説明

静電荷像現像用トナーの製造方法、静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び画像形成方法

【課題】芯体を被覆する被覆層の剥れが抑制される静電荷像現像用トナーの製造方法を提供すること。
【解決手段】第1樹脂粒子が分散された第1樹脂粒子分散液を少なくとも準備し、少なくとも第1樹脂粒子を凝集して、第1凝集粒子を形成する第1凝集粒子形成工程と、
第1凝集粒子が分散された第1凝集粒子分散液と、第1樹脂粒子とはビカット軟化温度が異なる第2樹脂粒子が分散された第2樹脂粒子分散液と、を混合し、第1凝集粒子の表面に第2樹脂粒子を付着するようにして凝集させ、第2凝集粒子を形成する第2凝集粒子形成工程と、第2凝集粒子が分散された第2凝集粒子分散液に対して、昇温速度0.5℃/sec以上で、且つ第1樹脂粒子及び第2樹脂粒子のビカット軟化温度のうち高い方のビカット軟化温度以上に加熱して、第2凝集粒子を融合・合一する融合・合一工程と、を有する静電荷像現像用トナーの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電荷像現像用トナーの製造方法、静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真法など静電潜像を経て画像情報を可視化する方法は、現在様々の分野で利用されている。電子写真法においては、帯電工程、露光工程により感光体上に形成される静電潜像がトナーを含む現像剤により現像されて、転写工程、定着工程を経て可視化される。
【0003】
例えば、トナーに関しては、特許文献1に、乳化凝集重合法(EA法)により、トナーを作製することが提案されている。
【0004】
また、特許文献2には、「軟化点70〜130℃のポリエステル系樹脂(p1)を含有した樹脂微粒子(P1)の水性分散体(I)と、軟化点120〜190℃のアクリル系樹脂(p2)を含有し平均粒子径が樹脂微粒子(P1)の平均粒子径より小さい樹脂微粒子(P2)の水性分散体(II)とを混合し、樹脂微粒子(P1)と樹脂微粒子(P2)とを会合させて樹脂微粒子(P1)をコア粒子として、コア粒子の表面上に樹脂微粒子(P2)が会合してなるシェル層を形成させる電子写真用トナーの製造方法であり、アクリル系樹脂(p2)の軟化点がポリエステル系(p1)の軟化点より高く、かつ、樹脂微粒子(P1)及び/または樹脂微粒子(P2)の一部乃至全部が着色された樹脂微粒子である電子写真用トナーの製造法」が提案されている。
【0005】
また、特許文献3には、「コアと、該コアの表面に厚みが0.01μm〜2μmのシェルとを有するコアシェル構造のトナーであって、前記トナーが、少なくとも結着樹脂及び着色剤を含有してなり、ヒーター内蔵のSPMプローブにより測定した前記シェルの軟化温度STと、前記コアの軟化温度CTとが、次式、1.1≦ST/CT≦2.0の関係を満たすトナー」が提案されている。
【0006】
また、特許文献4には、「結着樹脂および着色剤を含むコア粒子がシェル粒子により被覆されているトナーであって、体積平均粒径が4.0μm以上8.0μm以下であり、個数平均粒径が3.0μm以下のトナーは、トナー全体の8個数%以上25個数%未満の割合で含まれ、前記シェル粒子の一部が前記コア粒子および前記シェル粒子の少なくともいずれか一方と融着して、突起部を形成していることを特徴とするトナー」が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許2537503号明細書
【特許文献2】特開2004−354706号公報
【特許文献3】特開2010−44354号公報
【特許文献4】特開2009−15175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、芯体と芯体を被覆する被覆層とで構成される静電荷像現像用トナーの製造方法であって、被覆層の剥れが抑制される静電荷像現像用トナーの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は、以下の本発明により解決した。
即ち、請求項1に係る発明は、
第1樹脂粒子が分散された第1樹脂粒子分散液を少なくとも準備し、少なくとも第1樹脂粒子を凝集して、第1凝集粒子を形成する第1凝集粒子形成工程と、
前記第1凝集粒子が分散された第1凝集粒子分散液と、前記第1樹脂粒子よりもビカット軟化温度が高い第2樹脂粒子が分散された第2樹脂粒子分散液と、を混合し、前記第1凝集粒子の表面に前記第2樹脂粒子を付着するようにして凝集させ、第2凝集粒子を形成する第2凝集粒子形成工程と、
前記第2凝集粒子が分散された第2凝集粒子分散液に対して、昇温速度0.5℃/sec以上で、且つ前記第2樹脂粒子のビカット軟化温度以上に加熱して、前記第2凝集粒子を融合・合一する融合・合一工程と、
を有する静電荷像現像用トナーの製造方法。
【0010】
請求項2に係る発明は、
前記融合・合一工程において、加熱開始から前記第1樹脂粒子のビカット軟化温度に達するまでの昇温速度、及び前記第2樹脂粒子のビカット軟化温度に達してからの昇温速度よりも、前記第1樹脂粒子のビカット軟化温度に達してから前記第2樹脂粒子のビカット軟化温度に達するまでの昇温速度を速くして、前記加熱を行う請求項1に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
【0011】
請求項3に係る発明は、
第1樹脂を含んで構成される芯体と、
前記芯体の表面を被覆する被覆層であって、前記第1樹脂よりもビカット軟化温度が10℃以上高い第2樹脂を含んで構成される被覆層と、
を有する静電荷像現像用トナー。
【0012】
請求項4に係る発明は、
前記芯体を構成する第1樹脂がバイオマス樹脂であり、前記被覆層を構成する第2樹脂がポリエステル樹脂及びスチレンアクリル樹脂から選択される少なくとも1種である請求項3に記載の静電荷像現像用トナー。
【0013】
請求項5に係る発明は、
請求項3又は4に記載の静電荷像現像用トナーを少なくとも含む静電荷像現像剤。
【0014】
請求項6に係る発明は、
請求項3又は4に記載の静電荷像現像用トナーを収容し、
画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジ。
【0015】
請求項7に係る発明は、
請求項5に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、像保持体上に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段を備え、
画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
【0016】
請求項8に係る発明は、
像保持体と、
前記像保持体を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
請求項5に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、前記像保持体上に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、
前記像保持体上に形成されたトナー画像を被転写体上に転写する転写手段と、
前記被転写体上に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、
を備える画像形成装置
【0017】
請求項9に係る発明は、
像保持体を帯電する帯電工程と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、
請求項5に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、前記像保持体上に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、
前記像保持体上に形成されたトナー画像を被転写体上に転写する転写工程と、
前記被転写体上に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、
を有する画像形成方法。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に係る発明によれば、昇温速度0.5℃/sec以上で融合・合一工程を行わない場合に比べ、芯体と芯体を被覆する被覆層とで構成される静電荷像現像用トナーの製造方法であって、芯体の材料と芯体を被覆する被覆層の材料に依存することなく、被覆層の剥れが抑制される静電荷像現像用トナーの製造方法を提供できる。
請求項2に係る発明によれば、融合・合一工程において、加熱開始から前記第1樹脂粒子のビカット軟化温度に達するまでの昇温速度、及び前記第2樹脂粒子のビカット軟化温度に達してからの昇温速度よりも、前記第1樹脂粒子のビカット軟化温度に達してから前記第2樹脂粒子のビカット軟化温度に達するまでの昇温速度を遅くして、前記加熱を行う場合に比べ、被覆層の剥れが抑制された静電荷像現像用トナーの製造方法を提供できる。
【0019】
請求項3に係る発明によれば、芯体の表面を被覆する被覆層として、第1樹脂よりもビカット軟化温度が10℃以上高い第2樹脂を含んで構成される被覆層を適用しない場合に比べ、保存性のよい静電荷像現像用トナーを提供できる。
請求項4に係る発明によれば、トナーの基本特性を維持すると共に、環境負荷が抑えられた静電荷像現像用トナーを提供できる。
請求項5、6、7、8、9に係る発明によれば、芯体の表面を被覆する被覆層として、第1樹脂とはビカット軟化温度が10℃以上異なる第2樹脂を含んで構成される被覆層を有する静電荷像現像用トナーを適用しない場合に比べ、トナーの保存期間が長く、表面性状及び帯電の制御性にも優れ、高画質の画像が得られる静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び画像形成方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】本実施形態に係るプロセスカートリッジの一例を示す概略構成図である。
【図3】本実施形態に係る静電荷像現像用トナーの製造方法において、融合・合一工程の昇温速度について説明するグラフである。
【図4】マイクロ波により加熱を行う方法を説明するための模式図である。
【図5】マイクロ熱交換器により加熱を行う方法を説明するための模式図である。
【図6】実施例2におけるマイクロ熱交換器により加熱を行う方法を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一例である実施形態について説明する。
【0022】
(静電荷像現像用トナーの製造方法)
本実施形態に係る静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」と称することがある)の製造方法は、第1樹脂粒子からなる第1樹脂(第1樹脂粒子が融合・合一した第1樹脂)を含む芯体と芯体を被覆する第2樹脂粒子からなる第2樹脂(第2樹脂粒子が融合・合一した第2樹脂)を含む被覆層とで構成されるトナー(以下、「コア/シェル構造トナー」と称することがある。)を製造する方法である。
具体的には、第1樹脂粒子が分散された第1樹脂粒子分散液を少なくとも準備し、少なくとも第1樹脂粒子を凝集して、第1凝集粒子を形成する第1凝集粒子形成工程と、
第1凝集粒子が分散された第1凝集粒子分散液と、第1樹脂粒子よりもビカット軟化温度が高い第2樹脂粒子が分散された第2樹脂粒子分散液と、を混合し、第1凝集粒子の表面に第2樹脂粒子を付着するようにして凝集させ、第2凝集粒子を形成する第2凝集粒子形成工程と、
第2凝集粒子が分散された第2凝集粒子分散液に対して、昇温速度0.5℃/sec以上で、且つ第2樹脂粒子のビカット軟化温度以上に加熱して、第2凝集粒子を融合・合一する融合・合一工程と、
を有する静電荷像現像用トナーの製造方法である。
【0023】
ここで、従来、コア/シェル構造トナーの製造方法では、乳化凝集重合法(EA法)が知られている。
この乳化凝集重合法(EA法)により、コア/シェル構造トナーを製造するには、上記如く、第1凝集粒子形成工程、第2凝集粒子形成工程、融合・合一工程を経て行われる。
しかしながら、芯体を構成する第1樹脂粒子(第1樹脂)よりも高いビカット軟化温度を持つ被覆層を構成する第2樹脂粒子(第2樹脂)を適用した場合、第2樹脂粒子からなる第2樹脂を含む被覆層の剥れが生じたトナーが得られることがわかってきた。
これは、融合・合一工程において、芯体部分が融合・合一を開始する温度と、被覆層部分が融合・合一を開始する温度と、が異なることから、先に融合・合一を開始した芯体部分の収縮に、後に融合・合一を開始した被服層部分が追随できず、芯体と被覆層とが溶着できないためと考えられる。
具体的には、先に芯体部分の融合・合一が開始すると、収縮と共に表面張力による球形化が生じ、その後に融合・合一が開始する被覆層部分が、芯体部分の収縮に追随できず、被覆層を構成する第2樹脂粒子(第2樹脂)が離脱してしまうと考えられる。
【0024】
この第2樹脂粒子からなる第2樹脂を含む被覆層の剥れが生じる現象は、芯体を構成する第1樹脂粒子(第1樹脂)と被覆層を構成する第2樹脂粒子(第2樹脂)とのビカット軟化温度が大きく異なるもの(例えばビカット軟化温度差が10℃以上)を適用した場合に、顕著に生じ易いと考えられる。
そして、近年のトナーの付加価値化・機能化に伴い、例えば、芯体を構成する第1樹脂粒子(第1樹脂)として機能性樹脂(例えばバイオマス樹脂等)を適用し、トナーの基本特性(例えば特に帯電性)を維持させるために、被覆層を構成する第2樹脂粒子(第2樹脂)として従来の結着樹脂(例えばポリエステル樹脂やスチレンアクリル樹脂等)を適用するといった具合に、芯体を構成する第1樹脂粒子(第1樹脂)と被覆層を構成する第2樹脂粒子(第2樹脂)とのビカット軟化温度が大きく異なるものを採用する場合が多くなると予想される。
【0025】
そこで、本実施形態に係るトナーの製造方法では、融合・合一工程において、昇温速度0.5℃/sec以上で、且つ第2樹脂粒子のビカット軟化温度以上に加熱して、融合・合一工程を行う。
これにより、芯体の材料と芯体を被覆する被覆層の材料に依存することなく、第2樹脂粒子からなる第2樹脂を含む被覆層の剥れが抑制される。
この理由は定かではないが、昇温速度を0.5℃/sec以上と急速な加熱を行うことで、芯体部分の融合・合一と被覆層部分の融合・合一が開始する時間差が短くなり、先に融合・合一を開始した芯体部分の収縮に、後に融合・合一を開始した被覆層部分が追随し、芯体と被覆層とが溶着できるためと考えられる。
【0026】
特に、本実施形態に係るトナーの製造方法では、芯体を構成する第1樹脂粒子(第1樹脂)と被覆層を構成する第2樹脂粒子(第2樹脂)とのビカット軟化温度が大きく異なるもの(例えばビカット軟化温度差が10℃以上)を適用しても、第2樹脂粒子からなる第2樹脂を含む被覆層の剥れが抑制される。
【0027】
ここで、本実施形態に係るトナーの製造方法において、第1樹脂粒子は、融合・合一工程を経ることで、芯体を構成する第1樹脂、つまり芯体を構成する結着樹脂となるものであり、第2樹脂粒子は、融合・合一工程を経ることで、芯体を被覆する被覆層を構成する第2樹脂、つまり被覆層を構成する被覆樹脂となるものである。
そして、第1樹脂粒子、第2樹脂粒子は、第1樹脂粒子よりも第2樹脂粒子のビカット軟化温度が大きければ、後述する本実施形態に係るトナーにおいて説明する各樹脂が適用される。また、他の構成材料(例えば、着色剤、離型剤、外添剤等)も、後述する本実施形態に係るトナーにおいて説明する各材料が適用される。
【0028】
以下、本実施形態に係るトナー製造方法の各工程の詳細について説明する。
なお、本実施形態に係るトナー製造方法においては、着色剤、及び離型剤を含むトナーを得る方法について説明するが、着色剤、離型剤は、必要に応じて用いられるものである。無論、着色剤、離型剤以外のその他添加剤を用いてもよい。
【0029】
−第1凝集粒子形成工程−
まず、第1樹脂粒子が分散された第1樹脂粒子分散液と共に、例えば、着色剤粒子が分散された着色剤粒子分散液、離型剤粒子が分散された離型剤分散液を準備する。
【0030】
第1樹脂粒子分散液は、例えば、第1樹脂粒子を界面活性剤により分散媒中に分散させることにより調製する。
【0031】
第1樹脂粒子分散液に用いる分散媒としては、例えば水系媒体が挙げられる。
水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水、アルコール類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0032】
界面活性剤としては、特に限定されるものでは無いが、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤などが挙げられる。これらの中でも特に、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤が挙げられる。非イオン系界面活性剤は、アニオン界面活性剤又はカチオン界面活性剤と併用されてもよい。
界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0033】
第1樹脂粒子分散液において、第1樹脂粒子を分散媒に分散する方法としては、例えば、例えば回転せん断型ホモジナイザーや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどの一般的な分散方法が挙げられる。また、用いる第1樹脂粒子の種類によっては、例えば転相乳化法を用いて第1樹脂粒子分散液中に第1樹脂粒子を分散させてもよい。
なお、転相乳化法とは、分散すべき樹脂を、その樹脂が可溶な疎水性有機溶剤中に溶解せしめ、有機連続相(O相)に塩基を加えて、中和したのち、水媒体(W相)を投入することによって、W/OからO/Wへの、樹脂の変換(いわゆる転相)が行われて不連続相化し、樹脂を、水媒体中に粒子状に分散する方法である。
【0034】
第1樹脂粒子分散液中に分散する第1樹脂粒子の体積平均粒径としては、例えば0.01μm以上1μm以下の範囲が挙げられ、0.08μm以上0.8μm以下であってもよく、0.1μm以上0.6μmであってもよい。
なお、第1樹脂粒子の体積平均粒径は、レーザ回析式粒度分布測定装置(堀場製作所製、LA−920)で測定される。以下、他に断りがないかぎり、粒子の体積平均粒径は同様に測定される。
【0035】
第1樹脂粒子分散液に含まれる樹脂粒子の含有量としては、例えば、5質量%以上50質量%以下が挙げられ、10質量%以上40質量%以下であってもよい。
【0036】
なお、第1樹脂粒子分散と同様にして、例えば、着色剤分散液、離型剤分散液も調製される。つまり、第1樹脂粒子分散における粒子の体積平均粒径、分散媒、分散方法、及び粒子の含有量に関しては、着色剤分散液中に分散する着色剤粒子、及び離型剤分散液中に分散する離型剤粒子についても同様である。
【0037】
次に、第1樹脂粒子分散液と共に、着色剤粒子分散液と、離型剤分散液と、を混合する。
そして、混合分散液中で、第1樹脂粒子と着色剤粒子と離型剤粒子とをヘテロ凝集させ所望のトナーの径に近い径を持つ、第1樹脂粒子と着色剤粒子と離型剤粒子とを含む第1凝集粒子(コア凝集粒子)を形成する。
【0038】
具体的には、例えば、混合分散液に凝集剤を添加すると共に、混合分散液のpHを酸性(例えばpHが2以上5以下)に調整し、必要に応じて分散安定剤を添加してた後、第1樹脂粒子のビカット軟化温度以下(具体的には、例えば、第1樹脂粒子のビカット軟化温度−30℃以上ビカット軟化温度−10℃以下)の温度に加熱し、混合分散液に分散された粒子を凝集させて、第1凝集粒子を形成する。
第1凝集粒子形成工程においては、例えば、混合分散液を回転せん断型ホモジナイザーで攪拌下、室温(例えば25℃)で上記凝集剤を添加し、混合分散液のpHを酸性(例えばpHが2以上5以下)に調整し、必要に応じて分散安定剤を添加した後に、上記加熱を行ってもよい。
【0039】
凝集剤としては、例えば、混合分散液に添加される分散剤として用いる界面活性剤と逆極性の界面活性剤、例えば無機金属塩、2価以上の金属錯体が挙げられる。特に、凝集剤として金属錯体を用いた場合には、界面活性剤の使用量が低減され、帯電特性が向上する。
凝集剤の金属イオンと錯体もしくは類似の結合を形成する添加剤を必要に応じて用いてもよい。この添加剤としては、キレート剤が好適に用いられる。
【0040】
無機金属塩としては、例えば、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムなどの金属塩、及び、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体などが挙げられる。
キレート剤としては、水溶性のキレート剤を用いてもよい。キレート剤としては、例えば、酒石酸、クエン酸、グルコン酸などのオキシカルボン酸、イミノジ酸(IDA)、ニトリロトリ酢酸(NTA)、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)などが挙げられる。
キレート剤の添加量としては、例えば、第1樹脂粒子(第1樹脂)100質量部に対して0.01質量部以上5.0質量部以下の範囲内が挙げられ、0.1質量部以上3.0質量部未満であってもよい。
【0041】
−第2凝集粒子形成工程−
次に、得られた第1凝集粒子が分散された第1凝集粒子分散液と、第1樹脂粒子よりもビカット軟化温度が大きい第2樹脂粒子が分散された第2樹脂粒子分散液と、を混合する。
そして、この混合分散液中で、第1凝集粒子の表面に第2樹脂粒子を付着するようにして凝集させ、第1凝集粒子の表面に第2樹脂粒子が付着した第2凝集粒子を形成する。
【0042】
具体的には、例えば、第1凝集粒子形成工程において、第1凝集粒子が目的とする粒径(例えば体積平均粒径が1.5μm以上、望ましくは2.5μm以上6.5μm以下)に達したときに、第1凝集粒子分散液に、第2樹脂粒子分散液を混合し、第1凝集粒子及び第2樹脂粒子のビカット軟化温度のうち低い方のビカット軟化温度以下で加熱を行う。
そして、第2凝集粒子分散液のpHを、例えば6.5以上8.5以下程度の範囲にすることにより、凝集の進行を停止させる。
【0043】
ここで、第2樹脂粒子分散液に分散する第2樹脂粒子の体積平均粒径としては、例えば0.01μm以上1μm以下の範囲が挙げられ、0.05μm以上0.8μm以下であってもよく、0.1μm以上0.6μmであってもよいが、特に、0.3μm(300nm)未満であることがよい。
【0044】
これにより、第1凝集粒子の表面に第2樹脂粒子が付着するようにして凝集した第2凝集粒子が得られる。
【0045】
−融合・合一工程−
次に、第2凝集粒子が分散された第2凝集粒子分散液に対して、昇温速度0.5℃/sec以上で、且つ第2樹脂粒子のビカット軟化温度以上に加熱して、第2凝集粒子を融合・合一する。
【0046】
融合・合一する加熱の昇温速度は、0.5℃/sec以上であるが、望ましくは0.5℃/sec以上10℃/sec以下である。
昇温速度を上記範囲とすることで、得られるトナーの被覆層の剥れが抑制される。
【0047】
ここで、融合・合一する加熱は、加熱開始から第2樹脂粒子のビカット軟化温度以上に達する温度まで、昇温速度を一定として行ってもよいが(図3中、A線参照)、加熱開始から第1樹脂粒子のビカット軟化温度に達するまでの昇温速度、及び第2樹脂粒子のビカット軟化温度に達してからの昇温速度よりも、第1樹脂粒子のビカット軟化温度に達してから第2樹脂粒子のビカット軟化温度に達するまでの昇温速度を速くして行うことがよい(図3中、B線参照)。
この、第1樹脂粒子のビカット軟化温度に達してから第2樹脂粒子のビカット軟化温度に達するまでの昇温速度によって、トナーの表面性状を変更することなくトナーの円形度が制御され、帯電分布に優れたトナーが得られる。
【0048】
つまり、融合・合一する加熱は、
加熱開始Ts以上第1樹脂粒子のビカット軟化温度Tl未満の間の昇温速度を「STs」とし、
第2樹脂粒子のビカット軟化温度Thを超えてからの昇温速度を「STe」とし、
第1樹脂粒子のビカット軟化温度Tl以上第2樹脂粒子のビカット軟化温度Th以下の間の昇温速度を「STc」としたとき、
下記式(A)及び式(B)の関係を満たすように行うことがよい。
・式(A)STs<STc
・式(B)STe<STc
但し、各間の昇温速度は、上記0.5℃/sec以上とする。
【0049】
上記条件で融合・合一する加熱を行うことで、得られるトナーの被覆層の剥れが抑制され易くなる。
なお、STcとSTsとの昇温速度差、STcとSTeとの昇温速度差は、例えば、0.1℃/sec以上5℃/sec以下であることがよい。
【0050】
ここで、各間の昇温速度(℃/sec)は、式(目的とする2つの温度間における温度差:℃/目的とする2つの温度のうち一方の温度から他方の温度に達する時間:sec)により算出されるものとする。
【0051】
上記条件で融合・合一する加熱方法としては、マイクロ波により加熱を行う方法、マイクロ熱交換器により加熱を行う方法等が挙げられる。
これら加熱方法は、上記昇温速度での加熱が容易に実現されることから望ましい。
特に、マイクロ波により加熱を行う方法では、そのマイクロ波の出力等を変更し易いことから、加熱条件が簡易に選択し易い点で有利である。
一方、マイクロ熱交換器により加熱を行う方法は、その設備等が簡易な構成であることから、加熱を簡易且つ低コストで実現する点で有利である。
【0052】
マイクロ波により加熱を行う方法として具体的には、例えば、図4に示すように、第2凝集粒子分散液が収容たされたタンクの側面に、マイクロ波発生装置を配置し、攪拌機で攪拌しながら、マイクロ波発生装置から発生したマイクロ波を、タンクの側面側から第2凝集粒子分散液に照射することで、第2凝集粒子分散液を加熱する。
ここで、マイクロ波の照射は、連続してもよいが、昇温速度の調整する観点から間欠で行うことがよい。
【0053】
一方、マイクロ熱交換器により加熱を行う方法として具体的は、例えば、図5に示すように、第2凝集粒子分散液が収容たされたタンクに、循環配管を配置して、循環配管の経路に、マイクロ熱交換器、循環用分散機(例えば循環用ホモジナイザ)、ポンプを連結し、ポンプにより循環配管内で第2凝集粒子分散液を循環させながら、マイクロ熱交換器により第2凝集粒子分散液を加熱する。なお、タンクに収容されている第2凝集粒子分散液は攪拌機により攪拌する。
マイクロ熱交換器は、例えば、微細配管と加熱源とで構成され、この加熱源としてマイクロ波発生装置を採用してもよい。
【0054】
ここで、第1樹脂粒子よりも第2樹脂粒子のビカット軟化温度が高ければ、上記手法による融合・合一により、被覆層の剥れが抑制されるが、特に、第1樹脂粒子と第2樹脂粒子のビカット軟化温度差が10℃以上(望ましくは10℃以上30℃以下、且つ第2樹脂粒子のビカット軟化温度が100℃以下)の場合に、被覆層の剥れが発生し易くなり、これが抑制されることから有効である。
加えて、得られるトナーに対して付加価値化・機能化を行う場合、芯体を構成する第1樹脂粒子(第1樹脂)として機能性樹脂(例えばバイオマス樹脂等)を適用し、トナーの基本特性(例えば特に帯電性)を維持させるために、被覆層を構成する第2樹脂粒子(第2樹脂)として従来の結着樹脂(例えばポリエステル樹脂やスチレンアクリル樹脂等)を適用することがよく、この場合、第1樹脂粒子のビカット軟化温度が第2樹脂粒子のビカット軟化温度よりも高く、そのビカット軟化温度差も10℃以上であることが多いことから、被覆層の剥れが発生し易くなり、これが抑制されることから有効である。
【0055】
なお、ビカット軟化温度の測定方法は、次の通りである。
加熱浴槽の中に規定された寸法の試験片を据え、中央部に一定の断面積(JIS K7206では1mm2)の端面を押し当てた状態で浴槽の温度を上昇させる。試験片に端面は一定の深さまで食い込んだ時の温度をビカット軟化温度とする(JISK 7206参照)
【0056】
以上の工程を経て、第1樹脂粒子からなる第1樹脂(第1樹脂粒子が融合・合一した第1樹脂)を含む芯体と芯体を被覆する第2樹脂粒子からなる第2樹脂(第2樹脂粒子が融合・合一した第2樹脂)を含む被覆層とで構成されるトナー(コア/シェル構造トナー)が得られる。
【0057】
なお、融合・合一工程終了後は、溶液中に形成されたトナーを、公知の洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程を経て乾燥した状態のトナーを得る。
洗浄工程は、帯電性の点から充分にイオン交換水による置換洗浄を施すことが好ましい。また、固液分離工程は、特に制限はないが、生産性の点から吸引濾過、加圧濾過等が好ましく用いられる。更に乾燥工程も特に方法に制限はないが、生産性の点から凍結乾燥、フラッシュジェット乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等が好ましく用いられる。
【0058】
そして、得られた乾燥状態のトナーには、これをトナー粒子とし、外添剤を添加してもよい。
外添剤の添加は、例えばVブレンダーやヘンシュルミキサー、レディーゲミキサーなどによっておこなうことがよい。さらに、必要に応じて、振動師分機、風力師分機などを使ってトナーの粗大粒子を取り除いてもよい。
【0059】
(静電荷像現像用トナー)
本実施形態に係る静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」と称することがある)は、第1樹脂を含んで構成される芯体と、芯体の表面を被覆する被覆層であって、第1樹脂よりもビカット軟化温度が10℃以上高い第2樹脂を含んで構成される被覆層と、を有するトナーである。
【0060】
本実施形態に係るトナーでは、上記構成とすることで、トナー全体の60質量%以上を占める第1樹脂によって定着温度およびトナーの粘弾性を制御しつつ,トナー表面の100%を第2樹脂によって帯電性を排他的に決められ、高画質化と低消費電力といった相反する特性が両立される。
これにより、本実施形態に係るトナーは、保存性のよい静電荷像現像用トナーとなる。
そして、本実施形態に係るトナーを静電荷像現像剤。画像形成装置(プロセスカートリッジ)に適用すると、トナーの保存期間が長く、表面性及び帯電の制御性に優れ、高画質の画像が得られる。
【0061】
ここで、第1樹脂と第2樹脂とのビカット軟化温度差は、10℃以上であるが、望ましくは10℃以上30℃以下である。
なお、第1樹脂よりも第2樹脂のビカット軟化温度が高いが、得られるトナーに対して付加価値化・機能化を行う場合、芯体を構成する第1樹脂粒子(第1樹脂)として機能性樹脂(例えばバイオマス樹脂等)を適用し、トナーの基本特性(例えば特に帯電性)を維持させるために、被覆層を構成する第2樹脂粒子(第2樹脂)として従来の結着樹脂(例えばポリエステル樹脂やスチレンアクリル樹脂等)を適用することがよく、この場合、第1樹脂粒子のビカット軟化温度が第2樹脂粒子のビカット軟化温度よりも高いことが多い。
特に、芯体を構成する第1樹脂粒子(第1樹脂)としてバイオマス樹脂を適用し、被覆層を構成する第2樹脂粒子(第2樹脂)としてポリエステル樹脂やスチレンアクリル樹脂を適用すると、トナーの基本特性(例えば特に帯電性)を維持すると共に、環境負荷が抑えられたトナーとなる。
【0062】
以下、静電荷像現像用トナーの詳細について説明する。
【0063】
本実施形態に係るトナーは、芯体と芯体を被覆する被覆層とで構成されてる。また、本実施形態に係るトナーは、芯体と芯体を被覆する被覆層とで構成されたものをトナー粒子とし、外添剤を含む構成であってもよい。
まず、芯体について説明する。
芯体は、例えば、結着樹脂としての第1樹脂と共に、必要に応じて、着色剤、離型剤、その他の添加剤を含んで構成される。
【0064】
結着樹脂(第1樹脂)としては、通常の結着樹脂から選択してもよいが、トナーに対し付加価値化・機能化を行う観点から、バイオマス樹脂、熱硬化性樹脂,紫外線硬化樹脂,熱可塑性エラストマー等の機能性樹脂が好適に挙げられる。
バイオマス樹脂は、植物由来の高分子であり、例えば、ポリ乳酸(PLA)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ホスファチジルグリセロール(PG)、イソソルバイト、アクリル酸変性ロジン、セルロール、等が挙げられる。
熱硬化性樹脂は、フェノール樹脂(PF),エポキシ樹脂(EP),メラミン樹脂(MF),尿素樹脂(ユリア樹脂、UF),不飽和ポリエステル樹脂(UP),アルキド樹脂,ポリウレタン(PUR),熱硬化性ポリイミド(PI)が挙げられる。
なお、結着樹脂(第1樹脂)は、1種単独で用いてもよいが、2種以上併用してもよい。
【0065】
結着樹脂(第1樹脂)は、例えば、重量平均分子量Mwが1000以上1000000以下、数平均分子量Mnが2000以上80000以下の範囲のものを使用することがよい。
【0066】
結着樹脂(第1樹脂)のビカット軟化温度は、例えば、30℃以上150℃以下から選択することがよく、望ましくは50℃以上100℃以下、より望ましくは60℃以上75℃以下である。
なお、結着樹脂(第1樹脂)として2種以上併用した場合のビカット軟化温度は、混合状態でのビカット軟化温度を示す。
【0067】
着色剤としては、公知の着色剤であれば特に限定されないが、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック、ベンガラ、紺青、酸化チタン等の無機顔料、ファストイエロー、ジスアゾイエロー、ピラゾロンレッド、キレートレッド、ブリリアントカーミン、パラブラウン等のアゾ顔料、銅フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン顔料、フラバントロンイエロー、ジブロモアントロンオレンジ、ペリレンレッド、キナクリドンレッド、ジオキサジンバイオレット等の縮合多環系顔料が挙げられる。
【0068】
着色剤は、必要に応じて表面処理された着色剤を用いてもよく、分散剤と併用してもよい。また、着色剤は、複数種を併用してもよい。
【0069】
着色剤の含有量としては、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下の範囲が望ましい。
【0070】
離型剤としては、例えば、炭化水素系ワックス;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス;モンタンワックス等の合成或いは鉱物・石油系ワックス;脂肪酸エステル、モンタン酸エステル等のエステル系ワックス;などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0071】
離型剤の融点は、保存性の観点から、50℃以上であることが望ましく、60℃以上であることがより望ましい。また、耐オフセット性の観点から、110℃以下であることが望ましく、100℃以下であることがより望ましい。
【0072】
離型剤の含有量は、1質量%以上15質量%以下が望ましく、2質量%以上12質量%以下がより望ましく、3質量%以上10質量%以下がさらにより望ましい。
【0073】
その他添加剤としては、例えば、磁性体、帯電制御剤、無機粉体等が挙げられる。
【0074】
次に、被服層について説明する。
被覆層は、被覆樹脂としての第2樹脂を含んで構成される。
【0075】
被覆樹脂(第2樹脂)としては、トナーの基本特性(例えば特に帯電性)を維持させる観点から、通常の結着樹脂から選択することがよい。
【0076】
通常の結着樹脂としては、例えば、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のビニル基を有するエステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;エチレン、プロピレン、ブタジエンなどのポリオレフィン類などの単量体からなる単独重合体、又はこれらを2種以上組み合せて得られる共重合体、さらにはこれらの混合物が挙げられる。また、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂等、非ビニル縮合樹脂、又は、これらと前記ビニル樹脂との混合物や、これらの共存下でビニル系単量体を重合して得られるグラフト重合体等が挙げられる。
【0077】
スチレン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、これらの共重合樹脂は、例えば、スチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸系単量体を、単独又は適宜組み合わせて公知の方法により得られる。なお、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び「メタクリル」のいずれをも含む表現である。
ポリエステル樹脂は、多価カルボン酸と多価アルコールとの中から好適なものを選択して組合せ、例えば、エステル交換法又は重縮合法等、従来公知の方法を用いて合成することで得られる。
【0078】
スチレン樹脂、(メタ)アクリル樹脂及びこれらの共重合樹脂を結着樹脂として使用する場合、例えば、重量平均分子量Mwが20,000以上100,000以下、数平均分子量Mnが2,000以上30,000以下の範囲のものを使用することがよい。
他方、ポリエステル樹脂を結着樹脂として使用する場合は、例えば、重量平均分子量Mwが5,000以上40,000以下、数平均分子量Mnが2,000以上10,000以下の範囲のものを使用することがよい。
【0079】
これらの中でも、トナーの基本特性(例えば特に帯電性)を維持させる観点から、ポリエステル樹脂、スチレンアクリル樹脂がよい。
なお、結着樹脂(第1樹脂)は、1種単独で用いてもよいが、2種以上併用してもよい。
【0080】
被覆樹脂(第2樹脂)のビカット軟化温度は、例えば、40℃以上100℃以下から選択することがよく、望ましくは65℃以上95℃以下、である。
なお、被覆樹脂(第2樹脂)として2種以上併用した場合のビカット軟化温度は、混合状態でのビカット軟化温度を示す。
【0081】
被覆樹脂(第2樹脂)の芯体に対する被覆量は、例えば、被覆後の粒径に対して10%以上25%以下の厚みであることがよく、望ましくは厚みにして,0.1μm以上1.0μm以下、より望ましくは0.2μm以上0.6μm以下である。
【0082】
次に、外添剤について説明する。
外添剤としては、例えば、無機粒子が挙げられ、該無機粒子として、SiO、TiO、Al、CuO、ZnO、SnO、CeO、Fe、MgO、BaO、CaO、KO、NaO、ZrO、CaO・SiO、KO・(TiO、Al・2SiO、CaCO、MgCO、BaSO、MgSO等が挙げられる。
【0083】
外添剤の表面は、予め疎水化処理をしてもよい。疎水化処理は、例えば疎水化処理剤に無機粒子を浸漬する等して行う。疎水化処理剤は特に制限されないが、例えば、シラン系カップリング剤、シリコーンオイル、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
疎水化処理剤の量としては、通常、例えば、無機粒子100質量部に対して、1質量部以上10質量部程度である。
【0084】
外添剤の外添量としては、例えば、トナー粒子100質量部に対して0.5質量部以上2.5質量部以下がよい。
【0085】
次に、トナー(トナー粒子)の特性について説明する。
トナー(トナー粒子)の体積平均粒径は、例えば4μm以上15μm以下であり、望ましくは5μm以上10μm以下である。
なお、トナー(トナー粒子)の体積平均粒径の測定法としては、分散剤として界面活性剤、望ましくはアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの5質量%水溶液2ml中に、測定試料を0.5mg以上50mg以下加え、これを前記電解液100ml以上150ml以下中に添加した。この測定試料を懸濁させた電解液を超音波分散器で約1分間分散処理を行い、前記コールターマルチサイザーII型(ベックマン−コールター社製)により、アパーチャー径が100μmのアパーチャーを用いて、粒径が2.0μm以上60μm以下の範囲の粒子の粒度分布を測定する。測定する粒子数は50,000とする。
得られた粒度分布を分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、小粒径側から体積累積分布を引いて、累積50%となる粒径を体積平均粒径D50vとする。
【0086】
次に、本実施形態に係るトナーの製造方法について説明する。
本実施形態に係るトナーは、周知の製造方法に準じて製造してもよいが、上記本実施形態に係るトナーの製造方法に準じて製造することがよい。これにより、被覆層の剥れが抑制されたトナーとなる。
【0087】
(静電荷像現像剤)
本実施形態に係る静電荷像現像剤は、本実施形態に係るトナーを少なくとも含むものである。
本実施形態に係る静電荷像現像剤は、本実施形態に係るトナーのみを含む一成分現像剤であってもよいし、当該トナーとキャリアと混合した二成分現像剤であってもよい。
【0088】
キャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアが挙げられる。キャリアとしては、例えば、樹脂コートキャリア、磁性分散型キャリア、樹脂分散型キャリア等が挙げられる。
【0089】
二成分現像剤における、本実施形態に係るトナーと上記キャリアとの混合比(質量比)は、トナー:キャリア=1:100乃至30:100程度の範囲が望ましく、3:100乃至20:100程度の範囲がより望ましい。
【0090】
(画像形成装置/画像形成方法)
次に、本実施形態に係る画像形成装置/画像形成方法について説明する。
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、像保持体を帯電する帯電手段と、帯電した像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、静電荷像現像剤を収容し、静電荷像現像剤により、像保持体上に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、像保持体上に形成されたトナー画像を被転写体上に転写する転写手段と、被転写体上に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、を有する。そして、静電荷像現像剤として、上記本実施形態に係る静電荷像現像剤を適用する。
【0091】
なお、本実施形態に係る画像形成装置において、例えば、現像手段を含む部分が、画像形成装置に対して脱着されるカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよく、該プロセスカートリッジとしては、例えば、本実施形態に係る静電荷像現像剤を収容し、現像手段を備えるプロセスカートリッジが好適に用いられる。
【0092】
本実施形態に係る画像形成方法は、像保持体を帯電する帯電工程と、帯電した像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、静電荷像現像剤を収容し、静電荷像現像剤により、像保持体上に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、像保持体上に形成されたトナー画像を被転写体上に転写する転写工程と、被転写体上に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、を有する。そして、そして、静電荷像現像剤として、上記本実施形態に係る静電荷像現像剤を適用する。
【0093】
以下、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主用部を説明し、その他はその説明を省略する。
【0094】
図1は、4連タンデム方式のカラー画像形成装置を示す概略構成図である。図1に示す画像形成装置は、色分解された画像データに基づくイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を出力する電子写真方式の第1乃至第4の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10K(画像形成手段)を備えている。これらの画像形成ユニット(以下、単に「ユニット」と称する場合がある)10Y、10M、10C、10Kは、水平方向に互いに予め定められた距離離間して並設されている。なお、これらユニット10Y、10M、10C、10Kは、画像形成装置本体に対して脱着可能なプロセスカートリッジであってもよい。
【0095】
各ユニット10Y、10M、10C、10Kの図面における上方には、各ユニットを通して中間転写体としての中間転写ベルト20が延設されている。中間転写ベルト20は、図における左から右方向に互いに離間して配置された駆動ローラ22及び中間転写ベルト20内面に接する支持ローラ24に巻きつけて設けられ、第1のユニット10Yから第4のユニット10Kに向う方向に走行されるようになっている。尚、支持ローラ24は、図示しないバネ等により駆動ローラ22から離れる方向に力が加えられており、両者に巻きつけられた中間転写ベルト20に張力が与えられている。また、中間転写ベルト20の像保持体側面には、駆動ローラ22と対向して中間転写体クリーニング装置30が備えられている。
また、各ユニット10Y、10M、10C、10Kの現像装置(現像手段)4Y、4M、4C、4Kのそれぞれには、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kに収められたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーを含むトナーが供給可能である。
【0096】
上述した第1乃至第4のユニット10Y、10M、10C、10Kは、同等の構成を有しているため、ここでは中間転写ベルト走行方向の上流側に配設されたイエロー画像を形成する第1のユニット10Yについて代表して説明する。尚、第1のユニット10Yと同等の部分に、イエロー(Y)の代わりに、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を付した参照符号を付すことにより、第2乃至第4のユニット10M、10C、10Kの説明を省略する。
【0097】
第1のユニット10Yは、像保持体として作用する感光体1Yを有している。感光体1Yの周囲には、感光体1Yの表面を予め定められた電位に帯電させる帯電ローラ2Y、帯電された表面を色分解された画像信号に基づくレーザ光線3Yよって露光して静電荷像を形成する露光装置(静電荷像形成手段)3、静電荷像に帯電したトナーを供給して静電荷像を現像する現像装置(現像手段)4Y、現像したトナー画像を中間転写ベルト20上に転写する1次転写ローラ5Y(1次転写手段)、及び1次転写後に感光体1Yの表面に残存するトナーを除去する感光体クリーニング装置(クリーニング手段)6Yが順に配置されている。
尚、1次転写ローラ5Yは、中間転写ベルト20の内側に配置され、感光体1Yに対向した位置に設けられている。更に、各1次転写ローラ5Y、5M、5C、5Kには、1次転写バイアスを印加するバイアス電源(図示せず)がそれぞれ接続されている。各バイアス電源は、図示しない制御部による制御によって、各1次転写ローラに印加する転写バイアスを可変する。
【0098】
以下、第1ユニット10Yにおいてイエロー画像を形成する動作について説明する。まず、動作に先立って、帯電ローラ2Yによって感光体1Yの表面が−600V乃至−800V程度の電位に帯電される。
感光体1Yは、導電性(20℃における体積抵抗率:1×10−6Ωcm以下)の基体上に感光層を積層して形成されている。この感光層は、通常は高抵抗(一般の樹脂程度の抵抗)であるが、レーザ光線3Yが照射されると、レーザ光線が照射された部分の比抵抗が変化する性質を持っている。そこで、帯電した感光体1Yの表面に、図示しない制御部から送られてくるイエロー用の画像データに従って、露光装置3を介してレーザ光線3Yを出力する。レーザ光線3Yは、感光体1Yの表面の感光層に照射され、それにより、イエロー印字パターンの静電荷像が感光体1Yの表面に形成される。
【0099】
静電荷像とは、帯電によって感光体1Yの表面に形成される像であり、レーザ光線3Yによって、感光層の被照射部分の比抵抗が低下し、感光体1Yの表面の帯電した電荷が流れ、一方、レーザ光線3Yが照射されなかった部分の電荷が残留することによって形成される、いわゆるネガ潜像である。
このようにして感光体1Y上に形成された静電荷像は、感光体1Yの走行に従って予め定められた現像位置まで回転される。そして、この現像位置で、感光体1Y上の静電荷像が、現像装置4Yによって可視像(現像像)化される。
【0100】
現像装置4Y内には、例えば、少なくともイエロートナーとキャリアとを含む本実施形態に係る静電荷像現像剤が収容されている。イエロートナーは、現像装置4Yの内部で攪拌されることで摩擦帯電し、感光体1Y上に帯電した帯電荷と同極性(負極性)の電荷を有して現像剤ロール(現像剤保持体)上に保持されている。そして感光体1Yの表面が現像装置4Yを通過していくことにより、感光体1Y表面上の除電された潜像部にイエロートナーが静電的に付着し、潜像がイエロートナーによって現像される。イエローのトナー画像が形成された感光体1Yは、引続き予め定められた速度で走行され、感光体1Y上に現像されたトナー画像が予め定められた1次転写位置へ搬送される。
【0101】
感光体1Y上のイエロートナー画像が1次転写へ搬送されると、1次転写ローラ5Yに1次転写バイアスが印加され、感光体1Yから1次転写ローラ5Yに向う静電気力がトナー画像に作用され、感光体1Y上のトナー画像が中間転写ベルト20上に転写される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と逆極性の(+)極性であり、例えば第1ユニット10Yでは制御部に(図示せず)よって+10μA程度に制御されている。
一方、感光体1Y上に残留したトナーはクリーニング装置6Yで除去されて回収される。
【0102】
また、第2のユニット10M以降の1次転写ローラ5M、5C、5Kに印加される1次転写バイアスも、第1のユニットに準じて制御されている。
こうして、第1のユニット10Yにてイエロートナー画像の転写された中間転写ベルト20は、第2乃至第4のユニット10M、10C、10Kを通して順次搬送され、各色のトナー画像が重ねられて多重転写される。
【0103】
第1乃至第4のユニットを通して4色のトナー画像が多重転写された中間転写ベルト20は、中間転写ベルト20と中間転写ベルト内面に接する支持ローラ24と中間転写ベルト20の像保持面側に配置された2次転写ローラ(2次転写手段)26とから構成された2次転写部へと至る。一方、記録紙(被転写体)Pが供給機構を介して2次転写ローラ26と中間転写ベルト20とが圧接されている隙間に予め定められたタイミングで給紙され、2次転写バイアスが支持ローラ24に印加される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と同極性の(−)極性であり、中間転写ベルト20から記録紙Pに向う静電気力がトナー画像に作用され、中間転写ベルト20上のトナー画像が記録紙P上に転写される。尚、この際の2次転写バイアスは2次転写部の抵抗を検出する抵抗検出手段(図示せず)により検出された抵抗に応じて決定されるものであり、電圧制御されている。
【0104】
この後、記録紙Pは定着装置(ロール状定着手段)28における一対の定着ロールの圧接部(ニップ部)へと送り込まれトナー画像が記録紙P上へ定着され、定着画像が形成される。
【0105】
トナー画像を転写する被転写体としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンター等に使用される普通紙、OHPシート等が挙げられる。
定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、被転写体の表面も可能な限り平滑であることが好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等が好適に使用される。
【0106】
カラー画像の定着が完了した記録紙Pは、排出部へ向けて搬出され、一連のカラー画像形成動作が終了される。
なお、上記例示した画像形成装置は、中間転写ベルト20を介してトナー画像を記録紙Pに転写する構成となっているが、この構成に限定されるものではなく、感光体から直接トナー画像が記録紙に転写される構造であってもよい。
【0107】
<プロセスカートリッジ、トナーカートリッジ>
図2は、本実施形態に係る静電荷像現像剤を収容するプロセスカートリッジの好適な一例の実施形態を示す概略構成図である。プロセスカートリッジ200は、感光体107とともに、帯電ローラ108、現像装置111、感光体クリーニング装置113、露光のための開口部118、及び、除電露光のための開口部117を取り付けレール116を用いて組み合わせ、そして一体化したものである。なお、図2において符号300は被転写体を示す。
そして、このプロセスカートリッジ200は、転写装置112と、定着装置115と、図示しない他の構成部分とから構成される画像形成装置に対して着脱自在としたものである。
【0108】
図2で示すプロセスカートリッジ200では、帯電装置108、現像装置111、クリーニング装置113、露光のための開口部118、及び、除電露光のための開口部117を備えているが、これら装置は選択的に組み合わせることが可能である。本実施形態のプロセスカートリッジでは、感光体107のほかには、帯電装置108、現像装置111、クリーニング装置(クリーニング手段)113、露光のための開口部118、及び、除電露光のための開口部117から構成される群から選択される少なくとも1種を備える。
【0109】
次に、本実施形態に係るトナーカートリッジについて説明する。本実施形態に係るトナーカートリッジは、画像形成装置に脱着され、少なくとも、画像形成装置内に設けられた現像手段に供給するための補給用の静電荷像現像用トナーを収容するトナーカートリッジである。
【0110】
なお、図1に示す画像形成装置は、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kの着脱が可能な構成を有する画像形成装置であり、現像装置4Y、4M、4C、4Kは、各々の現像装置(色)に対応したトナーカートリッジと、図示しないトナー供給管で接続されている。また、トナーカートリッジ内に収容されているトナーが少なくなった場合には、このトナーカートリッジが交換される。
【実施例】
【0111】
以下、実施例および比較例を挙げ、本実施形態をより具体的に詳細に説明するが、本実施形態はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0112】
[第1樹脂粒子分散液の調製]
(バイオマス樹脂粒子分散液A1)
バイオマス樹脂粒子分散液A1を、次のようにして調製した。
まず、松材よりクラフトパルプを製造する際に副生する粗トール油からロジン(トールロジン)と脂肪酸を分離したものを得る.このトールロジンを精製し、数平均分子量:Mn3000以上8000以下/酸価AV:1mg/KOH以上40mg/KOH以下に調整する.
次に、撹拌翼、コンデンサ、温度計、水滴下装置を備えた、2Lセパラブルフラスコに、前記調整済みロジン300質量部とメチルエチルケトン(溶剤)105質量部とイソプロピルアルコール(溶剤)90質量部とを入れ、湯バスにて70℃まで加温し、70℃で維持して、100rpmで撹拌混合しながら樹脂を溶解させた(溶解液調製工程)。
その後、撹拌回転数を150rpmにし、湯バスを66℃に設定して30分間放置し温度を安定させた。
次に、10質量%アンモニア水(試薬)15質量部を1分間で投入し、10分間混合した後、66℃に保温されたイオン交換水を7質量部/分の速度で、合計900質量部滴下し転相させて、乳化液を得た。水滴下終了後直ちに、20℃水浴にて25℃まで冷却した。
【0113】
次に、冷却後の乳化液800質量部とイオン交換水500質量部を2Lナスフラスコに入れ、トラップ球を介して真空制御ユニットを備えたエバポレータ(東京理化器械株式会社製)にセットした。
次に、ナスフラスコを回転させながら湯バスにて60℃で30分間加温して液温を安定させた後、減圧を開始した。減圧条件は、101kPaから50kPaまでポンプの能力限界速度で、50kPaから7kPaまで172分で減圧し、7kPa到達後は7kPaを維持して、途中、内容物が突沸しないように適宜真空度を調整しながら溶剤を回収した。溶剤回収量が850質量部になった時点で常圧に戻し、ナスフラスコを水冷して、体積平均粒径180nm(堀場製作所、レーザ回折粒度測定装置:LA920:以下同様)のバイオマス樹脂粒子分散液A1を得た。
得られた分散液にイオン交換水を加え、固形分濃度を30質量%に調製した。
【0114】
(ポリスチレン樹脂粒子分散液A2)
ポリスチレン樹脂粒子(=熱硬化性樹脂粒子)分散液A2を、次のようにして調製した。
まず、2リットルの環流冷却器付きフラスコに、蒸留水133g、非イオン性界面活性剤エレミノールNL−100(三洋化成製ポリオキシエチレンアルキルエーテル、HLB値=14、曇点=90℃)0.53g(=スチレンに対して3.2wt%)を採取し、600rpmの回転数で撹拌しなから窒素ガスを水中に吹き込 み、約30分かけて、水中に溶解している酸素を置換した。
次に、窒素ガス気流下に85℃に昇温し、スチレン17gにヘキサンジオールアクリレート1.3g(=スチレンに対して3.5mol%)、及びアクリルメタクリレート0.01g(=スチレンに対して0.02mol%)を溶解した溶液を加えた。
次に、過硫酸カリウム0.62(=スチレンに対して3.7wt%)を水17gに溶かした水溶液を加え、同温度で1時間保持して乳化重合を行った。この時点で重合率は100%となり乳化重合はほぼ停止し、ポリスチレン樹脂粒子分散液A2(固形分濃度42.9質量%)を得た。分散液の一部(約0.8ml)を取り出し、体積平均粒径を調べたところ、330nmであった。
そして、得られた分散液を、希釈・濃縮作業により樹脂粒子の分散状態を維持したまま、固形分濃度40質量%に調整した。
【0115】
(ポリエステル樹脂粒子分散液A3)
ポリエステル樹脂粒子分散液A3を、次のようにして調製した。
まず、撹撹拌機、温度計、コンデンサ、窒素ガス導入管を備えた反応容器中に、テレフタル酸ジメチル23mol%、イソフタル酸10mol%、ドデセニルコハク酸無水物15mol%、トリメリット酸無水物3mol%、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物5mol%、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物45mol%の割合で投入し、反応容器中を乾燥窒素ガスで置換した後、触媒としてジブチルスズオキシド0.06mol%の割合で加え、窒素ガス気流下、約190℃で約7時間撹拌反応させた。
さらに温度を約250℃に上げて約5.0時間撹拌反応させた後、反応容器内を10.0mmHgまで減圧し、減圧下で約0.5時間撹拌反応させて、ポリエステル樹脂を得た。得られたポリエステル樹脂のガラス転移点(Tg)は55℃であった。また重量平均分子量(Mw)は21200、樹脂の酸価は15mgKOH/gであった。
【0116】
得られたポリエステル樹脂160質量部、イオン交換水640質量部、アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンRK;20質量%)8.0質量部を予備分散し、アンモニアによりpHを7.5に調整した。ついでキャビトロンCD1010(株式会社ユーロテック製)を高温高圧型に改造した分散機を用い、回転子の回転速度が60Hz、圧力が5kg/cm、熱交換器による加熱140℃の条件で分散を行い、体積平均粒子径160nmのポリエステル樹脂粒子分散液A3(固形分濃度20質量%)を得た.
【0117】
(スチレンアクリル樹脂粒子分散液A4)
スチレンアクリル樹脂粒子分散液A4を、次のようにして調製した。
まず、スチレン370質量部、n−ブチルアクリレート30質量部、アクリル酸8質量部、ドデカンチオール24質量部、四臭化炭素4質量部を混合して溶解したものを、非イオン性界面活性剤(ノニポール400:三洋化成(株)製)6質量部及びアニオン性界面活性剤(ネオゲンSC:第一工業製薬(株)製)10質量部をイオン交換水550質量部に溶解したフラスコ中で乳化重合させ、10分間ゆっくり混合しながら、これに過硫酸アンモニウム4gを溶解したイオン交換水50質量部を投入した。窒素置換を行った後、前記フラスコ内を攪拌しながら内容物が70℃になるまでオイルバスで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続し、体積平均粒径170nm、固形分濃度35%のスチレンアクリル樹脂粒子分散液A4を得た。
【0118】
[第2樹脂粒子分散液の調製]
(バイオマス樹脂粒子分散液B1)
バイオマス樹脂粒子分散液B1を,バイオマス樹脂粒子分散液A1と同様の処方で調整した。
得られた分散液は、樹脂粒子の体積平均粒径が180nm、固形分濃度が30質量%であった。
【0119】
(ポリスチレン樹脂粒子分散液B2)
ポリスチレン樹脂粒子(=熱硬化性樹脂粒子)分散液B2を、ポリスチレン樹脂粒子分散液A2と同様の処方で調製した。
得られた分散液は、樹脂粒子の体積平均粒径330nm、固形分濃度40質量%であった。
【0120】
(ポリエステル樹脂粒子分散液B3)
ポリエステル樹脂粒子分散液B3を、ポリエステル樹脂粒子分散液A3と同様の処方で調製した。
得られた分散液は、樹脂粒子の体積平均粒径が180nm、固形分濃度が20質量%であった。
【0121】
(ポリエステル樹脂粒子分散液B4)
スチレンアクリル樹脂粒子分散液B4を、スチレンアクリル樹脂粒子分散液A4と同様の処方で調製した。
得られた分散液は、樹脂粒子の体積平均粒径170nm、固形分濃度35質量%であった、
【0122】
[着色剤粒子分散液の調製]
・シアン顔料(銅フタロシアニンB15:3:大日精化社製) 45質量部
・イオン性界面活性剤ネオゲンRK(第一工業製薬社製) 5質量部
・イオン交換水 200質量部
上記成分を混合溶解し、ホモジナイザー(IKAウルトラタラックス)により10分間分散し、中心粒径140nm、固形分量22.0質量部の着色剤粒子分散液を得た。
【0123】
[離型剤粒子分散液の調製]
・パラフィンワックス HNP9(融点75℃:日本精鑞社製) 45質量部
・カチオン性界面活性剤 ネオゲンRK(第一工業製薬社製) 5質量部
・イオン交換水 200質量部
上記成分を95℃に加熱して、IKA製ウルトラタラックスT50にて分散後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理し、中心粒径200nm、固形分量20.0質量部の離型剤粒子分散液を得た。
【0124】
[実施例1]
−第1凝集粒子形成工程−
・第1樹脂粒子分散液(バイオマス樹脂粒子分散液A1): 278.9質量部
・着色剤粒子分散液: 27.3質量部
・離型剤粒子分散液: 35質量部
上記成分を丸型ガラスフラスコ中においてウルトラタラックスT50で混合・分散した。次いで、これにポリ塩化アルミニウム0.20質量部を加え、ウルトラタラックスで分散操作を継続した。加熱用オイルバスでフラスコを攪拌しながら48℃まで加熱して、各粒子を凝集させた。
【0125】
−第2凝集粒子形成工程−
そして、48℃で60分保持した後、第1凝集粒子が体積平均粒径が5.0μmに達した時点で、丸型ステンレス製フラスコ中に第2樹脂粒子分散液(スチレン・アクリル樹脂粒子分散液B4)を70.0質量部追加し、第2樹脂粒子を凝集させた。
その後、0.5mol/lの水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを9.0にして、凝集を停止した。
【0126】
−融合・合一工程−
そして、ガラスフラスコを密閉し、攪拌を継続しながら、ガラスフラスコの側面からマイクロ波を照射し(条件:出力600W、照射時間10sec、間欠時間10secを交互に繰り返す間欠方式)、昇温速度1℃/secで第2樹脂粒子(スチレン・アクリル樹脂粒子分散液B4の樹脂粒子)のビカット軟化温度+10℃まで加熱し、1分間保持した。
【0127】
−後工程−
反応終了後、冷却し、濾過、イオン交換水で洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過により固液分離を施した。これを更に30℃のイオン交換水1Lに再分散し、15分300rpmで攪拌・洗浄した。
これを更に5回繰り返し、濾液のpHが7.5、電気伝導度7.0μS/cmtとなったところで、ヌッチェ式吸引濾過によりNo5Aろ紙を用いて固液分離を行った。次いで真空乾燥を12時間継続し、コア/シェル構造のトナー(トナー粒子)を得た。
【0128】
そして、コア/シェル構造のトナー(トナー粒子)100質量部に、シリカ粒子(R972(日本アエロジル社製)):1質量部を加え、5リットルヘンシェルミキサーを用い、周速30m/sで15分間ブレンドを行った後、45μmの目開きの篩を用いて粗大粒子を除去し、外添トナーを作製した。
【0129】
[実施例2]
実施例1の「第2凝集粒子形成工程」まで全く同じ製法で,第2凝集粒子を作製した。
そして、第2凝集粒子分散液入りのガラスフラスコを、48℃に保持されたマグネチックスターラー付きの恒温槽に移した後、第2凝集粒子分散液をマグネチックスターラーで攪拌し、湾曲配管(管径:Φ1mm,長さ10m)が恒温槽中に埋設されたマイクロ熱交換器により、湾曲配管内で第2凝集粒子分散液が90℃となるように連続的に急速加熱した後,水冷槽に入った他のガラスフラスコに移動させ、氷冷した(図6参照)。
なお、2つのガラスフラスコは、配管によりマイクロ熱交換器の湾曲配管と連結され、吸引ポンプにより、一方のガラスフラスコから、配管及び湾曲配管を通じて、第2凝集粒子分散液が高機能マイクロ熱交換器(自社製:特開2009−147016号公報の記載に準じて作製)内を10mimで通過し、他のガラスフラスコへ移動させるようにして、吸引した。
これにより、融合・合一工程を行い、その後、実施例1と同様に後工程を施し、コア/シェル構造のトナー(トナー粒子)を得た。
なお、後述する実施例1及び2の評価結果により、望ましい加熱手法であることが確認された。
【0130】
[実施例3〜5、比較例1]
表1に従って、第1樹脂粒子分散液、第2樹脂粒子分散液、マイクロ波の照射条件を調整したり、他の加熱手段により融合・合一工程における加熱条件を変更した以外は、実施例1と同様にして、各トナーを作製した。
【0131】
[評価1]
各例で得られたトナーにつき、以下の評価を行った。結果を表2に示す。
【0132】
−表面観察−
各例で得られたトナー(外添剤添加前のトナー粒子)の表面を、SEMにより観察し、被覆層の剥れの状態について評価した。
【0133】
−体積平均粒径、GSDの測定−
各例で得られたトナー(外添剤添加前のトナー粒子)の体積平均粒径、GSDvについて調べた。
なお、体積粒度分布の指標であるGSDvは、「GSDv=(D84v/D16v)1/2」の式によって求められる。ここで、上述したトナー(トナー粒子)の体積平均粒径の測定方法において、D84vは粒径の体積分布における小径側からの累積84%となる粒径値であり、D16vは粒径の体積分布における小径側からの累積16%となる粒径値である。
D16v、D84vは、コールターマルチサイザーIV(ベックマン・コールター社製)測定器で測定した。
【0134】
[評価2]
各例で得られたトナー(外添剤添加後のトナー)につき、最低定着温度(MFT)、定着像のグロス、バイオマス度、ポットライフ(保存安定性)平均円形度、帯電量の評価を行った。結果を表3に示す。
具体的には、23℃・50%R.H.の条件下、トナー30質量部とフェライトキャリア(戸田工業社製EPT1000)800質量部をポリビンに投入して、手振りで、均一混合し、評価用の二成分現像剤とした。
これらの現像剤を用いて市販の複写機(DocuColorf450)の定着器の温度を可変に改造した上で,定着画像を作製した。
そして、定着した定着画像の、Gloss Meter GM−26D(村上色彩工学研究所製)により光沢(グロス)を測定し、画像に対する光の入射角は75度とした。光沢度は、出力100%のシアン画像で評価した。光沢度S/Wは、@−1〜@−4で光沢度(100%)差が30以上のものを「○」、20以上30未満のものを「△」、20未満のものを「×」とする3段階で評価した。
【0135】
また、パットで擦った後の定着画像の残存率が70%以上となる定着ロール温度を、「最低定着温度」とした。この最低定着温度が低いほど、低温定着性が優れる。
【0136】
一方で、得られたトナーのバイオマス度をバイオマス原材料の濃度とそのバイオマス成分比から計算した。
【0137】
また、得られたトナーのポットライフ(保存安定性)を高温高湿下(温度28℃、湿度85%)で48時間放置し、トナーの凝集の度合いで評価し、トナーの凝集が全く見られない場合のみを「○」,若干凝集があるものの,トナーとして使用可能な状態を「△」,それ以外を「×」とした。
【0138】
また、得られたトナーの平均円形度は、Sysmex社製FPIA−3000を用いて求めた。
FPIA−3000は、水などに分散させた粒子をフロー式画像解析法によって測定する方式を採用したもので、吸引された粒子懸濁液を フラットシースフローセルに導き、シース液によって偏平な試料流に形成する。その試料流にストロボ光を照射することにより、通過中の粒子を対物レンズを通 してCCDカメラで、静止画像として少なくとも5000個のトナーに対して撮像する。撮像された粒子像は、2次元画像処理され、投影面積と周囲長から円相当径を算出する。円相当径は、撮影された各々の粒子に対して、2次元画像の面積から同一の面積を有する円の直径を円相当径として算出する。
ここで、円形度は下記の式(1)で求められる.
式(1):円形度=円相当径周囲長/周囲長=[2×(A×π)1/2]/PM
(上式においてAは投影面積、PMは周囲長を表す。)
これらを個々の粒子において算出し平均することで平均円形度が求められる.
【0139】
また、得られたトナーの帯電量は,気温28℃,湿度85%の環境において,CSG(チャージスペクトログラフ)で測定し,このCSGを画像解析して帯電量(μC/g)を算出した.
【0140】
【表1】

【0141】
【表2】

【0142】
【表3】

【0143】
実施例1と比較例1との比較により、第1樹脂(第1樹脂粒子)よりも第2樹脂(第2樹脂粒子)とのビカット軟化温度が高い系においても、被覆層の剥がれがなくトナー粒子が得られたことがわかる。
【0144】
実施例3は、マイクロ波による昇温条件を変更し、より好ましい条件ではグロスが向上することがわかる。
実施例4および5により、ビガット軟化点の差が10℃以上の場合、ポットライフが向上することがわかる。
実施例5より、ビガット軟化点の差が5℃以上の場合、バイオマス度が向上することがわかる。
また、いずれの実施例でも、グロスも高いレベルに保ちながら、帯電性を40以上と円形度を0.95以上0.99以下の範囲で制御され、また、被覆材料を変更することで、同程度のMFTでも画像のグロスを調整されたことがわかる。
そして、これらにより、いずれの実施例でも高画質を実現することがわかる。
【符号の説明】
【0145】
1Y、1M、1C、1K、107 感光体(潜像保持体)
2Y、2M、2C、2K、108 帯電ローラ
3Y、3M、3C、3K レーザ光線
3 露光装置
4Y、4M、4C、4K、111 現像装置(現像手段)
5Y、5M、5C、5K 1次転写ローラ
6Y、6M、6C、6K、113 感光体クリーニング装置(クリーニング手段)
8Y、8M、8C、8K トナーカートリッジ
10Y、10M、10C、10K 画像形成ユニット
20 中間転写ベルト
22 駆動ローラ
24 支持ローラ
26 2次転写ローラ(転写手段)
28、115 定着装置(定着手段)
30 中間転写体清掃装置
112 転写装置
116 取り付けレール
117 除電露光のための開口部
118 露光のための開口部
200 プロセスカートリッジ
P、300 記録紙(被転写体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1樹脂粒子が分散された第1樹脂粒子分散液を少なくとも準備し、少なくとも第1樹脂粒子を凝集して、第1凝集粒子を形成する第1凝集粒子形成工程と、
前記第1凝集粒子が分散された第1凝集粒子分散液と、前記第1樹脂粒子よりもビカット軟化温度が高い第2樹脂粒子が分散された第2樹脂粒子分散液と、を混合し、前記第1凝集粒子の表面に前記第2樹脂粒子を付着するようにして凝集させ、第2凝集粒子を形成する第2凝集粒子形成工程と、
前記第2凝集粒子が分散された第2凝集粒子分散液に対して、昇温速度0.5℃/sec以上で、且つ前記第2樹脂粒子のビカット軟化温度以上に加熱して、前記第2凝集粒子を融合・合一する融合・合一工程と、
を有する静電荷像現像用トナーの製造方法。
【請求項2】
前記融合・合一工程において、加熱開始から前記第1樹脂粒子のビカット軟化温度に達するまでの昇温速度、及び前記第2樹脂粒子のビカット軟化温度に達してからの昇温速度よりも、前記第1樹脂粒子のビカット軟化温度に達してから前記第2樹脂粒子のビカット軟化温度に達するまでの昇温速度を速くして、前記加熱を行う請求項1に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
【請求項3】
第1樹脂を含んで構成される芯体と、
前記芯体の表面を被覆する被覆層であって、前記第1樹脂よりもビカット軟化温度が10℃以上高い第2樹脂を含んで構成される被覆層と、
を有する静電荷像現像用トナー。
【請求項4】
前記芯体を構成する第1樹脂がバイオマス樹脂であり、前記被覆層を構成する第2樹脂がポリエステル樹脂及びスチレンアクリル樹脂から選択される少なくとも1種である請求項3に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の静電荷像現像用トナーを少なくとも含む静電荷像現像剤。
【請求項6】
請求項3又は4に記載の静電荷像現像用トナーを収容し、
画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジ。
【請求項7】
請求項5に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、像保持体上に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段を備え、
画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
【請求項8】
像保持体と、
前記像保持体を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
請求項5に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、前記像保持体上に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、
前記像保持体上に形成されたトナー画像を被転写体上に転写する転写手段と、
前記被転写体上に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、
を備える画像形成装置
【請求項9】
像保持体を帯電する帯電工程と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、
請求項5に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、前記像保持体上に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、
前記像保持体上に形成されたトナー画像を被転写体上に転写する転写工程と、
前記被転写体上に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、
を有する画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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