説明

静電荷像現像用トナー、静電荷像現像用現像剤、プロセスカートリッジ、画像形成装置および画像形成方法

【課題】特定の熱条件下での保管後でも色スジの画質欠陥の発生が抑制される静電荷像現像用トナーを提供する。
【解決手段】ポリエステル樹脂および着色剤を含むトナー粒子と、ポリエステル樹脂を含み、着色剤を含まない形状係数SF1が110以下の無着色粒子と、を含有し、無着色粒子に含まれるSn元素量がトナー粒子に含まれるSn元素量よりも多い静電荷像現像用トナーである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電荷像現像用トナー、静電荷像現像用現像剤、プロセスカートリッジ、画像形成装置および画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真法など静電荷像を経て画像情報を可視化する方法は、現在様々な分野で利用されている。電子写真法においては、帯電、露光工程により像保持体上に静電潜像を形成し(潜像形成工程)、静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」と呼ぶ場合がある。)を含む静電荷像現像用現像剤(以下、単に「現像剤」と呼ぶ場合がある。)で静電潜像を現像し(現像工程)、転写工程、定着工程を経て可視化される。ここで用いられる現像剤には、トナーとキャリアからなる2成分現像剤と、磁性トナーまたは非磁性トナーを単独で用いる1成分現像剤とがある。
【0003】
近年、トナーの形状および表面構造などの制御を意図的に行うことが可能な手段として、乳化凝集法などの湿式製法によるトナーの製造方法が提案されている。乳化凝集法は、一般に乳化重合、転相乳化などにより樹脂粒子分散液を作製し、一方、溶媒に着色剤を分散させた着色剤分散液、溶媒に離型剤を分散させた離型剤分散液等を作製した後、これらを混合し、トナー粒径に相当する凝集粒子を形成し、加熱することによって融合(合一)させてトナーとする製造方法である(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
トナーに用いられる結着樹脂としては、スチレン/アクリル系共重合樹脂や、ポリエステル樹脂(例えば、特許文献2参照)などが代表的な結着樹脂として知られている。近年、高画質化、省エネルギ化のための低温定着性などの観点から、ポリエステル樹脂を用いて乳化凝集法を利用して作製されたトナーが広く用いられるようになってきている。
【0005】
ここで、ポリエステル樹脂の重合には、Sn元素を含む化合物等が触媒として用いられることがある。この触媒に起因するSn元素はポリエステル樹脂に残留し、最終的にトナー中に残留することがあるが、トナー中のSn元素の含有量を制御することにより、トナーの諸特性を改善することが試みられている。
【0006】
例えば、特許文献3には、Sn−C結合を有していない錫(II)化合物とスルホン酸基含有化合物との存在下、原料単量体を縮重合させて得られる縮重合系樹脂を含む結着樹脂を用いたトナーが記載され、縮重合系樹脂の原料単量体総量100質量部に対して、Sn−C結合を有していない錫(II)化合物の存在量が適当な範囲以下であること、このトナーは、帯電の立ち上がり性に優れ、高画像濃度を提供する良好な帯電量レベルを備えることが記載されている。
【0007】
例えば、特許文献4には、結晶性ポリエステル樹脂、非晶性ポリエステル樹脂、アルミニウム元素、スズ元素、および離型剤を含有し、アルミニウム元素の含有量、スズ元素の含有量、離型剤の酸価を規定した静電荷像現像用トナーが記載され、このトナーは、記録媒体の先端余白が小さい画像の形成においても定着部材からの画像剥離性が良好であり、高光沢な画像が形成され、かつ、耐オフセット性が良好であることが記載されている。
【0008】
例えば、特許文献5には、ポリエステル樹脂と、Sn元素とを含むトナー母粒子を有し、トナー母粒子中のSn元素の含有量が適当な範囲内である静電荷像現像用トナーが記載され、このトナーはクリーニングブレードへの固着が起こり難いことが記載されている。
【0009】
また、特許文献5には、転相乳化法を利用してポリエステル樹脂の樹脂粒子分散液を調製した場合、樹脂粒子分散液中に粒径が約100nm前後程度以下と推定される粒径の小さい樹脂粒子が発生し、この粒径の小さい樹脂粒子は溶液中での分散安定性が低いことから凝集粒子形成工程や融合工程において自己凝集を起こし、トナー粒径よりも粒径の小さい粒径1μm以下の粒子を生成しやすいこと、トナー中に含まれる、このポリエステル樹脂を含む粒径1μm以下の粒子の存在割合が少ないことが好ましく、存在割合は0質量%に近ければ近いほどよく、その存在割合が1.0質量%を超える場合には、微小粒子の割合が増加するため、クリーニングブレードへの固着が発生し易くなる場合があることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開昭63−282752号公報
【特許文献2】特公昭62−39428号公報
【特許文献3】特開2008−70455号公報
【特許文献4】特開2009−122522号公報
【特許文献5】特開2009−69647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、特定の熱条件下での保管後でも色スジの画質欠陥の発生が抑制される静電荷像現像用トナー、そのトナーを含む静電荷像現像用現像剤、その現像剤を用いるプロセスカートリッジ、画像形成装置および画像形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に係る発明は、ポリエステル樹脂および着色剤を含むトナー粒子と、ポリエステル樹脂を含み、着色剤を含まない形状係数SF1が110以下の無着色粒子と、を含有し、前記無着色粒子に含まれるSn元素量が前記トナー粒子に含まれるSn元素量よりも多い静電荷像現像用トナーである。
【0013】
請求項2に係る発明は、前記無着色粒子の個数が、前記トナー粒子5,000個に対して10個以上50個以下の範囲である、請求項1に記載の静電荷像現像用トナーである。
【0014】
請求項3に係る発明は、前記無着色粒子の重量平均分子量が5,000以上40,000以下の範囲である、請求項1または2に記載の静電荷像現像用トナーである。
【0015】
請求項4に係る発明は、前記無着色粒子のガラス転移温度が50℃以上75℃以下の範囲である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーである。
【0016】
請求項5に係る発明は、前記ポリエステル樹脂が構成成分としてビスフェノールAを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーである。
【0017】
請求項6に係る発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを含有する静電荷像現像用現像剤である。
【0018】
請求項7に係る発明は、像保持体と、現像剤を保持して、前記像保持体の表面に形成された静電潜像を現像剤で現像して現像像を形成する現像剤保持体と前記現像剤保持体の表面の現像剤の層厚を規制する層厚規制部材とを有し、前記現像剤保持体と前記層厚規制部材との間の間隔が100μm以上500μm以下の範囲である現像手段と、を備え、前記現像剤は、請求項6に記載の静電荷像現像用現像剤であるプロセスカートリッジである。
【0019】
請求項8に係る発明は、像保持体と、前記像保持体の表面を帯電させる帯電手段と、前記像保持体の表面に静電潜像を形成する潜像形成手段と、現像剤を保持して、前記像保持体の表面に形成された静電潜像を現像剤で現像して現像像を形成する現像剤保持体と前記現像剤保持体の表面の現像剤の層厚を規制する層厚規制部材とを有し、前記現像剤保持体と前記層厚規制部材との間の間隔が100μm以上500μm以下の範囲である現像手段と、前記現像された現像像を被転写体に転写する転写手段と、を備え、前記現像剤は、請求項6に記載の静電荷像現像用現像剤である画像形成装置である。
【0020】
請求項9に係る発明は、像保持体の表面を帯電させる帯電工程と、前記像保持体の表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、現像剤を保持する現像剤保持体と前記現像剤保持体の表面の現像剤の層厚を規制する層厚規制部材とを有し、前記現像剤保持体と前記層厚規制部材との間の間隔が100μm以上500μm以下の範囲である現像手段を用いて、前記静電潜像を現像剤で現像して現像像を形成する現像工程と、前記現像された現像像を被転写体に転写する転写工程と、を備え、前記現像剤は、請求項6に記載の静電荷像現像用現像剤である画像形成方法である。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に係る発明によると、本構成を有さない場合に比べて、特定の熱条件下での保管後でも色スジの画質欠陥の発生が抑制される静電荷像現像用トナーが提供される。
【0022】
請求項2に係る発明によると、無着色粒子の個数が、トナー粒子5,000個に対して10個以上50個以下の範囲ではない場合に比べて、特定の熱条件下での保管後でも色スジの画質欠陥の発生が抑制される静電荷像現像用トナーが提供される。
【0023】
請求項3に係る発明によると、無着色粒子の重量平均分子量が5,000以上40,000以下の範囲ではない場合に比べて、特定の熱条件下での保管後でも色スジの画質欠陥の発生が抑制される静電荷像現像用トナーが提供される。
【0024】
請求項4に係る発明によると、無着色粒子のガラス転移温度が50℃以上75℃以下の範囲ではない場合に比べて、特定の熱条件下での保管後でも色スジの画質欠陥の発生が抑制される静電荷像現像用トナーが提供される。
【0025】
請求項5に係る発明によると、ポリエステル樹脂が構成成分としてビスフェノールAを含まない場合に比べて、特定の熱条件下での保管後でも色スジの画質欠陥の発生が抑制される静電荷像現像用トナーが提供される。
【0026】
請求項6に係る発明によると、本構成を有さない場合に比べて、特定の熱条件下でのトナーの保管後でも色スジの画質欠陥の発生が抑制される静電荷像現像用現像剤が提供される。
【0027】
請求項7に係る発明によると、本構成を有さない場合に比べて、特定の熱条件下でのトナーの保管後でも色スジの画質欠陥の発生が抑制されるプロセスカートリッジが提供される。
【0028】
請求項8に係る発明によると、本構成を有さない場合に比べて、特定の熱条件下でのトナーの保管後でも色スジの画質欠陥の発生が抑制される画像形成装置が提供される。
【0029】
請求項9に係る発明によると、本構成を有さない場合に比べて、特定の熱条件下でのトナーの保管後でも色スジの画質欠陥の発生が抑制される画像形成方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態に係るプロセスカートリッジの一例を示す概略構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
【0032】
<静電荷像現像用トナー>
本発明の実施形態に係るトナーは、ポリエステル樹脂および着色剤を含むトナー粒子と、ポリエステル樹脂を含み、着色剤を含まない、形状係数SF1が110以下である無着色粒子と、を含有し、無着色粒子に含まれるSn元素量がトナー粒子に含まれるSn元素量よりも多いものである。
【0033】
ここで、本明細書において「Sn元素量」とは、より正確には、ポリエステル樹脂の重合に利用されるスズ化合物触媒に含まれるようなイオン性のSn元素に起因する含有量を意味し、酸化スズなどの共有結合性のSn元素に起因する成分は除かれる。
【0034】
近年、物流におけるコスト削減等により、長時間の高温での移動が必要になる場合があり、静電荷像現像用トナーも例外ではない。トナーの場合は表面に流動化剤(外添剤という場合がある)を存在させることにより、トナー間の結着樹脂同士の接触を抑制することにより、トナー間の凝集性を抑えてきた。しかしながら高温条件下で繰り返し温度変化を伴う保管を行うと、凝集性の悪化を制御できなくなることがわかった。この理由は必ずしも明らかではないが、次のように推定される。トナー表面の流動化剤は通常、疎水性が高いものであり、これが付着した状態で温度が上がると、樹脂分子の配列に変化が生じ、流動化剤に接触している結着樹脂部分は疎水化されたものが配列し、結果的に流動化剤に接触していない部分の親水性が増加する。繰り返し熱をかけた場合、樹脂はその都度冷却され微小な体積変化を繰り返し、その結果、流動化剤はトナー内部へと埋め込まれ、同時に流動化剤に接触していない部分の親水性は増加する。加えてトナーを構成する結着樹脂はある程度分子量に幅を持ち、多くの場合小さい分子量を有する成分は親水性が高い。そのため、繰り返し温度変化を伴う保管を行うと、トナーの表面の樹脂は親水性が増加し、凝集性が悪化すると考えられる。
【0035】
本実施形態に係るトナーは、無着色粒子に含まれるSn元素量がトナー粒子に含まれるSn元素量よりも多いため、特定の熱条件下での保管性、すなわちトナーカートリッジに収容した状態での40℃と55℃の間の連続温度変化(1℃/min)における24時間加熱条件(すなわち40℃から55℃の間で繰り返し昇温、降温を繰り返す)での保管性に優れる。少なくとも無着色粒子にはイオン性のSn元素が含まれるが、Sn元素の含有量が増加するに従い、粒子の機械的強度および耐熱性が向上する。これは、Sn元素がトナー粒子または無着色粒子のマトリックス中でイオン架橋の形成に寄与するため、分子量およびガラス転移温度が比較的と高くなるためと考えられる。そして、無着色粒子に含まれるSn元素量がトナー粒子に含まれるSn元素量よりも多いために機械的強度および耐熱性が比較的高い無着色粒子がトナー粒子中に存在することになり、無着色粒子のトナー粒子に対する解砕効果が働くため、凝集が発生しにくく、上記の加熱条件下でも保管性に優れ、色スジの発生が抑制されて画質が良好であると考えられる。
【0036】
本明細書において、「無着色粒子に含まれるSn元素量がトナー粒子に含まれるSn元素量よりも多い」とは、後述する実施例に記載した方法により求めた無着色粒子に含まれるSn元素の量が、トナー粒子に含まれるSn元素の量よりも多いことをいい、例えば、無着色粒子に含まれるSn元素量がトナー粒子に含まれるSn元素量の1.1倍以上4倍以下の範囲であることが好ましく、1.1倍以上3倍以下の範囲であることがより好ましい。無着色粒子に含まれるSn元素量がトナー粒子に含まれるSn元素量の1.1倍未満であると、トナーの凝集を防ぐ効果が十分に発揮されない場合があり、4倍を超えると無着色粒子の硬度が上昇し、そのために無着色粒子がクリーニングブレードに挟まっても変形せずに挟まったままになるため、かえって色スジが発生しやすくなる場合がある。
【0037】
本実施形態に係るトナーは、後述するように、例えば、転相乳化法を利用してポリエステル樹脂を含む樹脂粒子を溶媒に分散させた樹脂粒子分散液に、着色剤を溶媒に分散させた着色剤分散液、必要に応じてその他のトナーを構成する各種材料を分散させた分散液を混合した原料分散液中で、凝集粒子を形成する凝集粒子形成工程と、凝集粒子を融合する融合工程とを経て作製される。
【0038】
ポリエステル樹脂を含む樹脂粒子中には、イオン性のSn元素が含まれることがある。ポリエステル樹脂は一般的に酸成分とアルコール成分との重縮合反応により合成され、この重合には、Sn元素を含む触媒化合物(以下、単に「スズ含有触媒」と呼ぶ場合がある)が触媒として用いられることが多い。したがって、ポリエステル樹脂を含む樹脂粒子中のイオン性のSn元素は、通常は、ポリエステル樹脂の重合時に用いられるスズ含有触媒に起因するものである。このようなイオン性のSn元素を含む樹脂粒子分散液を原料として用いて得られたトナーにはSn元素が含まれることになる。
【0039】
一方、トナー中には、トナー粒子と粒径が比較的類似した、着色剤を含有していない無着色粒子が混入する場合がある。スズ含有触媒を触媒として用いたポリエステル樹脂の重合において、未反応の酸成分、アルコール成分の単量体が樹脂中に残留すると、このような残留成分のうち酸成分の単量体は官能基としてカルボン酸を有しており、極性が高く親水性も高い。ポリエステル樹脂の重合過程で樹脂骨格に入らないスズ含有触媒のイオン性のSn元素が、残留した酸成分と錯体を形成すると、この樹脂を用いた乳化樹脂(ラテックス)作製の過程において、樹脂粒子表面に付着するカルボン酸を含む酸成分が減少することになり、その結果、親水性が低下し、表面積の減少が抑制されることでトナー粒子と粒径が比較的類似した樹脂粒子(以下、単に「樹脂粗粒子」と呼ぶ場合がある)が生成すると考えられる。
【0040】
また、ポリエステル樹脂の合成においてスズ含有触媒を触媒として用いるとスズ含有触媒が反応起点となり重合反応が進行するが、スズ含有触媒は反応系の粘度が比較的低い部分に集まって偏在し、その偏在した部分で重合反応が発熱しながら進行するため、その部分では発熱により粘度が上昇しないのでさらに重合が進み、その結果、分子量が比較的高く、ガラス転移温度が比較的高い樹脂粗粒子が生成すると考えられる。例えば、ポリエステル樹脂の製造時にスズ含有触媒を少なくとも2段に分けて反応系に添加することにより、反応系におけるスズ含有触媒の偏在がより顕著になり、Sn含有量が比較的高い樹脂粗粒子が生成されやすくなると考えられる。
【0041】
このような樹脂粗粒子を含む樹脂粒子分散液を用いて、着色剤分散液、必要に応じてその他の原料分散液中で凝集粒子を形成すると、通常の粒径が比較的小さな樹脂粒子(例えば、200nm程度)はブラウン運動を行うことにより衝突して凝集を繰り返して着色剤等を取り込んでトナー粒子を形成する。一方、樹脂粗粒子はブラウン運動をほとんど行わないために着色剤等を取り込まず、着色剤を含まない無着色粒子としてほとんどそのままの状態で残り、この無着色粒子は上述のように分子量およびガラス転移温度が比較的高いものとなると考えられる。
【0042】
このようにして、Sn元素を含む無着色粒子がトナー中に含まれることになり、無着色粒子に含まれるSn元素量がトナー粒子に含まれるSn元素量よりも多いものとなると考えられる。
【0043】
本実施形態において、無着色粒子に含まれるSn元素量をトナー粒子に含まれるSn元素量よりも多くする方法としては、上記の方法に限定されるものではない。例えば、無着色粒子およびトナー粒子を別途製造し、それぞれの製造に用いるポリエステル樹脂の製造の際のスズ含有触媒の量を調整してそれぞれに含まれるSn元素量を調製し、無着色粒子とトナー粒子とを混合する方法、無着色粒子の製造に用いるポリエステル樹脂を合成後、樹脂粒子分散液の調製前に、Sn元素を含む化合物とポリエステル樹脂とを混合する方法等が挙げられる。
【0044】
本明細書において、無着色粒子が「着色剤を含まない」とは、後述する実施例に記載した方法により求めた無着色粒子に含まれる着色剤の量が50ppm以下であることをいう。
【0045】
本実施形態に係るトナーにおいて、無着色粒子のSF1は110以下である。転相乳化は表面積をなるべく小さくするように粒子が形成されるためである。
【0046】
本実施形態に係るトナーにおいて、無着色粒子の個数がトナー粒子5,000個に対して10個以上50個以下の範囲であることが好ましく、10個以上30個以下の範囲であることがより好ましい。無着色粒子の個数がトナー粒子5,000個に対して10個未満であると、トナー粒子の凝集を防ぐ効果が十分に発揮されない場合があり、50個を超えると、無着色粒子を多くクリーニングブレードでクリーニングさせることが困難になりやすいため、色抜け等の画質欠陥が発生しやすくなる場合がある。
【0047】
本実施形態に係るトナーにおいて、無着色粒子の重量平均分子量が5,000以上40,000以下の範囲であることが好ましく、7,000以上30,000以下の範囲であることがより好ましく、10,000以上25,000以下の範囲がさらに好ましい。無着色粒子の重量平均分子量が5,000未満であると、トナー粒子の凝集を防ぐ効果が十分に発揮されない場合があり、40,000を超えると、クリーニングブレードで挟まった場合にブレードを変形させ、結果的に色スジを発生させる場合がある。
【0048】
本実施形態に係るトナーにおいて、無着色粒子のガラス転移温度が50℃以上75℃以下の範囲であることが好ましく、54℃以上70℃以下の範囲であることがより好ましく、58℃以上65℃以下の範囲がさらに好ましい。無着色粒子のガラス転移温度が50℃未満であると、トナー粒子の凝集を防ぐ効果が十分に発揮されない場合があり、75℃を超えると、クリーニングブレードで挟まった場合にブレードを変形させ、結果的に色スジを発生させる場合がある。
【0049】
本実施形態に係るトナーにおいて、ポリエステル樹脂が構成成分としてビスフェノールAを含むことが好ましい。ポリエステル樹脂が構成成分としてビスフェノールAを含むことにより、ビスフェノールAを含まない場合に比べて、ポリエステル樹脂が硬くなるため、無着色粒子のトナー粒子の凝集を防ぐ解砕効果が高くなる。
【0050】
また、無着色粒子に含まれるSn元素量はトナー粒子中に含まれるSn元素量よりも多いことが必要であるが、より具体的には1.1倍以上4倍以下の範囲であることが好ましく、1.1倍以上3倍以下の範囲であることがより好ましい。無着色粒子に含まれるSn元素量が1倍未満であると、トナーの凝集の発生が抑制されず、1.1倍未満であると多少の凝集から色スジが発生する場合があり、4倍を超えると、無着色粒子の硬度が増加し、クリーニングブレードを変形させる場合がある。
【0051】
なお、トナー粒子および無着色粒子のSn元素量、無着色粒子の形状係数SF1、個数、重量平均分子量、ガラス転移温度、構成成分等は、後述する実施例に記載したように測定する。
【0052】
(トナーの構成成分)
本発明の実施形態に係る静電荷像現像用トナーにおけるトナー粒子および無着色粒子は、ポリエステル樹脂を含有する。トナー粒子はさらに着色剤を含有し、必要に応じて離型剤等のその他の成分を含有する。
【0053】
ポリエステル樹脂は、酸(多価カルボン酸)成分とアルコール(多価アルコール)成分とから合成されるものであり、本実施形態において、「酸由来構成成分」とは、ポリエステル樹脂の合成前には酸成分(エステル交換反応においては酸エステル)であった構成部位を指し、「アルコール由来構成成分」とは、ポリエステル樹脂の合成前にはアルコール成分であった構成部位を指す。
【0054】
酸由来構成成分の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族カルボン酸類、無水マレイン酸、フマル酸、コハク酸、アルケニル無水コハク酸、アジピン酸などの脂肪族カルボン酸類、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式カルボン酸類等が挙げられる。これらの多価カルボン酸を1種用いてもよいし、2種以上用いてもよい。これら多価カルボン酸の中、芳香族カルボン酸を使用することが好ましく、また良好なる定着性を確保するために架橋構造あるいは分岐構造をとるためにジカルボン酸とともに3価以上のカルボン酸(トリメリット酸やその酸無水物等)を併用することが好ましい。
【0055】
アルコール由来構成成分の例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリンなどの脂肪族ジオール類、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAなどの脂環式ジオール類、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの芳香族ジオール類が挙げられる。これら多価アルコールを1種用いてもよいし、2種以上用いてもよい。これら多価アルコールの中、芳香族ジオール類、脂環式ジオール類が好ましく、このうちビスフェノールAを構成成分として含むことがより好ましい。また良好なる定着性を確保するため、架橋構造あるいは分岐構造をとるためにジオールとともに3価以上の多価アルコール(グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール)を併用してもよい。
【0056】
なお、酸由来構成成分とアルコール由来構成成分との重縮合によって得られたポリエステル樹脂に、さらにモノカルボン酸およびモノアルコールのうち少なくとも1つを加えて、重合末端のヒドロキシル基およびカルボキシル基のうち少なくとも1つをエステル化し、ポリエステル樹脂の酸価を調整してもよい。モノカルボン酸としては酢酸、無水酢酸、安息香酸、トリクロル酢酸、トリフルオロ酢酸、無水プロピオン酸等が挙げられ、モノアルコールとしてはメタノール、エタノール、プロパノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、トリフルオロエタノール、トリクロロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、フェノールなどが挙げられる。
【0057】
ポリエステル樹脂は上記酸由来構成成分とアルコール由来構成成分とを常法に従って縮合反応させることによって製造すればよい。例えば、上記多価アルコールと多価カルボン酸、必要に応じて触媒を入れ、温度計、撹拌器、流下式コンデンサを備えた反応容器に配合し、不活性ガス(窒素ガス等)の存在下、150℃以上250℃以下で加熱し、副生する低分子化合物を連続的に反応系外に除去し、所定の酸価に達した時点で反応を停止させ、冷却し、目的とする反応物を取得することによって製造すればよい。
【0058】
ポリエステル樹脂の製造時に使用してもよい触媒としては、ナトリウム、リチウム等のアルカリ金属化合物;マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属化合物;亜鉛、マンガン、アンチモン、チタン、スズ、ジルコニウム、ゲルマニウム等の金属化合物;亜リン酸化合物、リン酸化合物、およびアミン化合物等が挙げられる。この中でも、例えば、スズ、ギ酸スズ、シュウ酸スズ、テトラフェニルスズ、ジブチルスズジクロライド、ジブチルスズオキシド、ジフェニルスズオキシド等のスズ含有触媒を用いることが好ましい。
【0059】
また、ポリエステル樹脂の製造時に、スズ含有触媒を少なくとも2段に分けて反応系に添加する等のスズ含有触媒の反応系への添加方法により、無着色粒子の生成を制御してもよい。スズ含有触媒を主として用い、その他の触媒を混合して用いてもよい。
【0060】
本実施形態に係るトナーにおいて、非晶性ポリエステル樹脂以外の他の非晶性樹脂を含んでもよい。含んでもよい非晶性樹脂としては特に制限されないが、具体的には、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル系単量体;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のメタクリル系単量体;さらにアクリル酸、メタクリル酸、スチレンスルフォン酸ナトリウム等のエチレン系不飽和酸単量体;さらにアクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;エチレン、プロピレン、ブタジエンなどのオレフィン類単量体の単独重合体、それらの単量体を2種以上組み合せた共重合体、またはそれらの混合物、さらには、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂等、非ビニル縮合系樹脂、または、それらと前記ビニル系樹脂との混合物、これらの共存下でビニル系単量体を重合して得られるグラフト重合体等が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの樹脂の中でもスチレン系樹脂やアクリル系樹脂が特に好ましい。
【0061】
離型剤の具体的な例としてはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類、加熱により軟化点を有するシリコーン類、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等のような脂肪酸アミド類やカルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等のような植物系ワックス、ミツロウのごとき動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャトロプシュワックス等のような鉱物、石油系ワックス、およびそれらの変性物が挙げられる。
【0062】
これらの離型剤は単独で使用可能な他、2種類以上組み合わせて使用してもよい。これら離型剤の含有量としては結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上10質量部以下が好ましく、5質量部以上9質量部以下がより好ましい。
【0063】
本実施形態のトナーに用いられる着色剤としては染料および顔料でもかまわないが、耐光性や耐水性の観点から顔料が好ましい。好ましい顔料としては、カーボンブラック、アニリンブラック、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロライド、フタロシアンブルー、マラカイトグリーンオキサート、ランプブラック、ローズベンガル、キナクリドン、ベンジジンイエロー、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド185、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・イエロー180、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー74、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等の公知の顔料を使用すればよい。また、着色剤として磁性粉を使用してもよい。磁性粉としては、コバルト、鉄、ニッケルなどの強磁性金属、コバルト、鉄、ニッケル、アルミニウム、鉛、マグネシウム、亜鉛、マンガンなどの金属の合金、酸化物などの公知の磁性体を使用すればよい。
【0064】
これらは単独で使用可能な他、2種類以上組み合わせて使用してもよい。これら着色剤の含有量としては結着樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上40質量部以下が好ましく、1質量部以上30質量部以下がさらに好ましい。
【0065】
なお、前記着色剤の種類を適宜選択することにより、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナー等の各色トナーが得られる。
【0066】
その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択すればよく、例えば、無機粒子、帯電制御剤等の公知の各種添加剤等が挙げられる。
【0067】
本実施形態のトナーには必要に応じて無機粒子を添加してもよい。前記無機粒子としてはシリカ粒子、酸化チタン粒子、アルミナ粒子、酸化セリウム粒子、あるいはこれらの表面を疎水化処理したもの等公知の無機粒子を単独または二種以上を組み合わせて使用すればよいが、発色性や透明フィルムの透過性等の透明性を損なわないという観点から屈折率が結着樹脂よりも小さいシリカ粒子が好ましい。またシリカ粒子は種々の表面処理を施されてもよく、例えばシラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、シリコーンオイル等で表面処理したものが好ましい。
【0068】
これら無機粒子を添加することによりトナーの粘弾性を調整してもよく、画像光沢度や紙への染み込みを調整してもよい。無機粒子はトナー原料100質量部に対して0.5質量%以上20質量%以下含有されることが好ましく、1質量%以上15質量%以下がさらに好ましい。
【0069】
本実施形態のトナーには必要に応じて帯電制御剤を添加してもよい。帯電制御剤としてはクロム系アゾ染料、鉄系アゾ染料、アルミニウムアゾ染料、サリチル酸金属錯体などを使用すればよい。
【0070】
<静電荷像現像用トナーの製造方法>
本実施形態に係るトナーは、乳化凝集法(凝集・合一法)などの湿式製法で製造することが好ましい。
【0071】
本実施形態に係る静電荷像現像用トナーの製造方法は、例えば、樹脂粒子を分散した樹脂粒子分散液と、着色剤を分散した着色剤分散液と、離型剤を分散した離型剤分散液とを混合し、樹脂粒子、離型剤および着色剤を含む凝集粒子を形成する凝集工程と、凝集系内のpHを調整して凝集粒子の凝集の成長を停止させる停止工程と、凝集粒子を樹脂粒子の融点またはガラス転移温度以上の温度に加熱して、融合させる融合工程と、融合して得られたトナー粒子を少なくとも水を用いて洗浄する洗浄工程と、を含む方法である。トナー粒子を乾燥する乾燥工程をさらに有していてもよい。また、必要に応じて、凝集工程の後に、同じまたは異なる樹脂粒子を添加し、凝集粒子の表面に付着させるシェル層形成工程を有してもよい。
【0072】
以下、静電荷像現像用トナーの製造方法の一例における各工程について詳細に説明する。なお、本実施形態に係るトナーの製造方法はこれに限定されるものではない。
【0073】
[分散液調製工程]
分散液調製工程においては、樹脂粒子分散液、着色剤分散液、離型剤分散液などを準備する。
【0074】
樹脂粒子分散液は、公知の転相乳化方法を用いるか、あるいは樹脂のガラス転移温度以上に加熱して機械的せん断力によって乳化させる方法などを用いて調製すればよい。この際、イオン性界面活性剤を添加してもよい。さらに、樹脂粒子分散液を遠心分離機等により無着色粒子を分離してもよい。
【0075】
着色剤分散液は、例えば、イオン性界面活性剤を用いて、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック等の所望の色の着色剤粒子を溶媒中に分散させることにより調製すればよい。
【0076】
離型剤分散液は、例えば、離型剤を、水中に高分子電解質(例えば、イオン性界面活性剤や高分子酸や高分子塩基など)とともに分散し、離型剤の融点以上に加熱するとともに、強い剪断をかけられるホモジナイザや圧力吐出型分散機により粒子化することにより調製すればよい。
【0077】
[凝集工程]
凝集工程においては、樹脂粒子分散液と着色剤分散液と離型剤分散液とを混合し、樹脂粒子と離型剤と必要に応じて着色剤とをヘテロ凝集させ、所望のトナー径にほぼ近い径を持つ凝集粒子(コア凝集粒子)を形成する。
【0078】
[シェル層形成工程]
シェル層形成工程においては、コア凝集粒子の表面に、樹脂粒子を含む樹脂粒子分散液を用いて樹脂粒子を付着させ、所望の厚みの被覆層(シェル層)を形成することにより、コア凝集粒子表面にシェル層が形成されたコア/シェル構造を持つ凝集粒子(コア/シェル凝集粒子)を得る。
【0079】
なお、凝集工程、シェル層形成工程は、段階的に複数回に分けて繰り返し実施したものであってもよい。
【0080】
ここで、凝集工程およびシェル層形成工程において用いられる、樹脂粒子、着色剤、離型剤の体積平均粒径は、トナー径および粒度分布を所望の値に調整するのを容易とするために、1μm以下であることが好ましく、100nm以上300nm以下の範囲であることがより好ましい。
【0081】
体積平均粒径は、レーザ回折式粒度分布測定装置(LA−700:堀場製作所製)を用いて測定する。測定法としては分散液となっている状態の試料を固形分で約2gになるように調整し、これにイオン交換水を添加して、約40mLにする。これをセルに適当な濃度になるまで投入し、約2分間待って、セル内の濃度がほぼ安定になったところで測定する。得られたチャンネルごとの体積平均粒径を、体積平均粒径の小さい方から累積し、累積50%になったところを体積平均粒径とする。
【0082】
[停止工程]
停止工程においては、凝集系内のpHを調整することにより、凝集粒子の凝集成長を停止させる。例えば、凝集系内のpHを6以上9以下の範囲に調整することにより、凝集粒子の成長を停止させる。
【0083】
[融合工程]
融合工程(融合・合一工程)においては、まず、凝集工程および必要に応じて行われたシェル形成工程を経て得られた凝集粒子を含有する溶液中にて、凝集粒子中に含まれる樹脂粒子の融点あるいはガラス転移温度以上の温度に加熱して、融合・合一することによりトナー粒子を得る。
【0084】
[洗浄工程]
洗浄工程においては、融合工程にて得られたトナー粒子の分散液にイオン交換水等による置換洗浄を少なくとも施し、固液分離を行う。固液分離方法には特に制限はないが、生産性などの点から、吸引濾過、加圧濾過等が好ましく用いられる。
【0085】
[乾燥工程]
乾燥工程においては、固液分離されたウェットケーキを乾燥し、トナー粒子を得る。乾燥方法には特に制限はないが、生産性などの点から、凍結乾燥、フラッシュジェット乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等が好ましく用いられる。
【0086】
<静電荷像現像用トナーの物性>
本実施形態に係る静電荷像現像用トナーの体積平均粒径としては、4μm以上8μm以下の範囲が好ましく、5μm以上7μm以下の範囲がより好ましく、また、個数平均粒径としては、3μm以上7μm以下の範囲が好ましく、4μm以上6μm以下の範囲がより好ましい。
【0087】
前記体積平均粒径および個数平均粒径の測定は、コールターマルチサイザII型(ベックマン−コールター社製)を用いて、50μmのアパーチャ径で測定することにより行われる。この時、測定はトナーを電解質水溶液(アイソトン水溶液)に分散させ、超音波により30秒分散させた後に行う。
【0088】
また、本実施形態に係る静電荷像現像用トナーの体積平均粒度分布指標GSDvは、1.27以下であり、好ましくは1.25以下である。GSDvが1.27を超えると粒度分布がシャープとならず、解像性が低下し、トナー飛散やかぶり等の画質欠陥の原因となる場合がある。
【0089】
なお、体積平均粒径D50vおよび体積平均粒度分布指標GSDvは、以下のようにして求める。前述のコールターマルチサイザII型(ベックマン−コールター社製)で測定されるトナーの粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャネル)に対して体積、数をそれぞれ小径側から累積分布を描いて、累積16%となる粒径を体積D16v、数D16p、累積50%となる粒径を体積D50v、数D50p、累積84%となる粒径を体積D84v、数D84pと定義する。この際、D50vは体積平均粒径を表し、体積平均粒度分布指標(GSDv)は(D84v/D16v)1/2として求められる。なお、(D84p/D16p)1/2は数平均粒度分布指標(GSDp)を表す。
【0090】
また、本実施形態に係る静電荷像現像用トナーの、下記式で表される形状係数SF1は好ましくは110以上140以下の範囲、より好ましくは115以上130以下の範囲である。
SF1=(ML/A)×(π/4)×100
〔ただし、上記式において、MLはトナーの最大長(μm)を表し、Aはトナーの投影面積(μm)を表す。〕
トナーの形状係数SF1が110より小さい、または140を超えると、長期にわたって、優れた帯電性、クリーニング性、転写性が得られないことがある。
【0091】
なお、形状係数SF1はルーゼックス画像解析装置(株式会社ニレコ製、FT)を用いて次のように測定する。まず、スライドグラス上に散布したトナーの光学顕微鏡像をビデオカメラを通じてルーゼックス画像解析装置に取り込み、50個のトナーについて最大長(ML)と投影面積(A)を測定し、個々のトナーについて、(ML/A)×(π/4)×100を算出し、これを平均した値を形状係数SF1として求める。
【0092】
<静電荷像現像用現像剤>
本実施形態において、静電荷像現像用現像剤は、前記本実施形態の静電荷像現像用トナーを含有する以外は特に制限はなく、目的に応じて適宜の成分組成をとればよい。本実施形態における静電荷像現像用現像剤は、静電荷像現像用トナーを、単独で用いると一成分系の静電荷像現像用現像剤となり、また、キャリアと組み合わせて用いると二成分系の静電荷像現像用現像剤となる。
【0093】
例えばキャリアを用いる場合のそのキャリアとしては、特に制限はなく、それ自体公知のキャリアが挙げられ、樹脂被覆キャリア等の公知のキャリアが用いられる。
【0094】
キャリアの具体例としては、以下の樹脂被覆キャリアが挙げられる。該キャリアの核体粒子としては、通常の鉄粉、フェライト、マグネタイト造型物などが挙げられ、その体積平均粒径は、30μm以上200μm以下程度の範囲である。
【0095】
また、上記樹脂被覆キャリアの被覆樹脂としては、例えば、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のα−メチレン脂肪酸モノカルボン酸類;ジメチルアミノエチルメタクリレート等の含窒素アクリル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類;2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等のビニルピリジン類;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロぺニルケトン等のビニルケトン類;エチレン、プロピレン等のオレフィン類;弗化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン等のビニル系フッ素含有単量体;などの単独重合体、または2種類以上の単量体からなる共重合体、さらに、メチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン等を含むシリコーン樹脂類、ビスフェノール、グリコール等を含有するポリエステル類、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で用いてもよいし、あるいは2種以上併用してもよい。被覆樹脂の被覆量としては、前記核体粒子100質量部に対して0.1質量部以上10質量部以下程度の範囲が好ましく、0.5質量部以上3.0質量部以下の範囲がより好ましい。
【0096】
キャリアの製造には、加熱型ニーダ、加熱型ヘンシェルミキサ、UMミキサなどを使用すればよく、前記被覆樹脂の量によっては、加熱型流動転動床、加熱型キルンなどを使用してもよい。
【0097】
静電荷像現像用現像剤における前記本実施形態の静電荷像現像用トナーとキャリアとの混合比としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択すればよい。
【0098】
<トナーカートリッジ>
本実施形態に係るトナーカートリッジは、前記本実施形態の静電荷像現像用トナーを含有するものであればよく、特に制限はない。トナーカートリッジは、例えば、現像手段を備えた画像形成装置に着脱され、この現像手段に供給されるためのトナーとして、前記本実施形態の静電荷像現像用トナーが収納されているものである。
【0099】
<プロセスカートリッジ>
本実施形態に係るプロセスカートリッジは、像保持体と、像保持体の表面に形成された静電潜像を現像剤を用いて現像して現像像を形成する現像手段とを備える。本実施形態のプロセスカートリッジは、必要に応じて、像保持体の表面を帯電させる帯電手段と、帯電した像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、像保持体の表面に形成された現像像を被転写体に転写する転写手段と、転写後の像保持体の表面に残留した残留トナー等を除去して清掃する像保持体清掃手段と、被転写体に転写された現像像を定着するための定着手段とからなる群より選択される少なくとも1つを備えていてもよい。
【0100】
本発明の実施形態に係るプロセスカートリッジの一例の概略構成を図1に示し、その構成について説明する。プロセスカートリッジ1は、静電潜像が形成される像保持体としての感光体(電子写真感光体)14と、感光体14の表面を帯電する帯電手段としての帯電装置10と、感光体14の表面に形成された静電潜像にトナーを付着させて現像像を形成する現像手段としての現像装置16と、感光体14の表面に接触して、転写後に感光体14の表面に残留した残留トナーなどを除去して清掃する像保持体清掃手段としてのクリーニングブレード20とが一体に支持されており、画像形成装置に着脱自在である。画像形成装置に装着されたときには感光体14の周囲に、帯電装置10、レーザ光あるいは原稿の反射光などにより感光体14の表面に静電潜像を形成する潜像形成手段としての露光装置12、現像装置16、感光体14表面の現像像を被転写体である記録用紙24に転写処理する転写手段としての転写ロール18、クリーニングブレード20がこの順序で配置されるようになっている。なお、図1では、他の電子写真プロセスにおいて通常必要な機能ユニットは、その記載を省略してある。
【0101】
本実施形態に係るプロセスカートリッジ1の動作について説明する。
【0102】
まず、帯電装置10により感光体14の表面が帯電される(帯電工程)。次に、露光装置12により感光体14の表面に光が当てられ、光の当てられた部分の帯電電荷が除去され、画像情報に応じて静電潜像(静電荷像)が形成される(潜像形成工程)。その後、静電潜像が現像装置16により現像され、感光体14の表面に現像像が形成される(現像工程)。例えば、感光体14として有機感光体を用い、露光装置12としてレーザビーム光を用いたデジタル式電子写真複写機の場合、感光体14の表面は、帯電装置10により負電荷を付与され、レーザビーム光によりドット状にデジタル潜像が形成され、レーザビーム光の当たった部分に現像装置16でトナーを付与され可視像化される。この場合、現像装置16にはマイナスのバイアスが印加されている。次に転写ロール18で、被転写体である記録用紙24がこの現像像に重ねられ、記録用紙24の裏側からトナーとは逆極性の電荷が記録用紙24に与えられ、静電気力により現像像が記録用紙24に転写される(転写工程)。転写された現像像は、定着手段としての定着ロール22を有する定着装置において熱および圧力が加えられ、記録用紙24に融着されて定着される(定着工程)。一方、転写されずに感光体14の表面に残存したトナー等の残留物はクリーニングブレード20により除去される(像保持体清掃工程)。この帯電工程から像保持体清掃工程に至る一連のプロセスで一回のサイクルが終了する。なお、図1において、転写ロール18で記録用紙24に直接現像像が転写されているが、中間転写ベルト等の中間転写体を介して転写されてもよい。
【0103】
帯電手段である帯電装置10としては、例えば、図1に示すようなコロトロンなどの帯電器が用いられるが、導電性または半導電性の帯電ロールを用いてもよい。導電性または半導電性の帯電ロールを用いた接触型帯電器は、感光体14に対し、直流電流を印加するか、交流電流を重畳させて印加してもよい。例えばこのような帯電装置10により、感光体14との接触部近傍の微小空間で放電を発生させることにより感光体14表面を帯電させる。なお、通常は、−300V以上−1000V以下に帯電される。また前記の導電性または半導電性の帯電ロールは単層構造あるいは多重構造でもよい。また、帯電ロールの表面をクリーニングする機構を設けてもよい。
【0104】
感光体14は、少なくとも静電潜像(静電荷像)が形成される機能を有する。電子写真感光体は、円筒状の導電性の基体外周面に必要に応じて下引き層と、電荷発生物質を含む電荷発生層と、電荷輸送物質を含む電荷輸送層とがこの順序で形成されたものである。電荷発生層と電荷輸送層の積層順序は逆であってもよい。これらは、電荷発生物質と電荷輸送物質とを別個の層(電荷発生層、電荷輸送層)に含有させて積層した積層型感光体であるが、電荷発生物質と電荷輸送物質との双方を同一の層に含む単層型感光体であってもよく、好ましくは積層型感光体である。また、下引き層と感光層との間に中間層を有していてもよい。また、感光層の上に保護層を有してもよい。また、有機感光体に限らずアモルファスシリコン感光膜など他の種類の感光層を使用してもよい。
【0105】
露光装置12としては、特に制限はなく、例えば、感光体14表面に、半導体レーザ光、LED(Light Emitting Diode)光、液晶シャッタ光などの光源を、所望の像様に露光するレーザ光学系、LEDアレイなどの光学系機器などが挙げられる。
【0106】
現像手段は、感光体14上に形成された静電潜像を静電荷像現像用トナーを含む一成分現像剤あるいは二成分現像剤により現像して現像像を形成する機能を有する。そのような現像装置としては、上述の機能を有している限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択すればよく、トナー層が感光体14に接触する方式のものでも、接触しない方式のものでもよい。例えば、図1のように静電荷像現像用トナーを現像装置16を用いて感光体14に付着させる機能を有する現像器、あるいはブラシなどを用いてトナーを感光体14に付着させる機能を有する現像器など、公知の現像器などが挙げられる。
【0107】
本実施形態に係るプロセスカートリッジにおける現像装置16は、現像剤を保持して、像保持体の表面に形成された静電潜像を現像して現像像を形成する現像剤保持体と、現像剤保持体の表面の現像剤の層厚を規制する層厚規制部材とを有し、現像剤保持体と層厚規制部材との間の間隔が100μm以上500μm以下の範囲であり、200μm以上400μm以下の範囲であることが好ましい。トナーの凝集があると、現像剤搬送部材と現像剤規制部材との隙間において詰まりが発生することがあるが、本実施形態に係るトナーは、特定の熱条件下での保管後でも凝集が発生しにくく、保管性に優れるため、現像剤保持体と層厚規制部材との間の間隔を100μm以上500μm以下の範囲と、通常より狭くしてもよい。
【0108】
転写手段である転写装置としては、例えば、記録用紙24の裏側からトナーとは逆極性の電荷を記録用紙24に与え、静電気力によりトナー画像を記録用紙24に転写するもの、あるいは図1に示すような記録用紙24の表面に記録用紙24を介して直接接触して転写する導電性または半導電性のロール等を用いた転写ロールおよび転写ロール押圧装置を用いればよい。転写ロールには、像保持体に付与する転写電流として、直流電流を印加してもよいし、交流電流を重畳させて印加してもよい。転写ロールは、帯電すべき画像領域幅、転写帯電器の形状、開口幅、プロセススピード(周速)等により、任意に設定すればよい。また、低コスト化のため、転写ロールとして単層の発泡ロール等が好適に用いられる。転写方式としては、記録用紙24に直接転写する方式でも、中間転写体を介して記録用紙24に転写する方式でもよい。
【0109】
中間転写体としては、公知の中間転写体を用いればよい。中間転写体に用いられる材料としては、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアルキレンフタレート、PC/ポリアルキレンテレフタレート(PAT)のブレンド材料、エチレンテトラフロロエチレン共重合体(ETFE)/PC、ETFE/PAT、PC/PATのブレンド材料等が挙げられるが、機械的強度の観点から熱硬化ポリイミド樹脂を用いた中間転写ベルトが好ましい。
【0110】
像保持体清掃手段としては、像保持体上の残留トナー等を除去して清掃するものであれば、ブレードクリーニング方式、ブラシクリーニング方式、ロールクリーニング方式を採用したもの等、適宜選定して差し支えない。これらの中でもクリーニングブレードを用いることが好ましい。また、クリーニングブレードの材質としてはウレタンゴム、ネオプレンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。中でも、耐摩耗性に優れていることから、特にポリウレタン弾性体を用いることが好ましい。ただし、転写効率の高いトナーを使用する場合にはクリーニングブレード20を使用しない態様であってもよい。
【0111】
定着手段としての定着装置としては、記録用紙24に転写された現像像を加熱、加圧あるいは加熱加圧により定着するものであれば特に制限はない。例えば、加熱ロールと加圧ロールとを備える定着装置が用いられる。
【0112】
現像像を転写する被転写体である記録用紙24としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンタなどに使用される普通紙、OHPシートなどが挙げられる。定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、転写材の表面もできるだけ平滑であることが好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂などでコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙などが好適に使用される。
【0113】
<画像形成装置>
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、像保持体の表面を帯電させる帯電手段と、像保持体の表面に静電潜像を形成する潜像形成手段と、像保持体の表面に形成された静電潜像を現像剤を用いて現像して現像像を形成する現像手段と、現像された現像像を被転写体に転写する転写手段とを備える。本実施形態の画像形成装置は、必要に応じて、被転写体に転写された現像像を定着するための定着手段と、転写後の像保持体の表面に残留した残留トナー等を除去して清掃する像保持体清掃手段と、からなる群より選択される少なくとも1つを備えていてもよい。また、本実施形態に係る画像形成装置は、上記プロセスカートリッジを使用するものであってもよい。
【0114】
本実施形態に係る画像形成装置の一例の概略構成を図2に示し、その構成について説明する。画像形成装置3は、静電潜像が形成される像保持体としての感光体14と、感光体14の表面を帯電する帯電手段としての帯電装置10と、レーザ光あるいは原稿の反射光などにより感光体14の表面に静電潜像を形成する潜像形成手段としての露光装置12と、感光体14の表面に形成された静電潜像にトナーを付着させて現像像を形成する現像手段としての現像装置16と、感光体14表面の現像像を被転写体である記録用紙24に転写処理する転写手段としての転写ロール18と、感光体14の表面に接触して、転写後に感光体14の表面に残留した残留トナーなどを除去して清掃する像保持体清掃手段としてのクリーニングブレード20とを備える。画像形成装置3において、感光体14の周囲に、帯電装置10、露光装置12、現像装置16、転写ロール18、クリーニングブレード20がこの順序で配置されている。また、定着手段として定着ロール22を有する定着装置を備える。なお、図2では、他の電子写真プロセスにおいて通常必要な機能ユニットは、その記載を省略してある。画像形成装置3の各構成、画像形成時の動作は図1のプロセスカートリッジ1と同様である。
【0115】
本実施形態に係る画像形成装置における現像装置16は、現像剤を保持して、像保持体の表面に形成された静電潜像を現像して現像像を形成する現像剤保持体と、現像剤保持体の表面の現像剤の層厚を規制する層厚規制部材とを有し、現像剤保持体と層厚規制部材との間の間隔が100μm以上500μm以下の範囲であり、200μm以上400μm以下の範囲であることが色スジの発生が抑制される点で好ましい。現像剤保持体と層厚規制部材との間の間隔が100μm未満であると層厚規制部材により規制される現像剤同士の圧力等により、凝集性の悪化を制御できなくなる場合があり、また500μmを超えると現像剤保持体と層厚規制部材との間にある現像剤が多すぎるために、かえって凝集しやすくなるため、結果的にいずれの場合も色スジが発生しやすくなることがある。
【0116】
本実施形態に係るプロセスカートリッジおよび画像形成装置の各構成については、これらに限らず従来から電子写真方式のプロセスカートリッジおよび画像形成装置の各構成として公知の構成を適用してもよい。すなわち、帯電手段、潜像形成手段、現像手段、転写手段、像保持体清掃手段、除電手段、給紙手段、搬送手段、画像制御手段等について、必要に応じて従来公知のものが適宜採用される。これらの構成については、本実施形態において特に限定されるものではない。
【実施例】
【0117】
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0118】
まず、本実施例において、各測定は次のように行った。
【0119】
[ガラス転移温度の測定方法]
トナー、無着色粒子のガラス転移温度は、DSC(示差走査型熱量計)測定法により決定し、ASTM D3418−8に準拠して測定された主体極大ピークより求めた。
【0120】
主体極大ピークの測定には、パーキンエルマー社製のDSC−7を用いる。この装置の検出部の温度補正はインジウムと亜鉛との融点を用い、熱量の補正にはインジウムの融解熱を用いる。サンプルは、アルミニウム製パンを用い、対照用に空パンをセットし、昇温速度10℃/minで測定を行った。
【0121】
[分子量、分子量分布の測定方法]
分子量分布は、以下の条件で行ったものである。GPCは「HLC−8120GPC、SC−8020(東ソー(株)社製)装置」を用い、カラムは「TSKgel、SuperHM−H(東ソー(株)社製、6.0mmID×15cm)」を2本用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いた。実験条件としては、試料濃度0.5%、流速0.6ml/min、サンプル注入量10μl、測定温度40℃、IR検出器を用いて実験を行った。また、検量線は東ソー社製「polystylene標準試料TSK standard」:「A−500」、「F−1」、「F−10」、「F−80」、「F−380」、「A−2500」、「F−4」、「F−40」、「F−128」、「F−700」の10サンプルから作製した。
【0122】
[着色剤を含まない無着色粒子の個数、SF1の測定方法]
トナー中の着色剤を含有していない無着色粒子を、10×400倍光学顕微鏡で観察し、トナー粒子5,000個中の無着色粒子の個数を数えた。
【0123】
[形状係数SF1の測定方法]
トナーおよび無着色粒子の形状係数SF1は、以下の式により算出した。
SF1=(ML/A)×(π/4)×100
(ただし、上記式において、MLはトナーの最大長(μm)を表し、Aはトナーの投影面積(μm)を表す。)
形状係数SF1は、ルーゼックス画像解析装置(株式会社ニレコ製、FT)を用いて次のように測定した。まず、スライドグラス上に散布したトナーの光学顕微鏡像を、ビデオカメラを通じてルーゼックス画像解析装置に取り込み、50個のトナーまたは無着色粒子について最大長(ML)と投影面積(A)を測定し、個々のトナーについて、(ML/A)×(π/4)×100を算出し、これを平均した値を形状係数SF1として求めた。
【0124】
[Sn元素量の測定方法]
トナー、無着色粒子に含まれるSn元素量は、走査型電子顕微鏡装置(日立協和エンジニアリング社製)を用いて、トナー表面、無着色粒子表面から検出されるSn元素と炭素元素の比により測定した。具体的には炭素とSnの量との比を測定し、これをトナーと無着色粒子とを比較することにより、トナーと無着色粒子とのスズ元素量の量比とした。
【0125】
[無着色粒子中の着色材料の測定方法]
無着色粒子に含まれる着色剤の量は、着色剤にCuやCaなどの特殊な金属が含まれている場合は前述のSEM−EDXによる断面観察によりトナー断面と無着色粒子断面の比較することにより、または、無着色粒子をアセトン、酢酸エチルなどの溶媒に溶解させ、粒子の重量と溶媒量、吸収される着色剤の吸収波長と吸光係数からランベルト−ベールの法則により求めた。なお測定する着色剤の吸光係数がわからない場合は、トナーをDTAにより熱分解させ、最も高い温度で分解した成分の量を測定し、これからトナー中の着色剤の濃度を求め、さらにトナーを前述の溶媒に溶解させ、トナーの重量と溶媒量、吸収される着色剤の吸収波長から吸光係数を求め、着色剤量を測定した。
【0126】
[無着色粒子中の成分分析方法]
無着色粒子にポリエステル樹脂が含まれること、ポリエステル樹脂の構成成分は、赤外分光光度計(島津製作所社製、FT−IR)を用いて、エステルの吸収波長を確認した。
【0127】
(ポリエステル樹脂1の作製)
テレフタル酸ジメチル(和光純薬製) 10モル部
フマル酸ジメチル(和光純薬製) 87モル部
n−ドデセニルコハク酸(和光純薬製) 3モル部
ビスフェノールA エチレンオキサイド2モル付加物(和光純薬製) 85モル部
ビスフェノールA プロピレンオキサイド2モル付加物(和光純薬製)15モル部
ジブチルスズオキシド(和光純薬製) 0.1モル部
以上の成分を、窒素置換したフラスコに入れ、150℃で4時間、さらに減圧下200℃で6時間反応させた後、無水トリメリット酸8質量部、ジブチルスズオキシド0.02モル部を加え、さらに減圧下30分反応させ、重量平均分子量(Mw)12,500、ガラス転移温度(Tg)60℃のポリエステル樹脂1を得た。
【0128】
(樹脂粒子分散液1の作製)
上記ポリエステル樹脂1を溶融状態のまま、キャビトロンCD1010((株)ユーロテック製)に毎分100gの速度で移送した。別途準備した水性媒体タンクに試薬アンモニア水をイオン交換水で希釈した0.37質量%濃度の希アンモニア水を入れ、熱交換器で120℃に加熱しながら毎分0.1リットルの速度で上記ポリエステル樹脂溶融体と同時に上記キャビトロンに移送した。回転子の回転速度が60Hz、圧力が5kg/cmの条件でキャビトロンを運転し、体積平均粒径160nm、固形分30%の樹脂粒子分散液を得た。さらに、以下の条件で遠心分離処理を行い、樹脂粒子分散液1を得た。
【0129】
[遠心分離条件]
装置:遠心分離機 himac CR 22G(日立製作所製)
回転数:12,000rpm
分離時間:30min
溶媒:メチルエチルケトン(MEK)
サンプル濃度:10質量%溶液
【0130】
(ポリエステル樹脂2の作製)
ポリエステル樹脂1の作製において、始めに添加するジブチルスズオキシドを0.1モル部から0.08モル部にし、150℃で4時間、さらに減圧下200℃で6時間反応させるところを、214℃で6時間反応させる以外はポリエステル樹脂1と同様に作製してポリエステル樹脂2を得た。
【0131】
(ポリエステル樹脂3の作製)
ポリエステル樹脂1の作製において、始めに添加するジブチルスズオキシドを0.1モル部から0.08モル部にし、150℃で4時間、さらに減圧下200℃で6時間反応させるところを、218℃で6時間反応させる以外はポリエステル樹脂1と同様に作製してポリエステル樹脂3を得た。
【0132】
(ポリエステル樹脂4の作製)
ポリエステル樹脂1の作製において、始めに添加するジブチルスズオキシドを0.1モル部から0.07モル部にし、150℃で4時間、さらに減圧下200℃で6時間反応させるところを、224℃で6時間反応させる以外はポリエステル樹脂1と同様に作製してポリエステル樹脂4を得た。
【0133】
(ポリエステル樹脂5の作製)
ポリエステル樹脂1の作製において、始めに添加するジブチルスズオキシドを0.1モル部から0.07モル部にし、150℃で4時間、さらに減圧下200℃で6時間反応させるところを、228℃で6時間反応させる以外はポリエステル樹脂1と同様に作製してポリエステル樹脂5を得た。
【0134】
(ポリエステル樹脂6の作製)
ポリエステル樹脂1の作製において、始めに添加するジブチルスズオキシドを0.1モル部から0.09モル部にし、150℃で4時間、さらに減圧下200℃で6時間反応させるところを、208℃で6時間反応させる以外はポリエステル樹脂1と同様に作製してポリエステル樹脂6を得た。
【0135】
(樹脂粒子分散液2〜6の作製)
ポリエステル樹脂1から樹脂粒子分散液1を作製したのと同じ条件で樹脂分散および遠心分離処理を行い、樹脂粒子分散液2〜6を得た。
【0136】
(樹脂粒子分散液7の作製)
樹脂粒子分散液1の製造において遠心分離にかける時間を30分から22分に変更した以外は、樹脂粒子分散液1の製造と同様にして樹脂粒子分散液7を作製した。
【0137】
(樹脂粒子分散液8の作製)
樹脂粒子分散液2の製造において遠心分離にかける時間を30分から22分に変更した以外は、樹脂粒子分散液2の製造と同様にして樹脂粒子分散液8を作製した。
【0138】
(樹脂粒子分散液9の作製)
樹脂粒子分散液3の製造において遠心分離にかける時間を30分から22分に変更した以外は、樹脂粒子分散液3の製造と同様にして樹脂粒子分散液9を作製した。
【0139】
(樹脂粒子分散液10の作製)
樹脂粒子分散液1の製造において遠心分離にかける時間を30分から19分に変更した以外は、樹脂粒子分散液1の製造と同様にして樹脂粒子分散液10を作製した。
【0140】
(樹脂粒子分散液11の作製)
樹脂粒子分散液2の製造において遠心分離にかける時間を30分から19分に変更した以外は、樹脂粒子分散液2の製造と同様にして樹脂粒子分散液11を作製した。
【0141】
(樹脂粒子分散液12の作製)
樹脂粒子分散液1の製造において遠心分離にかける時間を30分から15分に変更した以外は、樹脂粒子分散液1の製造と同様にして樹脂粒子分散液12を作製した。
【0142】
(樹脂粒子分散液13の作製)
樹脂粒子分散液4の製造において遠心分離にかける時間を30分から15分に変更した以外は、樹脂粒子分散液4の製造と同様にして樹脂粒子分散液13を作製した。
【0143】
(樹脂粒子分散液14の作製)
樹脂粒子分散液5の製造において遠心分離にかける時間を30分から15分に変更した以外は、樹脂粒子分散液5の製造と同様にして樹脂粒子分散液14を作製した。
【0144】
(樹脂粒子分散液15の作製)
樹脂粒子分散液1の製造において遠心分離条件のうち回転数を11,000rpm、時間を12分に変更した以外は、樹脂粒子分散液1の製造と同様にして樹脂粒子分散液15を作製した。
【0145】
(樹脂粒子分散液16の作製)
樹脂粒子分散液4の製造において遠心分離にかける時間を30分から11分に変更した以外は、樹脂粒子分散液4の製造と同様にして樹脂粒子分散液16を作製した。
【0146】
(樹脂粒子分散液17の作製)
樹脂粒子分散液1の製造において遠心分離条件のうち回転数を15,000rpm、時間を45分に変更した以外は、樹脂粒子分散液1の製造と同様にして樹脂粒子分散液17を作製した。
【0147】
(樹脂粒子分散液18の作製)
樹脂粒子分散液2の製造において遠心分離条件のうち回転数を15,000rpm、時間を45分に変更した以外は、樹脂粒子分散液2の製造と同様にして樹脂粒子分散液18を作製した。
【0148】
(樹脂粒子分散液19の作製)
樹脂粒子分散液4の製造において遠心分離条件のうち回転数を15,000rpm、時間を45分に変更した以外は、樹脂粒子分散液4の製造と同様にして樹脂粒子分散液19を作製した。
【0149】
(ポリエステル樹脂7および樹脂粒子分散液20の作製)
ポリエステル樹脂6の作製において、始めに添加するジブチルスズオキシドを0.09モル部から0.01モル部にし、減圧下208℃で6時間反応させるところを、208℃で2.9時間反応させる以外はポリエステル樹脂6と同様に作製してポリエステル樹脂7を得た。さらに、ポリエステル樹脂6から樹脂粒子分散液6を作製したのと同じ条件でポリエステル樹脂7の樹脂分散および遠心分離処理を行い、樹脂粒子分散液20を得た。
【0150】
(ポリエステル樹脂8および樹脂粒子分散液21の作製)
ポリエステル樹脂6の作製において、始めに添加するジブチルスズオキシドを0.09モル部から0.02モル部にし、減圧下208℃で6時間反応させるところを、208℃で3.1時間反応させる以外はポリエステル樹脂6と同様に作製してポリエステル樹脂8を得た。さらに、ポリエステル樹脂6から樹脂粒子分散液6を作製したのと同じ条件でポリエステル樹脂8の樹脂分散および遠心分離処理を行い、樹脂粒子分散液21を得た。
【0151】
(ポリエステル樹脂9および樹脂粒子分散液22の作製)
ポリエステル樹脂6の作製において、始めに添加するジブチルスズオキシドを0.09モル部から0.03モル部にし、減圧下208℃で6時間反応させるところを、208℃で3.3時間反応させる以外はポリエステル樹脂6と同様に作製してポリエステル樹脂9を得た。さらに、ポリエステル樹脂6から樹脂粒子分散液6を作製したのと同じ条件でポリエステル樹脂9の樹脂分散および遠心分離処理を行い、樹脂粒子分散液22を得た。
【0152】
(ポリエステル樹脂10および樹脂粒子分散液23の作製)
ポリエステル樹脂6の作製において、始めに添加するジブチルスズオキシドを0.09モル部から0.04モル部にし、減圧下208℃で6時間反応させるところを、208℃で3.4時間反応させる以外はポリエステル樹脂6と同様に作製してポリエステル樹脂10を得た。さらに、ポリエステル樹脂6から樹脂粒子分散液6を作製したのと同じ条件でポリエステル樹脂10の樹脂分散および遠心分離処理を行い、樹脂粒子分散液23を得た。
【0153】
(ポリエステル樹脂11および樹脂粒子分散液24の作製)
ポリエステル樹脂6の作製において、始めに添加するジブチルスズオキシドを0.09モル部から0.05モル部にし、減圧下208℃で6時間反応させるところを、208℃で3.7時間反応させる以外はポリエステル樹脂6と同様に作製してポリエステル樹脂11を得た。さらに、ポリエステル樹脂6から樹脂粒子分散液6を作製したのと同じ条件でポリエステル樹脂11の樹脂分散および遠心分離処理を行い、樹脂粒子分散液24を得た。
【0154】
(ポリエステル樹脂12および樹脂粒子分散液25の作製)
ポリエステル樹脂6の作製において、始めに添加するジブチルスズオキシドを0.09モル部から0.11モル部にし、減圧下208℃で6時間反応させるところを、208℃で3.9時間反応させる以外はポリエステル樹脂6と同様に作製してポリエステル樹脂12を得た。さらに、ポリエステル樹脂6から樹脂粒子分散液6を作製したのと同じ条件でポリエステル樹脂12の樹脂分散および遠心分離処理を行い、樹脂粒子分散液25を得た。
【0155】
(ポリエステル樹脂13および樹脂粒子分散液26の作製)
ポリエステル樹脂6の作製において、始めに添加するジブチルスズオキシドを0.09モル部から0.12モル部にし、減圧下208℃で6時間反応させるところを、208℃で7.6時間反応させる以外はポリエステル樹脂6と同様に作製してポリエステル樹脂13を得た。さらに、ポリエステル樹脂6から樹脂粒子分散液6を作製したのと同じ条件でポリエステル樹脂13の樹脂分散および遠心分離処理を行い、樹脂粒子分散液26を得た。
【0156】
(ポリエステル樹脂14および樹脂粒子分散液27の作製)
ポリエステル樹脂6の作製において、始めに添加するジブチルスズオキシドを0.09モル部から0.14モル部にし、減圧下208℃で6時間反応させるところを、208℃で7.8時間反応させる以外はポリエステル樹脂6と同様に作製してポリエステル樹脂14を得た。さらに、ポリエステル樹脂6から樹脂粒子分散液6を作製したのと同じ条件でポリエステル樹脂14の樹脂分散および遠心分離処理を行い、樹脂粒子分散液27を得た。
【0157】
(ポリエステル樹脂15および樹脂粒子分散液28の作製)
ポリエステル樹脂6の作製において、始めに添加するジブチルスズオキシドを0.09モル部から0.14モル部にし、減圧下208℃で6時間反応させるところを、208℃で9.5時間反応させる以外はポリエステル樹脂6と同様に作製してポリエステル樹脂15を得た。さらに、ポリエステル樹脂6から樹脂粒子分散液6を作製したのと同じ条件でポリエステル樹脂15の樹脂分散および遠心分離処理を行い、樹脂粒子分散液28を得た。
【0158】
(ポリエステル樹脂16および樹脂粒子分散液29の作製)
ポリエステル樹脂6の作製において、始めに添加するジブチルスズオキシドを0.09モル部から0.14モル部にし、減圧下208℃で6時間反応させるところを、208℃で10時間反応させる以外はポリエステル樹脂6と同様に作製してポリエステル樹脂16を得た。さらに、ポリエステル樹脂6から樹脂粒子分散液6を作製したのと同じ条件でポリエステル樹脂16の樹脂分散および遠心分離処理を行い、樹脂粒子分散液29を得た。
【0159】
(ポリエステル樹脂17および樹脂粒子分散液30の作製)
ポリエステル樹脂6の作製において、始めに添加するジブチルスズオキシドを0.09モル部から0.16モル部にし、減圧下208℃で6時間反応させるところを、208℃で14時間反応させる以外はポリエステル樹脂6と同様に作製してポリエステル樹脂17を得た。さらに、ポリエステル樹脂6から樹脂粒子分散液6を作製したのと同じ条件でポリエステル樹脂17の樹脂分散および遠心分離処理を行い、樹脂粒子分散液30を得た。
【0160】
(ポリエステル樹脂18および樹脂粒子分散液31の作製)
ポリエステル樹脂6の作製において、始めに添加するジブチルスズオキシドを0.09モル部から0.17モル部にし、減圧下208℃で6時間反応させるところを、208℃で15時間反応させる以外はポリエステル樹脂6と同様に作製してポリエステル樹脂18を得た。さらに、ポリエステル樹脂6から樹脂粒子分散液6を作製したのと同じ条件でポリエステル樹脂18の樹脂分散および遠心分離処理を行い、樹脂粒子分散液31を得た。
【0161】
(ポリエステル樹脂19および樹脂粒子分散液32の作製)
テレフタル酸ジメチル) 10モル部
フマル酸ジメチル 80モル部
n−ドデセニルコハク酸 10モル部
ビスフェノールA エチレンオキサイド2モル付加物 48モル部
ビスフェノールA プロピレンオキサイド2モル付加物 52モル部
ジブチルスズオキシド 0.09モル部
始めの重合性単量体の組成を以上のようにした以外はポリエステル樹脂6と同様に作製してポリエステル樹脂19を得た。さらに、ポリエステル樹脂6から樹脂粒子分散液6を作製したのと同じ条件でポリエステル樹脂19の樹脂分散および遠心分離処理を行い、樹脂粒子分散液32を得た。
【0162】
(ポリエステル樹脂20および樹脂粒子分散液33の作製)
テレフタル酸ジメチル 10モル部
フマル酸ジメチル 82モル部
n−ドデセニルコハク酸 8モル部
ビスフェノールA エチレンオキサイド2モル付加物 65モル部
ビスフェノールA プロピレンオキサイド2モル付加物 35モル部
ジブチルスズオキシド 0.09モル部
始めの重合性単量体の組成を以上のようにした以外はポリエステル樹脂6と同様に作製してポリエステル樹脂20を得た。さらに、ポリエステル樹脂6から樹脂粒子分散液6を作製したのと同じ条件でポリエステル樹脂20の樹脂分散および遠心分離処理を行い、樹脂粒子分散液33を得た。
【0163】
(ポリエステル樹脂21および樹脂粒子分散液34の作製)
テレフタル酸ジメチル 10モル部
フマル酸ジメチル 84モル部
n−ドデセニルコハク酸 6モル部
ビスフェノールA エチレンオキサイド2モル付加物 70モル部
ビスフェノールA プロピレンオキサイド2モル付加物 30モル部
ジブチルスズオキシド 0.09モル部
始めの重合性単量体の組成を以上のようにした以外はポリエステル樹脂6と同様に作製してポリエステル樹脂21を得た。さらに、ポリエステル樹脂6から樹脂粒子分散液6を作製したのと同じ条件でポリエステル樹脂21の樹脂分散および遠心分離処理を行い、樹脂粒子分散液34を得た。
【0164】
(ポリエステル樹脂22および樹脂粒子分散液35の作製)
テレフタル酸ジメチル 10モル部
フマル酸ジメチル 84モル部
n−ドデセニルコハク酸 6モル部
ビスフェノールA エチレンオキサイド2モル付加物 74モル部
ビスフェノールA プロピレンオキサイド2モル付加物 26モル部
ジブチルスズオキシド 0.09モル部
始めの重合性単量体の組成を以上のようにした以外はポリエステル樹脂6と同様に作製してポリエステル樹脂22を得た。さらに、ポリエステル樹脂6から樹脂粒子分散液6を作製したのと同じ条件でポリエステル樹脂22の樹脂分散および遠心分離処理を行い、樹脂粒子分散液35を得た。
【0165】
(ポリエステル樹脂23および樹脂粒子分散液36の作製)
テレフタル酸ジメチル 10モル部
フマル酸ジメチル 84モル部
n−ドデセニルコハク酸 6モル部
ビスフェノールA エチレンオキサイド2モル付加物 78モル部
ビスフェノールA プロピレンオキサイド2モル付加物 22モル部
ジブチルスズオキシド 0.09モル部
始めの重合性単量体の組成を以上のようにした以外はポリエステル樹脂6と同様に作製してポリエステル樹脂23を得た。さらに、ポリエステル樹脂6から樹脂粒子分散液6を作製したのと同じ条件でポリエステル樹脂23の樹脂分散および遠心分離処理を行い、樹脂粒子分散液36を得た。
【0166】
(ポリエステル樹脂24および樹脂粒子分散液37の作製)
テレフタル酸ジメチル 10モル部
フマル酸ジメチル 85モル部
n−ドデセニルコハク酸 5モル部
ビスフェノールA エチレンオキサイド2モル付加物 81モル部
ビスフェノールA プロピレンオキサイド2モル付加物 19モル部
ジブチルスズオキシド 0.09モル部
始めの重合性単量体の組成を以上のようにした以外はポリエステル樹脂6と同様に作製してポリエステル樹脂24を得た。さらに、ポリエステル樹脂6から樹脂粒子分散液6を作製したのと同じ条件でポリエステル樹脂24の樹脂分散および遠心分離処理を行い、樹脂粒子分散液37を得た。
【0167】
(ポリエステル樹脂25および樹脂粒子分散液38の作製)
テレフタル酸ジメチル 10モル部
フマル酸ジメチル 85モル部
n−ドデセニルコハク酸 5モル部
ビスフェノールA エチレンオキサイド2モル付加物 87モル部
ビスフェノールA プロピレンオキサイド2モル付加物 13モル部
ジブチルスズオキシド 0.09モル部
始めの重合性単量体の組成を以上のようにした以外はポリエステル樹脂6と同様に作製してポリエステル樹脂25を得た。さらに、ポリエステル樹脂6から樹脂粒子分散液6を作製したのと同じ条件でポリエステル樹脂25の樹脂分散および遠心分離処理を行い、樹脂粒子分散液38を得た。
【0168】
(ポリエステル樹脂26および樹脂粒子分散液39の作製)
テレフタル酸ジメチル 10モル部
フマル酸ジメチル 86モル部
n−ドデセニルコハク酸 4モル部
ビスフェノールA エチレンオキサイド2モル付加物 90モル部
ビスフェノールA プロピレンオキサイド2モル付加物 10モル部
ジブチルスズオキシド 0.09モル部
始めの重合性単量体の組成を以上のようにした以外はポリエステル樹脂6と同様に作製してポリエステル樹脂26を得た。さらに、ポリエステル樹脂6から樹脂粒子分散液6を作製したのと同じ条件でポリエステル樹脂26の樹脂分散および遠心分離処理を行い、樹脂粒子分散液39を得た。
【0169】
(ポリエステル樹脂27および樹脂粒子分散液40の作製)
テレフタル酸ジメチル 10モル部
フマル酸ジメチル 87モル部
n−ドデセニルコハク酸 3モル部
ビスフェノールA エチレンオキサイド2モル付加物 93モル部
ビスフェノールA プロピレンオキサイド2モル付加物 7モル部
ジブチルスズオキシド 0.09モル部
始めの重合性単量体の組成を以上のようにした以外はポリエステル樹脂6と同様に作製してポリエステル樹脂27を得た。さらに、ポリエステル樹脂6から樹脂粒子分散液6を作製したのと同じ条件でポリエステル樹脂27の樹脂分散および遠心分離処理を行い、樹脂粒子分散液40を得た。
【0170】
(ポリエステル樹脂28および樹脂粒子分散液41の作製)
テレフタル酸ジメチル 10モル部
フマル酸ジメチル 87モル部
n−ドデセニルコハク酸 3モル部
ビスフェノールA エチレンオキサイド2モル付加物 95モル部
ビスフェノールA プロピレンオキサイド2モル付加物 5モル部
ジブチルスズオキシド 0.09モル部
始めの重合性単量体の組成を以上のようにした以外はポリエステル樹脂6と同様に作製してポリエステル樹脂28を得た。さらに、ポリエステル樹脂6から樹脂粒子分散液6を作製したのと同じ条件でポリエステル樹脂28の樹脂分散および遠心分離処理を行い、樹脂粒子分散液41を得た。
【0171】
(ポリエステル樹脂29および樹脂粒子分散液42の作製)
テレフタル酸ジメチル 10モル部
フマル酸ジメチル 87モル部
n−ドデセニルコハク酸 3モル部
ビスフェノールA エチレンオキサイド2モル付加物 98モル部
ビスフェノールA プロピレンオキサイド2モル付加物 2モル部
ジブチルスズオキシド 0.09モル部
始めの重合性単量体の組成を以上のようにした以外はポリエステル樹脂6と同様に作製してポリエステル樹脂29を得た。さらに、ポリエステル樹脂6から樹脂粒子分散液6を作製したのと同じ条件でポリエステル樹脂29の樹脂分散および遠心分離処理を行い、樹脂粒子分散液42を得た。
【0172】
(ポリエステル樹脂30および樹脂粒子分散液43の作製)
テレフタル酸ジメチル 10モル部
フマル酸ジメチル 89モル部
n−ドデセニルコハク酸 1モル部
ビスフェノールA エチレンオキサイド2モル付加物 100モル部
ジブチルスズオキシド 0.09モル部
始めの重合性単量体の組成を以上のようにした以外はポリエステル樹脂6と同様に作製してポリエステル樹脂30を得た。さらに、ポリエステル樹脂6から樹脂粒子分散液6を作製したのと同じ条件でポリエステル樹脂30の樹脂分散および遠心分離処理を行い、樹脂粒子分散液43を得た。
【0173】
(ポリエステル樹脂31および樹脂粒子分散液44の作製)
テレフタル酸ジメチル 10モル部
フマル酸ジメチル 87モル部
n−ドデセニルコハク酸 3モル部
エチレングリコール 96モル部
1、4−シクロヘキサンジメタノール 4モル部
ジブチルスズオキシド 0.09モル部
始めの重合性単量体の組成を以上のようにした以外はポリエステル樹脂6と同様に作製してポリエステル樹脂31を得た。さらに、ポリエステル樹脂6から樹脂粒子分散液6を作製したのと同じ条件でポリエステル樹脂31の樹脂分散および遠心分離処理を行い、樹脂粒子分散液44を得た。
【0174】
(顔料分散液1の調製)
C.I.ピグメントレッド122(大日精化社製:クロモファインマゼンタ6887) 80質量部
アニオン性界面活性剤(ダウケミカル社製、ダウファックス) 10質量部
イオン交換水 245質量部
上記成分を混合し、ホモジナイザ(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて20分間分散した後、循環式超音波分散機(日本精機製作所製、RUS−600TCVP)にかけて固形分量24.7質量%の顔料分散液1を調製した。
【0175】
(顔料分散液2の調製)
カーボンブラック(CABOT社製、R330)に変更した以外は顔料分散液1の調製と同様にして顔料分散液2を調製した。
【0176】
(顔料分散液3の調製)
C.I.ピグメントイエロー74(大日精化社製、セイカファストイエロー2054)に変更した以外は顔料分散液1の調製と同様にして顔料分散液3を調製した。
【0177】
(顔料分散液4の調製)
C.I.ピグメントブルー15:3(フタロシアニン系顔料:大日精化社製、シアニンブルー4937)に変更した以外は顔料分散液1の調製と同様にして顔料分散液4を調製した。
【0178】
(離型剤分散液の調製)
離型剤(日本精鑞社製、FT105) 90質量部
アニオン性界面活性剤(ダウケミカル社製、ダウファックス) 15質量部
イオン交換水 270質量部
上記成分を混合し、ホモジナイザ(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて20分間分散した後、循環式長音波分散機(日本精機製作所製、RUS−600TCVP)にかけて固形分量25.2質量%の離型剤分散液を調製した。
【0179】
(トナー粒子(1)の作製)
樹脂粒子分散液1 152.2質量部
顔料分散液1 28.7質量部
離型剤分散液 27.8質量部
界面活性剤(ダウケミカル社製、ダウファックス) 6質量部
イオン交換水 456質量部
上記の成分を、丸型ステンレス製フラスコ中でホモジナイザ(IKA製、ウルトラタラックスT50)で混合分散した。その後、前記分散液をウォーターバスを用いて、5℃に保持しながら、10%硫酸アルミニウム水溶液5質量部を加え、フラスコ内の内容物を撹拌した。十分に分散されたことを確認し、スリーワンモーター(新東科学株式会社製、BLh300)を用いて、撹拌回転数150rpm、34時間撹拌した後、0.1℃/分の昇温速度で44℃まで加熱撹拌し、44℃で35分間保持した。このときの分散液のpHは2.5であった。その後、あらかじめpHを4.3に調整した、追加の樹脂粒子分散液1、65.2質量部を添加し、40分間撹拌した。得られた内容物を光学顕微鏡で観察すると、粒径が約6.0μmの凝集粒子が生成していることが確認された。0.8M水酸化ナトリウム水溶液を14質量部添加した。その後、温度を上げて90℃に到達した時点で22%EDTA水溶液を12質量部添加したのち5時間放置し、その後冷却した。冷却後、ろ過し、(1)イオン交換水300質量部中に分散させ、(2)20分間100rpmで撹拌して、(3)ろ過をした。(1)〜(3)の操作を6回繰り返した後、40℃、10Pa程度で12時間乾燥して、体積平均粒径が6.2μmのトナー粒子(1)を得た。
【0180】
(トナー(1)の作製)
市販のヒュームドシリカRX50(日本アエロジル(株)製、個数平均粒子径D50:40nm)を用意した。得られたトナー粒子(1)100質量部に対し、外添剤としてヒュームドシリカRX50(日本アエロジル(株)製、個数平均粒子径D50:40nm)を2質量部加え、ヘンシェルミキサを用い周速30m/sで5分間ブレンドを行った後、45μm網目のシーブを用いて粗大粒子を除去し、トナー(1)を得た。
【0181】
(物性測定)
上記の方法で、トナー中の着色剤を含有していない無着色粒子の個数の測定を行ったところ、12個/トナー粒子5,000個存在していることを確認した。
【0182】
無着色粒子のSn元素量をトナー粒子のSn元素量で割った値は1.2であり、無着色粒子に含まれるSn元素量がトナー粒子に含まれるSn元素量よりも多かった。
【0183】
無着色粒子の重量平均分子量は12,500、ガラス転移温度は60℃であった。
【0184】
(トナー粒子(2)〜(47)、トナー(2)〜(47)の作製)
表1に示す樹脂粒子分散液、顔料分散液に変更した以外はトナー粒子(1)と同様の方法でトナー粒子(2)〜(47)の作製を行い、トナー粒子(1)をトナー粒子(2)〜(47)にした以外はトナー(1)の作製と同様の外添操作を行いトナー(2)〜(47)を作製した。
【0185】
(トナー粒子(48)およびトナー(48)の作製)
樹脂粒子分散液1の作製において遠心分離処理を行わなかった以外は樹脂粒子分散液1と同様の操作を行い、樹脂粒子分散液45を作製し、樹脂粒子分散液1を樹脂粒子分散液45に変更した以外はトナー粒子(1)と同様にしてトナー粒子(48)を作製し、トナー(1)の作製と同様の外添操作を行いトナー(48)を作製した。
【0186】
(キャリアの作製)
ニーダにMn−Mgフェライト(体積平均粒径50μm:パウダーテック社製)を1,000質量部投入し、スチレン−メタクリル酸メチル−アクリル酸共重合体(重合比率39:60:1(モル比)、Tg100℃、重量平均分子量80,000、綜研化学(株)製)150質量部をトルエン700質量部に溶かした溶液を加え、常温で20分混合した後、70℃に加熱して減圧乾燥した後、取り出し、コートキャリアを得た。さらに得たコートキャリアを75μm目開きのメッシュでふるい、粗粉を除去してキャリアを得た。
【0187】
(現像剤の作製)
キャリアと、トナー(1)〜(48)とをそれぞれ、質量比95:5の割合でVブレンダーに入れ20分間撹拌し、現像剤(1)〜(48)を得た。
【0188】
<実施例1〜47および比較例1>
上記現像剤(1)〜(48)およびトナー(1)〜(48)を用い、以下の画質評価を実施した。無着色粒子のSn元素量をトナー粒子のSn元素量で割った値、トナー粒子5,000個中にある無着色粒子の個数、重量平均分子量(Mw)、ガラス転移温度(Tg)、および評価結果を表2に示す。
【0189】
(画質評価)
トナーカートリッジを保管条件(トナーカートリッジに収容した状態での40℃と55℃の間を1℃/minで昇温し、55で30分放置した後、1℃/minで40℃まで降温させ、この昇降温を10回すなわち10時間繰り返した。)で保管した。その後、DocuCentreColor400改造機(富士ゼロックス製、現像剤保持体と層厚規制部材との間の間隔を調整でき、また現像剤が1色でも出力できるようにしたもの)に搭載し、現像剤保持体と層厚規制部材との間の間隔を300μm、90μm,100μm,200μm,400μm,500μm,510μmに調整した。30℃の条件で用紙(富士ゼロックス社製C2r紙)20,000枚に画像(日本画像学会テストチャート No.1−R 1993)を出力し、1,000枚ごとに目視により色スジ発生レベルを評価した。評価基準は以下の通りである。結果を表2に示す。許容できるのはグレード2までである。
グレード7:20,000枚でも色スジの発生を確認できない
グレード6:20,000枚で2本以下の色スジが確認できる
グレード5:19,000枚で2本以下の色スジが確認できる
グレード4:18,000枚で2本以下の色スジが確認できる
グレード3:16,000枚で2本以下の色スジが確認できる
グレード2:14,000枚で2本以下の色スジが確認できる
グレード1:14,000枚で3本以上の色スジが確認できる
【0190】
【表1】

【0191】
【表2】

【0192】
【表3】

【0193】
【表4】

【0194】
表2からわかるように、実施例1から実施例47のトナーは、比較例1のトナーに比べて特定の熱条件下での保管後でも色スジの画質欠陥の発生が抑制され、画質が良好であった。また、現像剤保持体と層厚規制部材との間隔が適当であると色スジの画質欠陥の発生が抑制される傾向にある。
【符号の説明】
【0195】
1 プロセスカートリッジ、3 画像形成装置、10 帯電装置、12 露光装置、14 感光体、16 現像装置、18 転写ロール、20 クリーニングブレード、22 定着ロール、24 記録用紙。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステル樹脂および着色剤を含むトナー粒子と、
ポリエステル樹脂を含み、着色剤を含まない形状係数SF1が110以下の無着色粒子と、
を含有し、
前記無着色粒子に含まれるSn元素量が前記トナー粒子に含まれるSn元素量よりも多いことを特徴とする静電荷像現像用トナー。
【請求項2】
前記無着色粒子の個数が、前記トナー粒子5,000個に対して10個以上50個以下の範囲であることを特徴とする、請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項3】
前記無着色粒子の重量平均分子量が5,000以上40,000以下の範囲であることを特徴とする、請求項1または2に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項4】
前記無着色粒子のガラス転移温度が50℃以上75℃以下の範囲であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項5】
前記ポリエステル樹脂が構成成分としてビスフェノールAを含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを含有することを特徴とする静電荷像現像用現像剤。
【請求項7】
像保持体と、
現像剤を保持して、前記像保持体の表面に形成された静電潜像を現像剤で現像して現像像を形成する現像剤保持体と前記現像剤保持体の表面の現像剤の層厚を規制する層厚規制部材とを有し、前記現像剤保持体と前記層厚規制部材との間の間隔が100μm以上500μm以下の範囲である現像手段と、
を備え、
前記現像剤は、請求項6に記載の静電荷像現像用現像剤であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項8】
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電させる帯電手段と、
前記像保持体の表面に静電潜像を形成する潜像形成手段と、
現像剤を保持して、前記像保持体の表面に形成された静電潜像を現像剤で現像して現像像を形成する現像剤保持体と、前記現像剤保持体の表面の現像剤の層厚を規制する層厚規制部材とを有し、前記現像剤保持体と前記層厚規制部材との間の間隔が100μm以上500μm以下の範囲である現像手段と、
前記現像された現像像を被転写体に転写する転写手段と、
を備え、
前記現像剤は、請求項6に記載の静電荷像現像用現像剤であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
像保持体の表面を帯電させる帯電工程と、
前記像保持体の表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、
現像剤を保持する現像剤保持体と、前記現像剤保持体の表面の現像剤の層厚を規制する層厚規制部材とを有し、前記現像剤保持体と前記層厚規制部材との間の間隔が100μm以上500μm以下の範囲である現像手段を用いて、前記静電潜像を現像剤で現像して現像像を形成する現像工程と、
前記現像された現像像を被転写体に転写する転写工程と、
を備え、
前記現像剤は、請求項6に記載の静電荷像現像用現像剤であることを特徴とする画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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