説明

静電霧化装置

【課題】ケースや電気機器等への組込みを容易にすることが可能で、且つ、小型化することが可能となる。
【解決手段】放電極2と、この放電極2に水を供給する水供給手段3と、前記放電極2に供給された水を静電霧化するために強電界を発生させるための高電圧印加手段4を備える静電霧化装置である。前記放電極2と前記高電圧印加手段4が同じ回路基板5に保持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電霧化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、放電極と、この放電極に水を供給する水供給手段と、前記放電極に供給された水を静電霧化するために強電界を発生させるための高電圧印加手段を備える静電霧化装置が知られている。
【0003】
この特許文献1においては、放電極と、この放電極に水供給手段であるペルチェユニットが一つのブロック化された電気部品の霧化ブロックと、高電圧印加手段を構成する電気部品のブロックがそれぞれ別体に構成されている。
【0004】
そして、この別体に構成された霧化ブロックと、高電圧印加手段を構成するブロックは、それぞれケース内に別々に組込まれて静電霧化装置が構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−117971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、前記従来例は、別体に構成された霧化ブロック、高電圧印加手段を構成するブロックは、それぞれケース内に別々に組込み固定する必要があり、組込みが複雑で、製造コストを低くし難いという問題がある。
【0007】
また、別体に構成された霧化ブロック、高電圧印加手段を構成するブロックをケース内に別々に組込むため、ケースの形状が複雑となり、また、ケースの小型化、つまり、静電霧化装置の小型化が困難である。
【0008】
また、ケース内で霧化ブロック、高電圧印加手段を電気的に接続する必要があり、例えば、各ブロックを電気的に接続するためのハーネスの取付けやケースへの固定等、組立が複雑であり、製造コストを低くでき難いという問題がある。
【0009】
本発明は、上記の従来の問題点に鑑みて発明したもので、ケースや電気機器等への組込みを容易にすることが可能で、且つ、小型化することが可能な静電霧化装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の静電霧化装置は、放電極と、この放電極に水を供給する水供給手段と、前記放電極に供給された水を静電霧化するために強電界を発生させるための高電圧印加手段を備える静電霧化装置であって、前記放電極と前記高電圧印加手段が同じ回路基板に保持されていることを特徴とする。
【0011】
また、前記水供給手段が前記放電極を冷却してこの放電極部分に空気中の水分を基に静電霧化するための結露水を生成する熱交換手段により構成され、この熱交換手段への通電と熱を放熱する放熱用通電部を備えることが好ましい。
【0012】
また、前記放電極と前記熱交換手段を備えた静電霧化発生部を形成し、この静電霧化発生部は、前記放熱用通電部が前記回路基板に実装されることで前記回路基板に保持されていることが好ましい。
【0013】
また、前記高電圧印加手段の通電部が前記回路基板に実装されていることが好ましい。
【0014】
また、前記放熱用通電部を冷却する送風部が前記回路基板に保持されていることが好ましい。
【0015】
また、前記送風部の通電部が前記回路基板に実装されていることが好ましい。
【0016】
また、前記回路基板がケース内に収納され、このケースには空気が流入する孔と、静電霧化により発生した帯電微粒子水の放出口を対向して設けてあることが好ましい。
【0017】
また、前記回路基板が前記ケース内に収納され、このケースには前記空気が流入する孔と、静電霧化により発生した帯電微粒子水の前記放出口を対向して設け、前記空気が流入する孔と、前記放出口を結ぶ直線上に、前記放電極と前記熱交換手段を備えた前記静電霧化発生部、前記送風部、前記高電圧印加手段が保持されていることが好ましい。
【0018】
また、前期送風部から前記静電霧化発生部へ送風する経路で、前記静電霧化発生部と同じ前記回路基板に温度センサ又は湿度センサを配置し、前記温度センサで検知した温度又は前記湿度センサで検知した湿度により前記熱交換手段への冷却能力を制御することが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、放電極と高電圧印加手段を同じ回路基板に保持してユニット化することで、ケースや電気機器等への組込みを容易にすることが可能となり、且つ、小型化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の静電霧化装置の一実施形態の斜視図である。
【図2】(a)は同上の平面図であり、(b)は側面図であり、(c)は正面図である。
【図3】同上の断面図である。
【図4】同上に用いる回路基板の平面図である。
【図5】同上に用いる静電霧化発生部を示し、(a)は斜視図であり、(b)は正面図であり、(c)はA−A線の断面図である。
【図6】同上の他の実施形態の斜視図である。
【図7】(a)は同上の平面図であり、(b)は側面図であり、(c)は正面図である。
【図8】同上に用いる回路基板の平面図である。
【図9】同上の更に他の実施形態を示し、(a)は上から見た斜視図であり、(b)は下から見た斜視図である。
【図10】(a)は同上の平面図であり、(b)は同上の側面図であり、(c)は同上の正面図である。
【図11】同上の図10(a)のB−B線の断面図である。
【図12】同上の図10(a)のC−C線の断面図である。
【図13】同上の更に他の実施形態の断面図である。
【図14】同上の更に他の実施形態の断面図である。
【図15】同上の更に他の実施形態の断面図である。
【図16】(a)(b)は同上の更に他の実施形態の断面図である。
【図17】同上の更に他の実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0022】
図1乃至図5には一実施形態が示されている。
【0023】
静電霧化装置1は、放電極2と、水供給手段3と、高電圧印加手段4と、送風部9と、を備え、更に、水供給手段3、高電圧印加手段4、送風部9に通電するための回路を備えた回路基板5を備える。
【0024】
水供給手段3は放電極2に水を供給するためのもので、実施形態においては、放電極2を冷却してこの放電極2部分に空気中の水分を基に静電霧化するための結露水を生成する熱交換手段6により構成される。
【0025】
放電極2と水供給手段3である熱交換手段6は霧化ケーシング15に組み込んであって、図5に示される一つのブロック化された静電霧化発生部8が構成される。
【0026】
霧化ケーシング15は合成樹脂により構成され、図5(c)の実施形態では、対向電極14を備えている例が示されている。
【0027】
対向電極14は環状に形成され、環状の中心が放電極2の軸芯の延長線上に位置する。
【0028】
熱交換手段6は、複数の熱電素子16を備える。図5においては、熱電素子16としてはP型のペルチェ素子とN型のペルチェ素子が用いられる。そしてP型のペルチェ素子の端部と、N型のペルチェ素子の端部が、平板状の導電材よりなる連結部17の裏面に固着してあり、ペルチェ素子の連結部17側の端部が冷却側となり、ペルチェ素子の端部が放熱側となる。
【0029】
連結部17の表面側には先端が尖った放電極2が突設してあり、熱交換手段6の冷却側が冷却されることで放電極2が冷却される。
【0030】
P型とN型で対をなす熱電素子16の放熱側の端部には、それぞれ通電と熱を放熱する放熱用通電部7が接合してあり、図5に示すように放熱用通電部7が霧化ケーシング15の外側に突出している。
【0031】
放熱用通電部7は、放熱の機能と、熱電素子16への通電の機能を備えている。
【0032】
図5に示す実施形態においては、放熱用通電部7が霧化ケーシング15の側面からL状に突設されており、これにより側面からの側方への突出長をできるだけ短くしながら放熱面積を広く確保できるようにしている。この放熱用通電部7の先端部は接続用端子部45となっている。
【0033】
霧化ケーシング15の放熱用通電部7を突設した両側面には図5(a)のように係止部19と、位置ずれ防止部20とを設けている。
【0034】
霧化ケーシング15は、対向電極14が位置する側の端部が開口し、また、上面に空気流入用開口25を設け、下面に排水用開口26を設けている。ここで、L状をした放熱用通電部7の先端部側を下、放熱用通電部7の突出基部側を上と定義して、霧化ケーシング15の下面、上面を規定している。
【0035】
図1、図2に示すように、放電極2、熱交換手段6を備えた静電霧化発生部8と、高電圧印加手段4は、同じ回路基板5に保持される。この回路基板5には、更に、水供給手段3である熱交換手段6に電源を供給するための熱交換手段電源供給部13、送風部9も保持される。
【0036】
また、回路基板5には電源入力部46が実装され、この電源入力部46には外部から電源を入力するためのコネクター48を有する電源線47が接続される。回路基板5に実装された電源入力部46は、回路基板5に形成した回路を通して回路基板5に保持する高電圧印加手段4、熱交換手段電源供給部13、送風部9等と電気的に接続される。
【0037】
回路基板5は図4に示すように、一端部に略コ字状をした切欠き部18が形成されており、この切欠き部18の両側縁には係止縁部21と、嵌め込み凹部22を備えている。
【0038】
また、回路基板5は、放熱用通電部7の接続用端子部45を実装するための実装用孔23を有している。この実装用孔23の内周面には図示を省略しているが回路基板5に設けた熱交換用通電回路が露出している。この熱交換用通電回路は回路基板5に保持される(実施形態では実装される)熱交換手段電源供給部13を構成する電気部品に電気的に接続される。
【0039】
静電霧化発生部8は、回路基板5の実装用孔23に接続用端子部45を嵌め込み、熱交換用通電回路と電気的に接続した状態で半田付けなどの固着手段により回路基板5に接続され、これにより静電霧化発生部8が回路基板5に対し実装される。
【0040】
このように静電霧化発生部8は回路基板5に保持される。
【0041】
この場合、更に、静電霧化発生部8の一部(下部)が回路基板5の切欠き部18に嵌め込まれ、係止部19が係止縁部21に係止され(図3参照)、位置ずれ防止部20が嵌め込み凹部22に嵌め込まれる。
【0042】
係止部19が係止縁部21に係止されることで、静電霧化発生部8が回路基板5の面と直交する方向(上下方向)に外れるのを防止するようになっている。
【0043】
また、両側の位置ずれ防止部20が両側の嵌め込み凹部22に嵌め込まれることで、静電霧化発生部8が回路基板5の面と平行な方向(前後、左右方向)に位置ずれするのを防止するようになっている。
【0044】
本実施形態は、静電霧化発生部8の回路基板5への保持が、実装用孔23に接続用端子部45を嵌め込んで実装する保持に加え、係止部19と係止縁部21の係止及び位置ずれ防止部20と嵌め込み凹部22の嵌め込みによる保持がなされ、保持がより強固となる。
【0045】
回路基板5には高電圧印加手段4が保持されている。添付図面に示す実施形態では高電圧印加手段4を構成する電気部品の通電部となる端子が回路基板5に実装される。
【0046】
高電圧印加手段4と静電霧化発生部8の対向電極14は図1、図2に示すようにハーネス28により電気的に接続される。
【0047】
回路基板5には放熱用通電部7を冷却するための送風部9が保持される(図1、2参照)。添付図面の実施形態では送風部9を構成するファンユニットの通電部となる端子29が回路基板5に実装され、端子29が回路基板5に設けた送風部通電回路に電気的に接続される。
【0048】
送風部9は、ファン、送風口、吸気口を備えている。
【0049】
更に送風部9はフック30を有していて、フック30を回路基板5に設けた孔27に係止することで、送風部9の回路基板5への保持力を向上させている。
【0050】
前記構成の静電霧化装置1は、熱交換手段電源供給部13から熱電素子16に対し通電すると、各熱電素子16内において同一方向への熱の移動が生じ、熱電素子16の冷却部側が冷却されて放電極2が冷却され、放熱側が高温となって放熱用通電部7が高温となる。
【0051】
放電極2が冷却されると放電極2の周囲の空気が冷却され、空気中の水分が結露等により液化されて放電極2の先端部に結露水が生成される。
【0052】
上記のようにして放電極2を冷却して放電極2の先端部に結露水が保持された状態で、高電圧印加手段4により高電圧を印加して、放電極2の周りに強電界を発生させる。これにより放電極2の先端部に保持されている水がマイナス又はプラスに帯電し、帯電した水にクーロン力が働き、該水の液面が局所的に円錐形状に盛り上がってテイラーコーンが形成される。すると、円錐形状となった水の先端に電荷が集中して電荷の密度が高密度となり、高密度の電荷の反発力ではじけるようにして水が分裂・飛散(レーリー分裂)して静電霧化を行い、ラジカルを有するナノメータサイズの帯電微粒子水を発生させる。
【0053】
一方、放熱用通電部7から熱が放電される。
【0054】
ここで、熱交換手段電源供給部13から熱電素子16への通電と同時に送風部9に通電され、送風部9が運転される。
【0055】
送風部9から送られる空気流は、霧化ケーシング15に沿って流れ、放熱用通電部7に当って、放熱用通電部7を冷却して放熱を促進させ前方に流れる。
【0056】
一方、霧化ケーシング15内で静電霧化により生成された帯電微粒子水は静電霧化時に発生するイオン風、及び、空気流入用開口25から霧化ケーシング15内に流れ込む少量の空気の流れにより、霧化ケーシング15の前面開口の外に運ばれる。霧化ケーシング15の前面開口の外に運ばれた帯電微粒子水は霧化ケーシング15の外側を流れてきた空気流と合流してこれに乗って前方に放出される。これにより、帯電微粒子水を遠くまで飛ばすことが可能となる。
【0057】
空気流入用開口25から霧化ケーシング15内に流れ込む空気の風量は、放電極2における空気中の水分を結露水として生成することの妨げとならないような風量となるようにする。これにより、結露時間を短く且つ安定して結露水を生成することが可能となる。
【0058】
前記構成の静電霧化装置1は、放電極2と水供給手段3を備えた静電霧化発生部8、高電圧印加手段4、熱交換手段電源供給部13、送風部9等を回路基板5に保持して一つのユニットとして構成してあるので、構成が簡略化され、小型化が可能となる。
【0059】
しかも、水供給手段3を熱交換手段6で構成し、熱交換手段6への通電と熱を放熱する機能を有する放熱用通電部7を備えるので、熱交換手段6への通電と放熱を別部材で構成する必要がなく、構成が簡略化され、この点でも静電霧化装置1の小型化が可能となる。
【0060】
また、実施形態では水供給手段3である熱交換手段6の放熱用通電部7を回路基板5に実装しているので、熱交換手段6に通電するためのハーネスを必要としないので、構成が簡略化され、且つ、組立が簡略化される。
【0061】
図6、図7には他の実施形態が示してある。
【0062】
本実施形態は、対向電極14と高電圧印加手段4との電気的接続の構成が、前述の高電圧印加手段4と静電霧化発生部8の対向電極14をハーネス28により電気的に接続した構成と異なる。そして、この対向電極14と高電圧印加手段4との電気的接続の構成以外は前述の実施形態と同様なので、以下の説明では重複する説明は省略して、異なる点のみを説明する。
【0063】
本実施形態は、図6、図7のように静電霧化発生部8に設けた対向電極14に端子40を連出している。
【0064】
また、回路基板5には、高電圧印加用回路を形成し、更に、図8に示すように、回路基板5に対向電極14から端子40を実装するための実装用孔41を有している。この実装用孔41の内周面には回路基板5に形成した高電圧印加用回路が露出している。高電圧印加用回路は回路基板5に保持される(実施形態では実装される)高電圧印加手段4を構成する電気部品に電気的に接続される。
【0065】
対向電極14から連出した端子40は、回路基板5の実装用孔41に嵌め込み、高電圧印加用回路と電気的に接続した状態で半田付けなどの固着手段により回路基板5に接続され、これにより対向電極14から連出した端子40が回路基板5に対し実装される。
【0066】
このように、静電霧化発生部8に設けた対向電極14の端子40を回路基板5に実装するので、前述の実施形態のような高電圧印加手段4と静電霧化発生部8の対向電極14を接続するハーネス28を必要とせず、構成の簡略化が可能で、組立が容易となる。
【0067】
また、静電霧化発生部8に設けた対向電極14の端子40を回路基板5に実装するので、端子40部分でも機械的に接続される。
【0068】
したがって、本実施形態の静電霧化発生部8は、回路基板5に対して、放熱用通電部7の先端部は接続用端子部45の実装による保持、対向電極14の端子40の実装による保持に加え、係止部19と係止縁部21の係止及び位置ずれ防止部20と嵌め込み凹部22の嵌め込みによる保持がなされ、保持がより強固となる。
【0069】
次に、更に他の実施形態を図9乃至図12に示す。
【0070】
本実施形態の基本的構成は前述の各実施形態と同様で、回路基板5には合成樹脂製の電気的絶縁性を有するカバー10を保持することが異なる。
【0071】
回路基板5に保持されたカバー10は、放電極2と熱交換手段6を備えた静電霧化発生部8を覆うか、又は、放電極2と熱交換手段6を備えた静電霧化発生部8と送風部9を覆う。
【0072】
本実施形態は、カバー10が、放電極2と熱交換手段6を備えた静電霧化発生部8を覆う実施形態を示している。
【0073】
カバー10は、後端面に空気取入れ口11が開口しており、前端面に内側が帯電微粒子水放出口12となった筒部が突出している。
【0074】
カバー10の下面は開口しており、カバー10の前面が下方に突出していて、この下面の下端中央部から後方に下カバー部31を突出している。
【0075】
カバー10には下面開口の両側に係止爪32と、位置ずれ防止突部33を設けている。
【0076】
係止爪32が係止凹み34に係止され、位置ずれ防止突部33が嵌め込み凹み35に嵌め込まれることで、カバー10が回路基板5に取付けられる(図9参照)。
【0077】
係止爪32が係止凹み34に係止されることで、カバー10が回路基板5の面と直交する方向(上下方向)に外れるのを防止するようになっている。
【0078】
また、両側の位置ずれ防止突部33が両側の嵌め込み凹み35に嵌め込まれることで、カバー10が回路基板5の面と平行な方向(前後、左右方向)に位置ずれするのを防止する。
【0079】
下カバー部31は、静電霧化発生部8の下部の回路基板5の切欠き部18に嵌め込まれて下方に突出した部分を覆う(図9(b)、図10(b)、図11、図12参照)。
【0080】
このようにしてカバー10を回路基板5に取付けて保持させることで、カバー10と回路基板5で囲まれた空間39が空気取入れ口11と帯電微粒子水放出口12を除いて略密閉され、静電霧化発生部8はこの空間39内に配置される。
【0081】
図11に示すように、カバー10の後面が送風部9の前面に当接状態で対向しており、空気取入れ口11が送風部9の送風口37と対向している。
【0082】
本実施形態は、静電霧化運転時に送風部9が運転されて、空気流が、空気取入れ口11から、カバー10と回路基板5で囲まれた静電霧化発生部8が配置された空間39内に送り込まれる。
【0083】
空間39内に流入した空気流は、霧化ケーシング15とカバー10側面及び上面との間の隙間を流れ、放熱用通電部7に当って、放熱用通電部7を冷却して放熱を促進させ、帯電微粒子水放出口12から前方に流出する。
【0084】
ここで、霧化ケーシング15とカバー10側面及び上面との間の隙間の面積を、空気流入用開口25の開口面積よりも大きく設定している。このため、送風部9からの空気は霧化ケーシング15内に流れ込むことが少なく、主として霧化ケーシング15とカバー10側面及び上面との間の隙間を流れて効果的に放熱用通電部7を冷却することが可能となる。
【0085】
一方、霧化ケーシング15内で静電霧化により生成された帯電微粒子水は静電霧化時に発生するイオン風、及び、空気流入用開口25から霧化ケーシング15内に流れ込む少量の空気の流れにより、霧化ケーシング15の前面開口の外に運ばれる。霧化ケーシング15の前面開口の外に運ばれた帯電微粒子水は霧化ケーシング15とカバー10側面及び上面との間の隙間を通過した空気流と合流して、帯電微粒子水放出口12から前方に放出される。これにより、帯電微粒子水を遠くまで飛ばすことが可能となる。
【0086】
空気流入用開口25から霧化ケーシング15内に流れ込む空気の風量は、放電極2を冷却して空気中の水分を結露水として生成することの妨げとならないような風量となるようにする。これにより、結露時間を短く且つ安定して結露水を生成することが可能となる。
【0087】
回路基板5に保持されたカバー10は、静電霧化発生部8を覆っているので、高電圧部分に誤って指や他の物が触れたりするのを抑制できる。
【0088】
空気取入れ口11が送風部9に対向しているので、送風部9から送られる空気が効率よくカバー10と回路基板5とで囲まれた静電霧化発生部8を配置した空間39内に送風できる。
【0089】
この静電霧化発生部8に配置された空間39は、空気取入れ口11と帯電微粒子水放出口12を除いて略密閉されているので、送風部9から送られる加圧された空気が漏れによる圧力損失を抑制し、帯電微粒子水放出口12にたどり着き、外部空間に放出される。これにより、遠くまで帯電微粒子水を飛ばすことが可能となる。
【0090】
また、前記空気取入れ口11は、対向する送風部9の送風口37と略同じ大きさに設定してあるので、送風部9から送られる空気がすべて空間39内に送り込まれ、送風部9とカバー10との間の隙間から逆流して空気が流れるのが防がれる。したがって、送風部9の圧力を減少させることなく、帯電微粒子水放出口12へ流れることとなる。
【0091】
ところで、前記構成の静電霧化装置1は使用に当って、静電霧化発生部8の霧化ケーシング15の下面の排水用開口26が下となるように静電霧化装置1を組み込む外郭となるたや各種機器に設置する。
【0092】
これにより、放電極2を冷却して結露水として生成した際、余剰の結露水が放電極2から滴下すると、排水用開口26から下方に流れ、排水用開口26から下方に流れた水が下カバー部31で受けられる。
【0093】
したがって、余剰の結露水が下方に滴下しても、回路基板5上に流れることがなく、結露水による回路基板5へのトラブルを抑制できる。
【0094】
また、下カバー部31に受けられた水は自然蒸発し、下カバー部31を超えて流れないように構成している。下カバー部31は電気絶縁性を有する合成樹脂製であり、外郭ケースや機器の静電霧化装置1の取付け部分が金属製であったとしても、滴下した結露水と金属部分との間にした下カバー部31が介在して電気的絶縁を確保することができる。
【0095】
次に、図13に基づいて更に他の実施形態を説明する。
【0096】
本実施形態は、前述の放電極2と水供給手段3を備えた静電霧化発生部8、高電圧印加手段4、熱交換手段電源供給部13、送風部9等を保持して一つのユニットとして構成された回路基板5を、ケース60内に収納して静電霧化装置1を構成した例を示す。
【0097】
図 にはその一例として、図1、図2に示す静電霧化発生部8、高電圧印加手段4、熱交換手段電源供給部13、送風部9等を回路基板5に保持して一つのユニットとして、ケース60内に収納した例を示している。
【0098】
この場合はケース60が静電霧化装置1の外郭を構成する。静電霧化発生部8、高電圧印加手段4、熱交換手段電源供給部13、送風部9等を保持して一つのユニットとして構成された回路基板5をケース60内に収納するので、組込みが容易となる。
【0099】
図13の実施形態において、回路基板5はケース60内に設けた支持部64に支持させ、固着具65により固着する。
【0100】
ここで、ケース60が金属のような導電性材料で形成してある場合、回路基板5をケース60に固着する固着具65はアースを兼ね、静電霧化発生部8での放電時などに発生する電気的なノイズを低減することができる。
【0101】
ケース60には空気が流入する孔61と、静電霧化により発生した帯電微粒子水の放出口62を対向して設け、孔61からケース60に流入した空気が、高電圧印加手段4、熱交換手段電源供給部13、放熱用通電部7を冷却し、電気部品の発熱を低減できる。これにより、より容量の低い電気部品を選定することができ、全体として小型化が可能となる。
【0102】
もちろん、図示を省略しているが、前述のカバー10を保持した回路基板5を前記と同様にケース60内に収納してもよい。
【0103】
ここで、図14に示すように、ケース60内に収納する回路基板5に、静電霧化発生部8、高電圧印加手段4、熱交換手段電源供給部13、送風部9等を一列に保持してもよい。そして、ケース60に設けた孔61と放出口62を結ぶ直線上に、上記静電霧化発生部8、高電圧印加手段4、熱交換手段電源供給部13、送風部9等を一列に配置してもよい。これにより、図15の矢印のように孔61からケース60内に流入し、放出口62から外部に流出する空気流れにより、回路基板5に保持した電気部品の発熱をより効果的に低減できる。
【0104】
図14、図15では、回路基板5に、静電霧化発生部8、送風部9、高電圧印加手段4、熱交換手段電源供給部13が順番に一列に保持されている例を示しているが、静電霧化発生部8が最下流側に位置する以外は、他の送風部9、高電圧印加手段4、熱交換手段電源供給部13の配置順は特に限定されない。
【0105】
また、図15のように、回路基板5における送風部9を保持した部分と静電霧化発生部8を保持した部分との間に温度センサ又は湿度センサ70を実装してもよい。
【0106】
そして、温度センサ又は湿度センサ70で検知した温度又は湿度により熱交換手段6への冷却能力を制御するようにしてもよい。このように、送風部9と静電霧化発生部8との間に温度センサ又は湿度センサ70を実装して温度又は湿度を測定するので、放電極2付近における温度又は湿度との差を低減できる。したがって、放電極2を冷却しすぎる、あるいは、冷却が足りないということを抑制し、放電極2付近の環境に対応した熱交換手段6への冷却能力の制御が可能で、放電極2に効率よく結露水を生成できる。
【0107】
また、前記各実施形態においては回路基板5に送風部9を保持した例を示したが、図16(a)(b)、図17のように回路基板5に送風部9を保持しないものであってもよい。
【0108】
また、前記いずれの実施形態においても、静電霧化発生部8を回路基板5に保持させるに当り、放熱用通電部7、対向電極14の端子40の少なくとも一方を回路基板5に実装することで保持させた例を示しているが、図17のように結合具80を用いて静電霧化発生部8を回路基板5に保持してもよい。
【0109】
図17の実施形態においては、静電霧化発生部8の霧化ケーシング15固定片部81を設け、この固定片部81を結合具80により回路基板5に結合することで静電霧化発生部8を回路基板5に保持する。
【0110】
この例では、高電圧印加手段4と静電霧化発生部8の対向電極14がハーネス28により電気的に接続され、熱交換手段6の放熱用通電部7と熱交換手段電源供給部13が放電用通電ハーネス83により電気的に接続される。
【0111】
なお、前記各実施形態においては、対向電極14側に高電圧印加手段4からの高電圧を印加する例を示したが、放電極2側に高電圧印加手段4から高電圧を印加するようにしてもよい。
【0112】
また、前記各実施形態においては、放電極2と水供給手段3である熱交換手段6を霧化ケーシング15に組み込んで一つのブロック化された静電霧化発生部8を構成し、この静電霧化発生部8を回路基板5に保持した例を示したが、放電極2のブロックと、水供給手段3のブロックを別体に形成し、放電極2のブロックと、水供給手段3のブロックをそれぞれ回路基板5に保持してもよい。
【符号の説明】
【0113】
1 静電霧化装置
2 放電極
3 水供給手段
4 高電圧印加手段
5 回路基板
6 熱交換手段
7 放熱用通電部
8 静電霧化発生部
9 送風部
60 ケース





【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電極と、この放電極に水を供給する水供給手段と、前記放電極に供給された水を静電霧化するために強電界を発生させるための高電圧印加手段を備える静電霧化装置であって、前記放電極と前記高電圧印加手段が同じ回路基板に保持されていることを特徴とする静電霧化装置。
【請求項2】
前記水供給手段が前記放電極を冷却してこの放電極部分に空気中の水分を基に静電霧化するための結露水を生成する熱交換手段により構成され、この熱交換手段への通電と熱を放熱する放熱用通電部を備えることを特徴とする請求項1記載の静電霧化装置。
【請求項3】
前記放電極と前記熱交換手段を備えた静電霧化発生部を形成し、この静電霧化発生部は、前記放熱用通電部が前記回路基板に実装されることで回路基板に保持されていることを特徴とする請求項2記載の静電霧化装置。
【請求項4】
前記高電圧印加手段の通電部が前記回路基板に実装されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の静電霧化装置。
【請求項5】
前記放熱用通電部を冷却する送風部が前記回路基板に保持されていることを特徴とする請求項2又は請求項3記載の静電霧化装置。
【請求項6】
前記送風部の通電部が前記回路基板に実装されていることを特徴とする請求項5記載の静電霧化装置。
【請求項7】
前記回路基板がケース内に収納され、このケースには空気が流入する孔と、静電霧化により発生した帯電微粒子水の放出口を対向して設けてあることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の静電霧化装置。
【請求項8】
前記回路基板がケース内に収納され、このケースには空気が流入する孔と、静電霧化により発生した帯電微粒子水の放出口を対向して設け、前記空気が流入する孔と、前記放出口を結ぶ直線上に、前記放電極と前記熱交換手段を備えた静電霧化発生部、前記送風部、前記高電圧印加手段が保持されていることを特徴とする請求項5又は請求項6記載の静電霧化装置。
【請求項9】
送風部から静電霧化発生部へ送風する経路で、静電霧化発生部と同じ回路基板に温度センサ又は湿度センサを配置し、温度センサで検知した温度又は湿度センサで検知した湿度により熱交換手段への冷却能力を制御することを特徴とする請求項5又は請求項6又は請求項8記載の静電霧化装置。




【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate