説明

静電噴霧装置

【課題】静電噴霧装置において、タンクを空にしないためのメンテナンスの回数を減らして、使用者が快適に静電噴霧装置を使用できるようにする。
【解決手段】静電噴霧装置に、使用者のいる空間の湿度及び温度を検出する温湿度センサ(29)と、温湿度センサ(29)の検出値に基づいて加圧ポンプ(41)における液体の搬送量及び上記高圧電源部(50)における電圧の印加量を調整する制御を行う制御部(3)と
を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電噴霧装置に関し、特に静電噴霧装置の運転制御に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、容器に貯留された液体を噴霧する液体噴霧装置が知られている。そして、これらの液体噴霧装置の中には、特許文献1に示すように、ノズルの先端(流出端)に形成される電界を利用して帯電した液体を使用者へ噴霧する静電噴霧装置がある。
【0003】
この特許文献1の静電噴霧装置は、袋状の容器を収縮させて容器内の液体をノズルの流出端へ搬送する。この状態で、ノズルの流出端の液体に高電圧が印加されると、ノズルの流出端と対向電極との間に電界が形成される。これにより、ノズルの流出端で帯電された液体が引きちぎられて噴霧粒子となり、この噴霧粒子が拡散する。拡散した噴霧粒子は、所定の噴霧対象へ供給される。なお、特許文献1では、化粧水を噴霧粒子とし、この噴霧粒子を噴霧対象としての使用者の顔面等へ付着させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−022891号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記静電噴霧装置の連続運転が長くなればなるほど、上記タンクが空になるまでの時間が早くなる。そして、この時間が過度に早いと、上記タンクがカートリッジ式の場合には、使用者が頻繁にタンクを取り替えなければならない。又、カートリッジ式でない場合には、使用者が頻繁にタンク内に液体を補充しなければならない。このように、上記静電噴霧装置の連続運転が長くなると、上記タンクを空にしないためのメンテナンスを、使用者が頻繁に行わなければならないという問題がある。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、静電噴霧装置において、タンクを空にしないためのメンテナンスの回数を減らして、使用者が快適に静電噴霧装置を使用できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、液体を貯留する容器(71)と該容器(71)の内外を連通するノズル(72)と該容器(71)の液体をノズル(72)の流出端(72c)へ搬送する搬送部(41)と上記ノズル(72)の流出端(72c)の近傍に配置された対向電極(12)と上記搬送部(41)で上記ノズル(72)の流出端(72c)へ搬送された液体と上記対向電極(12)との間に電界が生じるように上記容器(71)の液体に電圧を印加する電圧印加部(50)とを備え、上記ノズル(72)の流出端(72c)から流出した液体を使用者へ噴霧する静電噴霧装置を前提としている。
【0008】
そして、上記静電噴霧装置において、少なくとも上記使用者のいる空間の温度を検出する検出部(29)と、上記検出部(29)の検出値に応じて、上記搬送部(41)における液体の搬送量及び上記電圧印加部(50)における電圧の印加量の少なくとも一方を調整する制御部(3)とを備えていることを特徴としている。
【0009】
第1の発明では、上記検出部(29)の検出値(温度)に応じて、上記ノズル(72)の流出端(72c)へ搬送される液体の搬送量及び上記容器(71)の液体への電圧印加量を必要に応じて調整される。そして、この液体の搬送量を調整することにより、上記容器(71)から上記ノズル(72)の流出端(72c)へ供給される液体の量が調整される。又、この液体への電圧印加量を調整することにより、上記ノズル(72)の流出端(72c)の近傍で形成される電界の強さが調整される。これにより、上記静電噴霧装置(1)の噴霧量を調整できるようになる。
【0010】
第2の発明は、液体を貯留する容器(71)と該容器(71)の内外を連通するノズル(72)と該容器(71)の液体をノズル(72)の流出端(72c)へ搬送する搬送部(41)と上記ノズル(72)の流出端(72c)の近傍に配置された対向電極(12)と上記搬送部(41)で上記ノズル(72)の流出端(72c)へ搬送された液体と上記対向電極(12)との間に電界が生じるように上記容器(71)の液体に電圧を印加する電圧印加部(50)とを備え、上記ノズル(72)の流出端(72c)から流出した液体を使用者へ噴霧する静電噴霧装置を前提としている。
【0011】
そして、上記静電噴霧装置において、少なくとも上記使用者のいる空間の湿度を検出する検出部(29)と、上記検出部(29)の検出値に応じて、上記搬送部(41)における液体の搬送量及び上記電圧印加部(50)における電圧の印加量の少なくとも一方を調整する制御部(3)とを備えていることを特徴としている。
【0012】
第2の発明では、上記検出部(29)の検出値(湿度)に応じて、上記ノズル(72)の流出端(72c)へ搬送される液体の搬送量及び上記容器(71)の液体への電圧印加量を必要に応じて調整される。そして、この液体の搬送量を調整することにより、上記容器(71)から上記ノズル(72)の流出端(72c)へ供給される液体の量が調整される。又、この液体への電圧印加量を調整することにより、上記ノズル(72)の流出端(72c)の近傍で形成される電界の強さが調整される。これにより、上記静電噴霧装置(1)の噴霧量を調整できるようになる。
【0013】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、上記検出部(29)が、上記使用者のいる空間の温度及び湿度を検出することを特徴としている。
【0014】
第3の発明では、上記検出部(29)の検出値である温度及び湿度に応じて、上記ノズル(72)の流出端(72c)へ搬送される液体の搬送量及び上記容器(71)の液体への電圧印加量を必要に応じてされる。
【0015】
第4の発明は、第1又は第3の発明において、上記制御部(3)は、上記使用者が少なくとも温度条件において快適に感じると予測される領域から上記使用者が少なくとも温度条件において不快に感じると予測される領域へ上記検出部(29)の検出値が移行すると、上記搬送部(41)及び上記電圧印加部(50)の運転を停止させることを特徴としている。
【0016】
第4の発明では、上記検出部(29)の検出値(温度)に基づいて、使用者のいる空間が不快な状態であるか否かを判定する。そして、使用者のいる空間が不快な状態であると判定すると、使用者が液体の噴霧による効果を感じにくいとして、上記搬送部(41)及び上記電圧印加部(50)の運転を停止させる。これにより、上記静電噴霧装置(1)による液体の噴霧が停止される。
【0017】
第5の発明は、第2又は第3の発明において、上記制御部(3)は、上記使用者が少なくとも湿度条件において快適に感じると予測される領域から上記使用者が少なくとも湿度条件において不快に感じると予測される領域へ上記検出部(29)の検出値が移行すると、上記搬送部(41)及び上記電圧印加部(50)の運転を停止させることを特徴としている。
【0018】
第5の発明では、上記検出部(29)の検出値(湿度)に基づいて、使用者のいる空間が不快な状態であるか否かを判定する。そして、使用者のいる空間が不快な状態であると判定すると、使用者が液体の噴霧による効果を感じにくいとして、上記搬送部(41)及び上記電圧印加部(50)の運転を停止させる。これにより、上記静電噴霧装置(1)による液体の噴霧が停止される。
【0019】
第6の発明は、第4又は第5の発明において、上記制御部(3)は、上記搬送部(41)の運転を停止させた後で上記電圧印加部(50)の運転を停止させることを特徴としている。
【0020】
第6の発明では、上記ノズル(72)の流出端(72c)に電界が生じていない状態において、ノズル(72)の流出端(72c)への液体の搬送が行われなくなる。
【0021】
第7の発明は、第1又は第3の発明において、上記制御部(3)は、上記使用者が少なくとも温度条件において不快に感じると予測される領域から上記使用者が少なくとも温度条件において快適に感じると予測される領域へ上記検出部(29)の検出値が移行すると、上記搬送部(41)及び上記電圧印加部(50)の運転を開始させることを特徴としている。
【0022】
第7の発明では、使用者のいる空間が快適な状態であると判定すると、使用者が液体の噴霧による効果を感じやすいとして、上記搬送部(41)及び上記電圧印加部(50)の運転を開始させる。これにより、上記静電噴霧装置(1)による液体の噴霧が開始される。
【0023】
第8の発明は、第2又は第3の発明において、上記制御部(3)は、上記使用者が少なくとも湿度条件において不快に感じると予測される領域から上記使用者が少なくとも湿度条件において快適に感じると予測される領域へ上記検出部(29)の検出値が移行すると、上記搬送部(41)及び上記電圧印加部(50)の運転を開始させることを特徴としている。
【0024】
第8の発明では、使用者のいる空間が快適な状態であると判定すると、使用者が液体の噴霧による効果を感じやすいとして、上記搬送部(41)及び上記電圧印加部(50)の運転を開始させる。これにより、上記静電噴霧装置(1)による液体の噴霧が開始される。
【0025】
第9の発明は、第7又は第8の発明において、上記制御部(3)は、上記電圧印加部(50)の運転を開始させた後で上記搬送部(41)の運転を開始させることを特徴としている。
【0026】
第9の発明では、第6の発明と同様に、上記ノズル(72)の流出端(72c)に電界が生じていない状態において、ノズル(72)の流出端(72c)への液体の搬送が行われなくなる。
【0027】
第10の発明は、第2又は第3の発明において、上記容器(71)の液体と上記対向電極(12)との間を絶縁する絶縁体(10)を有し、上記検出部(29)は、上記絶縁体(10)に面する空間であり且つ上記使用者のいる空間の湿度を検出するように構成され、上記制御部(3)は、上記検出部(29)の検出値である湿度値が高くなると、上記電圧印加部(50)における電圧の印加量を小さくするように構成されていることを特徴としている。
【0028】
第10の発明では、上記使用者のいる空間の湿度が高くなると、上記電圧印加部(50)の印加電圧Vを小さくする。これは、上記使用者のいる空間の湿度が高くなると、上記絶縁体(10)の電位が下がるので、上記印加電圧Vを小さくしないと、過剰に電圧が印加されてしまい、上記ノズル(72)から糸状に液体を噴出させにくくなるからである。
【0029】
第11の発明は、第2又は第3の発明において、上記容器(71)の液体と上記対向電極(12)との間を絶縁する絶縁体(10)とを有し、上記検出部(29)は、上記絶縁体(10)に面する空間であり且つ上記使用者のいる空間の湿度を検出するように構成され、上記制御部(3)は、上記検出部(29)の検出値である湿度値が低くなると、上記電圧印加部(50)における電圧の印加量を大きくするように構成されていることを特徴としている。
【0030】
第11の発明では、上記使用者のいる空間の湿度が低くなると、上記電圧印加部(50)の印加電圧Vを大きくする。これは、上記使用者のいる空間の湿度が低くなると、上記絶縁体(10)の電位が上がるので、上記印加電圧Vを大きくしないと、印加電圧が不足してしまい、上記ノズル(72)から糸状に液体を噴出させにくくなるからである。
【0031】
第12の発明は、第1又は第3の発明において、上記制御部(3)は、肌の乾燥状態に基づいて、上記検出部(29)の検出値と上記液体の噴霧量との対応関係を定めたテーブル又は関数を予め有し、上記テーブル又は関数に従って上記搬送部(41)における液体の搬送量及び上記電圧印加部(50)における電圧の印加量の少なくとも一方を調整することを特徴としている。
【0032】
第12の発明では、テーブル又は関数が制御部(3)に記憶されている。上記テーブル又は関数には、肌の乾燥状態に基づいた、使用者のいる空間の温度または温湿度と噴霧量との対応関係が定められている。制御部(3)では、上記テーブル又は関数に従って、周囲の温度又は温湿度に対応する噴霧量が設定される。そして、上記設定された噴霧量で噴霧が行われるように、上記搬送部(41)における液体の搬送量及び上記電圧印加部(50)における電圧の印加量の少なくとも一方を調整される。このように、肌の保湿に必要な噴霧量が場合分けされたテーブル又は関数に従って噴霧量が調節されるため、肌の乾燥状態に合わせてより確実に肌を保湿制御することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、検出部(29)の検出値(温度や湿度)に基づいて、静電噴霧装置の噴霧量を調整することができる。これにより、使用者のいる空間に応じて、この噴霧量を最適な量に節約することが可能となる。この結果、容器(71)が空になる時間が早くなるのを抑えることができ、容器(71)を空にしないためのメンテナンスの回数を減らすことが可能となる。
【0034】
さらに、本発明の静電噴霧装置では、使用者のいる空間の温度に応じて噴霧量を調節する必要のある肌の保湿制御を行うことができる。
【0035】
特に、第3の発明によれば、温度に加え、湿度に応じて噴霧量が調節されるようにした。よって、噴霧量をより最適な量に節約することが可能となり、その結果、容器(71)が空になる時間が早くなるのを一層抑えることができる。また、温度に次いで、肌の乾燥に影響する湿度が噴霧量の設定条件に追加されることで、静電噴霧装置では、肌の保湿に必要な噴霧量をより詳細に設定することができ、肌の保湿制御をさらに精度良く行うことができる。
【0036】
また、第4又は第5の発明によれば、使用者のいる空間が不快な状態であると判定すると、使用者が液体の噴霧による効果を感じにくいとして、静電噴霧装置による液体の噴霧を停止する。これにより、液体の無駄な噴霧を抑えられ、容器(71)を空にしないためのメンテナンスの回数を従来よりも減らすことができる。このメンテナンス回数の減少により、使用者が快適に静電噴霧装置を使用することができる。
【0037】
また、第6の発明によれば、ノズル(72)の流出端(72c)に電界が生じていない状態でノズル(72)の流出端(72c)へ液体が搬送されるのを防ぐことができる。これにより、ノズル(72)の流出端(72c)からの液だれを防止することができる。
【0038】
また、上記第7又は第8の発明によれば、使用者のいる空間が快適な状態であると判定すると、使用者が液体の噴霧による効果を感じやすいとして、静電噴霧装置による液体の噴霧が開始される。これにより、静電噴霧装置を効率的に運転することができる。
【0039】
また、第9の発明によれば、第6の発明と同様に、ノズル(72)の流出端(72c)に電界が生じていない状態でノズル(72)の流出端(72c)へ液体が搬送されるのを防ぐことができる。これにより、ノズル(72)の流出端(72c)からの液だれを防止することができる。
【0040】
また、第10の発明によれば、使用者のいる空間の湿度が高くなると、電圧印加部(50)の印加電圧Vを小さくすることにより、ノズル(72)から糸状に液体を噴出させやすくなる。これにより、使用者のいる空間の湿度が高くなっても、静電噴霧装置による液体の噴霧状態を安定させることができる。
【0041】
また、第11の発明によれば、使用者のいる空間の湿度が低くなると、電圧印加部(50)の印加電圧Vを大きくすることにより、ノズル(72)から糸状に液体を噴出させやすくなる。これにより、使用者のいる空間の湿度が低くなっても、静電噴霧装置による液体の噴霧状態を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1は、実施形態に係る静電噴霧装置の全体を示す斜視図である。
【図2】図2は、実施形態に係る静電噴霧装置を示す縦断面図である。
【図3】図3は、実施形態に係る静電噴霧装置のシステム構成を示す図である。
【図4】図4は、実施形態に係る静電噴霧装置の上部を示す斜視図である。
【図5】図5は、実施形態に係る静電噴霧装置のトップカバーの内部構造を示す図である。
【図6】図6は、実施形態に係る静電噴霧装置の内部構造を示す斜視図である。
【図7】図7は、実施形態に係る搬送ユニットの構成を示す図である。
【図8】図8は、実施形態に係る噴霧カートリッジを示す縦断面図である。
【図9】図9は、実施形態に係る噴霧カートリッジの正面図である。
【図10】図10は、実施形態に係る静電噴霧装置における動作モード及びスタンバイモードを温湿度グラフに示した図である。
【図11】図11は、実施形態に係る静電噴霧装置のタイムチャート図である。
【図12】図12は、実施形態に係る静電噴霧装置における制御部のフロー図である。
【図13】図13は、実施形態の変形例1に係る温度と噴霧量との対応関係を示す表である。
【図14】図14は、実施形態の変形例1に係る制御部の制御フロー図である。
【図15】図15は、実施形態の変形例2に係る温度及び湿度と噴霧量との対応関係を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0044】
本実施形態に係る静電噴霧装置(1)は、水又はヒアルロン酸等を含んだ液体を使用者に対して噴霧するものである。まず、静電噴霧装置(1)について説明した後に、上記静電噴霧装置(1)の運転制御を行うコントローラ(2)について説明する。
【0045】
〈静電噴霧装置〉
この静電噴霧装置(1)は、図1〜図3に示すように、ケーシング(10)と、該ケーシング(10)に着脱自在に装着される噴霧カートリッジ(70)と、ケーシング(10)内に収容される搬送ユニット(40)と、液体に対して電圧を印加する高圧電源部(電圧印加部)(50)と、電源となるアダプタ(18)とを備えている。
【0046】
上記ケーシング(10)は、縦長に形成された有底円筒状の部材である。ケーシング(10)は、デザインカバー(10a)と、底カバー(10b)と、トップカバー(11)とから構成されている。尚、本実施形態では、液体の噴霧方向を前面側とし、噴霧方向の背後方向を背面側としている。
【0047】
上記デザインカバー(10a)は、筒状に形成されてケーシング(10)の側方部を形成するカバーである。デザインカバー(10a)は、上下に開口端が形成されている。上記底カバー(10b)は、ケーシング(10)の下部の開口端を塞ぐものである。
【0048】
上記トップカバー(11)は、デザインカバー(10a)の上部の開口端を塞ぐものである。トップカバー(11)は、図4に示すように、その上面が背面側から前面側へ向かって斜め下方向へ傾斜して形成されている。そして、トップカバー(11)の概ね前面側には、噴霧カートリッジ(70)のノズル(72)を露出させるための噴霧開口部(14)が形成されている。噴霧開口部(14)の周縁部には、スライド可能なシャッタ(13)が取り付けられている。このシャッタ(13)は、図5に示すように、前面側にスライドさせると閉じ、背面側にスライドさせると開くように構成されている。
【0049】
また、トップカバー(11)には、噴霧動作のON/OFFを行う動作スイッチ(15)が設けられている。シャッタ(13)が背面側(シャッタ(13)を開く方向)に移動することでシャッタ(13)の側部(13a)が動作スイッチ(15)を下方に押すことで動作スイッチ(15)がONになる。つまり、シャッタ(13)は動作スイッチ(15)のON/OFFを切り換えるためのプッシャを構成している。動作スイッチ(15)がONになると、後述するコントローラ(2)が静電噴霧装置(1)の噴霧動作を開始させる。また、背面側に移動したシャッタ(13)は、下側からバネ(図示なし)によって付勢され、トップカバー(11)に保持されている。
【0050】
一方、シャッタ(13)が前面側(シャッタ(13)を閉じる方向)に移動することで、シャッタ(13)の側部(13a)が動作スイッチ(15)から離間して動作スイッチ(15)がOFFになる。動作スイッチ(15)がOFFになると、コントローラ(2)が静電噴霧装置(1)の噴霧動作を停止させる。すなわち、本実施形態の静電噴霧装置(1)は、使用者がシャッタ(13)をスライドさせることで噴霧動作のON/OFFを制御できるように構成されている。
【0051】
上記トップカバー(11)とデザインカバー(10a)との間には、周方向に亘って帯状の対向電極(12)が設けられている。この対向電極(12)は、ノズル(72)の流出端(72c)との間で電界を発生させるためのものである。本実施形態の静電噴霧装置(1)は、ノ
ズル(72)の流出端(72c)の電荷を帯びた液体と対向電極(12)の間の電位差で発生す
る電界によってノズル(72)の流出端(72c)から吐出される液体を糸状に絞り込んで液
糸(リガメント)を形成している。
【0052】
図6に示すように、上記デザインカバー(10a)の背面側には、上部機械室(28)に対応する高さ位置に、噴霧カートリッジ(70)を着脱させるための背面開口部(16)が形成されている。背面開口部(16)は略矩形状に形成され、その周縁部にはデザインカバー(10a)に着脱自在なリアカバー(17)が取り付けられている。
【0053】
上記ケーシング(10)は、その内部に下側ベース(21)と上側ベース(22)と仕切板(23)とを備えている。まず、下側ベース(21)はケーシング(10)内の底部寄りに設けられている。また、上側ベース(22)はケーシング(10)の長手方向の概ね中央に設けられている。各ベース(21,22)は、水平方向に延びてケーシング(10)内を上下に区画している。また、上記仕切板(23)は、下側ベース(21)と上側ベース(22)との間に亘って設けられ、ケーシング(10)の内部における、下側ベース(21)と上側ベース(22)との間の空間を前後に区画している。
【0054】
上記下側ベース(21)と上側ベース(22)との間には、中央機械室(24)が区画されている。そして、中央機械室(24)は、上述した仕切板(23)により、前面側の第1中央機械室(25)と背面側の第2中央機械室(26)とに区画されている。また、下側ベース(21)の下方に下部機械室(27)が区画され、上側ベース(22)の上方に上部機械室(28)が区画されている。
【0055】
上記下部機械室(27)には、温湿度センサ(29)と、人検知センサ(30)と、USB基板(31)とが収容されている。
【0056】
上記温湿度センサ(29)は、静電噴霧装置(1)の設置された部屋の温湿度を検知するセンサである。この温湿度センサ(29)は、後述するコントローラ(2)に接続され、検知した温湿度データは随時、コントローラ(2)に送られている。
【0057】
上記人検知センサ(30)は、静電噴霧装置(1)の噴霧対象となる使用者の有無を検知するためのものである。人検知センサ(30)は、例えば焦電型赤外線センサに構成されている。人検知センサ(30)は、下部機械室(27)内の前面側に収容されている。そして、人検知センサ(30)は、そのセンサ面をケーシング(10)の開口を介して前面側の斜め上方向を向くように配置されている。また、人検知センサ(30)のセンサ面の下半分は、マスク部材でマスクされている。これにより、検知範囲が静電噴霧装置(1)の前面側の上部に限定され、人の有無の検知精度を向上させることができる。人検知センサ(30)は、後述するコントローラ(2)に接続され、検知データは随時、コントローラ(2)に送られている。
【0058】
上記USB基板(31)は、USB(ユニバーサル・シリアル・バス、以下同じ)のコネクタ(19)が挿入されるものである。このUSB基板(31)は、下部機械室(27)の底部に配置されている。USB基板(31)には、USBのコネクタ(19)が接続される接続部(32)を備えている。
【0059】
本実施形態に係る静電噴霧装置(1)は、家庭用の交流電源(いわゆるコンセント)から供給される100Vの交流電圧を、アダプタ(18)で5Vの直流電圧に変換し、これを搬送ユニット(40)や高圧電源部(50)の電源として使用している。具体的には、アダプタ(18)と静電噴霧装置(1)とは、USBケーブルを介してUSBのコネクタ(19)が接続部(32)に挿入されることで接続されている。尚、静電噴霧装置(1)の電源と
しては上記アダプタ(18)に限られず、例えばパソコン等のUSBや自動車中のシガーソケット等を電源としてもよい。
【0060】
上記搬送ユニット(40)は、図3及び図7に示すように、加圧ポンプ(搬送部)(41)と圧力センサ(43)と空気管(42)とを備えている。
【0061】
上記加圧ポンプ(41)は、上記噴霧カートリッジ(70)のタンク(容器)(71)内へ空気を供給することで該タンク(71)の液体の圧力を大きくして該液体を上記タンク(71)から上記ノズル(72)の流出端(72c)へ搬送するものである。この加圧ポンプ(41)は、ダイアフラム型のもので構成され、下部機械室(27)内に収容されている。下部機械室(27)内では、加圧ポンプ(41)は下側ベース(21)の下部にポンプホルダ(図示なし)によって固定されている。
【0062】
この加圧ポンプ(41)の吸気口は該加圧ポンプ(41)の外部に開口し、加圧ポンプ(41)の排気口は上記空気管(42)の一端に連通している。この加圧ポンプ(41)が運転を開始すると、該加圧ポンプ(41)の吸気口から吸い込まれた空気が上記空気管(42)を通じてタンク(71)へ供給され、該タンク(71)内の圧力が上がる。そして、加圧ポンプ(41)が運転を停止すると、タンク(71)内の空気が上記空気管(42)を通じて加圧ポンプ(41)へ逆流し、この逆流した空気は加圧ポンプ(41)を通じて外部へ排出される。これにより、タンク(71)内の圧力は徐々に大気圧まで下がる。
【0063】
上記空気管(42)は、加圧ポンプ(41)の空気をタンク(71)内に送るためのものである。空気管(42)は、下部機械室(27)から上部機械室(28)まで延びるチューブに構成されている。空気管(42)の一端は、上述したように加圧ポンプ(41)に接続されている。また、空気管(42)の他端は、タンク(71)の吸入口(79)に接続されている。
【0064】
上記圧力センサ(43)は、上記タンク(71)内の圧力を検出するものである。この圧力センサ(43)は、後述する制御基板(61)に設けられている。また、この圧力センサ(43)の圧力検知口は上記空気管(42)の途中に開口している。この圧力センサ(43)は、後述するコントローラ(2)に接続されており、検知した圧力データは随時コントローラ(2)に送られる。
【0065】
上記高圧電源部(50)は、図3に示すように、電極部材(84)を介してタンク(71)内の液体に正、又は負極性の高電圧を印加するためのものである。この高圧電源部(50)は、出力部(51)と接地部(55)とを備えている。
【0066】
上記出力部(51)は、上記アダプタ(18)から供給された電圧(+5V)を高電圧に昇圧して出力させるためのものである。この出力部(51)は、第1中央機械室(25)内に収容された基板(52)上にトランジスタ(図示なし)、トランス(53)、及びダイオード等の電子機器を備えて構成されている。そして、出力部(51)は、アダプタ(18)から供給された電圧(+5V)を+3kVから+5kVの間、又は−4kVから−7kVの間の高電圧に昇圧させる。そして、出力部(51)は、その出力端子に高圧ライン(54)の他端が接続され、高圧ライン(54)及び電極部材(84)を介してタンク(71)内の液体に高電圧が印加されるよう構成されている。尚、出力部(51)は出力させる電圧の極性を切換可能に構成されている。上記接地部(55)は、接地され、出力部(51)に対するグランドを構成している。接地部(55)は、接地ライン(56)を介して対向電極(12)に接続されている。
【0067】
上記噴霧カートリッジ(70)は、図8及び図9に示すように、貯留した液体に電荷を付与して噴霧させるためのものである。この噴霧カートリッジ(70)は、タンク(71)と電極部材(84)とノズル(72)とノズルベース(74)と把手部(86)とで構成され、各構成部材は、分離不能(不可分)に一体形成されている。すなわち、タンク(71)内の液体が少なくなったり、無くなった場合は、全ての構成部材が同時に交換される。
【0068】
上記タンク(71)は、液体を内部に貯留するための容器である。具体的に、タンク(71)は、略矩形状の箱体に形成されて噴霧カートリッジ(70)の下部を構成している。このタンク(71)は、その底部が背面側に向かって下方に傾斜する底板(71b)に形成されている。このため、タンク(71)は背面側に最深部が形成される。これにより、ケーシング(10)が転倒した場合にも、タンク(71)内の液体は再び最深部に集まる。
【0069】
上記ノズルベース(74)は、ノズル(72)を保持するための部材である。ノズルベース(74)は、略円筒状に形成され、タンク(71)の首部材(71a)を介してタンク(71)と一体に形成されている。上記ノズルベース(74)は、内側凹部(75)と外側凹部(82)とが形成されている。
【0070】
上記内側凹部(75)は、ノズルベース(74)の内側端に形成された凹部である。内側凹部(75)は、底部の中央に軸方向の内側に突出した保持部(77)が形成されている。保持部(77)には、ノズル(72)が挿通される貫通孔(78)が形成されている。そして、保持部(77)の周囲には、チャンバ(81)が取り付けられている。このチャンバ(81)は、内側凹部(75)の内壁(76)と保持部(77)との間の隙間(85)の一部を埋めるものである。上記隙間(85)の一部をチャンバ(81)が埋めることで、タンク(71)内の液体が隙間(85)に侵入するのを防止している。また、内側凹部(75)の内壁(76)には、空気管(42)の他端が接続される吸入口(79)が形成されている。
【0071】
上記外側凹部(82)は、ノズルベース(74)の外側端に形成された凹部である。外側凹部(82)の内壁(83)は、ノズル(72)の露出部(72b)を覆うように形成されている。そして、外側凹部(82)の底部には、貫通孔(78)と連通する開口が形成されている。
【0072】
上記外側凹部(82)は、その内壁(83)がノズル(72)の流出端(72c)と一定の距離を保つことで、ノズル(72)の露出部(72b)の周りに空気層を形成している。この空気層は絶縁材として機能し、これによって、ノズル(72)の流出端(72c)に安定した電界が形成される。そして、ノズル(72)の流出端(72c)は外側凹部(82)の内壁(83)の先端から突出するように形成されている。
【0073】
上記ノズル(72)は、柔軟な樹脂製の細管状に形成されたノズルである。ノズル(72)は外径が0.3mmから0.4mmの間に形成され、内径が0.1mmから0.2mmの間で形成されている。ノズル(72)は、ノズルベース(74)の貫通孔(78)に挿通されて取り付けられ、先端が外側凹部(82)の内壁(83)の先端より突出して外部に開口する一方、基端側(72a)は、タンク(71)内の最深部の近傍まで延びて液体に連通している。このノズル(72)の基端側(72a)は、本発明に係るノズル延伸部を構成している。このノズル(72)の流入端(72d)がタンク(71)内の最深部まで延びることでタンク(71)内の液体を最後まで使用することができる。
【0074】
上記電極部材(84)は、金属製の棒状に形成された部材である。電極部材(84)は、一端がタンク(71)内の底部に挿通されて液体内に浸漬されている。また、電極部材(84)の他端は、タンク(71)の外部まで延びて配置され、高圧ライン(54)の一端が接続されている。つまり、電極部材(84)は、高圧電源部(50)の出力部(51)と電気的に接続され、タンク(71)内の液体に高電圧を印加するように構成されている。
【0075】
以上のように、噴霧カートリッジ(70)は、加圧ポンプ(41)の空気によってタンク(71)内の液体をノズル(72)へ搬送する一方、タンク(71)内の液体に高電圧を印加してノズル(72)の流出端(72c)に電界を形成することで、ノズル(72)の流出端(72c)から液体を連続して霧状に噴射している。
【0076】
この噴霧カートリッジ(70)は、タンク(71)内の液体が無くなるか、少なくなると交換される。噴霧カートリッジ(70)を取り出す際は、静電噴霧装置(1)を停止し、ケーシング(10)からリアカバー(17)を取り外し、カートリッジホルダ(70a)ごと噴霧カートリッジ(70)を取り出す。噴霧カートリッジ(70)を取り付ける際は、カートリッジホルダ(70a)に噴霧カートリッジ(70)を取り付けた状態で背面開口部(16)から上部機械室(28)内に収容してケーシング(10)に取り付ける。
【0077】
〈コントローラ〉
上記コントローラ(2)は、図3に示すように、静電噴霧装置(1)の運転動作を制御するものである。この運転動作の中には、加圧ポンプ(41)及び高圧電源部(50)の運転制御が含まれる。この運転制御は、詳しく後述する。
【0078】
上記コントローラ(2)は、第2中央機械室(26)に収容された制御基板(61)上に、加圧ポンプ(41)及び高圧電源部(50)の運転制御を行う制御部(3)を備えている。そして、コントローラ(2)には、圧力センサ(43)、人検知センサ(30)、温湿度センサ
(29)、及び動作スイッチ(15)が接続されている。
【0079】
上記制御部(3)は、上記温湿度センサ(29)の検出値に基づいて、上記静電噴霧装置(1)の噴霧量を調整するものである。具体的には、この制御部(3)は、上記温湿度センサ(29)の検出値に応じて上記静電噴霧装置(1)の運転モードを動作モード又はスタンバイモードに切り換える。上記動作モードのときは加圧ポンプ(41)及び高圧電源部(50)を起動させ、上記スタンバイモードのときは加圧ポンプ(41)及び高圧電源部(50)を停止させる。上記温湿度センサ(29)の検出値と各モードとの関係を示したグラフを図10に示す。
【0080】
この動作モードの領域は、使用者が温湿度条件において快適に感じると予測される領域に設定されている。尚、上記動作モードの外側の領域がスタンバイモードである。このスタンバイモードの領域は、使用者が不快に感じると予測される領域となる。このスタンバイモードの領域は、比較的に高温高湿及び低温低湿の領域を含んでいる。例えば、高温高湿は、湿度が82%以上で且つ温度が30度以上の領域である。低温低湿は、湿度が20%以下で且つ温度が8度以下の領域である。
【0081】
尚、図10に示すように、動作モードとスタンバイモードとの間には、現在のモードを継続させる範囲が設定されている。そして、スタンバイモードから動作モードへ移行する場合の境界線は第1境界線(a)に設定され、動作モードからスタンバイモードへ移行する場合の境界線は第2境界線(b)に設定されている。
【0082】
また、この制御部(3)は、図11に示すように、動作モードからスタンバイモードへ移行した場合に、上記加圧ポンプ(41)の運転を停止させた後、所定時間(Δt2)の経過後に上記高圧電源部(50)の運転を停止させる。また、スタンバイモードから動作モードへ移行した場合に、上記高圧電源部(50)の運転を開始させた後、所定時間(Δt1)の経過後に上記加圧ポンプ(41)の運転を開始させる。こうすることで、ノズル(72)の流出端(72c)に電界が生じていない状態でノズル(72)の流出端(72c)へ液体が搬送されるのを防ぐことができる。これにより、ノズル(72)の流出端(72c)からの液だれを防止することができる。尚、上記ケーシング(10)の外面には、現在のモードが動作モード及びスタンバイモードのどちらか一方であることを知らせるLED(ライト・エミッティング・ダイオード、以下同じ)が設けられている。このLEDにより、どのモードで運転しているかを使用者が把握することができる。
【0083】
また、この制御部(3)は、上記動作モード時において、上記温湿度センサ(29)で検出される湿度値Mに基づいて、上記高圧電源部(50)の印加電圧Vを調整することで、上記ノズル(72)から糸状に噴出される液体の噴出状態を安定させることができる。具体的には、使用者のいる空間の湿度が高くなると上記高圧電源部(50)の印加電圧Vを小さくし、湿度が低くなると印加電圧Vを大きくする。
【0084】
これは、湿度が高くなると、上記タンク(71)内の液体と対向電極(12)とを絶縁しているケーシング(10)の電位が下がる。ケーシング(10)の電位が下がった場合には、上記印加電圧Vを小さくしないと、過剰に電圧が印加されてしまい、上記ノズル(72)から糸状に液体を噴出させにくくなるからである。
【0085】
一方、湿度が低くなると、上記ケーシング(10)の電位が上がるので、上記印加電圧Vを大きくしないと、印加電圧が不足してしまい、上記ノズル(72)から糸状に液体を噴出させにくくなるからである。
【0086】
−運転動作−
〈静電噴霧装置の動作〉
上記本実施形態の静電噴霧装置(1)の動作について説明する。この静電噴霧装置(1)では、液体が液糸(リガメント)状態で噴出され、液滴に分裂し、拡散されて使用者に到達する。この静電噴霧装置(1)は、噴霧カートリッジ(70)がケーシング(10)内に収容された状態で運転可能な状態となる。
【0087】
まず、使用者が手動でシャッタ(13)をケーシング(10)の背面方向にスライドさせて開けると、シャッタ(13)が動作スイッチ(15)を押してON状態となる。動作スイッチ(15)がON状態となると、コントローラ(2)が加圧ポンプ(41)を駆動させる。加圧ポンプ(41)は空気管(42)からタンク(71)内へ空気を導入する。タンク(71)内では、空気圧が高くなり、タンク(71)内の液体が空気に押されてノズル(72)の流入端(72d)から内部に流入する。そして、ノズル(72)の内部に流入した液体はノズル(72)の流出端(72c)まで搬送される。
【0088】
一方で、動作スイッチ(15)がON状態になると、コントローラ(2)の電圧調整部(6)は、高圧電源部(50)の出力部(51)から高電圧を出力する。高電圧は、電極部材(84)を介してタンク(71)内の液体に印加される。
【0089】
そして、ノズル(72)の流出端(72c)では、電荷を帯びた液体と対向電極(12)との間に電位差が生じ、電界が発生する。ノズル(72)の流出端(72c)の液体は、電界に引っ張られて液糸(リガメント)状態で噴出され、その後、概ね数十μmから300μm程度の大きさの液滴に分裂する。液体には電荷が付与されているため、分裂によって互いに斥力が生じて液滴は拡散する。拡散した液滴は、グランドとなる使用者に向かって飛散し、使用者の顔面に付着する。
【0090】
また、コントローラ(2)は、動作スイッチ(15)がON状態であっても、人検知センサ(30)からの検知データに基づいて噴霧動作を制御することもできる。具体的には、人検知センサ(30)が使用者の無しを検知すると、電圧調整部(6)の高電圧の出力を停止する一方、加圧ポンプ(41)の運転を停止する。さらに、再び人検知センサ(30)が使用者の有りを検知すると、電圧調整部(6)の高電圧の出力を開始する一方、加圧ポンプ(41)の運転を開始する。これによって、使用者がいない状況での無駄な噴霧を確実に防止することができる。
【0091】
〈制御部の運転制御〉
上記制御部(3)の制御動作について説明する。この制御動作の制御フロー図を図12に示す。この制御動作は、使用者が動作スイッチ(15)を入れた後、その動作スイッチ(15)を切るまでの間に行われるものである。
【0092】
まず、ステップST1では、上記温湿度センサ(29)から入力された現在の温度値Tm及び湿度値Mmが、図10に示す動作モードの範囲内であるか否かが判定される。そして、現在の温度値Tm及び湿度値Mmが、動作モードの範囲内であれば、使用者が温湿度条件において快適な状態であると判定してステップST4へ移り、そうでなければ、使用者が温湿度条件において不快な状態であると判定してステップST2へ移る。
【0093】
ステップST2では、上記加圧ポンプ(41)が停止中であればその停止状態を継続させ、上記加圧ポンプ(41)が運転中であればその運転を停止させる。そして、ステップST2からステップST3へ移る。ステップST3では、上記高圧電源部(50)が停止中であればその停止状態を継続させ、上記高圧電源部(50)が運転中であればその運転を停止させる。上述したように、先に上記加圧ポンプ(41)を停止させてから高圧電源部(50)を停止させることで、上記ノズル(72)の流出端(72c)からの液だれを防止する。そして、ステップST3の処理が終了した後、再びステップST1へ戻る。
【0094】
一方、ステップST4では、上記高圧電源部(50)が停止中であれば上記高圧電源部(50)を運転させ、上記高圧電源部(50)が運転中であればその運転を継続させる。そして、ステップST4からステップST5へ移る。ステップST5では、上記加圧ポンプ(41)が停止中であれば上記加圧ポンプ(41)を運転させ、上記加圧ポンプ(41)が運転していればその運転を継続させる。上述したように、先に上記高圧電源部(50)を運転させてから加圧ポンプ(41)を運転させることで、ノズル(72)の流出端(72c)からの液だれを防止する。そして、ステップST5の処理が終了した後、ステップST6へ移る。
【0095】
ステップST6では、上記温湿度センサ(29)から入力された湿度値Mmが、前回入力された湿度値M(m−1)よりも高いか否かが判定される。この湿度値Mmが前回入力された湿度値M(m−1)よりも高い場合にはステップST7へ移り、そうでない場合にはステップST8へ移る。
【0096】
ステップST7では、上記高圧電源部(50)の印加電圧Vを所定量だけ下げる。これにより、上述したように、上記ノズル(72)の流出端(72c)から噴出される液体の噴霧状態を安定させることができる。そして、ステップST7の処理が終わると、再びステップST1へ戻る。
【0097】
一方、ステップST8では、上記温湿度センサ(29)から入力された湿度値Mmが、前回入力された湿度値M(m−1)よりも低いか否かが判定される。この湿度値Mmが前回入力された湿度値M(m−1)よりも低い場合にはステップST9へ移り、そうでない場合には再びステップST1へ戻る。ここで、ステップST8からステップST1へ戻るのは、上記温湿度センサ(29)から入力された湿度値Mmが変化しない場合に限られる。
【0098】
ステップST9では、上記高圧電源部(50)の印加電圧Vを所定量だけ上げる。これにより、上述したように、上記ノズル(72)の流出端(72c)から噴出される液体の噴霧状態を安定させることができる。そして、ステップST9の処理が終わると、再びステップST1へ戻る。以上のような処理が、動作スイッチ(15)を切るまで連続的に行われる。
【0099】
−実施形態の効果−
本実施形態によれば、上記温湿度センサ(29)の検出値に基づいて、上記静電噴霧装置(1)の噴霧量を調整することができる。これにより、上記使用者のいる空間に応じて、この噴霧量を最適な量に節約することが可能となる。この結果、上記タンク(71)が空になる時間が早くなるのを抑えることができ、タンク(71)を空にしないためのメンテナンスの回数を減らすことが可能となる。
【0100】
また、本実施形態によれば、使用者のいる空間が不快な状態であると判定すると、使用者が液体の噴霧による効果を感じにくいとして、上記静電噴霧装置(1)による液体の噴霧を停止する。これにより、液体の無駄な噴霧を抑えられ、上述したメンテナンスの回数を従来よりも減らすことができる。このメンテナンス回数の減少により、使用者が快適に静電噴霧装置(1)を使用することができる。
【0101】
また、本実施形態によれば、上記ノズル(72)の流出端(72c)に電界が生じていない状態でノズル(72)の流出端(72c)へ液体が搬送されるのを防ぐことができる。これにより、ノズル(72)の流出端(72c)からの液だれを防止することができる。
【0102】
また、本実施形態によれば、使用者のいる空間が快適な状態であると判定すると、使用者が液体の噴霧による効果を感じやすいとして、上記静電噴霧装置(1)による液体の噴霧が開始される。これにより、上記静電噴霧装置(1)を効率的に運転することができる。
【0103】
また、本実施形態によれば、上記使用者のいる空間の湿度が高くなると、上記高圧電源部(50)の印加電圧Vを小さくすることにより、上記ノズル(72)から糸状に液体を噴出させやすくなる。これにより、上記使用者のいる空間の湿度が高くなっても、上記静電噴霧装置(1)による液体の噴霧状態を安定させることができる。
【0104】
また、本実施形態によれば、上記使用者のいる空間の湿度が低くなると、上記高圧電源部(50)の印加電圧Vが大きくすることにより、上記ノズル(72)から糸状に液体を噴出させやすくなる。これにより、上記使用者のいる空間の湿度が低くなっても、上記静電噴霧装置(1)による液体の噴霧状態を安定させることができる。
【0105】
−実施形態の変形例1−
本変形例は、上記実施形態の静電噴霧装置(1)において、制御部(3)の構成を変更したものである。
【0106】
本変形例に係る制御部(3)は、図示しないが、受信部、記憶部、噴霧量設定部、処理部、発信部を備えている。
【0107】
上記受信部は、通信ケーブルを介して温湿度センサ(29)に繋がっており、温湿度センサ(29)によって測定される温度が受信される。
【0108】
上記記憶部は、周囲(使用者のいる空間)の温度と噴霧量との対応関係が記憶されている。上記対応関係として表される噴霧量とは、肌の保湿に必要な噴霧量のことであって、各温度における肌の乾燥状態から推測されたものである。つまり、上記記憶部は、上記対応関係が参照されることによって、肌の保湿に適した噴霧量が導き出せるように構成されている。上記対応関係は、テーブル又は関数として上記記憶部に記憶されている。例えば、図13に示すテーブルでは、異なる複数の温度域に対して、肌の保湿に必要な噴霧量が3段階(「強」、「弱」、「停止」)に分類されている。
【0109】
上記噴霧量設定部は、上記受信部に受信された測定温度を上記記憶部に記憶される上記対応関係に当てはめ、その対応関係に従って必要な噴霧量を設定するように構成されている。上記噴霧量設定部では、上記測定温度が変化する毎に、噴霧量の設定値が変更される。
【0110】
上記処理部では、上記噴霧量設定部で設定された噴霧量で噴霧が行われるように、高圧電源部(50)の電圧及び加圧ポンプ(41)の圧力(搬送量)を調節するための信号が算出される。上記信号は、噴霧量と電圧或いは圧力との関係を定めた関数又はテーブルに従って算出される。
【0111】
上記発信部は、通信ケーブルを介して高圧電源部(50)及び加圧ポンプ(41)にそれぞれ繋がっており、上記処理部で算出された信号が高圧電源部(50)及び加圧ポンプ(41)へ発信される。上記信号が高圧電源部(50)及び加圧ポンプ(41)に入力されると、該信号に応じた電圧及び圧力が出力される。これによって、上記ノズル(72)の噴霧量は上記噴霧量設定部で設定された噴霧量となる。
【0112】
以上のように、制御部(3)では、受信部で受信された周囲の温度に応じて噴霧量設定部で噴霧量が設定され、その設定された噴霧量で噴霧が行われるように高圧電源部(50)の電圧及び加圧ポンプ(41)の圧力が変更される。このように、本発明の静電噴霧装置(1)では、高圧電源部(50)の電圧及び加圧ポンプ(41)の圧力を増減させることによって、周囲の温度に応じた噴霧量調節が行われる。
【0113】
具体的に、制御部(3)の動作について説明する。図14に示すように、ステップST11では、液体が噴霧される周囲の温度が測定される。温度の測定は、温湿度センサ(29)によって行われ、測定された温度は、所定の時間間隔で受信部に受信される。
【0114】
次に、ステップST12では噴霧量が設定される。ステップST11で測定温度が受信されると、噴霧量設定部では、肌の保湿に適した噴霧量が設定される。上記肌の保湿に適した噴霧量は、記憶部に記憶される温度と噴霧量の対応関係に従って設定される。上記対応関係を表すテーブル又は関数を参照し、測定温度を当てはめることによって上記噴霧量は設定される。具体的には、温度が28℃以上の比較的高い環境では、発汗量が多く、肌は十分に濡れていると推定される。このような場合、肌を保湿するために噴霧は必要ないため、図13に示すように、上記テーブルに従って噴霧停止と設定される。一方、温度が低い環境では、発汗は殆どなく、肌は乾燥していると推定される。このような場合、肌を保湿するのに多くの噴霧量が必要であるため、上記テーブルに従って噴霧量は強に設定される。
【0115】
次に、ステップST13では、高圧電源部(50)及び加圧ポンプ(41)の動作が制御される。まず、処理部では、ステップST12で設定された噴霧量で噴霧が行われるように、高圧電源部(50)の電圧及び加圧ポンプ(41)の圧力を調節するための信号が算出される。上記信号が算出されると、該信号は高圧電源部(50)及び加圧ポンプ(41)に入力され、該信号に応じた電圧及び圧力がそれぞれ出力される。このようにして、高圧電源部(50)の電圧及び加圧ポンプ(41)の圧力が増減され、設定された噴霧量で噴霧を行うための制御が行われる。例えば、噴霧量を増大させる場合は電圧及び圧力が高くなるように、噴霧量を減少させる場合は電圧及び圧力が低くなるように、高圧電源部(50)及び加圧ポンプ(41)はそれぞれ制御される。
【0116】
つまり、上記静電噴霧装置(1)では、加圧ポンプ(41)の圧力(搬送量)を高くすると、ノズル(72)の先端側へ移動する液体の供給力が増加するため、液体の噴霧量が増加する。一方、高圧電源部(50)の電圧を高くすると、上記対向電極(12)との電位差が大きくなり、帯電された液体が受ける静電力が大きくなるため、液体の噴霧量が増加する。このように、上記静電噴霧装置(1)では、高圧電源部(50)の電圧及び加圧ポンプ(41)の圧力(搬送量)の少なくとも何れかを変化させることによって、液体の噴霧量を変化させることができる。
【0117】
そして、制御部(3)では、噴霧が継続して行われている間は、ステップST11からステップST13の動作が繰り返し行われる。
【0118】
以上のように、本変形例の静電噴霧装置(1)では、測定された周囲の温度(使用者のいる空間の温度)に応じて肌の保湿に適した噴霧量が設定される。そして、その設定された噴霧量で噴霧が行われるように、高圧電源部(50)及び加圧ポンプ(41)の動作を制御することによって噴霧量が調節される。したがって、本変形例に係る静電噴霧装置(1)では、周囲の温度に応じた肌の保湿制御を行うことができる。
【0119】
そして、本変形例においても、温湿度センサ(29)の検出値に応じて噴霧量を調整するため、上記使用者のいる空間に応じて噴霧量を最適な量に節約することが可能となる。この結果、上記タンク(71)が空になる時間が早くなるのを抑えることができ、タンク(71)を空にしないためのメンテナンスの回数を減らすことが可能となる。
【0120】
尚、制御部(3)での噴霧量調節は、高圧電源部(50)及び加圧ポンプ(41)の両方で行う場合に限らず、例えば、加圧ポンプ(41)の圧力を一定にし、高圧電源部(50)の電圧だけを増減させても同様の効果を奏する。
【0121】
−実施形態の変形例2−
本変形例は、図15に示すように、上記変形例1のテーブルを変更したものである。上記変形例1では、周囲の温度を測定し、温度と噴霧量との対応関係を定めたテーブルに従って噴霧量を設定した。これに対し、本変形例では、周囲の温度及び湿度(使用者のいる空間の温度及び湿度)を測定し、温湿度と噴霧量との対応関係を定めたテーブルに従って噴霧量を設定するようにした。
【0122】
本変形例の制御部(3)では、上記温湿度センサ(29)によって測定される温度と湿度の両方が受信されるように、受信部が構成されている。温湿度の測定結果が受信されると、噴霧量設定部では、例えば、図15に示すテーブルに従って肌の保湿に必要な噴霧量が設定される。図15に示すテーブルでは、異なる温度域及び湿度域に対して、肌の保湿に適した噴霧量が4段階(「強」、「中」、「弱」、「停止」)に分類されている。上記テーブルに従って噴霧量が設定されると、上記変形例1と同様に、該噴霧量で噴霧が行われるように高圧電源部(50)の電圧及び加圧ポンプ(41)の圧力(搬送量)が制御される。例えば、湿度が80%以上の高湿な環境では、温度が低くても湿気によって肌はある程度濡れていると推定される。このような場合、肌を保湿するために噴霧量は不要或いは少量で十分であるため、図15に示すように、上記テーブルに従って噴霧停止或い噴霧量弱に設定される。一方、湿度が低い環境では、温度が比較的高くても、肌は乾燥していると推定される。このような場合、上記テーブルでは噴霧量はある程度多くなるように定められ、該テーブルに従って噴霧量は設定される。
【0123】
本変形例では、噴霧量の設定条件として湿度が追加されている。このように、温度の次に肌の乾燥に影響する湿度が噴霧量の設定条件に追加されることによって、肌の保湿に必要な噴霧量をより詳細に設定することができ、肌の保湿制御をさらに精度良く行うことができる。これによって、上記使用者のいる空間に応じて噴霧量をより最適な量に節約することが可能となる。この結果、上記タンク(71)が空になる時間が早くなるのを一層抑えることができる。
【0124】
−その他の実施形態−
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0125】
上記実施形態では、上記温湿度センサ(29)を用いて動作モード又はスタンバイモードのモード判定をしていたが、これに限定される必要はなく、例えば、上記温湿度センサ(29)の代わりに温度センサ又は湿度センサを設けてモード判定してもよい。
【0126】
尚、上記温度センサのみを設ける場合には、動作モードの領域を使用者が温度条件において快適に感じると予測される領域に設定する。また、上記湿度センサのみを設ける場合には、動作モードの領域を使用者が湿度条件において快適に感じると予測される領域に設定する。
【0127】
上記実施形態では、上記制御部(3)における動作モードの領域を使用者が温湿度条件において快適に感じると予測される領域に設定していたが、これに限定される必要はない。例えば、液体の噴霧状態は、使用者のいる空間の温湿度の影響を受けやすいため、動作モードの領域を温湿度条件において液体の噴霧状態が安定する領域に設定してもよい。この場合には、スタンバイモードが液体の噴霧状態が不安定となる領域になる。これにより、本発明と同様に、無駄な噴霧を抑制し、タンクを空にしないためのメンテナンスの回数を従来よりも減らすことができる。
【0128】
また、上記実施形態では、手動によって液体の噴霧量を調節する手動調節部を設けるようにしてもよい。その場合、上述したような制御部(3)によって液体の噴霧量を調節する自動運転と、手動調節部によって液体の噴霧量を調節する手動運転とが実行可能に切り換えられる。
【0129】
なお、以上の実施形態及び変形例は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0130】
以上説明したように、本発明は、静電噴霧装置に関し、特に静電噴霧装置の運転制御について有用である。
【符号の説明】
【0131】
1 静電噴霧装置
2 コントローラ
3 制御部
10 ケーシング
12 対向電極
29 温湿度センサ
40 搬送ユニット
41 加圧ポンプ(搬送部)
43 圧力センサ
50 高圧電源部(電圧印加部)
70 噴霧カートリッジ
71 タンク(容器)
72 ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を貯留する容器(71)と、該容器(71)の内外を連通するノズル(72)と、該容器(71)の液体をノズル(72)の流出端(72c)へ搬送する搬送部(41)と、上記ノズル(72)の流出端(72c)の近傍に配置された対向電極(12)と、上記搬送部(41)で上記ノズル(72)の流出端(72c)へ搬送された液体と上記対向電極(12)との間に電界が生じるように上記容器(71)の液体に電圧を印加する電圧印加部(50)とを備え、上記ノズル(72)の流出端(72c)から流出した液体を使用者へ噴霧する静電噴霧装置であって、
少なくとも上記使用者のいる空間の温度を検出する検出部(29)と、
上記検出部(29)の検出値に応じて、上記搬送部(41)における液体の搬送量及び上記電圧印加部(50)における電圧の印加量の少なくとも一方を調整する制御部(3)とを備えている
ことを特徴とする静電噴霧装置。
【請求項2】
液体を貯留する容器(71)と、該容器(71)の内外を連通するノズル(72)と、該容器(71)の液体をノズル(72)の流出端(72c)へ搬送する搬送部(41)と、上記ノズル(72)の流出端(72c)の近傍に配置された対向電極(12)と、上記搬送部(41)で上記ノズル(72)の流出端(72c)へ搬送された液体と上記対向電極(12)との間に電界が生じるように上記容器(71)の液体に電圧を印加する電圧印加部(50)とを備え、上記ノズル(72)の流出端(72c)から流出した液体を使用者へ噴霧する静電噴霧装置であって、
少なくとも上記使用者のいる空間の湿度を検出する検出部(29)と、
上記検出部(29)の検出値に応じて、上記搬送部(41)における液体の搬送量及び上記電圧印加部(50)における電圧の印加量の少なくとも一方を調整する制御部(3)とを備えている
ことを特徴とする静電噴霧装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
上記検出部(29)は、上記使用者のいる空間の温度及び湿度を検出する
ことを特徴とする静電噴霧装置。
【請求項4】
請求項1又は3において、
上記制御部(3)は、上記使用者が少なくとも温度条件において快適に感じると予測される領域から上記使用者が少なくとも温度条件において不快に感じると予測される領域へ上記検出部(29)の検出値が移行すると、上記搬送部(41)及び上記電圧印加部(50)の運転を停止させる
ことを特徴とする静電噴霧装置。
【請求項5】
請求項2又は3において、
上記制御部(3)は、上記使用者が少なくとも湿度条件において快適に感じると予測される領域から上記使用者が少なくとも湿度条件において不快に感じると予測される領域へ上記検出部(29)の検出値が移行すると、上記搬送部(41)及び上記電圧印加部(50)の運転を停止させる
ことを特徴とする静電噴霧装置。
【請求項6】
請求項4又は5において、
上記制御部(3)は、上記搬送部(41)の運転を停止させた後で上記電圧印加部(50)の運転を停止させる
ことを特徴とする静電噴霧装置。
【請求項7】
請求項1又は3において、
上記制御部(3)は、上記使用者が少なくとも温度条件において不快に感じると予測される領域から上記使用者が少なくとも温度条件において快適に感じると予測される領域へ上記検出部(29)の検出値が移行すると、上記搬送部(41)及び上記電圧印加部(50)の運転を開始させる
ことを特徴とする静電噴霧装置。
【請求項8】
請求項2又は3において、
上記制御部(3)は、上記使用者が少なくとも湿度条件において不快に感じると予測される領域から上記使用者が少なくとも湿度条件において快適に感じると予測される領域へ上記検出部(29)の検出値が移行すると、上記搬送部(41)及び上記電圧印加部(50)の運転を開始させる
ことを特徴とする静電噴霧装置。
【請求項9】
請求項7又は8において、
上記制御部(3)は、上記電圧印加部(50)の運転を開始させた後で上記搬送部(41)の運転を開始させる
ことを特徴とする静電噴霧装置。
【請求項10】
請求項2又は3において、
上記容器(71)の液体と上記対向電極(12)との間を絶縁する絶縁体(10)を有し、
上記検出部(29)は、上記絶縁体(10)に面する空間であり且つ上記使用者のいる空間の湿度を検出するように構成され、
上記制御部(3)は、上記検出部(29)の検出値である湿度値が高くなると、上記電圧印加部(50)における電圧の印加量を小さくするように構成されている
ことを特徴とする静電噴霧装置。
【請求項11】
請求項2又は3において、
上記容器(71)の液体と上記対向電極(12)との間を絶縁する絶縁体(10)とを有し、
上記検出部(29)は、上記絶縁体(10)に面する空間であり且つ上記使用者のいる空間の湿度を検出するように構成され、
上記制御部(3)は、上記検出部(29)の検出値である湿度値が低くなると、上記電圧印加部(50)における電圧の印加量を大きくするように構成されている
ことを特徴とする静電噴霧装置。
【請求項12】
請求項1又は3において、
上記制御部(3)は、肌の乾燥状態に基づいて、上記検出部(29)の検出値と上記液体の噴霧量との対応関係を定めたテーブル又は関数を予め有し、上記テーブル又は関数に従って上記搬送部(41)における液体の搬送量及び上記電圧印加部(50)における電圧の印加量の少なくとも一方を調整する
ことを特徴とする静電噴霧装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−105956(P2012−105956A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188578(P2011−188578)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】