説明

静電容量式タッチセンサデバイス設定システムおよび方法

実施形態は、静電容量式タッチセンサおよび静電容量式タッチセンサを設定する方法を含む。静電容量式タッチセンサの実施形態は、アナログデジタル変換器208(ADC)およびコントローラ202を含む。ADCは、電極106からアナログ電圧信号252を受信し、複数のデジタル値を生じるためにアナログ電圧信号をサンプリングする。コントローラは、第1充電期間で電極に第1充電電流を供給することによって第1充電プロセス504を実行し、デジタル値に基づきコントローラは、第1電極電圧が基準を満たすか否か判定する。満たしていない場合、コントローラは、電極のための第2充電電流および第2充電期間を設定することをもたらす設定プロセス524を実行する。設定プロセスは、第2充電プロセスの実行に応答して、基準を満たす第2電極電圧値を生じる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には静電容量式タッチセンサに関する。さらに詳しくは、静電容量式タッチセンサを設定する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
静電容量式タッチセンサデバイスは、携帯電話、パソコン、ポータブル娯楽装置、電化製品、タッチスクリーンのような多様な一般消費者向け電子機器に含まれる。静電容量式タッチセンサデバイスは、少なくとも、1または複数のセンサ(または「電極」)、充電回路、タッチ検出回路を含む。各センサは予想されるユーザ入力に関連し得る。例えば、ユーザが電話できるように可能にするために、携帯電話は、少なくとも12個のセンサのアレイを含む可能性があり、10個のセンサは0〜9の数字の各々に関連され、11番目のセンサは「SEND」キーに関連され、12番目のセンサは「END」キーに関連される。
【0003】
典型的なセンサは、誘電体タッチプレート(例えば、ガラスプレート)および電極を含み、該誘電体タッチプレートおよび電極は、キャパシタのそれぞれの誘電体および電極として機能する。ユーザがタッチプレートにおけるセンサ位置を触る時、アースとユーザとセンサとの間に形成される静電容量式回路のため、電極に潜在的な変化が生じる。タッチが起こったか否か判定するために、静電容量式タッチセンサデバイスは、電極の電位を周期的または常に測定する。電位の測定に先立って、充電回路は、所定時間で電極に所定電流を与えることによって、電極を充電する。充電プロセスの頂点において、タッチ決定回路は、電極と接地との間(または他の固定電位)の電圧を測定する。測定電圧がノンタッチ状態に関連するベースライン値(たとえばタッチ検出閾値)未満に十分に入る時、タッチ決定回路は、タッチが検出されることを表示し得る。充電および測定工程が繰り返し続き、測定される電圧が十分な量でベースライン値に増加された時(例えば、リリース検出閾値よりも高い)、タッチ決定回路は次に、リリースが検出されることを表示してもよい。
【0004】
ゼロボルト(または接地)とデバイスへ供給電圧との間の測定可能な電圧に対応するために、電極に印加できる電荷の理論的範囲は、制限される。しかしながら、正確な充電および測定は典型的に、理論的範囲の中央範囲以内に入る電圧のみで取得され得る。例えば、1.7ボルトの供給電圧を有するデバイスにおいて、信頼性の高い正確な電圧測定は、範囲の下部0.7ボルト以内の電圧に対して不可能であり、信頼性の高い正確な電圧測定は、範囲の上部0.7ボルト以内の電圧に対して達成できないおそれがある。したがって、正確な充電および測定は、理論的範囲の中央0.3ボルト以内の測定可能電圧に対してのみ達成され得る。
【0005】
このような静電容量式タッチセンサを製品に組み込むことを望んでいるシステム設計者は、充電プロセスが中央範囲内に入る電圧を生じるような充電パラメタ(例えば、供給電流および充電期間)を設定するべきである。しかしながら、外部要因(例えば、温度または湿度変化、伝達周波数変化、など)によるシステムにおける容量変化がタッチ検出閾値またはタッチリリース閾値を、中央の正確な電圧測定可能範囲の外に移動させてしまうおそれがある。閾値が電圧範囲の下部(例えば、下部の0.7ボルト)に入る時、正確な測定はできないおそれがある。閾値が電圧範囲の上部(例えば、上部の0.7ボルト)に入る時、正確な充電ができないおそれがある。いずれの場合も、偽タッチ検出または偽タッチリリースが起こるおそれがあり、および/またはシステムが実際のタッチまたはリリースを検出できないおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/0167325号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来静電容量式タッチセンサデバイスの上述特徴のため、システム設計者は典型的に、中央範囲(例えば、1.7ボルトシステムにおいては0.85ボルトである)の中間内電圧を生じるような充電パラメタを設定する。この実施はデバイスの信頼性を高めるが、デバイスの感知度は最適化されない。さらに半導体デバイスの変更が、電流電源の動作および充電プロセスに関するタイマに大きな影響を与えるおそれがある。よって供給されたデバイスが範囲の中央で潜在的に測定可能な電圧を生じる充電工程を実行できることを保証するために、静電容量式タッチセンサデバイスの歩留まりは十分に低くあるべきである。
【0008】
外部要因による有意な容量変化に対して、正確なタッチ検出を確実に達成し得る静電容量式タッチセンサが必要とされる。さらに必要とされるのは、高い信頼性を達成し、同時に、システム設計者が選ぶ場合に、増加した感知度のための充電パラメタをシステム設計者が設定できる静電容量式タッチセンサデバイスである。さらに必要とされるのは、従来デバイスのデバイス歩留まりと比較して、システム製造者がより高いデバイス歩留まりを有することを可能にし得る静電容量式タッチセンサデバイスを設定する方法および装置である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書記載される実施形態は、静電容量式タッチセンサデバイスおよび静電容量式タッチセンサデバイスを設定する方法を含む。実施形態は、外部要因による有意な容量変化に対して正確なタッチ検出を確実に達成し得る静電容量式タッチセンサデバイスを含む。実施形態も、高い信頼性を達成し、同時に、システム設計者が選ぶ場合、システム設計者が増加された感知度のためのパラメタを設定させる静電容量式タッチセンサデバイスを含む。また従来デバイスのデバイス歩留まりと比較して、実施形態は、システム製造者がより高いデバイス歩留まりを有することを可能にし得る。より詳細な様々な実施形態は図1〜7と関連して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】代表的実施形態にしたがう、静電容量式タッチセンサが含まれる電子システムの一部の簡易化されたブロック図。
【図2】代表的実施形態にしたがう、静電容量式タッチセンサの簡易化されたブロック図。
【図3】一実施形態にしたがう、選択された電極における複数の充電および測定周期での電極充電/放電プロファイルの例。
【図4】代表的実施形態にしたがう、ベースラインおよびタッチ/リリース検出閾値と同時にプロットされる代表的電極電圧測定を示すチャート。
【図5】代表的実施形態にしたがう、タッチ/リリース検出を実行し、静電容量式タッチセンサを設定する方法のフローチャート。
【図6】代表的実施形態にしたがう、電極における充電パラメタを設定または再設定する方法のフローチャート。
【図7】別の代表的実施形態にしたがう、電極における充電パラメタを設定または再設定する方法のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、代表的実施形態にしたがって、静電容量式タッチセンサシステムが含まれる電子システム100の一部の簡易化されたブロック図を示す。システム100の一部は、携帯電話、パソコン、ポータブル娯楽装置、電化製品、タッチスクリーン、あるいは多種多様な電子デバイスに含まれてもよい。一実施形態にしたがって、システム100は、コントローラ102、静電容量式タッチセンサ104、および1〜Nタッチパッド電極106、107、108を含み、ここで、Nは整数である(例えば、1〜数百の範囲の整数である)。
【0012】
タッチパッド電極106〜108はそれぞれ、誘電体タッチプレート(またはその部分)を物理的に近接して配置される。各電極106〜108およびそれぞれの関連する誘電体タッチプレートは、それぞれの1つの電極およびキャパシタの電極として機能する。従来デバイスと同様に、ユーザがセンサ位置に関連する誘電体タッチプレートの部分を触る時、電極106〜108における電位変動は、接地電位(例えば、アース)とユーザと電極106〜108との間に形成された静電容量式回路によって生じる。電極充電および電圧測定プロセスを介して、静電容量式タッチセンサ104は、「タッチイベント」または「リリースイベント」が起こることを示すために容量に関する電極106〜108が十分に変化したか否か判定し得る。しかしながら、以下により詳細に説明するように、従来デバイスとは異なり、実施形態は、各電極106〜108が広範囲の様々な状況およびデバイス変更下の中央電圧領域内に入る電圧に充電されることを保障し得る自動的充電設定プロセスを実行する方法および装置を含む。
【0013】
静電容量式タッチセンサ104は、充電線120、121、122および測定線130、131、132を介して各電極106〜108に動作可能に接続される。充電線120〜122および測定線130〜132は、図1における別々の線で示されるが、充電および測定プロセスは電極のために単一線を通じて実行され得る(例えば、充電線120および測定線130は同一線である)ことが理解される。つまり、様々な実施形態にしたがって、充電および測定プロセスは、静電容量式タッチセンサ104の2つのピンまたは1つのピンを用いることによって、或る電極のために実行され得る。
【0014】
実施形態にしたがって、静電容量式タッチセンサ104は、各電極106〜108の充電設定情報を格納し、動的維持するように設定される。ここで、充電設定情報は、少なくとも、各電極106〜108のベースライン電圧、充電電流、および充電期間を含む。電極106を例として、電極106を充電するために、静電容量式タッチセンサ104は、充電線120に亘って電流を供給する。ここで、供給される電流は、電極106における格納された充電電流と等しい大きさを有する。充電電流は、電極106における格納された充電期間で供給され、次に充電プロセスは、停止される。静電容量式センサ104が次に、測定線130を通じて電極106の電圧を測定し、測定される電圧を電極106における格納されたベースライン電圧と比較する。測定された電圧と格納されたベースライン電圧との間の差がタッチ検出デルタを超えない時、静電容量式タッチセンサ104は、電極106が「ノータッチ状態」であることを決定し得る。逆に、測定された電圧と格納されたベースライン電圧との間の差がタッチ検出デルタを超える時、静電容量式タッチセンサ104は、タッチイベントが起こり、したがって電極106が「タッチ状態」であることを判定しうる。タッチ状態である時、測定された電圧とベースライン電圧との間の比較がリリース検出デルタ未満の差を生じるまで、静電容量式タッチセンサ104は、充電および測定プロセスを繰り返し続ける。その時点で、静電容量式タッチセンサにリリースイベントが起こり、したがって電極106が再びノータッチ状態であることを判定しうる。
【0015】
静電容量式タッチセンサ104は、システムコントローラ102に動作可能に接続される。システムコントローラ102は、専用または汎用マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、または処理部品の他の何らかのタイプを含んでもよい。システムコントローラ102および静電容量式タッチセンサ104は、通信インタフェース110を通じて通信し得る。一実施形態にしたがって、通信インタフェース110は、1または複数の割込線および1または複数の通信線を含んでもよい。例えば、一実施形態において、通信インタフェース110がIC(インターインテグレイティドサーキット)をサポートする伝達手段を含んでもよい。他の実施形態において、通信インタフェース110は、SPI(シリアル周辺インタフェース)プロトコル、UART(汎用非同期送受信回路)プロトコル、またはインタープロセッサ通信プロトコルの他の何らかのタイプをサポートする伝達手段を含んでもよい。
【0016】
様々な割込み、制御メッセージ、およびデータは、通信インタフェース110を渡って転送され得る。例えばシステムコントローラ102は、通信インタフェース110を通じて制御メッセージを与えてもよく、該通信インタフェース110は、静電容量式タッチセンサ104を起動または無効化するように構成される。また、静電容量式タッチセンサ104がタッチイベントまたはリリースイベントを検出する時、静電容量式タッチセンサ104は、通信インタフェース110を通じて割込みを与えてもよい。割込みに応答して、システムコントローラ102は、割込みに関する情報の要求を与えてもよい(例えば、割込みのトリガーイベントを説明する静電容量式タッチセンサのレジスタを読み出す要求)。静電容量式タッチセンサ104は次に、例えば、電極の識別およびタッチイベントまたはリリースイベントの表示子を示すデータを戻す。システムコントローラ102は、このような状況では、適切な動作を実行し得る。
【0017】
静電容量式タッチセンサおよび自動設定方法かつ装置の様々な実施形態に関するより詳細は、記載される。代表的実施形態にしたがって、図2は、静電容量式タッチセンサ200(例えば、図1における静電容量式タッチセンサ104)の簡易されたブロック図を示す。一実施形態にしたがって、静電容量式タッチセンサ200は、センサコントローラ202、電流ソース204、クロック/タイマ206、アナログデジタル変換器(ADC)208、マルチプレクサ入力/出力(I/O)210、およびデータ格納装置212を含む。これらの構成部品は、単一集積回路に含まれてもよく、あるいは、いくつかまたはすべての構成部品は、個別デバイスとして実装されてもよい。
【0018】
センサコントローラ202は、1または複数の通信線240と1つまたは複数の割込線260とを介して、外部コントローラ(例えば、図1におけるシステムコントローラ102)に通信するように構成される。一実施形態にしたがって、通信線240を通じて制御メッセージを受信することに応答して、センサコントローラ202が1または複数の外部電極(例えば、図1の電極106〜108)をモニタする工程を起動することによって、電極に存在する電圧がノータッチ状態、タッチ状態、タッチイベントまたはリリースイベントを示す特徴を表すか否か判定し得る。また、タッチイベントまたはリリースイベントの検出の際に、センサコントローラ202は、線258を介してイベントに関する情報をデータ格納装置に格納してもよく、割込線260を通じて割込みを送信し得る。イベントに関する情報は、例えば、電極の識別およびイベントのタイプ(例えば、タッチまたはリリース)を含みうる。あるいは、情報は、電極識別および電極電流状態(例えば、タッチ状態またはノータッチ状態)を含んでもよい。また、センサコントローラ202は、データ格納装置212に新しく入力された状態の表示子を格納してもよい。例えば、タッチイベントが起こる時、センサコントローラ202が電極はタッチ状態であることを示す表示子を格納してもよく、リリースイベントが起こる時、センサコントローラ202は、電極がノータッチ状態であることを示す表示子を格納してもよい。通信線240を通じて割込みに関する情報の要求を受信すると、センサコントローラ202は、データ格納装置212から情報を検索してもよく、通信線240を通じてイベント情報を含む返答を送信してもよい。センサコントローラ202はまた、通信線240を通じて制御メッセージを受信してもよい。ここで、該制御メッセージは、センサコントローラ202が電極をモニタすること(例えば、デバイスが電源を下げる時)を停止するべきであることを表示する。そして、センサコントローラ202は、電極モニタリングを停止してもよい。
【0019】
データ格納装置212は、以下により詳細に記載するような、タッチおよびリリースイベント情報かつ電極専用パラメタを格納するように構成される1または複数の揮発性格納手段を含んでもよい。また、データ格納装置212は、センサ初期化情報を格納するように構成される1または複数の不揮発性格納装置を含んでもよい。例えばセンサ初期化情報は、各電極を静電容量式タッチセンサによってモニタされるためのデフォルト充電パラメタを含んでもよい。デフォルト充電パラメタは例えば、ノータッチ状況に関連するデフォルト充電電流、デフォルト充電期間、デフォルトベースライン値を含んでもよい。またデータ格納装置212は、タッチ検出デルタ値およびリリース検出デルタ値を含んでもよい。代替的にデータ格納装置212は、デフォルトタッチ検出閾値(例えば、デフォルトベースライン値からタッチ検出デルタを減算する)およびデフォルトリリース検出閾値(例えば、デフォルトベースラインからリリース検出デルタを減算する)を含んでもよい。このパラメタの各々の使用は以下により詳細に説明する。
【0020】
電極監視プロセスが開始すると(例えば、通信線240を通じて制御信号を受信することに応答して)、センサコントローラ202は、マルチプレクサ制御線250を通じてマルチプレクサI/O210に選択信号を与えることによって、モニタリングをするための第1電極を選択し得る。センサコントローラ202は、データ格納装置212から選択された電極におけるデフォルト充電パラメタを検索してもよく、制御線242を通じて電流ソース204に制御信号を与えもよい。ここで該制御信号は、デフォルト充電電流を表す。またセンサコントローラ202は、制御線244を通じてクロック/タイマ206にクロック/タイマ制御信号を与えてもよい。ここで該クロック/タイマ制御信号は、選択された電極におけるデフォルト充電期間を表す。クロック/タイマ206は、制御線246にわたって電流ソース204にディスエーブル信号を与えもよい。ここで該イネーブル信号は、電流ソース204が電流出力線248でデフォルト充電電流の停止をもたらす。電流出力線248で与えられる電流は充電線220、221、222の1つで選択された電極に与えられる。
【0021】
図3は、一実施形態にしたがって、選択された電極のための複数の充電および測定周期における電極充電/放電プロファイル300の例を示すチャートである。一実施形態にしたがって、電極の電圧が線形に増加するように、電流(例えば、デフォルト電流または格納充電電流)は、電極に(例えば、図2の電流ソース204によって)与えられる。例えば電圧セグメント302は、充電期間306の間のゼロボルトから目標電圧304に線形に増加する電極の電圧を示す。目標電圧304は望ましくは、下部閾値308と上部電圧閾値310との間に入り、その2つの電圧閾値は、目標電圧範囲312が理論的電圧範囲に入るようにする。
【0022】
目標電圧範囲312は、デバイスの理論的動作範囲の中央範囲に相当してもよい。ここで理論的動作範囲は例えば、ゼロボルトから電源電圧であってよい。より具体的には、下部電圧閾値308は、その電圧以下では正確な充電が信頼性高く完了できない電圧に相当してもよく、上部電圧閾値310は、その電圧以上では正確な充電が信頼性高く完了できない電圧に相当してもよい。例えば、1.7ボルトの電源電圧、VDD、を有するデバイスにおいて、信頼性が高い正確な電圧測定は、下部0.7ボルトの範囲以内の電圧ではできない可能性があり、信頼性が高い正確な電圧測定は、上部0.7ボルトの範囲以内の電圧ではできない可能性がある。したがって、下部電圧閾値308は約0.7ボルトであってよく、上部電圧閾値は約1.0ボルトであってよく、目標電圧範囲312が、0.7と1.0ボルトとの間の約0.3ボルト範囲を含んでもよい。
【0023】
別の実施形態にしたがって、目標電圧範囲312は、中央範囲以内の部分的な範囲として定義されてもよい。例えば、デバイス感知度が大きいことが望ましい時に、目標電圧312は、中央範囲の上部として定義されてもよい(例えば、上部の90〜100%の中央範囲)。一方、信頼性が高いことが望ましい時、目標電圧範囲312は、中央範囲の中央部分として定義されてもよい(例えば、中部の45〜55%の中央範囲)。目標電圧範囲312は、工場における下部目標範囲限界(LTRL)および上部目標範囲限界(UTRL)を示す値を格納する(例えば、図2のデータ格納装置212に)ことによって規定されてもよい。LTRLおよび/またはUTRLはまた、あるいは代替的に、デバイス設計者によって決定および格納され、同時に、静電容量式タッチセンサをシステム(例えば、図1のシステム100)内に含む。
【0024】
電流の供給が停止された時(例えば、図3の充電期間312の終了または時間314で)、静電容量式タッチセンサは、電極の電圧を測定し得る。また図2を参照して、センサコントローラ202は、マルチプレクサ制御線250を通じてマルチプレクサI/O210に別の制御信号を与えることによって、選択された電極における電圧測定を実行されてもよい。ここで、マルチプレクサ制御線250は、マルチプレクサI/O210が測定線230、231、232の1つを通じて選択された電極のためのアナログ電圧信号にアクセスすることをできるようにする。上述記載されるように、充電線220〜222および測定線230〜232はそれぞれ、図2において互いに別々の線として示されるが、充電および測定プロセスが単一線を通じて電極に実行されてもよい(例えば、充電線220および測定線230は同一線であってよい)ことが理解されるべきである。
【0025】
マルチプレクサI/O210は、アナログ電圧線252を通じてADC208にアナログ電圧信号を提供する。一実施形態にしたがって、制御線254を通じてクロック/タイマ206によって与えられるクロック信号に応答して、ADC208は、受信されるアナログ電圧信号をADCカウントとして表すデジタル値に変換する。つまりADC208は、アナログ電圧信号をサンプリングすることによって、複数のデジタル値を生成する。次に、ADC208は、デジタル電圧線256を通じてセンサコントローラ202にサンプリングされるデジタル値を与える。また図3を参照して、放電期間316の間に電極は、次にゼロボルトに放電されてもよく、同一の選択された電極における1または複数の追加の電圧測定を取得するために、このプロセスは、一回または複数の回を繰り返してもよい。より具体的には、センサコントローラ202は、選択された電極に充電および電圧測定プロセスが一回または複数の回を繰り返すことをもたらす可能性があり、例えば、タッチイベントまたはリリースイベントが起こったか否か判定するために、測定された電圧を評価してもよい。4つの充電/放電反復が図3に示されているが、より多くとも、あるいは少なくとも、実行されてもよい。以下により詳細に記載されるように、タッチイベントまたはリリースイベントが起こったか否か判定する工程は、複数の電圧測定を使用することによって「短期」電極電圧値(STEVV)を決定すること、および複数の短期電極電圧値を使用することによって「長期」電極電圧値(LTEVV)を決定することを含んでもよい。どのようにその値がタッチ検出およびタッチリリース閾値と比較するか否か決定するために、長期電極電圧値が評価されてもよい。本発明に記載されるように、測定された「電極電圧」または「電極電圧値」は概して、単一測定される電極電圧値または複数の電極電圧値測定(例えば、短期電極電圧値、長期電極電圧値、または複数の測定から導出される別の電極値)に基づき数学的に導出される電極電圧値を称され得る。
【0026】
センサコントローラ202は次に、マルチプレクサI/O210へ制御信号を解して別の電極(例えば、図1の電極107)を選択してもよく、次に選択された電極のために充電および測定プロセスを繰り返してもよい。このプロセスは、すべての残りの電極のために(例えば、図1の電極108を介して)実行されてもよく、よって、電極電圧のモニタリングの最初の反復を完了する。充電およびモニタリングの追加の反復は、その後に実行されてもよく、また第1の選択された電極(例えば、図1の電極106)で開始する。
【0027】
上述記載されるように、1または複数の初期充電および測定反復は、デフォルト値を用いてもよい。静電容量式タッチセンサ200の製造の間、デフォルト値は、工場のデータ格納装置212に格納されてもよく、またはシステム(例えば、図1の電子システム)に静電容量式タッチセンサ200を含んでいるシステム設計者によって初期化され得る。様々な実施形態にしたがって、センサコントローラ202は、現場での動作中に1または複数の電極の互いに異なる充電パラメタを更新する(例えば、決定し、データ格納装置212に格納する)ことによって、システムを自動的に再設定し得る。これは、1または複数の電極のための充電電流および/または充電期間を更新することを含んでもよい。また各電極に対して、センサコントローラ202は、ノータッチ条件、タッチ検出閾値(および/またはタッチ検出デルタ値)、リリース検出閾値(および/またはリリース検出デルタ値)に関連するベースライン値を自動的に更新し得る。システムを設定し且つ自動的に再設定し、多くのパラメタを更新する設定ための方法および装置は、図5〜図7に関連してより詳細に記載される。
【0028】
上述に記載されるように、一実施形態にしたがって、静電容量式タッチセンサ200は、自動的な設定および/または再設定プロセスを実行するように構成される。自動的な設定プロセスは、各電極のためのベースライン値、充電電流、および充電期間(本明細書では、それぞれは以後「格納ベースライン値」、「格納充電電流」、および「格納充電期間」として称される)を初めに決定および格納することを含む。自動的再設定プロセスは、格納ベースライン値、格納充電電流、および格納充電期間を更新すること(例えば、決定および格納)を含む。自動的設定プロセスまたは自動的再設定プロセスは、本明細書で単に「設定プロセス」として称され得る。自動的設定プロセスは、各電極に対して実行される充電および測定工程とともに実行されてもよい。
【0029】
上述記載されるように、タッチイベントまたはリリースイベントが起こるか否か判定するために、静電容量式タッチセンサ200は、測定される電圧を評価し得る。一実施形態にしたがって、電極がノータッチ状態である時、タッチイベントが起こるか否か判定することは、測定される電圧がタッチ検出閾値よりも高いまたは低いか判定することを含む。逆に、電極がタッチ状態である時、リリースイベントが起こるか否か判定することは、測定される電圧がリリース検出閾値よりも高いまたは低いか判定することを含む。
【0030】
図4は、ベースライン値、タッチ検出閾値、およびリリース検出閾値の説明に関連して提供される。より具体的には、図4は、代表的実施形態にしたがって、単一電極のベースライン402およびタッチ/リリース検出閾値406、412に関連してプロットされる代表的電圧測定420、421、422を示すチャート400である。3つの電極電圧測定420〜422のみが図4に示されるが、電圧測定信号404は、複数の測定点を代表する。ここで説明を明瞭にするために、該複数の測定点は、連続した電圧測定信号404として互いに接続されるように示される。同様に、説明を明瞭にするために、ベースライン402が連続した信号として示されるが、ベースラインは、システムにおいて格納されたベースライン値によって実際に代表され得る。様々な実施形態において、各電圧測定420〜422は、電極の単一充電および測定周期の単一測定の結果を代表してもよく、または各電圧測定420〜422は、電極の複数の充電および測定周期の複数の測定を代表してもよい(例えば、短期電極電圧値または長期電極電圧値)。いずれにしても、図4示すように、電圧測定420〜422は、測定対測定とは異なっていてもよい。
【0031】
チャート400の左側から開始して、電極がノータッチ状態の時、複数の電圧測定(電圧測定420を含む)は、期間410の間に取得される。電極の電圧測定がタッチ検出閾値406よりも高い値である時、電極は、ノータッチ状態であるとみなされてもよい。一実施形態にしたがって、所与のいずれの時間においても、タッチ検出閾値406は、格納ベースライン値からタッチ検出デルタ430を引いた結果に等しい。一実施形態において、タッチ検出デルタ430は固定値であるが、別の実施形態において、タッチ検出デルタ430は調整可能値であってよい。図4は、タッチ検出閾値406よりも高い電圧測定402を示し、したがって、電圧測定420とタッチ検出閾値406の比較は、電極がノータッチ状態であることを表す。
【0032】
一実施形態にしたがって、以下により詳細に記載されるように、電極がノータッチ状態の間、ベースライン402は、動的に調整され得る。ベースライン402の動的な調整は、期間410の間ベースライン402の増加的および減少的特性によって図4に示される。ベースライン402が動的調整されるにつれて、図4に示すように、タッチ検出閾値406およびタッチリリース閾値412も動的に調整される。
【0033】
チャート400の右側に続くと、電圧信号404は、時間408でタッチ検出閾値406の下に降下する。したがって、電圧測定421とタッチ検出閾値406との比較結果は、電極が現在、タッチ状態であることを表す。以下により詳細に記載されるように、ノータッチ状態からタッチ状態に遷移する時、システムは、割込みを生成し得る(例えば、図2の割込み260を通じて)。電極の電圧測定がタッチリリース閾値412よりも低い時、電極は、タッチ状態であるとみなされてもよい。一実施形態にしたがって、いずれの時間においても、タッチリリース閾値412は、格納ベースライン値からタッチリリースデルタ432を引いた結果に等しい。
【0034】
図4に示すように、期間416の間、電極はタッチ状態のままである。再度チャート400を越えて右側に向かって続くと、電圧測定信号404は、時刻414でリリース検出閾値412よりも高く上昇する。したがって電圧測定422とリリース検出測定412との比較は、電極がまたノータッチ状態であることを表す。電極の電圧測定がタッチ検出閾値406よりも高い時、電極は、ノータッチ状態であるとみなされてもよい。
【0035】
図示される実施形態において、タッチリリース閾値412は、システムにヒステリシスを与えるタッチ検出閾値406とは異なる電圧である。より具体的には、タッチリリース閾値412は、タッチ検出閾値406よりも高い電圧である。代替実施形態において、タッチリリース閾値412は、タッチ検出閾値406よりも低い電圧でもよい。またさらなる実施形態において、タッチリリース閾値412およびタッチ検出閾値406は、互いに等しくてもよい。この場合において、システムは、比較のために1つの閾値のみを維持し得る。この様々な実施形態は本発明の範囲に含まれることを意図するものである。
【0036】
図5は、代表実施形態にしたがって、タッチ/リリース検出を実行し、静電容量式タッチセンサを設定するための方法のフローチャートである。一実施形態にしたがって、方法全体は、任意の外部処理実体(図1のシステムコントローラ102)の補助無しで、静電容量式タッチセンサに(例えば、図2の静電容量式タッチセンサ200)よって実行されてもよい。代替実施形態において、方法の部分は、外部処理実体によって実行される可能性がある。
【0037】
方法は、ブロック500で、電極設定プロセスを実行することによって開始してもよい。該電極設定プロセスにおいて、初期充電パラメタ(例えば、ノータッチ状態に関連する初期充電電流、初期充電期間、および初期ベースライン値)は、各電極に対して(例えば、図1の電極106〜108)決定され、システムに格納される(例えば、図2のデータ格納装置212)。一実施形態にしたがって、電極設定プロセスは、イネーブルまたは無効され得るシステム特徴であってよい。無効化された時、ブロック500はバイパスされてもよく、そしてその方法は、システム(図2の工場校正の間、データ格納装置212に)に以前に格納されるデフォルト充電パラメタ(例えば、ノータッチ状態に関連するデフォルト充電電流、デフォルト充電期間およびデフォルトベースライン値)を用いることによって、開始されてもよい。別のさらなる実施形態において、初期校正プロセス(すなわちブロック500)は、全体的に含まれなくてもよい。校正プロセスを実行するための様々な実施形態は、図6および図7に関連してより詳細に説明される。
【0038】
設定プロセスの完了後(またはプロセスがバイパスされる、または含まれない場合)、静電容量式タッチセンサは、電極モニタリング状態に入ってもよい。該電極モニタリング状態において、静電容量式センサは、タッチまたはリリースイベントが起こるか否か判定する工程を繰り返す。以下に説明されるブロック502〜528は、電極モニタリング状態に関連する。静電容量式タッチセンサが安定状態動作になるまでブロック502〜528のいくつかの反復を要する可能性があるが、以下の説明では、静電容量式タッチセンサを安定状態動作に確立するために、電極電圧測定の十分な測定数が実行されていると仮定する。
【0039】
電極モニタリングプロセスを開始するために、電極(例えば、図1の電極106〜108のうちの1つ)は、ブロック502において評価のために選択される。上述されるように、電極の選択は、電極選択回路に選択信号を与える(例えば、図2において、マルチプレクサ制御線250を通じてマルチプレクサI/O210へ選択信号を与える)コントローラ(例えば、図2のセンサコントローラ)を含む。
【0040】
ブロック504において、短期電極電圧値(STEVV)を決定するために、充電/測定プロセスは、実行される。一実施形態にしたがって、すでに図3に示したように、充電/測定プロセスは、充電および測定周期の所定周期数を実行することを含む。充電および測定周期の所定周期数は、2〜10周期であってよく、例えば他の実施形態において、充電および測定周期の所定周期数は1ほど小さな数または10よりも大きな数であってもよい(例えば、所定周期数が1である時、短期電極電圧値は、単一電圧測定と等しい)。短期電極電圧値は、測定プロセスの結果から決定される。例えば短期電極電圧値は、測定電圧の所定電圧数の平均に決定され得るが、短期電極電圧値は、他の数学的関係を用いて決定され得る。
【0041】
ブロック506において、長期電極電圧値(LETVV)は、短期電極電圧値の所定STEVV数から決定される。短期電極電圧値の所定STEVV数は、2〜5STEVVであってよく、例えば他の実施形態において、短期電極電圧値の所定STEVV数は1ほど小さな数または5よりも大きな数であってもよい(例えば、所定STEVV数が1である時、長期電極電圧値は、単一の短期電極電圧値であってよい)。一実施形態にしたがって、長期電極電圧値は短期電極電圧値の所定STEVV数の平均に決定され得るが、他の実施形態において、長期電極電圧値は他の数学的関係を用いて決定され得る。
【0042】
ブロック508において、長期電極電圧値が基準を満たすか否か判定される。一実施形態にしたがって、これは、LTEVVの値が電圧値の所定範囲以内または外に位置するか判定することを含む。より具体的には、LTEVVの値が目標範囲外(例えば、図3の目標電圧範囲312)に位置するか否か判定する。上述記載されるように、目標範囲は、下部目標範囲制限(LTRL)および上部目標範囲制限(UTRL)によって定義されてもよく、デバイスの理論的電圧値の中央範囲または中央範囲のサブセット(例えば、増加されるデバイス感知度の中央範囲の上部90%〜100%)に相当し得る。他の実施形態にしたがって、長期電極電圧値が基準を満たすか否か判定することは、長期電極電圧値が閾値よりも高いまたは低いか判定すること(例えば、図3の下部または上部電圧閾値308、310)を含む。
【0043】
LTEVVの値が目標範囲外に位置すると判定されると、自動的再設定プロセスが次に、ブロック524で実行される。再設定プロセスは、「自動的」とみなされてもよい。そこでは、プロセスの開始は、静電容量式タッチセンサによる測定値の評価に基づき、したがって、プロセスを開始するためのシステムコントローラや任意の外部実体を要しない。図5のプロセスの流れに固有であるように、再設定プロセスは、静電容量式タッチセンサが2つの互いに異なる検出されたタッチ状態同士の間に存在する間に起こる期間中に実行され得る。基本的に、自動的再設定プロセスは、静電容量式タッチセンサが選択された電極のための新しい充電パラメタ(例えば、新しい充電電流、新しい充電期間、またはその両方)を決定して格納することを有する。一実施形態にしたがって、電極再設定プロセスは、イネーブルまたは無効化され得るシステム特徴であってよい。無効化された時、ブロック524はバイパスされてもよく、むしろ、以下に記載されるように、方法は、ブロック526に直接に進んでもよい。自動的再設定プロセスを実行するための様々な実施形態は、図6および図7に関連してより詳細に説明される。
【0044】
またブロック508を参照して、長期電極電圧値が目標範囲(すなわち、長期電極電圧値が目標範囲に入る)外に位置する場合、ブロック512で、電極がタッチ状態またはノータッチ状態であるか否かさらに判定される。上述記載されるように、静電容量式タッチセンサは、各電極が現在の状態またはノータッチ状態であるかの表示を維持し得る(例えば、図2のデータ格納装置212に)。電極がノータッチ状態であると判定された後、ブロック514で、長期電極電圧値がタッチ検出閾値よりも高いまたは低いか(例えば、図4のタッチ検出閾値406)のさらなる判定が実行され得る。例えば、LTEVVの値がタッチ検出閾値よりも高い時、長期電極電圧値は、タッチ検出閾値よりも高いとみなされてもよい。逆に、LTEVVの値がタッチ検出閾値よりも低い時、長期電極電圧値は、タッチ検出閾値よりも低いとみなされてもよい。
【0045】
長期電極電圧値がタッチ検出閾値よりも高いまたは低いか判定する工程は、長期電極電圧値と格納ベースライン値との間の差(例えば、図4の電圧測定421とベースライン404との間)を決定することによって代替的に判定されてもよく、その差がタッチ検出デルタ(例えば、図4のタッチ検出デルタ430)以上であるか否かさらに判定する。
【0046】
ブロック516で、長期電極電圧値がタッチ検出閾値よりも低いと判定された場合、電極は次に、タッチ状態に遷移される。一実施形態にしたがって、これは、静電容量式タッチセンサが、電極が現在、タッチ状態であるという表示子を(例えば、図2のデータ格納装置212に)格納するステップを含んでもよい。また一実施形態にしたがって、静電容量式タッチセンサは、状態遷移(すなわち、ノータッチ状態からタッチ状態に)が起こることを示す可能性がある。例えば、静電容量式タッチセンサが、電極が状態を変化されることを示す割込み(例えば、図2の割込線260を通じて)を生成し得る。上述のように、このような割込みは、システムコントローラ(例えば、図1のシステムコントローラ102)が割込みに関する情報を要求することをもたらし、静電容量式タッチセンサは、例えば、電極の認識およびタッチイベントの表示子を示すデータを戻してもよい。所与状況において、システムコントローラは次に、適切な動作を実行し得る。
【0047】
またはブロック514を参照して、ブロック518において、長期電極電圧値がタッチ検出閾値よりも高いと判定された時、次の格納ベースライン値を更新してもよい。一実施形態にしたがって、これは、以前に格納ベースライン値を長期電極電圧値でオーバーライトすることを含んでもよい。また新しいタッチ検出およびリリース検出閾値が決定されることによって格納されてもよい。これは、ゆっくりと変化する状況の下でベースラインを動的に調整し、正確的に維持されることを可能にする。別の実施形態は、ベースラインの動的調整を含まないが、これは、偽タッチおよび/またはリリース検出を増加し得る。図4に関連して上述されたように、ベースラインの動的調整は、電極がノータッチ状態である期間の間に実行されてもよく、一実施形態にしたがって、電極がタッチ状態である期間中にはバイパスされてもよい。
【0048】
またブロック512を参照して、電極はタッチ状態であると判定された時、ブロック520で、長期電極電圧値がリリース検出閾値よりも高いまたは低いか(例えば、図4のリリース検出閾値412)さらに判定され得る。例えば、LTEVVの値がリリース検出閾値よりも高い時、長期電極電圧値は、リリース検出閾値よりも高いとみなされてもよい。逆に長期電極電圧値がリリース検出閾値よりも小さい値を有するとき、長期電極電圧値は、リリース検出閾値よりも低いとみなされてもよい。長期電極電圧値がリリース検出閾値よりも高いまたは低いか判定する工程は、長期電極電圧値と格納ベースライン値との間の差を決定し、その差はリリース検出デルタ(例えば、図4のリリース検出デルタ432)以上か否かさらに判定することによって代替的に実行され得る。
【0049】
ブロック522において、長期電極電圧値がリリース検出閾値よりも高い時、電極は、ノータッチ状態に遷移する。一実施形態にしたがって、これは、静電容量式タッチセンサが、電極が現在、ノータッチ状態であるという表示子(例えば、図2のデータ格納装置212に)を格納する工程を含む。また、一実施形態にしたがって、静電容量式タッチセンサは、状態遷移(すなわち、タッチ状態からノータッチ状態に)が起こることを表してもよい。例えば静電容量式タッチセンサは、電極が状態を遷移することを示す割込み(例えば、図2の割込線260で)を生成し得る。上述されるように、このような割込みは、システムコントローラ(例えば、図1のシステムコントローラ102)が割込みに関する情報を要求することをもたらし、静電容量式タッチセンサは、例えば、電極の認識およびリリースイベントの表示子を示すデータを戻してもよい。
【0050】
長期電極電圧値がリリース検出閾値(ブロック520)よりも低いと判定された時またはブロック516、518、522または524が完了した後、充電および測定反復は、その電極に対して完了し、充電および測定の反復は、別の電極に対して実行され得る。したがってブロック526において、すべての電極が評価されたか否か判定され得る(例えば、図1において、充電および測定反復は電極106〜108の各々に対して実行される)。すべての電極が評価されたと判定された場合、ブロック528で、静電容量式タッチセンサは、アイドル状態に入ってもよい。そのアイドル期間の間、静電容量式タッチセンサは、電極評価を一時的に停止する(例えば、1から100ミリ秒または他の期間)。すべての電極が評価されていないと判定された時またはアイドル期間の終了の場合、方法が図5示すように、また電極(ブロック502)を選択し、すべての電極に対して充電および測定プロセスを繰り返すことによって反復されてもよい。
【0051】
図5のブロック524と協働して上述に記載されるように、電極電圧値(例えば、LTEVV)の評価に基づき静電容量式タッチセンサは、電極を自動的に再設定し得る。自動的再設定プロセスは、一実施形態にしたがってハードウェアにおいて、または、別の実施形態にしたがってソフトウェアにおいて実質的に実行され得る。ハードウェア実装は、例えば、コストまたは他の理由(例えば、電動ガレージドア開閉機のような簡単なセンサ)のための重要な処理能力を含むようには設計されないシステムにおいて望ましい可能性がある。ソフトウェア実装は、例えば、静電容量式タッチセンサ内に重要な処理能力があるシステムにおいて、または静電容量式タッチセンサにアクセスできる方法において望ましい可能性がある。実質的なハードウェア実装の実施形態は、図6に関連して説明され、実質的なソフトウェア実装の実施形態は、図7に関連して説明される。
【0052】
図6は、代表的実施形態にしたがって、電極の充電パラメタを設定または再設定するための方法のフローチャートである。例えば、図6の方法は、図5のブロック502および/または524と協働して実行され得る。電極設定および/または電極再設定がイネーブルまたは無効化される特徴の実施形態において、ブロック600で、方法は、設定または再設定プロセスをイネーブルまたは無効化するか否か判定することによって、開始してもよい。プロセスが無効化された時、方法は終了し得る。
【0053】
プロセスがイネーブルされた時、方法は、ブロック602に進んでもよい。ここでは、目標充電電圧が決定される。一実施形態にしたがって、目標充電電圧は、第1の目標範囲以内、または第2の目標範囲以内であってもよい。第1の目標範囲は、デバイスの理論的動作範囲の所定中央範囲に相当する。第2の目標範囲は、工場にあるいはデバイス設計者によって規定される範囲に相当する(たとえば図3で下部電圧閾値308と上部電圧閾値310とによって規定される目標電圧範囲)。目標充電電圧は、中央範囲または目標範囲以内に選択されてもよい。特定実施形態にしたがって、目標充電電圧は、中央範囲または目標範囲の中間に選択されてもよいが、これは必要ではない。例えば、0.7ボルトと1.0ボルトとの間に定義される目標範囲の例示的システムにおいて、目標充電電圧は0.85ボルトに選択され得る。計算を簡易化するために、一実施形態にしたがって、目標充電電圧はADCカウントによって定義される。例えば、540のADCカウント(例えば、0x87(16進数))が下部電圧閾値を定義し、604のADCカウント(例えば、0x97(16進数))が上部電圧閾値を定義し、目標充電電圧は572のADCカウントに相当するように定義され得る(例えば、0x8F(16進数))。
【0054】
ブロック604、606、607、および608において、次に充電期間サーチが実行される。一実施形態にしたがって、充電期間サーチは、反復プロセスであり、各反復の間、電極は、固定充電電流および複数の所定の選択可能充電期間の異なる1つを用いて充電される。例えば所定充電期間のセットは、(例えば、図2のデータ格納装置212における)静電容量式タッチセンサにアクセスできる。例えば、所定充電期間のセットは、2〜N値を含んでもよい。説明のみのために、所定充電期間テーブルの例は、以下の表1で提供される。ここで、テーブルは、7つの異なる充電期間値(すなわち、N=7)を含む。
【0055】
【表1】

充電期間テーブルは代替的に、7の値よりも多いまたは少ない値を含んでもよく、且つ充電期間値は表1に示される値と異なる可能性があることを理解されたい。
【0056】
一実施形態にしたがって、充電期間はバイナリサーチとして実行される。ここで、第1サーチ期間の間中央充電期間値は、テーブルから選択され(例えば、エントリ番号4に相当する4.0マイクロ秒の充電期間値)、最初の反復である第1反復の結果に基づき次の充電期間は、次の反復である第2反復の間に選択される。ここで、次の選択された充電期間値は、中央充電期間値に対してテーブルの下向きまたは上向きの途中のエントリに相当する(例えば、1.0または16.0マイクロ秒の充電期間の1つはそれぞれ、エントリ番号2および6に相当する)。バイナリサーチが最終値に収束するまで、後続の反復は、実行され続ける。例えば、上述の例を用いて、バイナリサーチは、3つの反復で特定充電期間値に収束される。ブロック604、606、607、および608の下述説明は、一実施形態にしたがって説明され、該実施形態は、充電期間値を決定するためにバイナリサーチを用いる。しかしながら他の実施形態において、他の索方法が代替的に使用され得る。例えば、所定充電期間値のテーブルにおけるエントリは、線形に選択され、または、別のシーケンスに選択され得る。
【0057】
ブロック604において、充電期間サーチプロセスは、候補充電期間を選択することによって開始される。例えば、バイナリサーチの実施形態において、第1選択される候補充電期間は、中央充電期間値に相当し得る(例えば、4.0マイクロ秒の充電内部値は、表1のエントリ番号4に相当する)。ブロック606において、電極充電プロセスは、候補充電期間と等しい期間で電極に固定および所定電流を印加することによって実行され得る。一実施形態にしたがって、固定および所定電流は、選択可能な電流の範囲に入る電流であってよく、ブロック610、612、613、および614に関連して以下に説明される。
【0058】
電極充電プロセスを完了した後、電極電圧が測定される間、電極測定プロセスは、実行され得る。ブロック607において、単一電極電圧測定が次に評価され、または充電および測定プロセスは、一回または複数の回に繰り返してもよく、電極電圧の数値決定は、複数の電極電圧測定から決定され得る(例えば、複数の測定の平均である)。いずれにしてもブロック607において、電極電圧測定が目標充電電圧よりも高いまたは低いか判定するために、電極電圧測定は、目標縦電圧(ブロック602で判定されるように)と比較される。
【0059】
ブロック608において、充電期間サーチプロセスが完了したか否か判定される。例えば、バイナリサーチと協働して所定の回数の反復が実行された時(例えば、7つのエントリを含む充電期間テーブルの場合、3つの反復である)、充電期間サーチプロセスは、完了したと考えられる。代替実施形態において(例えば、充電期間テーブルを通してリニアサーチが実行された時)、充電期間サーチプロセスの最後の2つの反復がそれぞれ目標充電電圧のそれぞれの側における電極電圧測定を生じた時、充電期間サーチプロセスは完了したと考えられる。
【0060】
充電期間サーチプロセスは完了していないと判定された時、ブロック604において、次のサーチ反復は、候補充電期間をまた選択することによって開始される。バイナリサーチの実施形態において、次の候補充電期間は、ブロック607で実行される比較に基づき選択される。より具体的には、候補充電期間が昇順に配列される上述の表1のようなテーブルにおいて、測定された電極電圧が目標充電電圧よりも高い時、テーブルの最初に向う途中のエントリにおけるより少ない値の候補充電期間(例えば、エントリ番号2)は、選択される。測定された電極電圧は目標充電電圧よりも低い時、テーブルの最初に向う途中のエントリにおけるよりも高い値の候補充電期間(例えば、エントリ番号6)は、選択される。リニアサーチの実施形態において、次の候補充電期間はテーブルにおける次のシーケンシャルエントリとして選択され得る(例えば、エントリ番号1が最初の反復のために選択される場合、エントリ番号2は、次の反復のために選択され得る)。ブロック606、607、および608は、次の選択された候補充電期間に実行される。
【0061】
判定ブロック608において、充電期間サーチプロセスが完了されたと判定された時、次に最後の充電期間値は、ブロック609で設定される。バイナリサーチやリニアサーチの実施形態において、最後の充電期間値は、最後の2つの候補充電期間の1つとして評価され(例えば、最後2つのサーチ反復の間)る。ここで該1つの候補充電期間は、目標充電電圧に最も近い電極電圧測定を生じる。最後の充電期間値は、最後の評価された2つの候補充電期間との間の値(例えば、その途中あるいは、最後の測定された電極電圧が目標充電電圧にどれぐらい近いかということに関連する他の距離)であってもよい。最後の充電期間値は、例えば、静電容量式タッチセンサにアクセスできるメモリ位置(例えば、図2のデータ格納装置212)に最後の充電期間値を格納することによって設定されてもよい。
【0062】
一実施形態にしたがって、充電電流サーチは次に、ブロック610、612、613、および614で実行される。一実施形態にしたがって、充電電流サーチは、反復プロセスである。ここで、各反復の間、電極は、固定充電期間(例えば、ブロック609で設定される最後の充電期間)および複数の所定の選択可能充電電流の異なる1つの充電期間で充電される。例えば、所定充電電流のセットは、静電容量式タッチセンサにアクセスできる(例えば、図2のデータ格納装置212)。例えば、所定充電電流のセットは、2〜M個の値を含んでもよい。説明のためだけに、所定充電電流テーブルの例は、表2として以下に提供される。ここで、テーブルは、15つの異なる充電電流値(すなわち、M=15)を含む。
【0063】
【表2】

充電電流テーブルが代替的に、15の値より多いあるいは少ない値を含んでもよく、充電電流値は表2示される値と異なってもよいことが理解されたい。
【0064】
一実施形態にしたがって、充電電流サーチは、バイナリサーチとして実行される。ここで、中央充電電流値は、第1サーチ期間の間にテーブルから検索され(例えば、エントリ番号8に相当する16ミリボルトの充電電流値)、第1反復の結果に基づき次の充電電流値は、第2反復の間に選択され、該次の選択された充電電流は、中央充電電流値に関してテーブルの下部または上部に向かう途中にあるエントリに相当する(例えば、エントリ番号4および12のそれぞれに相当する5または38マイクロアンペアの充電電流値の1つ)。バイナリサーチが最後の値に収束するまで、後続の反復は、実行され続ける。例えば、上述の例において、バイナリサーチは、4回の反復で、特定の充電電流値(またはテーブルエントリ番号)に収束する。ブロック610、612、613および614の以下の記載は、充電電流値を決定するためにバイナリサーチを用いる一実施形態にしたがって説明する。しかし他の実施形態において、他の検索方法を用いられてもよいことを理解されたい。例えば所定充電電流値のテーブルにおけるエントリは、線形に選択されてもよく(例えばエントリ番号1から開始する)、または他のシーケンスにおいて選択されてもよい。
【0065】
充電電流サーチは、ブロック610で、候補充電電流を選択することによって開始する。例えばバイナリサーチの実施形態において、第1の選択された候補充電電流は、中央電流値に相当し得る(例えば、16ミリボルトの充電電流値が上述の表2のエントリ番号8に相当する)。ブロック612において、電極充電プロセスは次に、固定期間(例えば、ブロック609において設定される最後の充電期間)で電極に候補充電電流を印加することによって実行され得る。
【0066】
電極充電プロセスが完了した後、電極測定プロセスは、電極電圧が測定される間に実行され得る。単一電極電圧測定は、ブロック613で評価されてもよく、または、充電および測定プロセスは、1回また複数の回を繰り返してもよく、電極電圧の数値決定は、複数の電極電圧測定から決定され得る(例えば、複数の測定の平均)。いずれにしても、ブロック613において、電極電圧測定が目標充電電圧よりも高いまたは低いか判定するために、電極電圧測定は、目標充電電圧と(ブロック602で判定されるように)比較される。
【0067】
ブロック614において、充電電流サーチプロセスが完了したか否か判定される。例えば、所定の回数の反復がバイナリサーチと協働して実行された時(例えば、15つのエントリを有する充電電流テーブルの場合においては4つの反復)、充電電流サーチプロセスは、完了したと考えられる。代替実施形態において(例えば、充電電流テーブルを通してリニアサーチが実行された時)、サーチプロセスの最後の2つの反復がそれぞれ目標充電電圧のそれぞれの側における電極電圧測定を生じた時、充電電流サーチプロセスは、完了したと考えられる。
【0068】
充電電流サーチプロセスが完了していないと判定された時、次のサーチ反復は、ブロック610で候補充電電流を再び選択することによって開始される。バイナリサーチの実施形態において、次の候補充電電流はブロック613で実行される比較に基づき選択される。より具体的には、候補補充電流が昇順に配列される、上述の表2のようなテーブルにおいて、測定される電極電圧が目標充電電圧よりも高い時、テーブルの最初に向う途中のエントリ(例えば、エントリ番号4)のためにより少ない値の(lower−valued)候補充電電流は、選択される。測定される電極電圧が目標充電電圧よりも低い時、テーブルの最後に向う途中のエントリ(例えば、エントリ番号12)のためにより高い値の(higher−valued)候補充電電流は、選択される。リニアサーチの実施形態において、次の候補充電電流は、テーブルにおける次のシーケンシャルエントリ(next sequential entry)として選択され得る(例えば、エントリ番号1が最初の反復に選択される場合、エントリ番号は次の反復に選択され得る)。ブロック612、613および614は、次に選択された候補充電電流のために実行され得る。
【0069】
ブロック614で充電電流サーチプロセスが完了したと判定された時、電極のための最後の充電電流値は、ブロック616で設定される。バイナリサーチやリニアサーチの実施形態において、最後の充電電流値は、評価された最後の2つの候補充電電流(例えば、最後の2つのサーチ反復の間)のうちの1つでもよく、該1つの候補充電電流は、目標充電電圧に最も近い電極電圧測定を生じる。最後の充電電流値は、最後の評価された2つの候補充電電流との間の値(例えば、その途中あるいは最後に測定された電極電圧が目標充電電圧にどれぐらい近いかということに関連する他の距離)の値であってよい。最後の充電電流値は、静電容量式タッチセンサにアクセスできるメモリ位置(例えば、図2のデータ格納装置212)に最後の充電電流値を格納することによって、設定され得る。
【0070】
電極の新しい充電期間および充電電流が決定された後、有効化プロセス(図示せず)が実行されてもよく、その間、電極は再び、最後の充電期間値と等しい期間のための最後の充電電流値を有する電流によって供給される。有効化プロセスが目標範囲(例えば、図3の目標電圧範囲312)以内の測定された電極電圧を生じるおよび/または測定電圧が目標充電電圧に十分近い時、方法は、終了してもよい。あるいは、有効化プロセスが目標範囲外の測定された電極電圧を生じるおよび/または測定された電圧が目標充電電圧に十分には近くない時、充電電圧および/または充電電流サーチプロセスは、(例えば、サーチには含まれない、以前に決定された最後の充電期間値で、および/または最後の充電電流値で、)一回または複数の回に繰り返す。所定の数の反復後、有効化プロセスが許容できる電極電圧測定を生じる充電期間値および充電電流値を生成場合、エラーを発生してもよい(例えば、図1において、システムコントローラ102に割込みは、送信されてもよい)。
【0071】
図7は、別の代表的実施形態にしたがって、電極の充電パラメタを設定または再設定する方法のフローチャートである。例えば図7の方法は、図5のブロック502および/または524と協働して実行され得る。電極設定および/または電極再設定がイネーブルまたは無効化され得る特徴である実施形態において、方法は、設定または再設定プロセスがイネーブルまたは無効化であるか判定されることによって、ブロック700で開始してもよい。プロセスが無効化された時、方法は終了し得る。
【0072】
プロセスがイネーブルされた時、方法は、ブロック702に進んでもよく、ここで、目標充電電圧が決定される。目標充電電圧を決定するプロセスは、上述されるように、簡潔のためにここに記載されない図6のブロック602と協働して実行され得る。
【0073】
ブロック704、706、708、および710において、一対の充電電流/充電期間(以後「電流/期間対」)のサーチは、次に実行される。一実施形態にしたがって、電流/帰還対サーチは、反復プロセスであり、ここで各反復の間、電極は、異なる充電/期間対によって充電され、異なる充電/期間対は、所定の選択可能な充電電流および所定の選択可能な充電期間を含む。例えば、所定電流/帰還対のセットは、静電容量式タッチセンサにアクセスできる(例えば、図2のデータ格納装置212)。例えば、所定電流/期間対のセットは、2からXの値を含んでもよい。説明のみのために、所定電流/期間対テーブルの例は、以下の表3に提供される。ここで、テーブルは、25個の異なる電流/期間対(すなわち、X=25)を含む。
【0074】
【表3】

上述の表3において、電流/期間対はそれぞれ、容量の範囲(すなわち、低容量値、Clow、高容量値、Chigh、およびClowとChighとの間の中容量値、Cmid)に一致される。各電流/期間対の容量値の範囲(すなわち、CLOWからChigh)は、充電電流および充電期間を測定できる容量の範囲を示す。表3における値は、充電電流および充電期間の可能なあらゆる組み合わせをテストすることと、テストされた電流/期間対の容量範囲を決定することと、電流/期間対を除去することとによって実験的に決定される。電流/期間対を除去することによって、冗長性または完全に重複する容量範囲を含まずに、0.495721と2874.386ピコファラドとの間の範囲の任意の容量を検出できるテーブルを生成するつまり、各電流/期間対の容量の範囲は、隣接する電流/期間対の容量の範囲とわずかに重複し、よって、顕著な冗長性無しに所望範囲以内の任意の容量を検出できるテーブルを生成する。電流/期間対の数を減少することによって、サーチプロセスは、減少される。電流/期間対は、25個よりも多いまたは少ない値を含んでもよく、充電電流および充電期間値は、表3示される値と異なってもよく、および/またはテーブルが含有する容量の範囲は、表3が含有する容量とは異なってもよいことを理解されたい。
【0075】
一実施形態にしたがって、電流/期間対サーチは、バイナリサーチとして実行され、ここで中央電流/期間対は、第1サーチ期間中にテーブルから選択され(例えば、エントリ番号13に相当する31マイクロアンペアの充電電流および1マイクロ秒の充電期間)、最初の反復の結果に基づき、次の電流/期間対は、第2反復の間に選択され、該次の選択された電流/期間対は、中央電流/期間対に関してテーブルの下部または上部に向かう途中のエントリに相当する(例えば、エントリ番号6または7および19または20それぞれに相当する電流/期間対の1つ)。バイナリサーチが最後の値に収束するまで、後続の反復プロセスは、実行され続ける。例えば、上述の例を用いると、バイナリサーチは、5回の反復で特定の電流/期間対(またはテーブルエントリ番号)に収束する。ブロック704、706、708および710の下述の説明は、電流/期間対を決定するためにバイナリサーチを用いる実施形態にしたがって記載される。しかしながら、他のサーチ方法が他の実施形態に用いられてもよいことを理解されたい。例えば、所定電流/期間対のテーブルにおけるエントリは線形に選択されてもよく、または、他のシーケンスで選択されてもよい。
【0076】
電流/期間対サーチプロセスは、候補電流/期間対を選択することによって、ブロック704で開始する。例えばバイナリサーチの実施形態において、第1候補電流/期間対は、中央電流/期間対に相当し得る(例えば、上述の表3のエントリ番号131に相当する、31マイクロアンペアの充電電流および1マイクロ秒の充電期間)。ブロック706において、電極充電プロセスは次に、候補充電電流および候補充電期間それぞれに等しい期間の間に電極に充電電流を印加することによって、実行され得る。
【0077】
電極充電プロセスが完了した後、電極測定プロセスは、電極電圧が測定される間に実行され得る。単一電極電圧測定は、ブロック708でさらに評価されてもよく、または、充電および測定プロセスは、一回または複数の回で繰り返してもよく、電極電圧の数値決定は、複数の電極電圧測定から決定されてもよい(例えば、複数の測定の平均)。いずれにしてもブロック708において、電極電圧測定が(ブロック702で判定されたように)目標充電電圧と比較されることによって、電極電圧測定が目標充電電圧よりも高いまたは低いか判定される。一実施形態にしたがって、電極電圧測定もADCカウントとして代表されてもよく、ブロック708で実行される比較は、目標充電電圧に相当するADCカウントを、電極電圧測定に相当するADCカウントと比較することを含む。
【0078】
ブロック710において、電流/期間対サーチプロセスが完了したか否か判定される。例えば所定の回数の反復がバイナリサーチ(例えば、25のエントリ番号を含む電流/期間対テーブルの場合、5回の反復)と協働して実行された時に、電流/期間対サーチプロセスは、完了したと考えられる。代替実施形態において(例えば、電流/期間対テーブルを通して線形サーチが実行された時)、サーチプロセスの最後2つの反復がそれぞれ目標充電電圧のそれぞれの側に電極電圧測定を生じた時、電流/期間サーチプロセスは、完了したと考えられる。
【0079】
電流/期間対サーチプロセスが完了していないと判定された時、次のサーチ反復は、ブロック704で候補電流/期間対を再び選択することによって、開始される。バイナリサーチの実施形態において、次の候補電流/期間対は、ブロック708で実行される比較に基づき選択される。より具体的には、容量が増加する順に候補電流/期間対が配列される表3のようなテーブルにおいて、測定される電極電圧が目標充電電圧よりも高い時、テーブルの最初に向かう途中に位置するエントリ番号(例えば、エントリ番号6または7)のための低次の候補電流期間対は、選択される。測定される電極電圧が目標充電電圧よりも低い時、テーブルの最後に向かう途中にあるエントリ番号(例えば、エントリ番号19または20)のための高次の候補電流期間対は、選択される。線形サーチの実施形態において、次の候補電流/期間対は、テーブルにおける次のシーケンシャルエントリとして選択され得る(例えば、エントリ番号1が最初の反復のために選択された場合、エントリ番号2は、次の反復のために選択される)。ブロック706、708、710はその後に、次に選択される候補電流/期間対のために実行され得る。
【0080】
ブロック710において、電流/期間対サーチプロセスが完了したと判定された時、中間充電電流Iは、最後に選択される電流/期間対の充電電流として決定され、中間充電期間Tは、最後に選択される電流/期間対の充電期間として決定される。例示目的のみを意図して、電流/期間対サーチが表3からエントリ番号8の選択を生じると仮定する。該エントリ番号8は、3マイクロアンペアのIおよび2マイクロ秒のTに相当する。さらに、測定された電極電圧は、最後に選択された電流/期間対に相当すると判定されるであろう。例えば、測定された電極電圧は、ADCカウントADCによって代表されてもよい。また例えば、システムにおける最大ADCカウントが1024であり、且つ測定された電極電圧がADCカウント、572のADCに相当すると仮定する。I、T、ADCの値に基づき、所望の充電電流および所望の充電期間の積(所望の「I*T」)は、ブロック712で数学的に決定されてもよい。一実施形態において、所望のI*Tは以下の方式に従って決定され得る:
【0081】
【数1】

ここでADCNUMは、可能なADCカウントのカウント数であり、VDROPは、電源電圧VDDと上部電圧閾値(例えば、図3の上部電圧閾値310)との間の差である。上述の代表値(すなわち、I=3マイクロアンペア;T=2マイクロ秒、およびADC=572)と共にVDROP=0.7ボルトであり、VDD=1.7ボルトであり、上述の方式が以下の方式を生じる(単位を含まない):
【0082】
【数2】

所望のI*Tが決定された後、所望の充電電流および所望の充電期間は、ブロック714で所望のI*T値から分離される。一実施形態にしたがって、所望の充電電流および所望の充電期間を分離することは、所望のI*Tを、I*T範囲のテーブルおよび関連する充電期間に相関させることと、所望のI*Tが相関するI*T範囲に関連する充電期間として所望の充電期間を選択することとを含む。説明のみのために、所定のI*T範囲/充電期間テーブルの例は、以下の表4として提供される:
【0083】
【表4】

7つのエントリのテーブルが例として提供されるが、I*T範囲/充電期間テーブルは、7よりも多いまたは少ないエントリを含んでもよく、および/または異なる値は、使用されてもよい。表4において、I*T範囲(最小)値は、関連する充電期間(例えば、2の累乗における0.5〜32マイクロ秒の値のうちの1つの値)を最小可能充電電流(例えば、1マイクロアンペア)に乗算した値と等しい。I*T範囲(最大)値は、関連する充電期間(例えば、2の累乗における0.5〜32マイクロ秒の値のうちの1つ)を最大可能充電電流(例えば、63マイクロアンペア)に乗算した値と等しい。表4が示すように、いくつかの有効なI*T範囲は、重複し、よって、いくつかの所望のI*T範囲が同一容量範囲を生じることを意味する。例えば所望のI*Tが6.32と決定される上述の例にしたがって、所望のI*Tと表4のI*T範囲との相関は、所望のI*T値が所望のI*T値が最初の4つのI*T範囲(すなわち、エントリ番号1〜4)に入ることを示す。該エントリ番号はそれぞれ、0.5、1、2、および4マイクロ秒の充電期間値に相当する。一実施形態にしたがって、有効なI*T領域(すなわち、所望のI*Tに相関するI*T領域)のための検索は、昇順(すなわち、エントリ番号1から開始する)に実行される。したがって、最初に最短所望の充電期間値に一致するエントリが選択され得る。例えば、6.32の所望のI*Tは、第1エントリのI*T範囲(すなわち、0.5〜31.5のI*T範囲)以内に入り、よって、第1エントリ(すなわち、0.5マイクロ秒)の充電期間は、所望の充電期間値(すなわち、所望のI*Tから分離される充電期間値)であると決定され得る。代表的実施形態において、最短充電期間に相当するI*T領域範囲を除くI*T範囲が、選択され得る(例えば、最長充電期間に相当する所望のI*T期間、または、上述の例の4マイクロ秒の充電期間のエントリ番号4)。
【0084】
所望の充電期間値が決定されると、所望の充電電流が決定され得る。一実施形態にしたがって、これは、所望のI*Tを所望の充電期間値によって除算することを含む。上述の例において、6.32の所望のI*Tおよび0.5の所望の充電期間において、これは、6.32/0.5=12.64マイクロアンペアの所望の充電電流を生じる。所望の充電電流が整数値ではない時、所望の充電電流は、一実施形態にしたがって最も近い整数に切り上げまたは切り捨てされてもよい。
【0085】
ブロック716において、電極のための最後の充電電流値および最後の充電期間値は、設定される。最後の充電電流値および最後の充電期間値は例えば、静電容量式タッチセンサ(例えば、図2のデータ格納装置212に)にアクセスできるメモリ位置に所望の充電電流値および所望受電期間値を格納することによって、設定され得る。そして方法は、終了し得る。
【0086】
このように、静電容量式タッチセンサデバイスを設定する方法および装置の様々な実施形態は、上述された。実施形態は、個別の充電電流および充電期間設定が初期自動設定プロセスの間に、および/または1または複数の電極のために実行され得る初期自動設定プロセスの間に、複数の電極の各々に設けられることを可能にする。
【0087】
一実施形態は、アナログデジタル変換器(ADC)と、アナログデジタル変換器に動作可能に接続されるコントローラとを備える静電容量式タッチセンサを含む。アナログデジタル変換器は、電極からアナログ電圧信号を受信し、且つ複数のデジタル値を生成するためにアナログ電圧信号をサンプリングするように構成される。コントローラは、電極に第1充電期間で第1充電電流を供給することによって、第1充電プロセスを実行し、複数のデジタル値の少なくとも1つの値に基づき第1電極電圧値が基準を満たすか否か判定するように構成される。第1電極電圧値が基準を満たさない時、コントローラは、基準を満たす可能性がより高い第2電極電圧値を生じる第2充電プロセスを実行することに応答して、電極の第2充電電流および第2充電期間の設定を生じる設定プロセスを実行するように構成される。
【0088】
さらなる実施形態にしたがって、コントローラは、反復プロセスを実行することによって設定プロセスを実行するように構成される。反復プロセスでは、第2充電期間および第2充電電流を決定するために、電極は、複数の充電期間で複数の充電電流によって充電されるさらなる実施形態にしたがって、コントローラはさらに、1または複数の後続の充電プロセスの間の使用のために電極の第2充電電流および第2充電期間を格納することによって電極を設定するように構成される。さらなる実施形態にしたがって、コントローラは、第2充電期間を決定するために複数の充電期間で電極に固定充電電流を供給することと、第2充電電流を決定するために第2充電期間で複数の充電電流を供給することとによって反復プロセスを実行するように構成される。さらなる実施形態にしたがって、コントローラは、第1所定テーブルから充電電流が供給される異なる充電期間を反復的に選択することによって複数の充電期間で電極に固定充電電流を供給し、第2所定テーブルから第2充電期間で電極に供給される異なる充電電流を反復的に選択することによって第2充電期間で電極に複数の充電電流を供給するように構成される。さらなる実施形態にしたがって、コントローラは、バイナリサーチプロセスを用いることによって、第1所定テーブルから異なる充電期間を選択し、第2所定テーブルから異なる充電電流を選択するように構成される。さらなる実施形態にしたがって、コントローラは、第2充電電流および第2充電期間を決定するために複数の候補充電電流/期間の対を用いて電極を充電することによって反復プロセスを実行するように構成される。さらなる実施形態にしたがって、コントローラは、電極を充電するために使用される互いに異なる充電電流/期間対を、所定テーブルから反復的に選択することによって、複数の充電電流/期間対を決定するように構成される。さらなる実施形態にしたがって、コントローラは、バイナリサーチプロセスを用いて所定テーブルから異なる充電電流/期間の対を選択するように構成される。
【0089】
さらなる実施形態にしたがって、静電容量式タッチセンサは、コントローラに動作可能に接続された電流ソースと、コントローラおよび電流ソースに動作可能に接続されたタイマとを備える。電流ソースは、第1充電期間で電極に第1充電電流を供給するように構成される。タイマは、電流ソースが電流を第1充電期間の開始で第1充電電流の供給を開始し、第1充電期間の終了で第1充電電流の供給を終了することを可能にするタイミング信号を、電流ソースに与えるように構成される。またさらなる実施形態にしたがって、静電容量式タッチセンサはさらに、データ格納装置を備える。データ格納装置は、コントローラに動作可能に接続され、第1充電電流、第1充電期間、第2充電電流および第2充電期間を代表する値を格納するように構成される。
【0090】
別の実施形態は、電極と、電極に動作可能に接続される静電容量式タッチセンサとを備える静電容量式タッチセンサデバイスを含む。静電容量式タッチセンサは、第1充電期間で電極に第1充電電流を供給することによって第1充電プロセスを実行し、第1充電プロセスによって生じる第1電圧を測定し、第1電圧に基づき第1電極電圧が基準を満たすか否か判定するように構成される。第1電圧値が基準を満たさない時、静電容量式タッチセンサデバイスは、電極の第2充電電流および第2充電期間を設定することを生じる設定プロセスを実行するように構成される。設定プロセスは、第2充電プロセスを実行することに応答して、基準を満たす可能性が高い第2電極電圧を生じる。
【0091】
さらなる実施形態にしたがって、静電容量式タッチセンサはさらに、1または複数の電極を備える。静電容量式タッチセンサはまた、1または複数の追加電極に接続される。静電容量式タッチセンサは、互いに異なる充電電流および互いに異なる充電期間が電極と1または複数の追加電極の各々とのために設定され得るように、電極と1または複数の追加電極のための設定プロセスを実行するように構成される。
【0092】
またさらなる実施形態は、静電容量式タッチセンサデバイスを設定する方法を含む。方法は、第1充電期間で第1電極に第1充電電流を供給することによって第1電極充電プロセスを実行するステップと、第1充電プロセスから得られる第1電極の第1電圧を測定するステップと、第1電圧に基づき第1電圧値が基準を満たすか否か判定するステップとを含む。第1電極電圧が基準を満たさない時、方法は、基準を満たす可能性が高い第2電極電圧値を生じる第1電極のための第2充電電流および第2充電期間を決定するステップを含む。方法はまた、第1電極の後続の電極充電プロセスの間の使用のために、第2充電電流および第2充電期間を格納するステップを含む。
【0093】
さらなる実施形態にしたがって、第1電極電圧値が基準を満たすか否か判定するステップは、第1電極電圧値が目標電圧範囲に入るか否か判定するステップを含む。さらなる実施形態にしたがって、第2充電電流を決定するステップは、固定充電電流が第1電極に供給される異なる充電期間を、第1所定テーブルから反復的に選択することによって、複数の充電期間で第1電極に第1充電電流を供給するステップを含む。第2充電電流を決定するステップは、固定充電期間で第1電極に供給される異なる充電電流を、第2所定テーブルから反復的に選択することによって、固定充電期間で第1電極に複数の充電電流を供給するステップを含む。さらなる実施形態にしたがって、第1所定テーブルから充電期間を反復的に選択するステップおよび第2所定テーブルから異なる充電電流を反復的に選択するステップは、バイナリサーチプロセスを用いて実行される。さらなる実施形態にしたがって、第2充電電流を決定するステップおよび第2充電期間を決定するステップは、所定テーブルから互いに異なる充電/期間の対を反復的に選択するステップと、異なる充電電流/期間の対の各々を用いることによって第2電極を充電するステップとを含む。さらなる実施形態にしたがって、異なる充電電流および異なる充電期間が電極および1または複数の追加電極の各々のために設定され得るように、実行、測定、決定、および格納のステップは、1または複数の追加電極のために繰り返す。
【0094】
上述の実施形態に対して、特許請求の範囲に規定される本発明の範囲から逸脱することなく、種々の改良や変更が可能である。本発明の事項の原理は、特定システム、装置、および方法に関連して説明されているが、これらの記載は例示的であり、本発明の事項の範囲を限定するものではないことを理解されたい。本明細書に記載され、図示される様々な機能または処理ブロックは、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはそれらの任意の組合せで実施され得る。本明細書において用いられる術語又は用語は、説明することを目的としており、限定することは意図していない。したがって、本発明の主題は、添付の特許請求の範囲の主旨及び広範な範囲内に入るような全ての代替形態、変更形態、均等形態及び変形形態を含む。
【0095】
具体的な実施形態のこれまでの説明は、一般的概念から逸脱することなく、現在の知識を適用することによって、他の人が種々の応用形態に合わせて容易に変更、且つ/又は改変することができるほど十分に、本発明の主題に汎用性があることを明らかにする。それゆえ、そのような改変及び変更は、開示される実施形態の均等物の意味及び範囲内にある。本発明の主題は、添付の特許請求の範囲の精神及び広い範囲内に入るような全ての代替物、変更物、均等物及び変形物を包含する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コントローラを備える静電容量式タッチセンサであって、
前記コントローラは、
第1充電期間で電極に第1充電電流を供給することによって第1充電プロセスを実行し、
複数のデジタル値のうちの少なくとも1つに基づき、第1電極電圧値が基準を満たすか否か判定し、
前記第1電極電圧値が前記基準を満たさない時、前記電極のための第2充電電流および第2充電期間を設定することをもたらす設定プロセスを実行するように構成され、
前記設定プロセスは、第2充電プロセスの実行に応答して、前記基準を満たす可能性が高い第2電極電圧値を生じる、静電容量式タッチセンサ。
【請求項2】
前記コントローラは、反復プロセスの実行によって設定プロセスを実行するように構成され、前記反復プロセスでは、前記第2充電期間および前記第2充電電流を決定するための複数の充電電流と共に、前記電極は、複数の充電期間で充電され、
前記コントローラはさらに、1または複数の後続の充電プロセスの間の使用のために前記電極のための充電電流および充電期間を記憶することによって、前記電極を設定するように構成される、
請求項1記載の静電容量式タッチセンサ。
【請求項3】
前記コントローラは、前記第2充電期間を決定するために複数の充電期間で前記電極に固定充電電流を供給することと、前記第2充電電流を決定するために前記第2充電期間で複数の充電電流を供給することとによって、前記反復プロセスを実行するように構成されている、
請求項2記載の静電容量式タッチセンサ。
【請求項4】
前記コントローラは、
前記充電電流が供給される互いに異なる充電期間を、第1所定テーブルから反復的に選択することによって、前記複数の充電期間で前記電極に前記固定充電電流を供給し、
前記第2充電期間で前記電極に互いに異なる充電電流を、第2所定テーブルから反復的に選択することによって、前記第2充電期間で前記電極に前記複数の充電電流を供給するように構成されている、
請求項3記載の静電容量式タッチセンサ。
【請求項5】
前記コントローラは、バイナリサーチプロセスを用いることによって、前記第1所定テーブルから前記異なる充電期間を選択し、且つ前記第2所定テーブルから前記異なる充電電流を選択するように構成される、
請求項4記載の静電容量式タッチセンサ。
【請求項6】
前記コントローラは、前記第2充電電流および前記第2充電期間を決定するために複数の候補充電電流/期間の対を用いて前記電極に充電することによって、前記反復プロセスを実行するように構成される、
請求項2記載の静電容量式タッチセンサ。
【請求項7】
前記コントローラは、所定テーブルから前記電極を充電するために用いられる互いに異なる充電電流/期間の対を反復的に選択することによって、前記複数の候補充電電流/期間の対を決定するように構成される、
請求項6記載の静電容量式タッチセンサ。
【請求項8】
前記コントローラは、バイナリサーチプロセスを用いることによって、前記所定テーブルから互いに異なる充電電流/期間の対を選択するように構成される、
請求項7記載の静電容量式タッチセンサ。
【請求項9】
前記コントローラは、前記第1電極電圧が電圧値の所定範囲内または外に位置するか判定することによって、前記第2電極電圧が前記基準を満たすか否か判定するように構成される、
請求項1記載の静電容量式タッチセンサ。
【請求項10】
前記コントローラは、前記第1電極電圧値が閾値よりも高いまたは低いか判定することによって、前記第1電極電圧値が前記基準を満たすか否か判定するように構成される、
請求項1記載の静電容量式タッチセンサ。
【請求項11】
前記静電容量式タッチセンサはさらに、
前記コントローラに動作可能に接続され、充電期間で前記電極に充電電流を供給するように構成される電流ソースと;
前記コントローラおよび前記電流ソースに動作可能に接続され、タイミング信号を供給するように構成されるタイマと
を備え、
前記タイミング信号は、前記電流ソースが前記充電期間の開始で前記充電電流の供給を開始し、且つ前記充電期間の終了で前記充電電流の供給を終了することをできるようにする、
請求項1記載の静電容量式タッチセンサ。
【請求項12】
前記静電容量式タッチセンサはさらに、前記コントローラに動作可能に接続されたデータ格納装置を備え、
前記データ格納装置は、前記充電電流と、前記第1充電期間と、前記第2充電電流と、前記第2充電期間とを代表する値を格納するように構成される、
請求項1記載の静電容量式タッチセンサ。
【請求項13】
前記静電容量式タッチセンサはさらに、前記コントローラに動作可能に接続されたアナログデジタル変換器(ADC)を備え、
前記アナログデジタル変換器は、前記電極からアナログ電圧信号を受信し、且つ前記アナログ電圧信号をサンプリングすることによって前記複数のデジタル値を生成するように構成される、
請求項1記載の静電容量式タッチセンサ。
【請求項14】
静電容量式タッチセンサデバイスであって、
電極と;
前記電極に動作可能に接続された静電容量式タッチセンサと
を備え、
前記静電容量式タッチセンサは、
第1充電期間で前記電極に第1充電電流を供給することによって第1充電プロセスを実行し、
前記第1充電プロセスから得られる第1電圧を測定し、
前記第1電圧に基づき、第1電極電圧値が基準を満たすか否か判定し、
前記第1電極電圧値が前記基準を満たす時、前記電極のための第2充電電流および第2充電期間を設定することをもたらす設定プロセスを実行するように構成され、
前記設定プロセスは、第2充電プロセスの実行に応答して、前記基準を満たす可能性が高い第2電極電圧値を生じる構成される、静電容量式タッチセンサデバイス。
【請求項15】
前記静電容量式タッチセンサデバイスはさらに、1または複数の追加電極を備え、
前記静電容量式タッチセンサデバイスは、前記1または複数の追加電極に動作可能に接続され、
前記静電容量式タッチセンサデバイスは、前記電極と、前記1または複数の追加電極の各々とに互いに異なる充電電流および互いに異なる充電期間を設定し得るように、前記電極と前記1または複数の追加電極の各々とのための前記設定プロセスを実行するように構成される、
請求項14記載の静電容量式タッチセンサ。
【請求項16】
前記静電容量式タッチセンサは、
電極電圧値が前記基準を満たすか否か判定し、且つ前記設定プロセスを実行するように構成されるコントローラと;
前記コントローラに動作可能に接続され、且つ充電期間で充電電流を供給するように構成される電流ソースと;
前記電流ソースおよび前記コントローラに動作可能に接続されたマルチプレクサと
を備え、
前記マルチプレクサは、前記電極または前記追加電極に前記充電電流を与え、且つ前記電極のためのまたは前記追加電極のためのアナログ電圧信号をアクセスするように構成される、
請求項15記載の静電容量式タッチセンサデバイス。
【請求項17】
静電容量式タッチセンサデバイスを設定する方法であって、前記方法は前記静電容量式タッチセンサデバイスの回路によって、
第1充電期間で第1電極に第1充電電流を供給することによって、第1電極充電プロセスを実行する実行ステップと;
前記第1充電プロセスから得られる、前記第1電極の第1電極電圧を測定する測定ステップと;
前記第1電極電圧値が基準を満たさない時、前記第1電極のための第2充電電流および第2充電期間を決定する決定ステップであって、前記回路は、前記基準を満たす可能性が高い第2電極電圧をもたらすことと;
前記第1電極のための後続の電極充電プロセスの間、前記第2充電電流および前記第2充電期間を格納する格納ステップと
を有する、方法。
【請求項18】
前記実行ステップ、前記測定ステップ、前記決定ステップ、および前記格納ステップは、2つの互いに異なる検出されたタッチ状態同士の間で実行される、
請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記決定ステップは、第1所定テーブルから、互いに異なる充電期間を反復的に選択することによって、前記第1電極に固定充電電流を供給するステップを有し、前記異なる充電期間では、前記固定充電電流は、前記第1電極に供給され、
前記決定ステップは、第2所定テーブルから、互いに異なる充電電流を反復的に選択することによって、固定充電期間で前記第1電極に複数の充電電流を供給するステップを有し、前記異なる充電電流は、前記固定充電期間で前記第1電極に供給される、
請求項17記載の方法。
【請求項20】
前記決定ステップは、
所定テーブルから、互いに異なる充電電流/期間対を反復的に選択するステップと;
前記異なる充電電流/期間対の各々を用いることによって、前記第1電極を充電するステップと
を有する、
請求項17記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−506905(P2013−506905A)
【公表日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−532080(P2012−532080)
【出願日】平成22年8月16日(2010.8.16)
【国際出願番号】PCT/US2010/045583
【国際公開番号】WO2011/041031
【国際公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(504199127)フリースケール セミコンダクター インコーポレイテッド (806)
【Fターム(参考)】