説明

静電容量式液状態検知センサ

【課題】 内部電極の表面上に形成される絶縁膜の厚みの範囲を規定することで液体の状態の検知を精度よく行うことができる静電容量式液状態検知センサを提供する。
【解決手段】 液体レベルセンサ1で外筒電極10と内部電極20との間の静電容量を測定し、尿素水の水位を検知する際に、尿素水で満たされている部分で電位差の生じる部位の距離は、距離Bで示す絶縁膜23の厚み分の距離となる。この絶縁膜23の厚みを150μm以上とすれば、絶縁膜23の形成時に途切れ等が生じず、絶縁不良の発生を防止することができる。また、静電容量の大きさが電位の異なる2点間の距離に反比例することから、絶縁膜23の厚みを500μm未満として厚みに制限を設けたことで、測定される静電容量は回路等から発生する浮遊容量と比べ十分大きく、ノイズとして浮遊容量が測定されてもセンサの検知精度には影響を及ぼさない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体収容容器内に収容される液体の状態を検知する静電容量式液状態検知センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ディーゼル自動車から排出される排気ガスには、一酸化炭素(CO)および炭化水素(HC)以外に窒素酸化物(NOx)が含まれている。そこで、近年、この有害な窒素酸化物(NOx)を無害なガスに還元することが行われている。例えば、ディーゼル自動車の排気ガス排出用のマフラーの途中にNOx選択還元(SCR)触媒を設置し、別途車両に設けたタンクに還元剤溶液として尿素水を入れ、この尿素水を上記触媒へ噴射するようにして、NOxをN2等の無害なガスに還元するシステムが提案されている。このシステムでは、尿素水が無くなった場合にはNOx還元反応を促すことができずにNOxの大量な排出を起こすため、尿素水を収容するタンクに、収容される尿素水の水位(液位)を測定するセンサを設け、尿素水の残量が規定量以下となった場合に警報を発する等の措置が講じられている。
【0003】
この水位を測定するためのセンサの一例として、静電容量式液状態検知センサが知られている。この静電容量式液状態検知センサは、導体からなる細長い筒状の外筒電極と、その外筒電極内にて軸線方向に沿って設けられた内部電極との間(以下、「ギャップ」という。)で静電容量を測定するものである。尿素水のように導電性を有する液体の水位の測定に用いる静電容量式液状態検知センサでは、外筒電極と内部電極との間でのショート防止のために、内部電極の外表面上には絶縁膜が形成される(例えば特許文献1、2参照。)。そして、外筒電極の軸線方向が液体の水位の上下方向となるように、静電容量式液状態検知センサがタンクにセットされる。導電性の液体を使用している場合には、液体に浸漬していない部分の静電容量は、ギャップの空気層および内部電極の絶縁膜の厚み(膜厚)に依存する。一方、液体に浸漬している部分の静電容量は、導電性の液体が外筒電極と同電位となるため絶縁膜の厚みに依存し、前者よりも静電容量が大きくなる。このため、液体に浸漬している部分が増えるほど測定される静電容量が大きくなることとなり、水位として検知することができる。
【0004】
こうした静電容量式液状態検知センサで液体の水位を測定する場合において、ギャップの距離が一定であれば、水位と静電容量とが比例することとなる。すなわち、内部電極の外表面上に形成された絶縁膜の厚みが均一であればあるほど、センサの精度は高くなる。従来の静電容量式液状態検知センサでは、樹脂製のチューブで内部電極の外表面上を被覆して絶縁膜を形成することで、絶縁膜の厚みの均一性を図っている(例えば特許文献3参照。)。
【特許文献1】特開平8−296932号公報
【特許文献2】特開2003−57093号公報
【特許文献3】特開平7−318395号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、チューブを内部電極に被せる工程や内部電極と外筒電極とを同軸状に組み付ける工程においてチューブに破れが発生しないようにするためには、チューブの膜厚を厚くしてチューブ自体の強度を保つ必要がある。しかし、絶縁膜の厚みに依存する静電容量は、絶縁膜の膜厚が厚くなればなるほど小さくなってしまうため、厚手のチューブの被覆により絶縁膜を形成した内部電極を用いた場合、検知される静電容量の大きさの範囲が狭くなってしまう。このように検知される静電容量の範囲が狭い場合には、センサの検知精度を向上させるべく精度の高い電子部品を用いざるを得ず、検知回路を含めたセンサ全体が高価になってしまうという問題があった。さらに、検知可能な静電容量の大きさに対し、センサの配線パターンなど回路構造から発生する浮遊容量の大きさの割合が大きくなるのでノイズとして無視できなくなり、センサの検知精度が低下するという問題があった。
【0006】
一方、検知される静電容量の大きさの範囲を広げるために、絶縁膜を薄く形成することが考えられるが、絶縁膜を薄くしてしまうと、製造過程の搬送時等に外部から絶縁膜に軽微な衝撃が掛かることで、絶縁膜が破れてしまい、適正な静電容量の測定、ひいては適正な液状態の検知が行えなくなるおそれがある。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、内部電極の表面上に形成される絶縁膜の厚みの範囲を規定することで液体の状態の検知を精度よく行うことができる静電容量式液状態検知センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の静電容量式液状態検知センサは、導体からなる筒状の外筒電極と、前記外筒電極内で前記外筒電極の軸線方向に沿って設けられた導体からなる筒状または柱状の内部電極とを備えるとともに、液体収容容器内に収容された液体の状態を検知する静電容量式液状態検知センサであって、少なくとも前記内部電極の前記液体に接触する部分の外表面に、厚みが100μm以上500μm未満の絶縁膜を形成したことを特徴とする。
【0009】
本発明の静電容量式液状態検知センサによれば、内部電極の液体に接触する部分の外表面に形成した絶縁膜の厚みを100μm以上としたので、後述する実験結果からも裏付けられるように、絶縁膜が破れて内部電極の表面が露出するのを抑制することができる。従って、センサ組み付け時等に絶縁膜が破れたり傷付いたりするのを抑えられる。また、測定される静電容量の大きさは上記絶縁膜の厚みに依存するが、その厚みを500μm未満として厚みに制限を設けたので、測定される静電容量の最大値を比較的大きく確保することができ、すなわち測定を行う静電容量の範囲(レンジ)が広くなり、分解能が高い(細かな静電容量の差を検知することができる)回路を利用せずとも比較的安価な回路構成で液位の検知が可能である。また、回路等に起因する浮遊容量に対して測定される静電容量の大きさを十分大きく確保することもでき、センサの検知精度の低下を防止することができる。なお、上記膜厚の範囲を有する絶縁膜は、チューブを用いて形成してもよいし、樹脂コーティングにより形成してもよいが、内部電極表面に対する密着性を高めた形で上記厚みの範囲を確保するには、樹脂コーティングにより絶縁膜を形成することが好ましい。
【0010】
なお、内部電極の外表面に形成する絶縁膜の厚みとしては、150μm以上500μm未満とすることが好ましい。この絶縁膜の厚みを150μm以上とすることで、後述する実験結果からも裏付けられるように、絶縁膜が破れて内部電極の表面が露出するのを効果的に防止することができる。従って、センサ組み付け時等に絶縁膜が破れたり傷付いたりするのを有効に抑えられ、歩留まりを100%に近づけることができる。
【0011】
さらに、上記の静電容量式液状態検知センサであって、前記内部電極は円筒形状または円柱形状をなしており、その軸線と直交する断面において、前記内部電極の外表面上に形成された絶縁膜の最も厚い部位における厚みと、最も薄い部位における厚みとの差が300μm以下であると良い。
【0012】
本発明の静電容量式液状態検知センサでは、内部電極の軸線と直交する断面における絶縁膜の最も厚い部位の厚みと、最も薄い部位の厚みとの差が300μm以下となるようにしたので、絶縁膜形成後の内部電極の真円度が高く保たれ、センサの検知精度を良好に得ることができる。また、絶縁膜形成後の内部電極の真円度を高く保てることから、内部電極を含めたセンサの組み付け精度についても高めることができる。なお、上記絶縁膜の最も厚い部位の厚みと最も薄い部位の厚みとの差は、200μm以下とすることが好ましい。
【0013】
さらに、上記いずれかに記載の静電容量式液状態検知センサであって、前記外筒電極の外表面に、前記軸線方向に沿って延びるスリットが少なくとも1つ以上形成されていると良い。
【0014】
本発明の静電容量式液状態検知センサでは、外筒電極に、軸線方向に延びるスリットを少なくとも1つ以上形成したことにより、外筒電極と内部電極との間(ギャップ間)に入り込む液体と外筒電極の外部の液体との循環作用が円滑に確保されることになる。これにより、ギャップ間に存在する液体に異物が混入した場合にも、スリットを通してその異物を外部に排出することができ、絶縁膜に異物が付着することを抑制することができる。また、ギャップ間に存在する液体が急冷されて氷結したとしても、液体氷結時の体積膨張に伴い上昇する圧力を、スリットを介して外筒電極の外部に逃がすことができ、氷結による外筒電極の変形を抑制することができる。なお、軸線方向に沿って長細いスリットを外筒電極に形成することにより、外筒電極自身の強度を良好に保つことができる。
【0015】
また、上記の静電容量式液状態検知センサであって、前記スリットは、前記外筒電極の中心軸線と直交する断面において、該外筒電極の外表面における周上の3%以上10%以下の部位に形成されていると良い。
【0016】
本発明の静電容量式液状態検知センサでは、外筒電極の中心軸線と直交する断面において、外筒電極の外表面における周上の3%以上の部位にスリットが形成されているので、外筒電極と内部電極との間に形成される間隙に存在する液体氷結時の体積膨張に伴い上昇する圧力を、外部に有効に逃がすことができる。また、外筒電極の中心軸線と直交する断面において、スリットの形成部位(開口幅)は、外筒電極の外表面における周上の10%以下の部位であるので、例えば外筒電極の外部にて氷結した液体の氷塊といった絶縁膜に接触して当該絶縁膜を傷付けるような大きさの固形物がスリットを通過しにくく、絶縁膜の保護を有効に行うことができる。
【0017】
さらに、上記いずれかに記載の静電容量式液状態検知センサであって、前記スリットの前記軸線方向に直交する向きの開口幅は、5mm以下に設定されていると良い。
【0018】
本発明の静電容量式液状態検知センサでは、スリットの軸線方向に直交する向きの開口幅を5mm以下に設定しているので、外筒電極の外部にて氷結した液体の氷塊といった絶縁膜に接触して当該絶縁膜を傷付けるような大きさの固形物が、スリットを介して外筒電極の内部に入り込むのを防ぐことができ、絶縁膜の保護をより有効に行うことができる。
【0019】
さらに、上記いずれかに記載の静電容量式液状態検知センサであって、前記内部電極の後端側周囲を取り囲む絶縁支持部材と、前記絶縁支持部材の内面と前記内部電極の外表面との間に配置され、前記液体が該内面と該外表面との間を通って前記内部電極の後端側から流出するのを防止する水密部材とを備え、前記液体は導電性を有しており、前記絶縁膜は、前記内部電極の外表面のうち、先端から少なくとも前記水密部材と前記内部電極との接触部まで形成されていると良い。
【0020】
ところで、外筒電極と内部電極とを有する静電容量式液状態検知センサにおいては、内部電極の外表面と、この内部電極の後端側周囲を取り囲む絶縁支持部材の内面との間に水密部材を配置し、液体収容容器に収容された液体が内部電極の外表面と絶縁支持部材の内面との間を通って内部電極の後端側から流出するのを防止することが考えられる。しかし、液体が尿素水のように導電性を示す場合、内部電極のうち絶縁支持部材の先端から突出する外表面に上記絶縁膜を形成するだけでは、液体収容容器に導電性を示す液体が満たされてその液体が絶縁支持部材の内面と内部電極の外表面との間に入り込むことがあると、外筒電極と内部電極との間でショートが生じ、液状態を正常に検知できないおそれがある。これに対して、本発明の静電容量式液状態検知センサでは、厚みの範囲を規定した上記絶縁膜を、内部電極の外表面のうち、先端から少なくとも水密部材と内部電極との接触部まで形成するようにしている。これにより、絶縁支持部材の内面と内部電極の外表面との間に導電性の液体が入り込んだとしても、外筒電極と内部電極との間でショートが発生するのを防止することができ、液体の状態の検知を精度良く行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を具体化した静電容量式液状態検知センサの一実施の形態について、図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、静電容量式液状態検知センサの一例としての液体レベルセンサ1について説明する。図1は、液体レベルセンサ1の縦断面図である。
【0022】
本実施の形態の液体レベルセンサ1は、ディーゼル自動車の排気ガス中に含まれる窒素酸化物(NOx)の還元に使用される尿素水を収容したタンク(図示外)に取り付けられ、液体の状態の検知、つまりは尿素水の水位を測定するために利用されるものである。
【0023】
図1に示すように、液体レベルセンサ1は、円筒形状を有する外筒電極10と、その外筒電極10の内部にて、外筒電極10の軸線方向に沿って設けられた内部電極20と、外筒電極10および内部電極20を互いに非接触の状態で支持する基部40とから構成される。
【0024】
外筒電極10は導電性の金属材料からなり、長細い円筒形状を有する。液体レベルセンサ1の先端側(図1における下側)にあたる外筒電極10の先端部11(図2における上側)には、外筒電極10の先端部11(外筒電極10の基部40とは反対側の端部)に係合するゴム製のブッシュ30が設けられている。このブッシュ30は円筒形状の胴部32を有し、その一端側に、外筒電極10に係合された際に外筒電極10の内部への落ち込みを防止する鍔部34が形成されている。また胴部32には突起部35が突設されており、外筒電極10の先端部11に開口された開口部13に係合することでブッシュ30の抜けを防止し、鍔部34とともにブッシュ30の位置決めを行う。胴部32の内周には、軸線方向に延びる複数のリブ36が列設されており、内部電極20の先端部21がこのリブ36によって位置決め保持されることで、内部電極20と外筒電極10との接触が防止される。そして、ブッシュ30の鍔部34側の端面には胴部32の内周側に接続する孔33が開口されており、リブ36により内部電極20が保持された状態でも、リブ36の隙間を介してブッシュ30の内側と外側とが連通するように構成されている。これにより、孔33を介してタンクに収容された尿素水が外筒電極10と内部電極20との間に形成されるギャップ(間隙)に入り込むことが可能となる。
【0025】
また、外筒電極10の外周上で、開口部13の形成された位置と同一の母線上には複数の細幅のスリット14が、外筒電極10の先端部11から基端部12(外筒電極10の基部40側の端部)に向かう一本の母線上に沿って断続的に形成されている。このスリット14と開口部13とは、外筒電極10の外表面上で周方向に等間隔となる3本の母線上に3組、それぞれ形成されている。このスリット14を介し、タンクに収容された尿素水が、上記ギャップと外筒電極10の外部との間で円滑に流動することができる。また、外筒電極10の基端部12には、スリット14が形成された各母線とは異なる母線上に、一つの空気抜き孔19が形成されている。
【0026】
次に、外筒電極10は、基端部12が金属製の基部40の電極支持部41の外周に係合した状態で溶接されている。基部40は尿素水を収容したタンク(図示外)に液体レベルセンサ1を固定するための台座として機能し、そのための取り付け孔(図示外)を鍔部42に有する。また、基部40の鍔部42を挟んで電極支持部41の反対側には、外筒電極10および内部電極20が外部回路(図示外)との電気的な接続を行えるようにするための中継用の回路基板60などを収容する収容部43が形成されている。なお、回路基板60は収容部43の内壁面の四隅より突出する基板載置部(図示外)上に載置されている。外部回路との接続は、収容部43を覆って保護し、鍔部42に固定されるカバー45の側部に固定されるコネクタ62を介して行われ、コネクタ62の外部接続端子(図示外)と回路基板60の配線とが配線ケーブル61によって接続されている。
【0027】
基部40の電極支持部41には収容部43内に貫通する孔46が開口されており、この孔46内に、内部電極20が固定される。本実施の形態の内部電極20は中実で円柱状をした導電性の金属棒であり、外筒電極10の全長とほぼ同じ長さを有する。内部電極20の先端部21側(図1における下側であり、液体レベルセンサ1の先端側)の端部は面取りされている。この内部電極20の外周表面上には、PTFE、PFA、ETFE等のフッ素系樹脂からなる絶縁膜23(図3参照)が形成されている。この絶縁膜23は、フッ素系樹脂をディッピングや静電粉体塗装により内部電極20の外表面上に塗布し、熱処理することにより樹脂コーティング層の形態で形成される。また、基端部22側(図1における上側)には、内部電極20を基部40に固定するため、パイプガイド55とインナーケース50が係合されている。パイプガイド55は、内部電極20の基端部22の端縁寄りに接合された環状のガイド部材である。
【0028】
また、インナーケース50は内部電極20と外筒電極10とが確実に絶縁されるように内部電極20を位置決め支持する筒状の樹脂製部材であり、先端側が基部40の電極支持部41の孔46に係合する。インナーケース50には径方向外側に向かって突出する鍔部51が形成されており、インナーケース50が電極支持部41に係合される際には収容部43側から電極支持部41の内周に挿通される。そして、鍔部51が収容部43内の底面に当接することで、電極支持部41の内周をインナーケース50が通り抜けることが防止されている。内部電極20もまたインナーケース50の内周側を収容部43側から挿通されるが、パイプガイド55が鍔部51に当接することで、インナーケース50に対して抜け防止される。なお、インナーケース50が、特許請求の範囲における「絶縁支持部材」に相当する。
【0029】
さらに、インナーケース50の外周と内周とには、それぞれ、第1Oリング53と第2Oリング54とが設けられている。第1Oリング53は、インナーケース50の外周と基部40の孔46との間の隙間を密閉し、第2Oリング54は、インナーケース50の内周と内部電極20の基端部22の外周との間の隙間を密閉している。これにより、液体レベルセンサ1がタンク(図示外)に取り付けられた際に、タンク内とタンク外とが収容部43を介して連通しないようにその気密性が保たれている。なお、基部40の鍔部42において液体レベルセンサ1の先端側の面には図示外の板状のゴム部材が嵌められ、第1Oリング53,第2Oリング54と同様に、タンクへの取り付け時に、タンクの内外の気密性が保たれる。なお、第2Oリング54が、特許請求の範囲における「水密部材」に相当する。
【0030】
そして、内部電極20の基部40への組み付けの際には、2枚の押さえ板56,57によって、パイプガイド55がインナーケース50の鍔部51に対して押圧される。押さえ板57は、パイプガイド55との間に押さえ板56を挟み、パイプガイド55を押圧した状態で、ネジ58によって収容部43内に固定される。これにより、パイプガイド55に接合された内部電極20が電極支持部41に固定されることとなる。押さえ板56,57には中央に孔が設けてあり、内部電極20の電極取りだし用リード線59が挿通され、回路基板60に接合されている。回路基板60からはグランド側の電極が、詳細は図示しないが、基部40に接続されており、このため外筒電極10がグランド側に電気的に接続される。
【0031】
次に、本実施の形態の液体レベルセンサ1により、液体の水位などの状態(本実施の形態では尿素水のレベル)を検知する原理について、図2を参照して説明する。図2は、外筒電極10と内部電極20との間に満たされた尿素水の水面近傍の拡大断面図である。この液体レベルセンサ1は、尿素水を収容したタンク(図示外)に、外筒電極10および内部電極20が、その軸線方向を尿素水の水位の高低方向に沿うように組み付けられる。そして、外筒電極10と内部電極20との間の静電容量を測定することで、両者間に存在する尿素水が、外筒電極10の軸線方向にどれだけの水位まで存在しているかを検知することができる。これは周知のように、電位の異なる2点間において、静電容量の大きさがその2点間の距離に反比例することに基づく。
【0032】
すなわち、図2に示すように、尿素水で満たされていない部分におけるギャップで電位差の生じる部位の距離は、距離Aで示す、両者間の空気層と絶縁膜23との合計の厚み分の距離となる。一方、尿素水が満たされた部位におけるギャップで電位差の生じる部位の距離は、尿素水が導電性なので外筒電極10と尿素水との電位が等しくなることから、距離Bで示す、絶縁膜23の厚み分の距離となる。つまり、尿素水が満たされている部位は、満たされていない部位よりも電位差の生じる部位間の距離がより近いため、静電容量が大きい。このことから、ギャップに電圧を印加した場合、尿素水が満たされている部分が多くなるに従って、静電容量がより大きくなる距離Bである部分の割合が増える。ここで周知のように、静電容量の大きさが、互いに対向する電位の異なる部位の面積に比例することから、液体レベルセンサ1の全体として検知される静電容量は、尿素水の水位が高くなるに従って大きくなる。
【0033】
こうした液体の水位を測定するにあたって、内部電極20の外表面上に形成された絶縁膜23の厚みが薄いほど、大きな静電容量を得ることができる。しかし、フッ素系樹脂からなる絶縁膜23は衝撃等を受けると傷付きやすいため、本実施の形態では、絶縁膜23の厚みを100μm以上(より好ましくは150μm以上)として規定している。これにより絶縁膜23の耐破損性が高くなり、絶縁膜23の表面に衝撃等を受け傷付いた場合でも、絶縁膜23が破れ内部電極20の表面が露出することを避け、内部電極20の絶縁性が損なわれることを防止することができる。
【0034】
また、前述したように絶縁膜23の形成は、フッ素系樹脂のディッピングや静電粉体塗装により内部電極20の外表面上に塗布し、熱処理することにより行われる。こうした絶縁膜23の形成の一度の工程において、形成される絶縁膜23の厚みは、通常、50μm程度となる。そこで、形成された絶縁膜23の表面上にさらに、絶縁膜23を形成し、すなわち、内部電極20の表面上に複数回、重ねて絶縁膜23を形成する工程を行う。すると、一回の工程で形成される絶縁膜23に途切れが発生したとしても、重ねて膜形成が行われるためその途切れが埋められることとなる。絶縁膜23の厚みが上記100μm以上(より好ましくは150μm以上)であれば、少なくとも2回以上の絶縁膜形成の工程が行われるため、絶縁膜に途切れが偶発的に生じて意図しない絶縁不良が発生することを防止することができる。
【0035】
さらに、本実施の形態では、絶縁膜23の厚みを500μm未満として規定した。このように絶縁膜23の厚みを上記500μm未満とすれば、測定される静電容量の大きさに対して浮遊容量の大きさが十分小さくなり、ノイズとして無視することができるためセンサの検知精度を低下させることはない。
【0036】
また、本実施の形態では、上記厚みの範囲を規定した絶縁膜23が、内部電極20の外表面のうち、少なくとも先端から第2リング54と内部電極20との接触部まで連続形成されている。これにより、タンクに導電性を示す尿素水が満たされ、インナーケース50の内面と内部電極20の外表面との間に尿素水が入り込んだとしても、外筒電極10と内部電極20との間でショートが発生するのを防止することができ、ひいては尿素水の水位をより精度良く検知することができる。
【0037】
ところで、上記したように、絶縁膜23の形成の一度の工程で形成される絶縁膜23の厚みが50μm程度であることから、絶縁膜23の厚みを上記500μmに近づけると、絶縁膜の形成を行う工程の繰り返し回数が増えることとなる。こうした場合、フッ素系樹脂の硬化時に、フッ素系樹脂の自重により形成される絶縁膜23の厚みに厚い部分や薄い部分などの偏りを生ずることがある。また、絶縁膜の形成工程の条件によって、上記偏りを生ずることもある。そこで、本実施の形態では、図3に示すように、内部電極20の中心軸線と直交する断面において、絶縁膜23の最も厚い部分の厚み(図中距離Cで示す)と、最も薄い部分の厚み(図中距離Dで示す)との差(以下、「真円度(単位はmm)」という。)が0.3mm(300μm)以下となるように規定している。すなわち、真円度が0mmであれば、その断面における絶縁膜23の外周が真円を形成していることを示す。内部電極20を電極支持部41にて指示するインナーケース50の内周は略真円に形成されており、内部電極20の上記断面が真円に近いほど内部電極20を含めたセンサの組み付け精度を良好なものとし、またOリング54による気密性を高めることができる。従って、真円度を0.3mm(300μm)以下として真円に近い状態となるように規定することが、センサの組み付け精度、さらにはセンサの検知精度を高めるうえで望ましい。
【0038】
このように厚みが薄くなるように形成される絶縁膜23は、センサ使用時においても傷等により絶縁性が失われる場合があるため、本実施の形態の液体レベルセンサ1では、尿素水中に氷塊などの固形物が存在した場合でも、その固形物が外筒電極10と内部電極20との間に入り込み難いように、外筒電極10に形成したスリット14の幅(開口幅)に制限を設けている。以下、図4を参照して、スリット14の幅について説明する。図4は、外筒電極10の中心軸線と直交する断面におけるスリット14の形成部位を示す断面図である。
【0039】
図4に示すように、外筒電極10には、外表面の周方向に対して等間隔に配置された3本の母線上に、スリット14がそれぞれ形成されている。図4では、外筒電極10の断面における外周に沿った方向において、スリット14の幅を、幅Eとして示している。また同様に、外筒電極10の軸線断面における外周に沿った方向において、スリット14が形成されていない部分の幅を、幅Fとして示している。すなわち、全ての幅Eと全ての幅Fとを合計した長さが、外筒電極10の外周の長さに相当する。
【0040】
本実施の形態では、スリット14の幅Eの合計を、外筒電極10の外周の長さ(幅Eと幅Fの合計)の10%以下となるように設定している。このような大きさにスリット14の幅を設定することで、例えば不純物や氷結した尿素水の塊などの固形物が尿素水中に含まれるとき、その固形物がスリット14を通過しにくくなるため、絶縁膜23を傷等から保護することができる。なお、スリット14の幅Eが、外筒電極10の外周の長さの10%未満であっても、小さな固形物がスリット14を通過する場合がある。しかし、この幅のスリット14を通過できる大きさの固形物が内部電極20の絶縁膜23に衝突しても、十分な質量がないため絶縁膜23を傷付けることは少なく、絶縁性に影響を与え難い。
【0041】
なお、本実施の形態では、各スリット14の軸線方向に直交する向きの幅(開口幅)Eを2.5mmに設定している。このように、各スリット14の幅を5mm以下に設定することで、外筒電極10の外部にて氷結した尿素水の氷塊といった絶縁膜23に接触してこの絶縁膜23を傷付けるような大きさの固形物が、スリット14を介して外筒電極10の内部に入り込むのを防ぐことができる。従って、絶縁膜23の保護をより有効に行うことができる。
【0042】
また、本実施の形態の液体レベルセンサ1のスリット14は、例えば寒冷地などにおける使用の際に、ギャップに存在する尿素水の氷結に伴う圧力上昇により外筒電極10に変形が生じないように形成されている。詳細には、ギャップに入り込んでいる尿素水が急冷されることがあると、ギャップに存在する尿素水が、外筒電極10の先端部11側と基端部12側との双方向から氷結を開始することがある。すると、ギャップに存在する尿素水の中間側に向けて氷結に伴う圧力上昇を生ずる。しかし、スリット14が形成されていることによって、外筒電極10の内部と外部との間での循環作用が確保されるので、上記圧力を効果的に外筒電極10の外部に逃すことができる。このような効果を発揮するには、スリット14の幅Eの合計が、外筒電極10の外周の長さ(幅Eと幅Fの合計)の3%以上であることが望ましい。
【0043】
このように、本実施の形態の液体レベルセンサ1では、絶縁膜23の厚みを薄くできるようにするため、薄くした場合に起こりうる弊害(固形物の衝突による破損)を防止できるような工夫がなされている。そして、上記のように薄い絶縁膜23を形成する際に絶縁膜23の厚みを規定することで、絶縁不良を防止し、検知精度のよい液体レベルセンサ1を実現している。そこで、上記したように絶縁膜の厚みを規定することによって得られる効果を確認するため、以下に示す、4つの評価試験を行った。
【0044】
[実施例1]
まず、絶縁膜の厚み(膜厚)よる絶縁性の有無について評価試験を行った。この評価試験を行うにあたって設定した条件は以下の通りである。内部電極には、全長493.5mm、外径Φ10mm、肉厚1.5mmの円筒状の金属筒を用い、その材料としてSUS304を用いた。そして、内部電極の外表面上で、長さ485.5mmにわたってPFAによるコーティングを施し、絶縁膜を形成した。このコーティングは静電粉体塗装によって行い、塗装、乾燥、熱による固着、冷却を1サイクルとした。このとき、形成する絶縁膜の100μm未満の厚みの調整は塗装時間によって行い、100μm以上の厚みの調整はサイクル数の変更によって行った。
【0045】
そして、絶縁膜の厚みがそれぞれ50,75,100,125,150,200μmのサンプルを各20本ずつ作製し、全てのサンプルに対し、絶縁試験を行った。内部電極の内周と、絶縁膜上に載置した電極との間に電圧(1000V)を印加し、絶縁膜上を導電性液体で湿らせた脱脂綿等を走らせ、このとき絶縁性が保たれているかを確認した。そして、絶縁不良が10%未満の範囲内でしか発生しなかった(換言すれば、90%を超える合格率を示した)サンプルを合格とし、絶縁膜の厚みの異なるものごとに、20本のサンプル中の合格したサンプルの割合を合格率として絶縁膜の厚みと比較した。
【0046】
図5に示すように、絶縁膜の厚みを50,75μmとした場合の合格率はそれぞれ75,90%であった。また、絶縁膜の厚みを100μmとした場合の合格率は、95%であり、さらに絶縁膜の厚みを125,150,200μmとした場合の合格率は、いずれも100%であった。この結果、絶縁膜の厚みが100μm以上であれば、絶縁不良が生じるセンサが生産されにくくなり、この絶縁膜の125μm以上であれば、製造されるセンサにおいて絶縁性は失われないことがわかった。絶縁不良は主に、絶縁膜を形成する際に発生した絶縁膜の途切れによるものであり、絶縁膜の厚みを厚くするほど途切れの発生率が下がることがわかる。また、PFAのコーティングのサイクル数が増えれば、例えば初回のサイクルで途切れが生じたとしても、次のサイクルでその途切れが埋められると絶縁性が保たれる。こうしたことから、絶縁膜の厚みを100μm以上、より好ましくは125μm以上に形成するとよいことがわかった。
【0047】
[実施例2]
次に、絶縁膜の厚みによる傷付きに起因した絶縁性の有無について評価試験を行った。この評価試験で使用した内部電極は実施例1と同じものであり、絶縁膜の厚みをそれぞれ50,75,100,125,150,200μmとして形成したサンプルのうち、実施例1と同様の試験を行って合格とされたものを、各厚みにつき20本ずつサンプルとして用いた。そして、全てのサンプルに対し、衝突試験を行った。すなわち、試験台上にSUS303の塊を載置して、サンプルを垂直に立てた状態で保持し、SUS303に向けて倒し込む。このときの倒し込みは自然落下により行い、垂直に立てたサンプルの上端より全長の1/3の位置をSUS303に衝突させた。これをサンプル1本当たり3回繰り返して行った。そして、実施例1と同様の絶縁試験を行い、厚みごとに20本のサンプル中、絶縁不良となり不合格(不良)となったサンプルの割合を求め、不良率を調べた。
【0048】
図6に示すように、絶縁膜の厚みを50,75,100,125μmとした場合の不良率はそれぞれ90,40%であった。また、絶縁膜の厚みを100,125μmとした場合の不良率は20,10%であり、絶縁膜の厚みを150,200μmとした場合の不良率は、いずれも0%であった。この結果、絶縁膜の厚みが100μm以上であれば、最低限度の不良率で留められることが分かり、絶縁膜の厚みが150μm以上であれば、絶縁膜に衝撃が加わり傷付くことがあっても内部電極の表面は露出せず、絶縁性が保たれることがわかった。
【0049】
[実施例3]
次に、絶縁膜の厚みによる静電容量の大きさについて評価試験を行った。この評価試験で使用した内部電極は実施例1と同じものであり、絶縁膜の厚みをそれぞれ100,200,300,350,450,500,600,700μmとして形成したサンプルのうち、実施例1と同様の試験を行って合格とされたものを用意した。そして、これらの内部電極を使用して上述した実施の形態と略同等の静電容量式液状態検知センサを作製(なお、外筒電極には、外径Φ30mm、肉厚1.0mmの円筒状の金属筒を使用)し、尿素水を満杯まで満たしたタンクに取り付け静電容量の測定を行った。
【0050】
図7に示すように、絶縁膜の厚みが100,200,300,350,450,500,600,700μmである場合の外筒電極と内部電極との間の静電容量は、それぞれ、1500,800,500,380,210,130,70,50pFとなった。尿素水が満杯のときに測定される静電容量は、その液状態検知センサで測定しうる静電容量の最大値である。この測定しうる静電容量の最大値が大きいほど、0から最大値間の静電容量を細かく測定できなくとも十分に各水位を測定することができる。すなわち、静電容量に基づき水位を検知するための回路として、いわゆる分解能が低い安価な回路を用いることができる。この評価試験の結果より、絶縁膜の厚みが500μm未満であれば、静電容量の最大値が130pFより大きい値であるセンサに対し分解能を有する安価な回路を用いることができることがわかった。
【0051】
[実施例4]
次に、絶縁膜の厚みによる内部電極の真円度について評価試験を行った。この評価試験で使用した内部電極は実施例1と同じものであり、絶縁膜の厚みをそれぞれ100,200,300,350,450,500,550,700μmとして形成したサンプルのそれぞれの真円度を測定した。
【0052】
図8に示すように、絶縁膜の厚みを100,200,300,350,450,500,550,700μmに形成した場合の内部電極の真円度は、それぞれ、0.10,0.10,0.10,0.11,0.15,0.20,0.28,0.60mmであった。この評価試験の結果から、絶縁膜の厚みを500μm未満とした場合、真円度を0.3mm(300μm)未満とすることができ、センサの組み付け精度を良好に得ることができた。なお、本実施例4の評価結果では、絶縁膜の厚みを500μm未満とした場合、真円度が300μm未満となったが、絶縁膜の形成時の条件(具体的には、静電粉体塗装時の条件)によっては、絶縁膜の厚みが例えば450μmであっても、真円度が0.15mmよりも大きい値を示す場合があるが、この真円度は、絶縁膜の厚みが100μm以上500μm未満の範囲であれば、300μm以下まではセンサの組み付け精度等の観点より許容されるものである。
【0053】
なお、本発明は各種の変形が可能なことはいうまでもない。例えば、本実施の形態では、内部電極20を中実の円柱状の金属棒としたが、円柱状に限らず、角柱状であっても中空の円筒状や角筒状であってもよい。また、外筒電極10は円筒状に限らず、角筒状であってもよい。
【0054】
また、検知される液体の状態とは水位(液位)に限らず、例えば液体の濃度、劣化度、異物の混入度などであってもよい。
【0055】
また、内部電極20に形成した絶縁膜23は、本実施の形態ではフッ素系樹脂としたが、状態を検知する液体の特性(例えば、酸化・還元性など)にあわせて腐食されにくい材質のものを選択するとよい。なお、絶縁膜の形成をディッピングや静電粉体塗装により行ったが、内部電極との間で空気層の混入が全くない状態となるようにすれば、絶縁チューブを用いて絶縁膜の形成を行ってもよい。しかし、内部電極の表面との密着性を考慮すると、本実施の形態のように樹脂コーティングによって形成することが望ましい。
【0056】
また、本実施の形態では、外筒電極10の外表面上で3本の異なる母線上にスリット14を形成したが、スリット14を形成する母線は3本とは限らず、1本でも2本でも、あるいは4本以上であってもよい。また、一の母線上において、スリット14は断続的に形成されているが、連続した一つのスリットとして形成されていてもよい。さらに、外筒電極10の軸線方向に沿って複数のスリットを形成する場合には、一の母線上に断続的に形成する必要はなく、例えばらせん状や千鳥状に複数のスリットを軸線方向に沿って形成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0057】
電位の異なる2部材間の静電容量を測定することで液体の状態を検知することができる静電容量式液状態検知センサに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】液体レベルセンサ1の縦断面図である。
【図2】外筒電極10と内部電極20との間に満たされた尿素水の水面近傍の拡大断面図である。
【図3】内部電極20の中心軸線と直交する断面図である。
【図4】外筒電極10の中心軸線と直交する断面におけるスリット14の形成部位を示す断面図である。
【図5】絶縁膜の厚みよる絶縁性の有無についての評価試験の結果を示すグラフである。
【図6】絶縁膜の厚みによる傷付きに起因した絶縁性の有無についての評価試験の結果を示すグラフである。
【図7】絶縁膜の厚みによる静電容量の大きさについての評価試験の結果を示すグラフである。
【図8】絶縁膜の厚みによる内部電極の真円度についての評価試験の結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0059】
1 液体レベルセンサ(液状態検知センサ)
10 外筒電極
14 スリット
20 内部電極
23 絶縁膜
40 基部
50 インナーケース(絶縁支持部材)
54 第2Oリング(水密部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体からなる筒状の外筒電極と、前記外筒電極内で前記外筒電極の軸線方向に沿って設けられた導体からなる筒状または柱状の内部電極とを備えるとともに、液体収容容器内に収容された液体の状態を検知する静電容量式液状態検知センサであって、
少なくとも前記内部電極の前記液体の接触する部分の外表面に、厚みが100μm以上500μm未満の絶縁膜を形成したことを特徴とする静電容量式液状態検知センサ。
【請求項2】
前記絶縁膜の厚みが、150μm以上500μm未満であることを特徴とする請求項1に記載の静電容量式液状態検知センサ。
【請求項3】
前記内部電極は円筒形状または円柱形状をなしており、その軸線と直交する断面において、前記内部電極の外表面上に形成された絶縁膜の最も厚い部位における厚みと、最も薄い部位における厚みとの差が300μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の静電容量式液状態検知センサ。
【請求項4】
前記外筒電極に、前記軸線方向に沿って延びるスリットが少なくとも1つ以上形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の静電容量式液状態検知センサ。
【請求項5】
前記スリットは、前記外筒電極の中心軸線と直交する断面において、該外筒電極の外表面における周上の3%以上10%以下の部位に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の静電容量式液状態検知センサ。
【請求項6】
前記スリットの前記軸線方向に直交する向きの開口幅は、5mm以下に設定されていることを特徴とする請求項4または5に記載の静電容量式液状態検知センサ。
【請求項7】
前記内部電極の後端側周囲を取り囲む絶縁支持部材と、前記絶縁支持部材の内面と前記内部電極の外表面との間に配置され、前記液体が該内面と該外表面との間を通って前記内部電極の後端側から流出するのを防止する水密部材とを備え、前記液体は導電性を有しており、前記絶縁膜は、前記内部電極の外表面のうち、先端から少なくとも前記水密部材と前記内部電極との接触部まで形成されている請求項1乃至6のいずれかに記載の静電容量式液状態検知センサ。
【請求項8】
前記液体は尿素水であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の静電容量式液状態検知センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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