10を一体に保持するために、追加の摩擦嵌合部品を設ける必要がなくなる。さらに、ポリマー混合物によって挿入力と引抜き力との間でバランスを取って、使用者の取扱いを容易にする。
【0045】
このようなポリマー混合物の一例として、これに限定されないが、市販のAtofina Z9470が70%と、市販のBasell KS359Pが30%の混合物が含まれる。他の適切なポリプロピレン共重合体とポリエチレン共重合体との混合物がまた、本発明から逸脱せずに用いられてもよい。
【0046】
材料は、IV流体容器12、充填チューブ13、15、ポートハウジング24、90、およびキャップアセンブリ38が、それらの設計に関連して、必要な容器およびポートシステムの機能性を与えるよう選択される。これらの部品間の機能の差は、多様な材料によって与えられ得る、異なる物理特性を要求するが、材料は、部品が接着剤なしに一体に接合可能な分子レベルで相溶性がなければならない。
【0047】
充填チューブ13、15は、IV流体容器12およびポートハウジング24、90の内側シーラント表面に封止可能な材料から形成される。充填チューブは、外観または容器12とポート14、16との間にチャネルを提供する機能に著しく影響を与える変形なしに、オートクレーブされることが可能でなければならない。ポリプロピレン単独重合体、ポリプロピレン共重合体、またはポリプロピレン共重合体とエラストマ特性を与える材料との混合物などのオレフィンを含む、容器12およびポートハウジング24、90のシーラント表面について、充填チューブ13、15は、ポリプロピレン単独重合体または共重合体を含むことが好ましい。単独重合体は、オートクレーブを通して良好な寸法の安定性を与えるが、共重合体は、共重合体のシーラント表面を有するIV容器12と良好な相溶性を与える。ランダムポリプロピレン共重合体、またはランダムポリプロピレン共重合体とエラストマ特性を与える材料との混合物を含む容器のシーラント表面とポートハウジングについて、充填チューブ13、15は、エチレン含有量が約2%〜約6%で、融点が約129℃〜約145℃の、ランダムポリプロピレン共重合体を含むことが好ましい。125℃でのオートクレーブに伴って変形するのを低減するために、ランダムポリプロピレン共重合体のエチレン含有量は約2%で、融点は約145℃であることがより好ましい。具体的には、ランダムポリプロピレン共重合体であるAtofina7825は、ポリプロピレン共重合体のシーラント層を備えた容器12と、ポリプロピレン共重合体の混合物を含むポートハウジング24、90とを用いて、最大約125℃のオートクレーブ温度で最良の結果を生むことが判明している。
【0048】
投与ポートハウジング90は、充填チューブ13とキャップアセンブリ38の両方に対してヒートシール可能でなければならず、また18kGy〜45kGy、より好ましくは18kGy〜32kGyのガンマ放射線に対して安定していなければならない。投与ポートハウジング90は、許容可能な力で穿孔ピン20を受け入れ、かつ保持可能な機能に著しく影響を与える変形なしに、最大約125℃でオートクレーブ可能でなければならない。好ましくは、投与ポートハウジング90に選択された材料は、高い溶融温度と良好なエラストマ特性を有する。材料の混合物は、個々の材料からは得られない特性を与えることが好ましい。ポリプロピレンベース材料は、主に、ポリプロピレンの充填チューブ13との化学的相溶性の点で好ましい。さらに、材料選択は、放射安定性、オートクレーブ温度、および用いられる穿孔ピンの直径の範囲に応じる。一般に、エチレン含有量が低い単独重合体や共重合体(例えば、エチレン含有率が2%のAtofina 7825)などの、融点がより高いポリプロピレンは、あまり変形せずに、オートクレーブに耐える。しかし、融点が高いポリプロピレンは、弾性率が比較的大きく、それによって、穿孔ピンの挿入力が大きくなり、使用可能な穿孔ピンの直径の範囲が制限される。融点が高いポリプロピレンはまた、添加剤で意図的に安定化しない限り、ガンマ放射線に対する安定性が劣る。融点が高いポリプロピレンの性能は、融点が高いポリプロピレンをより低い弾性率、すなわち放射安定性オレフィンと混合することによって改善できるが、エチレン含有率が高い(約6%以上)ランダム共重合体をベース材料として用いることが好ましい。エチレン含有量が高いと、オートクレーブによる変形に対して許容可能な抵抗を維持しながら、放射安定性が高まり、弾性率が下がる。また、エチレン含有量が高いと、必要な軟化材料の濃度が下がる。このような軟化材料の融点は低いことが多く、または、粘着性があり、射出成形するのが難しい。好ましくは、Atofina Z9470などのエチレン含有量が高いランダムポリプロピレン共重合体がベース材料に用いられる。
【0049】
修正されていない、エチレン含有率が高いランダムポリプロピレン共重合体によって、単一の穿孔ピンの直径に許容可能な性能を付与できるが、許容可能な穿孔ピンの直径範囲を広げ、放射安定度を高めるために、熱可塑性ポリオレフィンエラストマ(TPE)などのポリオレフィン共重合体で材料を軟化することが好ましい。許容可能な性能はまた、TPEと混合比を適切に選択して、エチレン含有率が低いポリプロピレンランダム共重合体のベース材料で得られることができる。ポリプロピレン共重合体と同様に、より柔軟なTPEは、一般に融点がより低い。エチレンヘキサンおよびエチレンオクタン共重合体フレキソマの弾性率は極めて低く、融点(それぞれ72℃と55℃)は、125℃のオートクレーブ温度を実質的に下回っている。しかし、エチレン含有量が低いランダム共重合体と、70%がポリプロピレン共重合体で30%がフレキソマの比率で混合すると、それらは、十分に軟化し、オートクレーブの寸法が安定する。Dow Affinity EG8100などのエチレンオクタンフレキソマは、穿孔ピンの挿入力を低減するために好ましい。BasellのAdflex材料などの共重合体マトリックス内で共重合されたエチレンプロピレンゴムを含むポリプロピレンランダム共重合体は、フレキソマよりも軟化しないが、融解温度はより高い(およそ144℃)。ポリプロピレンランダム共重合体は、Atofina Z9470などのエチレン含有率が高いランダムポリプロピレン共重合体のベース材料を軟化するのに極めて好適である。これは、ポリプロピレンランダム共重合体が、オートクレー部の寸法安定性を減ずることなく、剛性を減少させるからである。Basell Adflex KS359Pは、軟化および放射安定性を有効にすると分かっている1つの材料である。40%のZ9470/60%のKS359Pから、70%のZ9470/30%のKS359Pまでで作られた混合物が用いられてもよく、約70%のZ9470/30%のKS359Pの混合物がより好ましい。
【0050】
ポートキャップアセンブリ38は、投与ポートハウジング90および添加剤ポートハウジング24の両方に対して封止可能でなければならず、18kGy〜45kGy、より好ましくは18kGy〜32kGyのガンマ放射線に対して安定していなければならない。ポートキャップアセンブリ38は、滅菌を維持し、許容可能な引張力で開けられる機能に著しく影響を与える変形なしに、最大約125℃までオートクレーブ可能でなければならない。許容可能な開ける性能の鍵は、材料の剛性と引き裂き細部の厚さとの適切な組み合わせを展開することである。過度に硬い材料または厚い引き裂き細部を備えたキャップ44を開ける前に、引張リング68または引張要素62を上に開いてもよい。引張リング68は、キャップ44を開けずに伸ばされてもよく、またはキャップ44は、極めて柔らかい材料でオートクレーブ中に変形してもよい。必要な特性を最小限与える材料は、Atofina Z9470などのエチレン含有量が高いポリプロピレン共重合体と、Borealis Bosrsoft SD233CFなどのランダム異相ポリプロピレンである。しかし、TPE重合調整剤を用いて、開口する力を下げることが好ましい。投与ポートハウジング90に対する封止可能性を最大にするために、また、同じ材料が、ポートハウジング90で使用されたのと同じまたは同様の割合で用いられることが好ましい。Basell Adflex KS359Pが再び、オートクレーブの寸法安定性を損なわずに軟化するという点で、極めて好適である。100%のZ9470/0%のKS359Pから、70%のZ9470/30%のKS359Pの範囲が許容可能で、70%のZ9470/30%のKS359Pがより好ましい。
【0051】
投与ポートハウジング90と同様に、添加剤ポートハウジング24は、充填チューブ13とキャップアセンブリ38との両方に対して封止可能でなければならず、18kGy〜45kGy、より好ましくは18kGy〜32kGyのガンマ放射線に対して安定していなければならない。添加剤ポートハウジング24は、コアリングなしに針18によって穿孔可能な機能に大きな影響を与える変形なく、最大約125℃でオートクレーブ可能でなければならない。コアリングに耐えるために、選択された材料はエラストマ特性を有することが好ましい。Basell Adflex材料などの共重合体マトリックスで共重合されたエチレンプロピレンゴム共重合体を備えたポリプロピレンランダム共重合体は、弾性的で、70%のZ9470/30%のKS359Pポートキャップに対して封止可能である。Adflex KS359Pは、現在のAdflex生産ラインにおいて最も弾性的であるため、コアリング性能ではAdflex材料の中で好ましい。化学的相溶性を最大限にすることによって封止力を高め、射出成形中の排出を高めるために、キャップアセンブリ38と同じ70%/30%の混合比で同じ材料を用いることが好ましい。約0.5mm(18ミル)の意図されたポート隔膜34の厚さでコアリング性能を最大限にするために、40%のZ9470/60%のKS359Pから、0%のZ9470/100%のKS359Pの範囲が好ましい。射出成形、封止、およびコアリング性能を最適にするために、40%のZ9470/60%のKS359Pの混合がより好ましい。範囲は、隔膜の厚さによって調節されてもよく、一般に、隔膜が厚ければ厚いほど、高いエラストマ濃度が必要となる。音波または加熱溶接される種々の部品に用いられる樹脂の混合物は、適切な封止安全性または信頼性を妨げるほどには異なっていない融点を与えなければならない。
【0052】
図11を参照すると、投与ポート閉鎖アセンブリ88のさらに別の実施形態は、図10の実施形態と同じ特徴の多くを含むが、穿孔ピンのセット20(図示せず)に対して封止するように、テーパ状のスリーブ端部の代わりに、スリーブ96の開口104に隣接した、小さなワイパー116をさらに含む。穿孔ピンのセット20(図示せず)に対するワイパー116の封止によって、作動中に流体が漏出する可能性が低減される。当業者には、これに限定されないが、開口104の据え込みを含む種々の方法が、ワイパー116を形成するのに利用できることは理解されよう。ワイパー116はまた、図10のテーパ状のスリーブ端部と組み合わされてもよい。
【0053】
図12を参照すると、投与ポート閉鎖アセンブリ88のさらに別の実施形態では、図9から図11の実施形態の特徴のうちのいくつかが含まれ、ワイピング直径部119を有し、保持リム54と、肩部102から延びる投与リム120との間の所定の位置で、保持、固定、把持、またはより詳細には(特に加熱滅菌されると)締め付けられる、予め孔を開けられた投与封止座金118がさらに含まれている。投与封止座金118は、穿孔ピンのセット(図示せず)に接触して封止する。ピンのセット20を挿入および引き出すのに必要な力を軽減しかつバランスを取るために、ワイピング直径部119は中心に位置付けられ、予め孔を開けられた直径は、ワイピング直径部からの距離が増えるにつれて徐々に大きくしてもよい。
【0054】
図13を参照すると、投与ポート閉鎖アセンブリ88のさらに別の実施形態は、図12の実施形態の特徴のうちのいくつかを含み、保持リム54と、肩部102から延びる投与リム120との間の所定の位置に保持、固定、把持、またはより詳細には締め付けられる、添加剤ポート閉鎖アセンブリ22のリシール要素72と同様の投与リシール部118Aを含む。添加剤ポート閉鎖アセンブリ22内のリシール要素と同様に、投与リシール部118Aは、特にアセンブリ88が加熱滅菌されると、リム54と120とによって締め付けられる。投与リシール部118Aは、穿孔ピンのセット20(図示せず)に接して封止する。リシール要素118Aは、スリーブ96の開口104を完全に封止するため、隔膜110は、本実施形態では随意に省くことができる。リシール部118Aの中心隔膜121は、図13の実施形態では、比較的に厚い(0.050インチ、すなわち1.27mm超)。さらに別の実施形態は、図12および図13の特徴を組み合わせて、リシール要素118Aは、予め孔が開けられた開口もしくはワイピング直径部119、または図13に示した、少なくとも0.050インチ、すなわち1.27mmの厚い中心隔膜121よりも薄い(0.010インチ〜0.050インチ、すなわち0.254mm〜1.27mm)中心隔膜121を含む。この薄い隔膜構造は、リシール要素の成形を容易にし、望ましくない領域にバリを残さないという点で有利である。
【0055】
図14を参照すると、投与ポート閉鎖アセンブリ88のさらに別の実施形態が、図10の実施形態と同じ特徴のうちのいくつを含み、穿孔ピンのセット20(図示せず)に接して封止する、内径119Aを有する射出成形または押し出された投与封止座金118Bをさらに含む。封止座金118Bは、保持リム54とスリーブ96との間の所定の位置に、保持、固定、把持、またはより詳細には(特にアセンブリが加熱滅菌されると)締め付けられる。
【0056】
図15を参照すると、投与ポート閉鎖アセンブリ88の別の実施形態が、図11の実施形態と同様の小さなワイパー116を含む。しかし、ワイパー116およびスリーブ96は、小さなワイパー116がスリーブ96と異なるポリマー含有率を有するように、同時射出成形で成形される一体的な本体を形成している。ワイパー116は、イソプレンから形成され、穿孔ピンのセット20(図示せず)とともに作動している間、保持力を生成する。
【0057】
図16を参照すると、ポート閉鎖システム10の別の実施形態では、キャップアセンブリ38がカバーホイル122と取り替えられている。カバーホイル122は、剥離可能なフィルムストックで作られている。本実施形態では、リシール要素72は、所定の位置で据え込まれる。本体部分124が、投与ポートアセンブリ88と添加剤ポートアセンブリ22とを接合している。
【0058】
図17を参照すると、ポート閉鎖システム10の別の実施形態が、図16の実施形態と同じ特徴を含み、さらに、ハンドル部分126と流体容器12との間で空間127を画定するために、ポートアセンブリ22、28を接合するハンドル要素126を含み、それによって、使用者がハンドル部分126周りに指で輪を作ることができる。さらに、添加剤ポートアセンブリ22は、投与ポートアセンブリ88よりも大きさが小さく、投与ポートアセンブリ88に対して低く位置付けられて、添加剤ポートアセンブリ22を投与ポートアセンブリ88とさらに区別している。
【0059】
図18から図20を参照すると、添加剤ポート閉鎖アセンブリ22の別の実施形態が、上述のように、リシールハウジング24とリシール要素72とを含む。しかし、キャップアセンブリ38のアンダーシェル40Aは、いくつかの点で、先に記載したアンダーシェル40とは異なる。冠部46のアンダーシェル40Aは、リシール要素72のリップ部84と係合するために、少なくとも1つの封止要素150を含む。好ましくは、封止要素150は、リップ部84の上面89と係合する。
【0060】
当業者であれば、本開示から、封止要素150が、示した実施形態において種々の形態や形状を取ることが可能であると理解するであろうが、封止要素150は、少なくとも1つの突出部152を含み、突出部152は、アンダーシェル40Aから下向きに延び、アンダーシェルの片側で谷部154、156を画定する。突出部152は、断面が略V字型であってもよく、一点に集まり鈍く先が丸みのついた先端部162を形成する角度が付けられた辺158、160を有する。好ましくは、突出部152は、円形パターンでアンダーシェル40A周りに延びる。円形パターンは分割されて、円周方向に間隔を空けて突出部を形成してもよく、または分割されずに、連続した環状突出部を形成してもよい。あるいは、封止要素150は、同心状に配置された複数の突出部152を含んでもよい。
【0061】
図20に最もよく見られるように、封止要素150は、上述のように、冠部46のアンダーシェル40Aが、リシールハウジング24の内面28と接続、取り付け、または接合されると、アンダーシェル40Aと内側または内面28との間でリップ部84と係合する。突出部152または封止要素150の先端部162および角度が付けられた辺158、160は、リップ部84の上面89と接触し、かつ封止可能に係合する。リシール要素72は、突出部152周りで弾性変形する。突出部152が弾性リシール要素72と係合することによって、リップ部84上に締め付け力が与えられて、アンダーシェル40A上の突出部152とリシールハウジング24の内面28との間でそれを締め付ける。封止要素150が、十分に閉鎖された環状パターンで配置された1つまたは複数の突出部152を含む場合、この配置によって、この配置でなければリシール要素72の周りから通り抜ける可能性のある液体、蒸気、および気体に対して、有効な封止を提供する。本発明は、使用者が取り外し可能なキャップ44を除去する場合に、汚染物質が内面28まで到達するのを防止する役割を果たす。望ましくない液体、蒸気、または気体の出入りが、ポート閉鎖アセンブリ22、またはポート閉鎖アセンブリが取り付けられる流体容器12の滅菌中に防止される。本発明のこの実施形態によって、この実施形態でなければ、針18または同様の穿孔部材を挿入または取り出している間に生じる可能性のある動きに対して、リシール要素72をさらに制限するという別の利益が得られる。
【0062】
当業者であれば、図18から図20の原理が、単独または、本明細書で開示した他の特徴と組み合わせて適用可能であることを理解するであろう。例示目的であって、限定するためではなく、原理は、例えば、図13の実施形態など、リシール要素を利用する投与ポート閉鎖アセンブリにも適用可能である。
【0063】
以上から、本発明は、上述の目的の少なくとも全てを達成することがわかる。本発明によって、保存または使用中に、汚染の可能性を低減し、流体の取り出しおよび導入の際の取扱いの容易性を向上し、製造しやすく、製造の効率を上げるポート閉鎖システムが提供される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体ポートを有する流体容器において使用するポート閉鎖システムであって、
閉鎖状態で流体ポートを封止するように構成されたリシールハウジングを備え、該リシールハウジングが、流体ポートと結合されるように構成されたベース面と、流体ポートから外側に面するように構成された内面とを有し、開放シリンダが、内面からベース面に延び、上方リムを有し、隔膜が、流体の流れに対して閉鎖された開放シリンダを封止するように、開放シリンダに接続され、前記ポート閉鎖システムがさらに、
リシールハウジングに接続されたキャップアセンブリを備え、該キャップアセンブリが、内面を封止するために、リシールハウジングの内面に嵌合するように形成されたアンダーシェルと、内面の上に位置した封止された開口へのアクセスを提供する取り外し可能なキャップと、封止された開口の周りでアンダーシェルから延びる保持リムとを含み、前記ポート閉鎖システムがさらに、
アンダーシェルとリシールハウジングの内面との間に位置付けられたリシール要素を備え、該リシール要素が、保持リムと開放シリンダの上方リムとによって所定の位置に機械的に保持されるポート閉鎖システム。
【請求項2】
リシールハウジングおよびキャップアセンブリが、流体容器と共同して使用する前に、サブアセンブリとして組み立てられ、かつ予め滅菌されるように構成されたポートアセンブリを形成し、
ポート閉鎖システムは、流体容器の充填後に、流体容器とともに加熱滅菌されるように構成される、請求項1に記載のポート閉鎖システム。
【請求項3】
リシールハウジングが、リシールフランジをさらに含み、該リシールフランジが、開放シリンダからほぼ径方向に延び、使用者が不注意に刺すことから保護するように構成される、請求項1に記載のポート閉鎖システム。
【請求項4】
リシール要素は、中心コアと、環状肩部と、リップ要素とを含み、
環状肩部が、中心コアから径方向に延び、
リップ要素が、環状肩部に接続され、環状肩部を2つの方向に横切って延びる、請求項1に記載のポート閉鎖システム。
【請求項5】
リシール要素が、保持リムと上方リムとによって、所定の位置に機械的に固定され、
保持リムおよび上方リムが、中心コアとリップ要素との間に位置し、
保持リムおよび上方リムが、それぞれ環状肩部とクランプ係合している、請求項4に記載のポート閉鎖システム。
【請求項6】
中心コアは、取り外し可能なキャップが取り外されると、キャップアセンブリ内の封止された開口を越えて延びる隆起した表面を有する、請求項4に記載のポート閉鎖システム。
【請求項7】
中心コアが、リシールハウジングの開放シリンダ内に受け入れられ、
開放シリンダが、それらの間にシールを提供し、使用中に孔が開けられるとリシール要素自体をリシールするために、中心コアを押し付ける、請求項4に記載のポート閉鎖システム。
【請求項8】
リシール要素が、針のないアクセスシステムであり、
リシールフランジおよび開放シリンダが、リシールハウジングと動作可能に結合される針のないアクセスシステムを収容するように向けられかつ配置される、請求項1に記載のポート閉鎖システム。
【請求項9】
リシール要素が、弾性的であり、
アンダーシェルが、アンダーシェルとリシールハウジングの内面との間でリップ要素を封止可能に係合するために、アンダーシェルから突出した封止要素を含む、請求項4に記載のポート閉鎖システム。
【請求項10】
流体ポートを有する流体容器において使用するポート閉鎖システムであって、
流体ポートを閉鎖した状態で封止するように構成されたポートハウジングと、
ポートハウジングと接続されたキャップアセンブリとを備え、該キャップアセンブリが、一体的に構成され、脆い領域によって取り外し可能なキャップと接続された冠部を有し、
該冠部が、アウターシェルと、ポートハウジングと嵌合可能に接続されるアンダーシェルと、アウターシェルとアンダーシェルとの間に延びる封止された開口とを含み、
取り外し可能なキャップは、脆い領域によって封止された開口を覆って封止されたカバーと、カバーに接続された引張要素とを含み、該引張要素は、使用者が、脆い領域を切断しかつカバーを冠部から分離するように、引張要素を手動で引き上げることを可能にする、
ポート閉鎖システム。
【請求項11】
ポートハウジングおよびキャップアセンブリが、流体容器と結合して使用する前に、サブアセンブリとして組み立てられかつ予め滅菌されるように構成されたポートアセンブリを形成し、
ポート閉鎖システムが、流体容器の充填後に、流体容器とともに加熱滅菌するよう構成される、請求項10に記載のポート閉鎖システム。
【請求項12】
キャップアセンブリが、脆い領域を弱めるために、脆い領域と動作可能に結合されたキャップアセンブリに形成された切り欠き領域を有する、請求項10に記載のポート閉鎖システム。
【請求項13】
冠部が、封止された開口の周りでアンダーシェルから延びる保持リムを有し、
保持リムが、冠部とポートハウジングとの間でリシール要素を固定する、請求項10に記載のポート閉鎖システム。
【請求項14】
カバーが、加熱滅菌中に形状を変えて、使用者が、その形状によりカバーの滅菌状態を識別することができる、請求項10に記載のポート閉鎖システム。
【請求項15】
引張要素が、引張リングと、引張タブと、レバーとを含み、レバーが、冠部と隣接するカバーの一辺と接続され、引張タブが、引張リングによってレバーに接続され、かつ引張リングでレバーと反対側に位置し、引張タブが、引張要素を手動で把持するための領域を提供する、請求項10に記載のポート閉鎖システム。
【請求項16】
レバーが、切り欠き領域と隣接して位置し、引張要素を引っ張る使用者の力を切り欠き領域に集中させる、請求項15に記載のポート閉鎖システム。
【請求項17】
レバーが、引張要素を引っ張る使用者の力を切り欠き領域に集中させるように、脆い領域に隣接しかつ切り欠き領域の近くのレバー内の狭い断面積領域によって画定された引張力集中部分を含む、請求項15に記載のポート閉鎖システム。
【請求項18】
引張要素が、引張リング上のレバーから円周方向に間隔を空けた少なくとも1つの旋回要素をさらに含み、旋回要素が、冠部と接触し、衝突した場合に脆い領域への不注意な損傷を制限するように、引張要素を旋回させることを可能にする、請求項15に記載のポート閉鎖システム。
【請求項19】
ポートハウジングが、2つのポリプロピレン共重合体の混合物を含む材料から形成され、キャップアセンブリは、2つのポリプロピレン共重合体の混合物を含む材料から形成される、請求項10に記載のポート閉鎖システム。
【請求項20】
穿孔ピンと流体ポートを有する流体容器において使用するポート閉鎖システムであって、
流体ポートを閉鎖状態で封止するよう構成された投与ハウジングを備え、該投与ハウジングが、流体ポートと結合するように構成されるベース面と、流体ポートから外側方向に向くように構成される内面と、ベース面を越えて内面から延びるスリーブと、流体の流れに対してスリーブを封止するためにスリーブに接続された隔膜とを有し、
スリーブが、上部および下部を有し、上部が、内面に隣接し、かつ下部よりも直径が小さい開口を有し、上部と下部との間の直径の変化によって、穿孔ピンの直径にかかわらず、使用中に、スリーブが穿孔ピンを受け入れかつ穿孔ピンと封止可能に結合することを可能にし、前記ポート閉鎖システムがさらに、
投与ハウジングに接続されたキャップアセンブリを備え、該キャップアセンブリが、内面を封止するために、投与ハウジングの内面と嵌合するように形成されたアンダーシェルと、スリーブの上に位置した封止された開口へのアクセスを提供する取り外し可能なキャップとを含む、ポート閉鎖システム。
【請求項21】
投与ハウジングおよびキャップアセンブリが、流体容器と結合して使用する前に、サブアセンブリとして組み立てられかつ予め滅菌されるように構成されたポートアセンブリを形成し、
ポート閉鎖システムが、流体容器の充填後に、流体容器とともに加熱滅菌するように構成される、請求項20に記載のポート閉鎖システム。
【請求項22】
ベース面が、封止リングと溝部とを含み、封止リングが、流体ポート内に封止可能に収容されるように構成され、溝部が、封止リングとスリーブとの間に位置している、請求項20に記載のポート閉鎖システム。
【請求項23】
スリーブが、キャップアセンブリ内の封止された開口の下で窪み、スリーブが偶発的に汚染されるのを防止する、請求項20に記載のポート閉鎖システム。
【請求項24】
スリーブの上部が、開口に隣接したワイパーを含み、ワイパーの内径は、開口の直径よりも小さい、請求項22に記載のポート閉鎖システム。
【請求項25】
ワイパーが、スリーブとは異なる材料から形成され、スリーブ上に共射出成形される、請求項24に記載のポート閉鎖システム。
【請求項26】
スリーブの上部が、内側にテーパ状になっている、請求項22に記載のポート閉鎖システム。
【請求項27】
スリーブの上部が、凸状の外面を形成するように、曲線で内側にテーパ状になっている、請求項26に記載のポート閉鎖システム。
【請求項28】
スリーブの上部が、均一な壁厚と、凹状の内面を有する、請求項27に記載のポート閉鎖システム。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2011−245320(P2011−245320A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−151504(P2011−151504)
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【分割の表示】特願2007−548536(P2007−548536)の分割
【原出願日】平成17年12月21日(2005.12.21)
【出願人】(504308442)ホスピラ・インコーポレイテツド (50)
【Fターム(参考)】