説明

静電噴霧装置

【課題】異常噴霧を防止しつつ、十分な噴霧時間を確保する。
【解決手段】液体が充填された容器と、容器の内部に開口するノズルと、第1の印加電圧を容器内の液体に印加すると共に、電圧の極性を正極性と負極性とに切り換えて印加する電源部とを備え、電源部で第1の印加電圧を印加された液体がノズルの先端から霧化状態で噴霧される静電噴霧装置を対象としている。電源部の印加電圧の極性を切り換える前に、容器内の液体に印加する印加電圧を第1の印加電圧から段階的に減少させるよう電源部を調節する電圧コントローラを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電噴霧装置に関し、特に、過剰な電圧印加による異常噴霧対策に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、容器内に貯留された液体を噴霧させるための液体噴霧装置として、容器の出口となるノズルに送り込まれた液体を、ノズルの先端から電界強度によって噴霧させる静電噴霧装置が知られている。このような静電噴霧装置を特許文献1に示す。特許文献1に示す静電噴霧装置は、液体が貯留されたコンテナと、高電圧回路とを備え、コンテナにはノズルが取り付けられている。高電圧回路は、互いに反対極性の直流電圧が出力されるよう構成されている。つまり、特許文献1に示す静電噴霧装置は、高電圧回路から出力される電圧の極性を切り換えることで、ノズルの先端に正極性又は負極性の電圧を印加するようにしている。これにより、単一極性の電圧を印加した液体を噴霧して噴霧対象者に該単一極性の電荷が蓄積することによる電気的衝撃を防止している。
【特許文献1】特開平5−131160号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、図7に示すように、従来の静電噴霧装置(a)においては、所定長さの液糸(リガメント)が形成された噴霧状態が望ましい。ところが、上記静電噴霧装置(a)は、図8に示すように、電圧の極性を瞬時に切り換えるため、切り換えの前後で電圧差が2倍になり、ノズルに供給される液体量に対して印加電圧が過剰となるため、切り換えの直後で、図9に示すように、液糸(リガメント)が形成されない異常噴霧が発生するという問題があった。このような問題に対しては、図10に示すように、極性の切り換えを正弦波形として緩やかに電圧を変化させるという対策が考えられる。しかしながら、緩やかに電圧を変化させると、液体を噴霧させるため必要な電圧を印加する時間が少なくなる。このため、静電噴霧装置(a)から噴霧される液体量が減少してしまうという問題があった。
【0004】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、過剰な電圧による異常噴霧を防止しつつ、十分な液体噴霧量を確保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の発明は、液体が充填された容器(11)と、該容器(11)に取り付けられ、先端が容器(11)の外部に開口し、後端が容器(11)の内部に開口するノズル(15)と、容器(11)内の液体に第1の印加電圧を印加すると共に、該印加電圧の極性を所定時間毎に正極性と負極性とに切り換える電圧印加手段(45)とを備え、上記電圧印加手段(45)で上記第1の印加電圧を印加された液体がノズル(15)の先端から霧化状態で噴霧される静電噴霧装置であって、上記電圧印加手段(45)が印加電圧の極性を切り換える前及び後の少なくとも何れか一方において、上記第1の印加電圧よりも低い第2の印加電圧を所定時間に亘って印加するよう該電圧印加手段(45)を調節する電圧調節手段(46)を備えている。
【0006】
上記第1の発明では、まず、電圧印加手段(45)は容器(11)内の液体に、例えば正極性の第1の印加電圧を印加して該液体を荷電する。荷電された液体は、ノズル(15)内に供給される。そして、ノズル(15)の先端の液体は正極性の第1の印加電圧の電界強度によって外部へ引っ張られ、微細な液滴となってノズル(15)の先端から噴霧される。
【0007】
次に、電圧印加手段(45)は容器(11)内の液体に印加する電圧の極性を正極性から負極性に切り換える。このとき、電圧調節手段(46)は、電圧印加手段(45)を調節して電圧の極性の切り換え後に、負極性の第1の印加電圧よりも低く、且つ負極性の第2の印加電圧を所定時間に亘って容器(11)内の液体に印加させる。そして、電圧調節手段(46)は、電圧印加手段(45)を調節して負極性の第2の印加電圧を負極性の第1の印加電圧まで増加させて該第1の印加電圧を容器(11)内の液体に印加する。続いて、電圧印加手段(45)は容器(11)内の液体に印加する電圧の極性を負極性から正極性に切り換える。このとき、電圧調節手段(46)は、電圧印加手段(45)を調節して電圧の極性の切り換え後に、正極性の第1印加電圧よりも低く、且つ正極性の第2の印加電圧を所定時間に亘って容器(11)内の液体に印加させる。そして、電圧調節手段(46)は、電圧印加手段(45)を調節して正極性の第2の印加電圧を正極性の第1の印加電圧まで増加させて該第1の印加電圧を容器(11)内の液体に印加させる。
【0008】
一方、電圧印加手段(45)は容器(11)内の液体に印加する電圧の極性を正極性から負極性に切り換える。このとき、電圧調節手段(46)は、電圧印加手段(45)を調節して電圧の極性の切り換え前の正極性の第1の印加電圧を該第1の印加電圧よりも低く、且つ正極性の第2の印加電圧に減少させると共に、該第2の印加電圧を所定時間に亘って容器(11)内の液体に印加させる。電圧の極性が切り換わると、電圧調節手段(46)は、電圧印加手段(45)を調節して負極性の第1の印加電圧を容器(11)内の液体に印加する。続いて、電圧印加手段(45)は容器(11)内の液体に印加する電圧の極性を負極性から正極性に切り換える。このとき、電圧調節手段(46)は、電圧印加手段(45)を調節して電圧の極性の切り換え前の負極性の第1の印加電圧を、該第1の印加電圧よりも低く、且つ負極性の第2の印加電圧に減少させると共に、該第2の印加電圧を所定時間に亘って容器(11)内の液体に印加させる。電圧の極性が切り換わると、電圧調節手段(46)は、電圧印加手段(45)を調節して正極性の第1の印加電圧を容器(11)内の液体に印加させる。
【0009】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記電圧調節手段(46)は、上記電圧印加手段(45)の印加電圧の極性を切り換えた後に、上記容器(11)内の液体に印加する印加電圧を第1の印加電圧に向かって段階的に増加させるよう構成されている。
【0010】
上記第2の発明では、まず、電圧印加手段(45)は容器(11)内の液体に、例えば正極性の第1の印加電圧を印加して該液体を荷電する。荷電された液体は、ノズル(15)内に供給される。そして、ノズル(15)の先端の液体は正極性の第1の印加電圧の電界強度によって外部へ引っ張られ、微細な液滴となってノズル(15)の先端から噴霧される。
【0011】
次に、電圧印加手段(45)は容器(11)内の液体に印加する電圧の極性を正極性から負極性に切り換える。このとき、電圧調節手段(46)は、電圧印加手段(45)を調節して電圧の極性の切り換え後に、負極性の第1の印加電圧に向かって印加電圧を段階的に増加させる。そして、負極性の第1の印加電圧を容器(11)内の液体に印加する。続いて、電圧印加手段(45)は容器(11)内の液体に印加する電圧の極性を負極性から正極性に切り換える。このとき、電圧調節手段(46)は、電圧印加手段(45)を調節して電圧の極性の切り換え後に、正極性の第1印加電圧に向かって印加電圧を段階的に増加させる。そして、正極性の第1の印加電圧を容器(11)内の液体に印加する。
【0012】
第3の発明は、上記第1の発明において、上記電圧調節手段(46)は、上記電圧印加手段(45)の印加電圧の極性を切り換える前に、上記容器(11)内の液体に印加する印加電圧を第1の印加電圧から段階的に減少させるよう構成されている。
【0013】
上記第3の発明では、電圧印加手段(45)は容器(11)内の液体に、例えば正極性の第1の印加電圧を印加して該液体を荷電する。荷電された液体は、ノズル(15)内に供給される。そして、ノズル(15)の先端の液体は正極性の第1の印加電圧の電界強度によって外部へ引っ張られ、微細な液滴となってノズル(15)の先端から噴霧される。
【0014】
次に、電圧印加手段(45)は容器(11)内の液体に印加する電圧の極性を正極性から負極性に切り換える。このとき、電圧調節手段(46)は、電圧印加手段(45)を調節して電圧の極性の切り換え前の正極性の印加電圧を第1の印加電圧から段階的に減少させる。そして、電圧の極性が切り換わると、電圧調節手段(46)は、電圧印加手段(45)を調節して負極性の第1の印加電圧を容器(11)内の液体に印加させる。続いて、電圧印加手段(45)は容器(11)内の液体に印加する電圧の極性を負極性から正極性に切り換える。このとき、電圧調節手段(46)は、電圧印加手段(45)を調節して電圧の極性の切り換え前の負極性の印加電圧を第1の印加電圧から段階的に減少させる。そして、電圧の極性が切り換わると、電圧調節手段(46)は、電圧印加手段(45)を調節して正極性の第1の印加電圧を容器(11)内の液体に印加させる。
【0015】
第4の発明は、液体が充填された容器(11)と、該容器(11)に取り付けられ、先端が容器(11)の外部に開口し、後端が容器(11)の内部に開口するノズル(15)と、容器(11)内の液体に所定の印加電圧を印加すると共に、該印加電圧の極性を所定時間毎に正極性と負極性とに切り換える電圧印加手段(45)とを備え、上記電圧印加手段(45)で上記所定の印加電圧を印加された液体がノズル(15)の先端から霧化状態で噴霧される静電噴霧装置であって、上記容器(11)を圧迫することでノズル(15)の先端に所定の液体量を供給する液体供給手段(51)を備え、上記液体供給手段(51)は、少なくとも上記電圧印加手段(45)が印加電圧の極性を切り換える前又は後の何れかにおいて、上記ノズル(15)の先端に供給する液体量を上記所定の液体量よりも増加させるよう上記液体供給手段(51)を調節する供給量調節手段(53)を備えている。
【0016】
上記第4の発明では、まず、電圧印加手段(45)は容器(11)内の液体に、例えば正極性の所定電圧を印加して該液体を荷電する。一方、液体供給手段(51)は、荷電された液体をノズル(15)内に供給する。そして、ノズル(15)の先端の液体は正極性の所定電圧の電界強度によって外部へ引っ張られ、微細な液滴となってノズル(15)の先端から噴霧される。
【0017】
次に、電圧印加手段(45)は容器(11)内の液体に印加する電圧の極性を正極性から負極性に切り換える。このとき、供給量調節手段(53)は、液体供給手段(51)を調節し、上記切り換えに応じてノズル(15)の先端に供給する液体供給量を増加させる。そして、電圧印加手段(45)は容器(11)内の液体に負極性の所定電圧を印加して該液体を荷電する。ノズル(15)の先端の液体は負極性の所定電圧の電界強度によって外部へ引っ張られ、微細な液滴となってノズル(15)の先端から噴霧される。その後、電圧印加手段(45)は容器(11)内の液体に印加する電圧の極性を負極性から正極性に切り換える。このとき、供給量調節手段(53)は、液体供給手段(51)を調節し、上記切り換えに応じてノズル(15)の先端に供給する液体供給量を増加させる。そして、電圧印加手段(45)は容器(11)内の液体に正極性の所定電圧を印加して該液体を荷電する。ノズル(15)の先端の液体は正極性の所定電圧の電界強度によって外部へ引っ張られ、微細な液滴となってノズル(15)の先端から噴霧される。
【発明の効果】
【0018】
上記第1の発明によれば、電圧調節手段(46)を設けたため、電圧の極性の切換前又は後に第2の印加電圧を印加することができる。つまり、切換前に第2の印加電圧を印加した場合、切換時の容器(11)内の液体には、切換前の第2の印加電圧と、上記切換後の第1の印加電圧との電圧差が印加されることになる。また、切換後に第2の印加電圧を印加した場合、切換時の容器(11)内の液体には、切換前の第1の印加電圧と、上記切換後の第2の印加電圧との電圧差が印加されることになる。これにより、従来は、電圧の極性の切換前の第1の印加電圧と、切換後の第1の印加電圧との電圧差が液体に印加されていたのに対して、電圧差を低減させることができるため、容器(11)内の液体に過剰な電圧が印加されるのを確実に防止することができる。この結果、異常噴霧を防止しつつ、十分な液体噴霧量を確保することができる。
【0019】
上記第2の発明によれば、上記電圧印加手段(45)の印加電圧の極性を切り換えた後に、該印加電圧を第1の印加電圧に向かって段階的に増加させるようにしたため、電圧の極性の切換後に、第1の印加電圧よりも低い電圧を印加させることができる。つまり、電圧の極性の切換直後に直接第1の電圧が印加されることがない。これにより、容器(11)内の液体に過剰な電圧が印加されるのを確実に防止することができると共に、切換後は速やかに第1の電圧を印加することができる。この結果、異常噴霧を防止しつつ、十分な液体噴霧量を確保することができる。
【0020】
上記第3の発明によれば、上記電圧印加手段(45)の印加電圧の極性の切換前に、該印加電圧を第1の印加電圧から段階的に減少させるようにしたため、切換後に第1の印加電圧との間での電圧差を低減することができる。これにより、容器(11)内の液体に過剰な電圧が印加されるのを確実に防止することができると共に、切換後は速やかに第1の電圧を印加することができる。この結果、異常噴霧を防止しつつ、十分な液体噴霧量を確保することができる。
【0021】
上記第4の発明によれば、供給量調節手段(53)を設けたため、電圧の極性が切換前の所定電圧と、切換後の所定電圧との間に生じる電圧差に応じた液体量をノズル(15)の先端に供給することができる。これにより、容器(11)内の液体に過剰な電圧が印加されるのを確実に防止することができると共に、切換後に速やかに第1の電圧を印加することができる。この結果、異常噴霧を防止しつつ、十分な液体噴霧量を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0023】
〈発明の実施形態1〉
本発明の実施形態1について説明する。図1〜図3に示すように、本実施形態1の静電噴霧装置(1)は、卓上等に設置されて使用されるものである。この静電噴霧装置(1)は、本体部(30)と、台座用カバー(32)と、支持部(33)とを備えている。
【0024】
上記本体部(30)は、ハウジング(31)と、該ハウジング(31)に着脱自在に装着される噴霧カートリッジ(10)と、液体搬送手段(40)と、電源部(45)とを備えている。
【0025】
上記ハウジング(31)は、ハウジング本体(31a)と、該ハウジング本体(31a)の両端をそれぞれ覆う一対のカバー部材(31b,31c)とを備えている、
上記ハウジング本体(31a)は、円筒状に形成されている。ハウジング本体(31a)の下部には、該ハウジング本体(31a)を支持する支持部(33)が設けられている。ハウジング本体(31a)の略上部には、後述する噴霧カートリッジ(10)のノズル(15)を保護するためのシュラウド部(21)が形成されている。このシュラウド部(21)は、ハウジング本体(31a)の周方向の一部が外部に膨出してなっている。シュラウド部(21)の中央には、ノズル(15)の周囲を覆うように凹部(22)が形成されている。
【0026】
また、上記ハウジング本体(31a)の外周面には、シュラウド部(21)の下側にはLEDライト(36)が取り付けられている(図1では2個)。このLEDライト(36)は、噴霧カートリッジ(10)のノズル(15)の先端から噴霧される液体に向かって照射され、使用者が噴霧状態を確認するためのものである。また、図示はしないが、後述する定荷重ゼンマイ(41)の一端は、ハウジング本体(31a)の内部に取り付けられている。
【0027】
上記カバー部材(31b,31c)は、対となる第1カバー(31b)と、第2カバー(31c)とで構成されている。先ず、第1カバー(31b)は、ハウジング本体(31a)の一端面とほぼ同外形の円形に形成され、ハウジング本体(31a)の一端面を覆うように取り付けられている。第1カバー(31b)は、使用者が、ハウジング本体(31a)の周方向に回すことができるように取り付けられている。また、第1カバー(31b)の表面には、電荷を帯びた液体に対する帯状の対向電極(34)が設けられる一方、第1カバー(31b)の裏面には、図示はしないが、第1カバー(31b)より小径の円筒状の巻上部が形成されている。この巻上部には、巻上部の周方向に沿って螺旋状に切り込まれた切欠が形成され、後述する加圧ステージ(42)の移動を規制している。次に、第2カバー(31c)は、ハウジング本体(31a)の他端面とほぼ同外形の円形に形成され、ハウジング本体(31a)の他端面を覆うように取り付けられている。第2カバー(31c)はの表面には、電荷を帯びた液体に対する対向電極(34)が設けられる一方、電源部(45)の出力調整ボリュームと連動するボリュームつまみが設けられている。ボリュームつまみを回転させることで、電源部(45)からの出力電圧が適宜調整される。
【0028】
上記台座用カバー(32)は、ハウジング本体(31a)の円筒状の側面に沿った碗状に形成されている。台座用カバー(32)は、使用時には支持部(33)に取り付けられ台座として用いられる。また、台座用カバー(32)は、非使用時(保管時)には本体部(30)のシュラウド部(21)を覆うように取り付けられノズル(15)を保護する。尚、この静電噴霧装置(1)は、支持部(33)から台座用カバー(32)を取り外して使用することで静電噴霧装置(1)の高さを2段階に調節することができる。
【0029】
上記液体搬送手段(40)は、後述する噴霧カートリッジ(10)の容器(11)を加圧して容器(11)内の液体を噴出させるものである。液体搬送手段(40)は、図3に示すように、上記第1カバー(31b)と、2つの定荷重ゼンマイ(41,41)と、加圧ステージ(42)と、仕切板(43)とによって構成されている。液体搬送手段(40)は、加圧動作により噴霧カートリッジ(10)の容器(11)の内圧を上昇させて、後述する噴霧カートリッジ(10)のノズル(15)の先端から液体を噴出させるものである。
【0030】
上記加圧ステージ(42)は、有底円筒形状に形成され、その外側面に2つの定荷重ゼンマイ(41,41)が取り付けられている。定荷重ゼンマイ(41,41)は、一定の曲率に形成された帯状の金属板が渦巻状に巻かれており、その金属板の一端が加圧ステージ(42)に取り付けられている。そそて、定荷重ゼンマイ(41)は、ストロークが所定値を超えると、それ以上にストロークが大きくなっても復元力が一定である。
【0031】
上記加圧ステージ(42)は、その底部が第2カバー(31c)に向くように配設され、第1カバー(31b)から第2カバー(31c)に向かって順に、加圧ステージ(42)、噴霧カートリッジ(10)の容器(11)及び仕切板(43)がハウジング本体(31a)内に配設されている。
【0032】
上記液体搬送手段(40)は、第1カバー(31b)をハウジング本体(31a)に対して一定方向に回動させることで、定荷重ゼンマイ(41,41)のバネ力によって加圧ステージ(42)が容器(11)側に移動するようになっている。これにより、容器(11)が加圧ステージ(42)と仕切板(43)とに挟まれて加圧される。また、第1カバー(31b)を上記とは逆方向に回動させると、加圧ステージ(42)が容器(11)から離間する方向に移動し、容器(11)への加圧が解除される。つまり、加圧ステージ(42)は、第1カバー(31b)の回動動作により容器(11)に対して進退するように構成されている。
【0033】
上記噴霧カートリッジ(10)は、容器(11)と、導電部材(12)と、ノズル(15)と、ノズルベース(23)とを備えている。そして、これら容器(11)、導電部材(12)、ノズル(15)及びノズルベース(23)は一体に組み付けられている。
【0034】
上記容器(11)は、扁平な袋状に形成されている。具体的に、容器(11)は液体を浸透させない比較的柔軟な材料で構成された2枚の矩形状のシートを重ね合わせることによって形成されている。これらの2枚のシートは、互いの4辺が張り合わされ、短辺側の一辺には、外側に突出して開口する口部が形成されている。容器(11)の内部には、保湿成分や抗酸化成分を含んだ化粧用の液体(例えば、ヒアルロン酸を含む溶液)が充填されている。この液体は、電気抵抗率が1.0×10Ωcm以上1.0×10Ωcm以下となるように濃度が調整されている。上記容器(11)は、本発明に係る容器を構成するものである。
【0035】
上記導電部材(12)は、導電性の樹脂で形成されており、容器(11)内の液体に電荷を付与する(高電圧を印加する)ためものである。導電部材(12)は、容器(11)の口部に挿入され、容器(11)内の液体に接触する挿入部と、該挿入部の外側端に一体形成され、容器(11)の口部よりも大径に形成されたフランジとで構成されている。この導電部材(12)は、フランジが電源部(45)と電気的に接続され、挿入部を介して容器(11)内の液体に高電圧を印加するように構成されている。
【0036】
上記ノズル(15)は、細管状のノズル本体(16)と、該ノズル本体を保持するノズル保持部(17)とを備えている。ノズル本体(16)は、ノズル保持部(17)に挿通されて保持されている。尚、ノズル本体(16)とノズル保持部(17)とは、いわゆるインサート成形によって一体形成されている。そして、ノズル(15)は、ノズル本体(16)を導電部材(12)に形成された貫通孔に挿通した状態で導電部材(12)に取り付けられている。つまり、ノズル本体(16)は、容器(11)内の液体に連通している。尚、ノズル本体(16)は、柔軟な樹脂材料で形成され、例えば、外径及び内径がそれぞれ0.35mm及び0.1mmとなっている。上記ノズル(15)は、本発明に係るノズルを構成するものである。
【0037】
上記ノズルベース(23)は、図2に示すように、容器(11)や導電部材(12)に固定されている。ノズルベース(23)の内側には、導電部材(12)が収容される取付凹部(26)が形成されている。ノズルベース(23)の外側端には、ノズル本体(16)の先端部が収容されるノズル凹部(24)が設けられている。ノズル本体(16)の先端はノズル凹部(24)から突出しないようになっている。このノズル凹部(24)の底部には、取付凹部(26)と連通する貫通孔が形成されていて、この貫通孔にノズル(15)のノズル保持部(17)が収容されるようになっている。
【0038】
上記噴霧カートリッジ(10)は、液体搬送手段(40)によって容器(11)が圧迫されると、容器(11)の液体がノズル本体(16)へ供給される。一方、容器(11)内の液体に導電部材(12)を介して高電圧が印加されると、ノズル本体(16)の先端に電界が形成される。これにより、ノズル本体(16)の先端から液体が連続して霧状に噴霧される。噴霧カートリッジ(10)は、容器(11)内の液体がなくなるか、少なくなると交換される。
【0039】
上記電源部(45)は、導電部材(12)を介して容器(11)内の液体へ高電圧を印加するためのものであって、本発明に係る電圧印加手段を構成している。電源部(45)は、図3に示すように、噴霧カートリッジ(10)の容器(11)の下側(第2カバー(31c)側)に設けられている。電源部(45)は、正極性の電圧を出力する第1電源部(45a)と、負極性の電圧を出力する第2電源部(45b)とを備えている。第1電源部(45a)は、家庭用電源から本体部(30)へ供給された交流電圧を、例えば+6kVの直流の高電圧に変換する。第2電源部(45b)は、家庭用電源から本体部(30)へ供給された交流電圧を、例えば−6kVの直流の高電圧に変換する。尚、このときに変換される直流電圧は、正極性と負極性とで互いに異なる電圧値に変換するようにしてもよい。第1電源部(45a)は、正極性の直流の高電圧(+6kV)を、例えば5秒に亘って導電部材(12)へ出力する一方、第2電源部(45b)が負極性の高電圧(−6kV)を、5秒に亘って導電部材(12)へ出力する。各極性の高電圧(±6kV)は、本発明に係る第1の印加電圧に該当するものである。両電源部(45a,45b)の出力は、交互に切り換えられて出力される。尚、このときの各電源部(45a,45b)からの電圧出力時間は、本実施形態1の静電噴霧装置(1)では、1秒〜10秒の範囲内が好ましい。また、静電噴霧装置(1)の使用環境に応じて10秒以上の電圧出力時間としてもよい。つまり、電源部(45)は、第1電源部(45a)の出力と第2電源部(45b)の出力とを切り換えることで、第1の印加電圧を所定時間毎に交互に極性を切り換えて印加するよう構成されている。導電部材(12)へ出力された電圧は、該導電部材(12)を介して容器(11)内の液体に印加される。尚、電源部(45)は、0kV以上、且つ±12kV以下の値に電圧を変換するように構成されていればよい。
【0040】
また、電源部(45)は、第1電源部(45a)及び第2電源部(45b)から出力される電圧値をそれぞれ調節する電圧コントローラ(46)を備えている。電圧コントローラ(46)は、上記第1及び第2電源部(45a,45b)を切り換えた後に、各電源部(45a,45b)から導電部材(12)へ出力される電圧を段階的に増加させるよう構成されている。具体的には、図4に示すように、電圧コントローラ(46)は、第1電源部(45a)から第2電源部(45b)へ切り換えた直後には、出力電圧を一旦、−4kVとするよう第2電源部(45b)の出力電圧を調節する。一方、第2電源部(45b)から第1電源部(45a)へ切り換えた直後には、出力電圧を一旦、+4kVとするよう第1電源部(45a)からの出力電圧を調節する。尚、電圧コントローラ(46)は、両電源部(45a,45b)のそれぞれの出力電圧の調節を極性の切換前及び後の両時で行うようにしてもよい。上記電圧コントローラ(46)で調節された各電源部(45a,45b)からの出力電圧は、本発明に係る第2の印加電圧に該当する。
【0041】
−運転動作−
次に、本実施形態1の静電噴霧装置(1)の動作について説明する。この静電噴霧装置(1)では、いわゆるコーンジェットモードのEHD噴霧が行われる。
【0042】
この静電噴霧装置(1)は、使用者が噴霧カートリッジ(10)をハウジング(31)内に挿入すると運転可能な状態となる。このとき、加圧ステージ(42)には、定荷重ゼンマイ(41)で発生する荷重が加わっている。
【0043】
先ず、使用者が手動で第1カバー(31b)をハウジング本体(31a)の周方向に回すと、加圧ステージ(42)には定荷重ゼンマイ(41)のバネ力が加わり、加圧ステージ(42)が仕切板(43)に向かって移動する。移動した加圧ステージ(42)と仕切板(43)とで、容器(11)を圧迫する。圧迫された容器(11)内の液体は、ノズル本体(16)の内部に流入する。ノズル本体(16)の内部に流入した液体は、ノズル本体(16)の先端に移動する。
【0044】
一方、第1カバー(31b)を周方向に回すと、図示はしないが、電圧用スイッチがオンされ、各電源部(45a,45b)から交互に導電部材(12)を介して容器(11)内の液体に高電圧が印加される。まず、第1電源部(45a)より高電圧(例えば+6kV)が印加されて電荷を帯びた液体は分極し、ノズル本体(16)の先端の気液界面の近傍に+(プラス)の電荷を帯びた液体が集まる。そして、ノズル本体(16)の先端では、対向電極(34)との電位差によって気液界面が引き延ばされて円錐状(コーン状)となり、この円錐状となった気液界面の頂部から一部の水溶液が引きちぎられて液滴化する。次に、第2電源部(45b)より高電圧(例えば−6kV)が印加されて電荷を帯びた液体は分極し、ノズル本体(16)の先端の気液界面の近傍に−(マイナス)の電荷を帯びた液体が集まる。そして、ノズル本体(16)の先端では、対向電極(34)との電位差によって気液界面が引き延ばされて円錐状(コーン状)となり、この円錐状となった気液界面の頂部から一部の水溶液が引きちぎられて液滴化する。尚、本実施形態1の印加電圧の大きさ及び液体の電気抵抗率であれば、ノズル本体(16)の先端から飛散する液滴の大きさは、概ね50μmから200μmの範囲の大きさになる。ノズル本体(16)から飛散した液体は、ノズル本体(16)の先端から40〜50cm程度離れた距離まで到達する。使用者が、50cm程度前方に、顔面にノズル本体(16)の先端を向けて静電噴霧装置(1)を設置すると、飛散した液滴が使用者の顔面に付着する。
【0045】
ここで、電源部(45)から液体へ印加される高電圧の極性を切り換える際の静電噴霧装置(1)の動作について説明する。
【0046】
図4に示すように、電圧用スイッチがオンされると、第1電源部(45a)は、まず+6kVの電圧を5秒間に亘って導電部材(12)を介して液体に印加する。続いて、電源部(45)は、出力を第1電源部(45a)から第2電源部(45b)に切り換える。そして、電圧コントローラ(46)は、第2電源部(45b)から−4kVの電圧を0〜1秒以下の間で出力させる。その後、電圧コントローラ(46)は、第2電源部(45b)から−6kVの電圧を4〜5秒間に亘って出力させる。
【0047】
次に、電源部(45)は、出力を第2電源部(45b)から第1電源部(45a)に切り換える。電圧コントローラ(46)は、第1電源部(45a)から+4kVの電圧を0〜1秒以下の間で出力させる。その後、電圧コントローラ(46)は、第1電源部(45a)から+6kVの電圧を4〜5秒間に亘って出力させる。
【0048】
このように、ユーザが静電噴霧装置(1)の運転を停止するまで、正極性の動作と負極性の動作とが交互に繰り返し行われる。
【0049】
−実施形態1の効果−
上記実施形態1によれば、電圧コントローラ(46)を設けて上記各電源部(45a,45b)からの印加電圧の極性の切換後に、上記容器(11)内の液体に印加する印加電圧を−4kV(+4kV)から−6kV(+6kV)へと段階的に増加させるようにしたため、切換後に液体に印加される−6kV(+6kV)よりも低い印加電圧を印加させることができる。つまり、切換直後に容器(11)内の液体に−6kV(+6kV)が印加されることがない。これにより、従来は、電圧の極性の切換前の印加電圧(+6kV(−6kV))と、切換後の印加電圧(−6kV(+6kV))との電圧差(12kV)が液体に印加されていたのに対して、印加される電圧の電圧差を低減することができるため、容器(11)内の液体に過剰な電圧が印加されるのを確実に防止することができる。この結果、異常噴霧を防止しつつ、十分な液体噴霧量を確保することができる。
【0050】
〈実施形態1の変形例〉
次に、本実施形態1の変形例について説明する。本変形例は、上記実施形態1と電圧コントローラ(46)の制御動作が異なっている。本変形例では、実施形態1と異なる箇所のみを説明する。
【0051】
本変形例に係る電圧コントローラ(46)は、上記第1及び第2電源部(45a,45b)が切り換わる前に、各電源部(45a,45b)からそれぞれ導電部材(12)へ出力される電圧を段階的に減少させるよう構成されている。具体的には、図5に示すように、電圧コントローラ(46)は、第1電源部(45a)から第2電源部(45b)への切り換え直前には、出力電圧を一旦、+4kVとするよう第1電源部(45a)からの出力電圧を調節する。一方、第2電源部(45b)から第1電源部(45a)への切り換え直前には、出力電圧を一旦、−4kVとするよう第2電源部(45b)からの出力電圧を調節する。
【0052】
本変形例に係る電源部(45)では、電圧用スイッチがオンされると、第1電源部(45a)は、まず+6kVの電圧を4〜5秒間に亘って導電部材(12)を介して液体に印加する。そして、電圧コントローラ(46)は、第1電源部(45a)から+4kVの電圧を0〜1秒以下の間で出力させる。続いて、電源部(45)は、出力を第1電源部(45a)から第2電源部(45b)に切り換える。電圧コントローラ(46)は、第2電源部(45b)から−6kVの電圧を4〜5秒間に亘って出力させる。次に、電圧コントローラ(46)は、第2電源部(45b)から−6kVの電圧を4〜5秒間に亘って出力させる。そして、電圧コントローラ(46)は、第2電源部(45b)から−4kVの電圧を0〜1秒以下の間で出力させる。続いて、電源部(45)は、出力を第2電源部(45b)から第1電源部(45a)に切り換える。電圧コントローラ(46)は、第1電源部(45a)から+6kVの電圧を4〜5秒間に亘って出力させる。このように、ユーザが静電噴霧装置(1)の運転を停止するまで、正極性の動作と負極性の動作とが交互に繰り返し行われる。
【0053】
本変形例によれば、電圧コントローラ(46)が上記各電源部(45a,45b)の印加電圧の極性の切換前に、上記容器(11)内の液体に印加する印加電圧を+6kV(−6kV)から+4kV(−4kV)へと段階的に減少させるようにしたため、切換後に液体に印加される−6kV(+6kV)の印加電圧との間での電圧差を(10kV)とすることができる。これにより、従来は、電圧の極性の切換前の印加電圧(−6kV(+6kV))と、切換後の印加電圧(+6kV(−6kV))との電圧差(12kV)が液体に印加されていたのに対して、印加される電圧差を低減することができるため、容器(11)内の液体に過剰な電圧が印加されるのを確実に防止することができる。この結果、異常噴霧を防止しつつ、十分な液体噴霧量を確保することができる。その他の構成・作用及び効果は実施形態1と同様である。
【0054】
〈発明の実施形態2〉
次に実施形態2について説明する。本実施形態2は、図6に示すように、上記実施形態1の液体搬送手段(40)に代えて、容器(11)への荷重量を調節可能な液体供給機構(51)を備えるようにしたものである。また、本実施形態2では、上記実施形態1の電圧コントローラ(46)に換えて、上記液体供給機構(51)によるノズル本体(16)への液体供給量を調節するモータコントローラ(53)を備えるようにしたものである。尚、液体供給機構(51)は、本発明に係る液体供給手段を構成するものであって、モータコントローラ(53)は、本発明に係る供給量調節手段を構成するものである。
【0055】
具体的に、液体供給機構(51)は、図6に示すように、2つの支持部材(54,54)と、2つの巻取部材(55,55)と、2つのモータ(52,52)と、加圧ステージ(42)と、仕切板とによって構成されている。尚、仕切板については図示を省略している。各支持部材(54,54)は、加圧ステージ(42)の周端部に取り付けられている。各巻取部材(55,55)は、その一端が支持部材(54,54)に取り付けられ、他端がモータ(52,52)に取り付けられている。モータ(52,52)には、モータコントローラ(53)が接続され、該モータコントローラ(53)によってモータ(52)の回転数が制御されている。つまり、モータ(52)の回転数を増減させることで、巻取部材(55,55)の回転数も増減する。これにより、加圧ステージ(42)から噴霧カートリッジ(10)の容器(11)側への移動量を制御することができる。つまり、容器(11)の内圧を所望の内圧となるよう制御することができる。
【0056】
本実施形態2では、電源部(45)が出力を第1電源部(45a)から第2電源部(45b)又は第2電源部(45b)から第1電源部(45a)に切り換える際に、切り換えに伴ってモータコントローラ(53)は、モータ(52)の回転数を増加させる。モータ(52)の回転数の増加に伴って加圧ステージ(42)から容器(11)への荷重が増加する。その結果、容器(11)からノズル本体(16)内へ移動する液体量(液体供給量)が増加する。
【0057】
本実施形態2によれば、液体供給機構(51)を調節するモータコントローラ(53)を設けたため、ノズル本体(16)の先端に供給する液体量を増加させることができる。つまり、電圧の極性が切り換わる前の電圧(+6kV(−6kV))と、切り換わった後の電圧(−6kV(+6kV))との間に生じる電圧差(12kV)に応じた液体量をノズル本体(16)の先端に供給することができる。これにより、容器(11)内の液体に過剰な電圧が印加されるのを確実に防止することができると共に、切換後は速やかに±6kVを印加することができる。この結果、異常噴霧を防止しつつ、十分な液体噴霧量を確保することができる。その他の構成・作用及び効果は実施形態1と同様である。
【0058】
〈その他の実施形態〉
本発明は、上記実施形態1について、以下のような構成としてもよい。
【0059】
上記実施形態1では、上記容器(11)内の液体へ印加する電圧として、直流電圧を用いたが本発明に係る電圧印加手段には交流電圧を用いるようにしてもよい。
【0060】
尚、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0061】
以上説明したように、本発明は、静電噴霧装置の異常噴霧対策について有用である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】実施形態1に係る静電噴霧装置の構成を第1カバー側から視て示す斜視図である。
【図2】実施形態1に係る静電噴霧装置の構成を示す縦断面図である。
【図3】実施形態1に係る液体搬送手段の構成を示す斜視図である。
【図4】実施形態1に係る印加電圧及び極性と時間との関係を示すグラフである。
【図5】実施形態1の変形例に係る印加電圧及び極性と時間との関係を示すグラフである。
【図6】実施形態2に係る液体供給機構の構成を示す模式図である。
【図7】従来例に係る静電噴霧装置の適正噴霧状態を示す図である。
【図8】従来例に係る印加電圧及び極性と時間との関係を示すグラフである。
【図9】従来例に係る静電噴霧装置の異常噴霧状態を示す図である。
【図10】従来例に係る印加電圧及び極性と時間との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0063】
11 容器
15 ノズル
45 電源部
46 電圧コントローラ
51 液体供給機構
53 モータコントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が充填された容器(11)と、該容器(11)に取り付けられ、先端が容器(11)の外部に開口し、後端が容器(11)の内部に開口するノズル(15)と、容器(11)内の液体に第1の印加電圧を印加すると共に、該印加電圧の極性を所定時間毎に正極性と負極性とに切り換える電圧印加手段(45)とを備え、
上記電圧印加手段(45)で上記第1の印加電圧を印加された液体がノズル(15)の先端から霧化状態で噴霧される静電噴霧装置であって、
上記電圧印加手段(45)が印加電圧の極性を切り換える前及び後の少なくとも何れか一方において、上記第1の印加電圧よりも低い第2の印加電圧を所定時間に亘って印加するよう上記電圧印加手段(45)を調節する電圧調節手段(46)を備えている
ことを特徴とする静電噴霧装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記電圧調節手段(46)は、上記電圧印加手段(45)の印加電圧の極性を切り換えた後に、上記容器(11)内の液体に印加する印加電圧を第1の印加電圧に向かって段階的に増加させるよう構成されている
ことを特徴とする静電噴霧装置。
【請求項3】
請求項1において、
上記電圧調節手段(46)は、上記電圧印加手段(45)の印加電圧の極性を切り換える前に、上記容器(11)内の液体に印加する印加電圧を第1の印加電圧から段階的に減少させるよう構成されている
ことを特徴とする静電噴霧装置。
【請求項4】
液体が充填された容器(11)と、該容器(11)に取り付けられ、先端が容器(11)の外部に開口し、後端が容器(11)の内部に開口するノズル(15)と、容器(11)内の液体に所定の印加電圧を印加すると共に、該印加電圧の極性を所定時間毎に正極性と負極性とに切り換える電圧印加手段(45)とを備え、
上記電圧印加手段(45)で上記所定の印加電圧を印加された液体がノズル(15)の先端から霧化状態で噴霧される静電噴霧装置であって、
上記容器(11)を圧迫することでノズル(15)の先端に所定液体量を供給する液体供給手段(51)を備え、
上記液体供給手段(51)は、少なくとも上記電圧印加手段(45)が印加電圧の極性を切り換える前又は後の何れかにおいて、上記ノズル(15)の先端に供給する液体量を上記所定の液体量よりも増加させるよう上記液体供給手段(51)を調節する供給量調節手段(53)を備えている
ことを特徴とする静電噴霧装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−155200(P2010−155200A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−334653(P2008−334653)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】