説明

静電荷像現像用キャリア、現像剤、現像装置、画像形成装置、画像形成方法及びプロセスカートリッジ

【課題】体積固有抵抗が小さく、高画像面積での出力を実施しても帯電量が低下せず、低画像面積での出力を長期間実施しても画像上へのキャリア付着が発生せず、色汚れの発生を抑制することが可能なキャリア、2成分現像剤、現像装置、画像形成装置、画像形成方法及びこれを用いたプロセスカートリッジを提供すること。
【解決手段】キャリア芯材上に少なくともシリコン樹脂からなるコート膜を有する静電荷像現像剤用キャリアにおいて、該コート膜中に少なくとも硫酸バリウムを含み、X線光電子分光(XPS)により測定した全元素に対するBaとSiの含有量の比Ba/Siが0.01以上、0.08以下であることを特徴とする静電荷像現像用キャリア。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真、静電記録、静電印刷などにおける静電荷像現像に用いる静電荷像現像用キャリア、2成分現像剤、並びに該現像剤を用いた現像装置、画像形成方法、プロセスカートリッジ及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式による画像形成では、光導電性物質等の静電潜像担持体上に静電潜像を形成し、この静電潜像に対して、帯電したトナーを付着させてトナー像を形成した後、トナー像を記録媒体に転写し、定着され、出力画像となる。
【0003】
近年、電子写真方式を用いた複写機やプリンタの技術は、モノクロからフルカラーへの展開が急速になりつつあり、フルカラーの市場は拡大する傾向にある。
フルカラー画像形成では、一般に、イエロー、マゼンタ、シアンの3色のカラートナー又はこれに黒色を加えた4色のカラートナーを積層させて全ての色の再現を行なう。したがって、色再現性に優れ、鮮明なフルカラー画像を得るためには、定着されたトナー像の表面を平滑にして光散乱を減少させる必要がある。このような理由から、従来のフルカラー複写機等の画像光沢は、10〜50%の中〜高光沢のものが多かった。
【0004】
一般に、乾式のトナー像を記録媒体に定着させる方法としては、平滑な表面を持ったローラやベルトを加熱し、トナーと圧着する接触加熱定着方法が多用されている。このような方法は、熱効率が高く、高速定着が可能であり、カラートナーに光沢や透明性を与えることが可能である反面、加熱定着部材の表面と溶融状態のトナーとを加圧下で接触させた後、剥離するために、トナー像の一部が定着ローラ表面に付着して別の画像上に転移する、いわゆるオフセット現象が生じる。
このようなオフセット現象を防止することを目的として、離型性に優れたシリコーンゴムやフッ素樹脂で定着ローラの表面を形成し、さらにその定着ローラ表面にシリコーンオイル等のトナー固着防止用オイルを塗布する方法が一般に採用されている。
しかしながら、このような方法は、トナーのオフセットを防止する点ではきわめて有効であるが、オイルを供給するための装置が必要であり、定着装置が大型化するという問題がある。
このため、モノクロ画像形成では、溶融したトナーが内部破断しないように、溶融時の粘弾性が大きく、離型剤を含有するトナーを用いることにより、定着ローラにオイルを塗布しないオイルレスシステム、或いはオイルの塗布量を微量とするシステムが採用される傾向にある。
【0005】
一方、フルカラー画像形成においても、モノクロ画像形成と同様に、定着装置の小型化、構成の簡素化の目的で、オイルレスシステムが採用される傾向がある。
しかしながら、フルカラー画像形成では、定着されたトナー像の表面を平滑にするために、溶融時のトナーの粘弾性を低下させる必要があるため、光沢のないモノクロ画像形成の場合よりもオフセットが発生しやすく、オイルレスシステムの採用が困難になる。
また、離型剤を含有するトナーを用いると、トナーの付着性が高まり、記録媒体への転写性が低下する。さらに、トナーのフィルミングが発生して、帯電性が低下することにより、耐久性が低下するという問題がある。
【0006】
一方、キャリアとしては、トナーのフィルミングの防止、均一な表面の形成、表面の酸化の防止、感湿性の低下の防止、現像剤の寿命の延長、感光体の表面への付着の防止、感光体のキズあるいは摩耗からの保護、帯電極性の制御、帯電量の調節等の目的で、被覆層として、カーボンブラックを含有する樹脂が表面に形成されているものが知られている。
しかしながら、初期は良好な画像を形成することができるが、コピー枚数が増加するに連れて、被覆層が削れて画質が低下するという問題がある。
また、被覆層が削れたり、被覆層からカーボンブラックが脱離したりすることにより、色汚れが発生するという問題がある。
カーボンブラックの代替材料としては、一般に、酸化チタン、酸化亜鉛等が知られているが、体積固有抵抗を低下させる効果が不充分である。
【0007】
特許文献1には、針状導電粉として、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)を含有する被覆層が形成されているキャリアが開示されている。しかしながら、ATOは、色調が青みを帯びるため、カーボンブラックと同様に、色汚れが発生するという問題がある。
特許文献2には、基体粒子の表面に二酸化スズ層と二酸化スズを含む酸化インジウム層が積層されている導電性粒子を含有する被覆層が形成されているキャリアが開示されている。しかしながら、このような導電性粒子は、レアメタルを含有するため、コスト、永続的使用可能性等の問題がある。
又、特許文献3には、酸化スズ粒子の表面に炭素を有する第一の導電性粒子と、金属酸化物粒子及び/又は金属塩粒子の表面が導電処理されている第二の導電性粒子を含むコート層を有するキャリアが開示されている。
本発明には高画像面積でトナーを収支させたときにキャリアの帯電能力の低下に対して一定の効果を上げているが、トナー外添剤が多いトナーを使用した場合で、高画像面積で連続通紙を行なった場合には、やはり帯電低下し、効果が充分であるとはいえなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、以上の問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、体積固有抵抗が小さく、高画像面積での出力を実施しても帯電量が低下せず、低画像面積での出力を長期間実施しても画像上へのキャリア付着が発生せず、色汚れの発生を抑制することが可能なキャリア、2成分現像剤、現像装置、画像形成装置、画像形成方法及びこれを用いたプロセスカートリッジを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は本発明の下記(1)〜(10)によって解決される。
(1)「キャリア芯材上に少なくともシリコン樹脂からなるコート膜を有する静電荷像現像剤用キャリアにおいて、該コート膜中に少なくとも硫酸バリウムを含み、X線光電子分光(XPS)により測定した全元素に対するBaとSiの含有量の比Ba/Siが0.01以上、0.08以下であることを特徴とする静電荷像現像用キャリア」、
(2)「前記コート膜中に酸化スズを含有することを特徴とする前記第(1)項に記載の静電荷像現像用キャリア」、
(3)「前記キャリアの体積固有抵抗が、10[Log(Ω・cm)]以上15[Log(Ω・cm)]以下であることを特徴とする前記第(1)項又は第(2)項に記載の静電荷像現像用キャリア」、
(4)「前記キャリアの体積平均粒径が15μm以上40μm以下であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(3)項のいずれか一項に記載の静電荷像現像用キャリア」、
(5)「少なくとも結着樹脂と顔料とからなるトナーと、前記第(1)項乃至第(4)項のいずれか一項に記載のキャリアとからなることを特徴とする静電荷像現像用現像剤」、(6)「内部に固定された磁界発生手段を有し、表面上に磁性キャリアとトナーとからなる2成分現像剤を担持して回転する非磁性現像スリーブからなる現像剤担持体と、該現像剤担持体上に担持された現像剤の量を規制する現像剤量規制部材とを備えた現像装置であって、前記現像剤が前記第(5)項に記載の静電荷像現像用現像剤を用いることを特徴とする現像装置」、
(7)「像担持体上に静電潜像を形成する工程、前記静電潜像を少なくともキャリアとトナーからなる現像剤で現像し可視像を形成する工程、得られた可視像を記録部材に転写し、定着する工程を有する画像形成方法であって、前記現像剤が前記第(5)項に記載の静電荷像現像用現像剤を用いることを特徴とする画像形成方法」、
(8)「感光体と、帯電手段、現像手段、クリーニング手段より選ばれる少なくとも一つの現像手段を一体に支持し、画像形成装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジにおいて、前記現像手段は、現像剤を保持し、前記現像剤が前記第(5)項に記載の現像剤であることを特徴とするプロセスカートリッジ」、
(9)「少なくとも、感光体と、該感光体上に画像を形成する現像手段と、該感光体上の画像を転写材に転写する転写手段と、該転写材上の画像を定着する定着手段とを備えた画像形成装置であって、前記第(8)項に記載のプロセスカートリッジを搭載する画像形成装置」、
(10)「キャリア1質量部に対してトナーを2〜50重量部の配合割合で含有する補給用現像剤であって、該キャリアが前記第(1)項乃至第(4)項のいずれかに記載のキャリアであることを特徴とする補給用現像剤」。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、小粒経のトナーとキャリアを使用し、高画像面積での出力を実施した場合においても、現像剤の帯電量が低下せず、低画像面積での出力を長期間実施しても画像上へのキャリア付着が発生せず、色汚れの発生を抑制することが可能となる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の現像剤を有するプロセスカートリッジを有する画像形成装置の概略構成図である。
【図2】プロセスカートリッジの全体図である。
【図3】体積固有抵抗を測定するためのセルの図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のキャリアは、キャリア芯材上に少なくともシリコン樹脂からなるコート膜を有し、該コート膜中に少なくとも硫酸バリウムを含み、X線光電子分光(XPS)により測定した全元素に対するBaとSiの含有量の比Ba/Siが0.01以上、0.08以下であることを特徴とする。
【0013】
本発明者等は鋭意検討の結果、硫酸バリウムをキャリアコート層の表層に含むことによって、帯電安定性が高くなることを見出した。
硫酸バリウムはトナーとの帯電性が高く、表層に外添剤やトナー樹脂がスペントしにくい。これは、硫酸バリウムがコート膜の樹脂に比べて硬度が高いため、付着した添加剤や樹脂が他のキャリアとの摩擦によって外れやすいためと考えられる。このため、表層にある硫酸バリウムは長時間の高画像面積での出力後も帯電性を保つことができる。
一方、シリコン樹脂は硬度が低いため、使用時間と共に樹脂が削れてしまう。このため、キャリアコート層中に存在する微粒子が現像剤中に浮遊してしまう。浮遊した微粒子は現像され、混色や地肌かぶりの原因となる。
しかしながら、硫酸バリウムはトナーと逆帯電性を持っているために、硫酸バリウム単体では現像しにくくなっている。
また、地肌部などに現像しても転写せず、紙上の画像までは達しない。
また、硫酸バリウムは白色であるため、トナーに付着した状態で紙上の画像に存在しても、紙上の画像と混色することはなく、キャリアコート膜が削れた時に潜像に付着して色汚れとなることがない。このため、シリコン樹脂のような削れ易い樹脂であっても硫酸バリウムであればこれらの問題を解決し、かつ、高画像面積(トナーの収支が多い状態)での出力後も帯電性を保つことができる。
【0014】
また、シリコン樹脂を使用した場合の問題点として、樹脂中に微粒子を混ぜた時に凝集しやすいという問題点がある。
凝集した微粒子はキャリアコート膜から外れやすく、結果として現像剤中に浮遊しやすい。現像剤中に浮遊した微粒子はトナーの帯電を阻害し、トナーの帯電量分布が悪化し、地汚れやトナー飛散といった問題を引き起こす。
しかしながら、硫酸バリウムは分散性に優れており、シリコン樹脂を使用しても良好な分散性を得ることができる。このため、キャリアコート層中でも分散した状態で存在し、微粒子がキャリアコート膜から外れにくい。結果として、現像剤中に浮遊することもなく、地汚れやトナー飛散といった問題を引き起こすことがない。
【0015】
さらに、シリコン樹脂と硫酸バリウムを併用することによって、別の効果も期待することができる。
シリコン樹脂は削れ易い樹脂であるため、低画像面積(トナーの収支が少ない状態)で長時間動作していると膜が削れて芯材が露出し、キャリアの抵抗が下がり、キャリアが現像されて画像上に白斑点のような異常画像を発生させる問題がある。しかしながら、硫酸バリウム粒子を樹脂中に分散させて存在させることによって、キャリアコート膜の膜強度が上がり、削れにくいコート膜となる。これによって、トナーの収支が少ない状態で長時間現像器を動作しても、キャリアコート膜の削れ量は少なく、通常のシリコン樹脂のコート膜よりもはるかに長い期間キャリアを使用することができる。
【0016】
ここで、X線光電子分光(XPS)により測定した全元素に対するBaとSiの含有量の比Ba/Siが0.01以上、0.08以下であることが重要である。
Ba/Siが0.01未満の場合、Baによる帯電能力が充分でないため、帯電を保つことができず、地汚れやトナー飛散等の問題が発生する。また、硫酸バリウムが少ないために膜削れが起こりやすくなり、キャリア付着の問題が起こりやすくなる。
一方、Ba/Siが0.08より大きい場合、帯電量が高すぎるために充分な現像能力を得ることができない。
また、樹脂に対する硫酸バリウム量が多すぎるために分散粒径が悪化し、硫酸バリウムが凝集した状態でキャリアコート膜に存在するため、硫酸バリウムが外れやすく、地汚れやトナー飛散といった問題を引き起こす。
【0017】
なお、Ba/Si比は0.03以上であることがさらに好ましい。これは印刷業などのより高画像面積率における使用が見込まれる場合、0.01以上では充分な帯電量が得られなくなることがあるためである。
また、X線光電子分光(XPS)により測定した全元素に対するBaの含有量は0.2〜1.2atomic%(個数)であることが好ましい。Baの含有量が0.2未満の場合、Baによる帯電能力が充分でないため、帯電を保つことができず、地汚れやトナー飛散等の問題が発生する。また、Baの含有量が1.2より大きい場合、帯電量が高すぎるために充分な現像能力を得ることができない。
【0018】
Ba/Si比を調整するためには、硫酸バリウムの処方量を調整することが有効である。
また、硫酸バリウムをコート液に分散する際には、より細かく分散できる工程にすることが重要である。これは、同じ処方量であっても細かく分散した方が硫酸バリウムの表面積が大きくなるため、コートキャリア表面に占める表面積も当然大きくなるためである。
また、キャリアコート膜の膜強度も上がるため、より強いストレスを掛けてもキャリア抵抗が下がることがない。
【0019】
ここで、BaとSiの含有量の比Ba/Siの測定はX線電子分光(XPS)を使用して測定した。
詳細は以下に記述する。
測定装置:Kratos社製 AXIS−ULTRA
測定光源:Al(モノクロメータ)
測定出力:90W(15kV、6mA)
測定領域:900×600μm
パスエネルギー:(wide scan)160eV,(narrow scan)40eV
エネルギーstep:(wide scan)1.0eV,(narrow scan)0.2eV
相対感度係数:Kratosの相対感度係数を使用
磁性体のため、MAGNET CONTROLLERをOFFの状態で測定を行なった。
測定は試料を深さ0.3mmの円筒形の穴の空いたチップに入れて表面の平らな部分を測定した。測定結果はatomic%(個数)で表わされ、この測定値の比を使用した。
【0020】
本発明でいうシリコン樹脂とは、一般的に知られているシリコン樹脂全てを指し、オルガノシロサン結合のみからなるストレートシリコンや、アルキド、ポリエステル、エポキシ、アクリル、ウレタンなどで変性したシリコン樹脂などが挙げられるが、これに限るものではない。
例えば、市販品としてストレートシリコン樹脂としては、信越化学製のKR271、KR255、KR152、東レ・ダウコーニング・シリコン社製のSR2400、SR2406、SR2410等が挙げられる。この場合、シリコン樹脂単体で用いることも可能であるが、架橋反応する他成分、帯電量調整成分等を同時に用いることも可能である。さらに、変性シリコン樹脂としては、信越化学製のKR206(アルキド変性)、KR5208(アクリル変性)、ES1001N(エポキシ変性)、KR305(ウレタン変性)、東レ・ダウコーニング・シリコン社製のSR2115(エポキシ変性)、SR2110(アルキド変性)などが挙げられる。
【0021】
また、シリコン樹脂に他の樹脂を併用することも可能である。
具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン又はその変性品;スチレン樹脂、アクリル樹脂、アクリロニトリル樹脂;ビニルアセテート、塩化ビニル、ビニルカルバゾール、ビニルエーテル等のモノマーを重合することにより得られる架橋性共重合体;ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、エポキシ樹脂、アイオノマー樹脂、ポリイミド及びこれらの誘導体等が挙げられる。
なお、シリコン樹脂と併用する場合はSiのatomic%をSiが100%であると仮定して計算した。
具体的にはコート膜中に使用しているシリコン樹脂が固形分換算で50%である場合、X線電子分光(XPS)によるSiの検出量を2倍した数値をBa/Si比に使用している。
【0022】
本発明において、導電性微粒子としてキャリアの抵抗調整のために酸化スズを使用することが好ましく、さらにはアンチモンレス酸化スズを使用することが好ましい。
一般に酸化スズはアンチモン、インジウムを被覆させることで粉体比抵抗を調整し、抵抗調整効果を得ている。
アンチモンは人及び環境への安全性の面より使用に問題があり、又アンチモンを含有する酸化スズ粉末は色調が青みを帯びるため、トナー色を損なうというカーボンブラックと同様の問題がある。
又、酸化インジウムはレアメタルであり永続的使用可能性等の面より実用性、コスト面、更に抵抗制御範囲も狭いという問題点がある。本発明で使用のキャリアはアンチモン、インジウムを使わないという点でこれらの問題を解決するものである。
【0023】
また、キャリア抵抗調整は、画像品質の点等より従来から求められている。
例えば、キャリアの抵抗調節が充分でないと、電荷リーク速度が遅いため、現像後にキャリアに発生するカウンターチャージのリークが遅く、新たなトナーに対する電荷付与能力が劣るため、未帯電トナーが発生し易くなり、非画像部へのトナーチリが多くなる。
或いは、現像後発生するカウンターチャージによって、スリーブに鏡像力が発生してしまい、本来スリーブから離れるべく剤が、スリーブに連れまわってしまう。連れまわった現像後のトナー濃度が下がった現像剤と、トナー消費前の現像剤が混ざり、トナー濃度むらが発生する。このことにより、特にベタ画像等の高画像現像時に、場所による濃度のむらが顕著にあらわれてしまう。
以上より、アンチモンレス酸化スズを含有するキャリアでは、キャリア抵抗調整効果が大きいだけではなく、電荷のリークが早いので新しいトナーへの帯電付与能力も高くトナーチリに対する余裕度も高いことも分かった。更に現像後スリーブに連れまわることもないことから画像濃度ムラのなく均一な画像を提供できることも分かった。
【0024】
本発明における酸化スズは、比抵抗の常用対数値が0.5[Log(Ω・cm)]以上、3[Log(Ω・cm)]以下であることが好ましい。
比抵抗の常用対数値が0.5未満である場合、コート膜中における酸化スズの存在状態がキャリア抵抗に大きく影響してしまうため、均一な抵抗のキャリアを製造することが難しい。また、比抵抗の常用対数値が3より大きいと、キャリアの体積固有抵抗を小さくすることが困難になる。
【0025】
なお、導電性粒子の比抵抗は、以下のようにして測定することができる。
まず、内径1インチ(2.54cm)の円筒状の塩化ビニル管の中に、導電性粒子5gを入れ、その上下を電極で挟む。
次に、プレス機を用いて、これらの電極に10kg/cmの圧力を印加した状態で、LCRメータ4216A(横河ヒューレット・パッカード社製)を用いて、抵抗r[Ω]を測定し、下記式(1)
Log[π(2.54/2)/H×r]・・・式(1)
(式(1)中、Hは、抵抗測定時の電極間の距離[cm]である。)
から、比抵抗の常用対数値[Log(Ω・cm)]を算出することができる。
【0026】
本発明において、コート膜には、キャリアの経時での安定性が良好となり、耐久性を向上させることができることから、シランカップリング剤をさらに含有することが好ましい。
シランカップリング剤としては、特に限定されず、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン等が挙げられるが、アミノシランが好ましい。
アミノシランとしては、特に限定されないが、下記化学式
N(CHSi(OCH
N(CHSi(OC
N(CHSi(CH(OC)、
N(CHSi(CH)(OC
N(CH(NH)(CH)Si(OCH
N(CH(NH)(CHSi(CH)(OCH
N(CH(NH)(CHSi(OCH
(CHN(CHSi(CH)(OC
(CN(CHSi(OCH
で表わされる化合物が挙げられる。
被覆層中のアミノシランの含有量は、0.001〜30質量%であることが好ましく、0.001〜15質量%がさらに好ましい。この含有量が0.001質量%未満であると、キャリアの耐久性を向上させる効果が不充分となることがあり、30質量%を超えると、導電性粒子や無機粒子を被覆層中に保持することが困難となることがある。
【0027】
本発明において、コート膜の膜厚は、平均膜厚が0.1〜0.8μmであることが好ましい。平均膜厚が0.1μm未満であると、使用時の機械的なストレスで膜が剥離し、芯材露出し、初期の体積固有抵抗を維持できず、0.8μmを超えると、樹脂成分が多すぎて製造時に2つ以上のキャリアが固着して見掛け粒径が大きくなることがある。
キャリアコート膜の平均膜厚は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、キャリア断面を観察し、キャリア表面を覆う被覆層の樹脂部の厚みを測定し、その平均値からを求めた。
具体的には、芯材表面と粒子との間に存在する樹脂部の厚みのみを測定する。粒子間に存在する樹脂部の厚みや、無機微粒子上の樹脂部の厚みは測定には含めない。前記キャリア断面の任意の50点測定の平均を求めコート膜厚h(μm)とした。
【0028】
上記シリコン系樹脂のキャリア芯材に対する被覆量としては、キャリア芯材に対して0.05〜10.0重量%とするのが好ましく、特に0.1〜7.0重量%が好ましい。
シリコン系樹脂の被覆膜厚はキャリア芯材の比表面積に応じて調整し、キャリア芯材の露出部分を少なくすることが必要であり、このことによって現像剤の抵抗、帯電量、流動性の変化を小さくすることができる。この膜厚は0.1〜0.8μm程度とするのが好ましい。
【0029】
本発明でいうキャリアの芯材としては、電子写真用二成分キャリアとして公知のもの、
例えば、フェライト、Cu−Znフェライト、Mnフェライト、Mn−Mgフェライト、
Mn−Mg−Srフェライト、マグネタイト、鉄、ニッケル等キャリアの用途、使用目的
に合わせ適宜選択して用いればよく、例に限るものではない。
【0030】
本発明のキャリアは、体積平均粒径が15μm以上40μm以下であることが好ましい。これは、体積平均粒径が15μm未満の場合は、粒子の均一性が低下することと、マシン側で充分使いこなす技術が確立できていないことにより、キャリア付着などの問題が生じ好ましくない。一方、40μmを越える場合には、画像細部の再現性が悪く精細な画像が得られないので、好ましくない。
キャリアの体積平均粒子径は、マイクロトラック粒度分析計(日機装社製)のSRAタイプを用いて測定することができる。0.7μm以上、125μm以下のレンジ設定で行なったものを用いた。また、分散液にはメタノールを使用し屈折率1.33、キャリアおよび芯材の屈折率は2.42に設定する。
【0031】
本発明のキャリアは、体積固有抵抗の常用対数値が10〜15[Log(Ω・cm)]であることが好ましい。
これは、体積固有抵抗が10[Log(Ω・cm)]未満の場合、非画像部でのキャリア付着が生じ好ましくない。一方、体積固有抵抗が15[Log(Ω・cm)]を超える場合、エッジ効果が許容できないレベルに悪化して好ましくない。
なお、ハイレジスト計の測定可能下限を下回った場合には、実質的には体積固有抵抗値は得られず、ブレークダウンしたものとして扱うことにする。
【0032】
本発明でいう体積固有抵抗とは、図3に示す電極間距離2mm、表面積2×4cmの電極(32a)、電極(32b)を収容したフッ素樹脂製容器からなるセル(31)にキャリア(33)を充填し、三協パイオテク社製:タッピングマシンPTM−1型を用いて、タッピングスピード30回/minにて1分間タッピング操作を行なう。
両極間に1000Vの直流電圧を印加し、ハイレジスタンスメーター4329A(4329A+LJK5HVLVWDQFH0HWHU;横川ヒューレットパッカード株式会社製)により直流抵抗を測定して電気抵抗率RΩ・cmを求め、LogRを算出する。
さらに、1kOe(10/4π・A/m)における磁気モーメントが、40(Am/kg)以上90(Am/kg)以下であることが好ましい。これは、この範囲とすることで、キャリア粒子間の保持力が適正に保たれるので、キャリアまたは現像剤へのトナーの分散(混ざり)が素早く良好となるが、1KOeにおける磁気モーメントが40Am/kg未満の場合は、磁気モーメント不足によりキャリア付着が生じ好ましくない。一方、1KOeにおける磁気モーメントが90Am/kgを超える場合には、現像時に形成する現像剤の穂が硬くなり過ぎるため、画像細部の再現性が悪く精細な画像が得られないので好ましくない。前記磁気モーメントは、以下のようにして測定することができる。
B−Hトレーサー(BHU−60/理研電子(株)製)を使用し、円筒セル(内径7mm、高さ10mm)にキャリア芯材粒子1.0gを詰めて装置にセットする。磁場を徐々に大きくし3000エルステッドまで変化させ、次に徐々に小さくして零にした後、反対向きの磁場を徐々に大きくし3000エルステッドとする。更に徐々に磁場を小さくして零にした後、最初と同じ方向に磁場をかける。このようにして、B−Hカーブを図示し、その図より1000エルステッドの磁気モーメントを算出する。
【0033】
本発明のキャリアを、キャリアとトナーから成る補給用現像剤とし、現像装置内の余剰の現像剤を排出しながら画像形成を行なう画像形成装置に適用することで、きわめて長期に渡って安定した画像品質が得られる。つまり、現像装置内の劣化したキャリアと、補給用現像剤中の劣化していないキャリアを入れ替え、長期間に渡って帯電量を安定に保ち、安定した画像が得られる。
【0034】
本方式は、特に高画像面積印字時に有効である。
高画像面積印字時は、キャリアへのトナースペントによるキャリア帯電劣化が主なキャリア劣化であるが、本方式を用いることで、高画像面積時には、キャリア補給量も多くなるため、劣化したキャリアが入れ替わる頻度があがる。これにより、きわめて長期間に渡って安定した画像を得られる。
補給用現像剤の混合比率は、キャリア1質量部に対してトナーを2〜50質量部の配合割合とすることが好ましい。トナーが2質量部未満の場合には、補給キャリア量が多すぎ、キャリア供給過多となり現像装置中のキャリア濃度が高くなりすぎるため、現像剤の帯電量が増加しやすい。又、現像剤帯電量が上がることにより、現像能力が下がり画像濃度が低下してしまう。また50質量部を超えると、補給用現像剤中のキャリア割合が少なくなるため、画像形成装置中のキャリアの入れ替わりが少なくなり、キャリア劣化に対する効果が期待できなくなる。
【0035】
[トナー]
本発明のトナーに用いる結着樹脂としては、公知のものが使用できる。
例えばポリスチレン、ポリ−p−スチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の単重合体、スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸共重合体、スチレン−メタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプロピル共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体、ポリチメルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は芳香族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂などが単独あるいは混合して使用できる。
【0036】
そして、圧力定着用結着樹脂としては、公知のものを混合して使用できる。
例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレンなどのポリオレフィン、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂等のオレフィン共重合体、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリビニルピロリドン、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸、マレイン酸変性フェノール樹脂、フェノール変性テルペン樹脂などが単独あるいは混合して使用でき、これらに限られるものではない。
【0037】
さらに、本発明で用いるトナーには上記結着樹脂、着色剤、帯電制御剤の他に、定着助剤を含有することもできる。これにより、定着ロールにトナー固着防止用オイルを塗布しない定着システム、いわゆるオイルレスシステムにおいても使用できる。
定着助剤としては、公知のものが使用できる。
例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、脂肪酸金属塩、脂肪酸エステル、パラフィンワックス、アミド系ワックス、多価アルコールワックス、シリコーンワニス、カルナウバワックス、エステルワックス等が使用でき、これらに限られるものではない。
【0038】
本発明のカラートナー等のトナーに用いられる着色剤としては、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック各色のトナーを得ることが可能な公知の顔料や染料が使用でき、ここで挙げるものに限らない。
例えば、黄色顔料としては、カドミウムイエロー、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキが挙げられる。
橙色顔料としては、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダンスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダンスレンブリリアントオレンジGKが挙げられる。
赤色顔料としては、ベンガラ、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3Bが挙げられる。
紫色顔料としては、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキが挙げられる。
青色顔料としては、コバルトブルー、アルカリブルー、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBCが挙げられる。
緑色顔料としては、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ等が挙げられる。
黒色顔料としては、カーボンブラック、オイルファーネスブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、アニリンブラック等のアジン系色素、金属塩アゾ色素、金属酸化物、複合金属酸化物が挙げられる。
また、これら着色剤は1種または2種以上を使用することができる。
【0039】
本発明のカラートナー等のトナーには必要に応じ帯電制御剤をトナー中に含有させることができる。例えば、本発明のカラートナーは必要に応じ荷電制御剤をトナー中に含有させることができる。
例えば、ニグロシン、炭素数2〜16のアルキル基を含むアジン系染料(特公昭42−1627号公報)、塩基性染料(例えばC.I.Basic Yello 2(C.I.41000)、C.I.Basic Yello 3、C.I.Basic Red 1(C.I.45160)、C.I.Basic Red 9(C.I.42500)、C.I.Basic Violet 1(C.I.42535)、C.I.Basic Violet 3(C.I.42555)、C.I.Basic Violet 10(C.I.45170)、C.I.Basic Violet 14(C.I.42510)、C.I.Basic Blue 1(C.I.42025)、C.I.Basic Blue 3(C.I.51005)、C.I.Basic Blue 5(C.I.42140)、C.I.Basic Blue 7(C.I.42595)、C.I.Basic Blue 9(C.I.52015)、C.I.Basic Blue 24(C.I.52030)、C.I.Basic Blue 25(C.I.52025)、C.I.Basic Blue 26(C.I.44045)、C.I.Basic Green 1(C.I.42040)、C.I.Basic Green 4(C.I.42000)など、これらの塩基性染料のレーキ顔料、C.I.Solvent Black 8(C.I.26150)、ベンゾイルメチルヘキサデシルアンモニウムクロライド、デシルトリメチルクロライド等の4級アンモニウム塩、或いはジブチル又はジオクチルなどのジアルキルスズ化合物、ジアルキルスズボレート化合物、グアニジン誘導体、アミノ基を含有するビニル系ポリマー、アミノ基を含有する縮合系ポリマー等のポリアミン樹脂、特公昭41−20153号公報、特公昭43−27596号公報、特公昭44−6397号公報、特公昭45−26478号公報に記載されているモノアゾ染料の金属錯塩、特公昭55−42752号公報、特公昭59−7385号公報に記載されているサルチル酸、ジアルキルサルチル酸、ナフトエ酸、ジカルボン酸のZn、Al、Co、Cr、Fe等の金属錯体、スルホン化した銅フタロシアニン顔料、有機ホウ素塩類、含フッ素四級アンモニウム塩、カリックスアレン系化合物等が挙げられる。ブラック以外のカラートナーは、当然目的の色を損なう荷電制御剤の使用は避けるべきであり、白色のサリチル酸誘導体の金属塩等が好適に使用される。
【0040】
外添剤については、シリカや酸化チタン、アルミナ、炭化珪素、窒化珪素、窒化ホウ素等の無機微粒子や樹脂微粒子を母体トナー粒子に外添することにより転写性、耐久性をさらに向上させている。転写性や耐久性を低下させるワックスをこれらの外添剤で覆い隠すことと、トナー表面が微粒子で覆われることによる接触面積が低下することにより、この効果が得られる。
これらの無機微粒子は、その表面が疎水化処理されていることが好ましく、疎水化処理されたシリカや酸化チタン、といった金属酸化物微粒子が好適に用いられる。
樹脂微粒子としては、ソープフリー乳化重合法により得られた平均粒径0.05乃至1μm程度のポリメチルメタクリレートやポリスチレン微粒子が好適に用いられる。さらに、疎水化処理されたシリカ及び疎水化処理された酸化チタンを併用し、疎水化処理されたシリカの外添量より疎水化処理された酸化チタンの外添量を多くすることにより、湿度に対する帯電の安定性にも優れたトナーとすることができる。
上記の無機微粒子と併用して、比表面積20乃至50m/gのシリカや、平均粒径がトナーの平均粒径の1/100乃至1/8である樹脂微粒子のように従来用いられていた外添剤より大きな粒径の外添剤をトナーに外添することにより耐久性を向上させることができる。
これは、トナーが現像装置内でキャリアと混合・攪拌され帯電し現像に供される過程でトナーに外添された金属酸化物微粒子は母体トナー粒子に埋め込まれていく傾向にあるが、これらの金属酸化物微粒子より大きな粒径の外添剤をトナーに外添することにより金属酸化物微粒子が埋め込まれることを抑制することができるためである。
上記した無機微粒子や樹脂微粒子はトナー中に含有(内添)させることにより、外添した場合より効果は減少するが、転写性や耐久性を向上させる効果が得られるとともにトナーの粉砕性を向上させることができる。
また、外添と内添を併用することにより外添した微粒子が埋め込まれることを抑制することができるため優れた転写性が安定して得られるとともに耐久性も向上する。
【0041】
なお、ここで用いる疎水化処理剤の代表例としては、以下のものが挙げられる。
ジメチルジクロルシラン、トリメチルクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルジクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、p−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、クロルメチルトリクロルシラン、p−クロルフェニルトリクロルシラン、3−クロルプロピルトリクロルシラン、3−クロルプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメトキシシラン、ビニル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ジビニルジクロルシラン、ジメチルビニルクロルシラン、オクチル−トリクロルシラン、デシル−トリクロルシラン、ノニル−トリクロルシラン、(4−t−プロピルフェニル)−トリクロルシラン、(4−t−ブチルフェニル)−トリクロルシラン、ジベンチル−ジクロルシラン、ジヘキシル−ジクロルシラン、ジオクチル−ジクロルシラン、ジノニル−ジクロルシラン、ジデシル−ジクロルシラン、ジドデシル−ジクロルシラン、ジヘキサデシル−ジクロルシラン、(4−t−ブチルフェニル)−オクチル−ジクロルシラン、ジオクチル−ジクロルシラン、ジデセニル−ジクロルシラン、ジノネニル−ジクロルシラン、ジ−2−エチルヘキシル−ジクロルシラン、ジ−3,3−ジメチルベンチル−ジクロルシラン、トリヘキシル−クロルシラン、トリオクチル−クロルシラン、トリデシル−クロルシラン、ジオクチル−メチル−クロルシラン、オクチル−ジメチル−クロルシラン、(4−t−プロピルフェニル)−ジエチル−クロルシラン、オクチルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサエチルジシラザン、ジエチルテトラメチルジシラザン、ヘキサフェニルジシラザン、ヘキサトリルジシラザン等。この他チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤も使用可能である。この他、クリーニング性の向上等を目的とした外添剤として、脂肪酸金属塩やポリフッ化ビニリデンの微粒子等の滑剤等も併用可能である。
【0042】
本発明のトナー製造法は粉砕法、重合法など従来公知の方法が適用できる。
例えば粉砕法の場合、トナーを混練する装置としては、バッチ式の2本ロール、バンバリーミキサーや連続式の2軸押出し機、例えば神戸製鋼所社製KTK型2軸押出し機、東芝機械社製TEM型2軸押出し機、KCK社製2軸押出し機、池貝鉄工社製PCM型2軸押出し機、栗本鉄工所社製KEX型2軸押出し機や、連続式の1軸混練機、例えばブッス社製コ・ニーダ等が好適に用いられる。
以上により得られた溶融混練物は冷却した後、粉砕されるが、粉砕は、例えば、ハンマーミルやロートプレックス等を用いて粗粉砕し、更にジェット気流を用いた微粉砕機や機械式の微粉砕機などを使用することができる。粉砕は、平均粒径が3乃至15μmになるように行なうのが望ましい。
さらに、粉砕物は風力式分級機等により、5乃至20μmに粒度調整されることが好ましい。
次いで、外添剤の母体トナーへ外添が行なわれるが、母体トナーと外添剤をミキサー類を用い混合・攪拌することにより、外添剤が解砕されながらトナー表面に被覆される。このとき、無機微粒子や樹脂微粒子等の外添剤が均一にかつ強固に母体トナーに付着させることが耐久性の点で重要である。以上はあくまでも例でありこれに限るものではない。
【0043】
[画像形成装置、プロセスカートリッジ]
図1に本発明の現像剤を有するプロセスカートリッジを有する画像形成装置の概略構成を示す。
図2において、図はプロセスカートリッジ全体を示し、感光体、帯電手段、現像手段及びクリーニング手段を備えている。
本発明おいては、上述の感光体、帯電手段、現像手段、及びクリーニング手段等の構成要素のうち、本発明の現像剤を用いる現像手段と、他の単数又は複数の手段とをプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やプリンタ等の画像形成装置本体に対して着脱可能に構成する。
【0044】
本発明の現像剤を用いる現像手段を有するプロセスカートリッジを搭載する画像形成装置は、感光体が所定の周速度で回転駆動される。
感光体は回転過程において、帯電手段によりその周面に正または負の所定電位の均一耐電を受け、次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光等の像露光手段からの画像露光光を受け、こうして感光体の周面に静電潜像が順次形成され、形成された静電潜像は、次いで現像手段によりトナー現像され、現像されたトナー像は、給紙部から感光体と転写手段との間に感光体の回転と同期されて給送された転写材に、転写手段により順次転写されていく。像転写を受けた転写材は感光体面から分離されて像定着手段へ導入されて像定着され、複写物(コピー)として装置外へプリントアウトされる。像転写後の感光体表面は、クリーニング手段によって転写残りトナーの除去を受けて清浄面化され、さらに除電された後、繰り返し画像形成に使用される。
【実施例】
【0045】
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
次に、実施例および比較例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお部は重量基準である。
【0046】
(微粒子1)
市販の酸素欠損型酸化スズ被覆硫酸バリウム粉末(三井金属製、商品名パストラン4310)
(微粒子2)
市販のアンチモンレス酸化スズコート酸化チタン粉末(三菱マテリアル株式会社製、商品名EPW−4)
(微粒子3)
市販のアンチモンレス酸化スズ粉末(三菱マテリアル株式会社製、商品名S−1)
(微粒子4)
市販の硫酸バリウム粉末(堺化学製、商品名BF−10)
(微粒子5)
市販のカーボンブラック(デグサ社製、PBk−7:Printex60)
【実施例1】
【0047】
[キャリア被覆層]
・シリコン樹脂溶液[固形分23重量%(SR2410:東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)] 432.2重量部
・アミノシラン[固形分100重量%(SH6020:東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)] 0.66重量部
・微粒子1 500重量部
・トルエン 900重量部
を、0.5mmZrビーズ1000部とともに、ペイントシェイカーで1時間分散した後、メッシュでビーズを除去し、シリコン樹脂被覆膜形成溶液を得た。
この液の分散粒径は0.3μmであった。
なお、分散粒径の測定にはHORIBA製LA−950V2を使用した。
芯材として平均粒径;35μm焼成フェライト粉(真比重5.5)5000重量部を用い、上記被覆膜形成溶液を芯材表面に膜厚0.35μmになるように、スピラコーター(岡田精工社製)によりコーター内温度50℃で塗布し乾燥した。
得られたキャリアを電気炉中にて200℃で1時間放置して焼成した。冷却後フェライト粉バルクを目開き63μmの篩を用いて解砕し、[キャリア1]を得た。
芯材の平均粒径測定については、マイクロトラック粒度分析計(日機装株式会社)のSRAタイプを使用し、0.7μm以上、125μm以下のレンジ設定で行なったものを用いた。
結着樹脂膜厚測定は、透過型電子顕微鏡にてキャリア断面を観察することにより、キャリア表面を覆う被覆膜を観察することができるため、その膜厚の平均値をもって膜厚とした。
磁化測定は、東英工業(株)製VSM−P7−15を用い、下記の方法により測定したものである。試料約0.15gを秤量し、内径2.4mmφ、高さ8.5mmのセルに試料を充填し、1000エルステット(Oe)の磁場下で測定した値である。
【0048】
[トナー1]
(トナーバインダーの合成)
冷却管、攪拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物724部、イソフタル酸276部、およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、さらに10乃至15mmHgの減圧で5時間反応した後、160℃まで冷却して、これに32部の無水フタル酸を加えて2時間反応した。
次いで、80℃まで冷却し、酢酸エチル中にてイソフォロンジイソシアネート188部と2時間反応を行ないイソシアネート含有プレポリマー(1)を得た。
次いでプレポリマー(1)267部と、イソホロンジアミン14部を50℃で2時間反応させ、重量平均分子量64000のウレア変性ポリエステル(1)を得た。
上記と同様にビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物724部、テレフタル酸276部を常圧下、230℃で8時間重縮合し、次いで10乃至15mmHgの減圧で5時間反応して、ピーク分子量5000の変性されていないポリエステル(a)を得た。
ウレア変性ポリエステル(1)200部と、変性されていないポリエステル(a)800部を酢酸エチル/MEK(1/1)混合溶剤2000部に溶解、混合し、トナーバインダー(1)の酢酸エチル/MEK溶液を得た。一部減圧乾燥し、トナーバインダー(1)を単離した。
Tgは62℃であった。
【0049】
(トナーの作成)
ビーカー内に前記のトナーバインダー(1)の酢酸エチル/MEK溶液240部、ペンタエリスリトールテトラベヘネート(融点81℃、溶融粘度25cps)20部、C.I.PigmentYellow154の生顔料4部を入れ、60℃にてTK式ホモミキサーで12,000rpmで攪拌し、均一に溶解、分散させた。
ビーカー内にイオン交換水706部、ハイドロキシアパタイト10%懸濁液(日本化学工業(株)製スーパタイト10)294部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2部を入れ、均一に溶解した。
次いで60℃に昇温し、TK式ホモミキサーで12,000rpmに攪拌しながら、上記トナー材料溶液を投入し10分間攪拌した。
次いで、この混合液を攪拌棒および温度計付のコルベンに移し、98℃まで昇温して溶剤を除去した。
分散スラリーを減圧濾過した後、濾過ケーキを得た。
【0050】
(洗浄・乾燥・フッ素処理)
1:濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後、濾過した。
2:上記1の濾過ケーキに10%水酸化ナトリウム水溶液100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで30分間)した後、減圧濾過した。
3:上記2の濾過ケーキに10%塩酸100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後、濾過した。
4:上記3の濾過ケーキにイオン交換水300部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後、濾過する操作を2回行ない、ケーキ状物を得た。これを、[濾過ケーキ1]とする。
上記[濾過ケーキ1]を循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥した。
その後、水90部に対して[濾過ケーキ1]15部を加えて、これにフッ素化合物を0.0005部分散させることで、トナー粒子表面にフッ素化合物(2)を付着させた後、循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥した。
その後目開き75μmメッシュで篩い、トナー母体粒子を得た。これを、[トナー母体粒子1]とする。
【0051】
上記で得られた[トナー母体粒子1]100部に対して、外添剤として疎水性シリカ1.5部と、疎水化酸化チタン0.7部をヘンシェルミキサーにて2,000rpm×30秒、5サイクルで混合処理し、トナーを得た。これを、[トナー1]とする。
こうして得た[トナー1]7部と[キャリア1]93部を混合攪拌して得た現像剤を評価した。結果を表2に示す。
【0052】
以下に実施例における評価の方法及び条件を示す。
市販のデジタルフルカラープリンタ(リコー社製imagioNeo C455)改造機に現像剤をセットし、単色モードで20%画像面積の画像チャートにて30,000枚のランニング評価を行なった。そして、このランニングを終えたキャリアの帯電低下量とトナー飛散、地肌かぶりを評価した。
また、単色モードにて50%画像面積の画像チャートで30,000枚のランニング評価を行なった。そして、このランニングを終えたキャリアの帯電低下量とトナー飛散、地肌かぶりを評価した。
また、単色モードにて0.5%画像面積の画像チャートで300,000枚のランニング評価を行なった。そして、このランニングを終えた後、キャリア付着、混色、画像濃度を評価した。
帯電量の測定は常温常湿室(温度23.5℃、湿度60%RH)で30分間以上は開封系にて調湿し、初期のキャリア6.000gとトナー0.452gをステンレス製容器へ加えた後、密封し、YS−LD〔(株)ヤヨイ社製振とう機〕にて、目盛150で5分間運転し、約1100回の振幅により摩擦帯電させたサンプルを、一般的なブローオフ法[東芝ケミカル(株)製:TB−200]にて測定した帯電量(Q1)から、ランニング後の現像剤中のトナーを前記ブローオフ装置にて除去し得たキャリアを、前記方法と同様の方法で測定した帯電量(Q2)を差し引いた量のことをいい、目標値は10.0(μc/g)以内である。
【0053】
トナー飛散は、出力後のトナー飛散を目視にて評価した。
トナー飛散は、現像ローラ周辺に飛散しているトナー量を評価している。
◎は全くトナー飛散が見られない状態、○はわずかにトナー飛散が観察されるが問題とはならない状態、△はトナー飛散がやや目立ち許容範囲ぎりぎりの状態、×は許容範囲外でトナー飛散が非常に目立つ状態となる。
【0054】
地肌かぶりは、出力後に白紙画像を現像中に停止させ、現像後の感光体上のトナーをテープ転写し、未転写のテープの画像濃度との差を938スペクトロデンシトメーター(X−Rite社製)により測定を行なった。
画像濃度の差が少ない方が地肌汚れがよい。
◎は△IDが0.005未満、○なら△IDが0.005〜0.01、△なら△IDが0.01〜0.02、×なら△IDが0.02以上である。
【0055】
画像濃度は、出力後にベタ画像をリコー社製6000ペーパーに画像出力し、その画像濃度をX−Rite(X−Rite社製)により測定を行なった。
測定値が、1.8以上の場合は◎で、1.4以上1.8未満の場合は○で、1.2以上1.4未満の場合は△で、および、1.2未満の場合は×で表示した。
【0056】
キャリア付着は、出力後にトナー補給をOFFにした状態でベタ画像を出力し、トナー濃度を4wt%に調整する。
その後、転写電流を2μAまで落とし、現像ポテンシャルを500Vとした状態でベタ画像をA4サイズのリコー社製6000ペーパーに出力し、画像上の白斑点の個数により評価を行なった。
白斑点の個数が50個未満であれば◎で、50個以上200個未満の場合は○で、200個以上400個未満の場合は△で、400個以上の場合は×で表示した。
【0057】
混色は、出力後にハーフトーン画像をリコー社製6000ペーパーに画像出力し、その画像のL*a*b*を測定する。
また、ランニング評価スタート前にもハーフトーン画像をリコー社製6000ペーパーに画像出力し、その画像のL*a*b*を測定しておく。
この時、出力後のL*a*b*をL*1、a*1、b*1とし、スタート前のL*a*b*をL*2、a*2、b*2とした時に、△E=√[(L*1−L*2)×(L*1−L*2)+(a*1−a*2)×(a*1−a*2)+(b*1−b*2)×(b*1−b*2)]とし、△Eを評価した。
△Eが0以上2未満の場合は◎、2以上3未満の場合は○、3以上5未満の場合は△、5以上の場合は×で表示した。
【実施例2】
【0058】
実施例1において、微粒子1の処方量を250重量部にした以外は実施例1と同様にして[キャリア2]を得た。
その後、[トナー1]7部と[キャリア2]93部を混合攪拌して得た現像剤を評価した。
なお、この時のシリコン樹脂被覆膜形成溶液の分散粒径は0.3μmであった。
【実施例3】
【0059】
実施例1において、微粒子1の処方量を350重量部にした以外は実施例1と同様にして[キャリア3]を得た。
その後、[トナー1]7部と[キャリア3]93部を混合攪拌して得た現像剤を評価した。
なお、この時のシリコン樹脂被覆膜形成溶液の分散粒径は0.3μmであった。
【実施例4】
【0060】
[キャリア被覆層]
・シリコン樹脂溶液[固形分23重量%(SR2410:東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)] 432.2重量部
・アミノシラン[固形分100重量%(SH6020:東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)] 0.66重量部
・微粒子1 500重量部
・トルエン 900重量部
を、0.5mmZrビーズ1000部とともに、ペイントシェイカーで1時間分散し、シリコン樹脂被覆膜形成溶液を得た。
この液の分散粒径は0.3μmであった。
芯材として平均粒径;25μm焼成フェライト粉(真比重5.5)5000重量部を用い、上記被覆膜形成溶液を芯材表面に膜厚0.35μmになるように、スピラコーター(岡田精工社製)によりコーター内温度50℃で塗布し乾燥した。
得られたキャリアを電気炉中にて200℃で1時間放置して焼成した。冷却後フェライト粉バルクを目開き63μmの篩を用いて解砕し、[キャリア4]を得た。
その後、[トナー1]7部と[キャリア4]93部を混合攪拌して得た現像剤を評価した。
【実施例5】
【0061】
[キャリア被覆層]
・アクリル樹脂溶液(固形分50重量%) 39.7部
・グアナミン溶液(固形分70重量%) 12.4部
・酸性触媒(固形分40重量%) 0.22部
・シリコン樹脂溶液[固形分23重量%(SR2410:東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)] 185.8重量部
・アミノシラン[固形分100重量%(SH6020:東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)] 0.66重量部
・微粒子1 500重量部
・トルエン 900重量部
を、0.5mmZrビーズ1000部とともに、ペイントシェイカーで1時間分散し、シリコン樹脂被覆膜形成溶液を得た。
この液の分散粒径は0.4μmであった。
芯材として平均粒径;35μm焼成フェライト粉(真比重5.5)5000重量部を用い、上記被覆膜形成溶液を芯材表面に膜厚0.35μmになるように、スピラコーター(岡田精工社製)によりコーター内温度50℃で塗布し乾燥した。
得られたキャリアを電気炉中にて200℃で1時間放置して焼成した。冷却後フェライト粉バルクを目開き63μmの篩を用いて解砕し、[キャリア5]を得た。
その後、[トナー1]7部と[キャリア5]93部を混合攪拌して得た現像剤を評価した。
【実施例6】
【0062】
[キャリア被覆層]
・シリコン樹脂溶液[固形分23重量%(SR2410:東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)] 432.2重量部
・アミノシラン[固形分100重量%(SH6020:東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)] 0.66重量部
・微粒子1 250重量部
・微粒子3 150重量部
・トルエン 900重量部
を、0.5mmZrビーズ1000部とともに、ペイントシェイカーで1時間分散し、シリコン樹脂被覆膜形成溶液を得た。
この液の分散粒径は0.5μmであった。
芯材として平均粒径;35μm焼成フェライト粉(真比重5.5)5000重量部を用い、上記被覆膜形成溶液を芯材表面に膜厚0.35μmになるように、スピラコーター(岡田精工社製)によりコーター内温度50℃で塗布し乾燥した。
得られたキャリアを電気炉中にて200℃で1時間放置して焼成した。冷却後フェライト粉バルクを目開き63μmの篩を用いて解砕し、[キャリア6]を得た。
その後、[トナー1]7部と[キャリア6]93部を混合攪拌して得た現像剤を評価した。
【実施例7】
【0063】
[キャリア被覆層]
・シリコン樹脂溶液[固形分23重量%(SR2410:東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)] 432.2重量部
・アミノシラン[固形分100重量%(SH6020:東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)] 0.66重量部
・微粒子4 250重量部
・微粒子3 150重量部
・トルエン 900重量部
を、0.5mmZrビーズ1000部とともに、ペイントシェイカーで1時間分散し、シリコン樹脂被覆膜形成溶液を得た。
この液の分散粒径は0.4μmであった。
芯材として平均粒径;35μm焼成フェライト粉(真比重5.5)5000重量部を用い、上記被覆膜形成溶液を芯材表面に膜厚0.35μmになるように、スピラコーター(岡田精工社製)によりコーター内温度50℃で塗布し乾燥した。
得られたキャリアを電気炉中にて200℃で1時間放置して焼成した。冷却後フェライト粉バルクを目開き63μmの篩を用いて解砕し、[キャリア7]を得た。
その後、[トナー1]7部と[キャリア7]93部を混合攪拌して得た現像剤を評価した。
【実施例8】
【0064】
[キャリア被覆層]
・シリコン樹脂溶液[固形分23重量%(SR2410:東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)] 432.2重量部
・アミノシラン[固形分100重量%(SH6020:東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)] 0.66重量部
・微粒子4 500重量部
・トルエン 900重量部
を、0.5mmZrビーズ1000部とともに、ペイントシェイカーで1時間分散し、シリコン樹脂被覆膜形成溶液を得た。
この液の分散粒径は0.3μmであった。
芯材として平均粒径;35μm焼成フェライト粉(真比重5.5)5000重量部を用い、上記被覆膜形成溶液を芯材表面に膜厚0.35μmになるように、スピラコーター(岡田精工社製)によりコーター内温度50℃で塗布し乾燥した。
得られたキャリアを電気炉中にて200℃で1時間放置して焼成した。冷却後フェライト粉バルクを目開き63μmの篩を用いて解砕し、[キャリア8]を得た。
その後、[トナー1]7部と[キャリア8]93部を混合攪拌して得た現像剤を評価した。
【実施例9】
【0065】
実施例1において、溶液の分散方法をホモミキサーで10分間にした以外は実施例1と同様にして[キャリア9]を得た。
その後、[トナー1]7部と[キャリア9]93部を混合攪拌して得た現像剤を評価した。
なお、この時のシリコン樹脂被覆膜形成溶液の分散粒径は3.3μmであった。
【実施例10】
【0066】
実施例1と同様にして[キャリア1]を得たのち、[トナー1]7部と[キャリア1]93部を混合攪拌して得た現像剤を評価した。
この時のシリコン樹脂被覆膜形成溶液の分散粒径は0.3μmであった。
また、この評価におけるランニングに使用した補給用トナーの中に、[トナー1]10重量部に対して[キャリア1]1重量部となるように[キャリア1]を混合した。
【0067】
[比較例1]
実施例1において、微粒子1の代わりに微粒子2を使用した以外は実施例1と同様にして[キャリア10]を得た。
その後、[トナー1]7部と[キャリア10]93部を混合攪拌して得た現像剤を評価した。
なお、この時のシリコン樹脂被覆膜形成溶液の分散粒径は0.7μmであった。
【0068】
[比較例2]
実施例1において、微粒子1の代わりに微粒子3を250重量部使用した以外は実施例1と同様にして[キャリア11]を得た。
その後、[トナー1]7部と[キャリア11]93部を混合攪拌して得た現像剤を評価した。
なお、この時のシリコン樹脂被覆膜形成溶液の分散粒径は0.5μmであった。
【0069】
[比較例3]
実施例1において、微粒子1の処方量を600重量部にした以外は実施例1と同様にして[キャリア12]を得た。
その後、[トナー1]7部と[キャリア12]93部を混合攪拌して得た現像剤を評価した。
なお、この時のシリコン樹脂被覆膜形成溶液の分散粒径は0.3μmであった。
【0070】
[比較例4]
実施例1において、微粒子1の処方量を200重量部にした以外は実施例1と同様にして[キャリア13]を得た。
その後、[トナー1]7部と[キャリア13]93部を混合攪拌して得た現像剤を評価した。
なお、この時のシリコン樹脂被覆膜形成溶液の分散粒径は0.3μmであった。
【0071】
[比較例5]
実施例1において、微粒子1の代わりに微粒子5を処方量50重量部にした以外は実施例1と同様にして[キャリア14]を得た。
その後、[トナー1]7部と[キャリア14]93部を混合攪拌して得た現像剤を評価した。
なお、この時のシリコン樹脂被覆膜形成溶液の分散粒径は0.2μmであった。
キャリアの特性値を表1に示す。
【0072】
【表1】

【0073】
【表2】

【0074】
以上、本発明の実施例を具体的に説明してきたが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではなく、これら本発明の実施例を、本発明の主旨及び範囲を逸脱することなく、変更又は変形することができる。
【符号の説明】
【0075】
1Y 静電潜像担持体
1M 静電潜像担持体
1C 静電潜像担持体
1K 静電潜像担持体
4Y 現像装置
4M 現像装置
4C 現像装置
4K 現像装置
14 張架ローラ
15 駆動ローラ
16 二次転写バックアップローラ
17 中間転写ユニット
18Y プロセスカートリッジ
18M プロセスカートリッジ
18C プロセスカートリッジ
18K プロセスカートリッジ
20 画像形成ユニット
21 光書込みユニット
22 二次転写装置
23 張架ローラ
24 紙搬送ベルト
25 定着装置
26 定着ベルト
27 加圧ローラ
28 シート反転装置
30 原稿台
32 コンタクトガラス
33 第1走行体
34 第2走行体
35 結像レンズ
36 読取センサ
42 給紙ローラ
43 ペーパーバンク
44 給紙カセット
45 分離ローラ
46 給紙路
47 搬送ローラ対
48 給紙路
49 レジストローラ対
50 給紙ローラ
51 手差しトレイ
52 分離ローラ
53 手差し給紙路
56 排紙ローラ
57 排紙トレイ
62Y 一次転写バイアスローラ
62M 一次転写バイアスローラ
62C 一次転写バイアスローラ
62K 一次転写バイアスローラ
90 ベルトクリーニング装置
100 プリンタ部
105 分離爪
110 中間転写ベルト
200 給紙装置
300 スキャナ
400 原稿自動搬送装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0076】
【特許文献1】特開平11−202560号公報
【特許文献2】特開2006−39357号公報
【特許文献3】特願2008−290203号明細書

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリア芯材上に少なくともシリコン樹脂からなるコート膜を有する静電荷像現像剤用キャリアにおいて、該コート膜中に少なくとも硫酸バリウムを含み、X線光電子分光(XPS)により測定した全元素に対するBaとSiの含有量の比Ba/Siが0.01以上、0.08以下であることを特徴とする静電荷像現像用キャリア。
【請求項2】
前記コート膜中に酸化スズを含有することを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用キャリア。
【請求項3】
前記キャリアの体積固有抵抗が、10[Log(Ω・cm)]以上15[Log(Ω・cm)]以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の静電荷像現像用キャリア。
【請求項4】
前記キャリアの体積平均粒径が15μm以上40μm以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の静電荷像現像用キャリア。
【請求項5】
少なくとも結着樹脂と顔料とからなるトナーと、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のキャリアとからなることを特徴とする静電荷像現像用現像剤。
【請求項6】
内部に固定された磁界発生手段を有し、表面上に磁性キャリアとトナーとからなる2成分現像剤を担持して回転する非磁性現像スリーブからなる現像剤担持体と、該現像剤担持体上に担持された現像剤の量を規制する現像剤量規制部材とを備えた現像装置であって、前記現像剤が請求項5に記載の静電荷像現像用現像剤を用いることを特徴とする現像装置。
【請求項7】
像担持体上に静電潜像を形成する工程、前記静電潜像を少なくともキャリアとトナーからなる現像剤で現像し可視像を形成する工程、得られた可視像を記録部材に転写し、定着する工程を有する画像形成方法であって、前記現像剤が請求項5に記載の静電荷像現像用現像剤を用いることを特徴とする画像形成方法。
【請求項8】
感光体と、帯電手段、現像手段、クリーニング手段より選ばれる少なくとも一つの現像手段を一体に支持し、画像形成装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジにおいて、前記現像手段は、現像剤を保持し、前記現像剤が請求項5に記載の現像剤であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項9】
少なくとも、感光体と、該感光体上に画像を形成する現像手段と、該感光体上の画像を転写材に転写する転写手段と、該転写材上の画像を定着する定着手段とを備えた画像形成装置であって、請求項8に記載のプロセスカートリッジを搭載する画像形成装置。
【請求項10】
キャリア1質量部に対してトナーを2〜50重量部の配合割合で含有する補給用現像剤であって、該キャリアが請求項1乃至4のいずれかに記載のキャリアであることを特徴とする補給用現像剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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