説明

静電霧化装置付きトイレ設備

【課題】トイレルーム内の空気中はもちろん壁面等に付着する臭気成分やカビ類に対してもこれを除去することができ、素早く且つ確実に脱臭や防カビを図ることが可能な静電霧化装置付きトイレ設備を提供する。
【解決手段】脱臭効果や防カビ効果を発揮する活性種を含むナノメータサイズの帯電微粒子水を生成する静電霧化装置10を、水洗便器ユニット2や手洗いユニット3を備えてあるトイレルーム1内のトイレ設備に備え、トイレ使用後等に上記静電霧化装置10から帯電微粒子水をトイレルーム1内に飛散させることで、空気中だけでなくトイレルーム1の壁面に付着する臭気成分やカビ類をも除去可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレルーム内に設置されるトイレ設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、トイレルーム内においてトイレ使用後の消臭や防カビを図るために、例えば触媒を用いて空気中の臭気成分やカビ類を除去するといった方法が用いられてきた(例えば特許文献1参照)。しかしながら、上記手段は空気中に含まれる臭気成分やカビ類のみが除去の対象であって、壁面等に付着するものまでは対処することができず、したがってトイレ使用後に素早く且つ確実に脱臭や防カビを図ることが困難であるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−310731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記問題点に鑑みて発明したものであって、トイレルーム内の空気中はもちろん壁面等に付着する臭気成分やカビ類に対してもこれを除去することができ、素早く且つ確実に脱臭や防カビを図ることが可能な静電霧化装置付きトイレ設備を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明を、水粒子放出部17と、水粒子放出部17に水を供給するための水供給手段と、水粒子放出部17に高電圧を印加する電圧印加部とを備え、水粒子放出部17に高電圧を印加することで水粒子放出部17に保持される水を基にナノメータサイズの帯電微粒子水を生成する静電霧化装置10を構成し、上記水供給手段として、空気中の水分を結露させることで水の供給を行う結露水生成装置60を用い、一端側が空気吸入口21であり他端側が空気吐出口20である空気流路22を備え、該空気流路22中に触媒を用いたフィルタ部23を配置するとともに、該フィルタ部23の下流側に上記静電霧化装置10を配し、上記静電霧化装置10及び上記空気流路22をトイレルーム1内のトイレ設備に備え、上記静電霧化装置10から帯電微粒子水をトイレルーム1内に向けて放出し、壁表面に付着した臭気成分を分解させるように設けることを特徴とした静電霧化装置10付きトイレ設備とする。
【0006】
上記トイレ設備の静電霧化装置10からトイレルーム1内に向けて放出される帯電微粒子水には反応性に富む活性種が含まれ、この活性種により臭気成分の分解やカビ類の除菌及び繁殖抑制に高い効果が発揮される。活性種自身は寿命が短いものの水分子に包み込まれるように存在するために寿命が長くなり、しかも、ナノメータサイズと非常に小さいので空気中に長時間浮遊するとともに拡散性が高くなるので、トイレルーム1内の広い範囲において活性種による脱臭効果やカビ類の除菌や繁殖抑制効果を得ることができ、更に、帯電微粒子水が非常に小さく壁表面の細孔内部に入り込むことが可能であることからトイレルーム1の壁表面に付着した臭気成分やカビ類に対する脱臭効果や防カビ効果も得られるものである。上記静電霧化装置10は、トイレルーム1内の壁面に設けたトイレ設備に備え、上記静電霧化装置10から帯電微粒子水をトイレルーム1内の壁面に向けて放出することが好適である。
【0007】
また、上記水供給手段として、空気中の水分を結露させることで水の供給を行う結露水生成装置60を用いたことで、使用者は定期的に水を補給する必要がなくなり、しかも空気中の水分を基に水を得る構造であるから配管構造が不要となる。
【0008】
また、上記トイレ設備において、一端側が空気吸入口21であり他端側が空気吐出口20である空気流路22を備え、上記空気流路22中にフィルタ部23を配置するとともに該フィルタ部23の下流側に静電霧化装置10を配したことで、空気流路22中の静電霧化装置10から帯電微粒子水が放出される箇所において気流中の埃等や臭気成分は既に除去された状態となり、したがって帯電微粒子水が上記埃等に付着することが防止されるので帯電微粒子水の飛散性等が確保される。また、結露水生成装置60にて生成される結露水に空気中の臭気成分が溶存することが防止される。
【0009】
また、上記トイレ設備において、トイレルーム1内への入退室を検知する人体検知センサ41と、該人体検知センサ41が人体の退室を検知した際に静電霧化装置10の運転を開始させる制御部とを備えることも好適である。このように、臭気濃度が最も上昇するトイレ使用直後に静電霧化装置10の運転を開始させることで、脱臭及び防カビを効果的に図ることができる。また更に、上記制御部を、静電霧化装置10の運転開始時点から所定時間経過時点までの初期運転期間T1内における運転モードと、該初期運転期間T1以降の他の運転期間T2内における運転モードとを相違させるものとすることも好適である。このような制御とすることで、臭気濃度が最も上昇するトイレ使用直後は脱臭及び防カビを素早く且つ確実に図ることのできる運転モードとし、トイレ使用直後を除く時期には電力消費を抑制する運転モードに自動的に切換えることができ、したがって効率的で省電力な運転を行うことが可能となる。なお、上記トイレ設備において、水粒子放出部17に対向する対向電極15を備え、水粒子放出部17と対向電極15との間に高電圧を印加することで帯電微粒子水を生成することも好適である。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、トイレルーム内の空気中はもちろん壁面等に付着する臭気成分やカビ類に対してもこれを除去することができ、素早く且つ確実に脱臭や防カビを図ることが可能になるといった効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態における一例の静電霧化装置付きトイレ設備を示しており、(a)はトイレ設備全体の概略斜視図であり、(b)は静電霧化装置を収納する静電霧化装置ユニットの概略斜視図である。
【図2】同上の静電霧化装置ユニットの内部構造を示す説明図である。
【図3】同上の静電霧化装置ユニットの駆動制御を示す説明図である。
【図4】本発明の実施の形態における他例の静電霧化装置付きトイレ設備の、静電霧化装置の構造を示す説明図である。
【図5】本発明の実施の形態における更に他例の静電霧化装置付きトイレ設備の、静電霧化装置ユニットの内部構造を示す説明図である。
【図6】同上の静電霧化装置ユニットの基本構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。図1(a)には、本発明の実施の形態における一例のトイレ設備全体を示している。本例のトイレ設備はトイレルーム1内に設置されるものであり、トイレルーム1内の床面1aには水洗便器ユニット2を設置するとともに、該床面1aから立設される側壁面1bには手洗いユニット3を設置している。
【0013】
上記水洗便器ユニット2は、水洗便器30上に局部洗浄装置31を装着させたものである。また、上記手洗いユニット3は、内部に物品を収納可能な下側収納キャビネット4と上側収納キャビネット5とを上下方向に所定の隙間を隔てて設置し、下側収納キャビネット4の上面側にカウンター部6を設けるとともに該カウンター部6に手洗いボウル7や蛇口8を装着させたものであり、上記手洗いユニット3の上側収納キャビネット5の下面には、図1(b)にも示すような静電霧化装置ユニット9をカウンター部6の手洗いボウル7の上方に位置するように設置している。
【0014】
静電霧化装置ユニット9は図2に示すような内部構造を有しており、外殻を成す本体ハウジング11内に備えてある静電霧化装置10から発生するナノメータサイズのイオンのミスト(即ち、後述の帯電微粒子水)を、本体ハウジング11前面に開口させてある空気吐出口20からトイレルーム1内に向けて放出するようになっている。上記静電霧化装置10は、タンク状の水溜め部12と、多孔質体から成る棒状部材であって水溜め部12内の水にその基端部13aを浸す状態に支持される搬送部13と、搬送部13を前記状態に支持するとともに該搬送部13内に保持される水に電圧を印加する液印加電極14と、搬送部13の尖鋭形状を成す先端部13bと対向する位置に配置される対向電極15と、液印加電極14と対向電極15との間に高電圧を印加する電圧印加部(図示せず)とで主体を構成している。
【0015】
搬送部13は粒径が2〜500μmのセラミック粒子から成り、各粒子間の隙間の細穴が1〜250μmで連続気泡状に配される多孔質部材となっている。また、搬送部13の先端部13bが本例の水粒子放出部17となっており、この水粒子放出部17を含む搬送部13の先端側半部が液印加電極14よりも上方に突出し、水粒子放出部17とは反対側である搬送部13の基端側半部が液印加電極14よりも下方に突出してその一部が水溜め部12内の水に接触するようになっている。液印加電極14と対向電極15とは共にカーボンのような導電材を混入した合成樹脂やSUSのような金属で形成しており、対向電極15は接地させてある。
【0016】
しかして、多孔質材である搬送部13が水溜め部12内の水を基端部13a側から吸収して先端の水粒子放出部17にまで搬送している状態で、電圧印加部により液印加電極14と対向電極15との間に高電圧を印加すると、搬送部13先端の水粒子放出部17が液印加電極14側の実質的な電極として機能し、水粒子放出部17にまで搬送された水に後述のレイリー分裂を生じさせる。なお、電圧印加部としては500V/mm以上(特に700〜1200V/mm)の電界強度を与えることができるものが好ましい。
【0017】
レイリー分裂は、高電圧により大きなエネルギを受けた水が表面張力を超えて分裂を繰返す現象であり、上記レイリー分裂により水粒子放出部17の水を基にナノメータサイズ(例えば10〜30ナノメータ)の粒子径の帯電微粒子水を発生させる静電霧化がなされ、この時、同時に生成された反応性に富む活性種(ヒドロキシラジカル、スーパーオキサイド等の脱臭・除菌の源となる物質)が分裂した水に含まれて空気中に飛び出す。このようにして、水粒子放出部17から活性種を含んだナノメータサイズの帯電微粒子水(以下、これを単にミストMという)を発生させるものである。活性種は非常に反応性に富むため、臭気成分の分解やカビ類の除菌及び繁殖抑制に高い効果を発揮するが、その反面、単独で存在する場合には寿命が短いという性質を有する。しかし、上記静電霧化装置10により生成されるミストMにおいては活性種が水分子に包み込まれるように存在するために寿命が長くなり、しかも、上記のようにナノメータサイズと非常に小さいので空気中に長時間浮遊するとともに拡散性が高くなるので、空間内の広い範囲において活性種による脱臭効果やカビ類の除菌や繁殖抑制効果を高めることができ、更に、ミストMはナノメータサイズと非常に小さく壁表面の細孔内部に入り込むことが可能であることから壁表面に付着した臭気成分やカビ類に対しても脱臭効果や防カビ効果が得られるのである。以下に、ミストM中の活性種と各種臭気成分との脱臭反応式を示す。
【0018】
アンモニア: 2NH+6・OH→N+6H
アセトアルデヒド: CHCHO+6・OH+O→2CO+5H
酢酸: CHCOOH+4・OH+O→2CO+4H
メタンガス: CH+4・OH+O→CO+H
一酸化炭素: CO+2・OH→CO+H
一酸化窒素: 2NO+4・OH→N+2CO+2H
ホルムアルデヒド: HCHO+4・OH→CO+3H
なお、上記脱臭反応式において・OHはヒドロキシラジカルを示す。
【0019】
上記静電霧化装置10が収納される本体ハウジング11内には、一端側が空気吸入口21であり且つ他端側が空気吐出口20である空気流路22を形成しており、この空気流路22中の空気吸入口21部分にフィルタ部23を配するとともに、空気吐出口20よりも所定距離だけ下流側の箇所にはファン24を配し、空気流入口21側から空気吐出口20側へと向けて強制的に空気を流すように設けている。上記静電霧化装置10は、空気流路22中であってフィルタ部23やファン24よりも下流側であり且つ空気吐出口20よりも上流側である箇所PにミストMを放出するように、本体ハウジング11内の空気流路22の下方に配置させてある。
【0020】
したがって、静電霧化装置ユニット9に備えてある制御部(図示せず)によりファン24及び静電霧化装置10を駆動させると、本体ハウジング11前面に開口してあるフィルタ部23付きの空気吸入口21から、トイレルーム1内の空気がフィルタ部23により埃や浮遊微粒子や臭気成分が除去された状態で空気流路22内に導入され、その後に静電霧化装置10から放出されたミストMを含ませた状態で空気吐出口20からトイレルーム1内に戻される。このとき、上記したように非常に小さく長時間浮遊可能であって拡散性の高いミストMは、空気吐出口20から外部に向けて生じる気流に乗ってトイレルーム1内の隅々にまで行き渡ることとなり、トイレルーム1内の空間全域において脱臭効果やカビ類の除菌や繁殖抑制効果を発揮し、更に、トイレルーム1壁表面の細孔内部にまでも入り込んで壁表面に付着した臭気成分やカビ類に対しても脱臭効果やカビ類の除菌や繁殖抑制効果を発揮するものである。しかも、静電霧化装置ユニット9内において静電霧化装置10はフィルタ部23の下流側に配しているので、空気流路22中のミストMが放出される箇所Pにおいて気流中の埃等や臭気成分は既に除去された状態にあり、したがってミストMが上記埃等に付着することが防止されてミストMの飛散性等を確保することが可能になっている。
【0021】
本例においては、水粒子放出部17まで水を供給する為の水供給手段として、水をためるタンク状の水溜め部12と、先端部13bが水粒子放出部17であり且つ毛細管現象により該水粒子放出部17にまで水溜め部12内の水を搬送する搬送部13とを備えた構造となっており、更に、この水溜め部12内に自動的に給水が為されるように自動供給装置40を設置している。上記自動供給装置40は、水洗便器ユニット2や手洗いユニット3に水を供給する為にトイレルーム1内に配設してある給水管32から分岐されたものであってその先端に水溜め部12に給水を行う給水口33aを有する分岐管33と、分岐管33の流路途中に配される開閉弁34と、水溜め部12内の水位を検知する水位センサ35とを備え、静電霧化装置ユニット9の制御部によって水位センサ35の検知結果を基に電磁弁である開閉弁34を開閉制御するものであり、通常は開閉弁35を閉状態に保持するとともに水溜め部12内の水が一定の水位以下となった場合にはこれを検知した水位センサ35からの信号に基づいて開閉弁34を一定時間だけ開状態に切換え、水溜め部12内に一定量の水を供給させる構造としている。上記自動給水装置40の設置により使用者は定期的に水を補給する必要がなく、しかも給水源としてトイレルーム1内に配設してある給水管32を利用するので特別な配管構造が不要なものとなっている。
【0022】
図3には、静電霧化装置ユニット9における静電霧化装置10及びファン24の駆動制御について示している。この駆動制御は、電力消費を抑制しながらも効果的な防臭及び防カビを行う為に、人体検知センサ41が人体の退室を検知した際に該人体検知センサ41からの信号を受けた制御部が静電霧化装置10及びファン24の運転を開始させるものであり、静電霧化装置10及びファン24の運転開始時点から所定時間経過時点までの初期運転期間T1内における運転モードと、該初期運転期間T1以降の他の運転期間T2内における運転モードとを、前者の運転期間T1よりも後者の運転期間T2の方が運転強度が弱くなるように相違させて設定している。なお、上記人体検知センサ41は図1(b)に示すように本体ユニット11表面の空気吐出口20と空気吸入口21に挟まれる箇所に設置されているが、人体の入退室を検知可能であれば他の箇所に設置してあっても構わない。
【0023】
ここで、図示例においては、初期運転期間T1を退室検知時点から15分経過時点までの期間とし、このトイレ使用直後である初期運転期間T1中においては、ファン24を送風量が200L/minとなるように駆動制御し且つ静電霧化装置10を通電率が100%になるように駆動制御する「強」運転モードで運転する。そして、初期運転期間T1を過ぎた後の期間である他の運転期間T2中においては、ファン24及び静電霧化装置10を停止させる期間T2aとファン24を送風量が100L/minとなるように駆動制御し且つ静電霧化装置10を通電率が50%になるように駆動制御する期間T2bとを120分である所定時間毎に交互に繰返す「弱」運転モードで運転する。「弱」運転モードでの運転期間T2は、次回の退室検知により「強」運転モードでの運転期間T1が開始されるまで継続させてもよいし、また運転期間T2開始後に一定時間経過した時点で運転自体を一旦終了して次回の退室を検知した時点で「強」運転モードで運転を再開させるように設定してもよい。
【0024】
上記のようにトイレ使用直後の運転モードを、ミストMを大量に発生させ且つ該ミストMを強い気流に乗せてトイレルーム1内に飛散させる「強」運転モードに設置することで、臭気濃度が最も上昇するトイレ使用直後に素早く且つ確実に脱臭及び防カビを図ることができ、しかも、トイレ使用直後を除く時期はミストMや該ミストMを飛散させる為の気流の発生を抑制する「弱」運転モードに自動的に切り替えられるので、電力消費を抑制することが可能なものである。なお、各運転モードは図示例の設置に限定されず、初期運転期間T1の運転モードが他の運転期間T2の運転モードよりも運転強度の強いものであれば、他の設定であっても構わない。
【0025】
次に、本発明の実施の形態における他例のトイレ設備について説明する。なお、上記した一例と同様の構成については詳しい説明を省略し、本例の特徴的な構成についてのみ以下に詳述する。
【0026】
本例の静電霧化装置ユニット9は、静電霧化装置10として図4に示す構造のものを組み込むことで、一例のようなタンク状の水溜め部12や自動給水装置40の装着を不要にした構造となっている。即ち、本例の静電霧化装置10は、冷却部50と放熱部51とを有するぺルチェユニット52から成る結露水生成装置60を水供給手段として備え、結露水生成装置60の冷却部50に空気中の水分を結露させることで水の供給を行う構造となっている。
【0027】
ぺルチェユニット52は、熱伝導性の高いアルミナや窒化アルミニウムから成る絶縁板の片面側に回路を形成してある一対のぺルチェ回路板53を、互いの回路側が向い合うように対向させ、多数列設してある熱電素子54を両ぺルチェ回路板53で挟持させるとともに隣接する熱電素子54同士を両側の回路で電気的に接続させ、ぺルチェ入力リード線55を介してぺルチェユニット用電源56にて為される熱電素子54への通電により一方のぺルチェ回路板53(これを吸熱側のぺルチェ回路板53aとする)側から他方のぺルチェ回路板53(これを発熱側のぺルチェ回路板53bとする)側に向けて熱が移動するように設けたもので、吸熱側のぺルチェ回路板53aを冷却部50に接続させるとともに放熱側のぺルチェ回路板53bをフィン状の放熱部51側に接続させることで結露水生成装置60を形成している。
【0028】
冷却部50は、内部に結露水を溜めることが可能な水溜め部12が形成されるように熱伝導性の高い材料を用いて皿状に形成されたものであり、この冷却部50の内底面上には、上端部が尖鋭形状を成す液印加電極14を設けている。上記液印加電極14は、上端部が水粒子放出部17となるもので、多孔質材で形成されるか又は微細孔や微細溝(図示例では微細孔56)を形成することで、その下端部の水溜め部12内に貯水される結露水を毛細管現象にて放電極となる上端部の水粒子放出部17にまで搬送する搬送部13としての機能を発揮する構造に設けている。また、水粒子放出部17を金属で形成すること又は金属製の表面膜を形成することで表面の熱伝導性を高く設けるとともに、該水粒子放出部17を冷却部50に熱的に接続されるように取付けることで、水粒子放出部17の表面に結露水が直接生成されるようにしてもよいし、或いは、一例のように多孔質体から成りその先端に水粒子放出部17を有する搬送部13を設け、この搬送部13に液印加電極14を接続させる構造としてもよい。
【0029】
なお、水粒子放出部17における単位時間当りの水の消費量よりも結露水生成装置60における単位時間当りの水の生成量が上回る場合には、静電霧化装置10はその単位時間内においてトイレルーム1の除湿効果も発揮することとなる。冷却部50にはオーバーフロー孔57を設けてあり、水溜め部12内に溜められた結露水が一定水位以上になった場合には、上記オーバーフロー孔57を通じて余剰水が下方に配してある余剰水貯水タンク58にまで排水されるようになっている。
【0030】
次に、本発明の実施の形態における更に他例のトイレ設備について説明する。なお、上記した一例や他例と同様の構成については詳しい説明を省略し、本例の特徴的な構成についてのみ以下に詳述する。
【0031】
本例の静電霧化装置ユニット9は、一端側が空気吸入口21であり且つ他端側が空気吐出口20である空気流路22を本体ハウジング11内に備え、上記空気流路22中の空気吸入口21部分にフィルタ部23を配置することともに、該空気流路22中のフィルタ部23よりも下流側の箇所に静電霧化装置10の結露水生成装置60を配置し、更に、上記結露水生成装置60より下流側であり且つ空気吐出口20よりも上流側である箇所PにミストMを放出するように、静電霧化装置10の搬送部13や液印加電極14や対向電極15等から成る本体部分を配置させてある。上記結露水生成装置60は他例と同様のぺルチェユニット52から成り、生成された結露水を搬送部13下方の水溜め部12内にまで送り込む構造になっている。また、上記フィルタ部23は、空気中の埃や浮遊微粒子を除去する為の微細な網目構造を有する集塵フィルタ70と、空気中の臭気成分を除去する為の活性炭又は触媒を用いた脱臭フィルタ71とから成り、集塵フィルタ70の下流側に脱臭フィルタ71が位置するように配している。
【0032】
つまり、本例の静電霧化装置ユニット9においては、空気流路22中に結露水生成装置60を配することで該結露水生成装置60に絶えず新鮮な空気を送り込んで結露水を効率的に生成可能になっており、しかも、図6にも示すようにフィルタ部23、ファン24、結露水生成装置60、静電霧化装置10をこの順に空気流路22の上流側から下流側に配しているので、ファン24により送り込まれる空気は結露水生成装置60に送り込まれる段階で既に埃等や臭気成分が除去された清浄な状態にあり、したがって結露水生成装置60に埃等が付着蓄積していくことや、結露水生成装置60にて得られる結露水に空気中の臭気成分が溶存することが防止されるものである。結露水に臭気成分が溶存していた場合には該結露水を基に生成されるミストM中にも臭気成分が含まれてしまうが、上記構成とすることでこれを防止しているのである。また、静電霧化装置10をフィルタ部23の下流側に位置していることで、静電霧化装置10から放出されるミストMが埃等に付着することを防止してミストMの飛散性等を確保していることは一例と同様である。
【符号の説明】
【0033】
1 トイレルーム
10 静電霧化装置
12 水溜め部
13 搬送部
14 液印加電極
15 対向電極
17 水粒子放出部
20 空気吐出口
21 空気吸入口
22 空気流路
23 フィルタ部
32 給水管
33 分岐管
40 自動給水装置
41 人体検知センサ
50 冷却部
52 ぺルチェユニット
60 結露水生成装置
M ミスト
T1 初期運転期間
T2 他の運転期間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水粒子放出部と、水粒子放出部に水を供給するための水供給手段と、水粒子放出部に高電圧を印加する電圧印加部とを備え、水粒子放出部に高電圧を印加することで水粒子放出部に保持される水を基にナノメータサイズの帯電微粒子水を生成する静電霧化装置を構成し、上記水供給手段として、空気中の水分を結露させることで水の供給を行う結露水生成装置を用い、一端側が空気吸入口であり他端側が空気吐出口である空気流路を備え、該空気流路中に触媒を用いたフィルタ部を配置するとともに、該フィルタ部の下流側に上記静電霧化装置を配し、上記静電霧化装置及び上記空気流路をトイレルーム内のトイレ設備に備え、上記静電霧化装置から帯電微粒子水をトイレルーム内に向けて放出し、壁表面に付着した臭気成分を分解させるように設けたことを特徴とする静電霧化装置付きトイレ設備。
【請求項2】
上記静電霧化装置を、トイレルーム内の壁面に設けたトイレ設備に備え、上記静電霧化装置から帯電微粒子水をトイレルーム内の壁面に向けて放出することを特徴とする請求項1に記載の静電霧化装置付きトイレ設備。
【請求項3】
トイレルーム内への入退室を検知する人体検知センサと、該人体検知センサが人体の退室を検知した際に上記静電霧化装置の運転を開始させる制御部とを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の静電霧化装置付きトイレ設備。
【請求項4】
上記制御部を、上記静電霧化装置の運転開始時点から所定時間経過時点までの初期運転期間内における運転モードと、該初期運転期間以降の他の運転期間内における運転モードとを相違させるものとすることを特徴とする請求項3に記載の静電霧化装置付きトイレ設備。
【請求項5】
水粒子放出部に対向する対向電極を備え、水粒子放出部と対向電極との間に高電圧を印加することで帯電微粒子水を生成することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の静電霧化装置付きトイレ設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−299466(P2009−299466A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−214169(P2009−214169)
【出願日】平成21年9月16日(2009.9.16)
【分割の表示】特願2004−247343(P2004−247343)の分割
【原出願日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】