説明

静電スクリーン印刷装置および静電スクリーン印刷方法

【課題】機能性粉体を対象物の所定の部位に均一に堆積させることができる静電スクリーン印刷装置および方法を提供する。
【解決手段】静電スクリーン印刷装置は、所定の形状を有するメッシュ網が形成されたスクリーン10に機能性粉体13を擦り込むと共に、スクリーン10と対象物1との間に電圧を印加することによって機能性粉体13を対象物1に付着させる。静電スクリーン印刷装置は、機能性粉体13をスクリーン10に擦り込むローラー12を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電力により機能性粉体を対象物に付着させる静電スクリーン印刷装置および静電スクリーン印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
機能性粉体を用いた工業製品においては、その製造工程において機能性粉体を部材に付着させる工程が存在する。従来では、このような機能性粉体を部材の上から単に振りかけたり、毛ブラシなどで機能性粉体を散布したりしている。
【0003】
最近では、工業製品の品質を高める観点から、粉体を付着させる対象物の所定の部位に機能性粉体を均一に堆積させる要請が高まってきている。しかしながら、上述したような従来の技術では、機能性粉体を対象物の所定の部位に均一に堆積させることができなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上述の問題点を解決するためになされたもので、機能性粉体を対象物の所定の部位に均一に堆積させることができる静電スクリーン印刷装置および静電スクリーン印刷方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した目的を達成するために、本発明の一態様は、静電力により機能性粉体を対象物に付着させる静電スクリーン印刷装置であって、所定の形状を有するメッシュ網が形成されたスクリーンと、前記機能性粉体を前記スクリーンに擦り込むローラーと、前記スクリーンと対象物との間に電圧を印加する電源とを備え、前記スクリーンは、前記対象物と非接触に配置されていることを特徴とする。
【0006】
本発明の他の態様は、静電力により機能性粉体を対象物に付着させる静電スクリーン印刷方法であって、所定の形状を有するメッシュ網が形成されたスクリーンを前記対象物と非接触に配置した状態で、前記スクリーンと前記対象物との間に電圧を印加し、ローラーで前記機能性粉体を前記スクリーンに擦り込むことで、前記機能性粉体を前記対象物に付着させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、スクリーンと対象物とは非接触に配置され、この状態で静電力により機能性粉体が対象物に付着するので、機能性粉体を所定の形状に沿って対象物に均一に付着させることができる。さらに、本発明によれば、従来では達成できなかった物品を製作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態に係る静電スクリーン印刷装置を示す図である。
【図2】図2は、本発明の他の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本発明の一実施形態に係る静電スクリーン印刷装置を示す図である。図1に示すように、静電スクリーン印刷装置は、対象物1の上方に配置されるステンシルスクリーン10と、スクリーン10上に置かれた弾性材からなるローラー12と、機能性粉体13をブラシ120に供給するホッパ14とを備えている。スクリーン10と対象物1とは非接触とされる。スクリーン10には文字や図形などの所定形状を有した印刷パターンがメッシュ網11によって形成されている。ローラー12としては、スクリーン10に対する粉体の擦込性の良さから軟質のウレタンスポンジが採用されている。より好ましくは、ローラー12は軟質の連泡ウレタンスポンジから形成される。
【0010】
ホッパ14からローラー12に供給される機能性粉体13は、ローラー12の回転によってスクリーン10に運ばれる。そして、機能性粉体13は回転するブラシ120によってスクリーン10のメッシュ網11に擦り込まれ、メッシュ網11を通ってスクリーン10の下方に押し出される。機能性粉体13は、回転するローラー12でスクリーン10のメッシュ網11に擦り込まれることによって摩擦帯電される。
【0011】
対象物1とスクリーン10との間には直流電源DCによって直流高電圧が印加されており、対象物1とスクリーン10との間に静電界が形成されている。メッシュ網11を通過し荷電された機能性粉体は、静電界中を対電極である対象物1に向かって直進して対象物1の表面に付着する。このようにして、スクリーン10の文字や図形などの印刷パターンが対象物1の表面に印刷される。機能性粉体13を擦り込みながら、ローラー12はスクリーン10上を図1の矢印に示すように移動させることが好ましい。ローラー12を移動させることに代えて、スクリーン10を移動させてもよい。さらに、機能性粉体13を擦り込むときに、スクリーン10上のローラー12をその回転軸方向に往復移動させることが好ましい。
【0012】
図1に示す例では、ホッパ14は、ローラー12上に機能性粉体を供給しているが、スクリーン10上に機能性粉体を直接供給してもよい。この場合、ホッパ14をスクリーン10に沿って水平に移動させながらスクリーン10上に機能性粉体を供給することが好ましい。ローラー12とホッパ14は独立して移動させてもよく、または一体に移動させてもよい。また、スクリーン10の下面に堆積した機能性粉体を除去するクリーナーを設けることが好ましい。
【0013】
異なる種類の機能性粉体を複数回に分けて対象物1に付着させることにより、対象物1上に異なる種類の機能性粉体からなる多層構造を形成することも可能である。
【0014】
図2は、本発明の他の実施形態を示す図である。図2に示すように、対象物1の上面は、マスキングシート15で覆われている。このマスキングシート15には、所定形状の溝や孔などからなる印刷パターンが形成されている。例えば、配線を導電性粉体で形成するときに、その配線パターンと同じ形状の印刷パターンが使用される。スクリーン10には、マスキングシート15の印刷パターンとほぼ同じ形状の印刷パターンがメッシュ網11により形成されていることが好ましい。
【0015】
マスキングシート15を対象物1上に配置した状態で上記と同様にスクリーン10と対象物1との間に電圧を印加し、ローラー12で機能性粉体をスクリーン10に摺り込むことにより、機能性粉体を対象物1に付着させる。その後、マスキングシート15を対象物1から外すことにより、輪郭のはっきりした模様が対象物1に印刷される。このマスキングシート15は、微細な模様を対象物1に印刷するときに特に有効である。
【0016】
本発明を適用することができる機能性粉体には、電極粉体、絶縁粉体、配線や導電膜を構成する導電性粉体、カーボン粉体、金属粉体、樹脂粉体、顔料、粉体塗料、粉体ゴム、半導体粉体、可食性粉体、粉末状の化学物質、その他静電力が作用するあらゆる機能性粉体が含まれる。
【0017】
また、本発明は、機能性粉体が使用されるあらゆる製品に適用可能であり、その例として、一次電池、二次電池、燃料電池などの化学電池、太陽電池などの物理電池、内燃機関などの動力機械の部品、化粧品、日常用品、絵柄が付された物品、家庭用品、被服、履物、半導体デバイス、コンデンサやダイオードなどの電気素子、製造装置や加工機械の部品、乗り物(自動車、自転車、オートバイ、鉄道、航空機、船舶など)の部品、医療機械器具、調理器具、文房具、建築部材、ガラス製品、家具、スポーツ用具、繊維、敷物、遊戯用器具などが挙げられる。
【0018】
上記列挙した機能性粉体および製品は例示にすぎず、本発明は、上述したような既存の機能性粉体および製品のみならず、全く新しい機能性粉体および製品にも適用することができる。
【0019】
さらに、本発明によれば、対象物に非接触で機能性粉体を積層させることができるので、従来にはなかった製品を製作することが可能となる。
【0020】
本発明は、上述の実施形態に限定されず、特許請求の範囲の記載に従って最も広く解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0021】
1 対象物
10 スクリーン
11 メッシュ網
12 ローラー
13 機能性粉体
14 ホッパ
15 マスキングシート
DC 直流電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電力により機能性粉体を対象物に付着させる静電スクリーン印刷装置であって、
所定の形状を有するメッシュ網が形成されたスクリーンと、
前記機能性粉体を前記スクリーンに擦り込むローラーと、
前記スクリーンと対象物との間に電圧を印加する電源とを備え、
前記スクリーンは、前記対象物と非接触に配置されていることを特徴とする静電スクリーン印刷装置。
【請求項2】
静電力により機能性粉体を対象物に付着させる静電スクリーン印刷方法であって、
所定の形状を有するメッシュ網が形成されたスクリーンを前記対象物と非接触に配置した状態で、前記スクリーンと前記対象物との間に電圧を印加し、
ローラーで前記機能性粉体を前記スクリーンに擦り込むことで、前記機能性粉体を前記対象物に付着させることを特徴とする静電スクリーン印刷方法。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−140016(P2012−140016A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2012−99696(P2012−99696)
【出願日】平成24年4月25日(2012.4.25)
【出願人】(596159153)ベルク工業有限会社 (6)
【Fターム(参考)】